IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボディテックメド インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-人工呼吸器の薬物注入構造 図1
  • 特許-人工呼吸器の薬物注入構造 図2
  • 特許-人工呼吸器の薬物注入構造 図3
  • 特許-人工呼吸器の薬物注入構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】人工呼吸器の薬物注入構造
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
A61M16/00 375
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023553303
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 KR2022004024
(87)【国際公開番号】W WO2022231133
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0053445
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514120807
【氏名又は名称】ボディテックメド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BODITECHMED. INC
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ドゥヨン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5181508(US,A)
【文献】米国特許第5947120(US,A)
【文献】米国特許第5207220(US,A)
【文献】米国特許第5701886(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0034633(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1311751(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体が流入口(11)から排出口(12)に延在し、前記管体の一方側に分岐管(13)が形成されたT管(10)と、
フランジ(21)の下方に第1管体(22)が形成され、前記第1管体(22)の内部に前記フランジ(21)を貫通するように第2管体(23)が形成され、前記第2管体(23)の外周面に雄ねじ(24)が形成されたカバー(20)と、
ボディ(31)の中央に前記第2管体(23)の内側に嵌め込まれるように第3管体(32)が形成され、前記第3管体(32)の外側に第4管体(33)が形成され、前記第4管体(33)に雌ねじ(34)が形成され、前記雌ねじ(34)が前記雄ねじ(24)に締結され、前記ボディ(31)の内部に伸縮性のパッキン(36)が配置されたパッキンクロージャ(30)と、を含み、
前記第1管体(22)は前記分岐管(13)に嵌め込まれて組み立てられ、
注射針を前記パッキン(36)に刺して前記第3管体(32)を通過させ、注射器によってT管(10)の内側に薬物を注入するようにすることを特徴とする、人工呼吸器の薬物注入構造。
【請求項2】
前記第1管体(22)は、下側が狭いテーパー状に提供され、弾性を有する材質であることを特徴とする、請求項1に記載の人工呼吸器の薬物注入構造。
【請求項3】
前記T管(10)の一方側に電源コネクタ(14)が配置されて外部電源を受け、前記T管(10)の内部に熱線(15)が配置され、前記熱線(15)は、前記外部電源に連結され、処理された空気を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の人工呼吸器の薬物注入構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器と患者のマスクとを連結するホース経路に設置され、人工呼吸器で処理された空気に薬物を含ませて薬物が患者に提供できるようにする、人工呼吸器の薬物注入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自発呼吸が困難な患者は、人工呼吸器に頼って呼吸する。また、医師の判断に基づいて薬物を処方することができ、その薬物は人工呼吸器からの処理済みの空気に含まれるようにして患者に提供することができる。薬物は、患者の体の状態に応じて様々であり、例えば肺機能が悪い場合には、肺が機能するのを助ける薬物であり得る。
【0003】
従来は、薬物を注入するために、人工呼吸器からマスクまたはマウスピースに連結されるチューブにT管を配置し、そのT管の一方の入口に薬筒を設置し、薬筒に薬物を注入する。そして、汚染を防止するために薬筒の開放部分に蓋を被せる。
【0004】
T管は、薬物気化装置を備え、その薬物気化装置によって薬物を気化させて処理済みの空気に含ませて患者に提供する。
【0005】
しかし、先に説明したような従来の技術は、汚染、労働、コストなどの問題がある。より詳細には、薬物注入時期は医師の処方によって異なるが、薬物注入が約1日2回から4回まで行われ得る。そのたびに蓋を取り外してから閉じ、このような過程で薬筒露出時間が長くなるしかなく、汚染可能性が大きくなり、蓋を開閉する手間がかかり、汚染可能性の大きい分だけT管を含むチューブ交換周期が速くなって費用が増えるという問題点がある。
【0006】
一方、人工呼吸器は、空気を清浄にし、体温に似た温度に加熱し、適正圧力を保つように処理された空気を患者に提供する。しかし、その処理された空気は、チューブに沿って移動する間に温度が変化する可能性があり、患者の呼吸器には低温の空気が提供されるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特公開第10-2007-0106964号明細書
【文献】韓国登録特許第10-1137052号明細書
【文献】韓国特許公開第10-2007-0004058号明細書
【文献】韓国特許公開第10-2010-0060004号明細書
【文献】韓国登録特許第10-1459399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、薬物を注入する際に、薬筒内部露出を最小限に抑え、薬筒の汚染を防止するうえ、患者がより清潔な環境で生活できるようにする、人工呼吸器の薬物注入構造を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、たとえ人工呼吸器で処理された空気を適正温度に加熱したとしても、処理された空気がチューブに沿って移動する間に適正温度よりも低くなると、再び加熱して適正温度の処理された空気が患者に提供できるようにする、人工呼吸器の薬物注入構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、管体が流入口11から排出口12に延在し、前記管体の一方側に分岐管13が形成されたT管10と、フランジ21の下方に第1管体22が形成され、前記第1管体22の内部に前記フランジ21を貫通するように第2管体23が形成され、前記第2管体23の外周面に雄ねじ24が形成されたカバー20と、ボディ31の中央に前記第2管体23の内側に嵌め込まれるように第3管体32が形成され、前記第3管体32の外側に第4管体33が形成され、前記第4管体33に雌ねじ34が形成され、前記雌ねじ34が前記雄ねじ24に締結され、前記ボディ31の内部に伸縮性のパッキン36が配置されたパッキンクロージャ30と、を含み、
【0011】
前記第1管体22は前記分岐管13に嵌め込まれて組み立てられ、注射針を前記パッキン36に刺して前記第3管体32を通過させ、注射器によってT管10の内側に薬物を注入する。
【0012】
また、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、前記第1管体22が、下側が狭いテーパー状に提供され、弾性を有する材質であってもよい。
【0013】
また、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、前記T管10の一方側に電源コネクタ14が配置されて外部電源を受け、前記T管10の内部に熱線15が配置され、前記熱線15は、前記外部電源に連結され、処理された空気を加熱することができる。
【0014】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0015】
上述したような本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、注射針をパッキンに刺した状態でT管10に薬物を注入することができるようにし、注射針をパッキンから除去すると、注射針の通過した空間が塞がれるようにして、T管10の内部が露出することを根本的に防止することができる。
【0016】
これにより、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、薬筒内部露出を最小限に抑えるか、或いは薬筒内部露出を根本的に遮断することができ、これにより薬筒の汚染を防止することができる。さらに、患者は、より清潔な環境で生活できるようにする。
【0017】
一方、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、患者に提供される処理済みの空気の温度が低くても、これを再び加熱することができるようにして、患者が常に適正温度の処理済みの空気で呼吸できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造を説明するための図であって、外観を示す図である。
図2】本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造を説明するための図であって、構成要素を分離して示す分解断面図である。
図3】本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造を説明するための図であって、構成要素を組み立てて示す断面図である。
図4】本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造におけるカバーを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の利点、特徴、及びそれらの達成方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照することにより明らかになるであろう。
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の理解を助けるために例示的に示したものであり、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なるように様々に変形実施できることが理解されるべきであろう。ただし、本発明を説明しながら、関連する公知の機能又は構成要素についての詳細な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にするおそれがあると判断された場合、その詳細な説明及び具体的な図示を省略する。また、添付図面は、発明の理解を助けるために、実際の縮尺で図示せず、一部の構成要素の大きさを誇張して図示することもある。
【0021】
一方、「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、それらの構成要素はそれらの用語によって限定されてはならない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく、第1の構成要素を第2の構成要素と命名でき、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名できる。
【0022】
他方、後述する用語は、本発明での機能を考慮して設定された用語であり、これは、生産者の意図または慣例に応じて変わり得るので、その定義は、本明細書全体にわたった内容に基づいて行われるべきである。
【0023】
明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。
【0024】
以下、図1図4を参照して、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造について説明する。図1図3は本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造を説明するための図であり、図1は外観を示し、図2は構成要素を分離して示す分解断面図であり、図3は構成要素を組み立てて示す断面図である。図4は本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造におけるカバーを説明するための図である。
【0025】
本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、T管10、カバー20、及びパッキンクロージャ30を含んで構成できる。
【0026】
前記T管10は、図1図3に示すように、管体が流入口11から排出口12に延在し、前記管体の一方側に分岐管13が形成される。
【0027】
前記カバー20は、図2に示すように、フランジ21の下方に第1管体22が形成され、前記第1管体22の内部に前記フランジ21を貫通するように第2管体23が形成される。前記第2管体23の外周面に雄ねじ24が形成される。
【0028】
前記第1管体22は、図3に示すように、前記分岐管13に嵌め込まれて組み立てられる。
【0029】
前記パッキンクロージャ30は、ボディ31の中央に前記第2管体23の内側に嵌め込まれるように第3管体32が形成される。第3管体32の外側に第4管体33が形成され、第4管体33に雌ねじ34が形成される。前記雌ねじ34は、図3に示すように、前記雄ねじ24に締結される。
【0030】
また、前記ボディ31の内部にポケット35を形成し、そのポケット35にパッキン36を密度高く組み込むことができる。
【0031】
前記パッキン36は、伸縮性を有する。より詳細には、前記パッキン36は軟質ゴムで形成でき、これにより、注射針を刺すと、注射針がパッキン36を貫通して入ることができ、注射針を抜き出すと、注射針の刺され跡がパッキン36の自己伸縮性のために直ちに埋められる。
【0032】
注射針を前記パッキン36に刺して前記第3管体32を通過させ、注射器によってT管10の内側に薬物を注入することができる。
【0033】
上述したような本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、注射針をパッキン36に刺した状態でT管10に薬物を注入することができ、注射針をパッキンから除去すると、注射針の通過した空間が塞がれるようにして、T管10の内部が露出することを根本的に防止することができる。
【0034】
これにより、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、薬筒の役割を果たすT管10の内部露出を最小限に抑えるか、或いは薬筒内部露出を根本的に遮断することができ、これにより薬筒の汚染を防止することができる。さらに、患者は、より清潔な環境で生活できるようにする。
【0035】
また、T管10の内部露出を防止することにより、人工呼吸器からマスク又はマウスピースまで連結されたチューブの全区間が外部へ露出することを厳しく防止することができる。
【0036】
一方、前記第1管体22は、図4に示すように、下側が狭いテーパー状に提供でき、弾性を有する材質であってもよい。これにより、図2図3に示すように分離された状態で組み立てるときに、カバー20を回転させることなく直進する方向に真っ直ぐに嵌め込んで組み立てることができる。
【0037】
前記第1管体22は、テーパー状に提供されることにより、第1管体22が分岐管13に挿入される初期には、直径差が大きいので、容易に組み立てられ、組立が進むにつれて益々堅く組み立てられることができる。
【0038】
また、第1管体22は、弾性特性を有することにより、分岐管13の内周面全体に緊密に密着して、外部から汚染物質がT管10の内部に流入することを根本的に遮断することができる。
【0039】
他方で、図1乃至図3に示すように、前記T管10の一方側に電源コネクタ14が配置されて外部電源を受けることができる。
【0040】
T管10の内部には、図2及び図3に示すように熱線15が配置でき、熱線15は、前記外部電源に接続されて発熱することができ、その発熱によって、前述した処理済みの空気を加熱することができる。
【0041】
これにより、本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、患者に提供される処理済みの空気の温度が低くても、これを再び加熱することができ、患者は、常に適正温度の処理済みの空気で呼吸することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野における当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解することができるだろう。
【0043】
したがって、以上で説明した実施形態は、すべての面で例示であり、限定的なものではないと理解されるべきであり、本発明の範囲は、後述する請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味及び範囲、並びにその等価概念から導出される全ての変更又は変形形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の実施形態による人工呼吸器の薬物注入構造は、患者に人工呼吸器から処理済み空気を提供するとき、処理済みの空気に薬物を含むことができるようにし、処理済みの空気を温めるようにすることに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 T管
11 流入口
12 排出口
13 分岐管
14 電源コネクタ
15 熱線
20 カバー
21 フランジ
22、23 第1、2管体
24 雄ねじ
30 パッキンクロージャ
31 ボディ
32、33 第3、第4管体
34 雌ねじ
35 ポケット
36 パッキン
図1
図2
図3
図4