(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】拘束制御モジュールのEMCコンプライアンスを考慮したセンサ通信ディスクリート制御
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H04L25/02 K
(21)【出願番号】P 2022562409
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2021035605
(87)【国際公開番号】W WO2021247802
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】323010087
【氏名又は名称】ヴィオニア ユーエス セーフティ システムス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】コック、スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】コラロッシ、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ハント、ニック
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スコット、グラント
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0305724(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358377(US,A1)
【文献】特開2007-196802(JP,A)
【文献】特開2011-061593(JP,A)
【文献】特開平02-035888(JP,A)
【文献】特開平03-212701(JP,A)
【文献】特表2002-534887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御ユニットであって、
2ワイヤ相互接続上でPSI5コンプライアンスを有する電流変調信号を使用してリモートセンサと通信するように構成されたPSI5通信インターフェースを備え、前記PSI5通信インターフェースが、
前記2ワイヤ相互接続を介して前記リモートセンサに電流を駆動するための第1の信号端子に信号電圧を印加するように構成された信号ドライバと、
前記電流のための戻り経路を提供する第2の信号端子と、
前記PSI5通信インターフェースの前記戻り経路内
に設けられ電界効果トランジスタのドレイン-ソースオン抵抗によって定義される抵抗器と、を含
み、
前記電界効果トランジスタのゲート端子が、前記PSI5通信インターフェースの前記第1の信号端子に結合されている電子制御ユニット。
【請求項2】
前記ゲート端子と前記PSI5通信インターフェースの前記第1の信号端子との間に接続された電流制限抵抗器を更に備える、請求項
1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
電子制御ユニットであって、
2ワイヤ相互接続上でPSI5コンプライアンスを有する電流変調信号を使用してリモートセンサと通信するように構成されたPSI5通信インターフェースを備え、前記PSI5通信インターフェースが、
前記2ワイヤ相互接続を介して前記リモートセンサに電流を駆動するための第1の信号端子に信号電圧を印加するように構成された信号ドライバと、
前記電流のための戻り経路を提供する第2の信号端子と、
前記PSI5通信インターフェースの前記戻り経路内の抵抗器と、
前記第2の信号端子と接地との間の電流の量を制限するように構成されたスイッチと、
を含む、電子制御ユニット。
【請求項4】
前記第2の信号端子と前記接地との間の前記電流の量を検出するように構成された電流センサを更に備え、
前記スイッチが、前記電流センサによって制御される、請求項
3に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記抵抗器が、電界効果トランジスタのドレイン-ソースオン抵抗によって定義され、
前記スイッチが、前記電界効果トランジスタのゲート上の制御電圧を選択的にアサート又はデアサートして、低インピーダンス状態と高インピーダンス状態との間で前記電界効果トランジスタを駆動するように構成されている、請求項
3に記載の電子制御ユニット。
【請求項6】
電子制御ユニットであって、
2ワイヤ相互接続上でPSI5コンプライアンスを有する電流変調信号を使用してリモートセンサと通信するように構成されたPSI5通信インターフェースを備え、前記PSI5通信インターフェースが、
前記2ワイヤ相互接続を介して前記リモートセンサに電流を駆動するための第1の信号端子に信号電圧を印加するように構成された信号ドライバと、
前記電流のための戻り経路を提供する第2の信号端子と、
前記PSI5通信インターフェースの前記戻り経路内の抵抗器と、
信号入力及び信号出力を有する信号増幅器と、
を含
み、
前記信号入力が、前記第1の信号端子に結合されており、前記信号出力が、前記抵抗器を介して前記第2の信号端子に結合されている電子制御ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電子制御ユニットを備える、自動車両用の拘束制御モジュール。
【請求項8】
電子制御ユニットのPSI5通信インターフェースを動作させるための方法であって、
前記PSI5通信インターフェースの第1の信号端子に信号電圧を印加して、2ワイヤ相互接続を介して信号電流をリモートセンサに駆動することと、
前記信号電流のための戻り経路を提供する前記PSI5通信インターフェースの第2の信号端子によって、前記リモートセンサから前記信号電流を受信することと、
前記戻り経路内に設けられ
電界効果トランジスタのドレイン-ソースオン抵抗によって定義される抵抗器によって前記第2の信号端子上に平衡電圧を誘導することと、
前記信号電圧の関数として前記抵抗器の抵抗を選択的に変化させることと、
を含
み、
前記抵抗器の前記抵抗を選択的に変化させることが、前記信号電圧によって前記電界効果トランジスタのゲートを選択的にアサートすることを更に含む、方法。
【請求項9】
電子制御ユニットのPSI5通信インターフェースを動作させるための方法であって、
前記PSI5通信インターフェースの第1の信号端子に信号電圧を印加して、2ワイヤ相互接続を介して信号電流をリモートセンサに駆動することと、
前記信号電流のための戻り経路を提供する前記PSI5通信インターフェースの第2の信号端子によって、前記リモートセンサから前記信号電流を受信することと、
前記戻り経路内
に設けられ電界効果トランジスタのドレイン-ソースオン抵抗によって定義される抵抗器によって前記第2の信号端子上に平衡電圧を誘導することと、
前記信号電流を感知することと、
前記信号電流が電流閾値電圧を超えることに応答して、前記戻り経路を高インピーダンス状態に駆動することと、
を含
み、
前記戻り経路を前記高インピーダンス状態に駆動することが、前記電流閾値電圧を超える前記信号電流に応答して、前記電界効果トランジスタのゲートを選択的にデアサートすることを更に含む、方法。
【請求項10】
電子制御ユニットのPSI5通信インターフェースを動作させるための方法であって、
前記PSI5通信インターフェースの第1の信号端子に信号電圧を印加して、2ワイヤ相互接続を介して信号電流をリモートセンサに駆動することと、
前記信号電流のための戻り経路を提供する前記PSI5通信インターフェースの第2の信号端子によって、前記リモートセンサから前記信号電流を受信することと、
前記戻り経路内の抵抗器
および信号増幅器によって前記第2の信号端子にバイアス信号を印加することによって前記第2の信号端子上に平衡電圧を誘導することと、を含
み、
前記バイアス信号が、前記信号電圧の関数である、方法。
【請求項11】
前記電子制御ユニットが、自動車両用の拘束制御モジュール内で動作するように構成されている、請求項8から10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
このPCT国際特許出願は、2020年6月4日に出願された、zSensor Communication Discrete Control Considering EMC Compliance For Restraint Control Module」と題する、米国特許出願第16/892,830号の利益を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたる自動車安全システムの向上は、車両の乗員保護における劇的な改善を提供した。現在利用可能な自動車両は、前頭衝撃、側部衝撃、及び転覆状態から乗員を保護するための膨張可能な拘束システムを含む、そのようなシステムのアレイを含む。拘束ベルト及び車両内部エネルギー吸収システムにおける進歩もまた、安全性の向上に寄与している。これらのシステムのうちの多くは、それらの有益な効果を提供するために、車両衝撃の検出時に非可逆的様態で展開又は作動されなければならない。このようなセンサのための多くの設計が、衝撃又は転覆状態の存在を、それが発生したときに検出するために現在使用されている。
【0003】
PSI5通信インターフェースが、車両内の様々なセンサと通信するために拘束制御モジュールを含む多くの異なる用途において使用されている。PSI5通信インターフェースは、データの伝送のために電流変調を有する2ワイヤ相互接続を採用している。従来のPSI5の実装形態は、不平衡であり、一方のワイヤが、接地電位に保持され、他方のワイヤの電圧が、電流変調により変化する。高振幅、高速の不平衡信号は、センサワイヤから不要な電磁干渉(electromagnetic interference、EMI)エミッションを生成し得、これは、そのようなPSI5通信インターフェースを特徴とするコントローラが、相手先商標製造会社(original equipment manufacturer、OEM)の電磁適合性(electromagnetic compatibility、EMC)試験に失敗することを引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つ以上の実施形態によれば、電子制御ユニットは、2ワイヤ相互接続上でPSI5コンプライアンスを有する電流変調信号を使用してリモートセンサと通信するように構成されたPSI5通信インターフェースを備える。PSI5通信インターフェースは、2ワイヤ相互接続を介してリモートセンサに電流を駆動するための第1の信号端子に信号電圧を印加するように構成された信号ドライバを含む。PSI5通信インターフェースはまた、電流のための戻り経路を提供する第2の信号端子と、PSI5通信インターフェースの戻り経路内の抵抗器と、を含む。
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、電子制御ユニットのPSI5通信インターフェースを動作させるための方法が提供される。本方法は、PSI5通信インターフェースの第1の信号端子に信号電圧を印加して、2ワイヤ相互接続を介してリモートセンサに信号電流を駆動するステップと、信号電流のための戻り経路を提供するPSI5通信インターフェースの第2の信号端子によって、リモートセンサから信号電流を受信するステップと、戻り経路内の抵抗器によって第2の信号端子上に平衡電圧を誘導するステップと、を含む。
【0006】
本開示のシステム及び方法は、PSI5通信インターフェース上に平衡信号を提供することができ、それは、生成された電磁干渉(EMI)を低減し、電磁適合性(EMC)試験に対する性能を改善することができる。
【0007】
これら及び他の利点並びに特徴は、図面と併せて、以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の主題は、本明細書の結びの特許請求の範囲において具体的に指摘され、明確に特許請求される。本開示の前述及び他の特徴、並びに利点は、添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から明らかである。
【0009】
【
図1A】従来のPSI5通信インターフェースを含む電子制御ユニット(electronic control unit、ECU)を示す概略ブロック図である。
【0010】
【
図1B】本開示の態様による、PSI5通信インターフェースを含むECUを示す概略ブロック図である。
【0011】
【
図2A】本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第1の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路を示す。
【0012】
【
図2B】本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第2の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路を示す。
【0013】
【
図2C】本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路を示す。
【0014】
【
図2D】本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第4の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路を示す。
【0015】
【
図3A】従来のPSI5通信インターフェース上の電圧のプロットを示すグラフである。
【0016】
【
図3B】本開示の態様による、PSI5通信インターフェース上の電圧のプロットを示すグラフである。
【0017】
【
図4】従来のPSI5通信インターフェース及び本開示に従って構築されたPSI5通信インターフェースの両方についての周波数の関数としてのEMIノイズのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで図を参照するが、図面においては、本開示は、本開示を限定することなく、具体的な実施形態を参照して説明されており、開示された実施形態は、様々な及び代替的な形態で具体化され得る本開示の単なる例解であることを理解されたい。図は、必ずしも縮尺通りではない。特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴は誇張又は最小化され得る。したがって、本明細書に開示される具体的な構造的及び機能的詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に本開示を様々に使用するために当業者に教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「コントローラ」という用語は、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用、又はグループ)などの1つ以上の処理回路、及び1つ以上のソフトウェア若しくはファームウェアプログラムを実行するメモリ、組み合わせ論理回路、及び/又は説明された機能を提供する他の好適な構成要素を指す。理解され得るように、以下に説明されるコントローラは、組み合わされ、及び/又は更に分割され得る。
【0020】
ここで図を参照するが、図面においては、技術的解決策は、開示された実施形態の実装のために、具体的な実施形態を参照して説明されるが、それらを限定するものではない。
【0021】
図1Aは、第1の電子制御ユニット(ECU)10を示す概略ブロック図である。第1のECU10は、2ワイヤ相互接続16上で電流変調信号を使用して、リモートセンサ14と通信するように構成されている、第1のPSI5通信インターフェース12を含む。より具体的には、第1のPSI5通信インターフェース12は、ペリフェラルセンサインターフェース5(Peripheral Sensor Interface 5、PSI5)規格を使用する。PSI5は、2ワイヤ相互接続を用いるセンサのためのデジタルインターフェース規格である。PSI5は、電力供給ライン上のデータ伝送に送信電流の変調を採用し、PSI5は、多くの異なる自動車システムでペリフェラルセンサを電子制御デバイスに接続するために使用される。PSI5は、非同期及び同期通信を伴うポイントツーポイント及びバス構成の両方をサポートする。本開示で使用される場合、PSI5コンプライアンス及びPSI5タイミングコンプライアンスという用語は、同期用及びデータ伝送用の異なる電流値などの電流のタイミング及び電気的特性の両方を含む。本開示で使用される場合、PSI5コンプライアンス及びPSI5タイミングコンプライアンスという用語は、平衡信号及び平衡信号を生成する関連ハードウェアを含む。
【0022】
第1のECU10は、自動車両の拘束システム内のセンサ及び/又はアクチュエータを監視及び/又は制御するための拘束制御モジュール内で使用され得る。第1のECU10は、エンジン制御モジュール(engine control module、ECM)、ボディ制御モジュール(body control module、BCM)、パワートレイン制御モジュール(powertrain control module、PCM)等においてなど、他の用途において使用され得る。
【0023】
リモートセンサ14は、2ワイヤ相互接続16上の電流を変調し、それによって第1のECU10と通信するための電流変調器18を含む。2ワイヤ相互接続16は、2つの通電導体を有するツイストペアワイヤを含み得る。2ワイヤ相互接続16は、シールドされる場合があるか、又はシールドされない場合がある。第1のPSI5通信インターフェース12は、2ワイヤ相互接続16を介してリモートセンサ14に電流を駆動するための第1の信号端子22に信号電圧を印加するように構成された信号ドライバ20を含む。第1のPSI5通信インターフェース12はまた、電流の戻り経路を提供するために2ワイヤ相互接続16に結合された第2の信号端子24を含む。
【0024】
第1のECU10は、正の電力端子32と負の電力端子34との間に接続されたバッテリ電圧Vバッテリを有するバッテリ30によって給電される。負のバッテリ端子36は、シャーシ接地36に結合されている。シャーシ接地36は、第1のECU10の内側に示されているが、物理的な接地ワイヤは、他の場所に接続され得る。例えば、シャーシ接地36は、バッテリ又はその近くでバッテリ30の負端子に接続され得る。第2の信号端子24は、第1のECU10内のシャーシ接地36に結合され、したがって、第2の信号端子24及び2ワイヤ相互接続16の対応するワイヤを一定の0V電位に保持する。
【0025】
図1Bは、第2の電子制御ユニット(ECU)10’を示す概略ブロック図である。第2のECU10’は、2ワイヤ相互接続16上で電流変調信号を使用して、リモートセンサ14と通信するように構成されている、第2のPSI5通信インターフェース12’を含む。第2のECU10’は、その戻り経路内に抵抗器40を含む第2のPSI5通信インターフェース12’を除いて、形態及び機能が、第1のECU10と同様又は同一であり得る。抵抗器40は、
図1Bの概略図に示されるようにディスクリートデバイスであり得る。しかしながら、抵抗器40は、電子デバイスの抵抗効果などの他の形態を採り得る。抵抗器40の抵抗値R1は、電圧降下及び対応する電力損失と電磁(electromagnetic、EM)エミッション低減との間のトレードオフである。抵抗値R1は、任意の値が使用され得るが、0.5~20Ωであり得、いくつかの実施形態では、抵抗器40は、5Ωの抵抗値R1を有する。
【0026】
第2のPSI5通信インターフェース12’は、データ通信のため及び同期のためにPSI5タイミングコンプライアンス及びPSI5差動電流を使用するが、2ワイヤ相互接続16上の電圧の平衡化を伴う。この電圧平衡化は、
図3Bに例解されており、以下で更に考察される。第1のECU10と同様に、第2のECU10’は、自動車両の拘束システム内のセンサ及び/又はアクチュエータを監視及び/又は制御するための拘束制御モジュールとして使用され得る。第2のECU10’はまた、エンジン制御モジュール(ECM)、ボディ制御モジュール(BCM)、パワートレイン制御モジュール(PCM)等においてなど、他の用途において使用され得る。
【0027】
図2Aは、本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第1の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50aを示す。第1の例示的な平衡化回路50aは、
図1Bの第2のPSI5通信インターフェース12’で使用される平衡化回路と同一であり、第2の信号端子24とシャーシ接地36との間に接続されたディスクリート抵抗器40を有する。
【0028】
図2Bは、本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第2の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50bを示す。第2の例示的な平衡化回路50bは、能動抵抗器として機能するように構成された電界効果トランジスタ(field effect transistor、FET)52を含む。具体的には、FET52は、ドレイン端子d、ソース端子s、及びゲート端子gを含む。ドレイン端子dは、第2の信号端子24に接続され、ソース端子sは、シャーシ接地36に接続されている。ゲート端子gは、第1の信号端子22に接続されている。FET52は、ゲート端子gが閾値電圧を上回るとき、ドレイン端子dとソース端子ソース端子sとの間のドレイン-ソースオン抵抗Rds_onを定義する。FET52は、ドレイン-ソースオン抵抗Rds_onが所望の抵抗値R1に等しくなるように構成され得る。
【0029】
図2Cは、本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50cを示す。第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50cは、
図2Bに示される第2の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50bと同様であり、電流保護を提供するためのいくつかの追加の構成要素を有する。第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50cはまた、第2の信号端子24と接地36との間のドレイン-ソースオン抵抗Rds_onとして抵抗器を定義するFET52を含む。
【0030】
第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50cは、12VDCなどの所与の電圧の第2の信号端子24への印加に耐えることができ、同じ所与の電圧は、他の保護されていない平衡化回路を損傷する可能性がある。そのような電流保護は、OEM要件を満たすために必要とされ得る。より具体的には、第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50cは、FET52のゲート端子gと第1の信号端子22との間に接続された電流制限抵抗器56を有する電流制限回路54を含む。電流制限抵抗器56は、1kΩ以上などの比較的高い抵抗値を有し得る第2の抵抗値R2を有する。電流制限抵抗器56は、異なる抵抗値を有し得、抵抗値は、第2の信号端子24の公称電圧などの設計の詳細に依存し得る。スイッチ58は、第2の信号24端子と接地36との間の電流の量を制限するように構成されている。スイッチ58は、
図2Cにおいて接合トランジスタとして示されているが、PET、Triac、又はSCRなどの他のスイッチングデバイスをスイッチ58として使用することができる。電流センサ60は、第2の信号端子24と接地36との間の電流の量を検出するように構成されている。電流センサ60は、
図2CにおいてFET52の間に示されているが、電流センサ60は、第2の信号端子24とFET52との間など、電流経路内の他の場所に接続され得る。スイッチ58は、電流センサ60によって制御されて、FET52のゲートに制御電圧を選択的にアサート又はデアサートして、低インピーダンス状態と高インピーダンス状態との間でFET52を駆動する。より具体的には、スイッチ58は、電流センサ60によって制御されて、閾値電流値を上回る電流を検出することに応答して、FET52のゲート端子gを接地に選択的に短絡させ、それにより、ドレイン端子dとソース端子sとの間で高インピーダンスを有するオフ状態にFET52を駆動する。電流が閾値電流値を下回るとき、スイッチ58は開回路状態にあり、FET52のゲート端子gは接地に接続されない。この状態では、FET52のゲート端子gは、電流制限抵抗器56を通る第1の信号端子22からの電流によってアサートされた制御電圧にプルアップされる。このため、電流制限抵抗器56は、プルアップ抵抗器と呼ばれることもある。
【0031】
図2Dは、本開示の態様による、PSI5通信インターフェースの第4の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50dを示す。具体的には、第4の例示的な平衡化回路50dは、第1の信号端子22に結合された信号入力と、抵抗器40を介して第2の信号端子24に結合された信号出力とを有する信号増幅器66を含む。信号増幅器66は、複合駆動として機能して、第1の信号端子22の電圧に反比例する電圧を第2の信号端子24上に生成し得る。これらの電圧は、
図3Bにグラフで例解されており、以下で考察される。
【0032】
図3Aは、従来のPSI5通信インターフェース上の電圧のプロット102、104を含む第1のグラフ100である。
図3Aに示されるプロット102、104は、例えば、
図1Aに示される第1のPSI5通信インターフェース12によって生成され得る。具体的には、第1のグラフ100は、第1のPSI5通信インターフェース12の第1の信号端子22上の電圧の第1のプロット102を含む。第1のプロット102は、第1の高電圧V1Hと第1の高電圧V1Hよりも低い第1の低電圧V1Eとの間で変化する第1の信号端子22上の電圧を示す。これらの変化する電圧は、PSI5規格の異なる電流駆動信号に対応する。第1のグラフ100はまた、第1のPSI5通信インターフェース12の第2の信号端子24上の電圧の第2のプロット104を含む。第2のプロット104に示されるように、第2の信号端子24上の電圧は、第2の信号端子24が第1のPSI5通信インターフェース12においてシャーシ接地36に接続されている結果として、0ボルト状態に保持されている。第1及び第2のプロット102、104のこれらの波形は、信号端子22、24の一方の電圧が変化しても、信号端子の他方には対応する電圧変化を有さず、不平衡であると呼ばれ得る。
【0033】
図3Bは、本開示によるPSI5通信インターフェース上の電圧のプロット122、124を含む第2のグラフ120である。
図3Bに示されるプロット122、124は、例えば、
図1Bに示される第2のPSI5通信インターフェース12’によって生成され得る。具体的には、第2のグラフ120は、第2のPSI5通信インターフェース12’の第1の信号端子22上の電圧の第3のプロット122を含む。第2のプロット122は、ほぼ第1の高電圧V1Hと第1の低電圧V1Lとの間で変化する第1の信号端子22上の電圧を示す。これらの変化する電圧は、PSI5規格の異なる電流駆動信号に対応する。
【0034】
第2のグラフ120はまた、第2のPSI5通信インターフェース12’の第2の信号端子24上の電圧の第4のプロット124を含む。第4のプロット124は、第2の高電圧V2Hと第2の高電圧V2Hよりも低いが、0Vよりも大きい第2の低電圧V2Lとの間で変化する第2の信号端子24上の電圧を示す。第2の高電圧V2H及び低電圧V2Lの両方は、第1の低電圧V1Lよりも低い。第4のプロット124に示されるように、第2の信号端子24上の電圧は、第3のプロット122に示されるように、第1の信号端子22上の第1の電圧の鏡像である。第3及び第4のプロット122、124のこれらの波形は、信号端子22、24の一方の電圧が変化すると、信号端子の他方に、対応するオフセットした電圧変化を有し、平衡がとれていると呼ばれ得る。そのような平衡のとれた信号は、同様の不平衡の信号よりも少ない量の電磁干渉(EMI)を生成し得る。
【0035】
戻り経路における抵抗器40の存在によるより高いインピーダンスの結果として、第3のプロット122に示されるように、第2のPSI5通信インターフェース12’の第1の信号端子22上の電圧は、第1のプロット102に示されるように、第1のPSI5通信インターフェース12の第1の信号端子22上の対応する電圧よりもわずかに小さくなり得る。
【0036】
図4は、従来のPSI5通信インターフェース及び本開示に従って構築されたPSI5通信インターフェースの両方についての周波数の関数としてのEMIノイズのグラフ200を示す。具体的には、グラフ200は、第1のPSI5通信インターフェース12及びそれに接続された2ワイヤ相互接続16によって生成されたEMIノイズの量を示す第1のノイズプロット202を含む。グラフ200はまた、第2のPSI5通信インターフェース12’及びそれに接続された2ワイヤ相互接続16によって生成されたEMIノイズの量を示す第2のノイズプロット204を含む。ノイズプロット202、204の各々は、周波数(Hz)の関数としてのノイズレベル(dBμV)を示す。ノイズプロット202、204は、基本周波数125kHzでほぼ等しいが、ノイズプロット202、204は、375kHz(基本周波数125kHzの三次高調波)及び625kHz(基本周波数125kHzの五次高調波)で、これらの同じ周波数で第1のPSI5通信インターフェース12によって生成されたノイズと比較するとき、第2のPSI5通信インターフェース12’によって生成されたノイズが実質的に少ないことを示すことに留意されたい。インピーダンス平衡化及びダンピング回路が、375kHz及び625kHzのスペクトル周波数で見られるノイズ低減の原因である。
【0037】
電子制御ユニット10’のPSI5通信インターフェース12’を動作させるための方法も提供されている。本方法は、信号電圧をPSI5通信インターフェース12’の第1の信号端子22に印加して、2ワイヤ相互接続16を介してリモートセンサ14に信号電流を駆動するステップと、信号電流のための戻り経路を提供するPSI5通信インターフェース12’の第2の信号端子24によって、リモートセンサ14から信号電流を受信するステップと、戻り経路内の抵抗器によって第2の信号端子24上に平衡電圧を誘導するステップと、を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、PSI5通信インターフェース12’は、PSI5タイミングコンプライアンスを有する。PSI5通信インターフェース12’は、データ通信のため及び同期のためにPSI5差動電流を使用し得るが、2ワイヤ相互接続16上の電圧の平衡化を伴う。いくつかの実施形態では、電子制御ユニット10’は、自動車両用の拘束制御モジュール内で動作するように構成されている。例えば、電子制御ユニット10’は、拘束制御モジュールと、センサ及び/又はアクチュエータなどの1つ以上のリモートデバイスとの間の通信を容易にするように機能し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、抵抗器40は、ディスクリート抵抗器デバイスである。いくつかの実施形態では、抵抗器40は、第2の信号端子24とシャーシ接地36との間に接続されている。第2の信号端子24とシャーシ接地36との間に接続されている、そのようなディスクリート抵抗器デバイス40の一例は、
図1Aの第1の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50aに示されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、抵抗器40の抵抗は、信号電圧の関数として選択的に変化される。例えば、PSI5通信インターフェース12’は、信号電流の戻り経路における実効抵抗を変化させるための回路を含み得る。信号電圧の関数として信号電流の戻り経路における実効抵抗を変化させるための能動回路の例は、それぞれ、
図2B及び
図2Cの第2及び第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50b、50cに示されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、抵抗器40は、電界効果トランジスタ52のドレイン-ソースオン抵抗Rds_onによって定義される。更に、いくつかの実施形態では、抵抗器40の抵抗を選択的に変化させることは、信号電圧によって電界効果トランジスタ52のゲートgに電圧を選択的にアサート又は印加することを更に含む。電界効果トランジスタ52のゲートgに印加される電圧は、第1の信号端子22上の信号電圧、又は信号電圧の関数として生成された電圧であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、信号電流を感知することと、電流閾値電圧を超える信号電流に応答して戻り経路を高インピーダンス状態に駆動することと、を更に含む。そのような電流制限構成の一例が、
図2Cに示されている。その例示的な構成では、抵抗器は、電界効果トランジスタ52の電界効果トランジスタのドレイン-ソースオン抵抗Rds_onによって定義され、戻り経路は、電流閾値電圧を超える信号電流に応答して電界効果トランジスタ52のゲートgを選択的にデアサートすることによって、高インピーダンス状態に駆動される。これらの方法ステップは、
図2Cの第3の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50cに示される例示的な回路とは異なるハードウェア及び/又はソフトウェアの組み合わせを使用して達成され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、第2の信号端子24上に平衡電圧を誘導することは、信号増幅器66によって第2の信号端子24にバイアス信号を印加することを更に含み、バイアス信号は、信号電圧の関数である。第2の信号端子24にバイアス信号を印加するために信号増幅器66を用いる能動複合駆動の例は、
図2Dの第4の例示的なインピーダンス平衡化及びダンピング回路50dに示されている。
【0044】
本開示は、限られた数の実施形態のみに関連して詳細に説明されてきたが、本開示は、そのような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるべきである。むしろ、本開示は、これまでに説明されていないが、範囲において本開示と同一基準の、任意の数の変形、変更、置換、又は同等の構成を組み込むように修正することができる。加えて、本開示の様々な実施形態が説明されてきたが、本開示の態様は、説明された実施形態の一部のみ、又は様々な実施形態の組み合わせを含み得ることを理解されたい。したがって、本開示は、前述の説明によって限定されるとして見なされるべきではない。