(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電磁ブレーキ
(51)【国際特許分類】
H02K 49/00 20060101AFI20241016BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20241016BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02K49/00 B
H02K11/30
F16D63/00 Z
(21)【出願番号】P 2023051553
(22)【出願日】2023-03-28
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】202210411580.8
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 介程
(72)【発明者】
【氏名】蔡 明志
(72)【発明者】
【氏名】林 家祺
(72)【発明者】
【氏名】許 育▲ウェイ▼
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-160160(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 49/00
H02K 11/30
F16D 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベース内に配置され、第1の抵抗値を有する第1の巻線コイルと、
前記ベース内に配置され、かつ前記第1の巻線コイルを囲繞するように設けられ、前記第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を有する第2の巻線コイルと、
前記ベース内に配置され、前記第1の巻線コイルおよび前記第2の巻線コイルに接続する制御部と
を含
む電磁ブレーキであって、
第1の期間に前記制御部が前記第1の巻線コイルを駆動し、第2の期間に前記制御部が前記第1の巻線コイルおよび前記第2の巻線コイルを同時に駆動し、かつ前記第1の巻線コイルと前記第2の巻線コイルとが直列接続され、
かつ
前記制御部は、
第1の端と第2の端とを有する抵抗と、
前記抵抗の第2の端と接続する制御回路と、
第1の端、第2の端および制御端を有する第1のスイッチユニットと、
第1の端、第2の端および制御端を有する第2のスイッチユニットと、
を含み、
前記抵抗の第1の端は、入力電圧を受け、かつ前記第1の巻線コイルの第1の端と接続し、
前記第1のスイッチユニットの第1の端は、前記第1の巻線コイルの第2の端および前記第2の巻線コイルの第1の端に接続し、前記第1のスイッチユニットの第2の端は、接地端と接続し、前記第1のスイッチユニットの制御端は、前記制御回路と接続し、
前記第2のスイッチユニットの第1の端は、前記接地端と接続し、前記第2のスイッチユニットの第2の端は、前記第2の巻線コイルの第2の端と接続し、前記第2のスイッチユニットの制御端は、前記制御回路と接続する、電磁ブレーキ。
【請求項2】
前記ベース上に配置された下カバー背面板と、
前記下カバー背面板上に配置されたブレーキパッドと、
前記ブレーキパッド上に配置された上カバー背面板と、
前記下カバー背面板および前記上カバー背面板を前記ベースに固定する少なくとも1つの固定部材と、
をさらに含む請求項1に記載
の電磁ブレーキ。
【請求項3】
前記制御部と前記第1の巻線コイルおよび前記第2の巻線コイルとの間に配置された絶縁シートをさらに含む請求項2に記載
の電磁ブレーキ。
【請求項4】
前記制御回路がRC回路による遅延回路である、請求項
1に記載
の電磁ブレーキ。
【請求項5】
前記第1のスイッチユニットおよび前記第2のスイッチユニットが相補的にオンオフする、請求項
1に記載
の電磁ブレーキ。
【請求項6】
前記第1のスイッチユニットがNチャネル型MOSFETであり、前記第2のスイッチユニットがPチャネル型MOSFETである、請求項
5に記載
の電磁ブレーキ。
【請求項7】
前記制御部は、第1のダイオードと、第2のダイオードと、をさらに含み、
前記第1のダイオードの第1の端が前記第1の巻線コイルの第1の端と接続し、前記第1のダイオードの第2の端が前記第1のスイッチユニットの第1の端と接続し、
前記第2のダイオードの第1の端が前記第1のダイオードの第2の端と接続し、前記第2のダイオードの第2の端が前記第2のスイッチユニットの第2の端と接続する、
請求項
1に記載
の電磁ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキに関し、特に省エネ電磁ブレーキおよびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電磁ブレーキはロボットアームや各種のモーターに広く用いられており、インダストリー4.0においては不可欠な重要部品の1つである。現在、既存の電磁ブレーキの構造に採用されているのは、1つの巻線コイルをスタンピングおよびターニング部品と組み合わせ、組み立ててなるものである。ロボットアームがますます小型化されるのに伴って、部品の取り付けスペースも小さくなり、体積を小さく薄型にし、外径を縮小させることがブレーキに求められ始めている。
【0003】
ブレーキの体積が制限される条件下では、生じる制動力も当然に低下する。制動力を高めたい場合、既存のやり方は、起動時に先ずは電圧を引き上げ、そしてブレーキの作動位置が定点に達した後に電圧を元の供給電圧に下げ戻すというものである。しかし、外部電源装置を介して電圧の昇降を制御する必要があることから、制御のための設備およびコストが間接的に増加してしまい、なおかつ昇降圧の過程で不要なエネルギーが消費されてしまう。よって、省エネ電磁ブレーキの電力消費および体積をどのようにして有効に低減させるかが、目下重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は省エネ電磁ブレーキおよびその操作方法を提供し、これにより電磁ブレーキの電力消費および体積を有効に低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ベース、第1の巻線コイル、第2の巻線コイルおよび制御回路素子を含む省エネ電磁ブレーキを提供する。第1の巻線コイルはベース内に配置され、第1の抵抗値を有する。第2の巻線コイルはベース内に配置され、かつ第1の巻線コイルを囲繞するように設けられ、第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を有する。制御部回路素子はベース内に配置され、第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルに電気接続する。第1の期間に制御部回路素子は第1の巻線コイルを駆動し、第2の期間に制御部回路素子は第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルを同時に駆動し、かつ第1の巻線コイルと第2の巻線コイルとは直列接続される。
【0006】
本発明は、下記のステップを含む省エネ電磁ブレーキの操作方法を提供する。ベースを準備する。第1の巻線コイルを準備し、ベース内に配置する。第1の巻線コイルは第1の抵抗値を有している。第2の巻線コイルを準備し、ベース内に配置し、かつ第1の巻線コイルを囲繞するように設ける。第2の巻線コイルは、第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を有する。制御回路素子を準備し、ベース内に配置する。制御回路素子は第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルに電気接続する。第1の期間に、制御部回路素子により第1の巻線コイルを駆動する。第2の期間に、制御部回路素子により第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルを同時に駆動し、かつ第1の巻線コイルと第2の巻線コイルとが直列接続される。
【0007】
本発明の開示する省エネ電磁ブレーキおよびその操作方法は、第1の巻線コイルがベース内に配置され、第1の抵抗値を有し、第2の巻線コイルがベース内に配置され、第1の巻線コイルを囲繞するように設けられ、第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を有し、かつ制御部回路素子がベース内に配置され、第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルに電気接続し、第1の期間に制御部回路素子が第1の巻線コイルを駆動し、第2の期間に制御部回路素子が第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルを同時に駆動し、かつ第1の巻線コイルと第2の巻線コイルとが直列接続される、という構成により、電磁ブレーキの電力消費および体積を有効に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの立体概略図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの分解概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による制御回路素子の回路概略図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの立体概略図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの分解概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの操作方法のフロー図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による省エネ電磁ブレーキの操作方法のフロー図である。
【
図6】本発明の別の実施形態による省エネ電磁ブレーキの操作方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書における技術用語は、当該技術分野で習慣的に用いられている用語を参照としている。本明細書において一部の用語に説明または定義が加えられている場合、それらの用語の解釈は、本明細書における説明または定義を基準とする。本開示の各実施形態は、1つまたは複数の技術的特徴を有する。実施可能であるという前提の下、当該技術分野において通常の知識を有する者は、実施形態中の一部または全ての技術的特徴を選択的に実施することができる、またはこれら実施形態中の一部または全ての技術的特徴を選択的に組み合わせることができる。
【0010】
以下に挙げる各実施形態において、同じ符号は、同じまたは類似する構成要素または部材を表すものとする。
【0011】
図1Aは、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの立体概略図である。
図1Bは、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの分解概略図である。
図1Aおよび
図1Bを参照されたい。省エネ電磁ブレーキ100は、ベース110、第1の巻線コイル120、第2の巻線コイル130および制御回路素子140を含む。
【0012】
本実施形態において、ベース110の材料は例えば金属であるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第1の巻線コイル120はベース110内に配置されてよく、例えば、ベース110の収納空間111内に配置されてよい。また、第1の巻線コイル120は第1の抵抗値を有する。
【0013】
第2の巻線コイル130はベース110内に配置されてよく、例えばベース110の収納空間111内に配置されてよく、かつ第2の巻線コイル130は、第1の巻線コイル120を囲繞するように設けられてよい。また、第2の巻線コイル130は第2の抵抗値を有する。本実施形態では、第2の巻線コイル130の第2の抵抗値は、例えば第1の巻線コイル120の第1の抵抗値よりも大きい。例として、第2の巻線コイル130の線径は、例えば第1の巻線コイル120の線径よりも小さい。
【0014】
制御回路素子140はベース110内に配置されてよく、例えばベース110の収納空間111内に配置されてよい。制御回路素子140は第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130に電気接続し得る。本実施形態において、第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130は、例えばベース110と制御回路素子140との間に配置される。
【0015】
本実施形態では、第1の期間において、制御回路素子140は第1の巻線コイル120を駆動することができる。このとき、省エネ電磁ブレーキ100は、抵抗値の小さい第1の巻線コイル120の動作により、省エネ電磁ブレーキ100を起動するものとして比較的大きい磁気吸引力を提供する。
【0016】
第2の期間において、制御回路素子140は第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130を同時に駆動することができ、かつ第1の巻線コイル120と第2の巻線コイル130とは直列接続される。このとき、省エネ電磁ブレーキ100は、大きな抵抗値と小さな抵抗値を組み合わせた第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130の動作により、省エネ電磁ブレーキ100の動作を保持するものとして十分な磁気吸引力を提供する。こうした構成により、保持力に過多のエネルギーをかけずにすみ、省エネ電磁ブレーキ100の電力消費を有効に低減することができる。また、第1の巻線コイル120、第2の巻線コイル130および制御回路素子140がベース110内に配置されるため、省エネ電磁ブレーキ100の体積が有効に縮小され得る。
【0017】
本実施形態において、第1の期間と第2の期間とは異なる。例えば、第1の期間と第2の期間とには一定の時間の差がある。つまり、制御回路素子140が第1の期間に第1の巻線コイル120を駆動した後、制御回路素子140は、上記時間の差だけ待ち、第2の期間に、第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130を同時に駆動する。
【0018】
本実施形態において、省エネ電磁ブレーキ100は、下カバー背面板150、ライニング160、上カバー背面板170および少なくとも1つの固定部材180をさらに含む。
【0019】
下カバー背面板150はベース110に配置されてよい。ライニング160は下カバー背面板150に配置されてよい。上カバー背面板170はライニング160に配置される。つまり、ライニング160は、下カバー背面板150と上カバー背面板170との間に配置される。少なくとも1つの固定部材180は、下カバー背面板150と上カバー背面板170とをベース110に固定するのに用いられる。本実施形態において、固定部材180はねじ、ナット等でよいが、本発明の実施形態はこれに限定されない。また、本実施形態において固定部材180の数は3個に描かれているが、本発明の実施形態はこれに限定されず、使用者は必要に応じて、固定部材180の数を調整することができる。
【0020】
また、本実施形態において、省エネ電磁ブレーキ100は絶縁シート190をさらに含む。絶縁シート190は、制御回路素子140の回路素子と第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130とが直接接触することで回路の誤動作が生じないよう、制御回路素子140と第1の巻線コイル120および第2の巻線コイル130との間に配置されてよい。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態による制御回路素子の回路概略図である。
図2を参照されたい。制御回路素子140は、抵抗R1、制御回路210、第1のスイッチユニット220および第2のスイッチユニット230を含み得る。
【0022】
抵抗R1は第1の端および第2の端を有する。抵抗R1の第1の端は入力電圧VINを受け取ると共に、第1の巻線コイル120の第1の端121に電気接続する。制御回路210は抵抗R1の第2の端に電気接続する。本実施形態において、制御回路210は、例えば抵抗・コンデンサ(RC)時間遅延回路であるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
【0023】
第1のスイッチユニット220は第1の端、第2の端および制御端を有する。第1のスイッチユニット220の第1の端は、第1の巻線コイル120の第2の端122および第2の巻線コイル130の第1の端131に電気接続する。第1のスイッチユニット220の第2の端は接地端GNDに電気接続する。第1のスイッチユニット220の制御端は制御回路210に電気接続する。
【0024】
第2のスイッチユニット230は第1の端、第2の端および制御端を有する。第2のスイッチユニット230の第1の端は接地端GNDに電気接続する。第2のスイッチユニット230の第2の端は第2の巻線コイル130の第2の端132に電気接続する。第2のスイッチユニット230の制御端は制御回路210に電気接続する。
【0025】
本実施形態において、第1のスイッチユニット220の動作と第2のスイッチユニット230の動作とは相補的なものである。例えば、第1のスイッチユニット220が導通するとき、第2のスイッチユニット230は導通しない。第1のスイッチユニット220が導通しないとき、第2のスイッチユニット230は導通する。
【0026】
本実施形態において、第1のスイッチユニット220は、N型トランジスタT1、例えばN型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal oxide semiconductor field effect transistor, MOSFET)であり得る。本実施形態において、第1のスイッチユニット220の第1の端は、例えばN型トランジスタT1のドレイン(drain)端であり,第1のスイッチユニット220の第2の端は、例えばN型トランジスタT1のソース(source)端であり、第1のスイッチユニット220の制御端は、例えばN型トランジスタT1のゲート(gate)端であるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。他の実施形態では、第1のスイッチユニット220は、例えばNPN型バイポーラジャンクショントランジスタ(bipolar junction transistor, BJT)またはその他の適したトランジスタであってもよい。
【0027】
また、第2のスイッチユニット230はP型トランジスタT2、例えばP型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタであり得る。本実施形態において、第2のスイッチユニット230の第1の端は、例えばP型トランジスタT2のドレイン端であり、第2のスイッチユニット230の第2の端は、例えばP型トランジスタT2のソース端であり、第2のスイッチユニット230の制御端は、例えばP型トランジスタT2のゲート端であるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。他の実施形態では、第2のスイッチユニット230が例えばPNP型バイポーラジャンクショントランジスタまたはその他の適したトランジスタであってもよい。
【0028】
本実施形態において、制御回路素子140は、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2をさらに含む。第1のダイオードD1は第1の端(例えばカソード端)および第2の端(例えばアノード端)を有する。第1のダイオードD1の第1の端は第1の巻線コイル120の第1の端に電気接続する。第1のダイオードD1の第2の端は第1のスイッチユニット220の第1の端に電気接続する。
【0029】
第2のダイオードD2は第1の端(例えばカソード端)および第2の端(例えばアノード端)を有する。第2のダイオードD2の第1の端は第1のダイオードD1の第2の端に電気接続する。第2のダイオードD2の第2の端は第2のスイッチユニット230の第2の端に電気接続する。
【0030】
制御回路素子140の動作全体において、第1の期間に、制御回路210は、抵抗R1を介して入力電圧VINを受け取り、例えば高論理レベルの制御信号CSを生成してN型トランジスタT1(第1のスイッチユニット220)の制御端およびP型トランジスタT2(第2のスイッチユニット230)の制御端に送って、N型トランジスタT1(第1のスイッチユニット220)を導通させ、P型トランジスタT2(第2のスイッチユニット230)は導通させないようにする。このとき、第1の巻線コイル120の第2の端122がN型トランジスタT1(第1のスイッチユニット220)を介し接地端GNDに電気接続し、入力電圧VIN、第1の巻線コイル120および接地端GNDでループが形成されて、制御回路素子140が第1の巻線コイル120を駆動して動作を行わせることができるようになる。
【0031】
第2の期間に、制御回路210は、例えば低論理レベルの制御信号CSを生成してN型トランジスタT1(第1のスイッチユニット220)の制御端およびP型トランジスタT2(第2のスイッチユニット230)の制御端に送り、N型トランジスタT1(第1のスイッチユニット220)を導通させず、P型トランジスタT2(第2のスイッチユニット230)を導通させる。このとき、第2の巻線コイル130の第2の端132がP型トランジスタT2(第2のスイッチユニット230)を介して接地端GNDに電気接続し、入力電圧VIN、第1の巻線コイル120、第2の巻線コイル130および接地端GNDでループが形成されて、制御回路素子140が第1の巻線コイル120と第2の巻線コイル130とを同時に駆動して動作を行わせることができるようになる。こうした構成により、省エネ電磁ブレーキ100の電力消費を有効に低減させることが可能となる。
【0032】
図3Aは、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの立体概略図である。
図3Bは、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの分解概略図である。
図3Aおよび
図3Bを参照されたい。省エネ電磁ブレーキ300は、ベース310、第1の巻線コイル120、第2の巻線コイル130、制御回路素子320、下カバー背面板150、ライニング160、上カバー背面板170および少なくとも1つの固定部材180を含み得る。
【0033】
本実施形態において、第1の巻線コイル120、第2の巻線コイル130、下カバー背面板150、ライニング160、上カバー背面板17および少なくとも1つの固定部材180は、
図1Aおよび
図1Bの第1の巻線コイル120、第2の巻線コイル130、下カバー背面板150、ライニング160、上カバー背面板170および少なくとも1つの固定部材180と同じか、または類似するものであり、
図1Aおよび
図1Bの実施形態の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し記載しない。
【0034】
また、本実施形態におけるベース310および制御回路素子320は、
図1Aならびに
図1Bのベース110および制御回路素子140と、形状と構造がやや異なる。さらに、制御回路素子320は、
図1Aおよび
図1Bの制御回路素子140と、配置位置も異なる。本実施形態では制御回路素子320はベース310の収納空間311内に配置され、かつ第2の巻線コイル130に近接する、第1の巻線コイル120の側に対向する他方の側に配置される。つまり、第2の巻線コイル130は、第1の巻線コイル120と制御回路素子320との間に位置する。省エネ電磁ブレーキ300もまた、省エネ電磁ブレーキ100と同じ技術的効果を達成することができる。
【0035】
また、制御回路素子320の内部構成要素ならびにその接続方式および操作方式は、制御回路素子140と同じか、または類似しており、
図2の実施形態の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し記載しない。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの操作方法のフロー図である。ステップS402において、ベースを準備する。ステップS404において、第1の巻線コイルを準備し、ベース内に配置する。第1の巻線コイルは第1の抵抗値を有している。ステップS406において、第2の巻線コイルを準備し、ベース内に配置し、かつ第1の巻線コイルを囲繞するように設ける。第2の巻線コイルは、第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を有する。
【0037】
ステップS408において、制御回路素子を準備し、ベース内に配置する。制御回路素子は第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルに電気接続する。ステップS410において、第1の期間に、制御回路素子により第1の巻線コイルを駆動する。ステップS412において、第2の期間に、制御回路素子により第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルを同時に駆動し、かつ第1の巻線コイルと第2の巻線コイルとが直列接続される。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの操作方法のフロー図である。本実施形態において、ステップS402~S412は
図4のステップS402~S412と同一であるかまたは類似し、
図4の実施形態の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し記載しない。ステップS502において、下カバー背面板を準備し、ベースに配置する。ステップS504において、ライニングを準備し、下カバー背面板に配置する。ステップS506において、上カバー背面板を準備し、ライニングに配置する。ステップS508において、少なくとも1つの固定部材を準備し、下カバー背面板と上カバー背面板をベースに固定する。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態による省エネ電磁ブレーキの操作方法のフロー図である。本実施形態において、ステップS402~S412、S502~S508は、
図5のステップS402~S412、S502~S508と同一であるかまたは類似し、
図5の実施形態の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し記載しない。ステップS602において、絶縁シートを準備し、制御回路素子と第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルとの間に配置する。
【0040】
なお、
図4、
図5および
図6のステップの順序は、説明のために用いたにすぎず、本発明の実施形態のステップの順序を限定するものではなく、かつ上記ステップの順序は、使用者が必要に応じて変えることができるという点に留意されたい。さらに、本発明の主旨および範囲を逸脱しない限りにおいて、追加のステップを加える、またはより少ないステップを使用することができる。
【0041】
まとめると、本発明の開示する省エネ電磁ブレーキおよびその操作方法は、第1の巻線コイルがベース内に配置され、第1の抵抗値を有し、第2の巻線コイルがベース内に配置され、第1の巻線コイルを囲繞するように設けられ、第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を有し、かつ制御部回路素子がベース内に配置され、第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルに電気接続し、第1の期間に制御部回路素子が第1の巻線コイルを駆動し、第2の期間に制御部回路素子が第1の巻線コイルおよび第2の巻線コイルを同時に駆動し、かつ第1の巻線コイルと第2の巻線コイルとが直列接続される、という構成により、省エネ電磁ブレーキの電力消費および体積を有効に低減することができる。
【0042】
本発明を実施形態により以上のように開示したが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の主旨および範囲を逸脱しない限りにおいて、いくらかの変化および修飾を加えることができる。よって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で定義されるものが基準となる。
【符号の説明】
【0043】
100、300…省エネ電磁ブレーキ
110、310…ベース
111、311…収納空間
120…第1の巻線コイル
121、131…第1の端
122、132…第2の端
130…第2の巻線コイル
140、320…制御回路素子
150…下カバー背面板
160…ライニング
170…上カバー背面板
180…固定部材
190…絶縁シート
210…制御回路
220…第1のスイッチユニット
230…第2のスイッチユニット
T1…N型トランジスタ
T2…P型トランジスタ
D1…第1のダイオード
D2…第2のダイオード
R1:抵抗
CS…制御信号
VIN…入力電圧
GND…接地端
S402~S412、S502~S508、S602…ステップ