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特許7572570ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、重合性組成物、樹脂、光学材料、及び眼鏡レンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、重合性組成物、樹脂、光学材料、及び眼鏡レンズ
(51)【国際特許分類】
   C07C 319/12 20060101AFI20241016BHJP
   C07C 323/52 20060101ALI20241016BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
C07C319/12
C07C323/52
C07B61/00 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023552279
(86)(22)【出願日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2023013187
(87)【国際公開番号】W WO2023190874
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2022056057
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509333807
【氏名又は名称】ホヤ レンズ タイランド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HOYA Lens Thailand Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】上坂 昌久
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-521039(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208707(WO,A1)
【文献】特開平11-080117(JP,A)
【文献】特開2011-126822(JP,A)
【文献】特開昭57-011959(JP,A)
【文献】国際公開第2007/052329(WO,A1)
【文献】特開2011-084479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 319/12
C07C 323/52
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下、アルキルスルホン酸の存在下、温度90~98℃で脱水反応させること、
を含む、ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項2】
前記メルカプトカルボン酸が、炭素数2~4である、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項3】
前記メルカプトカルボン酸が、2-メルカプト酢酸、又は3-メルカプトプロピオン酸である、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項4】
前記アルキルスルホン酸の量が、前記メルカプトカルボン酸と前記ペンタエリスリトールとの合計量に対して、0.1~10質量%である、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項5】
前記脱水反応させることが、減圧下で水を系外に排除しながら行われる、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項6】
前記ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルのハーゼン色数(APHA)が、15以下である、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項7】
前記ペンタエリスリトールが、1.0質量%を超えるナトリウムを含有する、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項8】
前記脱水反応させることにより得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを洗浄すること
を含む、請求項1に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、重合性組成物、樹脂、光学材料、及び眼鏡レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプラスチック製の眼鏡レンズが広く知られている。眼鏡レンズの材料として、ポリチオウレタン樹脂が用いられる(例えば、特許文献1)。ポリチオウレタン樹脂は、適度な屈折率を有する材料であるため、適度な厚みの眼鏡レンズとなり、加工性、耐衝撃性を担保しやすく広く普及している。ポリチオウレタン樹脂のモノマーとして、ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルが用いられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-002820号公報
【文献】国際公開WO2016/208707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルは、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを脱水反応させることで得られる。脱水反応は、可逆な平衡反応であり、系外に水を排出しながら反応を行うことで、転化率を高めることができる。そのため、水と共沸するトルエンを用いてディーンスタークトラップなどを用いて還流することで反応系外に水を排出する。一方で、トルエン溶媒を用いることで、精製負荷が高まり、生成物に着色があるという課題を有していた。
【0005】
本開示の一実施形態は、精製負荷が少なく、着色の少ないペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、当該ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを含有する重合性組成物、当該重合性組成物の硬化物である樹脂、当該樹脂を含む光学材料、及び当該樹脂を含む眼鏡レンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下で脱水反応させることで、上述の課題を解決しうることを見出した。
【0007】
本開示に係る一実施形態は、
メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下で脱水反応させること、
を含む、ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、精製負荷が少なく、着色の少ないペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、当該ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを含有する重合性組成物、当該重合性組成物の硬化物である樹脂、当該樹脂を含む光学材料、及び当該樹脂を含む眼鏡レンズを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
【0010】
[ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法]
本開示に係る一実施形態は、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下で脱水反応させること、を含むペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法に関する。本開示の一実施形態によれば、精製負荷が少なく、着色の少ないペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法、当該ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを含有する重合性組成物、当該重合性組成物の硬化物である樹脂、当該樹脂を含む光学材料、及び当該樹脂を含む眼鏡レンズを提供することができる。
【0011】
本実施形態に係るペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法は、例えば、
メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下で脱水反応させること(以下、「反応工程」ともいう)、
前記脱水反応させることにより得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを洗浄すること(以下、「洗浄工程」ともいう)
を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0012】
〔反応工程〕
反応工程では、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下で脱水反応させる。反応工程において無溶媒条件下で反応を行うことにより、溶媒を留去する必要がなくなるため、その後の精製負荷を低減することができる。
ここで、「無溶媒条件下」とは、トルエンなどの有機溶媒を使用しない条件を意味し、具体的には、有機溶媒量が、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとの合計質量に対して、20質量%以下であることを意味する。有機溶媒量は、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとの合計質量に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
【0013】
(メルカプトカルボン酸)
メルカプトカルボン酸は、炭素数2~4であることが好ましく、炭素数2~3であることがより好ましい。メルカプトカルボン酸は、2-メルカプト酢酸、又は3-メルカプトプロピオン酸であることが好ましい。また、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとの反応により脱水反応によりエステル結合が形成され、ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルが得られる。
【0014】
ペンタエリスリトールは、好ましくは純度90質量%以上であり、より好ましくは純度95質量%以上であり、更に好ましくは純度98質量%以上である。
【0015】
ペンタエリスリトールは、1.0質量%を超えるナトリウムを含有してもよい。このように高濃度のナトリウムを含有する場合であっても、低いハーゼン色数(APHA)を有するペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルが得られる。
【0016】
メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとのモル比率(メルカプトカルボン酸/ペンタエリスリトール)は、好ましくは3.5~6.0であり、より好ましくは4.0~5.0であり、更に好ましくは4.1~5.5である。
【0017】
反応工程では、スルホン酸化合物の存在下で脱水反応させることが好ましい。スルホン酸化合物は、酸触媒として作用し、脱水反応を促進する。
スルホン酸化合物としては、例えば、トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、アルキルスルホン酸が挙げられる。これらの中でも、着色を低減する観点から、アルキルスルホン酸が好ましい。アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-プロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。これらの中でも、着色を低減する観点から、メタンスルホン酸が好ましい。
【0018】
スルホン酸化合物の量は、メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとの合計量に対して、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.2~5質量%であり、更に好ましくは0.3~3質量%である。
【0019】
反応工程は、減圧下で水を系外に排除しながら行われることが好ましい。水を系外に排除することで、エステル反応の平衡を生成物側に傾けることができ、収率を向上させることができる。
【0020】
反応工程は、着色を低減する観点から、温度90~100℃で行われることが好ましい。反応工程の温度は、好ましくは90~98℃であり、より好ましくは92~97℃であり、更に好ましくは93~96℃である。
【0021】
〔洗浄工程〕
洗浄工程では、反応工程により得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを洗浄する。洗浄は、例えば、反応工程により得られた混合物を水洗することにより行われる。これにより、スルホン酸化合物などの触媒を除去することができる。
【0022】
〔ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステル〕
本実施形態に係る製造方法によりペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルが得られる。
【0023】
得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルのハーゼン色数(APHA)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、更に好ましくは7以下であり、更に好ましくは6以下である。
【0024】
得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルのSH価の実測値(g/eq)/ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルのSH価の理論値(g/eq)(実測値/理論値)は、好ましくは1.10以下であり、より好ましくは1.08以下あり、更に好ましくは1.06以下である。SH価の実測値は、実施例に記載の測定方法による。SH価の理論値は、下記式(A)により求める。
[SH価の理論値]=[分子量]/[一分子中のSH基の数]・・・(A)
【0025】
[重合性組成物]
本実施形態に係る重合性組成物は、本実施形態に係る製造方法により得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルと、ポリイソ(チオ)シアナートとを含む。ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルは、ポリイソ(チオ)シアナートと反応させることで重合して硬化物が得られる。
【0026】
(ポリイソ(チオ)シアナート)
ポリイソ(チオ)シアナートとしては、例えば、芳香環を有するポリイソシアナート化合物、脂環式ポリイソシアナート化合物、直鎖又は分岐鎖の脂肪族ポリイソシアナート化合物が挙げられる。
【0027】
芳香環を有するポリイソシアナート化合物としては、例えば、ジイソシアナトベンゼン、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’-メチレンビス(2-メチルフェニルイソシアナート)、ビベンジル-4,4’-ジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル、2-イソシアナトフェニル-4-イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4-イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4-イソシアナトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチル-6-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4-メチル-5-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3-メチルオキシ-4-イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4-メチルオキシ-3-イソシアナトフェニル)ジスルフィドが挙げられる。
【0028】
脂環式ポリイソシアナート化合物としては、例えば、1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジイソシアナト-1,4-ジチアン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-2-メチル-1,3-ジチオランが挙げられる。
【0029】
直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアナート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2-ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアナート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11-ウンデカントリイソシアナート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5-ジイソシアナト-2-イソシアナトメチル-3-ペンタン、1,2,3-トリス(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、3,5-ジチア-1,2,6,7-ヘプタンテトライソシアナート、2,6-ジイソシアナトメチル-3,5-ジチア-1,7-ヘプタンジイソシアナート、2,5-ジイソシアナトメチルチオフェン、4-イソシアナトエチルチオ-2,6-ジチア-1,8-オクタンジイソシアナート、1,2-ジイソチオシアナトエタン、1,6-ジイソチオシアナトヘキサンが挙げられる。
これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0030】
ポリイソ(チオ)シアナートは、好ましくは、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、及びペンタメチレンジイソシアナートからなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「好適イソシアナート化合物」ともいう)を含み、より好ましくは、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリレンジイソシアナート、及びジフェニルメタンジイソシアナートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンは、例えば、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくは2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの混合物である。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとしては、例えば、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。これらの中でも、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが好ましい。
ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンとしては、例えば、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンが挙げられる。これらの中でも、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンが好ましい。
トリレンジイソシアナートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアナート及び2,6-トリレンジイソシアナートが挙げられる。これらの中でも2,4-トリレンジイソシアナートが好ましい。
ジフェニルメタンジイソシアナートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナートが挙げられる。
ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートとしては、例えば、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナートが挙げられる。
【0031】
ポリイソ(チオ)シアナート化合物が、ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、イソホロンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましく、これらの中でも、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンが好ましい。
【0032】
ポリイソ(チオ)シアナート中、上述の「好適イソシアナート化合物」の含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上100質量%以下である。
【0033】
ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルのメルカプト基と、ポリイソ(チオ)シアナートのイソシアナト基の当量比(メルカプト基/イソシアナト基)は、好ましくは40/60以上、より好ましくは43/57以上、更に好ましくは45/55以上であり、そして、好ましくは60/40以下、より好ましくは55/45以下、更に好ましくは53/47以下である。
【0034】
イソシアナート成分及びチオール成分の硬化には、重合触媒を用いてもよい。
重合触媒としては、例えば、スズ化合物、含窒素化合物が挙げられる。
スズ化合物としては、例えば、アルキルスズ化合物、アルキルスズハライド化合物が挙げられる。
アルキルスズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートが挙げられる。
アルキルスズハライド化合物としては、例えば、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、モノメチルスズトリクロライド、トリメチルスズクロライド、トリブチルスズクロライド、トリブチルスズフロライド、ジメチルスズジブロマイドが挙げられる。
これらの中でも、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライドが好ましく、ジメチルスズジクロライドがより好ましい。
【0035】
含窒素化合物としては、例えば、3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられる。3級アミンは、好ましくはヒンダードアミンである。
【0036】
3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチルモルホリン、N,N'-ジメチルピペラジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)が挙げられる。
【0037】
ヒンダードアミンとしては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ヒドロキシエチル-4-ピペリジノール、メチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、メチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートとビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとの混合物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレートが挙げられる。
【0038】
4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、1-メチル-2-メルカプト-1H-イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、ベンジルメチルイミダゾール、2-エチル-4-イミダゾールが挙げられる。
ピラゾール系化合物としては、例えば、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾールが挙げられる。
これらの中でも、ヒンダードアミン等の3級アミン、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物が好ましく、イミダゾール系化合物がより好ましく、1-メチル-2-メルカプト-1H-イミダゾールが更に好ましい。
【0039】
重合触媒の使用量は、イソシアナート成分及びチオール成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001~2質量部、より好ましくは0.005~1質量部、更に好ましくは0.007~0.5質量部である。
【0040】
[樹脂]
本実施形態に係る樹脂は、上述の実施形態に係る重合性組成物の硬化物である。硬化物は、重合性組成物中の成分を重合することで得られる。
【0041】
重合条件は、重合性組成物に応じて、適宜設定することができる。重合開始温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。重合開始温度から昇温し、その後、加熱して硬化形成することが好ましい。例えば、昇温最高温度は、通常110℃以上130℃以下である。
【0042】
樹脂は、眼鏡レンズ、カメラレンズ、プリズム、光ファイバ、及び、これらに用いられる基材、光ディスク若しくは磁気ディスク等に用いられる記録媒体用基板、コンピュータのディスプレイに付設する光学フィルター等の各種光学材料に用いられる。これらの光学材料の中でも、眼鏡レンズとして用いられることが好適である。
【0043】
[眼鏡レンズ]
本実施形態に係る眼鏡レンズは、本実施形態に係る樹脂を含む。
また、本実施形態に係る眼鏡レンズは、本実施形態に係る樹脂を含む、レンズ基材を備えることが好ましい。
【0044】
(レンズ基材)
レンズ基材は、好ましくは本実施形態に係る樹脂を90質量%以上含有し、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上含有する。
【0045】
レンズ基材は、離型剤、着色剤、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0046】
レンズ基材としては、フィニッシュレンズ、セミフィニッシュレンズのいずれであってもよい。レンズ基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等のいずれであってもよい。レンズ基材は、単焦点レンズ用、多焦点レンズ用、累進屈折力レンズ用等のいずれの用途であってもよい。例えば、一例として、累進屈折力レンズについては、通常、近用部領域(近用部)及び累進部領域(中間領域)が、前述の下方領域に含まれ、遠用部領域(遠用部)が上方領域に含まれる。レンズ基材としては、通常無色のものが使用されるが、透明性を損なわない範囲で着色したものを使用することもできる。
【0047】
レンズ基材の屈折率neは、好ましくは1.60以上である。レンズ基材の屈折率neは、その上限は特に限定されないが、例えば1.80以下であってもよい。
【0048】
本実施形態に係る眼鏡レンズは、ハードコート層、下地層、及び反射防止層からなる群から選ばれる少なくとも1種の層を備えていてもよい。
【0049】
〔眼鏡レンズの製造方法〕
本実施形態に係る眼鏡レンズの製造方法は、本実施形態の製造方法により得られる化合物(1)を含むチオール成分と、イソシアナート成分とを含む重合性組成物を成形型内で硬化させることを含む。
上述の実施形態に係る化合物(1)の製造方法により得られる化合物を用いることで臭気が抑制される。また、本実施形態に係る眼鏡レンズの製造方法によれば、高屈折率であり、外観が無色透明なポリチオウレタン樹脂が得らえる。
本実施形態に係る眼鏡レンズの製造方法は、当該硬化後の樹脂をアニール処理することと、を含んでいてもよい。
【0050】
重合は、注型重合法であることが好ましい。レンズ基材は、例えば、重合性組成物を、ガラス又は金属製のモールドと、テープ又はガスケットとを組み合わせたモールド型に注入して重合を行うことで得られる。
【0051】
重合条件は、重合性組成物に応じて、適宜設定することができる。重合開始温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。重合開始温度から昇温し、その後、加熱して硬化形成することが好ましい。例えば、昇温最高温度は、通常110℃以上130℃以下である。
【0052】
重合終了後、レンズ基材を離型して、アニール処理を行ってもよい。アニール処理の温度は、好ましくは100~150℃である。
【0053】
以上に示すとおり、本開示は、以下の実施形態を開示する。
<1>
メルカプトカルボン酸とペンタエリスリトールとを無溶媒条件下で脱水反応させること、
を含む、ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<2>
メルカプトカルボン酸が、炭素数2~4である、<1>に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<3>
メルカプトカルボン酸が、2-メルカプト酢酸、又は3-メルカプトプロピオン酸である、<1>又は<2>に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<4>
前記脱水反応させることが、スルホン酸化合物の存在下で脱水反応させる、<1>~<3>のいずれかに記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<5>
前記スルホン酸化合物の量が、前記メルカプトカルボン酸と前記ペンタエリスリトールとの合計量に対して、0.1~10質量%である、<4>に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<6>
前記スルホン酸化合物が、アルキルスルホン酸である、<4>又は<5>に記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<7>
前記脱水反応させることが、減圧下で水を系外に排除しながら行われる、<1>~<6>のいずれかに記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<8>
前記脱水反応させることが、温度90~98℃で行われる、<1>~<7>のいずれかに記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<9>
前記ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルのハーゼン色数(APHA)が、15以下である、<1>~<8>のいずれかに記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<10>
前記ペンタエリスリトールが、1.0質量%を超えるナトリウムを含有する、<1>~<9>のいずれかに記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<11>
前記脱水反応させることにより得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを洗浄すること
を含む、<1>~<10>のいずれかに記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
<12>
<1>~<11>のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルと、ポリイソ(チオ)シアナートとを含む、重合性組成物。
<13>
<12>に記載の重合性組成物の硬化物である樹脂。
<14>
<13>に記載の樹脂を含む、光学材料。
<15>
<13>に記載の樹脂を含む、眼鏡レンズ。
【実施例
【0054】
以下、本実施形態を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0055】
[測定方法]
<ハーゼン色数(APHA)>
得られたペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルについて、JIS K0071-1:2017の方法によりハーゼン色数(APHA)を測定した。色度標準液「1000」(製品名、富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、純水で希釈してAPHA,0,5,10,15,20,25の溶液を作製し、検量線を作成した。得られたペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルを光路長50mmの石英セルに充填し、分光色彩へーズメーター「COH7700」(製品名、日本電色工業株式会社製)を用いてAPHAを測定した。
【0056】
<屈折率>
ペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの屈折率は、屈折計「RA-600」(製品名、京都電子工業株式会社製)を用い25℃にて測定した。
【0057】
<SH価(SHV)>
SH価(以下「SHV」)は、よう素滴定により求めた。
300mLのコニカルビーカーにペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルおおよそ0.2gを正確に秤量した。メタノール:クロロホルム=2:5の混合溶媒50mLをメスシリンダーで測り、それをコニカルビーカーに加えて20分間スターラーで撹拌溶解させた。
ブランクの測定はコニカルビーカーに溶媒のみを入れて10±5℃で冷水浴する、スターラーにて300rpmで撹拌しながら、0.05mol/Lよう素水溶液を入れたビュレットでよう素滴定を行った。黄色く変色した点を終点とし、滴下量を記録し、ブランクとして用いた。
次にサンプルを溶媒で溶解させたものに対し、上記と同操作をしてよう素滴定を行った。終点を確認し、滴下量を記録する。SH-valueの計算式に滴下量を入力し、SH価を求めた。
SHV(g/eq)=(S×1000)/{(A-B)×f×0.1}
A:0.05mol/Lヨウ素溶液の滴定量
B:0.05mol/Lヨウ素溶液のブランク値
f:0.05mol/Lヨウ素溶液のファクター
S:サンプル量(g)
【0058】
<実施例1>
1000mLのフラスコ内にペンタエリスリトールを37.3質量部(0.274mol)、3-メルカプトプロピオン酸120.0質量部(1.131mol)及びメタンスルホン酸0.835質量部を加えて100℃近傍に温調したオイルバスに浸漬し3時間真空ポンプを用いて脱気しながら攪拌反応させた(内温95℃)。
反応終了後、200mLの水にて3回水洗し、真空ポンプにて水分を除去した。合成されたペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの屈折率はn(25℃)1.528、APHAは5であった。
1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「HXDI」ともいう)53.15質量部、酸性リン酸エステル「JP506H」(商品名、城北化学工業株式会社製)0.22質量部及びジメチルスズジクロライド(DMTDCl)0.072質量部、紫外線吸収剤「SEESORB707」(商品名、シプロ化成株式会社製)0.12質量部を混合溶解させ、前述記載のペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステル66.85質量部を加えて攪拌脱気を30分行い均一化させ、10ミクロンPTFEフィルターで濾過したものをガラス製サンプル瓶に50g注ぎ密栓した。20℃から120℃まで24時間加熱重合し、室温近傍まで冷却させて、サンプル瓶内の樹脂円柱を取り出した。得られた樹脂円柱について上述の評価を行って、その結果を表1に示した。
【0059】
<実施例2~3>
原料を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステル、及び樹脂円柱を得た。得られた樹脂円柱について上述の評価を行って、その結果を表1に示した。
【0060】
<実施例4>
ペンタエリスリトールとして、ペンタエリスリトールを37.3質量部、NaClを1.10質量部含む混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステル、及び樹脂円柱を得た。得られた樹脂円柱について上述の評価を行って、その結果を表1に示した。
【0061】
<比較例1>
実施例1と同様に1000mLのフラスコ内にペンタエリスリトールを37.3質量部(0.274mol)、3-メルカプトプロピオン酸120.0質量部(1.131mol)及びp-トルエンスルホン酸・一水塩1.04質量部、トルエン53.2質量部を加えた。加熱還流を行いながら系外に水を除去しながら7時間100℃近傍にて反応を行い、その後冷却した。トルエン溶液を200mlの水にて3回水洗し、加熱減圧下にてトルエン及び水分を留去した。得られた樹脂円柱について上述の評価を行って、その結果を表1に示した。合成されたペンタエリスリトールメルカプトプロピオネートの屈折率はn(25℃)1.53、APHAは8であった。
【0062】
【表1】
【0063】
以上の結果から、無溶媒条件で脱水反応することで、精製負荷が少なく、着色の少ないペンタエリスリトールメルカプトカルボン酸エステルの製造方法が提供されることがわかる。