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  • 特許-キャッピング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】キャッピング装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/26 20060101AFI20241017BHJP
   B67B 3/20 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B67B3/26
B67B3/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020083418
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021178640
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】東崎 隆司
(72)【発明者】
【氏名】嘉屋 考時
(72)【発明者】
【氏名】北元 宏明
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05400564(US,A)
【文献】特開平06-115591(JP,A)
【文献】特開平11-124196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/26
B67B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される容器の口部にキャップを取り付けるキャッピングヘッドと、上記キャッピングヘッドを回転させるモータと、キャッピングヘッドを昇降させる昇降機構と、上記モータの作動を制御する制御装置を備えて、
キャップを保持したキャッピングヘッドを昇降機構によって下降させて、キャップのネジ部の下端を容器の口部のネジ部に当接させてから上記モータによってキャッピングヘッドを介してキャップを回転させて容器の口部に巻き締めて取り付けるキャッピング装置において、
上記キャッピングヘッドに設けられて、上記キャップが下降される際の加速度を検出する加速度センサを備え、
上記制御装置は、上記加速度センサによって検出された加速度の変化を基にして、上記キャップのネジ部の下端が上記容器の口部のネジ山に当接してから、当該当接したネジ山の直下のネジ山へ落下するネジの段落ちが発生したか否か判定することを特徴とするキャッピング装置。
【請求項2】
容器を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される容器の口部にキャップを取り付けるキャッピングヘッドと、上記キャッピングヘッドを回転させるモータと、キャッピングヘッドを昇降させる昇降機構と、上記モータの作動を制御する制御装置を備えて、
キャップを保持したキャッピングヘッドを昇降機構によって下降させて、キャップのネジ部の下端を容器の口部のネジ部に当接させてから上記モータによってキャッピングヘッドを介してキャップを回転させて容器の口部に巻き締めて取り付けるキャッピング装置において
上記キャップが下降される際の加速度を検出する加速度センサを備え、
上記搬送手段は容器を把持するグリッパを備えており、
上記加速度センサは、上記グリッパに設けられており、
上記制御装置は、上記加速度センサによって検出された加速度の変化を基にして、上記キャップのネジ部の下端が上記容器の口部のネジ山に当接してから、当該当接したネジ山の直下のネジ山へ落下するネジの段落ちが発生したか否か判定することを特徴とするキャッピング装置。
【請求項3】
キャップが下降されてから、該キャップのネジ部の下端が容器のネジ部のネジ山に当接した直後に加速度センサによって加速度の急激な変動が検出された場合に、上記制御装置は、ネジの段落ちが発生したと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャッピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャッピング装置に関し、より詳しくは、容器の口部にキャップを巻き締めて取り付けるキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャップを保持したチャックをサーボモータによって回転させて、容器の口部にキャップを巻き締めて取り付けるキャッピング装置は公知である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-308380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のキャッピング装置においては、図5(A)に示すように、先ずチャックに把持されたキャップ8を容器5の口部5Cまで下降させて被せることで、キャップ8のネジ部8Aの下端部8A′を容器5の口部5Cのネジ部5Dに上方から当接させる。これが、両ネジ部8A、5Dの噛み合い開始位置となる。
次に、サーボモータによってチャックを介してキャップ8を所定の閉栓トルクで巻き締め方向に回転させる。これにより、キャップ8のネジ部8Aが容器5のネジ部5Dに噛み合って巻き締められるとともに、キャップ8の下端となる切り離しリング8Bが容器5の口部5Cのインナーリング5Eを乗り越えることで容器5の口部5Cに対するキャップ8の取り付けが終了するようになっている。
しかしながら、前述したようにキャップ8を下降させて容器5の口部5Cに被せてキャップ8のネジ部8Aの下端部8A′を容器5のネジ部5Dに上方から当接させた際に、キャップ8のネジ部8Aの下端部8A′が容器5のネジ部5Dのネジ山を飛び越えて、1段下のネジ山へ落下する「ネジの段落ち」が発生することがあった(図5(B)参照)。この「ネジの段落ち」が発生すると、キャップ8が段落ちした際の衝撃によって容器5内の充填液9の液面9Aが液ハネしてネジ部8A、5Dに充填液9が付着して、取り付け終了後にキャップ8と容器5のネジ部8A、5Dが充填液9により汚染されるという問題があった。
また、近年の容器やキャップの軽量化に伴って、容器やキャップのネジ部が十分な強度を備えていない場合には、前述した「ネジの段落ち」が発生した際の衝撃によって容器又はキャップのネジ部が損傷するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、容器を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される容器の口部にキャップを取り付けるキャッピングヘッドと、上記キャッピングヘッドを回転させるモータと、キャッピングヘッドを昇降させる昇降機構と、上記モータの作動を制御する制御装置を備えて、
キャップを保持したキャッピングヘッドを昇降機構によって下降させて、キャップのネジ部の下端を容器の口部のネジ部に当接させてから上記モータによってキャッピングヘッドを介してキャップを回転させて容器の口部に巻き締めて取り付けるキャッピング装置において、
上記キャッピングヘッドに設けられて、上記キャップが下降される際の加速度を検出する加速度センサを備え、
上記制御装置は、上記加速度センサによって検出された加速度の変化を基にして、上記キャップのネジ部の下端が上記容器の口部のネジ山に当接してから、当該当接したネジ山の直下のネジ山へ落下するネジの段落ちが発生したか否か判定することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した本発明は、容器を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される容器の口部にキャップを取り付けるキャッピングヘッドと、上記キャッピングヘッドを回転させるモータと、キャッピングヘッドを昇降させる昇降機構と、上記モータの作動を制御する制御装置を備えて、
キャップを保持したキャッピングヘッドを昇降機構によって下降させて、キャップのネジ部の下端を容器の口部のネジ部に当接させてから上記モータによってキャッピングヘッドを介してキャップを回転させて容器の口部に巻き締めて取り付けるキャッピング装置において
上記キャップが下降される際の加速度を検出する加速度センサを備え、
上記搬送手段は容器を把持するグリッパを備えており、
上記加速度センサは、上記グリッパに設けられており、
上記制御装置は、上記加速度センサによって検出された加速度の変化を基にして、上記キャップのネジ部の下端が上記容器の口部のネジ山に当接してから、当該当接したネジ山の直下のネジ山へ落下するネジの段落ちが発生したか否か判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、容器へのキャップの取り付けの際に、「ネジの段落ち」が発生した容器を確実に検出して、当該ネジの段落ちが発生した不良品の容器を確実に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す平面図。
図2図1のキャッピング装置の要部の縦断面図。
図3図2のサーボモータによる閉栓トルクの変化と加速度センサの検出値の変化を示す図であり、図3(A)は「ネジの段落ち」が生じていない正常な場合を示し、図3(B)は「ネジの段落ち」が生じた場合を示している。
図4】本発明の第2実施例を示す縦断面図。
図5】従来技術の課題を説明するための断面図であり、図5(A)は「ネジの段落ち」が生じていない場合を示し、図5(B)は「ネジの段落ち」が生じた場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は充填システムであり、この充填システム1は、外周部に等ピッチで複数の図示しない充填バルブを備えた回転式のフィラ2と、外周部に等ピッチで複数のキャッピングヘッド3を有する回転式のキャッピング装置4を備えている。
フィラ2及びキャッピング装置4が矢印方向に回転中において、図示しない供給ホイールによってフィラ2の各充填バルブの下方に空の容器5が供給されるようになっており、各容器5はフィラ2が備える図示しないグリッパによって把持されるとともに充填バルブによって所定量の充填液が充填されるようになっている。そして、フィラ2の充填バルブによって充填液が充填された各容器5は、フィラ2のグリッパによる把持状態を解放されるとともに、中間ホイール6を介してフィラ2からキャッピング装置4へ受け渡されるようになっている。
【0009】
キャッピング装置4は、外周部の等間隔位置にチャック7によってキャップ8を保持するキャッピングヘッド3を備えるとともに、各キャッピングヘッド3の下方に、容器5の首部5Aを把持する開閉式のグリッパ4Aを備えている。
中間ホイール6から受け渡される容器5は、図5(A)に示したものと同様に、内部に充填液9が充填されており、その液面9Aは首部5Aのつば部5Bの少し下方側に位置している。この容器5は、グリッパ4Aによって首部5Aの両側を把持され、かつ首部5Aに形成されたつば部5Bを支持されて所定の高さで搬送されるようになっている(図2参照)。
また、図5に示したものと同様に、容器5の口部5Cの外周部にはネジ部5Dが形成されており、他方、キャップ8の内周部には、図5に示したものと同様の容器5のネジ部5Dに螺合されるネジ部8Aが形成されている。
さらに、容器5におけるつば部5Bとネジ部5Dとの間には、インナーリング5Eが形成されており、他方、キャップ8における下端部には、切り離しリング8Bが設けられている。
キャッピング装置4が矢印方向に回転されるのに伴ってキャッピングヘッド3が昇降機構11によって下降されるとともに、キャッピングヘッド3毎に設けられたサーボモータ12によってチャック7が巻き締め方向に所定の閉栓トルクで回転されることにより、チャック7に保持されたキャップ8が下降されて容器5の口部5Cに被せられた後に巻き締められて取り付けられるようになっている。キャップ8を下降させてからそれを回転させて取り付けが終了するまでの過程は図5(A)について説明した従来技術と同じである。
その後、キャッピング装置4の各キャッピングヘッド3によってキャップ8が取り付けられた容器5は、グリッパ4Aによる首部5Aの把持状態を解放されるとともに排出ホイール13によって把持されてキャッピング装置4から排出コンベヤ14上に排出されるようになっており、その後、排出コンベヤ14によって下流側の図示しない処理装置に向けて搬送されるようになっている。
後に詳述するが、本実施例は、キャッピング装置4の各キャッピングヘッド3による容器5へのキャップ8の取り付けが終了した時点で、前述した「ネジの段落ち」の発生を加速度センサ15の計測値を基にして制御装置16によって判定できるようになっている。
排出コンベヤ14の搬送経路の途中には、不良品の容器5を強制的に排出コンベヤ14上から排除するリジェクト機構17が配置されている。そして、制御装置16によって「ネジの段落ち」が発生した不良品と判定された容器5は、排出コンベヤ14を搬送される過程においてリジェクト機構17によって排出コンベヤ14上から強制的に排除されるようになっている。
【0010】
キャッピング装置4は、時計方向に回転される回転体18と、この回転体18の外周部の円周方向に等ピッチで配置された複数のキャッピングヘッド3と、キャッピングヘッド3の下方側に配置されて、容器5の首部5Aを把持するグリッパ4Aを備えている。
回転体18とそれに設けられた複数のグリッパ4Aによって、容器5を搬送する搬送手段が構成されている。前述したように、容器5はグリッパ4Aによって首部5Aを把持されるとともにつば部5Bを支持されるようになっており、その状態において回転体18の回転に伴って容器5が搬送されるようになっている。
【0011】
図2に示すように、キャッピングヘッド3は、回転体18の外周部に昇降可能に設けられた円筒状の外筒21と、この外筒21の内方に回転自在、かつ昇降自在に設けられたスピンドル22と、このスピンドル22の下端部に取り付けられてキャップ8を着脱自在に保持するチャック7と、スピンドル22の上端部に連結されるとともに内周部にスプライン溝が形成された内筒23と、この内筒23のスプライン溝にスプライン嵌合されたスプライン軸24と、スプライン軸24の上端部に連結されたサーボモータ12と、外筒21の下端の外周部に取り付けられた加速度センサ15を備えている。
内筒23、スピンドル22及びチャック7は外筒21に対して昇降可能となっており、それらは外筒21の段部21Aによって支持されている。スピンドル22側のつば部22Aとそれに対向する外筒21内の上記段部21Aとにわたってはばね26が弾装されている。このばね26の弾発力によってスピンドル22及びその下端に設けられたチャック7は外筒21に対して常時下方に向けて付勢されている。
外筒21の上方部の内側にカムフォロア27が取り付けられており、このカムフォロア27は、回転体18の外周部に沿って配置された環状カム28のカム溝28Aに転動自在に係合されている。これら環状カム28とカムフォロア27によってチャック7を昇降させる昇降機構11が構成されている。
回転体18が図1の矢印方向に回転されることに伴って、回転区間の所要位置において昇降機構11によってキャッピングヘッド3が昇降されるとともに、サーボモータ12によってチャック7が所定の閉栓トルクで巻き締め方向に回転されるようになっている。
【0012】
サーボモータ12の作動は、制御装置16によって制御されるようになっており、制御装置16は、昇降機構11によってチャック7が上昇端から下降端まで下降されてキャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに上方から当接するとサーボモータ12を所定の閉栓トルクで回転駆動させるようになっている。
サーボモータ12の回転部には、パルス信号を出力するエンコーダ31が接続されるとともに、サーボモータ12の出力電流を検出する電流計32が接続されている。サーボモータ12が回転駆動されると、エンコーダ31から出力されたパルス信号が制御装置16に入力されるとともに、サーボモータ12から出力された電流は電流計32によって検出されて制御装置16に入力されるようになっている。
制御装置16は、エンコーダ31が検出したパルス信号を基にしてサーボモータ12の回転角度と回転速度を認識できるようになっている。また、制御装置16は、サーボモータ12が回転駆動されてから後の電流計32が検出した電流値からチャック7に作用する閉栓トルクを検出して、それを時系列で記録するようになっている。
キャッピングヘッド3の外筒21に設けられた加速度センサ15は、昇降機構11によってキャッピングヘッド3が上昇端から下降端まで下降されてからキャップ8の取り付けが終了するまでの間のキャップ8の加速度を検出するようになっており、加速度センサ15が検出した加速度は随時、制御装置16に入力されるようになっている。
本実施例においては、昇降機構11によってキャップ8が下降される際のキャップ8の加速度を加速度センサ15で検出し、その検出値をもとにして制御装置16は、前述した「ネジの段落ち」が発生しているか否かを判定するようになっている。
【0013】
以上の構成において、キャップの取り付けと取り付け終了時における制御装置16による判定は以下のようにして行われる。
キャッピング装置4による具体的なキャップ8の容器5の口部5Cへの取り付け過程の詳細は、前述した図5(A)について説明した内容と同様である。
すなわち、先ず、回転体18の回転に伴ってグリッパ4Aに把持された容器5が搬送されるのに伴って、チャック7にキャップ8を保持した状態のキャッピングヘッド3が昇降機構11によって図2に示す上昇端から下降端まで下降される。これにより、チャック7に保持されたキャップ8が容器5の口部5Cに被せられるとともに、キャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dのネジ山に上方から当接し、かつ、ばね26の弾撥力によってキャップ8が容器5の口部5Cに向けて下方へ押圧された状態となる(図5(A)と同じ状態)。
この状態からサーボモータ12が回転されることで所定の閉栓トルクでチャック7を介してキャップ8が巻き締め方向に回転されるので、キャップ8のネジ部8Aが容器5のネジ部5Dに噛み合ってから巻き締められるとともに、キャップ8の切り離しリング8Bが容器5のインナーリング5Eを乗り越えることで、キャップ8の容器5の口部5Cへの取り付けが終了する。
ここで、キャップ8が昇降機構11により下降され始めてから下降端に位置し、その後、さらにキャップ8の取り付けが終了するまでの間のキャップ8が下降する際の加速度は、加速度センサ15によって検出されて制御装置16に入力されている。
図3(A)は、キャップ8の取り付けの際に「ネジの段落ち」が発生しない場合の加速度の検出値と閉栓トルクとの関係を示しており、図3(B)は、キャップ8の取り付けの際に「ネジの段落ち」が発生した場合を示している。
図3(A)に示すように、「ネジの段落ち」が発生しないでキャップ8の取り付けが終了した場合(良品の容器)においては、加速度は切り離しキャップ8の切り離しリング8Bが容器5のインナーリング5Eを乗り越えた時点で加速度G1が大きくなるが、その時点以外の取り付け過程においては加速度が零(一定)となる。
これを閉栓トルクの変動で見ると、キャップ8が回転されないでネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに当接した状態の閉栓トルクT1は零であるが、その後、キャップ8が回転され始めた噛み合い開始時のトルクT2、その後の仮締め工程でのトルクT3、本締め工程でのトルクT4、さらにその後の巻き締め終了時のトルクT5においてトルクの値が大きくなる。
そして、トルクT4で示した本締め工程時の直後に、前述したインナーリング5Eを切り離しリング8Bが乗り越えることで、上記加速度G1が検出されるようになっている。
制御装置16は、トルクT4で示す本締め工程の後に加速度G1が検出され、それ以外の取り付け過程においては加速度の変動がないので(加速度が零なので)、この場合には「ネジの段落ち」は発生せず、当該、キャップ8が取り付けられた容器5は良品であると判定する。
これに対して、キャップ8の取り付けの際に図5(B)に示した「ネジの段落ち」が発生すると、加速度センサ15による検出値は図3(B)に示すようになる。
つまり、閉栓トルクの変動で見ると、キャップ8が回転されないでネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに当接した際の閉栓トルクT1は零であるが、その後、キャップ8が回転され始めた噛み合い開始時のトルクT2の直後に、急激に大きな加速度GXが検出される。
これは、図5(B)に示した「ネジの段落ち」が発生すると、ばね16に押圧されているキャップ8のネジ部8Aの下端8A′が、容器5のネジ部5Dのネジ山に当接して、その1段下のネジ山の上に急激に落下するので、急激に大きな加速度GXとなって検出されるからである。
この後、噛み合い開始後の仮締め工程でのトルクT3、本締め工程でのトルクT4、その後、取り付け終了時のトルクT5においてトルクの値が増大する。
ここで、「ネジの段落ち」が発生した場合には、ネジ山を1つ段落ちした分だけ、キャップ8が巻締方向に回転されてからキャップ8の取り付け終了までの経過時間が短くなる。そのため、「ネジの段落ち」が発生した場合には、インナーリング5Eを切り離しリング8Bが乗り越えた際の加速度G1が検出されるタイミングは図3(A)に示した「ネジの段落ち」が発生しない場合と比較して早くなり、また、キャップ8の回転が開始されてからキャップの取り付け終了までの経過時間も短くなる(図3(A)、図3(B)参照)。
すると、制御装置16は、図3(B)において、インナーリング5Eを切り離しリング8Bが乗り越えた時点の加速度G1よりも前の時点で、具体的には、噛み合い開始時のトルクT2が検出された直後に大きな加速度GXが検出されている場合には、当該キャップ8が取り付けられた容器5に「ネジの段落ち」が発生したと判定するようになっている。
そして、前述したように、「ネジの段落ち」が発生した不良品の容器5は、排出コンベヤ14によって搬送される過程において、リジェクト機構17によって排出コンベヤ14上から強制的に排除されるようになっている。
【0014】
以上のように、本実施例のキャッピング装置4は、キャッピングヘッド3に加速度センサ15を備えることで、キャップ8を下降させて容器5に取り付けが終了するまでの加速度を検出し、この加速度センサ15の検出値をもとにして制御装置16は、「ネジの段落ち」が発生したか否かを確実に判定することができる。
そのため、制御装置16によって「ネジの段落ち」が生じた不良品と判定された容器5は、リジェクト機構17によって排出コンベヤ5上から確実に排除されるようになっている。それにより、不良品の容器5が下流側の処理装置(箱詰め装置)へ搬送されるのを防止することができる。
前述したように、「ネジの段落ち」が生じた容器5は、ネジ部5D、8Aに充填液9が液ハネして付着するので衛生上の問題があり、製品として市販することはできない。本実施例においては、このような不良品の容器5が市場に流通するのを確実に防止することができる。
【0015】
次に図4は本発明の第2実施例を示したものであり、この第2実施例においては、加速度センサ15をキャッピングヘッド3に設けるのではなく、容器5を把持するグリッパ4Aに加速度センサ15を設けたものである。その他の構成は、前述した第1の実施例と同じであり、それと対応する各部材に同じ部材番号を付している。
この第2実施例においても、チャック7に把持したキャップ8を下降させて容器5の口部5Cに被せた際に「ネジの段落ち」が生じると、容器5を把持したグリッパ4Aを介して加速度センサ15によって検出されて、図3(B)に示した場合と同様に加速度の大きな変動として検出される。それをもとにして制御装置16は、当該容器5は、「ネジの段落ち」が発生した不良品と判定するようになっている。このような構成の第2実施例であっても上記第1の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0016】
なお、キャッピング装置4における加速度センサ15を設ける位置は、上述した各実施例の位置に限定されるものではなく、キャッピングヘッド3のスピンドル22又はチャック7に加速度センサ15を設けても良い。
【符号の説明】
【0017】
3…キャッピングヘッド 4…キャッピング装置
4A…グリッパ 5…容器
5C…口部 5D…ネジ部
7…チャック 8…キャップ
8A…ネジ部 8A′…下端
11…昇降機構 12…サーボモータ
15…加速度センサ 16…制御装置
18…回転体(搬送手段) GX…加速度
図1
図2
図3
図4
図5