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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20241016BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B23Q11/00 S
B23Q11/10 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022569402
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2020047006
(87)【国際公開番号】W WO2022130543
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】水田 賢治
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-347401(JP,A)
【文献】特開2007-030135(JP,A)
【文献】国際公開第01/030522(WO,A1)
【文献】特開2019-076999(JP,A)
【文献】特開2019-018323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工に必要な各種加工装置が搭載されたベッドと、
前記ベッドの前に配置された横長のクーラントタンクと、
排出口の位置を機体幅方向の左右一方に選択して前記クーラントタンク内に組付けられるチップコンベアと、
前記クーラントタンク内のクーラントを前記加工装置に対して供給するポンプを備え、前記チップコンベアの排出口側に配置されるクーラント供給装置と、
前記クーラント供給装置の配置位置によって前記ポンプとの接続が切り換え可能なクーラント流路と、
を有し、
前記各種加工装置は、ワークを回転可能に保持する一対のワーク主軸装置、複数のタレット工具の旋回割出しが可能な一対のタレット装置および、交換可能な主軸ヘッド工具を保持する主軸ヘッドを備えた工具主軸装置であり、
前記一対のワーク主軸装置には第1ポンプが第1クーラント流路を介して接続され、
前記一対のタレット装置には第2ポンプが第2クーラント流路を介して接続され、
前記工具主軸装置には第3ポンプが第3クーラント流路を介して接続され、
前記第1、第2、第3クーラント流路は、それぞれ第1、第2または第3ポンプとの接続と埋栓による閉塞が可能な一対の第1、第2、第3ポンプ継手を有し、
前記第1クーラント流路は、前記一対の第1ポンプ継手の間に、互いに直接接続された一対の三方継手が、それぞれ一方の第1ポンプ継手と、一方の前記ワーク主軸装置とに接続され、
前記第2クーラント流路は、前記一対の第2ポンプ継手の間に、互いに直接接続された一対の三方継手が、それぞれ一方の第2ポンプ継手と、一方の前記タレット装置とに接続され、
前記第3クーラント流路は、前記一対の第3ポンプ継手の間に接続された三方継手が工具主軸装置に接続された、
工作機械。
【請求項2】
前記ベッドは、機体前後方向の寸法に比べて機体幅方向に長く、前記クーラントタンクは、前記ベッドに応じて機体幅方向に長いものである請求項1に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップコンベアにおける排出口の位置を選択することが可能な工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
前記特許文献1にはチップコンベアを備えたマシニングセンタが開示されている。このマシニングセンタは、ベースの下側にチップコンベアが設けられ、治具の下にはワークが切削されたときに生じる切粉を受ける切粉入口が位置している。チップコンベアは、その切粉搬送方向が現場の状況に応じてY軸方向やX軸方向に向けられるものである。そして、チップコンベアには長手方向の途中の箇所に、クーラントを貯溜するためのクーラントタンクが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-255859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1にはチップコンベアの切粉搬送方向は現場の状況に応じて適当に決定することができるものとあるが、その具体的な構成が明らかでない。従来例のマシニングセンタは、工具を備えた加工ヘッドの位置に応じて切粉入口の位置が決定し、そこからチップコンベアが延び、クーラントのタンクなどが構成される。従って、加工ヘッドの位置に関係なくチップコンベアの向きを変えるようなことはできない。一方、ベースの底面形状が正方形のように見える従来例のマシニングセンタは、縦横の寸法に区別が無いことが設置方向の自由度を可能にするものと考えることができる。従って、工作機械においてチップコンベアの排出口の位置を切り換えられるようなものではない。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、チップコンベアにおける排出口の位置を選択することが可能な工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における工作機械は、ワークの加工に必要な各種加工装置が搭載されたベッドと、前記ベッドの前に配置された横長のクーラントタンクと、排出口の位置を機体幅方向の左右一方に選択して前記クーラントタンク内に組付けられるチップコンベアと、前記クーラントタンク内のクーラントを前記加工装置に対して供給するポンプを備え、前記チップコンベアの排出口側に配置されるクーラント供給装置と、前記クーラント供給装置の配置位置によって前記ポンプとの接続が切り換え可能なクーラント流路と、を有し、前記各種加工装置は、ワークを回転可能に保持する一対のワーク主軸装置、複数のタレット工具の旋回割出しが可能な一対のタレット装置および、交換可能な主軸ヘッド工具を保持する主軸ヘッドを備えた工具主軸装置であり、前記一対のワーク主軸装置には第1ポンプが第1クーラント流路を介して接続され、前記一対のタレット装置には第2ポンプが第2クーラント流路を介して接続され、前記工具主軸装置には第3ポンプが第3クーラント流路を介して接続され、前記第1、第2、第3クーラント流路は、それぞれ第1、第2または第3ポンプとの接続と埋栓による閉塞が可能な一対の第1、第2、第3ポンプ継手を有し、前記第1クーラント流路は、前記一対の第1ポンプ継手の間に、互いに直接接続された一対の三方継手が、それぞれ一方の第1ポンプ継手と、一方の前記ワーク主軸装置とに接続され、前記第2クーラント流路は、前記一対の第2ポンプ継手の間に、互いに直接接続された一対の三方継手が、それぞれ一方の第2ポンプ継手と、一方の前記タレット装置とに接続され、前記第3クーラント流路は、前記一対の第3ポンプ継手の間に接続された三方継手が工具主軸装置に接続されたものである。
【発明の効果】
【0007】
前記構成によれば、クーラント供給装置の位置の変更に応じてポンプの接続を切り換えることができるクーラント流路を有することにより、チップコンベアにおける排出口の位置を選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】工作機械の一実施形態である複合加工機の主要な構造を示した斜視図である。
図2】複合加工機全体の外観斜視図である。
図3】クーラント供給装置を含む複合加工機の主要な構造を示した平面図である。
図4】クーラント供給装置を含む複合加工機の主要な構造を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る工作機械の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、工作機械の一実施形態として挙げた複合加工機の主要な構造を示した斜視図である。本実施形態の複合加工機1は、各種加工装置を有することによりNC旋盤とマシニングセンタの両方の機能を持つようにした工作機械である。具体的には、ワークWを把持する第1ワーク主軸装置3および第2ワーク主軸装置4と、複数の工具Tを有する第1タレット装置5および第2タレット装置6が、それぞれ左右対称に配置された対向2軸旋盤であり、加えて機体中央には工具主軸装置2が設けられている。
【0010】
第1および第2ワーク主軸装置3,4は同じ構造であり、主軸台22にスピンドルが回転自在に組み込まれ、そこに加工対象であるワークWを把持および解放するチャック機構21が組付けられている。チャック機構21はスピンドルモータ23の駆動によって回転し、そこに把持されたワークWに対する加工時の位相決めや所定速度での回転が与えられる。主軸台22やスピンドルモータ23は主軸スライド24に搭載されている。主軸スライド24は、ベッド7の前側傾斜面701に固定されたガイドレール25に沿って摺動自在であり、Z軸サーボモータによって回転するネジ軸27のボールネジ機構によって機体幅方向であるZ軸方向に移動するよう構成されている。
【0011】
第1タレット装置5および第2タレット装置6は同じ構造であり、タレット31に複数の工具T(タレット工具)が円周方向に等間隔で取り付けられ、割出し用サーボモータ32の回転制御によって、任意の工具Tを円周上の加工位置に位置決めできるよう構成されている。第1および第2タレット装置5,6は、タレット31をZ軸に直交する2方向に移動させるようにした駆動機構が設けられている。略三角形状のベーススライド34がベース7に対して前方斜め45度上方にスライド可能であり、タレット31を搭載したタレットスライド37がベーススライド34に対して前方斜め45度下方にスライド可能に組み付けられている。そして、ベーススライド34やタレットスライド37は、各々のサーボモータによって回転するネジ軸のボールネジ機構によって各方向に移動するよう構成されている。
【0012】
工具主軸装置2は、主軸ヘッド41内に主軸用サーボモータや工具スピンドルが内蔵されたビルトインタイプであり、下端部に設けられた工具装着部に対して様々な工具T(主軸ヘッド工具)の取り換えが行われるようになっている。主軸ヘッド41は、主軸スライド42に対して回転可能に取り付けられ、回転伝達機構を介してB軸モータ43の回転が伝達されるよう構成されている。工具主軸装置2は、機体前後方向の水平なY軸に沿ってガイドレールが固定され、そこにベーススライド45が摺動可能に組付けられている。また、ベーススライド45は、その前面側に機体上下方向の鉛直なX軸に沿ってレール部が固定され、そこに主軸スライド42が摺動可能に組付けられている。ベーススライド45と主軸スライド42は、ともにボールネジ機構が設けられ、Y軸サーボ―モータまたはX軸サーボモータの駆動によって、主軸ヘッド41が各軸方向に移動可能になっている。
【0013】
次に、図2は、複合加工機1全体の外観斜視図である。複合加工機1は、ベッド7上の第1ワーク主軸装置3など各種加工装置が機体カバー100によって覆われている。ガントリ式のワーク自動搬送装置9は、機体カバー100から上方に突き出すようにして設けられ、機体の内部では把持したワークWを3軸方向に移動させるよう構成されている。機体正面には中央に操作盤110が設けられ、その左右両側には左正面扉151と右正面扉152とが形成されている。
【0014】
操作盤110の奥には工具主軸装置2が位置し、左正面扉151と右正面扉152の奥には第1および第2加工室がある。工具主軸装置2には、複数の中から選択した工具Tの交換を行う自動工具交換装置8が設けられている。その自動工具交換装置8は、複数の工具を収納したツールマガジンが、機体前面の左右正面扉151,152よりも前方に突き出すようにして上部に配置されており、マガジンカバー153によって覆われている。なお、本実施形態の説明では、左右の特定は機体正面から見た場合の方向を示している。
【0015】
複合加工機1におけるワークWの加工は、ワーク自動搬送装置9によってワークWが第1ワーク主軸装置3や第2ワーク主軸装置4へと運ばれ、チャック機構21によって把持される。第1および第2タレット装置5,6で旋回割出しされた工具Tは、ベーススライド34やタレットスライド37の移動によりワークWに対する加工位置へと送られる。そうした工具Tに対して主軸スライド24がZ軸方向に移動することにより、回転するワークWに工具Tが当てられて中ぐり加工などが行われる。
【0016】
複合加工機1は、第1ワーク主軸装置3におけるワークWの第1加工は、第1タレット装置5による加工のほか、工具主軸装置2を加えた加工、或いは工具主軸装置2のみによる加工が行われる。第2ワーク主軸装置4における第2加工でも同様である。また、工具主軸装置2は、第1および第2加工時であっても自動工具交換装置8によって工具交換が可能になっている。3箇所で各々の作業を行うことが可能な複合加工機1は、各箇所に洗浄用あるいは冷却用としてクーラントが噴出する構成となっている。しかし、一つの空間で各々のクーラントが勢い良く噴射されると、切粉や切屑などの加工屑が他の装置の工具TやワークWに付着してしまうことになる。そこで本実施形態では、2枚の分離シャッタ15が開閉可能に構成され、加工室が仕切られるようになっている。
【0017】
複合加工機1は、ワークWの加工によって発生した加工屑を機外へと排出して回収するためのチップコンベア10が設けられている。複合加工機1は、ベッド7の前側傾斜面701に配置された第1及び第2ワーク主軸装置3,4の位置で加工が行われるため、ベッド7の前に貯留槽51の投入口511が位置するようにチップコンベア10が組み込まれている。チップコンベア10は、機体幅方向に長い貯留槽51から上方に傾斜した排出ダクト52が形成され、機体カバー100の外にまで延びたところに排出口521がある。こうした貯留槽51や排出ダクト51内には無端のコンベアベルトが組み込まれており、貯留槽51内の加工屑がコンベアベルトの回転駆動によって運ばれ、排出口521から落下して回収ボックスに集められる。
【0018】
図3は、クーラント供給装置を含む複合加工機1の主要な構造を示した平面図である。ベッド7の前に機体幅方向に長いクーラントタンク55が配置され、その中にチップコンベア10が組み込まれている。クーラントタンク55は、内側の貯留槽51に加工屑とともにクーラントが溜められているが、そこから加工屑が除かれるようにして流れ出たクーラントが溜められるようになっている。クーラントタンク55は、ベッド7の横幅よりも長く形成され、左右一方がベッド7の端部よりも突き出るようにして配置される。そして、突き出たクーラントタンク55の端部には、その後方側にクーラント供給装置57が一体に構成されている。
【0019】
図2及び図3に示す複合加工機1は、クーラントタンク55が機体正面から見て左寄りに構成され、クーラント供給装置57がベッド7の左側に位置している。そして、チップコンベア10の排出ダクト52は、同じく機体カバー100の左側面から突き出している。しかし、機体幅方向の寸法の大きな複合加工機1は、設置する工場内の配置によっては排出ダクト52が右側であることが望ましい場合があるが、従来そうしたことは工作機械の工場設置に当たって対応できるものではなかった。この点、本実施形態の複合加工機1は、排出口521の位置を左右自由に選択可能な構造を有している。
【0020】
加工屑の排出位置の変更は、複合加工機1の場合、チップコンベア10の方向を左右反転させれば良いだけでない。加工室内で使用されたクーラントは、加工屑とともに貯留槽52内に溜められ、加工屑と分けられるようにしてクーラントタンク55へと流れ、フィルタを通すなどして繰り返し使用される。そのため、複合加工機1は、クーラントをろ過するための再生用タンク59やポンプなどからなるクーラント供給装置57を有し、その位置は組付けスペースの関係から加工屑の排出側になるよう設計されている。
【0021】
クーラント供給装置57の位置変更は、ポンプから第1ワーク主軸装置3などの各種加工装置へクーラントを送る流体回路の変更を伴うことになる。そこで、複合加工機1では、クーラント供給装置57の位置変更に対応する流体回路が構成されている。まず、クーラント供給装置57は、第1ワーク主軸装置3および第2ワーク主軸装置4にクーラントを送り込むための第1ポンプ61、第1タレット装置5および第2タレット装置6にクーラントを送り込むための第2ポンプ62、そして工具主軸装置2にクーラントを送り込むための第3ポンプ63を有する。
【0022】
流体回路は、各種加工装置毎に設けられ、第1ポンプ61に接続される第1クーラント流路65と、第2ポンプ62に接続される第2クーラント流路66と、第3ポンプ63に接続される第3クーラント流路67とを有する。左右一対の第1ワーク主軸装置3と第2ワーク主軸装置4にクーラントを送る第1クーラント流路65には2つの三方継手71が、同じく第1タレット装置5と第2タレット装置6にクーラントを送る第2クーラント流路66にも2つの三方継手72がそれぞれ設けられ、工具主軸装置2にクーラントを送る第3クーラント流路67には1つの三方継手73が設けられている。
【0023】
第1クーラント流路65は、2つの三方継手71の配管が対称的であって、一方の三方継手71が、他方の三方継手71と、第1ワーク主軸装置3(または第2ワーク主軸装置4)と、第1ポンプ61を接続させるための第1ポンプ継手75に、それぞれクーラント管によって接続されている。なお、第1ポンプ継手75は、複合加工機1の機体幅方向の左右両側端部に設けられているが、その第1ポンプ継手の符号75の末尾にL,Rを付すことにより左右を区別して説明する。後述する第2ポンプ継手の符号76と第3ポンプ継手の符号77に関しても同様である。
【0024】
第2クーラント流路66は、第1クーラント流路75と同じく、2つの三方継手72の配管が対称的であって、一方の三方継手72が、他方の三方継手72と、第1タレット装置5(または第2タレット装置6)と、第2ポンプ62を接続させるための第2ポンプ継手76に、それぞれクーラント管によって接続されている。この第2ポンプ継手76も、複合加工機1の機体幅方向の両側端部に設けられている。
【0025】
第3クーラント流路67は、その三方継手73が、工具主軸装置2と、第3ポンプ63を接続させる左右の第3ポンプ継手77L,77Rに、それぞれクーラント管によって接続されている。また、第3クーラント流路67には切換用継手78が設けられ、第3ポンプ継手77の配管位置の変更が可能になっている。そして、複合加工機1の機体幅方向の両側端部に設けられた一対の第1、第2および第3ポンプ継手75,76,77は、各ポンプに接続しない側に埋栓が嵌め込まれてクーラント管を閉塞することができるようになっている。図3の場合は、右側の第1、第2および第3ポンプ継手75R,76R,77Rである。
【0026】
こうした複合加工機1は、図2および図3に示す場合とは反対に、機体正面から見て右側から加工屑を排出する構成へ変更することが可能である。図4は、排出口521(図2参照)を機体右側に配置する場合の図であり、クーラント供給装置を含む複合加工機1の主要な構造を示した平面図である。すなわち、クーラントタンク55は、クーラント供給装置57を右側に配置した右寄りの構成のものが使用され、チップコンベア10は、排出ダクト52が機体カバー100の右側面から突き出すようにしてクーラントタンク55内に組み込まれる。チップコンベア10の貯留槽52はクーラントタンク55に比べて短いが、左右を反転させた配置であっても、ワーク加工が行われるベッド7の中央部分で加工屑やクーラントを受けるように投入口511が位置する。
【0027】
右寄りのクーラントタンク55は、クーラント供給装置57がベッド7の右側に配置される。このとき機体左側に位置する第1、第2および第3ポンプ継手75L,76L,77Lは、埋栓によって第1、第2、第3クーラント管65,66,67の当該部分が閉塞される。一方、機体右側に位置する第1、第2および第3ポンプ継手75R,76R,77Rには、対応する第1、第2および第3ポンプ61,62,63のいずれかが接続される。
【0028】
そこで、複合加工機1で行われるワーク加工時には、第1ポンプ61から吸い上げられたクーラントが、第1ポンプ継手75Rから第1クーラント流路65へと送り込まれ、三方継手71を通って第1ワーク主軸装置3および第2ワーク主軸装置4へと供給される。同じく第2ポンプ62から送り出されたクーラントは、第2ポンプ継手76Rから三方継手72を通って第1タレット装置5および第2タレット装置6へと供給され、第3ポンプ63から送り出されたクーラントは、第3ポンプ継手77Rから三方継手72を通って工具主軸装置2へと供給される。
【0029】
このように本実施形態によれば、クーラント供給装置57の位置の変更に応じて、第1、第2、第3ポンプ継手75,76,77に対する第1、第2、第3ポンプ61,62,63の接続を切り換えることができる第1、第2、第3クーラント流路65,66,67を有することにより、チップコンベアにおける排出口の位置を選択することが可能である。従って、機体幅方向の寸法が大きい場合に左右のどちらからでも加工屑の排出を可能にしたことで、複合加工機1における工場内での設置の自由度が高まる。
【0030】
本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では工作機械の一例として複合加工機1を例に挙げて説明したが、異なる加工装置を搭載した構成の工作機械であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…複合加工機 2…工具主軸装置 3…第1ワーク主軸装置 4…第2ワーク主軸装置 5…第1タレット装置 6…第2タレット装置 7…ベッド 10…チップコンベア 51…貯留槽 52…排出ダクト 521…排出口 55…クーラントタンク 57…クーラント供給装置 61…第1ポンプ 62…第2ポンプ 63…第3ポンプ 65…第1クーラント流路 66…第2クーラント流路 67…第3クーラント流路 71,72,73…三方継手 75…第1ポンプ継手 76…第2ポンプ継手 77…第3ポンプ継手
図1
図2
図3
図4