(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】治具セット
(51)【国際特許分類】
B25B 33/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B25B33/00
(21)【出願番号】P 2023174062
(22)【出願日】2023-10-06
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514097082
【氏名又は名称】SB C&S株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】工藤 英樹
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-529710(JP,A)
【文献】特開2017-065812(JP,A)
【文献】特開2014-022648(JP,A)
【文献】特開2013-227126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 33/00
B65H 41/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板及び粘着層を備えたガラスフィルムを携帯端末から剥すために用いられる治具セットであって、
一対の吸盤と、一方の前記吸盤の吸着面を他方の前記吸盤の吸着面に対して傾斜させた状態で前記一対の吸盤を支持する治具本体とを備えた吸盤治具と、
前記粘着層が形成されていない前記ガラス基板の端部を保持する保持部を備えたフック治具と、
を有することを特徴とする治具セット。
【請求項2】
前記フック治具は、
先端に前記保持部が設けられ、弾性変形が可能な屈曲部と、
前記屈曲部の基端に設けられ、作業者によって保持されるグリップ部を有することを特徴とする請求項1に記載の治具セット。
【請求項3】
前記治具本体は、前記一対の吸盤をそれぞれ支持する一対の支持部と、前記一対の支持部の間に設けられた薄肉部とを有することを特徴とする請求項1に記載の治具セット。
【請求項4】
前記吸盤治具は、前記各支持部の
うちの前記各吸盤が固定される面とは別の一側面及び前記各吸盤
の傾斜面を接続する接続部を有することを特徴とする請求項3に記載の治具セット。
【請求項5】
前記吸盤治具は、前記一対の支持部の一方に設けられ、作業者によって保持される保持部を有することを特徴とする請求項3に記載の治具セット。
【請求項6】
前記ガラスフィルムを前記携帯端末から剥すとき、
前記一対の吸盤は、前記ガラスフィルムの端領域に吸着され、
前記フック治具の前記保持部は、前記端領域に含まれる前記端部を保持して前記携帯端末から離れる方向に操作されることを特徴とする請求項1に記載の治具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に貼り付けられたガラスフィルムを剥すために用いられる治具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス基板の取り出しに用いられるガラス基板取出治具が記載されている。このガラス基板取出治具は、第1柄部及び第2柄部を有しており、第1柄部の先端及び第2柄部の先端には、第1保持部及び第2保持部がそれぞれ設けられている。第1保持部は、第1ベース部及び第1張り出し部を有しており、第2保持部は、第2ベース部及び第2張り出し部を有する。
【0003】
ガラス基板を取り出すときには、ガラス基板及び研磨パッドの間に、第1張り出し部の先端や第2張り出し部の先端を進入させる。ここで、第1張り出し部の第1底面や、第2張り出し部の第2底面を摺動させることにより、研磨パッドへの損傷を極力回避し、キズなどの発生を抑制するようにしている。ガラス基板及び研磨パッドの間に第1張り出し部及び第2張り出し部を進入させた状態において、ガラス基板取出治具を上方に引き上げることにより、ガラス基板が研磨パッドから引きはがされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特許文献1とは異なる手段によってガラスフィルムを剥すことができる治具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ガラス基板及び粘着層を備えたガラスフィルムを携帯端末から剥すために用いられる治具セットであり、吸盤治具及びフック治具を有する。吸盤治具は、一対の吸盤と、一方の吸盤の吸着面を他方の吸盤の吸着面に対して傾斜させた状態で一対の吸盤を支持する治具本体とを備える。フック治具は、粘着層が形成されていないガラス基板の端部を保持する保持部を備える。
【0007】
フック治具には、屈曲部及びグリップ部を設けることができる。屈曲部は、この先端に保持部が設けられ、弾性変形が可能である。グリップ部は、屈曲部の基端に設けられ、作業者によって保持される。
【0008】
治具本体には、一対の吸盤をそれぞれ支持する一対の支持部と、一対の支持部の間に設けられた薄肉部とを設けることができる。吸盤治具には、各支持部の一側面及び各吸盤を接続する接続部を設けることができる。
【0009】
吸盤治具には、一対の支持部の一方に設けられ、作業者によって保持される保持部を設けることができる。ガラスフィルムを携帯端末から剥すとき、一対の吸盤は、ガラスフィルムの端領域に吸着させることができ、フック治具の保持部は、端領域に含まれる端部を保持して携帯端末から離れる方向に操作される。
【0010】
本発明の他の目的は、ガラスフィルムを携帯端末に貼り付けるために用いられる吸盤治具を提供することにある。この吸盤治具は、一対の吸盤と、一方の吸盤の吸着面を他方の吸盤の吸着面に対して傾斜させた状態で一対の吸盤を支持する治具本体とを備える。
【0011】
ガラス基板及び粘着層を備えたガラスフィルムに対して一対の吸盤を吸着させると、一対の吸盤の吸着面が相対的に傾斜しているため、ガラスフィルムを湾曲させることができる。そして、ガラスフィルムの湾曲していない部分を位置合わせしながら携帯端末に貼り付けることができる。ここで、ガラスフィルムの湾曲した部分は、携帯端末から離れたままとなるため、ガラスフィルムの位置がずれてしまったときには、携帯端末からガラスフィルムを一旦剥した後、位置を修正してガラスフィルムを貼りなおすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯端末に貼り付けられたガラスフィルムに対して、吸着面が相対的に傾斜している一対の吸盤を吸着させると、ガラスフィルムの一部を携帯端末から剥す方向の外力をガラスフィルムに作用させることができる。この状態において、フック治具の保持部を用いてガラス基板の端部を持ち上げれば、ガラスフィルムを携帯端末から剥すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2に示す矢印D1の方向から吸盤治具を見たときの図である。
【
図5】携帯端末に貼り付けられたガラスフィルムに吸盤治具を吸着させた状態を示す図である。
【
図6】ガラスフィルムの構造とフック治具の保持部との関係を示す図である。
【
図8】吸盤治具及びフック治具の配置(一例)を説明する図である。
【
図9】携帯端末にガラスフィルムを貼り付ける状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、スマートフォンなどの携帯端末に貼り付けられたガラスフィルムを剥すために用いられる治具セットである。この治具セットは、後述する吸盤治具10及びフック治具20を有する。ガラスフィルムは携帯端末の外面(主に表示画面)を保護するためのフィルムである。以下、吸盤治具10及びフック治具20の構造について具体的に説明する。
【0015】
(吸盤治具の構造)
吸盤治具10の構造について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1は吸盤治具10の斜視図であり、
図2は吸盤治具10の一側面図であり、
図3は
図2に示す矢印D1の方向から吸盤治具10を見たときの図である。
【0016】
吸盤治具10は治具本体11を有しており、治具本体11は、一対の支持部11a,11bと、一対の支持部11a,11bの間に設けられた薄肉部11cを有する。薄肉部11cを設けることにより、治具本体11を薄肉部11cにおいて変形させることができ、一対の支持部11a,11bの相対的な位置を変更することができる。
【0017】
一対の支持部11a,11bには、一対のフック部11dがそれぞれ設けられている。各フック部11dは、各支持部11a,11bの側面から上方に向かって延びており、各フック部11dと各支持部11a,11bの側面との間にはスペースが形成されている。このスペースは、後述するリング14をフック部11dに引っ掛けるために用いられる。
図3から分かるように、一対のフック部11dは、治具本体11の一方の側面にのみ設けられており、治具本体11の他方の側面にはフック部11dが設けられていない。
【0018】
支持部11aの上面には、作業者が吸盤治具10を保持するための保持部12が設けられている。保持部12の形状は、
図1~
図3に示す形状に限るものではなく、作業者が保持しやすい形状であればよい。
【0019】
各支持部11a,11bの底面には吸盤13が固定されている。吸盤13の傾斜面には、フック部11dに対応した位置に突起部13aが設けられており、突起部13aにはリング14が取り付けられている。具体的には、リング14は突起部13aを貫通した状態で突起部13aに取り付けられている。
【0020】
突起部13aに取り付けられたリング14は、フック部11dに引っ掛けられている。吸盤13は、ガラスフィルムに吸着する吸着面13bを有しており、吸着面13bは凹状に形成されている。吸着面13bをガラスフィルムの表面に沿って変形させることにより、吸着面13bをガラスフィルムに吸着することができる。
【0021】
図2に示すように、治具本体11が自然状態にあるとき、一対の支持部11a,11bは互いに異なる高さに位置している。そして、支持部11bに固定された吸盤13の吸着面13bは、支持部11aに固定された吸盤13の吸着面13bに対して角度θの分だけ傾斜している。ここで、上述したように吸着面13bは凹状に形成されているが、角度θは、各吸着面13bの外縁を含む平面によって規定される。
【0022】
上述した角度θは適宜決めることができる。ここで、角度θを大きくしすぎると、後述するように一対の吸盤13によってガラスフィルムを湾曲させようとするときに、ガラスフィルムに過度の応力を与えてしまう。一方、角度θを小さくしすぎると、一対の吸盤13によってガラスフィルムを湾曲させにくくなり、後述するガラスフィルムの剥離作業や貼付作業を効率良く行うことができなくなる。この点を考慮して、角度θを決めることが好ましい。
【0023】
本実施形態では、突起部13aに取り付けられたリング14をフック部11dに引っ掛けることにより、各支持部11a,11bの側面及び各吸盤13を接続しているが、これに限るものではない。すなわち、各支持部11a,11bの側面及び各吸盤13を接続できる構造であればよく、
図1などに示す構造に限るものではない。具体的には、各吸盤13の突起部13aと、各支持部11a,11bの側面とを接続する接続部を設けることができる。
【0024】
この接続部としては、吸盤13及び各支持部11a,11bから独立した部材で構成し、吸盤13及び各支持部11a,11bに対して接続部を着脱可能に取り付けることができる。また、吸盤13(又は各支持部11a,11b)に接続部を一体的に形成し、この接続部を各支持部11a,11b(又は吸盤13)に着脱可能に取り付けることもできる。さらに、吸盤13及び各支持部11a,11bの両方に対して接続部を一体的に形成することもできる。
【0025】
(フック治具の構造)
フック治具20の構造について、
図4を用いて説明する。
図4は、フック治具20の斜視図である。
【0026】
フック治具20は、棒状に形成されたグリップ部21と、グリップ部21の一端側に設けられた屈曲部22と、屈曲部22の先端に設けられた保持部23とを有する。グリップ部21、屈曲部22及び保持部23は、一体的に形成されている。
【0027】
グリップ部21は、作業者によって保持される部分であり、
図4に示す形状に限るものではない。屈曲部22は、外力を受けることによって弾性変形が可能である。保持部23は、後述するように、ガラスフィルム(ガラス基板)の端部を保持できるように凹状に形成されている。
【0028】
(ガラスフィルムの剥離作業)
次に、上述した治具セットを用いて、携帯端末に貼り付けられたガラスフィルムを剥す作業について、
図5から
図7を用いて説明する。
図5に示すように、ガラスフィルム30は携帯端末40の表示画面に貼り付けられている。
【0029】
まず、
図5に示すように、吸盤治具10をガラスフィルム30に吸着させる。
図2を用いて説明したように、吸盤治具10が自然状態にあるとき、一対の吸盤13は角度θの分だけ相対的に傾斜している。ここで、薄肉部11cを弾性変形させることにより、
図5に示すように、一対の吸盤13をガラスフィルム30に吸着させることができる。一対の吸盤13をガラスフィルム30に吸着させると、薄肉部11cの復元力によって、
図5の矢印D2で示す方向の外力(すなわち、ガラスフィルム30の一部を携帯端末40から剥す方向の力)がガラスフィルム30に作用する。
【0030】
次に、ガラスフィルム30の端部にフック治具20の保持部23を接触させる。
図6に示すように、ガラスフィルム30はガラス基板31及び粘着層32を有しており、粘着層32が携帯端末40に貼り付けられている。ここで、粘着層32はガラス基板31の端面まで形成されていなく、ガラス基板31には粘着層32が形成されていない非粘着領域31aが存在する。
【0031】
フック治具20の保持部23は、ガラス基板31の非粘着領域31aを保持できるように凹状に形成されている。ここで、保持部23を非粘着領域31aに接触させたとき、保持部23の先端が粘着層32に接触しないように保持部23の形状が決められている。保持部23を粘着層32に接触させないことにより、保持部23によって粘着層32が傷ついてしまうことを防止できる。粘着層32を傷つけてしまうと、ガラスフィルム30を携帯端末40から剥したときに、粘着層32の一部が携帯端末40に付着したままとなってしまうことがある。
【0032】
保持部23を非粘着領域31aに接触させるとき、作業者は、
図7に示すように、携帯端末40の表面に対してフック治具20が略垂直となるように配置し、グリップ部21を持った状態で矢印D3の方向にフック治具20を押し込む。これにより、フック治具20の屈曲部22が弾性変形し、屈曲部22の先端に設けられた保持部23が携帯端末40の表面に沿って移動することにより、保持部23をガラス基板31の非粘着領域31aに容易に接触させることができる。
【0033】
次に、フック治具20の保持部23によってガラス基板31の非粘着領域31aを保持した状態において、ガラスフィルム30を剥す方向にフック治具20を移動させる。
図5を用いて説明したように、ガラスフィルム30に吸着された吸盤治具10の復元力によって、ガラスフィルム30には矢印D2で示す方向の外力が作用している。このため、フック治具20によってガラス基板31の非粘着領域31aを携帯端末40から離れる方向に移動させると、吸盤治具10の復元力によってガラスフィルム30を携帯端末40から剥しやすくなる。
【0034】
吸盤治具10が自然状態に戻ると、
図2に示す一対の吸盤13の吸着面13bに沿ってガラスフィルム30を湾曲させることができ、ガラスフィルム30の一部を携帯端末40から剥したままの状態とすることができる。この状態において、作業者は、保持部12を保持して吸盤治具10を引っ張ることにより、ガラスフィルム30の全体を携帯端末40から剥すことができる。
【0035】
携帯端末40からガラスフィルム30を剥がすときには、例えば、
図8に示すように吸盤治具10及びフック治具20を配置することができる。
図8には、吸盤治具10に設けられた一対の吸盤13と、フック治具20に設けられた保持部23との位置関係を示している。
【0036】
図8に示すように、一対の吸盤13は、ガラスフィルム30の角部に吸着させることができ、ガラスフィルム30の角部の略対角線上に一対の吸盤13を並べることができる。ここで、ガラスフィルム30の角部に近い吸盤13としては、支持部11aに固定された吸盤13とすることができ、支持部11aに設けられた保持部12を用いて、ガラスフィルム30を剥しやすくなる。
【0037】
フック治具20の保持部23によってガラス基板31の角部(上述した非粘着領域31a)を保持しながらガラス基板31の角部を持ち上げれば、吸盤治具10の復元力を利用してガラスフィルム30の角部を携帯端末40から剥すことができる。このように、ガラスフィルム30の角部に対して吸盤治具10及びフック治具20を配置することにより、ガラスフィルム30を携帯端末40から剥しやすくなる。
【0038】
ガラスフィルム30の全体を携帯端末40から剥した後、作業者は、吸盤治具10をガラスフィルム30に対して傾けることにより、吸盤13をガラスフィルム30から剥すことができる。具体的には、
図3において、保持部12を右側に傾けると、フック部11dが斜め上方に移動し、リング14を介して突起部13aが上方に引き上げられる。これにより、吸盤13の一部を持ち上げることができ、吸盤13の吸着面13bをガラスフィルム30から剥すことができる。このように、保持部12を傾けるだけで、吸盤治具10をガラスフィルム30から容易に剥すことができる。
【0039】
なお、本実施形態では、フック治具20の屈曲部22を弾性変形させることにより、保持部23をガラス基板31の非粘着領域31aに接触させるようにしているが、これに限るものではない。すなわち、フック治具20の保持部23によってガラス基板31の非粘着領域31aを保持することができればよく、フック治具20に屈曲部22を設けなくてもよい。
【0040】
(ガラスフィルムの貼付作業)
吸盤治具10は、ガラスフィルム30を携帯端末40から剥がすときに用いられるだけでなく、ガラスフィルム30を携帯端末40に貼り付けるときにも用いることができる。以下、吸盤治具10を用いてガラスフィルム30を貼り付ける作業について説明する。
【0041】
まず、ガラスフィルム30を携帯端末40に貼り付ける前に、吸盤治具10をガラスフィルム30に吸着させる。ここで、吸盤治具10の一対の吸盤13をガラスフィルム30に吸着させると、
図9に示すように、ガラスフィルム30は一対の吸盤13に沿って湾曲する。
【0042】
ここで、吸盤治具10をガラスフィルム30に吸着させるときには、ガラスフィルム30の長手方向(
図9の左右方向)における一端側に吸盤治具10を配置することが好ましい。また、
図9に示すように、保持部12がガラスフィルム30の一端側に位置するように、吸盤治具10を配置することが好ましい。これにより、ガラスフィルム30を携帯端末40に貼り付けるときに、作業者は、吸盤治具10を用いてガラスフィルム30を扱いやすくなる。
【0043】
ガラスフィルム30の粘着層32には、粘着層32を覆う保護シール(不図示)が貼り付けられているため、ガラスフィルム30を携帯端末40に貼り付ける前に、保護シールを粘着層32から剥しておく。そして、
図9に示すように、ガラスフィルム30のうち、吸盤治具10を吸着していない側から、携帯端末40に対する貼り付け位置を確認しながらガラスフィルム30を貼り付ける。
【0044】
上述したように、ガラスフィルム30は吸盤治具10によって湾曲しているため、ガラスフィルム30の全体が携帯端末40に貼り付けられることはなく、ガラスフィルム30の一部は携帯端末40から離れることになる。これにより、携帯端末40に対するガラスフィルム30の貼り付け位置がずれてしまった場合には、ガラスフィルム30を携帯端末40から容易に剥すことができる。そして、ガラスフィルム30の貼り付け位置を修正した後、ガラスフィルム30を携帯端末40に貼り付けなおすことができる。
【0045】
吸盤治具10が吸着されたガラスフィルム30を携帯端末40の所望の位置に貼り付けた後、吸盤治具10をガラスフィルム30から剥し、携帯端末40から離れているガラスフィルム30の一部を携帯端末40に貼り付ける。これにより、ガラスフィルム30の全体を携帯端末40に貼り付けることができる。上述したように、吸盤治具10の保持部12を傾けることにより、吸盤治具10をガラスフィルム30から容易に剥すことができる。
【符号の説明】
【0046】
10:吸盤治具、11:治具本体、11a,11b:支持部、11c:薄肉部、
11d:フック部、12:保持部、13:吸盤、13a:突起部、13b:吸着面、
14:リング、20:フック治具、21:グリップ部、22:屈曲部、23:保持部、
30:ガラスフィルム、31:ガラス基板、32:粘着層、40:携帯端末
【要約】
【課題】 携帯端末からガラスフィルムを剥すことができる治具セットを提供する。
【解決手段】 ガラス基板(31)及び粘着層(32)を備えたガラスフィルム(30)を携帯端末(40)から剥すために用いられる治具セットであり、吸盤治具(10)及びフック治具(20)を有する。吸盤治具(10)は、一対の吸盤(13)と、一方の吸盤(13)の吸着面(13b)を他方の吸盤(13)の吸着面(13b)に対して傾斜させた状態で一対の吸盤(13)を支持する治具本体(11)とを備える。フック治具(20)は、粘着層(32)が形成されていないガラス基板(31)の端部(31a)を保持する保持部(23)を備える。
【選択図】
図5