(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ブリッジ解除装置およびブリッジを解除する方法
(51)【国際特許分類】
B65D 88/64 20060101AFI20241016BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20241016BHJP
F23K 3/20 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B65D88/64 H
F23G5/44 C
F23K3/20
(21)【出願番号】P 2021093591
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】北井 豪太
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-105468(JP,A)
【文献】特開昭56-023476(JP,A)
【文献】特開平07-233930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/64
F23G 5/44
F23K 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみが投入されるホッパまたはシュート部内のブリッジを解除するブリッジ解除装置であって、
前記ホッパの内部に向けて進退可能に構成されるロッドと、
前記ロッドの外周に沿って配置される複数の面状部材と、を備えており、
前記複数の面状部材の各々は、上下方向に傾動可能に前記ロッドに取り付けられた基端を有
し、
前記ブリッジ解除装置は、さらに、
前記ロッドが挿通される開口を有し、前記ロッドに対して上下動可能な環状のヘッド部であって、前記複数の面状部材に連結部材を介して取り付けられる、ヘッド部と、
前記ヘッド部の爪受けに係止可能な爪を有し、上下方向に傾動可能に前記ロッドに固定される係止アームと、
を備える、
ブリッジ解除装置。
【請求項2】
前記複数の面状部材は、前記ホッパまたはシュート部内のごみに力を加える作用面を有する、請求項1に記載のブリッジ解除装置。
【請求項3】
前記係止アームが、前記ロッドに回転可能に取り付けられた支軸と、前記支軸を介して連結される第1のアームと第2のアームを含み、前記第1のアームが前記爪を有し、
前記第2のアームに押下げ力が加えられることにより、前記爪が持ち上げられて前記爪受けに対する係止が解除されるように構成される、請求項
2に記載のブリッジ解除装置。
【請求項4】
前記押下げ力を加える方向にばね力が付勢された係止解除部材を備える、請求項
3に記載のブリッジ解除装置。
【請求項5】
前記係止解除部材の基端に、回転可能な支軸が設けられている、請求項
4に記載のブリ
ッジ解除装置。
【請求項6】
前記ロッドは、前記ヘッド部の下方で前記ロッドに固定されたばね受けを有しており、前記ばね受けと前記ヘッド部の間にばねが配置される、請求項
1~5のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
【請求項7】
前記ロッドは、前記ヘッド部の最上位置を規定する停止部を有する、請求項
1~6のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
【請求項8】
前記複数の面状部材の基端に水平方向の支軸が設けられており、前記支軸は、前記ロッドに回転可能に取り付けられている、請求項1~
7のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
【請求項9】
前記複数の面状部材の傾動を許容するように、前記ロッドの周方向において、前記複数の面状部材の間にクリアランスが設定されている、請求項1~
8のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
【請求項10】
前記クリアランスが前記面状部材の長さ方向に沿って実質的に一定である、請求項
9に記載のブリッジ解除装置。
【請求項11】
前記クリアランスが前記面状部材の長さ方向外側に向けて増加する、請求項
9に記載のブリッジ解除装置。
【請求項12】
前記複数の面状部材の各々は、先端縁部に切り欠きを有している、請求項
10または11に記載のブリッジ解除装置。
【請求項13】
前記ロッドを部分的に受け入れ、前記ホッパに固定可能に構成される案内管を備える、請求項1~
12のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
【請求項14】
前記ロッドを駆動する駆動機構を備える、請求項1~
13のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
【請求項15】
前記駆動機構は、電動シリンダー装置を含み、前記電動シリンダー装置は、前記ロッドの前進限位置、一時停止位置及び後退限位置をそれぞれ検知する前進限リミットスイッチ、一時停止リミットスイッチ及び後退限リミットスイッチを有する、請求項
14に記載のブリッジ解除装置。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれかに記載のブリッジ解除装置を少なくとも1台備える、ごみ焼却プラント。
【請求項17】
ごみが投入されるホッパまたはシュート部内のブリッジを解除する方法であって、
電動シリンダー装置に連結されたロッドを用意する工程であって、前記ロッドは、前記ロッドの外周に沿って配置され、上下方向に傾動可能に前記ロッドに取り付けられた基端を有する複数の面状部材を有している、工程と、
前記ロッドを後退限位置に配置する工程であって、前記後退限位置において、前記複数の面状部材が上方に傾動した初期位置に保持される、工程と、
前記ホッパ内のごみの量が所定値に達すると、前記電動シリンダー装置を起動して、前記ロッドを前記ホッパの内部に向けて前進させる工程と、
前記ロッドを前記後退限位置まで後退させる工程と、
を備え、
前記後退させる工程は、前記複数の面状部材を、前記初期位置から下方に傾動させることを含む、方法。
【請求項18】
前記前進させる工程は、前記電動シリンダー装置の電流値を監視することを含み、
前記電動シリンダー装置の電流値が上昇傾向から下降傾向に変化したとき、ブリッジの位置が特定される、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記後退させる工程は、前記電動シリンダー装置の電流値が上昇傾向から下降傾向に変化したとき、または、前記ロッドが前進限位置に到達したときに開始される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記後退させる工程は、前記ロッドを一時停止させると共に、前記ホッパの内部のごみの量を測定することを含む、請求項
17~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記ホッパに複数の前記ロッドが配置されており、
前記後退させる工程は、前記ごみの量が所定値を下回らないときに、次に前進させるロッドを決定することを含む、請求項
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却プラントにおけるブリッジ解除装置およびブリッジを解除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却プラントでは、各家庭または施設等から収集された雑多なごみが、ごみピットに受け入れられる。ごみピット内のごみは、ごみの質または性状が均一化されるようにごみクレーンによって攪拌され、その後、ごみ投入ホッパに投入される。ごみは、ごみ投入ホッパ及びシュート部を通り、焼却炉に供給される。シュート部の下部に、給じん装置が設置されている。給じん装置は、シュート部に集められたごみを焼却炉内に押し出すように、定期的に動作する。これにより、ごみ投入ホッパ及びシュート部内のごみは、定期的に減少する。焼却炉内で、ごみは完全燃焼される。
【0003】
昨今、環境問題が重視され、ごみの減量、リサイクル、分別等についての住民等の意識は高まりつつある。また、ごみ焼却プラントにおいても、焼却処理に適さないごみがごみピット内に投入されないよう、作業員による監視が行われている。しかし、雑多なごみの中には、監視を潜り抜けた予期せぬ弊害的なごみ(例えば、ホッパへの投入基準を超える大型ごみ等)が含まれる場合があり、これらはホッパまたはシュート部内でごみの圧密状態を生じさせる。この事象は、ブリッジと呼ばれ、ホッパまたはシュート部内でごみの詰まりを発生させ、焼却炉内へのごみの供給を妨げる原因となる。ごみが安定して焼却炉内に供給されないと、焼却炉の定格処理量を満たすことができず、公害規制を満足した完全燃焼を行うことができなくなる。
【0004】
従来、ホッパ内の定位置にブリッジ解除装置を設置することにより、ごみの詰まりを解消することが提案されている。例えば、特許文献1は、ホッパ内に設けられた開閉可能なゲートを設けることを記載している。ブリッジが発生すると、ゲートによって、ホッパの排出口を閉鎖すると共にごみを圧縮する。
【0005】
また、特許文献2は、ホッパに設けられた駆動機によって動作する押下体と押上体を記載している。押下体により、ごみに下方の圧力を加えてそのまま下方に排出する。また、押上体により、ごみをホッパの壁に押し付けて圧縮した後、下方に落下させる。
【0006】
特許文献3は、ホッパの側壁の一部を形成する可動板を設け、ブリッジ発生時にごみを可動板で圧縮して落下させるブリッジ解消装置を記載する。また、特許文献4は、上下変位する伸縮軸を備えるブリッジ除去装置を記載する。特許文献4は、螺旋条付きの伸縮軸を回転させることによりブリッジを軟化させること、または、伸縮軸の先端に円板を設け、円板によってブリッジを強制的に押し下げることを記載している。
【0007】
しかし、ただでさえ圧密状態になり易いごみ投入ホッパ内においては、強制的にごみを押し込んだり圧縮したりすることによって、圧密状態が更に助長される可能性がある。また、ごみの圧密状態の助長は、リチウムイオン電池等に起因する火災等の二次災害の発生の要因となり得る。また、従来技術では、ホッパ内部のブリッジの発生位置を正確に把握することは難しい。
【0008】
圧密状態が助長されて装置によるブリッジ解除ができない場合は、作業者の人力による押し込み作業等が必要になる。しかし、人力作業は、女性や高齢者にとって大きな負担である。一方、社会情勢において女性の雇用とその地位向上は、企業にとって重要な命題で
あり、廃棄物焼却施設においても、その動向は同様である。ダイオキシン類対策特別措置法の施行等、近年は、廃棄物処理に関する作業環境の整備が進んでいる。このような状況の中、廃棄物焼却施設においても、従来は男性の作業者がほとんどであったところ、女性や高齢者の雇用が増えている。従って、男性従事者に対する女性や高齢者の体力差に影響されないように作業環境及び設備を構築することも、廃棄物焼却施設における重要な命題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平9-112867号公報
【文献】特許第3921403号
【文献】特公昭52-31110号公報
【文献】特公昭57-3544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記を鑑み、本発明の一実施形態は、人力に頼ることなく、ブリッジを容易に解除することができるブリッジ解除装置及び方法を提供することを目的とする。また、本発明の一実施形態によれば、ブリッジを効率的に解除することができるブリッジ解除装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ごみが投入されるホッパまたはシュート部内のブリッジを解除するブリッジ解除装置であって、ホッパの内部に向けて進退可能に構成されるロッドと、ロッドの外周に沿って配置される複数の面状部材と、を備えており、複数の面状部材の各々は、上下方向に傾動可能にロッドに取り付けられた基端を有する、ブリッジ解除装置が提供される。
【0012】
また、本発明の一実施形態によれば、ごみが投入されるホッパまたはシュート部内のブリッジを解除する方法であって、電動シリンダー装置に連結されたロッドを用意する工程であって、ロッドは、ロッドの外周に沿って配置され、上下方向に傾動可能にロッドに取り付けられた基端を有する複数の面状部材を有している、工程と、ロッドを後退限位置に配置する工程であって、後退限位置において、複数の面状部材が上方に傾動した初期位置に保持される、工程と、ホッパ内のごみの量が所定値に達すると、電動シリンダー装置を起動して、ロッドをホッパの内部に向けて前進させる工程と、ロッドを後退限位置まで後退させる工程と、を備え、後退させる工程は、複数の面状部材を、初期位置から下方に傾動させることを含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態が適用可能なごみ焼却プラントのごみ投入部を概略的に説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態によるブリッジ解除装置の一例を概略的に示す図である。
【
図3】ワイヤの面状部材への取り付け方法の一例を示す図である。
【
図4】ブリッジ解除装置の配置例を示す、ホッパの側断面図である。
【
図5】ブリッジ解除装置の配置例を示す、ホッパの後面図である。
【
図6】ブリッジ解除装置の動作工程を説明する図であり、ロッドの前進ストロークを示す図である。
【
図7】ブリッジ解除装置の動作工程を説明する図であり、ロッドの後退ストロークを示す図である。
【
図8】ブリッジ解除装置の面状部材の構成例を示す図である。
【
図9】ブリッジ解除装置の面状部材の構成例を示す図である。
【
図10】ブリッジ解除装置の面状部材の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図面に示される各構成要素は、必ずしも実際の縮尺通りには示されていない。理解の容易のため、構成要素のうちの一部の寸法が、他の構成要素に対して誇張して示される場合がある。
【0015】
図1は、本発明の実施形態が適用可能なごみ焼却プラント10のごみ投入部を示す概略図である。
図1に示すように、ごみ焼却プラント10は、プラットホーム11と、ごみピット12と、ごみクレーン13と、焼却炉14を含む。
【0016】
搬送車両に積載された状態で搬入されるごみは、プラットホーム11からごみピット12へ投入され、ごみピット12内で貯留されごみクレーン13によって攪拌された後、ごみクレーン13によってホッパ15へ投入される。投入されたごみは、重力によりホッパ15の内壁面に沿って下方へ案内され、ホッパ15の下部に連結されたシュート部16に集められる。シュート部16には、集められたごみを定期的に焼却炉14内に押し出すための給じん装置17が配置されている。ホッパ15に投入されるごみには、例えば、ホッパ15への投入基準を超える大型ごみ等、ホッパ15またはシュート部16内で詰まり(換言すれば、圧密状態)を生じさせる弊害的なごみが含まれる場合がある。ホッパ15またはシュート部16内の詰まりは、ブリッジと呼ばれ、焼却炉14内へのごみの供給を妨げる原因となる。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態によるブリッジ解除装置20の構成例を概略的に示す図である。図示の例では、ブリッジ解除装置20は、鉛直方向に直線状に配置されるロッド22を備える。ロッド22の基端(
図2では、上端)は、駆動機構(例えば、電動シリンダー装置24のピストン部)に連結されている。ロッド22は、ホッパ15の内部に向けて前進または後退するように往復動可能に構成されている。
【0018】
ロッド22は、中空であってもよいし、中実であってもよい。ロッド22の材質は、鋼、ゴム、プラスチック等であってよく、硬質であってもよいし、湾曲可能であるように可撓性を有していてもよい。また、ロッド22は実質的に外形が円形の断面形状を有する丸形ロッドでもよいが、実質的に外形が矩形の断面形状を有する角形ロッドでもよい。角形ロッドの場合、後述する面状部材28の取り付けを比較的容易に行うことができる。
【0019】
1つのホッパ15に対して異なる位置に、複数のブリッジ解除装置20が配置されてよく、ブリッジ解除装置20の数は限定されない。複数のブリッジ解除装置20を配置することにより、平面的に広範囲にわたってブリッジ解除を行うことができる。
【0020】
ブリッジ解除装置20は、ロッド22に取り付けられた複数の面状部材28を備えている。面状部材28は、ホッパ15内のごみに力を加えることができる作用面28a、28bを有する。下側の作用面28aは、ホッパ15内のごみに押下げ力を加えることができ、上側の作用面28bは、ホッパ15内のごみを押し上げる力を加えることができる。面状部材28は、ロッド22の周方向において、互いの間にクリアランス(換言すれば、間隙)を有するように配置される。なお、面状部材28の具体的形状は、
図8~
図10に参照して、後述する。
【0021】
なお、
図2では、複数の面状部材28は、ロッド22の先端に取り付けられている。しかし、面状部材28は、必ずしもロッド22の先端に取り付けられていなくてもよく、ロッド22の長さ方向中央より下方の位置に取り付けられていればよい。
【0022】
複数の面状部材28の各々は、上下方向に傾動可能にロッド22に取り付けられる基端を有している。具体的には、面状部材28の基端に水平方向の支軸30が設けられており、支軸30は、従来既知の方法によって、ロッド22に回転可能に取り付けることができる。
【0023】
ブリッジ解除装置20は、さらに、環状のヘッド部32を備えることができる。ヘッド部32は、ロッド22が挿通される開口32aを有し、ロッド22に対して上下方向に移動可能である。ヘッド部32は、長尺の連結部材を介して、複数の面状部材28に連結されている。本実施形態では、連結部材として、ワイヤ34が使用されている。ワイヤ34の下端が面状部材28に取り付けられ、上端がヘッド部32の下面32bに固定されることができる。
【0024】
図3は、ワイヤ34の面状部材28への取り付け方法の一例を示す図であり、後述する
図8~
図10のB―B線断面図である。
図3では、面状部材28の上面に固定用突起28cが設けられ、固定用突起28cに取り付けられた回転可能な支軸31にワイヤ34が固定されている。しかし、ワイヤ34の面状部材28への取り付け方法は、図示のものに限られない。また、ワイヤ34に代えて、長尺の板材またはチェーン等を連結部材として使用することができる。
【0025】
再び
図2を参照すると、ヘッド部32は、側面に突出する爪受け36を有する。ブリッジ解除装置20は、上下方向に傾動可能にロッド22に固定される係止アーム38を備える。具体的には、係止アーム38は、ロッド22に回転可能に取り付けられた支軸40を介して連結される第1のアーム41と第2のアーム42を含む。第1のアーム41の先端に、爪受け36に係止可能なフック状の爪41aが形成されている。こうして、第2のアーム42に押下げ力が加えられると、係止アーム38が回動し、第1のアーム41の爪41aが持ち上げられて、ヘッド部32と係止アーム38との係止が解除されるように構成されている。
【0026】
また、ブリッジ解除装置20は、ヘッド部32と係止アーム38との係止を解除するための係止解除部材44を備えることができる。係止解除部材44は、係止アーム38の第2のアーム42に押下げ力を加える方向にばね(図示の例では、コイルばね)46によってばね付勢されている。係止解除部材44は、第2のアーム42に十分な押下げ力を加えるように第2のアーム42に接触可能である限り、その具体的形状は特に限られない。適宜の壁面48に、固定ブラケット50を介して回転可能な支軸52が取り付けられ、支軸52に、係止解除部材44の基端が取り付けられている。ばね46は、壁面48と係止解除部材44との間に固定される。しかし、他の実施形態では、ばね46は、固定ブラケット50と係止解除部材44との間に固定されてもよい。
【0027】
また、他の実施形態では、ヘッド部32と係止アーム38との係止解除は、作業者の人力による作業であってもよい。この場合、係止解除部材44は、省略することができる。
【0028】
また、ロッド22は、ヘッド部32の下方の位置にばね受け54を有している。ばね受け54は、ロッド22の外周面に固定されている。ヘッド部32の下面32bとばね受け54との間にばね(図示の例では、コイルばね)56が配置されている。ばね56により、ヘッド部32は、ロッド22の基端側(
図2の上側)に付勢されている。ロッド22は、さらに、ヘッド部32の最上位置を規定する停止部58を有している。ヘッド部32の
最上位置は、爪受け36が爪41aと係止可能な位置に設定することができる。
【0029】
しかし、他の実施形態では、ばね56及びばね受け54を省略することができる。この場合、ヘッド部32を作業者の人力により引き上げることができるように、ヘッド部32に適宜の把持部を設けることができる。
【0030】
ブリッジ解除装置20は、ロッド22を駆動する駆動機構として、シリンダー装置またはウィンチ機構等を用いることができる。本実施形態では、一例として、ブリッジ解除装置20は、ロッド22を駆動する電動シリンダー装置24(具体的な構成は図示を省略されている)を備えている。電動シリンダー装置24は、ピストン部の前進限位置、一時停止位置及び後退限位置(以下、それぞれ、電動シリンダー装置24の前進限位置、一時停止位置及び後退限位置と称する)をそれぞれ検知する前進限リミットスイッチ、一時停止リミットスイッチ及び後退限リミットスイッチを有することができる。
【0031】
図4及び
図5は、
図1に示すごみ焼却プラント10内のホッパ15に対するブリッジ解除装置20の配置例を示す。
図4は、ホッパ15の側断面図であり、
図5は、後面図(
図4の右側から見た図)である。なお、
図4及び
図5では、
図2に参照して説明したブリッジ解除装置20の具体的構成は、図示を省略されている。
図4に示すように、ホッパ15は、焼却炉14側(
図4の右側;
図1を参照)で実質的に鉛直方向に延びる後壁15aと、ごみピット12側(
図4の左側)で傾斜して延びる前壁15bを有する。傾斜する前壁15bにより、ホッパ15の下部の通路は後壁15a側で細くなり、シュート部16につながっている。例えば
図4に示すように、ホッパ15の通路の狭小部またはその近傍で、ごみ70の詰まり、すなわち、ブリッジが発生し易い。ブリッジが発生すると、ブリッジとシュート部16(
図1参照)の底部との間に、
図4に示されるような空洞部72が形成され得る。
【0032】
図5に示すように、本実施形態では、5台のブリッジ解除装置20が配置されており、5本のロッド22がそれぞれ、個別の電動シリンダー装置24に連結されている。5本のロッド22は、異なる配向で設置されており、
図4の側断面図では、便宜上、向き及び長さの異なる2本のロッド22a、22bを備えるブリッジ解除装置20a、20bのみが示されている。電動シリンダー装置24は、ホッパ15の周囲に設置された構築物の壁面60等に、または、ホッパ15の壁面に必要に応じてブラケットを介して、任意の位置で固定することができる。
【0033】
ブリッジ解除装置20は、ロッド22を部分的に受け入れ、ロッド22の進退を案内する案内管62を備えることができる。
図4に示すように、ホッパ15の壁面に開口(符号省略)を設け、当該開口を通してロッド22をホッパ15内に案内できるように、案内管62をホッパ15に取り付けることができる。案内管62は、硬質の鋼製であってよく、鉛直方向または傾斜した向きで配置される。案内管62の向き(換言すれば、設置角度)は、ホッパ15に取り付けられる位置によって適宜決定することができる。
【0034】
図4では、ブリッジ解除装置20aの案内管62aが、ホッパ15の上壁15c(後述するレベルセンサー64が取り付けられている)に形成された開口に鉛直方向に固定されており、当該開口を通じて、案内管62aの一部がホッパ15の内側に延びている。これに対し、ブリッジ解除装置20bの案内管62bは、全体に、ホッパ15の外側に配置されている。案内管62bは、ホッパ15の後壁15aに形成された開口に、鉛直方向に対して傾斜した向きで固定されている。しかし、案内管62bは、案内管62aと同様に、部分的にホッパ15の内側に延びていてもよい。また、案内管62aは、案内管62bと同様に、全体に、ホッパ15の外側に配置されていてもよい。電動シリンダー装置24及び案内管62の設置位置に応じて、ロッド22を硬質材料で形成するか可撓性材料で形成
するかを選択することができる。例えば、ブリッジ解除装置20bのように、電動シリンダー装置24が、鉛直方向に進退する向きで設置されており、案内管62bが傾斜している場合には、ロッド22bが湾曲可能であるように、可撓性のロッド22bを使用することができる。
【0035】
複数のブリッジ解除装置20は、任意の位置に配置することができるが、ごみクレーン13(
図1参照)の干渉しない後壁15aに近い側に配置することが好ましい。例えば
図5の後面図に示すように、複数のブリッジ解除装置20を、横方向に均等な間隔をおいて配置することができる。
【0036】
なお、電動シリンダー装置24をホッパ15の壁面に固定した場合には、電動シリンダー装置24の前進ストロークによりロッド22が後退し、後退ストロークによりロッド22が前進するように、ロッド22を電動シリンダー装置24と並列する向きで配置し、ロッド22の上端と電動シリンダー装置24のピストン部を適宜の接続部材で固定することができる。
【0037】
図6及び
図7は、本実施形態によるブリッジ解除装置20を用いたブリッジ解除方法の一例を示す図である。
【0038】
図示の例では、ロッド22の駆動機構として、電動シリンダー装置24(具体的な構成は図示を省略されている)が使用されており、ロッド22の上端は電動シリンダー装置24のピストン部に連結されている。
図6(A)~(D)は、電動シリンダー装置24の前進ストローク中の各工程を示し、
図7(A)~(D)は、後退ストローク中の各工程を示す。なお、電動シリンダー装置24が後退限位置にあるとき、ロッド22も後退限位置にあり、電動シリンダー装置24が前進限位置にあるとき、ロッド22も前進限位置にある。
【0039】
また、一例として、係止解除部材44は、ホッパ15の壁面(本例では、後壁15aの内面)に固定されたブラケット50に、支軸52を介して取り付けられた板状または棒状部材の形態を有している。係止解除部材44は、ホッパ15の壁面との間に固定されるばね46によって下方(すなわち、係止アーム38の第2のアーム42に押下げ力を加える方向)に付勢されている。
【0040】
図1に示されるように、ホッパ15に投入されたごみは、シュート部16に集められ、給じん装置17によって定期的に焼却炉14に押し出される。これにより、ホッパ15及びシュート部16内のごみは定期的に減少していく。ホッパ15内のごみの量(具体的には、ごみの高さ)は、一例としてホッパ15の上壁15cに取り付けられる、レベルセンサー64によって監視されている。レベルセンサー64は、例えばレーザ式レベルセンサーであってよい。
【0041】
ブリッジ解除装置20の起動前、電動シリンダー装置24は後退限位置にあり、このとき、ロッド22は上昇限界位置(換言すれば、後退限位置)にある(
図6(A))。電動シリンダー装置24の後退限位置は、電動シリンダー装置24の後退限リミットスイッチ(換言すれば、位置センサ)によって感知される。ロッド22の上昇限界位置では、面状部材28を、鉛直方向上方に傾動した初期位置に保持するように、係止アーム38の第1のアーム41の爪41aがヘッド部32の爪受け36に係止している。
【0042】
なお、電動シリンダー装置24の後退限位置は、係止アーム38が案内管62(
図6には図示せず)に進入しない位置に設定されてよい。しかし、案内管62に長さ方向(換言すれば、ロッド22の移動方向)の切り込みを形成し、係止アーム38を切り込み内に進
入させることもできる。切り込みは、係止アーム38の第1及び第2のアーム41、42の回動を妨げない幅及び長さに設定される。一例として、
図4に示すブリッジ解除装置20bの案内管62bは、係止アーム38を通す切り込みを備えている。案内管20aにも同様の切り込みを形成することができる。また、案内管62a、62bは、図示されない面状部材28を収容可能な内径を有してもよい。
【0043】
ホッパ15内にごみ70のブリッジが生じ、ごみ70の高さが所定値に達すると、レベルセンサー64の信号に基づいて、例えば、ごみ焼却プラント10内の制御盤から、ごみホッパブリッジ警報(アラーム音等)が出力される。これにより、作業員に対して、ホッパ15またはシュート部16内にブリッジが生じていることを報知することができる。ごみホッパブリッジ警報が出力されると、作業員が、制御盤の起動ボタンを操作して、1台目のブリッジ解除装置20を稼働する。1台目のブリッジ解除装置20は、例えば、ごみクレーン13の操作室に設置される監視カメラの画像処理された映像に基づいて、作業員が適宜選択することができる。すなわち、作業員は、画像処理された映像に基づいて、ブリッジの位置を予想し、複数のブリッジ解除装置20のうち、予想した位置の近くに配置されるブリッジ解除装置20を選択することができる。
【0044】
起動ボタンが操作されると、電動シリンダー装置24が
図6(A)の後退限位置から前進ストロークを開始する。これにより、ロッド22がホッパ15の内部に向けて下降(換言すれば、前進)し、ホッパ15内でブリッジを形成しているごみ70に接近する(
図6(B))。ロッド22の下降中、係止アーム38の第2のアーム42が、係止解除部材44を通過する。係止解除部材44は、第2のアーム42によって押下げられるが、ばね46によって元の位置に復帰する。こうして、ロッド22は、係止アーム38がヘッド部32に係止した状態で下降する。面状部材28は、ワイヤ34を介して、ヘッド部32に支持されている。
【0045】
ロッド22が、ごみ70に到達すると、前進する面状部材28(具体的には、下側の作用面28a)によってごみ70に押下げ力が加えられる(換言すれば、ごみ70を下方に押し込む)ことができる(
図6(C))。このとき、一定であった電動シリンダー装置24の電流値が上昇し始める。ロッド22がさらに下降し、面状部材28の全体がブリッジを突き抜ける(換言すれば、ブリッジの下側の空洞部72(
図4参照)に到達する)(
図6(D))と、電動シリンダー装置24の電流値が上昇傾向から下降傾向に転じる。電動シリンダー装置24の電流値を、例えば制御盤の表示部に表示することができる。これにより、作業員は、表示される電流値の変化によって、ブリッジの発生位置が、稼働中のブリッジ解除装置20の位置またはその近傍にあることを特定することができる。
【0046】
電動シリンダー装置24が前進限位置に到達すると、
図7(A)に示すように、電動シリンダー装置24が後退ストロークを開始し、これにより、ロッド22の上昇が開始される。電動シリンダー装置24の前進限位置は、電動シリンダー装置24の前進限リミットスイッチによって感知される。ロッド22が上昇する際、面状部材28の先端にごみ70の一部を引っ掛ける、または面状部材28の上側の作用面28bでごみ70の一部を押し上げることができる。これにより、ブリッジを生じさせているごみ70の一部を取り出すことができる(
図7(A))。
【0047】
なお、取り出されたごみ70が、例えば布団等の大型ごみである場合には、取り出された大型ごみを、例えば人力または他の手段によって、ホッパ15の上部から引き上げてもよい。
【0048】
また、電動シリンダー装置24が前進限位置に到達する前、電動シリンダー装置24の電流値が上昇傾向から下降傾向に転じたときに、ロッド22の上昇を開始してもよい。こ
の目的のため、電動シリンダー装置24の電流値の変化を、例えば制御盤に内蔵される制御部によって監視し、電流値が上昇傾向から下降傾向に転じたときに自動的に後退ストロークが開始されるように構成してもよい。
【0049】
また、電動シリンダー装置24が後退限位置に到達する前の所定の位置、例えば係止アーム38の第2のアーム42が係止解除部材44を通過する前の所定の位置(例えば、
図7(A)に示す位置)で、電動シリンダー装置24を一時停止させ、この時のレベルセンサー64の検知結果に基づいて2台目のブリッジ解除装置20の稼働の要否を決定することができる。ごみ70の高さが所定値を下回らない(すなわち、依然としてごみホッパブリッジ警報が出力される)場合には、2台目のブリッジ解除装置20を稼働することを決定する。なお、2台目のブリッジ解除装置20の稼働は、1台目のブリッジ解除装置20の後退ストロークが完了した後に行われてよい。
【0050】
1台目のブリッジ解除装置20によってブリッジの位置が特定された場合には、1台目のブリッジ解除装置20に隣接するブリッジ解除装置20を、2台目のブリッジ解除装置20として選択することができる。このように、稼働するブリッジ解除装置20を適切に選択することにより、ブリッジの解除作業を効率的に行うことができる。
【0051】
電動シリンダー装置24の一時停止位置は、電動シリンダー装置24の一時停止リミットスイッチによって検知することができる。なお、電動シリンダー装置24を一時停止させる理由は、ブリッジ解除装置20が動いている間は、レベルセンサー64による正確な検知が困難になるからである。
【0052】
図7(B)に示すように、1台目のブリッジ解除装置20について、再びロッド22の上昇が開始され、係止解除部材44によって、第2のアーム42が押下げられると、係止アーム38の回動によって第1のアーム41の爪41aがヘッド部32の爪受け36から外れる。すると、面状部材28に引っ掛かっているごみ70の重さによって、ばね56が収縮し、ヘッド部32が下降する。これにより、ワイヤ34を介して面状部材28が下方に傾動するので、面状部材28に引っ掛かっているごみ70を、ホッパ15の内部に落とすことができる(
図7(B))。こうして、ブリッジを生じさせていた圧密状態のごみ70をほぐすことができる。
【0053】
面状部材28からごみ70が落とされた後のヘッド部32は、ばね56の付勢力によって上昇し、元の位置(具体的には、停止部58によって規定される最上位置)に復帰する(
図7(C))。これにより、面状部材28は、上方に傾動した初期位置に戻る。
【0054】
第2のアーム42が係止解除部材44を完全に通過すると、係止アーム38は、第1のアーム41の重さによって回動する。これにより、爪41aが爪受け36に係止し、電動シリンダー装置24は、後退限位置に到達する(
図7(D))。電動シリンダー装置24の一時停止時(例えば、
図7(A)の位置)に、2台目のブリッジ解除装置20の稼働が決定していた場合には、作業員は、制御盤の起動ボタンを操作し、2台目のブリッジ解除装置20を起動することができる。
【0055】
なお、2台目のブリッジ解除装置20の稼働の要否の決定は、1台目のブリッジ解除装置20の後退ストローク完了後に行われてもよい。この場合、電動シリンダー装置24は、一時停止されなくてもよい。また、2台目のブリッジ解除装置20の稼働の要否の決定は、レベルセンサー64に代えて、例えば、ごみクレーン13の操作室に設置される監視カメラの画像処理された映像によって行われてもよい。
【0056】
以下、同様の工程を繰り返すことができる。2台目のブリッジ解除装置20についても
、電動シリンダー装置24の一時停止中に3台目のブリッジ解除装置20の稼働が決定されれば、2台目のブリッジ解除装置20の後退ストロークの完了後に、3台目のブリッジ解除装置20を稼働することができる。こうして、ごみ70の高さが所定値を下回るまで、複数のブリッジ解除装置20が順番に稼働される。電動シリンダー装置24の電流値によってブリッジの位置を特定することができるので、稼働すべきブリッジ解除装置20を適切に選択することができる。これにより、ブリッジ解除作業を効率的に行うことができる。すなわち、特定されたブリッジの位置の近くに配置されたブリッジ解除装置20を、次に稼働するブリッジ解除装置20として決定することができる。
【0057】
なお、5台のブリッジ解除装置20のすべてを同時に作動させてもよい。しかし、本実施形態では、ブリッジ解除装置20を1台ずつ作動させることが好ましい。すべてのブリッジ解除装置20を同時に作動させた場合、ごみの圧密状態を助長するおそれがある。本実施形態では、ブリッジ解除装置20を1台ずつ作動させ、特定されたブリッジの位置またはその近傍でのみ押し込み又はほぐしを行うことができる。これにより、ごみの圧密状態を助長することなく、ブリッジ解除作業を行うことができる。
【0058】
図8は、
図2のA-A矢視図であり、複数の面状部材28の下面図である。
図9及び
図10は、それぞれ、
図8に対応する下面図であり、複数の面状部材28の他の例を示す図である。
【0059】
図8~
図10に示すように、複数の面状部材28は、ロッド22の周方向にクリアランスCを有するように、ロッド22に支軸30を介して取り付けられている。クリアランスCは、複数の面状部材28の上下方向の傾動(換言すれば、フラップ動作)を許容するように設定される。
【0060】
図8の例では、各面状部材28は、クリアランスCが面状部材28の長さ方向に沿って実質的に一定であるように、支軸30を中心とする実質的に扇形の外形を有している。これにより、面状部材28の間のクリアランスCを最小限にし、作用面28a、28bの面積を最大限にしている。
図9の例では、各面状部材28は、先端から支軸30の方向に向けて(換言すれば、面状部材28の基端に向けて)延びる矩形状の部分を含む。換言すれば、面状部材28の間のクリアランスCが、面状部材28の長さ方向外側に向かうに従って大きくなるように構成されている。これにより、
図8の形状と比較して、面状部材28の間のクリアランスCを大きくし、作用面28a、28bの面積を小さくしている。
図10の例では、各面状部材28は、
図9の形状に対して、さらに、先端の縁部に切り欠き28dを有している。
【0061】
ごみ70の押下げを重視する場合には、作用面28a、28bの面積の大きい
図8の形状を採用することが好ましい。ごみ70のほぐしを重視する場合には、作用面28a、28bの面積が比較的小さく、クリアランスCが比較的大きい
図9の形状を採用することが好ましい。また、ごみ70の取り出しを重視する場合には、ごみ70を引っ掛けるための切り欠き28dを有する
図10の形状を採用することが好ましい。
【0062】
なお、
図10に示される切り欠き28dは、
図8に示すような扇形形状の面状部材28の先端縁部に設けられてもよい。
【0063】
このように、本発明の実施形態によれば、従来技術と同様に、ごみ70を強制的に押下げることによってブリッジ解除を行うことができる。さらに、ロッド22に取り付けられた上下に傾動可能な面状部材28によって、ロッド22の後退と共にブリッジからごみ70を取り出し、その後、再度ホッパ15内へ落とすことができる。これによって、圧密状態のごみ70をほぐすことができ、従って、ブリッジを解除することができる。また、ブ
リッジから取り出されたごみ70が大型ごみである場合には、大型ごみを、ホッパ15から取り出すことにより、ホッパ15の下流側での二次トラブルを回避することも可能である。このようなブリッジ解除装置20を複数台設置することによって、平面的に広範囲でブリッジ解除を行うことが可能である。
【0064】
面状部材28の傾動は、面状部材28にワイヤ34を介して連結されたヘッド部32と、ヘッド部32と係止可能にロッド22に設けられた係止アーム38と、ロッド22の後退ストローク中に機能するばね付勢された係止解除部材44によって、自動的に行うことができる。従って、作業者は、電動シリンダー装置24を起動させるだけで、ごみ70の押し込み及びほぐしを自動で行うことができる。
【0065】
また、本発明の実施形態によれば、電動シリンダー装置24の電流値に基づいて、ホッパ15内におけるブリッジの発生位置を特定することができる。従って、ブリッジ解除装置20をブリッジの発生位置及びその近傍の位置で稼働させることができるので、ブリッジの解除作業を短時間で効率的に行うことができる。従って、焼却炉14内に安定してごみを供給することができるので、定格処理量を満たす安定した完全燃焼を実現することができる。
【0066】
さらに、本発明の実施形態によれば、電動シリンダー装置24と案内管62を、既存のホッパ15または構築物の壁面に固定することによって、ブリッジ解除装置20を、既存の施設に容易に後付けすることができる。一般に、廃棄物焼却施設に限らず、建設費用を抑えるには建設面積を小さくすることが望ましく、装置の追加配置に制限が発生する。また、人的コストの観点から、施設の運営期間に従事する人員数を適正化することも重要であり、従事者の配置人数は省人化されている。このような状況中で、従来技術においては、特に設置スペースや搬入動線の制約等により、追加装置の設置は困難である。また、追加装置を設置することができた場合でも、設置の際の現場の仮設費用、及び、製品重量に起因する搬入時のイニシャルコスト等が大きな負担になり得る。
【0067】
本発明の実施形態によれば、ごみ焼却プラント10内の設置スペースやブリッジの特性に応じて、台数や配置位置の融通が利くブリッジ解除装置20を提供することができる。また、ブリッジ解除のために強引な押込みを行うのではなく、ほぐすための機構も考慮することで、確実にブリッジを解除し、二次災害を抑制し、人力によるごみブリッジ解除の必要性をなくすことができる。
【0068】
このように、本発明の実施形態によれば、既存の施設に容易に導入することができるブリッジ解除装置20を提供することができる。また、本発明の実施形態によれば、人力に頼る必要がなく、従って、従来の男性従事者と比較して体力的に差のある女性や高齢者でも容易に且つ効率的にブリッジ解除作業を行うことができる、ブリッジ解除装置20を提供することができる。従って、ごみ焼却プラントにおいて重要視される、定格処理量を満たす公害規制を満足した完全燃焼を実現することができるブリッジ解除装置20を提供することができる。また、本発明の一実施形態によるブリッジ解除装置20は、女性や高齢者の雇用促進の一助を担うことができる、近年の社会情勢にも対応することができる装置である。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0070】
本発明は、以下の態様を含む。
1.ごみが投入されるホッパまたはシュート部内のブリッジを解除するブリッジ解除装置であって、
ホッパの内部に向けて進退可能に構成されるロッドと、
ロッドの外周に沿って配置される複数の面状部材と、を備えており、
複数の面状部材の各々は、上下方向に傾動可能にロッドに取り付けられた基端を有する、
ブリッジ解除装置。
2.複数の面状部材は、ホッパまたはシュート部内のごみに力を加える作用面を有する、上記1.に記載のブリッジ解除装置。
3.さらに、
ロッドが挿通される開口を有し、ロッドに対して上下動可能な環状のヘッド部であって、複数の面状部材に連結部材を介して取り付けられる、ヘッド部と、
ヘッド部の爪受けに係止可能な爪を有し、上下方向に傾動可能にロッドに固定される係止アームと、
を備える、上記1.または2.に記載のブリッジ解除装置。
4.係止アームが、ロッドに回転可能に取り付けられた支軸と、支軸を介して連結される第1のアームと第2のアームを含み、第1のアームが爪を有し、
第2のアームに押下げ力が加えられることにより、爪が持ち上げられて爪受けに対する係止が解除されるように構成される、上記3.に記載のブリッジ解除装置。
5.押下げ力を加える方向にばね力が付勢された係止解除部材を備える、上記4.に記載のブリッジ解除装置。
6.係止解除部材の基端に、回転可能な支軸が設けられている、上記5.に記載のブリッジ解除装置。
7.ロッドは、ヘッド部の下方でロッドに固定されたばね受けを有しており、ばね受けとヘッド部の間にばねが配置される、上記3.~6.のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
8.ロッドは、ヘッド部の最上位置を規定する停止部を有する、上記3.~7.のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
9.複数の面状部材の基端に水平方向の支軸が設けられており、支軸は、ロッドに回転可能に取り付けられている、上記1.~8.のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
10.複数の面状部材の傾動を許容するように、ロッドの周方向において、複数の面状部材の間にクリアランスが設定されている、上記1.~9.のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
11.クリアランスが面状部材の長さ方向に沿って実質的に一定である、上記10.に記載のブリッジ解除装置。
12.クリアランスが面状部材の長さ方向外側に向けて増加する、上記10.に記載のブリッジ解除装置。
13.複数の面状部材の各々は、先端縁部に切り欠きを有している、上記11.または12.に記載のブリッジ解除装置。
14.ロッドを部分的に受け入れ、ホッパに固定可能に構成される案内管を備える、上記1.~13.のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
15.ロッドを駆動する駆動機構を備える、上記1.~14.のいずれかに記載のブリッジ解除装置。
16.駆動機構は、電動シリンダー装置を含み、電動シリンダー装置は、ロッドの前進限位置、一時停止位置及び後退限位置をそれぞれ検知する前進限リミットスイッチ、一時停止リミットスイッチ及び後退限リミットスイッチを有する、上記15.に記載のブリッジ解除装置。
17.上記1.~16.のいずれかに記載のブリッジ解除装置を少なくとも1台備える、
ごみ焼却プラント。
18.ごみが投入されるホッパまたはシュート部内のブリッジを解除する方法であって、
電動シリンダー装置に連結されたロッドを用意する工程であって、ロッドは、ロッドの外周に沿って配置され、上下方向に傾動可能にロッドに取り付けられた基端を有する複数の面状部材を有している、工程と、
ロッドを後退限位置に配置する工程であって、後退限位置において、複数の面状部材が上方に傾動した初期位置に保持される、工程と、
ホッパ内のごみの量が所定値に達すると、電動シリンダー装置を起動して、ロッドをホッパの内部に向けて前進させる工程と、
ロッドを後退限位置まで後退させる工程と、
を備え、
後退させる工程は、複数の面状部材を、初期位置から下方に傾動させることを含む、方法。
19.前進させる工程は、電動シリンダー装置の電流値を監視することを含み、
電動シリンダー装置の電流値が上昇傾向から下降傾向に変化したとき、ブリッジの位置が特定される、上記18.に記載の方法。
20.後退させる工程は、電動シリンダー装置の電流値が上昇傾向から下降傾向に変化したとき、または、ロッドが前進限位置に到達したときに開始される、上記19.に記載の方法。
21.後退させる工程は、ロッドを一時停止させると共に、ホッパの内部のごみの量を測定することを含む、上記18.~20.のいずれかに記載の方法。
22.ホッパに複数のロッドが配置されており、
後退させる工程は、ごみの量が所定値を下回らないときに、次に前進させるロッドを決定することを含む、上記21.に記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、ごみ焼却プラントにおけるごみホッパブリッジを解除する装置または方法として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
C 周方向クリアランス
10 ごみ焼却プラント
11 プラットホーム
12 ごみピット
13 ごみクレーン
14 焼却炉
15 ホッパ
15a 後壁
15b 前壁
15c 上壁
16 シュート部
17 給じん装置
20、20a、20b ブリッジ解除装置
22、22a、22b ロッド
24 電動シリンダー装置
28 面状部材
28a、28b 作用面
28c 固定用突起
28d 切り欠き
30 支軸
31 支軸
32 ヘッド部
32a 開口
32b 下面
34 ワイヤ
36 爪受け
38 係止アーム
40 支軸
41 第1のアーム
41a 爪
42 第2のアーム
44 係止解除部材
46 ばね
48 壁面
50 固定ブラケット
52 支軸
54 ばね受け
56 ばね
58 停止部
60 壁面
62、62a、62b 案内管
64 レベルセンサー
70 ごみ
72 空洞部