(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】レインガーデン
(51)【国際特許分類】
A01G 20/00 20180101AFI20241016BHJP
A01G 27/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A01G20/00
A01G27/00 502Z
(21)【出願番号】P 2021103173
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391024696
【氏名又は名称】住友林業緑化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 純大
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏美
(72)【発明者】
【氏名】田代 隆一
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-168885(JP,A)
【文献】特開2000-316382(JP,A)
【文献】特開2000-210632(JP,A)
【文献】特開2009-262092(JP,A)
【文献】特開平09-111814(JP,A)
【文献】特開平06-319367(JP,A)
【文献】特開平11-181774(JP,A)
【文献】特開2006-315005(JP,A)
【文献】特開平08-323318(JP,A)
【文献】特開平07-138386(JP,A)
【文献】特開2004-074042(JP,A)
【文献】特開2000-273840(JP,A)
【文献】特開平06-319378(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00768431(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第102860245(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 20/00
A01G 27/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削により形成された凹所内に、面状遮水体を介して、植物の育成用土壌を埋め戻してなる、レインガーデンであって、
前記面状遮水体を、植物根の貫通を許容する構造を持って、前記凹所内においてそれぞれ所定面積を覆う複数の遮水シートから構成すると共に、
隣接する前記遮水シート間、または、隣接する前記遮水シートの接合部に、通水隙間を形成させるようにしてなる、レインガーデン。
【請求項2】
前記面状遮水体は、隣接する前記遮水シートの一方の一部と他方の一部との重ね部に、接着箇所と前記通水隙間となる非接着箇所とを作るようにして、隣接する前記遮水シート同士を接着させてなる、請求項1に記載のレインガーデン。
【請求項3】
前記面状遮水体は、隣接する前記遮水シートの一方の一部と他方の一部との重ね部に、地盤固定具によって地盤に固定される固定箇所と前記通水隙間となる非固定箇所とを作るようにして、隣接する前記遮水シート同士をつなぎ合わせてなる、請求項1に記載のレインガーデン。
【請求項4】
前記面状遮水体は、隣接する前記遮水シートの一方の一部と他方の一部との重ね部において隣接する前記遮水シート同士を接着させると共に、この重ね部に通水隙間となる貫通穴を形成させてなる、請求項1に記載のレインガーデン。
【請求項5】
前記レインガーデンの地表面が、前記レインガーデンを囲繞する領域の地表面よりも下方に位置されるようにしてなる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のレインガーデン。
【請求項6】
前記レインガーデンは水上側と水下側とを持つように構成されており、前記レインガーデンの地表面上にあふれた水を、前記水下側に設置されたオーバーフロー管を通じて前記レインガーデン外の地盤に浸透させるようにしてなる、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のレインガーデン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レインガーデンの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
レインガーデンは、雨水を一時的に蓄えるはたらきと、それをゆっくりと地盤に浸透させるはたらきとを備えた、植栽スペースであり、雨庭や雨水浸透緑地帯などとも称される。
【0003】
かかるレインガーデンは、強雨時の急激な下水道への雨水流入を緩和して内水氾濫を抑制する機能、および、降雨後のレインガーデン内の土壌内の水分の蒸発による気化冷却とレインガーデン内の植栽植物の蒸散活動による気化冷却と植栽植物が日照を遮ることとによる涼しさを提供する機能を持つ。
【0004】
かかるレインガーデンの機能は、レインガーデン内の植栽植物が適切に成長してゆくことでより高められる。なんとなれば、かかる植物の成長により、前記蒸散及び日照を遮る効果は高められると共に、繁茂する植物根によってレインガーデン内において水を蓄える効果も高められる、からである。
【0005】
なお、地盤下に給水制限シートを設けると共にこの給水制限シート下にさらに貯水槽を設けた雨水貯留型植栽地盤として、特許文献1に示されるものがあるが、この特許文献1のものは前記地盤に植栽された植物の植物根が給水制限シート下に入り込むことを予定するものでなく、また、前記給水制限シートの役割を貯水槽から地盤への水の供給量の調整に置くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、第一に、レインガーデンの持つ諸機能、典型的には、効果的な気化冷却が持続する時間を容易に調整可能な構造をレインガーデンに簡素且つ合理的にもたせるようにする点にある。また、第二に、レインガーデン内に植栽された植物の成長を、植物の種類に応じて、健全に助長し得る構造をレインガーデンにもたせるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、レインガーデンを、掘削により形成された凹所内に、面状遮水体を介して、植物の育成用土壌を埋め戻してなる、レインガーデンであって、
前記面状遮水体を、植物根の貫通を許容する構造を持って、前記凹所内においてそれぞれ所定面積を覆う複数の遮水シートから構成すると共に、
隣接する前記遮水シート間、または、隣接する前記遮水シートの接合部に、通水隙間を形成させるようにしてなる、ものとした。
【0009】
かかるレインガーデンにあっては、面状遮水体を構成する隣接する遮水シート間に形成された通水隙間の広さ、または、隣接する遮水シートの接合部に形成された通水隙間の数や一つの通水隙間の範囲を調整することで、面状遮水体の通水抵抗を調整することができ、これにより、前記育成用土壌内の水分蒸発による気化冷却が効果的に持続する時間を、簡素な構造をもって合理的に調整することができる。
【0010】
また、かかるレインガーデンにあっては、面状遮水体を構成する遮水シートが植物根の貫通を許容することから、過湿条件が苦手な植物は根を成長させることで遮水シートを貫通して酸素を多く含む遮水シート外の地盤に根を至らせることで成長でき、過湿条件が得意な植物は遮水シート内に根をとどめて成長できる。これにより、レインガーデン内に植栽された植物の成長を、植物の種類に応じて、それぞれ健全に助長することができ、かかる植物の成長は、レインガーデンのもつ諸機能をより効果的に発揮させるものとなる。
【0011】
前記面状遮水体を、隣接する前記遮水シートの一方の一部と他方の一部との重ね部に、接着箇所と前記通水隙間となる非接着箇所とを作るようにして、隣接する前記遮水シート同士を接着させたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0012】
また、前記面状遮水体を、隣接する前記遮水シートの一方の一部と他方の一部との重ね部に、地盤固定具によって地盤に固定される固定箇所と前記通水隙間となる非固定箇所とを作るようにして、隣接する前記遮水シート同士をつなぎ合わせたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0013】
また、前記面状遮水体を、隣接する前記遮水シートの一方の一部と他方の一部との重ね部において隣接する前記遮水シート同士を接着させると共に、この重ね部に通水隙間となる貫通穴を形成させたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0014】
また、前記レインガーデンの地表面が、前記レインガーデンを囲繞する領域の地表面よりも下方に位置されるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0015】
また、前記レインガーデンを水上側と水下側とを持つように構成し、前記レインガーデンの地表面上にあふれた水を、前記水下側に設置されたオーバーフロー管を通じて前記レインガーデン外の地盤に浸透させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、レインガーデンの持つ諸機能、典型的には、効果的な気化冷却が持続する時間を容易に調整可能な構造を、前記面状遮水体の構成によって、レインガーデンに簡素且つ合理的にもたせることができる。
【0017】
また、前記面状遮水体は植物根の貫通を許容する遮水シートからなることから、レインガーデン内に植栽された植物の成長を、植物の種類に応じて、健全に助長し得る構造をレインガーデンにもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかるレインガーデンの縦断面構成図である。
【
図2】
図2は、前記レインガーデンの第一例にかかる面状遮水体の要部平面構成図である。
【
図3】
図3は、前記レインガーデンの第二例にかかる面状遮水体の平面構成図である。
【
図4】
図4は、前記第二例にかかる面状遮水体の要部平面構成図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるA-A線位置での断面構成図である。
【
図6】
図6は、前記レインガーデンの第三例にかかる面状遮水体の要部平面構成図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるB-B線位置での断面構成図である。
【
図8】
図8は、前記レインガーデンの第四例にかかる面状遮水体の要部平面構成図である。
【
図9】
図9は、前記レインガーデンの第五例にかかる面状遮水体の要部平面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図9に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるレインガーデン1は、雨水を一時的に蓄えるはたらきと、それをゆっくりと地盤2に浸透させるはたらきとを備えた、植栽スペースであり、雨庭や雨水浸透緑地帯などとも称されるものである。
【0020】
かかるレインガーデン1は、掘削により形成された凹所3内に、面状遮水体4を介して、植物Pの育成用土壌5を埋め戻してなる。
【0021】
面状遮水体4は、前記凹所3の内面3aの全体、すなわち、凹所3の底面及び内側面の全体、あるいは、大部分、すなわち、凹所3の底面の全体、あるいは、凹所3の底面の全体と内側面の一部とを覆うようにして、前記凹所3内に敷設される。面状遮水体4の敷設後、その上に育成用土壌5を埋め戻すことで、レインガーデン1が構築される。前記掘削した土壌が利用できる場合はそれをそのまま育成用土壌5として利用することができる。あるいは、前記掘削した土壌に砂を混ぜるなどの改質を施して育成用土壌5として利用することができる。あるいは、前記掘削した土壌とは全く別の土壌を育成用土壌5として利用する場合もある。このように埋め戻された育成用土壌5に植栽がなされる。
【0022】
図1に示されるように、前記育成用土壌5によって構成されるレインガーデン1の地表面1aが、前記レインガーデン1を囲繞する領域の地表面6よりも下方に位置されるようにしておくことが、典型的な実施の形態の一つである。このようにした場合、レインガーデン1への雨水の取り込みが促進される。
【0023】
また、
図1に示されるように、レインガーデン1が水上側1bと水下側1cとを持つように構成して、前記レインガーデン1の地表面1a上にあふれた水(溢水)を、前記水下側1cに設置されたオーバーフロー管7を通じて前記レインガーデン1外の地盤2に浸透させるようにしておくことが、典型的な実施の形態の一つである。このようにした場合、たとえば、強雨時などに植栽したばかりで十分に根が定着していない植物Pがレインガーデン1外に流出されるような事態の可及的防止が図られる。図示の例では、オーバーフロー管7は、水下側1cの地表面1a上に管上端を位置させた縦管部7aと、育成用土壌5内において縦管部7aの側部に管一端を連接させてレインガーデン1外に延びる横管部7bとを備え、縦管部7aの管上端から取り込んだ前記溢水の少なくとも一部を横管部7bを通じてレインガーデン1外の地盤2に浸透させるようになっている。
【0024】
レインガーデン1は様々な平面形状を持つ。建物の外周に沿うようにレインガーデン1を構築する場合や、舗道の側方にレインガーデン1を構築する場合などにおいては、レインガーデン1は細長い平面形状を持ち易くなる。
【0025】
前記面状遮水体4は、植物根Paの貫通を許容する構造を持って、前記凹所3内においてそれぞれ所定面積を覆う複数の遮水シート4aから構成される。
【0026】
一枚の遮水シート4aの形状、面状遮水体4を構成する遮水シート4aの枚数は、構築されるレインガーデン1の平面形状などに合わせて適宜調整される。
【0027】
かかる遮水シート4aとしては、アスファルトシート(芯材としての不織布にアスファルトを含浸させて成形したシート)を用いることが好ましい。アスファルトシートは、比較的軽いため施工時に取り扱いやすいことに加え、植物根Paの貫通を許容でき、さらに、比較的低廉に入手可能だからである。
【0028】
(第一例)
図2に示される第一例では、隣接する遮水シート4a間に、通水隙間8を形成させるようにしている。この第一例では、隣接する遮水シート4aの一方の縁部4bと、隣接する遮水シート4aの他方の縁部4bとの間に、通水隙間8が形成されるようにして、前記一方の縁部4bと他方の縁部4bとをそれぞれ、前記凹所3内において遮水シート4aを貫通して地盤2に打ち込まれる止着体9によって地盤2に止着させている。かかる止着体9としては例えばタッカーによって打ち込まれるステープルなどを用いることができる。例えば、1m×8mの大きさの遮水シート4a間に、その長さ方向に沿ったいずれの箇所においても例えば10cmの通水隙間8が形成されるようにして、遮水シート4aを凹所3内に前記ステープルなどを用いて張り込み固定する。この場合には、一枚の遮水シート4aによって、おおむね凹所3内の8m
2が覆われることとなる。凹所3の広さに応じて、また、使用される遮水シート4aの枚数、一枚の遮水シート4aの大きさ、各遮水シート4aの配置は、構築されるレインガーデン1の平面形状に応じて調整されることとなる。
【0029】
(第二例)
図3~
図5に示される第二例では、隣接する前記遮水シート4aの接合部4cに、通水隙間8を形成させるようにしている。
【0030】
この第二例では、前記面状遮水体4は、隣接する前記遮水シート4aの一方の一部と他方の一部とが上下あるいは内外に重なり合う重ね部4d(重ね代)に、接着箇所4eと前記通水隙間8となる非接着箇所4fとを作るようにして、隣接する前記遮水シート4a同士を接着させて構成されている。育成用土壌5内の水は重ね部4dにおける非接着箇所4fを通じて二枚の遮水シート4aの間から地盤2に浸透する。面状遮水体4によってかかる浸透のスピードが制御される。すなわち、かかる重ね部4dが前記接合部4cとして機能するようになっている。
【0031】
例えば、面状遮水体4を1m×8mの大きさの複数の遮水シート4aを並列状に接合して構成する場合(
図3の縦方向)は、一枚の遮水シート4aの長さ方向に沿った縁部4bの一方上に、これに隣接する遮水シート4aの長さ方向に沿った縁部4bの一方を、重ね部4dの幅が例えば10cmとなるように重ね合わせると共に、この重ね部4dの範囲内において、接着箇所4eと非接着箇所4fとを交互に形成させるようにして隣り合う遮水シート4a同士を接着する。かかる接着は、接着剤又は粘着剤によってなすことができる。
【0032】
前記のように構成される遮水シート4aは必要に応じて直列状にも接合される(
図3の横方向)。その場合には、一枚の遮水シート4aの幅方向に沿った縁部4b’の一方上に、これに隣接する遮水シート4aの幅方向に沿った縁部4b’の一方を重ね合わせると共に、この重ね部4dの範囲内において、接着箇所4eと非接着箇所4fとを交互に形成させるようにして隣り合う遮水シート4a同士を接着することとなる。
【0033】
(第三例)
図6および
図7に示される第三例では、隣接する前記遮水シート4aの接合部4cに、通水隙間8を形成させるようにしている。
【0034】
この第三例では、前記面状遮水体4は、隣接する前記遮水シート4aの一方の一部と他方の一部との重ね部4dに、地盤固定具10によって地盤2に固定される固定箇所4gと前記通水隙間8となる非固定箇所4hとを作るようにして、隣接する前記遮水シート4a同士をつなぎ合わせて構成されている。すなわち、かかる重ね部4dが前記接合部4cとして機能するようになっている。
【0035】
図示の例では、地盤固定具10は、前記重ね部4dの幅と一辺の長さを略等しくした金属板10aと、この金属板10aを貫通して地盤2に打ち込まれる軸状体10bとから構成されている。
【0036】
そして、一枚の遮水シート4aの縁部4b上にこれに隣接する遮水シート4aの縁部4bを重ね合わせると共に、重ね部4d上に載せた金属板10aの四隅を前記軸状体10bによって地盤2に止め付けることで、重ね部4dの範囲内において、固定箇所4gと非固定箇所4hとを交互に形成させるようにして隣り合う遮水シート4a同士を接合している。
【0037】
(第四例)
図8に示される第四例では、隣接する前記遮水シート4aの接合部4cに、通水隙間8を形成させるようにしている。
【0038】
この第四例では、前記面状遮水体4は、隣接する前記遮水シート4aの一方の一部と他方の一部との重ね部4dにおいて隣接する前記遮水シート4a同士を接着させると共に、この重ね部4dに通水隙間8となる貫通穴4iを形成させて構成されている。すなわち、かかる重ね部4dが前記接合部4cとして機能するようになっている。
【0039】
図示の例では、一枚の遮水シート4aの縁部4b上にこれに隣接する遮水シート4aの縁部4bを重ね合わせると共に、重ね部4dの範囲内において、両者を接着することで、隣り合う遮水シート4a同士を接合している。それと共に、重ね部4dの範囲内に、重ね部4dの連続方向において隣り合う貫通穴4iとの間に間隔を開けて複数の貫通穴4iを形成させている。図示の例では、貫通穴4iは実質的に円形の穴となっている。
【0040】
(第五例)
図9に示される第五例では、隣接する前記遮水シート4aの接合部4cに、通水隙間8を形成させるようにしている。
【0041】
この第五例では、前記面状遮水体4は、隣接する前記遮水シート4aの一方の一部と他方の一部との重ね部4dにおいて隣接する前記遮水シート4a同士を接着させると共に、この重ね部4dに通水隙間8となる貫通穴4iを形成させて構成されている。すなわち、かかる重ね部4dが前記接合部4cとして機能するようになっている。
【0042】
図示の例では、一枚の遮水シート4aの縁部4b上にこれに隣接する遮水シート4aの縁部4bを重ね合わせると共に、重ね部4dの範囲内において、両者を接着することで、隣り合う遮水シート4a同士を接合している。それと共に、重ね部4dの範囲内に、重ね部4dの連続方向において隣り合う貫通穴4iとの間に間隔を開けて複数の貫通穴4iを形成させている。図示の例では、貫通穴4iは重ね部4dの連続方向にスリットの長さ方向を沿わせるように形成されたスリットとなっている。
【0043】
以上に説明したレインガーデン1にあっては、面状遮水体4を構成する隣接する遮水シート4a間に形成された通水隙間8(第一例)の広さ、または、隣接する遮水シート4aの接合部4cに形成された通水隙間8(第二~第五例)の数や一つの通水隙間8の範囲を調整することで、面状遮水体4の通水抵抗を調整することができ、これにより、前記育成用土壌5内の水分蒸発による気化冷却が効果的に持続する時間を、簡素な構造をもって合理的に調整することができる。
【0044】
また、以上に説明したレインガーデン1にあっては、面状遮水体4を構成する遮水シート4aが植物根Paの貫通を許容することから、過湿条件が苦手な植物Pは根を成長させることで遮水シート4aを貫通して酸素を多く含む遮水シート4a外の地盤2に根を至らせることで成長でき、過湿条件が得意な植物Pは遮水シート4a内に根をとどめて成長できる。これにより、レインガーデン1内に植栽された植物Pの成長を、植物Pの種類に応じて、それぞれ健全に助長することができ、かかる植物Pの成長は、レインガーデン1のもつ諸機能をより効果的に発揮させるものとなる。
【0045】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0046】
1 レインガーデン
1a 地表面
1b 水上側
1c 水下側
2 地盤
3 凹所
3a 内面
4 面状遮水体
4b、4b’ 縁部
4c 接合部
4d 重ね部
4e 接着箇所
4f 非接着箇所
4g 固定箇所
4h 非固定箇所
4i 貫通穴
5 育成用土壌
6 囲繞する領域の地表面
7 オーバーフロー管
7a 縦管部
7b 横管部
8 通水隙間
9 止着体
10 地盤固定具
10a 金属板
10b 軸状体
P 植物
Pa 植物根