(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】倉庫出入口ガード機構
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
(21)【出願番号】P 2023188350
(22)【出願日】2023-11-02
【審査請求日】2023-11-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523416586
【氏名又は名称】稲富 博則
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】稲富 博則
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204225721(CN,U)
【文献】特開2005-075616(JP,A)
【文献】中国実用新案第211230151(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第03984928(EP,A1)
【文献】特開2001-354303(JP,A)
【文献】特開2020-051190(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010176(JP,U)
【文献】特開2024-053463(JP,A)
【文献】米国特許第4849735(US,A)
【文献】特開2003-261205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の保管倉庫において、
荷役運搬車両による荷物の搬入出に際し、前記荷役運搬車両が前記保管倉庫の搬入出口を構成する壁面と衝突することを防止する倉庫出入口ガード機構であって、
前記搬入出口の左右側端部近傍の床面に設置され弾性作用を有する復元機構と、
前記復元機構上に設置され、前記搬入出口の開口に沿って設けられたガードポストと、
前記荷役運搬車両の各部位または前記荷役運搬車両に支持された荷物が前記ガードポストの上方に位置することを検出して検出信号を出力する対物センサと、
前記対物センサの前記検出信号に連動して、前記荷役運搬車両が前記搬入出口に接触する虞があることを伝達する報知手段と、
を備え、
前記ガードポストは、
左右の前記復元機構の上面に垂直に立設した左右のガードポール部と、
左右の前記ガードポール部の上端部間に架設された上部ポール部と、
を含み、
前記上部ポール部は、
左右の前記ガードポール部に基端部を連結した支持部と、
前記支持部の先端部間に連結部を介して水平状に架設した水平部と、
を有し、
前記連結部は、一定の荷重が生起されると破断する破断部を有
し、
前記ガードポストは、
左右の前記ガードポール部と前記上部ポール部の前記支持部とを接合する連結手段に支持され、前記ガードポール部の内部空間に垂設された錘を含み、
前記荷役運搬車両との衝突により傾動した際、左右の前記ガードポール部の内周面と前記錘とが衝突して衝突音が生起されること
を特徴とす
る倉庫出入り口ガード機構。
【請求項2】
左右の前記ガードポール部は、少なくとも1個以上の出音孔を外周表面に有することを特徴とする請求項
1に記載の倉庫出入り口ガード機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫出入口を構成する自動扉及びその周囲の壁面が荷役運搬車両との衝突により損傷することを防止する倉庫出入口ガード機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型の荷物を保管する倉庫内には、複数の荷物の保管スペースを確保するために、複数の保管棚が多段式に構築されている。このような保管棚から荷物を搬入・搬出する際には荷役運搬車両(以下、フォークリフトともいう)が好適に用いられている。そして、倉庫内に大型の荷物を搬入する際には、フォークリフトにより保管する荷物を倉庫出入口から搬入して保管棚に保管し、倉庫内の荷物を搬出する際には、同様にフォークリフトにより保管棚に保管した荷物を倉庫出入口から倉庫外部に搬出している。
【0003】
また、近年では、荷物の保管倉庫は大型化しているため、倉庫内の多段式の保管棚も高段で設置されている。このため、荷物の運搬に使用されるフォークリフトも、高いところの保管棚に荷物を搬入・搬出することができる高マストのフォークリフトが好適に用いられる。
【0004】
一般に倉庫出入口は、フォークリフトの接近を検知して自動的に開閉する自動扉が設置されている。特に、冷凍・冷蔵倉庫においては、庫内の温度を保つために、フォークリフトが通過できる程度の大きさの自動扉が設けられている。
【0005】
しかしながら、フォークリフトは、作業者が操作するため、作業者の不注意等により、倉庫出入口の自動扉を損傷する事故が発生する可能性がある。特に、冷凍・冷蔵倉庫においては、倉庫出入口の自動扉が損傷して閉止状態を保てなくなると、温度の高い外気が倉庫内に侵入し、冷凍・冷蔵に適した温度に庫内の温度を保つことができなくなる。
【0006】
このような、倉庫出入口におけるフォークリフトとの衝突事故を未然に防止するために、倉庫出入口の入口側と出口側の両側端部にそれぞれ垂直に立設し、その内側に分銅を垂設したガードポストが開示されている。このガードポストは、傾動した際、ガードポストの内側面と分銅が衝突することで出音する構成により、方向を変更することなくフォークリフトを進行させると倉庫出入口と接触する虞があることをフォークリフトを操作する作業者に報知して、フォークリフトと倉庫出入口との衝突を回避することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のガードポストは、倉庫出入口の両側端部近傍にガードポストを垂直に立設することにより、フォークリフトと倉庫出入口の壁面や自動扉との接触を防止して倉庫出入口の壁面や自動扉の損傷を抑制することができる。
【0009】
しかしながら、大型倉庫における荷物の搬入出作業において、高マストのフォークリフトを荷物の運搬に使用する場合、フォークリフトを操作する作業者がマストを上昇させた態様でフォークリフトを移動させると、倉庫出入口を構成する上部壁面にフォークリフトのフォークやフォーク上の荷物が衝突する虞がある。
【0010】
また、上述した特許文献1のガードポストは、フォークリフトとガードポストとの衝突の衝撃をガードポストが傾動することにより吸収することができる。しかしながら、ガードポストとの衝突をフォークリフトの作業者が気付かない場合、または、認知が遅れた場合に、ガードポストの傾動にも限界があるため、衝撃を吸収しきれずにガードポストが損壊して、最終的に扉やその周囲の壁を破壊してしまう虞がある。
【0011】
特に、冷凍・冷蔵倉庫においては、倉庫内の低温状態を保持するために、倉庫の壁に複数の断熱材を使用した特殊な壁材が用いられることが一般的であり、この特殊な壁材が損傷すると、本来の冷凍・冷蔵倉庫の機能を保てなくなるため早急な補修が必要となる。また、その補修に係る費用も高額になるため、フォークリフトの各部位やフォークリフトで搬送中の荷物と倉庫出入口を構成する壁面との接触を効果的に防止することが待望される。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、倉庫の出入口を構成する自動扉やその周囲の壁とフォークリフトの各部位との衝突を未然に防止すること、さらに、衝突が避けられなかった場合に被害を最小限に抑えること、が可能な機能と形状を備えた倉庫出入口ガード機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、荷物の保管倉庫において、荷役運搬車両による荷物の搬入出に際し、前記荷役運搬車両が前記保管倉庫の搬入出口を構成する壁面と衝突することを防止する倉庫出入口ガード機構であって、前記搬入出口の左右側端部近傍の床面に設置され弾性作用を有する復元機構と、前記復元機構上に設置され、前記搬入出口の開口に沿って設けられたガードポストと、前記荷役運搬車両の各部位または前記荷役運搬車両に支持された荷物が前記ガードポストの上方に位置することを検出して検出信号を出力する対物センサと、前記対物センサの前記検出信号に連動して、前記荷役運搬車両が前記搬入出口に接触する虞があることを伝達する報知手段と、を備える、ものである。
【0014】
また、本発明の第2の態様は、前記ガードポストは、左右の前記復元機構の上面に垂直に立設した左右のガードポール部と、左右の前記ガードポール部の上端部間に架設された上部ポール部と、を含み、前記上部ポール部は、左右の前記ガードポール部に基端部を連結した支持部と、前記支持部の先端部間に一定の荷重が生起されると破断する連結部を介して水平状に架設した水平部と、を有する、ものである。
【0015】
本発明の第3の態様は、前記ガードポストは、左右の前記ガードポール部と前記上部ポール部の前記垂直部とを接合する連結手段に支持され、前記ガードポール部の内部空間に垂設された錘を含み、前記荷役運搬車両との衝突により傾動した際、左右の前記ガードポール部の内周面と前記錘とが衝突して衝突音が生起される、ものである。
【0016】
本発明の第4の態様は、左右の前記ガードポール部は、少なくとも1個以上の出音孔を外周表面に有する、ものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、荷物の保管倉庫において、荷役運搬車両による荷物の搬入出に際し、前記荷役運搬車両が前記保管倉庫の搬入出口を構成する壁面と衝突することを防止する倉庫出入口ガード機構であって、前記搬入出口の左右側端部近傍の床面に設置され弾性作用を有する復元機構と、前記復元機構上に設置され、前記搬入出口の開口に沿って設けられたガードポストと、前記荷役運搬車両の各部位または前記荷役運搬車両に支持された荷物が前記ガードポストの上方に位置することを検出して検出信号を出力する対物センサと、前記対物センサの前記検出信号に連動して、前記荷役運搬車両が前記搬入出口に接触する虞があることを伝達する報知手段と、を備えた構成により、倉庫の出入口を構成する自動扉やその周囲の壁と荷役運搬車両の各部位とが直接衝突する虞が無く、倉庫出入口を構成する自動扉やその周囲の壁の損傷を防止することができる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、前記ガードポストは、左右の前記復元機構の上面に垂直に立設した左右のガードポール部と、左右の前記ガードポール部の上端部間に架設された上部ポール部と、を含み、前記上部ポール部は、左右の前記ガードポール部に基端部を連結した支持部と、前記支持部の先端部間に一定の荷重が生起されると破断する連結部を介して水平状に架設した水平部と、を有することにより、フォークリフトが水平部と接触した際に生じる衝撃を連結部が破断することで発散し、倉庫出入口を構成する自動扉やその周囲の壁の損傷を防止することができる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、前記ガードポストは、左右の前記ガードポール部と前記上部ポール部の前記垂直部とを接合する連結手段に支持され、前記ガードポール部の内部空間に垂設された錘を含み、前記荷役運搬車両との衝突により傾動した際、左右の前記ガードポール部の内周面と前記錘とが衝突して衝突音が生起される構成により、荷役運搬車両とガードポストとが衝突した場合の衝突音を、荷役運搬車両を運転する作業者に知らせることができるので、この衝突音を聞いた作業者が、速やかに荷役運搬車両を停止することで、倉庫出入口と荷役運搬車両とが直接衝突することを防止することができる。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、前記ガードポール部は、少なくとも1個以上の出音孔を外周表面に有する構成により、ガードポール部の内周面と錘とが接触した際に生起される衝突音が、荷役運搬車両を操作する作業者に効果的に伝達され、荷役運搬車両とガードポストとの接触を作業者が速やかに認知して、荷役運搬車両を速やかに停止させ、倉庫出入口と荷役運搬車両との衝突を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る倉庫出入口ガード機構を設置した態様を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る倉庫出入口ガード機構を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る倉庫出入口ガード機構を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る倉庫出入口ガード機構の対物センサの検出を説明する模式的な側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る倉庫出入口ガード機構と搬送中の荷物が接触した態様を示す模式的な側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る上部ポール部の連結部の構成を示す正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る上部ポール部の調整リング付調整機構および調整リングの構成を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、荷物の保管倉庫において、荷役運搬車両による荷物の搬入出に際し、前記荷役運搬車両が前記保管倉庫の搬入出口を構成する壁面と衝突することを防止する倉庫出入口ガード機構であって、前記搬入出口の左右側端部近傍の床面に設置され弾性作用を有する復元機構と、前記復元機構上に設置され、前記搬入出口の開口に沿って設けられたガードポストと、前記荷役運搬車両の各部位または前記荷役運搬車両に支持された荷物が前記ガードポストの上方に位置することを検出して検出信号を出力する対物センサと、前記対物センサの前記検出信号に連動して、前記荷役運搬車両が前記搬入出口に接触する虞があることを伝達する報知手段と、を備える倉庫出入口ガード機構に関するものである。以下、本発明の倉庫出入口ガード機構の実施例について、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る倉庫出入口ガード機構1の全体構成について
図1から
図8を用いて説明する。
図1は、倉庫出入口ガード機構1を設置した態様を示す斜視図である。
図2は、倉庫出入口ガード機構1を示す正面図と、復元機構Rを拡大した図であり、
図3は、その平面図と、復元機構Rを拡大した図である。
図4は、倉庫出入口ガード機構1の対物センサ6の検出を説明するための模式的な側面図であり、壁面Wおよび倉庫出入口SEについて模式的に図示している。
図5は、倉庫出入口ガード機構1とフォークリフト2で支持した荷物とが接触した状態を示すための模式的な側面図であり、ガードポスト10、壁面Wおよび倉庫出入口SEについて一部断面で図示している。
図6は、左右のガードポール部10R、10Lの出音孔52の位置を示すための端面図である。
図7は、上部ポール部10Uの連結部12の形態と破断部20を示す正面図であり、支持部11、連結部12、水平部13を断面で示している。
図8は上部ポール部10Uの連結部12の構成と調整リング22を示す正面図であり、支持部11、連結部12、水平部13を断面で示している。なお、本実施形態の説明において、荷役運搬車両をフォークリフト2を例示して説明する。
【0024】
図1に示すように、倉庫出入口ガード機構1は、倉庫の内部と外部を区画する壁面Wに設けられた倉庫出入口SEの左右側端部近傍の床面Fに設置された復元機構Rと、復元機構Rの上部に載置され倉庫出入口SEの入口側及び出口側を囲うように設けられた門型のガードポスト10と、倉庫出入口SEの入口側及び出口側の上部中央に設けられた対物センサ6と、対物センサ6の検出信号に連動してフォークリフト2と倉庫出入口SEを構成する壁面Wとが接触する可能性の有無について、フォークリフト2の作業者に伝達する報知手段30と、から構成されている。
【0025】
図2(復元機構Rの拡大正面図)及び
図3(復元機構Rの拡大平面図)に示すように、倉庫出入口SEの左右端部近傍の床面F上に設置された復元機構Rは、矩形板状のベースプレート43の上面に配設された複数(図中は4個)の防振ユニットR1、R2、R3、R4により構成されている。ベースプレート43は、四隅にアンカーボルトB2を挿通することで床面Fに固設されている。防振ユニットR1、R2、R3、R4は、平面視においてベースプレート43に納まる態様で、2列2行で均等に配設されている。
【0026】
防振ユニットR1、R2、R3、R4は、平面視において、ひし形形状に形成された取付プレート42の長手方向(左右方向)の両端部近傍を取付ボルトB1によりベースプレート43の上面にそれぞれ固設されている。取付プレート42の中央部には円柱状の防振ゴム40が固設されている。防振ゴム40は、中央上部に防振ゴム40の上面に直交するように垂直にボルト41を突設している。
【0027】
そして、各防振ユニットR1、R2、R3、R4のボルト41と、左右のガードポール部10R,10Lの底板44と、を連結させることにより、防振ユニットR1、R2、R3、R4の上部、換言すると復元機構Rの上部に、左右のガードポール部10R,10Lが垂直に立設される。
【0028】
このように、復元機構Rを、中央に防振ゴム40が配設された複数の防振ユニットR1、R2、R3、R4で構成することにより、倉庫出入口SEの床面Fに垂直に立設した門型のガードポスト10の基台部45を、複数の防振ゴム40で支持することとなる。本実施形態の防振ゴム40は防振材の一種であり、弾性限界の大きな加硫ゴムが好適に用いられる。
【0029】
ガードポスト10の基台部45と床面Fに載置固定したベースプレート43の上面との間に複数の防振ゴム40を介在させることにより、ガードポスト10とフォークリフト2との衝突により生起される衝撃力は、複数の防振ゴム40の弾性変形により吸収される。これにより、ガードポスト10が破損に至るのを抑止することができる。
【0030】
つまり、複数の防振ゴム40の弾性変形の範囲内において、ガードポスト10は、フォークリフト2との衝突により、一旦傾動したとしても、フォークリフト2との衝突が解除されると床面Fに対して垂直な立設状態に復元できる。本実施形態の復元機構Rによれば、防振ゴム40の弾性限界を超えた傾動状態でなければ、何度でも元の状態に復帰することができる。
【0031】
ガードポスト10は、復元機構Rの上部に、左右のガードポール部10R,10Lの基台部45を載置して垂直に立設されている。左右のガードポール部10R,10Lは、上端部間を上部ポール部10Uにより連結されている。すなわち、ガードポスト10は、左右のガードポール部10R,10Lと、上部ポール部10Uとにより全体として門型に形成されている。ガードポスト10は、復元機構Rの上部に門型に立設したため、倉庫出入口SEの左右端部、および上端部を囲うように、倉庫出入口SEの入口側及び出口側に設けられている。
【0032】
左右のガードポール部10R,10Lは、建造用の鋼管で構成されている。左右のガードポール部10R,10Lは、内部に出音空間Sを有する円筒状に形成されており、外周面部に出音空間Sと連通させる1個以上の出音孔52を有する。
図5に示すように、本実施形態において、出音孔52は、左右のガードポール部10R,10Lを上下方向に沿って上部10RH、中部10RM、下部10RLに3等分した際の上部10RH、および下部10RLに設けられている。
【0033】
出音孔52は、左右に対向配置された左右のガードポール部10R,10Lの対向面から倉庫出入口SEから離隔する方向に水平状態を維持しつつ回動変位した外周面に設けられている。なお、
図6に示すように、本実施形態において、出音孔52は、平面視において、左右のガードポール部10R,10Lの軸心CR,CLをつなぐ直線Lから30°前側に回動した位置に設けられている。なお、出音孔52の直線Lからの角度は30°に限定されることはない。
【0034】
出音孔52は、一例として、上下方向を長手方向とする幅20mm長さ200mmの長穴形状が好適に用いられるが、出音孔52は直径30mmの丸穴形状でもよい。すなわち、出音孔52は、左右のガードポール部10R,10Lの内周面と分銅50との衝突音を外部に出音し、その衝突音をフォークリフト2の作業者が認知できればどのような形態で構成されていてもよい。
【0035】
上部ポール部10Uは、一端部を左右のガードポール部10R、10Lに連結した支持部11と、支持部11の他端部に連結部12を介して連結した水平部13と、を有する。支持部11、水平部13、連結部12は、いずれも同一の素材で構成されており、本実施形態においては、例えば、塩化ビニルのような比較的柔らかく軽量な樹脂で構成されている。
【0036】
支持部11は、正面視において逆“L”字状に形成された支持部本体11aからなる。支持部本体11aは、内部に連結空間部11sを有する中空状の部材であり、一端部に支持部本体11aよりも外径を細く形成した嵌合凸部11bを有する。支持部11は、嵌合凸部11bをガードポール部10R、10Lの出音空間Sに挿通することでガードポール部10R、10Lと連結されている。また、支持部11は、ガードポール部10R(10L)との連結部12において、ガードポール部10R(10L)の外周面から嵌合凸部11bを貫通するように取付ボルト16が挿通されている。すなわち、支持部11および左右のガードポール部10R、10Lは、取付ボルト16により、連結状態が解除されないように構成されている。このように構成された支持部11は、他端部(先端部)に連結部12を連結している。
【0037】
連結部12は、直線棒状で内部を中空状とした円筒状に形成されている。連結部12は、外径12Dを支持部11の連結空間部11sの内径と略同径に形成している。すなわち、連結部12と支持部11とは、中間ばめの態様で連結部12を支持部11の連結空間部11sに挿通することにより嵌合固定している。このように連結部12は、片持ち支持の態様で支持部11に支持され、他端部を水平部13に連結している。
【0038】
水平部13は、中空部を有する直線棒状に形成された円筒体である。水平部13は、左右のガードポール部10R,10Lの上端部にそれぞれ連結された支持部11、11の他端部に嵌合固定された左右の連結部12、12間に架設されている。つまり、水平部13は、連結部12,12の他端部を水平部13の連結空間部13sに挿通することで連結部12,12に支持され、左右の連結部12、12により床面Fと平行に支持固定されている。なお、連結部12の外径12Dと水平部13の連結空間部13sの内径13dは、略同径に形成されており、上述の支持部11の連結空間部11sと連結部12との嵌合態様と同様に中間ばめの態様で固定されている。
【0039】
上述した本実施形態において、連結部12は、外径および厚みを略一様とする直線棒状で内部を中空状とした円筒体を例示して説明してきたが連結部12の形態はこれに限定されることはない。例えば、
図7(a)に示すように、連結部12は、支持部11および水平部13よりも厚みを肉薄に形成されていてもよい。また、連結部12について、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなど塩化ビニルよりも剛性の低い材質で構成されていてもよい。
【0040】
また,連結部12について、支持部11と水平部13との間から露出した破断部20において、切欠部21を形成していてもよい。切欠部21は、
図7(b)の拡大部分Nに示すように、連結部12の外周面に軸心12C側を頂部とする略三角形状の切り欠きを形成している。すなわち、連結部12の外周面に、フォークリフト2が上部ポール部10Uに接触した際に応力集中が生じる部分を形成している。この切欠部21は、切欠きの頂点を鋭角状に形成することで破断し易くしている。なお、この切欠部21については、連結部12の外周面に形成されていても、連結部12の内周面に形成されていてもよい。また、連結部12について、破断部20の中央部のみ材質を変更して連結部12の強度を低下させる構成としてもよい。
【0041】
このように連結部12は、フォークリフト2が上部ポール部10Uに接触した際に、連結部12が支持部11や水平部13と比較して変形や破断しやすいように構成されていればどのように構成されていてもよい。
【0042】
また、
図5に示すように、門型のガードポスト10を構成する左右のガードポール部10R,10Lの出音空間Sに分銅50が収納されている。分銅50は、左右のガードポール部10R,10Lの上端部と上部ポール部10Uの支持部11を連結固定する取付ボルト16に吊下線51を介して吊下げられている。
【0043】
吊下線51は、取付ボルト16の軸方向の略中央部に係合しており、その全長を左右のガードポール部10R,10Lの全長の略半分の長さに形成している。すなわち、吊下線51の下端部に連結される分銅50は、吊下線51により、左右のガードポール部10R,10Lの略中央部に設けられている。また、吊下線51は、ステンレス製の鋼線が素材として用いられる。分銅50は、ステンレス製や黄銅クロムメッキ製のものが用いられる。
【0044】
対物センサ6は、倉庫出入口SEを構成する壁面Wの入口側及び出口側の上部中央(
図1~4参照)に設けられている。対物センサ6は、検出エリアPLに進入したフォークリフト2のフォーク3やマスト4、フォーク3上に載置された荷物5が、門型のガードポスト10の上部ポール部10Uより上方に位置しているか否かを検出するためのものである。
【0045】
なお、本実施形態において、対物センサ6は、倉庫出入口SEの入口側及び出口側の壁面Wの上部中央(
図1~5参照)に配設されたものを例示しているが、対物センサ6の配設位置はこれに限定されるものではなく、例えば、門型のガードポスト10の上部ポール部10Uの中央部に配設されていてもよく、また、複数で検知できるように構成されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態における対物センサ6は、検出エリアPLから倉庫出入口SEまでの間において、フォークリフト2のフォーク3、マスト4、フォーク3上に載置された荷物5が門型のガードポスト10の上部ポール部10Uより上方に位置していることを検出できる感度のものが好適に用いられる。
【0047】
報知手段30は、倉庫出入口SEの左右端縁上部近傍の壁面Wに配設されている。報知手段30は、対物センサ6と連動しており、対物センサ6がフォークリフト2のフォーク3、マスト4、フォーク3上に載置された荷物5等を検出して検出信号を出力すると、視覚的な手段や聴覚的な手段により、フォークリフト2の作業者に倉庫出入口SEを構成する壁面Wが損傷する虞があることを伝達するためのものである。本実施形態における視覚的な手段としては、異常を検知した際に赤色での明滅を繰り返す赤色灯31を例示している。
【0048】
また、作業者の聴覚を刺激して注意を促す報知手段30として、倉庫出入口SEの左右端縁上部の壁面Wにスピーカー32を設けることもできる。また、報知手段30は、視覚的な手段の赤色灯31と、聴覚的な手段のスピーカー32を組合せて作業者が認識し易くしていてもよい。
【0049】
本実施形態に係る門型のガードポスト10は、上述した態様で構成されており、この態様で構成された門型のガードポスト10の作用について、以下に説明する。
【0050】
荷役運搬車両であるフォークリフト2、またはフォーク3で支持した荷物5が、門型のガードポスト10を構成する左右のガードポール部10R,10L、または上部ポール部10Uに衝突すると、
図5に示すように、その衝撃によりガードポスト10が倉庫出入口SEの壁面W側に傾動する。
【0051】
左右のガードポール部10R,10Lの内部に吊下げられた分銅50は、ガードポスト10が傾動した際に、左右のガードポール部10R,10Lの内周面と衝突して、左右のガードポール部10R,10Lの内部で衝突音を発生させる。
【0052】
左右のガードポール部10R,10Lと分銅50との衝突によりガードポール部10R、10Lの出音空間Sで生起された衝突音は、左右のガードポール部10R,10Lの外周面に穿設された出音孔52から外部に出音され、フォークリフト2を操作する作業者に伝達される。
【0053】
この衝突音は、金属性の高音域の音が生起されており、フォークリフト2のエンジン音やフォーク3等を作動させるための作動音と発生する音の周波数帯域が異なる。そのため、フォークリフト2を運転する作業者は、分銅50とガードポール部10R、10Lとの接触により生じる衝突音を、倉庫内で生じる他の作動音と区別して聴音でき、フォークリフト2と門型のガードポスト10が衝突したことを確実に認知することができる。
【0054】
上述した構成の倉庫出入口ガード機構1によれば、倉庫出入口SEを囲うように門型のガードポスト10を垂直に立設し、さらに、門型のガードポスト10の上部ポール部10Uより上方に位置するフォークリフト2のフォーク3やマスト4、フォーク3上に載置された荷物5を検出可能な対物センサ6を有する構成、および倉庫出入口SEに接近するまでの間に作業者に注意喚起を促す報知手段30を備える構成により、倉庫出入口SEを構成する壁面Wや倉庫出入口SEを開閉制御する自動扉ADにフォークリフト2が衝突することを防止できる。
【0055】
また、作業者が報知手段30による警告情報を認知しない、または、認知が遅れるなどの理由で、フォークリフト2が門型のガードポスト10に衝突した場合には、ガードポスト10の内部に備える分銅50がガードポール部10R、10Lの内側面と接触して衝突音を発することで、フォークリフト2の進行方向に対して作業者が前後どちらの方向を向いていたとしても、フォークリフト2が門型のガードポスト10に衝突したことを認知させて、倉庫出入口SEを構成する自動扉ADや倉庫出入口SEの周辺の壁面Wとフォークリフト2の各部位とが直接衝突することを防止することができる。
【0056】
また、ガードポスト10の上部ポール部10Uの構成において、支持部11や水平部13の外径と比較して連結部12の外径を細径に構成したことにより、フォークリフト2と上部ポール部10Uとの衝突時に連結部12が破断し易くしている。このように連結部12がフォークリフト2と上部ポール部10Uとの衝突時に破断しやすい構成とすることで、上部ポール部10Uからフォークリフト2への反力を低減して、作業者への負荷を低減することができる。したがって、上部ポール部10Uにフォークリフト2との衝突時に破断しやすい破断部20を形成することで、フォークリフト2の作業者の負傷や、倉庫出入口SEを構成する自動扉ADやその周囲の壁面Wの損傷を防ぐことができる。
【0057】
以下、本実施形態の倉庫内における倉庫出入口ガード機構1の実施形態の一例を説明する。
図1に示すように、倉庫に荷物を搬入出するフォークリフト2は、倉庫出入口SEを通過する前に、既定の検出エリアPLにおいて確実に一旦停止する。倉庫出入口SEには、
図2に示すように自動扉ADが設けられている。自動扉ADは、検出エリアPLにおいてフォークリフト2の停止を確認した後に、対物センサ6から検出信号が出力されなければ開放される。このため、倉庫出入口SEの近傍には、検出エリアPLにおけるフォークリフト2の停止を確認するための図示しない各種センサが設けられている。自動扉ADは、この各種センサの情報に基づいて自動扉ADの開閉を制御する図示しない制御装置により制御されている。
【0058】
図4、5に示すように、倉庫出入口SEの上部中央に設けられた対物センサ6は、フォークリフト2のフォーク3やマスト4、フォーク3上に載置された荷物5が、門型のガードポスト10の上部ポール部10Uより上方に位置していることを検出すると、上述した自動扉ADの開閉を制御する制御装置に検出信号を送信し、制御装置は自動扉ADを開放しないようにする。このとき、門型のガードポスト10の上部ポール部10Uとフォークリフト2のフォーク3やマスト4、フォーク3上に載置された荷物5とが衝突する位置にあることを、赤色灯31を発光しつつ、スピーカー32から警告音(ブザー音)を発生してフォークリフト2を運転する作業者に注意喚起する。
【0059】
門型のガードポスト10の上部ポール部10Uとフォークリフト2のフォーク3やマスト4、フォーク3上に載置された荷物5とが衝突する位置にあることを報知手段である赤色灯31の発光やスピーカー32からの警告音により認知した作業者は、フォークリフト2のフォーク3やマスト4を降下させて、フォークリフト2のフォーク3やマスト4、フォーク3上に載置された荷物5が、門型のガードポスト10の上部ポール部10Uより下方に位置するように操作する。対物センサ6による検出信号の発信が停止されると、自動扉ADの開閉を制御する制御装置は、自動扉ADを開放して、フォークリフト2の通過を可能とする。
【0060】
一方、作業者が報知手段30による警告情報を認知しない、または、認知が遅れた場合、フォークリフト2が門型のガードポスト10と衝突することで、フォークリフト2の移動が妨げられて、フォークリフト2と倉庫出入口SEを構成する壁面Wとの衝突を防止することができる。
【0061】
図5に示すように、門型のガードポスト10は、フォークリフト2と衝突した際、衝突時の衝撃によりガードポスト10が壁面W側に傾動し、左右のガードポール部10R,10Lの内部に吊下げられている分銅50がガードポール部10R、10Lの内周面と衝突して、衝突音が左右のガードポール部10R,10Lの内部で発生する。この衝突音は、ガードポール部10R、10Lの外周面に穿設された複数の出音孔52から外部に出音され、フォークリフト2を運転する作業者に聴音される。
【0062】
この衝突音により、ガードポスト10とフォークリフト2との衝突を認知した作業者は、フォークリフト2を速やかに停止させる。これにより、これ以上のガードポスト10の傾動を回避して、自動扉ADや倉庫出入口SE周辺の壁面Wへのフォークリフト2の衝突を防止することができる。
【0063】
また、作業者は、フォークリフト2とガードポスト10との係合状態を解除する方向にフォークリフト2を移動させることで、復元機構Rを構成する防振ゴム40の作用により、フォークリフト2が衝突する前の垂直状態にガードポスト10を復元することができる。
【0064】
また、フォークリフト2と上部ポール部10Uとの衝突時において、上部ポール部10Uを構成する支持部11と水平部13とを連結部12を介して連結支持した構成により、フォークリフト2と上部ポール部10Uが衝突した際の衝撃が連結部12の変態、または破断することに利用され、フォークリフト2への反力が低減して、フォークリフト2を安全に停止させることができる。また、フォークリフト2と上部ポール部10Uとの衝撃を連結部12の変態、または破断に利用されることで上部ポール部10Uに生起される壁面W側への荷重が低減されて、上部ポール部10Uを自由落下させる。連結部12による上部ポール部10Uの支持が解消されることで、上部ポール部10Uが自由落下してフォークリフト2のフォーク3、マスト4、またはフォーク3上の荷物5に接触することによりフォークリフト2を操作する作業者が怪我することを防止できる。
【0065】
なお、連結部12における破損が生じた際には、連結部12を交換することで容易に機能復旧を行うことが可能である。
【0066】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態と共通の構成については同一の名称または同一の符号を用い、重複する内容についての説明を適宜省略する。
図8は、第2実施形態に係るガードポスト10の上部ポール部10Uとガードポール部10Rの連結部12を示す正面図であり、連結部12と水平部13および支持部11を示す拡大断面図である。
【0067】
第2実施形態に係るガードポスト10は、支持部11の他端部と、上部ポール部10Uの水平部13とを連結する連結部12の支持部11に対する挿通代23bと、水平部13に対する挿通代23aを調整リング22で調整できる構成を備える点で第1実施形態と異なる。
【0068】
連結部12は、直線棒状で内部を中空状に形成した円筒部14と、円筒部14の外周面に半径方向外側に張り出させた凸部15を有する。連結部12は、円筒部14と凸部15とを一体に形成している。
【0069】
円筒部14は、外径14Dを支持部11および水平部13の内径11d,13dと略同径に形成している。連結部12は、円筒部14を支持部11および水平部13に挿通することにより、連結されている。連結部12は、円筒部14の外径14Dと支持部11および水平部13の内径11d,13dとを略同径に形成したことにより、中間ばめの態様で連結されている。
【0070】
凸部15は、円筒部14の略中央部の外周面に半径方向外側に張り出させるように設けられている。凸部15は、外径15Dを支持部11および水平部13の外径11D,13Dと略同径としている。つまり、凸部15は、支持部11と水平部13とを連結した態様において、支持部11と水平部13と凸部15が略面一となるように連結されている。
【0071】
また、円筒部14には、調整リング22が外嵌されている。調整リング22は、環状形状であって、内径22dを円筒部14の外径14Dと略同径に形成している。また、調整リング22は、外径22Dを凸部15、水平部13、支持部11の外径15D,13D,11Dと略同径に形成している(
図8(d)参照)。調整リング22は、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の弾性材で構成されている。
【0072】
調整リング22は、円筒部14に外嵌されており、支持部11または水平部13に挿通される円筒部14の挿通代23a,23bを調整するための調整部材である。つまり、
図8(a)から
図8(c)に示すように、円筒部14に外嵌する調整リング22の数に応じて円筒部14の挿通代23を変化させることができる。例えば、円筒部14の支持部11側に装着される調整リング22の数を6個とした場合(
図8(a)参照)、支持部11に挿通される円筒部14の挿通代23bは短くなり、連結部12と支持部11とが外れやすくなる。また、円筒部14の支持部11側に装着される調整リング22の数を0個とした場合、支持部11に挿通される円筒部14の挿通代23bは長くなり、連結部12と支持部11とが外れにくくなる(
図8(c)参照)。
【0073】
なお、
図8(b)は、円筒部14の水平部13に挿通する側に装着される調整リング22の数を2個とし、支持部11側に装着される調整リング22の数を4個とした場合を例示している。このように構成することで、
図8(a)の形態に比べて、水平部13への挿通代23aと、支持部11への挿通代23bとの長さの比を任意に調整して、使用態様に応じて連結部12と支持部11、または連結部12と水平部13の嵌合状態を自由に調整できる。
【0074】
このように、連結部12は、凸部15により左右に分断された円筒部14に外嵌される調整リング22の数を調整することで支持部11または水平部13への円筒部14の挿通代23b,23aを調整して、水平部13と連結部12、または支持部11と連結部12との連結強度を調整できる。すなわち、連結部12は、円筒部14に外嵌する調整リング22の数に応じて支持部11、または水平部13からの離脱し易さを調整できる。
【0075】
連結部12をこのように構成することで、倉庫出入口ガード機構1に進入するフォークリフト2の方向に応じて連結部12と支持部11、または水平部13との連結強度を変更できる。
【0076】
例えば、倉庫出入口ガード機構1に対して正面側、または右側から進入する頻度が高い場合、右側に位置する連結部12の支持部11との連結強度を高く設定し、左側に位置する連結部12の支持部11との連結強度を低く設定する。つまり、右側の連結部12の支持部11との挿通代23bを大きくして、左側の連結部12の支持部11の挿通代23bを小さくする。
【0077】
このように左右の支持部11と連結部12との連結強度を調整リング22で調整することにより、フォークリフト2が水平部13と衝突した際にフォークリフト2に生起される衝突エネルギーを左右の支持部11と連結部12との連結状態の解除に使用されることで効率的に吸収することができる。
【0078】
上述した例では、フォークリフト2が水平部13に衝突すると、水平部13には、左に変位しようとする荷重が生起される。水平部13は、左に変位することで右側の支持部11との連結状態が解除されるとともに、左側の連結部12の凸部15と、左側の支持部11により左側の連結部12の円筒部14に外嵌した調整リング22が押圧され、圧縮変形する。その後、圧縮変形した調整リング22は、その弾性作用により、水平部13を右側に変位させる。その結果、水平部13は、左側の支持部11との連結状態が解除される。この際、フォークリフト2が衝突したことにより水平部13に生起された衝突エネルギーは、右側の連結部12が右側の支持部11との連結状態を解除すること、および左側の連結部12が左側の支持部11との連結状態を解除することに使用され、水平部13が壁面W側に変位することを防止できる。
【0079】
このように第2実施形態では、倉庫出入口ガード機構1の使用態様に応じて、水平部13と支持部11を連結する連結部12の挿通代23a,23bを調整リング22で自由に調整できるように構成することで、フォークリフト2が水平部13に衝突した際、水平部13と支持部11との連結状態を解除してフォークリフト2への反力を低減し、作業者への負荷を低減できる。また、フォークリフト2と水平部13との衝突エネルギーを連結部12と支持部11との連結状態を解除することに使用することにより、水平部13を自然落下に近い態様で落下させることができ、フォークリフト2、または支持部11との連結状態が解除された水平部13が壁面Wと接触して壁面Wが破損することを防止できる。
【0080】
以上、上記実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 倉庫出入口ガード機構
2 フォークリフト
3 フォーク
4 マスト
5 荷物
6 対物センサ
10 ガードポスト
10R、10L ガードポール部
10U 上部ポール部
11 支持部
11a 支持部本体
11b 嵌合凸部
11s 連結空間部
11D 外径
11d 内径
12 連結部
12D 外径
13 水平部
13s 連結空間部
13D 外径
13d 内径
14 円筒部
14D 外径
15 凸部
15D 凸部外径
16 取付ボルト
20 破断部
21 切欠部
22 調整リング
22D 外径
22d 内径
23a、23b 挿通代
30 報知手段
31 赤色灯
32 スピーカー
45 基台部
50 分銅
51 吊下線
52 出音孔
S 出音空間
AD 自動扉
R 復元機構
SE 倉庫出入口
PL 検出エリア
F 床面
W 壁面
【要約】
【課題】倉庫の出入口を構成する自動扉やその周囲の壁とフォークリフトの各部位との衝突を未然に防止することが可能な機能と形状を備えた倉庫出入口ガード機構を提供することを目的とする。
【解決手段】荷物の倉庫において、荷役運搬車両で倉庫出入口を通過して荷物を搬入・搬出する際に、前記倉庫出入口を構成する自動扉やその周囲の壁と前記荷役運搬車両の各部位との衝突を未然に防止するために、前記荷役運搬車両との衝突により傾動し、衝突が解除された場合は垂直に復元する復元機構を備えた門型ガードポストを、前記倉庫出入口を囲うように出口側・入口側それぞれに垂直に立設していることを特徴とする倉庫出入口ガード機構とした。
【選択図】
図1