(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20241016BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G05B19/18 U
G05B19/42 U
(21)【出願番号】P 2023510118
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2021014184
(87)【国際公開番号】W WO2022208849
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友樹
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079344(JP,A)
【文献】特開2019-212123(JP,A)
【文献】特開2019-212221(JP,A)
【文献】特開2003-117863(JP,A)
【文献】特開平11-296217(JP,A)
【文献】特開2006-092241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18-19/416
G05B19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラマブルロジックコントローラと接続され、ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送する転送部と、
前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得する取得部と、
取得した前記現在位置又は前記関連情報を、
前記プログラマブルロジックコントローラの格納位置とともに、ロボット教示操作盤の画面に表示する表示制御部と、
を備えたロボット制御装置。
【請求項2】
プログラマブルロジックコントローラと接続され、ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送する転送部と、
前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得する取得部と、
取得した前記現在位置又は前記関連情報を、ロボット教示操作盤の画面に表示する表示制御部と、
を備え、
前記現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラに転送する場合、前記所定の領域に既に前記現在位置が格納されている場合、それを上書きするかどうかを確認するポップアップを前記ロボット教示操作盤の画面に表示する、ロボット制御装置。
【請求項3】
前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置が、プログラマブルロジックコントローラプログラム内のファンクションブロックで参照されている場合、前記取得部は、該ファンクションブロックの情報を取得し、前記表示制御部は前記ロボット教示操作盤の画面に表示する、請求項1又は2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記ロボット教示操作盤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、取得した前記現在位置を表示する場合に、取得した前記現在位置とともに、前記プログラマブルロジックコントローラに転送前の前記現在位置を、前記ロボット教示操作盤の画面に表示する、請求項1から4のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載のロボット制御装置と、該ロボット制御装置と接続されるプログラマブルロジックコントローラとを備えた、ロボット制御システム。
【請求項7】
プログラマブルロジックコントローラと、該プログラマブルロジックコントローラと接続されるロボット制御装置とを用いて、ロボットを制御するロボット制御方法において、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、前記ロボット制御装置が該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送し、
前記ロボット制御装置が、前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得し、
前記ロボット制御装置が、取得した前記現在位置又は前記関連情報を、
前記プログラマブルロジックコントローラの格納位置とともに、ロボット教示操作盤の画面に表示する、ロボット制御方法。
【請求項8】
プログラマブルロジックコントローラと、該プログラマブルロジックコントローラと接続されるロボット制御装置とを用いて、ロボットを制御するロボット制御方法において、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、前記ロボット制御装置が該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送し、
前記ロボット制御装置が、前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得し、
前記ロボット制御装置が、取得した前記現在位置又は前記関連情報を、ロボット教示操作盤の画面に表示し、
前記現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラに転送する場合、前記所定の領域に既に前記現在位置が格納されている場合、それを上書きするかどうかを確認するポップアップを前記ロボット教示操作盤の画面に表示する、ロボット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法に関し、特に、プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCと記す)と接続され、ロボットを制御するロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PLCopenの規格に代表されるように、PLCプログラムでロボットを動作させるシステムが普及しつつある。PLCからロボットを動作させるためには、ロボット制御装置がロボットの現在位置をPLCに転送し、PLCがその現在位置をPLC内に格納しておく必要がある。
ユーザは、ロボット教示操作盤を操作してロボットの現在位置をPLCへ転送した後、PLCの画面でその現在位置が格納されたかどうかを確認するといった作業が求められる。
【0003】
PLC及びロボット制御装置を含むシステムは、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1には、ロボットと周辺機器を組み合わせたシステム全体の動作シミュレーションができるロボットシミュレーション装置が記載されている。ロボットシミュレーション装置においては、PCがロボット識別情報によって、ロボットを指定し、指定したロボット制御装置が教示動作プログラムを読み込みPCのメモリ内に格納する。次に、ロボット識別情報で指定したロボット制御装置によって、動作プログラムが実行されると共に、PLCでロボット識別情報に対応するシーケンスプログラムが実行され、溶接機等の周辺機器とのI/OデータがPCに取り込まれ、制御履歴が記憶される。そして、ロボット制御装置からの情報と、PLCからの情報とに基づいて、ロボットアニメーションがPCのグラフィックディスプレイ装置の表示画面上に表示され、また、周辺機器の動作状態情報が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが、ロボット教示操作盤を操作して、ロボットの現在位置をPLCに転送して格納する際に、ユーザは、ロボット教示操作盤での転送操作とPLCの画面での確認操作とを交互に行う必要があり、時間がかかるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本開示の第1の態様は、プログラマブルロジックコントローラと接続され、ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送する転送部と、
前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得する取得部と、
取得した前記現在位置又は前記関連情報を、ロボット教示操作盤の画面に表示する表示制御部と、
を備えたロボット制御装置である。
【0007】
(2) 本開示の第2の態様は、上記(1)に記載のロボット制御装置と、該ロボット制御装置と接続されるプログラマブルロジックコントローラとを備えた、ロボット制御システムである。
【0008】
(3) 本開示の第3の態様は、プログラマブルロジックコントローラと、該プログラマブルロジックコントローラと接続されるロボット制御装置とを用いて、ロボットを制御するロボット制御方法において、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、前記ロボット制御装置が該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送し、
前記ロボット制御装置が、前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得し、
前記ロボット制御装置が、取得した前記現在位置又は前記関連情報を、ロボット教示操作盤の画面に表示する、ロボット制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の各態様によれば、ロボットの現在位置をPLCに転送して格納する際に、ロボット教示操作盤での転送操作とPLCの画面での確認操作とを交互に行う必要がなくなり、一連の操作をロボット教示操作盤だけで済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態のロボット制御装置を含むロボット制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態のロボット制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態のロボット制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態における、ロボット教示操作盤の画面の表示情報と、PLCの位置配列の格納情報との変化を示す図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態における、ロボット教示操作盤の画面の表示情報と、PLCの格納情報とを示す図である。
【
図6】本開示の第3実施形態のロボット制御装置によりロボット教示操作盤の画面画面に表示された確認用ポップアップを示す図である。
【
図7】第3実施形態のロボット制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本開示の第1実施形態のロボット制御装置を含むロボット制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、ロボット制御システム10は、PLC20、ロボット教示操作盤30、ロボット制御装置40及びロボット50を備えている。
ロボット制御装置40は、PLC20、ロボット教示操作盤30、及びロボット50に接続されている。ロボット教示操作盤30は、ロボット制御装置40の一部として設けられてもよい。
PLC20は、ロボット50が行う組立作業等の順序を規定し、ロボット制御装置40に動作指令を出力する。ロボット制御装置40は、動作指令に基づいてロボット50を制御する。
ロボット制御装置40は、ロボット50の現在位置をPLC20に転送する。PLC20はその現在位置をPLC20内に格納し、その現在位置に基づいてロボット制御装置40を介してロボット50を制御する。
【0013】
PLC20には、ロボット50の現在位置を格納する領域として位置配列(所定の領域となる)が用意されている。例えば、
図1に示すように、PLC20の位置配列のPOS[3]には、ロボット50の現在位置として、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0が格納されている。PLC20は、ロボット制御装置40からロボット50の現在位置が入力された場合、入力された現在位置が、PLC20の位置配列のPOS[3]に格納された位置と異なる場合、PLC20の位置配列のPOS[3]に格納された位置を入力された現在位置に上書きする。
【0014】
ロボット教示操作盤30は、表示機能と情報入力機能とを備えた装置で、例えばタッチパネル付き液晶表示装置、液晶表装置とキーボード等である。ロボット教示操作盤30は、画面31を備える。この画面31には、設定項目として位置インデックス番号があり、位置インデックス番号によってPLC20のどの位置配列要素に格納するかがを指定される。さらに、画面31には、ロボット50の現在位置及びPLC20の指定した位置配列要素に格納されている位置(PLC位置)などが表示される。
【0015】
例えば、
図1には、ロボット教示操作盤30の画面31に、位置インデックス番号として位置インデックス[3]が表示され、ロボット50の現在位置として、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0が表示される。また、ロボット教示操作盤30の画面に、PLC位置として、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0が表示される。このPLC位置はPLC20の位置配列のPOS[3]に格納されている位置と同じ値である。このため、ユーザは、ロボット教示操作盤30の画面を見ることで、ロボット50の現在位置が、PLC20の位置配列のPOS[3]に正しく格納されたことを確認できる。
【0016】
ユーザは、ロボット教示操作盤30を用いて、ロボット50の現在位置をPLC20へ転送する指示、及びPLC20から、PLC20に格納されている位置又は位置に関連する関連情報を取得する指示を行う。ロボット教示操作盤30はこれらの指示を操作信号としてロボット制御装置40に出力する。
【0017】
ロボット50は、例えば、多関節ロボットであり、ロボット機構部51、及びロボット機構部51の先端に取り付けられたエンドファクタ52を備えている。ロボット50の現在位置は、例えば、ロボット50のロボット機構部51の先端に取り付けられるエンドファクタ52の位置である。
ロボット機構部51は、複数の関節軸、例えば
図1では6個の関節軸を有している。各関節軸にはそれぞれモータが設けられている。エンドファクタ52は、例えば、ロボットハンド、溶接トーチ、塗料噴霧器等である。モータのそれぞれには位置検出部、例えばエンコーダが設けられている。各関節軸の位置検出部の位置検出信号は、ロボット制御装置40に送られる。
【0018】
ロボット制御装置40は、PLC20からの動作指令に基づいて、ロボット機構部51の複数の関節軸の各モータをそれぞれ制御する。
また、ロボット制御装置40は、ロボット50のロボット機構部51から出力される位置検出信号から、ロボット50の現在位置(X,Y,Z,W,P,R)の値を求め、ロボット教示操作盤30の画面31に現在位置として位置(X,Y,Z,W,P,R)の値を表示する。
【0019】
図2はロボット制御装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ロボット制御装置40は、転送部41、データ取得部42、動作制御部43、制御部44及び表示制御部45を備える。
【0020】
転送部41は、制御部44から転送指示があった場合に、ロボット50の現在位置である、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0をPLC20に転送する。
データ取得部42は、制御部44からデータ取得指示があった場合に、PLC20の位置配列のPOS[3]に格納された、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0をPLC20から取得する。
【0021】
動作制御部43は、PLC20からの動作指令に基づいて、ロボット50のロボット機構部51の複数の関節軸の各モータをそれぞれ制御するために、ロボット50にモータ制御指令を各モータごとに出力する。また、動作制御部43は、各関節軸の位置検出部の位置検出信号を制御部44に出力する。
【0022】
制御部44は、各関節軸の位置検出部の位置検出信号に基づいて、ロボット50の現在位置(X,Y,Z,W,P,R)の値を求め、現在位置を記憶するとともに、表示制御部45に出力する。
また、制御部44は、ロボット教示操作盤30から受けた操作信号が、ロボット50の現在位置をPLC20へ転送する操作信号である場合は、記憶した現在位置を転送部41に転送指示とともに出力する。制御部44は、ロボット教示操作盤30から受けた操作信号が、PLC20から、PLC20に格納されている位置又は位置に関連する情報を取得する操作信号である場合は、データ取得部42にデータ取得指示を出力する。
表示制御部45は、ロボット教示操作盤30の画面31に現在位置として位置(X,Y,Z,W,P,R)の値を表示する。
【0023】
以上、ロボット制御装置40に含まれる機能ブロックについて説明した。
これらの機能ブロックを実現するために、ロボット制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備える。また、ロボット制御装置40は、アプリケーションソフトウェア及びOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置も備える。
【0024】
そして、ロボット制御装置40において、演算処理装置が補助記憶装置からアプリケーションソフトウェアやOSを読み込み、読み込んだアプリケーションソフトウェア又はOSを主記憶装置に展開させながら、これらのアプリケーションソフトウェア又はOSに基づいた演算処理を行なう。また、この演算結果に基づいて、各装置が備える各種のハードウェアを制御する。これにより、本実施形態のロボット制御装置40の機能ブロックは実現される。つまり、本実施形態は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0025】
以下、ロボット50の現在位置が、X=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15から、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0に変わった場合のロボット制御装置40の動作について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3はロボット制御装置40の動作を示すフローチャートである。
図4は、ロボット教示操作盤30の画面の表示情報と、PLC20の位置配列の格納情報との変化を示す図である。
【0026】
図4に示すように、まず、ロボット教示操作盤30の画面31には、ロボット50の現在位置として、X=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15が表示され、PLC位置として、X=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15が表示されているとする。このときの画面31の表示情報を表示情報30Aとする。PLC20の位置配列のPOS[3]には、X=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15が格納されている。このときの格納情報を格納情報20Aとする。
【0027】
ロボット制御装置40は、ロボット50のロボット機構部51の先端のエンドファクタ52の位置がX=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0となるようにエンドファクタ52を回転させる。
【0028】
図3のステップS11において、ロボット制御装置40はロボット50からの位置検出信号に基づいて、
図4に示すように、ロボット50の現行位置をX=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15から、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0に変更して、ロボット教示操作盤30の画面31に表示する。すると、画面31の表示情報は表示情報30Aから表示情報30Bに変わる。
ユーザは、画面31の表示情報30BのPLC位置を見て、PLC20の位置配列のPOS[3]には、X=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15が格納されたままであることを認識する。
【0029】
ステップS12において、ロボット制御装置40はユーザによって、ロボット教示操作盤30の転送操作が行われたかどうかを検出する。転送操作は、例えばロボット教示操作盤30のタッチパネル付液晶表示装置の不図示の転送キーがユーザによって押されることで行われる。転送操作が行われた場合はステップS13に移り、転送操作が行われていない場合には転送操作が行われるまで待機する。
【0030】
ステップS13において、ロボット制御装置40は、現在位置である、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0をPLC20に転送する。PLC20は、位置配列のPOS[3]に格納された、X=30、Y=20、Z=15、W=30、P=20、R=15を、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0に上書きする。すると、格納情報は格納情報20Aから格納情報20Bとなる。
【0031】
ステップS14において、ロボット制御装置40はユーザによって、ロボット教示操作盤30のPLCの位置データ取得操作が行われたかどうかを検出する。位置データ取得操作は、例えばユーザがロボット教示操作盤30のタッチパネル付液晶表示装置の位置インデックス[3]を選択し、不図示の確認キーを押すことで行われる。位置データ取得操作が行われた場合はステップS15に移り、位置データ取得操作が行われていない場合には位置データ取得操作が行われるまで待機する。
【0032】
ステップS15において、ロボット制御装置40は、PLC20の位置配列のPOS[3]に格納された、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0を取得する。そして、ロボット制御装置40は、ロボット教示操作盤30の画面31のPLC位置をX=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0に変更する。画面31の表示情報は表示情報30Bから表示情報30Cに変わる。
【0033】
ユーザはロボット教示操作盤30の表示情報30Cを見て、PLC20の位置配列のPOS[3]には、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0が上書きされて格納されたことを認識する。
【0034】
以上の動作により、ユーザは、ロボット教示操作盤30の画面31を見ることで、ロボットの現在位置がPLC20の位置配列に正しく格納されたことを確認することができる。その結果、ユーザが、ロボット教示操作盤30を操作してロボットの現在位置をPLC20へ転送した後、PLC20の画面でその位置が格納されたかどうかを確認するといった作業は不要となる。
【0035】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ユーザがロボット教示操作盤30の不図示の確認キーを押すことで、PLC20の位置配列のPOS[3]に格納された、PLC位置を取得して、ロボット教示操作盤30にPLC位置を表示した。
本実施形態では、ユーザがロボット教示操作盤30の不図示の確認キーを押すことで、PLC20に格納されている、位置の関連情報がPLC20から取得され、ロボット教示操作盤30の画面31に表示される。位置の関連情報は、例えば、PLCに格納されたロボットの位置を参照しているPLCのファンクションブロック(FB)の名称、そのFBが教示されているPLCプログラムの行番号、及びFBのコメントなどである。
【0036】
図5は、ロボット教示操作盤30の画面の表示情報と、PLC20の格納情報とを示す図である。
例えば、ユーザが位置インデックス[3]を選択し、不図示の確認キーを押すと、PLC20内の位置配列要素:POS[3]を参照しているPLCのファンクションブロック(FB)の名称、そのFBが教示されているPLCプログラムの行番号、及びFBのコメントがPLC20から取得され、ロボット教示操作盤30の画面31に表示される。それによって、例えば、この位置は「FB3」という名称のFBで参照されていること、及びこの「FB3」はPLCプログラムの3行目に教示されていることなどが分かる。FBにコメントなどが付けられている場合は、それもこの画面に表示される。
図5では、コメントとして、ロボットのピッキング位置を意味する“PICK_POS”が表示される。
【0037】
(第3実施形態)
第1実施形態では、ユーザが、ロボット教示操作盤30の不図示の転送キーを押すと、ロボット制御装置40は、ロボット50の現在位置をPLC20に転送し、PLC20は、位置配列のPOS[3]に格納された位置をロボット制御装置40から転送された現在の位置に上書きしていた。
本実施形態では、PLC20は、位置配列のPOS[3]に格納された位置をロボット制御装置40から転送された現在の位置に上書きする前に、ユーザに上書きの可否を求めるようにする。
【0038】
ロボット制御装置40の制御部44は、ユーザによって、ロボット教示操作盤30の画面31上でロボットの現在位置をPLC20に転送する操作がされると、操作信号を受ける。制御部44は、操作信号を受けた際に、指定した位置配列要素に既に位置が格納されている場合は、「この位置を上書きしますか?」というメッセージの確認用ポップアップ30Dを画面31に表示する。
図6は、画面31に表示された確認用ポップアップを示す図である。ユーザが「はい」を選択した場合、この位置配列要素に現在位置を転送して上書きすることができる。ユーザが「いいえ」を選択した場合、転送は中断されPLC20の位置配列要素の位置は変更されない。
【0039】
図7は第3実施形態のロボット制御装置40の動作を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、
図3のフローチャートのステップS12とステップS13との間に、3つのステップS21、S22及びS23が設けられている。
ステップS12において、ロボット制御装置40はユーザによって、ロボット教示操作盤30の転送操作が行われたかどうかを検出し、転送操作が行われた場合はステップS21に移る。
【0040】
ステップ21において、ロボット制御装置40は、PLCの位置配列要素に格納されている位置データを取得し、その位置データが全て“0”であるかどうかを判断する。ロボットの位置データは、X、Y、Z、W、P及びRの他に姿勢も含まれており、X、Y、Z、W、P及びRが“0”でも姿勢の値が入るため、位置データは全て“0”にならない。
PLCの位置配列要素に格納されている位置データの初期値は全て“0”であるため、位置データが全て“0”である場合は、転送処理は行われていないと判断できる。そこで、ロボット制御装置40は、位置データが全て“0”である場合は、初回の転送であるため、確認用ポップアップ30Dを画面に表示せず、ステップS13に移り、ロボット制御装置40は、現在位置である、X=30、Y=20、Z=15、W=0、P=0、R=0をPLC20に転送する。
一方、ロボット制御装置40は、位置データが全て“0”でない場合は、転送処理が既に行われていると判断し、ステップS22に移る。
【0041】
ステップ22において、ロボット制御装置40は、確認用ポップアップ30Dをロボット教示操作盤30の画面31に表示し、ステップS23に移る。
ステップ23において、ユーザが「はい」を選択した場合、ロボット制御装置40はステップS13に移る。ユーザが「いいえ」を選択した場合、転送は行われず、PLC20の位置配列要素の位置は変更されない。
【0042】
以上本発明に係る各実施形態について説明したが、ロボット制御装置に含まれる各構成部は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、ロボット制御装置に含まれる各構成部のそれぞれの協働により行なわれるロボット制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0043】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0044】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0045】
本開示によるロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法は、上述した実施形態を含め、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0046】
(1) プログラマブルロジックコントローラ(例えば、PLC20)と接続され、ロボット(例えば、ロボット50)を制御するロボット制御装置(例えば、ロボット制御装置40)であって、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送する転送部(例えば、転送部41)と、
前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得する取得部(例えば、データ取得部42)と、
取得した前記現在位置又は前記関連情報を、ロボット教示操作盤(例えば、ロボット教示操作盤30)の画面に表示する表示制御部(例えば、表示制御部45)と、
を備えたロボット制御装置。
このロボット制御装置によれば、ロボットの現在位置をPLCに転送して格納する際に、ロボット教示操作盤での転送操作とPLCの画面での確認操作とを交互に行う必要がなくなり、一連の操作をロボット教示操作盤だけで済ませることができる。
【0047】
(2) 前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置が、プログラマブルロジックコントローラプログラム内のファンクションブロックで参照されている場合、前記取得部は、該ファンクションブロックの情報を取得し、前記表示制御部は前記ロボット教示操作盤の画面に表示する、上記(1)に記載のロボット制御装置。
【0048】
(3) 前記現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラに転送する場合、前記所定の領域に既に前記現在位置が格納されている場合、それを上書きするかどうかを確認するポップアップを前記ロボット教示操作盤の画面に表示する、上記(1)又は(2)に記載のロボット制御装置。
【0049】
(4) 前記ロボット教示操作盤を含む、上記(1)から(3)のいずれかに記載のロボット制御装置。
【0050】
(5) 上記(1)から(4)のいずれかに記載のロボット制御装置(例えば、ロボット制御装置)と、該ロボット制御装置と接続されるプログラマブルロジックコントローラとを備えた、ロボット制御システム。
このロボット制御システムによれば、ロボットの現在位置をPLCに転送して格納する際に、ロボット教示操作盤での転送操作とPLCの画面での確認操作とを交互に行う必要がなくなり、一連の操作をロボット教示操作盤だけで済ませることができる。
【0051】
(6) プログラマブルロジックコントローラ(例えば、PLC20)と、該プログラマブルロジックコントローラと接続されるロボット制御装置(例えば、ロボット制御装置40)とを用いて、ロボットを制御するロボット制御方法において、
前記ロボットの現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラ内の所定の領域に格納するために、前記ロボット制御装置が該現在位置を前記プログラマブルロジックコントローラへ転送し、
前記ロボット制御装置が、前記プログラマブルロジックコントローラに格納された前記現在位置又は前記現在位置の関連情報を前記プログラマブルロジックコントローラから取得し、
前記ロボット制御装置が、取得した前記現在位置又は前記関連情報を、ロボット教示操作盤の画面に表示する、ロボット制御方法。
このロボット制御方法によれば、ロボットの現在位置をPLCに転送して格納する際に、ロボット教示操作盤での転送操作とPLCの画面での確認操作とを交互に行う必要がなくなり、一連の操作をロボット教示操作盤だけで済ませることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ロボット制御システム
20 PLC
30 ロボット教示操作盤
40 ロボット制御装置
41 転送部
42 データ取得部
43 動作制御部
44 制御部
45 表示制御部
50 ロボット
51 ロボット機構部
52 エンドファクタ