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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 611C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022089902
(22)【出願日】2022-06-01
(65)【公開番号】P2023177139
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】内海 一弥
【審査官】木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-080049(JP,A)
【文献】特開2023-140817(JP,A)
【文献】特開2023-075399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、
遊技の進行に伴って、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況に応じた演出を実行可能であり、
前記状況に応じた演出に関する情報を複数記憶し、
実行する前記状況に応じた演出を決定する決定条件に応じて、記憶されている複数の前記状況に応じた演出に関する情報の中から1つの前記状況に応じた演出に関する情報を選択し、選択された前記状況に応じた演出に関する情報に基づいて前記状況に応じた演出を実行し、
前記パラメータが前記第1値に到達することが確定する前と、前記パラメータが前記第1値に到達することが確定した以降とで、前記決定条件が異なる、遊技機。
【請求項2】
払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、
遊技の進行に伴って、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況に応じた演出を実行可能であり、
遊技に対する有利度合いが異なる複数の設定値のうちのいずれか1つが設定され、設定された前記設定値に応じて遊技が進行し、
前記状況に応じた演出には、設定されている前記設定値を示唆する確度の異なる複数の第2示唆演出が含まれ、
前記パラメータが前記第1値に到達することが確定した場合、前記パラメータが前記第1値に到達することが確定する前よりも、確度の高い前記第2示唆演出が実行される可能性が高くなる、遊技機。
【請求項3】
払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、
遊技の進行に伴って、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況に応じた演出を実行可能であり、
一般遊技状態と、前記一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態とのいずれかで遊技が進行し、
前記有利遊技状態中、前記有利遊技状態の終了条件を表示装置に表示可能であって、
前記有利遊技状態中、前記パラメータが前記第1値に到達した場合、前記有利遊技状態を終了させると共に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、
前記有利遊技状態中に前記パラメータが前記第1値に到達することが確定した場合、現在の前記パラメータおよび前記第1値に応じた値に合わせて変更された前記終了条件が、前記表示装置に表示可能である、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現在の制御状態を維持したまま、継続して遊技を行うことが不可能な打ち止め状態とする制御を実行可能なパチスロ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-001336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の遊技機では、遊技中に、差枚数カウンタの値が14500を超えると、打ち止め状態がいきなり発生する。このため、遊技者を驚かせてしまい、唐突感を感じる場合がある。
【0005】
本発明は、遊技の進行が不可能な状態に制御されたときの唐突感を低減可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の遊技機は、
払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、
遊技の進行に伴って、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況に応じた演出を実行可能である。
【発明の効果】
【0007】
前記遊技機によれば、遊技の進行が不可能な状態に制御されたときの唐突感を低減可能な遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の遊技機であるスロットマシンの前面図。
図2図1のスロットマシンのブロック図。
図3図1のスロットマシンの回転リールの配列を示す図。
図4図1のスロットマシンの有効ラインを示す模式図。
図5図1のスロットマシンの第1遊技状態を説明するための図。
図6図1のスロットマシンの第2遊技状態を説明するための図。
図7図1のスロットマシンの第3遊技状態を説明するための図。
図8図1のスロットマシンの遊技区間を説明するための図。
図9図1のスロットマシンの内部抽せんテーブルの内容を説明するための図。
図10図1のスロットマシンで実行される遊技の進行を不可能な状態に制御する処理の一例を説明するためのフローチャート。
図11図1のスロットマシンで実行される事前通知の報知処理の一例を説明するためのフローチャート。
図12図1のスロットマシンにおいて、事前通知が(A)の態様で報知制御される場合の一例を示す第1の模式図。
図13図1のスロットマシンにおいて、事前通知が(A)の態様で報知制御される場合の一例を示す第2の模式図。
図14図1のスロットマシンにおいて、事前通知が(A)の態様で報知制御される場合の一例を示す第3の模式図。
図15図1のスロットマシンにおいて、事前通知が(B)の態様で報知制御される場合の一例を示す第1の模式図。
図16図1のスロットマシンにおいて、事前通知が(B)の態様で報知制御される場合の一例を示す第2の模式図。
図17図1のスロットマシンにおいて、事前通知が(B)の態様で報知制御される場合の一例を示す第3の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の遊技機は、例えば、遊技媒体レス遊技機である。遊技媒体レス遊技機とは、実際のメダルまたは実際の遊技球などである物理的な遊技媒体を用いることなく遊技可能な遊技機であって、遊技価値の数を表示する表示部を備え、外部に遊技機の各種情報を出力可能な機能を有する遊技機である。
【0010】
一例として、メダルレス遊技機(以下、スロットマシン1という。)を図1に示す。メダルレス遊技機は、物理的なメダルを使用して遊技するのではなく、遊技者が保持するメダルの枚数に関する情報(以下、クレジットデータという。)を基に遊技が進行する。例えば、メダルをベットした場合は、ベットされたメダルの枚数がクレジットデータから減算され、遊技の結果メダルの払い出しを受けた場合は、払い出されたメダルの枚数がクレジットデータに加算される。このようなクレジットデータの増減処理は、スロットマシン1の制御装置100側で行われ、クレジットデータは、例えば遊技終了後などに、メダル等の貸出装置を兼ねる外部装置(図示せず)に伝送される。
【0011】
外部装置は、スロットマシン1と接続されている他、遊技場の管理コンピュータおよびカードユニット団体などのデータセンタのコンピュータ等とも接続することが可能となっている。外部装置は、スロットマシン1との通信処理、スロットマシン1へのメダルの貸し出し処理およびクレジットデータのカードへの記録処理等を行う。例えば、遊技者によってメダルの貸し出し操作がなされた場合、外部装置は、メダルの貸し出しに係る信号をスロットマシン1に出力すると共に、スロットマシン1から貸し出し受領結果を受信する。スロットマシン1において精算処理がされて、少なくとも1枚のメダルが精算されたことを表す計数に係る信号がスロットマシン1から出力されると、外部装置はこれを受信し、精算されたメダルの枚数をカードに書き込む処理および当該カードを外部装置から排出する処理等を行う。
【0012】
以下の説明において、「メダルが払い出される」は、クレジットデータが加算されることで遊技者の手持ちのメダル数が増加することを意味する場合がある。
【0013】
スロットマシン1は、図1に示すように、略直方体形状の筐体10を備えている。筐体10は、前面(例えば、図1の紙面貫通方向の手前側の面)に図示しない開口部と、この開口部を開閉可能な板状の前扉20とを含んでいる。
【0014】
前扉20は、その略中央部分に設けられた透光性の表示窓21を有し、筐体10に対してロック可能に取り付けられている。表示窓21は、前扉20により筐体10の開口部を閉鎖した状態で、後述する各回転リール41,42,43の表面に配置された複数の図柄を視認可能に配置されている。
【0015】
筐体10は、表示装置の一例の液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24を含んでいる。液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24の各々は、前扉20の表示窓21の上部に位置している。遊技中、遊技の進行に伴って実行される各種の演出は、例えば、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を用いて行われる。例えば、液晶表示装置22は、遊技中に各種の演出画像(演出動画)を表示したり、所定の情報等を表示したりする。また、電飾装置23は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯し、スピーカ24は、所定の条件を満たした場合に、所定の音を出力する。
【0016】
筐体10は、前扉20における表示窓21の下部に位置する操作部30を含んでいる。操作部30は、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33、ストップスイッチ34、35、36、操作スイッチ37、精算スイッチ38および貯メダル表示部39を有している。
【0017】
ベットスイッチ32は、操作することにより、遊技媒体の一例としてのメダルを複数枚(例えば、3枚)一度にベットすることができるように構成されている。スタートスイッチ33は、操作することにより、停止中の回転リール41,42,43を回転させることができるように構成されている。ストップスイッチ34、35、36は、操作することにより、操作されたストップスイッチ34、35、36に対応する回転中の回転リール41,42,43を停止させることができるように構成されている。操作スイッチ37は、操作することにより、所定の情報を呼び出して、液晶表示装置22に表示させることができるように構成されている。精算スイッチ38は、操作することにより、スロットマシン1に貯留されているメダルを清算して、精算された貯メダルの情報を外部装置に出力できるように構成されている。具体的には、精算スイッチ38は、貯メダル表示部39の近くに配置されており、押下されることで、電磁的に記録され貯留メダル表示部39に表示されたメダル数の少なくとも一部を外部装置に出力できる。精算スイッチ38の押下時間が短い場合は、メダルは1枚単位で計数され、精算スイッチ38の押下時間が長い場合は、押下中のタイミングにより、1枚よりも多い単位(例えば50枚単位)で計数される。但し、精算スイッチ38は、貯留されているメダルが50枚未満の場合は、全部のメダルが計数される。貯メダル表示部39は、スロットマシン1に貯留されており遊技の用に供することが可能なメダルの枚数(総数)を電磁的な方法により記録し表示可能に構成されている。貯メダル表示部39は、後述する遊技区間が有利区間であることを表示可能に構成されていてもよい。
【0018】
なお、貯メダル表示部39に表示され得るメダルの枚数(総数)には、投入(ベット)したメダルの数は含まれないが、含んでいてもよい。
【0019】
また、図示していないが、操作部30に、メダルを1枚ベット可能にするための1ベット用ボタン、および、貯メダル表示部39から投入したメダルを返却するための返却ボタン、を設けてもよい。1ベット用ボタンは、1回の押下により1枚のメダルを投入(つまり、ベット)できるものであるが、スロットマシン1の型式試験の際に、投入スイッチ信号の入力装置としても用いられることが可能である。返却ボタンは、メダルが1枚以上投入(つまり、ベット)されてから、スタートスイッチ33により遊技が開始されるまでの間に操作されることで、操作直前に投入されたメダルを貯メダル表示部39に返却する機能を発揮する。返却ボタンの機能が発揮されると、貯メダル表示部39におけるメダルの枚数(つまり、メダルの総数)の表示は、返却された分だけ増加する。
【0020】
また、スロットマシン1は、図2に示すように、スロットマシン1全体を制御する制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、設定操作部45、および、電源スイッチ(図示せず)を備えている。制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、設定操作部45、および、電源スイッチは、筐体10の内部に位置している。
【0021】
回転リールユニット40は、筐体10の内部の略中央に位置し、複数の回転リール(この実施形態では、3つの回転リール41,42,43)と、この回転リール41,42,43を駆動するステッピングモータ61,62,63とを有している。各回転リール41,42,43は、略円筒状で、その表面には、図3に示すように、各回転リール41,42,43の周方向に沿って間隔を空けて配列された複数の図柄と、基準点(図示せず)とが設けられている。基準点は、例えば、回転リール41,42,43のゼロ番の図柄(ベルA)の中心に位置している。
【0022】
回転リール位置検出センサ44は、回転リール41,42,43の回転が開始された後、検出位置における回転リール41,42,43の基準点の通過を検出する。本実施形態では、例えば、表示窓21の上下方向の中間に位置するラインL(図4参照)上の位置を検出位置として設定している。電源スイッチは、スロットマシン1の主電源のオン/オフを切り替えることができるように構成されている。設定操作部45は、操作することによって、後述する設定値を設定できるように構成されている。設定操作部45は、主に、スロットマシン1の管理者によって操作される。
【0023】
ここで、図1図9を参照して、スロットマシン1で行われる遊技の概要について説明する。
【0024】
スロットマシン1で遊技を行う場合、ベットスイッチ32を操作することにより貯留しているメダル(クレジットとも言う。)を使用して、メダルをベットする。予め設定されている規定の枚数(例えば、3枚)のメダルがベットされると、有効ライン70が有効化され、スタートスイッチ33を操作することで遊技を開始できる状態になる。
【0025】
有効ライン70は、図4に示すように、役の入賞を決定するための仮想ラインであり、有効ライン70によって、表示窓21に表示される各回転リール41,42,43の図柄が、それぞれ1つずつ連結されている。有効ライン70は、例えば、右下がりラインで構成され、所定枚数(例えば、3枚)のメダルがベットされることにより有効化される。スロットマシン1の表示窓21に表示される図柄は、例えば、各回転リールにつき3図柄である。
【0026】
遊技が開始できる状態でスタートスイッチ33が操作されると、スロットマシン1内で行われる電子計算機によるくじ(以下、内部抽せんという。)が行われ、各回転リール41,42,43の回転が開始される。この状態で、いずれかのストップスイッチ34,35,36が操作されると、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43が停止し、表示窓21に、当せんした役に応じた図柄が表示される。全ての回転リール41,42,43が停止すると、入賞した役に応じて、所定の枚数のメダルが払い出され、1ゲームが終了する。例えば、全ての回転リール41,42,43が停止したときに、内部抽せんにより当せんした役毎に設定された図柄の組み合わせが有効ライン70上に位置している場合に、内部抽せんにより当せんした役が入賞したと判定される。
【0027】
このように、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33およびストップスイッチ34,35,36を操作して、遊技の結果を得る一連の動作を遊技という。遊技の単位はゲームであり、1ゲームを単位遊技という。
【0028】
遊技中は、複数の遊技区間の中から1つの遊技区間が設定され、複数の遊技状態の中から1つ遊技状態が設定される。そして、設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんが行われる。遊技状態には、図5図7に示すように、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態が含まれる。
【0029】
第1遊技状態は、内部抽せんにより当せんする役(以下、当せん役という。)のうち、リプレイ等のフラグの種類(図9参照)、および、その当せん確率を決定するための遊技状態であり、一例として、図5に示すように、RT0と、RT1とで構成されている。
【0030】
RT0は、第2遊技状態が特別役実施状態から特別役非持ち越し状態に移行した場合、または、遊技状態の初期化(リセット)時(例えば、RAMクリア時)に設定される。また、スロットマシン1が遊技場等に設置された直後の第1遊技状態もRT0に設定されている。言い換えると、第1遊技状態は、一種BBが実施されている場合を除いて、全てRT0に設定されている。
【0031】
RT1は、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態から特別役実施状態に移行した場合に設定される。図9に示すように、RT1では、リプレイ役および一種BBに当せんする可能性はない。
【0032】
第2遊技状態は、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されていない特別役非持ち越し状態と、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されている特別役持ち越し状態と、入賞した一種BBを実施するための特別役実施状態とを含む。
【0033】
特別役非持ち越し状態は、特別役実施状態に移行したときから払い出されたメダルが所定数(例えば、280枚または2枚)を超えた場合、または、遊技状態の初期化などの所定条件を満たした場合に設定される。
【0034】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより一種BBに当せんしかつ当せんした一種BBが当せんした遊技で入賞しなかった場合に設定される。一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置(いわゆるビッグボーナス)であり、特別役の一例である。一種BBが持ち越されている場合、一種BBの抽せんは行われない。持ち越されている一種BBは、設定値を変更しても消滅しないように構成されているが、消滅するように構成しても構わない。
【0035】
特別役実施状態は、内部抽せんにより特別役に当せんしかつ入賞した場合に設定され、一種BB実施状態(=図6のBB一般)と、RB持ち越し状態(=図6のJAC内部)およびRB実施状態(=図6のJAC中)を含んでいる。BB一般は、特別役が入賞した場合に設定される。BB一般は、役物非内部状態の一例で、内部抽せんにより特別役物の一例のRB(=図9のJAC)に当せんしていない場合に設定される。JAC内部は、役物内部状態の一例で、第2遊技状態がBB一般であるときに、内部抽せんによりRB(=図9のJAC)に当せんしかつRBが入賞していない場合に設定される。JAC中は、役物実施状態の一例で、当せんしたRBが入賞した場合に設定される。JAC中は、例えば、JAC中に移行したときから12ゲーム消化するか、または、JAC中に何らかの役が8回入賞することで、BB一般に移行する。
【0036】
第3遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、一例として、図7に示すように、一般遊技状態とATとで構成されている。ATは、有利遊技状態の一例である。
【0037】
一般遊技状態は、指示機能が発生しない状態であり、例えば、設定値の変更後、RAMクリア後およびAT終了後、AT抽せんに当せんするまで設定される。スロットマシン1では、一般遊技状態として、通常状態と、AT抽せんに当せんする確率が通常状態よりも高い高確率状態(例えば、いわゆるチャンスゾーン(CZ))とを有している。AT抽せんは、一例として、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役に応じて行われる。通常状態から高確率状態への移行は、例えば、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんが行われ、その結果、AT抽せんに当せんしなかった場合に行われる高確率状態移行抽せんに当せんすることで行われる。また、通常状態から高確率状態への移行は、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間である場合での遊技数が所定範囲内に達した場合に行われる。
【0038】
ATは、指示機能が発生する有利遊技状態の一例であり、第3遊技状態がATに移行したときから経過した遊技数が、ATで遊技可能な遊技数(=ATゲーム数)に到達するまで設定される。ATでは、メダルの払い出しのある押し順役の押し順の報知が行われ、一般遊技状態(例えば、通常状態)よりもメダルの獲得期待値が高くなるように構成されている。
【0039】
遊技区間は、指示機能に係る処理が行われるか否かを決定するための状態であり、一例として、図8に示すように、有利区間と通常区間とで構成されている。指示機能に係る処理とは、指示機能の上乗せ、継続等の指示権利に係る直接的な処理、抽せん状態やその状態移行の遷移等(遊技数減算等)の間接的な処理及び有利区間を終了させる処理をいう。
【0040】
有利区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であり、遊技区間が通常区間で行われた内部抽せんの結果に基づいて行われる区間移行抽せんに当せんした後、有利区間が終了する条件を満たすまで設定される。有利区間には、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、第3遊技状態が有利遊技状態(例えば、AT)で進行する有利区間とが含まれる。有利遊技状態は、操作態様によって有利不利がある場合に有利な操作態様を示唆する任意の状態であればよい。有利遊技状態は、ATに限らず、例えば、ARTであってもよい。
【0041】
通常区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であり、遊技区間として有利区間が設定されていない場合に設定される。つまり、通常区間では、ストップスイッチ34、35、36の操作に関する情報(例えば、操作態様役に設定されているストップスイッチ34、35、36の操作態様(例えば、押し順役の押し順)をナビ(アシストとも言う。)することも、有利遊技状態(スロットマシン1では、AT)への移行抽せんを行うことも、有利遊技状態に移行することもできない。通常区間は、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する。
【0042】
指示機能とは、出玉に影響する操作手順(例えば、押し順役の押し順)または操作方法を何らかの方法によって遊技者に教える機能であり、例えば、ストップスイッチ34,35,36を所定の操作手順で操作することで入賞可能な押し順役の押し順を指示する機能、または、ストップスイッチ34,35,36の操作が行われたときの回転リール41,42,43の位置が予め定められた操作位置であった場合に入賞可能な役の操作位置を指示する機能をいう。つまり、遊技区間が有利区間である場合にのみ、第3遊技状態としてATが設定される。
【0043】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、図2に示すように、メイン制御部110とサブ制御部120とで構成されている。
【0044】
メイン制御部110およびサブ制御部120の各々は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムまたはデータ等を記憶しておく記憶装置(例えば、ROMおよびRAM)等を備えている。メイン制御部110を構成するCPUおよび記憶装置などは電子基板上に実装されており、この実装基板を「メイン基板」と称する。このメイン基板上には、更に、遊技に関わる集計結果(役物等状態比率、有利区間比率などを含む。)を表示するための表示部、貯メダル表示装置39に表示された遊技メダルの枚数(つまり、クレジットデータの一部)をクリアする際に操作される遊技メダルクリア数ボタン、サブ基板との通信用インターフェース等が実装されている。サブ制御部120を構成するCPUおよび記憶装置などは、メイン基板とは別の電子基板上に実装されており、サブ制御部120に対応する基板を「サブ基板」を称する。サブ基板上には、更に、メイン基板との通信用インターフェース等が実装されている。
【0045】
メイン制御部110は、内部抽せん部111と、回転リール制御部112と、遊技結果判定部113と、区間制御部114と、遊技状態制御部115と、計測部116と、設定値制御部117と、遊技進行制限部118とを有し、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部120は、演出制御部121を有し、各種演出等を行うための制御を行う。以下に説明するメイン制御部110およびサブ制御部120の各部は、例えば、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0046】
内部抽せん部111は、複数の内部抽せんテーブルを有し、スタートスイッチ33の操作の受付に伴って、内部抽せんを行う。例えば、内部抽せん部111は、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときの第1遊技状態(=RT状態)を判定し、判定されたRT状態に基づいて内部抽せんテーブルを選択する。そして、内部抽せん部111は、選択された内部抽せんテーブルと、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときに取得される乱数とに基づいて、内部抽せんを行う。
【0047】
例えば、当せん役については、図9に示す内部抽せんテーブルに基づいて決定される。この内部抽せんテーブルは、RT状態毎に設けられており、内部抽せんにより当せんの可能性がある当せん領域に関する情報を有している。この当せん領域には、図柄の組み合わせが対応付けられている役が、少なくとも1つ設定されている。
【0048】
図9では、RT状態および第2遊技状態毎に、当せんする可能性のある当せん領域が“○”で示され、当せんする可能性のない当せん領域が“×”で示されている。すなわち、各内部抽せんテーブルには、スタートスイッチ33の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている置数の領域が複数設けられており、この領域の各々が、図9の“○”で示されている当せん領域にそれぞれ対応付けられている。
【0049】
回転リール制御部112は、スタートスイッチ33または各ストップスイッチ34、35、36の操作の受付に伴って回転リールユニット40のステッピングモータ61,62,63を制御して、各回転リール41,42,43の回転を開始または停止させる(すなわち、回転リール41,42,43の回転を制御する)。
【0050】
例えば、全ての回転リール41,42,43が停止している状態でスタートスイッチ33が操作された場合、回転リール制御部112は、全ての回転リール41,42,43を回転させる。いずれかの回転リール41,42,43が回転している状態で、回転中の回転リール41,42,43に対応するストップスイッチ34,35,36が操作された場合、回転リール制御部112は、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43を停止させる。
【0051】
各回転リール41、42、43を停止させる場合、回転リール制御部112は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ34,35,36が操作されたタイミング(言い換えると、各ストップスイッチ34、35、36の操作が受け付けられたときの対応する回転リール41、42、43の位置)に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御は、当せんした役に対応する図柄を有効ライン70上に引き込むように各回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御は、当せんしていない役に対応する図柄が有効ライン70上に揃わないように回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。
【0052】
遊技結果判定部113は、内部抽せんの結果および回転リール41,42,43の停止制御の結果に基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果には、例えば、有効ライン70上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かの判定が含まれる。
【0053】
遊技結果判定部113は、判定した遊技の結果に基づいてメダルの払い出しを含むメダルの枚数に関する情報(つまり、クレジットデータの一部)の増減処理を行い、精算スイッチ38の操作の受付に基づいて精算処理を行う。払い出されるメダルの枚数に関する情報は、クレジットデータとして管理され、精算処理時に外部装置に出力される。例えば、遊技の結果に基づいて払い出されたメダル(つまり、役の当せんまたは入賞により得られたメダル)は、直前の所持しているメダルの枚数に加算されて、クレジットデータが更新される。また、例えば、1枚以上の貯メダルがある場合に精算スイッチ38が操作されると、当該精算スイッチ38の押下時間に応じて貯留されているメダルの枚数が減算され(言い換えると、計数され)、これと共に貯メダル表示部30の表示が減算され、貯留されているメダルに関するクレジットデータが外部装置に転送される。
【0054】
遊技結果判定部113は、例えば、第3遊技状態がATに移行した場合、第3遊技状態がATに移行したことを表す信号をホールコンピュータに出力して、管理者に報知する。
【0055】
区間制御部114は、複数の遊技区間(スロットマシン1では、通常区間および有利区間)の中から遊技区間を設定する。
【0056】
例えば、区間制御部114は、遊技区間が通常区間でありかつ区間移行条件が満たされた場合(例えば、区間移行抽せんに当せんしたとき)に遊技区間を有利区間に設定する。区間移行抽せんの当否は、例えば、区間移行抽せんが行われる役(すなわち、抽せん対象役)に内部抽せんにより当せんした場合に行われる抽せんに当せんしたか否かで決定される。区間移行抽せんは、スロットマシン1の設定値によって当せん確率に差を設けてもよいし、設けなくてもよい。区間移行抽せんの当せん確率に差を設ける場合、例えば、抽せん対象役の内部抽せんにおける当せん確率に設定差を設けることで実現してもよいし、内部抽せんにより抽せん対象役に当せんしたときに行われる抽せんの当せん確率に設定差を設けることで実現してもよい。
【0057】
区間制御部114は、遊技区間が有利区間である場合、遊技区間を有利区間のままとするか、または、通常区間に設定するかを決定する。例えば、区間制御部114は、第3遊技状態がATから一般遊技状態の通常状態に移行したか否かを判定し、通常状態に移行したと判定された場合に、遊技区間を有利区間から通常区間に設定する。
【0058】
例えば、スロットマシン1は、複数の有利区間の終了条件を有している。区間制御部114は、複数の終了条件のうちの1つが満たされた場合、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させて有利区間を終了させる。終了条件の一例を次に示す。
・遊技区間が有利区間に設定された以降、メダルの差数がゼロ以上の所定値(例えば、2400枚)に到達した場合。メダルの差数は、有利区間への移行時を基準としたときのメダルの払い出し数およびメダルの投入数の差数でもよいし、有利区間におけるメダルの差数(=メダルの払い出し数および投入数の差)の最大値および最小値の差でもよい。
・遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(=有利区間消化ゲーム数)が所定値(例えば、4000ゲーム)に到達した場合。
【0059】
なお、メダルの差数に対する所定値および遊技数に対する所定値は、スロットマシン1の出玉仕様等に基づいて、適宜設定可能である。
【0060】
遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114は、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物(例えば、RBまたはCT)および役物連続作動装置(例えば、一種BB)を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、操作部30に設けた表示部を介して、有利区間であることを表示してもよい。
【0061】
遊技状態制御部115は、有利遊技状態抽せん部1151を有し、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態の移行を制御する。
【0062】
例えば、遊技状態制御部115は、複数のRT状態(例えば、RT0およびRT1)の中から内部抽せんが行われる1つのRT状態を設定する。具体的には、遊技状態制御部115は、前述のとおり、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態に移行した場合、第1遊技状態をRT0に設定し、第2遊技状態が特別役実施状態に移行した場合、第1遊技状態をRT1に設定する。また、遊技状態制御部115は、所定の条件が満たされた場合に、第2遊技状態をBB一般、JAC内部およびJAC中の各遊技状態に移行させる。
【0063】
有利遊技状態抽せん部1151は、予め設定された抽せん条件(以下、単に、抽せん条件という。)が満たされた場合に、遊技状態を通常状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態に移行させるか否かの有利遊技状態抽せんを行う。
【0064】
有利遊技状態抽せんには、AT抽せんおよびATの延長抽せんが含まれる。例えば、AT抽せんは、第1遊技状態がRT0で、第3遊技状態が一般遊技状態であり、かつ、遊技区間が有利区間であるときに、内部抽せんにより所定の役(例えば、チェリー、スイカ等のいわゆるレア役)に当せんした場合に行われる。また、例えば、ATの延長抽せんは、第1遊技状態がRT0で、かつ、第3遊技状態がATであるときに、内部抽せんにより所定の役(例えば、チェリー、スイカ等のいわゆるレア役)に当せんした場合に行われる。
【0065】
計測部116は、例えば、遊技結果判定部113により判定された遊技の結果に基づいて、次のパラメータを計測する。
・払い出された出玉に関するパラメータ。払い出された出玉に関するパラメータには、例えば、遊技の開始から現在に至るまでのメダルの差数の最大値および最小値の差(いわゆるMY値)が含まれる。
・遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)。有利区間消化ゲーム数は、有利区間がリセットされることでリセットされる。
・有利区間への移行時を基準とするメダルの差数(=「メダルの払い出し数」および「メダルの投入数」の差)、および/または、有利区間におけるメダルの差数の最大値および最小値の差。有利区間への移行時を基準とするメダルの差数は、有利区間がリセットされることでリセットされる。
・全ての回転リール41,42,43が定常回転となった以降に設定された起算点から経過した時間。
【0066】
払い出された出玉に関するパラメータは、例えば、スロットマシン1の主電源をオフすることでゼロリセットされてもよいし、されなくてもよい。主電源をオフすることで払い出された出玉に関するパラメータがゼロリセットされない場合、スロットマシン1に、払い出された出玉に関するパラメータを手動でリセットできる機能を設けてもよい。この場合、スロットマシン1に、払い出された出玉に関するパラメータがゼロリセットされたか否かを確認できる機能を設けてもよいし、払い出された出玉に関するパラメータを表示または示唆する機能を設けてもよい。
【0067】
ゼロリセットされたか否かを確認できる機能および払い出された出玉に関するパラメータを表示または示唆する機能は、スロットマシン1に対し特定操作を行うことで発揮されるのが好ましい。例えば、スロットマシン1は、前扉20を開いた状態でベットスイッチ32を長押しすることで遊技場用メニュー画面が液晶表示装置22に表示され、その遊技場用メニュー画面において、ゼロリセットされたか否かを確認できるモード、および、払い出された出玉に関するパラメータを表示または示唆するモードを選択できるように構成されていてもよい。遊技場スタッフは、当該画面から好みのモードを選択することで、ゼロリセットされたか否かを確認したり、払い出された出玉に関するパラメータそのものまたは状態(示唆)を確認したりすることができる。または、上述したような特定操作を行うことで、ゼロリセットされたか否かの確認、または、払い出された出玉に関するパラメータの報知または示唆が、スロットマシン1の液晶表示装置22、スピーカ24、電飾装置23等を介して、画像、音、LEDの発光色等を用いて、直ちに実行されてもよい。
【0068】
設定値制御部117は、設定操作部45の操作に応じて、遊技に対する有利度合い(例えば、機械割)が異なる複数の設定値(例えば、6つ)の中から1つの設定値を設定する。有利度合いの差は、例えば、所定の役に対する内部抽せんの当せん確率に差を設けることで実現している。また、設定値制御部117は、設定した設定値に応じて、有利区間への移行率、AT抽せん、AT上乗せ抽せん等の出玉関連の有利度合を設定する。
【0069】
設定値を設定する方法の一例を以下に示す。この方法は、(1)から(7)の順に行われる。
(1)前扉20を開ける。
(2)スロットマシン1の主電源をオフする。スロットマシン1の主電源をオフすることで、回転中の回転リール41、42、43は全て停止するが、この回転リール41、42、43の停止による入賞判定は行われない。
(3)設定操作部45の所定箇所に設定変更キーを挿入し、設定変更モードをオフからオンに変更する。
(4)スロットマシン1の主電源をオンする。
(5)現在の設定値が、例えば、操作部30の貯メダル表示部39に表示される。所定のボタンを操作して、貯メダル表示部39に表示された設定値を所望の設定値に合わせる。
(6)スタートスイッチ33を操作する。スタートスイッチ33を操作することで、スロットマシン1の設定値が貯メダル表示部39に表示された設定値に変更される。
(7)設定変更モードをオンからオフに変更して、設定変更キーを抜出する。
【0070】
遊技進行制限部118は、払い出された出玉に関するパラメータが第1値(例えば、19000)に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御可能に構成されている。遊技の進行が不可能な状態には、例えば、メダルの投入および/またはスタートスイッチ33の操作を受け付けない状態が含まれる。従って、遊技の進行が不可能な状態下では、回転リール41、42、43が回転開始することもなく、事実上、スロットマシン1は、主電源はオンしているものの遊技ができない状態となる。
【0071】
演出制御部121は、内部抽せんが行われた遊技状態と、内部抽せんの結果とに基づいて、1ゲーム毎に、遊技の進行に伴って実行される演出を決定する。決定された演出は、例えば、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を用いて実行され、遊技者に報知される。つまり、報知には、液晶表示装置22および/または電飾装置23を用いた視覚的表示と、スピーカ24を用いた聴覚的表示とが含まれる。
【0072】
演出制御部121は、払い出された出玉に関するパラメータが第1値よりも小さい第2値(例えば、18500)に到達した場合に遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を通知する事前通知を実行可能に構成されている。本実施形態に係る事前通知には、「残り500枚で遊技進行ができなくなります」等のメッセージタイプが含まれる。メッセージタイプの事前通知は、液晶表示装置22に表示され得る。また、メッセージタイプの事前通知の内容は、例えば、スピーカ24を介してメッセージが音声で出力されるものであってもよいし遊技進行が不可能な状態になるまでの残り枚数が電飾装置23の発光色を通じて報知されるものであってもよい。なお、払い出された出玉に関するパラメータと第2値との差は、遊技の進行に応じて(例えば、1ゲームごとに)逐次変化するため、メッセージタイプの事前通知に含まれる“残り500枚”の数字表記部分は、遊技の進行に応じて逐次変更される。
【0073】
事前通知は、次の(A)および(B)の少なくともいずれかの態様で報知制御可能に構成されている。「優先度」には、「報知の確実性の優先度」が含まれる。
・(A)事前通知は、演出よりも高い優先度で報知されるか、または、少なくとも一部が報知される演出と重ならないように報知されるか、または、演出よりも高い優先度で報知されかつ少なくとも一部が報知される演出と重ならないように報知される。演出には、例えば、特定期間における遊技媒体の払い出し数(例えば、AT中に払い出されたメダルの枚数)の報知、および、キャラクターを用いた映像(動画および静止画を含む)が含まれる。以下の(B)の態様で事前通知の報知制御が行われない場合、演出に、後述する遊技情報が含まれていてもよい。この場合、遊技情報は、その他の演出(例えば、遊技を進める上で必須でない情報)よりも高い優先度で報知されてもよいし、その他の演出と同じ優先度で報知されてもよい。遊技を進める上で必須でない情報には、例えば、キャラクターのアニメーション映像、AT中の獲得枚数等の遊技の進行に付随する情報が含まれる。
・(B)事前通知は、遊技の進行に関する情報(以下、遊技情報という。)よりも低い優先度で報知される、および/または、少なくとも一部が遊技の進行に関する情報と重ならないように報知される。遊技情報は、遊技を進める上で必須の情報である。遊技情報が単に出力されただけでは遊技が進行せず、遊技情報の出力に加えて、遊技情報に応じた操作が遊技者により行われなければ遊技が進行しない。遊技情報には、例えば、遊技者が操作可能な操作子の操作態様に関する情報(例えば、操作態様役に設定されているストップスイッチ34、35、36の操作態様)が含まれる。操作子には、スロットマシン1が備える構成のうち遊技者が操作可能な任意の構成が含まれる。具体的に、これらの操作子は、好ましくは、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33、ストップスイッチ34,35,36等、遊技の進行に欠かせない操作子を含み、操作スイッチ37等の演出を進めたり発展させたりするために操作され、操作せずとも遊技が進行する操作子を含まない。この場合、演出には、ストップスイッチ34、35、36の操作態様のような、遊技を進める上で必須となる遊技情報が含まれず、特定期間における遊技媒体の払い出し数(例えば、AT中に払い出されたメダルの枚数)の報知等の遊技を進める上で必須でない情報(つまり、遊技の進行に付随する情報)が含まれる。つまり、(B)の態様において、演出は、一方的に遊技機から出力される映像および/または音で構成されるため、出力後に、遊技を進めるための遊技者のレスポンスを必要としない。スロットマシン1が遊技情報を有していない場合、(B)の態様で事前通知の報知制御は行われない。
【0074】
事前通知が(A)の態様で報知制御され、事前通知および演出がともに同じ液晶表示装置22に表示される場合に、事前通知の報知の優先度を演出よりも高くするための処理の一例を次に示す。
・事前通知を演出の表示の上に重ねて表示する(図12参照)。図12では、液晶表示装置22の画面を221で示し、事前通知を300で示し、演出を400で示している。事前通知は、例えば、“残500枚”以外の表示態様を変化させてもよいし、変化させなくてもよい。
・演出を変化させる。演出の変化には、例えば、液晶表示装置22に表示される演出のサイズの変化、演出で使用される色相の変化、および、演出の内容の変化の少なくとも1つが含まれる。
【0075】
演出を変化させる場合の変化態様の一例を次に示す。実行される変化態様は、例えば、ランダムで決定されてもよいし、変化させる演出および/または遊技状態(例えば、第3遊技状態)により決定されてもよい。
・事前通知の表示の少なくとも一部が実行される演出の表示と重ならないように、演出のサイズを通常よりも小さく変化させる(図13参照)。図13では、事前通知を300で示し、サイズ変化前の演出を400で示し、サイズ変化後の演出を401で示している。事前通知は、例えば、“残500枚”以外の表示態様を変化させてもよいし、変化させなくてもよい。
・事前通知の表示が視認し易くなるように、演出の表示に使用される色相を事前通知の表示に使用される色相よりも目立たない色相(例えば、濃淡の薄い色相)に変化させる。
・キャラクター同士の会話の表示、遊技に関する説明(チュートリアル)の表示等、文字(数字を含む)の表示を含む演出が報知されている場合、事前通知の表示と重ならないように、演出中に表示される文字の表示位置を変更する(つまり、演出の内容を変化させる)。
【0076】
例えば、遊技状態が「AT」中に、有利区間の終了条件の成立が近いことを示す「エンディング状態」であることを報知する演出(以下、エンディング演出という。)が液晶表示装置22を介して実行される際に、液晶表示装置22に事前通知が表示される場合、演出の内容を次のように変化させることができる。
・エンディング演出中に、エンディング演出の終了に関する情報が表示される場合、事前通知が表示される前との関係で、エンディング演出の終了に関する情報の表示位置を変更する。エンディング演出の終了に関する情報には、例えば、有利区間の終了条件が満たされるまでのメダルの残り差数、残りゲーム数および残りナビ数の少なくとも1つが含まれる。これらの情報が事前通知の近傍にあったり、事前通知と重複したりすると、事前通知のメッセージが遊技者に伝わり辛くなるためである。また、エンディング演出の終了に関する情報は、上述のように、主に文字と数字との組み合わせから成り、一方で事前通知も主に「残り500枚で遊技進行ができなくなります」といった文字と数字との組み合わせから成るため、事前通知と演出の終了に関する情報とが近傍にあったり重複したりすると、遊技者は、表示されている情報が何を示しているか理解できず、混乱が生じる虞があるためである。
・一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態(例えば、ATまたは特別役実施状態)中に、演出として有利遊技状態の終了条件が表示装置(例えば、液晶表示装置22)に表示される場合、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更されるか、または、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更される。一例として、払い出された出玉に関するパラメータ(MY値等)が第1値に到達することが確定した場合、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更されるか、または、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更される。有利遊技状態の終了条件の表示は、エンディング演出の終了に関する情報と同様、「残り〇ゲーム」、「残り〇枚」、「残り〇ナビ」のように、主に文字と数字との組み合わせから成り、一方で事前通知も主に「残り500枚で遊技進行ができなくなります」といった文字と数字との組み合わせから成る。そのため、事前通知と有利遊技状態の終了条件とが異なった文字と数字との組み合わせで構成されていると、遊技者は、表示されている情報が何を示しているか把握できず、混乱が生じる虞があるためである。
【0077】
特に、有利遊技状態の本来の終了条件が満たされるよりも先に、払い出された出玉に関するパラメータ(MY値等)が第1値に到達することが確定している場合は、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容にあわせて変更されることが好ましい。これは、遊技進行制御部118は、たとえ有利遊技状態の終了条件が満たされていなくても、パラメータが第1値に到達すると、遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に強制的に制御され、これに伴い有利遊技状態も終了するからである。このようなケースで表示される事前通知は、パラメータ(MY値等)と第1値との関係で、遊技の進行が可能な状態から不可能な状態に強制的に制御されるまでの残り獲得枚数を表したメッセージとなるが、その残り獲得枚数に比して有利遊技状態の終了条件の表示がまだ先となるような情報であると、遊技者からすると、引き損をしていると感じ、ひいては遊技への不信感が募る。従って、有利遊技状態の終了条件が満たされるよりも先に、払い出された出玉に関するパラメータ(MY値等)が第1値に到達することが確定している場合は、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更されることが好ましい。
【0078】
一方、払い出された出玉に関するパラメータ(MY値等)が第1値に到達するよりも先に、有利遊技状態の終了条件が満たされる場合、有利遊技状態が終了した時点で予測されるパラメータと第1値との差に応じて、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更されることが好ましい。例えば、有利遊技状態が終了した時点で予測されるパラメータと第1値との差がごくわずかの場合、仮に有利遊技状態の終了後に払い出しのある役が立て続けに当せんし入賞すれば、パラメータが第1値に到達し、遊技の進行が可能な状態から不可能な状態に強制的に制御されることになる。つまり、有利遊技状態が終了するタイミングと遊技が不可能な状態に強制的に制御されるタイミングとが非常に近いと言える。従って、払い出された出玉に関するパラメータ(MY値等)が第1値に到達するよりも先に、有利遊技状態の終了条件が満たされる場合であって、有利遊技状態が終了した時点で予測されるパラメータと第1値との差が小さい場合は、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更されることが好ましい。
【0079】
有利遊技状態の終了条件の表示を事前通知の内容に合わせて変更するか、または、事前通知の表示を有利遊技状態の終了条件に合わせて変更するかは、例えば、遊技の状況に応じて決定される。
【0080】
払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更される場合の一例を次に示す。以下の例では、有利遊技状態が「AT」であり、払い出された出玉に関するパラメータが「MY値」であり、エンディング演出の終了に関する情報が「残り差数」であるとする。
・エンディング演出が実行されることが決定されたときに、MY値が第1値に到達することが確定している場合であって、エンディング演出の終了よりも、遊技の進行が不可能な状態に制御される方が早い場合。例えば、エンディング演出開始時に、第1値までの残り差数が500枚であり、有利区間の終了条件成立まで残り差数が600枚であった場合、液晶表示装置22には、エンディング演出の終了に関する情報として、「残り500枚」が表示される。
・AT中の上乗せによりAT終了までの残り差数が第1値を超えることで、MY値が第1値に到達することが確定した場合。この場合、例えば、次ゲーム以降に実行される演出が通常の演出とは異なるエンディング演出に切り替えられ、エンディング演出の終了に関する情報として、第1値までの残り差数が表示される。
・MY値が第1値に到達することが確定した状態で、特別役(例えば、一種BB等の役物連続作動装置または第一種特別役物)に当せんし、特別役実施状態中にMY値が第1値に到達する場合。この場合、例えば、特別役の実施中に実行される演出がエンディング演出に切り替えられ、エンディング演出の終了(つまり、特別役実施状態の終了)に関する情報として、第1値までの残り差数が表示される。
【0081】
一種BB中に、MY値が第1値に到達する場合、一種BBが終了した後に、遊技の進行を不可能な状態に制御することができる。この場合、事前通知の表示を一種BBの終了条件に合わせて変更する。例えば、一種BBで獲得可能なメダルが252枚であり、一種BB入賞時におけるMY値が18900であったとする。この場合、一種BB中の事前通知の表示が「100枚」から「252枚」に変更される。
【0082】
事前通知が(A)の態様で報知制御され、事前通知の少なくとも一部が報知される演出と重ならないようにするための処理の一例を次に示す。
・事前通知および演出がともに同じ液晶表示装置22に表示される場合、事前通知および/または演出の表示を変化させる。例えば、事前通知が実行される前の演出の表示位置が、事前通知の表示位置と重なっている場合、演出の表示位置を変更して、事前通知の表示が報知される演出の表示と重ならないようにする。(図14参照)。図14では、液晶表示装置22の画面を221で示し、事前通知を300で示し、変化前の演出を400で示し、変化後の演出を401で示している。事前通知は、例えば、“残500枚”以外の表示態様を変化させてもよいし、変化させなくてもよい。
・事前通知および演出を異なる表示装置に表示する。例えば、液晶表示装置22とは別の液晶表示装置を設け、演出を液晶表示装置22に表示し、事前通知を別の液晶表示装置に表示する。
・事前通知および演出がともに同じ液晶表示装置22に表示される場合、実行される演出にかかわらず、事前通知を所定位置に表示するか、または、実行される演出に応じて、事前通知の表示位置を変更する。実行される演出にかかわらず、事前通知を所定位置に表示する場合、報知される演出の内容によっては、演出の内容を変化させてもよい。
・特定期間(例えば、一種BB)中に獲得可能なメダルの残り枚数および事前通知が貯メダル表示部39に表示される場合、貯メダル表示部39の異なる領域に事前通知および残り枚数を表示する。また、貯メダル表示部39の同じ領域に事前通知および残り枚数を交互に表示する。
・演出に2つ以上の情報が含まれる場合(例えば、AT中に一種BBに入賞し、一種BB中に獲得したメダルの枚数と、ATが終了するまでのメダルの差数とが表示される場合)、事前通知および演出に含まれる2つ以上の情報を全て同じ表示領域(または表示装置)に表示しない。例えば、事前通知およびATが終了するまでのメダルの差数を液晶表示装置22に表示し、一種BB中に獲得したメダルの枚数を貯メダル表示部39に表示する。
【0083】
事前通知が(B)の態様で報知制御され、事前通知および遊技情報が液晶表示装置22に表示される場合に、事前通知の報知の優先度を遊技情報よりも低くするための処理の一例を次に示す。
・遊技情報を事前通知の表示の上に重ねて表示する(図15参照)。図15では、液晶表示装置22の画面を221で示し、事前通知を300で示し、演出を400で示し、遊技情報としてのナビを500で示している。
・事前通知または遊技情報の表示を変化させる。事前通知または遊技情報の変化には、例えば、液晶表示装置22に表示される事前通知および/または遊技情報のサイズの変化、事前通知および/または遊技情報で使用される色相の変化、および、事前通知および/または遊技情報の表示位置の変化の少なくとも1つが含まれる。
【0084】
事前通知の表示を変化させる場合の変化態様の一例を次に示す。実行される変化態様は、例えば、ランダムで決定されてもよいし、遊技状態(例えば、第3遊技状態)により決定されてもよい。
・事前通知の表示の少なくとも一部が遊技情報の表示と重ならないように、事前通知の表示サイズを通常よりも小さく変化させる(図16参照)。図16では、変化前の事前通知を300で示し、変化後の事前通知を301で示し、演出を400で示し、遊技情報としてのナビを500で示している。
・遊技状態の表示が視認し易くなるように、事前通知の表示に使用される色相を遊技情報の表示に使用される色相よりも目立たない色相(例えば、濃淡の薄い色相)に変化させる。
・遊技情報の表示と重ならないように、事前通知の表示位置を変化させる。
【0085】
例えば、ナビ(例えば、押し順役の正解押し順のアシスト)、事前通知および演出が液晶表示装置22に表示される場合、演出の表示も事前通知と同様に変化させることができる。この場合、事前通知は、演出よりも優先度が高くなるように表示してもよい。例えば、ナビの表示および事前通知の表示は重なっていないが、演出の表示がナビの表示および事前通知の表示と重なっている場合、演出の表示サイズを小さくして、ナビの表示、事前通知の表示および演出の表示が相互に重ならないようにしてもよい。
【0086】
遊技情報の表示を変化させる場合の変化態様の一例を次に示す。一例として、遊技情報の表示が「操作態様役に設定されているストップスイッチ34、35、36の操作態様を報知するためのナビ」であるとする。実行される変化態様は、例えば、ランダムで決定されてもよいし、遊技状態(例えば、第3遊技状態)により決定されてもよい。
・事前通知が報知される前後で、ナビの大きさ、ナビを表示する文字の書体、および、ナビの表示態様の少なくともいずれかを変化させる。例えば、ナビの大きさおよび表示態様を変化させる場合、液晶表示装置22に表示されるナビを小さくする代わりに、他の演出(例えば、操作するストップスイッチ34、35、36に対応する回転リール41、42、43のまわりを電飾装置23の発光で囲む演出)を追加することで、事前通知の報知の優先度を遊技情報よりも低くすることができる。この場合、ナビの表示を小さくすることで、ナビの表示が事前通知の表示と重ならないようにしてもよい。例えば、液晶表示装置22が、メイン液晶のほかサブ液晶を有し、事前通知が実行される前は少なくともメイン液晶にナビが表示される場合、事前通知があると、メイン液晶のナビを表示から非表示に変化させるか、または、小さく変化させつつ、サブ液晶にナビを表示してもよい。事前通知が実行される前において、ナビは、メイン液晶にのみ表示可能であってもよいし、メイン液晶およびサブ液晶に表示可能であってもよい。
・ナビの表示が視認し易くなるように、ナビの表示に使用される色相を事前通知および/または演出の表示に使用される色相よりも目立つ色相(例えば、原色相)に変化させる。例えば、ナビ、事前通知および演出が液晶表示装置22に表示される場合、演出の表示される色相が、最も目立たない色相に変化させる。演出または遊技の展開状況によって、事前通知またはナビを透過処理してもよい。演出の展開状況とは、例えばバトル演出におけるバトル結果を表す場面のように、演出の場面のうち遊技者に特に注目してもらいたい場面が表示される状況が挙げられる。遊技の展開状況とは、例えばAT上乗せ状態への移行抽せんが実施されている状況またはAT上乗せが実施されている状況のように、注視するべき遊技の展開が繰り広げられる状況が挙げられる。
・事前通知および/または演出の表示と重ならないように、ナビの表示位置を変化させる。
【0087】
事前通知、遊技情報および演出が液晶表示装置22に表示される場合、遊技情報、事前通知および演出の順に、報知の優先度が低くなる。事前通知および遊技情報の少なくともいずれかが、演出と重なった状態で表示される場合、(A)の態様と同様に、「演出の表示上に、事前通知の表示を重ねて表示する」または「演出を変化させる」ことで、事前通知が演出よりも報知の優先度が高い報知制御を実行できる。例えば、遊技情報および演出が液晶表示装置22に表示され、遊技情報が「操作態様役に設定されているストップスイッチ34、35、36の操作態様」であり、その他の演出が「キャラクター同士の会話による遊技状態等の示唆」であった場合、その他の演出に含まれる文字が、操作態様を報知するためのナビと重ならないように表示される。
【0088】
事前通知が(B)の態様で報知制御され、事前通知の少なくとも一部が報知される遊技情報と重ならないようにするための処理の一例を次に示す。
・事前通知および遊技情報を異なる表示装置に表示する。例えば、液晶表示装置22とは別の液晶表示装置を設け、遊技情報を液晶表示装置22に表示し、事前通知を別の液晶表示装置に表示する。
・事前通知および遊技情報が液晶表示装置22に表示される場合、遊技情報および/または事前通知の表示を変化させる。例えば、事前通知が実行される前の遊技情報の表示位置が、事前通知の表示位置と重なっている場合、事前通知の表示位置を変更して、事前通知の表示が報知される遊技情報の表示と重ならないようにする(図17参照)。図17では、変化前の事前通知を300で示し、変化後の事前通知を301で示し、演出を400で示し、遊技情報としてのナビを500で示している。事前通知は、例えば、“残り500枚”以外の表示態様を変化させてもよいし、変化させなくてもよい。
【0089】
図10を参照して、遊技の進行を不可能な状態にする制御処理の一例を説明する。ここでは、出玉に関するパラメータが「MY値」であり、スロットマシン1の主電源がオン状態を維持する(つまり、MY値がゼロリセットされない)場合について説明する。図10に示す処理は、例えば、制御装置100のCPUが所定のプログラムを実行することで実施される。
【0090】
図10に示すように、遊技が開始されると、計測部116が遊技結果に応じてMY値をカウントする(ステップS1)。スロットマシン1の主電源がオフからオンとなった状態では、MY値は初期値“ゼロ”であるため、この状態で遊技が開始された場合は、計測部116は、遊技結果に応じて、MY値のカウントを開始していく。この例では、スロットマシン1の主電源はオン状態にて維持されるため、MY値は、遊技の進行が不可能な状態に制御されるまでカウントされ続ける。MY値がカウントされると、演出制御部121が、カウントされたMY値が第2値に到達したか否か(言い換えると、カウントされたMY値が第2値以上であるか否か)を判定する(ステップS2)。ステップS2は、カウントされたMY値が第2値に到達したと判定されるまで繰り返される。ステップS2の処理は、メイン制御部100が行ってもよい。
【0091】
カウントMY値が第2値に到達したと判定されると、演出制御部121は、事前通知を実行する(ステップS3)。事前通知が実行されると、遊技進行制限部118が、カウントされたMY値が第1値に到達したか否かを判定する(ステップS4)。カウントされたMY値が第1値に到達したと判定されなかった場合、ステップS2に戻り、カウントされたMY値が第2値以上であるか否かが判定される。
【0092】
カウントされたMY値が第1値に到達したと判定されると、遊技進行制限部118は、遊技の進行を不可能な状態に制御する(ステップS5)。言い換えると、遊技進行制限部118は、MY値が第1値に到達した以降、遊技を進行させない。これにより、遊技の進行を不可能な状態にする制御処理が終了する。
【0093】
図11を参照して、事前通知の報知処理の一例を説明する。ここでは、出玉に関するパラメータが「MY値」であり、演出が「遊技を進める上で必須でない情報」であり、遊技情報が「遊技を進める上で必須の情報」である場合について説明する。図11に示す処理は、例えば、制御装置100のCPUが所定のプログラムを実行することで実施される。
【0094】
図11に示すように、演出制御部121は、事前通知が実行されているか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11は、事前通知が実行されていると判定されるまで、繰り返される。
【0095】
事前通知が実行されていると判定されると、演出制御部121は、事前通知が演出および/または遊技情報と共に報知されるか否かを判定する(ステップS12)。事前通知が演出および遊技情報と共に報知されると判定された場合、演出制御部121は、事前通知を演出よりも高く、かつ、遊技情報よりも低い優先度で報知する(ステップS13)。事前通知が演出または遊技情報と共に報知されると判定された場合、演出制御部121は、事前通知を演出よりも高い優先度で、または、遊技情報よりも低い優先度で報知する(ステップS14)。
【0096】
ステップS12で事前通知が演出および/または遊技情報と共に報知されると判定されなかった場合、ステップS13終了後、および、ステップS14終了後、演出制御部121は、MY値が第1値に到達したか否かを判定する(ステップS15)。MY値が第1値に到達したと判定された場合、事前通知の報知処理は終了する。MY値が第1値に到達したと判定されなかった場合、ステップS11に戻り、事前通知が実行されているか否かが判定される。
【0097】
スロットマシン1は、次のような効果を発揮できる。
【0098】
本発明の第1態様のスロットマシン1は、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、払い出された出玉に関するパラメータが第1値よりも小さい第2値に到達した場合に遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を通知する事前通知を実行可能である。事前通知は、遊技の進行に伴って実行される演出よりも高い優先度で報知される、および/または、少なくとも一部が報知される演出と重ならないように報知される。このような構成により、遊技の進行が不可能な状態に制御される場合は、その前に事前通知が実行される。また、事前通知は、演出よりも高い優先度で報知される、および/または、少なくとも一部が報知される演出と重ならないように報知されるので、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性があることを遊技者により確実に報知することができる。その結果、遊技者を驚かせることなく、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を事前に通知可能なスロットマシン1を実現できる。
【0099】
第1態様のスロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、遊技者を驚かせることなく、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を事前に通知可能なスロットマシン1をより確実に実現できる。
【0100】
事前通知および演出が表示装置に表示される場合、演出の表示上に、事前通知の表示を重ねて表示することで、事前通知が演出よりも報知の優先度が高い報知制御を実行可能に構成されている。これにより、遊技者は、演出の少なくとも一部が見えづらい状況にはなるが、事前通知を確実に確認できるため、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性が近づいている旨を把握することができる。
【0101】
演出を変化させることで、演出よりも事前通知の報知の優先度を高くする。例えば、事前通知が「残り何枚払い出しされると遊技の進行が不可能な状態に制御される」といったメッセージタイプの事前通知であるとする。この場合、事前通知の内容または見た目が比較的頻繁に変化すると、事前通知の内容を確実に把握することが難くなる。一方、事前通知も含め表示されているものすべてが変化しないとなると、遊技が単調となり面白みに欠ける。そこで、演出を変化させることで、演出よりも事前通知の優先度を高くすることで、事前通知の内容を遊技者に確実に把握させつつ、遊技が単調となるのを抑制できる。なお、事前通知は、遊技の進行に応じて、残り枚数の部分は逐次変更される。
【0102】
演出の変化には、表示装置に表示される演出のサイズの変化、演出で使用される色相の変化、および、演出の内容の変化の少なくとも1つが含まれる。事前通知は、「第1値までの残り枚数」または「現在のMY値」等に応じて、変化させる演出のサイズ、演出で使用される色相等を決定してもよい。また、演出の変化には、事前通知の表示態様の変化が含まれていてもよい。例えば、枠内にテキストが表示される演出において、テキストが表示される枠の形を変化させてもよい。例えば、爆弾型の枠の表示態様が、MY値が第1値に近づくにつれて爆発しそうな態様に変化し、最終的にMY値が第1値に到達したとき爆発する態様に変化するようにしてもよい。
【0103】
演出には、操作態様の表示、および/または、特定期間におけるメダルの払い出し数の表示が含まれる。ここでの操作態様には、例えば、ストップスイッチ34、35、36の押し順(ナビ)、狙うべき図柄の表示等が含まれる。特定期間におけるメダルの払い出し数の表示には、AT、ボーナス、ART等の有利遊技状態時における「残り何枚」の表示等が含まれる。第1態様のスロットマシン1では、このような表示を含む演出よりも事前通知が優先的に表示される、および/または、当該演出と通知が重畳しないように表示される。当該演出よりも事前通知が優先的に表示されることで、事前通知の内容を確実に把握しつつ、演出に含まれる上述の各種表示を確認しながら遊技を進めることができる。当該演出と通知が重畳しないように表示されることで、事前通知の内容および当該演出に含まれる上述の各種表示の両方を確実に把握しながら遊技を進めることができる。
【0104】
一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態中に、演出として有利遊技状態の終了条件が表示装置に表示される場合、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更可能であるか、または、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更可能である。有利遊技状態の終了条件の表示は、「残り〇ゲーム」、「残り〇枚」、「残り〇ナビ」のように、主に文字と数字との組み合わせから成り、一方で事前通知も「残り500枚で遊技進行ができなくなります」のように、主に文字と数字との組み合わせから成る。そのため、有利遊技状態の終了条件の表示と事前通知とが異なっていると、遊技者は何が何の情報かの把握することが難しく、混乱が生じる虞がある。これに対し、ここでは、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更、または、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更され得るため、表示装置に表示されている情報が統一され、遊技者が表示されている情報を容易に把握できる。
【0105】
払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、有利遊技状態の終了条件の表示が事前通知の内容に合わせて変更されるか、または、事前通知の表示が有利遊技状態の終了条件に合わせて変更される。これにより、遊技者は、遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に強制的に制御されるタイミングと有利遊技状態が終了するタイミングとがずれているとの不信感をさほど感じ難くなる。
【0106】
事前通知が表示装置に表示される場合、事前通知は、演出にかかわらず、所定位置に表示される。事前通知の位置が頻繁に変更されることを抑制できるため、事前通知の内容を確実に把握可能となる。
【0107】
本発明の第2態様のスロットマシン1は、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、払い出された出玉に関するパラメータが第1値よりも小さい第2値に到達した場合に遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を通知する事前通知を実行可能である。事前通知は、遊技情報よりも低い優先度で報知される、および/または、少なくとも一部が遊技情報と重ならないように報知される。このような構成により、遊技の進行を妨げることなく、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を事前に通知可能なスロットマシン1を実現できる。
【0108】
第2態様のスロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、遊技の進行を妨げることなく、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を事前に通知可能なスロットマシン1をより確実に実現できる。
【0109】
遊技情報には、遊技者が操作可能な操作子の操作態様に関する情報が含まれる。事前通知の内容も把握が必要ではあるが、遊技情報は、遊技を進める上では必須の操作情報のため、内容を把握するべき重要度は高い。このような遊技情報を、遊技者は確実に把握することができる。
【0110】
事前通知および遊技情報の少なくともいずれかが、演出と重なった状態で表示される。第2態様のスロットマシン1では、演出は、遊技を進める上で必須でない情報であって、例えば、キャラクターを用いた映像、ATでの獲得枚数等の遊技の進行に付随する情報に該当する。そのような演出よりも、把握の重要性が高い事前通知および遊技情報が、演出のレイヤーに上に重畳された状態で表示される。従って、事前通知および遊技情報を確実に把握することができる。
【0111】
事前通知および遊技演出が表示装置に表示される場合、演出の表示上に、事前通知の表示を重ねて表示することで、事前通知が演出よりも報知の優先度が高い報知制御を実行可能に構成されている。第2態様のスロットマシン1では、演出は、遊技を進める上で必須でない情報であって、例えば、キャラクターを用いた映像、ATでの獲得枚数等の遊技の進行に付随する情報に該当する。そのような演出よりも、把握の重要性が高い事前通知が、演出のレイヤーに上に重畳された状態で表示される。従って、事前通知を確実に把握することができる。
【0112】
演出を変化させることで、演出よりも事前通知の報知の優先度を高くする。より具体的には、事前通知が「残り何枚払い出しされると遊技の進行が不可能な状態に制御される」といったメッセージタイプの事前通知である場合、遊技の進行に応じて、残り枚数の部分は逐次変更されるが、当該部分を除き、事前通知の内容や表記、表示位置はさほど変化しない。事前通知の内容や見た目が比較的頻繁に変化すると、事前通知の内容を確実に把握し難くなるため、事前通知が変化するとその把握に支障をきたす虞がある。一方、事前通知も含め表示されているものすべてが変化しないとなると、遊技が単調となり面白みに欠ける。そこで、事前通知はさほど変化させずに演出を変化させることで、事前通知の内容を遊技者に確実に把握させつつ、遊技が単調となるのを抑制できる。
【0113】
スロットマシン1は、次のように構成することもできる。
【0114】
(第3態様)
スロットマシン1は、遊技の進行に伴って、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況に応じた演出(以下、状況に応じた演出という。)を実行可能であってもよい。
【0115】
状況に応じた演出には、例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況を示唆する第1示唆演出、および/または、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した以降にのみ実行可能な所定演出(例えば、エンディング演出)が含まれる。第1示唆演出および所定演出に関する情報は、例えば、制御装置100の記憶装置に記憶される。
【0116】
例えば、第1示唆演出には、キャラクター同士の会話演出が含まれる。この場合、例えば、パラメータと第1値との差が所定の値よりも大きい場合は「まだまだ楽しめるね!」といった、遊技の進行が不可能な状態に制御されるまでまだ余裕があり遊技を問題なく継続できることを匂わす会話が表示され、パラメータと第1値との差が所定の値よりも小さい場合は「だんだん終わりが近づいているかもね!」といった、遊技の進行が不可能な状態に制御されるまでの猶予が少なくなり遊技の進行に限りがあることに注意を促す会話が表示される。このように、状況に応じた演出を実行することで、遊技者は、遊技の進行が不可能な状態に強制的に制御されることが、どの程度迫っているのかを自然に把握することができる。
【0117】
所定演出をエンディング演出とした場合、遊技の進行が不可能な状態に強制的に制御されることで遊技を終了せざるをえない状況であることを、遊技者は把握することができる。
【0118】
例えば、スロットマシン1が、示唆の確度が異なる複数の第1示唆演出を有しているとする。この場合、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に近くなるほど、確度の高い第1示唆演出が実行される可能性が高くなるように、スロットマシン1を構成してもよい。また、例えば、スロットマシン1が、示唆の確度が異なる複数の第1示唆演出を有し、払い出された出玉に関するパラメータが第1値よりも小さい第2値に到達した場合に遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を通知する事前通知を実行可能であるとする。この場合、事前通知が実行された以降、事前通知が実行される前よりも、確度の高い第1示唆演出が実行される可能性が高くなるように、スロットマシン1を構成してもよい。
【0119】
ここで、“示唆の確度”とは、あとどの程度で遊技の進行が不可能な状態に制御されるのかといった状況が、どの程度の信頼度で示唆されているか、を意味する。示唆の確度が高い演出である程、遊技者は、あとどの程度で遊技の進行が不可能な状態に制御されるのかの状況が把握し易くなる。
【0120】
状況に応じた演出は、例えば、事前通知が実行される前後で、実行される演出が異なっていてもよい。スロットマシン1が、示唆の確度が異なる複数の第1示唆演出を有している場合、事前通知が実行される前後で、演出の抽せん方法または抽せん確率を変更することで、実行される演出が異なってもよい。演出の抽せん方法は、例えば、複数の第1示唆演出の選択確率を定義した演出の抽せんテーブルを記憶部に記憶しておき、事前通知が実行される前後で使用する抽せんテーブルを変更することで行ってもよいし、事前通知が実行される前は、第1示唆演出の実行可否を抽せんで決定し、事前通知が実行された後は、第1示唆演出の実行可否を当せんした役により決定することで行ってもよい。例えば、事前通知が実行された以降は、ストップスイッチ34、35、36の操作が一時的に不能になるフリーズ演出が実行され易くしてもよい。
【0121】
例えば、第1示唆演出が、所定の電飾装置23(例えば、LED)の点灯である場合、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に近づくにつれて所定の電飾装置23の点灯が目立つように、所定の電飾装置23の点灯態様を変化させてもよい。点灯態様には、例えば、1つのLEDの明るさの変化、点灯させるLEDの数、および、点灯させるLEDの色の変化が含まれる。所定の電飾装置23の点灯は、例えば、払い出された出玉に関するパラメータがリセットされない限り消灯しないようにしてもよい。
【0122】
例えば、遊技に対する有利度合いが異なる複数の設定値のうちのいずれか1つが設定され、設定された設定値に応じて遊技が進行し、状況に応じた演出に、設定されている設定値を示唆する確度の異なる複数の第2示唆演出が含まれるとする。この場合、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定する前よりも、確度の高い第2示唆演出が実行される可能性が高くなるようにしてもよい。つまり、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、それまでよりも、実際の設定値を推測し易い第2示唆演出が出現し易くなる。
【0123】
例えば、次に示すプロセスで演出が選択され実行されるとする。
・状況に応じた演出に関する情報を複数記憶する。
・実行する状況に応じた演出を決定する「決定条件」に応じて、記憶されている複数の状況に応じた演出に関する情報の中から1つの状況に応じた演出に関する情報を選択する。
・選択された状況に応じた演出に関する情報に基づいて状況に応じた演出を実行する。
この場合、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定する前と、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した以降とで、実行する演出の決定条件が異なっていてもよい。例えば、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定する前は、「決定条件」は、「所定の演出テーブルを用いて抽せんを行う」ことを含み、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した以降は、「決定条件」は「特定の演出を実行する」ことを含む。「決定条件」が複数ある場合は、抽せん等により1つの「決定条件」が選択されてもよい。
【0124】
例えば、パラメータが第1値に到達することが確定する前は、キャラクター映像等とナビとを含む演出が出力される。第1値に到達することが確定した後は、キャラクター映像等は出力されず、ナビだけが出力される。
【0125】
例えば、ATまたは一種BB中、ATまたは一種BBの終了条件を液晶表示装置22に表示可能であるとする。この場合、ATまたは一種BB中に、払い出された出玉に関するパラメータ(例えば、MY値)が第1値に到達することが確定した場合、現在の払い出された出玉に関するパラメータおよび第1値に応じた値に合わせて、ATまたは一種BBの終了条件を変更してもよい。例えば、AT中に、MY値が第1値に到達することが確定したとき、ATの終了条件である「ATが終了するまでのメダルの残り差数」が「第1値までのメダルの残り差数」よりも大きい場合、「ATが終了するまでのメダルの残り差数」を「第1値までのメダルの残り差数」に合わせて変更してもよい。これにより、ATまたは一種BBの終了条件タイミングと遊技の進行が不可能な状態に強制的に制御されるタイミングとが一致するため、遊技者は、不要な無駄引き感などを味わうことがなく、AT終了にてスロットマシン1の遊技を終了することができる。
【0126】
第3態様のスロットマシン1では、事前通知の実行を省略してもよい。
【0127】
本発明の第3態様のスロットマシン1は、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、遊技の進行に伴って、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況に応じた演出を実行可能である。このような構成により、例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性が高まると、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性が高まった状況に応じた演出が実行され得るので、演出により、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性があることを遊技者に示唆または通知することができる。その結果、遊技者は、演出から、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を自然と把握することができ、遊技の進行が不可能な状態に制御されたときの唐突感を低減可能なスロットマシン1を実現できる。
【0128】
第3態様のスロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、遊技の進行が不可能な状態に制御されたときの唐突感を低減可能なスロットマシン1をより確実に実現できる。
【0129】
状況に応じた演出には、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況を示唆する第1示唆演出が含まれる。これにより、遊技者は、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況を、遊技をしながら、演出を通じて自然に把握することができる。
【0130】
スロットマシン1が、状況に応じた演出に関する情報を複数記憶し、実行する状況に応じた演出を決定する決定条件に応じて、記憶されている複数の状況に応じた演出に関する情報の中から1つの状況に応じた演出に関する情報を選択し、選択された状況に応じた演出に関する情報に基づいて状況に応じた演出を実行する。払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定する前と、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した以降とで、決定条件が異なる。このように、演出の決定条件が払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定する前後で異なるため、パラメータと第1値との関係に応じた適切な演出を報知することが可能となる。
【0131】
スロットマシン1が、示唆の確度が異なる複数の第1示唆演出を有する。払い出された出玉に関するパラメータが第1値に近くなるほど、確度の高い第1示唆演出が実行される可能性が高くなる。パラメータが第1値に近くなるほど、遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性の状況を示唆する確度の高い第1示唆演出が報知されるため、遊技の進行が不可能な状態に制御される状況に近づくほど、もうすぐ遊技の進行が不可能な状態になる事実を、より確実に把握し易くなる。
【0132】
スロットマシン1が、示唆の確度が異なる複数の第1示唆演出を有し、払い出された出玉に関するパラメータが第1値よりも小さい第2値に到達した場合に遊技の進行が不可能な状態に制御される可能性を通知する事前通知を実行可能である。事前通知が実行された以降、事前通知が実行される前よりも、確度の高い第1示唆演出が実行される可能性が高くなる。これにより、事前通知の報知以降、もうすぐ遊技の進行が不可能な状態になる事実をより確実に把握し易くなる。
【0133】
状況に応じた演出には、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した以降にのみ実行可能な所定演出が含まれる。所定演出の報知により、遊技の進行が不可能な状態に強制的に制御されることで遊技を終了せざるをえない状況であることを、遊技者は自然に把握することができる。
【0134】
スロットマシン1は、遊技に対する有利度合いが異なる複数の設定値のうちのいずれか1つが設定され、設定された設定値に応じて遊技が進行する。状況に応じた演出には、設定されている設定値を示唆する確度の異なる複数の第2示唆演出が含まれる。払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定する前よりも、確度の高い第2示唆演出が実行される可能性が高くなる。つまり、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、それまでよりも、実際の設定値を推測し易い第2示唆演出が出現し易くなる。したがって、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した以降は、設定値の推測がよりし易くなる。従って、遊技の進行が不可能な状態になる直前は、いわば設定値の答え合わせ的な側面を有することができるといえる。
【0135】
スロットマシン1は、一般遊技状態と、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態とのいずれかで遊技が進行し、有利遊技状態中、有利遊技状態の終了条件を表示装置に表示可能であり、有利遊技状態中、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達した場合、有利遊技状態を終了させると共に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能である。有利遊技状態中に、払い出された出玉に関するパラメータが第1値に到達することが確定した場合、現在の前記パラメータおよび第1値に応じた値に合わせて変更された終了条件が表示装置に表示され得る。これにより、AT、一種BB等の有利遊技状態の終了条件タイミングと遊技の進行が不可能な状態に強制的に制御されるタイミングとが一致するため、遊技者は、不要な無駄引き感などを味わうことがなく、有利遊技状態での遊技、および、スロットマシン1の遊技とを終了することができる。
【0136】
(第4態様)
払い出された出玉に関するパラメータが所定値(例えば、第1値)に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御する処理を第1処理とすると、スロットマシン1は、遊技の進行が不可能な状態に制御されている場合に、遊技の進行を不可能な状態にする以外の遊技機に関する第2処理を実行可能であってもよい。
【0137】
第2処理には、例えば、次の処理が含まれる。
・遊技の進行が不可能な状態に制御されていない場合も実行可能な処理。この場合の処理には、例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御されていない場合に実行可能な「設定値を示唆する演出」、および/または、「おめでとう!設定〇でした!!」等の設定値を通知する演出を出力する処理が含まれる。
・現在の払い出された出玉に関するパラメータを確認可能な処理。この場合の処理には、例えば、払い出された出玉に関するパラメータがリセットされているか否かを示唆または確認する処理が含まれる。
・遊技履歴(例えば、遊技したゲーム数、当せんした一種BBおよびATの回数等の遊技結果の履歴)を液晶表示装置22に表示する処理。
・所持しているメダルの枚数を精算(計数)して外部装置に出力すると共に、精算実行中を表す音を出力する処理(つまり、メダルの精算処理)。
・スロットマシン1に係る不正検知処理、オーバーフロー検知処理、専用ユニットとの接続状態検知処理等の各種エラー検知処理。不正検知処理とは、遊技機を不正に操作して不正にメダルの枚数を操る操作がなされていないかを検知する処理である。オーバーフロー検知処理は、貯メダル表示装置39に表示されるメダルの最大値(例えば16500枚)を超えるか否かを検知する処理であって、当該最大値を超えた場合はエラー信号が外部装置に発報される。専用ユニットとの接続状態検知処理は、専用ユニットと遊技機とを電気的につなぐ配線上の電圧値が所定値以上か否かに応じて、専用ユニットと遊技機とが接続されているか否かを検知する処理である。専用ユニットとスロットマシン1とを繋ぐ電圧値が例えば5Vであれば接続は正常と判断され、当該電圧値が例えば0Vであれば接続は異常と判断される。各種エラー処理は、メイン制御部110が行ってもよいし、メイン制御110およびサブ制御部110の両方が行ってもよい。例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御されていない場合、各種エラー処理は、スタートスイッチ33が操作されるごとに実施されてもよい。例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降、各種エラー処理は、所定の間隔で実行されてもよいし、所定の操作子(例えば、スタートスイッチ33、ベスイッチ32、ストップスイッチ34,35、36)の操作を契機として実行されてもよいし、遊技の進行が不可能な状態に制御されているか否かに関係なく、同じ実行契機に基づいて実行されてもよい。
・設定されている設定値を同一または異なる設定値に設定する処理。
・設定されている設定値を確認する処理。
・音量、光量等を調整する処理。
【0138】
第2処理は、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理よりも実行の優先度が低くなるように構成してもよい。つまり、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理の実行タイミングと第2処理の実行タイミングとが重複した場合、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が第2処理よりも優先的に実施され得る。
【0139】
例えば、第2処理が、メダルの精算処理であるとする。精算処理中において、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されていない場合、精算処理が実行されていることを表す精算音が出力され、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されている場合、例えば、次に示す態様で、精算音の出力を少なくとも一時的に抑制できる。
・遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行される期間全体に亘って、精算音の出力をゼロまたは通常よりも低い出力にする。
・遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行される期間の一部(例えば、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理に関する音(具体的には、“遊技終了しています”、“遊技できません”等の音声)が出力される期間)において、精算音の出力をゼロまたは通常よりも低い出力にする。
【0140】
例えば、第2処理が、遊技の進行に伴って実行される可能性がある演出の実行処理であるとする。演出の実行処理中において、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されていない場合、演出の実行処理に伴って演出音が出力され、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されている場合、例えば、次に示す態様で、演出の実行処理に伴って演出音の出力を少なくとも一時的に抑制可能である。
・遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行される期間全体に亘って、演出音の出力をゼロまたは通常よりも低い出力にする。
・遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行される期間の一部(例えば、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理に関する音が出力される期間)において、演出音の出力をゼロまたは通常よりも低い出力にする。
【0141】
このように、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理に関わる音の出力を、第2処理に関わる音の出力よりも優先させることで、スロットマシン1が遊技の進行が不可能な状態となっていることをユーザに確実に知らせて、スロットマシン1にユーザが誤って着席しないようにすることができる。スロットマシン1が遊技の進行を不可能な状態に制御されているか否かは、ユーザにとっては重要な事項であり、たとえ第2処理が実行されているとしても、ユーザには遊技ができない旨を確実に把握させるのが好ましい。そこで、上述したように、第2処理の実行の優先度を、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理よりも下げる構成となっている。
【0142】
第2処理は、遊技の進行が不可能な状態に制御される前と、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降とで、異なる態様で実行されてもよい。例えば、第2処理が「遊技履歴の表示処理」である場合、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降は、遊技結果の履歴に代えて、「コンプリート!」等の遊技の進行が不可能な状態であることを示す文字等が液晶表示装置22に表示されてもよい。また、例えば、第2処理が「メダルの精算処理または演出の実行処理」である場合、遊技の進行が不可能な状態に制御される前と、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降とで、異なる大きさの精算音または演出音を出力してもよい。遊技の進行が不可能な状態に制御されているスロットマシン1であることをユーザに伝えることは重要であるため、第2処理を、遊技の進行が不可能な状態に制御される前と、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降とで、あえて異なる態様で実行させることには意義がある。
【0143】
第4態様のスロットマシン1では、事前通知の実行を省略してもよい。
【0144】
本発明の第4態様のスロットマシン1は、払い出された出玉に関するパラメータが所定値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御する第1処理を実行可能であり、遊技の進行が不可能な状態に制御されている場合に、遊技の進行を不可能な状態にする以外の遊技機に関する第2処理を実行可能である。このような構成により、遊技の進行が不可能な状態に制御されている場合であっても、遊技機に関する処理を実行可能なスロットマシン1を実現できる。
【0145】
第4態様のスロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、遊技の進行が不可能な状態に制御されている場合であっても、遊技機に関する処理を実行可能なスロットマシン1をより確実に実現できる。
【0146】
第2処理には、遊技の進行が不可能な状態に制御されていない場合も実行可能な処理が含まれる。
【0147】
第2処理は、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理よりも実行の優先度が低い。第2処理を実行することで遊技の進行を不可能な状態に制御する処理に支障をきたすと仮定すると、場合によっては、遊技の進行を不可能な状態の維持に影響が生じたり、ユーザが誤って遊技の進行ができないスロットマシン1に着席したりする可能性がある。そこで、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理の実行優先度を第2処理よりも高くすることで、スロットマシン1を遊技の進行を不可能な状態を確実に維持しつつ、ユーザが誤って遊技の進行ができないスロットマシン1に着席するような事態を抑制できる。
【0148】
第2処理が、遊技媒体の精算処理であり、精算処理中において、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されていない場合、精算処理が実行されていることを表す精算音が出力され、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されている場合、精算音の出力を少なくとも一時的に抑制可能である。このように、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理に関わる音の出力を、精算音の出力よりも優先させる。これにより、ユーザは、遊技の進行が不可能な状態となっているスロットマシン1であることを確実に把握することができる。
【0149】
第2処理が、遊技の進行に伴って実行される可能性がある演出の実行処理であり、演出の実行処理中において、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されていない場合、演出の実行処理に伴って演出音が出力され、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理が実行されている場合、演出の実行処理に伴って演出音の出力を少なくとも一時的に抑制可能である。このように、遊技の進行を不可能な状態に制御する処理に関わる音の出力を、演出音の出力よりも優先させることで、ユーザは、遊技の進行が不可能な状態となっているスロットマシン1であることを確実に把握することができる。
【0150】
第2処理には、現在の払い出された出玉に関するパラメータを確認可能な処理が含まれる。これにより、例えば遊技場スタッフは、遊技の進行を不可能な状態に制御されたスロットマシン1に対して、パラメータの確認作業ができる。パラメータを確認後、遊技場スタッフは、必要に応じて電断処理などのパラメータを初期化する作業をするべきか否かの判断をすることができる。
【0151】
第2処理は、遊技の進行が不可能な状態に制御される前と、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降とで、異なる態様で実行される。遊技の進行が不可能な状態に制御されているスロットマシン1であることをユーザに伝えることは重要であるため、第2処理を、遊技の進行が不可能な状態に制御される前と、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降とで、あえて異なる態様で実行させることには意義がある。
【0152】
(第5態様)
スロットマシン1は、遊技の進行が不可能に制御された以降、操作子が操作された場合に、遊技の進行以外の処理(以下、第3処理という。)を実行可能であってもよい。遊技の進行が不可能な状態に制御されたスロットマシン1は、遊技場にとって、稼働が見込めない単に設置されているだけの箱になってしまう。これに対し、第5態様では、遊技の進行が不可能に制御された以降のスロットマシン1に対して、何らかの操作子が操作されれば、第3処理を実行可能とする。そのため、スロットマシン1は、これ以上の遊技を実行不可能な状態であったとしても、第3処理を実行するといった新たな用途が発生する。このため、第3処理の実行を目的として、遊技の進行が不可能に制御されたスロットマシン1の前を好んであえて着席するユーザのニーズに合致することができる。即ち、遊技の進行が不可能に制御された以降、操作子が操作された場合に、第3処理を実行可能とすることで、遊技の進行とは異なる観点で、スロットマシン1を有効利用できるようになる。
【0153】
第3処理の一例を次に示す。
・出玉および遊技の進行に関係しない特典の付与。この特典には、例えば、ミニゲームの実施が含まれる。この場合のミニゲームは、例えば、「3択クイズを3つのストップスイッチ34、35、36で行うもの」、「回転リール41、42、43を所定の位置で停止させる目押しゲームで、一定時間内につぎつぎと目押しの課題が出題されて、最終的なスコアを競うもの」等、様々な仕様のゲームで構成されてもよい。
・遊技の進行に応じて実行された演出に関連する特典の付与。この特典には、例えば、遊技の進行が制限される前に実際に実行された演出または楽曲を観賞できる機能の解放、および、遊技の進行が制限される前に実際に実行されたミニゲームを遊技できる機能の解放が含まれる。この場合のミニゲームは、例えば、チャンスゾーン、上乗せ特化ゾーン、ボーナス等で構成されてもよい。チャンスゾーン、上乗せ特化ゾーン、ボーナス等は、遊技の進行が制限される前は成否によって出玉が変化する要素を残しつつ出玉の増減処理を行わないものでもよいし、出玉が変化する要素を取り除いてミニゲーム化したものでもよい。
・遊技の進行が制限された以降にのみ実行可能な処理。この処理には、例えば、遊技の進行が制限される前に実行される可能性があったが実行されなかった演出の実行処理、および、遊技の進行が制限された以降のみ実行可能なミニゲームまたはくじ引きの実行処理が含まれる。
・遊技の進行が制限される前後を問わず実行可能な処理。例えば、スマートフォン等にインストールされているアプリケーションと連動する処理、占い等の遊技の進行に関係のない機能の実行処理が含まれる。
【0154】
操作子は、例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係する操作、および/または、遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係しない操作を実行可能に構成されている。遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係する操作を実行可能な操作子には、例えば、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33およびストップスイッチ34、35、36が含まれる。遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係する操作を実行可能な操作子には、例えば、操作スイッチ37および精算スイッチ38が含まれる。一般に、スロットマシンが遊技の進行が不可能な状態に制御されると、それ以降、操作子を操作することができなくなり、スロットマシンはその日は遊技場に設置されているだけになる。スロットマシン1では、操作子が、遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係する操作、および/または、遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係しない操作を実行可能に構成されているので、遊技の進行が不可能な状態に制御された後でも、遊技者に操作子を操作させて楽しませることができる。また、スロットマシン1は、例えば、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降、出玉が無い状態で、操作子の操作を伴う遊技を疑似体験できる機能を備えてもよい。一例として、疑似体験には、スタートスイッチ33を押すと回転リール41、42、43が回転し、ストップスイッチ34、35、36を押すと回転リール41、42、43を停止させるといった一連の遊技が、出玉の増減処理(ベット処理および払い出し処理を含む)が行われない状態にて体験できること、が挙げられる。
【0155】
第5態様のスロットマシン1では、事前通知の実行を省略してもよい。
【0156】
本発明の第5態様のスロットマシン1は、払い出された出玉に関するパラメータが所定値に到達した場合に遊技の進行を可能な状態から不可能な状態に制御することが可能であり、遊技の進行が不可能に制御された以降、操作子が操作された場合に、遊技の進行以外の処理を実行可能である。このような構成により、遊技の進行が不可能な状態に制御されている場合でも利用可能なスロットマシン1を実現できる。
【0157】
第5態様のスロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、遊技の進行が不可能な状態に制御されている場合でも利用可能なスロットマシン1をより確実に実現できる。
【0158】
遊技の進行以外の処理は、出玉および遊技の進行に関係しない特典の付与を含む。これは、スロットマシン1が、遊技の進行が不可能な状態に制御されているためである。但し、特典の内容を出玉および遊技の進行に関係しない内容とすることにより、スロットマシン1を、遊技の進行とは別の目的にて、気軽に利用するユーザに対応できる。従って、進行が不可能に制御されているスロットマシン1を遊技以外の別の観点にて有効利用できる、と言える。
【0159】
遊技の進行以外の処理は、遊技の進行に応じて実行された演出に関連する特典の付与を含む。これにより、ユーザは、遊技を進行させたか否かに関係なく、純粋に演出を楽しむことができる。
【0160】
遊技の進行以外の処理は、遊技の進行が制限された以降にのみ実行可能な処理を含む。これにより、遊技の進行が不可能な状態に制御されたスロットマシン1にあえて好んで着席するユーザのニーズに応えることができる。つまり、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降、操作子が操作された場合に、第3処理を実行可能とすることで、遊技の進行とは異なる観点で、スロットマシン1を有効利用できるようになる。
【0161】
遊技の進行以外の処理は、遊技の進行が制限される前後を問わず実行可能な処理を含む。これにより、遊技の進行が不可能な状態に制御された以降も、スロットマシン1を有効利用できるようになる。
【0162】
操作子は、遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係する操作を実行可能に構成されている。
【0163】
操作子は、遊技の進行が不可能な状態に制御される前の遊技の進行に関係しない操作を実行可能に構成されている。
【0164】
(その他の変形例)
スロットマシン1を構成する各部のうち、例えば、遊技の進行に関係のない構成および遊技の進行に関係あるが他の構成で代用できる構成については、任意に変更できる。例えば、液晶表示装置22、電飾装置23、スピーカ24、操作スイッチ37および精算スイッチ38は、省略できる。
【0165】
制御装置100を構成する各部は、前記実施形態に限らず、任意に変更できる。例えば、遊技状態制御部115が区間制御部114を兼ねてもよいし、回転リール制御部112が計測部116を兼ねてもよいし、回転リール制御部112で実行される処理の一部が遊技状態制御部115で実行されてもよい。また、可能であれば、メイン制御部110の構成をサブ制御部120に設けてもよいし、サブ制御部120の構成をメイン制御部110に設けてもよい。
【0166】
有利区間の終了条件は、第1終了条件および第2終了条件に限らない。これらの条件とは異なる条件で、遊技区間を有利区間から通常区間に強制的に設定してもよいし、また、有利区間を通常区間に強制的に設定する条件を設けなくてもよい。例えば、有利区間消化ゲーム数が4000ゲームに到達することで遊技区間が有利区間から通常区間に強制的に設定されるが、有利区間の差数が2400枚に到達することでは、遊技区間が有利区間から通常区間に強制的に設定されないように構成してもよい。また、例えば、有利区間から通常区間に強制的に設定された場合を除いて、一旦、遊技区間が有利区間に設定されると、いわゆるボーナス(例えば、一種BB)が1回入賞するか、または、メダルの払い出しが最大となる操作態様役の操作態様を1回報知するまでは、遊技区間を有利区間から通常区間に設定できないように構成してもよい。
【0167】
スロットマシン1の設定値が変更された場合、遊技区間は、スロットマシン1の設定値が変更される直前の状態を引き継ぐように設定してもよいし、予め設定されている初期状態に設定される(すなわち、初期化される)ようにしてもよい。
【0168】
前記実施形態では、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物および役物連続作動装置を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、有利区間であることが表示部に表示されるように構成しているが、これに限らない。例えば、遊技区間が有利区間へ移行したときに、表示部に有利区間中であることを必ず表示されるように構成してもよいし、有利区間であることが表示されないように構成しなくてもよい。
【0169】
前記実施形態では、遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114が、操作部30に設けた表示部を介して、遊技区間が有利区間であることを表示するように構成しているが、これに限らない。例えば、液晶表示装置22が表示部を兼ねるように構成してもよいし、表示部を省略して遊技区間が有利区間であることを表示しないように構成してもよい。表示部に有利区間であることが表示された後は、有利区間が終了するまで、有利区間であることを表示し続けてもよいし、有利区間であることを表示し続けなくてもよい。
【0170】
制御装置100は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実行するCPUに代えて、ハードウェアのみで所定の機能を実現するように専用に設計されているFPGA(field-programmable gate array)、または、ASIC(application specific integrated circuit)を含んでいてもよい。
【0171】
メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれ異なる基板に設けてもよいし、同一基板上に設けてもよい。すなわち、メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれがCPU、ROMおよびRAM等を備えていてもよいし、CPU、ROMおよびRAM等を共有していてもよい。
【0172】
押し順役は、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞する場合に限らない。押し順役は、例えば、所定の位置でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよいし、所定の位置に加え、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよい。
【0173】
内部抽せんテーブルは、図9に示されている情報に限らず、スロットマシンの設計に応じて、他の任意の情報を含むことができる。
【0174】
有効ライン70は、少なくとも1本設定されていればよく、2本以上であっても構わない。
【0175】
本開示は、メダルレス機に限らず、物理的なメダルを使用して遊技するホッパーを備えたスロットマシンにも適用できる。
【0176】
本開示は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機にも適用できる。例えば、事前通知は、遊技の進行に関する表示よりも低く、演出よりも高い優先度で報知されるか、および/または、少なくとも一部が遊技の進行に関する表示および演出と重ならないように報知される。遊技の進行に関係する表示には、例えば、「右打ち指示」のような遊技の進行に必要な操作情報と、図柄のような遊技の結果とが含まれる。演出には、例えば、大当たり中に実行される演出の他に、確変、ST、時短等で実行される演出が含まれる。
【0177】
前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0178】
1 スロットマシン
10 筐体
20 前扉
22 液晶表示装置
33 スタートスイッチ
34,35,36 ストップスイッチ
37 操作装置
38 精算スイッチ
41,42,43 回転リール
100 制御装置
118 遊技進行制限部
121 演出制御部
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
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