(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】加湿装置、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20241017BHJP
F24F 6/06 20060101ALI20241017BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20241017BHJP
【FI】
F24F6/00 E
F24F6/06
F24F11/70
(21)【出願番号】P 2021140913
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 智春
(72)【発明者】
【氏名】岡 誠司
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047000(WO,A1)
【文献】特開2012-037169(JP,A)
【文献】特開2009-024924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/06
F24F 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する第1フィルタ(41)と、
加湿動作と乾燥動作とを実行する制御部(C)とを備え、
前記加湿動作は、前記第1フィルタ(41)に給水すると共に、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、
前記乾燥動作は、前記第1フィルタ(41)に給水されない状態で、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、
前記制御部(C)は、前記加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、前記加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、前記乾燥動作の実行を制御し、
前記加湿運転の動作履歴は、前記加湿動作
の開始から、停止指令によって該加湿動作が停止するまでの継続時間を示し、かつ、
前記第1条件は、前記加湿動作の継続時間が、前記乾燥動作を不要とみなせる程度に短い場合に成立し、
前記制御部(C)は、
前記加湿動作の停止後に前記乾燥動作を実行するモードにおいて、前記第1条件が成立した場合前記乾燥動作を実行しない
加湿装置。
【請求項2】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する第1フィルタ(41)と、
加湿動作と乾燥動作とを実行する制御部(C)とを備え、
前記加湿動作は、前記第1フィルタ(41)に給水すると共に、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、
前記乾燥動作は、前記第1フィルタ(41)に給水されない状態で、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、
前記制御部(C)は、前記加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、前記加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、前記乾燥動作の実行を制御し、
前記加湿運転の動作履歴は、前記加湿動作の継続時間を示し、かつ、
前記第1条件は、前記加湿動作の開始から
停止指令によって該加湿動作が停止するまでの継続時間が第1継続時間以下である場合
に成立し、
前記制御部(C)は、前記第1条件を満たさない場合に前記乾燥動作を実行し、前記第1条件を満たす場合に前記乾燥動作を実行せず、
前記第1フィルタ(41)は、前記加湿動作において、回転することで水が供給されるように構成され、
前記第1継続時間は、前記第1フィルタ(41)が半回転する時間以下である
加湿装置。
【請求項3】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する第1フィルタ(41)と、
加湿動作と乾燥動作とを実行する制御部(C)とを備え、
前記加湿動作は、前記第1フィルタ(41)に給水すると共に、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、
前記乾燥動作は、前記第1フィルタ(41)に給水されない状態で、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、
前記制御部(C)は、前記加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、前記加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、前記乾燥動作の実行を制御し、
前記加湿運転の動作履歴は、前記加湿動作の継続時間を示し、かつ、
前記第1条件は、前記加湿動作の開始から
停止指令によって該加湿動作が停止するまでの継続時間が第1継続時間以下である場合
に成立し、
前記制御部(C)は、前記第1条件を満たさない場合に前記乾燥動作を実行し、前記第1条件を満たす場合に前記乾燥動作を実行せず、
前記第1継続時間は、10秒以下である
加湿装置。
【請求項4】
前記乾燥動作の実行の有無を示す第1入力を受け付ける受付部(82)をさらに備え、
前記制御部(C)は、前記乾燥動作を実行する旨の前記第1入力を前記受付部(82)が受け付けても、前記第1条件が成立する場合、前記乾燥動作を実行しないように制御する
請求項1~3のいずれか1つに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記空気通路(AP)内に配置され、空気中の汚染物を捕集する第2フィルタ(31)をさらに備え、
前記制御部(C)は、
第2条件を満たすことで前記加湿動作が停止する場合、または前記加湿動作を行わない場合、前記空気通路(AP)内の空気を前記第2フィルタ(31)に通過させる空気清浄動作を実行する
請求項1~4のいずれか1つに記載の加湿装置。
【請求項6】
前記第2条件は、加湿対象の対象空間の湿度が所定値以上である場合である
請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記制御部(C)は、前記空気清浄動作を実行させる空気清浄運転の動作履歴に関する
第3条件に基づいて、前記乾燥動作の実行を制御する
請求項5または6に記載の加湿装置。
【請求項8】
前記空気清浄運転の動作履歴は、前記空気清浄動作の継続時間を示し、かつ、
前記第3条件は、前記空気清浄動作の開始からの継続時間が第2継続時間以上である場合を含み、
前記制御部(C)は、前記第3条件を満たさない場合に前記乾燥動作を実行し、前記第3条件を満たす場合に前記乾燥動作を実行しない
請求項7に記載の加湿装置。
【請求項9】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する第1フィルタ(41)と、を備える加湿装置が実行する制御方法であって、
前記第1フィルタ(41)に給水すると共に、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、前記加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、前記第1フィルタ(41)が給水されない状態で、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する乾燥動作の実行を制御し
、
前記加湿運転の動作履歴は、前記加湿動作の開始から、停止指令によって該加湿動作が停止するまでの継続時間を示し、かつ、
前記第1条件は、前記加湿動作の継続時間が、前記乾燥動作を不要とみなせる程度に短い場合に成立し、
前記制御部(C)は、前記加湿動作の停止後に前記乾燥動作を実行するモードにおいて、前記第1条件が成立した場合前記乾燥動作を実行しない
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加湿装置、及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加湿運転停止後に気化フィルタに付着した水分を乾燥させる乾燥運転を実行する加湿装置が開示されている。乾燥運転を実行することで、気化フィルタにカビや雑菌の繁殖が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加湿装置では、加湿運転を実行した後に加湿装置の運転が停止すると、気化フィルタに送風する自動乾燥運転が実行される。しかしながら、従来の方法では、加湿運転を実行した後に乾燥運転を必要としない場合であっても、自動的に乾燥運転が実行されてしまうという課題があった。
【0005】
本開示の目的は、乾燥運転の実行を制御する加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
ケーシング(10)と、前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する第1フィルタ(41)と、加湿動作と乾燥動作とを実行する制御部(C)とを備え、前記加湿動作は、前記第1フィルタ(41)に給水すると共に、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、前記乾燥動作は、前記第1フィルタ(41)が給水されない状態で、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する動作であり、前記制御部(C)は、前記加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、前記加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、前記乾燥動作の実行を制御する
加湿装置である。
【0007】
第1の態様では、加湿運転の動作履歴に基づいて、乾燥運転を実行するか否かを制御できる。例えば、加湿運転が比較的短時間であれば第1フィルタ(41)に供給される水の量は比較的少ないため、乾燥運転を行う必要がない。このような場合、乾燥動作を実行しないように制御することで省エネルギー化を実現できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記加湿運転の動作履歴は、前記加湿動作の継続時間を示し、かつ、前記第1条件は、前記加湿動作の開始からの継続時間が第1継続時間以下である場合を含み、前記制御部(C)は、前記第1条件を満たさない場合に前記乾燥動作を実行し、前記第1条件を満たす場合に、前記乾燥動作を実行しない。
【0009】
第2の態様では、加湿動作が、加湿動作開始から第1継続時間以下であるとき、乾燥動作を実行しないように制御できる。このように加湿動作の継続時間を指標にすることで、簡便に第1条件の成否を判断できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、
前記第1フィルタ(41)は、前記加湿動作において、回転することで水が供給されるように構成され、前記第1継続時間は、前記第1フィルタ(41)が半回転する時間以下である。
【0011】
第3の態様では、加湿動作開始から第1フィルタ(41)が半回転するまでの間は、第1フィルタ(41)のへの給水量は比較的少ないとみなし、乾燥運転を実行しないように制御できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第2の態様において、
前記第1継続時間は、10秒以下である。
【0013】
第4の態様では、加湿動作開始から10秒間経過するまでの間は、第1フィルタ(41)への給水量は比較的少ないとみなし、乾燥運転を実行しないように制御できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、
前記乾燥動作の実行の有無を示す第1入力を受け付ける受付部(82)をさらに備え、前記制御部(C)は、前記乾燥動作を実行する旨の前記第1入力を前記受付部(82)が受け付けた場合、前記第1条件に基づいて、前記乾燥動作を制御する。
【0015】
第5の態様では、ユーザの操作により乾燥運転する入力(第1入力)を受付部(82)が受けても、第1条件が成立する場合は、乾燥運転を実行しないように制御できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記空気通路(AP)内に配置され、空気中の汚染物を捕集する第2フィルタ(31)をさらに備え、前記制御部(C)は、第2条件を満たすことで前記加湿動作が停止する場合、または前記加湿動作を行わない場合、前記空気通路(AP)内の空気を前記第2フィルタ(31)に通過させる空気清浄動作を実行する。
【0017】
第6の態様では、第2条件を満たすことで加湿運転が停止した場合、または加湿運転を行わなかった場合、空気清浄動作を実行できる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第6の態様において、
前記第2条件は、加湿対象の対象空間の湿度が所定値以上である場合である。
【0019】
第7の態様では、所定値が、例えば対象空間の目標湿度である場合、加湿運転を行う必要がない。この場合、第2条件が成立したとして、加湿運転を停止または加湿運転を行わずに空気清浄動作を実行できる。
【0020】
本開示の第8の態様は、第6または第7の態様において、
前記制御部(C)は、前記空気清浄動作を実行させる空気清浄運転の動作履歴に関する第3条件に基づいて、前記乾燥動作の実行を制御する。
【0021】
第8の態様では、空気清浄運転の動作履歴に基づいて、乾燥運転を実行するか否かを制御できる。例えば、加湿動作を比較的長い時間継続して行っても、第3条件が成立すれば乾燥動作は実行されない。このことで、省エネルギー化を実現化できる。
【0022】
本開示の第9の態様は、第8の態様において、
前記空気清浄運転の動作履歴は、前記空気清浄動作の継続時間を示し、かつ、前記第3条件は、前記空気清浄動作の開始からの継続時間が第2継続時間以上である場合を含み、前記制御部(C)は、前記第3条件を満たさない場合に前記乾燥動作を実行し、前記第3条件を満たす場合に、前記乾燥動作を実行しない。
【0023】
第9の態様では、第2継続時間が比較的長い場合、制御部(C)は乾燥動作を実行しない。このように空気清浄動作の継続時間を指標にすることで、簡便に第3条件の成否を判断できる。
【0024】
本開示の第10の態様は、
ケーシング(10)と、前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する第1フィルタ(41)と、を備える加湿装置が実行する制御方法であって、前記第1フィルタ(41)に給水すると共に、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、前記加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、前記第1フィルタ(41)が給水されない状態で、該第1フィルタ(41)に空気を搬送する乾燥動作の実行を制御する制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加湿装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、(a)は、加湿装置の平面図である。(b)は、加湿装置の左側面図である。(c)は、加湿装置の正面図である。(d)は、加湿装置の右側面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線断面のうち、加湿室を拡大した図である。
【
図5】
図5は、制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、加湿装置の運転の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0027】
(1)加湿装置の全体構成
図1及び
図2に示すように、本実施形態の加湿装置(1)は、室内に配置される床置型の装置である。加湿装置(1)は、加湿機能と空気清浄機能とを有する。ユーザは、空気清浄機能だけを選択することができるが、加湿機能を選択したときは空気清浄機能が伴う。
【0028】
加湿装置(1)は、主に、ケーシング(10)、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)、加湿ユニット(U3)、給水ユニット(U4)、及び制御部(C)を備える。加湿装置(1)は、後述する吸込口(15)及び吹出口(14)を有する。加湿装置(1)は、吸込口(15)から吸い込んだ空気を、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)、及び加湿ユニット(U3)の順に搬送し、吹出口(14)から室内に吹き出す。以下、各構成について詳細に説明する。
【0029】
(2)ケーシング
ケーシング(10)は、縦長の箱状に形成される。ケーシング(10)内には、上下方向に形成される空気通路(AP)が設けられる。空気通路(AP)には、下方から上方に向かって、送風室(2)、空気清浄室(3)、加湿室(4)が順に配置される。
【0030】
ケーシング(10)は、天板(11)、底板(12)、及び4つの側板(13)を有する。天板(11)には、操作パネル(16)が設けられている。操作パネル(16)は、加湿装置(1)の運転及び停止を選択する電源スイッチや加湿機能の実行及び停止を選択する加湿スイッチなどが搭載されている。操作パネル(16)の詳細は、後述する。以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」は、操作パネル(16)を正面に見たときの方向を示す。
【0031】
天板(11)には、吹出口(14)が設けられている。吹出口(14)は、操作パネル(16)の後方に形成される。吹出口(14)は、左右方向全域に亘って形成される。吹出口(14)には、2枚のフラップ(17)が設けられる。各フラップ(17)は、横長の長方形に形成される。2枚のフラップ(17)は、前後方向に並んで配置される。各フラップ(17)は、回動可能に天板(11)に支持されており、各吹出口(14)の開閉や風向を調節する。
【0032】
4つの側板(13)は、前面パネル(13a)、後面パネル(13b)、右側面パネル(13c)、及び左側面パネル(13d)である。右側面パネル(13c)及び左側面パネル(13d)の下部のそれぞれには、吸込口(15)が設けられる。吸込口(15)は、空気通路(AP)に連通し、室内空間の空気を吸い込む。具体的に、吸込口(15)は、各側面パネルかの中央よりも下方、かつ、各側面パネル(13c,13d)の幅方向(前後方向)の略全域に設けられる。各吸込口(15)には、図示しないプレフィルタが配置される。プレフィルタは、各吸込口(15)を覆うように配置される。このことで、比較的大きな塵埃等が捕集される。底板(12)は、側板(13)の下端を塞ぐ。
【0033】
ケーシング(10)は、右側面パネル(13c)の一部を構成する側面ドア(18)を有する。側面ドア(18)は、右側面パネル(13c)の中央よりも上方に位置する。側面ドア(18)は、右側面パネル(13c)の幅方向全域に亘って形成される。側面ドア(18)の内側には、トレイ(50)に給水するタンク(60)が固定される(
図3参照)。側面ドア(18)の外面には取っ手(18a)が設けられており、ユーザがこの取っ手(18a)を手前側に引くことで、側面ドア(18)は傾斜するように回動し、側面ドア(18)の上端が開く。この状態において、タンク(60)の上端に設けられた給水口(67)が外部に露出する。
【0034】
(3)ファンユニット
ファンユニット(U1)は、送風室(2)に配置される。ファンユニット(U1)は、吸込口(15)に向かい合う位置に配置される。ファンユニット(U1)は、ファン(21)とファンモータ(22)とを有する。
【0035】
ファン(21)は、シロッコファンである。ファン(21)は、ファンモータ(22)の駆動により回転する。ファン(21)は、室内空間の空気を各吸込口(15)から送風室(2)内に吸い込み、吹出口(14)に向かって、空気清浄室(3)、加湿室(4)の順に搬送する。このように、ファン(21)は、吸込口(15)から吹出口(14)に向かって空気通路(AP)内の空気を搬送する。
【0036】
ファン(21)は、風量可変である。具体的に、ファンモータ(22)は、回転数可変に構成される。ファンモータ(22)の回転数は、複数段階に切り換えられる。ファンモータ(22)の回転数は、制御部(C)により制御される。
【0037】
(4)空気清浄ユニット
空気清浄ユニット(U2)は、空気清浄室(3)に配置される。空気清浄ユニット(U2)は、集塵フィルタ(31)と、脱臭フィルタ(32)とを有している。集塵フィルタ(31)及び脱臭フィルタ(32)は、それぞれのフィルタ面がケーシング(10)の略中央の高さ位置において略水平となるよう配置される。
【0038】
脱臭フィルタ(32)は、集塵フィルタ(31)の上方に配置される。この空気清浄ユニット(U2)では、まず、集塵フィルタ(31)によって微細な花粉、PM2.5などの塵埃などが取り除かれる。集塵フィルタ(31)を通過した空気は、活性炭などを含む脱臭フィルタ(32)によってホルムアルデヒドや臭い成分などが吸着され、または分解される。このように、空気が空気清浄ユニット(U2)を通過することで、該空気は清浄化される。集塵フィルタ(31)は、本開示の第2フィルタ(31)の一例である。第2フィルタ(31)は、空気中の汚染物を捕集する。第2フィルタ(31)は、脱臭フィルタ(32)としてもよい。
【0039】
(5)加湿ユニット
図1及び
図3に示すように、加湿ユニット(U3)は、加湿室(4)に配置される。加湿ユニット(U3)は、空気通路(AP)の空気を加湿する。加湿ユニット(U3)は、気化フィルタ(41)とフレーム(42)とを有する。
【0040】
気化フィルタ(41)は、給水されることで空気を加湿する。具体的に、気化フィルタ(41)は、円板状の気化材を有する。気化材は例えば不織布である。水が気化材に付着することで、気化フィルタ(41)を通過する空気に水分が供給される。気化フィルタ(41)は、フィルタ面が左右方向に向くように配置される。気化フィルタ(41)は、本開示の第1フィルタ(41)の一例である。
【0041】
フレーム(42)は、円環状の樹脂材で構成される。フレーム(42)の内枠に、気化フィルタ(41)が保持される。フレーム(42)の円の中心には、第1軸部(43)が設けられる。第1軸部(43)は、モータ(44)に接続される。モータ(44)が駆動することにより、フレーム(42)及び気化フィルタ(41)は、一体に回転する。フレーム(42)は、その最下点で、後述するトレイ(50)の水に浸漬するように配置される。
【0042】
フレーム(42)の外周縁には、周方向に亘って配置される複数の水汲み部(42a)が設けられる。複数の水汲み部(42a)は、等間隔に配置される。フレーム(42)が回転することで、フレーム(42)の最下点を通過する水汲み部(42a)が水を汲み上げる。このように、複数の水汲み部(42a)が順次トレイ(50)内の水を汲み上げていく。
【0043】
水汲み部(42a)は、フレーム(42)の最上点付近を通過するときに、気化フィルタ(41)に向かって水を流出する。この水汲み部(42a)からの給水によって、気化フィルタ(41)には水分が付着する。このように、気化フィルタ(41)は、回転により水が供給されるように構成される。気化フィルタ(41)は、フレーム(42)と共に回転しているため、複数の水汲み部(42a)から気化フィルタ(41)に万遍なく水が供給される。気化フィルタ(41)の水が付着した領域を空気が通過することで、該空気に水分が供給(加湿)される。
【0044】
(6)給水ユニット
給水ユニット(U4)は、加湿室(4)に配置される。給水ユニット(U4)は、加湿ユニット(U3)に水を供給する。給水ユニット(U4)は、加湿ユニット(U3)と側面ドア(18)との間に配置される。給水ユニット(U4)は、トレイ(50)及びタンク(60)を有する。
【0045】
(6-1)トレイ
トレイ(50)は、加湿室(4)に配置される。トレイ(50)は加湿ユニット(U3)と側面ドア(18)との間に配置される。トレイ(50)は加湿ユニット(U3)と側面ドア(18)との間に配置される。トレイ(50)は、タンク(60)から供給された水を貯留する。トレイ(50)は、水を加湿ユニット(U3)に水を供給する。トレイ(50)は、第1トレイ(50a)と第2トレイ(50b)とを有する。トレイ(50)は、第1トレイ(50a)と第2トレイ(50b)との水が、互いに行き来できるように構成されている。
【0046】
第1トレイ(50a)は、タンク(60)の下方に配置される。第1トレイ(50a)には、タンク(60)に貯留された水が流入する。
【0047】
第2トレイ(50b)は、フレーム(42)の下方に配置される。第2トレイ(50b)は、水汲み部(42a)が水を汲めるように、フレーム(42)の下部を覆うように設けられる。第2トレイ(50b)には、フレーム(42)の第1軸部(43)を回転可能に支持する軸受部(58)が設けられる。
【0048】
(6-2)タンク
タンク(60)は、トレイ(50)に水を供給する。タンク(60)は、側面ドア(18)の内側に配置される。タンク(60)は、側面ドア(18)の開閉に伴って回動する。タンク(60)は、ケーシング(10)から着脱可能に構成される。タンク(60)は、タンク本体(61)と上蓋(63)とを有する。
【0049】
タンク本体(61)は、箱状に形成される。タンク本体(61)は上向きに開口する。タンク本体(61)の底面の中央付近には、連通孔(64)が形成される。連通孔(64)は、タンク(60)とトレイ(50)とを連通する。連通孔(64)には、開閉可能な給水弁(66)が設けられる。
【0050】
給水弁(66)は、トレイ(50)内に貯留する水の液面高さ(水位)に応じて開閉する。給水弁(66)は、所定の開閉部材(51)によって開閉される。例えば、この開閉部材(51)は、第1トレイ(50a)内に設けられており、第1トレイ(50a)の水位が所定水位より低くなると、給水弁(66)を押し上げるように構成される。このことで、第1トレイ(50a)の水位が所定水位よりも高い場合は、連通孔(64)は給水弁(66)により閉塞されるため、トレイ(50)内に過剰に給水されることを抑制できる。一方、第1トレイ(50a)内の水位が所定水位を下回ると、連通孔(64)は開放されて、タンク(60)からトレイ(50)に給水される。
【0051】
上蓋(63)は、タンク本体(61)の開口を塞ぐように設けられる。上蓋(63)は、タンク本体(61)から脱着可能である。上蓋(63)は、給水口(67)、及び給水口(67)を開閉する蓋部材(68)を有する。
【0052】
給水口(67)は、タンク本体(61)に連通し、外部から水をタンク(60)内に供給する。給水口(67)の開口は、タンク本体(61)の幅方向(前後方向)に横長に形成される。
【0053】
蓋部材(68)は、矩形に形成され、給水口(67)を覆うように配置される。蓋部材(68)は、一辺が回動するように上蓋に支持されている。蓋部材(68)は、側面ドア(18)が閉じた状態(タンク(60)がケーシング(10)内に収容された状態)では、閉じた状態を維持する。蓋部材(68)は、側面ドア(18)が開いた状態(タンク(60)がケーシング(10)外に露出した状態)では、開いた状態を維持する。このことで、側面ドア(18)を開くと、給水口(67)が外部に露出する
給水口(67)は、流入口(67a)と流出口(67b)とを有する。流入口(67a)は、給水口(67)の上端に形成される。流入口(67a)には、外部からの水が流入する。流出口(67b)は、給水口(67)の下端に形成される。流入口(67a)から流入した水は、流出口(67b)からタンク(60)内へ流出する。流入口(67a)及び流出口(67b)は、上蓋(63)の幅方向(前後方向)に亘って長方形に形成される。給水口(67)は、流入口(67a)から流出口(67b)に向かって開口面積が小さくなるように傾斜する傾斜(69)を有する。このように、流出口(67b)の開口面積は、流入口(67a)の開口面積よりも小さい。
【0054】
(7)センサ
加湿装置(1)は、水位センサ(57)、温度センサ(91)及び湿度センサ(92)を有する。水位センサ(57)は、トレイ(50)の水位を検出する。水位センサ(57)は、第1トレイ(50a)に配置される(図示省略)。温度センサ(91)は、室内の空気温度を検出する。湿度センサ(92)は、室内の湿度を検出する。温度センサ(91)及び湿度センサ(92)は、例えば吸込口(15)近傍に配置される(
図2参照)。
【0055】
(8)操作パネル
図4に示すように、操作パネル(16)は、表示部(81)及び操作部(82)を有する。表示部(81)には、現在の運転状態、室内温度、室内湿度、風量などが表示される。表示部(81)は、給水ランプ(81a)を有する。トレイ(50)内の水位が所定水位より低くなると、給水ランプ(81a)は点灯または点滅する。このことで、トレイ(50)内の水量が少なくなっていることをユーザに報知できる。操作部(82)は、ユーザが操作するボタンである。操作部(82)には各種のボタンが配置される。操作部(82)は、本開示の受付部(82)の一例である。
【0056】
各種のボタンは、電源ボタン(82a)、湿度設定ボタン(82b)、風量ボタン(82c)、及びコースボタン(82d)を含む。電源ボタン(82a)は、加湿装置(1)の電源をオン/オフするボタンである。湿度設定ボタン(82b)は、ユーザの操作により目標湿度を選択するボタンである。目標湿度は、表示部(81)に表示されてもよい。風量ボタン(82c)は、ファン(21)の風量を選択するボタンである。上述した通り、ファン風量は複数段階に切り換え可能である。コースボタン(82d)は、所定のコースを選択するボタンである。例えば「のど・はな」コースは、室内の温度に合わせて、のどや肌にやさしい湿度に加湿する。「花粉」コースは、一定時間毎に風量を切り換えることで気流を制御し、花粉を加湿装置(1)内に取り込みやすくする。
【0057】
(9)制御部
制御部(C)は、ユーザの操作により操作パネル(16)に入力された情報や、各種のセンサから受信した所定の情報に基づいて、加湿装置(1)の運転を制御する。例えば、制御部(C)は、後述する加湿動作及び乾燥動作を実行する。制御部(C)は、マイクロコンピュータによって構成される。
【0058】
図5に示すように、制御部(C)は、加湿装置(1)の各種の機器と有線または無線により接続される。制御部(C)は、ファンモータ(22)、モータ(44)、操作パネル(16)、水位センサ(57)、温度センサ(91)、湿度センサ(92)、及びメモリデバイス(102)に接続される。制御部(C)は、操作パネル(16)や各種のセンサから受信した情報に基づいて、各種の機器の動作を制御する。
【0059】
制御部(C)は、ユーザの操作に応じて操作部(82)が受け付けた所定の入力に対応する運転指令を受け付ける。運転指令は、例えば、加湿装置(1)の運転をオン/オフする指令や、加湿動作や乾燥動作を実行する旨の指令などである。ここで、操作部(82)に対する所定の入力のうち、乾燥動作の実行有りを示す入力は、本開示の第1入力の一例である。この場合、操作部(82)が乾燥動作の実行有りを示す入力を受け付けると、制御部(C)は、乾燥動作の実行有りを示す指令を受け付ける。また、制御部(C)は、各種のセンサにより検出された温度や湿度等の情報や水位情報を受け付ける。
【0060】
制御部(C)は、受け付けた情報に基づいて生成された制御信号を所定の機器へ出力する。例えば、現在よりも高い湿度に設定されたことが受け付けられた場合、制御部(C)は、ファン(21)の風量、及び気化フィルタ(41)の回転速度を上げる制御信号をファンモータ(22)及びモータ(44)へ出力する。また、トレイ(50)内の水位が所定値より低くなったことを検知した信号を水位センサ(57)から受け付けられた場合、制御部(C)は、その旨を表示部(81)に出力する。
【0061】
メモリデバイス(102)は、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納する記憶部である。メモリデバイス(102)は、加湿運転の動作履歴、及び空気清浄運転の動作履歴を記憶する。動作履歴は、加湿装置(1)の運転開始から停止までの期間における、各種の運転の動作時間、各種の運転におけるファン(21)や気化フィルタ(41)の回転速度などの履歴情報を含む。
【0062】
(10)加湿装置の運転
次に、本実施形態の加湿装置(1)の各種の運転について説明する。
【0063】
(10-1)加湿運転
加湿運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化すると共に加湿して、再び室内空間に吹き出す運転である。加湿運転では、室内の湿度が設定された目標湿度となるように湿度調整される。ユーザの操作により操作パネル(16)の湿度設定ボタン(82b)から目標湿度が設定されると、制御部(C)は、加湿動作を実行する。加湿動作は、気化フィルタ(41)に給水すると共に、気化フィルタ(41)に空気を搬送する動作である。
【0064】
具体的に、加湿動作中は、ファン(21)及び気化フィルタ(41)が回転する。制御部(C)は、設定された加湿量と風量とに基づいて、ファン(21)及び気化フィルタ(41)の回転数を制御する。
【0065】
ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)へ搬送される。空気清浄室(3)に搬送された空気は、空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。空気清浄ユニット(U2)を通過した空気は加湿室(4)へ搬送される。
【0066】
加湿室(4)に流入した空気は、回転している気化フィルタ(41)を通過する。気化フィルタ(41)には、水汲み部(42a)から給水されることで水に濡れているため、気化フィルタ(41)を通過する空気には水分が供給される。
【0067】
通過する空気により気化フィルタ(41)の水分は奪われるが、気化フィルタ(41)は回転しているため、複数の水汲み部(42a)が順に第2トレイ(50b)の水を汲み上げて、次々に気化フィルタ(41)に水を供給する。そのため、加湿動作中は、気化フィルタ(41)は常に水分を含んだ状態となり、気化フィルタ(41)を通過する空気に水分を供給し続ける。
【0068】
加湿室(4)で加湿された空気は、吹出口(14)から室内に向かって吹き出される。室内の湿度が目標湿度に達すると、制御部(C)は加湿動作を停止させる。このことで、加湿運転が停止する。なお、加湿運転では、以下に説明する空気清浄運転も同時に実行される。
【0069】
(10-2)空気清浄運転
空気清浄運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化する運転である。操作パネル(16)のコースボタン(82d)から所定のコースが選択されると、該コース内容に応じて制御部(C)は、空気清浄動作を実行する。空気清浄動作は、空気通路(AP)内の空気を集塵フィルタ(31)及び脱臭フィルタ(32)に通過させる動作である。
【0070】
具体的に、空気清浄動作中は、ファン(21)が回転される。制御部(C)は、設定された風量及びコース内容に基づいて、ファン(21)の回転数を制御する。
【0071】
ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)へ搬送される。空気清浄室(3)に搬送された空気は、集塵フィルタ(31)及び脱臭フィルタ(32)を通過する。このように清浄化された空気は、加湿室(4)へ搬送される。
【0072】
加湿室(4)へ流入した空気は、気化フィルタ(41)を通過する。加湿動作が実行されない場合、気化フィルタ(41)は停止しているため、気化フィルタ(41)を通過する空気には水分が供給されない。気化フィルタ(41)を通過した空気は、室内に吹き出される。操作パネル(16)から加湿装置(1)の運転の停止指令が送信されたり、タイマー機能などにより所定の時間が経過すると、制御部(C)は、空気清浄動作を停止させる。このことで、空気清浄運転が停止する。
【0073】
(10-3)乾燥運転
乾燥運転は、加湿装置(1)の運転停止後に、自動的にファン(21)が送風して気化フィルタ(41)を乾燥させる運転である。乾燥運転により、自然乾燥よりも短時間で気化フィルタ(41)を乾燥できるため、気化フィルタ(41)の防カビや防臭が可能になる。
【0074】
乾燥運転の機能は、ユーザの操作に基づいて現地設定においてオン/オフを切り替えることができる。本例において、ユーザが操作部(82)の複数のボタンを予め決められた通りに順に押下することで、操作部(82)は、乾燥動作を実行する旨の入力を受け付ける。その後、制御部(C)は、乾燥動作を実行する旨の指令を受け付け、乾燥運転の機能をオンにする。
【0075】
乾燥運転の機能がオンになると、所定の条件が成立した場合、制御部(C)は、加湿装置(1)の運転停止後に乾燥動作を実行する。乾燥動作は、気化フィルタ(41)に給水されない状態で、該気化フィルタ(41)に空気を搬送する動作である。
【0076】
具体的に、乾燥動作中は、ファン(21)が回転される。本例の乾燥動作では、制御部(C)は、最小風量となるようにファン(21)の回転数を制御する。
【0077】
ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)、加湿室(4)へ順に搬送される。加湿室(4)へ流入した空気は、停止している気化フィルタ(41)を通過する。この空気により、気化フィルタ(41)は乾燥する。気化フィルタ(41)をした空気は、室内に吹き出される。所定の時間が経過すると、制御部(C)は、乾燥動作を停止させる。このことで、乾燥運転が停止する。
【0078】
(11)乾燥運転の制御方法
次に、乾燥動作の実行を制御する制御方法について、
図6を用いて説明する。本例の乾燥運転は、加湿装置(1)の運転中の所定の条件に基づいて、乾燥動作の実行が制御される。なお、以下では、操作パネル(16)から乾燥動作を実行する旨の入力が予め操作部(82)に受け付けられた状態にある。換言すると、加湿装置(1)は、運転前に予め乾燥運転の機能がオンになっている。
【0079】
ステップS1では、ユーザの操作により操作パネル(16)から電源ボタン(82a)が押下されると、制御部(C)は、加湿装置(1)を運転スタンバイの状態にする。ユーザの操作により、操作パネル(16)のコースボタン(82d)から所定のコースが選択される。
【0080】
ステップS2では、制御部(C)は、加湿運転を実行するか否かを判定する。具体的に、制御部(C)は、操作パネル(16)の湿度設定ボタン(82b)の押下により、目標湿度が設定されたか否かを判定する。目標湿度が設定された場合(ステップS2のYES)、加湿動作が開始される(ステップS3)。目標湿度が選択されなかった場合(ステップS2のNO)、加湿動作は実行されず、空気清浄動作が開始される(ステップS4)。目標湿度が選択された場合であっても、すでに室内湿度が目標湿度に達していると判定された場合、空気清浄動作が開始される(ステップS4)。
【0081】
ステップS3では、制御部(C)は、加湿動作を実行する。制御部(C)は、目標湿度及び設定風量に基づいて、ファン(21)及び気化フィルタ(41)の回転数を制御する。
【0082】
ステップS4では、制御部(C)は、空気清浄動作を実行する。制御部(C)は、「コース」ボタンから選択されたコース内容に基づいて、ファン(21)の回転や所定の機器の動作を制御する。制御部(C)は、タイマー機能等により設定された運転継続時間の経過時に送信される運転停止指示や、ユーザの操作により操作パネル(16)から送信される加湿装置(1)の運転停止指示を受け付けると、加湿装置(1)の運転を停止する(エンド)。
【0083】
ステップS5では、制御部(C)は、第2条件が成立したか否かを判定する。第2条件は、加湿対象の対象空間である室内の湿度が目標湿度以上となった場合に成立する。目標湿度は、本開示の所定値の一例である。室内湿度が目標湿度以上に達すると、第2条件を満たすと判定され(ステップS5のYES)、加湿動作が終了し、空気清浄運転が開始される(ステップS7)。第2条件を満たさないと判定された場合(ステップS5のNO)、ステップS6が実行される。
【0084】
ステップS6では、制御部(C)は、加湿装置(1)の運転停止指示を受信したか否かを判定する。加湿装置(1)の運転停止指示は、タイマー機能等により設定された運転継続時間の経過時に送信されたり、ユーザの操作により操作パネル(16)から送信されたりする。加湿装置(1)の運転停止指示を受信したと判定された場合(ステップS6のYES)、ステップS9が実行される。加湿装置(1)の運転停止指示を受け付けていないと判定された場合(ステップS6のNO)、再びステップS5の判定動作が行われる。
【0085】
ステップS7では、制御部(C)は、空気清浄動作を実行する。制御部(C)は、コースボタン(82d)から選択されたコース内容に基づいて、ファン(21)の回転や所定の機器の動作を制御する。このように、制御部(C)は、ステップS6において加湿動作が停止すると、空気清浄動作を実行する。
【0086】
ステップS8では、制御部(C)は、加湿装置(1)の運転停止指示を受信したか否かを判定する。加湿装置(1)の運転停止指示は、タイマー機能等により設定された運転継続時間の経過時に送信されたり、ユーザの操作により操作パネル(16)から送信されたりする。加湿装置(1)の運転停止指示を受信したと判定された場合(ステップS8のYES)、ステップS9が実行される。加湿装置(1)の運転停止指示を受信しなかったと判定された場合(ステップS8のNO)、空気清浄動作が継続される。
【0087】
ステップS9では、制御部(C)は、第1条件が成立したか否かを判定する。第1条件は、加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合における、加湿運転の動作履歴に関する条件である。加湿運転の動作履歴は、ステップS3における加湿動作の継続時間を示す。本例の第1条件は、加湿動作の開始からの継続時間が第1継続時間以下である場合に成立する。本例の第1継続時間は、気化フィルタ(41)が半回転する時間である。このように、加湿動作の開始から気化フィルタ(41)が半回転するまでの間に加湿動作が停止すると、第1条件が成立する。第1条件を満たすと判定されると(ステップS9のYES)、制御部(C)は、乾燥動作を実行しない。この場合、加湿装置(1)の運転は完全に停止する(エンド)。第1条件を満たしていないと判定されると(ステップS9のNO)、ステップS10が実行される。このように、ユーザの操作により予め乾燥運転の機能がオンにされた場合であっても、制御部(C)は、第1条件に基づいて乾燥動作を制御する。
【0088】
ステップS10では、制御部(C)は、第3条件が成立したか否かを判定する。第3条件は、空気清浄動作を実行させる空気清浄運転の動作履歴に関する条件である。具体的に、本例の空気清浄運転の動作履歴は、ステップS7における空気清浄動作の継続時間を示す。空気清浄動作の継続時間は、本開示の第2継続時間の一例である。第2継続時間は、空気清浄動作開始からの所定の継続時間である。この第2継続時間は、例えば、ステップS3の加湿動作の継続時間よりも長い時間である。
【0089】
第3条件を満たしていると判定されると(ステップS10のYES)、制御部(C)は、乾燥動作を実行しない。この場合、加湿装置(1)は運転を停止する(エンド)。第3条件を満たしていないと判定されると(ステップS10のNO)、乾燥運転が実行される(ステップS11)。このように、ユーザの操作により予め乾燥運転の機能がオンにされた場合であっても、制御部(C)は、第3条件に基づいて乾燥動作を制御する。
【0090】
ステップS11では、制御部(C)は乾燥動作を実行する。乾燥動作により、気化フィルタ(41)は乾燥される。乾燥動作は、予め設定された期間の間実行される。乾燥動作が終了すると、加湿装置(1)は運転を停止する(エンド)。
【0091】
(12)特徴
(12-1)
本実施形態の加湿装置(1)は、加湿動作と乾燥動作とを実行する制御部(C)を備える。制御部(C)は、加湿動作を実行させる加湿運転が選択された場合において、加湿運転の動作履歴に関する第1条件に基づいて、乾燥動作の実行を制御する。加湿運転の動作履歴によっては、気化フィルタ(41)は比較的濡れておらず乾燥動作を行う必要がない場合がある。このような場合、制御部(C)は乾燥動作を実行しないように加湿装置(1)の動作を制御することで、省エネルギー化及び省コスト化を実現できる。また、乾燥運転による加湿装置(1)からの送風やモータ音などが発生することで、加湿装置(1)の運転停止後も室内にいるユーザに不快感を与え得るところ、第1条件を満たすと乾燥運転が行われないため、室内にいるユーザに対する快適性を向上できる。
【0092】
(12-2)
本実施形態の加湿装置(1)の加湿運転の動作履歴は、加湿動作の継続時間を示す。第1条件は、加湿動作の開始からの継続時間が第1継続時間以下である場合を含み、制御部(C)は、この第1条件を満たさない場合に乾燥動作を実行し、第1条件を満たす場合に乾燥動作を実行しない。第1継続時間が比較的短時間であれば、気化フィルタ(41)は比較的濡れておらず、乾燥動作を実行する必要がない。このように気化フィルタ(41)がどの程度濡れているか実際に確認しなくても、加湿動作の継続時間を計るだけで、簡便に乾燥動作の実行の可否を判断できる。
【0093】
(12-3)
本実施形態の加湿装置(1)では、第1継続時間は気化フィルタ(41)が半回転する時間以下である。加湿動作開始から気化フィルタ(41)が半回転するまでであれば、水を汲んだ水汲み部(42a)はフレームの頂上付近に達しておらず、気化フィルタ(41)にはほとんど水が供給されない。このような場合、乾燥動作を実行しないとすることで省エネルギー化を実現できる。
【0094】
(12-4)
本実施形態の加湿装置(1)は、乾燥動作の実行の有無を示す第1入力を受け付ける操作部(82)(受付部)をさらに備える。制御部(C)は、乾燥動作を実行する旨の第1入力を操作部(82)が受け付けた場合、第1条件に基づいて、乾燥動作を制御する。ユーザの操作により乾燥運転する機能がオンにされても、第1条件を満たす場合は、乾燥運転が実行されない。このように自動で乾燥運転の実行の可否を判断できる。
【0095】
(12-5)
本実施形態の加湿装置(1)は、空気通路(AP)内に配置され、空気中の汚染物を捕集する集塵フィルタ(31)をさらに備える。制御部(C)は、第2条件を満たすことで加湿動作が停止する場合、空気通路(AP)内の空気を集塵フィルタ(31)に通過させる空気清浄動作を実行する。このように、加湿運転が停止しても乾燥運転は行われないため、加湿運転停止直後に空気清浄運転を開始できる。
【0096】
(12-6)
本実施形態の加湿装置(1)において、第2条件は、加湿対象の室内の湿度が目標湿度(所定値)以上である。本例の加湿装置(1)では、室内の目標湿度を設定できる。加湿動作により室内湿度が目標湿度に達した場合、加湿動作を終了できる。
【0097】
(12-7)
本実施形態の制御部(C)は、空気清浄動作を実行させる空気清浄運転の動作履歴に関する第3条件に基づいて乾燥動作の実行を制御する。本例では、空気清浄運転において、空気通路(AP)内の空気は停止中の気化フィルタ(41)に搬送されるため、空気清浄運転により気化フィルタ(41)を乾燥させることができる。従って、第3条件が成立したときに、気化フィルタ(41)は十分乾燥したとみなすことで、その後の乾燥運転を省くことができる。
【0098】
(12-8)
本実施形態の加湿装置(1)において、空気清浄運転の動作履歴は、前記空気清浄動作の継続時間を示す。第2条件は、前記空気清浄動作の開始からの継続時間が第2継続時間以上である場合を含み、制御部(C)は、第3条件を満たさない場合に乾燥動作を実行し、第3条件を満たす場合に乾燥動作を実行しない。第2継続時間が比較的長い場合、気化フィルタ(41)は十分乾燥される。このように、第3条件を第2継続時間とすれば、空気清浄動作の継続時間を計測するだけで、簡便に乾燥動作の実行の可否を判断できる。
【0099】
(13)変形例
(13-1)変形例1
乾燥運転の制御方法において、加湿運転の開始時(ステップS2)に、すでに室内湿度が目標湿度に達していた場合は、第2条件が成立したとして、制御部(C)は加湿動作を行わなくてもよい。この場合、空気清浄運転を開始する(ステップS3)。
【0100】
(13-2)変形例2
乾燥運転の制御方法において、第2条件は、加湿動作の実行開始におけるトレイ(50)の水位が所定の高さ位置以下である条件であってもよい。所定の高さ位置は、例えば、水汲み部(42a)が水を汲めない程度の水位である。このような高さ位置以下の水位では、加湿動作を実行しても、水汲み部(42a)は水を汲めず、気化フィルタ(41)に水を供給できない。この場合、制御部(C)は、加湿動作を停止する(ステップS5)。
【0101】
また、本例において加湿運転の開始時(ステップS2)に、すでにトレイ(50)の水位が所定の高さ位置以下である場合は、第2条件が成立したとして、制御部(C)は、加湿動作を行わなくてもよい。
【0102】
(14)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0103】
乾燥運転の制御方法において、第1継続時間は、気化フィルタ(41)が半回転する時間以下であればよく、気化フィルタ(41)が1/4回転するまでの時間であってもよい。
【0104】
乾燥運転の制御方法において、第1継続時間は、10秒以下としてもよい。このように加湿動作開始時から終了までの時間が比較的短ければ、気化フィルタ(41)はほとんど水分を含んでいないとみなすことができ、乾燥運転を実行しないようにできる。
【0105】
乾燥運転の制御方法において、第1条件の加湿運転の動作履歴には、ファン(21)の風量や気化フィルタ(41)の回転数なども含めてもよい。
【0106】
乾燥運転の制御方法において、第3条件の第2継続時間は、加湿運転の状態(ファン風量、気化フィルタの回転数など)を考慮して設定されてもよい。
【0107】
加湿装置(1)は、リモコンやスマートフォンから操作されてもよい。この場合、加湿装置(1)には、リモコンやスマートフォンからの信号を受信する通信部(図示省略)を有する。通信部に受信された指示情報は、制御部(C)に入力される。この場合、通信部は、本開示の受付部の一例である。
【0108】
本開示の第1入力は、乾燥運転の実行しない旨であってもよい。この場合、例えば、加湿装置(1)は、出荷時に乾燥運転を自動で行うように設定されている。乾燥運転の実行を望まないユーザは、加湿装置(1)の設置時に乾燥運転を実行しないように設定する。
【0109】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上説明したように、本開示は、加湿装置、及びその制御方法について有用である。
【符号の説明】
【0111】
AP 空気通路
C 制御部
10 ケーシング
31 第2フィルタ
41 第1フィルタ
82 操作部(受付部の一例)