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  • 特許-光半導体素子封止用シートおよび表示体 図1
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  • 特許-光半導体素子封止用シートおよび表示体 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】光半導体素子封止用シートおよび表示体
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20241016BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20241016BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241016BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241016BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241016BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/56
G09F9/30 309
G09F9/33
G09F9/30 349B
H01L23/30 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023134123
(22)【出願日】2023-08-21
(62)【分割の表示】P 2022162205の分割
【原出願日】2022-10-07
(65)【公開番号】P2023160847
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022049418
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】浅井 量子
(72)【発明者】
【氏名】仲野 武史
(72)【発明者】
【氏名】福富 秀平
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊平
(72)【発明者】
【氏名】植野 大樹
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-160242(JP,A)
【文献】特開2010-123802(JP,A)
【文献】国際公開第2021/200732(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221783(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/119161(WO,A1)
【文献】特開2017-132995(JP,A)
【文献】特開2021-134321(JP,A)
【文献】特開2020-169262(JP,A)
【文献】特開2020-050709(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121488(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0144722(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110183979(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/54
H01L 33/56
G09F 9/30
G09F 9/30 - 9/33
H01L 23/28 - 28/31
H01S 5/00 - 5/50
G02F 1/13357
C09J 7/00 - 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するためのシートであって、
前記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、
前記非着色層は、粘着性および/または接着性を有し、
前記着色層および前記非着色層は、前記光半導体素子と接する側から前記着色層、前記非着色層、の順に積層され、
前記非着色層の硬さAおよび前記着色層の硬さBはA>Bを満たし、
前記硬さは、弾性率である、光半導体素子封止用シート。
【請求項2】
基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するためのシートであって、
前記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、
前記非着色層は、粘着性および/または接着性を有し、
前記着色層および前記非着色層は、前記光半導体素子と接する側から前記着色層、前記非着色層、の順に積層され、
前記非着色層の硬さAおよび前記着色層の硬さBはA>Bを満たし、
前記硬さは、ヤング率である、光半導体素子封止用シート。
【請求項3】
基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するためのシートであって、
前記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、
前記非着色層は、粘着性および/または接着性を有し、
前記着色層および前記非着色層は、前記光半導体素子と接する側から前記着色層、前記非着色層、の順に積層され、
前記非着色層の硬さAおよび前記着色層の硬さBはA>Bを満たし、
前記硬さは、ナノインデンテーション法により測定される硬さである、光半導体素子封止用シート。
【請求項4】
前記封止用樹脂層は、前記着色層の前記非着色層とは反対側に、硬さCを有する非着色層をさらに備え、
前記着色層の硬さBと前記非着色層の硬さCはC>Bを満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の光半導体素子封止用シート。
【請求項5】
前記封止用樹脂層は拡散機能層を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の光半導体素子封止用シート。
【請求項6】
基板と、前記基板上に配置された光半導体素子と、前記光半導体素子を封止する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光半導体素子封止用シートまたはその硬化物と、を備える表示体。
【請求項7】
自発光型表示装置を備える請求項6に記載の表示体。
【請求項8】
画像表示装置である請求項6に記載の表示体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体素子封止用シートに関する。より詳細には、本発明は、ミニ/マイクロLED等の自発光型表示装置の光半導体素子の封止に適するシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代型の表示装置として、ミニ/マイクロLED表示装置(Mini/Micro Light Emitting Diode Display)に代表される自発光型表示装置が考案されている。ミニ/マイクロLED表示装置は、基本構成として、多数の微小な光半導体素子(LEDチップ)が高密度に配列された基板が表示パネルとして使用され、当該光半導体素子は封止材で封止され、最表層に樹脂フィルムやガラス板などのカバー部材が積層されるものである。
【0003】
ミニ/マイクロLED表示装置等の自発光型表示装置を備える表示体では、表示パネルの基板上に金属やITOなどの金属酸化物の配線(金属配線)が配置されている。このような表示装置は、例えば消灯時において上記金属配線等により光が反射し画面の見栄えが悪く意匠性に劣るという問題があった。このため、光半導体素子を封止する封止材として、金属配線による反射を防止するための反射防止層を用いる技術が採用されている。
【0004】
特許文献1には、着色粘着剤層と無色粘着剤層との積層体であり、無色粘着剤層が光半導体素子と接触するように位置している粘着シートが開示されている。上記粘着シートによれば、基板と当該基板に設置された光半導体素子とで形成される凹凸形状に接触させて追従させた場合、表示体の消灯時に意匠性を向上させることができ、また輝度ムラを抑制することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-169262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、着色粘着剤層を備える粘着シートは、光半導体素子を封止した際に金属配線による反射を防止したり、輝度ムラを抑制する効果が期待されるものの、光半導体素子が発する光の透過性が低下し、その結果、表示体の正面輝度が低下するという問題があった。正面輝度が低下すると、輝度を上げるために消費電力が増加する。このため、反射防止性に優れ、輝度が高い表示体が求められている。
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、光半導体素子を封止することにより、反射防止性に優れ、輝度が高い表示体を作製可能な光半導体素子封止用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、上記非着色層の硬さが上記着色層の硬さよりも硬い光半導体素子封止用シートによれば、基板上に設置された光半導体素子を封止した際に、反射防止性に優れ、輝度が高い表示体が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するためのシートであって、上記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、上記非着色層の硬さAおよび上記着色層の硬さBはA>Bを満たす、光半導体素子封止用シートを提供する。
【0010】
上記光半導体素子封止用シートを、上記非着色層よりも上記着色層側を光半導体素子側として光半導体素子を封止した際、光半導体素子側から、上記着色層、上記非着色層の順に積層されることとなる。この際、表示体の正面側となる上記非着色層の硬さAは、光半導体素子側となる上記着色層の硬さBよりも硬い。これにより、光半導体素子の封止状態において、光半導体素子の正面に位置する上記着色層は、光半導体素子および非着色層に挟持されて圧縮され、光半導体素子が発する光を正面側に効率的に透過させることができる。一方で、光半導体素子が配置していない基板上に位置する上記着色層は、光半導体素子の正面に位置する上記着色層よりも圧縮される程度は小さいため、基板上の金属配線の反射を充分に抑制することができる。このため、上記光半導体素子封止用シートにより光半導体素子を封止した表示体は、反射防止性に優れ、輝度が高い。
【0011】
上記硬さは、残存応力、弾性率、ヤング率、およびナノインデンテーション法により測定される硬さからなる群より選択される1以上であってもよい。
【0012】
上記硬さは残存応力であり、上記着色層の残存応力B1に対する上記非着色層の残存応力A1の比[残存応力A1/残存応力B1]は1.2以上であってもよい。上記比が1.2以上であることにより、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する上記着色層がより圧縮され、輝度がより高くなる。
【0013】
上記封止用樹脂層は、上記着色層の上記非着色層とは反対側に、硬さCを有する非着色層をさらに備えることが好ましい。また、上記非着色層の硬さCおよび上記着色層の硬さBはC>Bを満たすことが好ましい。このような構成を有すると、光半導体素子の正面に位置し、2つの非着色層の間に位置する着色層は、光半導体素子の封止時において両非着色層により挟持されて充分に圧縮され、輝度がより高くなる。
【0014】
上記封止用樹脂層は拡散機能層を含むことが好ましい。このような構成を有することで、光半導体素子が発する光を上記拡散機能層中で拡散させ、正面輝度をより高くすることができる。
【0015】
また、本発明は、基板と、上記基板上に配置された光半導体素子と、上記光半導体素子を封止する上記光半導体素子封止用シートまたはその硬化物と、を備える表示体を提供する。このような光表示体は、反射防止性に優れ、輝度が高い。
【0016】
上記表示体は自発光型表示装置を備えることが好ましい。
【0017】
上記表示体は画像表示装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光半導体素子封止用シートによれば、光半導体素子を封止することにより、反射防止性に優れ、輝度が高い表示体を提供することができる。このため、上記表示体は消費電力を高くしなくても明るく見栄えが良く、消灯時において意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る光半導体素子封止用シートの断面図である。
図2図1に示す光半導体素子封止用シートを用いた表示体の一実施形態を示す部分断面図である。
図3図1に示す光半導体素子封止用シートを用いた表示体の他の一実施形態を示す部分断面図である。
図4図1に示す光半導体素子封止用シートを用いた表示体のさらに他の一実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[光半導体素子封止用シート]
本発明の光半導体素子封止用シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を少なくとも備える。なお、本明細書において、光半導体素子封止用シートとは、基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止用樹脂層により封止するためのシートをいうものとする。また、本明細書において、「光半導体素子を封止する」とは、光半導体素子の少なくとも一部を封止用樹脂層内に埋め込むこと、または、上記封止用樹脂層により追従し被覆することをいう。上記封止用樹脂層は、光半導体素子の少なくとも一部を埋め込む、または、上記封止用樹脂層により追従し被覆することが可能な柔軟性を有する。
【0021】
<封止用樹脂層>
上記封止用樹脂層において、上記非着色層の硬さをA、上記着色層の硬さをBとしたとき、A>Bを満たす。すなわち、上記封止用樹脂層は、A>Bを満たす硬さAの非着色層および硬さBの着色層を少なくとも備える。硬さAの非着色層を「非着色層A」、硬さBの着色層を「着色層B」と称する場合がある。上記封止樹脂層は、非着色層Aおよび着色層B以外の層を有していてもよい。また、上記封止樹脂層を構成する層の総数は、非着色層Aおよび非着色層Bを含む2以上であり、3以上であってもよい。上記層の総数は、光半導体素子封止用シートおよび光半導体装置の厚さを薄くする観点から、例えば10以下であり、5以下または4以下であってもよい。
【0022】
上記封止用樹脂層を構成する各層(着色層および非着色層)は、それぞれ、上記封止用樹脂層内において単層であってもよいし、同一または異なる組成を有する複層であってもよい。着色層や非着色層が複層含まれる場合、上記複層は接触して積層していてもよいし、隔離して積層(例えば2つの着色層が1つの非着色層を介して積層)していてもよい。上記封止用樹脂層が着色層および非着色層の1以上を複層備える場合、少なくとも1つの着色層は着色層Bであり、少なくとも1つの非着色層は非着色層Aである。また、上記封止用樹脂層に含まれる非着色層は、それぞれ独立して、後述の拡散機能層であってもよく、非拡散機能層であってもよい。
【0023】
上記光半導体素子封止用シートを、非着色層Aよりも着色層B側を光半導体素子側として光半導体素子を封止した際、光半導体素子側から、着色層B、非着色層Aの順に積層されることとなる。この際、表示体の正面側となる非着色層Aの硬さAは、光半導体素子側となる着色層Bの硬さBよりも硬い。これにより、光半導体素子の封止状態において、光半導体素子の正面に位置する着色層Bは、光半導体素子および非着色層Aに挟持されて圧縮され、光半導体素子が発する光を正面側に効率的に透過させることができる。一方で、光半導体素子が配置していない基板上に位置する着色層Bは、光半導体素子の正面に位置する着色層Bよりも圧縮される程度は小さいため、基板上の金属配線の反射を充分に抑制することができる。このため、上記光半導体素子封止用シートにより光半導体素子を封止した表示体は、反射防止性に優れ、輝度が高い。
【0024】
上記着色層および上記非着色層の硬さとしては、残存応力、弾性率、ヤング率などが挙げられる。上記硬さは、ナノインデンテーション法により測定される硬さであってもよい。上記ナノインデンテーション法では、例えば、上記着色層および上記非着色層の表面や、断面における上記着色層および上記非着色層の露出面について測定を行うことができる。上記ナノインデンテーション法による硬さは、圧子を対象表面に押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さとを、負荷時および除荷時に渡り連続的に測定し、得られた負荷荷重-押し込み深さ曲線から求められる。上記硬さとしては、中でも、層の粘性による測定結果の硬さへの影響を抑える観点から、残存応力が好ましい。なお、上記硬さは、公知乃至慣用の方法により調整することができる。具体的には、例えば、各層を構成する樹脂を作製する際の硬化剤や架橋剤、多官能性モノマー等の架橋性を有する化合物、あるいは重合開始剤の量などを調整することで層の硬さを制御することができる。
【0025】
非着色層Aの残存応力(「残存応力A1」と称する場合がある)と、着色層Bの残存応力(「残存応力B1」と称する場合がある)との差[残存応力A1-残存応力B1]は、特に限定されないが、1.0N/cm2以上が好ましく、より好ましくは3.0N/cm2以上、さらに好ましくは5.0N/cm2以上である。上記差が1.0N/cm2以上であると、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する着色層Bがより圧縮され、輝度がより高くなる。上記差は、封止用樹脂層による光半導体素子の封止性に優れる観点から、例えば30.0N/cm2以下であり、20.0N/cm2以下であってもよい。
【0026】
残存応力B1に対する残存応力A1の比[残存応力A1/残存応力B1]は、特に限定されないが、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。上記比が1.2以上であると、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する着色層Bがより圧縮され、輝度がより高くなる。上記比は、封止用樹脂層による光半導体素子の封止性に優れる観点から、例えば10.0以下であり、5.0以下であってもよい。
【0027】
残存応力A1は、A>Bを満たす範囲内で、6.0N/cm2超が好ましく、より好ましくは7.0N/cm2以上、さらに好ましくは10.0N/cm2以上である。残存応力A1は、A>Bを満たす範囲内で、50.0N/cm2以下が好ましく、より好ましくは40.0N/cm2以下、さらに好ましくは30.0N/cm2以下である。
【0028】
残存応力B1は、A>Bを満たす範囲内で、0.5N/cm2以上が好ましく、より好ましくは1.0N/cm2以上、さらに好ましくは3.0N/cm2以上である。残存応力B1は、A>Bを満たす範囲内で、20.0N/cm2以下が好ましく、より好ましくは15.0N/cm2以下、さらに好ましくは10.0N/cm2以下である。
【0029】
本発明の光半導体素子封止用シートにおいて、上記封止用樹脂層は、光半導体素子を封止した際において、上記光半導体素子側から、着色層Bおよび非着色層Aをこの順に備える。上記封止用樹脂層は、着色層Bの非着色層Aとは反対側(すなわち、光半導体素子を封止した状態において着色層Bよりも光半導体素子側)にさらに非着色層を備えていてもよい。上記封止用樹脂層が、着色層Bの非着色層Aとは反対側にさらに備える、非着色層A以外の上記非着色層を「非着色層C」と称する場合がある。
【0030】
上記封止用樹脂層において、非着色層Cの硬さをCとしたとき、C>Bを満たすことが好ましい。このような構成を有すると、光半導体素子の正面に位置し、非着色層Aおよび非着色層Cの間に位置する着色層Bは、光半導体素子の封止時において非着色層Aおよび非着色層Cにより挟持されて充分に圧縮され、輝度がより高くなる。非着色層Cの硬さとしては、例えば、非着色層Aおよび着色層Bの硬さとして例示されたものが挙げられる。
【0031】
非着色層Cの残存応力(「残存応力C1」と称する場合がある)と残存応力B1との差[残存応力C1-残存応力B1]は、特に限定されないが、0.01N/cm2以上が好ましく、より好ましくは0.05N/cm2以上、さらに好ましくは0.1N/cm2以上であり、0.5N/cm2以上、1.0N/cm2以上、または2.0N/cm2以上であってもよい。上記差が0.01N/cm2以上であると、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する着色層Bがより圧縮され、輝度がより高くなる。上記差は、例えば20.0N/cm2以下であり、10.0N/cm2以下であってもよい。
【0032】
残存応力B1に対する残存応力C1の比[残存応力C1/残存応力B1]は、特に限定されないが、0.05以上が好ましく、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.5以上であり、1.1以上、1.2以上、または1.3以上であってもよい。上記比が0.05以上であると、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する着色層Bがより圧縮され、輝度がより高くなる。上記比は、例えば10.0以下であり、5.0以下であってもよい。
【0033】
残存応力C1は、3.0N/cm2以上が好ましく、より好ましくは4.0N/cm2以上、さらに好ましくは7.0N/cm2以上である。残存応力C1は、50.0N/cm2以下が好ましく、より好ましくは40.0N/cm2以下、さらに好ましくは30.0N/cm2以下である。
【0034】
上記封止用樹脂層において、A>Cを満たすことが好ましい。このような構成を有すると、光半導体素子上の、非着色層Aおよび非着色層Cの間に位置する着色層Bは、光半導体素子の封止時において非着色層Aにより充分に圧縮され、輝度がより高くなる。
【0035】
残存応力A1と残存応力C1との差[残存応力A1-残存応力C1]は、特に限定されないが、0.5N/cm2以上が好ましく、より好ましくは1.0N/cm2以上、さらに好ましくは2.0N/cm2以上である。上記差が0.5N/cm2以上であると、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する着色層Bがより圧縮され、輝度がより高くなる。上記差は、例えば30.0N/cm2以下であり、20.0N/cm2以下であってもよい。
【0036】
残存応力C1に対する残存応力A1の比[残存応力A1/残存応力C1]は、特に限定されないが、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上である。上記比が1.1以上であると、光半導体素子の封止時において光半導体素子の正面に位置する着色層Bがより圧縮され、輝度がより高くなる。上記比は、例えば10.0以下であり、5.0以下であってもよい。
【0037】
上記封止用樹脂層は拡散機能層を含むことが好ましい。このような構成を有することで、光半導体素子が発する光を上記拡散機能層中で拡散させ、正面輝度をより高くすることができる。上記拡散機能層は本明細書における非着色層に該当する層であることが好ましい。中でも、非着色層Aおよび/または非着色層Cが拡散機能層であることが好ましく、非着色層Cが拡散機能層であることが好ましい。
【0038】
上記封止用樹脂層が上記拡散機能層を備える場合、上記封止用樹脂層は、上記光半導体素子側から、上記拡散機能層、上記着色層、および上記非着色層をこの順に備えることが好ましい。上記非着色層は、拡散機能層および非拡散機能層のいずれであってもよい。このような構成を有することで、正面輝度をより高くしつつ、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えをより向上させることができる。
【0039】
上記封止用樹脂層において、非着色層Aは、光半導体素子を封止する側とは反対側の面が平面(フラット)となっていることが好ましい。この場合、光半導体素子を封止した状態において上記封止用樹脂層表面で外光の乱反射を起こりにくくし、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えが向上する。
【0040】
上記封止用樹脂層を構成する各層(上記着色層および上記非着色層)は、それぞれ独立して、粘着性および/または接着性を有していてもよく、有していなくてもよい。中でも、粘着性および/または接着性を有することが好ましい。このような構成を有することにより、上記封止用樹脂層は光半導体素子を容易に封止することができ、また、各層間の密着性および/または接着性に優れ、光半導体素子の封止性により優れる。特に、少なくとも光半導体素子に接触する層は粘着性および/または接着性を有することが好ましい。このような構成を有することにより、封止用樹脂層による光半導体素子の追従性および埋め込み性に優れる。その結果、光半導体素子による段差が高い場合であっても意匠性に優れる。なお、光半導体素子に接触する層以外の層は粘着性および/または接着性を有しなくてもよい。この場合、タイリング状態において隣接する封止用樹脂層同士の密着性が低く、隣接した小サイズの積層体(基板上に配置された光半導体素子を封止用樹脂層が封止した積層体)同士を引き離す際、シートの欠損や隣接する封止用樹脂層の付着が起こりにくい。
【0041】
上記封止用樹脂層を構成する各層(上記着色層および上記非着色層)は、それぞれ独立して、放射線照射により硬化する性質を有する樹脂層(放射線硬化性樹脂層)であってもよく、放射線照射により硬化する性質を有しない樹脂層(放射線非硬化性樹脂層)であってもよい。上記放射線としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、またはX線などが挙げられる。
【0042】
(着色層)
上記封止用樹脂層における着色層は、表示体において基板上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することを目的とする層である。上記着色層は着色剤を少なくとも含む。上記着色層は、樹脂で構成される樹脂層であることが好ましい。上記着色剤は、上記着色層に溶解または分散可能なものであれば、染料でも顔料でもよい。少量の添加でも低いヘイズが達成でき、顔料のように沈降性がなく均一に分布させやすいことから、染料が好ましい。また、少量の添加でも色発現性が高いことから、顔料も好ましい。着色剤として顔料を使用する場合は、導電性が低いか、ないものが好ましい。上記着色剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0043】
上記着色剤としては、黒系着色剤が好ましい。上記黒系着色剤としては、公知乃至慣用の黒色を呈するための着色剤(顔料、染料等)を用いることができ、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤、窒化ジルコニウムなどが挙げられる。また、黒色以外の色を呈する着色剤を組み合わせて配合して黒系着色剤として機能する着色剤を用いてもよい。
【0044】
上記着色層が放射線硬化性樹脂層である場合、上記着色剤は、可視光を吸収し、かつ上記放射線硬化性樹脂層が硬化し得る波長の光の透過性を有するものが好ましい。
【0045】
上記着色層における着色剤の含有割合は、適切な反射防止能を表示体に付与する観点からは、着色層の総量100質量%に対して、0.2質量%以上が好ましく、より好ましくは0.4質量%以上である。また、上記着色剤の含有割合は、例えば10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。上記含有割合は、着色剤の種類や、表示体の色調および光透過率等に応じて適宜設定すればよい。着色剤は、適宜の溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として、組成物に添加してもよい。
【0046】
上記着色層のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、正面輝度および表示体の視認性を確保する観点から、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。また、上記着色層のヘイズ値は、表示体の輝度ムラを効率的に低減する観点から、1%以上が好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは8%以上であり、10%以上であってもよい。
【0047】
上記着色層の全光線透過率は、特に限定されないが、表示体における金属配線などの反射防止機能、コントラストをより向上させるという観点から、80%以下が好ましく、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。また、上記着色層の全光線透過率は、表示体の輝度を確保するという観点から、0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上であり、2.5%以上、または3%以上であってもよい。
【0048】
上記着色層のヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、種類や厚さ、着色剤の種類や配合量などにより制御することができる。
【0049】
(非着色層)
上記非着色層は、上記着色層とは異なる層であり、表示体において基板上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することを目的としない層である。上記非着色層は、無色層であってもよく、わずかに着色していてもよい。また、上記非着色層は、例えば光を拡散する機能を発揮することを目的とする拡散機能層であってもよく、光を拡散する機能を発揮することを目的としない非拡散機能層であってもよい。上記非着色層は、透明であってもよく、非透明であってもよい。上記非着色層は樹脂で構成される樹脂層であることが好ましい。
【0050】
上記非着色層における着色剤の含有割合は、非着色層の総量100質量%に対して、0.2質量%未満が好ましく、より好ましくは0.1質量%未満、さらに好ましくは0.05質量%未満であり、0.01質量%未満または0.005質量%未満であってもよい。
【0051】
上記非着色層の全光線透過率は、特に限定されないが、輝度を確保するという観点から、40%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、上記非着色層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、または99%以下であってもよい。
【0052】
上記非着色層の全光線透過率は、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、非着色層の種類や厚さなどにより制御することができる。
【0053】
上記拡散機能層は、光を拡散することを目的とする層である。上記封止用樹脂層が上記拡散機能層を有すると、光半導体素子から発せられる光が拡散機能層中で拡散し、例えば光半導体素子の側面から発せられる光が表示体の正面方向に放出され、表示体の正面輝度が向上する。上記拡散機能層は樹脂で構成される樹脂層であることが好ましい。上記拡散機能層は、限定されないが、光拡散性微粒子を含むことが好ましい。すなわち、上記拡散機能層は、樹脂層中に分散した光拡散性微粒子を含むことが好ましい。上記光拡散性微粒子は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0054】
上記光拡散性微粒子は、拡散機能層を構成する樹脂との適切な屈折率差を有し、拡散機能層に拡散性能を付与するものである。光拡散性微粒子としては、無機微粒子、高分子微粒子などが挙げられる。無機微粒子の材質としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、金属酸化物などが挙げられる。高分子微粒子の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート樹脂を含む)、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0055】
上記高分子微粒子としては、シリコーン樹脂で構成される微粒子が好ましい。また、上記無機微粒子としては、金属酸化物で構成される微粒子が好ましい。上記金属酸化物としては、酸化チタン、チタン酸バリウムが好ましく、より好ましくは酸化チタンである。このような構成を有することにより、上記拡散機能層の光拡散性により優れ、輝度ムラがより抑制される。
【0056】
上記光拡散性微粒子の形状は、特に限定されず、例えば、真球状、扁平状、不定形状であってもよい。
【0057】
上記光拡散性微粒子の平均粒子径は、適切な光拡散性能を付与する観点からは、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.15μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.25μm以上である。また、上記光拡散性微粒子の平均粒子径は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、12μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。平均粒子径は、例えば、コールターカウンターを用いて測定することができる。
【0058】
上記光拡散性微粒子の屈折率は、1.2~5が好ましく、より好ましくは1.25~4.5、さらに好ましくは1.3~4、特に好ましくは1.35~3である。
【0059】
上記光拡散性微粒子と拡散機能層を構成する樹脂(拡散機能層において光拡散性微粒子を除いた樹脂層)との屈折率差の絶対値は、表示体の輝度ムラをより効率的に低減する観点から、0.001以上が好ましく、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.02以上、特に好ましくは0.03以上であり、0.04以上、または0.05以上であってもよい。また、光拡散性微粒子と樹脂との屈折率差の絶対値は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。
【0060】
上記拡散機能層中の上記光拡散性微粒子の含有量は、適切な光拡散性能を光半導体素子封止用シートに付与する観点からは、拡散機能層を構成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは0.15質量部以上である。また、光拡散性微粒子の含有量は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、拡散機能層を構成する樹脂100質量部に対して、80質量部以下が好ましく、より好ましくは70質量部以下である。
【0061】
上記拡散機能層のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、輝度ムラを効率的に低減する観点から、30%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上であり、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上であってもよく、さらに99.9%付近のものが輝度ムラ改善効果により優れて好ましい。なお、上記拡散機能層のヘイズ値の上限は、特に限定されず、すなわち、100%であってもよい。
【0062】
上記拡散機能層の全光線透過率は、特に限定されないが、輝度を確保するという観点から、40%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、上記拡散機能層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、または99%以下であってもよい。
【0063】
上記拡散機能層のヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、拡散機能層の種類や厚さ、光拡散性微粒子の種類や配合量などにより制御することができる。
【0064】
上記非拡散機能層のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、表示体の輝度を優れたものとする観点から、30%未満が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下であり、0.5%以下であってもよい。なお、上記非拡散機能層のヘイズ値の下限は特に限定されない。
【0065】
上記非拡散機能層の全光線透過率は、特に限定されないが、表示体の輝度を確保するという観点から、60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。また、上記非拡散機能層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、または99%以下であってもよい。
【0066】
上記非拡散機能層のヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、非拡散機能層の種類や厚さなどにより制御することができる。
【0067】
上記非拡散機能層中の着色剤および/または光拡散性微粒子の含有量は、表示体の輝度を優れたものとする観点から、非拡散機能層を構成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部未満が好ましく、より好ましくは0.005質量部未満である。
【0068】
上記封止用樹脂層の積層構造としては、[着色層/拡散機能層]、[着色層/非拡散機能層]、[着色層/拡散機能層/非拡散機能層]、[着色層/非拡散機能層/拡散機能層]、[着色層/拡散機能層/拡散機能層]、[着色層/非拡散機能層/非拡散機能層]、[拡散機能層/着色層/非拡散機能層]、[非拡散機能層/着色層/拡散機能層]、[拡散機能層/着色層/拡散機能層]、[非拡散機能層/着色層/非拡散機能層]、[着色層/拡散機能層/着色層/非拡散機能層](以上、光半導体素子側から順)などが挙げられる。
【0069】
図1は、本発明の光半導体素子封止用シートの一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、光半導体素子封止用シート1は、基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するために使用することのできるものであり、基材部4と基材部4上に形成された封止用樹脂層2とを備える。基材部4は、基材フィルム41および表面処理層である機能層42から構成されているが、機能層42を有さず基材フィルム41で構成されていてもよい。封止用樹脂層2は、拡散機能層21と、着色層22と、非着色層23との積層体から形成されている。着色層22は拡散機能層21に直接積層しており、非着色層23は着色層22に直接積層している。拡散機能層21にははく離ライナー3が貼付されており、非着色層23には基材部4が貼付されている。拡散機能層21は非着色層Cであり、着色層22は着色層Bであり、非着色層23は非着色層Aである。非着色層23の硬さは着色層22の硬さよりも硬い。非着色層23の硬さは拡散機能層21の硬さよりも硬い。拡散機能層21の硬さは着色層22の硬さよりも硬い。
【0070】
なお、図1には、封止用樹脂層が2層の非着色層および1層の着色層により構成される3層構成である例を掲載したが、封止用樹脂層を構成する層の総数は、非着色層Aおよび着色層Bを各1層含む2層以上であればよく、特に限定されない。
【0071】
(樹脂層)
上記着色層および上記非着色層が上記樹脂層である場合、上記樹脂層を構成する樹脂としては、公知乃至慣用の樹脂が挙げられ、例えば、アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、オキセタン系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリビニルエーテル等)、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィンなどが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記封止用樹脂層の各層を構成する樹脂は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0072】
上記樹脂層が粘着性を有する層(粘着層)である場合、上記樹脂として、公知乃至慣用の感圧型の粘着剤を用いることができる。上記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系、合成ゴム系、これらの混合系等)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。上記粘着剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0073】
上記アクリル系樹脂は、ポリマーの構成単位として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー成分)に由来する構成単位を含むポリマーである。上記アクリル系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0074】
上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を質量割合で最も多く含むポリマーであることが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」(「アクリル」および「メタクリル」のうち、いずれか一方または両方)を表し、他も同様である。
【0075】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0076】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
【0077】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、中でも、炭素数が1~20(好ましくは1~14、より好ましくは2~10)の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。上記炭素数が上記範囲内であると、上記アクリル系樹脂のガラス転移温度の調整が容易であり、樹脂層の粘着性をより適切なものとしやすい。
【0078】
上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル等の一環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル等の二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0079】
上記芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステルなどが挙げられる。
【0080】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、中でも、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、さらに脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことがより好ましい。この場合、樹脂層の粘着性のバランスが良く、光半導体素子の封止性により優れる。
【0081】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性や光半導体素子への密着性等の基本特性を上記樹脂層において適切に発現させるためには、上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分における上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。また、上記割合は、他のモノマー成分を共重合可能とし当該他のモノマー成分の効果を得る観点から、95質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下である。
【0082】
上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分における直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、30質量%以上が好ましく、より好ましくは40質量%以上である。また、上記割合は、90質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
【0083】
上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分における脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルの割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上である。また、上記割合は、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
【0084】
上記アクリル系樹脂は、後述の第1の官能基を導入する目的や、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。上記他のモノマー成分としては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、窒素原子含有モノマー等の極性基含有モノマーなどが挙げられる。上記他のモノマー成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0085】
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。上記酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0086】
上記ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0087】
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。
【0088】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0089】
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどが挙げられる。
【0090】
上記窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン等のモルホリノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマーなどが挙げられる。
【0091】
上記アクリル系樹脂を構成する上記極性基含有モノマーとしてヒドロキシ基含有モノマーを含むことが好ましい。ヒドロキシ基含有モノマーを用いることで、後述の第1の官能基の導入が容易である。また、アクリル系樹脂および上記樹脂層の耐水性に優れ、光半導体素子封止用シートは高湿度となる環境下で使用された場合であっても曇りにくく耐白化性に優れる。
【0092】
上記ヒドロキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルである。
【0093】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性や光半導体素子への密着性等の基本特性を上記樹脂層において適切に発現させるためには、上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分(100質量%)における、上記極性基含有モノマーの割合は、5~50質量%が好ましく、より好ましくは10~40質量%である。特に、上記樹脂層の耐水性にもより優れる観点から、ヒドロキシ基含有モノマーの割合が上記範囲内であることが好ましい。
【0094】
上記他のモノマー成分としては、さらに、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン等のビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルコキシ基置換炭化水素基含有(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、3-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等)のアクリル酸エステル系モノマー等を含んでいてもよい。
【0095】
上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分(100質量%)における、上記他のモノマー成分の割合は、例えば3~50質量%程度であり、5~40質量%または10~30質量%であってもよい。
【0096】
上記アクリル系樹脂は、そのポリマー骨格中に架橋構造を形成するために、アクリル系樹脂を構成するモノマー成分と共重合可能な多官能(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含んでいてもよい。上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記多官能性モノマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0097】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性や光半導体素子への密着性等の基本特性を上記樹脂層において適切に発現させるためには、上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分(100質量%)における上記多官能性モノマーの割合は、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。
【0098】
上記樹脂層が放射線硬化性樹脂層である場合、上記樹脂層としては、例えば、ベースポリマーと放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基を有する放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分とを含有する層、放射線重合性官能基を有するポリマー(特に、アクリル系樹脂)をベースポリマーして含む層などが挙げられる。
【0099】
上記放射線重合性官能基としては、エチレン性不飽和基等の炭素-炭素不飽和結合を含む基等の放射線ラジカル重合性基や、放射線カチオン重合性基などが挙げられる。上記炭素-炭素不飽和結合を含む基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。上記放射線カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、オキソラニル基などが挙げられる。中でも、炭素-炭素不飽和結合を含む基が好ましく、より好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基である。上記放射線重合性官能基は、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。上記放射線重合性官能基の位置は、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中、ポリマー主鎖末端のいずれであってもよい。
【0100】
上記放射線重合性官能基を有するポリマーは、例えば、反応性官能基(第1の官能基)を有するポリマーと、上記第1の官能基との間で反応を生じて結合を形成し得る官能基(第2の官能基)および上記放射線重合性官能基を有する化合物とを、上記放射線重合性官能基の放射線重合性を維持したまま反応させて結合させる方法により作製することができる。このため、上記放射線重合性官能基を有するポリマーは、上記第1の官能基を有するポリマーに由来する構造部と、上記第2の官能基および放射線重合性官能基を有する化合物に由来する構造部とを含むことが好ましい。
【0101】
上記第1の官能基と上記第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基などが挙げられる。これらの中でも、反応追跡の容易さの観点から、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせ、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが好ましい。上記組み合わせは、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。
【0102】
上記放射性重合性官能基およびイソシアネート基を有する化合物としては、メタクリロイルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートなどが挙げられる。上記化合物は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0103】
上記放射線重合性官能基を有するアクリル系樹脂中の、上記第2の官能基および放射線重合性官能基を有する化合物に由来する構造部の含有量は、放射線硬化性樹脂層の硬化をより進行させることができる観点から、上記第1の官能基を有するアクリル系樹脂に由来する構造部の総量100モルに対して、0.5モル以上が好ましく、より好ましくは1モル以上、さらに好ましくは3モル以上、さらに好ましくは10モル以上である。上記含有量は、例えば100モル以下である。
【0104】
上記放射線重合性官能基を有するアクリル系樹脂中の、上記第1の官能基に対する、上記第2の官能基のモル比[第2の官能基/第1の官能基]は、放射線硬化性樹脂層の硬化をより進行させることができる観点から、0.01以上が好ましく、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.4以上である。また、上記モル比は、放射線硬化性樹脂層中の低分子量物質をより低減させる観点から、1.0未満が好ましく、より好ましくは0.9以下である。
【0105】
上記アクリル系樹脂は、上述の各種モノマー成分を重合することにより得られる。この重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。また、得られるアクリル系樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれであってもよい。
【0106】
上記放射線重合性官能基を有するアクリル系樹脂は、例えば、第1の官能基を有するモノマー成分を含む原料モノマーを重合(共重合)させて第1の官能基を有するアクリル系樹脂を得た後、上記第2の官能基および放射線重合性官能基を有する化合物を、放射線重合性官能基の放射線重合性を維持したままアクリル系樹脂に対して縮合反応または付加反応させる方法により作製することができる。
【0107】
モノマー成分の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0108】
モノマー成分のラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0109】
モノマー成分の重合に用いられる重合開始剤としては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などが使用可能である。上記重合開始剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0110】
上記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。上記熱重合開始剤の使用量は、上記第1の官能基を有するアクリル系樹脂を構成する全モノマー成分の総量100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.005~1質量部、さらに好ましくは0.02~0.5質量部である。
【0111】
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤などが挙げられる。中でも、アセトフェノン系光重合開始剤が好ましい。
【0112】
上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、メトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0113】
上記光重合開始剤の使用量は、上記アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分の総量100質量部に対して、0.005~1質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01~0.7質量部、さらに好ましくは0.18~0.5質量部である。上記使用量が0.005質量部以上(特に、0.18質量部以上)であると、アクリル系樹脂の分子量を小さく制御しやすく、樹脂層の残存応力が高くなり段差吸収性がより良好となる傾向がある。
【0114】
上記第1の官能基を有するアクリル系樹脂と上記第2の官能基および放射線重合性官能基を有する化合物の反応は、例えば、溶剤中で、触媒の存在下撹拌して行うことができる。上記溶剤としては上述のものが挙げられる。上記触媒は、第1の官能基および第2の官能基の組み合わせに応じて適宜選択される。上記反応における反応温度は例えば5~100℃、反応時間は例えば1~36時間である。
【0115】
上記アクリル系樹脂は、架橋剤に由来する構造部を有していてもよい。例えば、上記アクリル系樹脂を架橋させ、上記樹脂層中の低分子量物質をより低減させることができる。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量を高めることができる。なお、上記アクリル系樹脂が放射線重合性官能基を有する場合、上記架橋剤は、放射線重合性官能基以外の官能基同士(例えば、第1の官能基同士、第2の官能基同士、または第1の官能基と第2の官能基)を架橋するものである。上記架橋剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0116】
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤、シリコーン系架橋剤、シラン系架橋剤などが挙げられる。上記架橋剤としては、中でも、光半導体素子に対する密着性に優れる観点、不純物イオンが少ない観点から、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。
【0117】
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物なども挙げられる。
【0118】
上記架橋剤に由来する構造部の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系樹脂の、上記架橋剤に由来する構造部を除く総量100質量部に対して、5質量部以下含有することが好ましく、より好ましくは0.001~5質量部、さらに好ましくは0.01~3質量部である。
【0119】
上記樹脂層は、上記各層において本発明の効果を損なわない範囲で、上述の各成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、硬化剤、架橋促進剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール等)、オリゴマー、老化防止剤、充填剤(金属粉、有機充填剤、無機充填剤等)、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、粒状物、箔状物などが挙げられる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0120】
<基材部>
本発明の光半導体素子封止用シートにおいて、上記封止用樹脂層は、基材部の少なくとも一方の面に備えられていてもよい。本発明の光半導体素子封止用シートが上記基材部を備える場合、上記封止用樹脂層の、非着色層Aの着色層Bとは反対側が基材部と接触する側となる。上記基材部は、上記光半導体素子封止用シートにおいて封止用樹脂層の光半導体素子側とは反対側に備えると、封止用樹脂層表面をフラットにすることができ、これより光の乱反射を起こりにくくし、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えが向上する。また、上記基材部に後述のアンチグレア層や反射防止層を形成することで表示体にアンチグレア性や反射防止性を付与することができる。また、上記光半導体素子封止用シートにおいて封止用樹脂層の支持体となり、上記基材部を備えることにより光半導体素子封止用シートの取り扱い性に優れる。なお、基材部は必ずしも設けられなくてもよい。
【0121】
上記基材部は、単層であってもよいし、同一または組成や厚さ等が異なる複層であってもよい。上記基材部が複層である場合、各層は粘着剤層などの他の層により貼り合わせられていてもよい。なお、基材部に使用される基材層は、封止用樹脂層とともに光半導体素子を備える基板に貼付される部分であり、光半導体素子封止用シートの使用時(貼付時)に剥離されるはく離ライナーや、基材部表面を保護するに過ぎない表面保護フィルムは「基材部」には含まない。
【0122】
上記基材部を構成する基材層としては、例えば、ガラスやプラスチック基材(特に、プラスチックフィルム)などが挙げられる。上記プラスチック基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-プロピレン共重合体、環状オレフィン系ポリマー、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルイミド;アラミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリフェニルスルフィド;フッ素樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース樹脂;シリコーン樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂;ポリサルフォン;ポリアリレート;ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記基材層は、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板等の各種光学フィルムであってもよい。
【0123】
上記プラスチックフィルムの厚さは、20~300μmであることが好ましく、より好ましくは40~250μmである。上記厚さが20μm以上であると、光半導体素子封止用シートの支持性および取り扱い性がより向上する。上記厚さが300μm以下であると、表示体をより薄くすることができる。
【0124】
上記基材部の上記封止用樹脂層を備える側の表面は、封止用樹脂層との密着性、保持性等を高める目的で、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理等の物理的処理;クロム酸処理等の化学的処理;コーティング剤(下塗り剤)による易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。密着性を高めるための表面処理は、基材部における封止用樹脂層側の表面全体に施されていることが好ましい。
【0125】
上記基材部の厚さは、支持体としての機能および表面の耐擦傷性に優れる観点から、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上である。上記基材部の厚さは、透明性により優れる観点から、300μm以下が好ましく、より好ましくは250μm以下である。
【0126】
<光半導体素子封止用シート>
上記光半導体素子封止用シートは、アンチグレア性および/または反射防止性を有する層を備えていてもよい。このような構成を有することにより、光半導体素子を封止した際において光沢や光の反射を抑制し、見栄えをより良くすることができる。上記アンチグレア性を有する層としてはアンチグレア処理層が挙げられる。上記反射防止性を有する層としては反射防止処理層が挙げられる。アンチグレア処理および反射防止処理は、それぞれ、公知乃至慣用の方法で実施することができる。上記アンチグレア性を有する層および上記反射防止性を有する層は、同一層であってもよいし、互いに異なる層であってもよい。上記アンチグレア性および/または反射防止性を有する層は、一層のみ有していてもよいし、二層以上を有していてもよい。
【0127】
上記光半導体素子封止用シートのヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、輝度ムラの抑制効果と意匠性とがより優れたものとする観点から、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。なお、上記ヘイズ値の上限は特に限定されない。
【0128】
上記光半導体素子封止用シートの全光線透過率は、特に限定されないが、金属配線などの反射防止機能、コントラストをより向上させるという観点から、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。また、上記全光線透過率は、輝度を確保するという観点から、0.5%以上であることが好ましい。
【0129】
上記ヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、上記封止用樹脂層および上記基材部を構成する各層の積層順や種類、厚さなどにより制御することができる。
【0130】
上記光半導体素子封止用シートの厚さは、金属配線などの反射防止機能、コントラストを向上させつつ、カラーシフトをより効率的に低減する観点から、10~600μmであることが好ましく、より好ましくは20~550μm、さらに好ましくは30~500μm、さらに好ましくは40~450μm、特に好ましくは50~400μmである。なお、はく離ライナーは上記厚さには含まれないものとする。
【0131】
非着色層Aの厚さは、30~480μmが好ましく、より好ましくは40~380μm、さらに好ましくは50~280μmである。非着色層Aの厚さが30μm以上であると、着色層Bとは反対側の表面がフラットとなりやすく、光半導体素子を封止した状態において上記封止用樹脂層表面で外光の乱反射を起こりにくくし、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えが向上する。非着色層Aの厚さが480μm以下であると、光半導体素子封止用シートの厚さを薄くすることができる。
【0132】
着色層Bの厚さは、5~100μmが好ましく、より好ましくは10~80μm、さらに好ましくは20~70μmである。着色層Bの厚さが5μm以上であると、光半導体素子を封止した際の反射防止性により優れる。着色層Bの厚さが100μm以下であると、光半導体素子を封止した際に非着色層Aにより圧縮された状態において厚さが充分に薄くなり、光半導体素子の発光時の輝度をより確保しやすい。また、着色層Bの厚さは、光半導体素子の高さ(基板表面から光半導体素子正面側の端部までの高さ)よりも薄いことが好ましい。
【0133】
非着色層Cの厚さは、例えば5~480μmであり、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~80μm、さらに好ましくは20~70μmである。非着色層Cの厚さが5μm以上であると、光半導体素子の封止性がより良好となる。非着色層Cの厚さが480μm以下であると、光半導体素子の発光時の輝度をより確保しやすい。
【0134】
上記封止用樹脂層の厚さは、例えば100~500μmであり、好ましくは120~400μm、さらに好ましくは150~300μmである。上記厚さが100μm以上であると、光半導体素子の封止性がより良好となる。上記厚さが500μm以下であると、表示体の厚さがより薄くなる。
【0135】
上記光半導体素子封止用シートは、その片面に機能層を積層した状態において、非着色層Aに対し着色層Bを有する側の封止用樹脂層を高さ120μmに凸加工したウエハに貼り合わせた状態で、上記機能層側から10°視野、光源D65の条件で測定した際のL***(SCI)におけるL*(SCI)は、54未満が好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。物体が反射する光は正反射光および拡散反射光を含むところ、正反射光は肉眼で認識することが困難な光である。L*(SCE)は正反射光を含まない反射光を測定したものであるのに対し、L*(SCI)は正反射光を含む反射光を測定したものであり、肉眼での視認性とは関連性が低いものの、物体の真の色調に近い色調を測定可能である。このため、L*(SCI)が54未満であると、表示体の視認性について環境による影響がある場合であっても意匠性に優れる。
【0136】
上記L***(SCI)におけるa*(SCI)は、-5.0~5.0が好ましく、より好ましくは-3.0~3.0、さらに好ましくは-2.0~2.0である。上記L***(SCI)におけるb*(SCI)は、-5.0~5.0が好ましく、より好ましくは-3.0~3.0、さらに好ましくは-2.5~2.5である。a*(SCI)および/またはb*(SCI)がそれぞれ上記範囲内であると、光半導体素子が発する光の色味がよく視認性に優れる。
【0137】
上記L***(SCI)におけるL*(SCI)、a*(SCI)、およびb*(SCI)は公知乃至慣用の分光側色計を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0138】
上記機能層は、上記封止用樹脂層に含まれない層であり、本発明の光半導体素子封止用シートに各種機能を付与することができる層が挙げられる。上記機能層としては、例えば、表面処理層を含む層が挙げられる。このような構成を有することにより、表面処理層を含む機能層が積層された光半導体素子封止用シートの光拡散性に優れ、且つ光取り出し効率に優れる。上記表面処理層としては、アンチグレア処理層(防眩処理層)、反射防止処理層、ハードコート処理層などが挙げられる。上記機能層は、本発明の光半導体素子封止用シートにおける上記封止用樹脂層に積層されてもよいし、上記基材部を備える場合は上記基材部に積層されてもよいが、上記基材部に積層されることが好ましく、上記基材部の上記封止用樹脂層を備える側とは反対側に積層されることが好ましい。
【0139】
本発明の光半導体素子封止用シートは上記機能層を備えていてもよい。上記機能層を備える場合、別途機能層を積層せずに上記L***(SCI)の測定を行うことができる。本発明の光半導体素子封止用シートが上記機能層を備えない場合、別途機能層を積層して上記L***(SCI)の測定を行う。上記機能層は、着色層B側に対して非着色層A側に積層されることが好ましい。
【0140】
上記光半導体素子封止用シートは、非着色層Aに対し着色層Bを有する側の封止用樹脂層を高さ120μmに凸加工したウエハに貼りつけて封止用樹脂層側からマイクロスコープで観察した際、凹部平均明るさが10~30、および/または、凸部最大明るさが143超であることが好ましい。上記凸部最大明るさは、より好ましくは150以上、さらに好ましくは160以上である。凹部平均明るさおよび/または凸部最大明るさが上記範囲内であると、光半導体素子を封止した際の反射防止性および輝度の高さにより優れる。
【0141】
[はく離ライナー]
上記封止用樹脂層は、はく離ライナー上のはく離処理面に形成されていてもよい。上記封止用樹脂層が上記はく離ライナーに形成されている場合、上記はく離ライナーは上記封止用樹脂層の、着色層Bの非着色層Aとは反対側がはく離ライナーと接触する側となる。上記基材部を有しない場合は上記封止用樹脂層の両面がはく離ライナーと接触する側であってもよい。はく離ライナーは上記光半導体素子封止用シートの保護材として用いられ、光半導体素子を封止する際に剥がされる。なお、はく離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
【0142】
上記はく離ライナーは、上記光半導体素子封止用シート表面を被覆して保護するための要素であり、光半導体素子が配置された基板に光半導体素子封止用シートを貼り合わせる際には当該シートから剥がされる。
【0143】
上記はく離ライナーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、フッ素系剥離剤や長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙類などが挙げられる。
【0144】
上記はく離ライナーの厚さは、例えば10~200μm、好ましくは15~150μm、より好ましくは20~100μmである。上記厚さが10μm以上であると、はく離ライナーの加工時に切り込みにより破断しにくい。上記厚さが200μm以下であると、使用時に上記光半導体素子封止用シートからはく離ライナーをより剥離しやすい。
【0145】
[光半導体素子封止用シートの製造方法]
本発明の光半導体素子封止用シートの製造方法の一実施形態について説明する。例えば、図1に示す光半導体素子封止用シート1は、例えば、それぞれ2枚のはく離ライナーの剥離処理面に挟持された、拡散機能層21、着色層22、および非着色層23を個別に作製する。拡散機能層21に貼り合わせられた一方のはく離ライナーははく離ライナー3である。
【0146】
次に、非着色層23に貼付されたはく離ライナーの一方を剥離して非着色層23表面を露出させ、露出面を基材部4に貼り合わせる。その後、着色層22に貼付されたはく離ライナーの一方を剥離し、非着色層23表面のはく離ライナーを剥離して露出した非着色層23表面に着色層22の露出面を貼り合わせる。
【0147】
次に、拡散機能層21に貼付されたはく離ライナーの一方(はく離ライナー3ではないはく離ライナー)を剥離し、着色層22表面のはく離ライナーを剥離して露出した着色層22表面に拡散機能層21の露出面を貼り合わせる。なお、各種層の積層は、公知のローラーやラミネーターを用いて行うことができる。このようにして、基材部4上に、非着色層23、着色層22、拡散機能層21、およびはく離ライナー3がこの順に積層した、図1に示す光半導体素子封止用シート1を作製することができる。
【0148】
[光半導体装置]
本発明の光半導体素子封止用シートを用いて表示体等の光半導体装置を作製することができる。本発明の光半導体素子封止用シートを用いて製造される表示体は、基板と、上記基板上に配置された光半導体素子と、上記光半導体素子を封止する本発明の光半導体素子封止用シートまたは当該シートが硬化した硬化物と、を備える。上記硬化物は、本発明の光半導体素子封止用シートが放射線硬化性樹脂層を備える場合において上記放射線硬化性樹脂層が放射線照射により硬化した硬化物である。
【0149】
上記光半導体素子としては、例えば、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、赤色発光ダイオード、紫外線発光ダイオード等の発光ダイオード(LED)が挙げられる。
【0150】
上記光半導体装置において、本発明の光半導体素子封止用シートは、光半導体素子を凸部、複数の光半導体素子間の隙間を凹部としたときの凹凸への追従性に優れ光半導体素子の追従性および埋め込み性に優れるため、複数の光半導体素子を一括して封止していることが好ましい。
【0151】
上記基板上の上記光半導体素子の高さ(基板表面から光半導体素子正面側の端部までの高さ)は500μm以下であることが好ましい。上記高さが500μm以下であると、上記凹凸形状に対する封止樹脂層の追従性により優れる。
【0152】
図2に、図1に示す光半導体素子封止用シート1を用いた光半導体装置の一実施形態を示す。図2に示す光半導体装置10は、基板5と、基板5の一方の面に配置された複数の光半導体素子6と、光半導体素子6を封止する封止樹脂層7と、封止樹脂層7に積層された基材部4とを備える。複数の光半導体素子6は、一括して封止樹脂層7に封止されている。封止樹脂層7は、拡散機能層71、着色層72、および非着色層73が積層して形成されている。拡散機能層21は、複数の光半導体素子6で形成された凹凸形状に追従して光半導体素子6および基板5に密着し、光半導体素子6を埋め込んでいる。また、拡散機能層71は上記凹凸形状に追従して光半導体素子6側の界面が凹凸形状を有しており、他方の界面がフラットとなっている。
【0153】
封止樹脂層7は封止用樹脂層2により形成される。具体的には、光半導体素子封止用シート1において封止用樹脂層2が放射線硬化性樹脂層を有しない場合、封止用樹脂層2は光半導体装置10における封止樹脂層7となる。一方、光半導体素子封止用シート1において封止用樹脂層2が放射線硬化性樹脂層を有する場合、例えば着色層22が放射線硬化性樹脂層である場合、着色層22を硬化させることで着色層72を形成し、封止樹脂層7となる。
【0154】
なお、図2に示す光半導体装置10において、光半導体素子6は、拡散機能層71内に完全に埋め込まれて封止されており、且つ、着色層72および非着色層73により間接的に封止されている。すなわち、光半導体素子6は、拡散機能層71、着色層72、および非着色層73の積層体からなる封止樹脂層7により封止されている。上記光半導体装置は、このような態様に限定されず、例えば、図3に示すように、光半導体素子6が、拡散機能層71および着色層72内に完全に埋め込まれて封止されており、且つ、非着色層73により間接的に封止されている態様であってもよい。また、図4に示すように、光半導体素子6が、拡散機能層71、着色層72、および非着色層73内に完全に埋め込まれて封止されている態様であってもよい。
【0155】
上記光半導体装置において、非着色層Aから形成される上記封止樹脂層中の非着色層、着色層Bから形成される上記封止樹脂層中の着色層、および非着色層Cから形成される上記封止樹脂層中の非着色層についても、それぞれ、上述の硬さA、硬さB、および硬さCの関係を満たすことが好ましい。
【0156】
上記光半導体装置は、個々の光半導体装置がタイリングされたものであってもよい。すなわち、上記光半導体装置は、複数の光半導体装置が平面方向にタイル状に配置されたものであってもよい。
【0157】
上記表示体は、自発光型表示装置を備えることが好ましい。また、上記自発光型表示装置と、必要に応じて表示パネルとを組み合わせることで画像表示装置である表示体とすることができる。この場合の光半導体素子はLED素子である。上記自発光型表示装置としては、LEDディスプレイやバックライト、あるいは有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などが挙げられる。上記バックライトは特に全面直下型のバックライトであることが好ましい。上記バックライトは例えば上記基板と当該基板上に配置された複数の光半導体素子とを備える積層体を構成部材の少なくとも一部として含む。例えば、上記自発光型表示装置において、上記基板上には、各LED素子に発光制御信号を送るための金属配線層が積層されている。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の光を発する各LED素子は、基板上に金属配線層を介して交互に配列されている。金属配線層は、銅などの金属によって形成されており、各LED素子の発光度合いを調整して各色を表示させる。
【0158】
本発明の光半導体素子封止用シートは、折り曲げて使用される光半導体装置、例えば、折り曲げ可能な画像表示装置(フレキシブルディスプレイ)(特に、折り畳み可能な画像表示装置(フォルダブルディスプレイ))を有する光半導体装置に用いることができる。具体的には、折り畳み可能なバックライトおよび折り畳み可能な自発光型表示装置などに使用することができる。
【0159】
本発明の光半導体素子封止用シートは、光半導体素子の追従性および埋め込み性に優れるため、上記光半導体装置がミニLED表示装置である場合およびマイクロLED表示装置である場合のいずれにも好ましく使用することができる。
【0160】
[光半導体装置の製造方法]
上記光半導体装置は、例えば、本発明の光半導体素子封止用シートを、光半導体素子が配置された基板に貼り合わせ、封止用樹脂層により光半導体素子を封止することで製造することができる。
【0161】
(封止工程)
上記光半導体素子封止用シートを用いて光半導体装置を製造する方法において、上記光半導体素子封止用シートを、光半導体素子が配置された基板に貼り合わせ、封止用樹脂層により光半導体素子を封止する封止工程を有する。上記封止工程では、具体的には、まず、上記光半導体素子封止用シートからはく離ライナーを剥離して封止用樹脂層を露出させる。そして、基板と、上記基板上に配置された光半導体素子(好ましくは複数の光半導体素子)とを備える積層体(光学部材など)の、光半導体素子が配置された基板面に、上記光半導体素子封止用シートの露出面である封止用樹脂層面を貼り合わせ、上記積層体が複数の光半導体素子を備える場合はさらに複数の光半導体素子間の隙間を上記封止用樹脂層が充填するように配置し、複数の光半導体素子を一括して封止する。具体的には、図1に示す光半導体素子封止用シート1からはく離ライナー3を剥離して露出した拡散機能層21を、基板5の光半導体素子6が配置された面に対向するように配置し、光半導体素子封止用シート1を基板5の光半導体素子6が配置された面に貼り合わせ、光半導体素子6を封止用樹脂層2に埋め込む。
【0162】
上記貼り合わせの際の温度は、例えば室温から110℃の範囲内である。また、上記貼り合わせの際、減圧または加圧してもよい。減圧や加圧により封止用樹脂層と基板または光半導体素子との間に空隙が形成されるのを抑制することができる。また、上記封止工程では、減圧下で光半導体素子封止用シートを貼り合わせ、その後加圧することが好ましい。減圧する場合の圧力は例えば1~100Paであり、減圧時間は例えば5~600秒である。また、加圧する場合の圧力は例えば0.05~0.5MPaであり、加圧時間は例えば5~600秒である。
【0163】
(放射線照射工程)
上記封止用樹脂層が放射線硬化性樹脂層を備える場合、上記製造方法は、さらに、上記基板と、上記基板上に配置された光半導体素子と、上記光半導体素子を封止する上記光半導体素子封止用シートと、を備える積層体に放射線を照射して上記放射線硬化性樹脂層を硬化させて硬化物層を形成する放射線照射工程を備えていてもよい。上記放射線としては上述のように、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。中でも、紫外線が好ましい。放射線照射時の温度は、例えば室温から100℃の範囲内であり、照射時間は例えば1分~1時間である。
【0164】
(ダイシング工程)
上記製造方法は、さらに、上記基板と、上記基板上に配置された光半導体素子と、上記光半導体素子を封止する上記光半導体素子封止用シートと、を備える積層体をダイシングするダイシング工程を備えていてもよい。上記積層体は、上記放射線照射工程を経た積層体について行ってもよい。上記積層体が、上記放射線照射により放射線硬化性樹脂層が硬化した硬化物層を備える場合、上記ダイシング工程では、光半導体素子封止用シートの硬化物層および基板の側端部をダイシングして除去する。これにより、充分に硬化し粘着性が低く低減された硬化物層の面を側面に露出させることができる。上記ダイシングは、公知乃至慣用の方法により行うことができ、例えば、ダイシングブレードを用いた方法や、レーザー照射により行うことができる。
【0165】
(タイリング工程)
上記製造方法は、さらに、上記ダイシング工程で得られた複数の光半導体装置を平面方向に接触するように並べるタイリング工程を備えていてもよい。上記タイリング工程では、上記ダイシング工程で得られた複数の積層体を平面方向に接触するように並べてタイリングする。このようにして、1つの大きな表示体を製造することができる。
【0166】
以上のようにして、光半導体装置を製造することができる。光半導体素子封止用シート1において封止用樹脂層2が放射線硬化性樹脂層を有しない場合、封止用樹脂層2は光半導体装置10における封止樹脂層7となる。一方、光半導体素子封止用シート1において封止用樹脂層2が放射線硬化性樹脂層を有する場合、例えば着色層22が放射線硬化性樹脂層である場合、着色層22を硬化させることで着色層72を形成し、封止樹脂層7となる。
【実施例
【0167】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0168】
製造例1
(アクリル系プレポリマー溶液Aの調製)
温度計、撹拌機、還流冷却管、および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、モノマー成分として、アクリル酸2-エチルへキシル(2-EHA)78質量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)18質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)5質量部、光重合開始剤(商品名「omnirad 184」、IGM Resins Italia Srl社製)0.035質量部、および光重合開始剤(商品名「omnirad 651」、IGM Resins Italia Srl社製)0.035質量部を投入した後、窒素ガスを流し、撹拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、5mW/cm2で紫外線を照射し重合を行い、反応率が5~15%になるように調整して、アクリル系プレポリマー溶液Aを得た。
【0169】
製造例2
(アクリル系オリゴマー溶液の調製)
トルエン100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)(商品名「FA-513M」、日立化成工業株式会社製)60質量部、メチルメタクリレート(MMA)40質量部、および連鎖移動剤としてα-チオグリセロール3.5質量部を4つ口フラスコに投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、熱重合開始剤としてAIBNを0.2質量部投入し、70℃で2時間反応させ、続いて80℃で2時間反応させた。その後、反応液を130℃の温度雰囲気下に投入し、トルエン、連鎖移動剤、および未反応モノマーを乾燥除去することにより、固形状のアクリル系オリゴマーを得た。このアクリル系オリゴマーのTgは144℃であり、Mwは4300であった。上記アクリルオリゴマー50質量部に、アクリル酸2-エチルへキシル(2-EHA)50質量部を加え、溶解させ、アクリル系オリゴマー溶液を得た。
【0170】
製造例3
(粘着剤組成物Aの調製)
製造例1で調製したアクリル系プレポリマー溶液A(プレポリマー全量を100質量部とする)に、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)17.6質量部、製造例2で調製したアクリル系オリゴマー溶液11.8質量部、2官能モノマー(商品名「NKエステル A-HD-N」、新中村化学工業株式会社製)0.088質量部、シランカップリング剤(商品名「KBM-403」、信越化学工業株式会社製、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.353質量部を加えて、粘着剤組成物Aを得た。
【0171】
製造例4
(粘着剤組成物Bの調製)
製造例1で調製したアクリル系プレポリマー溶液A(プレポリマー全量を100質量部とする)に、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)17.6質量部、製造例2で調製したアクリル系オリゴマー溶液11.8質量部、2官能モノマー(商品名「NKエステル A-HD-N」、新中村化学工業株式会社製)0.294質量部、シランカップリング剤(商品名「KBM-403」、信越化学工業株式会社製、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.353質量部を加えて、粘着剤組成物Bを得た。
【0172】
製造例5
(アクリル系プレポリマー溶液Bの調製)
温度計、撹拌機、還流冷却管、および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、モノマー成分として、ブチルアクリレート(BA)67質量部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)14質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)19質量部、光重合開始剤(商品名「omnirad 184」、IGM Resins Italia Srl社製)0.09質量部、および光重合開始剤(商品名「omnirad 651」、IGM Resins Italia Srl社製)0.09質量部を投入した後、窒素ガスを流し、撹拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、5mW/cm2で紫外線を照射し重合を行い、反応率が5~15%になるように調整して、アクリル系プレポリマー溶液Bを得た。
【0173】
製造例6
(粘着剤組成物Cの調製)
製造例5で調製したアクリル系プレポリマー溶液B(プレポリマー全量を100質量部とする)に、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)9質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)8質量部、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」、新中村化学工業株式会社製)0.1質量部、シランカップリング剤(商品名「KBM-403」、信越化学工業株式会社製、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.4質量部を加えて、粘着剤組成物Cを得た。
【0174】
製造例7
(粘着剤組成物Dの調製)
製造例5で調製したアクリル系プレポリマー溶液B(プレポリマー全量を100質量部とする)に、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)9質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)8質量部、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」、新中村化学工業株式会社製)0.02質量部、シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名「KBM-403」)0.35質量部、および光重合開始剤(商品名「omnirad 651」、IGM Resins Italia Srl社製)0.3質量部を加えて、粘着剤組成物Dを得た。
【0175】
製造例8
(非光拡散粘着剤層1~8の作製)
粘着剤組成物A~Dおよび添加剤を表1に示す質量比で混合した。この混合物を、はく離ライナー(商品名「MRE38」、三菱ケミカル株式会社製、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離処理が施されたもの、厚さ38μm)の剥離処理面上に塗布して樹脂組成物層を形成してから、当該樹脂組成物層上にもはく離ライナー(商品名「MRF38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理面を貼り合わせた。次に、ブラックライトにより、表1記載の照度の紫外線を、積算光量が3600mJ/cm2となるまで照射して重合を行い、粘着性を有する非拡散機能層(非光拡散粘着剤層)1~8を作製した。
【0176】
製造例9
(反射防止層1~2の作製)
粘着剤組成物Dおよび添加剤を表1の質量比で混合した。この混合物を、はく離ライナー(商品名「MRE38」、三菱ケミカル株式会社製、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離処理が施されたもの、厚さ38μm)の剥離処理面上に塗布して樹脂組成物層を形成してから、当該樹脂組成物層上にもはく離ライナー(商品名「MRF38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理面を貼り合わせた。次に、ブラックライトにより、表1記載の照度の紫外線を、積算光量が3600mJ/cm2となるまで照射して重合を行い、着色層(反射防止層)1~2を作製した。なお9256BLACKとは黒色顔料の20%分散液(商品名「9256BLACK」、株式会社トクシキ製)である。
【0177】
製造例10
(光拡散粘着剤層1の作製)
粘着剤組成物Dおよび添加剤を表1の質量比で混合した。この混合物を、はく離ライナー(商品名「MRE38」、三菱ケミカル株式会社製、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離処理が施されたもの、厚さ38μm)の剥離処理面上に塗布して樹脂組成物層を形成してから、当該樹脂組成物層上にもはく離ライナー(商品名「MRF38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理面を貼り合わせた。次に、ブラックライトにより、表1記載の照度の紫外線を、積算光量が3600mJ/cm2となるまで照射して重合を行い、粘着性を有する拡散機能層(光拡散粘着剤層)1を作製した。なおトスパール145とは商品名「トスパール145」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、屈折率:1.42、平均粒径:4.5μmのシリコーン樹脂)である。またPOB-Aとは商品名「ライトアクリレートPOB-A」(共栄社化学株式会社製)である。
【0178】
製造例11
(防眩処理層付き基材フィルムの作製)
防眩処理層形成材料に含まれる樹脂として、紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂(商品名「UA-53H」、新中村化学工業株式会社製)40質量部、およびペンタエリスリトールトリアクリレートを主成分とする多官能アクリレート(商品名「ビスコート#300」大阪有機化学工業株式会社製)60質量部を準備した。上記樹脂の樹脂合計固形分100質量部あたり、防眩処理層形成粒子としてアクリルとスチレンの共重合粒子(商品名「テクポリマーSSX-103DXE」、積水化成品工業株式会社製)を7.0質量部、シリコーン樹脂(商品名「TOSPEARL130」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)を3質量部、チキソトロピー付与剤として合成スメクタイト(商品名「スメクトンSAN」、クニミネ工業株式会社製)を2.5質量部、光重合開始剤(商品名「OMNIRAD907」、BASF社製)を3質量部、およびレベリング剤(商品名「GRANDIC PC4100」、DIC株式会社製)を0.15質量部混合した。この混合物を固形分濃度が40質量%となるように、トルエン/シクロペンタノン混合溶媒(質量比80/20)で希釈して、防眩処理層形成材料(塗工液)を調製した。
【0179】
透光性基材として、透明プラスチックフィルム基材(商品名「KC4UY」、TAC、コニカミノルタ株式会社製)を準備した。上記透明プラスチックフィルム基材の片面に、上記防眩処理層形成材料(塗工液)を、バーコーターを用いて塗膜を形成した。そして、この塗膜が形成された透明プラスチックフィルム基材を乾燥工程へと搬送した。乾燥工程において、80℃で1分間加熱することにより上記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、上記塗膜を硬化処理して厚さ8.5μmの防眩処理層を形成し、ヘイズ25%となる防眩性フィルム(防眩処理層付き基材フィルム)を得た。
【0180】
実施例1
(光半導体素子封止用シートの作製)
製造例8で得られた非光拡散粘着剤層1からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離し、粘着面を露出させた。上記光拡散粘着剤層1の露出面を製造例11で作製した防眩処理層付き基材フィルムの易接着処理面に貼り合わせ、基材フィルム上に非光拡散粘着剤層1を形成した。
次に、非光拡散粘着剤層1表面からはく離ライナー(商品名「MRF38」)を剥離し、粘着面を露出させた。製造例9で得られた反射防止層1からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離して露出させた粘着面を、非光拡散粘着剤層1の露出面に貼り合わせ、非光拡散粘着剤層1上に反射防止層1を形成した。
次に、反射防止層1表面からはく離ライナー(商品名「MRF38」)を剥離し、粘着面を露出させた。製造例10で得られた光拡散粘着剤層1からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離して露出させた粘着面を、反射防止層1の露出面に貼り合わせ、反射防止層1上に光拡散粘着剤層1を形成した。
そして、室温(23℃)においてハンドローラーで気泡が入らないように貼り合わせ、遮光下で二日間放置した。このようにして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層1(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0181】
実施例2
非光拡散粘着剤層1に代えて非光拡散粘着剤層2を使用したこと以外は実施例1と同様にして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層2(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0182】
実施例3
非光拡散粘着剤層1に代えて非光拡散粘着剤層3を使用したこと以外は実施例1と同様にして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層3(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0183】
実施例4
非光拡散粘着剤層1に代えて非光拡散粘着剤層4を使用したこと以外は実施例1と同様にして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層4(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0184】
実施例5
非光拡散粘着剤層1に代えて非光拡散粘着剤層5を使用したこと以外は実施例1と同様にして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層5(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0185】
実施例6
非光拡散粘着剤層1に代えて非光拡散粘着剤層6を使用したこと以外は実施例1と同様にして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層6(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0186】
実施例7
製造例8で得られた非光拡散粘着剤層7からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離し、粘着面を露出させた。上記光拡散粘着剤層7の露出面を製造例11で作製した防眩処理層付き基材フィルムの易接着処理面に貼り合わせ、基材フィルム上に非光拡散粘着剤層7を形成した。
次に、非光拡散粘着剤層7表面からはく離ライナー(商品名「MRF38」)を剥離し、粘着面を露出させた。製造例9で得られた反射防止層2からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離して露出させた粘着面を、非光拡散粘着剤層7の露出面に貼り合わせ、非光拡散粘着剤層7上に反射防止層2を形成した。
そして、室温(23℃)においてハンドローラーで気泡が入らないように貼り合わせ、遮光下で二日間放置した。このようにして、[はく離ライナー/反射防止層2(50μm)/非光拡散粘着剤層7(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0187】
比較例1
非光拡散粘着剤層1に代えて非光拡散粘着剤層8を使用したこと以外は実施例1と同様にして、[はく離ライナー/光拡散粘着剤層1(50μm)/反射防止層1(50μm)/非光拡散粘着剤層8(100μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0188】
比較例2
製造例9で得られた反射防止層1からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離し、粘着面を露出させた。上記反射防止層1の露出面を製造例11で作製した防眩処理層付き基材フィルムの易接着処理面に貼り合わせ、基材フィルム上に反射防止層1を形成した。
次に、反射防止層1表面からはく離ライナー(商品名「MRF38」)を剥離し、粘着面を露出させた。製造例8で得られた非光拡散粘着剤層8からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離して露出させた粘着面を、反射防止層1の露出面に貼り合わせ、反射防止層1上に非光拡散粘着剤層8を形成した。
そして、室温(23℃)においてハンドローラーで気泡が入らないように貼り合わせ、遮光下で二日間放置した。このようにして、[はく離ライナー/非光拡散粘着剤層8(150μm)/反射防止層1(50μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0189】
比較例3
製造例8で得られた非光拡散粘着剤層8からはく離ライナー(商品名「MRE38」)を剥離し、粘着面を露出させた。上記非光拡散粘着剤層8の露出面を製造例11で作製した防眩処理層付き基材フィルムの易接着処理面に貼り合わせ、基材フィルム上に非光拡散粘着剤層8を形成した。
そして、室温(23℃)においてハンドローラーで気泡が入らないように貼り合わせ、遮光下で二日間放置した。このようにして、[はく離ライナー/非光拡散粘着剤層8(200μm)/基材フィルム]からなる光半導体素子封止用シートを得た。
【0190】
<評価>
各製造例で作製した各層、ならびに、実施例および比較例で得られた光半導体素子封止用シートについて、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0191】
(1)残存応力
各製造例で作製した光拡散粘着剤層、反射防止層(反射防止性を有する粘着剤層)、および非光拡散粘着剤層について、40mm×40mmに切り出し、片側から粘着剤層を丸め、長さ40mmの紐状の巻回試験片を作製した。上記試験片について、万能試験機(商品名「オートグラフAG-IS」、株式会社島津製作所製)を用いて、初期チャック間距離20mmとし、引張倍率300%(引張後チャック間距離80mm)、引張速度300mm/秒で引っ張り、引っ張った状態で300秒保持した後の残存応力を測定した。
【0192】
(2)明るさ
(評価サンプルの作製)
光半導体素子封止用シートからはく離ライナーを剥離し、露出した粘着面を高さ120μmに凸加工した8インチウエハに貼りつけた。貼付には日東精機株式会社製装置「MSV300」を用いて差圧貼りした。差圧貼りの条件は、真空度:20Pa、貼付圧力:0.1MPa、ウエハ表面温度:60℃とした。
【0193】
(明るさ測定)
マイクロスコープ(商品名「VHX-7000」、株式会社キーエンス製)および高性能低倍率ズームレンズ(商品名「VH-Z00R」、株式会社キーエンス製)を用い、50倍率、リング照明(明るさ最大)で防眩処理層付き基材フィルム側から凹凸ウエハの凸部に焦点を合わせて、複数の凸部および凹部を含む範囲の画像を取得した。画像解析には「ImageJ」を用いた。取得した画像において、凸部3つを選択してヒストグラムを出し、凸部最大明るさを記録し、n3の平均値を凸部最大明るさとした。また、取得した画像において、凹部3つを選択してヒストグラムを出し、n3の平均値を凹部平均明るさとした。
【0194】
凸部最大明るさは、値が高いほど凸部におけるマイクロスコープが発する光の反射が観察され、凸部における透過性に優れると判断される。透過性に優れる場合、光半導体素子が発する光の取り出し効率に優れ、高い輝度となることを示す。表2では、凸部最大明るさが150以上である場合を輝度「○」、凸部最大明るさが150未満である場合を輝度「×」と評価した。また、凹部平均明るさは、値が低いほど凹部におけるマイクロスコープが発する光の反射を抑制できていることを示し、10~30であれば充分に反射防止効果がある(反射防止「○」)と判断される。一方、比較例3については140よりも低くすることができず反射防止「×」と判断された。
【0195】
(反射防止と輝度の両立)
反射防止および輝度の両方が「○」の場合を「○」、反射防止および輝度の少なくとも一方が「×」の場合を「×」として評価した。
【0196】
(3)L***(SCI)
光半導体素子封止用シートの基材フィルム面が表を向くように、上記(2)明るさの評価で作製した評価サンプルを平らな面に静置させた。分光測色計(商品名「CM-26dG」、コニカミノルタ株式会社製)の測定部全面が光半導体素子封止用シートの基材フィルム面に設置されるようにし、L*(SCI)、a*(SCI)、およびb*(SCI)の測定を行った。なお、測色計の測定域が測定サンプルの中央に来るように設置し、下記条件で測定した。また、上記分光測色計で測定を行う前には、ゼロ点校正、白色校正、GROSS校正をメーカーマニュアルに従い実施した。なお、凹凸ウエハのみで測定した場合、L*(SCI)は66.8、a*(SCI)は0.6、b*(SCI)は-6.1であった。
<測定条件>
測定方法:色&光沢
ジオメトリー: di:8°、de:8°
正反射光処理:SCI+SCE
観察光源:D65
観察条件:10°視野
測定径:MAV(8mm)
UV条件:100%Full
自動平均測定:3回
ゼロ校正スキップ:有効
【0197】
【表1】
【0198】
【表2】
【0199】
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するためのシートであって、
前記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、
前記非着色層の硬さAおよび前記着色層の硬さBはA>Bを満たす、光半導体素子封止用シート。
[付記2]前記硬さは、残存応力、弾性率、ヤング率、およびナノインデンテーション法により測定される硬さからなる群より選択される1以上である、付記1に記載の光半導体素子封止用シート。
[付記3]前記硬さは残存応力であり、前記着色層の残存応力B1に対する前記非着色層の残存応力A1の比[残存応力A1/残存応力B1]は1.2以上である、付記1に記載の光半導体素子封止用シート。
[付記4]前記封止用樹脂層は、前記着色層の前記非着色層とは反対側に、硬さCを有する非着色層をさらに備える、付記1~3のいずれか1つに記載の光半導体素子封止用シート。
[付記5]前記非着色層の硬さCおよび前記着色層の硬さBはC>Bを満たす、付記4に記載の光半導体素子封止用シート。
[付記6]前記封止用樹脂層は拡散機能層を含む付記1~5のいずれか1つに記載の光半導体素子封止用シート。
[付記7]基板と、前記基板上に配置された光半導体素子と、前記光半導体素子を封止する、付記1~6のいずれか1つに記載の光半導体素子封止用シートまたはその硬化物と、を備える表示体。
[付記8]自発光型表示装置を備える付記7に記載の表示体。
[付記9]画像表示装置である付記7または8に記載の表示体。
【符号の説明】
【0200】
1 光半導体素子封止用シート
2 封止用樹脂層
21 拡散機能層(非着色層C)
22 着色層(着色層B)
23 非着色層(非着色層A)
3 はく離ライナー
4 基材部
41 基材フィルム
42 機能層
5 基板
6 光半導体素子
7 封止樹脂層
71 拡散機能層
72 着色層
73 非着色層
10 光半導体装置
図1
図2
図3
図4