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特許7572547船舶の温室効果ガス排出低減装置及び同装置を具備した船舶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】船舶の温室効果ガス排出低減装置及び同装置を具備した船舶
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/92 20060101AFI20241016BHJP
   B63H 21/32 20060101ALI20241016BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20241016BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20241016BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B01D53/92 240
B01D53/92 ZAB
B01D53/92 331
B01D53/92 215
B01D53/92 224
B63H21/32 Z
F01N3/04 D
F01N3/08 A
F01N3/08 B
F01N3/24 L
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2023520522
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 KR2020018603
(87)【国際公開番号】W WO2022092428
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0139682
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0154964
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522213971
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】3370,Geoje-daero,Geoje-si,Gyeongsangnam-do 53302,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ビョン タク
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0113486(KR,A)
【文献】特表2019-510628(JP,A)
【文献】特開昭62-170469(JP,A)
【文献】特開2010-208435(JP,A)
【文献】特開平04-346821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14 - 53/18
B01D 53/34 - 53/85
F01H 3/00 - 3/38
B63H 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を供給する海水供給部と、
高濃度CO吸収液を製造して供給する吸収液製造部と、
船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、
前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生部、及び前記1次再生部からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を追加的に反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して前記吸収タワーに循環供給して吸収液として再使用させる2次再生部からなる、吸収液再生部と、を含む
ことを特徴とする船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項2】
前記吸収液再生部は、
前記2価金属水酸化物水溶液を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液と2価金属水酸化物水溶液を攪拌機によって攪拌してNH(g)と炭酸塩を生成する混合タンク、及び前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩を分離する1次フィルタで構成される、前記1次再生部と、
前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を貯蔵し、前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を再反応させる1次吸収液貯蔵タンク、前記1次吸収液貯蔵タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩とンモニア水を分離する2次フィルタ、及び前記2次フィルタによって分離されるンモニア水を貯蔵する2次吸収液貯蔵タンクで構成される、2次再生部と、を含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項3】
前記1次吸収液貯蔵タンクの貯蔵容量は前記吸収タワーと前記吸収液再生部を循環する吸収液容量の3倍以上である
請求項2に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項4】
前記1次吸収液貯蔵タンクは前記2価金属水酸化物水溶液と、前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を攪拌して反応させる攪拌機、及び前記攪拌機による反応程度を計測するpHセンサを含む
請求項2に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項5】
前記貯蔵タンクに貯蔵された2価金属水酸化物水溶液は、と、CaO又はMgOを反応させて生成されたCa(OH)又はMg(OH)である
請求項2に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項6】
前記2次フィルタによって分離されたアンモニア水若しくはを前記2次吸収液貯蔵タンクに供給したり、総循環に対して前記混合タンクによって追加的に生成された余剰のタンクに貯蔵して前記貯蔵タンクでの2価金属水酸化物水溶液の生成時にリサイクルする
請求項2に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項7】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部をさらに含み、
前記CO除去部は、前記SOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去する
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項8】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部をさらに含み、
前記CO除去部は、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去する
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項9】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部と、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部と、前記SOが除去された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去する前記CO除去部と、が順に積層形成される
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項10】
前記吸収液再生部によって再生されたNHを前記吸収タワーに回帰させて吸収液に転換させて再使用させ、
前記NO吸収部は前記吸収液再生部によって再生されたNHを供給されてNHでNOを吸収するか、又は尿素水を使用してNOを吸収する
請求項8又は9に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項11】
前記海水供給部は、
船外からシーチェストを介して海水を供給されて前記SO吸収部にポンピングする海水ポンプと、排気ガスの量に応じて前記海水ポンプから前記SO吸収部に供給される海水の噴射量を調節する海水調節弁と、を含む
請求項7又は9に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項12】
前記吸収液製造部は、
を貯蔵するタンクと、
前記タンクからを供給する調節弁と、
高圧のNHを貯蔵するNH貯蔵所と、
前記調節弁によって供給されるに前記NH貯蔵所から供給されるNHを噴射して吸収液であるンモニア水を製造して貯蔵するアンモニア水タンクと、
前記アンモニア水タンク内のアンモニア水濃度を測定するpHセンサと、
前記アンモニア水タンクから前記2次吸収液貯蔵タンクにアンモニア水を供給するアンモニア水供給ポンプと、を含む
請求項2に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項13】
前記2次吸収液貯蔵タンクから前記吸収タワーにアンモニア水を循環させるアンモニア水循環ポンプをさらに含む
請求項12に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項14】
前記SO吸収部は、
前記海水供給部から供給される海水を下向きに噴射する多段の海水噴射ノズルと、
洗浄水が逆流しないようにする、隔壁形状の排気ガス流入管又は前記排気ガス流入管をカバーする傘形状の遮断板と、を含む
請求項7又は9に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項15】
前記海水噴射ノズル下部に、排気ガスが通過する流路が形成された多孔性上板が多段でそれぞれ形成されて、海水と排気ガスを接触させる
請求項14に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項16】
前記海水噴射ノズル下部に、海水と排気ガスを接触させる充填材が詰められた吸収塔が形成されて、海水がSOを溶解させるようにする
請求項14に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項17】
前記CO除去部は、
前記吸収液再生部から供給される吸収液を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズルと、
COと吸収液であるアンモニア水とを接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材と、
前記充填材が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却するクーリングジャケットと、
COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレーと、
屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を前記充填材方向に回帰させるミスト除去板と、
アンモニア水が逆流しないように形成された隔壁と、
前記隔壁に囲まれた排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板と、を含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項18】
前記充填材は多段の蒸留カラムパッキングで構成され、
前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器が形成される
請求項17に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項19】
前記吸収タワーは、
前記NO吸収部と前記SO吸収部の間に形成されて前記船舶エンジンの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGEをさらに含む
請求項9に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項20】
前記吸収タワーから排出される洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク、前記洗浄水タンクに移送ポンプによって移送された洗浄水の船外排出条件を充足するように濁度を調節するフィルタリングユニットとpH調節のための中和剤注入ユニットを具備する水処理装置、及び固形の排出物を分離貯蔵するスラッジ貯蔵タンクで構成される、排出部をさらに含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項21】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した
ことを特徴とする船舶。
【請求項22】
船舶エンジンから排出される排気ガスを冷却する排気ガス冷却部と、
高濃度CO吸収液を製造して供給する吸収液製造部と、
前記排気ガス冷却部によって冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、
前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生段、及び前記1次再生段からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を追加的に反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して前記吸収タワーに循環供給して吸収液として再使用させる2次再生段からなる、吸収液再生部と、を含む
ことを特徴とする船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項23】
前記船舶エンジンはLNG又は低硫黄油を燃料として使用する
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項24】
前記排気ガス冷却部は、排気ガス排出管を包む熱交換配管に船内冷却システムから提供されるを循環させて排気ガスを27℃乃至33℃の温度に冷却する
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項25】
前記吸収液再生部は、
前記2価金属水酸化物水溶液を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液と前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液を攪拌機によって攪拌してNH(g)と炭酸塩を生成する混合タンク、及び前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩を分離する1次フィルタで構成される、前記1次再生段と、
前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を貯蔵し、前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を再反応させる1次吸収液貯蔵タンク、前記1次吸収液貯蔵タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩とンモニア水を分離する2次フィルタ、及び前記2次フィルタによって分離されるンモニア水を貯蔵する2次吸収液貯蔵タンクで構成される、前記2次再生段と、を含む
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項26】
前記1次吸収液貯蔵タンクの貯蔵容量は、吸収液循環ラインに沿って前記吸収タワーと前記吸収液再生部を循環する吸収液容量の3倍以上である
請求項25に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項27】
前記1次吸収液貯蔵タンクは前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液と、前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を攪拌して反応させる攪拌機、及び前記攪拌機による反応程度を計測するpHセンサを含む
請求項25に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項28】
前記貯蔵タンクに貯蔵された2価金属水酸化物水溶液は、と、CaO又はMgOを反応させて生成されたCa(OH)又はMg(OH)である
請求項25に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項29】
前記2次フィルタによって分離されたアンモニア水若しくはを前記2次吸収液貯蔵タンクに供給するか、又は総循環に対して前記混合タンクによって追加的に生成された余剰のタンクに貯蔵して前記貯蔵タンクでの2価金属水酸化物水溶液の生成時にリサイクルする
請求項25に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項30】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部をさらに含み、
前記CO除去部は、前記NOが除去され前記排気ガス冷却部によって冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去する
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項31】
前記吸収液再生部はNHを再生して前記吸収タワーに回帰させて吸収液として再使用させ、
前記NO吸収部は前記吸収液再生部から供給されるNHでNOを吸収するか、又は尿素水を使用してNOを吸収して除去する
請求項30に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項32】
前記吸収液製造部は、
を貯蔵するタンクと、
前記タンクからの供給量を調節する調節弁と、
高圧のNHを貯蔵するNH貯蔵所と、
前記調節弁によって供給されるに前記NH貯蔵所から供給されるNHを噴射して吸収液であるンモニア水を製造して貯蔵するアンモニア水タンクと、
前記アンモニア水タンク内のアンモニア水濃度を測定するpHセンサと、
前記アンモニア水タンクから前記2次吸収液貯蔵タンクにアンモニア水を供給するアンモニア水供給ポンプと、を含む
請求項25に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項33】
前記2次吸収液貯蔵タンクから前記吸収タワーにアンモニア水を循環させるアンモニア水循環ポンプをさらに含む
請求項32に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項34】
前記CO除去部は、
前記吸収液再生部から供給される吸収液を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズルと、
COと吸収液であるアンモニア水とを接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材と、
前記充填材が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却するクーリングジャケットと、
COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレーと、
屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を前記充填材方向に回帰させるミスト除去板と、
アンモニア水が液漏れしないように形成された隔壁と、
前記隔壁に囲まれた排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板と、を含む
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項35】
前記充填材は多段の蒸留カラムパッキングで構成され、
前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器が形成される
請求項34に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項36】
前記吸収タワーは、
前記NO吸収部と前記排気ガス冷却部の間に形成されて前記船舶エンジンからの排気ガスの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGEをさらに含む
請求項30に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項37】
請求項22乃至36のいずれか一項に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した
ことを特徴とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去してアンモニア水濃度を一定の水準に維持することにより、吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる、船舶の温室効果ガス排出低減装置及び同装置を具備した船舶に関する。
【0002】
また、本発明は、熱交換方式によって排気ガスを冷却して吸収液の濃度低下を防止し、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去して吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる、船舶の温室効果ガス排出低減装置及び同装置を具備した船舶に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、無分別な化石燃料使用による温室効果ガス排出の影響で地球温暖化現象とそれに関連する環境災害が発生している。
【0004】
これによって、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素を放出せず捕集して貯蔵することに関連する一連の技術がCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術と呼ばれ最近非常に大きな注目を浴びているが、CCS技術のうち化学吸収法(chemical absorption)は大規模処理が可能という面からその中でも最も多く商用化された技術である。
【0005】
また、二酸化炭素排出規制はIMOのEEDIによって規制するが、2050年には2008年の排出量の50%以上の低減を目標とし、2030年にも2008年の排出量の40%を低減しなければならず、COを排出しない、又は排出されたCOを捕集する技術が注目を浴びている。
【0006】
ちなみに、二酸化炭素を直接的に捕集及び貯蔵するCCS技術のうち、CO捕集技術は対象工程のCO発生条件に応じて多様なアプローチができるが、現在、代表的な技術は吸収法、吸着法、膜分離法があって、そのうち湿式吸収法は陸上プラントにおいて技術成熟度レベルが高く、CO2の大量処理が容易でCCS技術の商用化に最も近接した捕集技術とされ吸収剤としてはアミン系とアンモニアを主に使用する。
【0007】
一方、前述した二酸化炭素の排出を低減、又は生成された二酸化炭素を捕集する技術は、船舶では商用化された事例がないというのが現状であり、水素やアンモニアを燃料として使用する方法も現在開発中で商業化の段階には至っていないのが現状である。
【0008】
また、船舶エンジンから排出される排出ガスの中の温室効果ガスであるCOを吸収液で吸収して環境に影響を与えない物質に転換して排出したり、有用な物質に転換して貯蔵し、吸収液の濃度変化による吸収性能低下を防止できる、技術を船舶に適用する必要性が提起される。
【0009】
また、SOの発生量が少ない又は発生しないようにLNG又は低硫黄油を燃料として使用する船舶に対して船舶エンジンから排出される排出ガスの中のCOを吸収液で吸収して環境に影響を与えない物質に転換して排出したり、有用な物質に転換して貯蔵し、海水による排気ガス冷却による吸収液の濃度低下を防止して吸収液の繰り返される循環による濃度変化による吸収性能低下を防止できる、技術を船舶に適用する必要性が提起される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の思想が成し遂げようとする技術的課題は、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去してアンモニア水濃度を一定の水準に維持することにより、吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる、船舶の温室効果ガス排出低減装置及び同装置を具備した船舶を提供することにある。
【0011】
また、本発明の思想が成し遂げようとする技術的課題は、熱交換方式によって排気ガスを冷却して吸収液の濃度低下を防止し、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去して吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる、船舶の温室効果ガス排出低減装置及び同装置を具備した船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するために、本発明は、海水を供給する海水供給部と、高濃度CO吸収液を製造して供給する吸収液製造部と、船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生部、及び前記1次再生部からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を追加的に反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して前記吸収タワーに循環供給して吸収液として再使用させる2次再生部からなる、吸収液再生部と、を含む、船舶の温室効果ガス排出低減装置を提供する。
【0013】
また、前記吸収液再生部は、前記2価金属水酸化物水溶液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液と2価金属水酸化物水溶液を攪拌機によって攪拌してNH(g)と炭酸塩を生成する混合タンク、及び前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩を分離する1次フィルタで構成される、前記1次再生部と、前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を貯蔵し、前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を再反応させる1次吸収液貯蔵タンク、前記1次吸収液貯蔵タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩と高濃度アンモニア水を分離する2次フィルタ、及び前記2次フィルタによって分離される高濃度アンモニア水を貯蔵する2次吸収液貯蔵タンクで構成される、2次再生部と、を含むことができる。
【0014】
また、前記1次吸収液貯蔵タンクの貯蔵容量は前記吸収タワーと前記吸収液再生部を循環する吸収液容量の3倍以上であり得る。
【0015】
また、前記1次吸収液貯蔵タンクは前記2価金属水酸化物水溶液と、前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を攪拌して反応させる攪拌機、及び前記攪拌機による反応程度を計測するpHセンサを含むことができる。
【0016】
また、前記貯蔵タンクに貯蔵された2価金属水酸化物水溶液は、清水と、CaO又はMgOを反応させて生成されたCa(OH)又はMg(OH)であり得る。
【0017】
また、前記2次フィルタによって分離されたアンモニア水若しくは清水を前記2次吸収液貯蔵タンクに供給するか、又は総循環清水に対して前記混合タンクによって追加的に生成された余剰の清水を清水タンクに貯蔵して前記貯蔵タンクでの2価金属水酸化物水溶液の生成時にリサイクルできる。
【0018】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部をさらに含み、前記CO除去部は、前記SOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去できる。
【0019】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部をさらに含み、前記CO除去部は、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去できる。
【0020】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部と、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部と、前記SOが除去された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去する前記CO除去部と、が順に積層形成され得る。
【0021】
また、前記吸収液再生部によって再生されたNHを前記吸収タワーに回帰させて吸収液に転換させて再使用させ、前記NO吸収部は前記吸収液再生部によって再生されたNHを供給されてNHでNOを吸収するか、又は尿素水を使用してNOを吸収できる。
【0022】
また、前記海水供給部は、船外からシーチェストを介して海水を供給されて前記SO吸収部にポンピングする海水ポンプと、排気ガスの量に応じて前記海水ポンプから前記SO吸収部に供給される海水の噴射量を調節する海水調節弁と、を含むことができる。
【0023】
また、前記吸収液製造部は、清水を貯蔵する清水タンクと、前記清水タンクから清水を供給する清水調節弁と、高圧のNHを貯蔵するNH貯蔵所と、前記清水調節弁によって供給される清水に前記NH貯蔵所から供給されるNHを噴射して吸収液である高濃度アンモニア水を製造して貯蔵するアンモニア水タンクと、前記アンモニア水タンク内のアンモニア水濃度を測定するpHセンサと、前記アンモニア水タンクから前記2次吸収液貯蔵タンクにアンモニア水を供給するアンモニア水供給ポンプと、を含むことができる。
【0024】
前記2次吸収液貯蔵タンクから前記吸収タワーにアンモニア水を循環させるアンモニア水循環ポンプをさらに含むことができる。
【0025】
また、前記SO吸収部は、前記海水供給部から供給される海水を下向きに噴射する多段の海水噴射ノズルと、洗浄水が逆流しないようにする、隔壁形状の排気ガス流入管又は前記排気ガス流入管をカバーする傘形状の遮断板と、を含むことができる。
【0026】
また、前記海水噴射ノズル下部に、排気ガスが通過する流路が形成された多孔性上板が多段でそれぞれ形成されて、海水と排気ガスが接触できる。
【0027】
また、前記海水噴射ノズル下部に、海水と排気ガスを接触させる充填材が詰められた吸収塔が形成されて、海水がSOを溶解させることができる。
【0028】
また、前記CO除去部は、前記吸収液再生部から供給される吸収液を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズルと、COと吸収液であるアンモニア水とを接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材と、前記充填材が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却するクーリングジャケットと、COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレーと、屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を前記充填材方向に回帰させるミスト除去板と、アンモニア水が逆流しないように形成された隔壁と、前記隔壁に囲まれた排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板と、を含むことができる。
【0029】
また、前記充填材は単位体積あたり接触面的が大きく設計された多段の蒸留カラムパッキングで構成され、前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器が形成され得る。
【0030】
また、前記吸収タワーは、前記NO吸収部と前記SO吸収部の間に形成されて前記船舶エンジンの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGEをさらに含むことができる。
【0031】
また、前記吸収タワーから排出される洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク、前記洗浄水タンクに移送ポンプによって移送された洗浄水の船外排出条件を充足するように濁度を調節するフィルタリングユニットとpH調節のための中和剤注入ユニットを具備する水処理装置、及び固形の排出物を分離貯蔵するスラッジ貯蔵タンクで構成される、排出部をさらに含むことができる。
【0032】
一方、本発明は、前述した船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した船舶を提供できる。
【0033】
前述した他の目的を達成するために、本発明は、船舶エンジンから排出される排気ガスを冷却する排気ガス冷却部と、高濃度CO吸収液を製造して供給する吸収液製造部と、前記排気ガス冷却部によって冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生段、及び前記1次再生段からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を追加的に反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して前記吸収タワーに循環供給して吸収液として再使用させる2次再生段からなる、吸収液再生部と、を含む、船舶の温室効果ガス排出低減装置を提供する。
【0034】
また、前記船舶エンジンはLNG又は低硫黄油を燃料として使用することができる。
【0035】
船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【0036】
また、前記排気ガス冷却部は、排気ガス排出管を包む熱交換配管に船内冷却システムから提供される清水を循環させて排気ガスを27℃乃至33℃の温度に冷却できる。
【0037】
また、前記吸収液再生部は、前記2価金属水酸化物水溶液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液と前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液を攪拌機によって攪拌してNH(g)と炭酸塩を生成する混合タンク、及び前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩を分離する1次フィルタで構成される、前記1次再生段と、前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を貯蔵し、前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を再反応させる1次吸収液貯蔵タンク、前記1次吸収液貯蔵タンクから溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩と高濃度アンモニア水を分離する2次フィルタ、及び前記2次フィルタによって分離される高濃度アンモニア水を貯蔵する2次吸収液貯蔵タンクで構成される、前記2次再生段と、を含むことができる。
【0038】
また、前記1次吸収液貯蔵タンクの貯蔵容量は、吸収液循環ラインに沿って前記吸収タワーと前記吸収液再生部を循環する吸収液容量の3倍以上であり得る。
【0039】
また、前記1次吸収液貯蔵タンクは前記貯蔵タンクからの2価金属水酸化物水溶液と、前記1次フィルタによって分離されたアンモニア水又は未反応アンモニウム塩水溶液を攪拌して反応させる攪拌機、及び前記攪拌機による反応程度を計測するpHセンサを含むことができる。
【0040】
また、前記貯蔵タンクに貯蔵された2価金属水酸化物水溶液は、清水と、CaO又はMgOを反応させて生成されたCa(OH)又はMg(OH)であり得る。
【0041】
また、前記2次フィルタによって分離されたアンモニア水若しくは清水を前記2次吸収液貯蔵タンクに供給するか、又は総循環清水に対して前記混合タンクによって追加的に生成された余剰の清水を清水タンクに貯蔵して前記貯蔵タンクでの2価金属水酸化物水溶液の生成時にリサイクルできる。
【0042】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部をさらに含み、前記CO除去部は、前記NOが除去され前記排気ガス冷却部によって冷却された排気ガスと前記吸収液製造部からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去できる。
【0043】
また、前記吸収液再生部はNHを再生して前記吸収タワーに回帰させて吸収液として再使用させ、前記NO吸収部は前記吸収液再生部から供給されるNHでNOを吸収するか、又は尿素水を使用してNOを吸収して除去できる。
【0044】
また、前記吸収液製造部は、清水を貯蔵する清水タンクと、前記清水タンクからの清水供給量を調節する清水調節弁と、高圧のNHを貯蔵するNH貯蔵所と、前記清水調節弁によって供給される清水に前記NH貯蔵所から供給されるNHを噴射して吸収液である高濃度アンモニア水を製造して貯蔵するアンモニア水タンクと、前記アンモニア水タンク内のアンモニア水濃度を測定するpHセンサと、前記アンモニア水タンクから前記2次吸収液貯蔵タンクにアンモニア水を供給するアンモニア水供給ポンプと、を含むことができる。
【0045】
また、前記2次吸収液貯蔵タンクから前記吸収タワーにアンモニア水を循環させるアンモニア水循環ポンプをさらに含むことができる。
【0046】
また、前記CO除去部は、前記吸収液再生部から供給される吸収液を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズルと、COと吸収液であるアンモニア水とを接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材と、前記充填材が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却するクーリングジャケットと、COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレーと、屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を前記充填材方向に回帰させるミスト除去板と、アンモニア水が液漏れしないように形成された隔壁と、前記隔壁に囲まれた排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板と、を含むことができる。
【0047】
また、前記充填材は単位体積あたり接触面的が大きく設計された多段の蒸留カラムパッキングで構成され、前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器が形成され得る。
【0048】
また、前記吸収タワーは、前記NO吸収部と前記排気ガス冷却部の間に形成されて前記船舶エンジンからの排気ガスの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGEをさらに含むことができる。
【0049】
一方、本発明は、前述した船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した船舶を提供できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去してアンモニア水濃度を一定の水準に維持することにより、吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる効果がある。
【0051】
また、加圧システムを適用して高濃度吸収液の自然蒸発による吸収液の損失を防止できる効果がある。
【0052】
さらには、IMO温室効果ガス排出規制を充足させるように環境に影響を与えない物質に転換して分離排出するか、又は有用な物質に転換して貯蔵し、NHを再生して比較的高価のNHの消耗を最小化し、フィルタ後段部の容量の大きさを減らすことができ、温室効果ガスを自然状態で存在する炭酸塩の形態で貯蔵して海上排出を可能とし、NH再生時に残存するSOによる副反応を除去してNHの損失を最小化し、アンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることができる効果がある。
【0053】
また、本発明によれば、熱交換方式によって排気ガスを冷却して吸収液の濃度低下を防止して、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる効果がある。
【0054】
また、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去して吸収液の回収率を高め、加圧システムを適用して高濃度吸収液のNH自然蒸発による吸収液の損失を防止して、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる効果がある。
【0055】
さらには、IMO温室効果ガス排出規制を充足させるように環境に影響を与えない物質に転換して分離排出するか、又は有用な物質に転換して貯蔵し、NHを再生して比較的高価のNHの消耗を最小化し、フィルタ後段部の容量の大きさを減らすことができ、温室効果ガスを自然状態で存在する炭酸塩の形態で貯蔵して海上排出を可能とし、NH再生時に残存するNO又はSOによる副反応を除去してNHの損失を最小化し、アンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置の概略的な構成を示す図である。
図2図1の船舶の温室効果ガス排出低減装置を具現したシステム回路図を示す図である。
図3図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の海水供給部を分離して示した図である。
図4図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の吸収液製造部と吸収液再生部を分離して示した図である。
図5図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の吸収タワーを分離して示した図である。
図6図5の吸収タワーのSO吸収部を分離して示した図である。
図7図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の蒸気生成部及び排出部を分離して示した図である。
図8図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置に適用される多様な充填材を例示した図である。
図9図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置に適用されるアンモニア水噴射ノズルを例示した図である。
図10】本発明の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置の概略的な構成を示す図である。
図11図10の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置を具現したシステム回路図を示す図である。
図12図11の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置の排気ガス冷却部と吸収タワーを分離して示した図である。
図13図11の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置の吸収液製造部と吸収液再生部を分離して示した図である。
図14図11の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置の蒸気生成部を分離して示した図である。
図15図11の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置に適用される多様な充填材を例示した図である。
図16図11の他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置に適用されるアンモニア水噴射ノズルを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0058】
図1を参照すると、本発明の一実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置は、海水を供給する海水供給部110と、高濃度CO吸収液を製造して供給する吸収液製造部120と、船舶エンジン10から排出される排気ガスを海水供給部110から供給された海水と反応させて冷却し、冷却された排気ガスと吸収液製造部120からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去するCO除去部131が形成された、吸収タワー130と、吸収タワー130から排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生部140、及び1次再生部140からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して吸収タワー130に循環供給して吸収液として再使用させる2次再生部150からなる、吸収液再生部と、を含むことで、吸収液の回収率を高めて一定の濃度に維持して吸収性能低下を防止することを要旨とする。
【0059】
ここで、主エンジン又は発電用エンジンとして用いられる船舶エンジンの種類及び仕様(低圧エンジン又は高圧エンジン)、船舶エンジンに供給される燃料の種類(HFO、MDO、LNG、MGO、LSMGO、アンモニア等)によって吸収タワーは、CO除去部の他にも、NO吸収部又はSO吸収部を選択的に含むか、又はすべて含むように構成されることができる。
【0060】
特に、船舶エンジンの燃料として低硫黄油(LSMGO)を使用する場合、排気ガスの冷却とSOの溶解による吸収除去を同時に遂行できるSO吸収部を追加的に具備できる。
【0061】
以下、吸収タワーにNO吸収部、SO吸収部、CO除去部が順に積層形成された実施例を記述するが、これに限定されず、前述のようにNO吸収部及び/又はSO吸収部は船舶エンジンと燃料の種類によって具備するか否かを決定できる。
【0062】
以下、図1乃至図9を参照して、前述した船舶の温室効果ガス排出低減装置の構成を具体的に詳述すると次のとおりである。
【0063】
まず、海水供給部110は海水を吸収タワー130に供給して排気ガスの温度を下げて吸収液によるCO吸収を円滑にする。
【0064】
具体的には、海水供給部110は、図2及び図3に示すように、船外からシーチェスト(sea chest)(図示せず)を介して海水を吸入して供給されて吸収タワー130のSO吸収部132にポンピングする海水ポンプ111と、排気ガスの量に応じてSO吸収部132に供給される海水の噴射量を調節する海水調節弁112と、で構成されることができる。ここで、海水ポンプ111は船外から海水を吸入する吸引ポンプ(suction pump)と海水をSO吸収部132にポンピングして移送する海水移送ポンプに分離して構成されることもできる。
【0065】
ちなみに、船舶の接岸時又は航海時によって、水深に応じて上部の海水を吸入するハイ(high)シーチェスト又は下部の海水を吸入するロー(low)シーチェストから海水ポンプ111に選択的に供給できる。すなわち、船舶の接岸時には下部の海水に比べて上部の海水の方が清潔なのでハイシーチェストを使用し、船舶の航海時には上部の海水に比べて下部の海水の方が清潔なのでローシーチェストを使用することができる。
【0066】
ここで、海水調節弁112は海水の流量を調節する手動操作型ダイヤフラム弁又はソレノイド型弁であり得るが、これに限定されず、排気ガスの量に応じて海水噴射ノズル132aを通して海水噴射量を調節できるものであれば、いかなる形態の弁でも適用可能である。
【0067】
次に、吸収液製造部120は下記の化学式1のように清水(fresh water)とNHを反応させて高濃度CO吸収液である高濃度アンモニア水(NHOH(aq))を製造して2次吸収液貯蔵タンク153を経て吸収タワー130に供給する。
【0068】
【化1】
【0069】
具体的には、図2及び図4に示すように、吸収液製造部120は、清水を貯蔵する清水タンク(図示せず)、清水タンクから清水をアンモニア水タンク123に供給する清水調節弁121、高圧のNHを貯蔵するNH貯蔵所122、清水調節弁121によって供給される清水にNH貯蔵所122から供給されるNHを噴射して高濃度アンモニア水を製造して貯蔵するアンモニア水タンク123、アンモニア水タンク123内のアンモニア水濃度を測定するpHセンサ124、及びアンモニア水タンク123から2次吸収液貯蔵タンク153に高濃度アンモニア水を供給するアンモニア水供給ポンプ125で構成されることができる。
【0070】
吸収タワー130と吸収液再生部を循環するアンモニア水は運転を繰り返すうちに濃度が変化するが、例えば、NO吸収部133にNHが供給されてNO吸収除去に使用されるか、吸収タワー130を通過して排気ガスとともにNHが排出されて、アンモニア水の濃度が低くなり、濃度が低くなる場合は、吸収液製造部120は高濃度のアンモニア水をアンモニア水循環ラインA(図1参照)に供給して、低くなったアンモニア水濃度を補償して設計されたアンモニア水濃度に一定に維持させることができる。
【0071】
一方、高濃度アンモニア水は同一温度で低濃度アンモニア水に比べてNH(g)の分圧(partial pressure)が高いので、大気圧状態では相対的にNHの蒸発が起きやすいので損失が増加する。よって、高濃度アンモニア水を貯蔵するためには溶解度が高くNH(g)の蒸気圧が低くなるように温度を下げて加圧システム下で運転しなければならない。
【0072】
すなわち、NH(g)が大気中に蒸発損失する現象を防止するためにアンモニア水タンク123内に一定の圧力の圧縮空気を注入して、アンモニア水タンク123内の圧力を高い状態で維持してNHの蒸発損失を防止できる。
【0073】
例えば、NHは-34℃、8.5barで液体状態で貯蔵が可能なので船内で利用可能な7bar圧縮空気を使用してアンモニア水タンク123内部を一定の圧力に維持して、50%濃度のアンモニア水をアンモニア水タンク123に貯蔵することができる。
【0074】
また、アンモニア水タンク123の過圧防止のための安全弁(safety valve)123aが設置されることができる。
【0075】
次に、吸収タワー130には船舶エンジン10から排出される排気ガスを海水供給部110から供給された海水と反応させて冷却し、冷却された排気ガスのCOと吸収液製造部120からの吸収液であるアンモニア水を反応させて下記の化学式2のようにCOをアンモニウム塩水溶液(NHHCO(aq))に転換してCOを除去するCO除去部131が形成される。
【0076】
【化2】
【0077】
具体的には、CO除去部131は、図3に示すように、2次吸収液貯蔵タンク153から供給されるアンモニア水を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズル131a、排気ガスのCOと吸収液であるアンモニア水とを接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材131b、充填材131bが詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO吸収反応による発熱を冷却するクーリングジャケット(cooling jacket)(図示せず)、COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレー131c、屈曲する多板形で形成されてアンモニア水噴射ノズル131aによる噴射時に飛散されるアンモニア水を充填材131b方向に回帰させるミスト除去板131d、充填材131bを通過したアンモニア水がSO吸収部132に逆流しないように形成された隔壁131e、及び隔壁131eに囲まれた排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板131fで構成されることができる。
【0078】
ここで、クーリングジャケットは物質伝達が最も円滑な30℃乃至50℃に冷却してCO吸収率を一定の水準に維持しながらNHが気化して消失されないようにすることができる。
【0079】
一方、CO除去部131は排気ガスとNHとの接触面的を増やしながらもエンジンスペックで要求される排気管の許容圧力降下(pressure drop)内で運転されるように多様な形態が考慮され得るが、例えば、充填材131bは単位体積あたり接触面的が大きく設計された多段の蒸留カラムパッキングで構成され、単位面積あたり接触面積と気体の圧力降下とフラッディング速度とを考慮して図8に例示したような吸収工程に適した蒸留カラムパッキングを選定でき、図9に例示したようにアンモニア水噴射ノズル131aはラダーパイプ(ladder pipe)形状(a)又はスプレー形状(b)で構成されることができる。
【0080】
また、アンモニア水は充填材131bを下向きに通過し排気ガスは充填材131bを上向きに通過して接触するようになりチャネリング現象を防止するために蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器(図示せず)が形成され得る。
【0081】
また、ミスト除去板131dは飛散したアンモニア水が屈曲した多板に粘着されて液滴(droplet)が大きくなるようにして自重によって充填材131b方向に排液されるように(drain)する。
【0082】
一方、LNGを燃料として使用する場合はSOの発生量が無いことができるが、船舶エンジン10が低硫黄油を燃料として使用する場合は吸収タワー130はSO吸収部132を追加的に具備することもできる。
【0083】
すなわち、SO吸収部132は船舶エンジン10から排出される排気ガスを海水供給部110から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去し、CO除去部131はSOが除去された排気ガスを海水供給部110から供給された海水と反応させて冷却し、冷却された排気ガスと吸収液製造部120からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを吸収除去できる。
【0084】
具体的には、SO吸収部132は海水と一次的に接触するセクションであって、図3及び図6に示すように、海水供給部110から供給される海水を下向きに噴射してSOを溶解させてスート(soot)の粉塵を除去する多段の海水噴射ノズル132a、及び洗浄水が逆流しないようにする、隔壁形状の排気ガス流入管132b又は排気ガス流入管132bをカバーする傘形状の遮断板132cを含むことができる。
【0085】
一方、海水噴射ノズル132a又は別途のクーリングジャケット(図示せず)によって排気ガスの温度をCO除去部131で要求される27℃乃至33℃、好ましくは、30℃前後に冷却できるが、図6の(a)に示すように、海水噴射ノズル132a下部に、排気ガスが通過する流路が形成された多孔性上板132dが多段でそれぞれ形成されて、海水と排気ガスを円滑に接触させるか、又は図6の(b)に示すように、海水噴射ノズル132a下部に、海水と排気ガスを接触させる充填材が詰められた吸収塔132eがそれぞれ形成されて、海水がSOを溶解させるようにすることもできる。
【0086】
一方、SOの溶解度をさらに上げるためにアルカリイオンを形成する化合物、例えばNaOH又はMgOの塩基性薬品をSO吸収部132に供給される海水に投入する閉ループ系(closed loop system)で構成できる。
【0087】
ちなみに、閉ループ系は追加的な塩基性薬品消耗を伴うが循環する海水の量が少ない長所があり、海水のみを噴射して溶解されたSOを船外に排出する開ループ系(open loop system)は追加的な塩基性薬品の消耗がなく簡素な長所があり、かかる長所を最大化するために開ループ及び閉ループを結合したハイブリッドシステムで構成することもできる。
【0088】
よって、SO吸収部132によってSOを先に除去した後に続いてCO除去部131によってCOを除去させることで、SOの溶解度が大きいため、NaSOなどの化合物に先に変化することにより、SOの溶解がすべて行われるまではCOの除去が難しい問題点を解決してCOの溶解度及びCOの除去効率性を向上させることができる。
【0089】
ここで、SO吸収部132によってSOを吸収して排出部170に排液される洗浄水にはSO 、SO 2-、スート、NaSO、NaSO、MgCO、MgSO及びその他のイオン化合物が共に含まれている。
【0090】
一方、上記の通り、吸収タワー130は、船舶エンジン10から排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部133をさらに含み、NOが除去された排気ガスを海水供給部110から供給された海水と反応させて冷却して冷却された排気ガスと吸収液製造部120からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去できる。
【0091】
すなわち、吸収タワー130は船舶エンジン10から排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部133と、NOが除去された排気ガスを海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部132と、SOが除去された排気ガスと吸収液製造部120から供給されたアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部131と、が垂直方向に積層形成され、NOとSOとCOを順に吸収して除去する。
【0092】
これにより、CO除去部131は前もってNOとSOが除去された排気ガスとアンモニア水を反応させて除去することで、CO除去工程中にNOとSOによる副反応が発生しないので不純物の発生を最小化することができ、後続の工程で不純物の少ないNHHCOを得ることができる。
【0093】
ここで、吸収タワー130は、CO除去部131とSO吸収部132とNO吸収部133と後述するEGE134を含んで構成されるが、それぞれ個別モジュールとして構成されてモジュール化して結合して構成されることもでき、単一のタワーの形態に統合して構成されることもでき、吸収タワー130自体は単一タワー又は複数のタワーにグループ化して構成されることもできる。
【0094】
具体的には、NO吸収部133はSCR(Selective Catalyst Reactor)であって、図5に示すように、1次再生部140からブロア133a又は圧縮機を通して第1NH噴射ノズル133bにNHを直接供給するか、又はNHの不足時には尿素水貯蔵タンク133cの尿素水(UREA)を尿素水供給ポンプ133dを通して第2NH噴射ノズル133eに供給されて不足分を補償するように代替することもできる。
【0095】
一方、尿素水を分解するとNHとCOが発生するので、NHを直接供給してCO発生量を減らすことが好ましい場合がある。
【0096】
また、吸収タワー130は、NO吸収部133とSO吸収部132の間に形成されて船舶エンジン10の廃熱とボイラ水を熱交換させるEGE(Exhaust Gas Economizer)134をさらに含むことができる。
【0097】
次に、吸収液再生部はNHを再生して吸収タワー130に回帰させてCO吸収液として再使用させ、COをCaCO(s)又はMgCO(s)の形態で貯蔵若しくは船外排出させるか、又はNO吸収部133に供給してNHでNOを吸収させることができる。
【0098】
すなわち、吸収液再生部は吸収タワー130から排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生部140と、1次再生部140からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して吸収タワー130に循環供給して吸収液として再使用させる2次再生部150と、からなり、吸収液の回収率を高めて一定の濃度に維持して、上記と同様に、NO吸収部133にNHが供給されてNO吸収除去に使用されるか、吸収タワー130を通過して排気ガスとともにNHが排出されて、アンモニア水の濃度が低くなり、吸収性能が低下することを有効に防止できる。
【0099】
具体的には、吸収液再生部は、図4に示すように、2価金属水酸化物水溶液を貯蔵する貯蔵タンク141と、吸収タワーから排出されたアンモニウム塩水溶液と2価金属水酸化物水溶液を攪拌機によって攪拌して下記の化学式3のようにNH(g)と炭酸塩を生成する混合タンク142と、混合タンク142から溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩とアンモニア水(又は清水)を分離する1次フィルタ143と、で構成される、1次再生部140、及び1次フィルタ143によって分離されたアンモニア水及び2価金属水酸化物水溶液と反応せずに残存する未反応アンモニウム塩水溶液を貯蔵し、貯蔵タンク141からの2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を再反応させる1次吸収液貯蔵タンク151と、1次吸収液貯蔵タンク151から溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩と高濃度アンモニア水を分離して1次吸収液貯蔵タンク151の容量に相応して設計された2次フィルタ152と、2次フィルタ152によって分離される高濃度アンモニア水を貯蔵する2次吸収液貯蔵タンク153と、2次吸収液貯蔵タンク153からCO除去部131にアンモニア水をポンピングして循環させるアンモニア水循環ポンプ154と、で構成される、2次再生部150からなることができる。
【0100】
【化3】
【0101】
ここで、1次吸収液貯蔵タンク151の貯蔵容量は吸収タワー130と吸収液再生部を循環する吸収液容量の3倍以上に設計されて循環吸収液の容量に比べて相対的に大きな容量を持ち、1次吸収液貯蔵タンク151内の未反応アンモニウム塩水溶液の滞留時間を増やして反応時間を十分に確保することにより、未反応アンモニウム塩水溶液を炭酸塩に転換させることができる。
【0102】
これにより、アンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去してアンモニア水濃度を一定の水準に維持させることができる。
【0103】
すなわち、混合タンク142で2価金属水酸化物水溶液は反応速度、アンモニア蒸発などの影響によりフィルタを経る間に随時変わり、炭酸塩の生成が完了しない場合にはアンモニア水に未反応アンモニウム塩水溶液が相当量残存して吸収率を低下させる場合があるので、大容量の1次吸収液貯蔵タンク151を設計して十分な時間の間反応させてから2次フィルタ152をさらに通過させることにより、アンモニア水の回収率を高めてアンモニア水濃度を有効な吸収液としての機能を発揮できる一定の水準に維持できる。
【0104】
また、混合タンク142で発生するアンモニアガスは吸収タワー130のCO除去部131に供給されるか、又はNO吸収部133に供給されることができる。
【0105】
一方、1次吸収液貯蔵タンク151は2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を攪拌して反応させる攪拌機(agitator)151aと、攪拌機151aによる反応程度を計測するpHセンサ151bと、を含むことができる。
【0106】
また、貯蔵タンク141に貯蔵された2価金属水酸化物水溶液は、清水と、CaO又はMgOを反応させて生成されたCa(OH)又はMg(OH)であり得る。
【0107】
また、アンモニア水循環ラインAを循環するアンモニア水の濃度が低い場合は上記の化学式2の(NHCOの生成が減ってCO排出量が増加するようになり、濃度が高い場合は過度なCO吸収によって炭酸塩の生産量が必要以上に増加するようになるので、アンモニア水の濃度を一定に維持して吸収タワー130のCO吸収性能が持続されるようにすべきである。これを具現するために、アンモニア水の濃度を質量基準12%に調節するように設計できるが、これに限定されず使用条件に応じて変更され得る。
【0108】
また、1次フィルタ143と2次フィルタ152によって分離された炭酸塩(CaCO(s)、MgCO(s))をスラリー状態で、又は乾燥機(dryer)(図示せず)に移送されて固形化した固体状態で、貯蔵する別途の貯蔵タンク(図示せず)を具備することもでき、船外に排出することもできる。ここで、1次フィルタ143と2次フィルタ152の一例として、高圧流体移送による沈殿物分離に適したメンブレンフィルタが適用され得る。
【0109】
また、アンモニア水循環ポンプ154は大量のアンモニア水がアンモニア水循環ラインAを循環するように遠心ポンプ型のポンプで構成されることができる。
【0110】
一方、1次フィルタ143と2次フィルタ152によって分離されたアンモニア水若しくは清水を2次吸収液貯蔵タンク153に供給するか、又は総循環清水に対して混合タンク142によって追加的に生成された余剰の清水を清水タンク(図示せず)に貯蔵して貯蔵タンク141での2価金属水酸化物水溶液の生成時にリサイクルさせて清水を節減することもできる。
【0111】
これにより、比較的安価の金属酸化物(CaO又はMgO)又は2価金属水酸化物水溶液(Ca(OH)又はMg(OH))のみを投入して水の追加的な投入が必要なく、アンモニア水の濃度減少がなく、1次フィルタ143と2次フィルタ152の容量の大きさを減らすことができ、NH再生費用を減らすことができる。すなわち、理論的には金属酸化物のみを消耗し、NHと清水を再使用させ、CO除去費用を相当低減できる。
【0112】
次に、蒸気生成部160は、図7に示すように、EGE134を通過して熱交換された蒸気(steam)と飽和水形態の混合水を供給されてスチームドラム(steam drum)(図示せず)によって蒸気を分離して蒸気消耗先に供給する補助ボイラ161と、補助ボイラ161からEGE134にボイラ水を循環供給するボイラ水循環水ポンプ162と、蒸気消耗先から消耗された後、凝縮されて相が変化した凝縮水を回収するカスケードタンク(cascade tank)163と、カスケードタンク163から補助ボイラ161にボイラ水の量を調節して供給する供給ポンプ164及び調節弁165と、で構成され、船内の加熱装備に必要な蒸気を生成して供給する。
【0113】
ここで、船舶エンジン10の負荷が大きい場合は排気ガスから提供され得る熱量が高いので船内に必要な蒸気の量をEGE134によって十分に生産できるが、そうでない場合は補助ボイラ161自体に燃料を燃焼させて必要な蒸気を生産することもできる。
【0114】
次に、排出部170は、図7に示すように、吸収タワー130から排出される洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク171、洗浄水タンク171から移送ポンプ172によって移送された洗浄水の船外排出条件を充足するように濁度を調節するフィルタリングユニットとpH調節のための中和剤注入ユニットを具備する水処理装置173、及びスートなどの固形の排出物を分離貯蔵するスラッジ貯蔵タンク174で構成され、水処理装置173を通過して船外排出条件を充足する洗浄水は船外排出し、船外排出条件を充足できないスートなどの固形の排出物は別途にスラッジ貯蔵タンク174に貯蔵保管できる。
【0115】
一方、船外排出条件を充足するための中和剤としてNaOHを例として上げられるが、吸収タワー130から排出される物質が酸性又は塩基性である場合をすべて想定して必要に応じてそれらの酸性又は塩基性をそれぞれ中和させることができる中和剤が選択されて使用され得る。
【0116】
一方、本発明の他の実施例による船舶は、前述した船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した船舶を提供できる。
【0117】
したがって、前述のような船舶の温室効果ガス排出低減装置の構成によれば、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去してアンモニア水濃度を一定の水準に維持することにより、吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止でき、加圧システムを適用して高濃度吸収液の自然蒸発による吸収液の損失を防止し、IMO温室効果ガス排出規制を充足させるように環境に影響を与えない物質に転換して分離排出するか、又は有用な物質に転換して貯蔵し、NHを再生して比較的高価のNHの消耗を最小化し、フィルタ後段部の容量の大きさを減らすことができ、温室効果ガスを自然状態で存在する炭酸塩の形態で貯蔵して海上排出を可能とし、NH再生時に残存するSOによる副反応を除去してNHの損失を最小化し、アンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることができる。
【0118】
図10を参照すると、本発明のさらに他の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置は、船舶エンジン10`から排出される排気ガスを冷却する排気ガス冷却部110`、高濃度CO吸収液を製造して吸収タワー130`に供給する吸収液製造部120`、排気ガス冷却部110`によって冷却された排気ガスと吸収液製造部120`からの吸収液を反応させて温室効果ガスのCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去するCO除去部131`が形成された、吸収タワー130`、及び吸収タワー130`から排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生段140`と、1次再生段140`からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を追加的に反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して吸収タワー130`に循環供給して吸収液として再使用させる2次再生段150`からなる、吸収液再生部を含むことで、熱交換方式によって排気ガスを冷却して吸収液の濃度低下を防止し、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去して吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止させることを要旨とする。
【0119】
ここで、主エンジン又は発電用エンジンとして用いられる船舶エンジン10`の種類及び仕様(低圧エンジン又は高圧エンジン)と、船舶エンジン10`に供給される燃料の種類(HFO、MDO、LNG、MGO、LSMGO(Low Sulphur Marine Gas Oil;船舶用低硫黄油)、アンモニア等)によって吸収タワーは、CO除去部の他にも、NO吸収部又はSO吸収部を選択的に含むか、又はすべて含むように構成されることができる。特に、船舶エンジン10`の燃料としてLNGを使用する場合はSOの発生量が無いので別途にSO吸収部を具備する必要がないが、低硫黄油を使用する場合は微量のSOが発生する場合があるので排気ガスの冷却とSOの溶解による吸収を同時に遂行できるSO吸収部を追加的に具備することもできる。
【0120】
以下、船舶エンジン10`の燃料としてLNGを使用するか、又は低硫黄油を使用する場合において吸収タワーにNO吸収部、排気ガス冷却部、CO除去部が順に積層形成された実施例を記述するが、これに限定されず、前述のようにNO吸収部及び/又はSO吸収部は船舶エンジンと燃料の種類によって具備するか否かを決定できる。
【0121】
まず、排気ガス冷却部110`は船舶エンジン10`から排出される排気ガスを冷却して排気ガスの温度を下げて温室効果ガス吸収液によるCO吸収を円滑にする。
【0122】
例えば、排気ガス冷却部110`は、船舶エンジン10`から排出される排気ガスを清水(fresh water)の熱交換方式で冷却でき、具体的には排気ガスが流動する排気ガス排出管を包む熱交換配管111`に船内冷却システム20`から提供される清水を循環させて清水との熱交換方式によって排気ガスをCO除去部131`で要求する27℃乃至33℃の温度に冷却できる。
【0123】
すなわち、清水によって排気ガスを直接冷却する水冷方式は清水の投入によって吸収液の濃度が低くなり温室効果ガス吸収性能が低下するが、これを改善して、清水との直接的な接触なしで、熱交換方式によって排気ガスを冷却して吸収液の濃度が低くなることを防止して温室効果ガス吸収性能が低下することを防止できる。
【0124】
一方、排気ガス冷却部110`は清水による熱交換方式によって冷却する例を示したが、その他の多様な冷却媒体及び冷却方法が適用されることもできる。
【0125】
次に、吸収液製造部120`は高濃度CO吸収液を製造して吸収タワー130`に供給するが、下記の化学式4のように清水とNHを反応させて高濃度CO吸収液である高濃度アンモニア水(NHOH(aq))を製造して吸収液循環ラインA`(図10参照)に沿って2次吸収液貯蔵タンク153`を経て吸収タワー130`のCO除去部131`に供給する。
【0126】
【化4】
【0127】
具体的には、図11及び図13に示すように、吸収液製造部120`は、清水を貯蔵する清水タンク(図示せず)、清水タンクから清水の供給量を調節してアンモニア水タンク123`に供給する清水調節弁121`、高圧のNHを貯蔵するNH貯蔵所122`、清水調節弁121`によって供給される清水にNH貯蔵所122`から供給されるNHを噴射して高濃度アンモニア水を製造して貯蔵するアンモニア水タンク123`、アンモニア水タンク123`内のアンモニア水濃度を測定してモニタリングするpHセンサ124`、及びアンモニア水タンク123`から2次吸収液貯蔵タンク153`に高濃度アンモニア水を供給するアンモニア水供給ポンプ125`で構成されることができる。
【0128】
吸収液循環ラインA`に沿って吸収タワー130`と吸収液再生部を循環するアンモニア水は運転を繰り返すうちに濃度が変化するが、例えば、NO吸収部132`にNHが供給されてNO吸収除去に使用されるか、吸収タワー130`を通過して排気ガスとともにNHが排出されて、アンモニア水の濃度が低くなる場合には、吸収液製造部120`は高濃度のアンモニア水を吸収液循環ラインA`(図10参照)に供給して、低くなったアンモニア水濃度を補償して予め設定された吸収性能に設計されたアンモニア水濃度に一定に維持させることができる。
【0129】
一方、高濃度アンモニア水は同一温度で低濃度アンモニア水に比べてNH(g)の分圧(partial pressure)が高いので、大気圧状態では相対的にNHの蒸発が蒸発が起きやすいので損失が増加する。よって、損失なしで、高濃度アンモニア水を貯蔵するためにはNH(g)の溶解度が高くて蒸気圧が低くなるように温度を下げて加圧システム下で運転しなければならない。
【0130】
すなわち、NH(g)が蒸発損失する現象を防止するためにアンモニア水タンク123`内のアンモニア水の上部に一定の圧力の圧縮空気を注入して、アンモニア水タンク123`内の圧力を高い状態で維持してアンモニア水の濃度を高濃度、例えば50%wtのNHに一定に維持させることができる。
【0131】
例えば、NHは-34℃、8.5barで液体状態で貯蔵が可能なので船内で利用可能な7bar圧縮空気を使用してアンモニア水タンク123`内部を一定の圧力に維持して、50%濃度のアンモニア水をアンモニア水タンク123`に貯蔵させることができる。
【0132】
また、アンモニア水タンク123`の過圧防止のための安全弁(safety valve)123a`が設置されることができる。
【0133】
次に、吸収タワー130`には排気ガス冷却部110`によって冷却された排気ガスと吸収液製造部120`から初期供給されて吸収液循環ラインA`に沿って循環する吸収液であるアンモニア水を反応させて下記の化学式5のようにCOをアンモニウム塩水溶液(NHHCO(aq))に転換してCOを除去するCO除去部131`が形成される。
【0134】
【化5】
【0135】
具体的には、CO除去部131`は、図12に示すように、2次吸収液貯蔵タンク153`から供給されるアンモニア水を充填材131b`に向かって下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズル131a`、排気ガスのCOと吸収液であるアンモニア水とを接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材131b`、充填材131b`が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO吸収反応による発熱を冷却するクーリングジャケット(cooling jacket)(図示せず)、COと反応せず大気中に排出されるNHを捕集するウォータースプレ131c`、屈曲する多板形で形成されてアンモニア水噴射ノズル131a`による噴射時に飛散されるアンモニア水を充填材131b`方向に回帰させるミスト除去板131d`、充填材131b`を通過したアンモニア水が液漏れしてNO吸収部132`方向に逆流しないように形成された隔壁131e`、及び隔壁131e`に囲まれた排気ガス流入孔の上段をカバーする傘形状の遮断板131f`で構成されることができる。
【0136】
ここで、クーリングジャケットは物質伝達が最も円滑な30℃乃至50℃に冷却してCO吸収率を一定の水準に維持しながらNHが気化して消失されないようにすることができる。
【0137】
一方、CO除去部131`は排気ガスとNHとの接触面的を増やしながらもエンジンスペックで要求される排気管の許容圧力降下(pressure drop)内で運転されるように多様な形態が考慮され得るが、例えば、充填材131b`は単位体積あたり接触面的が大きく設計された多段の蒸留カラムパッキングで構成され、単位面積あたり接触面積と気体の圧力降下とフラッディング速度とを考慮して図15に例示したように吸収工程に適した蒸留カラムパッキングを選定でき、図16に例示したようにアンモニア水噴射ノズル131a`はラダーパイプ(ladder pipe)形状(a)又はスプレー(spray)形態(b)で構成されることができる。
【0138】
また、アンモニア水は充填材131b`を下向きに通過し、排気ガスは充填材131b`を上向きに通過して互いに接触するようになって発生するチャネリング(channeling)現象を防止するための溶液再分配器(図示せず)が蒸留カラムパッキングの間に形成され得る。
【0139】
また、ミスト除去板131d`は飛散したアンモニア水が屈曲した多板に粘着されて液滴(droplet)が大きくなるようにして自重によって充填材131b`方向に排液されるように(drain)する。
【0140】
一方、上記の通り、船舶エンジン10`はLNG又は低硫黄油を燃料として使用することを前提とするが、LNGを燃料として使用する場合はSOの発生量が無いことができるが、船舶エンジン10`が低硫黄油を燃料として使用する場合は排気ガスにSOが含まれる場合があるので吸収タワー130`はSO吸収部を具備することもできる。
【0141】
例えば、別途図示していないが、SO吸収部は船舶エンジン10`から排出される排気ガスを海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去し、CO除去部131`はSOが除去され冷却された排気ガスと吸収液製造部120`からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを吸収除去することもできる。
【0142】
また、上記の通り、吸収タワー130`は、船舶エンジン10`から排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部132`をさらに含み、NOが除去された排気ガスを排気ガス冷却部110`によって冷却し、冷却された排気ガスと吸収液製造部120`からの吸収液を反応させてCOをアンモニウム塩水溶液に転換してCOを除去できる。
【0143】
すなわち、吸収タワー130`は船舶エンジン10`から排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部132`と、NOが除去され冷却された排気ガスと吸収液製造部120`から供給されたアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部131`と、が積層形成され、排気ガスからNOとCOを順に吸収して除去できる。
【0144】
よって、CO除去部131`は前もってNO吸収部132`によってNOが除去された排気ガスとアンモニア水を反応させて、CO除去工程中にNOによる副反応が発生しないので不純物の発生を最小化することができ、後続の工程で不純物の少ないNHHCOを得ることができる。
【0145】
ここで、吸収タワー130`は、CO除去部131`とNO吸収部132`と後述するEGE133`を含んで構成されるが、それぞれ個別モジュールとして構成されてモジュール化して結合して構成されることもでき、単一のタワーの形態に統合して構成されることもでき、吸収タワー130`自体は単一タワー又は複数のタワーにグループ化して構成されることもできる。
【0146】
具体的には、NO吸収部132`はSCR(Selective Catalyst Reactor)であって、図12に示すように、吸収液再生部の1次再生段140`からブロア132a`又は圧縮機を通してNH噴射ノズル132b`に再生されたNHを直接供給してNOを吸収でき、NH噴射ノズル132b`に供給されるNHの不足時には尿素水貯蔵タンク132c`の尿素水(UREA)を尿素水供給ポンプ132d`を介して尿素水噴射ノズル132e`に供給されて損失分又は不足分を補償させることもできる。
【0147】
一方、尿素水を分解するとNHとCOが発生するので、NHを直接供給してCO発生量を減らすことが好ましい場合がある。
【0148】
また、吸収タワー130`は、NO吸収部132`と排気ガス冷却部110`の間に形成されて船舶エンジン10`からの排気ガスの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGE(Exhaust Gas Economizer)133`をさらに含むことができる。
【0149】
次に、吸収液再生部はNHを再生して吸収タワー130`に回帰させてCO吸収液として再使用させ、COをCaCO(s)又はMgCO(s)の形態で貯蔵若しくは船外排出させるか、又は再生されたNHをNO吸収部132`に供給してNOを吸収させることができる。
【0150】
すなわち、吸収液再生部は、吸収タワー130`からCO吸収後に排出されたアンモニウム塩水溶液を2価金属水酸化物水溶液と反応させて吸収液を一次的に再生する1次再生段140`と、1次再生段140`からの未反応アンモニウム塩水溶液に2価金属水酸化物水溶液を追加的に反応させて高濃度吸収液を2次的に再生して吸収タワー130`に循環供給して吸収液として再使用させる2次再生段150`と、からなり、吸収液の回収率を高めて一定の濃度に維持して吸収性能が低下することを有効に防止できる。
【0151】
具体的には、吸収液再生部は、図13に示すように、2価金属水酸化物水溶液を貯蔵する貯蔵タンク141`と、吸収タワー130`から排出されたアンモニウム塩水溶液と貯蔵タンク141`からの2価金属水酸化物水溶液を攪拌機によって攪拌して下記の化学式6のようにNH(g)と炭酸塩を生成する混合タンク142`と、混合タンク142`から溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩とアンモニア水(又は清水)を分離する1次フィルタ143`と、で構成される、1次再生段140`、及び1次フィルタ143`によって分離されたアンモニア水及び2価金属水酸化物水溶液と反応せずに残存する未反応アンモニウム塩水溶液を貯蔵し、貯蔵タンク141`からの2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を再反応させる1次吸収液貯蔵タンク151`と、1次吸収液貯蔵タンク151`から溶液及び沈殿物を吸入して炭酸塩と高濃度アンモニア水を分離して1次吸収液貯蔵タンク151`の容量に相応して設計された2次フィルタ152`と、2次フィルタ152`によって分離される高濃度アンモニア水を貯蔵する2次吸収液貯蔵タンク153`と、2次吸収液貯蔵タンク153`から吸収タワー130`のCO除去部131`にアンモニア水をポンピングして循環させるアンモニア水循環ポンプ154`と、で構成される、2次再生段150`からなることができる。
【0152】
【化6】
【0153】
ここで、1次吸収液貯蔵タンク151`の貯蔵容量は吸収タワー130`と吸収液再生部を吸収液循環ラインA`に沿って循環する吸収液容量の3倍以上に設計されて循環吸収液の容量に比べて相対的に大きな容量を持ち、1次吸収液貯蔵タンク151`内の未反応アンモニウム塩水溶液の滞留時間を増やして反応時間を十分に確保することにより、未反応アンモニウム塩水溶液を最大限に炭酸塩に転換させることができる。
【0154】
これにより、アンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液の1次吸収液貯蔵タンク151`での再反応によってアンモニア水を追加的に生成してアンモニア水濃度を一定の水準に維持させることができる。
【0155】
すなわち、混合タンク142`で2価金属水酸化物水溶液は反応速度、アンモニア蒸発などの影響によりフィルタを経る間に随時変わり、炭酸塩の生成が完了しない場合にはアンモニア水に未反応アンモニウム塩水溶液が相当量残存して結果としてCO吸収率を低下させる場合があるので、大容量の1次吸収液貯蔵タンク151`を設計して十分な時間の間反応させてから2次フィルタ152`をさらに通過させることにより、アンモニア水の回収率を高めてアンモニア水濃度を有効な吸収液としての機能を発揮できる一定の水準に維持させることができる。
【0156】
また、混合タンク142`で発生するNH(g)は吸収タワー130`のCO除去部131`に供給されてCOを除去させるか、又はNO吸収部132`に供給されてNOを除去させることができる。
【0157】
一方、1次吸収液貯蔵タンク151`は2価金属水酸化物水溶液と未反応アンモニウム塩水溶液を攪拌して反応させる攪拌機(agitator)151a`と、攪拌機151a`による反応程度を計測するpHセンサ151b`と、を含むことができる。
【0158】
また、貯蔵タンク141`に貯蔵された2価金属水酸化物水溶液は、清水と、CaO又はMgOをそれぞれ反応させて生成されたCa(OH)又はMg(OH)であり得る。
【0159】
また、吸収液循環ラインA`を循環するアンモニア水の濃度が低い場合は上記の化学式5の(NHCOの生成が減ってCO排出量が増加するようになり、アンモニア水の濃度が高い場合は過度なCO吸収によって炭酸塩の生産量が必要以上に増加するようになるので、アンモニア水の濃度を適正水準内で一定に維持して吸収タワー130`のCO吸収性能が低下しないようにすべきである。これを具現するために、アンモニア水の濃度を質量基準12%に調節するように設計できるが、これに限定されず使用条件に応じて変更され得る。
【0160】
また、1次フィルタ143`と2次フィルタ152`によって分離されて海上排出が可能な炭酸塩(CaCO(s)、MgCO(s))をスラリー状態で、又は乾燥機(dryer)(図示せず)に移送されて固形化した固体状態で、貯蔵する別途の貯蔵タンク(図示せず)を具備することもでき、貯蔵せず船外に排出することもできる。ここで、1次フィルタ143`と2次フィルタ152`の一例として、高圧流体移送による沈殿物分離に適したメンブレンフィルタが適用され得る。
【0161】
また、アンモニア水循環ポンプ154`は大量のアンモニア水が吸収液循環ラインA`を循環するように遠心ポンプ型のポンプで構成されることができる。
【0162】
一方、1次フィルタ143`と2次フィルタ152`によって分離されたアンモニア水若しくは清水を2次吸収液貯蔵タンク153`に供給するか、又は総循環清水に対して混合タンク142`によって追加的に生成された余剰の清水を清水タンク(図示せず)に貯蔵して貯蔵タンク141`での2価金属水酸化物水溶液の生成時にリサイクルさせて清水を節減することもできる。
【0163】
これにより、比較的安価の金属酸化物(CaO又はMgO)又は2価金属水酸化物水溶液(Ca(OH)又はMg(OH))のみを投入して、水の追加的な投入が必要なく、アンモニア水の濃度減少がなく、1次フィルタ143`と2次フィルタ152`の容量の大きさを減らすことができ、NH再生費用を減らすことができる。すなわち、理論的には金属酸化物のみを消耗し、NHと清水を再使用させ、CO除去費用を相当低減できる。
【0164】
次に、蒸気生成部160`は、図14に示すように、EGE133`を通過して熱交換された蒸気(steam)と飽和水形態の混合水を供給されてスチームドラム(steam drum)(図示せず)によって蒸気を分離して蒸気消耗先に供給する補助ボイラ161`と、補助ボイラ161`からEGE133`にボイラ水を循環供給するボイラ水循環水ポンプ162`と、蒸気消耗先から消耗された後、凝縮されて相が変化した凝縮水を回収するカスケードタンク(cascade tank)163`と、カスケードタンク163`から補助ボイラ161`にボイラ水の量を調節して供給する供給ポンプ164`及び調節弁165`と、で構成され、船内の加熱装備に必要な蒸気を生成して供給する。
【0165】
ここで、船舶エンジン10`の負荷が大きい場合は排気ガスから提供され得る熱量が高いので船内に必要な蒸気の量をEGE133`によって十分に生産できるが、そうでない場合は補助ボイラ161`自体に燃料を燃焼させて必要な蒸気を生産することもできる。
【0166】
一方、本発明のさらに他の実施例による船舶は、前述した船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した船舶を提供できる。
【0167】
したがって、前述のような船舶の温室効果ガス排出低減装置の構成によれば、熱交換方式によって排気ガスを冷却して吸収液の濃度低下を防止し、加圧システムを適用して高濃度吸収液のNH自然蒸発による吸収液の損失を防止し、吸収液再生部を2段以上で構成してアンモニア水に残存する未反応アンモニウム塩水溶液を除去してアンモニア水濃度を一定の水準に維持することにより、吸収液の回収率を高めて、温室効果ガス吸収性能が低下することを防止でき、IMO温室効果ガス排出規制を充足させるように環境に影響を与えない物質に転換して分離排出するか、又は有用な物質に転換して貯蔵し、NHを再生して比較的高価のNHの消耗を最小化し、フィルタ後段部の容量の大きさを減らすことができ、温室効果ガスを自然状態で存在する炭酸塩の形態で貯蔵して海上排出が可能とし、NH再生時に残存するNO又はSOによる副反応を除去してNHの損失を最小化し、アンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることができる。
【0168】
以上、本発明を図面に示す実施例を参照して説明した。しかし、本発明はこれに限定されず本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する多様な変形例又は他の実施例が可能である。したがって、本発明の真正な保護範囲は下記の特許請求の範囲によって定められる。
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