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特許7572554酸性イオン交換樹脂を用いた異種の線状カーボネートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】酸性イオン交換樹脂を用いた異種の線状カーボネートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 68/06 20200101AFI20241016BHJP
   C07C 69/96 20060101ALI20241016BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
C07C68/06
C07C69/96 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023531017
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 KR2021016027
(87)【国際公開番号】W WO2022114591
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0163325
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ウ ネ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ワン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ミ ファ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ヒョン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-031737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0080287(US,A1)
【文献】国際公開第2014/061678(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105646219(CN,A)
【文献】Catalysis Today,2006年,114(2-3),P.226-230
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 68/
C07C 69/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下に、脂肪族アルコールと対称線状カーボネートをエステル交換反応させる段階を含み、
前記触媒が、交換容量が1(eq/L-wet resin)以上、2.5(eq/L-wet resin)以下の酸性イオン交換樹脂であり、
前記酸性イオン交換樹脂の母体(matrix)は、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体であり、
前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートの質量比(脂肪族アルコール:対称線状カーボネート)が、2:1以上、4:1以下である、異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項2】
前記酸性イオン交換樹脂の交換基は、スルホン酸基(Sulfonate)またはカルボン酸基(Carboxylate)を含む、請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項3】
前記エステル交換反応段階で、前記触媒は、前記対称線状カーボネート重量を基準として10重量%以上、1,000重量%以下で投入される、請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項4】
前記エステル交換反応段階は、固定層反応器(Fixed Reactor)または連続撹拌槽型反応器(CSTR)で行われる、請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、高収率の異種の線状カーボネート、すなわち対称線状カーボネートおよび非対称線状カーボネートを同時に有利に収得する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチルメチルカーボネート(Ethylmethylcarbonate:EMC)およびジエチルカーボネート(Diethylcarbonate:DEC)などの線状カーボネートは、リチウム二次電池用溶媒(電解質)として主に用いられているが、従来の溶媒と比較してエネルギー貯蔵密度、充電容量、充放電回数、安定性などに優れているので、特にリチウム二次電池用溶媒として主に用いられている。
【0003】
エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの製造方法としては、環状カーボネート(エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート)とエタノールおよびメタノールの混合物のエステル交換反応が一般的に広く知られている。例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートと、エタノール、またはエタノールとメタノールの混合物をエステル交換反応させて、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートのうちいずれかのジアルキルカーボネートを製造する際、メチルグリコールエーテル類やエチルグリコールエーテル類が副生する。
【0004】
このような反応副生物は、目的生成物と共沸状態になりやすく、蒸留分離が非常に困難で、これを新しい抽出分離方法を導入して精製することが一般的である。
【0005】
なお、製造原料にジメチルカーボネート(DMC)を用いたエステル交換反応によるエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの工業的な製造方法も知られている。一例として、ナトリウムメトキシド(Sodium methoxide,SME)のような塩基性触媒をエステル交換触媒として用いて、ジメチルカーボネートとエタノールの反応蒸留法は、装置設備およびエネルギー費用が多くかかるという問題がある。また、ナトリウムメトキシドは、禁水性物質であり、危険性および有害性が高く、生成物に溶解しないので、装置設備にカラムプラッギング(column plugging)およびファウリング(fouling)を招く問題がある。
【0006】
他の例として、ゲル型(Gel Type)強塩基交換樹脂触媒をエステル交換触媒として用いて抽出蒸留を活用する方法が挙げられ、抽出蒸留は、抽出剤を生成物に分離する分離工程が追加されなければならないので、設備費およびエネルギー費用をさらに多く必要とするという問題がある。また、触媒強度が低くて発生する交換基の損失と微細粉の形成により不活性化が急速に進行され、内部圧力も上昇し、周期的に触媒を新しく投入する工程が必要であり、生産性が低くなり、生産費用が上昇するという問題がある。
【0007】
環状カーボネートやジメチルカーボネート(DMC)を製造原料としたエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを製造する方法の多くは、化学平衡反応を用いたエステル交換反応である。そこで、この反応を効率的に進行させるために、反応副生物であるアルキレングリコールやメタノールを留去する方法が行われている。しかしながら、例えば、大気圧においてDMCは、メタノールと、70%のメタノールと30%のDMCの概略組成を有する共沸混合物を形成すること、そして、この種のエステル交換反応を実施する場合、DMCを完全に反応させることは実質的に不可能であることから、実際の反応では、メタノールとともにDMCも留去されてしまい、その結果、DMC転化率が不十分であった、或いは工業的な再現性が低かった。そのため、別途、DMCとメタノールとの共沸混合物からメタノールを分離除去する方法が必要である。
【0008】
したがって、DMC転化率が高い新しい製造方法が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】日本国特許公開第2010-168365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、脂肪族アルコールと対称線状カーボネートのエステル交換反応において、別途の反応蒸留なしで対称線状カーボネートを反応副生物の共沸混合物として反応系外に流出させることなく、高転化率で反応させて、高選択率で異種の線状カーボネート、すなわち対称線状カーボネートおよび非対称線状カーボネートを同時に有利に収得する製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、触媒の存在下に、脂肪族アルコールと対称線状カーボネートをエステル交換反応させる段階を含み、前記触媒が、酸性イオン交換樹脂であり、前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートの質量比(脂肪族アルコール:対称線状カーボネート)が、1:10以上、50:1以下である、異種の線状カーボネートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施態様による製造方法は、反応蒸留の工程なしで高い選択度および高収率で異種の、対称線状カーボネートおよび非対称線状カーボネートを同時に製造することができる。
【0013】
また、本発明の一実施態様による製造方法は、酸性イオン交換樹脂を触媒として用いて生成物と触媒を容易に分離することができ、高純度の線状カーボネートを製造することができ、分離した触媒は、再使用が可能で、高い経済性を有する。
【0014】
さらに、本発明の一実施態様による製造方法は、酸性イオン交換樹脂を用いて従来用いられる触媒とは異なって、禁水性を示さないので、危険性が低い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の利点と特徴、およびそれらを達成する方法は、詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現することができ、単に本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。明細書全般にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0016】
別途の定義がないと、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解することができる意味で使用できる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、特段の定めのない限り、理想的にまたは過度に解釈しない。
【0017】
本明細書において、任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本明細書は、触媒の存在下に、脂肪族アルコールと対称線状カーボネートをエステル交換反応させる段階を含み、前記触媒は、酸性イオン交換樹脂であり、前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートの質量比(脂肪族アルコール:対称線状カーボネート)が1:10以上、50:1以下である、異種の線状カーボネートの製造方法を提供する。
【0020】
本明細書において前記脂肪族アルコールは、特に制限はないが、炭素数1~10のアルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。本明細書の一実施態様において、前記脂肪族アルコールは、エタノールである。
【0021】
本発明の一実施態様において、前記エステル交換反応段階での反応物である対称線状カーボネートは、ジメチルカーボネート(Dimethylcarbonate,DMC)である。
【0022】
本発明の一実施態様において、前記エステル交換反応段階後に生成された、異種の線状カーボネートは、対称線状カーボネートおよび非対称線状カーボネートである。
【0023】
一実施態様において、前記エステル交換反応段階後に生成された、非対称線状カーボネートは、エチルメチルカーボネート(Ethylmethylcarbonate,EMC)である。
【0024】
一実施態様において、前記エステル交換反応段階後に生成された、前記対称線状カーボネートは、ジエチルカーボネート(Diethylcarbonate,DEC)である。
【0025】
本発明の一実施態様による、前記エステル交換反応段階は、異種の線状カーボネート、すなわち非対称線状カーボネートおよび対称線状カーボネートを製造する。前記エステル交換反応段階での生成物の非対称線状カーボネートは、エチルメチルカーボネート(Ethylmethylcarbonate,EMC)であり、対称線状カーボネートは、ジエチルカーボネート(Diethylcarbonate,DEC)である。
【0026】
本発明の一実施態様において、前記酸性イオン交換樹脂は、強酸性イオン交換樹脂である。本明細書において、強酸性とは、水溶液で完全にイオン化する強電解質を意味し、ほとんどがイオン状態で存在し、その例として、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)、ヨウ化水素酸(HI)、過塩素酸(HClO)が挙げられる。弱酸性は、水溶液できわめて一部のみがイオン化する酸であり、弱電解質を意味し得る。
【0027】
本発明の一実施態様において、前記酸性イオン交換樹脂は、ビーズ型(Bead type)であってもよい。前記ビーズ型は、ゲル型(Gel Type)または多孔型(Porous Type)であってもよい。
【0028】
本発明の一実施態様による製造方法は、前記酸性イオン交換樹脂を用いて、対称線状カーボネートの高い転化率と非対称線状カーボネートの高い選択度を確保することができる。
【0029】
また、本発明の一実施態様による製造方法は、酸性イオン交換樹脂を用いて生成物と触媒を容易に分離することができ、高純度の異種の、対称線状カーボネートおよび非対称線状カーボネートを製造することができ、分離した触媒は、再使用が可能で、高い経済性を有する。
【0030】
さらに、本発明の一実施態様による製造方法は、酸性イオン交換樹脂を用いていて、従来用いられる触媒とは異なって、禁水性を示さないので、工程危険性が低い。
【0031】
本明細書の一実施態様において、前記エステル交換反応段階で、前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートの質量比(脂肪族アルコール:対称線状カーボネート)が1:10以上、50:1以下である。一実施態様において、前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートをエステル交換反応させる段階で、前記対称線状カーボネートの含有量は、前記脂肪族対称線状カーボネート1質量部を基準として、0.4質量部以上、4質量部以下であってもよい。前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートの質量比が1:10未満の場合、脂肪族アルコールが少なく、対称線状カーボネートが過量に残り、触媒と十分にスウェリング(swelling)せず、触媒との接触が低下し、効率が劣化し、生産性が低下するという問題があり、前記脂肪族アルコールと対称線状カーボネートの質量比が50:1を超える場合、反応後、非対称線状カーボネートと脂肪族アルコールを分離する蒸留工程のサイズが大きくなり、脂肪族アルコールと非対称線状カーボネート(EMC)は、共沸物質であり、脂肪族アルコールの量が多いほど分離効率が高い多段数のカラムが必要であり、減圧および/または加圧過程でエネルギーが多く消耗し、蒸留工程の上段に失われる非対称線状カーボネート(EMC)の量が多くなり、非生産的な工程となる。
【0032】
本発明の一実施態様において、前記触媒は、交換容量が1(eq/L-wet resin)以上、2.5(eq/L-wet resin)以下の酸性イオン交換樹脂である。一般的に、イオン交換樹脂の架橋度が高いほど母体に交換基が多く付着しているので、交換容量が大きい傾向があるが、母体と交換基の強い結合で反応に参加する交換基が減少するので、反応効率が減少する。前記触媒の交換容量が2.5(eq/L-wet resin)を超えると、反応速度が非常に遅く、触媒の交換容量が1(eq/L-wet resin)未満の場合に、反応速度は速いが、母体と交換基の結合が弱くなって、急激な体積変化に対する強度が低下するという短所がある。
【0033】
本明細書において前記交換容量(exchange capacity)は、イオン交換樹脂がイオンを吸着できる能力を樹脂の一定容積に吸着して得たイオンの当量で表示したものを意味し、すなわち、樹脂1Lが除去できる交換量を意味し得る。
【0034】
本明細書において前記交換容量の単位は、eq/L-wet resinであり、イオン交換樹脂1L当たりの交換容量を当量で表示した値を意味する。
【0035】
本明細書の一実施態様において、前記酸性イオン交換樹脂の交換基は、スルホン酸基(Sulfonate)またはカルボン酸基(Carboxylate)を含む。具体的には、前記酸性イオン交換樹脂は、網状構造の基礎高分子母体に交換基としてスルホン酸基(-SOH)とカルボキシル基(-COOH)などを結合させたものであり、Ca2+、Na、Hなどのようなカチオンを交換する。
【0036】
本明細書の一実施態様において、前記酸性イオン交換樹脂の母体(matrix)は、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体である。本発明の一実施態様において、前記酸性イオン交換樹脂の母体(matrix)は、低架橋度または高架橋度であってもよい。本明細書において、前記イオン交換樹脂の架橋度は、ジビニルベンゼンの%とも言い、通常、架橋度8%を基準として低架橋度と高架橋度を分けることができる。
【0037】
一実施態様において、前記エステル交換反応段階は、30℃以上、110℃以下の温度で行われる。より具体的には、前記エステル交換反応段階は、70℃以上、100℃以下の温度で行われる。前記エステル交換反応段階が30℃の未満の場合、触媒の活性が低下し、反応速度が低下する問題があり、エステル交換反応段階が110℃を超える場合、酸性イオン交換樹脂の交換基が分解し、劣化して弱酸性に変わり、交換容量の低下が発生することがある。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記触媒は、前記対称線状カーボネート重量を基準として10重量%以上、1,000重量%以下で投入される。一実施態様において、前記エステル交換反応段階で、前記触媒は、前記対称線状カーボネート重量を基準として10重量%以上、500重量%以下で投入される。前記触媒が前記対称線状カーボネート重量を基準として1,000重量%を超過して投入される場合、反応物と接触する活性基が増加し、高い選択度および転化率を示すが、過量の触媒が反応器に投入される場合、反応器の内部圧力の上昇およびイオン交換樹脂の洗浄時間増加などによる運転費用および生産費用が増加するという問題点がある。
【0039】
本発明の一実施態様において、前記エステル交換反応段階は、固定層反応器(Fixed Reactor)または連続撹拌槽型反応器(continuous stirred tank reactor;CSTR)で行われる。
【0040】
本発明の一実施態様において、前記エステル交換反応段階は、固定層反応器内で行われる。この場合、運転が簡単であり、エネルギー費用を節約することができる。また、分離工程で発生する沈殿物発生を低下させて、生成物の分離が容易である。
【0041】
なお、本発明による異種の線状カーボネートの製造方法は、前述した段階の他にも、前記各段階の前または後に、当業界に公知となった通常の段階をさらに含んで行われ得る。
【実施例
【0042】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例に基づいて詳細に説明することとする。しかしながら、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が下記で記述する実施例に限定されると解されない。本明細書の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0043】
実施例1
CMP08LH(触媒;Samyang社製、Trilite;交換容量:>1.1(eq/L);母体:Styrene-DVB(低架橋度、4%);交換基:スルホン酸基)144.12gの存在下に、エタノール14.74gとジメチルカーボネート36.03gをCSTR反応器で撹拌速度200rpmで75℃で3時間反応させた。
【0044】
実施例2
実施例1においてエタノール14.74gの代わりに27.64gを使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で反応させた。
【0045】
実施例3
実施例1においてエタノール14.74gの代わりに36.03gを使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で反応させた。
【0046】
実施例4
実施例1においてエタノール14.74gの代わりに73.71gを使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で反応させた。
【0047】
実施例5
実施例1においてエタノール14.74gの代わりに147.42gを使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で反応させた。
【0048】
比較例1
実施例1においてCMP08LH 144.12gの代わりにナトリウムメトキシド(Sodium methoxide,SME)0.108gを使用し、エタノール14.74gの代わりに27.64gを使用し、75℃で3時間反応させた代わりに、70℃で1時間反応させたことを除いて、実施例1と同じ方法で反応させた。
【0049】
比較例2
比較例1においてエタノール27.64gの代わりに36.03gを使用したことを除いて、比較例1と同じ方法で反応させた。
【0050】
比較例3
比較例1においてエタノール27.64gの代わりに73.71gを使用したことを除いて、比較例1と同じ方法で反応させた。
【0051】
比較例4
比較例1においてエタノール27.64gの代わりに147.42gを使用したことを除いて、比較例1と同じ方法で反応させた。
【0052】
比較例5
比較例4においてナトリウムメトキシドの代わりに水酸化ナトリウム(NaOH)0.180gを使用し、70℃の代わりに75℃で反応させたことを除いて、比較例4と同じ方法で反応させた。
【0053】
比較例6
比較例4においてナトリウムメトキシドの代わりに水酸化カリウム(KOH)0.180gを使用し、70℃の代わりに75℃で反応させたことを除いて、比較例4と同じ方法で反応させた。
【0054】
前記実施例1~5および比較例1~6の反応結果は、下記表1の通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
表1で、DMCは、ジメチルカーボネートを意味し、EMCは、エチルメチルカーボネートを意味して、DECは、ジエチルカーボネートを意味する。表1を参照すると、脂肪族アルコール(エタノール)と対称線状カーボネート(ジメチルカーボネート)の質量比が4である実施例5の場合、質量比が0.4である実施例1に比べて、ジメチルカーボネートの転化率が30%以上増加する傾向を示すことを確認できた。したがって、本発明の一実施態様による製造方法において、脂肪族アルコールの含有量が高いほど、DMC転化率が上昇することを確認できた。ただし、エタノールの含有量が過剰である場合、全体原料量に対して触媒量が減少し、反応性が低下することがあり、適切な脂肪族アルコールの含有量の調節が必要である。
【0057】
実施例6
CMP08LH(触媒)の存在下に、エタノール46.65gとジメチルカーボネート60.08gをCSTR反応器で撹拌速度200rpmで70℃で3時間反応させた。
【0058】
実施例7
前記実施例6においてCMP08LHの代わりにPCC40LH(触媒;Samyang社製、Trilite)を使用したことを除いて、実施例6と同じ方法で反応させた。
【0059】
実施例8
前記実施例6においてCMP08LHの代わりにSPC180H(触媒;Samyang社製、Trilite)を使用したことを除いて、実施例6と同じ方法で反応させた。
【0060】
実施例9
前記実施例6においてCMP08LHの代わりにSPC260H(触媒;Samyang社製、Trilite)を使用したことを除いて、実施例6と同じ方法で反応させた。
【0061】
実施例10
前記実施例6においてCMP08LHの代わりにSPC320H(触媒;Samyang社製、Trilite)を使用したことを除いて、実施例6と同じ方法で反応させた。
【0062】
実施例6~10の反応結果は、下記の表2の通りである。
【0063】
【表2】
【0064】
表2を参照すると、イオン交換樹脂交換容量が増加するほどエステル交換反応速度が減少し、交換容量は、エステル交換反応触媒の活性と密接な関連があることを確認できた。
【0065】
実施例11
CMP08LH 90.08gの存在下に、エタノール14.74gとジメチルカーボネート36.03gをCSTR反応器で撹拌速度200rpmで70℃で3時間反応させた。
【0066】
実施例12
実施例11において70℃の代わりに80℃で行ったことを除いて、実施例11と同じ方法で反応させた。
【0067】
実施例13
実施例11において70℃の代わりに90℃で行ったことを除いて、実施例11と同じ方法で反応させた。
【0068】
比較例7
実施例11においてCMP08LH 90.08gの代わりにナトリウムメトキシド0.0162gを使用し、エタノール14.74gの代わりに27.64gを使用し、3時間の代わりに1時間反応させたことを除いて、実施例11と同じ方法で反応させた。
【0069】
比較例8
比較例7で70℃の代わりに100℃で行ったことを除いて、比較例7と同じ方法で反応させた。
【0070】
比較例9
比較例7で70℃の代わりに130℃で行ったことを除いて、比較例7と同じ方法で反応させた。
【0071】
前記実施例11~13および、比較例7~9の結果は、下記表3の通りである。
【0072】
【表3】
【0073】
前記表3の結果を参照すると、温度が高いほどDMC転化率が増加し、エステル交換反応速度が増加することを確認できた。
【0074】
前記表1~3の結果より、酸性イオン交換樹脂触媒の存在下に高いDMC転化率を有する非対称線状カーボネートの製造方法に対する最適な条件を提供することができた。また、従来の触媒に比べて前処理なしで再使用が可能であり、禁水性を示さないので、低い工程危険性を提供することができる。