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  • 特許-キャッピング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】キャッピング装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/26 20060101AFI20241017BHJP
   B67B 3/20 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B67B3/26
B67B3/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020083419
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021178641
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】北元 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩由
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05400564(US,A)
【文献】特開平06-115591(JP,A)
【文献】特開平11-124196(JP,A)
【文献】特表2013-504494(JP,A)
【文献】特開2004-131132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/26
B67B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される容器の口部にキャップを取り付けるキャッピングヘッドと、上記キャッピングヘッドを回転させるモータと、キャッピングヘッドを昇降させる昇降機構と、上記モータの作動を制御する制御装置を備えて、
キャップを保持したキャッピングヘッドを昇降機構によって下降させて、キャップのネジ部の下端を容器の口部のネジ部に当接させてから上記モータによってキャッピングヘッドを介してキャップを回転させて容器の口部に巻き締めて取り付けるキャッピング装置において、
上記キャッピングヘッドは、昇降機構によって昇降される外筒と、外筒に昇降可能、かつ回転可能に設けられたスピンドルと、このスピンドルの下端に取り付けられてキャップを保持するチャックと、スピンドルを介してチャックを回転させるモータと、外筒とスピンドルとにわたって弾装されてスピンドルを介してチャックを常時下方に向けて付勢するばねとを備えており、
また、上記キャップが下降される際の上記チャックと外筒との間の距離を計測する距離検出センサを備え、
上記制御装置は、上記距離検出センサによって検出された上記チャックと上記外筒との間の距離を基にして、上記キャップのネジ部の下端が上記容器の口部のネジ山に当接してから、当該当接したネジ山の直下のネジ山へ落下するネジの段落ちが発生したか否か判定することを特徴とするキャッピング装置。
【請求項2】
キャッピングヘッドの外筒又はチャックの上方側の端面のいずれか一方に、上記距離検出センサとしてのレーザセンサが設けられており、上記外筒又はチャックの上方側の端面のいずれか他方に、レーザセンサから照射されるレーザ光をレーザセンサに向けて反射させる受光板が設けられており、レーザセンサから照射されたレーザ光が受光板によって反射されることで、レーザセンサはチャックと外筒との間の距離を計測するようになっており、
制御装置は、レーザセンサが検出したチャックと外筒との間の距離から1階微分して算出した算出値を求めて、該算出値が所定のしきい値よりも大きい場合には、ネジの段落ちが発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャッピング装置に関し、より詳しくは、容器の口部にキャップを巻き締めて取り付けるキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャップを保持したチャックをサーボモータによって回転させて、容器の口部にキャップを巻き締めて取り付けるキャッピング装置は公知である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-308380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のキャッピング装置においては、図4(A)に示すように、先ずチャックに把持されたキャップ8を容器5の口部5Cまで下降させて被せることで、キャップ8のネジ部8Aの下端部8A′を容器5の口部5Cのネジ部5Dに上方から当接させる。これが、両ネジ部8A、5Dの噛み合い開始位置となる。
次に、サーボモータによってチャックを介してキャップ8を所定の閉栓トルクで巻き締め方向に回転させる。これにより、キャップ8のネジ部8Aが容器5のネジ部5Dに噛み合って巻き締められるとともに、キャップ8の下端となる切り離しリング8Bが容器5の口部5Cのインナーリング5Eを乗り越えることで容器5の口部5Cに対するキャップ8の取り付けが終了するようになっている。
しかしながら、前述したようにキャップ8を下降させて容器5の口部5Cに被せてキャップ8のネジ部8Aの下端部8A′を容器5のネジ部5Dに上方から当接させた際に、キャップ8のネジ部8Aの下端部8A′が容器5のネジ部5Dのネジ山を飛び越えて、1段下のネジ山へ落下する「ネジの段落ち」が発生することがあった(図4(B)参照)。この「ネジの段落ち」が発生すると、キャップ8が段落ちした際の衝撃によって容器5内の充填液9の液面9Aが液ハネしてネジ部8A、5Dに充填液9が付着して、取り付け終了後にキャップ8と容器5のネジ部8A、5Dが充填液9により汚染されるという問題があった。
また、近年の容器やキャップの軽量化に伴って、容器やキャップのネジ部が十分な強度を備えていない場合には、前述した「ネジの段落ち」が発生した際の衝撃によって容器又はキャップのネジ部が損傷するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、容器を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される容器の口部にキャップを取り付けるキャッピングヘッドと、上記キャッピングヘッドを回転させるモータと、キャッピングヘッドを昇降させる昇降機構と、上記モータの作動を制御する制御装置を備えて、
キャップを保持したキャッピングヘッドを昇降機構によって下降させて、キャップのネジ部の下端を容器の口部のネジ部に当接させてから上記モータによってキャッピングヘッドを介してキャップを回転させて容器の口部に巻き締めて取り付けるキャッピング装置において、
上記キャッピングヘッドは、昇降機構によって昇降される外筒と、外筒に昇降可能、かつ回転可能に設けられたスピンドルと、このスピンドルの下端に取り付けられてキャップを保持するチャックと、スピンドルを介してチャックを回転させるモータと、外筒とスピンドルとにわたって弾装されてスピンドルを介してチャックを常時下方に向けて付勢するばねとを備えており、
また、上記キャップが下降される際の上記チャックと外筒との間の距離を計測する距離検出センサを備え、
上記制御装置は、上記距離検出センサによって検出された上記チャックと上記外筒との間の距離を基にして、上記キャップのネジ部の下端が上記容器の口部のネジ山に当接してから、当該当接したネジ山の直下のネジ山へ落下するネジの段落ちが発生したか否か判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、容器へのキャップの取り付けの際に「ネジの段落ち」が発生した容器を確実に検出して、当該ネジの段落ちが発生した不良品の容器を確実に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す平面図。
図2図1のキャッピング装置の要部の縦断面図。
図3図2のレーザセンサが計測した距離の変動と制御装置が求めた1階微分した後の算出値の変化を示す図であり、図3(A)は「ネジの段落ち」が生じていない正常な場合(良品の場合)を示し、図3(B)は「ネジの段落ち」が生じた場合(不良品の場合)を示している。
図4】従来技術の課題を説明するための断面図であり、図4(A)は「ネジの段落ち」が生じていない場合を示し、図4(B)は「ネジの段落ち」が生じた場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は充填システムであり、この充填システム1は、外周部に等ピッチで複数の図示しない充填バルブを備えた回転式のフィラ2と、外周部に等ピッチで複数のキャッピングヘッド3を有する回転式のキャッピング装置4を備えている。
フィラ2及びキャッピング装置4が矢印方向に回転中において、図示しない供給ホイールによってフィラ2の各充填バルブの下方に空の容器5が供給されるようになっており、各容器5はフィラ2が備える図示しないグリッパによって把持されるとともに充填バルブによって所定量の充填液が充填されるようになっている。そして、フィラ2の充填バルブによって充填液が充填された各容器5は、フィラ2のグリッパによる把持状態を解放されるとともに、中間ホイール6を介してフィラ2からキャッピング装置4へ受け渡されるようになっている。
【0009】
キャッピング装置4は、外周部の等間隔位置にチャック7によってキャップ8を保持するキャッピングヘッド3を備えるとともに、各キャッピングヘッド3の下方に、容器5の首部5Aを把持する開閉式のグリッパ4Aを備えている。
中間ホイール6から受け渡される容器5は、図4(A)に示したものと同様に、内部に充填液9が充填されており、その液面9Aは首部5Aのつば部5Bの少し下方側に位置している。この容器5は、グリッパ4Aによって首部5Aの両側を把持され、かつ首部5Aに形成されたつば部5Bを支持されて所定の高さで搬送されるようになっている(図2参照)。
また、図4に示したものと同様に、容器5の口部5Cの外周部にはネジ部5Dが形成されており、他方、キャップ8の内周部には、図4に示したものと同様の容器5のネジ部5Dに螺合されるネジ部8Aが形成されている。
さらに、容器5におけるつば部5Bとネジ部5Dとの間には、インナーリング5Eが形成されており、他方、キャップ8における下端部には、切り離しリング8Bが設けられている。
キャッピング装置4が矢印方向に回転されるのに伴ってキャッピングヘッド3が昇降機構11によって下降されるとともに、キャッピングヘッド3毎に設けられたサーボモータ12によってチャック7が巻き締め方向に所定の閉栓トルクで回転されることにより、チャック7に保持されたキャップ8が下降されて容器5の口部5Cに被せられた後に巻き締められて取り付けられるようになっている。キャップ8を下降させてからそれを回転させて取り付けが終了するまでの過程は図4(A)について説明した従来技術と同じである。
その後、キャッピング装置4の各キャッピングヘッド3によってキャップ8が取り付けられた容器5は、グリッパ4Aによる首部5Aの把持状態を解放されるとともに排出ホイール13によって把持されてキャッピング装置4から排出コンベヤ14上に排出されるようになっており、その後、排出コンベヤ14によって下流側の図示しない処理装置に向けて搬送されるようになっている。
後に詳述するが、本実施例は、キャッピング装置4の各キャッピングヘッド3による容器5へのキャップ8の取り付けが終了した時点で、前述した「ネジの段落ち」の発生を、レーザセンサ15が計測したチャック7との距離Dの変動を基にして制御装置16によって判定できるようになっている。
排出コンベヤ14の搬送経路の途中には、不良品の容器5を強制的に排出コンベヤ14上から排除するリジェクト機構17が配置されている。そして、制御装置16によって「ネジの段落ち」が発生した不良品と判定された容器5は、排出コンベヤ14を搬送される過程においてリジェクト機構17によって排出コンベヤ14上から強制的に排除されるようになっている。
【0010】
キャッピング装置4は、時計方向に回転される回転体18と、この回転体18の外周部の円周方向に等ピッチで配置された複数のキャッピングヘッド3と、キャッピングヘッド3を昇降させる昇降機構11と、キャッピングヘッド3の下方側に配置されて、容器5の首部5Aを把持するグリッパ4Aを備えている。
回転体18とそれに設けられた複数のグリッパ4Aによって、容器5を搬送する搬送手段が構成されている。前述したように、容器5はグリッパ4Aによって首部5Aを把持されるとともにつば部5Bを支持されるようになっており、その状態において回転体18の回転に伴って容器5が搬送されるようになっている。
【0011】
図2に示すように、キャッピングヘッド3は、回転体18の外周部に昇降可能に設けられた円筒状の外筒21と、この外筒21の内方に回転自在、かつ昇降自在に設けられたスピンドル22と、このスピンドル22の下端部に取り付けられてキャップ8を着脱自在に保持するチャック7と、スピンドル22の上端部に連結されるとともに内周部にスプライン溝が形成された内筒23と、この内筒23のスプライン溝にスプライン嵌合されたスプライン軸24と、スプライン軸24の上端部に連結されたサーボモータ12と、外筒21の外周部の下端に下方に向けて取り付けられたレーザセンサ15を備えている。
内筒23、スピンドル22及びチャック7は外筒21に対して昇降可能となっており、それらは外筒21の段部21Aによって支持されている。スピンドル22側のつば部22Aとそれに対向する外筒21内の上記段部21Aとにわたってはばね26が弾装されている。このばね26の弾発力によってスピンドル22及びその下端に設けられたチャック7は外筒21に対して常時下方に向けて付勢されている。
外筒21の上方部の内側にカムフォロア27が取り付けられており、このカムフォロア27は、回転体18の外周部に沿って配置された環状カム28のカム溝28Aに転動自在に係合されている。これら環状カム28とカムフォロア27によってキャッピングヘッド3を昇降させる昇降機構11が構成されている。
回転体18が図1の矢印方向に回転されることに伴って、回転区間の所要位置において昇降機構11によってキャッピングヘッド3が昇降されるとともに、サーボモータ12によってチャック7が所定の閉栓トルクで巻き締め方向に回転されるようになっている。
【0012】
サーボモータ12の作動は、制御装置16によって制御されるようになっており、制御装置16は、昇降機構11によってチャック7が上昇端から下降端まで下降されてキャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに上方から当接するとサーボモータ12を所定の閉栓トルクで回転駆動させるようになっている。
サーボモータ12の回転部には、パルス信号を出力するエンコーダ31が接続されるとともに、サーボモータ12の出力電流を検出する電流計32が接続されている。サーボモータ12が回転駆動されると、エンコーダ31から出力されたパルス信号が制御装置16に入力されるとともに、サーボモータ12から出力された電流は電流計32によって検出されて制御装置16に入力されるようになっている。
制御装置16は、エンコーダ31が検出したパルス信号を基にしてサーボモータ12の回転角度と回転速度を認識できるようになっている。また、制御装置16は、サーボモータ12が回転駆動されてから後の電流計32が検出した電流値からチャック7に作用する閉栓トルクを検出して、それを時系列で記録するようになっている。
前述したように、外筒21の外周部の下端にはレーザセンサ15が鉛直下方に向けて取り付けられている。他方、チャック7における上方側の端面7Aには、レーザセンサ15と対向させて受光板34が設けられている。
キャップ8の取り付けが行われる際には、レーザセンサ15から受光板34に向けてレーザ光Lが照射されるようになっており、受光板34から反射されたレーザ光Lをレーザセンサ15で検出することで、チャック7と外筒21との距離Dを計測できるようになっている。
レーザセンサ15は、昇降機構11によってキャッピングヘッド3が上昇端から下降端まで下降されてからキャップ8の取り付けが終了するまでの間は、受光板34に向けてレーザ光Lを照射して、受光板34から反射されるレーザ光Lを連続的に検出して上記距離Dを計測するようになっている。レーザセンサ15によって検出されたチャック7と外筒21の下端部とが隔てた距離Dは、制御装置16に入力されるようになっている。
本実施例においては、チャック7と外筒21の下端部とが隔てた距離Dを計測するレーザセンサ15を、昇降機構11によってチャック7及びキャップ8が下降される際のキャップ8の高さを検出する高さ検出手段として用いている。
制御装置16は、昇降機構11によってキャップ8が下降端まで下降されてからキャップ8が巻き締め方向に回転されて取り付け終了までの間にレーザセンサ15によって計測された上記距離Dの変動をもとにして、上述した「ネジの段落ち」が発生しているか否かを判定するようになっている。
【0013】
以上の構成において、キャッピングヘッド3による容器5へのキャップ8の取り付けと、取り付け終了時における制御装置16による判定は以下のようにして行われる。
キャッピングヘッド3による具体的なキャップ8の容器5の口部5Cへの取り付け過程の詳細は、前述した図4(A)について説明した内容と同様である。
すなわち、先ず、回転体18の回転に伴ってグリッパ4Aに把持された容器5が搬送されるのに伴って、チャック7にキャップ8を保持した状態のキャッピングヘッド3が昇降機構11によって図2に示す上昇端から下降端まで下降される。
これにより、チャック7に保持されたキャップ8が容器5の口部5Cに被せられるとともに、キャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dのネジ山に上方から当接し、かつ、ばね26が圧縮されるので、このばね26の弾撥力によってキャップ8が容器5の口部5Cに向けて下方へ押圧された状態となる(図4(A)と同じ状態)。
このようにキャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに当接して押圧された状態でサーボモータ12が回転されることにより、所定の閉栓トルクでチャック7を介してキャップ8が巻き締め方向に回転される。これにより、キャップ8のネジ部8Aが容器5のネジ部5Dに噛み合ってから巻き締められるとともに、キャップ8の切り離しリング8Bが容器5のインナーリング5Eを乗り越えることで、キャップ8の容器5の口部5Cへの取り付けが終了する。
ここで、キャップ8が昇降機構11により下降され始めてから下降端に位置して、キャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに当接して押圧され、その後、キャップ8が回転されて取り付けが終了するまでの間は、レーザセンサ15によって上記距離Dが連続的に計測されており、レーザセンサ15による計測値は制御装置16に入力されている。
図3(A)は、キャップ8の取り付けの際に「ネジの段落ち」が発生しない場合のレーザセンサ15が検出した距離Dの変動と、該距離Dの変動を制御装置16が1階微分して算出後の算出値の結果を示したものであり、図3(B)は、キャップ8の取り付けの際に「ネジの段落ち」が発生した場合のレーザセンサ15が検出した距離Dの変動と、該距離Dの変動を制御装置16が1階微分して算出後の算出値の結果を示したものである。
図3(A)に示すように、「ネジの段落ち」が発生しないでキャップ8の取り付けが終了した場合(良品の容器)においては、キャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dのねじ山に上方から当接した時点で、外筒21は昇降機構11によって下降端に停止しており、ばね26は圧縮されているので、ばね26の弾発力によってキャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dのねじ山に押圧されている。そのため、距離Dの変動はなく一定である(図3の上段のD1参照)。
その後、キャップ8がチャック7を介して巻き締め方向に回転されると、キャップ8のネジ部8Aが容器5のネジ部5Dに噛み合ってから容器5のネジ部5Dのねじ山の傾斜に沿って巻き締めが進んでいく。この過程では、外筒21は停止したままであるが、キャップ8の巻き締めが進むことに伴って圧縮されているばね26が伸長し、キャップ8とそれを保持したチャック7も下降することにより、距離Dが徐々に大きくなる。ここで、容器5のネジ部5Dのねじ山の傾斜は一定であるので、図3(A)の上段に示すように巻き締めが進む過程での距離Dの変動は一定の傾きとなる(D2参照)。その後、容器5のネジ部5Dへのキャップ8の取り付けが完了すると、チャック7とキャップ8の下降も停止するので、距離Dの変動はなく一定である(図3の上段のD3参照)。
「ネジの段落ち」が生じていない場合におけるレーザセンサ15が計測した距離Dの変動を制御装置16が1階微分して算出した算出値の変動は図3(A)の下段に示すようになる。
キャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dに当接して、ばね26によって押圧された際に、「ネジの段落ち」が発生しない場合には、この図3(A)の下段に示すように、ネジ部8Aの下端8A′がネジ部5Dに当接して押圧されている際の1階微分後の算出値は零であり(d1参照)、その後にキャップ8が回転されて巻き締めが進む過程においては、算出値は零よりも大きな一定の値d2となる。その後、取り付け終了後においては、算出値d3は零となる。
この場合には、制御装置16は、当該キャップ8の取り付けが終了した容器5は、「ネジの段落ち」が生じておらず、良品であると判定する。
これに対して、キャップ8の取り付けの際に図4(B)に示した「ネジの段落ち」が発生すると、レーザセンサ15による距離Dの計測値は図3(B)の上段に示すようになる。
図3(B)に示すように、図4(B)で示した「ネジの段落ち」が発生すると、キャップ8のネジ部8Aの下端が容器5のネジ部5Dのねじ山に上方から当接すると外筒21は昇降機構11によって下降端に停止し(D4参照)、ばね26は圧縮されているので、このばね26の弾発力によってキャップ8のネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dのねじ山に押圧されることで、ネジ部8Aの下端8A′が容器5のネジ部5Dのネジ山の一段下のネジ山に落下する。この「ネジの段落ち」が発生すると、レーザセンサ15によって計測した距離Dが急激に増大することになる(図3の上段のDX参照)。
その後は、キャップ8がチャック7を介して巻き締め方向に回転されることに伴って、キャップ8のネジ部8Aが容器5のネジ部5Dに噛み合ってから容器5のネジ部5Dのねじ山の傾斜に沿って巻き締めが進んでいく。この過程では、外筒21は停止したままであるが、巻き締めが進むことに伴って、圧縮されているばね26が伸長し、キャップ8を保持したチャック7も下降することにより、距離Dが徐々に大きくなる。つまり、上記図3(A)に示した「ネジの段落ち」が生じていない場合(D2)と同様の傾きで距離Dが増加するが、距離Dの変動は一定の傾きとなる(D5参照)。その後、容器5のネジ部5Dへのキャップ8の取り付けが完了すると、チャック7、キャップ8の下降が停止されるので、距離の変動はなく一定となる(D6参照)。
そして、「ネジの段落ち」が発生した場合において、レーザセンサ15から入力される距離Dの変動を、制御装置16が1階微分して算出した後の算出値の変動でみると図3(B)の下段のようになる。
キャップ8が下降された際に「ネジの段落ち」が発生した場合には、ネジ部8Aの下端8A′がキャップ5のネジ部5Dのネジ山を1つ段落ちした分だけ、急激な距離Dの変動としてレーザセンサ15によって計測される(DX参照)。これを1階微分して算出した算出値の変動としてみると、上記図3(A)の「ネジの段落ち」が生じていない場合と比較して、極端に大きな算出値の違いとなって現れる(図3(B)の下段のdX参照)。
ここで、制御装置16は、距離Dを1階微分して算出して求める算出値に関して、図3(A)に示した通常の場合における算出値d2よりも大きな所定の値をしきい値TXとして予め設定してあり、それを記憶している。そして、制御装置16は、上述したようにキャップ8を下降させてから容器5への取り付けが完了するまでのレーザセンサ15が測定した距離Dを1階微分して算出した算出値(d4~d6)を上記しきい値TXと比較する。
そして、制御装置16は、算出値dXはしきい値TXよりも大きな値となっていることを認識すると、当該キャップ8が取り付けられた容器5に「ネジの段落ち」が発生しており、当該容器5は不良品であると判定する。
このように、制御装置16によって、「ネジの段落ち」が発生した不良品と判定された容器5は、前述したように排出コンベヤ14によって搬送される過程において、リジェクト機構17によって排出コンベヤ14上から強制的に排除されるようになっている。
【0014】
以上のように、本実施例のキャッピング装置4は、キャッピングヘッド3に高さ検出手段としてのレーザセンサ15を備えており、昇降機構11によってキャップ8が下降されてから巻き締め方向に回転されて、容器5へのキャップ8の取り付けが終了するまでの距離Dを連続的に計測し、該レーザセンサ15が計測した距離Dの変動をもとにして制御装置16は、「ネジの段落ち」が発生したか否かを確実に判定することができる。
制御装置16によって「ネジの段落ち」が生じた不良品と判定された容器5は、リジェクト機構17によって排出コンベヤ14上から確実に排除されるようになっている。それにより、不良品の容器5が下流側の処理装置(箱詰め装置)へ搬送されるのを防止することができる。
前述したように、「ネジの段落ち」が生じた容器5は、ネジ部5D、8Aに充填液9が液ハネして付着するので衛生上の問題があり、製品として市販することはできない。本実施例においては、このような不良品の容器5が市場に流通するのを確実に防止することができる。
【0015】
なお、上記実施例においては、レーザセンサ15をキャッピングヘッド3の外筒21に設けるとともに、受光板34をチャック7に設けることで、レーザ光Lを用いて上記距離Dを検出するようにしているが、距離を検出するためのセンサは光学的なものに限らず、近接スイッチなどの非接触式のもののほかポテンショメータのような接触式のセンサを採用してもよい。
また、上記実施例の構成とは逆に、レーザセンサ15をチャック7に設けるとともに、キャッピングヘッド3の外筒21受光板34を設けても良い。
さらに、高さ検出手段としては、キャップ8を側面からカメラで撮像し、該カメラで撮像されたキャップ8の高さを画像処理によって検出するようにした構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0016】
3…キャッピングヘッド 4…キャッピング装置
4A…グリッパ 5…容器
5C…口部 5D…ネジ部
7…チャック 8…キャップ
8A…ネジ部 8A′…下端
11…昇降機構 12…サーボモータ
15…レーザセンサ(高さ検出手段)
16…制御装置 18…回転体(搬送手段)
図1
図2
図3
図4