(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】剛性付勢要素を備えた蓋体を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20241016BHJP
【FI】
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022505503
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072304
(87)【国際公開番号】W WO2021023878
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】フプケス,エルンスト
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】実公平02-034103(JP,Y2)
【文献】中国実用新案第207383538(CN,U)
【文献】中国実用新案第206687163(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107582257(CN,A)
【文献】特表2008-538987(JP,A)
【文献】国際公開第2018/024625(WO,A1)
【文献】特表2009-544386(JP,A)
【文献】国際公開第2006/115732(WO,A2)
【文献】特表2006-514869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(100)であって、
開口(104)であって、それを通してエアロゾル基質が前記エアロゾル発生装置(100)内に受け入れ可能である、開口(104)を有する本体(102)と、
蓋体(107)であって、前記蓋体(107)が前記開口(104)を覆う閉鎖位置と、前記開口(104)が前記蓋体(107)によって実質的に塞がれない開放位置との間で前記開口(104)に対して移動可能な蓋体(107)と、
剛性要素(116)であって、前記蓋体(107)と協働するように構成された第1の端部(118)と、前記蓋体(107)が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で移動するとき、前記剛性要素(116)が前記本体(102)に対して回転するように、前記本体(102)に枢動可能に結合された第2の端部(120)とを有する剛性要素(116)と、
前記剛性要素(106)に取り付けられた弾性要素(114)であって、前記蓋体(107)を前記閉鎖位置及び前記開放位置の少なくとも1つに向かって付勢する弾性力を提供するように構成される弾性要素(114)と
を含むエアロゾル発生装置(100)。
【請求項2】
前記弾性要素(114)は、前記蓋体(107)が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で移動するとき、前記蓋体(107)とともに第1の方向(B)に変位されるように構成され、前記弾性要素(114)の少なくとも第1の端部(112)は、前記蓋体(107)が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で移動するとき、第2の方向(B)に移動するように構成され、前記第2の方向(C)は、前記第1の方向(B)を横断する、請求項1に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項3】
前記第2の方向(C)は、前記第1の端部(118)と前記第2の端部(120)との間の前記剛性要素(116)の長さに対して平行である、請求項2に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項4】
前記第2の方向(C)は、前記蓋体(107)から前記本体(102)に向かって延びる、請求項2又は3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記剛性要素(116)は、前記蓋体(107)が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で移動するとき、前記剛性要素(116)の前記第1の端部(118)と前記第2の端部(120)との間に延びる方向に移動するように構成されたトラベラー(148)を有し、前記トラベラー(148)は、前記弾性要素(114)と協働して、前記弾性要素(114)と前記蓋体(107)との間で前記弾性力を伝達する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記弾性要素(114)は、前記弾性力を提供するために、前記剛性要素(116)によって導かれる変形の方向に変形する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項7】
前記変形の前記方向は、前記剛性要素(116)の前記第1の端部(118)と前記第2の端部(120)との間の前記剛性要素(116)の前記長さに対して平行である、請求項6に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項8】
前記弾性要素(114)は、らせん圧縮ばねである、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項9】
前記剛性要素(116)は、前記らせん圧縮ばねが配置されるシャフトを含む、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
ガイド(122)を含み、キャリッジ(124)は、前記蓋体(107)が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動するとき、前記ガイド(122)に沿って移動するように構成され、前記キャリッジは、前記蓋体(107)と相互作用するように構成され、好ましくは、前記ガイド(122)は、円弧状又は直線状のガイド経路を提供する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項11】
前記弾性要素(114)は、前記キャリッジ(124)を前記ガイド(122)の側部に向かって、好ましくは前記本体(102)から離れて前記ガイド(122)の側部に向かって付勢するように前記弾性力を提供するように構成される、請求項10に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項12】
前記蓋体(107)は、前記閉鎖位置及び前記開放位置の各々において安定しており、好ましくは、前記弾性要素(114)は、前記蓋体(107)を前記閉鎖位置と前記開放位置との間の第1の位置の範囲から前記閉鎖位置に向かって付勢し、且つ前記蓋体(107)を前記閉鎖位置と前記開放位置との間の第2の位置の範囲から前記開放位置に向かって付勢するように構成され、前記蓋体(107)の前記第1の位置の範囲は、前記第2の位置の範囲よりも前記閉鎖位置に近接し、及び前記蓋体(107)の前記第2の位置の範囲は、前記第1の位置の範囲よりも前記開放位置に近接している、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項13】
前記蓋体(107)は、前記開放位置から、前記エアロゾル発生装置(100)が作動信号を開始するように動作可能である作動位置に更に移動可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項14】
前記弾性要素(114)は、前記蓋体(107)を前記作動位置から離れて付勢するようにも前記弾性力を提供するように構成される、請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記弾性要素(114)は、前記開口(104)によって画定された平面からの方向、前記開口(104)の軸(A-A)と整列された方向及び/又は前記蓋体(107)が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で移動されるときに前記エアロゾル基質が受け入れ可能である方向と整列された方向の少なくとも1つに変形するように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、剛性付勢要素を備えた蓋体を有するエアロゾル発生装置に関する。蓋体は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であるように構成され得る。本開示は、特に、排他的ではないが、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生装置に適用可能である。そのような装置は、タバコ又は他の好適な材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させることができる。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、シガレット、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品のようにタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル基質を加熱又は攪拌して、吸入のためのエアロゾル及び/又は蒸気を生成するための様々な装置及びシステムが利用可能である。
【0003】
リスク低減装置又はリスク修正装置の一種には、加熱式基質エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式装置がある。この種の装置は、典型的には、湿った葉タバコである固体エアロゾル基質を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル及び/又は蒸気を発生させる。エアロゾル基質を燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる有毒で発癌性の副生成物を含まないエアロゾル及び/又は蒸気が放出される。更に、エアロゾル基質、例えばタバコを加熱することによって生成されたエアロゾル及び蒸気は、典型的には、ユーザにとって不快であり得る、燃焼させる及び燃やすことで生じる焦げた味又は苦い味を含まない。これは、エアロゾル基質が、典型的には煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりの良いものにするために従来のタバコ製品のタバコに加えられる糖又は他の添加物を必要としないことを意味する。
【0004】
既存のエアロゾル発生装置は、使いにくい可能性があり、及び所要の構成要素は、利便性に欠ける可能性がある。例えば、使用のためにエアロゾル基質が提供される装置の領域を保護できるカバーを設けることが役立つ。このカバーは、装置のユーザによって頻繁に移動されるため、利便性に欠けるカバーは、望ましくない。
【0005】
欧州特許第3003073B1号明細書は、長尺の電子ニコチン供給システム又は他の風味付け蒸気供給システムのための容器を説明している。容器は、閉鎖位置において、蓋がインサートにおける第1の開口部及び補助開口部を覆うように本体に枢動可能に取り付けられる蓋を有する。
【0006】
中国実用新案第206687163号明細書は、ケーシング上に移動可能に装着され、且つ第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるように構成されたカバー本体を含む低温喫煙物品を説明している。トリガスイッチは、電源回路を作動又は導通させるために設けられる。
【0007】
従来技術の公報のいずれにおいても、蓋は、簡単なものであり、蓋の移動を効果的に制御するための機構は、開示されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0009】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置であって、
開口であって、それを通してエアロゾル基質がエアロゾル発生装置内に受け入れ可能である、開口を有する本体と、
蓋体であって、蓋体が開口を覆う閉鎖位置と、開口が蓋体によって実質的に塞がれない開放位置との間で開口に対して移動可能な蓋体と、
剛性要素であって、蓋体と協働するように構成された第1の端部と、蓋体が閉鎖位置と開放位置との間で移動するとき、剛性要素が本体に対して回転するように、本体に枢動可能に結合された第2の端部とを有する剛性要素と、
剛性要素に取り付けられた弾性要素であって、蓋体を閉鎖位置及び開放位置の少なくとも1つに向かって付勢する弾性力を提供するように構成される弾性要素と
を含むエアロゾル発生装置が提供される。
【0010】
剛性要素を使用して弾性要素を取り付けることにより、弾性要素に対して支持を提供し、蓋体の堅牢性を向上させる。
【0011】
好ましくは、弾性要素は、蓋体が閉鎖位置と開放位置との間で移動するとき、蓋体とともに第1の方向に変位されるように構成され、弾性要素の少なくとも第1の端部は、蓋体が閉鎖位置と開放位置との間で移動するとき、第2の方向に移動するように構成され、第2の方向は、第1の方向を横断する。
【0012】
好ましくは、第2の方向は、第1の端部と第2の端部との間の剛性要素の長さに対して平行である。
【0013】
好ましくは、第2の方向は、蓋体から本体に向かって延びる。
【0014】
任意選択的に、剛性要素は、蓋体が閉鎖位置と開放位置との間で移動するとき、剛性要素の第1の端部と第2の端部との間に延びる方向に移動するように構成されたトラベラーを有し、トラベラーは、弾性要素と協働して、弾性要素と蓋体との間で弾性力を伝達する。
【0015】
任意選択的に、弾性要素は、弾性力を提供するために、剛性要素によって導かれる変形の方向に変形する。
【0016】
任意選択的に、変形の方向は、剛性要素の第1の端部と第2の端部との間の剛性要素の長さに対して平行である。
【0017】
任意選択的に、弾性要素は、らせん圧縮ばねである。
【0018】
任意選択的に、剛性要素は、らせん圧縮ばねが配置されるシャフトを含む。
【0019】
任意選択的に、エアロゾル発生装置は、ガイドを含み、キャリッジは、蓋体が開放位置と閉鎖位置との間で移動するとき、ガイドに沿って移動するように構成され、キャリッジは、蓋体と相互作用するように構成される。好ましくは、ガイドは、円弧状又は直線状のガイド経路を提供する。
【0020】
任意選択的に、弾性要素は、キャリッジをガイドの側部に向かって付勢するように弾性力を提供するように構成される。好ましくは、弾性要素は、キャリッジを本体から離れてガイドの側部に向かって付勢するように構成される。
【0021】
任意選択的に、蓋体は、閉鎖位置及び開放位置の各々において安定している。
【0022】
任意選択的に、弾性要素は、蓋体を閉鎖位置と開放位置との間の第1の位置の範囲から閉鎖位置に向かって付勢し、且つ蓋体を閉鎖位置と開放位置との間の第2の位置の範囲から開放位置に向かって付勢するように構成され、蓋体の第1の位置の範囲は、第2の位置の範囲よりも閉鎖位置に近接し、及び蓋体の第2の位置の範囲は、第1の位置の範囲よりも開放位置に近接している。
【0023】
任意選択的に、蓋体は、開放位置から、エアロゾル発生装置が作動信号を開始するように動作可能である作動位置に更に移動可能である。
【0024】
任意選択的に、弾性要素は、蓋体を作動位置から離れて付勢するようにも弾性力を提供するように構成される。
【0025】
任意選択的に、弾性要素は、開口によって画定された平面からの方向、開口の軸と整列された方向及び/又は蓋体が閉鎖位置と開放位置との間で移動されるとき、エアロゾル基質が受け入れ可能である方向と整列された方向の少なくとも1つに変形するように構成される。
【0026】
上記の態様のそれぞれは、上記の他の態様に関して言及された任意の1つ以上の特徴を含み得る。
【0027】
本開示は、本明細書において説明及び/又は例示する任意の新規な態様又は特徴に及ぶ。本開示の更なる特徴は、他の独立請求項及び従属請求項によって特徴付けられる。
【0028】
「機器」、「装置」、「プロセッサ」、「モジュール」などの単語の使用は、具体的であるより、むしろ一般的であるように意図される。本開示のこれらの特徴は、コンピュータ又は中央処理装置(CPU)などの個々の構成要素を使用して実施され得るが、他の好適な構成要素又は構成要素の組み合わせを使用して等しく良好に実施することができる。例えば、これらの特徴は、1つ又は複数のハードワイヤード回路、例えば集積回路を使用して且つ組み込みソフトウェアを使用して実施することができる。
【0029】
本明細書で使用される「含む」という用語は、「から少なくとも部分的になる」を意味することに留意されたい。そのため、「含む」という用語を含む、本明細書における記載を解釈する場合、この用語が前置きされた1つ又は複数のもの以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連用語も同じように解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、名詞の後に続く「(s)」は、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。したがって、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化するという意味は、上記で定義した揮発、噴霧及び気化させることの各々と整合することに留意されたい。誤解を回避するために、エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子を含むミスト又は液滴を一貫して説明するために使用される。エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は液滴も含む。
【0031】
ここで、好ましい実施形態を、ごく一例として添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】エアロゾル発生装置の第1の実施形態の概略断面図である。
【
図2a】エアロゾル発生装置の第1の実施形態の蓋体の分解図である。
【
図2b】エアロゾル発生装置の第1の実施形態の蓋体の組立図である。
【
図3a】蓋体が閉鎖位置にある、蓋体の第1の実施形態の側面からの概略断面図である。
【
図3b】蓋体が中間位置にある、蓋体の第1の実施形態の側面からの概略断面図である。
【
図3c】蓋体が開放位置にある、蓋体の第1の実施形態の側面からの概略断面図である。
【
図4】蓋体が作動位置にある、蓋体の第2の実施形態の側面からの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第1の実施形態
図1を参照すると、本開示の第1の実施形態によれば、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の様々な構成要素を収容する本体102を含む。本体102は、エアロゾル発生装置100において説明する構成要素に嵌合するような大きさとされる限り、任意の形状であり得る。本体102は、任意の好適な材料又は実際には材料の層で形成することができる。
【0034】
図1の頂部に向かって示される、蓋体構成106の近傍の端部であるエアロゾル発生装置100の第1の端部は、便宜上、エアロゾル発生装置100の頂部又は上端部として説明される。
図1の底部側に示す、蓋体構成106から離れた端部であるエアロゾル発生装置100の第2の端部は、便宜上、エアロゾル発生装置100の底部、基部又は下端部として説明される。エアロゾル発生装置100の頂部からエアロゾル発生装置100の底部への移動は、便宜上、下方への移動として説明される一方、エアロゾル発生装置100の底部からエアロゾル発生装置100の頂部への移動は、便宜上、上方への移動として説明される。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生装置100を、第1の端部を下向きに及び/又はユーザの口に対して先端位置に、且つ第2の端部を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置に向ける。
【0035】
エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の第1の端部側に位置する加熱チャンバ108を含む。加熱チャンバ108の一端部において、本体102を貫通する開口104が設けられ、開口104は、本体102の外側から加熱チャンバ108へのアクセスを提供し、その結果、エアロゾル基質(図示せず)は、開口104を介して加熱チャンバ108内に配置され得る。
【0036】
加熱チャンバ108が本体102に近接する開口104において、加熱チャンバ108を所定の位置に装着するために、ワッシャなどの1つ以上の間隔保持要素が設けられる。間隔保持要素は、加熱チャンバ108から本体への熱伝導を低減する。典型的には、それ以外の場所では、加熱チャンバ108を取り囲む空隙が生じ、その結果、間隔保持要素を介した熱伝達以外の、加熱チャンバ108から本体102への熱伝達も低減される。
【0037】
加熱チャンバ108の断熱性を更に高めるために、加熱チャンバ108も絶縁体(図示せず)で取り囲まれる。いくつかの実施形態では、絶縁体は、繊維状材料又は発泡材料、例えばウールである。いくつかの実施形態では、絶縁体は、空洞を間に囲む入れ子になった管又はカップの対を含む。空洞には、断熱材料、例えば繊維、発泡体、ゲル又は(例えば、低圧の)ガスを充填することができ、及び/又は空洞は、真空を有し得る。有利には、真空は、高い断熱性を達成するために非常に小さい厚みのみを必要とする。
【0038】
開口104は、典型的には、軸線A-Aを中心とする円形開口である。軸線A-Aが開口104の中心を通過する場合、任意の形状の開口、例えば正方形又は三角形の開口が使用され得ることが理解されるであろう。軸線A-Aは、開口104によって形成された平面、例えば開口104が位置する平面に直交する軸線とみなすことができる。より具体的には、2次元形状、典型的には円形は、開口104の方を向いて見たときの開口104の周縁部から形成することができる。この2次元形状は、開口104によって画定された平面である平面上に位置する。
【0039】
加熱チャンバ108は、典型的には、深絞りによって形成される。深絞りは、加熱チャンバ108を形成するための効果的な方法であり、薄い側壁を設けるために使用することができる。深絞り工程は、金属薄板ブランクをパンチツールで加圧成形して成形ダイ内に押し込むことを含む。一連の徐々に小さくなるパンチツール及びダイを使用することにより、管状構造が形成され、この管状構造は、一端部に基部を有するとともに、管を横断する距離よりも大きい深さの管を有する(管が幅よりも相対的に大きい長さを有することから、「深絞り」という用語になっている)。同様に、この方法で形成された基部は、最初の金属薄板ブランクと同じ厚さである。フランジは、基部とは反対側の管状壁の端部において外向きに延びる、元の金属薄板ブランクの周縁部を残すことによって(すなわち管及び基部を形成するために必要な量よりも多くの材料をブランクに含めて開始して)、管の端部に形成することができる。代替的に、フランジは、後に、切断、曲げ、圧延、延伸などの1つ以上を含む別個のステップで形成することができる。深絞りによって形成される加熱チャンバ108により、深絞り工程中に形成される開口104が得られる。
【0040】
エアロゾル発生装置100は、少なくとも、材料が加熱チャンバ108に入ることができないように蓋体構成106が開口104を塞いでいる閉鎖位置と、加熱チャンバ108へのアクセスを可能にするために開口104が覆われていない開放位置との間で移動可能であるように構成された蓋体構成106を含む。蓋体構成106は、典型的には、蓋体107を含み、蓋体107は、エアロゾル発生装置100の本体102の外部に提供され、それによりユーザとの相互作用に利用可能である。エアロゾル発生装置100は、蓋体構成106が移動するときに変形するように構成された弾性要素114を含み、且つ蓋体構成106のキャリッジ124がそれに沿って移動するように構成されたガイド122を含む。
【0041】
蓋体107は、典型的には、本体102に対して摺動することにより、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であるように構成され、蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間で摺動するとき、蓋体構成106のキャリッジ124は、ガイド122に沿って移動する。いくつかの実施形態では、蓋体107は、閉鎖位置と開放位置との間で回転するように構成される。これらの実施形態では、回転は、任意の平面内での回転であり得、例えば、回転は、開口104によって形成された平面内での回転であり得るか、又は開口104によって形成された平面に直交するか若しくはこの平面を横断する回転であり得る。
【0042】
典型的には、弾性要素114は、らせん(若しくはコイル)ばね又はねじりばねなどのばねである。この実施形態では、弾性要素は、らせん圧縮ばねである。ばねを弛緩位置から離れて変形させると、ばねは、弾性要素114の第1の端部112と弾性要素114の第2の端部とによって画定される軸線に沿って圧縮力又は伸張力を及ぼす。ばねによって及ぼされる力は、変形に依存し、及ぼされる力の大きさは、弛緩位置からの変形の大きさが増加するときに増大する。
【0043】
弾性要素114は、剛性要素116に取り付けられ、剛性要素116は、第1の端部118において(直接的に又は間接的に)キャリッジ124に取り付けられ、且つ第2の端部120において(直接的に又は間接的に)エアロゾル発生装置100の本体102に取り付けられ、したがってキャリッジ124がガイド122に沿って移動するとき、剛性要素116は、エアロゾル発生装置100内で第2の端部120の周りを回転し、弾性要素114も回転する。
【0044】
典型的には、弾性要素114は、弾性要素114がらせんばねである場合、らせんばねのらせん(又は中心)軸が剛性要素116の長手方向軸と整列するように、剛性要素116の周りに取り付けられる。
【0045】
弾性要素114の第2の端部は、剛性要素116に取り付けられ、それによりエアロゾル発生装置100に対して所定の位置に保持される。弾性要素114の第1の端部112は、トラベラー(
図1には示されていない)に取り付けられ、トラベラーは、キャリッジ124と相互作用するように構成される。具体的には、トラベラーは、剛性要素116に沿って長手方向に移動するように構成される。弾性要素114は、トラベラーが剛性要素116に沿って移動するとき、トラベラーと相互作用するように構成される。典型的には、トラベラーは、剛性要素116に沿って移動するとき、弾性要素114を圧縮するように構成される。
【0046】
弾性要素114の第1の端部112は、蓋体107が開放位置と閉鎖位置との間で移動するとき、キャリッジ124と相互作用して、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成される。ガイド122は、典型的には、キャリッジ124がガイド122に沿って移動するとき、弾性要素114の第1の端部112と第2の端部との間の距離が変化し、そのため、弾性要素114が変形されて、弾性要素114が第1の端部112に力を及ぼすように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、これは、閉鎖位置から離れる蓋体107の変位に弾性要素114が抵抗するように、蓋体107が閉鎖位置から離れて移動するときに圧縮される弾性要素114を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、これは、開放位置から離れる蓋体107の変位に弾性要素114が抵抗するように、蓋体107が開放位置から離れて移動するときに圧縮される弾性要素114を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、弾性要素114は、開放位置及び閉鎖位置が両方とも「安定」位置となるように構成され、例えば蓋体107が開放位置又は閉鎖位置のいずれかにあるとき、蓋体107に作用する正味の力は、ゼロである。いくつかの実施形態では、閉鎖位置及び開放位置の各々において、弾性要素114は、弾性要素114が弾性要素114の第1の端部112又は第2の端部に力を全く及ぼさないか、又は無視できる程度の力のみを及ぼすように、実質的に弛緩位置にある。典型的には、弾性要素114は、蓋体が閉鎖位置又は開放位置のいずれかにあるときに変形位置にあるように構成され、ここで、弾性要素114は、蓋体が閉鎖位置又は開放位置のいずれかにあるときに力を及ぼす。弾性要素114によって及ぼされる力は、ガイド122の壁によって及ぼされる力と釣り合う。換言すれば、開放位置及び閉鎖位置は、安定平衡位置である。これらの実施形態では、蓋体107を閉鎖位置及び開放位置のいずれかから変位させるために閾値力が必要とされる。弾性要素114は、典型的には、偶発的な接触(例えば、ユーザのポケット内での位置ずれ)に起因して、蓋体107がいずれかの位置から離れて移動することを防止するために閾値力が十分であるが、位置間での移動が困難であるほど高くならないように構成される。蓋体を安定位置のいずれかから離れて移動させるために必要な閾値力の典型的な値は、0.1N~10Nの範囲内、例えば3Nである。
【0050】
弾性要素114の第1の端部112がガイド122上の安定した位置ではない位置にあるとき、第1の端部112に正味の力が加えられ、その結果、弾性要素114の第1の端部112及び蓋体107は、安定した位置に向かって付勢される。第1の端部112が第2の端部の「左」にあるとき、弾性要素114が、第1の端部を左方向に移動させるように作用する力を及ぼし、第1の端部112が第2の端部の「右」にあるとき、弾性要素114が、第1の端部112を右方向に移動させるように作用する力を及ぼすように、第1の端部112が付勢される方向は、第1の端部112と第2の端部との相対位置によって決まる。弾性要素114は、蓋体107が閉鎖位置から開放位置に移動されるとき、第1の端部112が第2の端部に対して移動し、弾性要素114によって及ぼされる力の方向が変化するように構成される。
【0051】
蓋体107が双安定である実施形態では、弾性要素114は、弾性要素114によって及ぼされる力が、蓋体107を閉鎖位置と開放位置との間の第1の位置の範囲から閉鎖位置に向かって付勢し、且つ蓋体107を閉鎖位置と開放位置との間の第2の位置の範囲から開放位置に向かって付勢するように作用するように構成される。第1の位置の範囲は、第2の位置の範囲が閉鎖位置に近接するよりも閉鎖位置に近接する。同様に、第2の位置の範囲は、第1の位置の範囲が開放位置に近接するよりも開放位置に近接する。
【0052】
典型的には、弾性要素114は、第1の位置の範囲が第2の位置の範囲に実質的に隣接するように構成される。そのため、閉鎖位置と開放位置との間の蓋体107の全ての位置(又は実質的に全ての位置)において、蓋体107は、閉鎖位置又は開放位置のいずれかに向かって付勢される。より具体的には、弾性要素114が蓋体構成106を介して蓋体107に正味の力を及ぼさないという意味において、第1の位置の範囲と第2の位置の範囲との間の部分(例えば、開放位置と閉鎖位置との間の途中)に位置する不安定平衡位置(又は領域)が存在し得る。この位置(又は領域)は、通常、開放位置に向かっての蓋体107の付勢と、閉鎖位置に向かっての蓋体107の付勢との間で弾性要素114が変化する行程部分に生じる。不安定平衡領域は、任意の方向への小さい変位によって蓋体107が不安定平衡領域から離れて駆動される領域である。典型的には、弾性要素114は、そのような不安定平衡領域が可能な限り小さくなるように構成される。
【0053】
蓋体107が「単安定」のみである、すなわち閉鎖位置及び開放位置の一方のみで安定である実施形態では、弾性要素114は、弾性要素114によって及ぼされた力が、蓋体107の全ての位置に対して唯一の安定した位置に向かって蓋体107を付勢するように作用するように構成される。
【0054】
弾性要素114は、閉鎖位置と開放位置との間の蓋体107の実質的に各位置において、弾性要素114の変形の成分及び弾性要素114によって及ぼされる力の成分が蓋体107の移動方向にあるように構成される。弾性要素114は、蓋体107が安定した位置にあるとき、力のこの成分が安定した位置から離れる移動に抵抗するように構成される。弾性要素114は、弾性要素114の変形の成分及び弾性要素114によって及ぼされる力の成分が蓋体107の移動方向を横断するように更に構成される。この力の成分は、弾性要素114の第1の端部112をガイド122の側部に押し付けるように作用する。典型的には、弾性要素114の変形の成分及び弾性要素114によって及ぼされる力の成分は、蓋体107に対して本体102に向かう方向及び/又は本体102から離れる方向、例えばエアロゾル発生装置100の頂部又は底部に向かう方向にある。この力は、蓋体107が閉鎖位置から開放位置に移動されるとき、弾性要素114の第1の端部112をガイド122の側部、典型的には頂部側に押し当てられた状態に保つように作用する。これにより、ユーザにとって心地良い蓋体107の円滑な摺動移動がもたらされる。
【0055】
エアロゾル発生装置100は、任意の向きに保持され得ることが理解されるであろう。概して、
図1を参照して「上方」又は「下方」として説明される変形及び/又は力の成分は、開口104を通る材料の受け入れ方向にあり、開口104の軸線に沿った、開口104によって画定された平面に直交するか若しくはこの平面を横断する、蓋体107の移動方向に直交するか若しくはこの移動方向を横断する、蓋体107に対して本体102に向かう/本体102から離れ、且つ/又はエアロゾル発生装置100の長軸線に沿った変形及び/又は力の成分とみなされ得る。
【0056】
第1の位置の範囲及び第2の位置の範囲は、典型的には、同程度の大きさであり、例えばいくつかの実施形態では、第1の位置の範囲は、弾性要素114の第1の端部112が、第1の位置とガイド122の中心点との間にある位置の範囲であり、第2の位置の範囲は、弾性要素114の第1の端部112が、ガイド122の中心点と第2の位置との間にある位置の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の位置の範囲及び第2の位置の範囲は、異なる大きさとされ、例えば、弾性要素114は、弾性要素114の第2の端部がガイド122の一端部のより近傍に、例えば第2の位置よりも第1の位置の近傍に(例えば、ガイド122の第1の端部のほぼ「下方」及び僅かに「右」に)位置するように構成され得、この場合、第2の位置の範囲は、第1の位置の範囲よりも大きく、弾性要素114が蓋体107を開放位置に向かって付勢するように作用する前に、閉鎖位置から離れる僅かな移動のみが必要となる。
【0057】
いくつかの実施形態では、弾性要素114は、第1の端部112が第1の位置にあるとき、第1の端部112が第2の位置にあるときと比較して付勢力が異なるように構成される。したがって、蓋体107を閉鎖位置から離れて開放位置に向かって移動させるために必要な力は、蓋体107を開放位置から離れて閉鎖位置に向かって移動させるために必要な力と異なる。これは、例えば、弾性要素の第2の端部をガイド122の他端部よりもガイド122の一端部に近接させることによって達成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ガイド122は、直線状である。典型的には、弾性要素114は、第1の端部112が安定位置から離れて且つ/又は第1の位置の範囲を通し移動するとき、一層圧縮されるように構成され、そのため、直線状ガイドでは、弾性要素によって及ぼされる力の大きさは、第1の端部112が第1の位置の範囲を通して移動するときに増大する。第1の実施形態では、ガイド122は、弾性要素114の第1の端部112がガイド122に沿って第1の位置の範囲を通して移動するとき、抵抗要素114の変形の増加率が低下する(したがって、及ぼされる力の大きさの増加率が低下する)ように円弧状である。したがって、第1の実施形態のこの円弧状ガイドにより、第1の位置の範囲を通して閉鎖位置から離れる蓋体107の移動中に僅かに増加する(但し直線状ガイドに比べて小さい)力が及ぼされる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ガイド122は、第1の位置の範囲及び/又は第2の位置の範囲を通して移動するとき、一定の大きさの力が弾性要素114の第1の端部112に加わるように構成された円弧である。より具体的には、いくつかの実施形態では、ガイド122は、弾性要素114の第1の端部112と第2の端部との間の距離が、ガイドに沿った第1の端部112の移動を通して一定のままであるように構成される。これらの実施形態では、弾性要素114の変形の方向が変化するため、弾性要素114の第1の端部112が移動するとき、弾性要素114の変形も変化する。したがって、弾性要素114の第1の端部112に及ぼされる力の方向が変化する(且つ付勢方向が変化する)。
【0060】
いくつかの実施形態では、ガイド122は、安定位置から離れて且つ/又は位置の第1の範囲を通して及び/若しくは位置の第2の範囲を通して移動するとき、弾性要素の第1の端部112に加わる力が低減されるように構成される。これは、例えば、蓋体107が閉鎖位置にあるとき、弾性要素114が圧縮され、第1の位置の範囲を通して第1の端部112が移動されるとき、弾性要素114の圧縮の大きさが低減されるように、弾性要素114及びガイド122を構成することによって達成することができる。
【0061】
弾性要素114の第1の端部112がガイド122に沿って移動するとき、弾性要素114によって及ぼされる力の方向が変化する。平衡点では、閉鎖位置の方向にも開放位置の方向にも力の成分がない。例えば、力が「上向き」方向にあり、「左方向」又は「右方向」に成分がない。平衡点に至る前(平衡点の閉鎖側)では、弾性要素114によって及ぼされる付勢力は、蓋体107を閉鎖位置に向かって移動させるように作用する。平衡点に至った後(平衡点の開放側)、弾性要素114によって及ぼされる付勢力は、蓋体を開放位置に移動させるように作用する。平衡点がガイド122における一地点であることが理解されるであろう。実際には、第1の端部を平衡点に構成することは、困難であるため、第1の位置の範囲及び第2の位置の範囲は、実質的に隣接する。更に、実際には、蓋体107が開放位置と閉鎖位置との間で移動されているときの蓋体107の慣性により、平衡位置を越えて弾性要素の第1の端部112が運ばれ、その結果、典型的には蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間に安定して静止する可能性が低い。
【0062】
図4に示される第2の実施形態などのいくつかの実施形態では、蓋体107は、開放位置から作動位置まで更に移動可能であるように構成される。作動位置を有することを除けば、第2の実施形態のエアロゾル発生装置100は、第1の実施形態のエアロゾル発生装置と同様である。様々な実施形態では、開放位置から作動位置への移動は、閉鎖位置から開放位置への移動方向への移動、閉鎖位置から開放位置への移動方向を横断する移動及び/又は蓋体107に対して本体102に向かう移動を含む。
【0063】
第1の実施形態では、エアロゾル発生装置100は、作動位置を有さず、典型的には、これらの実施形態では、蓋体107は、開放位置と閉鎖位置との間でのみ移動可能であるように構成される。
【0064】
第2の実施形態では、弾性要素114は、蓋体107が開放位置から作動位置に移動されるときに変形されるように構成される。具体的には、弾性要素114は、蓋体107が作動位置から離れて開放位置に向かって付勢されるように構成される。
【0065】
弾性要素114は、蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間で移動されるとき及び/又は蓋体107が開放位置と作動位置との間で移動されるときに変形するように構成され得る。
【0066】
典型的には、弾性要素114は、開放位置から作動位置への移動が閉鎖位置から開放位置への移動と異なる方向に少なくとも部分的に生じるように構成される。このように、第1の端部112を第1の位置から第2の位置に移動させるために必要な力は、第1の端部を第2の位置から第3の位置に移動させるために必要な力と異なり得、第3の位置は、蓋体107が作動位置にあるときの第1の端部112の位置である。これは、典型的には、主にばねの変形の方向を例えば「左」から「右」に横断する、第1の位置から第2の位置への移動と、ばねの変形の方向において、例えば「上」から「下」に実質的な成分を有する、第2の位置から第3の位置への移動とを含む。したがって、第1の位置から第2の位置への移動は、力、例えば弾性要素114によって及ぼされる力の比較的小さい成分に抗して作用する、エアロゾル発生装置100のユーザによって与えられる力を必要とし、力の大部分は、ガイド122の側部によって抵抗される一方、第2の位置から第3の位置への移動は、典型的には、弾性要素114によって及ぼされる力の相対的に大きい成分に抗して作用する力を必要とする。いくつかの実施形態では、弾性要素114の第1の端部112が第1の位置から第2の位置に移動するとき、弾性要素114は、主に回転し、第1の端部112が第2の位置から第3の位置に移動するとき、弾性要素114は、主に圧縮される。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2の弾性要素(図示せず)は、蓋体を作動位置から開放位置に向かって付勢するように構成される。第2の弾性要素は、弾性要素114と異なる剛性を有し得るか又は異なる変形力を必要とし得る。
【0068】
典型的には、作動位置は、一時的位置であり、この位置では、連続的な力、例えばエアロゾル発生装置100のユーザによって与えられる力が蓋体107を作動位置に保つために必要とされる。弾性要素114又は第2の弾性要素の付勢力は、力が除去された場合、蓋体107を開放位置に戻すように作用する。
【0069】
いくつかの実施形態では、作動位置は、安定位置でもあり、例えば、蓋体107は、作動位置から離れて付勢されない。これらの実施形態では、弾性要素114は、蓋体107を開放位置と作動位置との間の第3の位置の範囲から開放位置に向かって付勢し、且つ蓋体107を開放位置と作動位置との間の第4の位置の範囲から作動位置に向かって付勢するように作用する。第3の位置の範囲は、第4の位置の範囲よりも開放位置に近接し、及び第4の位置の範囲は、第3の位置の範囲よりも作動位置に近接する。典型的には、第4の位置の範囲は、第3の位置の範囲よりも実質的に小さく、例えば、弾性要素114の第1の端部112は、作動位置において凹部内に嵌合し、且つ第1の端部112が凹部内にない場合に任意の場所から開放位置に向かって付勢されるように構成され得、例えば、第1の端部112は、作動位置「にカチッと音を立てて収まり」且つ「からカチッと音を立てて離脱し」得る。
【0070】
エアロゾル発生装置100は、加熱チャンバ108を加熱するヒータに電力を供給するバッテリ110を更に含む。
【0071】
図2a及び
図2bを参照すると、エアロゾル発生装置100の第1の実施形態の蓋体構成106の構成要素図が示されている。
【0072】
カバー要素126は、固定機構128、カバー開口130及びチャネル132を含む。固定機構128は、カバー要素126を固定するように構成され、それにより蓋体構成106をエアロゾル発生装置100の本体102に固定する。カバー開口130は、カバー要素126を介してエアロゾル発生装置100の開口104へのアクセスを可能にするように構成される。チャネル132は、蓋体構成106の構成要素がエアロゾル発生装置100の外側からエアロゾル発生装置100の内側に通過することを可能にするように構成される。
【0073】
カバー開口130及びチャネル132は、典型的には、アイテムがチャネル132とカバー開口130との間で移動することを防止するセパレータ134によって分離される。セパレータ134は、典型的には、カバー開口130の縁部の一部である。いくつかの実施形態では、セパレータ134は、開口104を形成する材料の一体化部分である。
【0074】
蓋体構成106は、エアロゾル発生装置のユーザが相互作用することができる外部蓋体107と、蓋体107と協働するように構成された連結部136とを含む。連結部136は、カバー開口130のチャネル132を通過するようにサイズ決めされて配置される。蓋体107と相互作用することにより、ユーザは、連結部136を介して蓋体構成106の内側部分と相互作用することができる。
【0075】
蓋体107は、閉鎖位置において、カバー開口130及び開口104を覆い、それにより加熱チャンバ108への材料の侵入を防止するように構成される。
【0076】
蓋体107は、開放位置において、カバー開口130及び開口104が、実質的に覆いが開かれ、それにより加熱チャンバ108への材料の侵入を可能にするように構成される。
【0077】
連結部136は、蓋体107の移動がキャリッジ124の移動を引き起こすようにキャリッジ124と相互作用するように構成される。典型的には、連結部136は、例えば、クリップ、ねじ、接着剤又は別の取り付け手段を使用して、キャリッジ124に取り付けられる。この実施形態では、取り付け手段は、キャリッジ124の穴140を通過し、連結部136内に適合するねじ138を含む。
【0078】
ガイド122は、蓋体構成106のカバー要素126に固定されるガイド構成要素142内に配置される。ガイド構成要素142は、例えば、スナップフィット、接着剤、ねじ、ピン又は他の固定手段を含み得る固定手段によって本体に固定される。この実施形態では、固定手段は、複数のネジ144を含む。
【0079】
ガイド構成要素142は、蓋体構成106が組み立てられるとき、キャリッジ124の摺動要素146がガイド122内に配置されるようにカバー要素126に固定されるように構成される。
【0080】
ガイド122は、典型的には、ガイド構成要素142の両側に沿って延びる、ガイド部の頂部及び底部が材料によって囲まれた2つのガイド部を含む。2つのガイド部間には、典型的には、切り欠きがある。したがって、キャリッジ124は、ガイド構成要素142内において且つガイドセクションに配置されたキャリッジ124の摺動要素146とともに2つのガイドセクション間に配置され得る。
【0081】
弾性要素114の第1の端部112は、キャリッジ124と相互作用するように構成される。典型的には、弾性要素114の第1の端部112は、トラベラー148を介してキャリッジ124に取り付けられる。トラベラー148は、トラベラー148と相互作用するように構成された弾性要素114の第1の端部112でキャリッジ124に取り付けられる。典型的には、トラベラー148は、剛性要素116に沿って長手方向に移動するように構成され、トラベラー148が剛性要素116に沿って長手方向に移動するとき、弾性要素114の第1の端部112も剛性要素116に沿って移動し、そのため、弾性要素114が変形する。
【0082】
トラベラー148は、典型的には、剛性要素116の外側に沿って移動するように構成された中空ロッドを含む。いくつかの実施形態では、剛性要素116は、中空ロッドであり、トラベラー148は、代わりに、剛性要素の内部を移動するように構成される。トラベラー148は、変形可能でもあり得、剛性要素116と相互作用するときに圧縮又は拡張するように構成され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、トラベラー148は、トラベラー148が剛性要素116に沿って長手方向に移動できる範囲を制限する制限機構(図示せず)を含み、これにより、トラベラー148が剛性要素116から分離することを防止することができ、及び/又は弾性要素114が変形され得る範囲を制限することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、弾性要素114の第1の端部112は、トラベラー148に取り付けられ、いくつかの実施形態では、弾性要素114の第1の端部112は、自由であり、トラベラー148によって圧縮されるか、又は弾性要素114の力によって伸長されるかのいずれかである。
【0085】
弾性要素114の第2の端部は、回転バー150に取り付けられ、いくつかの実施形態では、弾性要素114の第2の端部は、剛性要素116の第2の端部120に取り付けられ、剛性要素116は、回転バー150に取り付けられる。典型的には、弾性要素114及び/又は剛性要素116の第2の端部は、クリップ又は接着剤などの固定手段によって回転バー150上の所定の位置に保持される。いくつかの実施形態では、弾性要素114の第2の端部は、弾性要素114の力によって所定の位置に保持される。回転バー150は、エアロゾル発生装置100の本体に(直接的に又は間接的に)取り付けられ、この実施形態では、回転バー150は、ガイド構成要素142を介して本体102に、且つスナップフィットアタッチメント152を介してガイド構成要素142に取り付けられる。回転バー150は、ねじ、クリップ又は接着剤などの別の固定手段を使用して、ガイド構成要素142又は本体102に取り付けられた他の任意の構成要素に取り付けられ得ることが理解されるであろう。
【0086】
回転バー150は、典型的には、キャリッジ124がガイド122に沿って移動するとき、エアロゾル発生装置100に対して静止したままであるように構成される。したがって、弾性要素114は、キャリッジ124がガイド122に沿って移動し、且つ蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間で移動するときに回転する。
【0087】
蓋体構成106を組み立てるために、ガイド構成要素142は、取り付け手段144を使用してカバー要素126に取り付けられる。次いで、キャリッジ124の摺動要素146がガイド構成要素142のガイド122内に配置される。弾性要素114は、剛性要素116の周りに配置され、弾性要素の第2の端部は、回転バー150に取り付けられる。次いで、トラベラー148は、弾性要素114の第1の端部112と相互作用できるように、剛性要素116の端部上に配置される。次に、回転バーは、スナップフィットアタッチメント152を介してガイド構成要素142に取り付けられ、トラベラー148は、キャリッジ124に取り付けられる。蓋体107の連結部136は、カバー要素126のチャネル132を通過し、カバー要素126の内側上でキャリッジ124に取り付けられる。最後に、蓋体構成106は、蓋体構成106の固定機構128を本体102に取り付けることにより、エアロゾル発生装置100の本体102に取り付けられる。上記のステップの順序は、純粋に例示的なものであり、これらのステップは、任意の順序で実行され得ることが理解されるであろう。
【0088】
組み立てに続いて、エアロゾル発生装置100のユーザは、蓋体107を移動させることにより、キャリッジ124、したがって弾性要素114と相互作用することができる。
【0089】
図3a~
図3cを参照すると、蓋体107が閉鎖位置、中間位置及び開放位置のそれぞれにあるときの蓋体構成106の構成要素が示されている。
【0090】
図3aを参照すると、閉鎖位置にある蓋体107が示されている。この位置では、蓋体107は、エアロゾル発生装置100の開口104を覆う。弾性要素114は、蓋体107が閉鎖位置にあるとき、閉鎖位置から離れる蓋体107の移動に弾性要素114が抵抗するように構成される。この実施形態では、弾性要素114は、らせん圧縮ばねを含み、弾性要素114の第1の端部112がガイド122に沿って第1の位置から離れて移動されるとき、トラベラー148は、剛性要素116に沿って移動し、弾性要素114の第1の端部112を弾性要素114の第2の端部120に向かって移動させる。弾性要素114は、弾性要素の第1の端部112と第2の端部とを接合する軸に沿って作用する圧縮力を及ぼす。圧縮力の成分は、蓋体107を閉鎖位置に移動させるように作用する。
【0091】
具体的には、キャリッジ124がガイド122に沿って移動するとき、キャリッジ124と弾性要素114の第2の端部との間の距離が変化し、これによりキャリッジ124がトラベラー148に力を加える結果となり、それにより、トラベラー148を剛性要素116に沿って、剛性要素116の第1の端部118から離れて剛性要素116の第2の端部120に向かって移動させる。このキャリッジ124は、それが剛性要素116に沿って移動するとき、弾性要素114の第1の端部112と相互作用し、その結果、弾性要素114が圧縮される。弾性要素114の圧縮により、トラベラー148を介してキャリッジ124に、キャリッジ124を介して連結部136に且つ連結部136を介して蓋体107に作用する力をもたらす。
【0092】
更に、弾性要素114は、剛性要素116が回転するときに回転し、その結果、キャリッジ124がガイド122に沿って移動されるとき、弾性要素114によって蓋体107に及ばされる力の方向が変化する。
【0093】
いくつかの実施形態では、ガイド122は、蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間で移動するとき、キャリッジ124と弾性要素114の第2の端部との間の距離が変化しないように構成され、蓋体107に加えられる力は、剛性要素116の回転及び結果として生じる弾性要素114の回転により蓋体107が移動するときに依然として変化する。これらの実施形態のいくつかでは、トラベラー148は、使用されず、弾性要素114の第1の端部112は、キャリッジ124に直接的に取り付けられる。
【0094】
図3bを参照すると、蓋体107が中間位置にあるとき、弾性要素114は、蓋体107を開放位置又は閉鎖位置の1つに戻すように作用する力を及ぼす。力の方向は、蓋体107の位置に依存する。
【0095】
蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間にあるとき、弾性要素114の第1の端部112に加わる力の方向は、第1の端部112の場所によって決まる。まず、蓋体107が閉鎖位置から離れて移動されるとき、弾性要素114は、蓋体107を閉鎖位置に向かって付勢するように作用する。蓋体107が閉鎖位置から離れて開放位置に向かって更に移動されるとき、弾性要素114の第1の端部112は、第1の位置から離れて第2の位置に向かって移動する。弾性要素114の第1の端部112が平衡点を通過した時点において、第1の端部112に加えられる力の方向が変化し、弾性要素114は、蓋体107を開放位置に向かって付勢するように作用する。
【0096】
図3cを参照すると、蓋体107が開放位置にあるときの双安定の実施形態では、弾性要素114は、閉鎖位置から離れる移動に対する抵抗に関して説明したのと均等な方法において、開放位置から離れる蓋体107の移動に抵抗するように構成される。
【0097】
図4を参照すると、第2の実施形態では、蓋体107は、開放位置から作動位置に達するように更に移動可能である。典型的には、蓋体107は、エアロゾル発生装置100の本体102に向かって作動位置に達するように移動可能であるように構成され、これにより、トラベラー148は、剛性要素116に沿って移動する。いくつかの実施形態では、トラベラー148は、トラベラー148が剛性要素116の特定の点に達すると、作動センサ(図示せず)を作動させるように構成される。作動センサの動作により、作動信号が開始され、これは、例えば、ヒータの動作を開始するために使用可能である。
【0098】
図3a~
図3cを参照すると、ユーザによる蓋体構成106の動作がより詳細に説明されている。
【0099】
典型的には、エアロゾル発生装置100は、加熱チャンバ108内への望ましくない材料の侵入を防止するために、閉鎖位置において始動する。ユーザがエアロゾル発生装置100を使用することを望む場合、ユーザは、蓋体107を開放位置に向かって移動させるように作用する力を蓋体107に及ぼす。
【0100】
より具体的には、ユーザは、蓋体107を閉鎖位置から開放位置の方向で開放方向(A)に移動させるように作用する開放力を蓋体107に加える。開放力は、蓋体107が第1の位置の範囲を越えて移動する前にユーザが蓋体107を解放する場合、蓋体107が閉鎖位置に戻るように最初に弾性要素114によって抵抗される。
【0101】
ユーザが蓋体107に開放力を加えると、弾性要素114の第1の端部112は、閉鎖位置から開放位置に向かって第1の方向(B)に移動し、最終的に、第1の端部112は、平衡点に達する。弾性要素114の第1の端部112が平衡点を通過すると、弾性要素114によって及ぼされる力は、蓋体107を開放位置に向かって移動させるように作用する。
【0102】
弾性要素114の第1の端部112が第1の方向(B)に移動するとき、キャリッジ124は、トラベラー148と相互作用して、トラベラー148を剛性要素116に沿って移動させる。トラベラー148が剛性要素116に沿って移動するとき、弾性要素114は、第2の方向(C)で変形される。第2の方向(C)及び/又は第2の方向(C)の成分は、第1の方向(B)を横断し、その結果、例えば蓋体107が閉鎖位置から開放位置に水平方向に移動するとき、弾性要素114が垂直方向に変形される。
【0103】
第2の方向(C)は、第1の方向(B)を完全に横断しなくてもよく、例えば、第2の方向(C)は、第1の方向(B)の成分を横断し、且つ第1の方向(C)の成分と整合され得ることが理解されるであろう。
【0104】
典型的には、蓋体107が閉鎖位置と開放位置との間で移動するとき、第1の方向(B)、すなわち弾性要素114の第1の端部112の移動方向は、開放方向(A)、すなわち蓋体107の移動方向と同じである。蓋体107が開放位置に達すると、蓋体構成106のキャリッジ124は、ガイド122の端部と接触し、これにより蓋体107の更なる移動を防止する。
【0105】
蓋体107が開放位置にある状態で、ユーザは、開口104を介してエアロゾル基質(図示せず)を加熱チャンバ108内に挿入する。より具体的には、エアロゾル基質の第1の端部は、加熱チャンバ108内に挿入方向で挿入される一方、エアロゾル基質の第2の端部は、エアロゾル発生装置100の外部に留まり、それによりユーザがアクセスすることができる。
【0106】
図4を参照すると、第2の実施形態では、エアロゾル基質が加熱チャンバ108内に配置された状態で、ユーザは、蓋体107を作動方向(D)で作動位置に向かって移動させる。この実施形態では、ユーザは、蓋体107をエアロゾル発生装置100の本体102に向かって移動させる。蓋体107が本体102に向かって移動するとき、トラベラー148は、剛性要素116に沿って移動し、作動センサを動作させる。これにより、(直接的に又は間接的に)ヒータの動作をもたらす作動信号を動作させる。ヒータは、加熱チャンバ108を加熱し、それによりエアロゾル基質を加熱する。エアロゾル基質の加熱により蒸気が生成され、次いで、ユーザは、エアロゾル基質の露出した端部を通して蒸気を吸入することができる。作動位置のない実施形態では、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生装置100上に構成されたボタンを押すなど、ヒータを作動させる別の制御手段を動作させる。
【0107】
弾性要素114は、典型的には、弾性要素114の第1の端部112、したがってトラベラー148を作動位置から離れて開放位置に向かって付勢するように作用し、その結果、ユーザは、蓋体107を作動位置に保つために蓋体107への圧力を維持する必要がある。
【0108】
エアロゾル基質が十分に加熱されると、ユーザは、蓋体107から圧力を除去し得る。圧力が除去されると、弾性要素114によって及ぼされる力は、トラベラー148を剛性要素116に沿って作動検出器から離れて移動させるように作用する。これにより、ヒータの動作を停止させるために、停止信号が送信され得るか又は作動信号の送信が中止され得る。
【0109】
蒸気の吸入中、ユーザは、蓋体107を開放位置と作動位置との間で移動させて、ヒータをオン及びオフにするために、蓋体107を繰り返し押下し且つ解放し得る。
【0110】
作動位置なしの実施形態では、蓋体107は、開放位置と閉鎖位置との間で例えば直線経路又は湾曲経路に沿って移動する。それにもかかわらず、本明細書で説明する方式で付勢される弾性要素114は、ユーザが蓋体107を摺動させたとき、ユーザに滑らかで快適な感触をもたらすことができる。例えば、弾性要素114がもたらす付勢により、キャリッジ124がガイド122に沿って進み、ガイド122の上縁部に向かって付勢される。キャリッジ124の動きが滑らかであり且つ妨げられないように、ガイド122は、摺動要素146の直径よりも僅かに大きいギャップを有することが一般的である。そのような場合、ユーザは、弾性要素114の付勢に起因して、蓋体107が、付勢力に抗して作用することによって可能な僅かな程度の横断方向の動きに伴う心地良い滑走感をもたらすことを認識するであろう。
【0111】
いくつかの実施形態では、ユーザは、装置100を作動させるために完全な加熱サイクルにわたって蓋体107を作動位置に保持する必要がない場合がある(又は作動位置がない例では、ボタンを押したままにするか若しくは他の作動手段を連続的に作動する必要がない場合がある)。代わりに、装置100は、蓋体107が単に作動位置に入った(又はボタン若しくは他の手段が作動された)こと或いは完全な加熱サイクルの時間よりも短い時間にわたってその位置に保持されたことを検出するように構成され得、この検出時、完全な加熱サイクルが開始する。この構成は、ユーザの手から細かい制御をなくすとともに、経験の浅いユーザがヒータを長時間にわたって保持してエアロゾル基質を過熱する可能性を低減する。
【0112】
図3a~
図3cを参照すると、ユーザがエアロゾル基質を使い果たしたとき、ユーザは、加熱チャンバ108からエアロゾル基質を取り外し、エアロゾル基質を破棄する。次いで、ユーザは、開放位置から閉鎖位置の方向において蓋体107に閉鎖力を加える。閉鎖力は、最初に弾性要素114によって抵抗されるため、蓋体107が実質的に移動する前にユーザが蓋体107を解放する場合、蓋体107は、開放位置に戻る。
【0113】
ユーザが蓋体107に対して閉鎖力を加え続けると、弾性要素114の第1の端部112は、最終的に平衡点に達する。弾性要素114の第1の端部112が平衡点を通過すると、弾性要素114によって及ぼされる力は、蓋体107を閉鎖位置に向かって移動させるように作用する。このプロセスは、蓋体107を閉鎖位置から開放位置に移動させるための上述した動きのほぼ逆である。
【0114】
蓋体107が閉鎖位置にあるとき、エアロゾル発生装置100は、例えば、バッグ又はポケット内に収納することができ、及び蓋体107は、加熱チャンバ108内への材料の侵入を防止する。弾性要素114は、他の物体との偶発的な接触に起因して蓋体107が移動することを防止するために、蓋体107を閉鎖位置に向かって付勢する。
【0115】
定義及び代替的な実施形態
上述した説明から、様々な実施形態の多くの特徴が互いに交換可能であることが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態の特徴を、具体的に言及されていない形態で一緒に組み合わせたものを含む更なる実施形態に及ぶ。
【0116】
詳細な説明では、弾性要素114の第1の端部112がガイド122に沿って移動するときに圧縮される弾性要素114の使用が主に考慮されているが、弾性要素114は、弾性要素114の第1の端部112がガイド122に沿って移動するときに伸張するように構成され得ることが理解されるであろう。これらの実施形態では、大きい力が蓋体を開放位置及び閉鎖位置の少なくとも1つに向かって付勢するように同様に構成される。典型的には、弾性要素は、閉鎖位置又は開放位置のいずれかにおいて蓋体107が安定したままとなるように、第1の位置の範囲から閉鎖位置に向かって且つ第2の位置の範囲から開放位置に向かって第1の端部112を戻すように更に構成される。圧縮構成とは対照的に、伸張構成の使用により、典型的には、弾性要素114の第1の端部は、本体102のより近傍にあるガイド122の側部に向かって押しやられる。圧縮構成では、蓋体107は、典型的には、蓋体107を移動させるユーザの手に押し付けられる一方、伸張構成では、蓋体107は、典型的には、蓋体107を移動させるユーザの手から離れて押しやられる。
【0117】
詳細な説明では、主に、開放位置及び閉鎖位置のそれぞれが安定位置である双安定構成を考慮しているが、弾性要素114も蓋体107を単一の位置に向かって付勢するように構成され得ることが理解されるであろう。具体的には、弾性要素114は、各位置において、蓋体107を特定の位置に向かって付勢するように作用する力の成分が存在するように構成され得る。一例として、弾性要素114の第2の端部は、
図1の構成の閉鎖構成106のキャリッジ124の「左」に固定的に配置され得、この構成により、弾性要素114は、キャリッジ124、したがって蓋体107を「右」に、すなわち閉鎖位置に向かって付勢するように常に作用する力を及ぼすことになる。
【0118】
剛性要素116及びトラベラー148は、ロッドであるものとして説明されてきたが、これらの構成要素は、並進運動を可能にする任意の形状であり得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、トラベラー148は、先細であり、且つ/又は剛性要素116及びトラベラー148は、締まりばめを有する。これらの実施形態では、締まりばめの抵抗力は、典型的には、蓋体107が安定位置から離れて移動されるとき、トラベラー148の剛性要素に沿った移動に抵抗するように作用する。
【0119】
詳細な説明では、主に回転する剛性要素116を考慮しているが、本開示は、回転しない剛性要素にも関する。剛性要素116が回転しない実施形態では、弾性要素114の第1の端部112を弾性要素114の第2の端部に直接向かって又はそれから離れて移動させるように、トラベラー148は、移動して弾性要素114の第1の端部112と相互作用する。典型的には、ガイド122は、直線状ガイドであり、剛性要素116は、剛性要素116の長手方向軸がガイドと整列するように構成され、このように、ガイド122に沿ったキャリッジ124の移動は、弾性要素114の第1の端部112及び第2の端部の両方に直接的に向かうか又は両方から直接的に離れるかのいずれかである。典型的には、弾性要素114は、閉鎖位置に対して開放位置を越えて配置され、及び弾性要素114は、蓋体107が閉鎖位置から開放位置に移動するときに圧縮されるように構成され、これにより蓋体107の開放に抵抗する弾性要素114によって生成される圧縮力が増大する。次いで、開放位置に達すると、キャリッジ124が所定の位置に保持されるように、蓋体に凹部又は保持機構が配置され得る。
【0120】
詳細な説明は、主に剛性要素116を回転するものとして説明しているが、剛性要素116は、他の方法でも移動し得ることが理解されるであろう。例えば、剛性要素116の第2の端部120は、第1の端部118がキャリッジ124とともに移動するとき、本体102に対して並進することもできる。典型的には、剛性要素116の並進は、制限される。第1の実施形態では、回転バー150が所定の位置に固定されるとき、本体102に対する剛性要素116の並進が防止されるが、いくつかの実施形態では、回転バー150は、剛性要素116の第2の端部120の並進を可能にするように溝内を移動するように構成される。これらの並進する実施形態では、剛性要素116は、固定点の周りではないが、本体に対して依然として回転する。
【0121】
いくつかの実施形態では、溝は、より長い距離にわたり各安定位置に向かって蓋体107を付勢するために使用される。具体的には、溝は、蓋体107が「右」位置にあるとき、剛性要素116の第2の端部120が溝の「左」端部に保持されるように構成され、これにより、弾性要素114は、右位置から離れる移動に抵抗する。典型的には、溝の左端部は、ガイド122の中心点の左にあるため、蓋体107は、右から左の位置への移動距離の半分以上に対して右の位置に向かって付勢される。同様に、溝は、蓋体107が「左」位置にあるとき、剛性要素116の第2の端部120が溝の「右」端にあるように配置されるため、弾性要素114は、左位置から離れる蓋体107の移動に抵抗する。典型的には、溝の右端部は、ガイド122の中心点の右にあるため、蓋体107は、左から右の位置への移動距離の半分以上に対して左の位置に向かって付勢される。剛性要素116の第2の端部120は、弾性要素114の第1の端部112が第2の端部120の右から第2の端部120の左に移動するとき、溝の左から右の端部に移動する。溝は、蓋体107が右位置から左位置に大部分が移動したときにこれが起こるように構成され、同様に、溝は、蓋体107が右位置から左位置に大部分が移動したとき、第2の端部120が左から右に移動するように構成される。これは、2つの安定位置が存在し、且つ付勢が、蓋体107の移動距離の大部分に対して開始安定位置から離れる移動に抵抗するように付勢を提供することを可能にする。
【0122】
詳細な説明では、回転バーに固定される剛性要素116の第2の端部120を説明しているが、第2の端部120が本体102と相互作用することができる他の方法が存在し、第2の端部120は、必ずしも本体102に対して所定の位置に固定されるとは限らないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、剛性要素116の第2の端部120は、剛性要素116が回転するときに第2の端部120がこの凹部内で回転するように、ガイド構成要素142の凹部内に緩く適合するように構成される。
【0123】
本明細書で使用する場合、「蒸気(vapour)」(又は「蒸気(vapor)」)という用語は、(i)液体が十分な程度の熱の作用によって自然に変換される形態、又は(ii)大気中に浮遊し、湯気/煙の雲として視認できる液体/湿気の粒子、又は(iii)気体のように空間を満たすが、臨界温度を下回っているときに圧力のみで液化できる流体を意味する。
【0124】
この定義と整合して、「気化させる(vaporise)」(又は「気化させる(vaporize)」)という用語は、(i)蒸気に変化させるか又は蒸気への変化を生じさせること、及び(ii)粒子が物理状態を変化させる(すなわち液体又は固体から気体状態に)場合を意味する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。したがって、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化するという意味は、上記で定義した揮発、噴霧及び気化させることの各々と整合することに留意されたい。誤解を回避するために、エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子を含むミスト又は液滴を一貫して説明するために使用される。エアロゾルは、噴霧、揮発又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は液滴も含む。