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特許7572472生理学的なX染色体不活性化を発生させるための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】生理学的なX染色体不活性化を発生させるための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20241016BHJP
   A01K 67/027 20240101ALI20241016BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C12N5/10
A01K67/027 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/52 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023010707
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2021502810の分割
【原出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2023052678
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チャン イー
(72)【発明者】
【氏名】井上 梓
【審査官】平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】Zygote, 2018 Feb, 26(1):1-9
【文献】Reproduction, 2016, 151(1):9-16
【文献】Genes & Development, 2017, 31(19):1927-1932, Supplemental Material
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00- 7/08
A01K 67/00-67/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体細胞核移植(SCNT)により生成された非ヒト哺乳類の胚において、母性X染色体の刷り込みX不活性化特異的転写物(Xist)座で母性H3K27me3を除去し、母性Xist抑制および母性X染色体不活性化(XCI)誘導するための、インビトロまたはエクスビボの方法であって、
SCNTを通じて生成された非ヒト哺乳類の胚に、H3K27me3特異的デメチラーゼKdm6bポリペプチドまたは該Kdm6bポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを注射する工程
非ヒト哺乳類の胚において(i)母性H3K27me3の消失、および(ii)Kdm6bポリペプチドまたはKdm6bポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを注射されていない胚と比較して、注射された非ヒト哺乳類の胚において、35~60%を上回るX連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアスを誘導することにより、母性XCIを通じて生理的XCIを再現する工程、ならびに
母性X染色体不活性化を父性X染色体不活性化に対して正常化する工程
を含む、方法。
【請求項2】
H3K27me3特異的デメチラーゼKdm6bポリペプチドをコードするmRNAが非ヒト哺乳類の胚に注射される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
約1000~2000 ng/μLのmRNAが非ヒト哺乳類の胚に注射される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1800 ng/μLのmRNAが非ヒト哺乳類の胚に注射される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
X染色体が体細胞由来の非ヒト哺乳類のドナー核に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ドナー核が非ヒト哺乳類の卵母細胞または胚性幹細胞に移植される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドが、H3K27me3特異的デメチラーゼの酵素活性フラグメントをコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドが哺乳類発現ベクター中に存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
哺乳類発現ベクターが、プロモーターにより指示される、H3K27me3特異的デメチラーゼの構成性または誘導性発現を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
X染色体刷り込みを回避する遺伝子の発現を有意に変化させない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
常染色体の遺伝子発現を有意に変化させない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
X連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアスが約50%を上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
非ヒト哺乳類の胚が初期胚盤胞ステージの非ヒト哺乳類の胚である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
非ヒト哺乳類の胚が非ヒト哺乳類の成体体細胞由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
体細胞が非ヒト哺乳類である対象から得られる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
非ヒト哺乳類の胚由来の細胞を培養して、非ヒト哺乳類である対象への移植に適した組織を得る工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法により生成される、非ヒト哺乳類の胚盤胞。
【請求項18】
請求項16に記載の方法により生成される、細胞。
【請求項19】
請求項16に記載の方法により生成される、組織。
【請求項20】
請求項17に記載の非ヒト哺乳類の胚盤胞を非ヒト哺乳類である宿主の子宮に着床させることにより生成される、非ヒト哺乳類クローン生物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
げっ歯類を含む特定の獣亜綱哺乳類(therian mammals)の雌において、2つのX染色体の一方は、遺伝子量補償を達成するために不活性化される。発生の間に、X染色体不活性化(XCI)は、刷り込みまたは無作為様式で起こり得る。刷り込みXCI(imprinted XCI)において、父性X染色体(Xp)は、着床前発生の間に選択的に不活性化される。刷り込みXCIは胚外細胞系統においても維持されるが、それは後期胚盤胞の前エピブラスト細胞系統において失われる。着床直後(peri-implantation)のステージにおいて、エピブラスト細胞は無作為XCIを起こし、Xpまたは母性X染色体(Xm)のいずれかをサイレンシングする。これまでの研究は、刷り込みおよび無作為の両XCIにおけるX連鎖長鎖非コードRNAであるXistの重要な役割を示している。Xist RNAは、インシス(in cis)でX染色体を覆い不活性化することによりXCIに関与する。
【0002】
着床前発生の間にXpを選択的にサイレンシングするために、Xistは、長きにわたって考察されているが未だ判明していない機構により、Xmに刷り込まれる。核移植アプローチを用いたこれまでの研究は、Xistのゲノム刷り込みが卵形成の間に確立することを示唆している。しかし、DNAメチルトランスフェラーゼ母性ノックアウト胚の分析は、卵母細胞DNAのメチル化がXist刷り込みに必須でないことを明らかにした。最近の研究は、単為生殖(PG)胚におけるH3K9me3デメチラーゼであるKdm4bの過剰発現がXistを部分的に抑制解除することを示し、これにより刷り込みXistサイレンシングにおけるH3K9me3の関与が示唆された。しかし、PG胚が1つの母性対立遺伝子の非生理学的なXist抑制解除を起こすという事実は、H3K9me3欠失PG胚において観察される抑制解除効果が生理学的に関連しているのかどうかという疑問を生じさせる。最近、母性H3K27me3がDNAメチル化非依存的常染色体遺伝子刷り込みにおける刷り込み印として機能することが発見された。
【0003】
そのような観察は、体細胞由来のドナー核が除核卵母細胞に移植される治療的および生殖的クローン化に関連する。このプロセスは、体細胞核移植(SCNT)と呼ばれ、体細胞と除核卵母細胞の融合、除核卵母細胞への核の注射、または任意の他の方法により達成され得る。現在のところ、SCNTの約1パーセントしか、生きた胚の生成に成功しない。このSCNTの低い成功率は、刷り込みの欠陥に関連する。したがって、SCNTの成功率を高めるためおよび刷り込みの欠陥を修復するための、新規の組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
以下に記載されるように、本発明は、SCNTによって生成された任意の胚の細胞を含む細胞内で生理学的なX染色体不活性化(XCI)を再現するための組成物および方法を特徴とする。
【0005】
1つの局面において、本発明は、体細胞核移植(SCNT)により生成された胚において生理学的なX染色体不活性化を発生させるための方法であって、SCNTを通じて生成された胚に、H3K27me3特異的デメチラーゼポリペプチドまたは該デメチラーゼをコードするポリヌクレオチドを注射する工程を含む方法を特徴とする。1つの態様において、H3K27me3特異的デメチラーゼをコードするmRNAが胚に注射される。別の態様において、前記ポリヌクレオチドはKdm6a、Kdm6bまたはKdm6cポリペプチドをコードする。別の態様において、約1000~約2000 ng/μLのmRNAが胚に注射される。別の態様において、1800 ng/μLのmRNAが胚に注射される。別の態様において、X染色体が体細胞由来のドナー核に存在する。別の態様において、ドナー核は卵母細胞または胚性幹細胞に移植される。別の態様において、前記ポリヌクレオチドは、H3K27me3特異的デメチラーゼの酵素活性フラグメントをコードする。別の態様において、前記ポリヌクレオチドは哺乳類発現ベクター中に存在する。別の態様において、哺乳類発現ベクターは、プロモーターにより指示されるH3K27me3特異的デメチラーゼの構成性または誘導性発現を含む。別の態様において、注射されるポリペプチドはKdm6a、Kdm6bまたはKdm6cである。別の態様において、前記方法は、X連鎖遺伝子の発現を減少させる。別の態様において、前記方法は、X染色体刷り込みを回避する遺伝子の発現を有意に変化させない。別の態様において、前記方法は、常染色体の遺伝子発現を有意に変化させない。別の態様において、X連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアスは約35~60%を上回る。別の態様において、X連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアスは約50%を上回る。他の態様において、胚は初期胚盤胞ステージの胚または成体体細胞由来である。別の態様において、体細胞はヒト対象から得られる。別の態様において、前記方法は、胚由来の細胞を培養してヒト対象への移植に適した組織を得る工程をさらに含む。
【0006】
別の局面において、本発明は、前記方法により生成される胚盤胞を特徴とする。
【0007】
別の局面において、本発明は、前記方法により生成される細胞または組織を特徴とする。
【0008】
別の局面において、本発明は、前記局面の胚盤胞を宿主の子宮に着床させることにより生成されるクローン生物を特徴とする。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0010】
定義
それ以外の定義がなされていない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明の属する技術の分野における当業者によって一般に理解されている意味を有する。以下の参考例は、本発明において使用される多くの用語の一般的定義を当業者に提供する。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991); およびHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、それ以外のことが示されていない限り、以下でそれらに割り当てられる意味を有する。
【0011】
「H3K27me3特異的デメチラーゼ」は、トリメチル化H3 'Lys-27を特異的に脱メチル化するタンパク質を意味する。例示的なデメチラーゼは、Kdm6a、Kdm6bおよびKdm6cを含む。
【0012】
「KDM6Aポリペプチド」(リシン特異的デメチラーゼ6A、ヒストンデメチラーゼUTXとも呼ばれる)は、NCBI参照配列:O15550.2で提供される配列またはそのフラグメントに対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有し、かつデメチラーゼ活性を有するタンパク質を意味する。例示的なKDM6Aアミノ酸配列を、以下に提供する。
【0013】
「KDM6Aポリヌクレオチド」は、KDM6Aポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。例示的なKDM6Aポリヌクレオチド配列は、NM_001291415.1で提供される。
【0014】
「KDM6Bポリペプチド」(リシン特異的デメチラーゼ6、JmjCドメイン含有タンパク質3とも呼ばれる)は、NCBI参照配列:O15054.4で提供される配列またはそのフラグメントに対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有し、かつデメチラーゼ活性を有するタンパク質を意味する。例示的なKDM6Bアミノ酸配列を、以下に提供する。
【0015】
「KDM6Bポリヌクレオチド」は、KDM6Bポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。例示的なKDM6Bポリヌクレオチド配列は、NM_001080424.2で提供され、それを以下に再掲載する。
【0016】
「KDM6Cポリペプチド」(ヒストンデメチラーゼUTY、Y染色体上で遍在的に転写されるTPRタンパク質とも呼ばれる)は、NCBI参照配列:O14607.2で提供される配列またはそのフラグメントに対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有し、かつデメチラーゼ活性を有するタンパク質を意味する。例示的なKDM6Cアミノ酸配列を、以下に提供する。
【0017】
「KDM6Cポリヌクレオチド」は、KDM6Cポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。例示的なKDM6Aポリヌクレオチド配列は、NM_001258249.1で提供され、その配列を以下に再掲載する。
【0018】
「リシン27トリメチル化ヒストンH3(H3K27me3)」は、ヒストンH3タンパク質サブユニット上のリシン27のトリメチル化を意味する。H3K27me3修飾は通常、遺伝子抑制に関連する。
【0019】
「剤」は、ペプチド、核酸分子または小化合物を意味する。
【0020】
「対立遺伝子」は、染色体上の同じ位置で見いだされる遺伝子の2つまたはそれ以上の代替形態のうちの一方を意味する。
【0021】
「変更(alteration)」は、標準的な当技術分野で公知の方法、例えば本明細書に記載されるものによって検出される遺伝子またはポリペプチドの発現レベルまたは活性における変化(change)(増加または減少)を意味する。本明細書で使用される場合、変更は、発現レベルの10%の変化、好ましくは発現レベルの25%の変化、より好ましくは40%の変化、最も好ましくは50%またはそれ以上の変化を含む。
【0022】
「改善」は、疾患の進展または進行の減少、抑制、減衰、軽減、停止または安定化を意味する。
【0023】
「胞胚」という用語は、本明細書で使用される場合、卵割腔と呼ばれる体液で満たされた空洞を囲む細胞の中空の球体からなる胚発生における初期ステージを表す。胞胚という用語は、ときどき、胚盤胞と言い換え可能に使用される。
【0024】
「割球」という用語は、本明細書を通じて、着床前の胚から得られる少なくとも1つの割球(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ等)を表すために使用される。「2つまたはそれ以上の割球のクラスター」という用語は、「割球由来派生物(blastomere-derived outgrowth)」と言い換え可能に使用され、割球のインビトロ培養の間に生成される細胞を表す。例えば、割球がSCNT胚から得られ、初期培養が行われた後、それは通常、少なくとも1回分裂して2つまたはそれ以上の割球のクラスター(割球由来派生物としても公知)を生じる。このクラスターはさらに、胚性または胎児性細胞と共に培養され得る。究極的に、割球由来派生物は、分裂を続けるであろう。これらの構造から、この培養法の過程でES細胞、全能性幹(TS)細胞および部分分化細胞型が発生するであろう。
【0025】
「クローン化された(またはクローン化する)」という用語は、本明細書で使用される場合、別の個体単位と同一の遺伝子セットを有する新たな個体単位を生成するための遺伝子操作技術を表す。本発明において、「クローン化された」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞、胚性細胞、胎児性細胞、および/または動物細胞が別の細胞、胚性細胞、胎児性細胞、分化細胞および/または動物細胞の核DNA配列と実質的に類似または同一の核DNA配列を有することを表す。「実質的に類似」および「同一」という用語は、本明細書に記載されている。クローン化されたSCNT胚は、核移植から生じ得る、あるいは、クローン化されたSCNT胚は、少なくとも1つの再クローン化工程を含むクローン化プロセスから生じ得る。
【0026】
本願において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」および「有する」等は、米国特許法におけるそれらにしたがう意味を有し得、「含む(includes)」、「含む(including)」等を意味し得;「から本質的になる」または「本質的になる」も同様に米国特許法にしたがう意味を有し、この用語は開放型であり、言及されているその基本的または新規の特徴が言及されている以外のものの存在によって変化しない限り、言及されている以外のものの存在を許容するが、先行技術の態様は除外する。
【0027】
「検出」は、検出される分析物の存在、非存在または量の特定を表す。
【0028】
「疾患」は、細胞、組織または臓器の正常な機能または発生にダメージを与えるまたはそれらを妨げる任意の状態または障害を意味する。障害の例は、胚におけるX染色体刷り込みの故障を伴う欠陥(例えば、発生上の欠陥、生命力の喪失)を含む。
【0029】
「DNA」は、デオキシリボ核酸を意味する。様々な態様において、DNAという用語は、ゲノムDNA、組み換えDNAまたはcDNAを表す。特定の態様において、DNAは、「標的領域」を含む。本明細書で想定されているDNAライブラリは、ゲノムDNAライブラリ、およびRNAから構築されるcDNAライブラリ、例えばRNA発現ライブラリを含む。様々な態様において、DNAライブラリは、1つまたは複数のさらなるDNA配列および/またはタグを含む。
【0030】
「有効量」は、細胞を生理学的に正常な状態に回復させるために必要な剤の量を意味する。1つの態様において、剤の有効量は、刷り込み欠陥を修復するためにおよび生理学的に正常な刷り込み表現型を細胞に与えるために必要な量である。1つの態様において、Kdm6b mRNAの注射は、異常なおよび/または望ましくないX染色体不活性化を伴う刷り込み欠陥を修復するのに十分である。疾患の治療的処置のために本発明を実施する上で使用される活性化合物の有効量は、投与様式、対象の年齢、体重および全般的健康によって異なる。最終的に、担当の医師または獣医が、適切な量および投与計画を決定するであろう。そのような量は、「有効」量として参照される。
【0031】
「胚」は、 を意味する。
【0032】
「フラグメント」は、ポリペプチドまたは核酸分子の一部分を意味する。この一部分は、好ましくは、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を含む。フラグメントは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000ヌクレオチドまたはアミノ酸を含み得る。
【0033】
「単離された」、「精製された」または「生物学的に純粋な」という用語は、その本来の状態で見いだされるそれに通常付随する成分が様々な程度取り除かれた物質を表す。「単離する」は、元の供給源または環境からの一定程度の分離を意味する。「精製する」は、単離よりも高度な分離の程度を意味する。「精製された」または「生物学的に純粋な」タンパク質は、何らかの不純物がそのタンパク質の生物学的特性に実質的に影響するまたは他の悪い結果をもたらすことがないよう他の物質を実質的に含まない。すなわち、本発明の核酸またはペプチドは、細胞物質、ウイルス物質、組み換えDNA技術によって生成された場合は培養培地、または化学合成された場合は化学前駆体もしくは他の化合物を実質的に含まない場合に、精製されている。純度および均質度は典型的に、分析化学技術、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを用いて決定される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを意味し得る。修飾、例えばリン酸化またはグリコシル化に供され得るタンパク質の場合、異なる修飾は、個別に分離され得る異なる単離されたタンパク質を生じ得る。
【0034】
「単離されたポリヌクレオチド」は、本発明の核酸分子の由来となった生物の天然に存在するゲノムにおいてその遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸(例えば、DNA)を意味する。したがってこの用語は、例えば、ベクターに、自律複製プラスミドもしくはウイルスに、もしくは原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた、または他の配列から独立した個別分子(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ消化によって生成されるcDNAもしくはゲノムもしくはcDNAフラグメント)として存在する組み換えDNAを含む。加えて、この用語は、DNA分子から転写されたRNA分子、および追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組み換えDNAを含む。
【0035】
「単離されたポリペプチド」は、自然状態でそれに付随する成分から分離されている本発明のポリペプチドを意味する。典型的に、ポリペプチドは、重量で少なくとも60%が自然状態でそれに付随するタンパク質および天然有機分子を含まない場合に、単離されている。好ましくは、調製物は、重量で少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%が、本発明のポリペプチドである。本発明の単離されたポリペプチドは、例えば、天然供給源からの抽出によって、そのようなポリペプチドをコードする組み換え核酸の発現によって、またはそのタンパク質を化学的に合成することによって取得され得る。純度は、任意の適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLC分析によって測定され得る。
【0036】
本明細書に提供される範囲は、その範囲内のすべての値の簡略表記であることが理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50を含む群の任意の値、値の組み合わせ、または部分範囲を含むことが理解される。
【0037】
「減少する」は、少なくとも10%、25%、50%、75%または100%の負の変更を意味する。
【0038】
「参照」は、標準または対照条件を意味する。
【0039】
「参照配列」は、配列比較の基準として使用される定義された配列である。参照配列は、特定の配列のサブセットまたは全体、例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列であり得る。ポリペプチドの場合、参照ポリペプチド配列の長さは、一般に、少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、より好ましくは少なくとも約25アミノ酸、さらにより好ましくは約35アミノ酸、約50アミノ酸、または約100アミノ酸である。核酸の場合、参照核酸配列の長さは、一般に、少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、さらにより好ましくは約100ヌクレオチドもしくは約300ヌクレオチドまたはその付近もしくはその間の任意の整数である。
【0040】
本発明の方法において有用な核酸分子は、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする任意の核酸分子を含む。そのような核酸分子は、内因性の核酸配列と100%同一であることを必要としないが、典型的に、実質的な同一性を示すであろう。内因性の配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子の少なくとも一方の鎖とハイブリダイズすることができる。本発明の方法において有用な核酸分子は、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする任意の核酸分子を含む。そのような核酸分子は、内因性の核酸配列と100%同一であることを必要としないが、典型的に、実質的な同一性を示すであろう。内因性の配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子の少なくとも一方の鎖とハイブリダイズすることができる。「ハイブリダイズする」は、様々なストリンジェンシーの条件下で、相補的なポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載される遺伝子)またはその一部分との間で二本鎖分子を形成する対を意味する(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A. R. (1987) Methods Enzymol. 152:507を参照のこと)。
【0041】
例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750 mM未満のNaClおよび約75 mM未満のクエン酸三ナトリウム、好ましくは約500 mM未満のNaClおよび約50 mM未満のクエン酸三ナトリウム、より好ましくは約250 mM未満のNaClおよび約25 mM未満のクエン酸三ナトリウムである。低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドの非存在下で行われ得、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で行われ得る。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度を含む。追加パラメータ、例えばハイブリダイゼーション時間、界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、およびキャリアDNAの含有または非含有の変更は、当業者に周知である。様々なレベルのストリンジェンシーは、必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることによって達成される。好ましい態様において、ハイブリダイゼーションは、750 mM NaCl、75 mMクエン酸三ナトリウムおよび1% SDS中、30℃で行われる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーションは、500 mM NaCl、50 mMクエン酸三ナトリウム、1% SDS、35%ホルムアミドおよび100μg/ml変性処理済サケ精液DNA(ssDNA)中、37℃で行われる。最も好ましい態様において、ハイブリダイゼーションは、250 mM NaCl、25 mMクエン酸三ナトリウム、1% SDS、50%ホルムアミドおよび200μg/ml ssDNA中、42℃で行われる。これらの条件に関する有用なバリエーションは、当業者に直ちに明らかになるであろう。
【0042】
ほとんどの場合、ハイブリダイゼーション後の洗浄工程も、ストリンジェンシーごとに異なる。洗浄ストリンジェンシーの条件は、塩濃度によっておよび温度によって定義され得る。上記のように、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を低下させることによってまたは温度を上昇させることによって上昇し得る。例えば、洗浄工程におけるストリンジェントな塩濃度は、好ましくは、約30 mM未満のNaClおよび約3 mM未満のクエン酸三ナトリウム、最も好ましくは約15 mM未満のNaClおよび約1.5 mM未満のクエン酸三ナトリウムである。洗浄工程におけるストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約42℃、さらにより好ましくは少なくとも約68℃の温度を含む。好ましい態様において、洗浄工程は、30 mM NaCl、3 mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1% SDS中、25℃で行われる。より好ましい態様において、洗浄工程は、15 mM NaCl、1.5 mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1% SDS中、42℃で行われる。より好ましい態様において、洗浄工程は、15 mM NaCl、1.5 mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1% SDS中、68℃で行われる。これらの条件に関するさらなるバリエーションは、当業者に直ちに明らかになるであろう。ハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis(Science 196:180, 1977);Grunstein and Hogness(Proc. Natl. Acad. Sci., USA 72:3961, 1975);Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001);Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York);およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkに記載されている。
【0043】
「体細胞核移植」または「SCNT」は、除核卵母細胞への体細胞由来のドナー核の移植を意味する。このプロセスは、生殖的または治療的のいずれかのクローン化において使用され得、体細胞と除核卵母細胞の融合、除核卵母細胞への核の注射または任意の他の方法によって達成され得る。
【0044】
体細胞の核は遺伝情報を提供し、卵母細胞は胚の発生に必要な栄養および他のエネルギー生成物質を提供する。融合が起こると、細胞は全能性になり、最終的に胚盤胞に発生し、この時点で内部細胞塊が単離される。
【0045】
「核移植」という用語は、本明細書で使用される場合、除核卵母細胞と体細胞の細胞核遺伝物質または核を人為的に組み合わせることによって同一の特徴および特質を獲得する遺伝子操作技術を表す。いくつかの態様において、核移植手順は、ドナー体細胞由来の核または核遺伝物質を除核卵または卵母細胞(核/前核を取り除いた卵または卵母細胞)に移植するものである。ドナー核は、体細胞から取得され得る。
【0046】
「核遺伝物質」という用語は、その個体についての情報をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA)を含む核内で見いだされる構造物および/または分子を表す。核遺伝物質は、染色体およびクロマチンを含む。この用語はまた、細胞分裂、例えば親細胞から娘細胞への細胞分裂により生成される核遺伝物質(例えば、染色体)も表す。核遺伝物質は、ミトコンドリアDNAを含まない。
【0047】
「SCNT胚」という用語は、体細胞の核または核遺伝物質と融合された除核卵母細胞の細胞またはその全能性子孫を表す。SCNT胚は胚盤胞に発生し、着床後から生きた子孫に発生し得る。SCNT胚は、1細胞胚、2細胞胚、4細胞胚または胚盤胞になる前の任意のステージの胚であり得る。
【0048】
「ドナーヒト細胞」または「ドナーヒト体細胞」という用語は、核アクセプターまたはレシピエントとしてのレシピエント卵母細胞に移植されるヒト細胞の体細胞または核を表す。
【0049】
「体細胞」という用語は、生殖性の細胞または生殖性の細胞前駆体でない植物または動物細胞を表す。いくつかの態様において、分化した細胞は、生殖細胞ではない。体細胞は、多能性または全能性細胞に関連しない。いくつかの態様において、体細胞は、胚に存在せずまたは胚から得られず、かつインビトロでのそのような細胞の増殖から生じない体細胞を意味する「非胚性体細胞」である。いくつかの態様において、体細胞は、胚もしくは胎児でない生物中に存在するもしくは胚もしくは胎児でない生物から得られるまたはインビトロでのそのような細胞の増殖から生じる細胞を意味する「成体体細胞」である。
【0050】
「卵母細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、減数分裂の第2中期に達した成熟卵母細胞を表す。卵母細胞はまた、生殖に関与する雌性配偶子または生殖細胞を表すために使用され、一般に卵とも呼ばれる。成熟卵は、単一の母性染色体のセット(23本、ヒト霊長類においてはX)を有し、第2中期で休止する。
【0051】
「ハイブリッド卵母細胞」は、第1のヒト卵母細胞(「レシピエント」と呼ばれる)由来の細胞質を有するが、そのレシピエント卵母細胞の核遺伝物質を有さず、「ドナー」と呼ばれる別のヒト細胞由来の核遺伝物質を有する除核卵母細胞を表す。いくつかの態様において、ハイブリッド卵母細胞はまた、レシピエント卵母細胞由来ではなく、(核遺伝物質と同じドナー細胞であり得る、または異なるドナー由来、例えばドナー卵母細胞由来であり得る)ドナー細胞由来であるミトコンドリアDNA(mtDNA)を含み得る。
【0052】
「除核卵母細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、その核が取り除かれたヒト卵母細胞を表す。
【0053】
「除核」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の核物質を取り除き、細胞質のみを残すプロセスを表す。卵に適用される場合、除核は、核膜によって囲まれていない、母性染色体の除去を表す。「除核卵母細胞」という用語は、核物質または核が取り除かれた卵母細胞を表す。
【0054】
「レシピエントヒト卵母細胞」は、本明細書で使用される場合、その本来の核を取り除いた後に、ヒト核ドナー細胞から核を受け取るヒト卵母細胞を表す。
【0055】
「融合」という用語は、本明細書で使用される場合、核ドナー細胞とレシピエント卵母細胞の脂質膜の結合を表す。例えば、脂質膜は、細胞の原形質膜または核膜であり得る。融合は、それらが相互に隣接して配置されている場合または核ドナー細胞がレシピエント卵母細胞の囲卵腔に配置されている場合、核ドナー細胞とレシピエント卵母細胞の間への電気刺激の適用により起こり得る。
【0056】
「生きた子孫」という用語は、本明細書で使用される場合、子宮外(ex utero)で生存することができる動物を意味する。好ましくは、それは、1秒間、1分間、1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間または1年超にわたって生存することができる動物である。動物は、生存のために子宮内(in utero)環境を必要としないものであり得る。
【0057】
「出生前」という用語は、誕生前に存在することまたは起こることを表す。同様に、「出生後」という用語は、誕生後に存在することまたは起こることを表す。
【0058】
「トランスジェニック生物」という用語は、本明細書で使用される場合、別の生物由来の遺伝物質を実験的に移植し、宿主が移植された遺伝子の遺伝的特性をその染色体組成に取り込んだ生物を表す。
【0059】
「着床させる」という用語は、本明細書に開示されるSCNT胚を参照して本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるSCNT胚で代理雌動物を妊娠させることを表す。この技術は、当業者に周知である。例えば、Seidel and Elsden, 1997, Embryo Transfer in Dairy Cattle, W. D. Hoard & Sons, Co., Hoards Dairymanを参照のこと。胚は、子宮内で発生することが可能であり得る、あるいは、胎児は、分娩前に子宮環境から取り出され得る。
【0060】
「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳類、例えば農業的に重要な哺乳類(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ)、ペット(例えば、イヌ、ネコ)または希少もしくは絶滅危惧哺乳類(例えば、パンダ)を含むがこれらに限定されない哺乳類を意味する。
【0061】
「実質的に同一」は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されるアミノ酸配列の任意の1つ)または核酸配列(例えば、本明細書に記載される核酸配列の任意の1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すポリペプチドまたは核酸分子を表す。好ましくは、そのような配列は、比較に使用される配列に対して、アミノ酸レベルまたは核酸で、少なくとも60%、より好ましくは80%または85%、より好ましくは90%、95%さらには99%同一である。
【0062】
配列同一性は、典型的に、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を用いて測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失および/または修飾に対して相同度を割り当てることによって同一または類似の配列を照合する。保存的置換は、典型的に、以下のグループ内での置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一度の決定に関する例示的なアプローチにおいて、BLASTプログラムは、近い関係性の配列を示すe-3~e-100の間のプロバビリティスコアで使用され得る。
【0063】
「体細胞核移植」または「SCNT」は、除核卵母細胞への体細胞由来のドナー核の移植を意味する。このプロセスは、生殖的または治療的のいずれかのクローン化において使用され得、体細胞と除核卵母細胞の融合、除核卵母細胞への核の注射または任意の他の方法によって達成され得る。
【0064】
体細胞の核は遺伝情報を提供し、卵母細胞は胚の発生に必要な栄養および他のエネルギー生成物質を提供する。融合が起こると、細胞は全能性になり、最終的に胚盤胞に発生し、この時点で内部細胞塊が単離される。
【0065】
「核移植」という用語は、本明細書で使用される場合、除核卵母細胞と体細胞の細胞核遺伝物質または核を人為的に組み合わせることによって同一の特徴および特質を獲得する遺伝子操作技術を表す。いくつかの態様において、核移植手順は、ドナー体細胞由来の核または核遺伝物質を除核卵または卵母細胞(核/前核を取り除いた卵または卵母細胞)に移植するものである。ドナー核は、体細胞から取得され得る。
【0066】
「核遺伝物質」という用語は、その個体についての情報をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA)を含む核内で見いだされる構造物および/または分子を表す。核遺伝物質は、染色体およびクロマチンを含む。この用語はまた、細胞分裂、例えば親細胞から娘細胞への細胞分裂により生成される核遺伝物質(例えば、染色体)も表す。核遺伝物質は、ミトコンドリアDNAを含まない。
【0067】
「SCNT胚」という用語は、体細胞の核または核遺伝物質と融合された除核卵母細胞の細胞またはその全能性子孫を表す。SCNT胚は胚盤胞に発生し、着床後から生きた子孫に発生し得る。SCNT胚は、1細胞胚、2細胞胚、4細胞胚または胚盤胞になる前の任意のステージの胚であり得る。
【0068】
「ドナーヒト細胞」または「ドナーヒト体細胞」という用語は、核アクセプターまたはレシピエントとしてのレシピエント卵母細胞に移植されるヒト細胞の体細胞または核を表す。
【0069】
「体細胞」という用語は、生殖性の細胞または生殖性の細胞前駆体でない動物細胞を表す。いくつかの態様において、分化した細胞は、生殖細胞ではない。体細胞は、多能性または全能性細胞に関連しない。いくつかの態様において、体細胞は、胚に存在せずまたは胚から得られず、かつインビトロでのそのような細胞の増殖から生じない体細胞を意味する「非胚性体細胞」である。いくつかの態様において、体細胞は、胚もしくは胎児でない生物中に存在するもしくは胚もしくは胎児でない生物から得られるまたはインビトロでのそのような細胞の増殖から生じる細胞を意味する「成体体細胞」である。
【0070】
「卵母細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、減数分裂の第2中期に達した成熟卵母細胞を表す。卵母細胞はまた、生殖に関与する雌性配偶子または生殖細胞を表すために使用され、一般に卵とも呼ばれる。成熟卵は、単一の母性染色体のセット(23本、ヒト霊長類においてはX)を有し、第2中期で休止する。
【0071】
「ハイブリッド卵母細胞」は、第1のヒト卵母細胞(「レシピエント」と呼ばれる)由来の細胞質を有するが、そのレシピエント卵母細胞の核遺伝物質を有さず、「ドナー」と呼ばれる別のヒト細胞由来の核遺伝物質を有する除核卵母細胞を表す。いくつかの態様において、ハイブリッド卵母細胞はまた、レシピエント卵母細胞由来ではなく、(核遺伝物質と同じドナー細胞であり得る、または異なるドナー由来、例えばドナー卵母細胞由来であり得る)ドナー細胞由来であるミトコンドリアDNA(mtDNA)を含み得る。
【0072】
「除核卵母細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、その核が取り除かれたヒト卵母細胞を表す。
【0073】
「除核」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の核物質を取り除き、細胞質のみを残すプロセスを表す。卵に適用される場合、除核は、核膜によって囲まれていない、母性染色体の除去を表す。
【0074】
「レシピエントヒト卵母細胞」は、本明細書で使用される場合、その本来の核を取り除いた後に、ヒト核ドナー細胞から核を受け取るヒト卵母細胞を表す。
【0075】
「融合」という用語は、本明細書で使用される場合、核ドナー細胞とレシピエント卵母細胞の脂質膜の結合を表す。例えば、脂質膜は、細胞の原形質膜または核膜であり得る。融合は、それらが相互に隣接して配置されている場合または核ドナー細胞がレシピエント卵母細胞の囲卵腔に配置されている場合、核ドナー細胞とレシピエント卵母細胞の間への電気刺激の適用により起こり得る。
【0076】
「生きた子孫」という用語は、本明細書で使用される場合、子宮外で生存することができる動物を意味する。好ましくは、それは、1または数時間、1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間または1年超にわたって生存することができる動物である。動物は、生存のために子宮内環境を必要としないものであり得る。
【0077】
「出生前」という用語は、誕生前に存在することまたは起こることを表す。同様に、「出生後」という用語は、誕生後に存在することまたは起こることを表す。
【0078】
「胚盤胞」という用語は、本明細書で使用される場合、約30~150細胞の、有胎盤哺乳類内の着床前(マウスにおいては受精から約3日後、ヒトにおいては受精から約5日後)の胚を表す。胚盤胞ステージは、桑実胚ステージの後に続き、その特有の形態により区別され得る。胚盤胞は、細胞の層(栄養外胚葉)、体液で満たされた空洞(胞胚腔または胚盤胞腔)および内部の細胞のクラスター(内部細胞塊またはICM)から構成される球体からなる。未分化細胞からなるICMは、胚盤胞が子宮内に着床した場合、胎児に成長するものを生じる。これらの同じICM細胞は、培養下で成長させた場合、胚性幹細胞株を生じ得る。着床の際、マウス胚盤胞は、約70個の栄養膜細胞および30個のICM細胞から構成される。
【0079】
「トランスジェニック生物」という用語は、本明細書で使用される場合、別の生物由来の遺伝物質を実験的に移植し、宿主が移植された遺伝子の遺伝的特性をその染色体組成に取り込んだ生物を表す。
【0080】
「着床させる」という用語は、本明細書に開示されるSCNT胚を参照して本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるSCNT胚で代理雌動物を妊娠させることを表す。この技術は、当業者に周知である。例えば、Seidel and Elsden, 1997, Embryo Transfer in Dairy Cattle, W. D. Hoard & Sons, Co., Hoards Dairymanを参照のこと。胚は、子宮内で発生することが可能であり得る、あるいは、胎児は、分娩前に子宮環境から取り出され得る。
【0081】
「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳類、例えば農業的に重要な哺乳類(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ)、ペット(例えば、イヌ、ネコ)または希少もしくは絶滅危惧哺乳類(例えば、パンダ)を含むがこれらに限定されない哺乳類を意味する。
【0082】
本明細書で使用される場合、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、「処置」等の用語は、障害および/またはそれに付随する症状の軽減または改善を表す。それを排除するものではないが、障害または状態の処置は、その障害、状態またはそれらに付随する症状を完全に消滅させることを必要としないことが理解されるであろう。1つの態様において、「処置する」という用語は、SCNT胚における刷り込み欠陥の処置を表す。
【0083】
個別に言及されていない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または、もしくは」という用語は、包含的であると理解される。個別に言及されていない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「a」、「an」および「the」という用語は、単数または複数であると理解される。
【0084】
個別に言及されていない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または、もしくは」という用語は、包含的であると理解される。個別に言及されていない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「a」、「an」および「the」という用語は、単数または複数(すなわち、少なくとも1つ)であると理解される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0085】
個別に言及されていない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当技術分野における普通許容度の範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解される。約は、示されている値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%内と理解され得る。そうでないことが文脈から明らかでない限り、本明細書に提供されるすべての数値は、約という用語によって修飾される。
【0086】
本明細書の可変基の定義において化学基のリストが示されている場合、その可変基が、任意の単一の基または列挙されている基の組み合わせとして定義されていることが含まれる。本明細書において可変基または局面の態様が示されている場合、任意の単一の態様としてのその態様または任意の他の態様もしくはその一部と組み合わされたその態様が含まれる。
【0087】
本明細書に提供される任意の組成物または方法は、本明細書に提供される任意の他の組成物および方法の1つまたは複数と組み合わされ得る。
[本発明1001]
体細胞核移植(SCNT)により生成された胚において生理学的なX染色体不活性化を発生させるための方法であって、SCNTを通じて生成された胚に、H3K27me3特異的デメチラーゼポリペプチドまたは該デメチラーゼをコードするポリヌクレオチドを注射する工程を含む、方法。
[本発明1002]
H3K27me3特異的デメチラーゼをコードするmRNAが胚に注射される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記ポリヌクレオチドがKdm6a、Kdm6bまたはKdm6cポリペプチドをコードする、本発明1001の方法。
[本発明1004]
約1000~2000 ng/μLのmRNAが胚に注射される、本発明1002の方法。
[本発明1005]
1800 ng/μLのmRNAが胚に注射される、本発明1003の方法。
[本発明1006]
X染色体が体細胞由来のドナー核に存在する、本発明1001の方法。
[本発明1007]
ドナー核が卵母細胞または胚性幹細胞に移植される、本発明1005の方法。
[本発明1008]
前記ポリヌクレオチドが、H3K27me3特異的デメチラーゼの酵素活性フラグメントをコードする、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記ポリヌクレオチドが哺乳類発現ベクター中に存在する、本発明1008の方法。
[本発明1010]
哺乳類発現ベクターが、プロモーターにより指示される、H3K27me3特異的デメチラーゼの構成性または誘導性発現を含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
注射されるポリペプチドがKdm6a、Kdm6bまたはKdm6cである、本発明1001の方法。
[本発明1012]
X連鎖遺伝子の発現を減少させる、本発明1001の方法。
[本発明1013]
X染色体刷り込みを回避する遺伝子の発現を有意に変化させない、本発明1001の方法。
[本発明1014]
常染色体の遺伝子発現を有意に変化させない、本発明1001の方法。
[本発明1015]
X連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアスが約35~60%を上回る、本発明1001の方法。
[本発明1016]
X連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアスが約50%を上回る、本発明1001の方法。
[本発明1017]
胚が初期胚盤胞ステージの胚である、本発明1001の方法。
[本発明1018]
胚が成体体細胞由来である、本発明1001の方法。
[本発明1019]
体細胞がヒト対象から得られる、本発明1018の方法。
[本発明1020]
胚由来の細胞を培養して、ヒト対象への移植に適した組織を得る工程をさらに含む、本発明1018の方法。
[本発明1021]
本発明1001の方法により生成される、胚盤胞。
[本発明1022]
本発明1020の方法により生成される、細胞または組織。
[本発明1023]
本発明1001の胚盤胞を宿主の子宮に着床させることにより生成される、クローン生物。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1A図1A~1Dは、H3K9me3の異所的除去が母性Xist発現を誘導しなかったことを示す。図1Aは、抗H3K9me3抗体で染色された受精卵の代表的画像を示す。(M)母性前核;(P)父性前核。棒グラフは、母性前核の相対的H3K9me3シグナル強度を示す。注射なしの受精卵の平均シグナル強度を1.0に設定した。試験した胚の総数は、8(注射なし)、9(1000 ng/μL Kdm4b)および9(2600 ng/μL Kdm4b)であった。エラーバーは、標準誤差(SE)を示す。(***)P<0.001;(*)P<0.05、両側スチューデントt検定。図1Bは、Kdm4bを注射した4細胞胚におけるXist RNA FISH(マジェンダ色)の代表的画像を示す。各胚の性を、Rnf12座に対する同時DNA FISH(灰色)により評価した。矢印は割球を示しており、これは下パネルで拡大表示されている。図1Cは、雄胚における示された数のXist RNAクラウドおよびスポットを有する割球の比を示すグラフを示す。各バーは、個々の胚を表す。試験した雄胚の数は、6(注射なし)、5(1000 ng/μL Kdm4b)および12(2600 ng/μL Kdm4b)であった。図1Dは、雌胚における示された数のXist RNAクラウドおよびスポットを有する割球の比を示すグラフを示す。各バーは、個々の胚を表す。試験した雄胚の数は、6(注射なし)、6(1000 ng/μL Kdm4b)および8(2600 ng/μL Kdm4b)であった。
図1B図1Aの説明を参照されたい。
図1C図1Aの説明を参照されたい。
図1D図1Aの説明を参照されたい。
図2A図2A~2Cは、卵母細胞および着床前の胚において母性H3K27me3がXistを被覆したことを示す。図2Aは、Xist座におけるH3K27me3 ChIP-seq(Zheng et al. 2016. Mol Cell 63: 1066-1079)、DNase I-seq(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)およびDNAメチル化レベル(Kobayashi et al. 2012. PLoS Genet 8: e1002440)のゲノムブラウザビューを示す。(Oo)MII卵母細胞;(Sp)精液;(7d)7日齢の雌から採取された成長中の卵母細胞;(14d)14日齢の雌から採取された成長中の卵母細胞;(GV)十分に成長したGVステージの卵母細胞。図2Bは、Xist座における1細胞、2細胞、および胚盤胞の胚ならびにE6.5エピブラストの対立遺伝子H3K27me3のゲノムブラウザビューを示す。強調表示された四角は、H3K27me3の豊富さの母性対立遺伝子バイアスが胚盤胞の胚において保持されているコンピュータにより決定された領域を示す。(Mat)母性対立遺伝子;(Pat)父性対立遺伝子。H3K27me3 ChIP-seqデータセットは、Zheng et al.(2016; Mol Cell 63: 1066-1079)に記載されている。図2Cは、胚盤胞の胚におけるXist座の高解像度ビューを示す。母性対立遺伝子バイアスがかかったH3K27me3ドメインが影付き表示されている。
図2B図2Aの説明を参照されたい。
図2C図2Aの説明を参照されたい。
図3A図3A~3Eは、H3K27me3の消失が母性Xist発現を誘導したことを示す。図3Aは、抗H3K27me3抗体で染色された受精卵の代表的画像を示す。(M)母性前核、(P)父性前核。棒グラフは、母性前核の相対的H3K27me3シグナル強度を示す。Kdm6bMUTを注射した受精卵の平均シグナルを1.0に設定した。試験した胚の総数は、15(Kdm6bMUT)および13(Kdm6bWT)であった。エラーバーは、標準誤差(SE)を示す。(***)P<0.001、両側スチューデントt検定。図3Bは、Kdm6bWTを注射した桑実胚の胚における母性H3K27me3 ChIP-seqシグナルの消失を示すXist座のゲノムブラウザビューである。(Mat)母性対立遺伝子;(Pat)父性対立遺伝子。図3Cは、Kdm6bを注射した4細胞胚におけるXist RNA FISH(薄灰色)の代表的画像を示す。各胚の性を、Rnf12座に対する同時DNA FISH(灰色)により評価した。図3Dは、雄4細胞胚における示された数のXist RNAクラウドおよびスポットを有する割球の比を示すグラフを示す。各バーは、個々の胚を表す。試験した雄胚の数は、8(Kdm6bMUT)および15(Kdm6bWT)であった。図3Eは、雌4細胞胚における示された数のXist RNAクラウドおよびスポットを有する割球の比を示すグラフを示す。各バーは、個々の胚を表す。試験した雄胚の数は、8(Kdm6bMUT)および12(Kdm6bWT)であった。
図3B図3Aの説明を参照されたい。
図3C図3Aの説明を参照されたい。
図3D図3Aの説明を参照されたい。
図3E図3Aの説明を参照されたい。
図4A図4A~4Eは、H3K27me3の消失が母性X染色体不活性化(XCI)を誘導したことを示す。図4Aは、Kdm6WTを通じた母性Xist発現により引き起こされる母性XCIを示す図である。図4Bは、Kdm6bを注射した桑実胚の胚におけるXist RNA FISH(薄灰色)の代表的画像を示す。各胚の性を、Rnf12座に対する同時DNA FISH(灰色)により評価した。図4Cは、雄の桑実胚の胚における示された数のXist RNAクラウドを有する割球の比を示すグラフを示す。各バーは、個々の胚を表す。試験した雄胚の数は、19(Kdm6bMUT)および35(Kdm6bWT)であった。図4Dは、雌の桑実胚の胚における示された数のXist RNAクラウドを有する割球の比を示すグラフを示す。各バーは、個々の胚を表す。試験した雌胚の数は、34(Kdm6bMUT)および35(Kdm6bWT)であった。図4Eは、Kdm6bMUT注射胚盤胞とKdm6bWT注射胚盤胞の間の個々の母性染色体における遺伝子の相対発現を示す箱ひげ図を示す。十分なSNPリード(SNPリード>10、RPM[百万あたりのリード数]>0.5)を有する遺伝子を分析した。箱内の中央の線は、中央値を示す。箱の縁およびひげは、それぞれ、25/75および2.5/97.5パーセンタイルを示す。(***)P<0.001、マン・ホイットニー・ウィルコクソン検定。
図4B図4Aの説明を参照されたい。
図4C図4Aの説明を参照されたい。
図4D図4Aの説明を参照されたい。
図4E図4Aの説明を参照されたい。
図5図5Aおよび5Bは、着床前の胚において異所性Kdm6bWT mRNA注射がH3K27me3を減少させたことを示す。これらの結果は、図3A~3Eに示されている結果に関連する。図5Aは、H3K27me3抗体で免疫染色されたKdm6bを注射された4細胞および桑実胚の胚の代表的画像を示す。Kdm6b mRNAを受精卵に注射した。胚を、受精から46(4細胞)および78(桑実胚)時間後に固定した。図5Bは、相対的H3K27me3シグナル強度を示すグラフである。複数の割球のシグナル強度を測定し、これを平均して単一の胚の値を得た。Kdm6bMUT胚の平均シグナルを1.0に設定した。試験した胚の総数は、4細胞については9(Kdm6bMUT)および9(Kdm6bWT)、ならびに桑実胚については19(Kdm6bMUT)および22(Kdm6bWT)であった。エラーバーは、標準誤差(SE)を示す。***、p<0.001、* p<0.05(両側スチューデントt検定)。
図6A図6A~6Fは、胚性幹細胞(ESC)およびKdm6bを注射した桑実胚の胚におけるH3K27me3 ULI-NChIPの検証を示す。これらの結果は、図3A~3Eの結果に関連する。図6Aは、ENCODEプロジェクトにおいてマウスESCで検出されたH3K27me3ピークと500または2,000のESCを用いて我々の手で検出したH3K27me3ピークの間の相関を示す散布図である。図6Bは、公開されたデータセット(Liu et al. 2016. Nature 537: 558-562)のH3K27me3ピークとKdm6bMUTを注射した桑実胚の胚のH3K27me3ピークの間の相関を示す散布図を示す。図6Cは、公開されたデータセット(Liu et al. 2016. Nature 537: 558-562)のH3K27me3ピークとKdm6bMUTを注射した桑実胚の胚のH3K27me3ピークの間の相関を示すベン図を示す。図6Dは、公開されたデータセットとKdm6bMUTを注射した桑実胚の胚におけるほぼ同一のH3K27me3の豊富さを示す代表的な遺伝子座のゲノムブラウザビューを示す。図6Eは、Kdm6bMUTを注射した桑実胚の胚およびKdm6bWTを注射した桑実胚の胚において検出されたH3K27me3ピークの数を示すグラフである。図6Fは、Kdm6bWTを注射した胚におけるH3K27me3ドメインの消失を示すXist座のゲノムブラウザビューを示す。父方対立遺伝子は、これらのトラックで識別されなかった。
図6B図6Aの説明を参照されたい。
図6C図6Aの説明を参照されたい。
図6D図6Aの説明を参照されたい。
図6E図6Aの説明を参照されたい。
図6F図6Aの説明を参照されたい。
図7図7は、Kdm6bを注射した胚におけるRnf12のRT-qPCR分析を示すグラフである。データを18Sに対して正規化し、その後にKdm6bMUT胚の値を1.0に設定した。エラーバーは、3つの生物学的複製物の標準誤差(SE)を示す。各実験は、グループあたり18~24個の胚のプールを使用した。Rnf12はKdm6bWTを注射した胚において上方調節ではなく下方調節されることが注目される。学説により拘束されるものではないが、Rnf12が非エスケープX連鎖遺伝子であることを考慮すれば(Borensztein et al. 2017. Nat Struct Mol Biol 24: 226-233)、これは、母性XCIが、Kdm6bWTを注射した胚において4細胞ステージという早期に発生したことに起因するものと考えられる。
図8A図8A~8Dは、Kdm6bWTを注射した胚盤胞の胚における母性X染色体不活性化を示す。これらの結果は、図4A~4Eに示される結果に関連する。図8Aは、RNA-seqサンプルの生物学的複製物の間の相関を示す散布図である。図8Bは、Kdm6bを注射した胚盤胞における個々の染色体の母性対立遺伝子発現比[Mat/(Mat+Pat)]を示す箱ひげ図である。箱内の中央の線は、中央値を示す。箱の縁およびひげは、それぞれ、25/75および2.5/97.5パーセンタイルを示す。Kdm6bMUT:薄灰色、左バー;Kdm6bWT:濃灰色、右バー;p値<2.2e-16。図8Cは、Kdm6bWTを注射した胚盤胞の胚とKdm6bMUTを注射した胚盤胞の胚の間のX連鎖遺伝子の相対発現レベルを示すグラフである。母性対立遺伝子の発現レベルを分析した。各点は、十分なSNPリード(RPM>0.5)を示す個々の遺伝子を表す。図8Cは、図8Dに示される、既知のエスケープ遺伝子(escapee)を除いた遺伝子を示す。図8Dは、Kdm6bWTを注射した胚盤胞の胚とKdm6bMUTを注射した胚盤胞の胚の間のX連鎖遺伝子の相対発現レベルを示すグラフである。母性対立遺伝子の発現レベルを分析した。各点は、十分なSNPリード(RPM>0.5)を示す個々の遺伝子を表す。図8Dは、既知のエスケープ遺伝子である遺伝子を示す。左から右に:Rbm3、Suv39h1、Tbc1d25、Atp6ap2、Araf、Ndufb11、Nkap、Lamp2、Utp14a、Idh3g、Eif2s3x、Xist、Kdm5c、Sms、Pdha1、Syap1およびMsl3。
図8B図8Aの説明を参照されたい。
図8C図8Aの説明を参照されたい。
図8D図8Aの説明を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0089】
発明の詳細な説明
本発明は、体細胞核移植(SCNT)によって生成された任意の胚の細胞を含む細胞において生理学的なX染色体不活性化を再現するための組成物および方法を特徴とする。
【0090】
Kdm6bは、H3K27me3特異的デメチラーゼである。本発明は、少なくとも一部、Kdm6bを通じた母性X染色体不活性化が生理学的な染色体不活性化を再現するという発見に基づいている。
【0091】
X染色体不活性化
発生の間に、X染色体不活性化(XCI)は、刷り込みまたは無作為様式で起こる。刷り込みXCIにおいて、父性X染色体(Xp)は、着床前発生の間に選択的に不活性化される。無作為XCIは、エピブラストにおいて起こり、それはXpまたは母性X染色体(Xm)のいずれかをサイレンシングする。Xistは、刷り込みおよび無作為の両XCIにおいて機能するX連鎖長鎖非コードRNAである。Xistは、卵形成の間にXmに刷り込まれる。Xist RNAは、インシスでX染色体を覆い不活性化することによりXCIに関与する。
【0092】
H3K27me3特異的デメチラーゼ
1つの局面において、本発明は、ヒトSCNTの効率を向上させる方法であって、ドナーヒト体細胞、レシピエントヒト卵母細胞、ハイブリッド卵母細胞(例えば、融合もしくは活性化前のドナー遺伝物質を含むヒト除核卵母細胞)またはヒトSCNT胚(すなわち、ドナー核と除核卵母細胞の融合後)の核または細胞質を、生理学的なX染色体不活性化を再現することができるH3K27me3特異的デメチラーゼ(Kdm6a、Kdm6b、Kdm6c等)と接触させる工程を含む方法を提供する。本明細書で議論されるように、本発明者らは、H3K27me3特異的デメチラーゼが、父性X染色体不活性化に対して母性X染色体不活性化を正常化し、それによってヒトSCNTの効率を向上させるために使用できることを発見した。
【0093】
H3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子
1つの局面において、本発明は、ヒトSCNTの効率を向上させる方法であって、ドナーヒト体細胞、レシピエントヒト卵母細胞、ハイブリッド卵母細胞(例えば、融合もしくは活性化前のドナー遺伝物質を含むヒト除核卵母細胞)またはヒトSCNT胚(すなわち、ドナー核と除核卵母細胞の融合後)の核または細胞質を、H3K27me3特異的デメチラーゼ(Kdm6a、Kdm6b、Kdm6c等)を活性化する剤と接触させる工程を含む方法を提供する。
【0094】
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法、組成物およびキットにおいて有用なH3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子は、H3K27me3特異的デメチラーゼをコードする遺伝子の発現を増加させるまたはヒトH3K27me3特異的デメチラーゼ、例えば、ヒトKdm6a、Kdm6b、Kdm6c等の活性を増加させる剤である。
【0095】
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法、組成物およびキットにおいて有用なH3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子は、Kdm6a、Kdm6bまたはKdm6cポリペプチドをコードする核酸剤である。
【0096】
いくつかの態様において、剤は、Kdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cまたはヒトKdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cをコードする対応する野生型配列と比較して同程度もしくはそれ以上にヒトSCNTの効率を向上させる、それらに対して少なくとも80%の配列同一性(もしくは少なくとも約85%、もしくは少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の配列同一性)を有するそれらの生物学的に活性なフラグメントもしくはホモログもしくは変種を含むがこれらに限定されないヒトH3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子をコードする核酸配列を含む。
【0097】
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法において使用されるH3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子は、ヒトKdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cポリペプチド、またはそのようなヒトKdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cポリペプチドの変種もしくは生物学的活性フラグメントから選択される。当業者は本明細書に開示される方法および組成物において使用されるヒトKdm6a、Kdm6bまたはKdm6cポリペプチドの適切なヒトホモログおよびそのようなヒトホモログをコードする核酸を特定することができることが、本発明に包含される。いくつかの態様において、H3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子は、ベクター、例えばウイルスベクターから発現されるH3K27me3特異的デメチラーゼポリペプチドをコードする核酸剤である。
【0098】
代替の態様において、本発明における使用のために包含されるH3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子は、Kdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cまたはそれらの機能的フラグメントをコードする合成性修飾RNA(modRNA)である。合成性修飾RNA(modRNA)は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる米国出願US2012/03228640;US2009/0286852およびUS2013/0111615ならびに米国特許第8,278,036号;同第8,691,966号;同第8,748,089号;同第8,835,108号に記載されている。いくつかの態様において、合成性修飾RNA分子はベクターにおいて発現されず、合成性修飾RNA分子は裸の合成性修飾RNA分子であり得る。いくつかの態様において、組成物は、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの合成性修飾RNA分子を含み得る。
【0099】
いくつかの態様において、合成性修飾RNA分子は、少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含む、例えば、少なくとも2つの修飾ヌクレオチドは、5-メチルシチジン(5mC)、N6-メチルアデノシン(m6A)、3,2'-O-ジメチルウリジン(m4U)、2-チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、プソイドウリジン、2'-O-メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2' dU)、4-チオウリジン(s4U)、5-メチルウリジン(m5U)、2'-O-メチルアデノシン(m6A)、N6,2'-O-ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'-O-トリメチルアデノシン(m62Am)、2'-O-メチルシチジン(Cm)、7-メチルグアノシン(m7G)、2'-O-メチルグアノシン(Gm)、N2,7-ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7-トリメチルグアノシン(m2,2,7G)およびイノシン(I)からなる群より選択される。いくつかの態様において、合成性修飾RNA分子はさらに、5'キャップ、例えば、5'キャップアナログ、例えば、5'ジグアノシンキャップを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法および組成物において使用される合成性修飾RNA分子は、5'三リン酸を含まない。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法および組成物において使用される合成性修飾RNA分子はさらに、ポリ(A)テイル、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域またはそれらの任意の組み合わせを含み、いくつかの態様において、合成性修飾RNA分子は、任意で、アルカリホスファターゼで処理され得る。
【0100】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドの導入にあたっては、核酸構築物を細胞に導入するための、本質的に任意の方法が使用され得る。物理的な核酸導入方法は、構築物を含む溶液の注射、構築物により覆われた粒子による銃照射、核酸の溶液への細胞、組織サンプルもしくは生物の浸漬、または構築物の存在下での細胞膜の電気穿孔を含む。ウイルス粒子にパッケージされたウイルス構築物は、細胞への発現構築物の効率的導入およびコードされるタンパク質の翻訳の両方を達成するために使用され得る。細胞への核酸の導入のための当技術分野で公知の他の方法、例えば、脂質を通じた担体輸送、化合物を通じた輸送、例えばリン酸カルシウム等も使用され得る。
【0101】
細胞内での発現のために、DNAベクター、例えば、H3K27me3特異的デメチラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を指示するプロモーターを含むプラスミドベクターが、使用され得る。いくつかの態様において、コードされるタンパク質の発現は、誘導性プロモーターまたは条件付き発現システムによって制御される。本発明との関係で有用なプロモーターの例は、テトラサイクリン誘導性プロモーター(TRE-tightを含む)、IPTG誘導性プロモーター、テトラサイクリントランス活性化因子システム、およびリバーステトラサイクリントランス活性化因子(rtTA)システムである。細胞または組織特異的プロモーターであり得る構成性プロモーターも使用され得る。多くのプロモーターは、すべての細胞および組織型において発現されるよう、ユビキタスである。特定の態様は、インビトロおよびインビボ研究において最も効率的な条件付き遺伝子発現システムの1つであるテトラサイクリン応答性プロモーターを使用する。
【0102】
体細胞核移植
体細胞核移植(SCNT)は、例えば、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ)の生殖的クローン化のためにまたは細胞置換療法のために所望の組織を生成する治療的クローン化のために使用され得る技術である。残念ながら、クローン動物は、不適切なX染色体不活性化に起因する特定の欠陥に悩まされている。本発明は、インビトロ受精により生成された、すなわち、SCNTを用いて生成された胚に生理学的なX染色体不活性化を回復させることによりこれらの欠陥に対処する。
【0103】
体細胞核移植は、核ドナー細胞を入手し、ついでこの核ドナー細胞を除核レシピエントシ細胞、最も好ましくは除核卵母細胞に融合して核移植胚を形成し、この胚を活性化させ、最後にこの胚を培養するまたはこの胚をホスト母体に移すことを含む。核移植時に、1つの細胞由来の核DNAの全長相補鎖が除核細胞に導入される。核移植方法は、当業者に周知である。例えば、各々、すべての図、表および図面を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる、1991年2月19に発行された、「Multiplying Bovine Embryos」を表題とする、Prather et al.に対する米国特許第4,994,384号;1991年10月15日に発行された、「Bovine Nuclear Transplantation」を表題とする、Masseyに対する米国特許第5,057,420号;1999年11月30日に発行された、「Production of Chimeric Bovine or Porcine Animals Using Cultured Inner Cell Mass Cells」を表題とする、Stice et al.に対する米国特許第5,994,619号;2000年1月19日に発行された、「Quiescent Cell Populations For Nuclear Transfer」を表題とする、それぞれ、Campbell et al.およびWilmut et al.に対する、英国特許第GB 2,318,578号、同第GB 2,331,751号;2000年1月4日に発行された、「Method of Cloning Bovines Using Reprogrammed Non-Embryonic Bovine Cells」を表題とする、Strelchenko et al.に対する米国特許第6,011,197号;ならびに「Method of Cloning Porcine Animals」を表題とする米国出願番号09/753,323(代理人管理番号030653.0026.CIP1、2000年12月28日出願)を参照のこと。核移植は、透明帯に包囲されていない卵母細胞を用いることによって達成され得る。
【0104】
核移植手順において、核ドナー細胞またはその核は、レシピエント細胞に導入される。レシピエント細胞は、好ましくは卵母細胞であり、好ましくは除核される。しかし、本発明は、一部、卵母細胞の核が卵母細胞から物理的に抽出されない核移植に関連する。細胞分裂の間にドナー細胞由来の核DNAを複製する核移植胚を確立することが可能である。例えば、Wagoner et al., 1996, "Functional enucleation of bovine oocytes: effects of centrifugation and ultraviolet light," Theriogenology 46: 279-284を参照のこと。加えて、核移植は、1つの核ドナーと2つ以上の除核卵母細胞を組み合わせることによって達成され得る。また、核移植は、1つの核ドナー、1つまたは複数の除核卵母細胞および1つまたは複数の除核卵母細胞の細胞質を組み合わせることによって達成され得る。得られる核ドナー細胞およびレシピエント細胞の組み合わせは、「ハイブリッド細胞」と称され得る。
【0105】
「核ドナー」という用語は、本明細書で使用される場合、卵母細胞に移され得る核DNAを有する任意の細胞またはその核を表す。核ドナーは、細胞から単離された核であり得る。細胞から核を単離し、その核を核ドナーとして利用するための複数の技術が当業者に利用可能である。例えば、各々、すべての図、表および図面を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,664,097号、同第6,011,197号および同第6,107,543号を参照のこと。あらゆるタイプの細胞が、核ドナーとして利用され得る。核ドナー細胞の例は、インビトロまたはインビボでの2つの配偶子の結合から得られる胚から単離された培養および非培養細胞;培養された胚性細胞(例えば、前胚盤胞細胞および内部細胞塊細胞)から得られる胚性幹細胞(ES細胞);胚から単離された内部細胞塊細胞から得られる培養および非培養細胞;培養および非培養前胚盤胞細胞;培養および非培養胎児細胞;培養および非培養成体細胞;培養および非培養始原生殖細胞;培養および非培養生殖細胞(例えば、胚性生殖細胞);動物から単離された培養および非培養体細胞;培養および非培養卵丘細胞;培養および非培養羊膜細胞;培養および非培養胎児線維芽細胞;培養および非培養生殖降起細胞;培養および非培養分化細胞;同調集団の培養および非培養細胞;非同調集団の培養および非培養細胞;培養および非培養血清飢餓細胞;培養および非培養永久細胞;ならびに培養および非培養全能性細胞を含むがこれらに限定されない。例えば、各々、すべての図、図面および表を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる、Piedrahita et al., 1998, Biol. Reprod. 58: 1321-1329;Shim et al., 1997, Biol. Reprod. 57: 1089-1095;Tsung et al., 1995, Shih Yen Sheng Wu Hsueh Pao 28: 173-189;およびWheeler, 1994, Reprod. Fertil. Dev. 6: 563-568を参照のこと。加えて、核ドナーは、事前に凍結または凍結保存された細胞であり得る。
【0106】
核移植のプロセスにより生成されるハイブリッド細胞は、例えば、生殖的クローン化においてまたは再生的クローン化において使用され得る。
【0107】
SCNT実験は、成体分化体細胞由来の核が全能性状態に再プログラムされ得ることを示した。したがって、本明細書に開示される方法を用いて生成されるSCNT胚は、全能性または胚性幹細胞または幹様細胞および細胞コロニーの生成に適したインビトロ培養培地中で培養され得る。胚の培養および維持に適した培養培地は当技術分野で周知である。ウシ胚の培養および維持に使用され得る公知の培地の例は、ハムF-10 + 10%ウシ胎仔血清(FCS)、組織培養培地199(TCM-199)+ 10%ウシ胎仔血清、タイロード・アルブミン・乳酸塩・ピルビン酸塩(TALP)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、イーグルおよびウィッテン培地を含む。卵母細胞の収集および成熟に使用される最も一般的な培地の1つは、TCM-199およびウシ胎仔血清、新生児血清、発情期ウシ血清、子羊血清または去勢牛血清を含む1~20%の血清添加物である。好ましい維持培地は、Earl塩、10%ウシ胎仔血清、0.2 Maピルビン酸塩および50μg/ml硫酸ゲンタマイシンを含むTCM-199を含む。上記のいずれにおいても、様々な細胞型、例えば、果粒膜細胞、卵管細胞、BRL細胞および子宮細胞ならびにSTO細胞との共培養が行われ得る。
【0108】
特に、子宮内膜の上皮細胞は、着床前および着床期の間に白血病阻止因子(LIF)を分泌する。したがって、いくつかの態様において、培養培地へのLIFの添加は、SCNT由来胚のインビトロ発生を増進することを含む。胚性または幹様細胞培養におけるLIFの使用は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,712,156号に記載されている。
【0109】
別の維持培地は、参照により本明細書に組み入れられるRosenkrans, Jr. et al.に対する米国特許第5,096,822号に記載されている。CR1と命名されたこの胚培地は、胚を支援するのに必要な栄養物質を含む。CR1は、1.0 mM~10 mM、好ましくは1.0 mM~5.0 mMの範囲の量のL乳酸ヘミカルシウムを含む。L乳酸ヘミカルシウムは、ヘミカルシウム塩が組み込まれたL乳酸である。また、培養下でヒト胚性幹細胞を維持するのに適した培養培地は、Thomson et al., Science, 282:1145-1147 (1998)およびProc. Natl. Acad. Sci., USA, 92:7844-7848 (1995)で議論されている。
【0110】
いくつかの態様において、フィーダー細胞は、マウス胚性線維芽細胞を含む。適切な線維芽細胞フィーダー層を調製する手段は、以下の実施例に記載されており、これは十分に技術常識内である。
【0111】
胚盤胞ステージのSCNT胚(またはその等価物)からES細胞(例えば、NT-ESCまたはhNT-ESC)を誘導する方法は、当技術分野で周知である。そのような技術は、SCNT胚からES細胞(例えば、hNT-ESC)を誘導するために使用され得、hNT-ESCを生成するために使用されるSCNT胚は、KDM4デメチラーゼファミリーのメンバーおよび/またはヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤SUV39h1/SUV39h2で処置されなかったSCNTと比較して、体細胞ドナー細胞から提供された核遺伝物質において減少したレベルのH3K9me3を有する。hNT-ESCは、発生のより早期のステージの間にクローンSCNT胚から取得され得る。
【0112】
特定の態様においては、本明細書に開示される方法、組成物およびキットを用いて生成されるSCNT胚から生成される割球が、全能性細胞を得るためにガラスピペットを用いて分離され得る。いくつかの態様において、分離は、0.25%トリプシンの存在下で行われ得る(Collas and Robl, 43 BIOL. REPROD. 877-84, 1992; Stice and Robl, 39 BIOL. REPROD. 657-664, 1988; Kanka et al., 43 MOL. REPROD. DEV. 135-44, 1996)。
【0113】
特定の態様において、SCNT胚から得られる胚盤胞または胚盤胞様クラスターは、胚性幹細胞株、例えば、核移植ESC(ntESC)細胞株を得るために使用され得る。そのような株は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられるThomson et al., Science, 282:1145-1147 (1998)およびThomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 92:7544-7848 (1995)によって報告された培養方法にしたがい、取得され得る。
【0114】
多能性胚性幹細胞はまた、出生への胚の正常な発生を妨げることなく、SCNT胚から取り出された単一の割球から生成され得る。その開示の全体が参照により組み入れられる、2004年11月4日に出願された米国出願番号60/624,827;2005年3月14日に出願された同60/662,489;2005年6月3日に出願された同60/687,158;2005年10月3日に出願された同60/723,066;2005年10月14日に出願された同60/726,775;2005年11月4日に出願された同11/267,555;2005年11月4日に出願されたPCT出願番号PCT/US05/39776を参照のこと;各々の全開示が参照により組み入れられるChung et al., Nature, Oct. 16, 2005 (出版前に電子的に公開されている)およびChung et al., Nature V. 439, pp. 216-219 (2006)も参照のこと。そのような例において、SCNT胚は、多能性幹細胞の生成のために破壊されない。
【0115】
本発明の1つの局面において、この方法は、研究におけるおよび治療におけるSCNT胚由来の細胞の利用を含む。そのような多能性幹細胞(PSC)または全能性幹細胞(TSC)は、皮膚、軟骨、骨、骨格筋、心筋、腎臓、肝臓、血液および血液形成、血管前駆および血管内皮、膵臓ベータ、神経、グリア、網膜、内耳濾胞(inner ear follicle)、腸、肺細胞を含むがこれらに限定されない身体のあらゆる細胞に分化し得る。
【0116】
本発明の別の態様において、SCNT胚、または胚盤胞、またはSCNT胚から得られる多能性もしくは全能性細胞(例えば、NT-ESC)は、他の治療的に有用な細胞、例えば、網膜色素上皮、造血前駆細胞および血管芽前駆細胞ならびに外胚葉、中胚葉および内胚葉の多くの他の有用な細胞型を生成するよう、1つまたは複数の分化誘導因子に暴露され得る。そのような誘導因子は、サイトカイン、例えば、インターロイキン・アルファA、インターフェロン・アルファA/D、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・ガンマ、インターフェロン・ガンマ誘導タンパク質10、インターロイキン1~17、ケラチノサイト成長因子、レプチン、白血病阻止因子、マクロファージコロニー刺激因子およびマクロファージ炎症タンパク質1アルファ、1ベータ、2、3アルファ、3ベータおよび単球走化性タンパク質1~3、6カイン(6kine)、アクチビンA、アンフィレグリン、アンギオレギン、B内皮細胞成長因子、ベータセルリン、脳由来神経栄養因子、C10、カルディオトロフィン1、毛様体神経栄養因子、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、エオタキシン、上皮成長因子、上皮好中球活性化ペプチド78、エリスロポエチン、エストロゲン受容体アルファ、エストロゲン受容体ベータ、線維芽細胞成長因子(酸性および塩基性)、ヘパリン、FLT-3/FLK-2リガンド、グリア細胞株由来神経栄養因子、Gly-His-Lys、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、GROアルファ/MGSA、GROベータ、GROガンマ、HCC-1、ヘパリン結合上皮成長因子、肝細胞成長因子、ヘレグリン・アルファ、インスリン、インスリン成長因子結合タンパク質1、インスリン様成長因子結合タンパク質1、インスリン様成長因子、インスリン様成長因子II、神経成長因子、神経栄養因子(neurotophin)3、4、オンコスタチンM、胎盤成長因子、プレイオトロフィン、ランテス(rantes)、幹細胞因子、間質細胞由来因子1B、トロンボポエチン(thromopoietin)、形質転換成長因子(アルファ、ベータ、1、2、3、4、5)、腫瘍壊死因子(アルファおよびベータ)、血管内皮成長因子、および骨形成タンパク質、ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト、例えば17B-エストラジオール、副腎皮質刺激ホルモン、アドレノメデュリン、アルファ・メラノサイト刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコステロイド結合グロブリン、コルチコステロン、デキサメタゾン、エストリオール、卵胞刺激ホルモン、ガストリン1、グルカゴン、ゴナドトロピン、L-3,3',5'-トリヨードチロニン、黄体形成ホルモン、L-サイロキシン、メラトニン、MZ-4、オキシトシン、副甲状腺ホルモン、PEC-60、下垂体成長ホルモン、プロゲステロン、プロラクチン、セレクチン、性ホルモン結合グロブリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出因子、サイロキシン結合グロブリンおよびバソプレッシンの発現を変更する酵素、細胞外マトリクス成分、例えば、フィブロネクチン、フィブロネクチンのタンパク質分解フラグメント、ラミニン、テネイシン、トロンボスポンジン、ならびにプロテオグリカン、例えば、アグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、コンドロイチン(chontroitin)硫酸プロテオグリカンおよびシンデカンを含むがこれらに限定されない。他の誘導因子は、本発明の再プログラムされた細胞から得られる分化中の細胞に対して誘導性シグナルを提供するために使用される定義された組織由来の細胞または細胞から得られる成分を含む。そのような誘導性細胞、例えば特定病原体除去(SPF)胚性または成体細胞は、ヒト、非ヒト哺乳類または鳥類から取得され得る。
【0117】
割球の培養。1つの態様において、SCNT胚は、割球を生成するために使用され得、本明細書に開示される方法によって生成されたSCNT胚から、当該SCNT胚を破壊することなくまたはそれらの生存能を有意に変更することなく個々の割球を単離するために、着床前遺伝子診断(PGD)において現在使用されているそれらに関連するインビトロ技術を利用することができる。本明細書に示されているように、多能性胚性幹(hES)細胞および細胞株は、本明細書に開示されるSCNT胚から、出生へのその胚の発生を妨げることなく取り出された単一の割球から生成され得る。
【0118】
「Dolly」というヒツジのクローン化に関するWilmut et al.(Wilmut, et al, Nature 385, 810 (1997))の発見は、hESCの入手に関するThomson et al.(Thomson et al., Science 282, 1145 (1998))の発見と共に、患者自身の核から生成されるSCNT胚またはSCNTにより改変された細胞塊由来の患者特異的hESCの樹立に基づく再生細胞移植に対する大きな熱意を生み出した。自家移植を通じて免疫拒絶を回避することを目的とするこの戦略は、おそらく、SCNTの最も強力な臨床上の理論的根拠である。同様に、複合病特異的SCNT-hESCの入手は、疾患メカニズムの発見を加速させ得る。細胞移植については、個々のマウス自身のSCNT由来mESCを用いたマウスSCIDおよびPDモデルの先進的処置が活気づいている(Rideout et al, Cell 109, 17 (2002); Barberi, Nat. Biotechnol. 21, 1200 (2003))。最終的に、幅広い組織適合性を有するSCNT由来幹細胞のバンクを設立する能力が、現在行われている新しい卵母細胞の供給に対する要求を減らすであろう。
【0119】
本発明の特定の態様において、SCNT胚から得られる多能性または全能性細胞(例えば、hNT-ESC)は、任意で分化され得、組織内に導入され得、通常それらはそこで、治療利用性を示すように滞在する。例えば、SCNT胚から得られる多能性または全能性細胞は、組織に導入され得る。特定の他の態様において、SCNT胚から得られる多能性または全能性細胞は、全身的に、または治療的利用性が望まれる部位から離れた場所から導入され得る。そのような態様において、SCNT胚から得られる多能性または全能性細胞は、離れた場所から作用し得または所望の部位にホーミングし得る。
【0120】
本発明の特定の態様において、SCNT胚から得られるクローン細胞、多能性または全能性細胞は、他の多能性幹細胞の分化を誘導する上で利用され得る。胚の遺伝子発現パターンを維持しつつインビトロで増殖することができる単一細胞由来の細胞集団の生成は、他の多能性幹細胞の分化を誘導する上で有用である。細胞・細胞誘導は、早期の胚において分化を方向づける一般的手段である。脊髄神経細胞、心細胞、膵臓ベータ細胞および造血系決定細胞(definitive hematopoietic cells)を含む多くの潜在的に医学的に有用な細胞型は、通常の胚発生の間に誘導性シグナルの影響を受ける。胚の遺伝子発現パターンを維持しつつインビトロで増殖することができる単一細胞由来の細胞集団は、所望の細胞または組織型になるよう他の多能性幹細胞の分化を誘導する様々なインビトロ、インオボ(in ovo)またはインビボ培養条件で培養され得る。
【0121】
SCNT胚から得られる多能性または全能性細胞(例えば、ntESC)は、任意の所望の分化細胞型を得るために使用され得る。そのような分化細胞の治療利用はひとつではない。本明細書で議論されるように、ドナー細胞、またはレシピエント卵母細胞、ハイブリッド卵母細胞またはSCNT胚は、本明細書に開示される方法にしたがいH3K27me3特異的デメチラーゼにより処置され得る。
【0122】
あるいは、ドナー細胞は、障害を有する対象由来の成体体細胞であり得、生成されるSCNT胚は、疾患の動物モデルまたは疾患の細胞モデルを生成する分化条件下で培養され得る疾患特異的多能性もしくは全能性細胞を生成するために使用され得る。本発明の大きな利点は、SCNTの効率を向上させることにより、同質遺伝子または同系遺伝子のES細胞、特に人工多能性幹細胞でない(例えば、iPSCでない)多能性細胞の本質的に無限の供給元を提供することである。そのようなNT-ESCは部分的に多能性であることがなくかつウイルス性の導入遺伝子を有さずそれらの再プログラムを行うよう再プログラム因子を強制発現させることもないため、それらはiPSCを上回る利点を有し、移植に適する。
【0123】
いくつかの態様において、SCNTから生成されるNT-ESCは、SCNT胚から得られる患者特異的多能性細胞であり、ドナー細胞は、この多能性幹細胞またはその分化した子孫を用いて処置される対象から得られる。したがって、現在の移植方法に付随する大きな問題、すなわち、宿主対移植片または移植片対宿主拒絶が原因で起こり得る移植された組織の拒絶を回避するであろう。従来的に、拒絶は、拒絶抑制薬、例えばシクロスポリンの投与によって防止または減少される。しかし、そのような薬物は、大きな副作用、例えば、免疫抑制、発癌性を有し、また非常に高価である。本発明は、拒絶抑制薬、例えば、シクロスポリン、イムラン(imulan)、FK-506、グルココルチコイドおよびラパマイシンならびにそれらの誘導体の要求をなくすまたは少なくとも大きく減らすと考えられる。
【0124】
キット
本発明は、H3K27me3特異的デメチラーゼ活性化因子(例えば、Kdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cをコードするポリヌクレオチド、Kdm6a、Kdm6bもしくはKdm6cポリペプチド、またはそれらの酵素的に活性なフラグメント)を含むキットを提供する。
【0125】
いくつかの態様において、キットは、治療用または予防用の細胞組成物を含む滅菌容器を含み、そのような容器は箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、袋、ポーチ、ブリスターパックまたは当技術分野で公知の他の適切な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔または医薬を保持するのに適した他の材料から作製され得る。
【0126】
所望の場合、本発明の剤は、SCNTの効率を向上させるための当該剤の投与に関する説明書と共に提供される。説明書は、通常、生理学的なX染色体不活性化を向上させる組成物の使用についての情報を含む。他の態様において、説明書は、以下の少なくとも1つを含む:治療剤の説明;神経学的疾患もしくはその症状の処置もしくは予防のための投薬スケジュールおよび投与;事前措置;警告;適応;適応外(counter-indication);過剰投与情報;副作用;動物薬理;臨床試験;ならびに/または参考情報。説明書は、(存在する場合)容器に直接、または容器に貼付するラベルとして、または容器内にもしくは容器と共に提供される別個のシート、パンフレット、カードもしくはホルダーとして印刷され得る。
【0127】
そうでないことが示されていない限り、本発明の実施には、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術が用いられ、これらは十分に当業者の範囲内である。そのような技術は、文献、例えば、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook, 1989); "Oligonucleotide Synthesis” (Gait, 1984); "Animal Cell Culture” (Freshney, 1987); "Methods in Enzymology” "Handbook of Experimental Immunology” (Weir, 1996); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells” (Miller and Calos, 1987); "Current Protocols in Molecular Biology” (Ausubel, 1987); "PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis, 1994); "Current Protocols in Immunology” (Coligan, 1991)で十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生産に適用可能であり、そのため、本発明の製造および実施の際に考慮され得る。特定の態様において特に有用な技術は、以下の節で議論されるであろう。
【0128】
以下の実施例は、本発明のアッセイ、スクリーニングおよび治療法をどのように策定し使用するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために示されており、本発明者らが自身の発明であるとみなす範囲を限定することは意図されていない。
【実施例
【0129】
実施例1:H3K9me3は両親性の胚におけるXistサイレンシングに不要である
Kdm4bを通じたH3K9me3の消失が両親性の胚においてXist抑制を誘導することができるかどうかを決定するため、Kdm4b mRNAをインビトロ受精させた胚に注射した。免疫染色分析は、Kdm4b mRNA注射が濃度依存的な様式で受精卵においてH3K9me3を効果的に除去したことを確認した(図1A)。Xist RNA発現を評価するため、4細胞胚においてRNA蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)分析を行った。雄胚と雌胚を区別するため、X染色体を、Rnf12座に特異的なプローブを用いるDNA FISHにより同時に標識した。そのため、雄または雌胚の各割球は、それぞれ、1つまたは2つのDNA FISHシグナルを有する。「注射なし」対照雄胚は、Xist RNAシグナルを示さず、雌胚の大部分は、1つのRNAクラウドまたはスポットシグナルを示した(図1B~1D)。同様に、Kdm4b注射胚は、雄または雌胚のいずれにおいても母性Xist発現を誘導しなかった(図1B~1D)。学説により拘束されるものではないが、これは、H3K9me3が生理学的な両親性条件下で母性Xistのサイレンシングに関して重要な役割を果たさないことを示している。
【0130】
実施例2:母性H3K27me3は卵母細胞および着床前の胚においてXistを被覆する
母性H3K27me3は刷り込み印として機能し得るので(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)、Xist刷り込みにおけるその潜在的関与を試験した。H3K27me3 ChIP-seq(高スループット配列決定と組み合わされたクロマチン免疫沈降[ChIP])データセット(Zheng et al. 2016. Mol Cell 63: 1066-1079)の分析は、Xistが、成熟卵母細胞において□450 kbに及び、卵母細胞成長の間に確立される広範なH3K27me3ドメインで被覆されていることを明らかにした(図2A)。卵母細胞DNase I配列決定(DNase I seq)(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)およびDNAメチローム(Kobayashi et al. 2012. PLoS Genet 8: e1002440)データセットの分析は、このH3K27me3ドメイン全体が低いクロマチンアクセス性および低いDNAメチル化を示すことを明らかにした(図2A)。学説により拘束されるものではないが、これは、DNAメチル化に非依存的なヘテロクロマチンドメインの形成を示唆している。受精後の胚のChIP-seqデータセット(Zheng et al. 2016. Mol Cell 63: 1066-1079)の分析は、母性H3K27me3ドメインが着床前発生を通じて維持されているが、胚第6.5日(E6.5)のエピブラストにおいて失われることを明らかにした(図2B)。XistからZcchc13に及ぶがTsixプロモーターを含まない上流□200kb領域が、胚盤胞の胚においてH3K27me3の豊富さの対立遺伝子バイアスを維持していることが注目される(図2C)。これらのデータは、母性Xistサイレンシングにおける母性H3K27me3の潜在的役割を支持するものである。
【0131】
実施例3:母性H3K27me3は母性Xistサイレンシングを担っている
H3K27me3が母性Xistサイレンシングを担っているかどうかを試験するため、H3K27me3特異的デメチラーゼであるKdm6bをコードするmRNAを注射することによって受精卵においてH3K27me3を除去した(図3A)。陰性対照として、触媒ドメインに点変異を有する触媒性変異体Kdm6bMUTの注射により受精卵を調製した(図3A;Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)。外因性Kdm6bの発現は一過的であるにもかかわらず、Kdm6bWT胚におけるH3K27me3レベルは、4細胞および桑実胚ステージのKdm6bMUT胚のそれよりも有意に低くなった(図5A~5B)。
【0132】
Kdm6bWTを注射した胚のXist座においてH3K27me3が失われたことを確認するため、500~2000個のマウス胚性幹細胞を用いて効果的に機能した(図6A)、超低インプットネイティブChIP-seq(ULI-NChIP)分析を行った(Brind’Amour et al. 2015. Nat Commun 6: 6033)。H3K27me3 ULI-NChIPを、Kdm6bWTまたはKdm6bMUTを注射した桑実胚の胚由来の□2000個の割球を用いて行った。データの質は、Kdm6bMUTを注射した胚を、公開されている桑実胚の胚のデータセットと比較することによって検証した(図6B~6D;Liu et al. 2016. Nature 537: 558-562)。Kdm6bWT注射胚におけるH3K27me3ピークの数は、Kdm6bMUT注射胚のそれよりもずっと少なかった(図6E)。重要なことに、Xist座は、Kdm6bWT胚においてドメイン全体を通じてH3K27me3の豊富さの顕著な減少を示している(図6F)。さらに、単一ヌクレオチド多型(SNP)情報の分析は、母性H3K27me3ドメインがKdm6bWT胚において失われたことを明らかにした(図3B)。
【0133】
Kdm6bWTを注射した4細胞胚において母性Xistが抑制されるかどうかを試験するため、RNA/DNA FISH分析を行った。RNA/DNA FISH分析は、Kdm6bWTを注射した雄の大部分がXist RNAクラウドまたはスポットを示したのに対して、Kdm6bMUTを注射した雄のすべてがシグナルを示さなかったことを明らかにした(図3C~3D)。さらに、Kdm6bWTを注射した雌の大部分は、2つのXist RNAクラウドおよび/またはスポットを示したのに対して、Kdm6bMUTを注射した雌のほとんどが1つのクラウドを示した(図3C、3E)。これらの結果は、4細胞ステージにおいてXist座における母性H3K27me3の消失が母性Xist抑制を誘導したことを示している。
【0134】
実施例4. H3K27me3の消失は母性X染色体不活性化(XCI)を誘導する
母性Xist発現が桑実胚ステージまで継続するかどうかを試験するため(図4A)、RNA/DNA FISH分析を行った。注目すべきことに、Kdm6bWTを注射した雄および雌の胚の大部分が、それぞれ、1つおよび2つのRNAクラウドを示したの対して、Kdm6bMUTを注射した雄および雌の胚のほとんどが、それぞれ、ゼロおよび1つのRNAクラウドを示し(図4B~4D)、これにより再活性化されたXistが維持されていることが示された。XistはRnf12の過剰発現によって上方調節され得る(Tan et al. 2016. Proc Natl Acad Sci 113: 3197-3202)が、RT-qPCR分析は、Kdm6bWT注射胚においてRnf12の上方調節の証拠を見いださず(図7)、Kdm6bWTを通じたXistの抑制がRnf12の過剰発現に起因する可能性が排除された。
【0135】
母性Xist発現が母性XCIをもたらすかどうかを決定するため(図4A)、早期胚盤胞ステージのハイブリッドマウス胚および生物学的複製物においてRNA配列決定(RNA-seq)分析を行った(図8A)。SNP情報の分析は、Xm連鎖遺伝子の試験を可能にし、Kdm6bWT注射胚において常染色体遺伝子ではなくXm連鎖遺伝子の発現レベルが有意に下方調節されたことが明らかされた(図4E)。同様に、X連鎖遺伝子の母性対立遺伝子発現バイアス[Mat/(Mat+Pat)]は、依然として>50%であったが、Kdm6bWT注射胚において有意に低下した(図8B)。これらのデータは、Kdm6bWT注射胚において母性XCIが父性XCIよりも穏やかなレベルで起こることを示している。個々のX連鎖遺伝子のより詳しい試験は、Kdm6bWT注射胚においてほとんどの遺伝子が下方調節されたのに対して(図8C)、刷り込みXCIを回避することが公知の遺伝子(Borensztein et al. 2017. Nat Struct Mol Biol 24: 226-233)は不変であった(図8D)ことを確認した。学説により拘束されるものではないが、これは、Kdm6bを通じた母性XCIが生理学的なXCIを再現している可能性を示唆するものである。
【0136】
まとめると、本明細書に記載される結果は、H3K27me3がXistの刷り込み印として機能する証拠を提供する。Xist座における母性H3K27me3のドメインベースの調節は、魅力的な観察であり、かつ重要な疑問を抱かせる。例えば、H3K27me3ドメインの境界は卵形成の間にどのようにして規定されるのか?XistおよびZcchc13にまたがるこのドメインの前半部分(□200 kb)は胚盤胞の胚においてどのようにして母性対立遺伝子特異的なH3K27me3の豊富さを維持しているのか?注目すべきことに、この□200 kb領域は、トポロジー関連ドメイン(topological association domain)を形成するようであり(Giorgetti et al. 2014. Cell 157: 950-963)、このことは、クロマチン境界の調節におけるCTCF等のタンパク質の関与の可能性を暗示している。興味深いことに、このドメインは、その常染色体への挿入が刷り込みXCIを再現する導入遺伝子と高度に重複している(Okamoto et al. 2005. Nature 438: 369-373)。学説により拘束されるものではないが、このことは、この領域にポリコーム群複合体を誘引する中心的要素が存在し、卵形成の間の刷り込みの確立に寄与している可能性を示している。
【0137】
結論として、本研究はしたがって、H3K27me3依存的刷り込みされる遺伝子(Inoue et al. 2017)の新しいメンバーとしてXistを同定するだけでなく、XCIからXmを保護する上でのH3K27me3依存的ゲノム刷り込みの生物学的重要性を示している。
【0138】
上記の結果は、以下の材料および方法を用いて得た。
【0139】
マウス卵母細胞の採集
すべての動物研究を、Harvard Medical SchoolのInstitutional Animal Care and Use Committeeのガイドラインにしたがい行った。卵母細胞採集およびインビトロ受精の手順は、以前に記載されている(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)。この研究においてSNP分析のために使用したハイブリッド胚は、B6D2F1/J(BDF1)卵母細胞およびPWK精液(Jackson Laboratory、003715)のインビトロ受精により得た。
【0140】
mRNAの調製および注射
Kdm6b mRNAの構築および調製ならびに受精卵母細胞へのマイクロ注射は、以前に記載されている(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)。Kdm4b構築物は、そのcDNA増幅産物をpcDNA3.1-Flag-poly(A)83プラスミドにクローン化することによって作成した。mRNAを、mMES-SAGE mMACHINE T7 Ultraキット(Life technologies)を用いて合成し、塩化リチウム沈降により精製し、ヌクレアーゼ非含有水に溶解させた。注射したKdm6bWTおよびKdm6bMUTのmRNAの濃度は1800ng/μLであり、Kdm4bのそれは1000または2600 ng/μLであった。
【0141】
FISH用のプローブ
Xist RNA用のプローブは、Nick翻訳試薬キット(Abbott Molecular, 07J00-001)をCy3-dCTP(GE Healthcare, PA53021)と共に用いることによって調製した。鋳型DNAは、全長マウスXist遺伝子をコードするプラスミド(Addgene, 26760)であった(Wutz and Jaenisch. 2000. Mol Cell 5: 695-705)。DNA FISH用のプローブは、同じキットをGreen-dUTP(Abbott Molecular, 02N32-050)と共に用いて調製した。鋳型DNAは、Rnf12座を含むBACクローン(RP23-36C20)であった(Fukuda et al. 2015. Development 142: 4049-4055)。蛍光プローブを、5μgのCot-1 DNA(Life technologies)、5μgのニシン精液DNA(Thermo Fisher Scientific)および2.5μgの酵母tRNA(Thermo Fisher Scientific, AM7119)と共にエタノール沈降させ、その後に20μLのホルムアミド(Thermo Fisher Scientific, 17899)に溶解させた。このプローブを4℃で保管した。使用する前に、プローブ(各々0.75μL)を0.75μLのCot-1 DNA/ホルムアミドおよび2.25μLの4xSSC/20%デキストラン(Millipore S4030)と混合した。このプローブ混合物を80℃で30分間加熱し、その後に37℃のインキュベーターに移した(「事前アニール済プローブ」)。
【0142】
ホールマウントRNA/DNA FISH
4細胞または桑実胚の胚を、46または78受精後時間(hpf)に、0.5% Triton X-100を含むPBS中2%パラホルムアルデヒド(PFA)において室温で20分間固定した。0.1% BSA/PBSによる3回の洗浄の後、胚を、0.02% Triton X-100を含む0.1N HClにより4℃で15分間処理した。0.1% BSA/2x SSCによる3回の洗浄の後、胚を、ガラス皿(Electron Microscopy Science, 705430-30)において10%、20%および50%ホルムアミド系列/2x SSC中でインキュベートし、そして30分間インキュベートした。このサンプルをミネラル油で覆い、80℃で30分間加熱し、ついで37℃で30分未満インキュベートした。ついでこの胚を4.5μLの「事前アニール済プローブ」中に移し、別のガラス皿においてミネラルオイルで覆い、37℃で24時間未満インキュベートした。胚を事前に42℃に温めておいた0.1% BSA/2x SSCで洗浄し、最終滴下中で30分間維持し、DAPI(Vector Laboratories)を含むVectaShield中、ガラススライド上に配置した。蛍光を、レーザー走査共焦点顕微鏡(Zeiss, LSM800)下で検出した。
【0143】
ホールマウント免疫染色
免疫染色および定量の手順は、以前に記載されたものである(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)。
【0144】
母性対立遺伝子バイアスがかかったH3K27me3ドメインの同定
内部細胞塊(ICM)におけるH3K27me3 ChIP-seqについての100塩基対(bp)ビンのRPKM(百万のマップされたリードあたりの1キロ塩基あたりのリード数)値を含むBEDファイルは、GSE76687(Zheng et al. 2016. Mol Cell 63: 1066-1079)から得た。BEDファイルは、2つの親対立遺伝子について母性または父性を含むRPKM値を表示し、対立遺伝子リード数を総リード数に対して正規化した。「bedtools makewindows」を使用して全mm9ゲノムにおいて1-kbビンを生成し、各ビンのRPKM値を「bedtools map」により計算した。すべてのビンを、1のシグナルカットオフおよび4の変化倍率カットオフを用いて「シグナルなし」、「両対立遺伝子」および「母性バイアスあり」の3つのカテゴリに分類した。スライディングウィンドウアプローチを用いて、「母性バイアスあり」のH3K27me3ビンに豊富なドメインを同定した。その基準は以下の通りであった:20 kbのウィンドウ内で、「母性バイアスあり」ビンの最小数が3であり、「母性バイアスあり」ビンのパーセンテージが「両対立遺伝子」ビンよりも高い。重複するウィンドウを「bedtools merge」により結合した。合計5986個のドメインがゲノム中で同定された。
【0145】
ULI-NChIP
78 hpfで、グループあたり□110個の桑実胚の胚を酸性タイロード溶液(Sigma-Aldrich)で軽く処理して透明帯を除去し、0.2% BSA/PBSで洗浄し、1.5 mLチューブに移した。ULI-NChIPは、以下の点を変更しつつ以前に記載(Brind’Amour et al. 2015. Nat Commun 6: 6033)されたようにH3K27me3抗体(Diagenode, C15410069)を用いて行った。第1に、我々は、Agencourt Ampure XPに代えてBeckman SPRIselectビーズ(Beckman Coulter)を用いた。第2に、配列決定ライブラリを、Illumina用NEBNext Ultra II DNAライブラリ調製キット(New England Biolabs)を用いて調製した。第3に、PCR増幅を、Kapa Hifiホットスタートレディミックス(Kapa Biosystems)を用いて行った。最後に、サイズ選択を行わなかった。投入サンプルのために、クロマチン溶解産物の10%容積を取り、ライブラリ構築および配列決定に使用した。ライブラリの定量および配列決定は以前に記載されたものとした(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)。
【0146】
ULI-NChIPのデータ分析
Kdm6bMUTサンプルとKdm6bWTサンプルの間の正規化のために、MAnorm(Shao et al. 2012. Genome Biol 13: R16)と同様の戦略を用いた。第1に、Kdm6bMUTサンプルとKdm6bWTサンプルの間で共通ピークを特定した。次に、すべてのサンプルを、共通ピーク内の各サンプルのRPKM値に基づき、最も高いカバレッジのサンプルに対して正規化した。SNP特異的リードは、ライブラリあたりの特有にマップされたリードの総数に対して正規化し、さらに、対立遺伝子あたりのSNP特異的リードの和に基づき最も高いカバレッジの対立遺伝子に対して正規化した。
【0147】
逆転写およびリアルタイムPCR分析
Kdm6b注射胚を、46 hpf(4細胞)、60 hpf(8細胞)および78 hpf(桑実胚)で採集した。逆転写およびリアルタイムPCR分析の手順は、この研究における逆転写用のランダムプライマーの使用を除いて以前に記載されたものとした(Inoue and Zhang. 2014. Nat Struct Mol Biol 21: 609-616)。リアルタイムPCRに使用したプライマー配列は、以下の通りであった。
【0148】
RNA-seqおよびデータ分析
96 hpfの胚盤胞の胚を、酸性タイロード溶液で軽く処理し、0.2% BSA/PBSにより洗浄し、-80℃でPCRチューブ内に保管した。グループあたり40~46個の胚をプールし、RNA-seqに使用した。RNA-seqライブラリは、cDNA増幅後にNextera XT DNAライブラリ調製キット(Illumina)を使用したことを除いて以前に記載(Inoue et al. 2017)されたようにして調製した。
【0149】
統計的分析
統計的分析は、R(http://www.r-project.org)を用いて行った。ピアソンのR係数は、「cor」関数をデフォルトパラメータで用いて計算した。図8Bに関して、R関数「wilcox.test」を用いてマン・ホイットニーU検定を行った。
【0150】
コードの利用
カスタマイズされたパイプラインを使用してSNP情報に基づきそれらの親起源に対するハイブリッド胚の配列決定データのアラインメントを分割した。コードは、https://github.com/lanjiangboston/UniversalSNPsplitにおいて入手可能である。
【0151】
データの利用
本明細書で作成されたChIP-seqおよびRNA-seqデータセットは、アクセッション番号GSE103714の下でGene Expression Omnibusデータベースに登録されている。GV卵母細胞のWGBSデータセットは、http://www.nodai-genome.org/mouse.html?lang=enからダウンロードした(Kobayashi et al. 2012. PLoS Genet 8: e1002440)。H3K27me3 ChIP-seqデータセットは、GSE76687からダウンロードした(Zheng et al. 2016. Mol Cell 63: 1066-1079)。卵母細胞DNase I-seqデータセットは、GSE92605から得た(Inoue et al. 2017. Nature 547: 419-424)。ENCODEデータのBAMファイルおよびピークファイルは、https://www.encodeproject.org/files/ENCFF001KDTからダウンロードした。桑実胚の胚のH3K27me3 ChIP-seqデータセットは、GSE73952から得た(Liu et al. 2016. Nature 537: 558-562)。
【0152】
他の態様
前記記載から、本明細書に記載される発明に対してそれを様々な用途および条件に適応させるよう変更および改変がなされ得ることが明らかであろう。そのような態様もまた、添付の特許請求の範囲内である。
【0153】
本明細書の可変部分の定義において要素のリストが示されている場合、その可変部分が、任意の単一の要素または列挙されている要素の組み合わせ(もしくは部分的組み合わせ)として定義されていることが含まれる。本明細書において態様が示されている場合、任意の単一の態様としてのその態様または任意の他の態様もしくはその一部と組み合わされたその態様が含まれる。
【0154】
本明細書で言及されているすべての特許、刊行物およびアクセッション番号は、各々個別の特許、刊行物およびアクセッション番号が具体的かつ個別に参照により組み入れられることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0155】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> THE CHILDREN'S MEDICAL CENTER CORPORATION
<120> COMPOSITIONS AND METHODS FOR GENERATING PHYSIOLOGICAL X
CHROMOSOME INACTIVATION
<160> 9
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 1401
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 1
Met Lys Ser Cys Gly Val Ser Leu Ala Thr Ala Ala Ala Ala Ala Ala
1 5 10 15
Ala Phe Gly Asp Glu Glu Lys Lys Met Ala Ala Gly Lys Ala Ser Gly
20 25 30
Glu Ser Glu Glu Ala Ser Pro Ser Leu Thr Ala Glu Glu Arg Glu Ala
35 40 45
Leu Gly Gly Leu Asp Ser Arg Leu Phe Gly Phe Val Arg Phe His Glu
50 55 60
Asp Gly Ala Arg Thr Lys Ala Leu Leu Gly Lys Ala Val Arg Cys Tyr
65 70 75 80
Glu Ser Leu Ile Leu Lys Ala Glu Gly Lys Val Glu Ser Asp Phe Phe
85 90 95
Cys Gln Leu Gly His Phe Asn Leu Leu Leu Glu Asp Tyr Pro Lys Ala
100 105 110
Leu Ser Ala Tyr Gln Arg Tyr Tyr Ser Leu Gln Ser Asp Tyr Trp Lys
115 120 125
Asn Ala Ala Phe Leu Tyr Gly Leu Gly Leu Val Tyr Phe His Tyr Asn
130 135 140
Ala Phe Gln Trp Ala Ile Lys Ala Phe Gln Glu Val Leu Tyr Val Asp
145 150 155 160
Pro Ser Phe Cys Arg Ala Lys Glu Ile His Leu Arg Leu Gly Leu Met
165 170 175
Phe Lys Val Asn Thr Asp Tyr Glu Ser Ser Leu Lys His Phe Gln Leu
180 185 190
Ala Leu Val Asp Cys Asn Pro Cys Thr Leu Ser Asn Ala Glu Ile Gln
195 200 205
Phe His Ile Ala His Leu Tyr Glu Thr Gln Arg Lys Tyr His Ser Ala
210 215 220
Lys Glu Ala Tyr Glu Gln Leu Leu Gln Thr Glu Asn Leu Ser Ala Gln
225 230 235 240
Val Lys Ala Thr Val Leu Gln Gln Leu Gly Trp Met His His Thr Val
245 250 255
Asp Leu Leu Gly Asp Lys Ala Thr Lys Glu Ser Tyr Ala Ile Gln Tyr
260 265 270
Leu Gln Lys Ser Leu Glu Ala Asp Pro Asn Ser Gly Gln Ser Trp Tyr
275 280 285
Phe Leu Gly Arg Cys Tyr Ser Ser Ile Gly Lys Val Gln Asp Ala Phe
290 295 300
Ile Ser Tyr Arg Gln Ser Ile Asp Lys Ser Glu Ala Ser Ala Asp Thr
305 310 315 320
Trp Cys Ser Ile Gly Val Leu Tyr Gln Gln Gln Asn Gln Pro Met Asp
325 330 335
Ala Leu Gln Ala Tyr Ile Cys Ala Val Gln Leu Asp His Gly His Ala
340 345 350
Ala Ala Trp Met Asp Leu Gly Thr Leu Tyr Glu Ser Cys Asn Gln Pro
355 360 365
Gln Asp Ala Ile Lys Cys Tyr Leu Asn Ala Thr Arg Ser Lys Ser Cys
370 375 380
Ser Asn Thr Ser Ala Leu Ala Ala Arg Ile Lys Tyr Leu Gln Ala Gln
385 390 395 400
Leu Cys Asn Leu Pro Gln Gly Ser Leu Gln Asn Lys Thr Lys Leu Leu
405 410 415
Pro Ser Ile Glu Glu Ala Trp Ser Leu Pro Ile Pro Ala Glu Leu Thr
420 425 430
Ser Arg Gln Gly Ala Met Asn Thr Ala Gln Gln Asn Thr Ser Asp Asn
435 440 445
Trp Ser Gly Gly His Ala Val Ser His Pro Pro Val Gln Gln Gln Ala
450 455 460
His Ser Trp Cys Leu Thr Pro Gln Lys Leu Gln His Leu Glu Gln Leu
465 470 475 480
Arg Ala Asn Arg Asn Asn Leu Asn Pro Ala Gln Lys Leu Met Leu Glu
485 490 495
Gln Leu Glu Ser Gln Phe Val Leu Met Gln Gln His Gln Met Arg Pro
500 505 510
Thr Gly Val Ala Gln Val Arg Ser Thr Gly Ile Pro Asn Gly Pro Thr
515 520 525
Ala Asp Ser Ser Leu Pro Thr Asn Ser Val Ser Gly Gln Gln Pro Gln
530 535 540
Leu Ala Leu Thr Arg Val Pro Ser Val Ser Gln Pro Gly Val Arg Pro
545 550 555 560
Ala Cys Pro Gly Gln Pro Leu Ala Asn Gly Pro Phe Ser Ala Gly His
565 570 575
Val Pro Cys Ser Thr Ser Arg Thr Leu Gly Ser Thr Asp Thr Ile Leu
580 585 590
Ile Gly Asn Asn His Ile Thr Gly Ser Gly Ser Asn Gly Asn Val Pro
595 600 605
Tyr Leu Gln Arg Asn Ala Leu Thr Leu Pro His Asn Arg Thr Asn Leu
610 615 620
Thr Ser Ser Ala Glu Glu Pro Trp Lys Asn Gln Leu Ser Asn Ser Thr
625 630 635 640
Gln Gly Leu His Lys Gly Gln Ser Ser His Ser Ala Gly Pro Asn Gly
645 650 655
Glu Arg Pro Leu Ser Ser Thr Gly Pro Ser Gln His Leu Gln Ala Ala
660 665 670
Gly Ser Gly Ile Gln Asn Gln Asn Gly His Pro Thr Leu Pro Ser Asn
675 680 685
Ser Val Thr Gln Gly Ala Ala Leu Asn His Leu Ser Ser His Thr Ala
690 695 700
Thr Ser Gly Gly Gln Gln Gly Ile Thr Leu Thr Lys Glu Ser Lys Pro
705 710 715 720
Ser Gly Asn Ile Leu Thr Val Pro Glu Thr Ser Arg His Thr Gly Glu
725 730 735
Thr Pro Asn Ser Thr Ala Ser Val Glu Gly Leu Pro Asn His Val His
740 745 750
Gln Met Thr Ala Asp Ala Val Cys Ser Pro Ser His Gly Asp Ser Lys
755 760 765
Ser Pro Gly Leu Leu Ser Ser Asp Asn Pro Gln Leu Ser Ala Leu Leu
770 775 780
Met Gly Lys Ala Asn Asn Asn Val Gly Thr Gly Thr Cys Asp Lys Val
785 790 795 800
Asn Asn Ile His Pro Ala Val His Thr Lys Thr Asp Asn Ser Val Ala
805 810 815
Ser Ser Pro Ser Ser Ala Ile Ser Thr Ala Thr Pro Ser Pro Lys Ser
820 825 830
Thr Glu Gln Thr Thr Thr Asn Ser Val Thr Ser Leu Asn Ser Pro His
835 840 845
Ser Gly Leu His Thr Ile Asn Gly Glu Gly Met Glu Glu Ser Gln Ser
850 855 860
Pro Met Lys Thr Asp Leu Leu Leu Val Asn His Lys Pro Ser Pro Gln
865 870 875 880
Ile Ile Pro Ser Met Ser Val Ser Ile Tyr Pro Ser Ser Ala Glu Val
885 890 895
Leu Lys Ala Cys Arg Asn Leu Gly Lys Asn Gly Leu Ser Asn Ser Ser
900 905 910
Ile Leu Leu Asp Lys Cys Pro Pro Pro Arg Pro Pro Ser Ser Pro Tyr
915 920 925
Pro Pro Leu Pro Lys Asp Lys Leu Asn Pro Pro Thr Pro Ser Ile Tyr
930 935 940
Leu Glu Asn Lys Arg Asp Ala Phe Phe Pro Pro Leu His Gln Phe Cys
945 950 955 960
Thr Asn Pro Asn Asn Pro Val Thr Val Ile Arg Gly Leu Ala Gly Ala
965 970 975
Leu Lys Leu Asp Leu Gly Leu Phe Ser Thr Lys Thr Leu Val Glu Ala
980 985 990
Asn Asn Glu His Met Val Glu Val Arg Thr Gln Leu Leu Gln Pro Ala
995 1000 1005
Asp Glu Asn Trp Asp Pro Thr Gly Thr Lys Lys Ile Trp His Cys
1010 1015 1020
Glu Ser Asn Arg Ser His Thr Thr Ile Ala Lys Tyr Ala Gln Tyr
1025 1030 1035
Gln Ala Ser Ser Phe Gln Glu Ser Leu Arg Glu Glu Asn Glu Lys
1040 1045 1050
Arg Ser His His Lys Asp His Ser Asp Ser Glu Ser Thr Ser Ser
1055 1060 1065
Asp Asn Ser Gly Arg Arg Arg Lys Gly Pro Phe Lys Thr Ile Lys
1070 1075 1080
Phe Gly Thr Asn Ile Asp Leu Ser Asp Asp Lys Lys Trp Lys Leu
1085 1090 1095
Gln Leu His Glu Leu Thr Lys Leu Pro Ala Phe Val Arg Val Val
1100 1105 1110
Ser Ala Gly Asn Leu Leu Ser His Val Gly His Thr Ile Leu Gly
1115 1120 1125
Met Asn Thr Val Gln Leu Tyr Met Lys Val Pro Gly Ser Arg Thr
1130 1135 1140
Pro Gly His Gln Glu Asn Asn Asn Phe Cys Ser Val Asn Ile Asn
1145 1150 1155
Ile Gly Pro Gly Asp Cys Glu Trp Phe Val Val Pro Glu Gly Tyr
1160 1165 1170
Trp Gly Val Leu Asn Asp Phe Cys Glu Lys Asn Asn Leu Asn Phe
1175 1180 1185
Leu Met Gly Ser Trp Trp Pro Asn Leu Glu Asp Leu Tyr Glu Ala
1190 1195 1200
Asn Val Pro Val Tyr Arg Phe Ile Gln Arg Pro Gly Asp Leu Val
1205 1210 1215
Trp Ile Asn Ala Gly Thr Val His Trp Val Gln Ala Ile Gly Trp
1220 1225 1230
Cys Asn Asn Ile Ala Trp Asn Val Gly Pro Leu Thr Ala Cys Gln
1235 1240 1245
Tyr Lys Leu Ala Val Glu Arg Tyr Glu Trp Asn Lys Leu Gln Ser
1250 1255 1260
Val Lys Ser Ile Val Pro Met Val His Leu Ser Trp Asn Met Ala
1265 1270 1275
Arg Asn Ile Lys Val Ser Asp Pro Lys Leu Phe Glu Met Ile Lys
1280 1285 1290
Tyr Cys Leu Leu Arg Thr Leu Lys Gln Cys Gln Thr Leu Arg Glu
1295 1300 1305
Ala Leu Ile Ala Ala Gly Lys Glu Ile Ile Trp His Gly Arg Thr
1310 1315 1320
Lys Glu Glu Pro Ala His Tyr Cys Ser Ile Cys Glu Val Glu Val
1325 1330 1335
Phe Asp Leu Leu Phe Val Thr Asn Glu Ser Asn Ser Arg Lys Thr
1340 1345 1350
Tyr Ile Val His Cys Gln Asp Cys Ala Arg Lys Thr Ser Gly Asn
1355 1360 1365
Leu Glu Asn Phe Val Val Leu Glu Gln Tyr Lys Met Glu Asp Leu
1370 1375 1380
Met Gln Val Tyr Asp Gln Phe Thr Leu Ala Pro Pro Leu Pro Ser
1385 1390 1395
Ala Ser Ser
1400

<210> 2
<211> 1643
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met His Arg Ala Val Asp Pro Pro Gly Ala Arg Ala Ala Arg Glu Ala
1 5 10 15
Phe Ala Leu Gly Gly Leu Ser Cys Ala Gly Ala Trp Ser Ser Cys Pro
20 25 30
Pro His Pro Pro Pro Arg Ser Ala Trp Leu Pro Gly Gly Arg Cys Ser
35 40 45
Ala Ser Ile Gly Gln Pro Pro Leu Pro Ala Pro Leu Pro Pro Ser His
50 55 60
Gly Ser Ser Ser Gly His Pro Ser Lys Pro Tyr Tyr Ala Pro Gly Ala
65 70 75 80
Pro Thr Pro Arg Pro Leu His Gly Lys Leu Glu Ser Leu His Gly Cys
85 90 95
Val Gln Ala Leu Leu Arg Glu Pro Ala Gln Pro Gly Leu Trp Glu Gln
100 105 110
Leu Gly Gln Leu Tyr Glu Ser Glu His Asp Ser Glu Glu Ala Thr Arg
115 120 125
Cys Tyr His Ser Ala Leu Arg Tyr Gly Gly Ser Phe Ala Glu Leu Gly
130 135 140
Pro Arg Ile Gly Arg Leu Gln Gln Ala Gln Leu Trp Asn Phe His Thr
145 150 155 160
Gly Ser Cys Gln His Arg Ala Lys Val Leu Pro Pro Leu Glu Gln Val
165 170 175
Trp Asn Leu Leu His Leu Glu His Lys Arg Asn Tyr Gly Ala Lys Arg
180 185 190
Gly Gly Pro Pro Val Lys Arg Ala Ala Glu Pro Pro Val Val Gln Pro
195 200 205
Val Pro Pro Ala Ala Leu Ser Gly Pro Ser Gly Glu Glu Gly Leu Ser
210 215 220
Pro Gly Gly Lys Arg Arg Arg Gly Cys Asn Ser Glu Gln Thr Gly Leu
225 230 235 240
Pro Pro Gly Leu Pro Leu Pro Pro Pro Pro Leu Pro Pro Pro Pro Pro
245 250 255
Pro Pro Pro Pro Pro Pro Pro Pro Leu Pro Gly Leu Ala Thr Ser Pro
260 265 270
Pro Phe Gln Leu Thr Lys Pro Gly Leu Trp Ser Thr Leu His Gly Asp
275 280 285
Ala Trp Gly Pro Glu Arg Lys Gly Ser Ala Pro Pro Glu Arg Gln Glu
290 295 300
Gln Arg His Ser Leu Pro His Pro Tyr Pro Tyr Pro Ala Pro Ala Tyr
305 310 315 320
Thr Ala His Pro Pro Gly His Arg Leu Val Pro Ala Ala Pro Pro Gly
325 330 335
Pro Gly Pro Arg Pro Pro Gly Ala Glu Ser His Gly Cys Leu Pro Ala
340 345 350
Thr Arg Pro Pro Gly Ser Asp Leu Arg Glu Ser Arg Val Gln Arg Ser
355 360 365
Arg Met Asp Ser Ser Val Ser Pro Ala Ala Thr Thr Ala Cys Val Pro
370 375 380
Tyr Ala Pro Ser Arg Pro Pro Gly Leu Pro Gly Thr Thr Thr Ser Ser
385 390 395 400
Ser Ser Ser Ser Ser Ser Asn Thr Gly Leu Arg Gly Val Glu Pro Asn
405 410 415
Pro Gly Ile Pro Gly Ala Asp His Tyr Gln Thr Pro Ala Leu Glu Val
420 425 430
Ser His His Gly Arg Leu Gly Pro Ser Ala His Ser Ser Arg Lys Pro
435 440 445
Phe Leu Gly Ala Pro Ala Ala Thr Pro His Leu Ser Leu Pro Pro Gly
450 455 460
Pro Ser Ser Pro Pro Pro Pro Pro Cys Pro Arg Leu Leu Arg Pro Pro
465 470 475 480
Pro Pro Pro Ala Trp Leu Lys Gly Pro Ala Cys Arg Ala Ala Arg Glu
485 490 495
Asp Gly Glu Ile Leu Glu Glu Leu Phe Phe Gly Thr Glu Gly Pro Pro
500 505 510
Arg Pro Ala Pro Pro Pro Leu Pro His Arg Glu Gly Phe Leu Gly Pro
515 520 525
Pro Ala Ser Arg Phe Ser Val Gly Thr Gln Asp Ser His Thr Pro Pro
530 535 540
Thr Pro Pro Thr Pro Thr Thr Ser Ser Ser Asn Ser Asn Ser Gly Ser
545 550 555 560
His Ser Ser Ser Pro Ala Gly Pro Val Ser Phe Pro Pro Pro Pro Tyr
565 570 575
Leu Ala Arg Ser Ile Asp Pro Leu Pro Arg Pro Pro Ser Pro Ala Gln
580 585 590
Asn Pro Gln Asp Pro Pro Leu Val Pro Leu Thr Leu Ala Leu Pro Pro
595 600 605
Ala Pro Pro Ser Ser Cys His Gln Asn Thr Ser Gly Ser Phe Arg Arg
610 615 620
Pro Glu Ser Pro Arg Pro Arg Val Ser Phe Pro Lys Thr Pro Glu Val
625 630 635 640
Gly Pro Gly Pro Pro Pro Gly Pro Leu Ser Lys Ala Pro Gln Pro Val
645 650 655
Pro Pro Gly Val Gly Glu Leu Pro Ala Arg Gly Pro Arg Leu Phe Asp
660 665 670
Phe Pro Pro Thr Pro Leu Glu Asp Gln Phe Glu Glu Pro Ala Glu Phe
675 680 685
Lys Ile Leu Pro Asp Gly Leu Ala Asn Ile Met Lys Met Leu Asp Glu
690 695 700
Ser Ile Arg Lys Glu Glu Glu Gln Gln Gln His Glu Ala Gly Val Ala
705 710 715 720
Pro Gln Pro Pro Leu Lys Glu Pro Phe Ala Ser Leu Gln Ser Pro Phe
725 730 735
Pro Thr Asp Thr Ala Pro Thr Thr Thr Ala Pro Ala Val Ala Val Thr
740 745 750
Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Ala Thr Gln Glu Glu Glu
755 760 765
Lys Lys Pro Pro Pro Ala Leu Pro Pro Pro Pro Pro Leu Ala Lys Phe
770 775 780
Pro Pro Pro Ser Gln Pro Gln Pro Pro Pro Pro Pro Pro Pro Ser Pro
785 790 795 800
Ala Ser Leu Leu Lys Ser Leu Ala Ser Val Leu Glu Gly Gln Lys Tyr
805 810 815
Cys Tyr Arg Gly Thr Gly Ala Ala Val Ser Thr Arg Pro Gly Pro Leu
820 825 830
Pro Thr Thr Gln Tyr Ser Pro Gly Pro Pro Ser Gly Ala Thr Ala Leu
835 840 845
Pro Pro Thr Ser Ala Ala Pro Ser Ala Gln Gly Ser Pro Gln Pro Ser
850 855 860
Ala Ser Ser Ser Ser Gln Phe Ser Thr Ser Gly Gly Pro Trp Ala Arg
865 870 875 880
Glu Arg Arg Ala Gly Glu Glu Pro Val Pro Gly Pro Met Thr Pro Thr
885 890 895
Gln Pro Pro Pro Pro Leu Ser Leu Pro Pro Ala Arg Ser Glu Ser Glu
900 905 910
Val Leu Glu Glu Ile Ser Arg Ala Cys Glu Thr Leu Val Glu Arg Val
915 920 925
Gly Arg Ser Ala Thr Asp Pro Ala Asp Pro Val Asp Thr Ala Glu Pro
930 935 940
Ala Asp Ser Gly Thr Glu Arg Leu Leu Pro Pro Ala Gln Ala Lys Glu
945 950 955 960
Glu Ala Gly Gly Val Ala Ala Val Ser Gly Ser Cys Lys Arg Arg Gln
965 970 975
Lys Glu His Gln Lys Glu His Arg Arg His Arg Arg Ala Cys Lys Asp
980 985 990
Ser Val Gly Arg Arg Pro Arg Glu Gly Arg Ala Lys Ala Lys Ala Lys
995 1000 1005
Val Pro Lys Glu Lys Ser Arg Arg Val Leu Gly Asn Leu Asp Leu
1010 1015 1020
Gln Ser Glu Glu Ile Gln Gly Arg Glu Lys Ser Arg Pro Asp Leu
1025 1030 1035
Gly Gly Ala Ser Lys Ala Lys Pro Pro Thr Ala Pro Ala Pro Pro
1040 1045 1050
Ser Ala Pro Ala Pro Ser Ala Gln Pro Thr Pro Pro Ser Ala Ser
1055 1060 1065
Val Pro Gly Lys Lys Ala Arg Glu Glu Ala Pro Gly Pro Pro Gly
1070 1075 1080
Val Ser Arg Ala Asp Met Leu Lys Leu Arg Ser Leu Ser Glu Gly
1085 1090 1095
Pro Pro Lys Glu Leu Lys Ile Arg Leu Ile Lys Val Glu Ser Gly
1100 1105 1110
Asp Lys Glu Thr Phe Ile Ala Ser Glu Val Glu Glu Arg Arg Leu
1115 1120 1125
Arg Met Ala Asp Leu Thr Ile Ser His Cys Ala Ala Asp Val Val
1130 1135 1140
Arg Ala Ser Arg Asn Ala Lys Val Lys Gly Lys Phe Arg Glu Ser
1145 1150 1155
Tyr Leu Ser Pro Ala Gln Ser Val Lys Pro Lys Ile Asn Thr Glu
1160 1165 1170
Glu Lys Leu Pro Arg Glu Lys Leu Asn Pro Pro Thr Pro Ser Ile
1175 1180 1185
Tyr Leu Glu Ser Lys Arg Asp Ala Phe Ser Pro Val Leu Leu Gln
1190 1195 1200
Phe Cys Thr Asp Pro Arg Asn Pro Ile Thr Val Ile Arg Gly Leu
1205 1210 1215
Ala Gly Ser Leu Arg Leu Asn Leu Gly Leu Phe Ser Thr Lys Thr
1220 1225 1230
Leu Val Glu Ala Ser Gly Glu His Thr Val Glu Val Arg Thr Gln
1235 1240 1245
Val Gln Gln Pro Ser Asp Glu Asn Trp Asp Leu Thr Gly Thr Arg
1250 1255 1260
Gln Ile Trp Pro Cys Glu Ser Ser Arg Ser His Thr Thr Ile Ala
1265 1270 1275
Lys Tyr Ala Gln Tyr Gln Ala Ser Ser Phe Gln Glu Ser Leu Gln
1280 1285 1290
Glu Glu Lys Glu Ser Glu Asp Glu Glu Ser Glu Glu Pro Asp Ser
1295 1300 1305
Thr Thr Gly Thr Pro Pro Ser Ser Ala Pro Asp Pro Lys Asn His
1310 1315 1320
His Ile Ile Lys Phe Gly Thr Asn Ile Asp Leu Ser Asp Ala Lys
1325 1330 1335
Arg Trp Lys Pro Gln Leu Gln Glu Leu Leu Lys Leu Pro Ala Phe
1340 1345 1350
Met Arg Val Thr Ser Thr Gly Asn Met Leu Ser His Val Gly His
1355 1360 1365
Thr Ile Leu Gly Met Asn Thr Val Gln Leu Tyr Met Lys Val Pro
1370 1375 1380
Gly Ser Arg Thr Pro Gly His Gln Glu Asn Asn Asn Phe Cys Ser
1385 1390 1395
Val Asn Ile Asn Ile Gly Pro Gly Asp Cys Glu Trp Phe Ala Val
1400 1405 1410
His Glu His Tyr Trp Glu Thr Ile Ser Ala Phe Cys Asp Arg His
1415 1420 1425
Gly Val Asp Tyr Leu Thr Gly Ser Trp Trp Pro Ile Leu Asp Asp
1430 1435 1440
Leu Tyr Ala Ser Asn Ile Pro Val Tyr Arg Phe Val Gln Arg Pro
1445 1450 1455
Gly Asp Leu Val Trp Ile Asn Ala Gly Thr Val His Trp Val Gln
1460 1465 1470
Ala Thr Gly Trp Cys Asn Asn Ile Ala Trp Asn Val Gly Pro Leu
1475 1480 1485
Thr Ala Tyr Gln Tyr Gln Leu Ala Leu Glu Arg Tyr Glu Trp Asn
1490 1495 1500
Glu Val Lys Asn Val Lys Ser Ile Val Pro Met Ile His Val Ser
1505 1510 1515
Trp Asn Val Ala Arg Thr Val Lys Ile Ser Asp Pro Asp Leu Phe
1520 1525 1530
Lys Met Ile Lys Phe Cys Leu Leu Gln Ser Met Lys His Cys Gln
1535 1540 1545
Val Gln Arg Glu Ser Leu Val Arg Ala Gly Lys Lys Ile Ala Tyr
1550 1555 1560
Gln Gly Arg Val Lys Asp Glu Pro Ala Tyr Tyr Cys Asn Glu Cys
1565 1570 1575
Asp Val Glu Val Phe Asn Ile Leu Phe Val Thr Ser Glu Asn Gly
1580 1585 1590
Ser Arg Asn Thr Tyr Leu Val His Cys Glu Gly Cys Ala Arg Arg
1595 1600 1605
Arg Ser Ala Gly Leu Gln Gly Val Val Val Leu Glu Gln Tyr Arg
1610 1615 1620
Thr Glu Glu Leu Ala Gln Ala Tyr Asp Ala Phe Thr Leu Ala Pro
1625 1630 1635
Ala Ser Thr Ser Arg
1640

<210> 3
<211> 6731
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 3
ggcaacatgc cagccccgta gcactgccca ccccacccac tgtggtctgt tgtaccccac 60
tgctggggtg gtggttccaa tgagacaggg cacaccaaac tccatctggc tgttactgag 120
gcggagacac gggtgatgat tggctttctg gggagagagg aagtcctgtg attggccaga 180
tctctggagc ttgccgacgc ggtgtgagga cgctcccacg gaggccggaa ttggctgtga 240
aaggactgag gcagccatct gggggtagcg ggcactctta tcagagcggc tggagccgga 300
ccatcgtccc agagagctgg ggcagggggc cgtgcccaat ctccagggct cctggggcca 360
ctgctgacct ggctggatgc atcgggcagt ggaccctcca ggggcccgcg ctgcacggga 420
agcctttgcc cttgggggcc tgagctgtgc tggggcctgg agctcctgcc cgcctcatcc 480
ccctcctcgt agcgcatggc tgcctggagg cagatgctca gccagcattg ggcagccccc 540
gcttcctgct cccctacccc cttcacatgg cagtagttct gggcacccca gcaaaccata 600
ttatgctcca ggggcgccca ctccaagacc cctccatggg aagctggaat ccctgcatgg 660
ctgtgtgcag gcattgctcc gggagccagc ccagccaggg ctttgggaac agcttgggca 720
actgtacgag tcagagcacg atagtgagga ggccacacgc tgctaccaca gcgcccttcg 780
atacggagga agcttcgctg agctggggcc ccgcattggc cgactgcagc aggcccagct 840
ctggaacttt catactggct cctgccagca ccgagccaag gtcctgcccc cactggagca 900
agtgtggaac ttgctacacc ttgagcacaa acggaactat ggagccaagc ggggaggtcc 960
cccggtgaag cgagctgctg aacccccagt ggtgcagcct gtgcctcctg cagcactctc 1020
aggcccctca ggggaggagg gcctcagccc tggaggcaag cgaaggagag gctgcaactc 1080
tgaacagact ggccttcccc cagggctgcc actgcctcca ccaccattac caccaccacc 1140
accaccacca ccaccaccac caccacccct gcctggcctg gctaccagcc ccccatttca 1200
gctaaccaag ccagggctgt ggagtaccct gcatggagat gcctggggcc cagagcgcaa 1260
gggttcagca cccccagagc gccaggagca gcggcactcg ctgcctcacc catatccata 1320
cccagctcca gcgtacaccg cgcacccccc tggccaccgg ctggtcccgg ctgctccccc 1380
aggcccaggc ccccgccccc caggagcaga gagccatggc tgcctgcctg ccacccgtcc 1440
ccccggaagt gaccttagag agagcagagt tcagaggtcg cggatggact ccagcgtttc 1500
accagcagca accaccgcct gcgtgcctta cgccccttcc cggccccctg gcctccccgg 1560
caccaccacc agcagcagca gtagcagcag cagcaacact ggtctccggg gcgtggagcc 1620
gaacccaggc attcccggcg ctgaccatta ccaaactccc gcgctggagg tctctcacca 1680
tggccgcctg gggccctcgg cacacagcag tcggaaaccg ttcttggggg ctcccgctgc 1740
cactccccac ctatccctgc cacctggacc ttcctcaccc cctccacccc cctgtccccg 1800
cctcttacgc cccccaccac cccctgcctg gttgaagggt ccggcctgcc gggcagcccg 1860
agaggatgga gagatcttag aagagctctt ctttgggact gagggacccc cccgccctgc 1920
cccaccaccc ctcccccatc gcgagggctt cttggggcct ccggcctccc gcttttctgt 1980
gggcactcag gattctcaca cccctcccac tcccccaacc ccaaccacca gcagtagcaa 2040
cagcaacagt ggcagccaca gcagcagccc tgctgggcct gtgtcctttc ccccaccacc 2100
ctatctggcc agaagtatag acccccttcc ccggcctccc agcccagcac agaaccccca 2160
ggacccacct cttgtacccc tgactcttgc cctgcctcca gcccctcctt cctcctgcca 2220
ccaaaatacc tcaggaagct tcaggcgccc ggagagcccc cggcccaggg tctccttccc 2280
aaagaccccc gaggtggggc cggggccacc cccaggcccc ctgagtaaag ccccccagcc 2340
tgtgccgccc ggggttgggg agctgcctgc ccgaggccct cgactctttg attttccccc 2400
cactccgctg gaggaccagt ttgaggagcc agccgaattc aagatcctac ctgatgggct 2460
ggccaacatc atgaagatgc tggacgaatc cattcgcaag gaagaggaac agcaacaaca 2520
cgaagcaggc gtggcccccc aacccccgct gaaggagccc tttgcatctc tgcagtctcc 2580
tttccccacc gacacagccc ccaccactac tgctcctgct gtcgccgtca ccaccaccac 2640
caccaccacc accaccacca cggccaccca ggaagaggag aagaagccac caccagccct 2700
accaccacca ccgcctctag ccaagttccc tccaccctct cagccacagc caccaccacc 2760
cccacccccc agcccggcca gcctgctcaa atccttggcc tccgtgctgg agggacaaaa 2820
gtactgttat cgggggactg gagcagctgt ttccacccgg cctgggccct tgcccaccac 2880
tcagtattcc cctggccccc catcaggtgc taccgccctg ccgcccacct cagcggcccc 2940
tagcgcccag ggctccccac agccctctgc ttcctcgtca tctcagttct ctacctcagg 3000
cgggccctgg gcccgggagc gcagggcggg cgaagagcca gtcccgggcc ccatgacccc 3060
cacccaaccg cccccacccc tatctctgcc ccctgctcgc tctgagtctg aggtgctaga 3120
agagatcagc cgggcttgcg agacccttgt ggagcgggtg ggccggagtg ccactgaccc 3180
agccgaccca gtggacacag cagagccagc ggacagtggg actgagcgac tgctgccccc 3240
cgcacaggcc aaggaggagg ctggcggggt ggcggcagtg tcaggcagct gtaagcggcg 3300
acagaaggag catcagaagg agcatcggcg gcacaggcgg gcctgtaagg acagtgtggg 3360
tcgtcggccc cgtgagggca gggcaaaggc caaggccaag gtccccaaag aaaagagccg 3420
ccgggtgctg gggaacctgg acctgcagag cgaggagatc cagggtcgtg agaagtcccg 3480
gcccgatctt ggcggggcct ccaaggccaa gccacccaca gctccagccc ctccatcagc 3540
tcctgcacct tctgcccagc ccacaccccc gtcagcctct gtccctggaa agaaggctcg 3600
ggaggaagcc ccagggccac cgggtgtcag ccgggccgac atgctgaagc tgcgctcact 3660
tagtgagggg ccccccaagg agctgaagat ccggctcatc aaggtagaga gtggtgacaa 3720
ggagaccttt atcgcctctg aggtggaaga gcggcggctg cgcatggcag acctcaccat 3780
cagccactgt gctgctgacg tcgtgcgcgc cagcaggaat gccaaggtga aagggaagtt 3840
tcgagagtcc tacctttccc ctgcccagtc tgtgaaaccg aagatcaaca ctgaggagaa 3900
gctgccccgg gaaaaactca acccccctac acccagcatc tatctggaga gcaaacggga 3960
tgccttctca cctgtcctgc tgcagttctg tacagaccct cgaaatccca tcacagtgat 4020
ccggggcctg gcgggctccc tgcggctcaa cttgggcctc ttctccacca agaccctggt 4080
ggaagcgagt ggcgaacaca ccgtggaagt tcgcacccag gtgcagcagc cctcagatga 4140
gaactgggat ctgacaggca ctcggcagat ctggccttgt gagagctccc gttcccacac 4200
caccattgcc aagtacgcac agtaccaggc ctcatccttc caggagtctc tgcaggagga 4260
gaaggagagt gaggatgagg agtcagagga gccagacagc accactggaa cccctcctag 4320
cagcgcacca gacccgaaga accatcacat catcaagttt ggcaccaaca tcgacttgtc 4380
tgatgctaag cggtggaagc cccagctgca ggagctgctg aagctgcccg ccttcatgcg 4440
ggtaacatcc acgggcaaca tgctgagcca cgtgggccac accatcctgg gcatgaacac 4500
ggtgcagctg tacatgaagg tgcccggcag ccgaacgcca ggccaccagg agaataacaa 4560
cttctgctcc gtcaacatca acattggccc aggcgactgc gagtggttcg cggtgcacga 4620
gcactactgg gagaccatca gcgctttctg tgatcggcac ggcgtggact acttgacggg 4680
ttcctggtgg ccaatcctgg atgatctcta tgcatccaat attcctgtgt accgcttcgt 4740
gcagcgaccc ggagacctcg tgtggattaa tgcggggact gtgcactggg tgcaggccac 4800
cggctggtgc aacaacattg cctggaacgt ggggcccctc accgcctatc agtaccagct 4860
ggccctggaa cgatacgagt ggaatgaggt gaagaacgtc aaatccatcg tgcccatgat 4920
tcacgtgtca tggaacgtgg ctcgcacggt caaaatcagc gaccccgact tgttcaagat 4980
gatcaagttc tgcctgctgc agtccatgaa gcactgccag gtgcaacgcg agagcctggt 5040
gcgggcaggg aagaaaatcg cttaccaggg ccgtgtcaag gacgagccag cctactactg 5100
caacgagtgc gatgtggagg tgtttaacat cctgttcgtg acaagtgaga atggcagccg 5160
caacacgtac ctggtacact gcgagggctg tgcccggcgc cgcagcgcag gcctgcaggg 5220
cgtggtggtg ctggagcagt accgcactga ggagctggct caggcctacg acgccttcac 5280
gctggtgagg gcccggcggg cgcgcgggca gcggaggagg gcactggggc aggctgcagg 5340
gacgggcttc gggagcccgg ccgcgccttt ccctgagccc ccgccggctt tctcccccca 5400
ggccccagcc agcacgtcgc gatgaggccg gacgccccgc ccgcctgcct gcccgcgcaa 5460
ggcgccgcgg ggccaccagc acatgcctgg gctggaccta ggtcccgcct gtggccgaga 5520
agggggtcgg gcccagccct tccaccccat tggcagctcc cctcacttaa tttattaaga 5580
aaaacttttt tttttttttt agcaaatatg aggaaaaaag gaaaaaaaat gggagacggg 5640
ggagggggct ggcagcccct cgcccaccag cgcctcccct caccgacttt ggccttttta 5700
gcaacagaca caaggaccag gctccggcgg cggcgggggt cacatacggg ttccctcacc 5760
ctgccagccg cccgcccgcc cggcgcagat gcacgcggct cgtgtatgta catagacgtt 5820
acggcagccg aggtttttaa tgagattctt tctatgggct ttacccctcc cccggaacct 5880
ccttttttac ttccaatgct agctgtgacc cctgtacatg tctctttatt cacttggtta 5940
tgatttgtat tttttgttct tttcttgttt ttttgttttt aatttataac agtcccactc 6000
acctctattt attcattttt gggaaaaccc gacctcccac acccccaagc catcctgccc 6060
gcccctccag ggaccgcccg tcgccgggct ctccccgcgc cccagtgtgt gtccgggccc 6120
ggcccgaccg tctccacccg tccgcccgcg gctccagccg ggttctcatg gtgctcaaac 6180
ccgctcccct cccctacgtc ctgcactttc tcggaccagt ccccccactc ccgacccgac 6240
cccagcccca cctgagggtg agcaactcct gtactgtagg ggaagaagtg ggaactgaaa 6300
tggtattttg taaaaaaaat aaataaaata aaaaaattaa aggttttaaa gaaagaacta 6360
tgaggaaaag gaaccccgtc cttcccagcc ccggccaact ttaaaaaaca cagaccttca 6420
cccccacccc cttttctttt taagtgtgaa acaacccagg gccagggcct cactggggca 6480
gggacacccc ggggtgagtt tctctggggc tttattttcg ttttgttggt tgttttttct 6540
ccacgctggg gctgcggagg ggtggggggt ttacagtccc gcaccctcgc actgcactgt 6600
ctctctgccc caggggcaga ggggtcttcc caaccctacc cctattttcg gtgatttttg 6660
tgtgagaata ttaatattaa aaataaacgg agaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 6720
aaaaaaaaaa a 6731

<210> 4
<211> 1347
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 4
Met Lys Ser Cys Ala Val Ser Leu Thr Thr Ala Ala Val Ala Phe Gly
1 5 10 15
Asp Glu Ala Lys Lys Met Ala Glu Gly Lys Ala Ser Arg Glu Ser Glu
20 25 30
Glu Glu Ser Val Ser Leu Thr Val Glu Glu Arg Glu Ala Leu Gly Gly
35 40 45
Met Asp Ser Arg Leu Phe Gly Phe Val Arg Leu His Glu Asp Gly Ala
50 55 60
Arg Thr Lys Thr Leu Leu Gly Lys Ala Val Arg Cys Tyr Glu Ser Leu
65 70 75 80
Ile Leu Lys Ala Glu Gly Lys Val Glu Ser Asp Phe Phe Cys Gln Leu
85 90 95
Gly His Phe Asn Leu Leu Leu Glu Asp Tyr Ser Lys Ala Leu Ser Ala
100 105 110
Tyr Gln Arg Tyr Tyr Ser Leu Gln Ala Asp Tyr Trp Lys Asn Ala Ala
115 120 125
Phe Leu Tyr Gly Leu Gly Leu Val Tyr Phe Tyr Tyr Asn Ala Phe His
130 135 140
Trp Ala Ile Lys Ala Phe Gln Asp Val Leu Tyr Val Asp Pro Ser Phe
145 150 155 160
Cys Arg Ala Lys Glu Ile His Leu Arg Leu Gly Leu Met Phe Lys Val
165 170 175
Asn Thr Asp Tyr Lys Ser Ser Leu Lys His Phe Gln Leu Ala Leu Ile
180 185 190
Asp Cys Asn Pro Cys Thr Leu Ser Asn Ala Glu Ile Gln Phe His Ile
195 200 205
Ala His Leu Tyr Glu Thr Gln Arg Lys Tyr His Ser Ala Lys Glu Ala
210 215 220
Tyr Glu Gln Leu Leu Gln Thr Glu Asn Leu Pro Ala Gln Val Lys Ala
225 230 235 240
Thr Val Leu Gln Gln Leu Gly Trp Met His His Asn Met Asp Leu Val
245 250 255
Gly Asp Lys Ala Thr Lys Glu Ser Tyr Ala Ile Gln Tyr Leu Gln Lys
260 265 270
Ser Leu Glu Ala Asp Pro Asn Ser Gly Gln Ser Trp Tyr Phe Leu Gly
275 280 285
Arg Cys Tyr Ser Ser Ile Gly Lys Val Gln Asp Ala Phe Ile Ser Tyr
290 295 300
Arg Gln Ser Ile Asp Lys Ser Glu Ala Ser Ala Asp Thr Trp Cys Ser
305 310 315 320
Ile Gly Val Leu Tyr Gln Gln Gln Asn Gln Pro Met Asp Ala Leu Gln
325 330 335
Ala Tyr Ile Cys Ala Val Gln Leu Asp His Gly His Ala Ala Ala Trp
340 345 350
Met Asp Leu Gly Thr Leu Tyr Glu Ser Cys Asn Gln Pro Gln Asp Ala
355 360 365
Ile Lys Cys Tyr Leu Asn Ala Ala Arg Ser Lys Arg Cys Ser Asn Thr
370 375 380
Ser Thr Leu Ala Ala Arg Ile Lys Phe Leu Gln Asn Gly Ser Asp Asn
385 390 395 400
Trp Asn Gly Gly Gln Ser Leu Ser His His Pro Val Gln Gln Val Tyr
405 410 415
Ser Leu Cys Leu Thr Pro Gln Lys Leu Gln His Leu Glu Gln Leu Arg
420 425 430
Ala Asn Arg Asp Asn Leu Asn Pro Ala Gln Lys His Gln Leu Glu Gln
435 440 445
Leu Glu Ser Gln Phe Val Leu Met Gln Gln Met Arg His Lys Glu Val
450 455 460
Ala Gln Val Arg Thr Thr Gly Ile His Asn Gly Ala Ile Thr Asp Ser
465 470 475 480
Ser Leu Pro Thr Asn Ser Val Ser Asn Arg Gln Pro His Gly Ala Leu
485 490 495
Thr Arg Val Ser Ser Val Ser Gln Pro Gly Val Arg Pro Ala Cys Val
500 505 510
Glu Lys Leu Leu Ser Ser Gly Ala Phe Ser Ala Gly Cys Ile Pro Cys
515 520 525
Gly Thr Ser Lys Ile Leu Gly Ser Thr Asp Thr Ile Leu Leu Gly Ser
530 535 540
Asn Cys Ile Ala Gly Ser Glu Ser Asn Gly Asn Val Pro Tyr Leu Gln
545 550 555 560
Gln Asn Thr His Thr Leu Pro His Asn His Thr Asp Leu Asn Ser Ser
565 570 575
Thr Glu Glu Pro Trp Arg Lys Gln Leu Ser Asn Ser Ala Gln Gly Leu
580 585 590
His Lys Ser Gln Ser Ser Cys Leu Ser Gly Pro Asn Glu Glu Gln Pro
595 600 605
Leu Phe Ser Thr Gly Ser Ala Gln Tyr His Gln Ala Thr Ser Thr Gly
610 615 620
Ile Lys Lys Ala Asn Glu His Leu Thr Leu Pro Ser Asn Ser Val Pro
625 630 635 640
Gln Gly Asp Ala Asp Ser His Leu Ser Cys His Thr Ala Thr Ser Gly
645 650 655
Gly Gln Gln Gly Ile Met Phe Thr Lys Glu Ser Lys Pro Ser Lys Asn
660 665 670
Arg Ser Leu Val Pro Glu Thr Ser Arg His Thr Gly Asp Thr Ser Asn
675 680 685
Gly Cys Ala Asp Val Lys Gly Leu Ser Asn His Val His Gln Leu Ile
690 695 700
Ala Asp Ala Val Ser Ser Pro Asn His Gly Asp Ser Pro Asn Leu Leu
705 710 715 720
Ile Ala Asp Asn Pro Gln Leu Ser Ala Leu Leu Ile Gly Lys Ala Asn
725 730 735
Gly Asn Val Gly Thr Gly Thr Cys Asp Lys Val Asn Asn Ile His Pro
740 745 750
Ala Val His Thr Lys Thr Asp His Ser Val Ala Ser Ser Pro Ser Ser
755 760 765
Ala Ile Ser Thr Ala Thr Pro Ser Pro Lys Ser Thr Glu Gln Arg Ser
770 775 780
Ile Asn Ser Val Thr Ser Leu Asn Ser Pro His Ser Gly Leu His Thr
785 790 795 800
Val Asn Gly Glu Gly Leu Gly Lys Ser Gln Ser Ser Thr Lys Val Asp
805 810 815
Leu Pro Leu Ala Ser His Arg Ser Thr Ser Gln Ile Leu Pro Ser Met
820 825 830
Ser Val Ser Ile Cys Pro Ser Ser Thr Glu Val Leu Lys Ala Cys Arg
835 840 845
Asn Pro Gly Lys Asn Gly Leu Ser Asn Ser Cys Ile Leu Leu Asp Lys
850 855 860
Cys Pro Pro Pro Arg Pro Pro Thr Ser Pro Tyr Pro Pro Leu Pro Lys
865 870 875 880
Asp Lys Leu Asn Pro Pro Thr Pro Ser Ile Tyr Leu Glu Asn Lys Arg
885 890 895
Asp Ala Phe Phe Pro Pro Leu His Gln Phe Cys Thr Asn Pro Lys Asn
900 905 910
Pro Val Thr Val Ile Arg Gly Leu Ala Gly Ala Leu Lys Leu Asp Leu
915 920 925
Gly Leu Phe Ser Thr Lys Thr Leu Val Glu Ala Asn Asn Glu His Met
930 935 940
Val Glu Val Arg Thr Gln Leu Leu Gln Pro Ala Asp Glu Asn Trp Asp
945 950 955 960
Pro Thr Gly Thr Lys Lys Ile Trp Arg Cys Glu Ser Asn Arg Ser His
965 970 975
Thr Thr Ile Ala Lys Tyr Ala Gln Tyr Gln Ala Ser Ser Phe Gln Glu
980 985 990
Ser Leu Arg Glu Glu Asn Glu Lys Arg Thr Gln His Lys Asp His Ser
995 1000 1005
Asp Asn Glu Ser Thr Ser Ser Glu Asn Ser Gly Arg Arg Arg Lys
1010 1015 1020
Gly Pro Phe Lys Thr Ile Lys Phe Gly Thr Asn Ile Asp Leu Ser
1025 1030 1035
Asp Asn Lys Lys Trp Lys Leu Gln Leu His Glu Leu Thr Lys Leu
1040 1045 1050
Pro Ala Phe Ala Arg Val Val Ser Ala Gly Asn Leu Leu Thr His
1055 1060 1065
Val Gly His Thr Ile Leu Gly Met Asn Thr Val Gln Leu Tyr Met
1070 1075 1080
Lys Val Pro Gly Ser Arg Thr Pro Gly His Gln Glu Asn Asn Asn
1085 1090 1095
Phe Cys Ser Val Asn Ile Asn Ile Gly Pro Gly Asp Cys Glu Trp
1100 1105 1110
Phe Val Val Pro Glu Asp Tyr Trp Gly Val Leu Asn Asp Phe Cys
1115 1120 1125
Glu Lys Asn Asn Leu Asn Phe Leu Met Ser Ser Trp Trp Pro Asn
1130 1135 1140
Leu Glu Asp Leu Tyr Glu Ala Asn Val Pro Val Tyr Arg Phe Ile
1145 1150 1155
Gln Arg Pro Gly Asp Leu Val Trp Ile Asn Ala Gly Thr Val His
1160 1165 1170
Trp Val Gln Ala Val Gly Trp Cys Asn Asn Ile Ala Trp Asn Val
1175 1180 1185
Gly Pro Leu Thr Ala Cys Gln Tyr Lys Leu Ala Val Glu Arg Tyr
1190 1195 1200
Glu Trp Asn Lys Leu Lys Ser Val Lys Ser Pro Val Pro Met Val
1205 1210 1215
His Leu Ser Trp Asn Met Ala Arg Asn Ile Lys Val Ser Asp Pro
1220 1225 1230
Lys Leu Phe Glu Met Ile Lys Tyr Cys Leu Leu Lys Ile Leu Lys
1235 1240 1245
Gln Tyr Gln Thr Leu Arg Glu Ala Leu Val Ala Ala Gly Lys Glu
1250 1255 1260
Val Ile Trp His Gly Arg Thr Asn Asp Glu Pro Ala His Tyr Cys
1265 1270 1275
Ser Ile Cys Glu Val Glu Val Phe Asn Leu Leu Phe Val Thr Asn
1280 1285 1290
Glu Ser Asn Thr Gln Lys Thr Tyr Ile Val His Cys His Asp Cys
1295 1300 1305
Ala Arg Lys Thr Ser Lys Ser Leu Glu Asn Phe Val Val Leu Glu
1310 1315 1320
Gln Tyr Lys Met Glu Asp Leu Ile Gln Val Tyr Asp Gln Phe Thr
1325 1330 1335
Leu Ala Leu Ser Leu Ser Ser Ser Ser
1340 1345

<210> 5
<211> 6817
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 5
gctcatcgtt tgttgtttag ataatatcat gaactgataa atgcagttgc cacgttgatt 60
ccctagggcc tggcttaccg actgaggtca taagatatta tgccttctct ttagacttgg 120
tcagtggaga ggaaatgggc aaagaaccag cctatggagg tgacaaggcc ttagggccaa 180
aagtcttgag ggtgaaggtt tagggcctgc gcagcttccc tgccatgccc cgcaaggtct 240
cgcattcgca aggcttgtga cagtgggagc ctcattacgg actctcctaa agtccatggt 300
gtcctctttt cgcatttgcg ccccgtgggt gatgcccgat gccgcccttc ccatcgctct 360
cttccccttc aagcgtatcg caactgcaaa aacacccagc acagacactc cattttctat 420
cttaatgcat ttaactagca caacctacag gttgttccat cccagagact acccttttct 480
ccatagacgt gaccatcaac caaccagcgg tcagaatcag tcagcctctg tcatgttcct 540
aggtccttgg cgaactggct gggcggggtc ccagcagcct aggagtacag tggagcaatg 600
cctgacgtaa gtcaacaaag atcacgtgag acgaatcagt cgcctagatt ggctacaact 660
aagtggttgg gagcggggag gtcgcggcgg ctgcgtgggg ttcgcccgtg acacaattac 720
aactttgtgc tggtgctggc aaagtttgtg attttaagaa attctgctgt gctctccagc 780
actgcgagct tctgccttcc ctgtagtttc ccagatgtga tccaggtagc cgagttccgc 840
tgcccgtgct tcggtagctt aagtctttgc ctcagctttt ttccttgcag ccgctgagga 900
ggcgataaaa ttggcgtcac agtctcaagc agcgattgaa ggcgtctttt caactactcg 960
attaaggttg ggtatcgtcg tgggacttgg aaatttgttg tttccatgaa atcctgcgca 1020
gtgtcgctca ctaccgccgc tgttgccttc ggtgatgagg caaagaaaat ggcggaagga 1080
aaagcgagcc gcgagagtga agaggagtct gttagcctga cagtcgagga aagggaggcg 1140
cttggtggca tggacagccg tctcttcggg ttcgtgaggc ttcatgaaga tggcgccaga 1200
acgaagaccc tactaggcaa ggctgttcgc tgctacgaat ctttaatctt aaaagctgaa 1260
ggaaaagtgg agtctgactt cttttgccaa ttaggtcact tcaacctctt gttggaagat 1320
tattcaaaag cattatctgc atatcagaga tattacagtt tacaggctga ctactggaag 1380
aatgctgcgt ttttatatgg ccttggtttg gtctacttct actacaatgc atttcattgg 1440
gcaattaaag catttcaaga tgtcctttat gttgacccca gcttttgtcg agccaaggaa 1500
attcatttac gacttgggct catgttcaaa gtgaacacag actacaagtc tagtttaaag 1560
cattttcagt tagccttgat tgactgtaat ccatgtactt tgtccaatgc tgaaattcaa 1620
tttcatattg cccatttgta tgaaacccag aggaagtatc attctgcaaa ggaggcatat 1680
gaacaacttt tgcagacaga aaaccttcct gcacaagtaa aagcaactgt attgcaacag 1740
ttaggttgga tgcatcataa tatggatcta gtaggagaca aagccacaaa ggaaagctat 1800
gctattcagt atctccaaaa gtctttggag gcagatccta attctggcca atcgtggtat 1860
tttcttggaa ggtgttattc aagtattggg aaagttcagg atgcctttat atcttacagg 1920
caatctattg ataaatcaga agcaagtgca gatacatggt gttcaatagg tgtgttgtat 1980
cagcagcaaa atcagcctat ggatgcttta caggcatata tttgtgctgt acaattggac 2040
catgggcatg ccgcagcctg gatggaccta ggtactctct atgaatcctg caatcaacct 2100
caagatgcca ttaaatgcta cctaaatgca gctagaagca aacgttgtag taatacctct 2160
acgcttgctg caagaattaa atttctacag gctcagttgt gtaaccttcc acaaagtagt 2220
ctacagaata aaactaaatt acttcctagt attgaggagg catggagcct accaatcccc 2280
gcagagctta cctccaggca gggtgccatg aacacagcac agcaggctta tagagctcat 2340
gatccaaata ctgaacatgt attaaaccac agtcaaacac caattttaca gcaatccttg 2400
tcactacaca tgattacttc tagccaagta gaaggcctgt ccagtcctgc caagaagaaa 2460
agaacatcta gtccaacaaa gaatggttct gataactgga atggtggcca gagtctttca 2520
catcatccag tacagcaagt ttattcgttg tgtttgacac cacagaaatt acagcacttg 2580
gaacaactgc gagcaaatag agataattta aatccagcac agaagcatca gctggaacag 2640
ttagaaagtc agtttgtctt aatgcagcaa atgagacaca aagaagttgc tcaggtacga 2700
actactggaa ttcataacgg ggccataact gattcatcac tgcctacaaa ctctgtctct 2760
aatcgacaac cacatggtgc tctgaccaga gtatctagcg tctctcagcc tggagttcgc 2820
cctgcttgtg ttgaaaaact tttgtccagt ggagcttttt ctgcaggctg tattccttgt 2880
ggcacatcaa aaattctagg aagtacagac actatcttgc taggcagtaa ttgtatagca 2940
ggaagtgaaa gtaatggaaa tgtgccttac ctgcagcaaa atacacacac tctacctcat 3000
aatcatacag acctgaacag cagcacagaa gagccatgga gaaaacagct atctaactcc 3060
gctcaggggc ttcataaaag tcagagttca tgtttgtcag gacctaatga agaacaacct 3120
ctgttttcca ctgggtcagc ccagtatcac caggcaacta gcactggtat taagaaggcg 3180
aatgaacatc tcactctgcc tagtaattca gtaccacagg gggatgctga cagtcacctc 3240
tcctgtcata ctgctacctc aggtggacaa caaggcatta tgtttaccaa agagagcaag 3300
ccttcaaaaa atagatcctt ggtgcctgaa acaagcaggc atactggaga cacatctaat 3360
ggctgtgctg atgtcaaggg actttctaat catgttcatc agttgatagc agatgctgtt 3420
tccagtccta accatggaga ttcaccaaat ttattaattg cagacaatcc tcagctctct 3480
gctttgttga ttggaaaagc caatggcaat gtgggtactg gaacctgtga caaagtgaat 3540
aatattcacc cagctgttca tacaaagact gatcattctg ttgcctcttc accctcttca 3600
gccatttcca cagcaacacc ttctcctaaa tccactgagc agagaagcat aaacagtgtt 3660
accagcctta acagtcctca cagtggatta cacacagtca atggagaggg gctggggaag 3720
tcacagagct ctacaaaagt agacctgcct ttagctagcc acagatctac ttctcagatc 3780
ttaccatcaa tgtcagtgtc tatatgcccc agttcaacag aagttctgaa agcatgcagg 3840
aatccaggta aaaatggctt gtctaatagc tgcattttgt tagataaatg tccacctcca 3900
agaccaccaa cttcaccata cccacccttg ccaaaggaca agttgaatcc acccacacct 3960
agtatttact tggaaaataa acgtgatgct ttctttcctc cattacatca attttgtaca 4020
aatccaaaaa accctgttac agtaatacgt ggccttgctg gagctcttaa attagatctt 4080
ggacttttct ctaccaaaac tttggtagaa gctaacaatg aacatatggt agaagtgagg 4140
acacagttgc tgcaaccagc agatgaaaac tgggatccca ctggaacaaa gaaaatctgg 4200
cgttgtgaaa gcaatagatc tcatactaca attgccaaat acgcacaata ccaggcttcc 4260
tccttccagg aatcattgag agaagaaaat gagaaaagaa cacaacacaa agatcattca 4320
gataacgaat ccacatcttc agagaattct ggaaggagaa ggaaaggacc ttttaaaacc 4380
ataaaatttg ggaccaacat tgacctctct gataacaaaa agtggaagtt gcagttacat 4440
gaactgacta aacttcctgc ttttgcgcgt gtggtgtcag caggaaatct tctaacccat 4500
gttgggcata ccattctggg catgaataca gtacaactgt atatgaaagt tccagggagt 4560
cggacaccag gtcaccaaga aaataacaac ttctgctctg ttaacataaa tattggtcca 4620
ggagattgtg aatggtttgt tgtacctgaa gattattggg gtgttctgaa tgacttctgt 4680
gaaaaaaata atttgaattt tttaatgagt tcttggtggc ccaaccttga agatctttat 4740
gaagcaaatg tccctgtgta tagatttatt cagcgacctg gagatttggt ctggataaat 4800
gcaggcactg tgcattgggt tcaagctgtt ggctggtgca ataacattgc ctggaatgtt 4860
ggtccactta cagcctgcca gtataaattg gcagtggaac ggtatgaatg gaacaaattg 4920
aaaagtgtga agtcaccagt acccatggtg catctttcct ggaatatggc acgaaatatc 4980
aaagtctcag atccaaagct ttttgaaatg attaagtatt gtcttttgaa aattctgaag 5040
caatatcaga cattgagaga agctcttgtt gcagcaggaa aagaggttat atggcatggg 5100
cggacaaatg atgaaccagc tcattactgt agcatttgtg aggtggaggt ttttaatctg 5160
ctttttgtca ctaatgaaag caatactcaa aaaacctaca tagtacattg ccatgattgt 5220
gcacgaaaaa caagcaaaag tttggaaaat tttgtggtgc tcgaacagta caaaatggag 5280
gacctaatcc aagtttatga tcaatttaca ctagctcttt cattatcatc ctcatcttga 5340
tatagttcca tgaatattaa atgagattat ttctgctctt caggaaattt ctgcaccact 5400
ggttttgtag ctgtttcata aaactgttga ctaaaagcta tgtctatgca accttccaag 5460
aatagtatgt caagcaactg gacacagtgc tgcctctgct tcaggactta acatgctgat 5520
ccagctgtac ttcagaaaaa taatattaat catatgtttt gtgtacgtat gacaaactgt 5580
caaagtgaca cagaatactg atttgaagat agcctttttt atgtttctct atttctgggc 5640
tgatgaatta atattcattt gtattttaac cctgcagaat tttccttagt taaaaacact 5700
ttcctagctg gtcatttctt cataagatag caaatttaaa tctctcctcg atcagctttt 5760
aaaaaatgtg tactattatc tgaggaagtt ttttactgct ttatgttttt gtgtgttttg 5820
aggccatgat gattacattt gtggttccaa aataattttt ttaaatatta atagcccata 5880
tacaaagata atggattgca catagacaaa gaaataaact tcagatttgt gatttttgtt 5940
tctaaacttg atacagattt acactattta taaatacgta tttattgcct gaaaatattt 6000
gtgaatggaa tgttgttttt ttccagacgt aactgccatt aaatactaag gagttctgta 6060
gttttaaaca ctactcctat tacattttat atgtgtagat aaaactgctt agtattatac 6120
agaaattttt attaaaattg ttaaatgttt aaagggtttc ccaatgtttg agtttaaaaa 6180
agactttctg aaaaaatcca ctttttgttc attttcaaac ctaatgatta tatgtatttt 6240
atatgtgtgt gtatgtgtac acacatgtat aatatataca gaaacctcga tatataattg 6300
tatagatttt aaaagtttta ttttttacat ctatggtagt ttttgaggtg cctattataa 6360
agtattacgg aagtttgctg tttttaaagt aaatgtcttt tagtgtgatt tattaagttg 6420
tagtcaccat agtgatagcc cataaataat tgctggaaaa ttgtatttta taacagtaga 6480
aaacatatag tcagtgaagt aaatatttta aaggaaacat tatatagatt tgataaatgt 6540
tgtttataat taagagtttc ttatggaaaa gagattcaga atgataacct cttttagaga 6600
acaaataagt gacttatttt tttaaagcta gatgactttg aaatgctata ctgtcctgct 6660
tgtacaacat ggtttggggt gaaggggagg aaagtattaa aaaatctata tcgctagtaa 6720
attgtaataa gttctattaa aacttgtatt tcatatgaaa aatttgctaa tttaatatta 6780
actcatttga taataatact tgtcttttct acctctc 6817

<210> 6
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 6
ttgacggaag ggcaccacca g 21

<210> 7
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 7
gcaccaccac ccacggaatc g 21

<210> 8
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 8
tttgtcgcag ggcagtctta 20

<210> 9
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 9
gtttgcccat cactattcca gc 22
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
【配列表】
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