(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】建設機械の表示システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20241016BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20241016BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
E02F9/26 A
E02F9/24 J
E02F9/20 N
(21)【出願番号】P 2021071051
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 幸洋
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/164172(WO,A1)
【文献】特開2019-105105(JP,A)
【文献】国際公開第2020/104997(WO,A1)
【文献】特開2018-049573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0161943(US,A1)
【文献】特開2017-193928(JP,A)
【文献】特開2018-044382(JP,A)
【文献】特開2021-050055(JP,A)
【文献】特開2009-121053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
E02F 9/24
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室に設けられた操作レバーの操作状態を検出する操作検出部と、該操作検出部の検出内容に基づいて建設機械の動作態様を表す画像を地面に投影して表示させる画像投影装置とを備えている建設機械の表示システムにおいて、
前記建設機械は、下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、
前記操作検出部は、運転者の前記操作レバーの選択を検出する操作対象検出部と、前記操作レバーの傾動を検出する操作方向検出部とからなり、
前記画像投影装置は、
前記操作対象検出部の検出内容に基づいて、前記建設機械の周囲の地面に操作対象に応じた動作対象予告表示画像を表示させ、
前記操作方向検出部の検出内容に基づいて、操作方向に応じた動作方向予告表示画像を、前記動作対象予告表示画像と代えて表示させることを特徴とする建設機械の表示システム。
【請求項2】
前記動作方向予告表示画像は、前記動作対象予告表示画像の形状に整合して配列され、前記上部旋回体の旋回方向あるいは前記下部走行体の進行方向を表す複数の矢印形状からなる画像であることを特徴とする請求項1記載の建設機械の表示システム。
【請求項3】
前記画像投影装置は、前記下部走行体に設けられた複数の画像投影部を有し、該複数の画像投影部は、前記下部走行体の周囲を囲う前後左右4箇所の領域にそれぞれ対応して配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械の表示システム。
【請求項4】
運転室に設けられた操作レバーの操作状態を検出する操作検出部と、該操作検出部の検出内容に基づいて建設機械の動作態様を表す画像を地面に投影して表示させる画像投影装置とを備えている建設機械の表示システムにおいて、
前記建設機械は、下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、
前記画像投影装置は、
前記操作検出部の検出内容が旋回操作に関するものであるとき、前記下部走行体の周囲の地面に前記上部旋回体の旋回中心と同心で円形環状の旋回動作予告表示画像を表示させ、
前記操作検出部の検出内容が走行操作に関するものであるとき、前記下部走行体の周囲の地面に前記下部走行体の前後方向に延びる所定幅の帯形状の走行動作予告表示画像を表示させることを特徴とする建設機械の表示システム。
【請求項5】
前記画像投影装置は、
前記操作検出部の検出内容が前記操作レバーの選択と、該選択に準じた操作レバーの傾動とのそれぞれの操作に関するものであるとき、
前記操作レバーの選択に従って、前記旋回動作予告表示画像あるいは前記走行動作予告表示画像を表示させ、
前記操作レバーの傾動に従って、表示中の画像を前記上部旋回体の旋回方向あるいは前記下部走行体の進行方向を表す矢印形状に変形して表示させることを特徴とする請求項4記載の建設機械の表示システム。
【請求項6】
前記画像投影装置は、前記下部走行体に設けられた複数の画像投影部を有し、該複数の画像投影部は、前記下部走行体の周囲を囲う前後左右4箇所の領域にそれぞれ対応して配置されていることを特徴とする請求項4又は5記載の建設機械の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の表示システムに関し、詳しくは、建設機械の安全性を確保するための機能を備えた建設機械の表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンや杭打機などの建設機械が使用される工事現場では、多数の作業者が建設機械の周囲で作業しているのが一般的であり、建設機械と作業者との接触事故を防止することが重要な課題となっている。特に大型の建設機械は周囲に死角ができやすく、誤った操作を行えば重大事故に波及しかねない。そこで、建設機械の安全システムとして、多数の作業者から運転者に指示を与える指揮者を識別し、その指揮者が指定した特定の運転操作のみを許可することで、指揮者の操作指示が運転者に確実に行き届くようにした安全システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建設機械のなかでも下部走行体上に上部旋回体を備えたものは、上部旋回体の旋回位置によっては運転者から見た後進方向が事実上の前進方向になるといった状況が生じ得る。こうした状況では、指揮者の指示が運転者に正確に伝わらず、迅速性が求められる現場において誤操作を招きやすいという不都合があった。一方、建設機械の周りにいる作業者にとって、建設機械がどのように動くかは安全上重要な関心事項の一つである。しかしながら、現状では運転操作に連動するランプやブザーなどから動き出しを知る程度の効果にとどまり、自分に危険が及ぶのかを把握する手段としては十分な効果が得られるものではなかった。
【0005】
そこで本発明は、工事現場の多様な環境において、建設機械の周囲で作業している作業者の安全を確保可能な建設機械の表示システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械の安全システムは、運転室に設けられた操作レバーの操作状態を検出する操作検出部と、該操作検出部の検出内容に基づいて建設機械の動作態様を表す画像を地面に投影して表示させる画像投影装置とを備えている建設機械の表示システムにおいて、前記建設機械は、下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、前記操作検出部は、運転者の前記操作レバーの選択を検出する操作対象検出部と、前記操作レバーの傾動を検出する操作方向検出部とからなり、前記画像投影装置は、前記操作対象検出部の検出内容に基づいて、前記建設機械の周囲の地面に操作対象に応じた動作対象予告表示画像を表示させ、前記操作方向検出部の検出内容に基づいて、操作方向に応じた動作方向予告表示画像を、前記動作対象予告表示画像と代えて表示させることを特徴としている。
【0007】
また、前記動作方向予告表示画像は、前記動作対象予告表示画像の形状に整合して配列され、前記上部旋回体の旋回方向あるいは前記下部走行体の進行方向を表す複数の矢印形状からなる画像であることを特徴としている。
【0008】
さらに、前記画像投影装置は、前記下部走行体に設けられた複数の画像投影部を有し、該複数の画像投影部は、前記下部走行体の周囲を囲う前後左右4箇所の領域にそれぞれ対応して配置されていることを特徴としている。
【0009】
また、運転室に設けられた操作レバーの操作状態を検出する操作検出部と、該操作検出部の検出内容に基づいて建設機械の動作態様を表す画像を地面に投影して表示させる画像投影装置とを備えている建設機械の表示システムにおいて、前記建設機械は、下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、前記画像投影装置は、前記操作検出部の検出内容が旋回操作に関するものであるとき、前記下部走行体の周囲の地面に前記上部旋回体の旋回中心と同心で円形環状の旋回動作予告表示画像を表示させ、前記操作検出部の検出内容が走行操作に関するものであるとき、前記下部走行体の周囲の地面に前記下部走行体の前後方向に延びる所定幅の帯形状の走行動作予告表示画像を表示させることを特徴としている。
【0010】
さらに、前記画像投影装置は、前記操作検出部の検出内容が前記操作レバーの選択と、該選択に準じた操作レバーの傾動とのそれぞれの操作に関するものであるとき、前記操作レバーの選択に従って、前記旋回動作予告表示画像あるいは前記走行動作予告表示画像を表示させ、前記操作レバーの傾動に従って、表示中の画像を前記上部旋回体の旋回方向あるいは前記下部走行体の進行方向を表す矢印形状に変形して表示させることを特徴としている。
【0011】
加えて、前記画像投影装置は、前記下部走行体に設けられた複数の画像投影部を有し、該複数の画像投影部は、前記下部走行体の周囲を囲う前後左右4箇所の領域にそれぞれ対応して配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建設機械の周囲の地面に表示する表示画像が建設機械の動き出しを表す各種の動作予告表示画像であるため、作業者が視覚を通じて建設機械の動き出しを認識できるようになり、工事現場で稼働する建設機械の安全性向上に寄与するものである。また、操作内容に応じて複数の表示画像を表示するので、運転者の意思表示、例えば、前進指示があったので、前進させたい(内心)、走行操作レバーを選択して前進側に傾動操作しよう(表示意思)、実際に走行操作レバーを傾動させる(表示行為)、という思いを示すことが、外部に対して、早い段階で客観的に認識できる態様で明確に表示されることから、作業者に気づきを与える効果だけにとどまらず、こうした表示を共有する指揮者と運転者との意思疎通も円滑化できるという効果が得られる。
【0013】
したがって、操作対象に応じた動作対象予告表示画像を表示すれば、これから旋回あるいは走行が行われることを作業者が認識でき、さらには、操作方向に応じた動作方向予告表示画像を、動作対象予告表示画像と代えて表示すれば、建設機械が近づいてくるのか離れていくのかを、すなわち、作業者が自分に危険が及ぶのかを冷静に判断することができる。また、こうした動作予告表示画像による指揮者と運転者との互いの共通認識のもとで、修正が必要であれば建設機械が動き出す前にその実行を速やかに停止させることができる。さらに、旋回中心と同心円の旋回動作予告表示画像あるいは前後方向に延びる帯形の走行動作予告表示画像を表示すれば、上部旋回体と下部走行体とのどちらに属する動作であるのかを明確に区別して、それぞれ動き出しを認識できることから、旋回体を備えている建設機械の特有の動作態様に合致した表示システムが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の建設機械の表示システムを適用した一形態例を示す杭打機の側面図である。
【
図5】同じく旋回動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図6】同じく右旋回動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図7】同じく左旋回動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図8】同じく走行動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図9】同じく前進走行動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図10】同じく後進走行動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図11】同じく左前進走行動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図12】同じく左回転走行動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図13】同じく下部走行体と上部旋回体との向きが異なる場合における前進走行動作予告表示画像を地面に表示した状態を示す図である。
【
図14】同じく左旋回動作予告表示画像と前進走行動作予告表示画像とを地面に重畳的に表示した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図14は、本発明の安全システムを建設機械の一例である杭打機に適用したもので、杭打機11は、
図1及び
図2に示すように、走行装置として左右一対のクローラ12を備えた下部走行体13と、該下部走行体13の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体14とからなるベースマシン15と、上部旋回体14の前部に立設されたリーダ16と、該リーダ16を後方から支持するリーダ用の起伏シリンダ17とを備えている。また、上部旋回体14の前部上方には、配管を支持する配管支持部材18が設けられている。さらに、上部旋回体14の前後左右の4箇所には安定用のジャッキ19が設けられ、上部旋回体14の後端部には、作業中の機体のバランスをとるためのカウンタウエイト20が搭載されている。
【0016】
リーダ16は、断面が角筒状に形成された複数のリーダ部材を連結したもので、上端部には吊り用のロープが巻掛けられるトップシーブ21が、下部前方には回転駆動される施工部材の振れを防止する振止装置22がそれぞれ備わっている。また、リーダ16の前面中央にはラックピニオン式昇降機構の構成品の一つであるラックギヤ23が、両側面前端部には左右一対のガイドパイプ24,24が、リーダ16の全長に亘ってそれぞれ連続的に設けられている。
【0017】
作業装置の一例であるオーガ25は、出力軸(ロッド)25aを回転駆動させるためのオーガ駆動用油圧モータ25bやチャック機構25cなどを備えており、前記ガイドパイプ24,24に摺接する左右一対のガイドギブ25d,25dが後方に突出して設けられるとともに、前記ラックギヤ23の両側に設けられている歯列に歯合するピニオンギヤをオーガ昇降用油圧モータ25eで回転駆動することにより、リーダ16の前面に沿って昇降可能に構成されている。
【0018】
上部旋回体14は、下面に旋回ベアリング26が取り付けられるメインフレーム27と、該メインフレーム27の車幅方向両側部に枠組みされたフロアフレーム28とが一体的に結合されている機体フレームを有しており、各種大型部品は主にメインフレーム27に装着されている。右側のフロアフレーム上の前部には、オーガ25や上部旋回体14、下部走行体13などを駆動させる操作がなされる運転室29が設置されている。また、右側のフロアフレーム上の後部には、作動油タンクなどの油圧機器を収納する機器収納ハウス30が設けられている。一方、左側のフロアフレーム28上には、エンジンの駆動を受けて圧油を供給するためのエンジンパワーユニット(油圧源装置)や、これに付属する燃料タンクなどの複数の関連機器を収納するエンジン収納ハウス31が設けられている。
【0019】
下部走行体13は、上面に旋回ベアリング26が取り付けられる中央フレーム(図示せず)とその両側に配置される左右一対のクローラフレーム12a,12aとからなるトラックフレームを備えており、前記クローラ12は、クローラフレーム12aの前後両端部にそれぞれ設けられた駆動輪12b及び従動輪12cと、該駆動輪12bと従動輪12cとの間の前記クローラフレーム12aの上部及び下部にそれぞれ設けられた複数の転輪とを備えており、連結されたクローラシューが駆動輪12b、従動輪12c、上下転輪とに無端状に掛け回されている。また、クローラフレーム12aの前端部外側面には運転室29やハウス30,31に上るためのステップ32が設けられており、このステップ32のある側(
図2において左側)が前進方向となり、その反対側(
図2において右側)が後進方向となる。
【0020】
杭打機11を鋼管杭の埋設を目的として使用する場合には、施工部材に鋼管杭33が使用される。鋼管杭33は、出力軸25aの下端に設けられたキャップロッド34を介して連結され、出力軸25aを回転させながらオーガ25を下降させることによって地中に圧入される。また、杭打機11を地盤改良を目的として使用する場合には、施工部材に中空ロッド(図示せず)が使用される。中空ロッドは、上端がオーガ25の上方でスイベルジョイントと連結されるとともに下端が撹拌ロッドと連結される。この中空ロッドを回転させながら、中空ロッドを通じて撹拌ロッドの先端から噴射したセメントミルクなどの地盤改良剤が地盤内に注入され、撹拌ロッドに設けられた撹拌翼で土壌と混合される。
【0021】
こうした杭の埋設や地盤改良などの各種工法を行うために、運転室29内には、下部走行体13の走行や上部旋回体14の旋回、オーガ25の昇降・回転駆動などを行う複数の操作レバーや操作ペダル、押しボタンスイッチ、タッチパネル式のディスプレイなどの機器が操作性を考慮して運転席の近傍に集約的に配置されている。さらに、こうした操作系統をもつ杭打機11には、旋回操作レバー及び左右走行操作レバーの各操作と連動して杭打機11の動作態様を表す画像を地面に投影して表示させる画像投影装置42が備わっている。
【0022】
図3は、前記画像投影装置42を主たる構成要素とする表示システム41の概略構成を示している。以下では、表示システム41の構成について走行操作系を例に挙げて説明するが、旋回操作系についても基本的に同様である。
【0023】
表示システム41は、既存の制御システムに追加的に組み込むことが可能であって、運転者の走行操作レバー43の選択を検出する接触センサ(操作対象検出部)44と、走行操作レバー43の傾動を検出する前進操作検出用圧力スイッチ(操作方向検出部)45及び後進操作検出用圧力スイッチ(操作方向検出部)46と、各圧力スイッチ45,46の検出に基づいて杭打機11の走行動作を表す画像を地面に投影して表示させる画像投影装置42とを備えている。また、図示は省略するが、上部旋回体14と下部走行体13との間の送電・送油は、旋回中心と同軸上に設置した給電用スリップリングや油圧スイベルジョイントなどによってなされる。
【0024】
接触センサ44は、走行操作レバー43のグリップに設けられたセンサであり、一例として、運転者の手が触れたことによる静電容量の変化を検出する接触式のセンサが挙げられる。走行操作レバー43を握ると、接触センサ44はこれを検出し、コントローラ(制御装置)47に走行操作選択信号を送信する。
【0025】
圧力スイッチ45,46は、リモコンバルブ48とコントロールバルブ49とを連絡しているパイロットライン(
図3の実線で示したライン)に取り付けられている。各圧力スイッチ45,46は、それぞれコントローラ47と電気的に接続されている。リモコンバルブ48は、走行操作レバー43の傾動操作に応じて、パイロットラインに作動油を供給し、コントロールバルブ49の走行用切替弁に作動圧を付与する。
【0026】
走行操作レバー43を前進側に傾動操作すると、前進操作検出用圧力スイッチ45は、パイロットラインを流れる作動油の設定圧力を検出して、コントローラ47に前進操作信号を送信する。一方、走行操作レバー43を後進側に傾動操作すると、後進操作検出用圧力スイッチ46は、パイロットラインを流れる作動油の設定圧力を検出して、コントローラ47に後進操作信号を送信する。
【0027】
ここで、レバー傾動角度θとリモコンバルブ圧力Pとの関係について、
図4を参照しながら説明する。まず、走行操作レバー43は、
図4(A)に示すように、通常、非操作時において中立状態に保持されている。この中立状態からレバーを倒していくと、
図4(B)のグラフに示すように、レバー角度がθ1に到達したときに圧力P1が得られる。このとき、圧力スイッチ45,46から操作信号が送信され、これを受信したコントローラ47は、従来からある警報作動として、運転室29の屋根に設置したスピーカ50から、例えば「前進します」といった音声を発出させる(
図2,
図3)。そして、さらに操作レバーを倒していくと、レバー角度がθ2に到達したときに圧力P2が得られ、機体が動き出すようになっている。
【0028】
杭打機11の走行は、左右のクローラ12に対応する走行操作レバー43の傾動量(レバー角度θ)や、操作ペダルの踏込み量などに応じてコントロールバルブ49への作動油供給量が調節され、左右の走行用油圧モータ及び減速機を介して左右の駆動輪12bに駆動力が伝達されることにより、クローラ12が駆動される。こうして、左右のクローラ12の回転方向及び回転速度を調節することで、前進又は後進の直進走行(左右のクローラを同一速度で駆動させる走行)、スラローム旋回走行(左右のクローラを同一方向に異なる速度で駆動させて走行方向を変える走行)、ピボット旋回走行(片側のクローラを停止させた状態で反対側のクローラを駆動させて旋回させる走行)及びスピン旋回走行(左右のクローラを逆方向に駆動して旋回させる走行)が行えるようになっている。
【0029】
画像投影装置42は、コントローラ47と、これに電気的に接続される4つのレーザー装置(画像投影部)51とで概略構成されている。前記4つのレーザー装置51は、画像をレーザー光により照射して、杭打機11の周囲の地面に動作予告表示画像を表示するもので、下部走行体13においてトラックフレームの中央フレームの前面及び後面に1つずつ、左右のクローラフレーム12a,12aの中央部外側面に1つずつ、それぞれ取付角度の調節が可能なブラケットを介して取り付けられている。
【0030】
下部走行体13の前方に向けて取り付けられた前方レーザー装置51aは、走査部が杭打機11の前方の地面を向くようにやや下向きに調節されており、動作予告表示画像の前側部分に対応する画像を杭打機11の前方の地面に照射する。下部走行体13の後方に向けて取り付けられた後方レーザー装置51bは、走査部が杭打機11の後方の地面を向くようにやや下向きに調節されており、動作予告表示画像の後側部分に対応する画像を杭打機11の後方の地面に照射する。
【0031】
下部走行体13の左側方に向けて取り付けられた左側方レーザー装置51cは、走査部が杭打機11の左側方の地面を向くようにやや下向きに調節されており、動作予告表示画像の左側部分に対応する画像を杭打機11の左側方の地面に照射する。下部走行体13の右側方に向けて取り付けられた右側方レーザー装置51dは、走査部が杭打機11の右側方の地面を向くようにやや下向きに調節されており、動作予告表示画像の右側部分に対応する画像を杭打機11の右側方の地面に照射する。このようにして、4つのレーザー装置51は、下部走行体13の周囲を囲う前後左右4箇所の領域にそれぞれ対応して配置される。
【0032】
各レーザー装置51a,51b,51c,51dは、共通のハードウェアを備えており、レーザー光源部から射出されたレーザービームを走査部により2次元的に走査し、地面に動作予告表示画像を表示する。コントローラ47は、CPUを中心に構成された制御装置であって、画像作成部において、あらかじめ記憶された画像データ及び画像生成プログラムを用いて画像処理を行い、各種の動作予告表示画像を作成する。動作予告表示画像は、詳細は後述するが、杭打機11の仕様毎に設定される形状情報、例えば、オーガ25の種類などから求まる車体寸法に基づいて画像形状及び画像サイズが決定される。
【0033】
このように構成された杭打機11の表示システム41では、旋回及び走行の各操作レバー43の操作と連動して、すなわち、各操作レバー43の選択と、該選択に準じた操作レバー43の傾動とのそれぞれの操作と連動して各種の動作予告表示画像を地面に投影して表示させる。以下では、動作予告表示画像の表示態様について、
図5乃至
図14を参照しながら説明する。各図は杭打機11を真上から見て表した平面図であり、
図5乃至
図7は、旋回操作レバー43の操作に対応した旋回動作予告表示画像を杭打機11の周囲の地面に表示した状態を示している。
図8乃至
図13は、走行操作レバー43の操作に対応した走行動作予告表示画像を杭打機11の周囲の地面に表示した状態を示している。
図14は、旋回動作予告表示画像と走行動作予告表示画像とを杭打機11の周囲の地面に重畳的に表示した状態を示している。
【0034】
まず、杭打機11が使用される工事現場において、同一の作業箇所で杭打機11と作業者とが並行作業を行う場合、運転者に運転指示を与える指揮者が置かれ、杭打機11の運転者は、指揮者の合図に従って運転操作を行っている。また、杭の埋設予定位置の近傍領域内では、多くの作業者が存在し、持ち込まれる関連機材などが周辺に置かれて込み入った環境となっている。
【0035】
杭打機11のアイドリング状態では、各操作レバー43は中立状態に保持されている。ここで、指揮者から「右旋回」の運転指示が出された場合、運転者は、安全確認を行って旋回操作レバー43を握る。これにより、接触センサ44が旋回操作レバー43の選択を検出し、コントローラ47に旋回操作選択信号を送信する。そして、画像投影装置42では、旋回操作選択信号を受信して、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図5に示すように、杭打機11の周囲の地面に旋回動作予告表示画像52を表示させる。
【0036】
旋回動作予告表示画像52は、上部旋回体14の旋回中心と同心で円形環状の画像であり、内周はカウンタウエイト20の外縁がなす旋回半径に整合した半径を有し、外周はオーガ25の外縁がなす旋回半径に整合した半径を有している。また、表示画像52の円形環状の領域には赤色が付されている。これにより、表示画像52の近傍にいる作業者に対して、これから旋回動作が行われる旨の注意が視覚的に与えられる。
【0037】
運転者において旋回操作レバー43を右旋回側に傾動操作すると、これにより、右旋回操作検出用圧力スイッチ46がパイロットラインを流れる作動油の圧力P1を検出して、コントローラ47に右旋回操作信号を送信する。そして、画像投影装置42では、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図6に示すように、右旋回動作予告表示画像53を、現在表示中の旋回動作予告表示画像52と代えて杭打機11の周囲の地面に表示させる。
【0038】
右旋回動作予告表示画像53は、前記旋回動作予告表示画像52の円形環状に整合させて周方向等ピッチで配列した複数の矢印形状からなる画像である。この矢印形状は、表示中の旋回動作予告表示画像52を変形することで、上部旋回体14の右旋回方向を表す形として表示されている。これにより、表示画像53の近傍にいる作業者に対して、これから右旋回動作が行われる旨の注意が視覚的に与えられる。また、同時に警報作動が実行され、スピーカ50から、例えば「右旋回します」といった音声が発出されるため、作業者に対してその旨の注意が聴覚的にも与えられる。
【0039】
そして、さらに旋回操作レバー43を倒していくと、レバー角度がθ2に到達した時点でリモコンバルブ(パイロットライン)が圧力P2まで高められ、旋回用油圧モータにより駆動される上部旋回体14の右旋回動作に基づいて徐々に機体が動き出す。これにより、機体の停止状態から動き出しまでの間(時間にして数秒間)、作業者は足元付近の地面に順を追って表示される旋回動作予告表示画像52,53から、杭打機11の動向、つまり旋回方向の予測が可能となる。
【0040】
一方、「左旋回」の運転指示を受けて、あらかじめ旋回動作予告表示画像52を表示させた状態から、旋回操作レバー43を左旋回側に傾動操作すると、これにより、左旋回操作検出用圧力スイッチ45がパイロットラインを流れる作動油の圧力P1を検出して、コントローラ47に左旋回操作信号を送信する。そして、画像投影装置42では、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図7に示すように、左旋回動作予告表示画像54を、現在表示中の旋回動作予告表示画像52と代えて杭打機11の周囲の地面に表示させる。この表示画像54は、右旋回動作予告表示画像53と同じ円形環状をなし、矢印形状のみが反対向きに表される画像である。すなわち、矢印形状は、上部旋回体14の左旋回方向を向いて表示されている。
【0041】
また、指揮者から「前進走行」の運転指示が出された場合、運転者は、安全確認を行って走行操作レバー43を握る。これにより、接触センサ44が走行操作レバー43の選択を検出し、コントローラ47に走行操作選択信号を送信する。そして、画像投影装置42では、走行操作選択信号を受信して、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図8に示すように、杭打機11の周囲の地面に走行動作予告表示画像55を表示させる。
【0042】
走行動作予告表示画像55は、下部走行体13の前後方向(進行方向)に一定幅を有して延びる帯形状の側方部を含む複数画像からなり、この側方部が左右のクローラ12にそれぞれ対応して並列に配置され、これらの間をつなぐように三角形状の前方部及び後方部がそれぞれ配置されている。各部の前後端は、それぞれクローラ12の回転方向を表すように角張っている。また、表示画像55の領域には赤色が付されている。これにより、表示画像55の近傍にいる作業者に対して、これから走行動作が行われる旨の注意が視覚的に与えられる。
【0043】
運転者において走行操作レバー43を前進側に傾動操作すると、これにより、前進操作検出用圧力スイッチ45がパイロットラインを流れる作動油の圧力P1を検出して、コントローラ47に前進操作信号を送信する。そして、画像投影装置42では、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図9に示すように、前進走行動作予告表示画像56を、現在表示中の走行動作予告表示画像55と代えて杭打機11の周囲の地面に表示させる。
【0044】
前進走行動作予告表示画像56は、前記走行動作予告表示画像55の形状に整合させて、左右側方部は前後方向等ピッチで配列した複数の矢印形状、前方部及び後方部は左右横並びで配列した複数の矢印形状からなる画像であり、この矢印形状は、表示中の走行動作予告表示画像55を変形することで、下部走行体13の前進方向を表す形として表示されている。これにより、表示画像56の近傍にいる作業者に対して、これから前進走行動作が行われる旨の注意が視覚的に与えられる。また、同時に警報作動が実行され、スピーカ50から、例えば「前進します」といった音声が発出されるため、作業者に対してその旨の注意が聴覚的にも与えられる。
【0045】
そして、さらに走行操作レバー43を倒していくと、レバー角度がθ2に到達した時点でリモコンバルブ(パイロットライン)が圧力P2まで高められ、走行用油圧モータにより駆動される下部走行体13の前進走行動作に基づいて徐々に機体が動き出す。これにより、機体の停止状態から動き出しまでの間(時間にして数秒間)、作業者は足元付近の地面に順を追って表示される走行動作予告表示画像55,56から、杭打機11の動向、つまり移動方向の予測が可能となる。
【0046】
一方、「後進走行」の運転指示を受けて、あらかじめ走行動作予告表示画像55を表示させた状態から、走行操作レバー43を後進側に傾動操作すると、これにより、後進操作検出用圧力スイッチ46がパイロットラインを流れる作動油の圧力P1を検出して、コントローラ47に後進操作信号を送信する。そして、画像投影装置42では、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図10に示すように、後進走行動作予告表示画像57を、現在表示中の走行動作予告表示画像55と代えて杭打機11の周囲の地面に表示させる。この表示画像55は、前進走行動作予告表示画像56に対し、矢印形状のみが反対向きに表される画像である。すなわち、矢印形状は、下部走行体13の後進方向を向いて表示されている。
【0047】
また、「左前進走行(ピボット旋回走行)」の運転指示を受けて、あらかじめ走行動作予告表示画像55を表示させた状態から、右側の走行操作レバー43を前進側に傾動操作すると、これにより、右クローラ前進操作検出用圧力スイッチ45がパイロットラインを流れる作動油の圧力P1を検出して、コントローラ47に右クローラ前進操作信号を送信する。そして、画像投影装置42では、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図11に示すように、左前進走行動作予告表示画像58を、現在表示中の走行動作予告表示画像55と代えて杭打機11の周囲の地面に表示させる。この表示画像58は、前進走行動作予告表示画像56に対し、矢印形状及び配列ピッチを若干変更して表される画像である。この矢印形状は、下部走行体13の左前進方向、すなわち、左斜め前方を向いて表示されている。
【0048】
さらに、「左回転走行(スピン旋回走行)」の運転指示を受けて、あらかじめ走行動作予告表示画像55を表示させた状態から、走行操作レバー43を左回転側に傾動操作すると、これにより、左回転操作検出用圧力スイッチ45,46がパイロットラインを流れる作動油の圧力P1を検出して、コントローラ47に左回転操作信号を送信する。そして、画像投影装置42では、コントローラ47による所定の画像処理を行うとともに、レーザー装置51による走査を行い、
図12に示すように、左回転走行動作予告表示画像59を、現在表示中の走行動作予告表示画像55と代えて杭打機11の周囲の地面に表示させる。この表示画像59は、左前進走行動作予告表示画像58に対し、矢印形状は共通であるが向きを若干変更して表される画像である。この矢印形状は、下部走行体13の左回転方向、すなわち、下部走行体13を旋回中心まわりに前後左右に4分割した各部の進行方向を向いて表示されている。なお、図示は省略するが、右前進走行、右回転走行についても同様の手順で表示される。
【0049】
ところで、建設機械のなかでも、下部走行体13上に上部旋回体14を備えている杭打機11は、上部旋回体14の旋回位置によっては運転者から見た後進方向が事実上の前進方向になるといった状況が生じ得る。こうした状況では、指揮者の指示が曖昧になりやすく、しかも、運転者の誤操作を招きやすいという不都合がある。そこで、運転指示に応じた運転操作が行われていない場合、指揮者は、走行動作予告表示画像55(
図8)から順に変化する画像の表示を見ることで、杭打機11が動き出す前に、これが意に反した操作であることに気がつく。これにより、指揮者から運転停止の指示が与えられた運転者は、追って出される修正指示を受けて、例えば、
図13に示すように、運転者から見れば後進であっても走行操作レバー43は前進側に傾動操作する、といった正しい判断を行うことができる。
【0050】
ここで、上部旋回体14の向きを下部走行体13の向きに対応させるには、例えば、下部走行体13を前進走行させながら、上部旋回体14を左旋回させるような複合操作を行う。これにより、杭打機11は、
図14に示すように、左旋回動作予告表示画像54と前進走行動作予告表示画像56とを周囲の地面に重畳的に表示した状態で、左旋回と前進走行とが同時になされる。したがって、前進走行動作予告表示画像56の外側領域に離れていた作業者は、足元に表示された左旋回動作予告表示画像54に気づいて、この表示画像54のさらに外側領域まで離れる、といった安全上の判断を行うことができる。
【0051】
このように、本発明によれば、建設機械の周囲の地面に表示する表示画像が建設機械の動き出しを表す各種の動作予告表示画像52~59であるため、作業者が視覚を通じて建設機械の動き出しを認識できるようになり、工事現場で稼働する建設機械の安全性向上に寄与するものである。また、操作内容に応じて複数の表示画像を表示するので、運転者の意思表示、例えば、前進指示があったので、前進させたい(内心)、走行操作レバー43を選択して前進側に傾動操作しよう(表示意思)、実際に走行操作レバー43を傾動させる(表示行為)、という思いを示すことが、外部に対して、早い段階で客観的に認識できる態様で明確に表示されることから、作業者に気づきを与える効果だけにとどまらず、こうした表示を共有する指揮者と運転者との意思疎通も円滑化できるという効果が得られる。
【0052】
したがって、操作対象に応じた動作対象予告表示画像52,55を表示すれば、これから旋回あるいは走行が行われることを作業者が認識でき、さらには、操作方向に応じた動作方向予告表示画像53,54,56,57,58,59を、動作対象予告表示画像52,55と代えて表示すれば、建設機械が近づいてくるのか離れていくのかを、すなわち、作業者が自分に危険が及ぶのかを冷静に判断することができる。また、こうした動作予告表示画像52~59による指揮者と運転者との互いの共通認識のもとで、修正が必要であれば建設機械が動き出す前にその実行を速やかに停止させることができる。さらに、旋回中心と同心円の旋回動作予告表示画像52,53,54あるいは前後方向に延びる帯形の走行動作予告表示画像55,56,57,58,59を表示すれば、上部旋回体14と下部走行体13とのどちらに属する動作であるのかを明確に区別して、それぞれ動き出しを認識できることから、旋回体を備えている建設機械の特有の動作態様に合致した表示システム41が達成される。
【0053】
また、動作方向予告表示画像53,54,56,57,58,59が動作対象予告表示画像52,55の形状に整合させて配列した矢印形状からなる画像であるため、一目で上部旋回体14の旋回方向あるいは下部走行体13の進行方向を把握することが可能となり、予測可能性を高めて、指揮者、運転者及び作業者による連携を確実にし、共同作業における作業効率や安全の確保に資するものである。さらに、画像投影装置42が複数のレーザー装置51を有しているので、建設機械の周囲の地面に、すなわち、下部走行体13の周囲を囲う前後左右4箇所の領域に見合うサイズで画像を表示させることができる。加えて、レーザー装置51を下部走行体13に設けているので、下部走行体13と上部旋回体14との向きの整合性を図るといった複雑な制御をなくし、表示システム41を安価に構成することができる。
【0054】
とりわけ、建築や土木などの基礎工事で使用される杭打機11は、通常、施工位置に静止状態で長時間止まることから、杭打機11の周囲で作業に専念している作業者は、時間の経過に伴ってその状況に慣れてしまう。そして、一旦、慣れてしまうと杭打機11の動向に注意をはらうことが難しく、時として接触事故に結びつく状況が生れやすいのが現状である。そのため、作業者が杭打機11の動き出しを知ることは、作業者自身にとって大きな意味を有している。したがって、動作予告表示画像52~59を表示して作業者の視覚に訴えかける本表示システム41は、例えば、騒音問題から音声による警報作動が十分に活用できない住宅地域など、多様化する工事現場のニーズに適うものである。
【0055】
なお、本発明は、建設機械として杭打機を例示したが、アースドリルやクレーンなど、下部走行体上に旋回可能な上部旋回体(旋回システム)を備えた各種建設機械にも適用することができる。また、表示システムを構成する画像投影装置は、レーザー装置の他にプロジェクタ装置などの光学装置を用いることができ、これらを上部旋回体に設けて構成してもよい。さらに、動作予告表示画像の形状や色などは適宜変更することができ、点滅表示などの動的な表示をしたり、画像情報の基礎となる車体外形状に関する情報をアタッチメントの種類に応じて自動更新したりするなど、その設計は任意である。また、操作検出部は、静電容量式センサの他に感圧式センサなどを採用できるが、例えば、侵入エリアに手が侵入したことを検出する非接触センサを用いれば、既存の操作レバーがそのまま使用できる。さらに、操作レバーにジョイスティックなどの1本レバー式を採用する場合、内蔵される検出部からの操作信号に従って各種制御することが可能であるため、例えば、走行と旋回とを組み合わせた複合操作においても有効である。
【符号の説明】
【0056】
11…杭打機、12…クローラ、12a…クローラフレーム、12b…駆動輪、12c…従動輪、13…下部走行体、14…上部旋回体、15…ベースマシン、16…リーダ、17…起伏シリンダ、18…配管支持部材、19…ジャッキ、20…カウンタウエイト、21…トップシーブ、22…振止装置、23…ラックギヤ、24…ガイドパイプ、25…オーガ、25a…出力軸、25b…オーガ駆動用油圧モータ、25c…チャック機構、25d…ガイドギブ、25e…オーガ昇降用油圧モータ、26…旋回ベアリング、27…メインフレーム、28…フロアフレーム、29…運転室、30…機器収納ハウス、31…エンジン収納ハウス、32…ステップ、33…鋼管杭、34…キャップロッド、41…表示システム、42…画像投影装置、43…操作レバー、44…接触センサ、45,46…圧力スイッチ、47…コントローラ、48…リモコンバルブ、49…コントロールバルブ、50…スピーカ、51…レーザー装置、51a…前方レーザー装置、51b…後方レーザー装置、51c…左側方レーザー装置、51d…右側方レーザー装置、52…旋回動作予告表示画像、53…右旋回動作予告表示画像、54…左旋回動作予告表示画像、55…走行動作予告表示画像、56…前進走行動作予告表示画像、57…後進走行動作予告表示画像、58…左前進走行動作予告表示画像、59…左回転走行動作予告表示画像