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特許7572365エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生システムとの使用のための物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生システムとの使用のための物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241016BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/42
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021549712
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020055743
(87)【国際公開番号】W WO2020182585
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】19161774.5
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ベッソ クレメント
(72)【発明者】
【氏名】グンダズ ナザン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501805(JP,A)
【文献】特表2014-525251(JP,A)
【文献】国際公開第2013/131763(WO,A1)
【文献】特開平07-147965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生物品であって、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み、前記定量が、1回のみの吸煙のためのエアロゾルの量を発生するために十分な前記エアロゾル形成基体の量を含む、エアロゾル発生物品と、
空気入口と空気出口との間に配置された気流経路と、
前記気流経路がアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、前記気流経路に沿った場所に配置された前記エアロゾル化チャンバと、
前記気流経路を通る空気の流れを選択的に制御するためのフローコントローラであって、空気が前記エアロゾル化チャンバに流入および前記エアロゾル化チャンバから流出し得る、開放構成、ならびに空気が前記エアロゾル化チャンバに流入および前記エアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止される、閉鎖構成を有する、フローコントローラと、を備え、
前記エアロゾル化チャンバが、一度に1つのみのエアロゾル発生物品を受容するように開放するように構成されており、
前記エアロゾル化チャンバが、前記エアロゾル発生物品を収容するように閉鎖するように構成されており、
前記エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品が前記エアロゾル化チャンバ内に受容されたときに、前記エアロゾル化チャンバを加熱するように配置された発熱体をさらに備え、
前記エアロゾル発生システムは、前記フローコントローラが前記閉鎖構成にあるときのみ、前記エアロゾル発生物品を収容する前記エアロゾル化チャンバを加熱するように構成されている、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記定量のエアロゾル形成基体が、約2~30mgのタバコ、より具体的には、約3~20mgのタバコ、より具体的には、約3~9mgのタバコ、さらにより具体的には、約4~8mgのタバコを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記定量のエアロゾル形成基体が、約100μgのニコチン、ニコチン誘導体、またはニコチン類似体を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記定量のエアロゾル形成基体が、約300~1250μgのエアロゾル形成体、より具体的には、約675~875μgのエアロゾル形成体をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記エアロゾル化チャンバが、1つのみのエアロゾル発生物品を収容するようにサイズ決めされている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記エアロゾル発生物品の断面積は、空気が前記エアロゾル発生物品の周囲を、および前記エアロゾル化チャンバを通って、流れ得るように、前記エアロゾル化チャンバの断面積未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記エアロゾル発生物品の前記断面積が、前記エアロゾル化チャンバの前記断面積の約60パーセント~90パーセントである、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記エアロゾル化チャンバが、開口部を備え、前記開口部を通って、前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル化チャンバ内に装填され得、前記エアロゾル発生システムが、前記エアロゾル発生物品の加熱中に前記開口部を閉鎖するための閉鎖具をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
記エアロゾル発生物品を前記エアロゾル化チャンバ内に送達するための送達機構をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記エアロゾル発生物品が、前記気流経路を介して前記エアロゾル化チャンバを出ることを防止するためのガードをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記ガードは、前記エアロゾル化チャンバが前記気流経路の残部に接合される点における前記気流経路の面積の低減を含む、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記ガードが、メッシュまたはプレートを備え、前記メッシュまたはプレートが、そこを通って形成された少なくも1つの孔を有し、前記少なくとも1つの孔は、前記エアロゾル発生物品が、空気が前記気流経路を通って流れることを許容しながら、前記気流経路を介して前記エアロゾル化チャンバから出ることを防止するためのものであり、前記メッシュまたはプレートが、前記気流経路の少なくとも一部分にわたって配置されている、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
数の単回使用のエアロゾル発生物品を貯蔵するための貯蔵ユニットをさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
エアロゾルを発生させる方法であって、前記方法が、エアロゾル発生物品から前記エアロゾルを発生させるように構成されており、前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み、前記定量が、1回のみの吸煙のためのエアロゾルの量を発生するために十分な前記エアロゾル形成基体の量を含み、前記方法が、
空気入口と空気出口との間に気流経路を提供することと、
前記気流経路がアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、前記気流経路に沿った場所に配置される前記エアロゾル化チャンバを提供することと、
前記エアロゾル化チャンバを開放することと、
1つのエアロゾル発生物品を前記エアロゾル化チャンバ内に配置することと、
前記エアロゾル化チャンバを閉鎖して、前記エアロゾル発生物品を収容することと、
前記気流経路を閉鎖して、空気が前記エアロゾル化チャンバに流入および前記エアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止することと、
前記気流経路が閉鎖されている間に前記エアロゾル形成基体がエアロゾル化されるように、前記エアロゾル発生物品を収容する前記エアロゾル化チャンバを加熱することと、
前記空気出口を介して前記発生したエアロゾルをユーザが吸煙し得るように、前記気流経路を開放することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記方法が、前記エアロゾル化チャンバ内に前記エアロゾル発生物品を配置する前に、前記エアロゾル化チャンバ内の度を所定温度まで上昇させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム、システムとの使用のための装置、およびエアロゾルを発生する方法に関する。特に、本発明は、ユーザによって吸煙または吸入される、エアロゾルを発生させるために、加熱によってエアロゾル形成基体を気化する、手持ち式エアロゾル発生システムおよび装置に関する。
【0002】
電池および制御電子機器を含む装置部分と、エアロゾル形成基体を収容または受容するための部分と、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル形成基体を加熱するための電気的に動作するヒーターと、からなる、手持ち式の電気的に動作するエアロゾル発生装置およびシステムが知られている。マウスピース部分もまた含まれ、ユーザは、その口の中にエアロゾルを引き込むためにマウスピース部分上で吸煙し得る。
【0003】
いくつかの装置およびシステムは、液体貯蔵部分に貯蔵された液体エアロゾル形成基体またはe-リキッドを使用する。そのような装置は、典型的には、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から、液体エアロゾル形成基体がエアロゾル化されるヒーターに運ぶために、芯を使用する。そのような装置の問題は、使用中に発生するエアロゾルの量、特に、吸煙毎に発生するエアロゾルの量の正確な測定値を提供しない場合があることである。結果として、ユーザは、エアロゾルまたはエアロゾル中の様々な構成要素のユーザの消費に関する洞察を有しておらず、したがって、ユーザが、単位時間当たりまたは吸煙毎に受容するエアロゾルまたはエアロゾル構成要素の量を制御することを困難にする。液体貯蔵部分中の液体エアロゾル形成基体の総量が既知であり得るため、液体貯蔵部分が空になった時点で受容されるエアロゾルの総量は、概略的に推定され得るが、そのようなシステムおよび装置は、吸煙毎に受容されるエアロゾルの量の指示を提供しない。
【0004】
液体エアロゾル形成基体を使用する装置の吸煙毎に発生するエアロゾルの量を決定するいくつかのパラメータ、例えば、芯の毛細管効果、芯の厚さ、液体貯蔵部分からヒーターまでの距離、および液体の粘度に関連する、加熱エリアに到達する液体の量が存在する。発生するエアロゾルの量に影響を与える、さらなるパラメータは、吸煙コマンドに対する装置の反応性、ヒーターがどの程度速くその作動温度に到達するか、およびそのような作動温度の値を含む。装置のこれらの固有パラメータに加えて、装置の条件および使用に関する他のパラメータ、例えば、装置の物理的配向、液体貯蔵部分内の液体の残量(芯内の液体の移動距離、および芯が濡れているか、または乾燥しているかに影響を及ぼす)、装置が以前に使用されてからの継続時間、吸煙の継続時間、および周囲温度もまた、発生するエアロゾルの量に対する影響を有する。そのようなパラメータは、吸煙毎に消費されるエアロゾルまたはエアロゾル構成要素の量を確実に決定することを困難にする。
【0005】
他のタイプのエアロゾル発生装置およびシステムは、タバコ材料などの固体エアロゾル形成基体を使用する。そのような装置は、そのようなタバコ材料の折り畳まれたシートを含む紙巻きタバコ状ロッドを受容するための凹部を備え得る。凹部内に配置されたブレード状ヒーターは、ロッドが凹部内に受容される際にロッドの中心に挿入される。ヒーターは、タバコ材料を加熱してエアロゾルを発生させるように構成されている。
【0006】
そのような装置によって発生するエアロゾルの量はまた、特定のパラメータ、例えば、ヒーターの周囲のタバコシートの密度分布、ヒーターに対する折り畳まれたタバコシートの配向、および熱がタバコロッド中に拡散する仕方、および使用継続期間によっても決定される。ヒーターブレードに最も近いタバコシートは、ヒーターから最も遠いタバコシートとは異なって加熱され得、このことは、経時的に発生するエアロゾルの量の変動、およびヒーターに最も近いタバコシートの潜在的な過熱を結果的にもたらし得る。
【0007】
発生するエアロゾルの量の、より信頼性の高い決定を提供するエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。ユーザが、エアロゾル、または1つ以上のエアロゾル構成要素のユーザの消費量、またはエアロゾルおよび1つ以上のエアロゾル構成要素の両方の消費量を、より正確に制御することを可能にするエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。発生するエアロゾルの量の、より信頼性の高い決定を提供するエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。ユーザが、エアロゾルまたは1つ以上のエアロゾル構成要素のユーザの消費量を、より正確に制御することを可能にするエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。発生するエアロゾルの量の、より信頼性の高い決定を提供するエアロゾルを発生させるための方法を提供することが望ましい。ユーザが、エアロゾルまたは1つ以上のエアロゾル構成要素のユーザの消費量を、より正確に制御することを可能にするエアロゾルを発生させるための方法を提供することが望ましい。
【0008】
本発明の態様によると、エアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品を備え得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み得る。エアロゾル発生システムは、空気入口と空気出口との間に配置される気流経路を備え得る。エアロゾル発生システムは、気流経路がエアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、気流経路に沿った場所に配置されたエアロゾル化チャンバを備え得る。エアロゾル発生システムは、気流経路を通る空気の流れを選択的に制御するためのフローコントローラを備え得る。フローコントローラは、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出し得る、開放構成、ならびに空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止または遮断される、閉鎖構成を含み得る。エアロゾル化チャンバは、一度に1つのみのエアロゾル発生物品のみを受容するように構成され得る。エアロゾル発生システムは、発熱体を備え得る。発熱体は、エアロゾル化チャンバ内に収容されたときにエアロゾル発生物品を加熱するように配置され得る。エアロゾル発生システムは、フローコントローラが閉構成にあるときのみ、エアロゾル発生物品を加熱するように構成され得る。
【0009】
本発明の態様によると、エアロゾル発生システムであって、エアロゾル発生物品であって、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含む、エアロゾル発生物品と、空気入口と空気出口との間に配置された気流経路と、気流経路がエアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、気流経路に沿った場所に配置されたエアロゾル化チャンバと、気流経路を通る空気の流れを選択的に制御するためのフローコントローラであって、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出し得る、開放構成、ならびに空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に遮断される、閉鎖構成を有する、フローコントローラと、を備え、エアロゾル化チャンバが、一度に1つのみのエアロゾル発生物品を受容するように構成されており、システムは、エアロゾル化チャンバ内でエアロゾル発生物品を加熱するように配置された発熱体をさらに備え、エアロゾル発生システムは、フローコントローラが閉鎖構成にあるときのみ、エアロゾル発生物品を加熱するように構成されている、エアロゾル発生システムが提供される。
【0010】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生させるシステムに関連する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル形成基体を含む物品に関連する。任意選択的に、エアロゾル発生物品はまた、担体材料、ラッパーなどの1つ以上のさらなる構成要素も含み得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「定量」という用語は、測定されたか、または所定量のエアロゾル形成基体を有する、エアロゾル発生物品を指す。定量は、1回の吸入または吸煙中にユーザに送達されるエアロゾル形成基体の用量に対応する。エアロゾル形成基体の定量は、エアロゾルを発生させるために必要とされる構成要素(複数可)を含む。例えば、定量は、所定量のタバコ、ニコチン、もしくは風味剤、またはこれらの組み合わせを含み得る。定量はまた、エアロゾル形成体も含み得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成し得る1つ以上の揮発性化合物を放出することができる基体に関連する。そのような揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出され得る。エアロゾル形成基体は、好都合には、エアロゾル発生装置またはシステムの一部であってもよい。
【0014】
システムは、ユーザが、投与され得るエアロゾル形成基体の用量を正確に決定し、制御することを可能にする。各エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含む。ユーザが装置を使用するとき、ユーザは、エアロゾル発生物品がどの程度の量のエアロゾル形成基体を含むか、およびしたがって、どの程度の量のエアロゾル、またはどの程度の量の1つ以上のエアロゾル構成要素をユーザが受容するかを知る。発生したエアロゾルの量、およびしたがって、エアロゾル構成要素は、定量または所定量のエアロゾル形成基体を有するエアロゾル発生物品によって固定される。
【0015】
エアロゾル発生物品は、単回使用の物品である。本明細書で使用される場合、「単回使用」という用語は、廃棄される前に1回分の吸煙または吸入のみに使用されるように構成される、エアロゾル発生物品を指す。ユーザがエアロゾル発生システムを介して吸煙または吸入する度に、新鮮なエアロゾル発生物品が使用される。これは、エアロゾルの非常に再現性の高い発生を提供し、複数回使用のエアロゾル発生物品、すなわち、1回よりも多い使用のために十分なエアロゾル形成基体を有するエアロゾル発生物品の連続使用で遭遇し得る、エアロゾル発生の変動を低減する。
【0016】
複数回使用のエアロゾル発生物品を使用するとき、ユーザが物品の連続使用にわたって摂取し得るエアロゾルの量に変動が存在し得る。しかしながら、本発明のシステムを使用するとき、使用または吸煙の度に、ユーザは、エアロゾル発生物品によって提供されるエアロゾル形成基体の定量までしかエアロゾル構成要素の用量を摂取することができない。言い換えると、ユーザが使用または吸煙毎に受容し得る最大用量は、エアロゾル形成基体の定量によって決定される。ユーザが2回目のエアロゾル発生物品を使用することを試みたとしても、最大用量は、エアロゾル形成基体の定量に依然として制限される。
【0017】
システムはまた、加熱中に空気がエアロゾル化チャンバに出入りすることを実質的に遮断または阻止する閉鎖構成を有するフローコントローラを有する。フローコントローラは、発生したエアロゾルが、加熱中にエアロゾル化チャンバから漏出することを阻止し得る。したがって、システムは、エアロゾル形成基体がエアロゾル化されるまで、閉鎖系内でエアロゾル発生物品を加熱する。結果として、ユーザが吸煙を行うためにシステムが準備できているとき、ユーザは、どの程度の量のエアロゾルまたはエアロゾル構成要素を受容することになるかを知っている。さらに、エアロゾル発生物品は、単回使用の物品であり、発生したエアロゾルは、1回の吸煙で消費され得るため、例えば、複数回使用のエアロゾル発生物品で、吸煙間で別様に起こり得るエアロゾルの任意の漏出が低減され得る。これは、消費されるエアロゾルおよびエアロゾル構成要素の量に対する改善された洞察およびさらなる制御を提供する。一度使用されると、単回使用のエアロゾル発生物品は、次いで、廃棄され、新鮮な物品と交換され得る。
【0018】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生基体の実質的に全てがエアロゾル化されるように、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバ内に受容されたときに、エアロゾル化チャンバを加熱するように構成され得る。本明細書で使用される場合、「実質的に全て」という用語は、エアロゾル形成基体の少なくとも90パーセントがエアロゾル化されること、より具体的には、エアロゾル形成基体の少なくとも95パーセントがエアロゾル化されること、より具体的には、エアロゾル形成基体の少なくとも98パーセントがエアロゾル化されること、さらにより具体的には、エアロゾル形成基体の少なくとも99パーセントがエアロゾル化されることを意味することが意図される。
【0019】
エアロゾル化チャンバは、エアロゾル発生物品を受容するように開放するように構成され得る。エアロゾル化チャンバは、エアロゾル発生物品を収容するように閉鎖するように構成され得る。エアロゾル化チャンバを閉鎖することはまた、ユーザが吸煙を行う準備ができるまで、加熱中に発生したエアロゾルをエアロゾル化チャンバ内に保持することを支援する。
【0020】
エアロゾル化チャンバは、一度に1つのみの単回使用のエアロゾル発生物品を受容するように構成されている。エアロゾル化チャンバは、1つのみのエアロゾル発生物品を収容するようにサイズ決め、形状決め、または寸法決めされることによって、一度に1つのみの単回使用のエアロゾル発生物品のみを受容するように構成され得る。例えば、球状ビーズまたはペレットなどの実質的に球状のエアロゾル発生物品の場合、エアロゾル化チャンバの寸法は、エアロゾル発生物品の直径の2倍未満、より具体的には、エアロゾル発生物品の直径の1.5倍未満であってもよい。これは、エアロゾル化チャンバ内に既に物品が存在した場合、別の物品を挿入するために十分な空間が存在しないことになるため、2つ以上の物品がエアロゾル化チャンバ内に配置されることを防止することになる。エアロゾル発生物品とエアロゾル発生システムとの間の形状、サイズ、または寸法関係はまた、エアロゾル化チャンバ内の物品の周囲を空気が流れることを可能にし得る。これは、エアロゾル発生チャンバ内のエアロゾル発生物品のいくつかの移動を引き起こし得る。これは、移動する気流内のエアロゾルの効果的な混入を提供し得る。移動するエアロゾル発生物品はまた、エアロゾル化チャンバ内で移動するか、または「がたつく」際に、音を発生させてもよい。これは、ユーザが吸煙または吸入を行う際に、空気がエアロゾル化チャンバを通って流れていることの聴覚的フィードバックをユーザに提供し得る。
【0021】
代替的に、エアロゾル化チャンバは、エアロゾル化チャンバ内のエアロゾル発生物品の数を検出するセンサを有することによって、一度に1つのみの単回使用のエアロゾル発生物品を受容するように構成されてもよい。センサは、例えば、エアロゾル化チャンバ内に2つ以上の物品が存在することによって生じる異なる電界または電磁界をそれぞれ検出するための静電容量センサまたは誘導センサを含み得る。任意選択的に、エアロゾル発生システムは、エアロゾル化チャンバに入る物品の数およびエアロゾル化チャンバを出る物品の数を計数するための1つ以上のカウンターを備え得る。そのようなカウンターは、マイクロスイッチまたは光センサなどのセンサをアクティブ化することによって発生する信号によって増分され得る。制御回路は、物品の数が1つに低減されるまで、エアロゾル発生システムが、エアロゾル化チャンバ内で2つ以上のエアロゾル発生物品を検出した場合、エアロゾル発生システムを非アクティブ化または無効化するように構成され得る。
【0022】
代替的に、エアロゾル化チャンバは、例えば、新しい物品を挿入する前に使用済み物品を常に排出するか、または新しい物品を挿入する工程の一部として使用済み物品を排出することによって、一度に1つのみの物品がエアロゾル化チャンバに送達されることを可能にする送達機構によって、一度に1つのみの単回使用のエアロゾル発生物品を受容するように構成され得る。
【0023】
エアロゾル発生物品の断面積は、エアロゾル化チャンバの断面積未満であり得る。これは、空気がエアロゾル発生物品の周囲を、およびエアロゾル化チャンバを通って流れることを可能にし得る。ここで、断面積は、エアロゾル化チャンバを通る気流の平均方向に直交する平面における、エアロゾル発生物品またはエアロゾル化チャンバの断面積であるとみなされる。エアロゾル化チャンバでは、気流の平均方向は、概して、気流経路がエアロゾル化チャンバに出入りする点の間で実質的に直線である。
【0024】
球状ビーズまたはペレットなどの実質的に球状のエアロゾル発生物品の場合、エアロゾル化チャンバを通る気流の平均方向に直交する方向における、エアロゾル化チャンバの少なくとも1つの断面寸法は、空気がエアロゾル発生物品の周囲を、およびエアロゾル化チャンバを通って流れ得るように、エアロゾル発生物品の直径よりも大きくてもよい。これはまた、物品がチャンバ内で動き回ることも可能にし、このことは、気流にエアロゾルを混入させることを助ける。そのような移動は、空気がエアロゾル化チャンバを通って流れているという、がたつくノイズなどの、聴覚的フィードバックをユーザに提供することになる、ノイズを生じさせ得る。
【0025】
エアロゾル発生物品の断面積は、エアロゾル化チャンバの断面積の約60パーセント~90パーセントであり得る。これは、空気がエアロゾル発生物品の周囲を、およびエアロゾル化チャンバを通って流れることを可能にするために好適な範囲であることが見出されている。また、エアロゾル化チャンバ内の物品の十分な移動も可能にする。
【0026】
エアロゾル化チャンバは、開口部を備え得、開口部を通って、エアロゾル発生物品が、エアロゾル化チャンバ内に装填され得、システムが、エアロゾル発生物品の加熱中に開口部を閉鎖するための閉鎖具をさらに備える。この配置は、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバ内に挿入されることを可能にし、閉鎖具は、ユーザが吸煙または吸入を行う準備ができるまで、いかなるエアロゾルもエアロゾル化チャンバから抜け出すことを防止する。
【0027】
システムは、エアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ内に送達するための送達機構をさらに備え得る。送達機構は、エアロゾル化チャンバ内に形成された少なくとも1つの開口部と係合するか、またはそれを包含し得る。送達機構は、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバに送達されることを可能にし得る。送達機構は、エアロゾル化チャンバ内に新鮮な物品を挿入する前、または同時に、使用済み物品を排出し得る。送達機構は、引き出し機構を備え得る。送達機構は、スライダ機構を備え得る。引き出し機構およびスライダ機構は、弾性的に付勢されたドアを備え得る。
【0028】
エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体(以下に説明される)で被覆されたか、または含浸された、吸収性担体材料のシートまたは細片を備える場合、送達機構は、いくつかの実施形態では、その縁の少なくとも1つによってエアロゾル発生物品を把持するための好適に浅い引き出し機構またはスライドを備え得る。
【0029】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品が、気流経路を介してエアロゾル化チャンバを出るか、またはそこから抜け出ることを防止するためのガードを備え得る。ガードは、エアロゾル発生物品が加熱前および加熱後の両方にエアロゾル化チャンバを出ることを防止し得る。言い換えると、ガードは、エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生物品の予熱または予備エアロゾル化状態、ならびにエアロゾル発生物品の加熱後またはエアロゾル化後状態の両方で、エアロゾル化チャンバを出ることを防止し得る。エアロゾル発生物品の寸法は、エアロゾル形成基体の消失に起因して、加熱後状態でより小さくなり得る。例えば、エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体で被覆されたコア(以下に説明される)を備える、実質的に球状のビーズである実施形態では、ガードは、ビーズおよびコアの両方が気流経路を介してエアロゾル化チャンバから出ることを防止するように構成され得る。
【0030】
任意選択的に、ガードは、エアロゾル化チャンバが気流経路の残部に接合される点における気流経路の断面積の低減を含み得る。すなわち、エアロゾル化チャンバの外側の気流経路の断面積は、エアロゾル化チャンバの断面積よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、気流経路は、エアロゾル化チャンバが気流経路の残部に接合される点で収縮部を有し得る。球状エアロゾル発生物品の場合、エアロゾル化チャンバの外側の気流経路の少なくとも1つの断面寸法は、いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品の直径よりも小さくてもよい。これは、エアロゾル発生物品が気流経路を介してエアロゾル化チャンバを出ることを防止し得る。断面寸法は、気流経路を通る気流の平均方向に直交する方向の断面寸法であり得る。
【0031】
任意選択的に、ガードは、気流経路の少なくとも一部分にわたって配置されたガード部材を備え得る。例えば、ガードは、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバから出ることを防止するために、メッシュ、貫通して形成された少なくとも1つの孔を有するプレート、バッフル、フック、突出部、または別の好適な物理的障害物を備え得る。
【0032】
明らかに、エアロゾル発生物品が、気流経路の下流部分に進入し、空気出口に配置されたマウスピースを介してユーザによって吸入されることを防止するために、エアロゾル化チャンバの下流側にガードを有することがより重要である。しかしながら、ガードは、エアロゾル発生物品が気流経路の上流部分および下流部分内を通過することを防止するために、エアロゾル化チャンバの上流側および下流側の両方に配置されてもよい。
【0033】
システムは、複数のエアロゾル発生物品を貯蔵するための貯蔵ユニットをさらに備え得る。貯蔵ユニットは、ブリスターパックまたは貯蔵部を含み得る。貯蔵ユニットは、エアロゾル発生装置に一体化されてもよいか、またはエアロゾル発生システム内における使用のために装置から分離されてもよい。
【0034】
貯蔵ユニットは、エアロゾル発生物品を貯蔵および分注するための注入器タイプのディスペンサーまたはペンを備え得る。いくつかの実施形態では、ディスペンサーは、出口オリフィスを画定するハウジングを備え得る。ロッドが、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され得る。ロッドは、第1の端に係合面を有し得る。係合面は、エアロゾル発生物品と係合するためのものであり得る。ロッドは、後退位置と伸長位置との間で移動可能であり得る。後退位置は、ロッドの係合面がハウジング内に完全に配設される位置であり得る。伸長位置は、ロッドの係合面がハウジングの外側に配設される位置であり得る。ロッドが後退位置と伸長位置との間で移動するとき、ロッドの係合面は、出口オリフィスを通過し得る。ディスペンサーは、ロッドが後退位置にあるときに単一のエアロゾル発生物品を収容するための装填ゾーンを備え得る。装填ゾーンは、ロッドが後退位置にあるときに、出口オリフィスとロッドの係合面との間に配設され得る。任意選択的に、注入器タイプのディスペンサーは、エアロゾル発生装置の一部であってもよい。任意選択的に、注入器タイプのディスペンサーは、エアロゾル発生装置と解放可能に係合可能であり得る。
【0035】
エアロゾル発生物品は、中心対称性を有し得る。これは、エアロゾル化チャンバ内の物品の位置にかかわらず、再現性のあるエアロゾルの量を発生することを可能にする。エアロゾル発生物品の形状はまた、空気がエアロゾル化チャンバ内の物品の周囲を流れること、およびエアロゾル化チャンバ内におけるいくつかの移動を可能にし得る。これは、移動する気流内のエアロゾルの効果的な混入を提供する。移動する物品はまた、物品がエアロゾル化チャンバ内で移動するか、または「がたつく」際に、音を発生させ得、このことは、ユーザが吸煙または吸入を行う際に、空気がエアロゾル化チャンバを通って流れていることの聴覚的フィードバックをユーザに提供し得る。
【0036】
エアロゾル発生物品は、実質的に球状またはボール状のビーズまたはペレットを含み得る。しかしながら、物品は、他の好適な形状、例えば、菱形形状、または直方体もしくは立方体形状を有してもよい。
【0037】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体で被覆されたコアを備え得る。例えば、コアは、実質的に球状のビーズまたはペレットを含み得る。コアは、耐熱性材料から作製されてもよい。コアは、不活性材料から作製されてもよい。コアは、耐熱性材料および不活性材料の両方から作製されてもよい。本明細書で使用される場合、「耐熱性」という用語は、著しい構造変化または他の有害な形質転換を経ることなく、エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度まで加熱され得るコア材料を指す。エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度は、500℃未満であり得る。エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度は、450℃未満であり得る。エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度は、400℃未満であり得る。エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度は、350℃未満であり得る。エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度は、300℃未満であり得る。「不活性」という用語は、コア材料が、任意の顕著な化学変化または望ましくない副生成物の放出を経ることなく、エアロゾル形成基体のエアロゾル化温度まで加熱され得ることを意味すると受け取られる。コアは、ガラス、金属、またはセラミック材料から形成され得る。例えば、コアは、ガラス球体を含み得る。好ましくは、コア材料は、エアロゾル形成基体がコアの表面上のみに位置するように、平滑であり、不透過性または非多孔質である。これは、コアの表面上に堆積されるエアロゾル形成基体の量を正確に制御することを容易にし、ビーズ間の変動を低減する。さらに、不透過性または非多孔質のコアは、空気がコアに進入せず、コアを通ってではなくコアの外側の周囲を流れることしかできないことを意味する。これは、例えば、エアロゾルを担持する空気が、コアの内側にエアロゾルの一部分を残すこと、またはコアのより低温の内部に形成するエアロゾルの凝縮によって引き起こされる、発生するエアロゾルの量の変動を低減することを助ける。好ましくは、コア材料は、繊維性ではない。
【0038】
いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は、誘導加熱のために構成されてもよい(以下により詳細に説明される)。誘導加熱を意図したエアロゾル発生物品の場合、いくつかの実施形態では、コア材料は、サセプタ材料を含み得る。本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、誘導加熱することができる材料を指す。すなわち、サセプタ材料は、電磁エネルギーを吸収し、それを熱に変換することができる。サセプタ材料は、強磁性金属を含み得る。サセプタ材料は、フェライト材料を含み得る。サセプタ材料は、金属材料を含み得る。サセプタ材料は、フェライト鉄、強磁性鋼、ステンレス鋼、およびアルミニウムのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0039】
サセプタ材料がステンレス鋼を含む実施形態では、サセプタ材料は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの400シリーズのステンレス鋼を含み得る。好適な400シリーズのステンレス鋼は、等級410、等級420、および等級430を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、コアは、部分的にのみ、エアロゾル形成基体で被覆され得る。例えば、コアは、エアロゾル形成基体のパッチで被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、コアは、エアロゾル形成基体で完全に被覆されてもよい。コア上のエアロゾル形成基体のコーティングは、実質的に均一な厚さを有し得る。エアロゾル形成基体のコーティングは、所定の厚さを有して提供され得る。エアロゾル形成基体の厚さは、0.1mm~1.2mmの範囲であり得る。
【0041】
エアロゾル形成基体は、固体を含み得る。エアロゾル形成基体は、液体を含み得る。エアロゾル形成基体は、ゲルを含み得る。エアロゾル形成基体は、固体、液体、およびゲルのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体は、ニコチン、ニコチン誘導体、またはニコチン類似体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、1つ以上のニコチン塩を含んでもよい。1つ以上のニコチン塩は、クエン酸ニコチン、乳酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アルギン酸ニコチン、およびサリチル酸ニコチンからなるリストから選択され得る。
【0043】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体を含み得る。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成体」は、使用時に、高密度で安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある、任意の好適な既知の化合物または化合物の混合物である。好適なエアロゾル形成体は、当業界で周知であり、限定されるものではないが、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなどの多価アルコールのエステル、およびドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなどの、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルが挙げられる。好ましいエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの、多価アルコールまたはその混合物である。
【0044】
エアロゾル形成基体は、風味剤をさらに含み得る。風味剤は、揮発性風味成分を含み得る。風味剤は、メントールを含み得る。本明細書に使用される場合、「メントール」という用語は、その異性体のいずれかにおける化合物2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールを示す。風味剤は、メントール、レモン、バニラ、オレンジ、ウインターグリーン、チェリー、およびシナモンからなる群から選択される風味を提供し得る。風味剤は、加熱時に基体から放出される揮発性タバコ風味化合物を含んでもよい。
【0045】
エアロゾル形成基体は、タバコまたはタバコ含有材料をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、タバコ葉、タバコの茎の断片、再構成タバコ、均質化したタバコ、押し出し成形タバコ、タバコスラリー、キャスト葉タバコ、および膨化タバコのうちのいずれかを含んでもよい。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、不活性材料、例えば、ガラスもしくはセラミック、または別の好適な不活性材料で圧縮されたタバコ粉末を含んでもよい。
【0046】
エアロゾル形成基体が液体またはゲルを含む場合、いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は、吸収性担体を含み得る。エアロゾル形成基体は、吸収性担体上に被覆されるか、または吸収担体内に含浸され得る。例えば、ニコチン化合物およびエアロゾル形成体は、液剤として、水と混合され得る。液剤は、いくつかの実施形態では、風味剤をさらに含み得る。そのような液剤は、次いで、吸収性担体によって吸収されるか、または担体の表面上に被覆され得る。吸収材担体は、その上にニコチン化合物およびエアロゾル形成体が被覆または吸収され得る、セルロースベースの材料のシートであってもよい。例えば、吸収性担体は、紙のシートまたは細片であってもよい。
【0047】
エアロゾル発生物品は、1回のみの吸煙もしくは吸入または用量のためのエアロゾルの量を発生させるために十分な量のエアロゾル形成基体を含み得る。成人ユーザの平均吸煙量は、使用される装置およびエアロゾル発生物品のタイプに依存することになるが、典型的には、約35ml~550mlの範囲内である。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、約2~30mgのタバコ、より具体的には、約3~20mgのタバコ、より具体的には、約3~9mgのタバコ、およびさらにより具体的には、約4~8mgのタバコを含み得る。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、約80~120μg、より具体的には、約90~110μg、さらにより具体的には、約100μgのニコチン、ニコチン誘導体、またはニコチン類似体を含んでもよい。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、約6~20重量%のエアロゾル形成体を含んでもよい。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、約300~1250μg、より具体的には、約675~875μgのエアロゾル形成体を含んでもよい。これらは、1回の吸煙もしくは吸入または用量のための、タバコ、ニコチン、およびエアロゾル形成体のそれぞれの好適な量であることが見出されている。紙などの吸収性担体を含むエアロゾル発生物品の場合、紙は、ユーザに、1回の吸煙もしくは吸入または個々の用量と同等の量を示すために、穿孔またはマーキングされ得る。
【0048】
エアロゾル発生物品は、ビーズまたはペレットに圧縮された複数の粒子を含み得、ビーズまたはペレットは、複数の粒子からエアロゾルを放出するために、所定温度に加熱したときに崩壊するように構成されている。複数の粒子は、所定温度において、溶融するか、または別様にその結合特性を失う結合剤によって一緒に保持されてもよい。粒子は、単一のビーズまたはペレット内に、あるペレットから別のペレットへの粒子の統計的に一貫した均質な分布が存在するように、形状、サイズおよび材料の既知の分布を有し得る。結果として、ペレットのパラメータ、例えば、全体的な形状、サイズ、および表面積は、あるペレットから別のペレットまで一貫することになる。複数の粒子は、タバコの粒子および不活性材料を含み得る。
【0049】
異なるカテゴリのエアロゾル発生物品が存在し得、各々が異なるユーザ体験を提供する。例えば、異なるカテゴリは、エアロゾル形成基体の異なるレシピまたは組成物、異なる濃度のニコチンまたは他の構成要素、および異なる量または厚さのエアロゾル形成基体を有する物品を含み得る。同じカテゴリに属するエアロゾル発生物品は、そのことをユーザまたはエアロゾル発生システムもしくは装置に識別可能にするために、同じ形状、サイズ、または色を有し得る。エアロゾル発生システムまたは装置は、例えば、特定のサイズまたは形状の物品のみを受け入れる送達開口部または機構を有することによって、特定のカテゴリのエアロゾル発生物品のみを受け入れるように構成され得る。代替的に、エアロゾル発生システムまたは装置は、例えば、物品の形状、サイズ、または色を検出するためのセンサを使用することによって、システムまたは装置に挿入されたエアロゾル発生物品のカテゴリを決定するように構成され得る。エアロゾル発生システムまたは装置は、挿入された物品のカテゴリに対応する一組の加熱プログラムまたはレジームを記憶し得る。物品のカテゴリを検出すると、エアロゾル発生システムまたは装置は、挿入された物品のタイプに対応する加熱プログラムまたはレジームを実行するように構成され得る。
【0050】
フローコントローラは、気流経路を通る空気の流れを制御するための任意の好適な装置を含み得る。例えば、フローコントローラは、ゲート弁、開口部弁、バタフライ弁、フラップ弁、ピストン弁、電磁弁、または任意の他の好適な弁などの弁を備え得る。フローコントローラは、一対の制御部材を備え得、その各々が気流経路の一部分を備える。部材の少なくとも1つは、フローコントローラが開放構成にあるときに気流経路のその部分が他の部材の気流経路の部分と位置合わせされた状態になり得るように、またはフローコントローラが閉鎖構成にあるときに他の部材の気流経路の一部分と位置合わせされていない状態に移動され得るように、他の部材に対して並進可能または回転可能であり得る。フローコントローラは、手動で動作可能または電気的に動作可能であり得る。
【0051】
発熱体は、電気抵抗性のある発熱体を含み得る。発熱体は、電気抵抗性の材料を含み得る。好適な電気抵抗性の材料としては、例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、ならびにセラミック材料製および金属材料製の複合材料が挙げられるが、これに限定されない。そのような複合材料は、ドープされたか、またはドープされていないセラミックを含み得る。好適なドープされたセラミックの例としては、ドープされた炭化ケイ素が挙げられる。好適な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、および銀が挙げられる。好適な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性の材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて任意選択的に、断熱材料中に包埋、断熱材料中に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0052】
発熱体は、誘導発熱体であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、発熱体は、時間変化電磁場、例えば、高周波交流電磁場内に配置されることによって加熱可能である発熱体であり得る。誘導発熱体は、サセプタ材料を含み得る。発熱体は、エアロゾル発生システムの一部であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル化チャンバは、サセプタ材料で少なくとも部分的に裏打ちされるか、または被覆され得る。発熱体は、エアロゾル発生物品の一部であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は、サセプタ材料を含むことによって誘導発熱体を含み得る。サセプタ材料は、任意のいくつかの方法でエアロゾル発生物品に組み込まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は、サセプタ材料を含むコアを備え得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成基体は、サセプタ粒子、細片、リボン、断片、ペレット、またはビーズを含み得る。いくつかの実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生物品の両方の一部であってもよい。
【0053】
サセプタ材料は、強磁性金属を含み得る。サセプタ材料は、フェライト材料を含み得る。サセプタ材料は、金属材料を含み得る。サセプタ材料は、フェライト鉄、強磁性鋼、ステンレス鋼、およびアルミニウムのうちの少なくとも1つを含み得る。異なる材料は、類似の値の周波数および磁界強度を有する電磁場内に位置付けられたときに、異なる量の熱を発生させることになる。それゆえに、サセプタ材料は、既知の電磁場内で望ましい電力損失を提供するように選択され得る。いくつかの実施形態では、サセプタ材料は、エアロゾル発生システムによって提供される電磁コイルによって加熱され得、磁気コイルは、エアロゾル化チャンバの周囲に配置される。
【0054】
サセプタ材料がステンレス鋼を含む実施形態では、サセプタ材料は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの400シリーズのステンレス鋼を含み得る。好適な400シリーズのステンレス鋼は、等級410、等級420、および等級430を含む。
【0055】
発熱体は、エアロゾル化チャンバ内に配置され得る。例えば、いくつかの実施形態では、発熱体は、エアロゾル化チャンバ内に延在するか、またはエアロゾル化チャンバの内部表面上に配置され得る。いくつかの実施形態では、発熱体は、エアロゾル化チャンバの内部表面上の電気抵抗性の材料の軌道として形成され得る。いくつかの実施形態では、発熱体は、エアロゾル化チャンバ内に配置された誘導発熱体を備え得、エアロゾル化チャンバの周囲に配置された電磁コイルによって加熱される。
【0056】
発熱体は、エアロゾル化チャンバの外側に配置され得る。例えば、発熱体は、エアロゾル化チャンバの周囲に配置された抵抗加熱コイルを含み得る。
【0057】
発熱体は、エアロゾル化チャンバの一部を形成し得る。例えば、発熱体は、エアロゾル化チャンバの壁に組み込まれてもよいか、またはエアロゾル化チャンバの壁が、電気抵抗性の金属容器を含んでもよい。
【0058】
エアロゾル発生システムは、複数の発熱体を備え得る。
【0059】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル化チャンバの周囲に提供された絶縁体を備え得る。絶縁体は、真空絶縁体またはエアロゲルを含み得る。絶縁体は、挿入および排出されるペレットのための空間を提供するためにU字形であり得る。
【0060】
本発明の別の態様によると、上で説明されたエアロゾル発生システムにおける使用のためのエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生させるように構成され得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み得る。エアロゾル発生装置は、空気入口と空気出口との間に配置される気流経路を備え得る。エアロゾル発生装置は、気流経路がエアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、気流経路に沿った場所に配置されたエアロゾル化チャンバを備え得る。エアロゾル発生装置は、気流経路を通る空気の流れを選択的に制御するためのフローコントローラを備え得る。フローコントローラは、開放構成および閉鎖構成を有し得る。フローコントローラの開放構成は、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出し得る構成であり得る。フローコントローラの閉鎖構成は、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止または遮断される構成であり得る。エアロゾル化チャンバは、一度に1つのみのエアロゾル発生物品を受容するように構成され得る。エアロゾル発生装置は、発熱体を備え得る。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバ内に受容されたときに、エアロゾル化チャンバを加熱するように配置され得る。エアロゾル発生装置は、フローコントローラが閉鎖構成にあるときのみ、エアロゾル発生物品を収容するエアロゾル化チャンバを加熱するように構成され得る。
【0061】
本発明の態様によると、上記のエアロゾル発生システムにおける使用のためのエアロゾル発生装置であって、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生させるように構成されており、エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み、エアロゾル発生装置は、空気入口と空気出口との間に配置された気流経路と、気流経路がエアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、気流経路に沿った場所に配置されたエアロゾル化チャンバと、気流経路を通る空気の流れを選択的に制御するためのフローコントローラであって、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出し得る、開放構成、ならびに空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止または遮断される、閉鎖構成を有する、フローコントローラと、を備え、エアロゾル化チャンバが、一度に1つのみのエアロゾル発生物品を受容するように構成されており、エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバ内に受容されたときにエアロゾル化チャンバを加熱するように配置された発熱体をさらに備え、エアロゾル発生装置は、フローコントローラが閉鎖構成にあるときのみ、エアロゾル発生物品を収容しているエアロゾル化チャンバを加熱するように構成されている、エアロゾル発生装置が提供される。
【0062】
装置は、エアロゾル化チャンバを収容するためのハウジングと、発熱体と、気流経路と、フローコントローラと、を備え得る。ハウジングは、本体部分を備え得る。ハウジングは、マウスピース部分を備え得る。空気入口は、ハウジングの長さに沿った点に配置され得る。空気出口は、マウスピース部分の口側端に配置され得る。このようにして、ユーザは、マウスピース部分で、またはマウスピース部分に形成され得る、空気出口を介してエアロゾルを吸煙または吸入することができ得る。マウスピース部分は、本体部分から分離可能であってもよい。
【0063】
エアロゾル発生装置は、電源を備え得る。エアロゾル発生装置は、制御回路を備え得る。本体部分は、電源を備え得る。本体部分は、制御回路を備え得る。制御回路は、電源から発熱体への電力の供給を制御するように構成され得る。制御回路は、マイクロコントローラを備え得る。マイクロコントローラは、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積チップ(ASIC)もしくは制御を提供することができる他の電子回路であってもよい。制御回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、制御回路は、センサ、スイッチ、ディスプレイ要素のいずれかを備えてもよい。電力は、連続的にまたは電流のパルスの形態のいずれかで、吸煙の持続時間の間、発熱体に供給され得る。電源は、電池であってもよい。電池は、装置内のリン酸鉄リチウム電池であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、装置は、エアロゾル化チャンバまたは発熱体の温度を監視するための、エアロゾル化チャンバ内、またはその近傍に位置するセンサをさらに備え得る。いくつかの実施形態では、制御回路は、発熱体の温度を監視し得る。いくつかの実施形態では、制御回路は、発熱体の電気抵抗を決定することによって発熱体の温度を監視し得、抵抗は、発熱体の温度に関連している。抵抗と温度との間の関係は、アルゴリズムで定義され得る。抵抗と温度との間の関係は、制御回路のメモリに記憶されたルックアップテーブル内で定義されてもよい。
【0065】
装置は、吸煙を検出するためのセンサを備え得る。センサは、二次気流経路内に配置されたフロー検出器を含み得る。二次気流経路は、エアロゾル化チャンバを通って流れる気流経路よりも小さい断面を有し得る。エアロゾル化チャンバを通る気流経路は、一次気流経路と称され得る。いくつかの実施形態では、センサは、静電容量センサを含み得る。静電容量センサは、装置のマウスピースの近傍に配置され得る。静電容量センサは、ユーザがマウスピースをその唇と接触させたときを検出するように構成され得る。
【0066】
本発明のさらに別の態様によると、エアロゾルを発生させる方法が提供される。方法は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品からエアロゾルを発生させるように構成され得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み得る。方法は、空気入口と空気出口との間に気流経路を提供することを含み得る。方法は、気流経路がエアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、気流経路に沿った場所に配置されたエアロゾル化チャンバを提供することを含み得る。方法は、1つのエアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ内に配置することを含み得る。方法は、気流経路を閉鎖して、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止または遮断することを含み得る。方法は、気流経路が閉鎖されている間にエアロゾル形成基体がエアロゾル化されるように、エアロゾル発生物品を収容するエアロゾル化チャンバを加熱することを含み得る。方法は、空気出口を介して発生したエアロゾルをユーザが吸煙し得るように、気流経路を開放することを含み得る。
【0067】
本発明の態様によると、エアロゾルを発生させる方法であって、方法は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生させるように構成され、エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の1回分の定量を含み、方法は、空気入口と空気出口との間の気流経路を提供することと、気流経路がエアロゾル化チャンバの少なくとも一部分を通過するように、気流経路に沿った場所に配置されたエアロゾル化チャンバを提供することと、1つのエアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ内に配置することと、気流経路を閉鎖して、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に防止または遮断することと、気流経路が閉鎖されている間にエアロゾル発生基体がエアロゾル化されるように、エアロゾル発生物品を収容するエアロゾル化チャンバを加熱することと、ユーザが空気出口を介して発生したエアロゾルを吸煙し得るように、気流経路を開放することと、を含む、方法が提供される。
【0068】
方法は、エアロゾル化チャンバ内にエアロゾル発生物品を配置する前に、エアロゾル化チャンバ内の温度を所定温度まで上昇させることを含み得る。これは、エアロゾル発生物品が挿入されるときに、エアロゾル化チャンバの開始温度のいかなる変動も低減されることを可能にする。そのような変動は、例えば、屋外または気候のグローバルな変動とは対照的に、屋内などの、異なる周囲温度で方法を実施することによって引き起こされ得る。所定温度は、エアロゾル化温度であり得る。好ましくは、エアロゾル化温度は、160~350℃以内であり、使用される温度は、エアロゾル形成基体のタイプおよびユーザの味覚選好に依存し得る。エアロゾル発生システムまたは装置は、ユーザが、その味覚選好に依存してエアロゾル化温度を制御し得るように構成され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、方法は、エアロゾル化チャンバ内の温度を第1の所定温度まで上昇させることを含む。第1の所定温度は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために使用されるエアロゾル化温度よりも低い温度であり得る。第1の所定温度は、典型的に遭遇する最大周囲温度よりも高い温度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の所定温度は、50℃~300℃の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、第1の所定温度は、50℃~250℃の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、第1の所定温度は、50℃~200℃の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、第1の所定温度は、50℃~150℃の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、第1の所定温度は、50℃~100℃の範囲内であり得る。方法は、エアロゾル化チャンバ内の温度を第2の所定温度まで上昇させることを含み得る。第2の所定温度は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するためのエアロゾル化温度であり得る。方法は、イベントを示す信号に応答して、エアロゾル化チャンバを第2の所定温度まで上昇させることを含み得る。イベントは、エアロゾル発生物品の挿入であり得る。イベントは、ユーザが吸煙開始を希望することを装置に信号発信するボタンをユーザが押すことであり得る。イベントは、マウスピースとユーザの口との間の接触の検出であり得る。イベントは、吸煙の検出であってもよい。イベントは、吸煙の開始の検出であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化チャンバを所定温度まで加熱する代わりに、方法は、例えば、温度センサを使用して、エアロゾル化チャンバの開始温度を検出し、加熱プロセスの一部として理想的な開始温度からの任意の偏差を考慮し得る。そのような偏差を考慮するアルゴリズムは、例えば、制御回路の一部を形成するマイクロコントローラ内のメモリに記憶され得る。
【0071】
1つ以上の態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様に等しく適用されてもよい。特に、エアロゾル発生システムに関連して説明された特徴は、エアロゾル発生装置またはエアロゾルを発生させる方法に等しく適用されてもよく、その逆も可能である。
【0072】
ここで、本発明の実施形態が、単に例として、以下の添付図面を参照しながら、説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本発明の実施形態による、システムまたは装置における使用のためのエアロゾル発生物品を通る断面図である。
図2】本発明の実施形態による、システムまたは装置における使用のための別のエアロゾル発生物品の側面斜視図である。
図3】本発明の実施形態による、装置の概略断面側面図である。
図4A】本発明の実施形態による、エアロゾルを発生させる方法を示すフローチャートである。
図4B】本発明の別の実施形態による、エアロゾルを発生させる方法を示すフローチャートである。
図5】エアロゾル化チャンバ内に位置するエアロゾル発生物品の周囲の気流を示す、図3の装置のエアロゾル化チャンバの拡大断面側面図である。
図6】エアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ内に送達するための開口部を示す、図3の装置の概略側面図である。
図7A】装置のエアロゾル化チャンバ内にエアロゾル発生物品を送達するための引き出し機構を有する、本発明の別の実施形態による装置の概略側面図である。
図7B-7C】図7A、7Bは、それぞれ開放および閉鎖構成の引き出し機構を示す、図7Aの線A-Aに沿って切り取られた概略断面図である。
図8】本発明の実施形態による、システムまたは装置における使用のためのエアロゾル発生物品を貯蔵するためのブリスターパックの平面図である。
図9A-9C】図9A図9B、および図9Cは、本発明の実施形態による、システムまたは装置における使用のためのエアロゾル発生物品を、それぞれ3つの異なる動作段階に貯蔵および送達するための注入器タイプのディスペンサーの概略断面図である。
図10】それぞれ、複数のエアロゾル発生物品を貯蔵し、エアロゾル発生物品を装置のエアロゾル化チャンバに送達するための一体型の貯蔵および送達機構を有する、本発明のさらなる実施形態による装置の平面断面図である。
【0074】
図1は、エアロゾル発生システムまたは装置における使用のためのエアロゾル発生物品を通る断面図を示す。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体4で被覆されているコア2を有する、実質的に球状またはボール状のビーズまたはペレット1を備える。コア2は、不活性材料であるガラスから作製され、それゆえに、ビーズ1が加熱されたときに望ましくない副生成物を生成しない。ガラスはまた、高溶融温度を有し、それゆえに、その構造的完全性を失うことなく、加熱中に典型的に遭遇する温度(一般的に500℃未満)に耐えることができる。ガラスコア2はまた、エアロゾル形成基体4がその表面上のみに位置するように、平滑であり、不透過性または非多孔質である。これは、コア2の表面上に堆積されているエアロゾル形成基体4の量を正確に制御することをより容易にし、ビーズ間の変動を低減する。
【0075】
実質的に球状であるビーズ1は、中心対称性を有し、このことは、エアロゾル化チャンバ内のビーズの位置にかかわらず、発生するエアロゾルの再現性のある量を結果的にもたらす。球状形状はまた、エアロゾル化チャンバ内の移動を可能にする。さらに、不透過性または非多孔質のコアは、空気がビーズ1を通らず、ビーズ1の外側の周囲のみを流れ得ることを意味する。これは、例えば、エアロゾルを担持する空気が、ペレットの内側にエアロゾルの一部分を残すこと、またはビーズ1のより低温の内部におけるエアロゾルの凝縮によって引き起こされる、発生するエアロゾルの量の変動を低減することを助ける。
【0076】
コア2の他の好適な材料としては、例えば、セラミックまたは熱硬化性プラスチックが使用され得る。誘導加熱されることを意図されるエアロゾル発生物品について、コア2は、ステンレス鋼などのサセプタ材料を含み得る。
【0077】
ビーズ1は、単回使用のエアロゾル発生物品であり、定量のエアロゾル形成基体4を含む。定量は、1回のみの吸煙または吸入のためのエアロゾルの量を発生させるために十分な量のエアロゾル形成基体4を構成する。エアロゾル形成基体4は、100μgのニコチンを含み、これは、1回のみの吸煙に好適なニコチンの量であることが見出されている。典型的なセッション中、ユーザは、エアロゾル発生装置上で10~12回の吸煙を行い得、それゆえに、10~12個のビーズ1を使用し、およそ1.0~1.2mgのニコチンを受容することになる。しかしながら、ユーザは、1回のセッション中に10~12個のビーズの各々を使用する必要はないが、定量を摂取することを所望する際、およびそのときに、単に吸煙を行い得る。説明される実施形態では、エアロゾル形成基体4は、20%~47%のセルロース(乾燥重量ベース)、8%のカルボキシメチルセルロース、3%の繊維、35%のグリセリン、および2%の乳酸ニコチンを含む。
【0078】
エアロゾル形成基体4は、硬化される前に、スラリーとして形成され、ガラスコア2の周囲に被覆される。ビーズ1は、全体的な直径がおよそ5mmであり、およそ3~3.5mmの直径を有するコア2と、およそ0.75~1mmの厚さを有するエアロゾル形成基体4とを伴う。
【0079】
図2は、エアロゾル発生システムまたは装置における使用のための別のエアロゾル発生物品10の側面斜視図を示す。エアロゾル発生物品10は、リール12にスプールされる、ある長さの紙細片14を含む。紙細片14は、液体またはゲルのエアロゾル形成基体(図示せず)で含浸される吸収性担体材料として機能する。紙片14は、規則的に間隙を介した間隔で、その幅にわたって一連のマーキングまたは穿孔16を備え、一連の紙セクション18を画定する。各紙セクション18は、1回のみの吸煙のためのエアロゾルの量を発生させるために十分な量のエアロゾル形成基体を収容する。使用時に、ユーザは、1つの紙セクション18を次の組のマーキングまたは穿孔16で切り離し、1回の吸煙のためのエアロゾルを発生させるために、紙セクション18をエアロゾル発生装置またはシステムに挿入し得る。エアロゾル形成基体は、ニコチン塩およびエアロゾル形成体を含む。リール12は、エアロゾル形成基体の蒸発または分解を防止するために使用されていないときに、リール12をカバーするためのカバー(図示せず)を備える。
【0080】
図3は、本体部分102aおよびマウスピース部分102bを有するハウジング102を備えるエアロゾル発生装置100の概略断面側面図を示す。本体部分102aは、電源の役割を果たす電池104と、装置100の動作を制御するための制御回路106と、を備える。マウスピース部分102bは、ハウジング102の上部に配置された空気入口110と、マウスピース部分102bの口側端のマウスピース114に配置された空気出口112と、を備える。気流経路108が、空気入口110と空気出口112との間に配置されている。気流経路は、マウスピース部分102bを通過する導管または通路の形態である。エアロゾル化チャンバ116は、気流経路108に沿った場所に配置される。気流経路108の少なくとも一部分は、エアロゾル化チャンバ116を通過する。言い換えると、エアロゾル化チャンバ116は、気流経路108の一部である。
【0081】
説明される実施形態では、第1の発熱体118が、エアロゾル化チャンバ116の上部に配置され、第2の発熱体120が、エアロゾル化チャンバ116の下部に配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、エアロゾル化チャンバは、エアロゾル化チャンバの壁を裏打ちする単一の発熱体によって加熱され得る。発熱体118および120は、抵抗性の発熱体であり、制御回路106を介して電池104に電気的に接続されている。発熱体118および120は、エアロゾル化チャンバ116内に位置するエアロゾル発生物品を加熱するように配置されている。エアロゾル化チャンバ116は、エアロゾル化チャンバがエアロゾル発生物品を受容し得るように、開口部または開口部(図示せず)を有する。開口部は、エアロゾル発生物品を収容するために閉鎖され得る。図3は、エアロゾル化チャンバ内に位置する、図1に例示されるものなどのビーズ1を示す。エアロゾル化チャンバ116はまた、エアロゾル化チャンバ116内の温度を決定するための温度センサ(図示せず)を備える。
【0082】
エアロゾル発生装置100は、エアロゾル化チャンバ116の上流の気流経路108に沿った点に配置された第1の弁122と、エアロゾル化チャンバ116の下流の気流経路108に沿った点に配置された第2の弁124と、をさらに備える。弁122および124は、電気的に動作され、制御回路106に接続され、制御回路106によって制御され得る。弁122および124は、気流経路108を通る、特にエアロゾル化チャンバ116を通る空気の流れを選択的に制御するためのフローコントローラとして機能する。弁122および124が開放されているとき、空気は、エアロゾル化チャンバ116に流入およびエアロゾル化チャンバから流出し得、弁122および124が閉鎖されているとき、エアロゾル化チャンバ116に流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に遮断される。それゆえに、弁122および124は、弁122および124が閉鎖されているときにエアロゾルがエアロゾル化チャンバ116から漏出することを阻止される閉鎖系でビーズ1が加熱され得るように、エアロゾル化チャンバ116を隔離することができる。
【0083】
スイッチ126は、ユーザが吸煙を行うことを希望するときを、ユーザが装置100に示すことを可能にするように提供される。スイッチ126は、ハウジング102の外側上面上に配置され、制御回路106に接続される。スイッチ126が押されると、ユーザが吸煙を行うことを希望する信号が、制御回路106に送られる。発光ダイオード(LED)128の形態のインジケータが、ハウジング102の外側上面上に提供されて、エアロゾルがエアロゾル化チャンバ116内で発生し、装置100が吸煙を行う準備ができているときに、ユーザに示す。
【0084】
図4Aは、本明細書に説明されるように単回使用のエアロゾル発生物品からエアロゾルを発生させる方法200aを記載するフローチャートを示し、エアロゾル発生物品は、所定量のエアロゾル形成基体を備える。方法は、本明細書に説明されるエアロゾル発生システムまたは装置によって実施され得る。
【0085】
方法は、工程S1で開始し、ユーザは、吸煙を要求する。吸煙は、要求に応じて、例えば:
・ユーザがスイッチを押すことによって、もしくはユーザがエアロゾル化チャンバ内にペレットを送達するために機構をアクティブ化することによって、または
・例えば、マウスピース内に位置する静電容量センサを使用することによって、ユーザが装置のマウスピースをユーザの唇に配置することを検出することによって、または
・吸煙検出、すなわち、フローセンサを使用して、装置上のユーザの吸煙を検出することによって、要求され得る。
【0086】
代替的に、吸煙は、計画されたプログラムの一部として、例えば、医療プログラムの一部として、要求されてもよい。この場合、吸煙のスケジュールされた時間に達したとき、方法は、例えば、視覚的または聴覚的アラートを使用して、ユーザに示し得、ユーザは、例えば、スイッチを押すことによって、プロセスの開始を検証する(またはしない)か否かを決定し得る。図3の装置100では、スイッチ126を押すことによって吸煙が要求される。
【0087】
次の工程S2は、気流経路を閉鎖することである。これは、ユーザが吸煙を行うまでエアロゾルを保持するようにエアロゾルがエアロゾル化チャンバ内で発生し得るように、空気がエアロゾル化チャンバに流入およびエアロゾル化チャンバから流出することを実質的に遮断する。図3の装置100では、これは、弁122および124を閉鎖することによって達成される。
【0088】
次の工程S3は、エアロゾル化チャンバ内の温度を所定温度まで上昇させることである。この実施形態では、所定温度は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために必要とされるエアロゾル化温度である。エアロゾル化チャンバをエアロゾル化温度まで予熱することは、エアロゾル発生物品が挿入されるときに、エアロゾル化チャンバの開始温度のいかなる変動も低減されることを可能にする。エアロゾル化温度は、使用されるエアロゾル形成基体のタイプ、およびユーザの味覚選好にも依存し、この実施形態では、160~350℃以内である。エアロゾル発生システムまたは装置は、特定のタイプの物品を加熱するように適合されるか、またはその形状もしくは色などの物品の属性に基づいてエアロゾル化チャンバ内に挿入された物品のタイプを決定することができるため、またはユーザが、例えば、ユーザインターフェース(図示せず)を介して、そのような情報を入力しているため、加熱しなければならないエアロゾル発生物品のタイプを知ることになる。それゆえに、エアロゾル発生システムまたは装置は、物品に含まれるエアロゾル形成基体のタイプ、コア2または担体材料上のエアロゾル形成基体の厚さ、およびエアロゾル発生物品の幾何学的形状を知ることになる。それゆえに、装置は、エアロゾル発生物品を加熱するために装置が必要とされるエアロゾル化温度が何度かを決定し得る。代替的に、ユーザは、味覚選好に従って、ユーザインターフェースを介してエアロゾル化温度を制御し得る。
【0089】
図3の装置100では、エアロゾル化チャンバ116内に位置する温度センサ(図示せず)は、エアロゾル化チャンバ116がエアロゾル化温度に達したという信号を制御回路106に送る。LED128は、エアロゾル化チャンバ116が、例えば、特定の色を点滅または表示することによって、エアロゾル化温度に達したことを示し得る。一旦、エアロゾル化チャンバ116がエアロゾル化温度に達すると、図1に例示されるビーズ1などのエアロゾル発生物品を受容する準備ができる。装置は、エアロゾル化温度が達するまで、ビーズがエアロゾル化チャンバ内に挿入されることを防止し得る。
【0090】
工程S3は、エアロゾルを発生させる方法200aに必須ではない。エアロゾル化チャンバを所定温度に加熱する代わりに、方法は、例えば、図1の装置100の温度センサを使用して、エアロゾル化チャンバの開始温度を検出し、加熱プロセスの一部として、すなわち、以下に論じられる工程S5における、理想的な開始温度からの任意の偏差を考慮し得る。そのような偏差を考慮するアルゴリズムは、例えば、図1の装置100の制御回路106の一部を形成するマイクロコントローラ内のメモリに記憶され得る。
【0091】
次の工程S4は、1つのエアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ内に挿入することである。一度に1つのみのエアロゾル発生物品が挿入され、1回分の定量を送達するために任意の1回にエアロゾル化チャンバ内に1つのみの物品が存在する。それゆえに、以前に消費された物品がエアロゾル化チャンバから排出された後のみ、またはそれと同時のみに、物品がエアロゾル化チャンバ内に挿入される。エアロゾル発生物品を挿入するいくつかのやり方が以下に論じられる。
【0092】
次の工程S5は、エアロゾルを発生させるために、エアロゾル発生物品を所定時間量、加熱することである。エアロゾル化温度は、既にエアロゾル化温度にある。エアロゾル発生装置は、特定のタイプの物品を加熱するように適合されるか、またはその形状もしくは色などの物品の属性に基づいてエアロゾル化チャンバ内に挿入された物品のタイプを決定することができるため、またはユーザが、例えば、ユーザインターフェース(図示せず)を介して、そのような情報を入力しているため、加熱しなければならないエアロゾル発生物品のタイプを知ることになる。それゆえに、エアロゾル発生システムまたは装置は、物品に含まれるエアロゾル形成基体のタイプ、コア2または担体材料上のエアロゾル形成基体の厚さ、およびエアロゾル発生物品の幾何学的形状を知ることになる。それゆえに、装置は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために、エアロゾル形成温度でエアロゾル発生物品を加熱する時間の長さを決定し得る。繰り返しになるが、加熱アルゴリズム、または加熱パラメータを含むルックアップテーブルは、例えば、図1の装置100の制御回路106の一部を形成するマイクロコントローラ内のメモリに記憶され得る。エアロゾル発生物品は、実質的に全てのエアロゾル形成基体がエアロゾル化されるように加熱され、そのため、ユーザは、どの程度の量のエアロゾルおよびエアロゾル構成要素を受容しているかを知る。一旦、全てのエアロゾル形成基体がエアロゾル化されると、方法は、吸煙が行われ得る時点に達している。
【0093】
次の工程S6は、吸煙が行われ得ることの表示を提供することである。ユーザが吸煙を行うことができるときをユーザに示すことによって、エアロゾルが依然として発生している間に、ユーザが吸煙を行うことが防止されるため、ユーザに送達可能なエアロゾルの量の変動が低減され得る。表示は、視覚的または聴覚的信号をユーザに送ることによって、または何らかの他の信号、例えば、触覚的フィードバックを介して提供され得る。図3の装置100では、表示は、LED128によって、例えば、点滅状態から連続状態に変化することによって、または例えば、黄色から緑色に色を変化させることによって提供される。
【0094】
次の工程S7は、吸煙の開始を検出することである。吸煙の開始は、いくつかの異なる方法、例えば:
・吸煙が行われ得ることが提供されている表示の後にスイッチが押されていることを検出することによって、
・エアロゾル化チャンバを通って流れる一次気流経路を妨げないように、より小さい断面積を有する二次空気流経路を提供し、フローセンサまたは吸煙センサを使用して、ユーザが吸煙を取ることによって引き起こされる二次気流経路を通る空気の流れを検出することによって、または
・例えば、マウスピース内に位置する静電容量センサを使用することによって、ユーザが装置のマウスピースをユーザの唇に配置することを検出することによって、検出され得る。
【0095】
図3の装置100では、吸煙の開始は、吸煙が行われ得ることが提供されている表示の後に、ユーザがスイッチ126を押すことによって検出される。
【0096】
次の工程S8は、発生したエアロゾルがエアロゾル化チャンバを出て、ユーザがエアロゾルを吸煙し得るように、気流経路を開放することである。図3の装置100では、これは、弁122および124を開放することによって達成される。
【0097】
次の工程S9は、吸煙の終了を決定することである。吸煙の終了は、例えば:
・吸煙の開始から吸煙が完了されるまでの一定の経過時間量を可能にすることによって、
・所定期間Tの間に時間T1で吸煙センサ信号の消失を検出することであって、吸煙センサ信号が吸煙の開始時にアクティブ化され、例えば、T1<Tの場合、これは、吸煙が終了する前にユーザが吸煙を中断し、それゆえに、エアロゾルの全量を受容しなかったことを示すことになるが、T1>Tの場合、これは、吸煙が完了し、方法が新たな吸煙のためにリセットし得ることを示すことになる、検出することによって、もしくは
・例えば、静電容量センサを使用して、装置のマウスピースからのユーザの唇の除去を検出することによって、または
・上記の組み合わせによって、決定され得る。
【0098】
吸煙の終了を検出するための吸煙センサは、吸煙が行われている間に一次気流経路が開放されることになるため、一次気流経路、すなわち、エアロゾル化チャンバを通って流れる経路上に配置され得る。吸煙センサは、吸煙中に気流経路を通って引き出される空気の流れを監視し得、吸煙中にエアロゾル化チャンバを通って引き出された空気の量が、エアロゾル化チャンバ内の全てのエアロゾルを摂取するために十分であったか否かを決定するために、任意の変動が評価され得る。発生したエアロゾルの量、および接種されたエアロゾルの量の任意の変動は、メモリ、例えば、図3の装置100の制御回路106の一部を形成しているマイクロコントローラのメモリに記憶され、ユーザによって受容されたエアロゾルおよびエアロゾル構成要素の量についての情報を提供し得る。
【0099】
方法200aの最終工程S10は、使用済みエアロゾル発生物品およびエアロゾル化チャンバ内の任意の残留空気またはエアロゾルを排出することである。これは、例えば:
・エアロゾル発生物品を装置またはシステムから外に、または使用済み物品の貯蔵部に向かって押すためのピストンなどの排出機構を提供することによって、達成され得る。これはまた、エアロゾル化チャンバ内の任意の残留エアロゾルを排出することになるか、または
・排出が自動的に実施されるように、新しい物品を挿入する工程のエアロゾル発生物品部の排出を行うことによって、例えば、新しい物品を挿入するための機構が、エアロゾル化チャンバから使用済み物品を同時に排出するとともに、任意の残留エアロゾルを排出し得る。
【0100】
エアロゾル化チャンバ内の任意の残留エアロゾルは、主気流経路を介して、または専用排出経路を介して排出され得る。吸煙後にエアロゾル化チャンバ内に残留する任意のエアロゾルは、冷却および凝縮するか、またはその特性が望ましくないほど別様に変化する。それゆえに、専用排出経路を有することは、主気流経路を汚染する残留エアロゾルを防止するために有用であり得る。
【0101】
図4Bは、本明細書に説明されるように単回使用のエアロゾル発生物品からエアロゾルを発生させる別の方法200bを記載するフローチャートを示し、エアロゾル発生物品は、所定量のエアロゾル形成基体を備える。繰り返しになるが、方法は、本明細書に説明されるエアロゾル発生システムまたは装置によって実施され得る。
【0102】
図4Bでは、方法200bの方法S1、S2、S4、およびS5~S10の方法の工程は、図4Aの方法200aに記載される対応する方法工程と同一である。
【0103】
方法200bの方法工程S3は、エアロゾル化チャンバ内の温度を第1の所定温度まで上昇させることを伴う。第1の所定温度は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために使用されるエアロゾル化温度未満である。第1の所定温度は、典型的に遭遇する最大周囲温度よりも高い。説明される実施形態における所定温度は、およそ90℃であるが、これは、必要に応じて変更され得る。第1の所定温度はまた、概して、エアロゾル化チャンバまたは発熱体が電力を供給されないときに、すなわち、吸煙間の熱損失に起因して、加熱サイクル後に低減する温度よりも高い。これは、エアロゾル発生物品が挿入されるときに、エアロゾル化チャンバの開始温度の任意の変動が低減されることを可能にする。図3の装置100では、エアロゾル化チャンバ116内に位置する温度センサ(図示せず)は、エアロゾル化チャンバ116が第1の所定温度に達したという信号を制御回路106に送る。LED128は、エアロゾル化チャンバ116が、例えば、特定の色を点滅または表示することによって、第1の所定温度に達したことを示し得る。一旦、エアロゾル化チャンバ116が所定温度に達すると、図1に例示されるビーズ1などのエアロゾル発生物品を受容する準備ができる。装置は、第1の所定温度に達するまで、ビーズがエアロゾル化チャンバ内に挿入されることを防止し得る。
【0104】
方法200bの工程S4では、エアロゾル発生物品が、方法200aと同じ方法でエアロゾル化チャンバ内に挿入される。
【0105】
次いで、図4Bの方法200bは、図4Aの方法200aと比較して、追加の工程、すなわち、エアロゾル化チャンバ内のエアロゾル発生物品を検出することを伴う工程S4aを含む。これは、センサ、例えば、エアロゾル発生物品が挿入される際にトリガされる光センサまたはマイクロスイッチを用いて行われ得る。
【0106】
次いで、図4Bの方法200bは、エアロゾル化チャンバ内の温度を第2の所定温度まで上昇させる、さらなる追加工程S4bを含む。第2の所定温度は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために必要とされるエアロゾル化温度である。方法200bにおけるエアロゾル化温度の決定は、方法200aと同じである。
【0107】
図5は、図3の装置100のエアロゾル化チャンバ116の拡大断面側面図である。図3にあるように、図1の実質的に球状のビーズ1の形態のエアロゾル発生物品は、上部発熱体118と下部発熱体120との間のエアロゾル化チャンバ116内に位置する。エアロゾル化チャンバ116は、1つのビーズ1のみを受容するようにサイズ決めされる。気流経路108は、図5の左でエアロゾル化チャンバ116に入り、図5の右でエアロゾル化チャンバ116を出る。気流経路108を通る気流の方向に直交する平面におけるビーズ1の断面積は、空気がビーズ1の周囲およびエアロゾル化チャンバ116を通って流れ得るように、エアロゾル化チャンバ116の断面積未満である。ビーズ1のより小さい断面積はまた、ビーズ1がエアロゾル化チャンバ116とともに移動することを可能にする。図5の破線矢印140は、気流経路108およびエアロゾル化チャンバ116を通る例示的な気流を概略的に示す。気流経路を介してエアロゾル化チャンバ116に入ると、気流は、それが入ったラインと実質的に同じラインに沿った気流経路108を介してエアロゾル化チャンバ116を出る前に、ビーズ1の周囲に迂回する。ビーズ1の周囲の空気の流れは、ビーズをエアロゾル化チャンバ116とともに移動させる。これは、空気がエアロゾル化チャンバを通って流れていることの聴覚的表示をユーザに提供する、がたつく音を生じさせる。エアロゾル化チャンバ116内のビーズ1の移動はまた、発生したエアロゾルを気流140内に混入させることを助ける。
【0108】
図5に示されるように、気流経路108を通る気流の方向に直交する平面における気流経路108の断面積は、ビード1の断面積未満である。気流経路108の高さまたは直径は、ビーズ1の直径およびビーズ1のコア2の直径未満である。それゆえに、気流経路108の低減された直径は、ビード1が、ビード1の予熱および加熱後状態の両方で気流経路108を介してエアロゾル化チャンバ1を出ることを防止するガードとして機能する。ビーズ1およびコア2は、気流経路108内に単純に収まらないことになる。しかしながら、好適なガードの他の形態が使用されてもよく、例えば、メッシュなどの物理的部材が、気流経路108の入口および出口の少なくとも一部分にわたって配置されてもよい。
【0109】
図6は、図3の装置100の概略側面図を示す。装置100は、エアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ116内に送達するための開口部150を備える。開口部150は、開口部150からエアロゾル化チャンバ116の側壁の同様の開口部(図示せず)に通過する導管(図示せず)の開口部を画定する。導管は、エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバ116内に挿入され得るように、装置100の外部とエアロゾル化チャンバ116の内部との間の通信を可能にする。開口部150は、図9A図9Cに示される挿入ペンなどの、挿入装置の端と係合するように適合される、凹状リム152によって囲まれている。開口部150は、摺動可能な閉鎖具154によって閉鎖され、摺動可能な閉鎖具154は、図6に両矢印によって示されるように、閉鎖具154が開口部150を閉鎖する閉鎖位置と、開口部150がエアロゾル発生物品を挿入するために利用可能である開放位置との間で、前後に移動し得る。閉鎖具154は、ばね(図示せず)によって閉鎖位置に向かって付勢される。エアロゾル発生物品がエアロゾル化チャンバ116から除去されることを可能にするために、同様の開口部および閉鎖具(図示せず)が、装置の対向する側部上に提供される。図1に例示されたビーズ1などのエアロゾル発生物品が開口部150を通して挿入されるとき、エアロゾル化チャンバ116内で既に使用済みのビーズは、1つのみのビーズが任意の時点でエアロゾル化チャンバ116内に存在し得るように、対向する開口部から押し出されることになる。
【0110】
図7Aは、本発明の別の実施形態による、装置300の概略側面図を示す。図7Aの装置300の特徴および動作原理は、装置300が引き出し機構360を有することを除いて、図3の装置100の特徴および動作原理と同じであり、引き出し機構360は、エアロゾル発生物品をエアロゾル化チャンバ316内に送達するために装置300のハウジング302から延在し得る。
【0111】
図7Bおよび図7Cは、図7Aの線A-Aに沿って切り取られた拡大概略断面図であり、引き出し機構360をより詳細に示している。図7Bは、開放構成の引き出し機構360を示す。引き出し機構360は、引き出し362を備え、引き出し362は、基部362aと、引き出し362の外端で基部362aに実質的に横断して延在する引き出し壁362bと、を有する。引き出し壁362bは、装置300のハウジング302の一部を形成し、ハウジング302の湾曲形状に適合する。引き出し壁362bは、引き出し機構360が閉鎖構成にあるとき、ハウジング302の側部に形成された開口部350を閉鎖する(図7C参照)。引き出し基部362aは、引き出し362が装置300の中および外へ摺動し得るように、エアロゾル化チャンバ316の両側に位置する一対のレール364とスライド可能に係合する。第1の直立部366および第2の直立部368は、引き出し基部362aから延在し、エアロゾル発生物品を受容するための受容ゾーン370をそれらの間に画定する。図7Bは、受容ゾーン370で受容された、図1に例示されたビーズ1を示す。第1の直立部366および第2の直立部368は、エアロゾル化チャンバ316の側壁の一部を形成し、それぞれ、引き出し機構360が閉鎖構成(図7C参照)にあるときにエアロゾル化チャンバ316の側壁に形成された開口部372および374を閉鎖して、エアロゾルが加熱中にエアロゾル化チャンバ316から抜け出すことを防止する。直立部366および368は、一対の側壁(図示せず)によって接合されて、受容ゾーンの横方向縁を画定し、引き出しが開放構成にあるときに、ビーズ1が直立部366と直立部368との間から転がり出ることを防止する。受容ゾーン370の側壁は、引き出し基部362aの側部から差し込まれ、引き出し基部362aは、引き出し362が装置300内に摺動するときに、レール364と係合して、側壁がレールと干渉することを防止する。
【0112】
図7Cは、閉鎖構成の引き出し機構360を示す。閉鎖構成では、引き出し壁362bは、装置300のハウジング302内に形成された開口部350を閉鎖し、直立部366および368は、エアロゾル化チャンバ316の側壁内に形成された開口部372および374をそれぞれ閉鎖する。エアロゾル発生ビーズ1は、エアロゾル化チャンバ316内に位置し、加熱され得る。一旦、ビード1が加熱されると、引き出し機構360は、使用済みビード1を除去するために開放構成に戻され得る。引き出し362は、ばねラッチ機構(図示せず)を開放するためのプッシュ/閉鎖するためのプッシュを有する。ユーザは、引き出し壁362bを内向きに小さい距離だけ押すことによって引き出し362を開放して、ラッチを解放して、ばねの作用下で引き出しをばね式に開放させ得る。引き出し362は、引き出し壁362をハウジング302の内向きに小さい距離だけ押すことによって閉鎖されて、引き出し362がばねの作用下で閉鎖構成に保持されるようにラッチと再係合し得る。
【0113】
図8は、エアロゾル発生システムまたは装置における使用のための複数のエアロゾル発生物品を貯蔵するためのブリスターパック400の平面図である。ブリスターパック400は、物品用の貯蔵ユニットの役割を果たす。ブリスターパック400は、ポリマー層478の第1の表面478aから延在する複数のブリスターまたはポケット480を有するポリマー層478を備える。ブリスター480は、エアロゾル発生物品(図示せず)を貯蔵するために使用され得る。ポリマー層478の第2の対向する表面(図示せず)は、物品をブリスター480で封止するために第2の表面に密閉封止される、壊れ易いラミネート層(図示せず)によって被覆される。使用中、ユーザは、壊れ易いラミネート層を破壊することによって、ブリスターパック400からエアロゾル発生物品を手動で除去し、次いで、例えば、図1の装置100の開口部150を介して、または図7A図7Cの装置300の引き出し機構360を介して、エアロゾル発生装置内に手動で物品を挿入する。
【0114】
図9A図9B、および図9Cは、エアロゾル発生システムにおける、または装置との使用のためのエアロゾル発生物品を貯蔵および送達するための注入器タイプのディスペンサー500またはペンの概略断面側面図を示す。図は、それぞれ、3つの異なる動作段階におけるディスペンサー500を示す。
【0115】
ディスペンサーは、ロッド583、キャリッジ584、および2つのばね585を収容する、ハウジング582を備える。ハウジング582内には、複数のエアロゾル発生ビーズ1を軸方向に整列して貯蔵するための第1の貯蔵ゾーン586が存在する。図9A図9Cに示される実施形態では、ディスペンサー500はまた、ハウジング582内に、同様に複数のエアロゾル発生ビーズ1を軸方向に整列して貯蔵するための第2の貯蔵ゾーン587も備える。ディスペンサー500は、ハウジング582の下部分注端に出口オリフィス588を備える。出口オリフィス588は、エアロゾル発生装置の開口部、または特に凹状開口部リム、例えば、図6の装置100の開口部150または凹状リム152と係合するように適合される、突出するリム594によって囲まれている。ディスペンサー500は、2つの貯蔵ゾーン586および587と出口オリフィス588との間に配設された装填ゾーン589をさらに備える。装填ゾーン589は、単一のエアロゾル発生ビーズ1を収容するようにサイズ決めされる。ディスペンサー500は、装填ゾーン589の下端の両側に位置する第1の硬質停止部591および第2の硬質停止部592をさらに備える。
【0116】
ばねは、第1の貯蔵ゾーン586および587内に貯蔵されたエアロゾル発生ビーズ1に向かってキャリッジ584を付勢する。キャリッジ584は、それぞれ、第1の貯蔵ゾーン586および第2の貯蔵ゾーン587の後方端を画定する、第1の端面595および第2の端面597をさらに備える。第1の端面595は、第2の端面597よりもさらに前方、すなわち、より出口オリフィス588の方に、設定される。第1の端面595と第2の端面597との間の長軸方向の距離は、単一のエアロゾル発生ビーズ1の直径の半分である。
【0117】
ロッド583は、ハウジング582の中央長軸方向軸に沿って、かつそれを通って、キャリッジ584を通って形成された中央長軸方向に延在する通路593を通って、往復し得る。その分注端で、ロッド583は、エアロゾル発生ビーズ1と係合するための係合面596を有し、係合面596は、ロッド583の主ステムよりも幅広になるように横方向に突出する。ロッド583は、ロッド583の作動端に、すなわち、係合面596の反対側の端に位置するボタン590によって作動される。ロッド583の両側は、通路593の対応する内側表面の各々の上に形成された各々のロッド係合機構と係合する、歯付きセクション(図示せず)を有する。ハウジング582の内面はまた、キャリッジ584の両側上でそれぞれのハウジング係合機構と係合する、キャリッジ584の両側に面する歯付きセクションを有する。
【0118】
図9Aでは、各貯蔵ゾーン586および587は、4つの軸方向に整列したエアロゾル発生ビーズ1を収容し、装填ゾーン589は、単一のエアロゾル発生ビーズ1を収容する。図9Aに図示する段階では、ボタン590が押下され始めると、ロッド583が出口オリフィス588に向かって前進し始めている。この段階では、キャリッジ584のロッド係合機構は、ロッド583の歯付きセクションと係合する。その結果、キャリッジ584もまた、出口オリフィス588に向かって前進する。前進するにつれて、カートリッジ584が、第1の貯蔵ゾーン586および第2の貯蔵ゾーン587の両方の軸方向に整列したエアロゾル発生ビーズ1の列を出口オリフィス588に向かって押す。
【0119】
図9Bでは、第1の貯蔵ゾーン586内のエアロゾル発生ビーズ1がキャリッジ584の第1の端面595によって第1の硬質停止部591に対して押されるため、キャリッジ584は、もはやそれ以上前進することができない。この時点で、ロッド係合機構が係合解除され、キャリッジ584とは独立して前進し続けるロッド583は、図9Aの装填ゾーン589内に配設されたエアロゾル発生ビーズ1を出口オリフィス588を通して押し出した。ロッド583の分注端は、出口オリフィス588を通過して、ロッドが完全伸長した位置に達するまでエアロゾル発生ビーズ1を押し続ける。この時点で、エアロゾル発生ビーズ1は、エアロゾル発生装置のエアロゾル化チャンバ内にあることになる。
【0120】
図9Cでは、ロッド583は、完全に後退した位置に戻されている。キャリッジ584のハウジング係合機構は、キャリッジ584がロッド583とともに後方に移動することを防止する。ロッド583の係合面596が第1の貯蔵ゾーン586および第2の貯蔵ゾーン587を通る際、係合面596の突出部は、第2の貯蔵ゾーン587内の整列したエアロゾル発生ビーズ1の列をキャリッジ584の第2の端面597に向かって後方に押す。ロッド583の係合面596の突出部は、第1の貯蔵ゾーン586内の整列したエアロゾル発生ビーズ1の列に対しても作用するが、キャリッジ584の第1の端面595が、キャリッジ584の第2の端面597よりもさらに前方に設定されているため、その中にエアロゾル発生ビーズ1が移動し得る空間が存在しない。結果として、ロッド583の係合面596は、第1の貯蔵ゾーン586内に後方に移動したが、一方、エアロゾル発生ビーズ1は、ロッド583の係合面596が、装填ゾーン589内に落ちる、第1の貯蔵ゾーン586内の最も前方のエアロゾル発生ビーズ1を越えて後方に移動されるように、定位置に留まる。ここで、第2の貯蔵ゾーン587内に4つの軸方向に整列したエアロゾル発生ビーズ1が存在し、第1の貯蔵ゾーン586内に3つの軸方向に整列したエアロゾル発生ビーズ1が存在し、装填ゾーン589内の単一のエアロゾル発生ビーズ1が、分注される準備ができている。
【0121】
図10は、本発明のさらなる実施形態による装置600の平面断面図を示す。図10の装置600の特徴および動作原理は、装置600が、一体型の第1の貯蔵部642および送達機構660であって、それぞれ、複数のエアロゾル発生ビーズ1を貯蔵し、エアロゾル発生ビーズ1を装置600のエアロゾル化チャンバ616に送達するための、一体型の第1の貯蔵部642および送達機構660を有することを除いて、図3および図7Aのそれぞれの装置100および300の特徴および動作原理と同じである。装置600はまた、エアロゾル化チャンバ616から排出された使用済みエアロゾル発生ビーズ1bを貯蔵するための一体型の第2の貯蔵部644を有する。
【0122】
第1の貯蔵部642は、装置600のハウジング602内に位置し、装置600の一方の側部に沿って長軸方向に延在する。送達機構660は、ハウジング602内に形成された長軸方向溝(図示せず)に摺動可能に係合されるスライダ661を含み、溝は、第1の貯蔵部642の長さを延在する。スライダ661は、長軸方向溝を介して第1の貯蔵部642内に延在し、かつ第1の貯蔵部642内に貯蔵された最も後方のエアロゾル発生ビーズ1と係合するように配置されている、プッシャー部663を有する。第1の貯蔵部642内に延在するプッシャー部663の一部分は、第1の貯蔵部642内にプッシャー部663を保持するように長軸方向溝よりも幅広である。
【0123】
エアロゾル発生ビーズ1をエアロゾル化チャンバ616内に挿入するために、ユーザは、スライダ661を手動で前方に、すなわち、マウスピース614に向かって押す。プッシャー部663は、最も後方のエアロゾル発生ビーズ1と係合し、押す力は、複数のビーズに沿って、最も前方のビーズ、すなわち、エアロゾル化チャンバ616に最も近いビーズに伝達される。開口部674は、第1の貯蔵部642に隣接したエアロゾル化チャンバ616の側壁に形成され、開口部674を介して、エアロゾル発生ビーズ1は、エアロゾル化チャンバ616内に挿入され得る。開口部674は、開口部674の側部にヒンジで取り付けられた内向き開口部ドア668によって閉鎖可能である。ドア668は、ばね(図示せず)によってその閉鎖構成に向かって弾性的に付勢される。ユーザによってスライダ661に適用される力が、ドア668を閉鎖するばねの弾性力を克服するために十分である場合、第1のエアロゾル発生ビーズ1は、エアロゾル化チャンバ616内に押し込まれることになる。一旦、ビーズ1がエアロゾル化チャンバ616内に挿入されると、ドア668は、ばねの作用下でその後ろを閉鎖して、エアロゾルがエアロゾル化チャンバ616から抜け出すことを防止する。第1の貯蔵部642の前方端壁は、ビーズ1をエアロゾル化チャンバ616内に向けるように角度付けられている。
【0124】
加熱後、エアロゾル化チャンバ616内に位置する使用済みビーズ1bは、ユーザが次のビーズ1を挿入する準備ができるまで、エアロゾル化チャンバ内に留まる。その時点で、ユーザは、ビーズ1を挿入するための上記のプロセスを繰り返す。新しいビーズをエアロゾル化チャンバ616内に挿入する作用は、エアロゾル化チャンバ616の対向する側壁に開口部674まで形成されている開口部672を介して、使用済みビーズをエアロゾル化チャンバ616から外に付勢する。開口部672は、開口部672の側壁にヒンジで取り付けられた外向きに開口するドア666によって閉鎖可能である。ドア666はまた、ばね(図示せず)によってその閉鎖構成に向かって弾性的に付勢される。一旦、ビーズがエアロゾル化チャンバ616から排出されると、ドア666は、ばねの作用下でその後ろを閉鎖して、エアロゾルがエアロゾル化チャンバ616から抜け出すことを防止する。排出されたビーズ1bは、装置600のハウジング602内に同様に位置し、かつ装置600の対向する側部に沿って長軸方向に第1の貯蔵部642まで延在する、第2の貯蔵部644内に貯蔵される。第2の貯蔵部が使用済みビーズ1bで満杯になると、ユーザが第2の貯蔵部を空にすることを可能にするために、閉鎖可能な開口部(図示せず)が、第2の貯蔵部644内に提供されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10