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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】パイプパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/04 20060101AFI20241016BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B65D85/04
B65D33/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021076947
(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公開番号】P2022170771
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】508321823
【氏名又は名称】株式会社イノアック住環境
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】西 佳彦
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-076770(JP,A)
【文献】特開2010-241439(JP,A)
【文献】特開2015-224079(JP,A)
【文献】特開2015-199534(JP,A)
【文献】特開2015-058952(JP,A)
【文献】米国特許第03700185(US,A)
【文献】登録実用新案第3226964(JP,U)
【文献】登録実用新案第3198403(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/04
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角形状の袋体に、樹脂製パイプを弾性変形させて巻回してなる環状巻回体が収容されているパイプパッケージであって、
前記袋体は、前記環状巻回体の中央部を横切る破断線を備え、前記破断線で破断されて取出口が開口すると、その取出口から前記樹脂製パイプを所望量ずつ引き延ばして取り出し可能となるものであり、
前記破断線の目印となる目印テープが、前記環状巻回体の中央部を横切りかつ前記破断線の延びる方向に延び、前記破断を妨げないように前記袋体に貼着されているパイプパッケージ
【請求項2】
角形状の袋体に、樹脂製パイプを弾性変形させて巻回してなる環状巻回体が収容されているパイプパッケージであって、
前記袋体における互いに対向する1対の対向部の一方の対向部に該対向部の中央部を横切る破断線を備え、
前記破断線の目印となる目印テープが、前記破断線に沿って延び、前記破断線に重ならないように前記一方の対向部の外面に貼着されているパイプパッケージ
【請求項3】
前記破断線は、直線状に延び、
前記目印テープは、前記袋体のうち前記破断線を挟んだ両側に貼着されている、請求項1又は2に記載のパイプパッケージ
【請求項4】
前記袋体のうち前記四角形の一辺から延長された袋余長部を有し、
前記袋余長部は、前記一辺を折返線にして折り返され、
前記折返線と平行に延びかつ無色透明又は前記袋体と同一色の封止用テープで、前記袋余長部の先端が前記袋体の外面に固定されている、請求項1から3の何れか1の請求項に記載のパイプパッケージ
【請求項5】
前記破断線及び前記目印テープは、前記折返線と交差する方向に延び、
前記目印テープ及び前記封止用テープは、前記袋体における互いに対向する1対の対向部の一方と他方とに分かれて配置されている、請求項4に記載のパイプパッケージ
【請求項6】
前記破断線は、ミシン目線である、請求項1から5の何れか1の請求項に記載のパイプパッケージ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パイプその他の線状体を収容する袋体と、袋体にパイプが収容されているパイプパッケージと、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、線状体を環状に巻回した状態で収容する袋体として、予め形成された破断線で破断されることで、線状体を所望量取り出すための取出口が形成されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-206388号公報(段落[0010]、[0011]、図1,2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の袋体に対して、破断線が見つけ難いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の第1態様は、パイプその他の線状体の環状巻回体が収容される四角形状の袋体であって、前記環状巻回体の中央部を横切る破断線を備え、前記破断線で破断されて取出口が開口すると、その取出口から前記線状体を所望量ずつ引き延ばして取り出し可能となる袋体であって、前記破断線の目印となる目印テープが、前記環状巻回体の中央部を横切りかつ前記破断線の延びる方向に延び、前記破断を妨げないように貼着されている袋体である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の第1実施形態の袋体の平面図
図2】余長部が折り返される前の平袋の斜視図
図3】環状巻回体が収容されて余長部が折り返されている平袋の断面図
図4】取出口から線状体が取り出されているときの袋体の平面図
図5】袋体の底面図
図6】ラベル付きの袋体の平面図
図7】線状体が収容された平袋の平面図
図8】目印テープが貼着された平袋の平面図
図9】第2実施形態の袋体の平面図
図10】袋体の底面図
図11】余長部が折り返される前の平袋の斜視図
図12】線状体が収容された平袋の平面図
図13】(A)他の実施形態の袋体の平面図、(B)他の実施形態の袋体の平面図
図14】(A)他の実施形態の袋体の平面図、(B)他の実施形態の袋体の平面図
図15】他の実施形態の袋体の平面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1には、本開示の第1実施形態の袋体10及びパッケージ100が示されている。袋体10は、パイプその他の線状体80を収容するものである。線状体80は、変形可能であり、袋体10には、環状に巻回された状態で収容される。線状体80としては、例えば、パイプ、ホース又はチューブ等のように、長尺の管状構造のもの等が挙げられる。また、線状体80は、管状構造を有していなくてもよく、例えばワイヤーであってもよいし、例えばゴム製等の紐やロープであってもよい。本実施形態では、線状体80は、例えば樹脂製のパイプである。パッケージ100は、袋体10に線状体80が環状に巻回されてなる環状巻回体81が収容されたものであり、例えば、線状体80としての樹脂製パイプが弾性変形して巻回されてなる環状巻回体81が、袋体10に収容されているパイプパッケージである。
【0008】
本実施形態の例では、袋体10は、平面視四角形状をなしている。袋体10は、環状巻回体81を入れるための挿入口14を一辺に有する四角形状の平袋10A(図2参照)が、その一辺寄りに位置する折返線19で、折り返されてなる(図3参照)。この折り返された部分は、袋体10(平袋10A)のうち環状巻回体81が収容される四角形状の収容部11に対して余った部分である余長部12となる。言い換えれば、余長部12は、収容部11の四角形の一辺から延長された部分であり、その一辺が折返線19になっている。
【0009】
平袋10Aは、例えば、インフレーション成形等により得られる樹脂製の扁平なチューブ状フィルム(いわゆる、ポリチューブ)からなり、このチューブ状フィルムの両端の開口のうち一端の開口がヒートシール部13により閉塞されてなる(図2参照)。平袋10Aのうち他端の開口は、上述の挿入口14になっている。そして、平袋10Aのうち挿入口14を含む余長部12が、袋体10(収容部11)のうち表裏の一方の面である第1面10F側に折り返され(図3参照)、第1面10Fに固定されることで、挿入口14が閉塞され、図1に示す四角形状の袋体10が形成されている。
【0010】
なお、環状巻回体81は、一般的に略円環状となるため、例えば、収容部11は、略正方形状になっていることが好ましい(図1参照)。このようにすれば、折返線19及びヒートシール部13と平行な横方向Yと、その直交方向である縦方向Tとの両方で、環状巻回体81のサイズを袋体10のサイズに合わせ易くすることが可能となり、袋体10内での環状巻回体81の位置をより安定させることが可能となる。また、本実施形態の袋体10は、余長部12が折り返される構成になっているので、折返線19の位置を調整して収容部11の形状を調整し易い。
【0011】
図1に示すように、余長部12は、袋体10の第1面10Fに、封止用テープ29により貼り合わされている。本実施形態の例では、余長部12のうち挿入口14が形成されている端辺は、横方向Yに延び、封止用テープ29は、余長部12と収容部11とにまたがって横方向Yに延びて折返線19と平行になっている。封止用テープ29は、このように直線状に配置され、袋体10における横方向Yの略全体に亘って延びている。
【0012】
封止用テープ29は、例えば、無色透明又は袋体10と同一色になっていることが好ましい。本実施形態の例では、袋体10を構成する平袋10Aの全体が無色透明となっていると共に、封止用テープ29も無色透明になっている。なお、平袋10Aは、有色透明又は半透明又は不透明になっていてもよい。また、例えば、平袋10Aは、封止用テープ29が貼着される部分の付近のみが、封止用テープ29と同一色になっていてもよい。
【0013】
図1に示すように、袋体10には、破断線20が形成されている。破断線20は、袋体10の他の部分に比べて破断が容易になっている箇所であり、本実施形態の例では、ミシン目線である。なお、破断線20は、例えば、ハーフカット線等であってもよい。
【0014】
破断線20は、袋体10に環状巻回体81が収容されたときに、平面視で環状巻回体81の中央部となる部分を横切るように形成されている。図4に示すように、破断線20で袋体10が破断されると、線状体80を取り出すための取出口18が開口する。これにより、袋体10では、取出口18から線状体80を所望量ずつ引き延ばして取り出すことが可能になっている。
【0015】
図1に示すように、破断線20は、本実施形態の例では、直線状に延び、例えば、折返線19と平行になっている。破断線20は、袋体10に環状巻回体81が収容されたときに、平面視で、環状巻回体81の内側となる領域を横断する長さになっていて、例えば、破断線20の両端部は環状巻回体81に重なる。本実施形態の例では、図1及び図2に示すように、破断線20は、袋体10の収容部11の中央部を横切るように設けられている。詳細には、破断線20は、収容部11を縦方向Tに略二等分する線上に配され、折返線19とヒートシール部13の間の略中央に配される。また、破断線20は、横方向Yでは、破断線20の両端が収容部11の両端部まで延びる長さになっている。従って、横方向Yで、袋体10内での環状巻回体81の位置がずれても、破断線20が環状巻回体81の中央部を横切るようになっている。
【0016】
図3に示すように、本実施形態の例では、破断線20は、袋体10の収容部11のうち、環状巻回体81を挟んで対向する第1対向部15(第1面10F側の部分)と第2対向部16との両方に形成されている。図5には、袋体10の外面のうち第1面10Fとは反対側(第2対向部16側)の第2面10Sが示されている。図5に示すように、本実施形態の例では、第2対向部16に形成された破断線20は、第1対向部15の破断線20と同様になっていて、第1対向部15と第2対向部16の対向方向で重なっている。なお、破断線20は、例えば、第1対向部15と第2対向部16のうち第1対向部15のみに形成されていてもよい。
【0017】
ここで、従来の袋体では、破断線20を破断して取出口18を形成する際に、作業者にとって破断線20が見つけ難いという問題があった。そのため、作業効率が悪くなるという問題がある。これに対し、本実施形態の袋体10には、破断線20の目印となる目印テープ30が貼着されている(図1参照)。目印テープ30は、袋体10に環状巻回体81が収容されたときに、環状巻回体81の中央部となる部分を横切るように配置されると共に、破断線20の延びる方向に延びている。また、目印テープ30は、破断線20の破断を妨げないように、破断線20上を避けて配置されている。本実施形態の例では、目印テープ30は、直線状に延在する破断線20に沿って直線状に延び、例えば、破断線20と略同じ長さになっている。また、目印テープ30は、破断線20と同様に、折返線19と平行に延びている。なお、目印テープ30は、破断線20に対して、折返線19側に(図1における上側に)配置されているが、ヒートシール部13側に(図1における下側に)配置されていてもよい。なお、目印テープ30の長さは、破断線20の長さと異なっていてもよい。
【0018】
本実施形態の例では、目印テープ30は、第1面10Fに貼着されている。従って、目印テープ30は、袋体10のうち余長部12と同じ面側に配置されている。なお、図6に示すように、袋体10のうち目印テープ30が貼着されている側の面に、破断線20が形成されているという情報(例えば、メッセージやイラスト等)が記載されていてもよい。同図の例では、この情報が記載されたラベル31が、袋体10の第1面10Fに貼着されている。このようにすれば、目印テープ30が破断線20の目印であることをより分かり易くすることができる。
【0019】
目印テープ30の色は、袋体10(特に目印テープ30が貼着される付近)の色とは異なっていることが好ましい。また、袋体10を、環状巻回体81が視認可能な構成とする場合、目印テープ30の色は、袋体10を通して視認される環状巻回体81の色とは異なっていることが好ましい。なお、袋体10を、環状巻回体81が視認可能な構成とする場合、袋体10の色は、環状巻回体81の色とは異なっていることが好ましい。
【0020】
なお、本開示において、破断線20、折返線19、目印テープ30及び封止用テープ29の配置関係について、「平行」であるとは、厳密に平行であることだけでなく、略平行であることも含む。
【0021】
本実施形態の袋体10は、例えば、以下のようにして製造される。まず、図2に示す平袋10Aが用意される。なお、平袋10Aには、予め破断線20を形成しておく。破断線20の形成は、チューブ状フィルムにヒートシール部13を形成した後に行ってもよいし、ヒートシール部13を形成する前に行ってもよい。また、例えば、破断線20としてのミシン目線は、チューブ状フィルムをトムソン刃等で打ち抜くことで形成してもよい。この場合、第1対向部15と第2対向部16の両方に、一度にミシン目線を形成することができる。なお、この場合、チューブ状フィルムを複数枚重ねて、それらをまとめて打ち抜き加工することで、複数枚のチューブ状フィルムにミシン目線を一度に形成することができる。
【0022】
次に、平袋10Aに、線状体80を環状に巻回した環状巻回体81を、挿入口14から収容する(図7参照)。なお、例えば、線状体80を環状に巻回された状態にし易いように、環状巻回体81の周方向の一部を結束バンド等で取り巻いておいてもよい。
【0023】
次に、図8に示すように、平袋10A(収容部11)の表裏の一方の面である第1面10Fに、目印テープ30を貼着する。目印テープ30は、破断線20に沿って直線状に貼着する。
【0024】
次に、余長部12が、折返線19で折返されて、封止用テープ29が貼着されることで第1面10Fに固定される(図1参照)。以上により、図1に示す袋体10及びパッケージ100が得られる。図6に示すように、ラベル31を第1面10Fに貼着してもよい。
【0025】
なお、目印テープ30の貼着は、環状巻回体81が平袋10Aに収容される前に行われてもよいし、封止用テープ29の貼着の後に行われてもよい。前者の場合、目印テープ30は、破断線20の形成前に、破断線20の形成予定箇所に沿って貼着されてもよい。目印テープ30と封止用テープ29は、袋体10の同じ第1面10Fに貼着されると共に、同じ方向に延びるように配置されるので、目印テープ30の貼着と封止用テープ29の貼着は、続けて行う方が、袋体10の製造作業の効率を良くすることが可能となる。
【0026】
本実施形態の袋体10によれば、例えば以下のような効果を奏することができる。本実施形態の袋体10では、破断線20の目印となる目印テープ30が設けられるので、破断線20を見つけ易くすることができる。さらに、破断線20と目印テープ30が、環状巻回体81の中央部を横切るように配置されるので、破断線20をより見つけ易くすることが可能となる。また、目印テープ30が無い場合、袋体10にしわが入ったり、袋体10に光が反射した場合等に、破断線20が視認し難くなるが、目印テープ30により、このような場合でも破断線20の場所を把握し易くすることが可能となる。また、袋体10を、環状巻回体81が視認可能となる構成とすれば、環状巻回体81の内側の中央部を目印テープ30が横切る配置となるので、デザイン性も良く、見栄えもいい。
【0027】
本実施形態では、目印テープ30を、破断線20に沿って貼着することで、袋体10のうち破断線20の周辺の強度を高めることが可能となる。従って、袋体10において、目印テープ30が設けられた部分に対して、破断線20が形成された部分の強度を相対的に弱めることが可能となり、破断線20での破断をより容易にすることが可能となる。これにより、線状体80の取出口18を形成し易くすることが可能となる。また、目印テープ30により破断線20の周辺の強度アップが可能となることで、破断線20での袋体10の破断時、又は、取出口18の形成後に、取出口18の周辺部分が破れて取出口18が過度に広がることを抑制できる。これにより、取出口18が広がり過ぎて、取出口18から環状巻回体81全体が外に出てしまうことや、袋体10が破けることを抑制可能となる。
【0028】
本実施形態の袋体10では、破断線20が直線状であるので、破断線20での袋体10の破断が容易になり、取出口18を容易に形成することが可能となる。ここで、従来の袋体として、破断線20が環状巻回体81に重なる環状に形成されているものがある。この構成では、取出口18が過剰に広がるという事態が生じ易く、開封した取出口18から環状巻回体81全体が外に出てしまうという事態が生じ易かった。このため、開封後のパッケージ100の運搬等の取り扱いがし難くなることがある。これに対して、本実施形態の袋体10では、破断線20が直線状であるので、上記従来の袋体に比べて、取出口18が過剰に広がることを抑制できる。これにより、環状巻回体81全体が取出口18から外に出ることを抑制でき、パッケージ100の運搬等の取り扱いを容易にすることが可能となる。
【0029】
また、破断線20が環状になっている従来の袋体の場合、破断線20で袋体を破断すると、環状の破断線20の内側部分が袋体から分離する分離片となるため、ゴミが増える等の問題が生じる。これに対し、本実施形態の袋体10では、破断線20が直線状になっているので、破断線20で袋体10を破断しても分離片が発生せず、ゴミが増えることがない。また、この従来の袋体では、上記分離片のように袋体から除去される部分があるので、取出口18の開口面積が大きくなると共に取出口18が常に開きっぱなしになる。そのため、袋体に取出口18から埃が入り易くなる等して、線状体80の保管状態が悪くなり易い。これに対し、本実施形態の袋体10では、破断線20が直線状であるので、線状体80を取り出す必要がないとき(例えば、パッケージ100の保管時や運搬時)等に、取出口18の開口面積を小さくしたり、取出口18を閉じておいたりすることが可能となる。これにより、例えば、線状体80を取り出すときにだけ取出口18を開くようにすることが可能となり、線状体80の保管状態を向上させることが可能となる。また、本実施形態では、破断線20が直線状であることで、取出口18の形成後の分離片が生じないため、取出口18の形成後も目印テープ30が袋体10に残る。
【0030】
本実施形態の袋体10では、袋体10の余長部12が切り取られずに折り返されて外面に固定されるので、袋体10を補強することができる。ここで、余長部12を固定する封止用テープ29を、無色透明又は袋体の全体と同一色とすることで、破断線20の目印となる目印テープ30と間違え難くすることが可能となる。また、本実施形態の袋体10によれば、環状巻回体81の大きさに合わせて折返線19の位置を任意に変更することができるので、袋体10内で環状巻回体81を安定させることが可能となる。
【0031】
本実施形態の袋体10では、目印テープ30が折返線19と平行に延びているので、目印テープ30を封止用テープ29と同じ方向に延びるように貼着することができ、目印テープ30と封止用テープ29の貼着作業を効率良くすることが可能となる。
【0032】
また、目印テープ30と封止用テープ29が、袋体10の同じ面側に配置されるので、目印テープ30と封止用テープ29の両方の貼着作業を容易に行うことができる。また、このように目印テープ30と封止用テープ29が、袋体10の同じ面側に配置される場合、余長部12の長さを調整することで、目印テープ30で封止用テープ29を兼ねることもできる。これにより、作業効率の向上を図ることも可能となる。
【0033】
また、本実施形態では、破断線20が袋体10の両面側に形成されるので、目印テープ30を、破断線20が形成されていない外面に貼り付けようとするミスを減らすことが可能となる。これにより、袋体10の製造効率の向上を図ることが可能となる。
【0034】
本実施形態のパッケージ100のように、弾性変形して巻回されている線状体80が収容される場合でも、目印テープ30により取出口18の周辺を補強することができるので、線状体80の弾性復元等により取出口18が過剰に広がることを抑制可能となる。
【0035】
[第2実施形態]
図9には、第2実施形態の袋体10及びパッケージ100が示されている。本実施形態では、上記第1実施形態に対して、余長部12及び封止用テープ29の配置が異なっていると共に、破断線20及び目印テープ30の配置も異なっている。具体的には、図10に示すように、余長部12は、第2面10S側に折り返されていて、第2面10Sに封止用テープ29により固定されている。また、図9及び図10に示すように、破断線20は、折返線19と交差する方向(詳細には、縦方向T)に直線状に延びている。そして、目印テープ30は、縦方向Tに直線状に延び、破断線20に沿って第1面10Fに貼着されている。
【0036】
なお、本実施形態においても、破断線20は、第1対向部15及び第2対向部16の互いに重なる位置に形成されているが、例えば、第1対向部15にのみ形成されていてもよい。破断線20は、収容部11を横方向Yに略二等分する線上に設けられ、縦方向Tにおいて、破断線20の両端は、収容部11の両端部にまで延びている。
【0037】
図9の例では、目印テープ30は、第1面10Fにおいて破断線20の右側に配置されているが、左側に配置されていてもよい。
【0038】
本実施形態の袋体10及びパッケージ100のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。また、本実施形態の袋体10及びパッケージ100は、上記第1実施形態と同様にして製造することができる。なお、平袋10Aとしては、図11に示すように、縦方向Tに破断線20が形成されたものを用意し、その平袋10Aに環状巻回体81を収容すればよい(図12参照)。製造方法のその他の点については、上記第1実施形態と同様である。
【0039】
本実施形態の袋体10及びパッケージ100によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。本実施形態では、目印テープ30と封止用テープ29が袋体10の表裏の一方側と他方側に分かれて配置されているので、目印テープ30を封止用テープ29と区別し易くなり、これらを間違え難くなる。また、余長部12が第2面10S側に折り返されるので、余長部12が必要以上に長くなった平袋10Aを用いても、第1面10F側の破断線20が余長部12に覆われること防ぐことができる。
【0040】
[他の実施形態]
(1)上記第1実施形態において、余長部12が、目印テープ30と反対側(第2面10S側)に折り返されて、第2面10Sに封止用テープ29で貼り付けられていてもよい。
【0041】
(2)上記実施形態において、第1対向部15と第2対向部16における破断線20同士が、ずれた位置に設けられていてもよい。
【0042】
(3)図13(A)及び図13(B)に示すように、目印テープ30が、破断線20を挟んだ両側に貼着されていてもよい。例えば、破断線20が直線状であり、1対の目印テープ30が、破断線20に沿って互いに平行に配置されていてもよい。図13(A)の例では、目印テープ30は第1実施形態と同様に横方向Yに延びている。図13(B)の例では、目印テープ30は第2実施形態と同様に縦方向Tに延びている。このように、破断線20の両側に目印テープ30が配置されることで、破断線20の位置をより把握させ易くすることが可能となると共に、取出口18周辺をより一層補強することが可能となる。
【0043】
(4)破断線20が直線状でなくてもよい。この場合でも、破断線20は、袋体10に収容された環状巻回体81の中央部を横切るように形成されていることが好ましい。図14(A)の例では、破断線20がV字状に形成されていて、目印テープ30も破断線20に沿ってV字状に配置されている。図14(B)の例では、破断線20がT字状に形成されていて、目印テープ30もT字状に配置されている。目印テープ30は、破断線20上に重ならないように配置され、破断線20での袋体10の破断を妨げないようになっている。図15の例では、破断線20が波形に形成されていて、破断線20の目印となる目印テープ30が、破断線20の延びる方向に直線状に延びている。このように、破断線20が直線状でない場合でも、直線状の目印テープ30を破断線20に沿うように配置することで、破断線20を把握させ易くすることが可能となる。また、破断線20は、袋体10の略対角線上に延びる直線であってもよいし、十字状であってもよい。
【0044】
(5)上記実施形態において、平袋10Aに、折り返される余長部12を設けずに、挿入口14をヒートシールしてもよい。また、平袋10Aを、2枚重ねになった1対のフィルムの縁部を4方シールして形成してもよい。また、平袋10Aを、1枚のフィルムを折返して、その折返部以外の縁部を3方シールして形成してもよい。また、平袋10Aを、2枚重ねになった1対のフィルムの縁部を2方シールして、残った2辺部を折返して(例えば、それぞれ縦方向と横方向とに折返して)形成してもよい。
【0045】
(6)上記実施形態では、袋体10が、平袋10Aで構成されていたが、マチを有する袋で構成されていてもよい。この場合、マチの幅は、ホースの巻き高さに応じて決めればよい。
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0046】
例えば、以下の特徴1~8は、「パイプその他の線状体を収容する袋体と、袋体にパイプが収容されているパイプパッケージと」に関し、「従来から、線状体を環状に巻回した状態で収容する袋体として、予め形成された破断線で破断されることで、線状体を所望量取り出すための取出口が形成されるものが知られている(例えば、特開2001-206388号公報(段落[0010]、[0011]、図1,2等)参照)。」という背景技術について、「上述した従来の袋体に対して、破断線が見つけ難いという問題があった。」という課題をもってなされたものと考えることができる。
【0047】
[特徴1]
パイプその他の線状体の環状巻回体が収容される四角形状の袋体であって、
前記環状巻回体の中央部を横切る破断線を備え、前記破断線で破断されて取出口が開口すると、その取出口から前記線状体を所望量ずつ引き延ばして取り出し可能となる袋体において、
前記破断線の目印となる目印テープが、前記環状巻回体の中央部を横切りかつ前記破断線の延びる方向に延び、前記破断を妨げないように貼着されている袋体。
【0048】
特徴1では、破断線の目印となる目印テープが設けられるので、破断線を見つけ易くすることができる。
【0049】
[特徴2]
前記破断線は、直線状に延び、
前記目印テープは、前記破断線を挟んだ両側に貼着されている、特徴1に記載の袋体。
【0050】
特徴2では、目印テープが、破断線を挟んだ両側に貼着されるので、破断線の位置をより把握させ易くすることが可能となる。また、破断線が直線であるので、破断線での袋体の破断が容易になり、取出口を容易に形成することが可能となる。また、直線状の破断線の両側に目印テープが貼着されることで、取出口周辺が補強される。
【0051】
[特徴3]
袋体のうち前記四角形の一辺から延長された袋余長部(余長部12)を有し、
前記袋余長部は、前記一辺を折返線にして折り返され、
前記折返線と平行に延びかつ無色透明又は前記袋体と同一色の封止用テープで、前記袋余長部の先端が前記袋体の外面に固定されている、特徴1又は2に記載の袋体。
【0052】
特徴3では、袋体の袋余長部が切り取られずに折り返されて外面に固定されるので、袋体を補強することができる。また、封止用テープは、無色透明又は袋体と同一色であるので、破断線の目印となる目印テープと間違えにくくすることが可能となる。
【0053】
[特徴4]
前記破断線及び前記目印テープは、前記折返線と平行に延びている、特徴3に記載の袋体。
【0054】
特徴4では、目印テープが折返線と平行に延びているので、目印テープを封止用テープと同じ方向に延びるように貼着することが可能となり、目印テープと封止用テープの貼着作業を効率良くすることが可能となる。
【0055】
[特徴5]
前記目印テープ及び前記封止用テープは、前記袋体のうち前記環状巻回体を挟んで対向する1対の対向部の同じ側の外面に配置されている、特徴4に記載の袋体。
【0056】
特徴5では、目印テープと封止用テープの両方の貼着作業を容易に行うことができる。
【0057】
[特徴6]
前記破断線及び前記目印テープは、前記折返線と交差する方向に延び、
前記目印テープ及び前記封止用テープは、前記袋体のうち前記環状巻回体を挟んで対向する1対の対向部の一方と他方とに分かれて配置されている、特徴3に記載の袋体。
【0058】
特徴6では、目印テープと封止用テープが袋体の一方側と他方側に分かれて配置されているので、目印テープを封止用テープと区別し易くなり、間違え難くなる。また、袋余長部を必要以上に長く用意した場合でも、破断線が袋余長部に覆われること防ぐことが可能となる。
【0059】
[特徴7]
前記破断線は、前記袋体のうち前記環状巻回体を挟んで対向する1対の対向部に形成されたミシン目線である、特徴1から6の何れか1の特徴に記載の袋体。
【0060】
特徴7では、破断線が袋体の両側に形成されるので、目印テープを破断線の形成されていない外面に貼り付けようとするミスを減らすことが可能となる。本特徴によれば、袋体の製造効率の向上を図ることが可能となる。
【0061】
[特徴8]
特徴1から7の何れか1の特徴に記載の袋体に、線状体としての樹脂製パイプを弾性変形させて巻回してなる環状巻回体が収容されているパイプパッケージ(パッケージ100)。
【0062】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0063】
10 袋体
11 収容部
12 余長部
15 第1対向部
16 第2対向部
18 取出口
19 折返線
20 破断線
29 封止用テープ
30 目印テープ
80 線状体
81 環状巻回体
100 パッケージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15