(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20241016BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20241016BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20241016BHJP
F04D 29/16 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F04D29/44 Y
F04D29/44 P
F04D29/42 H
F04D29/66 N
F04D29/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034643
(22)【出願日】2023-03-07
【審査請求日】2023-06-01
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520488034
【氏名又は名称】高昌生醫股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 金霓
(72)【発明者】
【氏名】潘 能御
(72)【発明者】
【氏名】尤 景良
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10161411(US,B1)
【文献】特開昭56-081297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F04D 29/42
F04D 29/66
F04D 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機であって、上ケースと、下ケースと、ファンと、モータとを含み、
前記上ケースと下ケースとを組み合わせて、中空円筒状の本体ケースが形成され、該本体ケースの内部に空気流通空間及び該空気流通空間と連通する空気排出流路を有し、該上ケースの中央部に空気取入口が貫通形成され、該上ケースの空気取入口の周縁に第1環状リブが形成され、
前記ファンは、前記上ケースと下ケースとの間に配置され、該ファンの上部に吸気口が形成され、内部に複数の流体通路を有し、該吸気口の形成位置は、該上ケースの空気取入口の形成位置と対応し、該各流体通路の一端は該吸気口と連通し、他端は前記本体ケースの空気流通空間と連通し、
前記モータは、前記下ケースの外部に設置されると共に、駆動軸を有し、該駆動軸の一端は、該下ケースを貫通するように前記空気流通空間内に突き出して、前記ファンに結合され
、
前記上ケースの外周から前記ファンの回転軸と直交する方向に沿って、上部空気排出流路が突出され、
前記下ケースの外周から前記ファンの回転軸と直交する方向に沿って、下部空気排出流路が突出され、
前記空気排出流路は、前記上部空気排出流路および前記下部空気排出流路によって構成されている、
ることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記上ケースの裏側表面に、第2環状リブが前記空気取入口に隣接して突出形成され、該第2環状リブは、外周側環状壁面と、前記第1環状リブに隣接する内周側環状壁面を有し、該第1環状リブの直径が、該第2環状リブの直径よりも小さく、該第1環状リブと第2環状リブとは同心円状に配置されており、該上ケースの裏側表面における該第1環状リブと第2環状リブとの間に、環状窪み部が凹むよう形成され、前記吸気口の口縁は、該環状窪み部に対応していることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記第1環状リブ及び第2環状リブの断面形状が円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項4】
前記上ケースの裏側表面と第2環状リブの外周側環状壁面との間に、なす角
度を有し、該なす角度が70°~90°の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の送風機。
【請求項5】
前記上ケースの裏側表面と第2環状リブの外周側環状壁面との間に、なす角
度を有し、該なす角度が70°~90°の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の送風機。
【請求項6】
前記ファンは、上シート体、下シート体、及び該上シート体と下シート体との間に形成される複数の羽根とを備え、前記流体通路は、該複数の羽根のうちの二つの間に形成され、該上シート体の上部において、前記吸気口の周縁に内環状突起が形成され、外周縁に外環状突起が形成され、該内環状突起と外環状突起との間に中間環状突起が形成され、該内環状突起と中間環状突起と外環状突起とは同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風設備に関し、特に、運転時の騒音低減効果を有する送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送風機は、発生する圧力差を利用して流体を流動させる送風設備であり、
図6は、従来技術の送風機を示したものであり、当該図面によると、当該送風機は、上ケース51と下ケース52とが組み合わせられることによって構成されるハウジングケース50を備え、該ハウジングケース50は、円筒状を呈し、その内部に、内部空間53を有し、該上ケース51の中央部には、該内部空間53と連通する空気取入口54が形成され、該ハウジングケース50の外周壁面には、その一端が該ハウジングケース50の内部空間53と連通する排気経路55が突出形成され、該ハウジングケース50の下ケース52に、モータ56が設置され、該モータ56の駆動力を伝達するための駆動軸561は、該ハウジングケースの内部空間53内に突き出し、該ハウジングケース50の内部に、ファン57が取り付けられ、該駆動軸561が該ファン57の回転中心に接続され、該ファン57の回転により、外気は前記空気取入口54から取り込まれ、該ファン57の上半部の中央開口部を通って内部に流れ込み、該ファン57の加圧作用により、該ファン57の外周面から流れ出し、該排気経路55から排出される。
【0003】
従来技術の送風機のハウジングケースの上ケース51は、ほぼ均一な板厚を有する板材で一体成形されたり、または他の板金加工で作られていることで、当該上ケース51における空気取入口54に隣接する部分は平坦状であり、外気は該空気取入口54を通過して送風機の内部に進入すると、ほとんどの気流が、前記ファン57の上半部の中央開口部から流れ込んで加圧されて排出されるが、一部の気流は、該ハウジングケースの上ケース51と該ファン57の上面との間の隙間に入り込み、その結果、該空気取入口54を勢いよく通過する気流による風切り騒音が発生するといった問題及び欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術の問題及び欠点に鑑みてなされたものであり、上ケースの空気取入口の周縁及び裏側表面にそれぞれ、第1環状リブと第2環状リブが突出形成されることにより、空気がスムーズに空気取入口を通過することが可能となり、風切り騒音の発生を効果的に抑制し、優れた静音効果を持つ送風機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、送風機を提案したものであり、当該送風機は、上ケースと、下ケースと、ファンと、モータとを含み、
前記上ケースと下ケースとを組み合わせて、中空円筒状の本体ケースが形成され、該本体ケースの内部に空気流通空間及び該空気流通空間と連通する空気排出流路を有し、該上ケースの中央部に空気取入口が貫通形成され、該上ケースの空気取入口の周縁に第1環状リブが形成され、
前記ファンは、前記上ケースと下ケースとの間に配置され、該ファンの上部に吸気口が形成され、内部に複数の流体通路を有し、該吸気口の形成位置は、該上ケースの空気取入口の形成位置と対応し、該各流体通路の一端は該吸気口と連通し、他端は前記本体ケースの空気流通空間と連通し、
前記モータは、前記下ケースの外部に設置されると共に、駆動軸を有し、該駆動軸の一端は、該下ケースを貫通するように前記空気流通空間内に突き出して、前記ファンに結合されることを特徴とする。
【0006】
前記上ケースの裏側表面に、第2環状リブが前記空気取入口に隣接して突出形成され、該第2環状リブは、外周側環状壁面と、前記第1環状リブに隣接する内周側環状壁面を有し、該第1環状リブの直径が、該第2環状リブの直径よりも小さく、該第1環状リブと第2環状リブとは同心円状に配置されており、該上ケースの裏側表面における該第1環状リブと第2環状リブとの間に、環状窪み部が凹むよう形成され、前記吸気口の口縁は、該環状窪み部に対応していることを特徴とする。
【0007】
前記第1環状リブ及び第2環状リブの断面形状が円弧状であることを特徴とする。
【0008】
前記上ケースの裏側表面と第2環状リブの外周側環状壁面との間に、なす角度Aを有し、該なす角度が70°~90°の範囲であることを特徴とする。
【0009】
前記ファンは、上シート体、下シート体、及び該上シート体と下シート体との間に形成される複数の羽根とを備え、前記流体通路は、該複数の羽根のうちの二つの間に形成され、該上シート体の上部において、前記吸気口の周縁に内環状突起が形成され、外周縁に外環状突起が形成され、該内環状突起と外環状突起との間に中間環状突起が形成され、該内環状突起と中間環状突起と外環状突起とは同心円状に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る送風機は、上ケースと下ケースが組み合わされて形成された本体ケースと、本体ケースの内部に設置されたファンと、下ケースの底部に配置されファンを駆動するためのモータから構成されており、該上ケースの空気取入口の周縁及び裏側表面にはそれぞれ、円弧状の断面形状を持つ第1環状リブ及び第2環状リブが突出形成されており、当該断面円弧状の第1環状リブ及び第2環状リブの設置により、外気はファンの回転によって空気取入口を通過して、上、下ケース内に吸い込まれる際に、ファンの吸気口をよりスムーズに通って内部に流れ込むことが可能となり、このように、風切り騒音の発生を抑制し、ファンへの気流の供給量が増え、また、ファンから流出する一部の気流は、ファンの上方と上ケースの裏側側面との間の隙間に逸散して分流し、すると、第2環状リブによって干渉され、その流れ方向が垂直方向に変わることで、上から下へと流れるエアカーテンが形成され、これにより、気流の逸散を防止すると同時に、空気取入口と吸気口との間の隙間からの気流の流入を阻止し、その結果、風切り騒音をさらに抑制でき、優れた静音効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2は、本発明に係る送風機を示したものであり、当該送風機は、上ケース10、下ケース20、ファン30及びモータ40を含む。
【0013】
前記上ケース10と下ケース20とが組み合わせるように組み付けられることにより、中空円筒状の本体ケースが形成され、該本体ケースの内部に空気流通空間100を有し、前記ファン30は、該上ケース10と下ケース20との間に設置され、前記モータ40は、該下ケース20の外部に配置され、駆動軸41を有し、該駆動軸41の一端が、該下ケース20を貫通するように該空気流通空間100内に突き出して、該ファン30の回転中心に結合される。
【0014】
図2~
図5に示すように、前記上ケース10の中央部には、空気取入口11が貫通して形成されており、該上ケース10の空気取入口11の周縁に、円環状に延びている第1環状リブ111が突出形成され、該上ケース10の裏側表面における空気取入口11に隣接する箇所に、円環状に延びている第2環状リブ112が突出形成され、該第2環状リブ112は、外周側環状壁面1121と、前記第1環状リブ111に隣接する内周側環状壁面とを有し、該上ケース10の裏側表面と第2環状リブ112の外周側環状壁面1121との間になす角度Aを有し、該なす角度Aは、70°~90°の範囲であることが好ましい。
図3に示す具体的な実施形態において、前記第1環状リブ111及び第2環状リブ112の横断面形状はいずれも円弧状を呈しており、また、該第1環状リブ111は、該第2環状リブ112よりも高い位置に配置されており、具体的に述べると、該第2環状リブ112から該第1環状リブ111に向かって徐々に高さが増すようになっている。また、該第1環状リブ111と第2環状リブ112とは同心円状に配置されており、内側にある該第1環状リブ111の直径は、外側にある該第2環状リブ112の直径よりも小さい。前記上ケース10の裏側表面における第1環状リブ111と第2環状リブ112との間に、環状窪み部113が凹むように形成される。該上ケース10の内部に、上部環状流路12が形成され、該上ケース10の外周壁面に、該上部環状流路12と連通する上部空気排出流路13が突出するように形成されている。
【0015】
図面に示した好適な実施形態において、前記上ケース10の厚みは、前記空気取入口11に近づくにつれて徐々に減少し、最終的に前記第1環状リブ111が形成される。
【0016】
前記下ケース20の中央部に、周囲よりも高い収容部21が底面から上方に隆起するように形成され、該収容部21の中央に貫通孔を有し、該下ケース20の内部に、下部環状流路22が形成され、該下ケース20の外周壁面に、該下部環流路22と連通する下部空気排出流路23が突出するように形成される。前記上ケースと下ケース20とを重ね合わせて組み合わせることにより、前記下部空気排出流路23と上部空気排出流路13とが、空気排出流路を構成し、該空気排出流路は、前記本体ケース内部の空気流通空間100と連通している。
【0017】
前記モータ40は、前記下部ケース20の収容部21内に設置され、該モータ40の駆動軸41の一端は、該収容部21の貫通孔を挿通するように前記空気流通空間100内に突き出して、前記ファン30に結合される。前記ファン30は、規制部品であり、上シート体32、下シート体34、及び該上シート体32と下シート体34との間に形成される複数の羽根31から構成されており、該複数の羽根31は互いに間隔を空けて放射状に配置され、該各羽根31の間には、流体(例えば、空気)が流通可能な流体通路が形成されている。さらに、該ファン30の下部である下シート体34の中央に軸穴33が形成されており、前記駆動軸41が該軸穴33に挿入されて嵌合固定される。該ファン30の上部である上シート体32の中央に、吸気口320が形成され、該吸気口320は、該ファン30の内部と連通し、前記上ケース10の空気取入口11の形成位置と対応している。また、前記ファン20の上シート体32の上面において、前記吸気口320の周縁に内環状突起321が突出形成されると共に、外周縁に外環状突起323が突出形成され、さらに、該内環状突起321と外環状突起323との間に中間環状突起322が突出形成され、該内環状突起321、中間環状突起322及び外環状突起323が同心円状に配置されている。
【0018】
前記ファン30が回転すると、流体L(
図3及び
図4において破線の矢印で示されている)は、前記空気取入口11及び吸気口320からファン30の内部に吸い込まれると、該各羽根31間の流体通路を通って、前記上ケース10と下ケース20との間の空気流通空間100に流れ、最終的に空気排出流路から排出される。
【0019】
図3に示すように、本発明に係る好適な実施形態では、前記吸気口32の口縁は、前記第1環状リブ111と第2環状リブ112との間の環状窪み部113の位置と対応している。
【0020】
本発明に係る送風機を使用する際に、回転駆動されている前記ファン30は、外部の流体Lを前記ハウジングケースの空気取入口11から吸引し、該ファン30の吸気口320に通して該ファン30の内部に取り込む。前記第1環状リブ111が円弧状の外形輪郭を持つことと、前記空気取入口11の孔径が前記吸気口320の孔径よりも小さく設定されていることから、取り込まれた流体Lは、該空気取入口11の表面をスムーズに流れて、該吸気口320に流入することが可能となる。さらに、流体Lは、前記複数の羽根31の間の流体通路を通って、前記上部環状流路12と下部環状流路13との間の空間、前記上部空気排出流路13と下部空気排出流路23との間の空間を通過して排出される。尚、前記上ケース10の内面と前記ファン30の上シート体32との間に隙間を有することで、内部の空気流通空間100を流れる流体Lの一部が分岐流体L1(
図3及び
図4において、実線の矢印で示されている)として、上方に逸散して分流する。当該分岐流体L1は、該上シート体32の外周縁に沿って、該ファン30と上ケース10との間に流入し、その後、前記第2環状リブ112の外周側環状壁面1121に当たることで流れ方向が垂直に変わり、これにより、当該流体L1は上から下へと流れるエアカーテンとなり、その結果、気流の逸散が防止されると同時に、前記空気取入口11と吸気口320との間の隙間からの気流の流入が阻止され、これによって、風切り騒音の発生を防ぎ、静音効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0021】
10 上ケース
100 空気流通空間
11 空気取入口
111 第1環状リブ
112 第2環状リブ
1121 外周側環状壁面
113 環状窪み部
12 上環流通道
13 上部空気排出流路
20 下ケース
21 収容部
22 下部環状流路
23 下部空気排出流路
30 ファン
31 羽根
32 上シート体
320 吸気口
321 内環状突起
322 中間環状突起
323 外環状突起
33 軸穴
34 下シート体
40 モータ
41 駆動軸
50 ハウジングケース
51 上ケース
52 下ケース
53 内部空間
54 空気取入口
55 排気経路
56 モータ
561 駆動軸
57 ファン
A なす角度
L 流体
L1 分岐流体