(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/12 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
A42B3/12
(21)【出願番号】P 2020118395
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000107619
【氏名又は名称】スターライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】立見 彰弘
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-21203(JP,A)
【文献】特開2018-179052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0270473(US,A1)
【文献】特表2019-523855(JP,A)
【文献】特開2015-212433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体と、該帽体の内側に取付けられるハンモックと、を備え、
前記ハンモックは、放射状に形成される複数の連係部を備えるとともに、前記連係部を介して前記帽体に取付けられ、
前記帽体の内周面における前記連係部の間には、前記内周面を部分的に被覆する複数個の衝撃吸収部材が取り付けられ、
前記衝撃吸収部材は、基面部と、該基面部から突出する複数の突起面部と、により一体的に形成され、
前記帽体の前記内周面には係合突起が形成され、
前記衝撃吸収部材における前記突起面部の一部には被係合孔が形成され、
前記係合突起が前記被係合孔に係合/係合解除されることにより、前記衝撃吸収部材が前記帽体の前記内周面に着脱可能とされるとともに、
前記係合突起が前記被係合孔に係合した際に、前記衝撃吸収部材における前記突起面部の少なくとも一部が前記内周面に当接して取付けられ、前記複数の突起面部の外面が前記内周面に沿って配置され
、
前記係合突起は、前記帽体の前記内周面から上下方向に沿って突出する基端部と、前記基端部の内側端部に形成された先端部と、を備え、
前記被係合孔は、前記先端部の形状と略同形状に形成された被挿入部と、前記被挿入部に連続して下方に延びる切り欠き部と、を備え、
前記先端部を前記被挿入部に挿入した状態で、前記基端部を前記切り欠き部に挿入し、前記衝撃吸収部材を前記帽体の前記内周面における頭頂部に向けて変位させることにより、前記係合突起が前記被係合孔に係合される、ヘルメット。
【請求項2】
帽体と、該帽体の内側に取付けられるハンモックと、を備え、
前記ハンモックは、放射状に形成される複数の連係部を備えるとともに、前記連係部を介して前記帽体に取付けられ、
前記帽体の内周面における前記連係部の間には、前記内周面を部分的に被覆する複数個の衝撃吸収部材が取り付けられ、
前記衝撃吸収部材は、基面部と、該基面部から突出する複数の突起面部と、により一体的に形成され、
前記帽体の前記内周面には係合突起が形成され、
前記衝撃吸収部材における前記突起面部の一部には被係合孔が形成され、
前記係合突起が前記被係合孔に係合/係合解除されることにより、前記衝撃吸収部材が前記帽体の前記内周面に着脱可能とされるとともに、
前記係合突起が前記被係合孔に係合した際に、前記衝撃吸収部材における前記突起面部の少なくとも一部が前記内周面に当接して取付けられ、前記複数の突起面部の外面が前記内周面に沿って配置され
、
前記係合突起は、前記帽体の前記内周面から上下方向に沿った板状に突出する基端部と、前記基端部の内側端部に形成された先端部と、を備え、
前記被係合孔は、前記先端部の形状と略同形状に形成された被挿入部と、前記被挿入部から下方に延びる溝部と、を備え、
前記先端部を前記被挿入部に挿入した状態で、前記基端部を前記溝部に挿入するように前記衝撃吸収部材を前記帽体の前記内周面における頭頂部に向けて変位させることにより、前記係合突起が前記被係合孔に係合される、ヘルメット。
【請求項3】
前記係合突起が前記被係合孔に係合した際に、前記衝撃吸収部材が前記帽体の前記内周面に沿って弾性変形することにより、前記複数の突起面部の外面が前記内周面に沿って配置される、
請求項1又は請求項2に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記基面部には複数の孔が開口され、
前記突起面部は、それぞれの前記孔を跨いで形成されるアーチ部に形成される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記衝撃吸収部材は、前記アーチ部が前記孔を跨ぐ方向が異なる方向に混在して形成される、請求項4に記載のヘルメット。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材は、前記帽体の前記内周面における、前頭部、後頭部、及び、左右の両側頭部に取付けられる、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のヘルメット。
【請求項7】
前記衝撃吸収部材は、前記ハンモックを前記帽体に取付けた状態で前記連係部の間に挿通されることにより前記内周面に対して着脱可能とされる、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットに関し、具体的には帽体の内部にハンモックを備えたヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帽体と、帽体の内部に設けられたハンモックと、を備えるヘルメットにおいて、発泡スチロールからなる衝撃吸収ライナに代えて衝撃吸収部材を設けることにより通気性及び放熱性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献に記載のヘルメットにおいて、衝撃吸収部材(衝撃吸収体)は保護パッドに設けられており、この保護パッドは帽体の内側に設けられたハンモックの外側に配置されている。このため、ハンモックをヘルメットに装着した状態で衝撃吸収部材を着脱したり交換したりすることができなかった。つまり、衝撃吸収部材が汚れたり破損したりした場合は、一旦ハンモックを取り外してから保護パッドを取り外す必要があるため、使用者にとって作業負担が大きくなっていた。
【0005】
また、前記特許文献に記載のヘルメットにおいて、衝撃吸収部材は保護パッドと一体的に設けられているため、衝撃吸収部材ごとに着脱したり交換したりすることができなかった。つまり、一個の衝撃吸収部材が汚れたり破損したりした場合に、保護パッド全体を取り外して衝撃吸収部材を交換する必要があるため、使用者にとって作業負担が大きくなっていた。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、衝撃吸収部材を、ハンモックや他の部材を介さずに帽体に直接的に取付け可能とすることにより、使用者の作業負担を軽減することのできるヘルメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、以下のヘルメットを構成した。
【0008】
(1)帽体と、該帽体の内側に取付けられるハンモックと、を備え、前記ハンモックは、放射状に形成される複数の連係部を備えるとともに、前記連係部を介して前記帽体に取付けられ、前記帽体の内周面における前記連係部の間には、前記内周面を部分的に被覆する複数個の衝撃吸収部材が取り付けられ、前記衝撃吸収部材は、基面部と、該基面部から突出する複数の突起面部と、により一体的に形成され、前記帽体の前記内周面には係合突起が形成され、前記衝撃吸収部材における前記突起面部の一部には被係合孔が形成され、前記係合突起が前記被係合孔に係合/係合解除されることにより、前記衝撃吸収部材が前記帽体の前記内周面に着脱可能とされるとともに、前記係合突起が前記被係合孔に係合した際に、前記衝撃吸収部材における前記突起面部の少なくとも一部が前記内周面に当接して取付けられ、前記複数の突起面部の外面が前記内周面に沿って配置され、前記係合突起は、前記帽体の前記内周面から上下方向に沿って突出する基端部と、前記基端部の内側端部に形成された先端部と、を備え、前記被係合孔は、前記先端部の形状と略同形状に形成された被挿入部と、前記被挿入部に連続して下方に延びる切り欠き部と、を備え、前記先端部を前記被挿入部に挿入した状態で、前記基端部を前記切り欠き部に挿入し、前記衝撃吸収部材を前記帽体の前記内周面における頭頂部に向けて変位させることにより、前記係合突起が前記被係合孔に係合される、ヘルメット。
【0009】
(2)帽体と、該帽体の内側に取付けられるハンモックと、を備え、前記ハンモックは、放射状に形成される複数の連係部を備えるとともに、前記連係部を介して前記帽体に取付けられ、前記帽体の内周面における前記連係部の間には、前記内周面を部分的に被覆する複数個の衝撃吸収部材が取り付けられ、前記衝撃吸収部材は、基面部と、該基面部から突出する複数の突起面部と、により一体的に形成され、前記帽体の前記内周面には係合突起が形成され、前記衝撃吸収部材における前記突起面部の一部には被係合孔が形成され、前記係合突起が前記被係合孔に係合/係合解除されることにより、前記衝撃吸収部材が前記帽体の前記内周面に着脱可能とされるとともに、前記係合突起が前記被係合孔に係合した際に、前記衝撃吸収部材における前記突起面部の少なくとも一部が前記内周面に当接して取付けられ、前記複数の突起面部の外面が前記内周面に沿って配置され、前記係合突起は、前記帽体の前記内周面から上下方向に沿った板状に突出する基端部と、前記基端部の内側端部に形成された先端部と、を備え、前記被係合孔は、前記先端部の形状と略同形状に形成された被挿入部と、前記被挿入部から下方に延びる溝部と、を備え、前記先端部を前記被挿入部に挿入した状態で、前記基端部を前記溝部に挿入するように前記衝撃吸収部材を前記帽体の前記内周面における頭頂部に向けて変位させることにより、前記係合突起が前記被係合孔に係合される、ヘルメット。
【0010】
(3)前記係合突起が前記被係合孔に係合した際に、前記衝撃吸収部材が前記帽体の前記内周面に沿って弾性変形することにより、前記複数の突起面部の外面が前記内周面に沿って配置される、(1)又は(2)に記載のヘルメット。
【0011】
(4)前記基面部には複数の孔が開口され、前記突起面部は、それぞれの前記孔を跨いで形成されるアーチ部に形成される、(1)から(3)の何れか一に記載のヘルメット。
【0012】
(5)前記衝撃吸収部材は、前記アーチ部が前記孔を跨ぐ方向が異なる方向に混在して形成される、(4)に記載のヘルメット。
【0013】
(6)前記衝撃吸収部材は、前記帽体の前記内周面における、前頭部、後頭部、及び、左右の両側頭部に取付けられる、(1)から(5)の何れか一に記載のヘルメット。
【0014】
(7)前記衝撃吸収部材は、前記ハンモックを前記帽体に取付けた状態で前記連係部の間に挿通されることにより前記内周面に対して着脱可能とされる、(1)から(6)の何れか一に記載のヘルメット。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るヘルメットによれば、衝撃吸収部材を、ハンモックや他の部材を介さずに帽体に直接的に取付け可能とすることにより、使用者の作業負担を軽減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るヘルメットを示した右側面図。
【
図2】本実施形態に係るヘルメットを示した右側面断面図。
【
図3】本実施形態に係るヘルメットを示した底面図。
【
図6】(a)及び(b)はそれぞれ衝撃吸収部材の内側斜視図及び外側斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、
図1から
図6を用いて、本発明の一実施形態に係るヘルメット1の概略構成について説明する。本実施形態においては、
図1及び
図2における右側をヘルメット1の前方とし、同じく
図1及び
図2における紙面方向手前側をヘルメット1の右側方として説明する。即ち、本実施形態においては、ヘルメット1の使用者から見た方向をヘルメット1における方向と規定する。
【0018】
本実施形態に係るヘルメット1は
図1に示す如く、合成樹脂などの硬質材で形成された帽体2の内周面2Pに、それぞれ軟質の合成樹脂等で形成されたハンモック3、ヘッドバンド4、及び、複数の衝撃吸収部材5が着脱可能に取付けられる。なお、本実施形態においては説明の便宜上、
図1以外の図面についてヘッドバンド4の図示を省略している。
【0019】
ハンモック3は帽体2の内周面2Pと使用者の頭部との間に間隙を形成することにより使用者の頭部を保護する部材である。
図3に示す如く、ハンモック3は中央部分(使用者の頭頂部に当接する部分)において円環状に形成された環状部30と、環状部30から放射状に延出して形成された八本の連係部31と、を備える。それぞれの連係部31の先端には連係孔31aが開口されている。それぞれの連係部31における連係孔31aが帽体2の内周面2Pにおいて内側に突出して設けられた係止部21(
図4を参照)と係合することにより、ハンモック3が帽体2の内側に固定される。このように、ハンモック3は複数の連係部31を介して帽体2に取付けられている。
【0020】
図2及び
図3に示す如く、八本の連係部31のうち、左右の両側に向けて延出される四本の連係部31にはバンド支持部32が形成される。具体的には、左右の両側に向けて延出される四本の連係部31のうち、前側の二本には前部、後側の二本には後部にバンド支持部32が形成される。それぞれのバンド支持部32には二個ずつ支持孔32aが開口されている。
【0021】
バンド支持部32にはヘッドバンド4が連結される。ヘッドバンド4は、ヘルメット1の使用者の前頭部に巻回される前側巻回部41と、同じく後頭部に巻回される後側巻回部42と、を備える。
【0022】
前側巻回部41には、図示しない支持爪が形成された被支持部が設けられる。この被支持部における支持爪をバンド支持部32の支持孔32aに係合させることにより、ヘッドバンド4がハンモック3に支持される。前側巻回部41の後部には、ヘルメット1の使用時において下方に延出される連結部46が形成されている。連結部46の下端部46aには係止爪46bが形成される。
【0023】
後側巻回部42は、右側の第一調節部43と左側の第二調節部(不図示)とを組み合わせて構成される。第一調節部43と第二調節部とは相対変位可能とされるとともに、ロック部45により相対位置が固定される。即ち、後側巻回部42は第一調節部43と第二調節部との相対位置を変更することにより長さが調節可能とされる。第一調節部43には第二調節部との相対位置を固定するための調節溝部43bが形成されている。
【0024】
後側巻回部42の前端部(第一調節部43の前端部43a及び第二調節部の前端部)は、連結部46の下端部に回動可能に連結される。具体的には、前端部43aには係止孔43cが開口され、係止孔43cに連結部46の係止爪46bが挿入されることにより、後側巻回部42が連結部46に対して回動可能に連結される。
【0025】
図2に示す如く、帽体2の内周面2Pにおいて、ハンモック3の連係部31の間には、内周面2Pを部分的に被覆する複数個(本実施形態においては四個)の衝撃吸収部材5が取り付けられている。衝撃吸収部材5の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアミド、エラストマー等が採用される。
【0026】
本実施形態においては
図3に示す如く、衝撃吸収部材5は、帽体2の内周面2Pにおいて、前頭部に取付けられる前側部材5F、後頭部に取付けられる後側部材5B、右側頭部に取付けられる右側部材5R、及び、左側頭部に取付けられる左側部材5Lの四個が取り付けられている。本実施形態に係るヘルメット1においては、上記の如く衝撃吸収部材5を帽体2の内周面2Pにおける前後左右の四箇所に設けることにより、使用者が転倒した際の衝撃を効果的に吸収することを可能としている。なお、それぞれの衝撃吸収部材5は同じ形状に形成されているため、以下では一つの衝撃吸収部材5についてのみ説明する。
【0027】
本実施形態に係るヘルメット1において、帽体2には
図4及び
図5に示す如く、衝撃吸収部材5を内周面2Pに接合するための接合部として、内周面2Pにおいて内側に突出して設けられた係合部22が形成されている。係合部22は、帽体2における前頭部、後頭部、及び、左右の両側頭部の四箇所に形成されている。
【0028】
図6(a)及び(b)に示す如く、衝撃吸収部材5は、平面形状の基面部51と、基面部51から突出する複数(本磁実施形態においては七個)の突起面部52と、により一体的に形成される。本実施形態に係る衝撃吸収部材5において、突起面部52は上側に三個、下側に三個、上下方向中央部に一個形成されている。また、本実施形態において、基面部51のうち突起面部52が突出する面の反対側の面が内側面51Rとして形成される。本実施形態においてはそれぞれの衝撃吸収部材5を一体的に形成することにより、複数の部材を組付ける構成と比較して製造工程を簡素化してコストを抑制している。
【0029】
衝撃吸収部材5は、上下方向中央部に形成された突起面部52が帽体2の内周面2Pに当接して取付けられる。具体的には、当該突起面部52には係合部22と係合可能な被係合部53が形成されている。そして、
図5中の一点鎖線矢印に示す如く被係合部53と係合部22とを係合させることにより衝撃吸収部材5が帽体2に取付けられる。これにより、衝撃吸収部材5の内側面51Rを使用者の頭部に向ける構成としている。このため、衝撃吸収部材5が使用者の頭部に当接する面積を比較的大きくすることができるため、ヘルメット1に衝撃が加わった際の使用者の安全性を向上させることが可能となる。なお、帽体2の内周面2Pに被係合部を形成し、衝撃吸収部材5に係合部を形成する構成としても差し支えない。
【0030】
上記の如く、本実施形態に係るヘルメット1においては、衝撃吸収部材5を、ハンモック3等の他の部材を介さずに帽体2に直接的に取付けることを可能としている。これにより、帽体2におけるハンモック3等の取付状況に関わらず、衝撃吸収部材5を帽体2に取付けることができる。
【0031】
また、本実施形態に係る衝撃吸収部材5は、係合部22と被係合部53とを係合/係合解除することにより、帽体2の内周面2Pに対して着脱可能とされる。このように、衝撃吸収部材5を帽体2の内周面2Pに対して着脱可能とすることにより、衝撃吸収部材5の洗浄、補修を容易にすることが可能となる。
【0032】
また、本実施形態に係るヘルメット1において、衝撃吸収部材5はそれぞれ単独で帽体2に取付けられているため、衝撃吸収部材5ごとに着脱したり交換したりすることが容易となる。つまり、一個の衝撃吸収部材5が汚れたり破損したりした場合に、当該衝撃吸収部材5のみを交換することができるため、使用者の作業負担を低減することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るヘルメット1において、衝撃吸収部材5はハンモック3よりも使用者の頭部から遠い部材である帽体2に取付けている。このため、頭部と帽体2の内周面2Pとの間で、通気の空間を確保することができる。即ち、ハンモック3に衝撃吸収部材5を設ける構成と比較して、衝撃吸収部材5を頭部から遠ざけることができるため、頭部の近くで空気を流通させることができ、使用者の清涼感を高めることができる。
【0034】
また、
図2及び
図3に示す如く、衝撃吸収部材5は、ハンモック3を帽体2に取付けた状態で連係部31の間に挿通されることにより、内周面2Pに対して着脱可能とされる。このため、衝撃吸収部材5が汚れたり破損したりして交換が必要な場合でも、一旦ハンモック3を取り外す必要がないため、使用者の作業負担を低減することができる。
【0035】
なお、衝撃吸収部材5を帽体2に固定する方法は、本実施形態の構成以外にも、溶着、ネジ止め、二色成形等による一体成型等、他の構成を採用することもできる。なお、帽体2及び衝撃吸収部材5を成形で一体的に形成でき、かつ、帽体2への着脱が容易となる(ヘルメット1の組立工数を削減できる)という観点からは、本実施形態の如く係止構造とすることが望ましい。
【0036】
本実施形態において、衝撃吸収部材5は通気性とコストの面で、帽体2の内周面2Pにおいて部分的に形成している。衝撃吸収部材5は、本実施形態の如く、帽体2の内周面2Pに面状に複数個(本実施形態は四個)形成してあることが望ましい。この場合、衝撃吸収をするハンモック3の間隙を補うという理由で、衝撃吸収部材5の内側面51Rを30平方cmから50平方cmの範囲面積で形成することが望ましい。
【0037】
ヘルメット1においては、使用者が装着中に上方から衝撃等を受けた場合、衝撃吸収部材5には使用者の頭部から上向きの摩擦力が加えられる。このため、本実施形態においては
図2中の矢印Mに示す如く、衝撃吸収部材5を帽体2の内周面2Pにおける頭頂部に向けて(上方に向けて)変位させて、係合部22が被係合部53に係合される構成としている。これにより、ヘルメット1の使用者が上方から衝撃等を受けた場合に、衝撃吸収部材5が受ける摩擦力により外れにくくしている。
【0038】
図6(a)及び(b)に示す如く、衝撃吸収部材5の基面部51には複数の孔が開口される。そして、突起面部52は、それぞれの孔を跨いで形成されるアーチ部に形成される。具体的には、衝撃吸収部材5の上部に形成される三個の突起面部52、及び、衝撃吸収部材5の下部に形成される三個の突起面部52は、左右方向に孔を跨いで、換言すれば上下方向に貫通するアーチ部に形成される。また、衝撃吸収部材5の上下方向中央部に形成される一個の突起面部52は、上下方向に孔を跨いで、換言すれば左右方向に貫通するアーチ部に形成される。
【0039】
このように、本実施形態に係る衝撃吸収部材5は、アーチ部が孔を跨ぐ方向が異なる方向に混在して形成することにより、衝撃吸収部材5の強度を確保している。また、衝撃吸収部材5の表面に多くの開口部を形成することにより、衝撃吸収部材5における通気性をより高めることができるため、使用者の清涼感をさらに向上させることができる。
【0040】
衝撃吸収部材5の形状としては、本実施形態におけるアーチ形状だけでなく、ドーム状、ハニカム状、板状などを採用することによっても、大きなエネルギー吸収効率を発揮することができる。また、衝撃吸収部材5を、撓み変形することで衝撃吸収するバネ部材形状としても良い。また、衝撃吸収部材5をエラストマーやゴム部材のような軟質部材で形成して衝撃吸収を実現してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ヘルメット 2 帽体
2P 内周面 3 ハンモック
4 ヘッドバンド 5 衝撃吸収部材
5F 前側部材 5B 後側部材
5R 右側部材 5L 左側部材
21 係止部 22 係合部(接合部)
30 環状部 31 連係部
31a 連係孔 32 バンド支持部
32a 支持孔 41 前側巻回部
42 後側巻回部 43 第一調節部
43a 前端部 43b 調節溝部
43c 係止孔 45 ロック部
46 連結部 46a 下端部
46b 係止爪 51 基面部
51R 内側面 52 突起面部
53 被係合部