(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】アイトラッキング眼底撮像システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A61B3/14
(21)【出願番号】P 2022534689
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 US2021019912
(87)【国際公開番号】W WO2021174001
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-12-06
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハダッド, モハメド タレク
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ, ロビン
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/077676(WO,A1)
【文献】特表2020-516949(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187958(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼底撮像システムであって、
目の眼底を照明するために見えない光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイと、
光源の前記アレイと前記眼底撮像システムの目に向かう側との間に配設された第1の光コンバイナであって、前記第1の光コンバイナが、
前記目によって反射された、反射された見えない光を受光することと、
前記目の画像を生成するために前記反射された見えない光の第1の成分を第1のカメラに導くことと、
前記反射された見えない光の第2の成分を通すことと
を行うように構成された、第1の光コンバイナと、
光源の前記アレイと前記第1の光コンバイナとの間に配設された第2の光コンバイナであって、前記第2の光コンバイナが、
前記反射された見えない光の前記第2の成分に応答する眼底撮像光を受光することと、
前記眼底の画像を生成するために前記眼底撮像光を第2のカメラに導くことと
を行うように構成された、第2の光コンバイナと
を備える、眼底撮像システム。
【請求項2】
前記眼底の照明を維持するために、前記目の前記画像に基づいて前記目の動きを決定し、前記動きに基づいて光源の前記アレイの少なくとも1つの光源を選択的に有効にするように構成された計算デバイス
をさらに備える、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項3】
前記見えない光が赤外光または近赤外光を含む、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項4】
前記第1の光コンバイナと前記第2の光コンバイナとの間に配設されたレンズシステムであって、前記レンズシステムが、前記目の前記眼底を照明するために光源の前記アレイの少なくとも1つの光源によって放出された前記見えない光を導くように構成され、任意選択的に、前記レンズシステムが、前記見えない光を前記目の瞳面に集束させるように構成されたレンズシステム
をさらに備える、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項5】
前記反射された見えない光の前記第1の成分が第1の偏光配向であり、前記反射された見えない光の前記第2の成分が、前記第1の偏光配向に直交する第2の偏光配向であり、任意選択的に、前記第1の光コンバイナが、前記第1の偏光配向の前記反射された見えない光を導き、前記第2の偏光配向の前記反射された見えない光を通すように構成された第1の偏光体積ホログラムを備える、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項6】
前記第2の光コンバイナが、前記見えない光と同じ波長を有する前記眼底撮像光の波長に基づいて光を前記第2のカメラに導くように構成されている、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項7】
前記第2の光コンバイナが、
前記眼底撮像光の偏光配向と前記波長とに基づいて前記眼底撮像光を前記第2のカメラに導くように構成された第2の偏光体積ホログラム、または
前記眼底撮像光の前記波長に基づいて前記眼底撮像光を前記第2のカメラに導くように構成されたホットミラー
を備える、請求項6に記載の眼底撮像システム。
【請求項8】
光源の前記アレイが透明基板を備え、光源の前記アレイの各光源が前記透明基板上に配設されている、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項9】
前記第1の光コンバイナおよび前記第2の光コンバイナが可視光を透過させる、請求項1に記載の眼底撮像システム。
【請求項10】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)であって、
ユーザへの提示のためにディスプレイ光を放出するように構成されたディスプレイ層と、
前記ディスプレイ層上に配設され、前記ユーザの目の眼底を照明するために見えない光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイと、
光源の前記アレイと前記HMDの目に向かう側との間に配設された第1の光コンバイナであって、前記第1の光コンバイナが、
前記目によって反射された、反射された見えない光を受光することと、
前記目の画像を生成するために前記反射された見えない光の第1の成分を第1のカメラに導くことと、
前記反射された見えない光の第2の成分を通すことと
を行うように構成された、第1の光コンバイナと、
光源の前記アレイと前記第1の光コンバイナとの間に配設された第2の光コンバイナであって、前記第2の光コンバイナが、
前記反射された見えない光の前記第2の成分に応答する眼底撮像光を受光することと、
前記眼底の画像を生成するために前記眼底撮像光を第2のカメラに導くことと
を行うように構成された、第2の光コンバイナと
を備える、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)。
【請求項11】
前記反射された見えない光の前記第1の成分が第1の偏光配向であり、前記反射された見えない光の前記第2の成分が、前記第1の偏光配向に直交する第2の偏光配向であり、任意選択的に、前記第1の光コンバイナが、前記第1の偏光配向の前記反射された見えない光を導き、前記第2の偏光配向の前記反射された見えない光を通すように構成された第1の偏光体積ホログラムを備える、請求項10に記載のHMD。
【請求項12】
前記第2の光コンバイナが、前記見えない光と同じ波長を有する前記眼底撮像光の波長に基づいて光を前記第2のカメラに導くように構成されている、請求項10に記載のHMD。
【請求項13】
前記第2の光コンバイナが、
前記眼底撮像光の偏光配向と前記波長とに基づいて前記眼底撮像光を前記第2のカメラに導くように構成された第2の偏光体積ホログラム、または
前記眼底撮像光の前記波長に基づいて前記眼底撮像光を前記第2のカメラに導くように構成されたホットミラー
を備える、請求項12に記載のHMD。
【請求項14】
前記第1の光コンバイナおよび前記第2の光コンバイナが前記ディスプレイ光を透過させる、請求項10に記載のHMD。
【請求項15】
眼底撮像システムであって、
目の少なくとも1つの画像を生成するように構成された第1のカメラと、
前記目の眼底の少なくとも1つの画像を生成するように構成された第2のカメラと、
目の眼底を照明するために見えない光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイと、
光源の前記アレイと前記眼底撮像システムの目に向かう側との間に配設された第1の光コンバイナであって、前記第1の光コンバイナが、
前記目によって反射された、反射された見えない光を受光することと、
前記目の前記少なくとも1つの画像を生成するために前記反射された見えない光の第1の成分を前記第1のカメラに導くことと
前記反射された見えない光の第2の成分を通すことと
を行うように構成された、第1の光コンバイナと、
光源の前記アレイと前記第1の光コンバイナとの間に配設された第2の光コンバイナであって、前記第2の光コンバイナが、
前記反射された見えない光の前記第2の成分に応答する眼底撮像光を受光することと、
前記眼底の前記少なくとも1つの画像を生成するために前記眼底撮像光を前記第2のカメラに導くことと
を行うように構成された、第2の光コンバイナと
を備える、眼底撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月28日に出願された「Eye-Tracking Fundus Imaging System」という名称の米国仮出願第62/983、339号の利益を主張する。米国仮出願第62/983、339号は、それらの全体が参照により本明細書に明確に援用される。
【0002】
本開示の態様は、一般に、眼底(ocular fundus)照明および撮像システムに関する。
【背景技術】
【0003】
眼底撮像は、眼底とも呼ばれる、目の後部部分を撮像(たとえば、写真撮影)することを伴う。特に、目の眼底は、レンズの反対側の、目の内面であり、網膜と、視神経乳頭と、網膜黄斑と、中心窩と、後極とを含み得る。いくつかのコンテキストでは、眼底画像の分析は、ケアプロバイダによる診断または治療反応目的のために有用であり得る。たとえば、医師は、眼底画像の検査に基づいて、感染、変性眼疾患、または先天性症状などの問題を識別することが可能であり得る。
【0004】
いくつかの従来の眼底撮像システムは、様々なオプティクスと、フラッシュ対応カメラとを含み得る。これらの従来の撮像システムの動作は、網膜上に投影されるターゲット画像(たとえば、ドット)に集中するように患者に指示することと、次いで、画像を取得するために瞳孔を光で満たす(たとえば、フラッシュをアクティブ化する)こととを含み得る。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による撮像システムおよびヘッドマウントディスプレイを開示する。
【0006】
一態様では、本発明は、目の眼底を照明するために見えない光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイと、光源のアレイと眼底撮像システムの目に向かう側との間に配設された第1の光コンバイナであって、第1の光コンバイナが、目によって反射された、反射された見えない光を受光し、目の画像を生成するために反射された見えない光の第1の成分を第1のカメラに導き、反射された見えない光の第2の成分を通すように構成された第1の光コンバイナと、光源のアレイと第1の光コンバイナとの間に配設された第2の光コンバイナであって、第2の光コンバイナが、反射された見えない光の第2の成分に応答する眼底撮像光を受光し、眼底の画像を生成するために眼底撮像光を第2のカメラに導くように構成された第2の光コンバイナとを備える、眼底撮像システムを対象とする。
【0007】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、本システムは、眼底の照明を維持するために、目の画像に基づいて目の動きを決定し、動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にするように構成された計算デバイスをさらに備え得る。
【0008】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、見えない光は赤外光または近赤外光を含み得る。
【0009】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、本システムは、第1の光コンバイナと第2の光コンバイナとの間に配設されたレンズシステムをさらに備え得、レンズシステムは、目の眼底を照明するために光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源によって放出された見えない光を導くように構成される。それに加えて、レンズシステムは、見えない光を目の瞳面に集束させるように構成され得る。
【0010】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、反射された見えない光の第1の成分は第1の偏光配向であり得、反射された見えない光の第2の成分は、第1の偏光配向に直交する第2の偏光配向であり得る。それに加えて、第1の光コンバイナは、第1の偏光配向の反射された見えない光を導き、第2の偏光配向の反射された見えない光を通すように構成された第1の偏光体積ホログラムをさらに備え得る。
【0011】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、第2の光コンバイナは、見えない光と同じ波長を有する眼底撮像光の波長に基づいて光を第2のカメラに導くように構成され得る。それに加えて、第2の光コンバイナは、眼底撮像光の偏光配向と波長とに基づいて眼底撮像光を第2のカメラに導くように構成された第2の偏光体積ホログラムをさらに備え得る。
【0012】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、第2の光コンバイナは、見えない光と同じ波長を有する眼底撮像光の波長に基づいて光を第2のカメラに導くように構成され得る。それに加えて、第2の光コンバイナは、眼底撮像光の波長に基づいて眼底撮像光を第2のカメラに導くように構成されたホットミラーをさらに備え得る。
【0013】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、光源のアレイは透明基板を備え得、光源のアレイの各光源は透明基板上に配設される。
【0014】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、第1の光コンバイナおよび第2の光コンバイナは可視光を透過させ得る。
【0015】
本発明による眼底撮像システムの一実施形態では、本システムは、目の少なくとも1つの画像を生成するように構成された第1のカメラと、目の眼底の少なくとも1つの画像を生成するように構成された第2のカメラとをさらに備え得る。
【0016】
一態様では、本発明は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)であって、ユーザへの提示のためにディスプレイ光を放出するように構成されたディスプレイ層と、ディスプレイ層上に配設され、ユーザの目の眼底を照明するために見えない光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイと、光源のアレイとHMDの目に向かう側との間に配設された第1の光コンバイナであって、第1の光コンバイナが、目によって反射された、反射された見えない光を受光することと、目の画像を生成するために反射された見えない光の第1の成分を第1のカメラに導くことと、反射された見えない光の第2の成分を通すこととを行うように構成された、第1の光コンバイナと、光源のアレイと第1の光コンバイナとの間に配設された第2の光コンバイナであって、第2の光コンバイナが、反射された見えない光の第2の成分に応答する眼底撮像光を受光することと、眼底の画像を生成するために眼底撮像光を第2のカメラに導くこととを行うように構成された、第2の光コンバイナとを備える、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を対象とする。
【0017】
本発明によるHDMの一実施形態では、反射された見えない光の第1の成分は第1の偏光配向であり得、反射された見えない光の第2の成分は、第1の偏光配向に直交する第2の偏光配向であり得る。それに加えて、第1の光コンバイナは、第1の偏光配向の反射された見えない光を導き、第2の偏光配向の反射された見えない光を通すように構成された第1の偏光体積ホログラムをさらに備え得る。
【0018】
本発明によるHDMの一実施形態では、第2の光コンバイナは、見えない光と同じ波長を有する眼底撮像光の波長に基づいて光を第2のカメラに導くように構成され得る。それに加えて、第2の光コンバイナは、眼底撮像光の偏光配向と波長とに基づいて眼底撮像光を第2のカメラに導くように構成された第2の偏光体積ホログラムをさらに備え得る。
【0019】
本発明によるHDMの一実施形態では、第2の光コンバイナは、見えない光と同じ波長を有する眼底撮像光の波長に基づいて光を第2のカメラに導くように構成され得る。それに加えて、第2の光コンバイナは、眼底撮像光の波長に基づいて眼底撮像光を第2のカメラに導くように構成されたホットミラーをさらに備え得る。
【0020】
本発明によるHDMの一実施形態では、第1の光コンバイナおよび第2の光コンバイナはディスプレイ光を透過させ得る。
【0021】
一態様では、本発明は、さらに、眼底撮像システムであって、目の少なくとも1つの画像を生成するように構成された第1のカメラと、目の眼底の少なくとも1つの画像を生成するように構成された第2のカメラと、目の眼底を照明するために見えない光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイと、光源のアレイと眼底撮像システムの目に向かう側との間に配設された第1の光コンバイナであって、第1の光コンバイナが、目によって反射された、反射された見えない光を受光することと、目の少なくとも1つの画像を生成するために、反射された見えない光の第1の成分を第1のカメラに導くことと、反射された見えない光の第2の成分を通すこととを行うように構成された第1の光コンバイナと、光源のアレイと第1の光コンバイナとの間に配設された第2の光コンバイナであって、第2の光コンバイナが、反射された見えない光の第2の成分に応答する眼底撮像光を受光することと、眼底の少なくとも1つの画像を生成するために眼底撮像光を第2のカメラに導くこととを行うように構成された、第2の光コンバイナとを備える、眼底撮像システムを対象とする。
【0022】
本開示の非限定的および非網羅的な態様について、以下の図を参照しながら説明し、別段に規定されていない限り、様々な図全体にわたって同様の参照番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本開示の態様による、眼底撮像システムを示す図である
【
図1B】本開示の態様による、眼底撮像システムを示す図である。
【
図2A】本開示の態様による、アイトラッキングのための第1のカメラによってキャプチャされた目の例示的な画像を示す図である。
【
図2B】本開示の態様による、第2のカメラによってキャプチャされた眼底の例示的な画像を示す図である。
【
図3】本開示の態様による、計算デバイスを示す図である。
【
図4】本開示の態様による、目の眼底を撮像するプロセスを示すフローチャートである。
【
図5】本開示の態様による、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
アイトラッキングを含む眼底撮像システムに関する具体例を示すために、様々な態様および実施形態が以下の説明および関係する図面において開示されている。代替的な態様および実施形態は、本開示を読めば、関連する技術分野における当業者に明らかになり、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく構築され、実施され得る。さらに、本明細書で開示される態様および実施形態の重要な詳細を不明瞭にしないように、よく知られている要素は、詳細には説明しないか、または省略することがある。
【0025】
本開示のいくつかの実装形態では、「ニアアイ」という用語は、ニアアイデバイスが利用されている間にユーザの目の50mm以内に配置されるように構成された要素を含むとして定義され得る。したがって、「ニアアイ光学要素」または「ニアアイシステム」は、ユーザの目の50mm以内に配置されるように構成された1つまたは複数の要素を含むであろう。
【0026】
本開示の態様では、可視光は、約380nm~700nmの波長範囲を有するとして定義され得る。見えない光は、紫外光および赤外光など、可視光範囲外にある波長を有する光として定義され得る。約700nm~1mmの波長範囲を有する赤外光は近赤外光を含む。本開示の態様では、近赤外光は、約700nm~1.4μmの波長範囲を有するとして定義され得る。白色光は、広い範囲の波長を含む光として定義され得、いくつかの事例では、可視スペクトルの複数の色を含み得る。
【0027】
上述のように、いくつかの従来の眼底撮像システムの動作は、患者(またはユーザ)の網膜上に投影されるターゲット画像(たとえば、ドット)に集中するように、患者(またはユーザ)に指示することを含み得る。ターゲット画像に集中するように患者に指示することの1つの目的は、眼底の照明を最大にするために目と照明光源(たとえば、フラッシュ)との間の正しい整合を保証することである。しかしながら、いくつかの事例では、患者は、身体的なまたは発育上の能力の低下により、ターゲットに集中するという指示に従うことができないことがある。たとえば、ユーザは、ユーザがターゲットに焦点を合わせることを妨げる眼球運動問題を有することがあるか、または、幼児/児童は、ターゲットに焦点を合わせるという指示に従うことができないことがある、などである。目が照明光源と整合していない場合、目の瞳孔は、照明光をぼかし、光が眼底に到達するのを妨げ得、それにより、得られた画像が劣化し得る。
【0028】
したがって、本開示の態様は、目の動きおよび/または目の整合に対して不変である眼底撮像システムを提供する。すなわち、眼底撮像システムは、目が照明光源と直接整合していない場合でも、および/または目が動いている場合でさえも、眼底の照明を維持し得る。一態様では、光源のアレイを含む眼底照明光源が提供される。また、目の動きを追跡するアイトラッカーが提供され得、眼底の画像が取得されている間に眼底の照明を維持するために、目の決定された動きに基づいて照明光を放出するためにアレイ中の光源のうちの1つまたは複数が選択的に有効にされる。これらおよび他の特徴について以下でより詳細に説明する。
【0029】
図1Aは、本開示の態様による眼底撮像システム100を示す図である。眼底撮像システム100はまた、光源102A~102Gのアレイと、層104と、光コンバイナ106と、レンズシステム108と、光コンバイナ110と、第1のカメラ120と、計算デバイス122と、第2のカメラ126とを含むとして示されている。
【0030】
図1Aに示されているように、光源102A~102Gは層104上に配設されている。層104はガラスまたはプラスチックなどの透明基板であり得る。一例では、光源102A~102Gは透明基板内に密閉され得る。透明基板は、可視光(たとえば400nm~750nm)を透過させ得、ユーザへの提示のためにディスプレイ光を生成するように構成された電子または光ディスプレイ層(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、導波路など)のディスプレイ面上に配置されるように構成され得る。別の例では、層104は、それ自体が電子または光ディスプレイ層であり、光源102A~102Gは、ディスプレイ層によって生成されたディスプレイ光内に(たとえば、ユーザの視界内に)点在して、ディスプレイ層上に配設される。
【0031】
各光源102A~102Gは、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)、端面発光LED、面発光レーザー(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)ダイオード、またはスーパールミネッセントダイオード(SLED)であり得る。さらに、各光源102A~102Gは、目114を照明するために見えない光107を放出するために個々に有効にされ得る。いくつかの例では、見えない光107は赤外光または近赤外光である。いくつかの態様では、各光源102A~102Gは列と行との2次元(2D)アレイにおいて層104上に構成される。いくつかの例では、各光源102A~102Gは、見えない光107を放出するために1度に光源102A~102Gのうちの1つのみが有効にされる、点光源と呼ばれることがある(たとえば、
図1Aの図示の例では、見えない光107を放出するために単一の光源102Dのみが現在有効にされている)。
【0032】
いくつかの例では、光源102A~102Gのアレイは、目114の瞳面116に接合する平面内に位置する。いくつかの実装形態では、目114に対する光源102A~102Gのアレイの位置決めは、ユーザ/患者に与えられる頭/あご受けスタンド(図示せず)によって得られる。他の実装形態では、位置決めはヘッドマウントデバイス(たとえば、
図5のヘッドマウントディスプレイ参照)によって与えられる。
【0033】
図1Aに示されているように、レンズシステム108は、見えない光107を受光し、目114の眼底112を照明するために見えない光107を導くように構成される。いくつかの例では、レンズシステム108は、レンズシステム108が見えない光107を瞳面116上に集束するマクスウェル視を与える。
図1Aに示されているように、見えない光107は、次いで、眼底112の大きいエリアを照明するために目114の後方に向かって瞳孔118を通る際に広がる。いくつかの態様では、レンズシステム108はフレネルレンズを含む。他の例では、レンズシステム108は、1/4波長板および/または反射偏光子など、1つまたは複数の他の光学要素を含み得る。いくつかの例では、見えない光107は、特定の偏光配向を有する光源102A~102Gによって生成される。したがって、いくつかの態様では、レンズシステム108は、見えない光107がシステムを伝搬する際に見えない光107の偏光配向を変更し得る。
【0034】
図1Aはまた、眼底撮像システム100を光コンバイナ106および光コンバイナ110を含むとして示す。光コンバイナ106は、光源102A~102Gのアレイと光コンバイナ110との間に配設されているとして示されている。特に、光コンバイナ106は、光源102A~102Gのアレイとレンズシステム108との間に配設され得る。光コンバイナ110は、光源102A~102Gのアレイと眼底撮像システム100の目に向かう側103との間に配設され、特に、レンズシステム108と目に向かう側103との間に配設され得るとして示されている。以下でより詳細に説明するように、光コンバイナ110は、目114の画像123を生成するために、反射された見えない光(すなわち、目114によって反射された見えない光)を第1のカメラに120導くように構成され得る。同様に、光コンバイナ106は、眼底112の画像127を生成するために、反射された見えない光を第2のカメラ126に導くように構成され得る。
【0035】
いくつかの態様では、光コンバイナ106および110は、眼底撮像システム100の裏面105に入射した(たとえば、環境からの)場面光など、可視光(たとえば約400nm~700nm)を透過させる。依然として、いくつかの例では、光コンバイナ106および110は、ディスプレイ層(たとえば、層104)によって生成された可視光を透過させる。いくつかの例では、光コンバイナ106および光コンバイナ110は、他の偏光配向/波長を通しながら、それぞれ、特定の波長を有する入射光の特定の偏光配向をカメラ126および120のほうに(反射において)回析する、それぞれの偏光選択性体積ホログラム(別名、偏光体積ホログラム(PVH))としてそれぞれ構成され得る。
【0036】
PVHとして構成されたとき、光コンバイナは、PVHの光学的機能を実現するために空間的に配向された複数の液晶分子を含み得る。いくつかの例では、PVHは、ブラッグ回折を介して光を回析するように構成され得る。いくつかの実施形態では、PVH中のブラッグ格子は、光伝搬方向に沿ってらせん状のねじれを誘起するために、液晶にキラルドーパントを添加することによって生成され得る。らせん状のねじれは左回りまたは右回りのいずれかであり得、したがって、PVHは左回りPVHまたは右回りPVHと呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、PVHは、PVHのらせん状のねじれと同じ回転方向(handedness)を有する円偏光を回析し、直交する回転方向を有する円偏光を透過し得る。すなわち、左回りPVH層は左円偏光(「LCP」)を回析し、右円偏光(「RCP」)を透過し得るが、右回りPVH層は、RCP光を回析し、LCP光を透過し得る。
【0037】
入射光と回折光との間の角度は入射光の波長とPVH中のブラッグ格子のブラッグ周期とに依存し得る。いくつかの実施形態では、PVH中の液晶分子の配列に応じて、PVHは入射光をさらに集束または発散させ得る。いくつかの例では、光コンバイナのPVHは、「偏光感応性格子」、「偏光感応性光学要素」、「液晶格子」、または「キラル液晶要素」とも呼ばれ得る。PVHとして構成されたとき、光コンバイナ106および110は平坦面または湾曲面を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、光コンバイナ106は代替的に「ホットミラー」として構成され得る。ホットミラーとして構成されたとき、光コンバイナ106は、可視光を通しながら(たとえば、見えない光107と同じ波長を有する)見えない光を第2のカメラ126に反射する1つまたは複数の反射層を含み得る。1つまたは複数のホットミラーはユーザの視線上にあり得るが、ホットミラーは可視光を通すので、外部場面光および/またはディスプレイ光は依然としてユーザの目に伝搬する。したがって、拡張現実(AR)実装形態では、ユーザの外部環境の光景が依然として見え、仮想現実(VR)実装形態では、ユーザは仮想現実ディスプレイからのディスプレイ光を見得る。いくつかの例では、光コンバイナ106のホットミラーは、特定のスペクトルの見えない光を反射し、可視光を含む光の他の波長を通すように構成されたダイクロイック多層光学フィルムを含み得る。
【0039】
図1Bは、本開示の態様による、目114の画像と眼底112の画像とを生成するための眼底撮像システム100の撮像光路を示す図である。いくつかの態様では、見えない光107を用いて照明されたとき、目114の眼底112上の各ポイントは、反射された見えない光109として見えない光107を反射する点光源として動作し得る。さらに、反射された見えない光109は、ほぼコリメートされ、複数の成分(たとえば、複数の偏光配向)を含むとして、目114から出て行き得る。いくつかの例では、反射された見えない光109の1つの成分は、眼底112に入射した見えない光107と同じである偏光配向である。
【0040】
図1Bに示されているように、反射された見えない光109は光コンバイナ110において受光される。光コンバイナ110は、次いで、反射された見えない光の第1の成分111を第1のカメラ120に導き得、第1のカメラ120は、次いで、目114の1つまたは画像123を生成する。
図2Aは、第1のカメラ120によってキャプチャされ得る例示的な画像202Aを示す図である。いくつかの例では、第1のカメラ120は、第1のカメラ120が、反射された見えない光109の波長のみを撮像するように、見えない光107/反射された見えない光109以外の光をフィルタ処理して除去するように構成され得る。
【0041】
図1Bは、さらに、反射された見えない光109の第2の成分113を通す光コンバイナ110を示す図である。いくつかの例では、反射された見えない光109の第1の成分111は第1の偏光配向(たとえば、RCP)であるが、第2の成分113は、第1の偏光配向に直交する第2の偏光配向(たとえば、LCP)である。
【0042】
反射された見えない光109の第2の成分113は、次いで、レンズシステム108を通り、レンズシステム108は、次いで、第2の成分113に応答する眼底撮像光115を透過させる。たとえば、いくつかの態様では、レンズシステム108は、反射された見えない光の第2の成分113の偏光配向を異なる偏光配向に変更し、変更された第2の成分を眼底撮像光115として透過させ得る。また別の例では、レンズシステム108は、第2の成分113が眼底撮像光115としてレンズシステムを伝搬する際に第2の成分113の偏光状態を維持し得る。いずれの場合も、光コンバイナ106がPVHとして実装されるとき、PVHは、レンズシステム108から受光された眼底撮像光115と同じである特定の偏光配向(および波長)の光を反射するように構成され得る。いくつかの例では、眼底撮像光115は、反射された見えない光109の波長と同じ波長を有する。光コンバイナ106は、眼底撮像光115を受光し、第2のカメラ126に導き、第2のカメラ126は、次いで、眼底112の1つまたは画像127を生成する。
図2Bは、第2のカメラ126によってキャプチャされ得る例示的な画像202Bを示す図である。いくつかの例では、第2のカメラ126は、第2のカメラ126が、反射された見えない光109の波長のみを撮像するように、反射された見えない光109以外の光をフィルタ処理して除去するように構成され得る。
【0043】
いくつかの例では、眼底撮像システム100は、目114の動きを追跡するためのアイトラッキングシステムを含み得る。図示の例では、アイトラッキングシステムは第1のカメラ120として与えられる。第1のカメラ120は、1つまたは複数の画像123に基づいて目114の動きを追跡するように構成された計算デバイス122に通信可能に結合される。いくつかの例では、アイトラッキングシステムは、瞳孔118の動きに基づいて目の動きを決定するように構成された瞳孔トラッカーである。
【0044】
いくつかの例では、計算デバイス122のアイトラッキングモジュールは、アイトラッキング情報(たとえば、目114のロケーション、配向、凝視角など)を決定するように構成され得る。いくつかの態様では、アイトラッキングモジュールは、第1のカメラ120によってキャプチャされた画像123を受信し、1つまたは複数の鏡面反射を検出するために画像を処理するように構成され得る。アイトラッキングモジュールは、次いで、アイトラッキング情報(たとえば、目114の位置、配向、凝視角など)を決定するために、検出された鏡面反射を特定し得る。たとえば、アイトラッキングモジュールは、目114が正面、左方向、右方向、上方向、または下方向を見ているかどうかを決定し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、計算デバイス122は、光源102A~102Gのアレイに通信可能に結合された制御モジュールを含み得る。
図1Aに示されているように、目114は、一般に前方を見ており、光源102A~102Gのアレイの中心と整合している。したがって、このシナリオでは、見えない光107を放出するために中心光源(たとえば、光源102D)が有効にされ得る。しかしながら、上述のように、目114が直接整合していない場合、または目114が動いている場合、瞳孔118は見えない光107をぼかし得る。したがって、計算デバイス122の制御モジュールは、眼底112の照明を維持するために、検出された目114の動きに基づいて光源102A~102Gのうちの少なくとも1つを選択的に有効にするために、1つまたは複数の制御信号124を生成し得る。
【0046】
たとえば、いくつかの態様では、光源のアレイの各光源102A~102Gはアレイ内の対応する位置を含み得る。制御モジュールは、光源102A~102Gのうちのどれを有効にするべきかを決定するために、検出された目114の動きをアレイ内の位置に変換するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光源102A~102のうちのどれが有効にされるかを変更すると、見えない光107がレンズシステム108から放出される際の角度が変化する。したがって、動作中に、計算デバイス122のアイトラッキングモジュールは、画像123のうちの1つまたは複数に基づいて目114の動きを検出し得、制御モジュールは、次いで、目の検出された動きを光源のアレイ中の光源の位置に変換する。
【0047】
図3は、本開示の態様による計算デバイス302を示す。計算デバイス302の示されている例は、通信インターフェース304と、1つまたは複数のプロセッサ306と、ハードウェア308と、メモリ310とを含むとして示されている。
図3の計算デバイス302は、
図1Aの計算デバイス122の1つの可能な実装形態である。
【0048】
通信インターフェース304は、他のデバイス/構成要素にデータを送信し、他のデバイス/構成要素からデータを受信するために計算デバイス302を有効にするワイヤレスおよび/またはワイヤード通信構成要素を含み得る。ハードウェア308は、追加のハードウェアインターフェース、データ通信、またはデータ記憶ハードウェアを含み得る。たとえば、ハードウェアインターフェースは、データ出力デバイスと、1つまたは複数のデータ入力デバイスとを含み得る。
【0049】
メモリ310は、コンピュータ記憶媒体などのコンピュータ可読媒体を使用して実装され得る。いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなど、情報の記憶のための任意の方法または技術において実装される、揮発性および/または不揮発性、リムーバブルおよび/または非リムーバブル媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、限定はしないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、高品位マルチメディア/データ記憶ディスク、または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶デバイス、または、計算デバイスによるアクセスのために情報を記憶するために使用され得る任意の他の非伝送媒体を含む。
【0050】
計算デバイス302のプロセッサ306およびメモリ310はアイトラッキングモジュール312と眼底照明光源制御モジュール314とを実装し得る。アイトラッキングモジュール312および眼底照明光源制御モジュール314は、ルーチン、プログラム命令、オブジェクト、および/または特定のタスクを実行するかまたは特定の抽象データ型を実装するデータ構造を含み得る。メモリ310は、アイトラッキングモジュール312および/または眼底照明光源制御モジュール314によって使用されるデータストレージ(図示せず)をも含み得る。
【0051】
アイトラッキングモジュール312は、画像(たとえば、
図1Bの画像123)を受信し、目114の位置および/または動きを決定するために画像を処理するように構成され得る。アイトラッキングモジュール312は、次いで、決定された動き/位置に基づいて眼底照明光源制御モジュール314と通信し得る。眼底照明光源制御モジュール314は、目の動きを光源102A~102Gのアレイ内の位置に変換し、眼底112の照明を維持するために光源102A~102Gのうちの少なくとも1つを有効にするために1つまたは複数の制御信号(たとえば、制御信号124)を生成するように構成され得る。
【0052】
図4は、本開示の態様による、目の眼底を撮像するプロセス400を示すフローチャートである。プロセス400は、
図1Aの計算デバイス122および/または
図3の計算デバイス302によって実行され得る1つまたは複数のプロセスブロックを含む。
【0053】
プロセスブロック402は、第1のカメラ120を用いて目(たとえば、目114)の1つまたは複数の画像(たとえば、
図1Bの画像123)をキャプチャすることを含む。プロセスブロック404において、目114の動きが追跡される。上記で説明したように、計算デバイス122は、目114の位置および/または動きを決定するために画像123を分析し得る。次に、プロセスブロック406において、計算デバイス122は、目の動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源102A~102Gを選択的に有効にする。上記で説明したように、光源を有効にすることは、見えない光107を用いて眼底112の照明を維持するために目114の動きを光源のアレイ内の位置に変換することを含み得る。次に、プロセスブロック408において、第2のカメラ126は眼底112の1つまたは複数の画像をキャプチャし得る。
【0054】
いくつかの実装形態では、
図1Aの眼底撮像システム100など、本開示の態様は、仮想現実(VR)または拡張現実(AR)デバイスなど、ヘッドマウントデバイスにおいて利用され得る。いくつかの態様では、ヘッドマウントデバイスは、ユーザの閲覧体験を高めるためにアイトラッキングシステムを組み込み得る。アイトラッキングは、いくつかの事例では、目の眼底中に存在する1つまたは複数の特徴の位置および/または動きを決定することによって支援され得る。たとえば、ヘッドマウントデバイスは、眼底の画像から中心窩(fovea)領域を識別し、次いで、識別された中心窩領域に基づいて目の凝視角を決定するように構成され得る。中心窩領域は1つまたは複数の画像処理技法を使用して決定され得る。凝視角が決定されたとき、ヘッドマウントデバイスのディスプレイによってユーザに提示される仮想画像が、決定された凝視角に応答して調整され得る。
【0055】
例として、
図5は、本開示の態様によるヘッドマウントディスプレイ(HMD)500を示す。HMD500など、HMDは、ユーザに人工現実コンテンツを与えるために、一般にユーザの頭部に装着されるヘッドマウントデバイスの1つのタイプである。人工現実は、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、混合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された現実の一形態である。HMD500の示されている例は、閲覧構造540と、上部固定構造541と、側部固定構造542と、後部固定構造543と、前部剛体544とを含むとして示されている。いくつかの例では、HMD500は、HMD500のユーザの頭部に装着されるように構成され、上部固定構造541、側部固定構造542、および/または後部固定構造543は、HMD500をユーザの頭部に固定するための弾性構造ならびに1つまたは複数の剛性構造(たとえば、プラスチック)を含むファブリックストラップを含み得る。HMD500はまた、任意選択的に、HMD500のユーザの耳にオーディオを供給するための1つまたは複数のイヤピース520を含み得る。
【0056】
示されているHMD500の例はまた、HMD500のユーザの顔に接触するためのインターフェース膜518を含み、インターフェース膜518は、少なくとも何らかの周囲光がHMD500のユーザの目に到達するのを遮るように機能する。
【0057】
例示的なHMD500は、HMD500の閲覧構造540のハードウェアを支持するためのシャシー(
図5に明示的に示されていないシャシーおよびハードウェア)をも含み得る。閲覧構造540のハードウェアは、処理論理、データを送信および受信するためのワイヤードおよび/またはワイヤレスデータインターフェース、グラフィックプロセッサ、およびデータとコンピュータ実行可能命令とを記憶するための1つまたは複数のメモリのいずれかを含み得る。一例では、閲覧構造540は、有線電力を受けるように構成され得、および/または1つまたは複数のバッテリーによって電力供給されるように構成され得る。さらに、閲覧構造540は、ビデオデータを含むワイヤードおよび/またはワイヤレスデータを受信するように構成され得る。
【0058】
閲覧構造540は、光をHMD500のユーザの目に導くための1つまたは複数の電子ディスプレイを有するディスプレイシステムを含み得る。ディスプレイシステムは、HMD500のユーザに光(たとえば、コンテンツ、画像、ビデオなど)を放出するための、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイなどのうちの1つまたは複数を含み得る。閲覧構造540は、ディスプレイシステムから画像光を受光し、(たとえば、画像光をコリメートすることによって)HMD500の着用者の目による閲覧のための仮想画像を生成するように構成された光学アセンブリをも含み得る。
【0059】
いくつかの例では、閲覧構造は、ユーザの目の眼底の1つまたは複数の画像を取得するための眼底撮像システム545を含む。眼底撮像システム545は、
図1Aの眼底撮像システム100を含む、本明細書で説明した実施形態のいずれかとして実装され得る。
【0060】
本発明の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。人工現実は、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、混合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された現実の一形態である。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされた(たとえば、現実世界)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、ハプティックフィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれかが(閲覧者に3次元効果を生成するステレオビデオなど)単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実はまた、たとえば、人工現実においてコンテンツを作成するために、および/または、さもなければ人工現実において使用される(たとえば、アクティビティを実行する)ために使用される、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連付けられ得る。人工現実コンテンツを与える人工現実システムは、ホストコンピュータシステム、スタンドアロンHMD、モバイルデバイスまたは計算システム、あるいは1人または複数の閲覧者に人工現実コンテンツを与えることが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)を含む、様々なプラットフォーム上で実装され得る。
【0061】
要約書に記載されたものを含む、本発明の示された実施形態の上記説明は、網羅的なものでも、本発明を開示された正確な形態に限定するものでもない。本明細書において、説明の目的で、本発明の特定の実施形態および例について説明したが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な改変が可能である。
【0062】
これらの改変は、上記の発明を実施するための形態に照らして本発明に対して行われ得る。以下の特許請求の範囲において使用される用語は、本発明を本明細書において開示された特定の実施形態に限定すると解釈されるべきでない。そうではなく、本発明の範囲は、請求項解釈の確立された原則に従って解釈されるべきである以下の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。