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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20241016BHJP
   B68G 7/05 20060101ALI20241016BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B60N2/58
B68G7/05 B
B68G7/05 C
A47C31/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021127853
(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公開番号】P2023022782
(43)【公開日】2023-02-15
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新道 隆
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 秀樹
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-181086(JP,A)
【文献】特開2021-090679(JP,A)
【文献】実開平02-100599(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/58
B68G 7/05
A47C 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一溝および第二溝を有するモールドパッドと、
表皮にワディングが積層される第一表皮材および第二表皮材を含み、該モールドパッドを覆うトリムカバーと、
を備え、
前記第一表皮材は前記表皮側に谷折りされた箇所を有し、谷折りされた前記ワディング側が前記第一溝に接着され、
前記トリムカバーは前記第一表皮材と前記第二表皮材の前記表皮の表面同士が縫製される縫製部を有し、前記縫製部が前記第二溝に接着されており、
前記第一表皮材の谷折りされた箇所において、谷線の沿ってその両側に所定の幅、前記ワディングは取り除かれており、
前記ワディングは取り除かれている箇所に前記ワディングとは異なる材質の部材が設けられている車両用シート。
【請求項2】
請求項1の車両用シートにおいて、
前記第一溝の長手方向の中央部から端部に向かって徐々に溝の深さが浅くなり、前記端部の先の前記モールドパッドには溝がなく、前記モールドパッドの溝がない部分の上にも前記第一表皮材がある車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両用シートに関し、例えば意匠溝を有するトリムカバーを備える車両用シートに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
車両用シートにおいて、略シートの外形形状にモールド成形した発泡体製パッドに表皮材を接着して形成する接着シートがある。例えば、発泡体製パッドの表面に設けた凹溝内に発泡体製パッドを被覆する表皮材の縫製部を喰い込ませて接着剤により表皮材の縫製部を発泡体製パッドの凹溝内に接着される接着シートがある(特許文献1)。特許文献1では、表皮材を繋ぎ合わせる縫製部によりデザイン性向上のための意匠溝を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-129645号公報
【文献】特開2012-81091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、トリムカバーにおける意匠溝の意匠性を向上させる技術を提供することにある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、車両用シートは、第一溝および第二溝を有するモールドパッドと、表皮にワディングが積層される第一表皮材および第二表皮材を含み、モールドパッドを覆うトリムカバーと、を備える。第一表皮材は表皮側に谷折りされた箇所を有し、谷折りされたワディング側が第一溝に接着されている。トリムカバーは第一表皮材と第二表皮材の表皮の表面同士が縫製される縫製部を有し、縫製部が第二溝に接着されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、意匠溝の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形例における車両用シートを示す外観図である。
図2図2図1に示す車両用シートの部分断面図である。
図3図3図1に示すA―A線における断面図である。
図4図4図1に示すE―E線における断面図である。
図5図5はモールドパッドの溝にトリムカバーを接着する方法を説明する図である。
図6図6は第一変形例における車両用シートのトリムカバーの問題点を説明するための断面図である。
図7図7は第一変形例における車両用シートを示す外観図である。
図8図8図7に示すD―D線における断面図である。
図9図9は第二変形例におけるトリムカバーの意匠溝近傍の裏面図である。
図10図10は第二変形例におけるシートクッションの図7に示すD―D線に相当する断面図である。
図11図11は第三変形例におけるトリムカバーの意匠溝近傍の裏面図である。
図12図12は第三変形例におけるシートクッションの図7に示すD―D線に相当する断面図である。
図13図13は第四変形例におけるシートクッションの図7に示すD―D線に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、実施例は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0010】
実施形例における車両用シートについて図1を用いて説明する。図1は実施形例における車両用シートを示す外観図である。
【0011】
なお、以下の説明では、車両用シートを搭載する車両が水平面上に置かれた場合を基準として、鉛直方向を上下方向(UP,DW)と定義する。また、前後方向(FR,RR)は車両の前後方向に一致するように、左右方向(幅方向)は車両の幅方向に一致するように、定義される。FRは車両の前側方向であり、RRは車両の後側方向である。また、車両用シート1について、車両の後から見て右側(RH)、左側(LH)と呼んで説明する。
【0012】
車両用シート1は、シートクッション2およびシートバック3を備えている。シートクッション2およびシートバック3は、それぞれ複数のシート状の表皮材が縫製されて繋ぎ合わせられたトリムカバー20,30で覆われている。
【0013】
トリムカバー20は、複数の表皮材(表皮材21~26等)を縫合することにより形成されている。トリムカバー30は、複数の表皮材(表皮材31~34等)を縫合することにより形成されている。ここで、各表皮材には、例えば、皮革(天然皮革、合成皮革)、布(ニット、織布、不織布)等が用いられる。各表皮材は、皮革または布にワディング(例えば弾性変形可能な軟質ポリウレタンフォームなどの樹脂発泡体)が積層された多層構造である。
【0014】
表皮材21は、トリムカバー20の着座面中央部を構成する部分である。表皮材21は、上面視で略矩形状をなしている。また、表皮材22は、トリムカバー20の着座面左側部を構成する部分である。また、表皮材23は、トリムカバー20の着座面右側部を構成する部分である。また、表皮材24は、トリムカバー20の左側部マチを構成する部分である。また、表皮材25は、トリムカバー20の右側部マチを構成する部分である。また、表皮材26は、トリムカバー20の前側部マチを構成する部分である。
【0015】
表皮材31は、トリムカバー30の着座面中央部を構成する部分である。また、表皮材32は、トリムカバー30の左側部マチを構成する部分である。また、表皮材33は、トリムカバー30の右側部マチを構成する部分である。また、表皮材34は、トリムカバー30の上側部マチを構成する部分である。
【0016】
また、トリムカバー20はデザイン性向上のための意匠溝41,42を有している。トリムカバー30は意匠溝61,62を有している。意匠溝41,42は前後方向に延伸している。意匠溝61,62の下部側は、それぞれ上下方向に延伸し、上部側は上に向かうに連れて徐々に左側部マチ側、右側部マチに向かって延伸している。
【0017】
意匠溝41,61について図2を用いて説明する。図2図1に示す車両用シートの部分断面概略図である。図2(a)は図1に示すA―A線およびA1-A1線における断面図である。図2(b)は図1に示すB―B線およびB1-B1線における断面図である。図2(c)は図1に示すC―C線およびC1-C1線における断面図である。
【0018】
モールドパッド51の凹形状の溝51aはシートクッション2の上面全体に亘って前後方向に延伸するのではなく、シートクッション2の前部側および後部側には形成されていない。また、モールドパッド71の凹形状の溝71aはシートバック3の上面全体に亘って上下方向に延伸するのではなく、シートバック3の上部側および下部側には形成されていない。ここで、モールドパッド51,71はモールド成形した発泡体製パッドである。発泡体は例えばウレタンフォームである。
【0019】
溝51aは、溝51aの延伸方向(前後方向、長手方向)における中央部が最も深く、前後方向に向かうに連れて浅く形成され、最終的に溝がなくなる。溝71aは、溝71aの延伸方向(上下方向、長手方向)における中央部が最も深く、上下方向に向かうに連れて浅く形成され、最終的に溝がなくなる。
【0020】
すなわち、図2(a)に示す溝51a,71aの深さをDa、図2(b)に示す溝51a,71aの深さをDb、図2(c)に示す溝51a,71aの深さをDcとすると、Da>Db>Dcである。
【0021】
よって、意匠溝41は表皮材21の上面全体に前後方向に延伸するのではなく、溝51aの前端よりも前および溝51aの後端よりも後には形成されず、意匠溝を表皮材21から消して、表皮材21をフラットにしている。また、意匠溝61は表皮材31の前面全体に上下方向に延伸するのではなく、モールドパッド71の溝71aの上端よりも上および溝71aの下端よりも下には形成されず、意匠溝を表皮材31から消して、表皮材31をフラットにしている。
【0022】
図3に示す意匠溝41の詳細構造について図3を用いて説明する。図3図1に示すA―A線における断面図である。
【0023】
シートクッション2の断面は、モールドパッド51、表面を覆うトリムカバー20で形成されている。モールドパッド51には意匠溝41に対応する凹形状の溝51aが形成されており、この凹形状の溝51aの表面もトリムカバー20を構成する表皮材21に覆われている。表皮材21は皮革または布で形成された表皮21aにウレタン等で形成されたワディング21bが積層されて構成されている。
【0024】
意匠溝41の延在方向に沿って、表皮21aおよびワディング21bは折り曲げられている(表皮21a側に谷折りされている)。溝51a内に押し込み仮置きされているシート状の接着剤52(図5参照)が熱により溶融した接着剤52aにより溝51a内に押し込まれた表皮材21のワディング21b側が溝51aに接着されている。
【0025】
図1に示すB―B線およびC―C線における断面は、意匠溝41および溝51aの深さを除いて、図3に示す断面と同様である。また、図1に示すA1―A1線における断面は図3に示す断面と同様である。また、図1に示すB1―B1線およびC1―C1線における断面は、意匠溝61およびモールドパッド71の溝71aの深さを除いて、図3に示す断面と同様である。すなわち、意匠溝42,61,62は意匠溝41と同様の構造である。
【0026】
トリムカバー20には二つの表皮材を縫合するための溝43も形成される。この溝43について図1および図4を用いて説明する。図4図1に示すE―E線における断面図である。
【0027】
モールドパッド51の凹形状の溝51bはシートクッション2の上面全体に亘って前後方向に延伸して略一様の深さで形成されている。また、隣接する表皮材21と表皮材22とが前後方向において全体に糸21dで縫製されて、縫製される際にシート状の接着剤52が縫い付けられ、シート状の接着剤52が溶融した接着剤52aにより溝51b内に押し込まれたトリムカバー20の縫製部21cが溝51aに接着されている。よって、溝43はトリムカバー20の上面全体に前後方向に延伸して形成されている。なお、溝44は溝43と同様の構造である。
【0028】
トリムカバー30に形成される溝64について図1および図4を用いて説明する。図1に示すF―F線における断面は、図4に示す断面と同様である。よって、溝64は溝43と同様の構造である。なお、溝63は溝64と同様の構造である。
【0029】
溝51aへのトリムカバー20の接着方法について図5を用いて説明する。図5はモールドパッドの溝にトリムカバーを接着する方法を説明する図である。
【0030】
まず、シート状の接着剤52を溝51a内に押し込み仮置きする。ここで、シート状の接着剤52はホットメルト接着剤である。次に、押込み板81により表皮材21の折り返し部をモールドパッド51の溝51a内に押し込む。その後、蒸気ノズル82をモールドパッド51内に挿入し、蒸気ノズル82から蒸気を噴出させ、その蒸気または加熱によって溝51a内のシート状の接着剤52を溶融させる。その後シート状の接着剤52が冷却固化することで表皮材21が溝51a内に接着される。なお、蒸気ノズル82からの空気の吸引によってシート状の接着剤52の冷却固化を促進しても良い。
【0031】
また、溝51aに沿って所定間隔で蒸気ノズル72による蒸気の噴出を行うことで、均一に溝51aと表皮材21を接着することが出来る。
【0032】
なお、上記、溝51aへのトリムカバー20の接着方法の説明では、シート状の接着剤52を溝51a内に押し込み仮置きする方法を前提に説明したが、図4に示したトリムカバー20を縫製する際に同時にシート状の接着剤52を縫い付ける方法にも適用可能である。
【0033】
<変形例>
以下、実施例の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施例にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施例と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施例における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0034】
(第一変形例)
第一変形例における車両用シートについて図6から図8を用いて説明する。図6は実施例における車両用シートのトリムカバーの問題点を説明するための断面図である。図7は第一変形例における車両用シートを示す外観図である。図8図7に示すD―D線における断面図である。
【0035】
実施例のように表皮材21を谷折りする場合、表皮21aの材質によっては、例えば、合皮(合成皮革)では癖が付きづらいために溝底で折れない。それにより、図6に示すように、意匠溝の底がV形状ではなく、U形状となり、溝幅が広く、溝底が見えてしまう。また、表皮材21を溝接着する際、表皮21aの裏のワディング21bが溝に入れづらかったり、溝51aの中で接着しづらかったり、意匠溝41の意匠形状がボケてしまったりする。
【0036】
第一変形例における車両用シート1は、図7に示すD-D線周りの中央部の意匠溝41およびD1-D1線の周りの中央部の意匠溝61の中央部の構造を除いて、図1に示す実施例における車両用シートと同様の構造である。
【0037】
図8に示すように、意匠溝41の延在方向における中央部においては、図4に示す溝43と同様に、表皮材21は折り曲げられて(谷折りされて)おらず、表皮材21は切断されている(切れ目が入れられている)。切断されている表皮材21の表皮21aの表面同士が合わされて表皮材21は糸21dにより縫製された縫製部21cを有する。また、縫製部21cには、表皮材21が縫製される際にシート状の接着剤52が縫い付けられ、シート状の接着剤52が熱により溶融した接着剤52aにより溝51a内に押し込まれたトリムカバー20の縫製部21cが溝51aに接着されている。縫製部21cを形成することにより、表皮材21が溝51aに入れ込みやすくなる。また、溝51aに入れ込む表皮材21(意匠溝41)のV字が鋭角になり見栄えがする。
【0038】
なお、図7に示すシートバック3のD1-D1線における断面はシートクッション2のD-D線における断面と同様の構造である。すなわち、意匠溝61は意匠溝41と同様の構造である。また、意匠溝42における断面は意匠溝41と同様の構造である。溝64における断面は意匠溝61と同様の構造である。
【0039】
(第二変形例)
第二変形例における車両用シートについて図9および図10を用いて説明する。図9は第二変形例における表皮材の意匠溝近傍の裏面図であり、図9(a)はワディングに複数の孔が形成される場合であり、図9(b)はワディングに一つの孔が形成される場合である。図10は第二変形例におけるシートクッションの図7に示すD―D線に相当する断面図である。
【0040】
図9に示すように、溝に入れ込む表皮材21の底面部のワディング21bに孔21eを開ける。図9(a)に示すように、孔21eは溝51aの一部であってもよいし、図9(b)に示すように、孔21eは溝51aの全体であってもよい。
【0041】
図10に示すように、ワディング21bに孔21eを設けることにより、表皮材21がV字状に折り曲げることができ、溝51aに入れ込みやすくなる。また、溝51aに入れ込む表皮材21(意匠溝41)のV字が鋭角になり見栄えがする。なお、意匠溝42,61,64における断面は意匠溝41と同様の構造である。
【0042】
(第三変形例)
第三変形例における車両用シートについて図11および図12を用いて説明する。図11は第三変形例におけるトリムカバーの意匠溝近傍の裏面図である。図12は第三変形例におけるシートクッションの図7に示すD―D線に相当する断面図である。
【0043】
第二変形例では溝に入れ込む表皮材21の底面部のワディング21bに孔21eを開けているが、第三変形例ではその孔21eにワディング21bの素材とは異なる素材の部材21fを設ける。
【0044】
図11に示すように、孔21eは溝51aの全体に設けられる。また、部材21fは二つに分れており、部材21fの素材は、例えば、樹脂、不織布、フェルト等である。
【0045】
図12に示すように、ワディング21bに孔21eを設けることにより、表皮材21がV字状に折り曲げることができ、溝51aに入れ込みやすくなる。また、先端に、二つの部材21fを付けることにより剛性が上がるので表皮材21(意匠溝41)のアンカー部分がV字を保ちやすくなる。なお、意匠溝42,61,64における断面は意匠溝41と同様の構造である。
【0046】
(第四変形例)
第四変形例における車両用シートについて図13を用いて説明する。図13は第四変形例におけるシートクッションの図7に示すD―D線に相当する断面図である。
【0047】
実施例と同様に、表皮材21は切断されておらず、表皮材21は折り曲げられている。ただし、溝に入れ込むトリムカバーの底面部をつまみ縫いして意匠溝41はV字形状にされている。ここで、つまみ縫いとは、一般的には、一枚の布を二つに折って輪のまま縫う方法であり、本変形例では表皮材21を折って、ワディング21bの折り山の輪を縫い代としてつまんで縫う。
【0048】
図13に示すように、表皮材21の底面部をつまみ縫いすることにより、表皮材21がV字状に折り曲げることができ、溝51aに入れ込みやすくなる。また、溝51aに入れ込む表皮材21(意匠溝41)のV字が鋭角になり見栄えがする。なお、意匠溝42,61,64における断面は意匠溝41と同様の構造である。
【0049】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
例えば、実施例および変形例では、トリムカバーの着座面に意匠溝を設ける例を説明したが、マチに設けてもよい。
【0051】
また、実施例および変形例では、溝51a内の接着剤としてシート状の接着剤を例に説明したが、接着剤はシート状に限るものではなく、液状、スティック状またはスプレー状の接着剤であってもよい。
【0052】
また、各表皮材は、皮革または布にワディングが積層された例を説明したが、ワディングに裏基布をさらに積層されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
21・・・表皮材(第一表皮材)
21a・・・表皮
21b・・・ワディング
22・・・表皮材(第二表皮材)
22a・・・表皮
22b・・・ワディング
22c・・・縫製部
51・・・モールドパッド
51a・・・溝(第一溝)
52b・・・溝(第二溝)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13