(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】バランスの取れたインパクト性能特性とスイング性能特性を有するクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20241016BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20241016BHJP
A63B 60/02 20150101ALI20241016BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241016BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B53/06 B
A63B60/02
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2021568147
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 US2020033216
(87)【国際公開番号】W WO2020232383
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-11
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ジー. ウッドウォード
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム. ヘンリクソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ディ. ウッド
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エム. ブローディー
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08663030(US,B2)
【文献】特開2001-000596(JP,A)
【文献】特表2008-526311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0078832(US,A1)
【文献】特開2011-115250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 53/06
A63B 60/02
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空体のゴルフクラブヘッドであって、
フロントエンドと、前記フロントエンドの反対側のバックエンドと、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンおよび前記ソールに隣接するスカートと、ホーゼル構造であって、前記ホーゼル構造のボアを通って中心に延びるホーゼル軸を有する前記ホーゼル構造と、を有する本体と、
前記フロントエンドに配置される打撃面であって、幾何学的中心と、前記幾何学的中心に正接するロフト平面と、前記ヒールから前記トウに向けて前記幾何学的中心を通って前記ロフト平面に垂直に延びるヘッド深さ平面と、を画定する前記打撃面と、を備え、
前記クラブヘッドのロフト角が16度未満であり、
前記クラブヘッドの容量が400ccよりも大きく、
前記クラブヘッドのヘッド重心が、前記ロフト平面に垂直な方向において測定された前記ロフト平面からヘッドCG深さの位置、および、前記ヘッド深さ平面に垂直な方向において測定された前記ヘッド深さ平面からヘッドCG高さの位置に配置されており、
前記ヘッドCG高さが0.20インチ未満であり、
y軸が、前記ヘッド重心を通って前記クラウンから前記ソールに向けて延びており、
x軸が、前記ヘッド重心を通って前記ヒールから前記トウに向けて延びており、
前記x軸が前記y軸に垂直であり、
前記打撃面の前記幾何学的中心を通り、前記ホーゼル軸に平行に延び、前記ロフト平面から前記ロフト角において位置決めされた平面に垂直な方向において102mphの風速を受けたときに、前記クラブヘッドが抵抗力Fdを経験し、
前記クラブヘッドが、クラウン-ソール慣性モーメントIyy、ヒール-トウ慣性モーメントIxx、及び、前記x軸および前記y軸についての慣性乗積Ixyを有しており、
前記慣性乗積が、100g・cm
2よりも大きく、
前記クラブヘッドが、関係Aおよび関係Bを満たす、ゴルフクラブヘッド。
【数1】
【数2】
【請求項2】
前記クラブヘッドが、さらに、関係Cを満たす、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【数3】
【請求項3】
前記クラブヘッドが、さらに、関係Dを満たす、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【数4】
【請求項4】
前記ヘッドCG深さが、1.3インチよりも大きい、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラブヘッドは、さらに、
12時方向の線、3時方向の線、4時方向の線、5時方向の線、8時方向の線、9時方向の線、10時方向の線、及び、11時方向の線を有しており、
前記12時方向の線が、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときにおける前記クラブヘッドの底面図において、前記打撃面の中心点に位置合わせされており、前記ロフト平面
と接地面との間のフロント交差線に直交しており、
クロックグリッドが、前記12時方向の線に沿って、前記ヘッドの前部のフロントエンドと前記ヘッドの後部のリアエンドとの間の中点に位置合わせされており、
前記3時方向の線が、前記ヘッドのヒール部分に向かって延びており、
前記9時方向の線が、前記ヘッドのトウ部分に向かって延びており、
前記クラブヘッドは、さらに、
第1の埋め込みウエイトおよび第2の埋め込みウエイトを備えており、
前記第1の埋め込みウエイトが、前記トウ及び前記クラウンの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記11時方向の線と前記9時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記10時方向の線に交差することができ、
前記第2の埋め込みウエイトが、前記ヒールおよび前記ソールの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記3時方向の線と前記5時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記4時方向の線に交差することができる、請求項1の記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記慣性モーメントIyyが、4500g・cm
2よりも大きい、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1の埋め込みウエイトおよび前記第2の埋め込みウエイトが、タングステンを含む、請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
合成慣性モーメントが、7250g・cm
2よりも大きい、請求項1の記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
請求項1のゴルフクラブヘッドは、さらに、
0.18インチから0.30インチの間のフロント曲率半径であって、前記フロント曲率半径は、前記打撃面の上縁部からクラウン遷移点まで延びており、前記クラウン遷移点は、前記フロント曲率半径から前記クラウンの異なる曲率への変化を示している、前記フロント曲率半径と、
前記クラウンと後部遷移境界との間の接続部に配置された第1の後部遷移点、及び、前記後部遷移境界と前記スカートとの間の接続部に配置された第2の後部遷移点から、前記後部遷移境界に沿って、前記ゴルフクラブヘッドの前記クラウンと前記スカートとの間を延びるバック曲率半径と、を備える、請求項1の記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
79度未満のクラウン角度であって、前面と、前記ゴルフクラブヘッドの前記クラウン遷移点および前記
第1の後部遷移点を通って延びるクラウン軸と、の間の鋭角として測定される前記クラウン角度と、
0.50インチよりも大きい最大クラウン高さであって、前記クラウンの表面と前記クラウン軸との間の最大距離として測定される前記最大クラウン高さと、を備える、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
中空体のゴルフクラブヘッドであって、
フロントエンドと、前記フロントエンドの反対側のバックエンドと、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンおよび前記ソールに隣接するスカートと、ホーゼル構造であって、前記ホーゼル構造のボアを通って中心に延びるホーゼル軸を有する前記ホーゼル構造と、を有する本体と、
前記フロントエンドに配置される打撃面であって、幾何学的中心と、前記幾何学的中心に正接するロフト平面と、前記ヒールから前記トウに向けて前記幾何学的中心を通って前記ロフト平面に垂直に延びるヘッド深さ平面と、を画定する前記打撃面と、を備え、
前記クラブヘッドのロフト角が16度未満であり、
前記クラブヘッドの容量が400ccよりも大きく、
前記クラブヘッドのヘッド重心が、前記ロフト平面に垂直な方向において測定された前記ロフト平面からヘッドCG深さの位置、および、前記ヘッド深さ平面に垂直な方向において測定された前記ヘッド深さ平面からヘッドCG高さの位置に配置されており、
前記ヘッドCG高さが0.20インチ未満であり、
y軸が、前記ヘッド重心を通って前記クラウンから前記ソールに向けて延びており、
x軸が、前記ヘッド重心を通って前記ヒールから前記トウに向けて延びており、
前記x軸が前記y軸に垂直であり、
前記打撃面の前記幾何学的中心を通り、前記ホーゼル軸に平行に延び、前記ロフト平面から前記ロフト角において位置決めされた平面に垂直な方向において102mphの風速を受けたときに、前記クラブヘッドが抵抗力Fdを経験し、
前記クラブヘッドが、クラウン-ソール慣性モーメントIyy、ヒール-トウ慣性モーメントIxx、及び、前記x軸および前記y軸についての慣性乗積Ixyを有しており、
前記慣性乗積が、100g・cm
2よりも大きく、
前記クラブヘッドが、打撃面-スカート慣性モーメントIzz、ヒール-トウ慣性モーメントIxx、及び
、z軸および前記x軸についての慣性乗積Ixzを有しており、
前記クラブヘッドが関係Aを満たす、ゴルフクラブヘッド。
【数5】
【請求項12】
前記クラブヘッドがさらに、関係Bを満たす、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【数6】
【請求項13】
前記クラブヘッドが、さらに、関係Cを満たす、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【数7】
【請求項14】
前記クラブヘッドが、さらに、関係Dを満たす、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【数8】
【請求項15】
前記ヘッドCG深さが、1.3インチよりも大きい、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記クラブヘッドは、さらに、
12時方向の線、3時方向の線、4時方向の線、5時方向の線、8時方向の線、9時方向の線、10時方向の線、及び、11時方向の線を有しており、
前記12時方向の線が、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときにおける前記クラブヘッドの底面図において、前記打撃面の中心点に位置合わせされており、前記ロフト平面
と接地面との間のフロント交差線に直交しており、
クロックグリッドが、前記12時方向の線に沿って、前記ヘッドの前部のフロントエンドと前記ヘッドの後部のリアエンドとの間の中点に位置合わせされており、
前記3時方向の線が、前記ヘッドのヒール部分に向かって延びており、
前記9時方向の線が、前記ヘッドのトウ部分に向かって延びており、
前記クラブヘッドは、さらに、
第1の埋め込みウエイトおよび第2の埋め込みウエイトを備えており、
前記第1の埋め込みウエイトが、前記トウ及び前記クラウンの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記11時方向の線と前記9時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記10時方向の線に交差することができ、
前記第2の埋め込みウエイトが、前記ヒールおよび前記ソールの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記3時方向の線と前記5時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記4時方向の線に交差することができる、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記第1の埋め込みウエイトおよび前記第2の埋め込みウエイトが、タングステンを含む、請求項16に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
合成慣性モーメントが、7250g・cm
2よりも大きい、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
-160g・cm
2よりも大きい前記慣性乗積Ixzを有する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記慣性モーメントIyyが、4500g・cm
2よりも大きい、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりそれらすべての内容の全体が本明細書に組み込まれている、2019年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/848,429号、および、2019年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/878,692号の利益を主張する。
【0002】
本開示はゴルフクラブヘッドに関する。より詳細には、本開示は、バランスの取れたインパクト性能特性とスイング性能特性を有するゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
容量、重心位置および慣性乗積(product of inertia)などの様々なゴルフクラブヘッド設計パラメータは、インパクト性能特性(例えば、スピン、打ち出し角度、速度、許容度)およびスイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブヘッドをスクエアにする能力)に影響を及ぼす。多くの場合、インパクト性能特性を改善するクラブヘッド設計は、スイング性能特性(例えば、空力抵抗)に悪影響を及ぼす可能性があり、あるいは、スイング性能特性を改善するクラブヘッド設計は、インパクト性能特性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、当技術分野では、改善されたスイング特性に対してバランスが取れた改善されたインパクト性能特性を有するクラブヘッドが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【0005】
【
図2】
図1のゴルフクラブヘッドの側断面線2-2に沿った側断面図である。
【0006】
【0007】
【
図4】
図1のゴルフクラブヘッドの側断面図である。
【0008】
【
図5】
図1のゴルフクラブヘッドの拡大側断面図である。
【0009】
【
図6】
図1のゴルフクラブヘッドの拡大側断面図である。
【0010】
【0011】
【
図8A】
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側の図である。
【0012】
【
図8B】
図1のゴルフクラブヘッドの上面図である。
【0013】
【
図8C】
図1のゴルフクラブヘッドの正面図である。
【0014】
【
図9】
図1におけるインパクトを経たゴルフクラブヘッド回転の上面図である。
【0015】
【
図10】
図1のゴルフクラブヘッドを用いた、中心よりも下方におけるゴルフボールの打撃からのデロフティング力に対する慣性乗積Ixyの影響の例示である。
【0016】
【
図11】
図1のゴルフクラブヘッドを用いた、中心よりも上方におけるゴルフボールの打撃からのロフティング力に対する慣性乗積Ixyの影響の例示である。
【0017】
【
図12】
図1のゴルフクラブヘッドを用いた、中心よりも下方におけるゴルフボールの打撃からのデロフティング力に対する慣性乗積Ixzの影響の例示である。
【0018】
【
図13】
図1のゴルフクラブヘッドを用いた、中心よりも上方におけるゴルフボールの打撃からのロフティング力に対する慣性乗積Ixzの影響の例示である。
【0019】
【
図14A】ゴルフボールにかけられたサイドスピンと一般的な先行技術のゴルフクラブヘッドの幾何学的中心よりも上方または下方のインパクト位置との間の関係性を示す。
【0020】
【
図14B】ゴルフボールにかけられたサイドスピンと
図1のゴルフクラブヘッドの幾何学的中心よりも上方または下方のインパクト位置との間の関係性を示す。
【0021】
【
図15】様々な公知のゴルフクラブヘッドについてのIxy比と重心高さとの間の関係性を示す。
【0022】
【
図16】様々な公知のゴルフクラブヘッドについてのIxy比と抵抗力との間の関係性を示す。
【0023】
【
図17】様々な公知のゴルフクラブヘッドについてのIxz比と重心高さとの間の関係性を示す。
【0024】
【
図18】様々な公知のゴルフクラブヘッドについてのIxz比と抵抗力との間の関係性を示す。
【0025】
【
図19】例示的なゴルフクラブヘッドの底面図を示す。
【0026】
【0027】
【
図21】
図19の側断面線I-Iに沿ったヒール側断面図を示す。
【0028】
【
図22】
図19の側断面線I-Iに沿ったトウ側断面図を示す。
【0029】
【
図23】ゴルフボールにかけられたサイドスピンと
図19のゴルフクラブヘッドの幾何学的中心よりも上方または下方のインパクト位置との間の実際の関係性を示す。
【0030】
本開示の他の態様は、詳細な説明および添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【0031】
説明を簡単かつ明瞭にするために、図面は一般的な構成方法を示しており、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために周知の特徴および技術の説明および詳細は省略されることがある。さらに、図面中の要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本開示の実施形態の理解を向上させるのを助けるために他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図中の同じ参照番号は同じ要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に記載のゴルフクラブヘッドは、下方後方のCG位置および減少させた空力抵抗を維持しながら、クラブヘッド慣性相乗モーメントを増大、及び、最大化させるいくつかの関係を使用する。具体的には、本明細書に記載のゴルフクラブは、明記されているように低い後方のCGを有する。ゴルフクラブは、さらに、高クラウン-ソール慣性モーメント(Ixx)、及び、高ヒール-トウ慣性モーメント(Iyy)を有する。ゴルフクラブは、さらに、大きな大きさの(および正の)Ixy慣性乗積項を有しており、このIxy慣性乗積項は、小さな大きさの(および負の)Ixz慣性乗積項と対にされ、中心よりも上方および下方においてゴルフショットを打つことにより生じる有害なサイドスピンを効果的に打ち消す。取り外し可能なウエイトまたは埋め込みウエイト(または加重したパネルゾーン)を使用することにより、クラブヘッド上(および内)の特定の位置における、裁量のウエイトの取り外しおよび配設を可能にして、クラブヘッドの慣性モーメント、慣性乗積、重心、および抵抗プロファイルのバランスを取る。
【0033】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、また、同様のCG位置および慣性モーメントを有するゴルフクラブヘッドに対して低い空力抵抗を有する。低く後方のCG位置を維持しながら、クラウンの高さを最大にすることで空力抵抗が低下する。打撃面からクラウン、打撃面からソールへ、および/または、ゴルフクラブヘッドのバックエンドに沿ったクラウンからソールへの遷移プロファイルは、空力抵抗を減少させる手段を提供する。タービュレータの使用とホーゼルウエイトの戦略的配置により、空力抵抗がさらに減少する。
【0034】
以下に記載のゴルフクラブは、空力抵抗を維持し、または、減少させながら、下方で後方のCG位置に対し、クラブヘッドの慣性モーメント、慣性乗積のバランスを取るいくつかの関係を使用する。CG、慣性モーメント、慣性乗積、および、抵抗のこれらの関係性のバランスを取ることにより、インパクト性能特性(例えば、高いおよび低いフェースヒット時のサイドスピンの防止、打ち出し角度、ボール速度、ならびに、許容度)と、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブヘッドをスクエアにする能力、スイング速度)と、が改善される。このバランスは、ドライバータイプのクラブヘッドに適用可能である。
【0035】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等は、類似要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続した順序または古い順を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される実施形態が例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の順序で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。さらに、用語「含む」および「有する」ならびにこれらの任意の活用形は、要素のリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置が必ずしもそれらの要素に限定されていないが、明示的に列挙されていないか、またはかかるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に固有ではない他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を網羅することが意図される。
【0036】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「の上」、「の下」等は、説明目的で使用され、必ずしも永久的な相対位置を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される製造装置、製造方法、および/または製造物品の実施形態が、例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の配向で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。
【0037】
本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるかまたは以下の図面に示される構造の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は他の実施形態に適用可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0038】
図1、
図2は、本体102と打撃面104とを有するゴルフクラブヘッド100を示す。クラブヘッド100の本体102は、フロントエンド108、フロントエンド108の反対側のバックエンド110、クラウン116、クラウン116の反対側のソール118、ヒール120、および、ヒール120の反対側のトウ122を含む。本体102は、さらに、クラウン116とソール118との間にそれらに隣接するスカートまたは後縁部128を含み、スカートはクラブヘッド100のヒール120の近くからトウ122の近くまで延びている。
【0039】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は中空体クラブヘッドである。これらの実施形態では、本体102および打撃面104は、ゴルフクラブヘッド100の内部空洞を画定することができる。いくつかの実施形態では、本体102は、クラブヘッド100のクラウン116、ソール118、ヒール120、トウ122、バックエンド110、および、フロントエンド108の周囲にわたって延在することができる。これらの実施形態では、本体102はクラブヘッド100のフロントエンド108に開口部を画定し、打撃面104は開口部内に配置されてクラブヘッド100を形成する。その他の実施形態では、打撃面104は、クラブヘッドのフロントエンド108全体にわたって延在することができ、クラウン116、ソール118、ヒール120、および、トウ122のうちの少なくとも1つにわたって延在する戻り部分を含むことができる。これらの実施形態では、打撃面104の戻り部分は本体102に結合されてクラブヘッド100を形成する。
【0040】
クラブヘッド100の打撃面104は、第1の材料を含む。多くの実施形態では、第1の材料は、チタン合金、スチール合金、アルミニウム合金、または、他の任意の金属、もしくは、金属合金等の金属合金である。他の実施形態では、第1の材料は、複合材料、プラスチック、または、任意の他の適切な材料、もしくは、材料の組み合わせ等の任意の他の材料を含むことができる。
【0041】
クラブヘッド100の本体102は、第2の材料を含む。多くの実施形態では、第2の材料は、チタン合金、スチール合金、アルミニウム合金、または、他の任意の金属、もしくは、金属合金等の金属合金である。他の実施形態では、第2の材料は、複合材料、プラスチック、または、任意の他の適切な材料、もしくは、材料の組み合わせ等の任意の他の材料を含むことができる。
【0042】
図1に示すように、クラブヘッド100は、さらに、ホーゼル構造130と、ホーゼル構造130のボアに沿って中心に延びるホーゼル軸132と、を含む。この例では、クラブヘッド100のホーゼル結合機構は、ホーゼル構造130とホーゼルスリーブ134を含む。ホーゼルスリーブ134は、ゴルフシャフト136の端部に結合することができる。ホーゼルスリーブ134は、ホーゼル構造130と複数の構成で結合することができ、それによってゴルフシャフト136をホーゼル軸132に対して複数の角度でホーゼル構造130に固定することができる。しかしながら、シャフト136をホーゼル構造130に調整不能に固定することができる他の例があり得る。
【0043】
クラブヘッド100の打撃面104は、幾何学的中心140を画定する。いくつかの実施形態では、幾何学的中心140は、打撃面周囲142の幾何学的中心点、および、フェース高さ144の中点に配置することができる。同じまたは他の例では、幾何学的中心140は、また、打撃面上の溝150の領域によって画定することができる設計された衝撃ゾーン148に関して中心に置くことができる。別のアプローチとして、打撃面の幾何学的中心は、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営団体の定義に基づいて配置することができる。例えば、打撃面の幾何学的中心は、USGAのゴルフクラブヘッドの可撓性を測定する手順(USGA-TPX3004,Rev.1.0.0,2008年5月1日)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf-Club-Head/から入手可能)(「可撓性の手順」)のセクション6.1に従って決定することができる。
【0044】
打撃面104の幾何学的中心140は、さらに、打撃面104の幾何学的中心140を原点とする座標系を規定する。この座標系は、X’軸1052、Y’軸1062、および、Z’軸1072を有する。X’軸1052は、クラブヘッド100のヒール120からトウ122への方向に打撃面104の幾何学的中心140を通って延びる。Y’軸1062は、クラブヘッド100のクラウン116からソール118への方向に打撃面104の幾何学的中心140を通って延びており、X’軸1052に対して垂直である。Z’軸1072は、クラブヘッド100のフロントエンド108からバックエンド110に向かう方向に幾何学的中心140を通って延びており、X’軸1052およびY’軸1062に垂直である。
【0045】
座標系は、X’軸1052およびY’軸1062を通って延びるX’Y’平面、X’軸1052およびZ’軸1072を通って延びるX’Z’平面、Y’軸1062およびZ’軸1072を通って延びるY’Z’平面を画定する。ここで、X’Y’平面、X’Z’平面、および、Y’Z’平面はすべて互いに垂直であり、打撃面104の幾何学的中心140に位置する座標系の原点で交差する。X’Y’平面は、ホーゼル軸132と平行に延びており、ロフト平面1010からのクラブヘッド100のロフト角に対応する角度で配置されている。さらに、X’軸1052は、X’Y’平面に垂直な方向から見たときにホーゼル軸132に対して60度の角度で配置されている。
【0046】
これらまたは他の実施形態では、打撃面104をX’Y’平面に垂直な方向から見たときに、クラブヘッド100を正面図(
図1)から見ることができる。さらに、これらまたは他の実施形態では、ヒール120をY’Z’平面に垂直な方向から見たときに、クラブヘッド100を側面図または側断面図(
図2)から見ることができる。
【0047】
クラブヘッド100は、深さ160、長さ162、および、高さ164を画定する。
図3に示すように、クラブヘッド100の深さ160は、Z’軸1072に平行な方向において、フロントエンド108からバックエンド110までのクラブヘッド100の最も遠い範囲として測定することができる。
【0048】
クラブヘッド100の長さ162は、正面図(
図1)から見たときに、X’軸1052に平行な方向において、ヒール120からトウ122までのクラブヘッド100の最も遠い範囲として測定することができる。多くの実施形態では、クラブヘッド100の長さ162は、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営団体の定義に基づいて測定することができる。例えば、クラブヘッド100の長さ162は、ウッドクラブのクラブヘッドサイズを測定するためのUSGAの手順(USGA-TPX3003、Rev.1.0.0,2003年11月21日)(https://www.usga.org/content/dam/usga/pdf/Equipment/TPX3003-procedure-for-measuring-the-club-head-size-of-wood-clubs.pdfから入手可能)(「ウッドクラブのクラブヘッドサイズの測定手順」)に従って決定することができる。
【0049】
クラブヘッド100の高さ164は、正面図(
図1)から見たときに、Y’軸1062に平行な方向において、クラウン116からソール118までのクラブヘッド100の最も遠い範囲として測定することができる。多くの実施形態では、クラブヘッド100の高さ164は、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営団体の定義に基づいて測定することができる。例えば、クラブヘッド100の高さ164は、ウッドクラブのクラブヘッドサイズを測定するためのUSGAの手順(USGA-TPX3003、Rev.1.0.0,2003年11月21日)(https://www.usga.org/content/dam/usga/pdf/Equipment/TPX3003-procedure-for-measuring-the-club-head-size-of-wood-clubs.pdfから入手可能)(「ウッドクラブのクラブヘッドサイズの測定手順」)に従って決定することができる。
【0050】
図1および
図2に示すように、クラブヘッド100は、さらに、ヘッド重心(CG)170と、打撃面104の幾何学的中心140を通ってロフト平面1010に垂直に、クラブヘッド100のヒール120からトウ122への方向に延びるヘッド深さ平面1040と、を含む。いくつかの実施形態では、ヘッドCG170は、ロフト平面に垂直な方向において測定されたロフト平面1010からのヘッドCG深さ172に配置することができる。ヘッドCG170は、さらに、ヘッド深さ平面1040に垂直な方向において測定されたヘッド深さ平面1040からのヘッドCG高さ174に配置することができる。多くの実施形態では、ヘッドCG170は、ロフト平面1010からCG170に向かいヘッド深さ平面1040に平行な方向において測定された、打撃面104の幾何学的中心140からのヘッドCG深さ172に配置される。多くの実施形態では、ヘッドCG170は、以下に記載されるように、容量およびロフト角などの様々なクラブヘッドパラメータに基づいて、クラブヘッド100のソール118およびバックエンド110に向かって戦略的に位置決めされる。いくつかの実施形態では、ヘッドCG170は、以下に記載されるように、容量およびロフト角などの様々なクラブヘッドパラメータに基づいて、クラブヘッド100のソール118およびバックエンド110に向かって戦略的に位置決めされる。
【0051】
ヘッドCG170は、x軸1050、y軸1060、および、z軸1070を有する座標系の原点を規定する。y軸1060は、クラウン116からソール118までヘッドCG170を通って延びており、側面図から見たときにホーゼル軸132に対して平行であり、正面から見たときにホーゼル軸132から30度の角度である。x軸1050は、ヘッドCG170を通ってヒール120からトウ122まで延びており、正面図から見たときにy軸1060に対して垂直であり、X’Y’平面に平行である。z軸1070は、ヘッドCG170を通ってフロントエンド108からバックエンド110まで延びており、x軸1050およびy軸1060に対して垂直である。多くの実施形態では、x軸1050は、ヘッドCG170を通ってヒール120からトウ122まで延びるとともにX’軸1052に平行であり、y軸1060は、ヘッドCG170を通ってクラウン116からソール118まで延びるとともにY’軸1062に平行であり、z軸1070は、ヘッドCG170を通ってフロントエンド108からバックエンド110まで延びるとともにZ’軸1072に平行である。
I.ドライバータイプクラブヘッド
【0052】
一例によれば、ゴルフクラブヘッド100は、大容量および低ロフト角を含む。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100はドライバータイプのクラブヘッドを含む。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、本明細書に記載されているようなロフト角および容量を有する任意の種類のゴルフクラブヘッドを含むことができる。
【0053】
多くの実施形態では、クラブヘッド100のロフト角は、約16度未満、約15度未満、約14度未満、約13度未満、約12度未満、約11度未満、または、約10度未満である。さらに、多くの実施形態では、クラブヘッド100の容量は、約400ccよりも大きい、約425ccよりも大きい、約450ccよりも大きい、約475ccよりも大きい、約500ccよりも大きい、約525ccよりも大きい、約550ccよりも大きい、約575ccよりも大きい、約600ccよりも大きい、約625ccよりも大きい、約650ccよりも大きい、約675ccよりも大きい、または、約700ccよりも大きい。いくつかの実施形態では、クラブヘッドの容量は、約400cc~600cc、445cc~485cc、425cc~500cc、約500cc~600cc、約500cc~650cc、約550cc~600cc、約600cc~650cc、約650cc~700cc、約700cc~750cc、または、約750cc~800ccであり得る。
【0054】
多くの実施形態では、クラブヘッド100の長さ162は、4.85インチよりも大きい。他の実施形態では、クラブヘッド100の長さ162は、4.5インチよりも大きい、4.6インチよりも大きい、4.7インチよりも大きい、4.8インチよりも大きい、4.9インチよりも大きい、または、5.0インチよりも大きい。例えば、いくつかの実施形態では、クラブヘッド100の長さ162は、4.6~5.0インチ、4.7~5.0インチ、4.8~5.0インチ、4.85~5.0インチ、または4.9~5.0インチの間であり得る。
【0055】
多くの実施形態では、クラブヘッド100の深さ160は、クラブヘッド100の長さ162よりも少なくとも0.70インチ小さい。多くの実施形態では、クラブヘッド100の深さ160は、4.75インチよりも大きい。他の実施形態では、クラブヘッド100の深さ160は、4.5インチよりも大きい、4.6インチよりも大きい、4.7インチよりも大きい、4.8インチよりも大きい、4.9インチよりも大きい、または5.0インチよりも大きい。例えば、いくつかの実施形態では、クラブヘッド100の深さ160は、4.6~5.0インチ、4.7~5.0インチ、4.75~5.0インチ、4.8~5.0インチ、または4.9~5.0インチの間であり得る。
【0056】
多くの実施形態では、クラブヘッド100の高さ164は、約2.8インチ未満である。他の実施形態では、クラブヘッド100の高さ164は、3.0インチ未満、2.9インチ未満、2.8インチ未満、2.7インチ未満、または、2.6インチ未満である。例えば、いくつかの実施形態では、クラブヘッド100の高さ164は、2.0~2.8インチ、2.2~2.8インチ、2.5~2.8インチ、または、2.5~3.0インチの間であり得る。さらに、多くの実施形態では、クラブヘッド100のフェース高さ144は、約1.3インチ(33mm)~約2.8インチ(71mm)とすることができる。さらになお、多くの実施形態において、クラブヘッド100は、185グラム~225グラムの間の質量を含み得る。
II.慣性乗積
【0057】
ゴルフクラブヘッド100は、慣性テンソルを含む。ゴルフクラブヘッド100についての慣性テンソルは、以下の式(1)により表される。慣性テンソルの主軸(Ixx、Iyy、Izz)は、最大化される。ゴルフクラブヘッド100の慣性モーメントが大きくなるほど、トルクが印加される(即ち、ゴルフボールを打撃面の幾何学的中心において打撃しない)ときにクラブヘッド100が回転を経験しにくくなる。多くの場合、クラブヘッド100のMOIが最大化されるとともにゴルフボールを中心140付近で打撃する場合、ゴルフボールがまっすぐに飛行することが想定される。しかし、ゴルフクラブヘッドはなお、個々人のゴルフスイングの力学により、3つの主な回転効果を経験する。
【数1】
【0058】
図8を参照すると、ゴルフクラブヘッド100がインパクトを経て経験するとともにユーザにより生成される(ゴルファーがゴルフクラブをスイングすることにより生じる)主な回転効果は3つある。
図8Aを参照すると、第1の効果であるロフティングレートは、ゴルフクラブヘッド100のロフト角の時間変化率である。ロフティングレートは、ゴルフクラブヘッド100のx軸1050の周りの回転速度である。
図8Bを参照すると、クロージャレート(closure rate)は、ゴルフクラブヘッド100のフェース角度の時間変化率である。クロージャレートは、ゴルフクラブヘッド100のy軸1060の周りの回転速度である。最後に、
図8Cを参照すると、第3の効果であるドゥルーピングレート(drooping rate)は、インパクト時におけるゴルフクラブヘッド100のライ角(lie angle)の時間変化率である。ドゥルーピングレートは、ゴルフクラブヘッド100のz軸1070の周りの回転速度である。
【0059】
さらに、ユーザにより生成される3つの主な回転効果に加え、ゴルフクラブ100をスイングする軌道と、インパクト時におけるゴルフクラブヘッド100のフェース角度もまた、ユーザにより生成される個々人のスイングの力学である。前述のように、
図9を参照すると、ゴルフクラブ100のゴルフクラブレートは、インパクト全体にわたり、ロフティング、クロージャ、および、ドゥループにより、すべての3つの座標軸においてCGの周りを回転する。インパクト時におけるゴルフクラブ100のフェース角度は、ターゲットライン(ゴルフボールからゴルフボールの所望のエンドポイントに形成されるライン)と、フェースライン(接地面上に投影したときに打撃面の幾何学的中心から垂直に延びる方向ベクトル)との間に形成される角度である。ゴルフクラブの軌道は、ゴルフボールとのインパクト時点において、ターゲットラインとゴルフクラブヘッドの速度ベクトルとの間に形成される角度である。フェース角度とクラブ軌道との間の差により、望まれないサイドスピンが生成される。フェース角度とクラブ軌道との間の差が大きくなるほど、生成されるサイドスピンが大きくなる。
【0060】
さらに、ゴルファーが、ゴルフクラブヘッドの中心よりも上方または下方においてゴルフボールを打撃すると、クラブ軌道が変化し、これによってサイドスピンが生成され得る。例えば、フェース角度とクラブ軌道との間の差異が相対的に小さい(すなわち、1度未満の)状態で、ボールを打撃面の中心において打撃するゴルファー、ゴルフボールは通常、ゴルフボールの所望のエンドポイントまでターゲットライン上を飛行する。しかし、同じゴルファーが、打撃面の中心よりもすぐ下方またはすぐ上方においてボールを(クラウンからソールに向かう方向に)打撃するなど、クラブフェース中心を外れて(ヒールからトウに向かう方向に)ボールを打撃すると、差異は2度もしくは3度になることがあり、および/または、望まれないサイドスピンがインパクト時に生成される。
【0061】
再び
図2を参照すると、ゴルフクラブヘッドの打撃面がロフト角において位置決めされているため、ゴルフボールを打撃面の中心よりも上方において打撃することにより、Z方向においてCGにより近いインパクト位置が生じる。まったく対照的に、ゴルフボールが打撃面の中心よりも下方において打撃されると、インパクト位置はZ方向においてCGからより遠くなる。インパクト位置がCGから遠くなる(よって、回転軸から遠くなる)ほど、ショットは、クロージャモーメントの方向に迅速に飛行するが、その理由は、クロージャレートの大きさが、インパクト時にCGに対して正であるためである。例えば、相対的にまっすぐな打球パラメータ(フェース角度とクラブ軌道との間の約1度の差異)を再び想定すると、中心よりも上方において打撃されたゴルフショットは、ドローする傾向にある一方、中心よりも下方において打撃されたゴルフショットは、フェードする傾向にある。
【0062】
ゴルファーがボールをクラブフェースの中央において(ヒールからトウに向かう方向に)打撃するものの、ボールを打撃面の中心よりもすぐ下方またはすぐ上方において(クラウンからソールに向かう方向に)打撃すると、クラブヘッドは、ロフティングモーメント(τ
x)、クロージャモーメント(τ
y)、および、ドゥルーピングモーメント(τ
z)を経験する。クラブヘッドが中心よりもすぐ上方またはすぐ下方において打撃されたときに経験する角加速度を、以下の式(2)、(3)、および、(4)によって表すことができる。ゴルフボールがx軸1050よりも上方または下方において打撃されているものの、y軸1060およびz軸1070上にある(接触している)ものと想定すると、y軸1060およびz軸1070の周りに印加されるトルク(τ
y≒0、τ
z≒0)は、約ゼロである。x軸1050の周りに印加されるトルク(τ
x)は、ゴルフボールが中心よりも上方または下方にいかに離れて打撃されているかに正比例する(すなわち、ボールが中心よりも上方に離れて打撃されるほど、x軸の周りのトルクが大きくなる)。
【数2】
【数3】
【数4】
【0063】
インパクト時にゴルフクラブヘッド100の角加速度を最小化するために、x軸1050、y軸1060、および、z軸1070の周りの慣性モーメントを増大させることができ、その後、ゴルフクラブヘッド100の許容度が増大されるが、その理由は、ゴルフクラブヘッド100が、主軸(x軸、y軸、z軸)の周りの回転トルクに、より良好に抗うためである。ゴルフクラブヘッド100が主軸の周りの回転トルクにより良好に抗う場合、クラブヘッド100は、中心を外れたインパクトに対してより高い許容度を有する。しかし、MOIが最大化されるとともにゴルフボールが(望ましい打球パラメータを伴って)中心よりも上方または下方において打撃されるときでも、ゴルフボールはなお、望まれないサイドスピンを有するものである。慣性モーメントに加え、CG位置決めおよび慣性乗積を最適化しおよび/またはそのバランスを取って、ヒール120からトウ122に向かう方向における許容度を維持しながら、ゴルフクラブヘッド100のインパクト特性を改善して高いおよび低いフェースヒットについての望まれないサイドスピンを最小化することができる。
【0064】
一般に、2つの軸についての慣性乗積は、第1の軸の周りのクラブヘッド100の対称性を、第2の軸の周りのクラブヘッド100の対称性に関連付ける。よって、2つの軸についての慣性乗積の大きさがゼロに近くなるほど、ゴルフクラブヘッド100は、それらのそれぞれの軸の周りで同時に回転しにくくなるが、その理由は、クラブヘッド100のバランスが対称的に取れているためである。
【0065】
式(2)、(3)、および、(4)により、慣性モーメントが増大するのに伴い、ゴルフボールを中心よりも上方または下方において打撃したときに、ゴルフクラブヘッドが経験する角加速度の大きさが減少するということが分かる。しかし、それでもなお、慣性乗積(IxyおよびIxz)をゼロにして、αyおよびαzをゼロにした場合でも、なお、x軸1050の周りのゴルフクラブヘッドの角加速度が存在し、高いおよび低いフェースヒットについて、ゴルフクラブヘッド100の打球パラメータから望まれないサイドスピンが生じる。
【0066】
ウッドタイプのゴルフクラブヘッド(負のIxyおよびIxz慣性乗積を有する)について
図10~
図13および式(2)~(4)を参照すると、ゴルファーがボールをクラブフェースの中央において(ヒールからトウに向かう方向に)打撃するものの、ボールを打撃面の中心よりもすぐ下方またはすぐ上方において(クラウンからソールに向かう方向に)打撃すると、クラブヘッド100はロフティングモーメントを受け、すべての3つの軸の周りにおける回転加速度を招来する。
【0067】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約30g・cm2よりも大きい、約40g・cm2よりも大きい、約50g・cm2よりも大きい、約60g・cm2よりも大きい、約70g・cm2よりも大きい、約80g・cm2よりも大きい、約90g・cm2よりも大きい、約100g・cm2よりも大きい、約110g・cm2よりも大きい、約120g・cm2よりも大きい、約130g・cm2よりも大きい、約140g・cm2よりも大きい、約150g・cm2よりも大きい、約160g・cm2よりも大きい、約170g・cm2よりも大きい、約180g・cm2よりも大きい、約190g・cm2よりも大きい、または、約200g・cm2よりも大きいIxy慣性乗積を含む。
【0068】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約-200g・cm2よりも大きい、約-190g・cm2よりも大きい、約-180g・cm2よりも大きい、約-170g・cm2よりも大きい、約-160g・cm2よりも大きい、約-150g・cm2よりも大きい、約-140g・cm2よりも大きい、約-130g・cm2よりも大きい、約-120g・cm2よりも大きい、約-110g・cm2よりも大きい、約-100g・cm2よりも大きい、約-90g・cm2よりも大きい、約-80g・cm2よりも大きい、約-70g・cm2よりも大きい、約-60g・cm2よりも大きい、約-50g・cm2よりも大きい、約-40g・cm2よりも大きい、または、約-30g・cm2よりも大きいIxz慣性乗積を含む。
【0069】
図10および
図12を参照すると、ゴルフクラブヘッド100が打撃面の中心よりも下方において打撃されるとともにIxyが負であるとき、クラブヘッドはゴルフクラブヘッドにおいてデロフティングモーメントを経験する。このデロフティングモーメントは、Ixzにより生じるクロージャ回転を生じ、それによってゴルフボールにフェードスピンがかかることになる。
図11および
図13を参照すると、ゴルフクラブヘッドが打撃面の中心よりも上方において打撃されるとともにIxyが負であるとき、クラブヘッドはロフティングモーメントを経験する。このロフティングモーメントは、ゴルフクラブヘッドのオープン回転およびトウアップ回転を生じ、それによってゴルフボールにドロースピンがかかることになる。このサイドスピンの大きさは、α
y(ならびに、よってIxyおよびτ
x)に比例する。Ixyが正にされると、高いおよび低いフェースヒットに生じるサイドスピンの挙動は反対となる(すなわち、高いフェースヒットはスライスになる一方、低いフェースヒットはフックになる)。
【0070】
慣性乗積の大きさを変化させることにより、ゴルフボールがクラブフェースの中心よりも上方または下方において打撃されるとき、インパクト時におけるゴルフクラブヘッドのヘッド回転加速度(式(2)~(4))に著しい影響を及ぼすことができる。慣性乗積を最適化して、打撃面における低いおよび高いヒットについてのクロージャレートにより生じる有害なサイドスピンを解消することができる。下方で後方のCG、高慣性モーメント(ヒールからトウに向かう方向における許容度)、ならびに、打撃面の中心よりも上方および下方における許容度を有するゴルフクラブヘッドを提供するために、これらの慣性乗積を、慣性モーメントおよびCG位置決めに加え、最適化することができる。さらに、究極までバランスの取れたゴルフクラブの性能を求めて、クラブヘッド100の空気力学のバランスを、CGおよび慣性モーメントに対してさらに取ることができる。
【0071】
前述のように、慣性乗積IxyおよびIxzをゼロにすることにより、y軸1060およびz軸1070の周りの角加速度をなくすこと(α
yおよびα
z=0)を達成することができる。しかし、これまでに述べたように、フェース角度とクラブ軌道との差異により、サイドスピンがなお生成される。
図14Aを参照すると、ドライバータイプのゴルフクラブヘッドにより生成される中心よりも上方および下方における(望ましい打球パラメータを伴った)打撃時のサイドスピンが示されている。ボールが中心よりもより上方または下方において打撃されるほど、サイドスピンが生成される。このサイドスピンは、所望の長さまたは方向に進行しないショットをつながり得る。
【0072】
生成される、この望まれないサイドスピンを打ち消すために、Ixy慣性乗積を最大化(ゼロよりも大きく)して、y軸の周りの好ましい角加速度(α
y)を生じることができる。最大化されたIxy慣性乗積を使用して、高いおよび低いフェースヒットについてのフェース角度とクラブ軌道との差により生成されるサイドスピンをなくすことができる。
図14Bを参照すると、慣性乗積が改善された理論上のゴルフクラブヘッドにより、中心よりも上方および下方におけるヒットにより生じるサイドスピンをなくすことができ、(サイドスピンがなく)距離および方向が安定したゴルフショットを生むことが分かる。
III.重心位置および慣性モーメント
【0073】
ゴルフクラブヘッド100は、Ixy慣性乗積を最大化するとともにIxz慣性乗積をほぼゼロにしながら、高慣性モーメント(Ixx、Iyy、Izz)に対してバランスの取れた低く後方のCGを含む。多くの実施形態では、低く後方のクラブヘッドCGおよび増大させた慣性モーメントは、裁量のウエイトを増大させるとともに、裁量のウエイトを、ヘッドCGからの距離を最大化させたクラブヘッドの領域に再配置することにより、達成することができる。裁量のウエイトを増大させることは、上述のように、ヘッドCG位置に対して、クラウンを薄くすること、および/または、最適化された材料を使用することにより達成することができる。裁量のウエイトを再配置してヘッドCGからの距離を最大化することは、上述のように、ヘッドCG位置に対して、取り外し可能なウエイト、埋め込みウエイト、または、急なクラウン角度を使用することにより達成することができる。
【0074】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約2250g・cm2よりも大きい、約2500g・cm2よりも大きい、約2750g・cm2よりも大きい、約3000g・cm2よりも大きい、約3250g・cm2よりも大きい、約3500g・cm2よりも大きい、約3750g・cm2よりも大きい、約4000g・cm2よりも大きい、約4250g・cm2よりも大きい、約4500g・cm2よりも大きい、約4750g・cm2よりも大きい、約5000g・cm2よりも大きい、約5250g・cm2よりも大きい、約5500g・cm2よりも大きい、約5750g・cm2よりも大きい、約6000g・cm2よりも大きい、約6250g・cm2よりも大きい、約6500g・cm2よりも大きい、約6750g・cm2よりも大きい、または、約7000g・cm2よりも大きい、クラウン-ソール慣性モーメントIxxを含む。
【0075】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約4500g・cm2よりも大きい、約4750g・cm2よりも大きい、約5000g・cm2よりも大きい、約5250g・cm2よりも大きい、約5500g・cm2よりも大きい、約5750g・cm2よりも大きい、約6000g・cm2よりも大きい、約6250g・cm2よりも大きい、約6500g・cm2よりも大きい、約6750g・cm2よりも大きい、または、約7000g・cm2よりも大きい、ヒール-トウ慣性モーメントIyyを含む。
【0076】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約7000g・cm2よりも大きい、約7250g・cm2よりも大きい、約7500g・cm2よりも大きい、約7750g・cm2よりも大きい、8000g・cm2よりも大きい、8500g・cm2よりも大きい、8750g・cm2よりも大きい、9000g・cm2よりも大きい、9250g・cm2よりも大きい、9500g・cm2よりも大きい、9750g・cm2よりも大きい、10000g・cm2よりも大きい、10250g・cm2よりも大きい、10500g・cm2よりも大きい、10750g・cm2よりも大きい、11000g・cm2よりも大きい、11250g・cm2よりも大きい、11500g・cm2よりも大きい、11750g・cm2よりも大きい、12000g・cm2よりも大きい、12500g・cm2よりも大きい、13000g・cm2よりも大きい、13500g・cm2よりも大きい、または、14000g・cm2よりも大きい、合成慣性モーメント(すなわち、クラウン-ソール慣性モーメントIxxとヒール-トウ慣性モーメントIyyとの合計)を含む。
【0077】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約0.20インチ未満、約0.15インチ未満、約0.10インチ未満、約0.09インチ未満、約0.08インチ未満、約0.07インチ未満、約0.06インチ未満、または、約0.05インチ未満のヘッドCG高さ374を有する。さらに、多くの実施形態において、クラブヘッド100は、約0.20インチ未満、約0.15インチ未満、約0.10インチ未満、約0.09インチ未満、約0.08インチ未満、約0.07インチ未満、約0.06インチ未満、または、約0.05インチ未満の絶対値を有するヘッドCG高さ374を含む。
【0078】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、約1.2インチより大きい、約1.3インチより大きい、約1.4インチより大きい、約1.5インチより大きい、約1.6インチより大きい、約1.7インチより大きい、約1.8インチよりも大きい、約1.9インチよりも大きい、または、約2.0インチよりも大きいヘッドCG深さ172を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、第1性能特性を含むことができる。第1性能特性は、(a)72mmとフェース高さ144との間の差、および、(b)ヘッドCG深さ172、の間の比として定義される。多くの実施形態において、第1性能特性は、0.56以下である。しかしながら、いくつかの実施形態において、第1性能特性は、0.60以下、0.65以下、0.70以下、または、0.75以下である。
【0080】
いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、第2性能特性を含むことができる。第2性能特性は、(a)クラブヘッド100の容量、および、(b)ヘッドCG深さ172とヘッドCG高さ174の絶対値との間の比、の合計として定義される。第2性能特性は、425cc以上である。いくつかの実施形態において、第2性能特性は、450cc以上、475cc以上、490cc以上、495cc以上、500cc以上、505cc以上、又は510cc以上であり得る。
【0081】
減少したヘッドCG高さ174を有するクラブヘッド100は、より高いヘッドCG高さを有する同様のクラブヘッドと比較して、インパクト時のゴルフボールのバックスピンを減少させることができる。多くの実施形態では、バックスピンを減少させると、クラブヘッドの性能を向上させるために、ボール速度と飛行距離の両方を増加させることができる。さらに、ヘッドCG深さ172を増大させたクラブヘッド100は、打球面により近いヘッドCGの深さを有する同様のクラブヘッドと比較して、ヒール-トウ慣性モーメントを増大させることができる。ヒール-トウ慣性モーメントを大きくすると、クラブヘッドの性能を向上させるためのインパクト時のクラブヘッドの許容度を高めることができる。さらに、ヘッドCG深さ172が増大したクラブヘッド100は、打球面により近いヘッドCGの深さを有する同様のクラブヘッドと比較して、打球時のクラブヘッドの動的ロフトを増大させることによって、インパクト時のゴルフボールの打ち出し角度を増大させることができる。
【0082】
ヘッドCG高さ174および/またはヘッドCG深さ172は、様々な領域でクラブヘッドの重量を減らし、それによって裁量のウエイトを増やし、ヘッドCGをより低くより後方にシフトするためにクラブヘッドの戦略的な領域で裁量のウエイトを変えることによって達成できる。クラブヘッドの重量を減少させて再配置するための様々な手段が以下に説明される。
i.薄い領域
【0083】
いくつかの実施形態では、ヘッドCG高さ174および/またはヘッドCG深さ172は、クラブヘッド100の様々な領域を薄くして余分なウエイトを取り除くことによって達成することができる。余分なウエイトを除去すると、所望の低く後方のクラブヘッドCG位置を達成するためにクラブヘッド100の領域に戦略的に再配置することができる増加した裁量のウエイトがもたらされる。
【0084】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、1つまたは複数の薄い領域176を有することができる。1つまたは複数の薄い領域176は、打撃面104、本体102、または、打撃面104と本体102の組み合わせ上に配置することができる。さらに、1つまたは複数の薄い領域176は、クラウン116、ソール118、ヒール120、トウ122、フロントエンド108、バックエンド110、スカート128、または、記載された位置の任意の組み合わせを含む本体102の任意の領域に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の薄い領域176は、クラウン116上に配置することができる。さらなる例では、1つまたは複数の薄い領域176は、打撃面104とクラウン106の組み合わせ上に配置することができる。さらなる例では、1つまたは複数の薄い領域176は、打撃面104、クラウン116、およびソール118の組み合わせ上に配置することができる。さらなる例では、本体102全体および/または打撃面104全体が薄い領域176を含むことができる。
【0085】
1つまたは複数の薄い領域176が打撃面104上に配置される実施形態では、打撃面104の厚さは、最大打撃面厚さおよび最小打撃面厚さが変化し得る。これらの実施形態では、最小打撃面厚さは、0.10インチ未満、0.09インチ未満、0.08インチ未満、0.07インチ未満、0.06インチ未満、0.05インチ未満、0.04インチ未満、または、0.03インチ未満であり得る。これらまたは他の実施形態では、最大打撃面厚さは、0.20インチ未満、0.19インチ未満、0.18インチ未満、0.17インチ未満、0.16インチ未満、0.15インチ未満、0.14インチ未満、0.13インチ未満、0.12インチ未満、0.11インチ未満、または、0.10インチ未満であり得る。
【0086】
1つまたは複数の薄い領域176が本体102上に配置されている実施形態では、薄い領域は約0.020インチ未満の厚さを含むことができる。他の実施形態では、薄い領域は、0.025インチ未満、0.020インチ未満、0.019インチ未満、0.018インチ未満、0.017インチ未満、0.016インチ未満、0.015インチ未満、0.014インチ未満、0.013インチ未満、0.012インチ未満、または、0.010インチ未満の厚さを含む。例えば、薄い領域は、約0.010~0.025インチ、約0.013~0.020インチ、約0.014~0.020インチ、約0.015~0.020インチ、約0.016~0.020インチ、約0.017~0.020インチ、または、約0.018~0.020インチの厚さを含むことができる。
【0087】
図示の実施形態では、薄い領域176は形状および位置が異なり、クラブヘッド100の表面積の約25%を覆っている。他の実施形態では、薄い領域は、クラブヘッド900の表面積の約20~30%、約15~35%、約15~25%、約10~25%、約15~30%、または、約20~50%を覆うことができる。さらに、他の実施形態では、薄い領域は、クラブヘッド100の表面積の最大5%、最大10%、最大15%、最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、または、最大50%までを覆うことができる。
【0088】
多くの実施形態では、クラウン116は、クラウン116の表面積の約51%が薄い領域176を含むように、1つまたは複数の薄い領域176を含むことができる。他の実施形態では、クラウン116は、クラウン116の最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、または、最大90%が薄い領域176を含むように、1つまたは複数の薄い領域176を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、クラウン116の約40~60%が薄い領域176を含むことができる。さらなる例では、他の実施形態では、クラウン116の約50~100%、約40~80%、約35~65%、約30~70%、または約25~75%が薄い領域176を含むことができる。いくつかの実施形態では、クラウン116は1つまたは複数の薄い領域176を含むことができ、1つまたは複数の薄い領域176のそれぞれは勾配をつけて薄くなっている。この例示的な一実施形態では、クラウン116の1つまたは複数の薄い領域176は、ヒール-トウ方向に延び、1つまたは複数の薄い領域176のそれぞれは、打撃面104からバックエンド110に向かう方向に厚さが減少している。
【0089】
多くの実施形態では、ソール118は、ソール118の表面積の約64%が薄い領域176を含むように、1つまたは複数の薄い領域176を含むことができる。他の実施形態では、ソール118は、ソール118の最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、または、最大90%が薄い領域176を含むように、1つまたは複数の薄い領域176を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ソール118の約40~60%が薄い領域176を含むことができる。さらなる例では、他の実施形態では、ソール118の約50~100%、約40~80%、約35~65%、約30~70%、または、約25~75%が薄い領域176を含むことができる。
【0090】
薄い領域176は、円形、三角形、正方形、長方形、卵形、または、少なくとも1つの曲面を有する任意の他の多角形もしくは形状などの任意の形状を含むことができる。さらに、1つまたは複数の薄い領域176は、残りの薄い領域と同じ形状、または、異なる形状を含むことができる。
【0091】
多くの実施形態では、薄い領域を有するクラブヘッド100は遠心鋳造を用いて製造することができる。これらの実施形態では、遠心鋳造は、クラブヘッド100が従来の鋳造を使用して製造されたクラブヘッドよりも薄い壁を有することを可能にする。他の実施形態では、薄い領域を有するクラブヘッド100の部分は、打ち抜き加工、鍛造加工、または、機械加工などの他の適切な方法を使用して製造することができる。薄い領域を有するクラブヘッド100の部分が打ち抜き加工、鍛造加工、または、機械加工を使用して製造される実施形態では、クラブヘッド100の部分は、エポキシ、テープ、溶接、機械的締結具、または、他の適切な方法を使用して結合され得る。
ii.最適化された材料
【0092】
ゴルフクラブヘッド100は、打撃面104および/または本体102において最適化された材料を使用して、CG高さ174および/またはCG深さ172をさらに最適化することができる。最適化された材料は、増大させた比強度および/または増大させた比可撓性を含むことができる。比可撓性は、最適化された材料の弾性率に対する降伏強度の比として測定される。比強度および/または比可撓性を増大させることにより、耐久性を維持しながら、クラブヘッドの一部(打撃面104および/または本体102の一部など)を薄くすることを可能にすることができる。
【0093】
ゴルフクラブヘッド100は、第1の材料および第2の材料を含む。ほとんどの実施形態において、打撃面104は第1の材料を含み、本体102は第2の材料を含む。ほとんどの実施形態では、第1の材料は第2の材料とは異なるが、いくつかの実施形態では、第1の材料は第2の材料と同じであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、打撃面104の第1の材料は、参照により全体が本明細書に組み込まれている「最適化された材料特性を有するゴルフクラブヘッド」という名称の米国仮特許出願第62/399,929号に記載されているように最適化された材料とすることができる。これらまたは他の実施形態では、最適化チタン合金を含む第1の材料は、約900,000PSI/lb/in3(224MPa/g/cm3)以上、約910,000PSI/lb/in3(227MPa/g/cm3)以上、約920,000PSI/lb/in3(229MPa/g/cm3)以上、約930,000PSI/lb/in3(232MPa/g/cm3)以上、約940,000PSI/lb/in3(234MPa/g/cm3)以上、約950,000PSI/lb/in3(237MPa/g/cm3)以上、約960,000PSI/lb/in3(239MPa/g/cm3)以上、約970,000PSI/lb/in3(242MPa/g/cm3)以上、約980,000PSI/lb/in3(244MPa/g/cm3)以上、約990,000PSI/lb/in3(247MPa/g/cm3)以上、約1,000,000PSI/lb/in3(249MPa/g/cm3)以上、約1,050,000PSI/lb/in3(262MPa/g/cm3)以上、約1,100,000PSI/lb/in3(274MPa/g/cm3)以上、または、約1,150,000PSI/lb/in3(286MPa/g/cm3)以上の比強度を有することができる。
【0095】
さらに、これらまたは他の実施形態では、最適化チタン合金を含む第1の材料は、約0.0075以上、約0.0080以上、約0.0085以上、約0.0090以上、約0.0091以上、約0.0092以上、約0.0093以上、約0.0094以上、約0.0095以上、約0.0096以上、約0.0097以上、約0.0098以上、約0.0099以上、約0.0100以上、約0.0105以上、約0.0110以上、約0.0115以上、または、約0.0120以上の比可撓性を有することができる。
【0096】
これらまたは他の実施形態では、最適化スチール合金を含む第1の材料は、約650,000PSI/lb/in3(162MPa/g/cm3)以上、約700,000PSI/lb/in3(174MPa/g/cm3)以上、約750,000PSI/lb/in3(187MPa/g/cm3)以上、約800,000PSI/lb/in3(199MPa/g/cm3)以上、約810,000PSI/lb/in3(202MPa/g/cm3)以上、約820,000PSI/lb/in3(204MPa/g/cm3)以上、約830,000PSI/lb/in3(207MPa/g/cm3)以上、約840,000PSI/lb/in3(209MPa/g/cm3)以上、約850,000PSI/lb/in3(212MPa/g/cm3)以上、約900,000PSI/lb/in3(224MPa/g/cm3)以上、約950,000PSI/lb/in3(237MPa/g/cm3)以上、約1,000,000PSI/lb/in3(249MPa/g/cm3)以上、約1,050,000PSI/lb/in3(262MPa/g/cm3)以上、約1,100,000PSI/lb/in3(274MPa/g/cm3)以上、約1,115,000PSI/lb/in3(278MPa/g/cm3)以上、または、約1,120,000PSI/lb/in3(279MPa/g/cm3)以上の比強度を有することができる。
【0097】
さらに、これらまたは他の実施形態では、最適化スチール合金を含む第1の材料は、約0.0060以上、約0.0065以上、約0.0070以上、約0.0075以上、約0.0080以上、約0.0085以上、約0.0090以上、約0.0095以上、約0.0100以上、約0.0105以上、約0.0110以上、約0.0115以上、約0.0120以上、約0.0125以上、約0.0130以上、約0.0135以上、約0.0140以上、約0.0145以上、または、約0.0150以上の比可撓性を有することができる。
【0098】
これらの実施形態では、最適化された第1の材料の増加した比強度および/または増加した比可撓性は、上述のように、耐久性を維持しながら、打撃面104またはその一部を薄くすることを可能にする。打撃面104を薄くすることにより、打撃面のウエイトを減らすことができ、それによってクラブヘッド100の他の領域に戦略的に配置される裁量のウエイトが増加し、これにより、ヘッドCGが低く後方に配置され、および/またはクラブヘッドの慣性モーメントが大きくなる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本体102の第2の材料は、参照により全体が本明細書に組み込まれている「最適化された材料特性を有するゴルフクラブヘッド」という名称の米国仮特許出願第62/399,929号に記載されているように最適化された材料とすることができる。これらまたは他の実施形態では、最適化チタン合金を含む第2の材料は、約730,500PSI/lb/in3(182MPa/g/cm3)以上の比強度を有することができる。例えば、最適化チタン合金の比強度は、約650,000PSI/lb/in3(162MPa/g/cm3)以上、約700,000PSI/lb/in3(174MPa/g/cm3)以上、約750,000PSI/lb/in3(187MPa/g/cm3)以上、約800,000PSI/lb/in3(199MPa/g/cm3)以上、約850,000PSI/lb/in3(212MPa/g/cm3)以上、約900,000PSI/lb/in3(224MPa/g/cm3)以上、約950,000PSI/lb/in3(237MPa/g/cm3)以上、約1,000,000PSI/lb/in3(249MPa/g/cm3)以上、約1,050,000PSI/lb/in3(262MPa/g/cm3)以上、または、約1,100,000PSI/lb/in3(272MPa/g/cm3)以上であり得る。
【0100】
さらに、これらまたは他の実施形態では、最適化チタン合金を含む第2の材料は、約0.0060以上、約0.0065以上、約0.0070以上、約0.0075、約0.0080以上、約0.0085以上、約0.0090以上、約0.0095以上、約0.0100以上、約0.0105以上、約0.0110以上、約0.0115以上、または約0.0120以上の比可撓性を有することができる。
【0101】
これらまたは他の実施形態では、最適化スチールを含む第2の材料は、約500,000PSI/lb/in3(125MPa/g/cm3)以上、約510,000PSI/lb/in3(127MPa/g/cm3)以上、約520,000PSI/lb/in3(130MPa/g/cm3)以上、約530,000PSI/lb/in3(132MPa/g/cm3)以上、約540,000PSI/lb/in3(135MPa/g/cm3)以上、約550,000PSI/lb/in3(137MPa/g/cm3)以上、約560,000PSI/lb/in3(139MPa/g/cm3)以上、約570,000PSI/lb/in3(142MPa/g/cm3)以上、約580,000PSI/lb/in3(144MPa/g/cm3)以上、約590,000PSI/lb/in3(147MPa/g/cm3)以上、約600,000PSI/lb/in3(149MPa/g/cm3)以上、約625,000PSI/lb/in3(156MPa/g/cm3)以上、約675,000PSI/lb/in3(168MPa/g/cm3)以上、約725,000PSI/lb/in3(181MPa/g/cm3)以上、約775,000PSI/lb/in3(193MPa/g/cm3)以上、約825,000PSI/lb/in3(205MPa/g/cm3)以上、約875,000PSI/lb/in3(218MPa/g/cm3)以上、約925,000PSI/lb/in3(230MPa/g/cm3)以上、約975,000PSI/lb/in3(243MPa/g/cm3)以上、約1,025,000PSI/lb/in3(255MPa/g/cm3)以上、約1,075,000PSI/lb/in3(268MPa/g/cm3)、または、約1,125,000PSI/lb/in3(280MPa/g/cm3)以上の比強度を有することができる。
【0102】
さらに、これらまたは他の実施形態では、最適化スチールを含む第2の材料は、約0.0060以上、約0.0062以上、約0.0064以上、約0.0066以上、約0.0068以上、約0.0070以上、約0.0072以上、約0.0076以上、約0.0080以上、約0.0084以上、約0.0088以上、約0.0092以上、約0.0096以上、約0.0100以上、約0.0105以上、約0.0110以上、約0.0115以上、約0.0120以上、約0.0125以上、約0.0130以上、約0.0135以上、約0.0140以上、約0.0145以上、または、約0.0150以上の比可撓性を有することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、第2の材料は、ポリマー樹脂および強化用繊維または複合材で形成された複合材料を含むことができる。ポリマー樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことができる。より具体的には、熱可塑性樹脂を有する実施形態において、樹脂は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)または熱可塑性エラストマー(TPE)を含むことができる。例えば、樹脂は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、PA6もしくはPA66などのポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート、エンジニアリングポリウレタン、および/または、他の同様の材料を含むことができる。強化用繊維は、炭素繊維(もしくはチョップド炭素繊維)、ガラス繊維(もしくはチョップドガラス繊維)、グラファイト繊維(もしくはチョップドグラファイト繊維)、または、任意の他の好適な充填材材料を含むことができる。他の実施形態では、複合材は、加重のために、ビーズ(例えば、ガラスビーズ、金属ビーズ)または粉体(例えば、タングステン粉体)を含むことができる。他の実施形態では、複合材は、強度、耐久性、および/または、加重を増強する任意の強化用充填材を含んでもよい。
【0104】
ポリマー樹脂は、好ましくは、軽量化の利益を設計に提供しながら、典型的な使用に耐えるのに十分に高い材料強度および/または強度/重量比の特性を有する1つまたは複数のポリマーを組み込んでいるべきである。具体的には、設計および材料が、ゴルフクラブヘッド100の総重量に実質的に寄与しないながらも、打撃面104とゴルフボールとの間においてインパクト中にかかる応力に効率的に耐えることが重要である。一般に、ポリマーは、約60MPaよりも大きい降伏時引っ張り強度により特徴付けることができる。ポリマー樹脂と強化用繊維とが組み合わされることでもたらされる複合材は、約110MPaよりも大きい、約180MPaよりも大きい、約220MPaよりも大きい、約260MPaよりも大きい、約280MPaよりも大きい、または、約290MPaよりも大きい降伏時引っ張り強度を有し得る。いくつかの実施形態では、好適な複合材は、約60MPaから約350MPaの降伏時引っ張り強度を有し得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、強化用繊維は、複数の分散不連続繊維(すなわち、「チョップド繊維」)を含む。いくつかの実施形態では、強化用繊維は、約3mmから約25mmの設計繊維長を有する複数の不連続な「長繊維」を含む。例えば、いくつかの実施形態において、繊維長は、成形プロセス前において約12.7mm(0.5インチ)である。別の実施形態では、強化用繊維は、約0.01mmから約3mmの設計繊維長を有する不連続な「短繊維」を含む。いずれのケース(短繊維または長繊維)においても、所与の長さが、予め混合された長さであり、成形プロセス中の切断によっていくつかの繊維が最終構成要素における記載範囲よりも実際には短いことがある点に注意されるべきである。いくつかの構成において、不連続チョップド繊維は、約10よりも大きく、または、より好ましくは約50よりも大きく、約1500未満のアスペクト比(例えば、繊維の長さ/直径)により特徴付けられ得る。ある特定の構成においては、使用される不連続チョップド繊維の特定のタイプに関わらず、複合材は、約0.01mmから約25mmの繊維長を有し得る。
【0106】
複合材は、重量で約40%から約90%、または、重量で約55%から約70%のポリマー樹脂含有率を有し得る。第2の構成要素の複合材は、重量で約10%から約60%の間の繊維含有率を有することができる。いくつかの実施形態では、複合材は、重量で約20%から約50%の間、重量で30%から40%の間の繊維含有率を有する。いくつかの実施形態では、複合材は、重量で約10%から約15%の間、約15%から約20%の間、約20%から約25%の間、約25%から約30%の間、約30%から約35%の間、約35%から約40%の間、約40%から約45%の間、約45%から約50%の間、約50%から約55%の間、または、約55%から約60%の間の繊維含有率を有する。
【0107】
第2の構成要素を形成する複合材の密度は、約1.15g/ccから約2.02g/ccの範囲にすることができる。いくつかの実施形態では、複合材の密度は、約1.30g/ccから約1.40g/ccの間、または、約1.40g/ccから約1.45g/ccの間の範囲である。複合材は、約210℃から約280℃の間の融解温度を有し得る。いくつかの実施形態では、複合材は、約250℃から約270℃の間の融解温度を有し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、複合材は、長繊維強化TPUを含む。長繊維TPUは、重量で約40%の長炭素繊維を含むことができる。長繊維TPUは、高い弾性率を呈することができ、これは短炭素繊維複合物の弾性率よりも大きい。長繊維TPUは、高温に耐えることができ、暑い気候において使用および/または格納されるゴルフクラブヘッドで使用するのに好適となる。長繊維TPUは、さらに、高い靭性を呈し、従来からの金属構成要素の代替品として良好に働くことを可能にする。いくつかの実施形態では、長繊維TPUは、約26,000MPaから約30,000MPaの間、または、約27,000MPaから約29,000MPaの間の引張係数(tensile modulus)を含む。いくつかの実施形態では、長繊維TPUは、約21,000MPaから約26,000MPaの間、または約22,000MPaから25,000MPaの間の曲げ係数(flexural modulus)を含む。長繊維TPU材料は、約0.5%から約2.5%の間の(破断点)引っ張り伸びを呈することができる。いくつかの実施形態では、複合TPU材料の引っ張り伸びは、約1.0%から約2.0%の間、約1.2%から約1.4%の間、約1.4%から約1.6%の間、約1.6%から約1.8%の間、約1.8%から約2.0%の間であり得る。
【0109】
複合材について考慮する際に強度および重量は2つの主な特性であるが、好適な複合材は、副次的な利益も呈し得る。例えば、PPSおよびPEEKは、この設計の強度および重量の要件に見合う2つの例示的な熱可塑性ポリマーである。しかし、多くの他のポリマーとは異なり、PPSまたはPEEKの使用は、その独特の音響特性によってさらに有利である。具体的には、PPSおよびPEEKは多くの状況において、インパクトを受けると概して金属音の音響応答を発する。それ故に、PPSポリマーまたはPEEKポリマーを使用することにより、この設計は、インパクト時における望ましい金属製クラブヘッドの音を逸することなく、ポリマーの強度/重量の利益を活かすことができる。
【0110】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100の第2の材料を射出成形で形成することができる。第2の材料は、本体部分102を形成するために、ポリマー樹脂および強化用繊維の両方を含む1つの複合材から射出成形することができる。強化用繊維は、第2の構成要素の成形前に樹脂内に埋め込むことができる。樹脂および繊維の両方を含む複合材は、ペレットの形で提供することができる。ペレットを融解して空の型内に射出して、第2の構成要素を形成することができる。他の実施形態では、第2の構成要素は、押し出し成形、射出ブロー成形、3Dプリンティング、または、任意の他の適切な成形手段により得ることができる。
【0111】
射出成形を用いる実施形態では、第2の構成要素を複合材から形成するために使用される型の温度を、理想的には約60℃から90℃の間に保持することができる。例えば、型の温度は、約75℃であり得る。代替的実施形態では、第2の材料は、繊維強化複合(FRC)材料を含んでよい。FRC材料は一般に、ポリマーの大部分を横切って延在する一方向または多方向繊維布の1つまたは複数の層を含む。FRCで使用される繊維の最大寸法は、充填熱可塑性(FT)材料で使用され得る強化用繊維とは異なり、FT材料で使用されるものよりも実質的に大きい/長いことがあり得、ポリマーとは別の連続した布として提供され得るように十分なサイズおよび特性を有し得る。熱可塑性ポリマーを用いて形成されるときには、このポリマーが溶融時に自由に流動可能である場合でも、含まれている連続繊維は一般に自由に流動可能にはならない。
【0112】
FRC材料は一般に、繊維を所望の配置に配置し、次に、繊維材料に十分な量のポリマー材料を含浸させて剛性を提供することによって形成される。このようにして、FT材料が容量で約45%よりも大きいか、またはより好ましくは、容量で約55%よりも大きい樹脂含有率を有し得る一方で、FRC材料は、容量で約45%未満、またはより好ましくは、容量で約35%未満の樹脂含有率を望ましくは有する。FRC材料は、従来から、ポリマーマトリックスとして二液型熱硬化性エポキシを使用するが、マトリックスとして熱可塑性ポリマーを使用することも可能である。多くの場合、FRC材料は、最終製造の前に予め調製され、このような中間材料は多くの場合、プリプレグと称される。熱硬化性ポリマーの使用時には、プリプレグは中間形状において部分的に硬化され、プリプレグが最終形状に一旦成形されると最終硬化が生じる。熱可塑性ポリマーの使用時には、プリプレグは冷却された熱可塑性マトリックスを含み得る。この熱可塑性マトリックスは、その後、加熱されて最終形状に成形することができる。
【0113】
第2の材料は、ポリマーマトリックスに埋め込まれたガラス繊維または炭素繊維の強化用織物層を含む成形繊維強化複合材で実質的に形成され得る。このような実施形態において、ポリマーマトリックスは好ましくは、熱可塑性材料である。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または、PA6もしくはPA66などのポリアミドなどの熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。他の実施形態では、第2の材料は、熱可塑性材料の全体にわたって埋め込まれた、ガラスビーズ、または不連続ガラス、炭素、もしくはアラミドポリマー繊維の充填材を含む充填熱可塑性材料で形成され得る。熱可塑性材料(ベース樹脂)は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または、ポリアミドなどのTPUであり得る。なお、他の実施形態では、本体102を形成する第2の材料は、充填熱可塑性材料および成形繊維強化複合材の両方を含む混合材料構成を有し得る。
【0114】
本体102は、繊維強化熱可塑性複合材料弾性層(図示せず)および成形された熱可塑性構造層(図示せず)の両方を含む混合材料構成を有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、成形された熱可塑性構造層は、熱可塑性材料の全体にわたって埋め込まれたガラスビーズ、または、不連続ガラス、炭素、もしくは、アラミドポリマー繊維の充填材を含む充填熱可塑性材料で形成され得る。熱可塑性材料は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはPA6もしくはPA66などのポリアミド、などのTPUであり得る。弾性層は、その後、熱可塑性ポリマーマトリックスに埋め込まれたガラス、炭素繊維、またはアラミドポリマー繊維の強化用織物層を含み得る。熱可塑性ポリマーマトリックスは、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または、PA6もしくはPA66などのポリアミドなどのTPUを含むことができる。1つの特定の実施形態では、本体102の弾性層は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)に埋め込まれた炭素繊維織布を含み得る。本体102の構造層は、充填ポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリマーを含み得る。
【0115】
これらの実施形態では、最適化された第2の材料の増加した比強度および/または増加した比可撓性は、耐久性を維持しながら、本体102またはその一部を薄くすることを可能にする。本体を薄くすると、クラブヘッドのウエイトを減らすことができ、それによってクラブヘッド100の他の領域に戦略的に配置する裁量のウエイトが増加し、これにより、ヘッドCGが低く後方に配置され、および/またはクラブヘッドの慣性モーメントが大きくなる。
iii.取り外し可能なウエイト
【0116】
いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、1つまたは複数の取り外し可能なウエイト182を含む1つまたは複数のウエイト構造180を含むことができる。1つ以上のウエイト構造180および/または1つ以上の取り外し可能なウエイト182は、ソール118およびバックエンド110に向かって配置することができ、それによって裁量のウエイトをソール118およびクラブヘッドのバックエンド110の近くに位置決めすることができ、低く後方のヘッドCG位置が達成される。いくつかの実施形態において、慣性乗積Ixyを増加させるため、慣性乗積Ixzのバランスをとるため、高MOIで低CGを維持するために、1つまたは複数のウエイト構造180は、クラウン116の近くのハイトウ122、および、ソール118の近くのローヒール120に配置することができる。多くの実施形態では、1つまたは複数のウエイト構造180は、1つまたは複数の取り外し可能なウエイト182を取り外し可能に受容する。これらの実施形態では、1つまたは複数の取り外し可能なウエイト182を、ねじ付きファスナー、接着剤、磁石、スナップフィット、または、1つまたは複数の取り外し可能なウエイトを1つまたは複数のウエイト構造に固定可能な他の任意の機構などの任意の適切な方法を使用して1つまたは複数のウエイト構造180に結合することができる。
【0117】
ウエイト構造180および/または取り外し可能なウエイト182は、上面図または底面図(
図3)から見たときに打撃面104を基準として位置合わせすることが可能なクロックグリッド2000に対して配置され得る。クロックグリッドは、12時方向の線、2時方向の線、3時方向の線、4時方向の線、5時方向の線、6時方向の線、7時方向の線、8時方向の線、9時方向の線、10時方向の線、および、11時方向の線を少なくとも含む。例えば、クロックグリッド2000は、打撃面104の幾何学的中心140に位置合わせされる12時方向の線2012を含む。12時方向の線2012は、X’Y’平面に直交する。クロックグリッド2000は、12時方向の線2012に沿って、クラブヘッド100のフロントエンド108とバックエンド110との間の中点に中心合わせされることが可能である。同じまたは他の例では、クロックグリッド中心点2020は、底面図(
図3)から見たときにゴルフクラブヘッド100の幾何学的中心点の近傍に中心合わせされることが可能である。また、クロックグリッド2000は、クラブヘッド100のヒール120に向かって延びている3時方向の線2003と、クラブヘッド100のトウ122に向かって延びている9時方向の線2009を含む。さらに、クロックグリッド2000は、完全にクラウン116からソールまで、y軸1060の方向に延びている。クロックグリッド2000は、ゴルフクラブヘッド100をゴルフクラブヘッドの別個の12個のセクションに解剖する。
【0118】
この例(
図3)などの例において、ゴルフクラブヘッド100は、11時方向の線2011と9時方向の線2009との間に配置される1つまたは複数のウエイト182を含む。さらに、ゴルフクラブヘッド100は、3時方向の線2003と5時方向の線2005との間に配置される1つまたは複数のウエイト182を含むことができる。1つまたは複数のウエイト182をクラブヘッド(クラウンまたはソール)の外部表面上に位置決めすることができるが、1つまたは複数のウエイト182を、クラブヘッド100の内部内に延在させること、または、クラブヘッド100内に画定することができる。いくつかの例において、ウエイト構造180の位置は、より広い領域に関して確立することができる。例えば、このような例では、ウエイト構造180およびウエイト182は、トウ122およびクラウン116の付近に配置されること、ならびに、クロックグリッド2000の11時方向の線2011と9時方向の線2009との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに10時方向の線2010に交差することがあり得る。さらに、1つの例では、ウエイト構造180およびウエイト182は、ヒール120およびソール118の付近に配置されること、ならびに、クロックグリッド2000の3時方向の線2003と5時方向の線2005との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに4時方向の線2004に交差することがあり得る。また、これらのウエイトを使用して、低く後方のCG、高MOI、最大化されたIxy慣性乗積、および、バランスの取れたIxz慣性乗積の間のバランスに対処することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、図示していないが、ゴルフクラブが、CG170を低くする(もしくは深くする)ために、または、IxxもしくはIyy慣性モーメントを増大させるために、3時方向の線2003と9時方向の線との間に付加的なウエイトを有することができる。付加的なウエイトを用いて慣性モーメント、慣性乗積、および、CG位置のバランスを変更して、所望の慣性テンソルおよびCG位置を提供することができる。いくつかの例では、CG170を深くしてIyy慣性モーメントを増大させるために、付加的なウエイトを4時方向の線2004と7時方向の線2007との間に配置することができる。別の例では、5時方向の線2005と8時方向の線2008との間に付加的なウエイトを配置することができる。
【0120】
この例では、ウエイト構造180は、ソール118の外部輪郭からクラウンに向かって内側に突出している。いくつかの例では、ウエイト構造180は、約2グラム~約50グラムの質量、および/または、約1cc~約30ccの容量を含むことができる。他の例では、ウエイト構造180は、本体102の外部輪郭と同一平面上に配置されることができる。
【0121】
多くの実施形態では、1つまたは複数のウエイト182は、約0.5グラム~約30グラムの質量を含むことができ、ヘッドCG370の位置を調整するために1つまたは複数の他の同様の取り外し可能なウエイトと置き換えることができる。同じまたは他の例では、ウエイト中心186は、1つまたは複数のウエイト182の重心、および/または、1つまたは複数のウエイト182の幾何学的中心のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0122】
1つの実施形態では、
図19~
図22を参照すると、ゴルフクラブヘッド300は、本体302(ゴルフクラブ100の本体102に類似)に取り付けられたヒールウエイトアセンブリ330およびトウウエイトアセンブリ331を含む。ヒールウエイトアセンブリ330およびトウウエイトアセンブリ331は、1つまたは複数の窓332を介して本体302に取り付けられ、1つまたは複数の窓332のそれぞれは、ゴルフクラブヘッド100のヒール320側およびトウ322側に位置決めされている。ヒールウエイトアセンブリ330およびトウウエイトアセンブリ331は、ダイカスト成形されたか、共成形されたか、または、埋め込まれたウエイトアセンブリを含む任意の構成のウエイトシステムであることができる。
【0123】
ヒールウエイトアセンブリ330およびトウウエイトアセンブリ331は、ウエイト333と、1つまたは複数のステンレススチール締結具335と、を含む。ウエイト、ワッシャ、および、締結具の材料は、タングステン、アルミニウム、チタン、スチール、または、ステンレススチール等の任意の金属であることができるが、これらに限定されない。このタイプのウエイトアセンブリは、打撃面304をゴルフクラブヘッド本体302に溶接する前にこの本体に取り付けられる、および/または、結合されるように構成される。ウエイトアセンブリは、打撃面をゴルフクラブヘッド本体に溶接した後にこの本体に取り付ける、または、結合することができる。それにより、ウエイト333をゴルフクラブヘッド300の内部空洞内に位置決めすることができる。このようなヒールウエイトアセンブリ330およびトウウエイトアセンブリ331の配置は、上述のように、慣性乗積および重心の特性のバランスを有益に取りながら、オーバーモールド成形する代替的方法を提供する。
【0124】
図19~
図22を参照すると、ヒールウエイトアセンブリ330のウエイト333は、約22.3グラムである。他の実施形態では、ウエイト333の質量は、1グラムから30グラムの間であり得る。いくつかの実施形態では、ウエイト333の質量は、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、または、30グラムであり得る。
【0125】
図19~
図22を参照すると、ウエイト333の形状、幾何学的形態、および、設計は、慣性乗積のゾーンに囲まれるように構成される。ウエイトがCGから遠くなるほど、慣性乗積の大きさが増大する。したがって、このケースにおいて、ヒールアセンブリ330およびトウアセンブリ331は、慣性乗積のIxz項のバランスを取りながら(またはゼロにしながら)Ixy慣性乗積を最大化するために、ハイトウ322およびローヒール320に向かって極端に位置決めされる。ゴルフクラブヘッド300は、ゴルフクラブヘッド100と寸法において同様であり、(
図3)で述べたのと同じクロックグリッド2000を含む。例えば、
図19~
図21は、ヒールウエイト333がブロック状の幾何学的形態であることを示す一方、
図19および
図22は、トウウエイト333がプレート状の幾何学的形態であることを示している。Ixy慣性乗積を最大化するために、トウウエイト333は、トウ322およびクラウン316の付近に配置されること、ならびに、クロックグリッド2000の11時方向の線2011と9時方向の線2009との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに10時方向の線2010に交差することができる。さらに、ヒールウエイト331は、ヒール320およびソール318の付近に配置されること、ならびに、クロックグリッド2000の3時方向の線2003と5時方向の線2005との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに4時方向の線2004に交差することできる。
【0126】
ヒールウエイト330およびトウウエイト331は、鋳造されたチタン本体302上に実装されるように構成される。ゴルフクラブヘッド本体302の材料が変化する場合、ウエイトの形状、寸法、および、幾何学的形態は、上で特定された慣性乗積の式を正確に満たすように再構成される。例えば、これまでに説明されたように、本体102が第2の複合材で作成される場合、ヒールウエイト331およびトウウエイト333を本体102に埋め込むこと(以下に説明)または付着させることができる。
【0127】
図19~
図22に示されるようなトウウエイトアセンブリ331のウエイト333は、約10.8グラムである。他の実施形態では、ウエイト333の質量は、1グラムから30グラムの間であり得る。いくつかの実施形態では、ウエイト333の質量は、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、および30グラムであり得る。
iv.埋め込みウエイト
【0128】
いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、1つまたは複数の取り外し可能なウエイト182を有することと組み合わせて、あるいはその代わりに、1つまたは複数の埋め込みウエイト183を含むことができる。多くの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、クラブヘッド300にまたはクラブヘッド300内に永久的に固定される。いくつかの実施形態では、埋め込みウエイト183は、「埋め込み高密度鍛造」という名称の米国仮特許出願第62/372,870号に記載されている高密度金属片(HDMP)と同様にすることができる。いくつかの実施形態では、本体102が複合材料を含むとき、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、本体102に対し、共成形させるか、オーバーモールド成形させるか、または、付着させることができる。
【0129】
多くの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、クラブヘッド100の打撃面104の背後においてハイトウ122の付近に(ソール118よりもクラウン116の付近において)位置決めされる。多くの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、クラブヘッド100の後部110の近くにおいてローヒール120の付近に(クラウン116よりもソール118の付近において)位置決めされる。例えば、このような例では、1つまたは複数のウエイト183は、トウ122およびクラウン116の付近に配置されること、ならびに、クロックグリッド2000の11時方向の線2011と9時方向の線2009との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに10時方向の線2010に交差することができる。さらに、1つの例において、1つまたは複数のウエイト183は、ヒール120およびソール118の付近に配置されること、ならびに、クロックグリッド2000の3時方向の線2003と5時方向の線2005との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに4時方向の線2004に交差することができる。
【0130】
多くの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、上面図または底面図(
図3)から見たとき、クラブヘッド300の周囲の0.10インチ以内、0.20インチ以内、0.30インチ以内、0.40インチ以内、0.50インチ以内、0.60インチ以内、0.70インチ以内、0.80インチ以内、0.90インチ以内、1.0インチ以内、1.1インチ以内、1.2インチ以内、1.3インチ以内、1.4インチ以内、または、1.5インチ以内に配置される。これらの実施形態では、埋め込みウエイト183がクラブヘッド100の周囲に近接していることにより、低く後方のヘッドCG位置、クラウン-ソール慣性モーメントIxx、Ixy、および/または、ヒール-トウ慣性モーメントIyyを最大化することができる。
【0131】
多くの実施形態で、1つ以上の埋め込みウエイト183は、3.0~50グラムの質量を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、3.0~25グラム、10~30グラム、20~40グラム、または、30~50グラムの質量を含むことができる。1つまたは複数の埋め込みウエイト183が2つ以上のウエイトを含む実施形態では、埋め込みウエイトのそれぞれは同じまたは異なる質量を含むことができる。
【0132】
多くの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、6.0から22.0の間の比重を有する材料を含むことができる。例えば、多くの実施形態では、1つまたは複数の埋め込みウエイト183は、10.0より大きい、11.0より大きい、12.0より大きい、13.0より大きい、14.0より大きい、15.0より大きい、16.0より大きい、17.0より大きい、18.0より大きい、または、19.0より大きい比重を有する材料を含むことができる。1つまたは複数の埋め込みウエイト183が2つ以上のウエイトを含む実施形態では、埋め込みウエイトのそれぞれは同じまたは異なる材料を含むことができる。
v.急なクラウン角度
【0133】
図4~
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、ヘッドCGの低く後方の位置を達成するために急なクラウン角度188をさらに含むことができる。急なクラウン角度188は、クラウン116のバックエンドをソール118または地面に向かって位置決めし、それによってクラブヘッドCG位置を下げる。
【0134】
クラウン角度188は、クラウン軸1090と前面1020との間の鋭角として測定される。これらの実施形態では、クラウン軸1090は、接地面1030および前面1020に垂直に配置された平面に沿って見たクラブヘッドの断面内に位置している。クラウン軸1090は、上部遷移境界および後部遷移境界を参照してさらに説明することができる。
【0135】
クラブヘッド100は、フロントエンド108とクラウン116との間にヒール120の近くからトウ122の近くまで延びる上部遷移境界を含む。上部遷移境界は、クラブヘッド100がアドレス位置にあるときに前面1020に垂直で接地面1030に垂直な平面に沿って取られた側断面図から見たときのクラウン遷移プロファイル190を含む。側断面図は、ヒール120の近くからトウ122の近くまでのクラブヘッド100の任意の点において取ることができる。クラウン遷移プロファイル190は、クラブヘッド100のフロントエンド108からクラウン遷移点194まで延びるフロント曲率半径192を規定しており、ここで、クラブヘッド100のフロントエンド108は輪郭が打撃面104の起伏範囲および/または膨らみ範囲から外れる部分であり、クラウン遷移点194はフロント曲率半径192からクラウン116の曲率への曲率の変化を示している。いくつかの実施形態では、フロント曲率半径192は、クラウン116付近の打撃面周囲142の上端193からクラウン遷移点194まで延びる単一の曲率半径を含み、ここで、クラウン316付近の打撃面周囲142の上端193は輪郭が打撃面104の起伏範囲および/または膨らみ範囲から外れる部分であり、クラウン遷移点194はフロント曲率半径192からクラウン316の1つ以上の異なる曲率への曲率の変化を示している。
【0136】
クラブヘッド100はさらに、クラウン116とスカート128との間にヒール120の近くからトウ122の近くまで延びる後部遷移境界を含む。後部遷移境界は、クラブヘッド100がアドレス位置にあるときに前面1020に垂直で接地面1030に垂直な平面に沿って取られた側断面図から見たときの後部遷移プロファイル196を含む。断面図は、ヒール120の近くからトウ122の近くまでのクラブヘッド100の任意の点において取ることができる。後部遷移プロファイル196は、クラブヘッド100のクラウン116からスカート128まで延びるバック曲率半径198を画定する。多くの実施形態では、バック曲率半径198は、クラウン116を後部遷移境界に沿ってクラブヘッド100のスカート128に遷移させる単一の曲率半径を含む。第1の後部遷移点202は、クラウン116と後部遷移境界との間の接続部に位置している。第2の後部遷移点203は、クラブヘッド100の後部遷移境界とスカート128との間の接続部に位置している。
【0137】
上部遷移境界のフロント曲率半径192は一定のままでもよいし、クラブヘッド100のヒール120付近からトウ122付近まで変化してもよい。同様に、後部遷移境界のバック曲率半径198は、一定のままでもよいし、クラブヘッド100のヒール120の近くからトウ122の近くまで変化してもよい。
【0138】
クラウン軸1090は、クラブヘッド100のフロントエンド108付近のクラウン遷移点194とクラブヘッド100のバックエンド110付近の後部遷移点202との間に延びる。クラウン角度188は一定のままでもよいし、クラブヘッド100のヒール120の近くからトウ122の近くまで変化してもよい。例えば、クラウン角度188は、側断面図がヒール120およびトウ122に対して異なる位置で取られるときに変化し得る。
【0139】
図示の実施形態では、トウ122付近のクラウン角度188は約72.25度であり、ヒール320付近のクラウン角度188は約64.5度であり、ゴルフクラブヘッドの中心付近のクラウン角度188は約64.2度である。多くの実施形態では、トウ122の近くからヒール120の近くまでの任意の位置で取られる最大クラウン角度188は、79度未満、約78度未満、約77度未満、約76度未満、約75度未満、約74度未満、約73度未満、約72度未満、約71度未満、約70度未満、約69度未満、または、約68度未満である。例えば、いくつかの実施形態では、最大クラウン角度は、50~79度、60~79度、または70~79度の間である。
【0140】
他の実施形態では、クラブヘッド100のトウ122付近のクラウン角度188は、約79度未満、約78度未満、約77度未満、約76度未満、約75度未満、約74度未満、約73度未満、約72度未満、約71度未満、約70度未満、約69度未満度、または、約68度未満であり得る。例えば、打撃面104の幾何学的中心140からトウ122に向かって約1.0インチに配置された側断面図に沿って取られたクラウン角度188は、79度未満、78度未満、77度未満、76度未満、75度未満、74度未満、73度未満、72度未満、71度未満、70度未満、69度未満、または、68度未満であり得る。
【0141】
さらに、他の実施形態では、ヒール120付近のクラウン角度188は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満であり得る。例えば、打撃面104の幾何学的中心140からヒール120に向かって約1.0インチに配置された側断面図に沿って取られたクラウン角度188は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満であり得る。
【0142】
さらに、他の実施形態では、クラブヘッド100の中心付近のクラウン角度188は、75度未満、74度未満、73度未満、72度未満、71度未満、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満であり得る。例えば、打撃面104のほぼ幾何学的中心140に位置する側断面図に沿って取られたクラウン角度188は、約70度未満、約69度未満、約68度未満、約67度未満、約66度未満、約65度未満、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満であり得る。
【0143】
多くの実施形態において、現在のクラブヘッドと比較してクラウン角度188を減少させることは、より急なクラウンまたはクラブヘッド100がアドレス位置にあるときに接地面1030により近い位置に配置されたクラウンを生成する。したがって、クラウン角度188の減少は、より高いクラウン角度を有するクラブヘッドと比較して、より低いヘッドCG位置をもたらし得る。
IV.空力抵抗
【0144】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、低減された空力抵抗とともに、クラブヘッドの低く後方のCG位置と、クラブヘッドの慣性モーメントの増加と、高Ixy慣性乗積と、の組み合わせを含む。
【0145】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、スクエア面および時速102マイル(mph)の風速の風洞で試験したときに、約1.5lbf未満、1.4lbf未満、1.3lbf未満、または、1.2lbf未満の空力抵抗力を経験する。これらまたは他の実施形態では、クラブヘッド100は、スクエア面および時速102マイル(mph)の風速の計算流体力学による計算において、約1.5lbf未満、1.4lbf未満、1.3lbf未満、または1.2lbf未満の空力抵抗力を経験する。これらの実施形態では、スクエア面を有するクラブヘッド100が経験する空気流は、X’Y’平面に垂直な方向に打撃面104に向けられる。以下に記載されるように、空力抵抗が低減されたクラブヘッド100は、様々な手段を用いて達成することができる。
i.クラウン角度高さ
【0146】
いくつかの実施形態では、クラウン角度188を小さくしてより急なクラウンおよびより低いヘッドCG位置を形成すると、スイング中のクラウン上での空気流の分離が増大するため、空力抵抗の望ましくない増大があり得る。クラウン角度188の減少に伴う抵抗の増大を防ぐために、最大クラウン高さ204を増大させることができる。
図4に示すように、最大クラウン高さ204は、Y’Z’平面に平行な平面に沿ったクラブヘッド100の任意の側断面図で見たクラウン116の表面とクラウン軸1090との間の最大距離である。多くの実施形態において、より大きな最大クラウン高さ204は、より大きな曲率を有するクラウン116をもたらす。クラウン116の曲率が大きいほど、スイング中の空気流の分離の位置がクラブヘッド100の後方にさらに移動する。言い換えれば、より大きな曲率は、スイング中にクラウン116に沿ってより長い距離にわたって空気流がクラブヘッド100に接触したままでいることを可能にする。クラウン116上で空気流分離点を後方に移動させると、空力抵抗が減少し、クラブヘッドのスイング速度が増加し、それによってボールの速度と距離が増加する可能性がある。
【0147】
多くの実施形態において、最大クラウン高さ204は、約0.20インチ(5mm)より大きく、約0.30インチ(7.5mm)より大きく、約0.40インチ(10mm)より大きく、約0.50インチ(12.5mm)より大きく、約0.60インチ(15mm)より大きく、約0.70インチ(17.5mm)より大きく、約0.80インチ(20mm)より大きく、約0.90インチ(22.5mm)より大きく、または、約1.0インチ(25mm)より大きくあり得る。さらに、他の実施形態では、最大クラウン高さは、0.20インチ(5mm)~0.60インチ(15mm)、0.40インチ(10mm)~0.80インチ(20mm)、または、0.60インチ(15mm)~1.0インチ(25mm)の範囲内であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、最大クラウン高さ404は、約0.52インチ(13.3mm)、約0.54インチ(13.8mm)、約0.59インチ(15mm)、約0.65インチ(16.5mm)、または、約0.79インチ(20mm)であり得る。
ii.遷移プロファイル
【0148】
多くの実施形態では、打撃面104からクラウン116、打撃面104からソール118、および/または、クラブヘッド100のバックエンド110に沿ったクラウン116からソール118のクラブヘッド100の遷移プロファイルは、スイング中のクラブヘッド100上の空力抵抗に影響を与え得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、クラウン遷移プロファイル190を画定する上部遷移境界と後部遷移プロファイル196を画定する後部遷移境界とを有するクラブヘッド100は、ソール遷移プロファイル210を画定するソール遷移境界をさらに含む。ソール遷移境界は、フロントエンド108とソール118との間でヒール120の近くからトウ122の近くまで延びる。ソール遷移境界は、Y’Z’平面に平行な平面に沿って見た側断面図から見たときのソール遷移プロファイル210を含む。側断面図は、ヒール120の近くからトウ122の近くまでのクラブヘッド100の任意の点において取ることができる。ソール遷移プロファイル210は、クラブヘッド100のフロントエンド108からソール遷移点214まで延びるソール曲率半径212を画定しており、ここで、クラブヘッド100のフロントエンド108は輪郭が打撃面104の起伏範囲および/または膨らみ範囲から外れる部分であり、ソール遷移点214はソール曲率半径212からソール118の曲率への曲率の変化を示す。いくつかの実施形態では、ソール曲率半径212は、ソール118付近の打撃面周囲142の底端213からソール遷移点214まで延びる単一の曲率半径を含み、ここで、ソール118付近の打撃面周囲142の底端113は輪郭が打撃面104の起伏範囲および/または膨らみ範囲から外れる部分であり、ソール遷移点214はソール曲率半径212からソール214の曲率への曲率の変化を示す。
【0150】
多くの実施形態では、クラウン遷移プロファイル190、ソール遷移プロファイル210、および、後部遷移プロファイル196は、「空力抵抗を減少させるための遷移プロファイルを有するゴルフクラブヘッド」という名称の米国特許第15/233,486号に記載されているクラウン遷移プロファイル、ソール遷移プロファイル、および、後部遷移プロファイルと同様であり得る。さらに、フロント曲率半径192、ソール曲率半径212、および、バック曲率半径198は、「空力抵抗を減少させるための遷移プロファイルを有するゴルフクラブヘッド」という名称の米国特許第15/233,486号に記載されている第1のクラウン側曲率半径、第1のソール側曲率半径、および、バック曲率半径と同様にすることができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、フロント曲率半径192は、約0.18~0.30インチ(0.46~0.76cm)の範囲であり得る。さらに、他の実施形態では、フロント曲率半径192は、0.40インチ(1.02cm)未満、0.375インチ(0.95cm)未満、0.35インチ(0.89cm)未満、0.325インチ(0.83cm)未満、または、0.30インチ(0.76cm)未満であり得る。例えば、フロント曲率半径192は、約0.18インチ(0.46cm)、0.20インチ(0.51cm)、0.22インチ(0.66cm)、0.24インチ(0.61cm)、0.26インチ(0.66cm)、0.28インチ(0.71cm)、または、0.30インチ(0.76cm)であり得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、ソール曲率半径212は、約0.25~0.50インチ(0.76~1.27cm)の範囲であり得る。例えば、ソール曲率半径212は、約0.5インチ(1.27cm)未満、約0.475インチ(1.21cm)未満、約0.45インチ(1.14cm)未満、約0.425インチ(1.08cm)未満、または、約0.40インチ(1.02cm)未満であり得る。さらなる例では、ソール曲率半径212は、約0.30インチ(0.76cm)、0.35インチ(0.89cm)、0.40インチ(1.02cm)、0.45インチ(1.14cm)、または、0.50インチ(1.27cm)であり得る。
いくつかの実施形態において、バック曲率半径198は、約0.10~0.25インチ(0.25~0.64cm)の範囲であり得る。例えば、バック曲率半径198は、約0.30インチ(0.76cm)未満、約0.275インチ(0.70cm)未満、約0.25インチ(0.64cm)未満、約0.225インチ(0.57cm)未満、または、約0.20インチ(0.51cm)未満であり得る。さらなる例では、バック曲率半径398は、約0.10インチ(0.25cm)、0.15インチ(0.38cm)、0.20インチ(0.51cm)、または、0.25インチ(0.64cm)であり得る。
iii.タービュレータ
【0153】
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、クラブヘッド100はさらに、「タービュレータ付きゴルフクラブヘッド、および、タービュレータ付きゴルフクラブヘッドを製造する方法」という名称のその内容が本明細書に引用により完全に組み込まれている米国特許出願第13/536,753号、2013年12月17日に付与された現在米国特許第8,608,587号に記載されているように、複数のタービュレータ215を含むことができる。多くの実施形態では、複数のタービュレータ215は、空気流を乱し、それによって境界層内に小さな渦または乱流を生じさせて、境界層にエネルギーを与え、スイング中にクラウン116上での気流の分離を遅らせる。
【0154】
いくつかの実施形態では、複数のタービュレータ215は、クラブヘッド100のクラウン遷移点194に隣接することができる。複数のタービュレータ215は、クラウン116の外面から突出し、クラブヘッド100のフロントエンド108とバックエンド110との間に延びる長さ、およびクラブヘッド100のヒール120からトウ122まで延びる幅を含む。多くの実施形態では、複数のタービュレータ215の長さは幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、複数のタービュレータ215は同じ幅を含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のタービュレータ215は、高さプロファイルが変化することができる。いくつかの実施形態では、複数のタービュレータ215は、クラウン116の前面と比較してクラウン116の頂点に向かって高くてもよい。他の実施形態では、複数のタービュレータ215は、クラウン116の前方に向かって高く、クラウン116の頂点に向かって高さが低くてもよい。他の実施形態では、複数のタービュレータ215は一定の高さプロファイルを含むことができる。 さらに、多くの実施形態では、少なくとも1つのタービュレータの少なくとも一部が打撃面104とクラウン116の頂点との間に配置され、隣接するタービュレータ間の間隔は、隣接するタービュレータのそれぞれの幅よりも大きい。
V.慣性乗積、慣性モーメント、CG位置、および抵抗のバランス
【0155】
以下に記載のゴルフクラブは、空力抵抗を維持しまたは減少させながら、下方で後方のCG位置に対し、クラブヘッドの慣性モーメント、慣性乗積のバランスを取るいくつかの関係を使用する。CG、慣性モーメント、慣性乗積、および、抵抗のこれらの関係性のバランスを取ることにより、インパクト性能特性(例えば、高いおよび低いフェースヒット時におけるサイドスピンの防止、打ち出し角度、ボール速度、ならびに許容度)と、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブヘッドをスクエアにする能力、スイング速度)と、が改善される。このバランスは、ドライバータイプのクラブヘッド100に適用可能である。
a.慣性乗積(Ixy比)およびCG高さのバランス
【0156】
Ixy比(以下の式5)は、y軸1060の周りのクラブヘッド100の対称性に対する、x軸1050の周りのクラブヘッド100の対称性を表す。Ixy比は、トルクに対して乗算されたα
zの項であり、よって、結果的に生ずるy軸1060の周りの角加速度(α
y)に対して究極的に影響を及ぼす。Ixy比が大きくなるほど、クラブがクラブヘッド100のxy軸の周りの回転速度に及ぼす影響が大きくなり、より安定したインパクト特性(すなわち、中心を外れたボールの打撃時における許容度)を生む。その理由は、ゴルフクラブヘッド100が回転して、フェース角度とクラブヘッド軌道との差から生じるサイドスピンを打ち消すためである。
【数5】
【0157】
現在のゴルフクラブヘッド設計では、ゴルフクラブヘッド100のIxy慣性乗積を増大させると、CG高さ174(ゴルフクラブヘッドの中央平面からのCGの距離)等のクラブヘッド100の他の性能特性に悪影響を及ぼす可能性がある。本明細書に記載のクラブヘッド100は、CG高さ174を維持し、または、減少させながら、クラブヘッドのIxy慣性乗積を増大させ、または、最大化する。したがって、インパクト性能特性(例えば、スピン、許容度、打ち出し)が改善されたクラブヘッド100は、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブをスクエアにする能力)のバランスを取ること、または、スイング性能特性を改善することも行う。
【0158】
Ixyを増大させるために、裁量の質量を配設するための最適位置は、ゴルフクラブヘッド100のハイトウ領域(11時方向の線と9時方向の線との間)およびローヒール領域(3時方向の線と5時方向の線との間)に存在する。しかし、CG高さ174が低くなるほど(ソールに近くなるほど)、ゴルフボールの打ち出しがインパクト時により良好に/より最適になることが当技術分野では公知の因子である。Ixyを増大させるための裁量の質量配設の最適位置は、ゴルフクラブヘッドのCG高さ174を低くするための裁量の質量の最適な配置と矛盾する。
【0159】
図15を参照すると、多くの公知のクラブヘッドについては、Ixyが増大するのに伴ってCG高さが増大する。本明細書に記載のクラブヘッド100は、望ましいCG高さ174を維持しながら、同様の容量および/またはロフト角を有する公知のクラブヘッドと比較して、Ixyを増大させ、または、最大化する。したがって、インパクト性能特性(例えば、スピン、許容度、打ち出し)が改善されたクラブヘッド100は、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブをスクエアにする能力)のバランスを取ること、および/または、スイング性能特性を改善することも行う。
【数6】
b.慣性乗積(Ixz比)およびCG深さのバランス
【0160】
Ixz比(以下の式6)は、z軸1070の周りのクラブヘッド100の対称性に対する、x軸1050の周りのクラブヘッド100の対称性を表す。Ixz比は、トルクに対して乗算されたα
zの項であり、よって、結果的に生ずる、z軸1070の周りの角加速度(α
z)に対して究極的に影響を及ぼす。バランスの取れたゴルフクラブヘッドを生じるために、Ixzの最適な大きさはゼロである。しかし、ゼロを達成することができない場合、Ixzは、大きさが正になることなくゼロに最も近いことが好ましい。
【数7】
【0161】
現在のゴルフクラブヘッド設計では、ゴルフクラブヘッドのIxz慣性乗積のバランスを取る(Ixz慣性乗積の大きさをゼロにする)と、CG深さ172(ゴルフクラブヘッドのロフト平面からのCGの距離)等のクラブヘッドの他の性能特性に悪影響を及ぼす可能性がある。本明細書に記載のクラブヘッド100は、望ましいCG深さ172を維持しながら、クラブヘッド100のIxz慣性乗積のバランスを取るか、または、Ixz慣性乗積をゼロにする。したがって、インパクト性能特性(たとえば、スピン、許容度、打ち出し)が改善されたクラブヘッド100は、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブをスクエアにする能力)のバランスを取ること、または、スイング性能特性を改善することも行う。
【0162】
Ixzのバランスを取る(またはゼロにする)ために、裁量の質量を配置するための最適位置は、ゴルフクラブヘッド100のハイトウ領域およびローヒール領域に存在する。しかし、CG深さ172が深くなるほど(クラブの後部外周に向かって打撃ロフト平面から遠くなるほど)、ゴルフボールの打ち出しがインパクト時により良好に/より最適になることが、当技術分野では公知の因子である。Ixzのバランスを取るための裁量の質量の最適位置は、ゴルフクラブヘッド100のCG深さ172を増大させるための裁量の質量の最適位置と矛盾する。
【0163】
図17を参照すると、多くの公知のクラブヘッドについては、Ixzがゼロに近付くのに伴ってCG深さ172が減少する。本明細書に記載のクラブヘッド100は、望ましいCG深さ172を維持しながら、同様の容量および/またはロフト角を有する公知のクラブヘッドと比較して、Ixz慣性乗積のバランスを取るかまたはIxz慣性乗積をゼロにする。したがって、インパクト性能特性(例えば、スピン、許容度、打ち出し)が改善されたクラブヘッド100は、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブをスクエアにする能力)のバランスを取ること、および/または、スイング性能特性を改善することも行う。
【数8】
c.慣性乗積(Ixy比)、抵抗、および、CGのバランス
【0164】
多くの公知のゴルフクラブヘッドにおいては、CG位置をより後方にシフトして、ゴルフボールの打ち出し角度を増大させること、および/または、クラブヘッドの慣性モーメントを増大させることは、空力抵抗および慣性乗積などのクラブヘッドの他の性能特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
図16は、クラブヘッドと同様の容量および/またはロフト角を有する多くの公知のクラブヘッドについて、(クラブヘッドの許容度および/または打ち出し角度を増大させるために)クラブヘッドCG深さ172が増大するのに伴い、スイング中の抵抗力が増大する(それによって、スイング速度およびボール距離を減少させる)ことを示している。多くの公知のクラブヘッドについては、ヘッドCG深さが増大するのに伴い、クラブヘッドに対する抵抗力が増大するとともにIxyが減少する。
【0165】
本明細書に記載のクラブヘッド100は、空力抵抗を維持しまたは減少させながら、同様の容量および/またはロフト角を有する公知のクラブヘッドと比較して、クラブヘッドのCG深さ172およびIxy慣性乗積のバランスを取る。したがって、インパクト性能特性(例えば、スピン、打ち出し角度、ボール速度、および許容度)が改善されたクラブヘッド100は、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブヘッドをスクエアにする能力、およびスイング速度)のバランスを取ること、または、スイング性能特性を改善することも行う。
【0166】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、公知のゴルフクラブヘッドと比較して、クラブヘッド100に対する抵抗力(F
d)を維持しまたは減少させながらヘッドのIxy慣性乗積比を増大させるように、以下の関係を満たす。
【数9】
d.慣性乗積(Ixz比)、抵抗、および、CGのバランス
【0167】
多くの公知のゴルフクラブヘッドにおいては、CG位置をより後方にシフトして、ゴルフボールの打ち出し角度を増大させること、および/または、クラブヘッドの慣性モーメントを増大させることは、空力抵抗および慣性乗積などのクラブヘッドの他の性能特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
図18は、クラブヘッドと同様の容量および/またはロフト角を有する多くの公知のクラブヘッドについて、(クラブヘッドの許容度および/または打ち出し角度を増大させるために)クラブヘッドのCG深さが増大するのに伴い、スイング中の抵抗力が増大する(それによって、スイング速度およびボール距離が減少する)ことを示している。多くの公知のクラブヘッドについては、ヘッドCG深さが増大するのに伴い、クラブヘッドに対する抵抗力が増大するとともにIxzが減少する(大きさが、より負となる)。
【0168】
本明細書に記載のクラブヘッドは、空力抵抗を維持しまたは減少させながら、同様の容量および/またはロフト角を有する公知のクラブヘッドと比較して、クラブヘッドのCG深さおよびIxz慣性乗積を増大させまたは最大化する。したがって、インパクト性能特性(例えば、スピン、打ち出し角度、ボール速度、および許容度)が改善されたクラブヘッドは、スイング性能特性(例えば、空力抵抗、インパクト時にクラブヘッドをスクエアにする能力、およびスイング速度)のバランスを取ること、または、スイング性能特性を改善することも行う。
【0169】
多くの実施形態では、クラブヘッドは、公知のゴルフクラブヘッドと比較して、クラブヘッドに対する抵抗力(F
d)を維持しまたは減少させながらヘッドのIxz慣性乗積比のバランスが取れるように、以下の関係を満たす。
【数10】
VI.慣性乗積、CG位置、慣性モーメント、および、空力抵抗のバランスの取れたクラブヘッドの例
【0170】
本明細書においては、ゴルフクラブヘッド100と同様の寸法(長さ、幅、高さ、深さ、CG高さ、CG深さ)を有するとともにクラブヘッド300と同様のウエイト位置を有する例示的なゴルフクラブヘッドについて記載する。例示的なゴルフクラブヘッドは、容量が466cc、深さが4.81インチ、長さが5.10インチ、および、高さが2.57インチである。例示的なクラブヘッドは、クラウン上に、クラウンの表面積の57%を含むとともに、0.013インチの最小厚さを有する、複数の薄い領域(ゴルフクラブヘッド100のものと同様)を含む。例示的なクラブヘッドはさらに、68.6度のクラウン角度(ゴルフクラブヘッド100のものと同様)と、0.522インチのクラウン角度高さと、を含む。
【0171】
例示的なクラブヘッドは、比重が14SGであるとともに質量が16.6グラムおよび22.8グラムであるタングステンを含む2つの埋め込みウエイトを含む。一方の埋め込みウエイトは、トウおよびクラウンの付近に配置され、ならびに、クロックグリッド(クロックグリッドはクラブヘッド100のものと同一)の11時方向の線と9時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに10時方向の線に交差する(クラブヘッド300のものと同様)。さらに、第2の埋め込みウエイトは、ヒールおよびソールの付近に配置され、ならびに、クロックグリッドの3時方向の線と5時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに4時方向の線に交差する。この例において、クラブヘッドは、以下のような慣性テンソル行列を形成するように構造化される。
【数11】
【0172】
上述のおよび/または付加的なパラメータの結果として、例示的なクラブヘッドは、1.36インチのヘッドCG深さと、0.14インチのヘッドCG高さとを含む。さらに、上述のおよび/または付加的なパラメータの結果として、例示的なクラブヘッドは、2,684g・cm2のクラウン-ソール慣性モーメントIxx、4,684g・cm2のヒール-トウ慣性モーメントIyy、164g・cm2のIxy慣性乗積、-154g・cm2のIxz慣性乗積、および、7,368g・cm2の合成慣性モーメントIxx+Iyyを含む。
【0173】
例示的なクラブヘッドはさらに、0.24インチのフロント曲率半径(ゴルフクラブヘッド100と同様)、0.30インチのソール曲率半径、および、0.20インチのバック曲率半径を含む。これらのおよび/または付加的なパラメータの結果として、例示的なクラブヘッドは、スクエア面および時速102マイル(mph)の風速の計算流体力学による計算において、0.95lbfの空力抵抗力を含む。
【0174】
例示的なクラブヘッドを、同様の高さ、長さ、および、容量の対照ゴルフクラブ(以下、「対照クラブ」)と比較した。しかし、対照クラブは、クラブヘッドの後外部外周上に1つのウエイトのみを有していた。さらに、対照クラブは、以下のような慣性テンソル行列を含んでいた。
【数12】
【0175】
例示的なクラブヘッドは、対照クラブと比較して、Ixxが27.5%減少し、Iyyが6%減少している。例示的なクラブヘッドは、対照クラブと比較して、CG深さが27%減少し、CG高さが68%減少している。しかし、例示的なクラブヘッドは、対照クラブに対して、Izzが18.4%増大し、Ixyが4,977%増大し、Ixzが73%増大している。
【0176】
図23を参照すると、対照クラブおよび例示的なクラブについて、高いおよび低いフェースヒットが招いたサイドスピンが表示されている。
図23の横軸は、打撃面上のインパクト高さを表示している。ここで、原点が幾何学的中心であり、負の値が中心よりも下方であり、正の値が中心よりも上方である。
図23の縦軸は、インパクト時にゴルフボールにかけられたサイドスピンを(毎分回転数で)表示している。ここで、正の値がフェードスピンであり、負の値がドロースピンである。
【0177】
図23を参照すると、例示的なクラブは、ゴルフボールを中心よりも0.1インチ~1インチの間の下方で打撃したときに、すべての望まれないサイドスピンをほぼ解消している。より詳細には、ゴルフボールを幾何学的中心よりも0.6インチ下方で打撃すると、例示的なクラブヘッドは、対照クラブに対して約125RPMだけサイドスピンを減少させる。ゴルフボールを中心よりも0.4インチ下方で打撃すると、例示的なクラブは、約75RPMだけサイドスピンを減少させる。
【0178】
なお、
図23を参照すると、ゴルフボールを中心よりも上方で打撃すると、望まれないサイドスピンが等しく著しく減少する。しかし、対照クラブの大きなフェードスピン(約50RPM~約150RPM)が、非常に小さなドロースピン(約0RPM~約45RPM)に遷移される。例示的なクラブヘッドが、対照クラブと比較して減少したIxxおよびIyyを有しているにも関わらず、ゴルフボールを中心よりも上方または下方で打撃するときに望まれないサイドスピンを減少させるか、または、解消さえすると結論付けることができる。例示的なクラブヘッドのサイドスピンのこの減少(または解消)は、対照クラブの高Ixx項よりも大きな許容度を提供するが、その理由は、ボールがラインを外れてスピンするよりもむしろ、一段とまっすぐな軌道上を飛行するためである。
【0179】
さらに、例示的なクラブヘッドは、Iyy項が6.8%しか減少しておらず、それによってなお、ゴルフボールがトウに向かってまたはヒールに向かって打撃されたときにも最適許容度を維持する。Iyy慣性モーメントは多くの場合、対照クラブから明らかであるように、できるだけ最大化される。しかし、Iyyの小さな減少と、Ixz項およびIxy項の著しい増大とにより、例示的なクラブヘッドは、幾何学的中心から離れて、対照クラブのように単にヒールおよびトウに向かうのではなくすべての4つの方向において(トウ、ヒール、クラウン、およびソールに向かって)許容度が増大することになる。
【0180】
例示的なクラブヘッドは、望ましい打ち出し条件を可能にする、深く低いCGに対し、増大させた許容度(バランスの取れたMOIおよび慣性乗積を通じて達成)のバランスを取る。高く遠くへ飛行するゴルフショットを打つために、ドライバータイプのクラブヘッドを用いた高い打ち出しであるとともに低スピンのボール飛行が所望される。例示的なクラブヘッドのCG高さおよびCG深さが、慣性テンソル(ゴルフクラブヘッド300のものと同様の埋め込みウエイトを通じて達成)と対にされると、高い打ち出し、低スピン、および、よりまっすぐな(MOIに対して慣性乗積のバランスを取るために許容度を増大させた)ドライバーが形成される。
【0181】
最後に、例示的なクラブが、急なフロント曲率半径、ソール曲率半径、および、バック曲率半径をすべて維持しながら、慣性テンソルおよびCGパラメータのバランスを取っていることに注意されたい。これらのおよび/または付加的なパラメータの結果として、例示的なクラブヘッドは0.95lbfの空力抵抗力を含み、これは、対照クラブヘッドのものに等しい。しかし、前述のように、例示的なクラブヘッドは、(低い抵抗力により)スイング速度が維持された状態で、増大させた許容度と、望ましい性能特性(CG高さおよびCG深さによる高い打ち出しおよび低スピン)との、より好ましいバランスを有している。
【0182】
1つまたは複数の請求された要素の置き換えは、再構成を構成するものであり、修復は構成しない。さらに、利益、他の利点、および問題に対する解決法を、特定の実施形態に関して説明した。しかし、利益、利点、問題に対する解決法、および任意の利益、利点、または解決法を生じさせ得るかまたはそれらをより明白にし得るいずれの要素も、そのような請求項の重要、必要、または不可欠な特徴または要素として解釈すべきではない。
【0183】
ゴルフの規則は時々変更されることがあり(例えば、ゴルフの標準団体及び/又は全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)等の統治体によって、新しい規則が適用され、又は古い規則が撤廃又は改変されることがある)、本願に開示される装置、方法及び/又は製造品に関するゴルフ道具は、どのような時もゴルフの規則に適合してもよく、適合しなくてもよい。したがって、本願に開示される装置、方法及び/又は製造品に関するゴルフ道具は、広告、販売の申し出、及び/又はゴルフ道具に適合する又は適合しない販売であってもよい。本願に開示される装置、方法及び/又は製造品がこの点において限定されるものではない。
【0184】
上記実施例は、ウッドタイプゴルフクラブ(例えば、ドライバー、フェアウェイウッド)との関連で説明され得るが、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のゴルフクラブ、例えば、ハイブリッドタイプゴルフクラブ、アイアンタイプゴルフクラブ、ウェッジタイプゴルフクラブ、またはパタータイプゴルフクラブにも適用できる。あるいは、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のスポーツ道具、例えば、ホッケー用スティック、テニスラケット、釣竿、スキーポール等にも適用できる。
【0185】
さらに、本明細書に開示される実施形態および制限は、実施形態および/または制限が(1)請求項に明示的に特許請求されておらず、(2)均等論下で請求項の明白な要素および/または制限の潜在的な等価物である場合に、公有の原則下で公衆に供されない。
【0186】
本開示のさまざまな特徴および利点は以下の請求項に記載される。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
中空体のゴルフクラブヘッドであって、
フロントエンドと、前記フロントエンドの反対側のバックエンドと、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンおよび前記ソールに隣接するスカートと、ホーゼル構造であって、前記ホーゼル構造のボアを通って中心に延びるホーゼル軸を有する前記ホーゼル構造と、を有する本体と、
前記フロントエンドに配置される打撃面であって、幾何学的中心と、前記幾何学的中心に正接するロフト平面と、前記ヒールから前記トウに向けて前記幾何学的中心を通って前記ロフト平面に垂直に延びるヘッド深さ平面と、を画定する前記打撃面と、を備え、
前記クラブヘッドのロフト角が16度未満であり、
前記クラブヘッドの容量が400ccよりも大きく、
前記クラブヘッドのヘッド重心が、前記ロフト平面に垂直な方向において測定された前記ロフト平面からヘッドCG深さの位置、および、前記ヘッド深さ平面に垂直な方向において測定された前記ヘッド深さ平面からヘッドCG高さの位置に配置されており、
前記ヘッドCG高さが0.20インチ未満であり、
y軸が、前記ヘッド重心を通って前記クラウンから前記ソールに向けて延びており、
x軸が、前記ヘッド重心を通って前記ヒールから前記トウに向けて延びており、
前記x軸が前記y軸に垂直であり、
前記打撃面の前記幾何学的中心を通り、前記ホーゼル軸に平行に延び、前記ロフト平面から前記ロフト角において位置決めされた平面に垂直な方向において102mphの風速を受けたときに、前記クラブヘッドが抵抗力Fdを経験し、
前記クラブヘッドが、クラウン-ソール慣性モーメントIyy、ヒール-トウ慣性モーメントIxx、及び、前記x軸および前記y軸についての慣性乗積Ixyを有しており、
前記慣性乗積が、100g・cm
2
よりも大きく、
前記クラブヘッドが、関係Aおよび関係Bを満たす、ゴルフクラブヘッド。
【数13】
【数14】
(項目2)
前記クラブヘッドが、さらに、関係Cを満たす、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【数15】
(項目3)
前記クラブヘッドが、さらに、関係Dを満たす、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【数16】
(項目4)
前記ヘッドCG深さが、1.3インチよりも大きい、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目5)
前記クラブヘッドは、さらに、
12時方向の線、3時方向の線、4時方向の線、5時方向の線、8時方向の線、9時方向の線、10時方向の線、及び、11時方向の線を有しており、
前記12時方向の線が、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときにおける前記クラブヘッドの底面図において、前記打撃面の中心点に位置合わせされており、前記ロフト平面と前記接地面との間のフロント交差線に直交しており、
前記クロックグリッドが、前記12時方向の線に沿って、前記ヘッドの前部のフロントエンドと前記ヘッドの後部のリアエンドとの間の中点に位置合わせされており、
前記3時方向の線が、前記ヘッドのヒール部分に向かって延びており、
前記9時方向の線が、前記ヘッドのトウ部分に向かって延びており、
前記クラブヘッドは、さらに、
第1の埋め込みウエイトおよび第2の埋め込みウエイトを備えており、
前記第1の埋め込みウエイトが、前記トウ及び前記クラウンの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記11時方向の線と前記9時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記10時方向の線に交差することができ、
前記第2の埋め込みウエイトが、前記ヒールおよび前記ソールの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記3時方向の線と前記5時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記4時方向の線に交差することができる、項目1の記載のゴルフクラブヘッド。
(項目6)
前記慣性モーメントIyyが、4500g・cm
2
よりも大きい、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目7)
前記第1の埋め込みウエイトおよび前記第2の埋め込みウエイトが、タングステンを含む、項目5に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目8)
前記合成慣性モーメントが、7250g・cm
2
よりも大きい、項目1の記載のゴルフクラブヘッド。
(項目9)
項目1のゴルフクラブヘッドは、さらに、
0.18インチから0.30インチの間のフロント曲率半径であって、前記フロント曲率半径は、前記打撃面の上縁部からクラウン遷移点まで延びており、前記クラウン遷移点は、前記フロント曲率半径から前記クラウンの異なる曲率への変化を示している、前記フロント曲率半径と、
前記クラウンと後部遷移境界との間の接続部に配置された第1の後部遷移点、及び、前記後部遷移境界と前記スカートとの間の接続部に配置された第2の後部遷移点から、前記後部遷移境界に沿って、前記ゴルフクラブヘッドの前記クラウンと前記スカートとの間を延びるバック曲率半径と、を備える、項目1の記載のゴルフクラブヘッド。
(項目10)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
79度未満のクラウン角度であって、前面と、前記ゴルフクラブヘッドの前記クラウン遷移点および前記後部遷移点を通って延びるクラウン軸と、の間の鋭角として測定される前記クラウン角度と、
0.50インチよりも大きい最大クラウン高さであって、前記クラウンの表面と前記クラウン軸との間の最大距離として測定される前記最大クラウン高さと、を備える、項目9に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目11)
中空体のゴルフクラブヘッドであって、
フロントエンドと、前記フロントエンドの反対側のバックエンドと、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンおよび前記ソールに隣接するスカートと、ホーゼル構造であって、前記ホーゼル構造のボアを通って中心に延びるホーゼル軸を有する前記ホーゼル構造と、を有する本体と、
前記フロントエンドに配置される打撃面であって、幾何学的中心と、前記幾何学的中心に正接するロフト平面と、前記ヒールから前記トウに向けて前記幾何学的中心を通って前記ロフト平面に垂直に延びるヘッド深さ平面と、を画定する前記打撃面と、を備え、
前記クラブヘッドのロフト角が16度未満であり、
前記クラブヘッドの容量が400ccよりも大きく、
前記クラブヘッドのヘッド重心が、前記ロフト平面に垂直な方向において測定された前記ロフト平面からヘッドCG深さの位置、および、前記ヘッド深さ平面に垂直な方向において測定された前記ヘッド深さ平面からヘッドCG高さの位置に配置されており、
前記ヘッドCG高さが0.20インチ未満であり、
y軸が、前記ヘッド重心を通って前記クラウンから前記ソールに向けて延びており、
x軸が、前記ヘッド重心を通って前記ヒールから前記トウに向けて延びており、
前記x軸が前記y軸に垂直であり、
前記打撃面の前記幾何学的中心を通り、前記ホーゼル軸に平行に延び、前記ロフト平面から前記ロフト角において位置決めされた平面に垂直な方向において102mphの風速を受けたときに、前記クラブヘッドが抵抗力Fdを経験し、
前記クラブヘッドが、クラウン-ソール慣性モーメントIyy、ヒール-トウ慣性モーメントIxx、及び、前記x軸および前記y軸についての慣性乗積Ixyを有しており、
前記慣性乗積が、100g・cm
2
よりも大きく、
前記クラブヘッドが、打撃面-スカート慣性モーメントIzz、ヒール-トウ慣性モーメントIxx、及び、前記z軸および前記x軸についての慣性乗積Ixzを有しており、
前記クラブヘッドが関係Aを満たす、ゴルフクラブヘッド。
【数17】
(項目12)
前記クラブヘッドがさらに、関係Bを満たす、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【数18】
(項目13)
前記クラブヘッドが、さらに、関係Cを満たす、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【数19】
(項目14)
前記クラブヘッドが、さらに、関係Dを満たす、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
【数20】
(項目15)
前記ヘッドCG深さが、1.3インチよりも大きい、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目16)
前記クラブヘッドは、さらに、
12時方向の線、3時方向の線、4時方向の線、5時方向の線、8時方向の線、9時方向の線、10時方向の線、及び、11時方向の線を有しており、
前記12時方向の線が、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときにおける前記クラブヘッドの底面図において、前記打撃面の中心点に位置合わせされており、前記ロフト平面と前記接地面との間のフロント交差線に直交しており、
前記クロックグリッドが、前記12時方向の線に沿って、前記ヘッドの前部のフロントエンドと前記ヘッドの後部のリアエンドとの間の中点に位置合わせされており、
前記3時方向の線が、前記ヘッドのヒール部分に向かって延びており、
前記9時方向の線が、前記ヘッドのトウ部分に向かって延びており、
前記クラブヘッドは、さらに、
第1の埋め込みウエイトおよび第2の埋め込みウエイトを備えており、
前記第1の埋め込みウエイトが、前記トウ及び前記クラウンの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記11時方向の線と前記9時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記10時方向の線に交差することができ、
前記第2の埋め込みウエイトが、前記ヒールおよび前記ソールの近傍に配置され、前記クロックグリッドの前記3時方向の線と前記5時方向の線との間に少なくとも部分的に囲まれるとともに前記4時方向の線に交差することができる、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目17)
前記第1の埋め込みウエイトおよび前記第2の埋め込みウエイトが、タングステンを含む、項目16に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目18)
合成慣性モーメントが、7250g・cm
2
よりも大きい、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目19)
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
-160g・cm
2
よりも大きい前記慣性乗積Ixzを有する、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目20)
前記慣性モーメントIyyが、4500g・cm
2
よりも大きい、項目11に記載のゴルフクラブヘッド。