(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】JAK阻害剤およびラウレス-4を含有する局所配合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20241016BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241016BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20241016BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241016BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241016BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20241016BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241016BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241016BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241016BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20241016BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20241016BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20241016BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241016BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241016BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/12
A61K31/5377
A61K31/573
A61K38/13
A61K47/10
A61K47/20
A61P17/00
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/14
A61P29/00
A61P37/08
A61P43/00 111
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2023505843
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 US2021071019
(87)【国際公開番号】W WO2022027041
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518194257
【氏名又は名称】アーキュティス・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,デビッド・ダブリュー
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/084383(WO,A1)
【文献】Journal of Pharmaceutical Sciences,1976年,Vol. 65, No. 12,pp. 1780-1783
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/519
A61K 9/06
A61K 9/107
A61K 9/12
A61K 31/5377
A61K 31/573
A61K 38/13
A61K 47/10
A61K 47/20
A61P 17/00
A61P 17/04
A61P 17/06
A61P 17/14
A61P 29/00
A61P 37/08
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む局所医薬組成物
であって、JAK阻害剤がSHR0302である局所医薬組成物。
【請求項2】
請求項
1に記載の局所医薬組成物であって、JAK阻害剤が約0.1~約1.0%w/wの量で存在する局所医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の局所医薬組成物であって、ラウレス-4が約0.5~約5%w/wの量で存在する局所医薬組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の局所医薬組成物であって、さらにジメチルスルホキシドを含む局所医薬組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の局所医薬組成物であって、さらに抗酸化剤、保存剤、乳化剤、保湿剤または増粘剤を含む局所医薬組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の局所医薬組成物であって、前記組成物が、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、親水性軟膏または疎水性軟膏からなる群から選択される局所医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の局所医薬組成物であって、さらにコルチコステロイド、チモロール、メトトレキサートまたはシクロスポリンを含む局所医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の局所医薬組成物であって、該局所医薬組成物の皮膚浸透が、インビトロ透過試験により測定された際にラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される局所医薬組成物。
【請求項9】
それを必要とする対象において炎症性皮膚疾患、障害または病気を処置する方法
に使用するための請求項1に記載の局所医薬組成物であって、
前記方法が以下の工程:
JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む
局所医薬組成物を該対象に局所投与する;
を含む
、局所医薬組成物。
【請求項10】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、前記の炎症性皮膚疾患、障害または病気が、アトピー性皮膚炎、酒さ、乾癬、脂漏性皮膚炎、白斑、湿疹または円形脱毛症である
局所医薬組成物。
【請求項11】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、該
局所医薬組成物が、1日あたり1回以上該対象に投与される
局所医薬組成物。
【請求項12】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、該JAK阻害剤が該
局所医薬組成物中に約0.1~約1.0%w/wの量で存在する
局所医薬組成物。
【請求項13】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、該ラウレス-4が該
局所医薬組成物中に約0.5~約5%w/wの量で存在する
局所医薬組成物
【請求項14】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、該
局所医薬組成物が、さらにジメチルスルホキシドを含む
局所医薬組成物。
【請求項15】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、該
局所医薬組成物が、さらにコルチコステロイド、チモロール、メトトレキサートまたはシクロスポリンを含む
局所医薬組成物。
【請求項16】
請求項
9に記載の
局所医薬組成物であって、該局所医薬組成物の皮膚浸透が、インビトロ透過試験により測定された際にラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される
局所医薬組成物。
【請求項17】
局所医薬組成物の対象における皮膚浸透を増強するための方法
に使用するための請求項1に記載の局所医薬組成物であって、
前記方法が以下の工程:
JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む
局所医薬組成物を調製する;
を含み、該局所医薬組成物の皮膚浸透がラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される、
局所医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、2020年7月28日に出願された米国仮出願第63/057,503号に対する優先権を主張し、その開示は、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
[0002] 本明細書で開示される主題は、一般にラウレス-4を含有する局所配合物に関する。具体的には、本開示は、ラウレス-4が現在開示され特許請求されている局所配合物において浸透増強剤として作用するという驚くべき発見を扱う。
【背景技術】
【0003】
[0003] 表皮バリアは、水分バランスの維持、酸化ストレスの低減、微生物および抗原のような異物に対する保護ならびに紫外線損傷に対する保護を含むいくつかの機能を有する。表皮全体が表皮バリアに関与しているが、角質層が主にこれらの機能の多くを担っている。多くの局所投与される薬物は、角質層に十分に浸透して最大限の臨床的有効性を達成する能力を有しない。これらの場合、これらの薬物の皮膚浸透プロファイルの調節および皮膚バリアの調節が必要である。皮膚浸透の増強は、化学的に、物理的に、または適切な配合物の使用によってのいずれかで達成されることができる。
【0004】
[0004] 皮膚浸透の増強は、薬物およびビヒクルの特性の最適化ならびに/または角質層の改変によって機械的に達成される(H.A.E. Benson “Transdermal Drug Delivery Penetration Enhancement Techniques” Current Drug Delivery 2, 23-33, 2005)。薬物およびビヒクルの特性の最適化は、500ダルトンよりも300ダルトンに近い分子量を有する薬理学的クラスにおける最も強力な有効物質を選択することを含む。親水性が高すぎる(logPオクタノール/水<2.5)有効物質に関するプロドラッグの合成、または角質層中への分配を促進するための荷電した有効物質とのイオン対の形成は、薬剤およびビヒクル特性を最適化するための戦略の追加の例である。イオン対の形成と類似した戦略は、共晶系の開発、シクロデキストリン類のような材料を用いた薬物の複合体形成またはリポソーム、ベシクルもしくはナノテクノロジー配合物のような複合ビヒクルの配合を含む。局所用薬物およびビヒクルの特性を最適化するための初期の認識された戦略の1つは、配合物中の溶解した有効物質の濃度の釣り合いを取る一方で薬物の化学ポテンシャル、すなわち熱力学的駆動力を最大化するための溶媒、特にプロピレングリコール(PG)の使用であった。
【0005】
[0005] 溶媒、例えばプロピレングリコール(PG)、N-メチルピロリドン(NMP)、エタノールおよびジメチルスルホキシド(DMSO)は、角質層中への浸透および角質層を越えて生存表皮中への透過の両方を高めるように薬物-ビヒクル特性を最適化するために長い間使用されてきた。2005年以来、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)が、米国食品医薬品局により安全かつ有効であると確立された局所処方製品の薬物-ビヒクル特性を最適化する溶媒のリストに加えられている。これらの溶媒は角質層に容易に透過してそれを改変することも、長い間認識されてきた。溶媒は薬物の皮膚浸透/透過を高めるために有効に使用されることができるが、皮膚を横切る薬物の量を最大化するためには、溶媒を脂肪アルコール、脂肪酸または脂肪酸エステルアジュバント、例えば非イオン性界面活性剤とブレンドすることを必要とする。
【0006】
[0006] この相乗的な皮膚浸透は、1976年にPGに関して(米国特許第3,934,013号、Poulsen、1976年1月20日発行)、2011年にNMPに関して(国際公開第2011/07629 A2号、Petersson、2011年6月30日公開)、1973年にDMSOに関して(米国特許第3,711,602A号、Herschler、1973年1月16日発行)記載された。2018年に公開された論文(DW Osborne and J Musakhanian, AAPS Pharm SciTech. 19(8):3512-3533 (2018) DOI: 10.1208/s12249-018-1196-8)は、脂肪アルコール、脂肪酸または脂肪酸エステルアジュバントと組み合わせられた場合のDEGEEの皮膚浸透増強文献の包括的なレビューを提供した。
【0007】
[0007] 公開された皮膚浸透増強剤のデータのレビューの間に、インビトロ透過試験(IVPT)の実験アーティファクトがしばしば皮膚浸透の増強と間違われてきたことが明らかになる。このアーティファクトは、無限用量の液体または半固体と共にインビトロ拡散セル(典型的にはフランツ垂直拡散セル)に切除された皮膚が取り付けられた時に起こる。我々の目的に関して、我々は、無限用量を皮膚の表面積1cm2あたり20μlの配合物を超えるあらゆる量と定義している。そのアーティファクトは、適用された用量が実験の時間経過(典型的には24~48時間)にわたって角質層からバリア脂質を抽出することによって引き起こされる。こうして、組織のバリア特性は、多すぎる製品を皮膚の表面に適用することにより低減される。これは、配合物に関して報告された皮膚浸透増強係数が時には20~100倍誇張される結果をもたらす。このアーティファクトの程度は、IVPT拡散セル上へのヒト皮膚(典型的には約500ミクロンの厚さに皮膚採取器で切られる)の取り付けと比較して切除されたげっ歯類またはウサギの皮膚に無限用量が適用された場合、さらに増大する。局所用溶媒および脂肪酸エステル系界面活性剤は、無限用量として適用された場合、IVPT流束値を大きく誇張し得る局所用賦形剤である。あらゆる臨床的に関連しない用量(>20μl)がこのアーティファクトを引き起こし得るが、溶媒または界面活性剤を含有する液体または半固体配合物の100μl/cm2以上の用量は、皮膚バリア脂質を迅速かつ効率的に抽出し、インビトロ拡散セルの受容器溶液中の有効物質の出現を誇張するであろう。
【0008】
[0008] 部分的には、1980年代および1990年代の皮膚浸透増強剤の文献にこのアーティファクトが非常に多く見られたため、FDAの皮膚科部門は、2010年頃以前は、局所製品登録のためのサポートデータとしてIVPTの結果を受け入れなかった。2012年1月、米国食品医薬品局の主要科学者の4人は、“Generic Development of Topical Dermatologic Products: Formulation Development, Process Development, and Testing of Topical Dermatologic Products.”と題された論文を公開した。その将来性のある(seminal)刊行物において、著者らは、以下のように述べている:“...有限用量技法(すなわち、約3~5mg/cm2)は、それが局所薬物製品の臨床的状況をよりよく表すため、無限用量設計よりも適切であると考えられる...切除されたヒト皮膚を用いたインビトロ透過研究から生じたデータは、インビボでの生物学的利用能および生物学的同等性の良好な予測を与え、臨床生物学的同等性研究への実用的な代理を提供する”。
【0009】
[0009] 1997年の刊行物Skin Penetration enhancers Cited in the Technical Literatureにおいて、ラウレス-4(Brij 30として列挙されている)は2件の引用文献:Shen 1976の引用文献(WW Shen et.al. J.Pharm Sci 65(12)1780-1783 (1976) doi.org/10.1002/jps.2600651222)およびAungst 1986の引用文献(BJ Aungst et.al. International journal of pharmaceutics 33(1-3) 225-234 (1986) doi.org/10.1016/0378-5173(86)90057-8)を有していた。Shenらは、10%(w/w)のサリチル酸を10%(w/w)のジメチルスルホキシド(DMSO)と共に含有する白色ワセリンUSP軟膏基剤中に組み込まれた15種類の別々の非イオン性界面活性剤(10%w/w)を試験した。5.0グラムの軟膏を皮膚の6.4×12.7cm2の領域に適用した後8時間の間、規則的な間隔で、ニュージーランド白ウサギにおける血中サリチレートレベルから経皮吸収が決定された。サリチル酸の経皮吸収は、モノパルミチン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポロキサマー231、ポロキサマー182、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル(ラウレス-4)、ポリオキシエチレン2オレイルエーテルまたはポリオキシル8ステアレートがジメチルスルホキシド、サリチル酸および白色ワセリンを含有する軟膏に添加された場合に、有意に増大した。Shenはウサギの皮膚に無限投与した後にインビボ試験を使用したことは、特筆されるべきである。
【0010】
[00010] Aungstらは、プロピレングリコール(PG)に10%のアジュバントを添加することにより、浸透増強剤として様々な化学物質をスクリーニングした。脂肪酸および脂肪アルコールは、ナロキソンの流束の非常に有効な促進剤であった。最大流束は、酸(ラウリン酸に関して235.2μg/cm2-hr)およびアルコール(ラウリルアルコールに関して45.8μg/cm2-hr)系列の両方において、C12飽和アジュバントによるものであり、またC18不飽和酸(リノレン酸18:2に関して103.0μg/cm2-hr)およびアルコール(リノレニルアルコールに関して116.3μg/cm2-hr)アジュバントによるものであった。他の有効な皮膚浸透増強剤は、ペラルゴン酸(201.9±65.4μg/cm2-hr)、カプリン酸(187.9±67.5μg/cm2-hr)、ラウリン酸プロピレングリコール(43.8±5.5μg/cm2-hr)およびラウレス-4(34.5±8.3μg/cm2-hr)を含んでいた。この切除されたヒト皮膚での実験は、無限投与(278μl/cm2)を使用して64種類のアジュバントをPGからのナロキソンのインビトロ流束を増加させるそれらの能力に関して比較した。PG単独(アジュバント無添加)の対照は、1.6±0.4μg/cm2-hrのナロキソンの流束値を有していた。
【0011】
[00011] ラウレス-4がウサギにおけるサリチル酸の経皮吸収を増加させることをShenが最初に発表して以来の44年間で、ラウレス-4を含有する1つの光線力学的薬物/デバイス組み合わせ製品および3つの局所薬物製品が、FDAにより承認された。3つの局所薬物製品はいずれも、ラウレス-4を皮膚透過増強剤として使用していない。LAC-HYDRINクリーム(1.1%ラウレス-4)およびLAC-HYDRINローション(1.3%ラウレス-4)は、乾燥肌(乾皮症)を処置し、乾燥肌を処置するための標的組織である角質層を超える送達を促進するように設計されていない。第3の承認された製品は、リン酸クリンダマイシンおよびトレチノインを組み合わせたニキビの処置のための二重活性ゲルであるVELTINゲル(3%ラウレス-4)である。ラウレス-4およびプロピレングリコールは、この製品においてトレチノインの溶解度を0.025%に高めるために使用されている。リン酸クリンダマイシンは、可溶化剤としてラウレス-4を添加しなくても水に容易に溶ける。クリンダマイシンの全身吸収は結果として死をもたらし得る重度の大腸炎を引き起こす可能性があるというVELTINゲルのラベルにおける明確な警告により、配合者は、皮膚浸透増強剤を局所用クリンダマイシンに添加しないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第3,934,013号
【文献】国際公開第2011/07629 A2号
【文献】米国特許第3,711,602A号
【非特許文献】
【0013】
【文献】H.A.E. Benson “Transdermal Drug Delivery Penetration Enhancement Techniques” Current Drug Delivery 2, 23-33, 2005
【文献】DW Osborne and J Musakhanian, AAPS Pharm SciTech. 19(8):3512-3533 (2018) DOI: 10.1208/s12249-018-1196-8
【文献】Generic Development of Topical Dermatologic Products: Formulation Development, Process Development, and Testing of Topical Dermatologic Products.
【文献】Skin Penetration enhancers Cited in the Technical Literature
【文献】WW Shen et.al. J.Pharm Sci 65(12)1780-1783 (1976) doi.org/10.1002/jps.2600651222
【文献】BJ Aungst et.al. International journal of pharmaceutics 33(1-3) 225-234 (1986) doi.org/10.1016/0378-5173(86)90057-8
【発明の概要】
【0014】
[00012] 本発明の一態様に従って、新規JAK阻害剤SHR0302の局所配合物へのラウレス-4の添加はSHR0302の皮膚透過を有意に増大させることが、驚くべきことに発見された。一部の例において、増大は、ラウレス-4を含まない局所配合物と比較して皮膚透過における5倍~30倍の増大である。
【0015】
[00013] 本発明の特定の態様において、JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む局所医薬組成物が提供される。好ましい態様において、JAK阻害剤は、SHR0302(ARQ-250としても知られている)である。
【0016】
[00014] 医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のJAK阻害剤を含むことができる。医薬組成物は、約0.5~約5%w/wの量のラウレス-4を含むことができる。医薬組成物は、ジメチルスルホキシドをさらに含むことができる。加えて、医薬組成物は、抗酸化剤、保存剤、乳化剤、保湿剤または増粘剤を含むことができる。
【0017】
[00015] 局所医薬組成物は、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、親水性軟膏または疎水性軟膏からなる群から選択されることができる。
【0018】
[00016] 局所医薬組成物は、コルチコステロイド、チモロール、メトトレキサートまたはシクロスポリンをさらに含むことができる。
【0019】
[00017] 局所医薬組成物は、インビトロ透過試験により測定された際にラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍皮膚透過を増強することができる。
【0020】
[00018] 本発明の特定の態様において、それを必要とする対象において炎症性皮膚疾患、障害または病気を処置する方法が、提供される。方法は、JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む医薬組成物を対象に局所投与することを含む。
【0021】
[00019] 炎症性皮膚疾患、障害または病気は、アトピー性皮膚炎、酒さ、乾癬、脂漏性皮膚炎、白斑、湿疹または円形脱毛症の1つであることができる。
【0022】
[00020] 医薬組成物は、1日当たり1回以上対象に投与されることができる。
【0023】
[00021] 方法は、JAK阻害剤であるSHR0302の投与を含むことができる。JAK阻害剤は、約0.1~約1.0%w/wの量で医薬組成物中に存在することができる。ラウレス-4は、約0.5~約5%w/wの量で医薬組成物中に存在することができる。投与方法は、ジメチルスルホキシドを含む医薬組成物を投与することを含むことができる。さらに、医薬組成物は、コルチコステロイド、チモロール、メトトレキサートまたはシクロスポリンをさらに含む。
【0024】
[00022] 対象への投与の方法は、インビトロ透過試験により測定された際にラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強された局所医薬組成物の皮膚浸透をもたらすことができる。
【0025】
[00023] 特定の態様において、局所医薬配合物の対象における皮膚浸透を増強するための方法が提供される。方法は、JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む配合物を調製することを含む。方法において、局所医薬組成物の皮膚浸透は、ラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される。
【0026】
[00024] 本明細書に組み込まれ、本開示の一部を形成する添付の図面は、本発明の様々な態様の説明を助け、記載と一緒に、本明細書で開示された態様を関連技術分野の当業者が作製および使用することを可能にするために本発明を記載する役割をさらに果たす。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】[00025]
図1は、ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302配合物を比較したIVPTの結果を図説する。x軸は、時間(時間(hours)単位)を描写し、y軸は、受容器溶液中のng/mL累積SHR0302を描写している。その結果は、ラウレス-4の添加がSHR0302およびDMSOを含有する配合物における皮膚浸透作用を有意に高めることを示している。
【
図2】[00026]
図2は、変動する濃度のキサンタンガムおよびラウレス-4を含む3つの例示的なSHR0302配合物を比較したIVPTの結果を図説する。x軸は、時間(時間(hours)単位)を描写し、y軸は、受容器溶液中のng/mL累積SHR0302を描写している。その結果は、ラウレス-4の添加がSHR0302およびNMPを含有する配合物における皮膚浸透作用を有意に高めることを示している。
【
図3】[00027]
図3は、ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302配合物を比較したIVPTの結果を図説する。x軸は、時間(時間(hours)単位)を描写し、y軸は、受容器溶液中のng/mL累積SHR0302を描写している。その結果は、ラウレス-4の添加がSHR0302を含有する配合物における皮膚浸透作用を有意に高めることを示している。
【
図4】[00028]
図4は、ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302配合物を比較したIVPTの結果を図説する。x軸は、時間(時間(hours)単位)を描写し、y軸は、受容器溶液中のng/mL累積SHR0302を描写している。その結果は、ラウレス-4の添加がSHR0302を含有する配合物における皮膚浸透作用を有意に高めることを示している。
【
図5】[00029]
図5は、ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302配合物を比較したIVPTの結果を図説する。x軸は、時間(時間(hours)単位)を描写し、y軸は、受容器溶液中のng/mL累積SHR0302を描写している。その結果は、ラウレス-4の添加がSHR0302を含有する配合物における皮膚浸透作用を有意に高めることを示している。
【
図6】[00030]
図6は、ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302配合物を比較したIVPTの結果を図説する。x軸は、時間(時間(hours)単位)を描写し、y軸は、受容器溶液中のng/mL累積SHR0302を描写している。その結果は、ラウレス-4の添加がSHR0302を含有する配合物における皮膚浸透作用を有意に高めることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[00031] 本発明が以下で詳細に記載される前に、本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコルおよび試薬に(これらは変動し得るため)限定されないことは、理解されるべきである。本明細書で使用される用語法は、特定の態様を記載する目的のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろう本発明の範囲を限定することは意図されていないことも、理解されるべきである。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0029】
[00032] 本明細書で引用された全ての刊行物、特許および特許出願は、別途記載されない限り、参照によりそのまま本明細書に援用される。同じ用語が、刊行物、特許または特許出願および参照により本明細書に援用される本開示において定義されている場合、本開示における定義が、支配的な定義を表す。特定のタイプの化合物、化学等を記載するために参照される刊行物、特許および特許出願に関して、そのような化合物、化学等に関連する部分が、参照により本明細書に援用される文献の部分である。
【0030】
[00033] 本明細書で使用される際、単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈が明らかにそうではないことを指示しない限り、複数の参照語を含むことを特筆する。従って、例えば、“有効成分”は、単一の成分および2以上の異なる成分を含み、“溶媒”は、単一の溶媒および2以上の異なる溶媒または溶媒の複合混合物を指し、“硫酸塩”は、単一の硫酸塩ならびに2以上の異なる硫酸塩を含む。
【0031】
[00034] 用語“ARQ-250”または“SHR0320”は、別途明記されない限り、(3aR,5S,6aS)-N-(3-メトキシル-1,2,4-チアジアゾール-5-イル)-5-(メチル(7H-ピロロ[2、3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキサミドおよびその塩を指す。
【0032】
[00035] 用語“約”は、数値に関連して使用される場合、示された数値より5%小さい下限を有し、示された数値より5%大きい上限を有する範囲内の数値を包含することが意味されている。
【0033】
[00036] “薬学的に許容可能な”は、ヒトまたは動物への投与に関して一般的に安全であることを意味する。好ましくは、薬学的に許容可能な構成要素は、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されたものまたは動物、より詳細にはヒトにおける使用に関して米国薬局方条約(メリーランド州ロックビル)により発行される米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に列挙されているものである。
【0034】
[00037] 本発明による“医薬組成物”は、異なる有効成分ならびに希釈剤および/もしくはキャリヤーが互いに混合されている組成物の形態で存在することができ、または有効成分が部分的または全く異なる形態で存在する組み合わせ調製物の形態をとることもできる。そのような組み合わせまたは組み合わせ調製物の例は、部品のキットである。
【0035】
[00038] 本明細書で使用する際、用語“対象”“または患者”は、最も好ましくはヒトを指す。用語“対象”または“患者”は、本明細書に記載される化合物から利益を得ることができるあらゆる哺乳類を含むことができる。
【0036】
[00039] “療法量”または“療法上有効量”は、意図された目的を達成するのに十分な療法剤の量である。所与の療法剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、療法剤を受けるべき対象の大きさおよび投与の目的のような要因によって変動するであろう。それぞれの個々の症例における有効量は、当業者によって、当技術分野における確立された方法に従って経験的に決定され得る。
【0037】
[00040] 薬物または組成物の投与に関する“局所的”という用語は、皮膚または角膜を含む体外の上皮表面へのそのような薬物または組成物の適用を指す。この適用に関して、口、鼻または耳のような体の開口部の内側への適用は、局所適用とは見なされない。
【0038】
[00041] 本明細書で使用される際、疾患または障害を“処置する”、“処置すること”またはその“処置”は、以下の1つ以上を成し遂げることを意味する:(a)障害の重症度および/または期間を低減すること;(b)処置されている障害(単数または複数)に特徴的な症状の発生を制限または予防すること;(c)処置されている障害(単数または複数)に特徴的な症状の悪化を抑制すること;(d)以前にその障害(単数または複数)を有していた患者においてその障害(単数または複数)の再発を制限または予防すること;ならびに(e)以前にその障害(単数または複数)に関して症状があった患者において症状の再発を制限または予防すること。
【0039】
[00042] 略語“w/w”は、組成物中の構成要素の相対濃度を、体積または他の量に基づくのではなく“重量対重量”として表す(すなわち、百分率は総重量の百分率を指す)。
【0040】
[00043] ラウレス-4(CAS番号5274-68-0)は、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、3,6,9,12-テトラオキサテトラコサン-1-オール、ラウリルアルコールトリ(オキシエチレン)エタノール、PEG-4ラウリルエーテル、ポリエチレングリコール200ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルおよびテトラエチレングリコールドデシルエーテルとしても知られている。その化合物は、分子式C20H42O5を有し、362.5g/molの分子量を有する。ラウレス-4の構造は、以下の通りである:
【0041】
【0042】
。
【0043】
[00044] ラウレス-4は、化粧品、シャンプー、石鹸、脱臭剤および保湿製品を含むいくつかのパーソナルケア製品において界面活性剤および乳化剤として一般に使用されている合成ポリマーである。過去45年間、ラウレス-4は、名目上の浸透増強剤としてのみ科学文献で知られてきた。しかし、本発明において、ラウレス-4は、驚くべきことに、浸透増強剤として機能する。特に、驚くべきことに、本発明の局所配合物において、ラウレス-4が皮膚浸透増強剤として作用することが見出された。
【0044】
[00045] ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK阻害剤)は、JAKファミリー(例えばJAK1、JAK2、JAK3またはTyk2)の1つ以上の酵素の活性を阻害することによって機能する化合物のクラスである。これらの化合物は、免疫系の機能において中心的な役割を果たすJAK-STATシグナル伝達経路を阻害することによって機能すると考えられている。多くの炎症性サイトカインおよび他のシグナル伝達分子は、JAK経路、特にJAK1に頼っている。JAK1の阻害は、リウマチ様関節炎、乾癬、クローン病および湿疹を含むある範囲の炎症性疾患を処置することが示されることが、以前に示されている。炎症性の皮膚の病気の処置のためのJAK阻害剤の局所配合物を開発することに、特に関心が持たれている。
【0045】
[00046] 好ましい態様において、JAK1阻害剤は、参照により本明細書に援用される米国特許第9、527、851号において開示されている阻害剤である。 特に好ましい態様において、JAK1阻害剤は、(3aR,5S,6aS)-N-(3-メトキシル-1,2,4-チアジアゾール-5-イル)-5-(メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキサミド(SHR0302またはARQ-250としても知られている)である。
【0046】
SHR0302の構造は、次の通りである:
【0047】
【0048】
。
【0049】
[00047] SHR0302は、JAK2よりもJAK1に関して高い選択性(selectively)を有することが示されているJAK1の強力な低分子阻害剤であり、従って、JAK2阻害と関係する貧血、血小板減少および好中球減少のような造血系の有害な作用を引き起こすことなく炎症性疾患を処置する可能性を有している。SHR0302を含む局所配合物は、アトピー性皮膚炎、酒さ、乾癬、脂漏性皮膚炎、白斑、湿疹および円形脱毛症を含むがそれらに限定されない炎症性皮膚疾患、障害、および病気の処置に有効であり得る。
【0050】
[00048] 他のJAK阻害剤も、炎症性皮膚疾患、障害、および病気の処置に有用であり得、従って本発明の局所配合物中に組み込まれ得ることも企図されている。本発明の配合物中に組み込まれ得るJAK阻害剤の例は、ルキソリチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ(ocalcitinib)、バリシチニブ、ペフィシチニブ、フェドラチニブ、ウパダシチニブ、フィルゴチニブ、セルデュラチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、アブロシチニブ、ククルビタシンI、デセルノチニブ、ソルシチニブ、CHZ868、CYT387、TG101348、AZD1480、R348、VX-509、GLPG0634、SKD2586148、AC-430、BMS-911543またはPF-04965842を含む。
【0051】
[00049] 本発明の局所配合物は、JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む。好ましい態様において、JAK阻害剤は、SHR0302である。好ましい態様において、JAK阻害剤は、約0.01~約1.0%w/w、約0.05~約1.0%w/w、約0.1~約1.0%w/w、約0.1~約0.6%w/wまたは約0.1~約0.5%w/wの量で存在する。好ましい態様において、ラウレス-4は、約0.05~約8%w/w、約0.1~約6%w/w、約0.5~約5%w/w、約1.0~約4%w/wの量で存在する。
【0052】
[00050] 好ましくは、本発明の局所配合物は、以下の形態の1つである:
[00051] 水中油型エマルジョン:製品は、疎水性構成要素の分離した相ならびに水および場合により1種類以上の極性親水性賦形剤ならびに溶媒、共溶媒、塩類、界面活性剤、乳化剤および他の構成要素を含む連続した水相を含むエマルジョンであることができる。これらのエマルジョンは、エマルジョンを安定化するのを助ける水溶性または水膨潤性ポリマーを含むことができる。
【0053】
[00052] 油中水型エマルジョン:組成物は、疎水性構成要素の連続相ならびに水および場合により1種類以上の極性親水性キャリヤー(単数または複数)ならびに塩類または他の構成要素を含む水相を含むエマルジョンであることができる。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマーならびにエマルジョンの安定化を助ける1種類以上の乳化剤(単数または複数)を含み得る。
【0054】
[00053] 親水性または疎水性軟膏:組成物は、疎水性基剤(例えばワセリン、増粘またはゲル化水不溶性油等)と共に配合され、場合により微量の水溶性相を有する。親水性軟膏は、一般に1種類以上の界面活性剤または湿潤剤を含有する。
【0055】
[00054] マイクロエマルジョン:これらは、油、水および界面活性剤をしばしば補助界面活性剤との組み合わせで含有する透明で熱力学的に安定な等方性液体系である。マイクロエマルジョンは、水連続、油連続または双連続の混合物であることができる。配合物は、場合により60重量%までの水を含有することもできる。一部の組成物ではより高いレベルが適切であり得る。
【0056】
[00055] ナノエマルジョン:これらは、水、油、および乳化剤を含有する等方性分散系である。その系は、水性系に分散した油性系またはナノメートルサイズの液滴または油性相を形成する油性系に分散した水性系であることができる。ナノエマルジョンは、しばしばマイクロエマルジョンよりも親油性有効成分に関するより高い装填容量を有する。疎水性および親水性有効成分も、ナノエマルジョンに配合されることができる。ナノエマルジョンは、高圧ホモジナイゼーション、マイクロ流体化および相転移温度を含む当技術分野で知られているあらゆる適切な方法によって形成されることができる。
【0057】
[00056] エアロゾルフォームまたはスプレー:製品は、乳化ワックスを含有するアルコール/溶媒ベースの溶液または疎水性構成要素の離散相ならびに水および場合により1以上の極性親水性賦形剤ならびに溶媒、共溶媒、界面活性剤、乳化剤および他の構成要素を含む連続した水相を含むエマルジョンであることができる。これらの溶媒またはエマルジョンフォーム濃縮物は、エマルジョンの安定化を助ける水溶性または水膨潤性ポリマーならびに配合物およびパッケージの間の適合性を向上させるための腐食阻害剤を含むことができる。炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)またはクロロフルオロカーボン(CFC)エアロゾル噴射剤が、フォームまたはスプレー製品が適用のために分配されるまで圧力を維持するように設計されたパッケージ中で溶媒またはエマルジョンフォーム濃縮物に添加されることができる。
【0058】
[00057] 溶媒
[00058] 本発明による組成物は、皮膚透過または配合物に含有される他の賦形剤の活性を改変する1以上の溶媒または共溶媒を含むことができる。溶媒は、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルイソソルビド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、N-メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidione)、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコールおよびSDアルコールを含むが、それらに限定されない。
【0059】
[00059] 界面活性剤
[00060] 本発明による組成物は、1種類以上の界面活性剤または補助界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、短鎖アルコール類、アルカンジオール類およびトリオール類、アルキルリン酸エステル類、ポリエチレングリコール類およびグリコールエーテル類、ポリエチレンステアリルエーテル類(商品名Brij S2、Brij S20、Brij 721、Brij 38、Brij 52、Brij 56およびBrij W1の下で販売されているものを含む)、ピロリジン誘導体、胆汁酸塩類、ソルビタン脂肪酸エステル類およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類を含むが、それらに限定されない。
【0060】
[00061] 保湿剤
[00062] 本発明による組成物は、水和のレベルを増大させるために、1種類以上の保湿剤を含むことができる。保湿剤は、湿潤剤を含む親水性材料であることができ、またはそれは、軟化薬を含む疎水性材料であることができる。適切な保湿剤は、以下の保湿剤を含むが、それらに限定されない:1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200~8000、ステアリン酸ブチル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステル類ワックス、パルミチン酸セチル、ココアバター、ヤシ油、シクロメチコン、ジメチコン、ドコサノール、エラストマー、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、脂肪酸、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラノリン、鉱油、リモネン、中鎖トリグリセリド、メントール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、オリーブ油、パラフィン、ピーナッツ油、ワセリン、Plastibase-50W、ポリプロピレングリコールステアリルエーテル類およびステアリルアルコール。
【0061】
[00063] ポリマーおよび増粘剤
[00064] 特定の適用に関して、可溶性、膨潤性または不溶性の有機ポリマー性増粘剤、例えば天然ポリマーおよび合成ポリマーまたは無機増粘剤、例えばアクリレートコポリマー、カルボマー1382、カルボマーコポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプA、カルボマーホモポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプC、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性ワックスおよびメチルセルロースで増粘された製品を配合することが望ましい可能性がある。
【0062】
[00065] 追加の構成要素
[00066] 本発明に従う組成物は、化粧用および医薬的局所製品に従来見られる追加の構成要素、例えば増量剤、キャリヤーおよび賦形剤と共に配合されることができる。消泡剤、保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、フェニル水銀塩類、クロロクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン)、抗酸化剤(例えばBHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロール、クエン酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム)、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤(好ましくはグルコノラトン、クエン酸、乳酸およびアルファヒドロキシ酸を含むがそれらに限定されない結果として酸性pHをもたらす薬剤)、皮膚浸透増強剤、皮膚保護剤(ワセリン、パラフィンワックス、ジメチコン、グリセリルモノイソステアレート、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、セチルアルコール、セチルリン酸カリウム、ベヘン酸セチルおよびベヘン酸を含むが、それらに限定されない)、キレート剤、フィルム形成剤、懸濁剤(例えばキサンタムガム)、染料、顔料、希釈剤、増量剤、香料、エアロゾル生成剤および安定性または美観を向上させるための他の賦形剤を含むがそれらに限定されない追加の構成要素が、組成物に添加されることができる。
【0063】
[00067] 本発明に従う組成物は、処置されている病気に応じて追加の有効薬剤と共に配合されることができる。組み合わせ局所薬物製品に関する例示的な追加の有効薬剤は、以下の薬剤を含む:コルチコステロイド類(例えばクロベタゾール、ベタメタゾン、ハロベタゾールまたはトリアムシノロン)、ベータアンドレナリン拮抗薬(例えばチモロール)、カルシニューリン阻害剤(例えばタクロリムスまたはピメクロリムス)、メトトレキサートまたはシクロスポリン。
【0064】
[00068] 投与および投与量
[00069] 本発明による組成物は、皮下(局所)、経皮および粘膜を含むがそれらに限定されないあらゆる適切な投与経路によって投与されることができる。好ましい態様では、組成物は、局所的に投与される。組成物は、1ヶ月あたり1回以上、1週間あたり1回以上または1日あたり1回以上投与されることができる。好ましい態様において、組成物は、1日あたり1回、2回または3回投与される。
【0065】
[00070] 本明細書で開示されるラウレス-4を含有する局所配合物は、結果として向上した皮膚透過をもたらすことができる。一部の例において、その増大は、インビトロ透過試験(IVPT)によって測定された際のラウレス-4を含まない同じ局所配合物と比較して皮膚透過における5倍から30倍の増大である。好ましい態様において、ラウレス-4を含有する局所配合物は、ラウレス-4を含まない同じ局所配合物と比較して、皮膚透過における5倍より大きい、8倍より大きい、10倍より大きい、15倍より大きい、または20倍より大きい増大をもたらす。
【実施例】
【0066】
[00071] 様々な態様が本明細書において記載されてきたが、それらは例としてのみ提示されており、限定としてではないことは、理解されるべきである。従って、本開示の広さおよび範囲は、上記の例示的な態様のいずれかによって限定されるべきでは決してない。さらに、その全ての可能なバリエーションにおける上記の要素のあらゆる組み合わせは、本明細書で別途示されない限り、または文脈によって別途明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。
【0067】
[00072] 実験例1
[00073] 以下の組成の配合物を調製した:
【0068】
【0069】
[00074] 実験例2
[00075] プロトタイプSHR0302配合物を比較するIVPTの結果は、500ミクロンの目標厚さに皮膚採取器で切り取られたヒト死体皮膚を使用し、それを米国の組織バンクから冷凍で受け取り、使用まで-20℃で保管した。皮膚を0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlで満たした受容器チャンバーを有する垂直フランツセル上に装填した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートルあたり10mg)。受容器溶液中の有効物質の出現(4つの複製の平均)を、LC/MS/MSを用いて決定した。
【0070】
[00076] (受容器溶液中のng/mL累積SHR0302として報告された)この実験の結果を表1に示し、
図1に描写する。DMSOを含有する局所配合物へのラウレス-4の添加は、ラウレス-4を含まないほぼ同一の配合物と比較した場合、皮膚浸透における驚くべき顕著な増加を示した。これらの結果は、本発明の局所配合物における皮膚浸透増強剤としてのラウレス-4の有効性を実証している。
【0071】
【0072】
[00077] 実験例3
[00078] 下記の組成の配合物を調製した:
【0073】
【0074】
[00079] 実験例4
[00080] プロトタイプSHR0302配合物を比較するIVPTの結果は、500ミクロンの目標厚さに皮膚採取器で切り取られたヒト死体皮膚を使用し、それを米国の組織バンクから冷凍で受け取り、使用まで-20℃で保管した。皮膚を0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%BSA3.0mlで満たした受容器チャンバーを有する垂直フランツセル上に装填した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートルあたり10mg)。受容器溶液中の有効物質の出現(4つの複製の平均)を、LC/MS/MSを用いて決定した。
【0075】
[00081] (受容器溶液中のng/mL累積SHR0302として報告された)この実験の結果を表2に示し、
図2に描写する。NMPを含有する局所配合物へのラウレス-4の添加は、最小量のラウレス-4を含むほぼ同一の配合物と比較した場合、皮膚浸透における驚くべき顕著な増加を示した。これらの結果は、本発明の局所配合物における皮膚浸透増強剤としてのラウレス-4の有効性を実証している。
【0076】
【0077】
[00082] 実験例5
[00083] 下記の組成の配合物を調製した:
【0078】
【0079】
[00084] 実験例6
[00085] プロトタイプSHR0302配合物を比較するIVPTの結果は、500ミクロンの目標厚さに皮膚採取器で切り取られたヒト死体皮膚を使用し、それを米国の組織バンクから冷凍で受け取り、使用まで-20℃で保管した。皮膚を0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlで満たした受容器チャンバーを有する垂直フランツセル上に装填した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートルあたり10mg)。受容器溶液中の有効物質の出現(4つの複製の平均)を、LC/MS/MSを用いて決定した。
【0080】
[00086] (受容器溶液中のng/mL累積SHR0302として報告された)この実験の結果を表3に示し、
図3に描写する。1:1:1の比率のDMSO:DMI:DEGEEを含有する局所配合物へのラウレス-4の添加は、ラウレス-4を含まないほぼ同一の配合物と比較した場合に、皮膚浸透における驚くべき顕著な増加を示した。これらの結果は、本発明の局所配合物における皮膚浸透増強剤としてのラウレス-4の有効性を実証している。
【0081】
【0082】
[00087] 実験例7
[00088] 下記の組成の配合物を調製した:
【0083】
【0084】
[00089] 実験例8
[00090] プロトタイプSHR0302配合物を比較するIVPTの結果は、500ミクロンの目標厚さに皮膚採取器で切り取られたヒト死体皮膚を使用し、それを米国の組織バンクから冷凍で受け取り、使用まで-20℃で保管した。皮膚を0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlで満たした受容器チャンバーを有する垂直フランツセル上に装填した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートルあたり10mg)。受容器溶液中の有効物質の出現(4つの複製の平均)を、LC/MS/MSを用いて決定した。
【0085】
[00091] (受容器溶液中のng/mL累積SHR0302として報告された)この実験の結果を表4に示し、
図4に描写する。1:1:1の比率のDMSO:DMI:DEGEEを含有する局所配合物へのラウレス-4の添加は、ラウレス-4を含まないほぼ同一の配合物と比較した場合に、皮膚浸透における驚くべき顕著な増加を示した。これらの結果は、本発明の局所配合物における皮膚浸透増強剤としてのラウレス-4の有効性を実証している。
【0086】
【0087】
[00092] 実験例9
[00093] 下記の組成の配合物を調製した:
【0088】
【0089】
[00094] 実験例10
[00095] プロトタイプSHR0302配合物を比較するIVPTの結果は、500ミクロンの目標厚さに皮膚採取器で切り取られたヒト死体皮膚を使用し、それを米国の組織バンクから冷凍で受け取り、使用まで-20℃で保管した。皮膚を0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlで満たした受容器チャンバーを有する垂直フランツセル上に装填した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートルあたり10mg)。受容器溶液中の有効物質の出現(4つの複製の平均)を、LC/MS/MSを用いて決定した。
【0090】
[00096] (受容器溶液中のng/mL累積SHR0302として報告された)この実験の結果を表5に示し、
図5に描写する。DMSOを含有する局所配合物へのラウレス-4の添加は、ラウレス-4を含まないほぼ同一の配合物と比較した場合に、皮膚浸透における驚くべき顕著な増加を示した。これらの結果は、本発明の局所配合物における皮膚浸透増強剤としてのラウレス-4の有効性を実証している。
【0091】
【0092】
[00097] 実験例11
[00098] 下記の組成の配合物を調製した:
【0093】
【0094】
[00099] 実験例12
[000100] プロトタイプSHR0302配合物を比較するIVPTの結果は、500ミクロンの目標厚さに皮膚採取器で切り取られたヒト死体皮膚を使用し、それを米国の組織バンクから冷凍で受け取り、使用まで-20℃で保管した。皮膚を0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlで満たした受容器チャンバーを有する垂直フランツセル上に装填した。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを用いて、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートルあたり10mg)。受容器溶液中の有効物質の出現(4つの複製の平均)を、LC/MS/MSを用いて決定した。
【0095】
[000101] この実験の結果(受容器溶液中のng/mL累積SHR0302として報告された)を表6に示し、
図6に描写する。DMSOを含有する局所配合物へのラウレス-4の添加は、ラウレス-4を含まないほぼ同一の配合物と比較した場合に、皮膚浸透における驚くべき顕著な増加を示した。これらの結果は、本発明の局所配合物における皮膚浸透増強剤としてのラウレス-4の有効性を実証している。
【0096】
【0097】
[000102] 実施例13
[000103] 下記の組成の配合物を調製した:
【0098】
【0099】
[000104] 配合物#7を以下のように調製した:38.93グラムの精製水を主製造容器に入れた。0.50グラムの一塩基性リン酸ナトリウム無水物を主製造容器中の水に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。“パートB”とラベルで表示された別の容器において、10.04グラムのジメチルスルホキシド、10.16グラムのジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol P(登録商標))および10.14グラムのジメチルイソソルビドを一緒にブレンドした。2種類の保存剤(0.10グラムのメチルパラベンおよび0.021グラムのプロピルパラベン)および0.62グラムのJAK阻害剤SHR0302を“パートB”に添加し、完全に溶解するまで攪拌した。“パートB”とラベルで表示された容器の全内容物を主製造容器に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。ポリソルベート60(10.15グラム)を主製造容器に添加し、混合すると、霞がかった粘性の液体になった。ヒドロキシプロピルセルロース(0.51グラム)を主製造容器に添加し、混合すると、霞がかった粘性の液体になった。“パートE”とラベルで表示された別の容器において、10.15白色ワセリン、10.16グラムのCrodafos(商標) CESおよび4.0グラムのラウレス-4を組み合わせ、66℃に加熱した。主製造容器を68℃に加熱した。ホモジナイザー(25mmヘッドセット、10、230rpm)を用いて、“パートE”の全内容物を主製造容器に添加し、5分間ホモジナイズした。ジメチコン(1.01グラム)を主製造容器に添加し、さらに2分間ホモジナイズした。精製水(0.76グラム)をバッチに100%になるように十分に添加した。
【0100】
[000105] 配合物#9を以下のように調製した:38.63グラムの精製水を主製造容器に入れた。グリセリン(5.1グラム)および0.50グラムの一塩基性リン酸ナトリウム無水物を主製造容器中の水に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。キサンタンガム(0.2グラム)を主製造容器に添加し、59分間混合した。“パートD”とラベルで表示された別の容器において、10.08グラムのジメチルスルホキシド、10.10グラムのジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol P(登録商標))、10.06グラムのジメチルイソソルビド、0.10グラムのメチルパラベン、0.020グラムのプロピルパラベン、0.052グラムのブチルヒドロキシトルエンおよび0.62グラムのJAK阻害剤SHR0302を組み合わせ、透明な溶液になるまで混合した。“パートC”とラベルで表示された第3の別の容器において、5.15グラムのポリエチレン(2)ステアリルエーテル、5.06グラムのポリエチレン(21)ステアリルエーテル、5.06グラムのPPG15ステアリルエーテル、6.10グラムのセトステアリルアルコールおよび4.06グラムのラウレス-4を組み合わせ、72℃に加熱した。主製造容器を74℃に加熱した。ホモジナイザー(25mmヘッドを9800rpmに設定した)を用いて、“パートC”の全内容物を主製造容器に添加し、3分間ホモジナイズした。ホモジナイズを続けながら、“パートD”の全内容物を主製造容器にゆっくりと添加した。合計ホモジナイゼーション時間は、5分間であった。この特定のバッチが100%になるように十分な追加の精製水は使用されなかった。
【0101】
[000106] 前記の記載は、例示および記載の目的で提示されたものである。この記載は、本発明を開示された正確な形態に限定することは意図されていない。当業者は、基本的な発明の記載の修正および置換がなされ得ることを理解するであろう。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1]JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む局所医薬組成物。
[項目2]項目1に記載の局所医薬組成物であって、JAK阻害剤がSHR0302である局所医薬組成物。
[項目3]項目2に記載の局所医薬組成物であって、JAK阻害剤が約0.1~約1.0%w/wの量で存在する局所医薬組成物。
[項目4]項目1に記載の局所医薬組成物であって、ラウレス-4が約0.5~約5%w/wの量で存在する局所医薬組成物。
[項目5]項目1に記載の局所医薬組成物であって、さらにジメチルスルホキシドを含む局所医薬組成物。
[項目6]項目1に記載の局所医薬組成物であって、さらに抗酸化剤、保存剤、乳化剤、保湿剤または増粘剤を含む局所医薬組成物。
[項目7]項目1に記載の局所医薬組成物であって、前記組成物が、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、親水性軟膏または疎水性軟膏からなる群から選択される局所医薬組成物。
[項目8]項目1に記載の局所医薬組成物であって、さらにコルチコステロイド、チモロール、メトトレキサートまたはシクロスポリンを含む局所医薬組成物。
[項目9]項目1に記載の局所医薬組成物であって、該局所医薬組成物の皮膚浸透が、インビトロ透過試験により測定された際にラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される局所医薬組成物。
[項目10]それを必要とする対象において炎症性皮膚疾患、障害または病気を処置する方法であって、以下の工程:
JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む医薬組成物を該対象に局所投与する;
を含む方法。
[項目11]項目10に記載の方法であって、前記の炎症性皮膚疾患、障害または病気が、アトピー性皮膚炎、酒さ、乾癬、脂漏性皮膚炎、白斑、湿疹または円形脱毛症である方法。
[項目12]項目10に記載の方法であって、該医薬組成物が、1日あたり1回以上該対象に投与される方法。
[項目13]項目10に記載の方法であって、該JAK阻害剤がSHR0302である方法。
[項目14]項目10に記載の方法であって、該JAK阻害剤が該医薬組成物中に約0.1~約1.0%w/wの量で存在する方法。
[項目15]項目10に記載の方法であって、該ラウレス-4が該医薬組成物中に約0.5~約5%w/wの量で存在する方法。
[項目16]項目10に記載の方法であって、該医薬組成物が、さらにジメチルスルホキシドを含む
方法。
[項目17]項目10に記載の方法であって、該医薬組成物が、さらにコルチコステロイド、チモロール、メトトレキサートまたはシクロスポリンを含む方法。
[項目18]項目10に記載の方法であって、該局所医薬組成物の皮膚浸透が、インビトロ透過試験により測定された際にラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される方法。
[項目19]局所医薬配合物の対象における皮膚浸透を増強するための方法であって、以下の工程:
JAK阻害剤、ラウレス-4および溶媒を含む配合物を調製する;
を含み、該局所医薬組成物の皮膚浸透がラウレス-4を含まない局所医薬配合物と比較して5倍~30倍増強される方法。
[項目20]項目19に記載の方法であって、該JAK阻害剤がSHR0302である方法