(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】装置の位置を推定する方法、無線電力伝送方法、基地局及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20241016BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20241016BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241016BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20241016BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20241016BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W84/10 110
H04W64/00 173
H02J50/20
H02J50/90
(21)【出願番号】P 2023060608
(22)【出願日】2023-04-04
【審査請求日】2023-04-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】中本 悠太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】平川 昂
(72)【発明者】
【氏名】太田 喜元
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026413(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0378269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の位置を推定する方法であって、
基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置している近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像することと、
前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定することと、
前記複数の第1対象装置のそれぞれと近距離無線通信機能を有する第2対象装置との間で近距離無線通信を行うことと、
前記複数の第1対象装置のそれぞれと前記第2対象装置との間の近距離無線通信の結果に基づいて、前記第2対象装置の位置を推定することと、
前記複数の第1対象装置それぞれの位置の推定結果と、前記第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、前記基地局のアンテナ装置の位置を基準にした前記第2対象装置の位置を推定すること、
を含む、ことを特徴とする方法
。
【請求項2】
無線電力伝送方法であって、
前記基地局が、請求項
1の方法で推定した前記第2対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に送電すること、
を含む、ことを特徴とする無線電力伝送方法
。
【請求項3】
通信網に接続された基地局を備えるシステムであって、
前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境における前記基地局と第2対象装置との間のエリアに位置し、近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置を備え、
前記複数の第1対象装置はそれぞれ、
近距離無線通信機能を有する第2対象装置との間で近距離無線通信を行う手段と、
前記近距離無線通信の結果に基づいて、前記第1対象装置の位置を基準にした前記第2対象装置の方向の角度情報及び前記第2対象装置の距離情報を算出する手段と、
上りリンクの通信を介して前記基地局に、前記角度情報及び前記距離情報の算出結果を送信する手段と、を有し、
前記基地局は、
前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像する撮像部と、
前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定する手段と、
前記上りリンクの通信を介して前記複数の第1対象装置のそれぞれから、前記角度情報及び前記距離情報の算出結果を受信する手段と、
前記複数の第1対象装置のそれぞれから受信した前記角度情報及び前記距離情報の算出結果と、前記複数の第1対象装置のそれぞれの位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置の位置を推定する手段と、を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項
3のシステムにおいて、
前記近距離無線通信は,UWB(超広帯域)無線の電波を用いた通信又はBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項
3のシステムにおいて、
前記第1対象装置は、固定配置されたセンサであり、
前記第2対象装置は、移動するセンサである、
ことを特徴とするシステム
。
【請求項6】
請求項
3乃至
5のいずれかのシステムにおいて、
前記基地局は、前記第1対象装置の位置の推定結果と前記第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に無線送電する手段を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
通信網に接続された基地局であって、
前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境における前記基地局と第2対象装置との間のエリアに位置し近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像する撮像部と、
前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定する手段と、
上りリンクの通信を介して前記複数の第1対象装置のそれぞれから、前記第2対象装置との近距離無線通信の電波の受信結果に基づいて前記第1対象装置が算出した、前記第1対象装置の位置を基準にした前記第2対象装置の方向の角度情報及び前記第2対象装置の距離情報の算出結果を受信する手段と、
前記複数の第1対象装置のそれぞれから受信した前記角度情報及び前記距離情報の算出結果と、前記複数の第1対象装置のそれぞれの位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置の位置を推定する手段と、
前記第2対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に送電する手段と、
を備える、ことを特徴とする基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の位置を推定する方法、無線電力伝送方法、基地局、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線フレームに設定された複数の無線リソースの少なくとも一部を用いて基地局(通信中継装置)と端末装置との間で通信を行う通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信システムの基地局や無線LANアクセスポイント装置等の通信中継装置に接続して通信する端末装置として、内蔵電池から供給される電力を主に利用する携帯型の端末装置がある。この端末装置では、内蔵電池の残量が少なくなったときに内蔵電池を充電する煩雑な作業が必要である。また、内蔵電池ではなく有線接続の電源ラインから供給される電力を利用する端末装置は、そのような電源ラインを利用可能な場所での使用に制限される。このように基地局などの通信中継装置に接続して通信を行う様々な端末装置への給電をまかなうことができるような給電インフラが未整備である。
【0005】
特に、第5世代及びその後の次世代の通信システムでは、基地局や無線LANアクセスポイント装置等の通信中継装置に接続して通信する端末装置(例えば、ユーザ装置、IoTデバイス等)が急増してくるのが予想され、膨大なトラフィックを捌く通信インフラの整備が進められている。しかしながら、上記通信を行う膨大な数の端末装置への給電をまかなうことができる給電インフラは未整備のままである。
【0006】
上記給電インフラの一つとして、端末装置等の対象装置の方向に指向性を有する電磁波のビームを介して対象装置に給電する無線電力伝送システムが検討されている。この無線電力伝送システムのように対象装置に指向性を有する電磁波のビームを用いるシステムでは、ビームを介して対象装置の位置を精度よく推定したい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る方法は、装置の位置を推定する方法である。この方法は、基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置している一又は複数の第1対象装置を含む画像を撮像することと、
前記撮像した画像の画像解析により前記基地局のアンテナ装置の位置を基準にした前記第1対象装置の位置を推定することと、を含む。
【0008】
本発明の他の態様に係る方法は、装置の位置を推定する方法である。この方法は、基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置している近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像することと、前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定することと、前記複数の第1対象装置のそれぞれと近距離無線通信機能を有する第2対象装置との間で近距離無線通信を行うことと、前記複数の第1対象装置のそれぞれと前記第2対象装置との間の近距離無線通信の結果に基づいて、前記第2対象装置の位置を推定することと、前記複数の第1対象装置それぞれの位置の推定結果と、前記第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、前記基地局のアンテナ装置の位置を基準にした前記第2対象装置の位置を推定すること、を含む。
【0009】
本発明の更に他の態様に係る無線電力伝送方法は、前記基地局が、前記方法で推定した前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第1対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第1対象装置に送電すること、を含む。
【0010】
本発明の更に他の態様に係る無線電力伝送方法は、前記基地局が、請求項2の方法で推定した前記第2対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に送電すること、を含む。
【0011】
本発明の更に他の態様に係るシステムは、通信網に接続された基地局を備えるシステムである。このシステムは、前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置する一又は複数の第1対象装置を備える。前記基地局は、前記第1対象装置を含む画像を撮像する撮像部と、前記撮像した画像の画像解析により前記基地局のアンテナ装置の位置を基準にした前記第1対象装置の位置を推定する手段と、を有する。
【0012】
本発明の更に他の態様に係るシステムは、通信網に接続された基地局を備えるシステムである。このシステムは、前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境における前記基地局と第2対象装置との間のエリアに位置し、近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置を備える。前記複数の第1対象装置はそれぞれ、近距離無線通信機能を有する第2対象装置との間で近距離無線通信を行う手段と、前記近距離無線通信の結果に基づいて、前記第1対象装置の位置を基準にした前記第2対象装置の方向の角度情報及び前記第2対象装置の距離情報を算出する手段と、上りリンクの通信を介して前記基地局に、前記角度情報及び前記距離情報の算出結果を送信する手段と、を有する。前記基地局は、前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像する撮像部と、前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定する手段と、前記上りリンクの通信を介して前記複数の第1対象装置のそれぞれから、前記角度情報及び前記距離情報の算出結果を受信する手段と、前記複数の第1対象装置のそれぞれから受信した前記角度情報及び前記距離情報の算出結果と、前記複数の第1対象装置のそれぞれの位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置の位置を推定する手段と、を有する。
【0013】
ここで、前記近距離無線通信は,UWB(超広帯域)無線の電波を用いた通信又はBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信であってもよい。
【0014】
前記システムにおいて、前記基地局は、前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第1対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第1対象装置に無線送電する手段を有してもよい。
【0015】
前記システムにおいて、前記基地局は、前記第1対象装置の位置の推定結果と前記第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に無線送電する手段を有してもよい。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る基地局は、通信網に接続された基地局である。この基地局は、前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置する一又は複数の第1対象装置について、前記第1対象装置を含む画像を撮像する撮像部と、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定する手段と、を備える。
【0017】
前記基地局において、前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第1対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第1対象装置に無線送電する手段を有してもよい。
【0018】
前記基地局において、前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第1対象装置に向かうビームのチルト角を決定する手段を有してもよい。
【0019】
ここで、前記第1対象装置は、固定配置されたセンサ装置であってもよい。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る基地局は、通信網に接続された基地局である。この基地局は、前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境における前記基地局と第2対象装置との間のエリアに位置し近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像する撮像部と、前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定する手段と、上りリンクの通信を介して前記複数の第1対象装置のそれぞれから、前記第2対象装置との近距離無線通信の電波の受信結果に基づいて前記第1対象装置が算出した、前記第1対象装置の位置を基準にした前記第2対象装置の方向の角度情報及び前記第2対象装置の距離情報の算出結果を受信する手段と、前記複数の第1対象装置のそれぞれから受信した前記角度情報及び前記距離情報の算出結果と、前記複数の第1対象装置のそれぞれの位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置の位置を推定する手段と、を備える。
【0021】
前記基地局において、前記第2対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に送電する手段を備えてもよい。
【0022】
前記基地局において、前記第1対象装置の位置の推定結果と前記第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置に向かうビームのチルト角を決定する手段を有してもよい。
【0023】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、通信網に接続された基地局に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置する一又は複数の第1対象装置について、前記第1対象装置を含む画像を撮像するためのプログラムコードと、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定するためのプログラムコードとを含む。
【0024】
前記プログラムにおいて、前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第1対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第1対象装置に無線送電するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0025】
前記プログラムにおいて、前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第1対象装置に向かうビームのチルト角を決定するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0026】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、通信網に接続された基地局に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記基地局のアンテナ装置から見通し内環境における前記基地局と第2対象装置との間のエリアに位置し近距離無線通信機能を有する複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記第1対象装置を含む画像を撮像するためのプログラムコードと、前記複数の第1対象装置のそれぞれについて、前記撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定するためのプログラムコードと、上りリンクの通信を介して前記複数の第1対象装置のそれぞれから、前記第2対象装置との近距離無線通信の電波の受信結果に基づいて前記第1対象装置が算出した、前記第1対象装置の位置を基準にした前記第2対象装置の方向の角度情報及び前記第2対象装置の距離情報の算出結果を受信するためのプログラムコードと、前記複数の第1対象装置のそれぞれから受信した前記角度情報及び前記距離情報の算出結果と、前記複数の第1対象装置のそれぞれの位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置の位置を推定するためのプログラムコードと、を含む。
【0027】
前記プログラムにおいて、前記第2対象装置の位置の推定結果に基づいて、前記第2対象装置に向けてビームを形成し、前記ビームを介して前記第2対象装置に送電するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0028】
前記プログラムにおいて、前記第1対象装置の位置の推定結果と前記第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、前記第2対象装置に向かうビームのチルト角を決定するためのプログラムコードを含んでもよい。
【0029】
前記装置の位置を推定する方法、前記無線電力伝送方法、前記無線電力伝送システム、前記基地局及び前記プログラムにおいて、前記第2対象装置は、移動するセンサ装置、移動通信システムの端末装置又はアクセスポイント装置であってもよい。
【0030】
前記装置の位置を推定する方法、前記無線電力伝送方法、前記無線電力伝送システム、前記基地局及び前記プログラムにおいて、前記近距離無線通信は,UWB(超広帯域)無線の電波を用いた通信又はBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信であってもよい。
【0031】
前記装置の位置を推定する方法、前記無線電力伝送方法、前記無線電力伝送システム、前記基地局及び前記プログラムにおいて、前記基地局は、前記第2対象装置への無線送電機能を有する移動通信システムの基地局であってもよい。
【0032】
前記装置の位置を推定する方法、前記無線電力伝送方法、前記無線電力伝送システム、前記基地局及び前記プログラムにおいて、前記基地局のアンテナ装置は、複数のアンテナ素子が2次元的に又は3次元的に配置されたアレーアンテナであってもよい。
【0033】
また、前記第1対象装置や前記第2対象装置の位置の推定に用いるプログラムは、機械学習によって作成された学習済モデルであってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、無線電力伝送などの対象装置の位置を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態に係るシステムの概略構成の一例を示す説明図。
【
図2】実施形態に係るシステムを構成する基地局、第1対象装置及び第2対象装置の配置の一例を示す説明図。
【
図3】実施形態に係るシステムにおける第1対象装置及び第2対象装置の位置推定手法の概要の一例を示す説明図。
【
図4】
図3のシステムの撮像部で撮影した第1対象装置の画像の一例を示す説明図。
【
図5】実施形態に係るシステムにおける第1対象装置及び第2対象装置の位置推定手法の概要の他の例を示す説明図。
【
図6】実施形態に係るシステムにおける複数の第1対象装置を介した第2対象装置の位置推定の一例を示す説明図。
【
図7】実施形態に係るシステムにおける複数の第1対象装置を介した第2対象装置の位置推定の他の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係る方法及びシステムは、移動通信網に接続された無線電力伝送(WPT)の無線送電装置としての機能を有する基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置している一又は複数の第1対象装置(例えば、固定配置されたセンサ装置、固定アクセスポイント装置、移動通信の端末装置(UE)、親機)を含む画像を撮像し、撮像した画像の画像解析により基地局のアンテナ装置の位置を基準にした第1対象装置の位置を精度よく推定することができる。また、実施形態に係る方法及びシステムは、前記第1対象装置と対象装置(例えば、移動するセンサ装置、IoTデバイス、子機)との間で行った近距離無線通信(例えば、UWB又はBLEの通信)の結果と、前記第1対象装置の位置の推定結果に基づいて、基地局のアンテナ装置の位置を基準にした対象装置の位置を精度よく推定することができる。更に、本実施形態のシステムでは、基地局のアンテナ装置から、位置を推定した固定配置のセンサ装置等の第1対象装置、移動するセンサ装置等の対象装置又はその両方の装置に向けて、無線電力伝送用のビーム(以下「WPTビーム」ともいう。)を形成することにより、基地局から当該装置に電力を効率よく給電することができる。
【0037】
なお、以下の実施形態では、移動通信の基地局が無線送電装置として兼用された無線電力伝送(WPT)システムを構成した場合について説明するが、移動通信の基地局とは別に設けた無線送電装置を移動通信網に接続し、その無線送電装置から端末装置へ給電する無線電力伝送(WPT)システムを構成してもよい。また、実施形態のシステムは、移動通信の基地局を有する測位システムや通信システムとして構成してもよい。
【0038】
図1は、本実施形態に係るシステムの概略構成の一例を示す説明図である。本実施形態のシステムは、通信エリア(セル)10Aを形成するセルラー方式の基地局10と、基地局10に接続して基地局10と無線通信可能な単数又は複数の第1対象装置(以下「中継装置」ともいう。)20と、を有する。第1対象装置20は、基地局10のアレーアンテナ110から見通し内環境に位置している。本実施形態に係るシステムは、第1対象装置20と無線通信可能な第2対象装置30を更に有してもよい。第2対象装置30は、通信エリア10Aに在圏しているときに基地局10に接続して基地局10と無線通信可能な装置であってもよい。
【0039】
基地局10は、例えば、現在の移動通信で運用されている第5世代などの移動通信システムの標準規格又はそれ以降の世代(例えばB5G(Beyond 5G)又は6G)の移動通信システムの標準規格に準拠した基地局(例えば、eNodeB、gNodeB)である。基地局10は、WPTの無線送電装置としての機能を有する。
【0040】
基地局10は、基地局装置のほか、当該基地局10のアレーアンテナ(アンテナ装置)110から見通し内環境に位置する第1対象装置20を含む画像を撮像する撮像部130と、後述の信号処理部とを備える。撮像部130は、例えば単数のカメラ又は複数のカメラを有する。撮像部130におけるカメラの数は、撮像した画像の画像解析によって第1対象装置20の位置を推定可能であれば、単数及び複数のいずれであってもよい。なお、後述する例では、撮像部130が、1台のカメラを有する場合と、互いに所定距離だけ離して配置した2台のカメラを有する場合について例示する。また、撮像部130で撮像する画像は、静止画でもよいし、動画でもよい。
【0041】
第1対象装置(中継装置)20は、第1の無線通信方式によって基地局10との間で無線通信する第1の通信機能と、第2の無線通信方式によって第2対象装置30との間で無線通信する第2の通信機能と、を有する。第1対象装置20は、基地局10からの無線電力伝送によって給電可能なWPT端末であってもよい。また、第1対象装置20は、第2対象装置30の位置の推定に用いられる位置推定補助装置(アンカー装置)として兼用されてもよい。
【0042】
第1対象装置20は、例えば、通信エリア(セル)10A内又はその近傍のエリアに固定配置されたセンサ装置である。この固定配置のセンサ装置は、例えば、温湿度センサ、照度センサ、人感センサ等のセンサを備えた装置である。また、第1対象装置20は、基地局10と第2対象装置30との通信を中継する中継装置又はゲートウェイであってもよい。
【0043】
第1対象装置20は、通信エリア(セル)10A内又はその近傍のエリアに固定配置された無線接続(例えば無線LAN接続)のアクセスポイント装置、又は、対象装置(子機)30に対する親機としての機能を有するユーザ50の端末装置(UE)であってもよい。端末装置(UE)は、例えば移動通信の移動局としてのスマートフォンである。
【0044】
また、第1対象装置20は、無線電力伝送(WPT)の無線受電装置としての機能を有してもよい。
【0045】
なお、
図1及び後述の図の例におけるシステムは、3台又は2台の第1対象装置20を有しているが、第1対象装置20の数は1台であってもよいし、4台以上であってもよい。複数の第1対象装置を互いに区別する場合は、第1対象装置20(1)~20(3)のように識別番号を付し、単数の第1対象装置について説明する場合又は複数の第1対象装置に共通する事項について説明する場合は、識別番号を付さないで説明する。
【0046】
第2対象装置30は、基地局10からの無線電力伝送によって給電可能なWPT端末でもある。第2対象装置30は、例えば、前記第2の無線通信方式によって第1対象装置20との間で無線通信する機能を有する、移動するセンサ装置(以下「移動センサ装置」ともいう。)である。この移動センサ装置は、例えば、ユーザ50が装着又は使用可能な、ウェアラブルセンサ、デジタルツイン用途のセンサ、スマートストラッカー用途のセンサなどを有する装置である。また、第2対象装置30は、例えば、移動通信システムの移動局としての端末装置(「UE」(ユーザ装置)ともいう。)であってもよい。第2対象装置30は、基地局10と無線通信可能な通信装置(例えば移動通信モジュール)と各種デバイスとを組み合わせたものであってもよい。第2対象装置30は、基地局10を介してインターネットに接続可能なIoTデバイスであってもよい。
【0047】
第2対象装置30は、前記第2の無線通信方式によって第1対象装置20との間で無線通信する機能のほか、基地局10との間で無線通信する機能を有してもよい。
【0048】
また、第2対象装置30は、無線電力伝送(WPT)の無線受電装置としての機能を有してもよい。
【0049】
第1対象装置20と基地局10との間の第1の無線通信方式は、例えば、現在の移動通信で運用されている第5世代などの移動通信システムの標準規格又はそれ以降の世代(例えばB5G(Beyond 5G)又は6G)の移動通信システムの標準規格に準拠した無線通信方式である。
【0050】
第1対象装置20と第2対象装置30との間の第2の無線通信方式は、低電力消費の近距離無線通信の通信方式である。第2の無線通信方式は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信方式、又は、無線媒体としてUWB(超広帯域)無線の電波を用いる通信方式である。UWBは、広帯域(例えば、数GHz帯中の任意の周波数を中心とした数百MHzの帯域幅)の微弱電波での通信技術であり、IEEE802.15.4で定義されている。第2の無線通信方式で通信可能な距離(第1対象装置20と第2対象装置30との間の距離)は、例えば、10m以内である。
【0051】
基地局10から第1対象装置20及び第2対象装置30へ給電する場合の無線電力伝送(WPT)の無線媒体は、例えば、マイクロ波又はミリ波の電波である。
【0052】
図2は、本実施形態に係るシステムを構成する基地局10、第1対象装置20(1)~20(4)及び第2対象装置30の配置の一例を示す説明図である。
図2において、基地局10は、主に無線電力伝送(WPT)に用いることができるアンテナ装置としてのアレーアンテナ110を備える。アレーアンテナ110は、2次元的に又は3次元的に配置された複数のアンテナ素子111を有する大開口(例えば数10cm×数10cmのサイズ)のアンテナ(レクテナアレイ)である。無線電力伝送(WPT)を行っているとき、アレーアンテナ110の複数のアンテナ素子111それぞれの単体での送信電力は、例えば、数100μW~数10mWである。
【0053】
アレーアンテナ110は、マイクロ波又はミリ波の電波を介して複数のUEとの間でmassive MIMO(mMIMO)伝送方式の通信を行うアンテナ装置として兼用してもよい。
【0054】
基地局10の通信エリア10Aの全部又は一部は、基地局10から第1対象装置20第2対象装置30に向けてビームフォーミングで形成したフォーカス・ビームを介して給電可能な無線電力伝送エリア(以下「WPTエリア」という。)になっている。基地局10から10m程度離れた位置にある第2対象装置30に向けて送信された給電用の電波がミリ波の場合は、WPTエリアにおける電界は、遠方界ではなく近傍界になっている。
【0055】
図2の構成例において、第1対象装置20(1)は、基地局10との間で上りリンク及び下りリンクの通信を行う機能と、第2対象装置30との間で測位のためのUWB又はBLEの無線通信を行う機能とを有するゲートウェイ装置である。第1対象装置20(1)は、基地局10と第2対象装置(子機)30との通信を中継する親機としても機能する。第1対象装置20(2)、20(3)は、第2対象装置30との間で測位のためのUWB又はBLEの無線通信を行う機能とを有する固定センサ装置である。第1対象装置20(4)は、基地局10との間で上りリンク及び下りリンクの通信を行う機能を有するUEである。第1対象装置20(1)~20(4)はそれぞれ、基地局10から無線電力伝送によって給電可能なWPT端末としての機能を有してもよい。
【0056】
第2対象装置30は、基地局10から無線電力伝送によって給電可能なWPT端末としても機能する。第2対象装置30は、主に無線電力伝送(WPT)に用いることができるアンテナ装置としてのアレーアンテナ310を備えてもよい。第2対象装置30のアレーアンテナ310は、例えば2次元的に又は3次元的に配置された100素子程度以下の複数のアンテナ素子を有する微弱レクテナアレイである。複数のアンテナ素子の一部は、測位用のアンテナ素子であってもよい。無線電力伝送(WPT)を行っているとき、アレーアンテナの複数のアンテナ素子それぞれの単体での受信電力は、例えば、数10μW~数100μWである。この場合、基地局10から所定距離(例えば10m程度)離れている第2対象装置30において、第2対象装置30のアレーアンテナの全体として、例えば1mW以上の電力を受電することができる。
【0057】
本実施形態では、以下に示すように、移動通信網に接続された基地局10から撮影した画像に基づいて複数の第1対象装置20(1)~20(3)の位置を推定し、その複数の第1対象装置20(1)~20(3)を介して第2対象装置30の位置を推定し、これらの位置の推定結果に基づいて、基地局10から第2対象装置30へのWPTビーム10Bのチルト角(θWPT)を決定している。
【0058】
図3は、本実施形態に係るシステムにおける第1対象装置20(1)~20(3)及び第2対象装置30の位置推定手法の概要の一例を示す説明図である。
図3の例は、基地局10に設けられた撮像部130の1台のカメラ131で撮像した画像を利用して第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置(方向θ、距離D)を推定する場合の例である。
【0059】
図3において、基地局10は、基地局装置115のほか、信号処理部120及び撮像部130を備える。基地局装置115は、所定のプログラムを実行することにより、移動通信システムにおける上りリンク及び下りリンクの通信のための処理のほか、次の(A1)~(A3)の手段としても機能する。
(A1)第1対象装置20(1)~20(4)のそれぞれについて、第1対象装置20の位置の推定結果に基づいて、第1対象装置20に向けてビーム10Bを形成し、ビームを介して第1対象装置に送電する手段
(A2)第2対象装置30の位置の推定結果に基づいて、第2対象装置30に向けてビームを形成し、ビームを介して第2対象装置30に送電する手段
(A3)上りリンクの通信を介して複数の第1対象装置20(1)~20(4)のそれぞれから、第1対象装置の位置を基準にした第2対象装置30の方向の角度情報(θ)及び第2対象装置30の距離情報(D)の算出結果を受信する手段
【0060】
信号処理部120は、所定のプログラムを実行することにより、次の(B1)~(B5)の手段としても機能する。
(B1)撮像部130で撮像した画像の画像解析により基地局10のアレーアンテナ110の位置を基準にした第1対象装置20の位置を推定する手段
(B2)複数の第1対象装置20(1)~20(3)のそれぞれについて、撮像部130で撮像した画像の画像解析により前記第1対象装置の位置を推定する手段
(B3)複数の第1対象装置20(1)~20(3)のそれぞれと第2対象装置30との間の近距離無線通信の結果に基づいて、第2対象装置30の位置を推定する手段
(B4)複数の第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置の推定結果と、第2対象装置30の位置の推定結果とに基づいて、基地局10のアレーアンテナ110の位置を基準にした第2対象装置30の位置を推定する手段
(B5)複数の第1対象装置20(1)~20(3)のそれぞれから受信した前記角度情報及び前記距離情報の算出結果と、複数の第1対象装置20(1)~20(3)のそれぞれの位置の推定結果とに基づいて、第2対象装置30の位置を推定する手段
【0061】
図3において、複数の第1対象装置20(1)~20(3)はそれぞれ、所定のプログラムを実行することにより次の(C1)の手段として機能する信号処理部を備える。
(C1)近距離無線通信の結果に基づいて、前記第1対象装置の位置を基準にした第2対象装置30の方向の角度情報θ及び第2対象装置30の距離情報(D)を算出する手段。
【0062】
図3における第1対象装置20の測位時には、基地局10に設けられた撮像部130のカメラ131により、第1対象装置20(1)~20(3)のそれぞれを含む一又は複数の画像を撮像される。信号処理部120は、撮像部130で撮像された画像を画像解析により、基地局10のアレーアンテナ110の位置を基準にした第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置(方向θulと距離D)を算出して推定することができる。
【0063】
例えば、信号処理部120は、撮像部130のカメラ131で撮影した画像900(
図4参照)から第1対象装置20(1)~20(3)の物体検出を行い、画像900上で検出された第1対象装置20(1)~20(3)に対応する対象装置画像901(1)~901(3)の大きさ及び位置から、第1対象装置20(1)~20(3)それぞれのカメラ131からの距離及び方向(基準方向に対する角度)を算出する。例えば、画像900上での対象装置画像901(1)~901(3)の大きさから第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの距離を推定できる。また、画像900上での対象装置画像901(1)~901(3)の位置から第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの方向を推定できる。
【0064】
信号処理120は、上記物体検出並びに第1対象装置20(1)~20(3)の距離及び方向の算出に、基準画像を用いてもよい。基準画像は、例えば、カメラ131から基準距離(例えば、1m、5m又は10m)だけ離れて位置する場合の第1対象装置20(1)~20(3)を撮像部130のカメラ131で撮影した画像である。信号処理120は、基準画像と、撮像部130のカメラ131で実際に撮影した第1対象装置20(1)~20(3)を撮影した画像900上の対象装置画像901(1)~901(3)(
図4参照)とに基づいて、第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置(方向θulと距離D)を算出して推定することができる。
【0065】
また、信号処理120は、上記物体検出並びに第1対象装置20(1)~20(3)の距離及び方向の算出に、撮像部130のカメラ131で撮像する基準方位(例えば、
図4の画像900の中心部及び4つの角部の方位)の情報を用いてもよい。
【0066】
第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの方向θulの情報は、例えば、基地局10のアレーアンテナ110の中心を通る水平面を基準にした当該方向θulの仰俯角の角度と、当該中心を通る垂直面を基準にした方位角の角度との組み合わせた情報であってもよい。
【0067】
第1対象装置20(1)~20(3)の位置(方向θul及び距離D)の算出は、基地局10の信号処理部120で行われて記憶され、WPTビーム10Bのチルト角(θWPT)の決定に用いられる。第1対象装置20(1)~20(3)の位置(方向θulと距離D)の情報は、移動通信網を介してクラウドサービスシステム40にアップロードしてもよい。
【0068】
なお、第1対象装置20(1)~20(3)の位置(方向θulと距離D)の算出は、クラウドサービスシステム40で行い、その算出結果を基地局10がダウンロードしてWPTビーム10Bのチルト角(θWPT)の決定に用いるようにしてもよい。
【0069】
また、
図3における第2対象装置30の測位時には、第2対象装置30から送信された所定周波数の電波が、LOS環境の経路23P(1)~23P(3)を介して、複数の第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの複数の第2アンテナ220で受信される。その電波の受信結果に基づいて、複数の第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの複数の第2アンテナ220で受信された電波の位相差Δφを算出し、算出した位相差Δφと複数のアンテナ素子間の位置関係の情報に基づいて、複数の第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置を基準にした第2対象装置30の位置(方向θul2と距離D)を算出して推定することができる。前記位相差Δφの算出や第2対象装置30の位置(方向θul2と距離D)の算出は、各第1対象装置20(1)~20(3)で行い、その算出結果を基地局10に送信して記憶され、WPTビーム10Bのチルト角(θ
WPT)の決定に用いられる。第2対象装置30の位置(方向θul2と距離D)の情報は、移動通信網を介してクラウドサービスシステム40にアップロードしてもよい。
【0070】
なお、前記位相差Δφの算出や第2対象装置30の位置(方向θul2と距離D)の算出は、クラウドサービスシステム40で行い、その算出結果を基地局10がダウンロードしてWPTビーム10Bのチルト角(θWPT)の決定に用いるようにしてもよい。
【0071】
図5は、本実施形態に係るシステムにおける第1対象装置20(1)~20(3)及び第2対象装置30の位置推定手法の概要の他の例を示す説明図である。なお、
図5において、前述の
図3と共通する部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0072】
図5の例は、基地局10に設けられた撮像部130の2台のカメラ131,132で撮像した画像を利用して第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置(方向θ、距離D)を推定する場合の例である。複数のカメラ131、132は、互いに所定距離だけ離して配置されている。
【0073】
図5の構成例において、撮像部130は、例えば互いに所定距離だけ離して配置された複数のカメラ(例えば、2台のカメラ)を有し、複数のカメラで撮像した画像を利用して第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置(方向θ、距離D)を推定してもよい。例えば、撮像部130が2台のカメラを有する場合、第1のカメラで撮像した画像における第1対象装置20(1)のアンテナ210の画像内の相対位置と、第2のカメラで撮像した画像における第1対象装置20(1)のアンテナ210の画像内の相対位置との間の位置ズレの方向と大きさ(例えば視差)を計算し、その位置ズレの方向と大きさに基づいて、第1対象装置20(1)の位置(方向θulと距離D)を計算してもよい。
例えば、
図3において、カメラ131で撮像した画像における第1対象装置20(1)のアンテナ210の画像内の相対位置と、カメラ132で撮像した画像における第1対象装置20(1)のアンテナ210の画像内の相対位置との間の位置ズレの方向と大きさを計算し、その位置ズレの方向と大きさに基づいて、第1対象装置20(1)の位置(方向θulと距離D)を計算してもよい。
【0074】
図6は、本実施形態に係るシステムにおける複数の第1対象装置20(1)~20(3)を介した第2対象装置30の位置推定の一例を示す説明図である。
図6において、前述の位置推定などによって第1対象装置20(1)~20(3)の位置は既知である。第1対象装置20(1)~20(3)はそれぞれ、第2対象装置30から受信した所定信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)又は第2対象装置30に送信して第2対象装置30が受信した所定信号の受信信号強度(RSSI)に基づいて、各第1対象装置20(1)~20(3)と第2対象装置30との距離Ds1~Ds3を計算して算出することができる。更に、所定の座標系において、各第1対象装置20(1)~20(3)を中心として距離Ds1~Ds3を半径とした仮想円20C(1)~20C(3)の交点の座標を、第2対象装置30の位置として一意に算出して推定することができる。
【0075】
図7は、本実施形態に係るシステムにおける複数の第1対象装置20(1)~20(3)を介した第2対象装置30の位置推定の他の例を示す説明図である。
図7の例は、電波の受信角度(AoA)検知のみを利用した角測型の位置推定手法の例である。
図7において、複数の第1対象装置20(1),20(2)はそれぞれ、第2対象装置30から送信された電波を受信し、その受信結果と、各第1対象装置20(1),20(2)の高さ(h1,h2)とに基づいて、各第1対象装置20(1),20(2)から見た第2対象装置30の方向の角度(φ1,θ1,φ2,θ2)を算出することができる。この角度(φ1,θ1,φ2,θ2)の算出結果に基づいて、第2対象装置30の位置座標を算出して推定することができる。
【0076】
なお、
図7の例では、2つの第1対象装置20(1),20(2)の受信結果を用いているが、3又は4以上の第1対象装置20の受信結果を用いてもよい。
【0077】
また、
図6における第1対象装置20(1)~20(3)と第2対象装置30との距離Ds1~Ds3は、第1対象装置20(1)~20(3)と第2対象装置30との間で測定したToA(Time of Arrival)方式などの他の方式の測定結果に基づいて算出してもよい。装置間のToA方式の測定には、例えば、UWB(超広帯域)無線の電波を用いてもよい。例えば、ToA方式では、予め装置間の時間同期を行い、第2対象装置30から送信された無線信号パルスが第1対象装置20(1)~20(3)のそれぞれに受信されたときの伝搬時間を測定し、測定した伝搬時間と光速とをかけることにより、第1対象装置20(1)~20(3)それぞれと第2対象装置30との距離を算出することができる。
【0078】
以上、本実施形態によれば、通信網に接続された基地局10のアレーアンテナ110から見通し内環境に位置している固定センサ装置等の第1対象装置20(1)~20(3)を撮像し、その撮像画像の画像解析により、基地局10のアレーアンテナ110の位置を基準にした第1対象装置20(1)~20(3)の位置を精度よく推定することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、前記撮像画像の画像解析によって位置が推定された固定配置のセンサ装置等の複数の第1対象装置20(1)~20(3)と、移動センサ装置等の第2対象装置30との間の近距離無線通信の結果に基づいて第2対象装置30の位置を推定し、複数の第1対象装置20(1)~20(3)それぞれの位置の推定結果と、第2対象装置30の位置の推定結果とに基づいて、基地局10のアレーアンテナ110の位置を基準にした第2対象装置30の位置を推定することができる。このように複数の第1対象装置20(1)~20(3)と基地局10とが連携することにより、移動装置等の第2対象装置30の位置を精度よく推定することができる。
【0080】
更に、本実施形態によれば、前記撮像画像の画像解析によって位置を推定した固定センサ装置等の第1対象装置20(1)~20(3)、複数の第1対象装置20(1)~20(3)と基地局10とが連携することによって位置を推定した移動センサ装置等の第2対象装置30、又は、その両方の装置に向けて、基地局10のアレーアンテナ110から無線電力伝送用のビーム10Bを形成することにより、第1対象装置20(1)~20(3)、第2対象装置30又はその両方の装置に対して電力を効率よく給電することができる。
【0081】
本発明は、無線電力伝送などの対象装置の位置を精度よく推定することができるシステムを提供できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0082】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線送電装置、基地局、中継装置、対象装置、通信システム及び無線電力伝送システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0083】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、基地局装置(Node B、Node G)、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0084】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0085】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0086】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0087】
10 :基地局
10A :通信エリア(WPTエリア)
10B :ビーム
20 :第1対象装置
20(1):第1対象装置(ゲートウェイ)
20(2):第1対象装置(固定センサ装置)
20(3):第1対象装置(固定センサ装置)
30 :第2対象装置(移動センサ装置)
40 :クラウドコンピュータシステム
50 :ユーザ
100 :基地局装置
110 :アンテナ装置(アレーアンテナ)
111 :アンテナ素子
130 :撮像部
131 :カメラ
132 :カメラ
900 :カメラで撮像した画像
901(1)~901(3) :対象装置画像
【要約】
【課題】無線電力伝送などの対象装置の位置を精度よく推定することができる方法及びを提供する。
【解決手段】本方法では、基地局のアンテナ装置から見通し内環境に位置している一又は複数の第1対象装置を含む画像を撮像し、撮像した画像の画像解析により基地局のアンテナ装置の位置を基準にした第1対象装置の位置を推定する。複数の第1対象装置のそれぞれと近距離無線通信機能を有する第2対象装置との間の近距離無線通信の結果に基づいて推定した第2対象装置の位置の推定結果と、第2対象装置の位置の推定結果とに基づいて、基地局のアンテナ装置の位置を基準にした第2対象装置の位置を推定してもよい。第1対象装置の位置の推定結果に基づいて第1対象装置に向けて形成したビームを介して第1対象装置に送電してもよいし、第2対象装置の位置の推定結果に基づいて第2対象装置に向けて形成したビームを介して第2対象装置に送電してもよい。
【選択図】
図2