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特許7572465T細胞抗原受容体、その多量体複合体、その調製方法及び使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】T細胞抗原受容体、その多量体複合体、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/725 20060101AFI20241016BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241016BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20241016BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20241016BHJP
【FI】
C07K14/725 ZNA
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/17
A61P37/02
G01N33/569 L
G01N33/574 D
G01N33/574 Z
C12N5/078
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022581319
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2021102954
(87)【国際公開番号】W WO2022002014
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202010632672.X
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522435300
【氏名又は名称】華夏英泰(北京)生物技術有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】Tsinghua University,Haidian District,Beijing 100084,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳花
(72)【発明者】
【氏名】劉光娜
(72)【発明者】
【氏名】雷蕾
(72)【発明者】
【氏名】劉芳
(72)【発明者】
【氏名】賈楽梅
(72)【発明者】
【氏名】黄道盛
(72)【発明者】
【氏名】趙学強
(72)【発明者】
【氏名】林欣
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/039507(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/231958(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110357953(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMV pp65に特異的に結合し、
α鎖のCDR1α~CDR3α及びβ鎖のCDR1β~CDR3βを含み、
CDR1αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:4で示されるものであり、
CDR2αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:8で示されるものであり、
CDR3αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:12で示されるものであり、
CDR1βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:18で示されるものであり、
CDR2βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:23で示されるものであり、
CDR3βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:28で示されるものであることを特徴とするT細胞抗原受容体。
【請求項2】
CMV pp65の結合エピトープはSEQ ID NO:1を含むことを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項3】
β鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:247を含むことを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項4】
β鎖をコードするヌクレオチド配列はSEQ ID NO:260を含むことを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項5】
α鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:253を含むことを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項6】
α鎖をコードするヌクレオチド配列はSEQ ID NO:266を含むことを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項7】
α鎖とβ鎖のアミノ酸は直接連結又は間接的に連結されることを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項8】
α鎖とβ鎖のアミノ酸はfp2Aを介して連結されることを特徴とする請求項に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項9】
α鎖とβ鎖の連結順はα鎖、fp2A及びβ鎖、又は、β鎖、fp2A及びα鎖である、請求項に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項10】
アミノ酸配列はSEQ ID NO:36を含むことを特徴とする請求項1に記載のT細胞抗原受容体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体をコードする核酸。
【請求項12】
配列はSEQ ID NO:37を含むことを特徴とする請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
請求項1112のいずれか1項に記載の核酸を含むことを特徴とする発現ベクター。
【請求項14】
請求項1112のいずれか1項に記載の核酸又は請求項13に記載の発現ベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を発現することを特徴とする免疫細胞。
【請求項16】
T細胞又は幹細胞より選択されることを特徴とする請求項15に記載の免疫細胞。
【請求項17】
被検者のT細胞から単離されることを特徴とする請求項15に記載の免疫細胞。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体をコードする核酸配列を免疫細胞にトランスフェクションして発現させることで、免疫細胞を得るステップを含むことを特徴とする免疫細胞の調製方法。
【請求項19】
細胞の内因性TCRをノックダウンするステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の調製方法。
【請求項20】
陽性T細胞をクローニングして請求項1112のいずれか1項に記載の核酸を得るステップ1)と、
初代T細胞を単離して培養するステップ2)と、
ステップ1)で得た核酸をステップ2)の前記初代T細胞に送達し、請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を発現した組換えT細胞を得るステップ3)と、を含むことを特徴とする組換えT細胞の調製方法。
【請求項21】
陽性T細胞をクローニングして請求項1112のいずれか1項に記載の核酸を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得た核酸をベクター骨格に連結し、発現ベクターを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得た発現ベクターを宿主細胞に形質転換した後、その発現を誘導するステップ(3)と、
T細胞抗原受容体を取得するステップ(4)と、を含むことを特徴とするT細胞抗原受容体の調製方法。
【請求項22】
請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を含むことを特徴とする多量体複合体。
【請求項23】
単量体、ビオチン分子、及びストレプトアビジン分子又はアビジン分子をさらに含み、前記単量体はMHC分子α鎖細胞外領域とβ2m鎖及び抗原ペプチドを含み、前記単量体は前記ビオチン分子にカップリングされ、前記ビオチン分子は前記ストレプトアビジン分子又はアビジン分子に結合されることを特徴とする請求項22に記載の多量体複合体。
【請求項24】
前記抗原ペプチドはSEQ ID NO:1を含むことを特徴とする請求項23に記載の多量体複合体。
【請求項25】
前記MHC分子はHLA-A*0201であることを特徴とする請求項23に記載の多量体複合体。
【請求項26】
請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、請求項1112のいずれか1項に記載の核酸、請求項13に記載の発現ベクター、請求項14に記載の宿主細胞、請求項1517のいずれか1項に記載の免疫細胞、請求項2225のいずれか1項に記載の多量体複合体の、腫瘍又はCMV関連疾患を診断又は治療する製品の調製における使用。
【請求項27】
i)請求項1~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、
ii)請求項1112のいずれか1項に記載の核酸、
iii)請求項13に記載の発現ベクター、
iv)請求項14に記載の宿主細胞、
v)請求項1517のいずれか1項に記載の免疫細胞、又は
vi)請求項2225のいずれか1項に記載の多量体複合体のうちのいずれか1群を含む医薬組成物又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCMV pp65を認識可能なT細胞抗原受容体の技術分野に関し、具体的には、複数種類のTCR及びCMV関連疾患の治療及び/又は予防におけるこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
T細胞抗原受容体(TCR:T cell receptor)は免疫系の細胞免疫機能に不可欠であり、TCRは主要組織適合性複合体(MHC)上で提示された特異的抗原ペプチドの唯一の受容体であり、抗原特異的TCRとpMHC複合体の結合によりT細胞と抗原提示細胞との直接的な物理的接触、相互作用を誘発し、後続の一連の細胞シグナル伝達とその他の生理的反応を引き起こし、それによって、異なる抗原特異的T細胞がその標的細胞に対して免疫効果を発揮するようにする。
【0003】
CN107827959Aは、抗原特異的T細胞を単離する方法、及び抗原特異的T細胞において抗原特異的TCRをコードする遺伝子をクローニングする方法を開示する。このTCRは、HBVS183-91抗原短ペプチド複合体FLLTRILTI-HLA*A0201に結合することができ、また、本発明のTCRが形質導入された細胞は、特異的に活性化され、標的細胞に対して強い殺傷効果を有する。CN106279404Aは、α鎖可変領域とβ鎖定常領域との間に人工鎖間ジスルフィド結合を含む、可溶でかつ安定的なヘテロ二量化TCRを開示し、このTCRは可溶でかつ安定的であり、良好に復元され、フォールディングされ、精製されると同時に、原配位子と特異的に結合することができる。しかし、上記特許はいずれもサイトメガロウイルスに対する特異的TCRを開示していない。
【0004】
サイトメガロウイルス(CMV:Cytomegalocirus)はヘルペスウイルス群DNAウイルスの一種であり、細胞封入体ウイルスとも呼ばれる。サイトメガロウイルスは分布が広く、集団で感染が非常に一般的であり、中国では成人の感染率は95%以上に達し、通常は陰性感染を呈し、多数の感染者は臨床症状がないが、一定の条件下で複数の器官と系統を侵襲すると炎症疾患を引き起こす可能性がある。CN102656188Aは、主要組織適合性複合体(MHC)を介して提示されたときにアミノ酸配列NLVPMVATVを有するサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65由来のペプチドに特異的に結合する、サイトメガロウイルス由来の抗原を認識することができるT細胞受容体を開示する。しかし、この出願では、T細胞受容体の標的細胞に対する殺傷作用は明らかではない。
【0005】
このため、本発明は、ウイルス抗原ペプチド提示細胞によって特異的に活性化され、細胞外サイトカインIFNγ、IL2の放出レベル及び乳酸デヒドロゲナーゼの放出量を増加させ、しかも標的細胞を有意に殺傷することができるT細胞抗原受容体を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、SEQ ID NO:34で示されるアミノ酸配列を含む、MHC分子によって提示されたサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65抗原ペプチドに特異的に結合する複数のT細胞抗原受容体(TCR)を提供する。本発明に記載のTCRは、対応するCMV pp65抗原ペプチド-MHC分子複合体を特異的に認識し、TCR T細胞を活性化し、高レベルのサイトカインIFNγ、IL2、TNFαを生成することができ、インビボ試験及びインビトロ試験のいずれにおいても腫瘍細胞を有意に殺傷する。具体的には、以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、SEQ ID NO:4~33より選択される1つ又は2つ以上の組み合わせである、CMV pp65に結合する相補性決定領域(CDR)を提供する。
【0008】
好ましくは、前記CDRはCDR1α~CDR3α及び/又はCDR1β~CDR3βを含む。CDR1αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR2αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR3αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR1βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR2βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR3βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0009】
本発明の1つの特定実施形態では、前記CDRは以下より選択されるいずれか1群である。
【0010】
本発明の第2態様は、CDR1α、CDR2α、及び/又はCDR3αを含むCMV pp65に結合するα鎖ポリペプチドを提供する。CDR1αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR2αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR3αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0011】
本発明の1つの特定実施形態では、前記α鎖ポリペプチドは以下のいずれか1群のCDR1α~CDR3αを含む。
【0012】
本発明の第3態様は、CDR1β、CDR2β及び/又はCDR3βを含むCMV pp65に結合するβ鎖ポリペプチドを提供する。CDR1βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR2βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR3βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0013】
好ましくは、前記β鎖ポリペプチドは以下のいずれか1群のCDR1β~CDR3βを含む。
【0014】
本発明の第4態様は、CMV pp65に特異的に結合するT細胞抗原受容体を提供する。
【0015】
好ましくは、CMV pp65の結合エピトープはSEQ ID NO:1~3のうちのいずれか1つ、2つ又は3つの組み合わせを含む。
【0016】
好ましくは、前記T細胞抗原受容体は主要組織適合性複合体分子(MHC)を介して提示され、サイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65由来の抗原ペプチドに特異的に結合する。
【0017】
好ましくは、前記T細胞抗原受容体は少なくとも1つのα鎖可変領域及び/又はβ鎖可変領域を含む。
【0018】
好ましくは、前記T細胞抗原受容体はαβヘテロ二量体である。
【0019】
好ましくは、前記T細胞抗原受容体はα鎖のCDR1α~CDR3αとβ鎖のCDR1β~CDR3βを含む。
【0020】
さらに好ましくは、CDR3αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0021】
さらに好ましくは、CDR3βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0022】
さらに好ましくは、CDR1αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0023】
さらに好ましくは、CDR2αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0024】
さらに好ましくは、CDR1βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0025】
さらに好ましくは、CDR2βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0026】
よりさらに好ましくは、前記CDR1α~CDR3α及びCDR1β~CDR3βは以下のいずれか1群を含む。
【0027】
本発明の1つの特定実施形態では、そのβ鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:247~252のうちのいずれか1つ又SEQ ID NO:247~252のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0028】
本発明の1つの特定実施形態では、そのα鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:253~258のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:253~258のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0029】
好ましくは、そのα鎖とβ鎖のアミノ酸は直接連結又は間接的に連結され、好ましくは間接的に連結され、より好ましくはfp2A(furin-SGSG-p2A)を介して連結される。
【0030】
さらに好ましくは、前記fp2Aのアミノ酸配列はSEQ ID NO:259を含む。
【0031】
本発明の1つの特定実施形態では、前記α鎖とβ鎖の連結順はα鎖、fp2A及びβ鎖、又は、β鎖、fp2A及びα鎖であってもよい。
【0032】
本発明の1つの特定実施形態では、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0033】
本発明の第5態様は、CMV pp65に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0034】
好ましくは、前記CMV pp65の結合エピトープはSEQ ID NO:1~3のうちのいずれか1つ、2つ又は3つの組み合わせを含む。
【0035】
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片は重鎖のCDR H1~CDR H3及び/又は軽鎖のCDR L1~CDR L3を含む。
【0036】
また、さらに好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片の軽鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:247~252のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:247~252のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0037】
また、さらに好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片の重鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:253~258のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:253~258のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0038】
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片は単一ドメイン抗体又は一本鎖抗体scFvである。
【0039】
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片の重鎖と軽鎖のアミノ酸は直接連結又は間接的に連結され、好ましくは間接的に連結され、より好ましくはp2Aを介して連結される。
【0040】
さらに好ましくは、前記p2Aは、アミノ酸配列がSEQ ID NO:259を含むfp2Aである。
【0041】
本発明の1つの特定実施形態では、前記重鎖と軽鎖の連結順は、重鎖、fp2A及び軽鎖、又は、軽鎖、fp2A及び重鎖であってもよい。
【0042】
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片は例えばFab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv、(Fab’)2、単一ドメイン抗体、二重抗体(dAb)又は線状抗体の断片を含んでもよい。
【0043】
本発明の1つの特定実施形態では、前記抗体又はその抗原結合断片のアミノ酸配列はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0044】
本発明の第6態様は、上記CDRをコードする核酸を提供する。
【0045】
本発明の第7態様は、本発明に記載のT細胞抗原受容体のβ鎖又は上記のβ鎖ポリペプチドをコードする核酸を提供する。
【0046】
好ましくは、T細胞抗原受容体のβ鎖をコードする核酸配列はSEQ ID NO:260~265のいずれか1つ又はSEQ ID NO:260~265のいずれか1つで示される核酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0047】
本発明の第8態様は、本発明に記載のT細胞抗原受容体のα鎖又は上記のα鎖ポリペプチドをコードする核酸を提供する。
【0048】
好ましくは、T細胞抗原受容体のα鎖をコードする核酸配列はSEQ ID NO:266~271のいずれか1つ又はSEQ ID NO:266~271のいずれか1つで示される核酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0049】
本発明の第9態様は、本発明に記載のT細胞抗原受容体又は抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸を提供する。
【0050】
好ましくは、前記T細胞抗原受容体をコードするα鎖とβ鎖はfp2Aをコードする核酸配列を介して連結される。さらに好ましくは、前記fp2Aをコードする核酸配列はSEQ ID NO:272を含む。
【0051】
好ましくは、T細胞抗原受容体をコードする核酸配列はSEQ ID NO:37、39、41、43、45又は47のいずれか1つ又はSEQ ID NO:37、39、41、43、45又は47のいずれか1つで示される核酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0052】
好ましくは、抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸配列はSEQ ID NO:37、39、41、43、45又は47のいずれか1つ又はSEQ ID NO:37、39、41、43、45又は47のいずれか1つで示される核酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
【0053】
本発明に記載の核酸配列は一本鎖又は二本鎖であってもよく、DNA又はRNAであってもよい。
【0054】
好ましくは、前記核酸配列はコドンによって最適化されていてもよい。さらに好ましくは、前記コドン最適化はウイルスなどに使用される大量の希少コドンを対応する哺乳動物のコドンに変更すること、及び/又はmRNA不安定モチーフ及び/又は隠れスプライシング部位を移除することを含む。
【0055】
本発明の第10態様は、本発明のいずれか1項に記載の核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0056】
好ましくは、前記発現ベクターはインビボ、インビトロ又はエクスビボの条件下で発現し得る。さらに好ましくは、前記発現ベクターはインビボ細胞において高レベルで持続的に発現している。
【0057】
好ましくは、前記発現ベクターは原核発現ベクター又は逆転写ウイルスベクターであってもよい。
【0058】
さらに好ましくは、前記原核発現ベクターは大腸菌系列である。本発明の1つの特定実施形態では、前記発現ベクターはpET-26b又はpET28a+である。
【0059】
さらに好ましくは、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ネズミ科白血病ウイルス(MLV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、Fujinami肉腫ウイルス(FuSV)、FBRネズミ骨肉腫ウイルス(FBR MSV)、モロニーネズミ白血病ウイルス(Mo-MLV)、モロニーネズミ肉腫ウイルス(Mo-MSV)、Abelsonネズミ白血病ウイルス(A-MLV)、ニワトリ骨髄細胞増殖ウイルス29(MC29)又はニワトリ骨髄赤血球増多症ウイルス(AEV)などであってもよい。よりさらに好ましくは、前記発現ベクターはレンチウイルス発現ベクターである。
【0060】
本発明の1つの特定実施形態では、前記発現ベクターはpHAGE-IRES-RFPである。
【0061】
さらに好ましくは、前記発現ベクターのβ鎖、α鎖が骨格ベクターに連結する順はプロモータ、β鎖、fp2A、α鎖、IRES及びRFP配列である。
【0062】
本発明の第11態様は、本発明のいずれか1項に記載の核酸又は発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0063】
好ましくは、前記宿主細胞は真核細胞又は原核細胞であってもよい。より好ましくは、前記宿主細胞は酵母細胞、293細胞、CHO細胞、大腸菌などである。
【0064】
本発明の1つの特定実施形態では、前記宿主細胞はStbl3、BL21又はtransettaである。
【0065】
本発明の第12態様は、本発明に記載のCDR、α鎖ポリペプチド、β鎖ポリペプチド、T細胞抗原受容体又は抗体又はその抗原結合断片を発現する免疫細胞を提供する。
【0066】
好ましくは、前記免疫細胞は1つ又は複数の本発明のいずれか1項に記載の異種核酸配列を含む。
【0067】
好ましくは、前記免疫細胞は幹細胞、リンパ球(T細胞、B細胞を含む)を含むが、これらに限定されない。さらに、前記免疫細胞はB細胞であり、前記B細胞は上記の抗体又はその抗原結合断片を発現する。前記免疫細胞はT細胞であり、前記T細胞のT細胞抗原受容体の構造は上記のとおりである。
【0068】
好ましくは、前記T細胞はCD4+T、CD8+Tなどであってもよい。
さらに好ましくは、前記免疫細胞は被検者のT細胞から単離される。
【0069】
好ましくは、前記免疫細胞はCMV血清陰性ドナー由来のT細胞である。
【0070】
本発明の第13態様は、上記CDR、α鎖ポリペプチド、β鎖ポリペプチド、抗体又はその抗原結合断片、又は前記T細胞抗原受容体をコードする核酸配列を免疫細胞にトランスフェクションして発現させることで、免疫細胞を取得することを含む免疫細胞の調製方法を提供する。
【0071】
好ましくは、前記免疫細胞は幹細胞、リンパ球(T細胞、B細胞を含む)を含むが、これらに限定されない。さらに、前記免疫細胞はB細胞であり、前記B細胞は上記の抗体又はその抗原結合断片を発現する。前記免疫細胞はT細胞であり、前記T細胞のT細胞抗原受容体の構造は上記のとおりである。
【0072】
好ましくは、細胞内因性TCRをノックダウンするステップをさらに含む。具体的には、内因性TCRを標的とするguideをレンチウイルスベクターに構築し、パッケージングプラスミド、トランスフェクション試薬とT細胞に共トランスフェクションしてもよい。
【0073】
本発明の第14態様は、
陽性T細胞をクローニングして本発明のいずれか1項に記載の核酸を得るステップ1)と、
初代T細胞を単離して培養するステップ2)と、
ステップ1)で得た核酸をステップ2)の前記初代T細胞に送達し、本発明のいずれか1つに記載の前記CDR、α鎖ポリペプチド、β鎖ポリペプチド、抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体を発現する組換えT細胞を取得するステップ3)と、を含む組換えT細胞の調製方法を提供する。
【0074】
好ましくは、前記T細胞は造血幹細胞又は末梢血リンパ球(PBL)由来T細胞より選択される。
【0075】
本発明の第15態様は、
陽性T細胞をクローニングして本発明のいずれか1項に記載の核酸を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得た核酸をベクター骨格に連結し、発現ベクターを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得た発現ベクターを宿主細胞に形質転換した後、その発現を誘導するステップ(3)と、
抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体を取得するステップ(4)と、を含む抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体の調製方法を提供する。
【0076】
好ましくは、前記陽性T細胞はMHCによって提示されたサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65抗原ペプチドに特異的に結合する。さらに好ましくは、前記MHCによって提示されたサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65抗原ペプチド複合体は単量体又は多量体複合体である。
【0077】
本発明の第16態様は、本発明のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を含む多量体複合体を提供する。
【0078】
好ましくは、前記多量体複合体は単量体、ビオチン分子、及びストレプトアビジン分子又はアビジン分子をさらに含み、前記単量体はMHC分子α鎖細胞外領域、β2m鎖及び抗原ペプチドを含み、前記単量体は前記ビオチン分子にカップリングされ、前記ビオチン分子は前記ストレプトアビジン又はアビジン分子に結合される。
【0079】
好ましくは、前記MHC分子α鎖細胞外領域のC末端にavi-tag配列が連結されている。
【0080】
好ましくは、前記MHC分子α鎖細胞外領域はシグナルペプチド配列を含まない。成熟ペプチド配列の前にMアミノ酸が追加されている。
【0081】
好ましくは、前記β2m鎖はシグナルペプチド配列を含まない。成熟ペプチド配列の前にMとAの2つのアミノ酸が追加されている。
【0082】
本発明の1つの特定実施形態では、前記β2m鎖はシグナルペプチドを含まず、成熟ペプチド配列の前に2つのアミノ酸、好ましくはM、Aが追加されている。
【0083】
好ましくは、前記抗原ペプチドはSEQ ID NO:1~3のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせを含む。
【0084】
本発明の1つの特定実施形態では、前記多量体複合体は以下のものを含む。
(1)T細胞抗原受容体であって、好ましくは、SEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含む。
(2)単量体であって、抗原ペプチド、C末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域及びシグナルペプチドを含まないβ2m鎖を含み、前記抗原ペプチドはSEQ ID NO:1~3より選択されるいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせである。
(3)ビオチン分子、及び
(4)ストレプトアビジン分子又はアビジン分子であって、前記単量体は前記ビオチン分子にカップリングされ、前記ビオチン分子は前記ストレプトアビジン又はアビジンに結合される。
【0085】
好ましくは、前記MHC分子はMHC Iクラス分子又はMHC IIクラス分子である。より好ましくは、前記MHC分子はMHC Iクラス分子である。
【0086】
好ましくは、前記MHC分子はHLA-A*0201、HLA-A*2402及びHLA-A*1101より選択される。
【0087】
本発明の1つの特定実施形態では、前記MHC分子α鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:48、50又は52のうちのいずれか1つで示されるか、又はSEQ ID NO:48、50又は52のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有する。
【0088】
本発明の1つの特定実施形態では、前記MHC分子α鎖のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:49、51又は53のうちのいずれか1つで示されるか、又はSEQ ID NO:49、51又は53のうちのいずれか1つで示されるヌクレオチド配列とは少なくとも80%の相同性を有する。
【0089】
本発明の1つの特定実施形態では、前記MHC分子のβ2m鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:54のうちのいずれか1つで示されるか、又はSEQ ID NO:54のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有する。
【0090】
本発明の1つの特定実施形態では、前記MHC分子のβ2m鎖のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:55のうちのいずれか1つで示されるか、又はSEQ ID NO:55のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有する。
【0091】
抗原ペプチド-MHC分子4量体とT細胞抗原受容体との結合の特異性を高めるために、前記単量体は少なくとも1つのアミノ酸の化学修飾、突然変異、挿入及び/又は欠失をさらに含む。
【0092】
好ましくは、前記MHC分子α鎖細胞外領域及びβ2m鎖は非共有結合である。
【0093】
好ましくは、前記多量体複合体は少なくとも1つの単量体を含む。
【0094】
好ましくは、単量体ごとに少なくとも1つのビオチン分子がカップリングされている。
【0095】
本発明の第17態様は、
C末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域及びβ2m鎖を発現して精製するステップI)と、
抗原ペプチド、ステップI)で得たβ2m鎖とC末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域を復元してフォールディングして、単量体を調製するステップII)と、
ステップII)で調製した単量体をビオチン化し、ビオチン化単量体を取得するステップIII)と、
ステップIII)で得たビオチンの単量体を蛍光標識付きストレプトアビジン又はアビジンと反応させ、抗原ペプチド-MHC分子4量体を調製するステップIV)と、
ステップIV)で得た抗原ペプチド-MHC分子4量体をT細胞と共インキュベートし、T細胞抗原受容体と抗原ペプチド-MHC分子4量体との複合体を形成するステップV)と、を含む本発明のいずれか1項に記載の多量体複合体の調製方法を提供する。
【0096】
好ましくは、前記ステップI)は、C末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域をコードするヌクレオチド配列及びMHC分子β2m鎖のヌクレオチド配列をそれぞれクローニングし、ベクターに連結した後、発現菌に形質転換して培養し、誘導剤を加えて、封入体を提取することを含む。
【0097】
さらに好ましくは、前記発現菌はOD600値が0.2~0.4の間となるまで培養される。
【0098】
さらに好ましくは、前記誘導剤は添加後の最終モル濃度が0.5~1mMである。
【0099】
好ましくは、4~6h誘導発現する。
【0100】
好ましくは、前記ステップII)は、β2m鎖の復元フォールディングを含み、すなわち、抗原ペプチド、MHC分子β2m鎖、C末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域を希釈緩衝液に順次加えて遮光下水浴処理し、前記β2m鎖の復元フォールディングは封入体を変性して、プロテアーゼ阻害剤を加えた後に透析することを含む。
【0101】
好ましくは、前記抗原ペプチドでは、シグナルペプチドを含まないβ2m鎖とC末端にavi-tag配列が連結されたα鎖とのモル比が(30~50):(2~2.5):1である。さらに好ましくは40:2:1である。
【0102】
好ましくは、前記ステップII)では、単量体を精製するステップをさらに含む。
【0103】
好ましくは、前記ステップIII)におけるビオチン化は、BirA酵素の触媒の下で、単量体をBiomixA、BiomixBに結合することである。
【0104】
好ましくは、前記ステップIII)では、ビオチン化単量体を精製するステップをさらに含む。
【0105】
好ましくは、前記ステップIV)では、単量体とストレプトアビジンとの反応モル比は(4~7):1である。
【0106】
本発明の第18態様は、上記多量体複合体の、本発明に記載の抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体の調製、スクリーニング又は検出における使用を提供する。
【0107】
本発明の第19態様は、
C末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域及びβ2m鎖を発現して精製するステップI)と、
抗原ペプチド、ステップI)で得たC末端にavi-tag配列が連結されたMHC分子α鎖細胞外領域及びβ2m鎖を復元してフォールディングし、単量体を調製するステップII)と、
ステップII)で調製した単量体をビオチン化し、ビオチン化単量体を取得するステップIII)と、
ステップIII)で得たビオチン化単量体を蛍光標識付きストレプトアビジン又はアビジンと反応させ、抗原ペプチド-MHC分子4量体を調製するステップIV)と、
ステップIV)で得た抗原ペプチド-MHC分子4量体をT細胞と共インキュベートし、T細胞抗原受容体と抗原ペプチド-MHC分子4量体の複合体を形成し、単離してT細胞抗原受容体を取得するステップV)と、を含むT細胞抗原受容体の調製方法を提供する。
【0108】
本発明の第20態様は、本発明のいずれか1項に記載のCDR、本発明のいずれか1項に記載のα鎖ポリペプチド、本発明のいずれか1項に記載のβ鎖ポリペプチド、本発明のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、本発明のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、本発明のいずれか1項に記載の核酸、本発明に記載の発現ベクター、本発明に記載の宿主細胞、本発明に記載の免疫細胞、本発明のいずれか1項に記載の多量体複合体の、腫瘍又はCMV関連疾患を診断又は治療する製品の調製における使用を提供する。
【0109】
好ましくは、前記CMV関連疾患は新生児CMV封入体疾患、急性獲得性CMV感染、又は免疫妥協者CMV感染による疾患より選択される。
【0110】
本発明の1つの特定実施形態では、前記CMV関連疾患は肝臓、脾臓又は中枢神経系疾患、障害、伝染性単球増加症、骨格筋痛、CMV網膜炎、胃腸CMV又は脳炎などより選択される。
【0111】
本発明の第21態様は、本発明のいずれか1項に記載のCDR、本発明のいずれか1項に記載のα鎖ポリペプチド、本発明のいずれか1項に記載のβ鎖ポリペプチド、本発明のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、本発明のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、本発明のいずれか1項に記載の核酸、本発明に記載の発現ベクター、本発明に記載の宿主細胞、本発明に記載の免疫細胞、本発明のいずれか1項に記載の多量体複合体の、T細胞標識、検出、細胞選別又は活性化における使用を提供する。
【0112】
本発明の第22態様は、
i)本発明のいずれか1項に記載のCDR、
ii)本発明のいずれか1項に記載のα鎖ポリペプチド、
iii)本発明のいずれか1項に記載のβ鎖ポリペプチド、
iv)本発明のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、
v)本発明のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、
vi)本発明のいずれか1項に記載の核酸、
vii)本発明のいずれか1項に記載の発現ベクター、
viii)本発明のいずれか1項に記載の宿主細胞、
ix)本発明のいずれか1項に記載の免疫細胞、又は
x)本発明のいずれか1項に記載の多量体複合体のうちのいずれか1群を含む医薬組成物を提供する。
【0113】
好ましくは、前記医薬組成物は薬学的に許容可能な補助材料をさらに含んでもよい。
【0114】
好ましくは、前記医薬組成物は他の治療剤と併用されてもよい。さらに好ましくは、前記治療剤は免疫調整剤であってもよい。
【0115】
本発明の第23態様は、
i)本発明のいずれか1項に記載のCDR、
ii)本発明のいずれか1項に記載のα鎖ポリペプチド、
iii)本発明のいずれか1項に記載のβ鎖ポリペプチド、
iv)本発明のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、
v)本発明のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、
vi)本発明のいずれか1項に記載の核酸、
vii)本発明のいずれか1項に記載の発現ベクター、
viii)本発明のいずれか1項に記載の宿主細胞、
ix)本発明のいずれか1項に記載の免疫細胞、又は
x)本発明のいずれか1項に記載の多量体複合体のうちのいずれか1群を含むキットを提供する。
【0116】
本発明の第24態様は、検出対象サンプルを本発明に記載の抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体と接触させた後、サイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65と抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体とで形成される複合体を検出することを含む、サイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65の検出方法を提供する。
【0117】
好ましくは、前記検出サイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65はサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65の存在又は含有量を検出する。前記存在は有無を表し、前記含有量は発現量又はタンパク質濃度などであってもよい。
【0118】
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体は検出可能なマーカーを含む。
【0119】
本発明の1つの特定実施形態では、前記マーカーはHis及び/又はHAであってもよい。
【0120】
本発明に記載のサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65の検出方法は、疾患の診断方法ではない。まず、検出対象サンプルは生物体又はその摘出組織や細胞ではなく、次に、生物体中にサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65が存在するか、又は所定の濃度又は発現レベルのサイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65が含まれていても、疾患であると判定できず、可能性に過ぎない。
【0121】
本発明の第25態様は、本発明に記載の抗体又はその抗原結合断片、前記T細胞抗原受容体、前記核酸、前記発現ベクター、前記宿主細胞、前記免疫細胞又は前記医薬組成物の有効量を個体に投与することを含むCMV関連疾患の治療及び/又は予防方法を提供する。
【0122】
好ましくは、前記方法は、本発明に記載のT細胞抗原受容体を発現するT細胞を被検者に養子転移するステップを含む。
【0123】
好ましくは、前記方法は、本発明に記載のT細胞抗原受容体をCMV関連疾患(好ましくは腫瘍又は転移性腫瘍)の付近に局在化し、毒素又は免疫刺激剤の効果を高めることを含む。
【0124】
好ましくは、同種異体造血幹細胞移植後のCMV再活性化を治療及び/又は予防する。
【0125】
好ましくは、器官移植(例えば腎臓、肝臓、脾臓、腸、角膜)、組織移植、細胞移植(膵島細胞、角膜縁幹細胞)又は幹細胞治療後のCMV再活性化を治療及び/又は予防する。
【0126】
好ましくは、前記本発明に記載のT細胞抗原受容体を発現するT細胞は被検者に由来する。
【0127】
好ましくは、前記本発明に記載のT細胞抗原受容体を発現するT細胞は前記造血幹細胞、器官、組織、細胞又は幹細胞と同様のドナーに由来する。
【0128】
本発明の第26態様は、サンプルを採取し、サンプルを本発明に記載の抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体と接触させた後、CMV pp65と抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体とで形成される複合体を検出することを含むCMV関連疾患の診断方法を提供する。
【0129】
好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片又はT細胞抗原受容体は検出可能なマーカーを含む。
【0130】
本発明に記載のTCRは、対応するCMV pp65抗原ペプチド-MHC分子複合体を特異的に認識し、TCR T細胞を活性化させ、高レベルのサイトカインIFNγ、IL2、TNFαを生成することができ、インビボ試験及びインビトロ試験のいずれにおいても腫瘍細胞を有意に殺傷する。
【0131】
本発明に記載の「T細胞抗原受容体」は、MHC分子又はその4量体によって提示されたときのペプチドを認識することができる分子である。
【0132】
本発明に記載の「腫瘍」とは、膵臓癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、リンパ腫、基底細胞癌、非小細胞肺癌、白血病、卵巣癌、鼻咽頭癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌、肺癌、気管支癌、骨癌、前立腺癌、胆管癌、食道癌、腎臓癌、甲状腺癌、頭頸部癌、精巣癌、膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、骨髄異形成症候群、及び肉腫を含むが、これらに限定されない。ここで、前記白血病は、急性リンパ球性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性白血病、髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞白血病、及び慢性骨髄性白血病より選択され、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫より選択され、B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、及びバルデンストロームマクログロブリン血症を含み、前記肉腫は、骨肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、軟組織肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、軟骨肉腫より選択される。前記腫瘍は、膵臓癌、肝臓癌、口腔扁平上皮癌、結腸癌、卵巣癌、胃癌より選択されることが好ましい。本発明の1つの特定実施形態では、前記腫瘍はリンパ腫である。
【0133】
本発明に記載の「CMV関連疾患」は、肝臓、脾臓及び中枢神経系に重大な影響を及ぼす可能性のある新生児CMV封入体疾患を含む、CMV pp65感染に起因する疾患を含む。また、伝染性単球増加症に類似し、発熱、骨格筋疼痛などがある急性獲得性CMV感染も含まれる。また、CMV網膜炎、胃腸CMV及び脳炎などを引き起こすことがある、臓器を移植された人やHIVに罹患している人などの免疫妥協者も含まれる。
【0134】
本発明に記載の「抗原結合断片」は、VL、CL、VH及びCH1ドメインを有するFab断片、CH1ドメインのC末端に1つ又は複数のシステイン残基を有するFab断片であるFab’断片、VHドメイン及びCH1ドメインを有するFd断片、VHドメイン及びCH1ドメインと、CH1ドメインのC末端に1つ又は複数のシステイン残基とを有するFd’断片、抗体の単一アームのVL及びVHドメインを有するFv断片、VHドメイン又はVLドメインからなるdAb断片、単離されたCDR領域、ヒンジ領域においてジスルフィドブリッジによって連結された2つのFab’断片を含む2価断片であるF(ab’)2断片、一本鎖抗体分子(例えば、一本鎖Fv;scFv)、2つの抗原結合部位を有する「二重抗体」であって、軽鎖可変領域(VL)に結合した重鎖可変領域(VH)を同一ポリペプチド鎖中に含むもの、相補的軽鎖ポリペプチドと共に抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線状抗体」、抗原結合活性を保持する前記物質のいずれかの改変された形態を含むが、これらに限定されない。
【0135】
本発明に記載の「CDR」は、免疫グロブリン(Ig)又はT細胞抗原受容体(TCR)の短い断片であり、抗原エピトープに単独で又は他のCDRと組み合わせて結合する。前記免疫グロブリンは抗体であってもよく、この場合、CDRは抗体の可変配列内の相補性決定領域に対応する。可変領域ごとに、重鎖及び軽鎖の各可変領域に、それぞれ重鎖又は軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれる3つのCDRがある。前記T細胞抗原受容体(TCR)において、CDRはα鎖又はβ鎖に存在し、α鎖又はβ鎖にはそれぞれ3つのCDRが存在し、これらはそれぞれα鎖又はβ鎖のCDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれる。これらのCDRの正確な境界は、システムによって異なって定義されている。Kabatら(Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987)と(1991))によるシステムは、抗体の可変領域に適した明確な残基番号体系を提供するだけでなく、3つのCDRを限定する残基境界も提供する。これらのCDRはKabat CDRと呼ばれてもよい。各相補性決定領域は、Kabatによって定義されるような「相補性決定領域」からのアミノ酸残基を含んでもよい。Chothiaら(Chothia&Lesk, J. Mol. Biol, 196:901-917 (1987)とChothia et al., Nature 342:877-883 (-1989))は、Kabat CDR内の一部のサブセクションが、アミノ酸配列のレベルでは大きな多様性があるものの、ほぼ同じペプチド骨格配座をとることを見出した。これらのサブセクションは、それぞれL1、L2、L3、又はH1、H2、H3と呼ばれ、ここで、「L」及び「H」は、それぞれ軽鎖領域及び重鎖領域を表す。これらの領域は、Kabat CDRと重なり合う境界を有するChothia CDRとばれてもよい。他のCDR境界定義は、上記のシステムの1つに厳密に従わなくてもよいが、Kabat CDRとオーバーラップし、本明細書で使用される方法は、好ましい実施形態ではKabat又はChothiaによって定義されたCDRを使用するが、これらのシステムのいずれかに従って定義されたCDRを利用することができる。前記TCRにおけるCDRの残基境界は、上記と同じである。前記「抗体可変領域」とは、抗体分子の軽鎖及び重鎖のうち、相補性決定領域(CDR、すなわちCDR1、CDR2、及びCDR3)及びフレームワーク領域(FR)を含むアミノ酸配列の部分をいう。VHは重鎖の可変領域を指す。VLは軽鎖の可変領域を指す。
【0136】
本発明に記載の「含む」が本願においてタンパク質又は核酸の配列を説明するために使用される場合、前記タンパク質又は核酸は、その配列から構成されていてもよく、又は前記タンパク質又は核酸の一端又は両端に付加的なアミノ酸又はヌクレオチドを有していても、本発明に記載の活性を有していてもよい。
【0137】
本発明に記載の「予防」とは、本発明に記載の製品を投与することによって、症状を抑制するか、又は特定の症状の緊張を遅らせるすべての行為を意味する。
【0138】
本発明に記載の「診断」とは、患者が過去、診断時又は将来に疾患又は障害に罹患しているか否かを明らかにすること、又は疾患の進行又は将来の可能性のある進行を明らかにすること、又は治療に対する患者の反応を評価することを意味する。
【0139】
本発明に記載の「治療」とは、徴候、症状、失調、障害、又は疾患の進行又は重篤度を遅延、中断、阻止、制御、停止、軽減、又は逆転することを意味するが、必ずしも疾患に関連するすべての徴候、症状、障害又は失調の完全な除去に関わるわけではなく、しかも疾患がすでに発展し始めた後に疾患又は病理状態の徴候、病状などを改善する治療干渉を意味する。
【0140】
本発明に記載の「有効量」とは、単一又は複数の用量で患者又は臓器に投与された後に所望の治療又は予防を提供する本発明に記載の製品の量又は用量を意味する。
【0141】
本発明に記載の「製品」は、本発明に記載の抗体又はその抗原結合断片、前記T細胞抗原受容体、前記核酸、前記発現ベクター、前記宿主細胞、前記免疫細胞、又は前記多量体複合体、及び上記の製品と相乗的又は補助的な他の試薬を含むが、これらに限定されない。
【0142】
本発明に記載の「製品」は、キット、チップ、抗体コンジュゲート又は多機能抗体などの医薬組成物であってもよい。
【0143】
本発明に記載の「被検者」には、ヒト又は非ヒト哺乳動物が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、前記非ヒト哺乳動物は、マウス、ラット、サル、ブタやウサギ等を含むが、これらに限定されない。
【0144】
本発明に記載の「相同性」とは、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の使用において、当業者が、元の配列の主要な構造又は機能を変更することなく、実用上の必要に応じて配列を調整することができ、使用する配列が、本発明に記載の特定の配列と比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の相同性を有するようにすることを意味する。例えば、本発明に記載の「SEQ ID NO:12~17のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有する」は、サイトメガロウイルス(CMV)リンタンパク質pp65ペプチドエピトープ:MHC複合体との結合機能を維持しながら、実用上の必要に応じてSEQ ID NO:12、13、14、15、16又は17を調整することができ、例えば、1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入などの1つ又は複数の改変、切断、又は一端又は両端の延長を含むことができ、80%以上の相同性を維持し、pp65エピトープ:MHC複合体又はpp65エピトープ:MHC分子4量体との結合能力を保持すればよい。前記改変は、置換、追加、又は欠失とすることであってもよい。同極性アミノ酸間の置換、同電荷アミノ酸間の置換、非電荷アミノ酸間の置換、脂肪族アミノ酸間の置換、芳香族アミノ酸間の置換、無極性アミノ酸間の置換、又は関連する性質を有する側鎖部分のアミノ酸間の置換であってもよい。ここで、塩基性側鎖は、リジン、アルギニン又はヒスチジンを含むが、これらに限定されない。酸性側鎖は、アスパラギン酸又はグルタミン酸を含むが、これらに限定されない。非電荷アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン、セリン、トレオニン又はチロシンが含まれるが、これらに限定されない。非極性側鎖は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン又はシステインを含むが、これらに限定されない。ここで、前記少なくとも80%は、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%を含むが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
図1】抗原ペプチド-MHC単量体のSDS PAGE検出結果であり、Mはタンパク質Markerであり、バンド1、2は単量体である。
図2】4量体抽出特異的T細胞の検出結果であり、第1列は独自に開発したA0201-NLV4量体と市販4量体抽出特異的T細胞との比較結果であり、第2列は独自に開発したA2402-QYD4量体と市販4量体抽出特異的T細胞との比較結果である。
図3】A1101-ATV4量体について検出したC44 TCR-T細胞陽性率である。
図4】TCR β鎖及びα鎖のpHAGEベクターにおける連結の概略図であり、連結順は順次プロモータ、β鎖、furin-p2A、α鎖、IRES及びRFP配列である。
図5】フローサイトメトリー検出によるTCRの膜表面発現の状況であり、図5AはHLA-A*A0201 NLVPMVATV特異的TCR(C2、C22、C29)の膜表面発現の状況であり、図5BはHLA-A*A2402 QYDPVAALF特異的TCR(C27、C30)の膜表面発現の状況であり、図5CはHLA-A*A1101 ATVQGQNLK特異的TCR(C44、C45)の膜表面発現の状況であり、ここで、BV421は一連のフルオレセインのうちの1種であり、BVのフルネームはBrilliant Violetである。
図6】フローサイトメトリー検出によるTCRのCMV pp654量体プローブへの結合の親和性である。図6AはHLA-A*A0201 NLVPMVATV特異的TCR(C2、C22、C29)のCMV pp654量体プローブへの結合の親和性の検出結果であり、図6BはHLA-A*A2402 QYDPVAALF特異的TCR(C27、C30)のCMV pp654量体プローブへの結合の親和性の検出結果であり、図6CはHLA-A*A1101 ATVQGQNLK特異的TCR(C44、C45)のCMV pp654量体プローブへの結合の親和性の検出結果である。
図7】C2-TCR T、C22-TCR T、C29-TCR TサイトカインIL2(図7B)、TNFα(図7C)及びIFNγ(図7D)の放出レベル及び標的細胞のルシフェラーゼレベル(図7A)の検出結果図であり、C2、C22、C29は実施例2で調製されたTCRであり、NEは空白対照群を表し、NTはT細胞群のみを表し、Rajiはpp65をトランスフェクションしていないRaji細胞を表し、1G4はNY-ESO-1に対して特異的なTCRを表す。
図8】C27-TCR T、C30-TCR TサイトカインIL2(図8B)、TNFα(図8C)及びIFNγ(図8D)の放出レベル及び標的細胞のルシフェラーゼレベル(図8A)の検出結果図であり、C27、C30は実施例2で調製されたTCRであり、NEは空白対照群を表し、NTはT細胞群のみを表し、Rajiはpp65をトランスフェクションしていないRaji細胞を表し、1G4はNY-ESO-1に対して特異的なTCRを表す。
図9】C44-TCR T、C45-TCR TサイトカインIFNγの放出レベル(図9B)及び標的細胞のルシフェラーゼレベル(図9A)の検出結果図であり、C44、C45は実施例2で調製されたTCRであり、NEは空白対照群を表し、NTはT細胞群のみを表し、Rajiはpp65をトランスフェクションしていないRaji細胞を表し、1G4はNY-ESO-1に対して特異的なTCRを表す。
図10】リンパ腫動物モデルにおいてC22-TCRのマウスの体内での腫瘍成長抑制を評価したものである。
図11】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C22-TCR)のマウスの生存率を統計した結果である。
図12】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C22-TCR)のマウスの体重を統計した結果である。
図13】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C22-TCR)のマウス体内のTCR T細胞特異増殖を統計した結果であり、その結果、PBS群及びNC群の結果は全て0であり、図13においては、6本の折れ線はC22-TCR群の6個の異なるマウス体内のTCR T細胞特異増殖を統計した結果である。
図14】リンパ腫動物モデルにおいてC27-TCRのマウス体内での腫瘍成長抑制を評価したものである。
図15】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C27-TCR)のマウスの腫瘍成長を統計した結果である。
図16】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C27-TCR)のマウス体内のTCR T細胞特異増殖を統計した結果である。
図17】リンパ腫動物モデルにおいてC45-TCRのマウス体内での腫瘍成長抑制を評価したものである。
図18】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C45-TCR)のマウスの腫瘍成長を統計した結果である。
図19】リンパ腫動物モデル、非T細胞注射群(PBS)、対照T細胞注射群(NC)、及びCMV TCR-T注射群(C45-TCR)のマウス体内でのTCR T細胞特異増殖を統計した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0146】
以下、図面を参照して本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力を必要とせずに得る他のすべての実施例は本発明の特許範囲に属する。
【0147】
実施例1:CMV抗原エピトープ4量体の構築及び効果検出
【0148】
一、CMV抗原エピトープ4量体の構築
1)配列が最適化されたHLA-A*0201(そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:48、ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:49に示す)、HLA-A*2402(そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:50、ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:51に示す)、及びHLA-A*1101(そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:52、ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:53に示す)のα鎖とβ2m鎖(そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:54、ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:55に示す)を発現した。α鎖の構造は対応するHLA型α鎖の細胞外領域配列にAvi-tag配列が連結されており、BamHI酵素切断部位で隔てられて、ビオチン化部位を提供する。β2m鎖にはシグナルペプチド配列が取り除かれ、成熟ペプチド配列の前に2つのアミノ酸(MとA)が追加されている。発現ベクターはPET28a+であり、発現菌はtransetta又はBL21である。IPTG濃度は0.5mMで、4h誘導発現する。α鎖とβ2m鎖タンパク質封入体を抽出した。
2)CMV抗原エピトープ(抗原ペプチド)の選択:HLA-A*0201型対応抗原エピトープNLVPMVATV(SEQ ID NO:1)、HLA-A*2402型対応抗原エピトープQYDPVAALF(SEQ ID NO:2)、HLA-A*1101型対応抗原エピトープATVQGQNLK(SEQ ID NO:3)。
3)pMHC I単量体のフォールディング及び精製:ステップ2)の前記抗原ペプチド、対応するステップ1)の前記β2m鎖復元グタンパク質及びα鎖タンパク質を40:2:1のモル比で還元系に順に加え、72hフォールディング反応させた。得られた産物をSuperdex75 10/300GLカラムに通して精製した。精製産物を収集して、avidityキットでビオチン化し、再度精製してビオチン化単量体を得、ゲル電気泳動により単量体純度を検出した。
4)ステップ3)の前記ビオチン化単量体をAPC標識ストレプトアビジンと結合反応させて、対応する4量体を得、それぞれA0201-NLVPMVATV-4量体(A0201-NLV4量体と略称する)、A2402-QYDPVAALF-4量体(A2402-QYD4量体と略称する)、A1101-ATVQGQNLK-4量体(A1101-ATV4量体と略称する)と命名した。
【0149】
二、CMV抗原エピトープの4量体効果の検出
1.ヒト末梢血単球細胞(PBMC)を単離するか、TCR-T細胞を準備し、細胞密度1×10細胞/mLの細胞懸濁液を調製した。
2.細胞を3000rpmで5min遠心分離した。上清を除去し、1%血清を含むPBS 50μLで重懸濁させた。
3.4量体2μLを加えて室温で30minインキュベートした。
4.CD8抗体2μLを加えて、氷上で20minインキュベートした。
5.PBS 1mLを加えて、3000rpmで5min遠心分離した。
6.上清を除去し、PBS 1mLを加えて、3000rpmで5min遠心分離した。
7.上清を除去し、4%パラホルムアルデヒド500μLで細胞を再懸濁させ、ろ過膜で細胞懸濁液をろ過した。
8.フローサイトメータで陽性細胞を検出した。
【0150】
三、実験結果
単量体のSDS PAGE検出結果を図1に示す。図1に示すように、復元フォールディングとHPLC精製により得られた単量体は重鎖(C末端にAvi-tag配列が連結されたα鎖細胞外領域)と軽鎖(シグナルペプチド領域が除去されたβ2m鎖)に対応するサイズのタンパク質を明確に示し、純度が高い。
構築した4量体をそれぞれ対応するHLA型PBMC細胞と共インキュベートして特異的T細胞を抽出した。図2に示すように、独自に開発した4量体は市販4量体(MBL社)より特異的T細胞を抽出する面で明らかな優位性がある。具体的には、独自に開発したA0201-NLV4量体により選別された特異的T細胞は、市販4量体(MBL、TS-0010-2C)の2倍となっている。また、異なるロットの選別効率は類似し、極めて高い選別効率と安定性を示した。このA0201-NLV4量体でC22 TCRとC29 TCRを抽出した。市販A2402-QYD(MBL、TS-0020-2C)4量体は対応する特異的T細胞を検出しなかったが、独自に開発した4量体は0.02~0.05%の陽性群を検出し、このことから、独自に開発した4量体は特異的T細胞を選別する面で高度な感度を持ち、しかも異なるロットのデータは高度な安定性を示した。このA2402-QYD4量体でC27 TCRとC30 TCRを抽出した。
また、A1101型対応TCR(C44 TCR)は同じエピトープの独自に開発した4量体と市販4量体(MBL、TS-M012-1)の両方により認識され(図3参照)、市販4量体陽性群は感染細胞の90.5%を占め、独自に開発した4量体陽性群は感染細胞の91%を占めた。C45 TCRの結果は図5を参照する。
【0151】
実施例2:pHAGE-TCR-RFPベクターの構築
【0152】
一、CMV pp65エピトープ特異的TCRのβとα遺伝子断片の取得
1)MBL社から購入又は自社で自作したHLA-A*0201-NLVPMVATV-4量体、HLA-A*2402-QYDPVAALF-4量体、HLA-A*1101-ATVQGQNLK-4量体を用いて、製品の取扱書と末梢血染色に従って、4量体染色陽性のT細胞について単細胞をフローサイトメトリーソーティングし、逆転写してcDNA(SuperScript(R)IV Reverse Transcriptase、Invitrogen)を得た。多重PCR(Multiplex PCR)原理により、2回のPCR(KOD-Plus-Neo、TOYOBO)によりTCRβ遺伝子の可変領域断片を増幅した。
逆転写プライマー:TRBC1-TCAGGCAGTATCTGGAGTCATTG(SEQ ID NO:136)
PCR増幅プライマー:
上流プライマー1:T細胞受容体β可変領域-TRBV_F1(SEQ ID NO:56~95参照)
上流プライマー2:T細胞受容体β可変領域-TRBV_F2(SEQ ID NO:96~135参照)
下流プライマー1:T細胞受容体β定常領域-TRBC2-GCACCTCCTTCCCATTCACC(SEQ ID NO:137)
下流プライマー2:T細胞受容体β定常領域-TRBC3-GCTTCTGATGGCTCAAACACAG(SEQ ID NO:138)
具体的には、PCRポリメラーゼKOD-Plus-Neoの製品取扱書によると、1回目のPCR系は20μL、アニーリング温度は60℃、反応は30サイクルである。1回目のPCR反応の産物1μLを2回目のPCRのテンプレートとし、2回目のPCR系は30μL、アニーリング温度は60℃、反応は30サイクルである。次に、2回目のPCR産物をアガロースゲル電気泳動にかけ、対応するサイズのバンドについてゲルをカットして回収し(天根生社製のゲル回収キット)、シーケンシングに送り、シーケンシングプライマーは下流プライマー2である。TCRβ遺伝子配列を得た。C2、C22、C27、C29、C30、C44、C45のβ鎖ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:277、260~265に示す。
2)以上のように、4量体染色陽性T細胞を逆転写してcDNA(SuperScript(R)IV Reverse Transcriptase、Invitrogen)を得た。取扱書に従って2回のPCR(KOD-Plus-Neo、TOYOBO)によりTCRα遺伝子断片を増幅した。
逆転写プライマーは、T細胞受容体α定常領域-TRAC1-CGACCAGCTTGACATCACAG(SEQ ID NO:139)
PCR増幅プライマー:
上流プライマー3:T細胞受容体α可変領域-TRAV_F1(SEQ ID NO:142~186参照)
上流プライマー4:T細胞受容体α可変領域-TRAV_F2(SEQ ID NO:187~228参照)
下流プライマー3:T細胞受容体α定常領域-TRAC2-GTTGCTCTTGAAGTCCATAGACCTC(SEQ ID NO:140)
下流プライマー4:T細胞受容体α定常領域-TRAC3-CAGGGTCAGGGTTCTGGATA(SEQ ID NO:141)
具体的には、PCRポリメラーゼKOD-Plus-Neoの製品取扱書によると、1回目のPCR系は20μL、アニーリング温度は60℃、反応は30サイクルである。1回目のPCR反応の産物1μLを2回目のPCRのテンプレートとし、2回目のPCR系は30μL、アニーリング温度は60℃、反応は30サイクルである。次に、2回目のPCR産物をアガロースゲル電気泳動にかけ、対応するサイズのバンドについてゲルをカットして回収し(天根生社製のゲル回収キット)、シーケンシングに送り、シーケンシングプライマーは下流プライマー4である。TCRα遺伝子配列を得た。具体的には、C2、C22、C27、C29、C30、C44、C45のα鎖ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:278、266~271に示す。
【0153】
二、pHAGE-TCRベクターの構築
TCRβ、fp2A、TCRαを長いプライマー(fp2A配列を含む)でoverlap-PCR増幅し(KOD-Plus-Neo、TOYOBO)、TCRβ-fp2A-TCRα断片を得、それぞれC22、C27、C29、C30、C44又はC45と命名した。
増幅プライマーは、上流プライマー5(表1)、下流プライマー5、上流プライマー6(表2)、下流プライマー6を含む。
下流プライマー5:TCTCCAGCCTGCTTCAGCAGGCTGAAGTTAGTAGCTCCGCTTCCGCTccgtttccgccgGAAATCCTTTCTCTTGACCATG(SEQ ID NO:235)
下流プライマー6:agggatcctctagactcgagctagcTCAGCTGGACCACAGCCGCA(SEQ ID NO:242)。
具体的には、プライマー5とプライマー6でTCRβとTCRαをそれぞれ増幅し、PCR系は50μL、アニーリング温度は60℃、反応は30サイクルである。PCR産物をゲル電気泳動にかけ、ゲルを回収し(天根生社製のゲル回収キット)、回収産物1μLをそれぞれテンプレートとし、上流プライマー5と下流プライマー6でoverlap PCRを行い、PCR系は50μL、アニーリング温度は60℃、反応は30サイクルである。アガロースゲル電気泳動にかけ、約1800bpのバンドを得、ゲルをカットして回収した。
レンチウイルスベクターpHAGE-IRES-RFPをNotIとNheIで二重酵素切断した。酵素切断系はNotIとNheIをそれぞれ1.5μL、プラスミドを2~3μgを含む40μLである。37℃で6h酵素切断し、その後、系にアルカリホスファターゼ(NEB)1μLを加え、1h処理してプラスミドの自己結合を減少させ、酵素切断後のプラスミドをゲル電気泳動にかけて回収し、nanodropで濃度を測定し、骨格としてプラスミド構築に用いた。
Clone Express II One Step Cloning kit製品の取扱書に従って、TCRをoverlapで酵素切断後線形化したpHAGE-IRES-RFPベクターと連結し(図4参照)、Stbl3菌株に形質転化し、アンピジルを含むLBプレートで12~16h培養し、単一クローン菌を選んでシーケンシングを行い、シーケンシングプライマーはpHAGEベクター上のプライマーseq-pHAGE-Fとseq-pHAGE-R、及び下流プライマー4を選択した。対応するTCRを取得し、それぞれC22(そのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:37、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:36に示す)、C27(そのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:39、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:38に示す)、C29(そのヌクレオチド配列はSEQIDNO:41、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:40に示す)、C30(そのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:43、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:42に示す)、C44(そのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:45、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:44に示す)、C45(そのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:47、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:46に示す)、C2(そのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:274、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:273、そのβ鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:275、そのα鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:276に示す)と略称する。
その中で、調製したC2を対照とし、このC2はC22のCDR領域といくつかのアミノ酸のみが異なっており、具体的には、表3を参照する。
【0154】
実施例3:pMHC4量体染色法によるTCRの膜発現と親和性の検出
【0155】
1、内因性TCRノックアウトJurkatT細胞株の構築
Jurkat細胞TCRの配列の特徴に基づき、α鎖とβ鎖の定常領域でguide配列(TRA_oligo1-CACCGTCTCTCAGCTGGTACACGGC(SEQ ID NO:243)、TRA_oligo2-AAACGCCGTGTACCAGCTGAGAGAC(SEQ ID NO:244)、TRB_oligo1-CACCGGGCTCAAACACAGCGACCTC(SEQ ID NO:245)、TRB_oligo2-AAACGAGGTCGCTGTGTTTGAGCCC(SEQ ID NO:246)を設計した。
合成したα鎖とβ鎖のguide配列をそれぞれsgRNA-LentiCRISPR-puroとsgRNA-LentiCRISPR-BSDレンチウイルスベクターに構築し、パッケーシングプラスミドpsPAX2、pMD2.G及びPEIトランスフェクション試薬と一定の割合で293T細胞に共トランスフェクションし、48hと72hの細胞培養上清を採取し、濃縮した2つのウイルスを同時にヒトJurkatT細胞株に感染した。48h感染後、2つの薬物のそれぞれの対照群の細胞がすべて死亡するまで、適切な濃度のピューロマイシンとブラストサイジンで殺滅した。生存している細胞について、96ウェルプレートに単細胞をフローサイトメトリーソーティングして培養した。得られた単一クローン細胞株に対して、TCRα鎖とβ鎖の抗体を用いてそれぞれ発現を同定し、両鎖が共に欠損した細胞株を得られた内因性TCRノックアウトJurkat T細胞とし、JC5と命名した。
【0156】
2、CMV TCRを安定して組み込んだJC5細胞株の構築
実施例2で構築した上記C22、C27などのpHAGE-TCRプラスミドをそれぞれパッケージングプラスミドpsPAX2、pMD2.G及びトランスフェクション試薬PEIと一定の割合で混合し、293T細胞にトランスフェクションした。48hと72hの細胞培養上清を採取し、濃縮後に対数成長期のJC5細胞(MOI=0.3)に感染した。3日感染後、抗ヒトCD3と抗ヒトTCRαβフロー抗体を用いて細胞を染色し、同じTCR発現レベルの細胞を選別して培養したものをJC5-TCR細胞株とした。
【0157】
3、TCRの膜への結合及び親和性の検出
1×10JC5-TCR細胞を、Brilliant Violet 421TManti-human TCRαβ(Biolegend)及び対応するCMV pp65pMHC4量体-APC(Tetramer-APC)で染色し、その後フローサイトメトリー解析を行った。
図5、6より、調製されたCMV pp65 HLA-A*A0201 NLVPMVATVに対して特異的なC22-TCR、C29-TCRは、いずれも正しく発現し細胞膜外にディスプレイされ、対応する4量体プローブとは所定の親和性があることが分かった。その中で、C2-TCRはC22-TCRと比較してCDR領域のいくつかのアミノ酸が異なるだけで、膜への結合(図5A)及び対応する4量体プローブとの親和性(図6A)の効果の差はかなり顕著であった。CMV pp65 HLA-A*A2402 QYDPVAALFに対して特異的なC27-TCR、C30-TCR及びCMV pp65 HLA-A*A1101 ATVQGQNLKに対して特異的なC44-TCR、C45-TCRはすべて正しく発現でき、しかも細胞膜外にディスプレイされ、しかも対応する4量体プローブと所定の親和性がある。以上の結果から、本願の実施例の調製により得られたTCRは良好な親和性を有することが明らかになった。
【0158】
実施例4:ヒト初代TCR T細胞の構築及びインビトロ機能検出
【0159】
1.ヒト初代T細胞の単離、培養及びレンチウイルス感染
スクリーニングされたTCRのCMV pp65抗原に対する認識と殺傷機能をさらに検証するために、リンパ球単離液Ficollを用いてボランティアの末梢血から単核球(PBMC)を単離した後、EasySep Human T cell isolation kit(stem cell technologies)製品の取扱書に従って、PBMCから負の選択によりT細胞を取得し、100U/mLのIL2を含む1640完全培地で細胞を1×10細胞/mLに再懸濁させ、抗CD3/CD28抗体で被覆されたシャーレで培養して活性化させた。活性化48h後、TCRを担持したウイルス顆粒(実施例3で調製)をレンチウイルスシステムでT細胞に感染させ、感染方法は32℃、1500rpmで2h遠心分離し、取り出した後37℃の細胞インキュベータで10h培養し、その後培地の交換により感染を停止し、37℃細胞インキュベータで培養を続けることである。感染3日後、フローサイトメータでTCR陽性細胞を選別し、TCRT細胞(上記C2、C22、C27、C29、C30、C44及びC45を含む)を得た。
【0160】
2.標的細胞の構築
pp65-PURO、HLA-A*0201-BSD、HLA-A*2402-BSD、HLA-A*1101-BSD及びルシフェラーゼ-GFPをそれぞれ担持したウイルス顆粒をレンタウイルスシステムで対数成長期のRaji細胞に感染させた。薬物スクリーニング及びフローサイトメトリーソーティングにより、pp65、HLA-A*0201/2402/1101分子及びルシフェラーゼ-GFPを同時に安定して発現するRaji細胞を得、それぞれRaji-A0201-pp65-ルシフェラーゼ、Raji-A2402-pp65-ルシフェラーゼ、Raji-A1101-pp65-ルシフェラーゼと命名した。
【0161】
3.ヒト初代T細胞におけるTCRのインビトロ機能検証
Raji/HLA-A0201/pp65及びpp65をトランスフェクションしていないRaji細胞(Rajiと命名)と1G4-TCRT、TCR-C2T、TCR-C22T、TCR-C29T細胞を1:1の数の比で共培養し、24時間共培養後、細胞と上清をそれぞれ収集し、TCR-C22TとTCR-C29T細胞の活性化と標的細胞の死亡を予備的に検出した。細胞外サイトカインTNFα、IL2及びIFNγ(図7参照)の放出レベルから見ると、TCR-C22TとTCR-C29Tは標的細胞と共インキュベートした後、対照群1G4-TCRT、TCR-C2Tと比較して、T細胞の活性化を有意に引き起こすことが明らかになった。標的細胞の分解後に放出されるルシフェラーゼ量は標的細胞の死亡の状況を反映し(図7参照)、本願の実施例で調製されたTCR-C22T及びTCR-C29Tは、CDR構造が類似しているTCR-C2Tと比較して、標的細胞に対する殺傷効果が顕著である。実験の結果、本発明の実施例により構築されたTCR-C22T及びTCR-C29T細胞は、CMV pp65抗原ペプチド提示細胞によって特異的に活性化され、標的細胞を有意に殺傷することができることが証明された。
また、TCR α鎖とβ鎖のCDR3高可変領域はTCRの機能に最も大きな影響を与える。実験により、CDR3高可変領域は1つのアミノ酸のみが異なるほど高度に類似していても、その機能は非常に異なることが示された。例えば、TCR E141のα鎖とβ鎖のCDR3領域の先頭以降のアミノ酸を順次アラニンに突然変異させ、レンチウイルスベクターに構築し、対応するTCR-T細胞を調製した。それを標的細胞と1:1で共培養し、ルシフェラーゼ量並びにサイトカインTNFα、IL2及びIFNγの分泌量を検出した。その結果、突然変異していないE141はHLA matched-Rajiに出会った後に標的細胞を効果的に除去でき、しかも大量のサイトカインIL2を特異的に産生することを示した。さらに、a3、a5、a6及びb6、b7、b8の各部位では、単一アミノ酸の突然変異がTCR T細胞を完全に不活性化させるのに十分であった(詳細については特許CN202010373100.4参照)。そのため、突然変異後のTCRは、1つのアミノ酸が異なるだけではあるが、TCR-T細胞を完全に不活性化させるのに十分である。このことから、標的は同じであっても、1つのアミノ酸が異なるだけで2つのほぼ同じTCRが全く異なる技術的効果をもたらすことになり、まして複数のアミノ酸が異なることは言うまでもない。
Raji/HLA2402/pp65及びpp65をトランスフェクションしていないRaji細胞(Rajiと命名)をそれぞれ1G4-TCRT、TCR-C27T、TCR-C30T細胞と1:1の数の比で共培養し、24時間共培養後、細胞と上清をそれぞれ収集し、TCR-C27T及びTCR-C30T細胞の活性化及び標的細胞の生存状況を予備的に検出した。細胞外サイトカインTNFα、IL2及びIFNγ(図8参照)の放出レベルから見ると、TCR-C27TとTCR-C30T細胞は標的細胞と共インキュベートした後、対照群1G4-TCRTと比較して、T細胞の活性化を有意に引き起こすことが明らかになった。標的細胞の分解後に放出されたルシフェラーゼの量はTCR-C27TとTCR-C30Tが標的細胞を有意に殺傷できることを反映した(図8参照)。実験の結果、本発明の実施例により構築されたTCR-C27T、TCR-C30T細胞は、CMV pp65抗原ペプチド提示細胞により特異的に活性化され、標的細胞を有意に殺傷できることが証明された。
Raji/HLA1101/pp65及びpp65をトランスフェクションしていないRaji細胞(Rajiと命名)をそれぞれ1G4-TCRT、TCR-C44T、TCR-C45T細胞と1:1の数の比で共培養し、24時間共培養後、細胞と上清をそれぞれ収集し、TCR-C44T及びTCR-C45T細胞の活性化及び標的細胞の生存状況を予備的に測定した。細胞外サイトカインIFNγ(図9参照)の放出レベルから見ると、TCR-C44TとTCR-C45T細胞は標的細胞と共インキュベートした後、対照群1G4-TCRTと比較して、有意にT細胞の活性化を引き起こすことが明らかになった。標的細胞の分解後に放出されたルシフェラーゼの量はTCR-C44TとTCR-C45Tが標的細胞を有意に殺傷できることを反映した(図9参照)。実験の結果、本発明の実施例により構築されたTCR-C44T及びTCR-C45T細胞は、CMV pp65抗原ペプチド提示細胞により特異的に活性化され、標的細胞を有意に殺傷できることが証明された。
【0162】
実施例5:動物モデルの構築及びCMV TCR-Tインビボ機能の検出
3×10Raji-HLA-A*1101/0201/2402-pp65-ルシフェラーゼ腫瘍細胞を5~6週齢のNOD/Scid IL-2Rγ null(NCG)雌マウスに尾静脈を通して接種し、リンパ腫モデルを構築し(図10、14、17参照)、これを1日目とし、6日目に、マウスを3つの群に分け、それぞれA:PBS注射群(等体積PBS注射)、B:対照NC細胞注射群(NC T細胞)、C:CMV TCR T注射群(C22/C27/C45-TCR T細胞)とし、B群のマウスには1×10NC T細胞を尾静脈注射し、C群のマウスには1×10TCR T細胞を尾静脈注射し、A群には等体積200μLのPBSを注射した。他のTCR T細胞の具体的な再注入量と再注入時間を図14、17に示す。その後数週間、マウス体内の腫瘍細胞の増殖、T細胞の体内増殖及びマウスの生存を監視し、図10~13に示すように、本発明の実施例で構築されたCMV特異的C22-TCR T細胞は、対照群と比較して、マウス体内の腫瘍細胞を有意に殺傷し(図10)、マウスの生存率を向上させ(図11図12)、再注入されたTCR T細胞は生体内で特異的に増殖した(図13)。さらに、図14~19に示すように、本発明の実施例で構築されたCMV特異的C27-TCR T、C45-TCR T細胞は、対照群と比較して、マウス体内の腫瘍細胞を有意に殺傷することができた。
【0163】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態における詳細に限定されるものではなく、本発明の技術的発想の範囲内において、本発明の技術的解決手段に対して、本発明の特許範囲に属する様々な簡単な変形を施すことができる。
【0164】
なお、上記の特定実施形態に記載された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の適切な方法で組み合わせてもよく、不必要な重複を避けるために、本発明は種々の可能な組み合わせの方式については別途説明しない。
更なる実施形態:
(実施形態1)
CMV pp65に特異的に結合し、
重鎖のCDR H1~CDR H3及び/又は軽鎖のCDR L1~CDR L3を含み、CDR H3のアミノ酸配列はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR L3のアミノ酸配列はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態2)
CDR H1のアミノ酸配列はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR H2のアミノ酸配列はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR L1のアミノ酸配列はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR L2のアミノ酸配列はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態3)
CMV pp65の結合エピトープはSEQ ID NO:1~3のうちのいずれか1つ、2つ又は3つの組み合わせを含むことを特徴とする実施形態1又は2に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態4)
前記CDR H1~CDR H3及びCDR L1~CDR L3は以下より選択されるいずれか1群であることを特徴とする実施形態1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態5)
軽鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:247~252のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:247~252のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態1~4のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態6)
重鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:253~258のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:253~258のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態1~5のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態7)
単一ドメイン抗体又は一本鎖抗体scFvであることを特徴とする実施形態1~6のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態8)
アミノ酸配列がSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態1~7のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
(実施形態9)
CMV pp65に特異的に結合し、
α鎖のCDR1α~CDR3α及び/又はβ鎖のCDR1β~CDR3βを含み、CDR3αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:12~17のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR3βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:28~33のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とするT細胞抗原受容体。
(実施形態10)
CDR1αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:4~7のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR2αのアミノ酸配列はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:8~11のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR1βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:18~22のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含み、CDR2βのアミノ酸配列はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:23~27のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態9に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態11)
CMV pp65の結合エピトープはSEQ ID NO:1~3のうちのいずれか1つ、2つ又は3つの組み合わせを含むことを特徴とする実施形態9~10のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態12)
前記CDR1α~CDR3α及びCDR1β~CDR3βは以下のいずれか1群を含むことを特徴とする実施形態9~11のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態13)
β鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:247~252のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:247~252のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態9~12のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態14)
そのα鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO:253~258のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:253~258のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態9~13のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態15)
α鎖とβ鎖のアミノ酸は直接連結又は間接的に連結され、好ましくは間接的に連結され、より好ましくはfp2Aを介して連結されることを特徴とする実施形態9~14のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態16)
アミノ酸配列はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のうちのいずれか1つ又はSEQ ID NO:36、38、40、42、44又は46のいずれか1つで示されるアミノ酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態9~15のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体。
(実施形態17)
実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体又は実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸。
(実施形態18)
配列はSEQ ID NO:37、39、41、43、45又は47のいずれか1つ又はSEQ ID NO:37、39、41、43、45又は47のいずれか1つで示される核酸配列とは少なくとも80%の相同性を有するものを含むことを特徴とする実施形態17に記載の核酸。
(実施形態19)
実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸を含むことを特徴とする発現ベクター。
(実施形態20)
実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸又は実施形態19に記載の発現ベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
(実施形態21)
実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片又は実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を発現することを特徴とする免疫細胞。
(実施形態22)
1つ又は複数の実施形態17~18のいずれか1項に記載の異種核酸配列を含むことを特徴とする実施形態21に記載の免疫細胞。
(実施形態23)
T細胞又は幹細胞より選択され、
好ましくは、被検者のT細胞から単離されることを特徴とする実施形態21又は22に記載の免疫細胞。
(実施形態24)
実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片又は実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体をコードする核酸配列を免疫細胞にトランスフェクションして発現させることで、免疫細胞を得るステップを含むことを特徴とする免疫細胞の調製方法。
(実施形態25)
細胞の内因性TCRをノックダウンするステップをさらに含むことを特徴とする実施形態24に記載の調製方法。
(実施形態26)
陽性T細胞をクローニングして実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸を得るステップ1)と、
初代T細胞を単離して培養するステップ2)と、
ステップ1)で得た核酸をステップ2)の前記初代T細胞に送達し、実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片又は実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を発現した組換えT細胞を得るステップ3)と、を含むことを特徴とする組換えT細胞の調製方法。
(実施形態27)
陽性T細胞をクローニングして実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得た核酸をベクター骨格に連結し、発現ベクターを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得た発現ベクターを宿主細胞に形質転換した後、その発現を誘導するステップ(3)と、
T細胞抗原受容体を取得するステップ(4)と、を含むことを特徴とするT細胞抗原受容体の調製方法。
(実施形態28)
実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体を含むことを特徴とする多量体複合体。
(実施形態29)
単量体、ビオチン分子、及びストレプトアビジン分子又はアビジン分子をさらに含み、前記単量体はMHC分子α鎖細胞外領域とβ2m鎖及び抗原ペプチドを含み、前記単量体は前記ビオチン分子にカップリングされ、前記ビオチン分子は前記ストレプトアビジン又はアビジン分子に結合され、
好ましくは、前記抗原ペプチドはSEQ ID NO:1~3のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせを含み、
好ましくは、前記MHC分子はHLA-A*0201、HLA-A*2402及びHLA-A*1101より選択されることを特徴とする実施形態28に記載の多量体複合体。
(実施形態30)
実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸、実施形態19に記載の発現ベクター、実施形態20に記載の宿主細胞、実施形態21~23のいずれか1項に記載の免疫細胞、実施形態28~29のいずれか1項に記載の多量体複合体の、腫瘍又はCMV関連疾患を診断又は治療する製品の調製における使用。
(実施形態31)
実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸、実施形態19に記載の発現ベクター、実施形態20に記載の宿主細胞、実施形態21~23のいずれか1項に記載の免疫細胞、実施形態28~29のいずれか1項に記載の多量体複合体の、T細胞標識、検出、細胞選別又は活性化における使用。
(実施形態32)
i)実施形態1~8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、
ii)実施形態9~16のいずれか1項に記載のT細胞抗原受容体、
iii)実施形態17~18のいずれか1項に記載の核酸、
iv)実施形態19に記載の発現ベクター、
v)実施形態20に記載の宿主細胞、
vi)実施形態21~23のいずれか1項に記載の免疫細胞、又は
vii)実施形態28~29のいずれか1項に記載の多量体複合体のうちのいずれか1群を含む医薬組成物又はキット。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
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