(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ばら物を連続的に乾燥させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
F26B 17/26 20060101AFI20241016BHJP
F26B 5/04 20060101ALI20241016BHJP
F26B 5/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F26B17/26
F26B5/04
F26B5/02
(21)【出願番号】P 2021553327
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 EP2020050241
(87)【国際公開番号】W WO2020182352
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】102019106026.5
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521402309
【氏名又は名称】エル.ベー. ボーレ マシーネン ウント フェアファーレン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】L.B. Bohle Maschinen und Verfahren Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 18, 59320 Ennigerloh, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アルトマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ロビン マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ ボーレ
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-018297(JP,A)
【文献】特開昭61-295486(JP,A)
【文献】特開2018-123979(JP,A)
【文献】特開2012-225518(JP,A)
【文献】特開2016-044845(JP,A)
【文献】米国特許第05064454(US,A)
【文献】国際公開第2015/089572(WO,A1)
【文献】独国実用新案第09412403(DE,U1)
【文献】独国実用新案第29611972(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/26
F26B 5/04
F26B 5/02
F26B 3/00
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿分含有の生成物、特に医薬品を製造するための湿分含有の造粒物を乾燥させるための方法であって、ばら物乾燥機(1)の反応器室(2)内で前記生成物に流動媒体を通流させて、前記生成物を加熱し、該生成物を、前記流動媒体によって通流可能な流過底板(14)に給送し、前記生成物を生成物入口(3)から生成物出口(4)に搬送するために、前記流過底板(14)を振動駆動装置(9)によって振動させ、前記流動媒体を、前記流過底板(14)および前記生成物への通流後、出口(19)に前置された互いに分離されたチャンバ(16.1,16.2,16.3)と、前記出口(19)とに供給する、方法において、
互いに分離された少なくとも2つのチャンバ(16.1,16.2,16.3)のうちの1つのチャンバを予め選択して、遮断機構(21.1,21.2,21.3)の操作によって前記出口(19)に対して閉鎖し、前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)の操作後、別の遮断機構(21.1,21.2,21.3)によって閉鎖されていないチャンバ(16.1,16.2,16.3)を介して、前記出口(19)への前記流動媒体の供給を行い、遮断されるチャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)を閉鎖方向に操作した後、当該チャンバ(16.1,16.2,16.3)に割り当てられた前記流動媒体用のフィルタ要素(17.1,17.2,17.3)を、遮断されていないチャンバ(16.1,16.2,16.3)への前記流動媒体の供給を継続しつつ、パルス発生器(22.1,22.2,22.3)を介してクリーニングし、前記ばら物乾燥機(1)の内部において前記流過底板(14)よりは上方で前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)よりは下方の圧力を、制御装置(24)を介して、予め設定可能な運転パラメータに応じて制御することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記パルス発生器(22.1,22.2,22.3)として、超音波発生器、圧縮空気発生器またはこれに類する振動発生器を使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記流動媒体を、前記流過底板(14)に後置された2つよりも多くのチャンバ(16.1,16.2,16.3)に供給することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記流動媒体を、前記出口(19)への流入前に、前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)に割り当てられたフィルタ要素(17.1,17.2,17.3)に供給し、それぞれのチャンバ(16.1,16.2,16.3)のそれぞれの前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)に、別のチャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)に依存せずに、それぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の遮断機構(21.1,21.2,21.3)を開放して、前記流動媒体を通流させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
それぞれのチャンバ(16.1,16.2,16.3)のそれぞれの前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)を、当該それぞれのチャンバ(16.1,16.2,16.3)に設けられた前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)を閉鎖方向に操作した後、当該フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)に割り当てられた超音波発生器(22.1,22.2,22.3)によってクリーニングすることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)を、時間間隔を置いて交互に閉鎖方向に操作し、それぞれの前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)を閉鎖方向に操作した後、遮断された前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)のそれぞれの前記超音波発生器(22.1,22.2,22.3)を所定の時間間隔にわたって作動させることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記流過底板(14)を前記振動駆動装置(9)によって、前記生成物の搬送方向(15)にかつ前記生成物の搬送方向(15)に対して横方向に振動運動させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
給送すべき前記生成物を前記ばら物乾燥機(1)に二軸スクリュ造粒機(11)を介して供給し、該二軸スクリュ造粒機(11)に、互いに分離された入口(12,13)を介して、粉末状の生成物出発材料と、湿分含有の造粒物を形成するための液体とを供給することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
乾燥させられた前記生成物をロータリフィーダ(5)を介して前記生成物出口(4)に供給することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
特に請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施するためのばら物乾燥機(1)であって、流動媒体によって通流可能である反応器室(2)を備え、該反応器室(2)は、前記流動媒体に対して透過性の、特に細目織布材料または特殊鋼材料から成る流過底板(14)を有し、前記反応器室(2)は、生成物入口(3)と生成物出口(4)とを備え、前記反応器室(2)内で生成物に前記流動媒体が供給可能であり、前記反応器室(2)は、前記流動媒体用の出口(19)を有し、前記反応器室(2)は、前記流動媒体の流れ方向で前記流過底板(14)の上方に、前記流動媒体用の出口(19)に前置されて相並んで配置された少なくとも2つのチャンバ(16.1,16.2,16.3)を有し、前記流過底板(14)は、前記生成物を前記生成物入口(3)から前記生成物出口(4)に搬送するために、振動駆動装置(9)によって振動可能である、ばら物乾燥機(1)において、
それぞれのチャンバ(16.1,16.2,16.3)に遮断機構(21.1,21.2,21.3)が割り当てられており、これによって、前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)は、前記流動媒体に対する通流のために開閉されるようになっており、1つのチャンバ(16.1,16.2,16.3)が、前記出口(19)に対して前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)を介して遮断されている場合、前記流動媒体は、当該チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)によって前記出口から遮断されていない別のチャンバ(16.1,16.2,16.3)を介して前記出口(19)に供給され、それぞれのチャンバ(16.1,16.2,16.3)にフィルタ要素(17.1,17.2,17.3)とパルス発生器(22.1,22.2,22.3)とが割り当てられており、1つのチャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)は、遮断機構(21.1,21.2,21.3)の閉鎖時に当該チャンバ(16.1,16.2,16.3)のパルス発生器(22.1,22.2,22.3)によって振動可能であり、前記ばら物乾燥機(1)の内部において前記流過底板(14)よりは上方で1つまたはそれ以上の前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)よりは下方の内圧を、予め設定可能な運転パラメータに応じて制御する制御ユニット(24)が設けられていることを特徴とする、ばら物乾燥機(1)。
【請求項11】
前記パルス発生器(
22.1,22.2,22.3)は、超音波発生器、圧縮空気発生器またはこれに類する振動発生器として形成されていることを特徴とする、請求項10記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項12】
前記反応器室(2)に、それぞれの遮断機構(21.1,21.2,21.3)を備える3つまたはそれ以上のチャンバ(16.1,16.2,16.3)が割り当てられていることを特徴とする、請求項10または11記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項13】
ぞれぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)は、それぞれ遮断機構(21.1,21.2,21.3)が配置されたチャンバ出口を有し、該チャンバ出口は、前記流動媒体用の1つの共通の出口(19)に開口していることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項14】
前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)は、前記流過底板(14)に対して平行に延在しているそれぞれ1つのフィルタ要素(17.1,17.2,17.3)を有することを特徴とする、請求項11から13までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項15】
それぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)は、弾性的に支持されていることを特徴とする、請求項14記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項16】
前記フィルタ要素(17.1,17.2,17.3)は、凸部と凹部とを有することを特徴とする、請求項10から15までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項17】
それぞれのフィルタ要素(17.1,17.2,17.3)に、個別に制御可能なパルス発生器(22.1,22.2,22.3)が割り当てられていることを特徴とする、請求項10から16までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項18】
前記生成物入口(3)に、液体用の接続部(13)と粉末状の生成物材料用の接続部(12)とを有する二軸スクリュ造粒機(11)が前置されていることを特徴とする、請求項10から17までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項19】
前記流過底板(14)に、該流過底板(14)を前記生成物の流れ方向(15)にかつ前記生成物の流れ方向(15)に対して横方向に振動させる振動発生用の電動モータ式の駆動装置(9)が割り当てられていることを特徴とする、請求項10から18までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項20】
前記ばら物乾燥機(1)の前記流過底板(14)に、ばね弾性的に形成された支持体(10)が割り当てられていることを特徴とする、請求項10から19までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項21】
前記ばね弾性的に形成された支持体(10)は、コイルばねとして形成されていることを特徴とする、請求項20記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項22】
前記流過底板(14)用の前記振動駆動装置(9)は、前記反応器室(2)の側壁に配置されていることを特徴とする、請求項20または21記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項23】
前記流過底板(14)は空気透過性であり、これによって、該流過底板(14)に固定層が形成されることを特徴とする、請求項10から22までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項24】
それぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記パルス発生器(22.1,22.2,22.3)を個々の前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)のそれぞれの前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)の開放位置に応じて操作することができる制御ユニット(24)が設けられていることを特徴とする、請求項10から23までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項25】
前記流過底板(14)は、振動フィルタスクリーンとして形成されていることを特徴とする、請求項10から24までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項26】
前記振動フィルタスクリーンは、特殊鋼濾布スクリーンとして形成されていることを特徴とする、請求項25記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項27】
前記生成物出口(4)は、生成物送出を行うロータリフィーダ(5)に接続されていることを特徴とする、請求項10から26までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項28】
前記パルス発生器は、超音波発生器(22.1,22.2,22.3)であり、
それぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記超音波発生器(22.1,22.2,22.3)は、選択可能な周波数範囲内の超音波を発生させることを特徴とする、請求項11から27までのいずれか1項記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項29】
それぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記超音波発生器(22.1,22.2,22.3)は、予め設定可能な運転パラメータに応じて、実装された制御ソフトウェアを介して、最適化された周波数範囲内で超音波を発生させることを特徴とする、請求項28記載のばら物乾燥機(1)。
【請求項30】
個々の前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)のそれぞれの前記超音波発生器(22.1,22.2,22.3)は、前記ばら物乾燥機(1)の運転中、予め設定可能な運転間隔を置いて、それぞれの前記チャンバ(16.1,16.2,16.3)の前記遮断機構(21.1,21.2,21.3)の開放位置または閉鎖位置に応じて超音波を発生させることを特徴とする、請求項29記載のばら物乾燥機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まず、湿分含有の生成物、特に医薬品を製造するための湿分含有の造粒物を乾燥させるための方法であって、生成物を、ばら物乾燥機の反応器室内で、流動媒体によって通流可能な流過底板に給送し、生成物に流動媒体を通流させて、生成物を加熱し、生成物を生成物入口から生成物出口に搬送するために、流過底板を振動駆動装置によって振動させ、流動媒体を、流過底板および生成物への通流後、出口に前置された互いに分離されたチャンバと、出口とに供給する、方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、方法を実施するためのばら物乾燥機であって、流動媒体によって通流可能である、容器内に設けられた反応器室を備え、反応器室は、流動媒体に対して透過性の、特に細目織布材料および/または特殊鋼材料から成る流過底板を有し、容器は、生成物入口と生成物出口とを備え、反応器室内で生成物に流動媒体が供給可能であり、反応器室は、流動媒体用の出口を有し、反応器室は、前記流動媒体の流れ方向で流過底板の上方に、流動媒体用の出口に前置されて相並んで配置された少なくとも2つのチャンバを有し、流過底板は、生成物を生成物入口から生成物出口に搬送するために、振動駆動装置によって振動可能である、ばら物乾燥機に関する。
【0003】
ばら物乾燥機は、例えば医薬品産業用の造粒物を形成し、例えば医薬用の錠剤に後続処理する目的で乾燥させるといった種々様々な役割のために使用される。さらに、湿分含有の出発材料を乾燥させかつ/または例えば固形の材料を後続コーティングするために、このようなばら物乾燥機には、種々様々な幅広い使用事例が存在する。このようなばら物乾燥機は、連続的に運転されることが次第に増えているが、しかしながら、断続的に作動させられてもよい。
【0004】
独国実用新案第29611972号明細書に基づき、冒頭に記載した形態の、ばら物を乾燥させるための装置および方法が公知である。この公知の装置および方法では、貯蔵容器から、乾燥前の湿分含有の造粒物が流過底板に供給され、この流過底板は、振動駆動装置によって振動させられ、これによって、乾燥前のばら物もしくは造粒物を生成物出口に供給することができる。流過底板の上には、様々なチャンバが配置されており、これらのチャンバ内には、鉛直方向に方向付けられてフィルタカートリッジが配置されてもよい。加熱装置を介して加熱された空気がばら物に第1の流入領域で供給される。この第1の流入領域には、別の流入領域が割り当てられていてもよい。加熱された空気流は、生成物流および相応のフィルタ要素の通過後に流動媒体用の1つの共通の出口に供給され得る。別の領域には、冷却ゾーンが続いていてもよく、この冷却ゾーンを介して冷却空気は、搬送された生成物流に供給され得る。この公知の装置および方法の欠点としては、このような方法および装置の連続的な運転のために、フィルタカートリッジが極めて早期に極めて僅かな効果しか有さなくなってしまうということが挙げられる。それというのは、濾材が、極めて早期に目詰まりしてしまうからである。その結果、フィルタカートリッジの時間のかかる交換作業が必要になる。
【0005】
本発明の課題は、特に医薬品産業に対して、湿分含有の造粒物の連続的な乾燥を提供するために高い効率で適した方法と、この方法を実施するためのばら物乾燥機とを提供することである。
【0006】
この課題を解決するために、冒頭に記載した形態の方法は、互いに分離された少なくとも2つのチャンバのうちの1つのチャンバを予め選択して、遮断機構の操作によって出口に対して閉鎖し、遮断機構の操作後、別の遮断機構によって閉鎖されていないチャンバを介して、出口への流動媒体の供給を行い、遮断されるチャンバの遮断機構を閉鎖方向に操作した後、当該チャンバに割り当てられた流動媒体用のフィルタ要素を、遮断されていないチャンバへの流動媒体の供給を継続しつつ、例えば超音波発生器のようなパルス発生器を介してクリーニングすることを特徴としている。
【0007】
これによって、まず、湿分含有の生成物、特に医薬生成物を製造するための湿分含有の造粒物を、この生成物もしくは造粒物が、極めて細かい乾燥した粉体としてばら物反応器から導出されなければならない場合でも、連続的に作動するプロセスにて極めて良好に乾燥させることができる方法が得られる。フィルタ要素をクリーニングするために方法を中断する必要はない。なぜならば、流動媒体用の出口に向かって開放していて、フィルタ要素が割り当てられた少なくとも1つのチャンバを通して、流動媒体、つまり、加熱された空気をクリーニングして出口へと案内することができるからである。つまり、最も小型の設備では、2つのチャンバが、しかしながら、好ましくは3つ以上のチャンバが設けられているが、個々のチャンバのフィルタのクリーニングのためには、個々のフィルタ要素を相前後してかつ時間的に交互に、それぞれこのフィルタ要素に割り当てられた、超音波発生器、圧縮空気発生器またはこれに類する振動発生器のようなパルス発生器によってクリーニングすることができる。このことは、予め設定可能な時間間隔を置いて、例えば制御ユニットを介して行うことができる。
【0008】
それぞれの遮断機構は並列して操作され、これによって、1つのパルス発生器は、対応するチャンバの遮断機構が閉鎖されている場合に初めて運転される。このとき、作動させられたパルス発生器は、相応の振動をフィルタ要素において発生させ、これによって、フィルタ要素に固着している粒子が解離し、反応器室の内部の生成物流に向かって流過底板上へと落下する。フィルタ要素のこのクリーニングは、高い効率で実施することができる。連続的な乾燥プロセスは、それぞれのフィルタ要素の交互のクリーニングサイクルによって全く損なわれない。これによって、ほとんど測定できないほどの最小の生成物損失で排気を汚染することなく、高い乾燥出力が得られる。
【0009】
そのために好ましくは、フィルタ要素が個別フィルタ要素として形成されていて、それぞれのチャンバの入口に張設されており、これによって、フィルタ要素が、実質的に流過底板に対して平行に延在している。フィルタ要素は、種々様々な構造および幾何学形状を有していてもよい。最も単純な例では、例えば正方形または長方形に形成されたチャンバの入口開口の内部に延在している張設されたフィルタ要素で十分である。このように構成されていると、フィルタ要素を、チャンバの正方形または長方形の開口に挿入することができる。
【0010】
好ましくは、フィルタ要素はチャンバ壁に弾性的に支持されている。しかしながら、フィルタ要素は、濾過面積を増大させるために、他の横断面構造を有することもできる。例えば、フィルタ要素はその長手延在方向または横延在方向にわたって互いに逆向きに折り曲げられて形成されていてもよく、例えば互いに逆向きに丸み付けられた凸部と凹部とを備えて形成されていてもよく、しかしながら、濾過面積を増大させるその他の幾何学形状を有することもできる。
【0011】
好ましくは、ばら物乾燥機に送るべき生成物は、二軸スクリュ造粒機を介して供給され、この二軸スクリュ造粒機は、粉末状の生成物出発材料用の入口と、液体用の入口とを有している。出口側で生成物をロータリフィーダを介してばら物乾燥機から導出することができる。
【0012】
ばら物乾燥機もしくは本発明に係る方法を実施するための装置は、それぞれのチャンバに遮断機構が割り当てられており、チャンバは、流動媒体に対する通流のために開閉されるようになっており、流動媒体による通流に対して遮断機構によって閉鎖されたチャンバを介して、それぞれ別のチャンバは、このチャンバに割り当てられた遮断機構を介して開放されているかもしくは開放されたままであり、それぞれのチャンバに、例えば超音波発生器のようなパルス発生器と、フィルタ要素とが割り当てられており、チャンバのフィルタ要素は、このチャンバのパルス発生器によって、このチャンバの遮断機構の閉鎖時に振動させることができることを特徴としている。
【0013】
個々のフィルタ要素を時間間隔を置いて、しかしながら、常にクリーニングすることによって、フィルタ要素は極めて効果的に働き、長い耐用寿命を有している。それぞれのフィルタ要素において目詰まりが生じることはない。パルス発生器(例えば超音波発生器)によって、フィルタ要素から生成物残留物が生成物流に加えられる。
【0014】
本発明の更なる構成は別の従属請求項に記載してある。さらに、以下の記載および以下の図面に基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る方法を実施することができるばら物乾燥機の一実施例を示す図である。
【0016】
全体的に符号1で示したばら物乾燥機は、反応器室2を有しており、この反応器室2は、生成物入口3と生成物出口4とを備えていて、生成物出口4にはロータリフィーダ5が前置されている。反応器室2は、別の入口6を有しており、この別の入口6を介して、加熱された空気を供給することができる。この空気は、ブロワ7によって加熱装置8に供給され、次いで、入口6に送られる。
【0017】
振動駆動装置9によって、反応器2を振動させることができる。振動駆動装置9は、振動発生器モータであり、この振動発生器モータは、流過底板14を長手方向振動させることができ、場合によっては横方向振動させることもできる。反応器は、ばね弾性的に支持されている、つまり、コイルばね10を介して支持されている。生成物入口3には、二軸スクリュ造粒機11が前置されており、この二軸スクリュ造粒機11は、2つの入口、つまり、粉末状の給送生成物用の入口12と液体用の入口13とを備えている。給送生成物と液体とは二軸スクリュ造粒機11内で一緒に処理されて、湿分含有の生成物、つまり、湿分含有の造粒物を形成し、ばら物乾燥機1に給送することができる。生成物は、流過底板14に給送され、この流過底板14は、振動駆動装置9によって振動運動させられ、乾燥前のおよび乾燥済みの造粒物を搬送方向15で出口4に向かって搬送する。
【0018】
流過底板14は空気透過性に形成されており、これによって、流過底板14上に固定層が形成され、矢印15の方向にも、この方向に対して横方向にも同時に搬送しつつ振動させることができる。これによって、乾燥前の生成物に、流入させられた加熱された空気を極めて効率よく通流させることができる。
【0019】
流過底板14の上には、図示の実施例では3つのチャンバ、つまり、チャンバ16.1と、チャンバ16.2と、チャンバ16.3とが設けられている。これらのチャンバの各々には、別個のフィルタ要素が割り当てられており、これによって、全部で3つのフィルタ要素、つまり、フィルタ要素17.1,17.2,17.3が設けられている。これらのフィルタ要素は、チャンバ16.1,16.2,16.3の入口全体にわたって設けられていて、互いに逆向きに湾曲させられてもしくは折り曲げられて凸部と凹部とを備えて形成されている。これによって、各チャンバ16.1,16.2,16.3の入口の寸法に関して、極めて大きな濾過面積が得られる。フィルタ要素は、チャンバ16.1,16.2,16.3の入口の内部でチャンバ壁に弾性的に結合されていて、このために、濾材を取り付けるフレームを有している。
【0020】
各チャンバ16.1,16.2,16.3はそれぞれ、導出すべき流動媒体用の出口18.1,18.2,18.3を有しており、これらの出口18.1,18.2,18.3はすべて1つの出口19に割り当てられており、この出口19にはブロワ20が前置されている。出口18.1,18.2,18.3の各々は、遮断機構21.1,21.2,21.3を有している。さらに、各フィルタ要素16.1,16.2,16.3用のそれぞれ1つの超音波発生器、つまり、超音波発生器22.1,22.2,22.3が設けられており、これらの超音波発生器22.1,22.2,22.3は、制御ユニット24によって中央で制御されており、これによって、それぞれのチャンバ16.1;16.2;16.3のそれぞれの遮断機構21.1;21.2;21.3が閉鎖され、その後、それぞれのチャンバに割り当てられた超音波発生器22.1,22.2,22.3が作動させられて、それぞれのフィルタ要素17.1;17.2;17.3を振動させた場合に、フィルタ要素17.1;17.2;17.3のクリーニングが行われる。このことは、タイミング制御されて、それぞれ連続して、ひいては、予め設定可能な運転間隔を置いて交互に行われ、これによって、連続的な運転を継続させることができる。しかしながら、それぞれ1つのチャンバ16.1;16.2;16.3が、割り当てられた遮断機構の閉鎖によって運転停止させられ、その後、相応のフィルタ要素17.1;17.2;17.3がクリーニングされる。例えばチャンバ16.1が遮断されている場合には、導出すべき空気は、他の両チャンバ16.2,16.3を介して出口19に供給される。
【0021】
さらに、制御ユニットが設けられていてもよく、これによって、反応器室2内の内圧が、予め設定可能な運転パラメータに応じて制御される。このような制御は、流過底板14よりは上方でフィルタ要素17.1,17.2,17.3よりは下方の内圧の制御である。