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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】オゾン水散布装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20241017BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20241017BHJP
   B05B 12/02 20060101ALI20241017BHJP
   B05B 12/08 20060101ALI20241017BHJP
   B05B 1/12 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
A61L9/14
B05B12/02
B05B12/08
B05B1/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020156201
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049909
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】前場 克之
(72)【発明者】
【氏名】北川 宏之
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526969(JP,A)
【文献】特開2007-007656(JP,A)
【文献】特開平09-294987(JP,A)
【文献】特表2012-501385(JP,A)
【文献】特開平09-141285(JP,A)
【文献】特開2019-093343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46- 1/48
C25B 1/00- 9/77
C25B 13/00-15/08
A61L 2/00- 2/28
A61L 9/00- 9/22
A61L 11/00-12/14
B05B 12/00-12/14
B05B 13/00-13/06
B05B 1/00- 3/18
B05B 7/00- 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水にオゾンが含まれてなるオゾン水を、シャワー状または霧状に放出する放出部と、
水が貯められる貯水部と、
陽極および陰極が配置された流路を有し、当該流路内を流れる水を電気分解してオゾン水を生成する電解部と、
前記貯水部から吸い上げた水を、前記流路を通過させて前記放出部へ送る送水装置と、
前記電解部および前記送水装置を制御する制御部と、
前記流路内に水が存在するか否かを検出するための検出部と、
報知部と、を備え、
前記制御部は、
前記送水装置の動作を開始させてから、前記貯水部内から吸い上げられた水が前記電解部へ到達する所定時間が経過した後に、前記陽極と前記陰極への通電を行
前記所定時間が経過した後に前記流路内の水の有無を検出し、前記流路内に水が存在しないことに基づいて、前記報知部に報知を行わせる、
ことを特徴とするオゾン水散布装置。
【請求項2】
水にオゾンが含まれてなるオゾン水を、シャワー状または霧状に放出する放出部と、
水が貯められる貯水部と、
陽極および陰極が配置された流路を有し、当該流路内を流れる水を電気分解してオゾン水を生成する電解部と、
前記貯水部から吸い上げた水を、前記流路を通過させて前記放出部へ送る送水装置と、
前記電解部および前記送水装置を制御する制御部と、
前記流路内に水が存在するか否かを検出するための検出部と、
オゾンを散布する際に操作される操作部と、を備え、
前記制御部は、
前記送水装置の動作を開始させてから、前記貯水部内から吸い上げられた水が前記電解部へ到達する所定時間が経過した後に、前記陽極と前記陰極への通電を行い、
前記所定時間が経過した後に前記流路内の水の有無を検出し、前記流路内に水が存在しないことに基づいて、前記操作部が操作されても、前記送水装置の動作と前記陽極と前記陰極への通電を行わないようする、
ことを特徴とするオゾン水散布装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のオゾン水散布装置において、
前記検出部は、前記陽極と前記陰極への通電を行ったときの電流を検出し、
前記制御部は、前記検出部により検出された電流値が閾値よりも小さい場合に、前記流路内に水が存在しないと判定する、
ことを特徴とするオゾン水散布装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のオゾン水散布装置において、
前記流路からの水が前記放出部に向けて流れるパイプと、
前記パイプに配置され、前記パイプを開閉するバルブと、をさらに備え、
前記制御部は、前記送水装置の動作を開始する前に前記バルブを開放する、
ことを特徴とするオゾン水散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水をシャワー状や霧状にして散布するオゾン水散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に貯めた水を電気分解することによりオゾンを生成し、生成したオゾンが水に含まれてなるオゾン水を噴霧するようにしたオゾンスプレーが、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1のオゾンスプレーは、原料水が収容される容器と、容器に取り付けられるヘッドと、ヘッドと容器を連通する第1チューブおよび第2チューブと、第2チューブに取り付けられる電解セルとを備える。ヘッドには、ノズル、トリガーおよびピストン・シリンダー機構が設けられる。電解セルは、その内部に陽極と陰極とを有し、容器内の底部に配置され、容器内に原料水が貯められたときに水没する。トリガーが操作されると、電解セルの陽極と陰極との間に電圧が印加され、原料水が電気分解されてオゾン水が生成される。生成されたオゾン水がピストン・シリンダー機構によりノズルへ送られて、ノズルからオゾン水が噴霧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6249200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のオゾンスプレーでは、容器内の水が、補給が必要となる量まで減らなければ、電解セルが水に浸かった状態となる。よって、電解セルの内部に水がない状態で陽極と陰極と間に通電が行われることが起こりにくい。
【0006】
一方で、オゾンスプレーの構成によっては、容器内に貯められた水に浸かりづらい位置に電解セルが配置される場合がある。このような構成とされた場合に、電解セルの内部に水がない状態で陽極と陰極と間に通電が行われると、陽極と陰極が損傷を受けてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、陽極と陰極とを有する電解部を用いてオゾン水の生成を行う構成とされた場合に、陽極と陰極が損傷を受けにくいオゾン水散布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るオゾン水散布装置は、水にオゾンが含まれてなるオゾン水を、シャワー状または霧状に放出する放出部と、水が貯められる貯水部と、陽極および陰極が配置された流路を有し、当該流路内を流れる水を電気分解してオゾン水を生成する電解部と、前記貯水部から吸い上げた水を、前記流路を通過させて前記放出部へ送る送水装置と、前記電解部および前記送水装置を制御する制御部と、前記流路内に水が存在するか否かを検出するための検出部と、報知部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記送水装置の動作を開始させてから、前記貯水部内から吸い上げられた水が前記電解部へ到達する所定時間が経過した後に、前記陽極と前記陰極への通電を行前記所定時間が経過した後に前記流路内の水の有無を検出し、前記流路内に水が存在しないことに基づいて、前記報知部に報知を行わせる。
本発明の第2の態様に係るオゾン水散布装置は、水にオゾンが含まれてなるオゾン水を、シャワー状または霧状に放出する放出部と、水が貯められる貯水部と、陽極および陰極が配置された流路を有し、当該流路内を流れる水を電気分解してオゾン水を生成する電解部と、前記貯水部から吸い上げた水を、前記流路を通過させて前記放出部へ送る送水装置と、前記電解部および前記送水装置を制御する制御部と、前記流路内に水が存在するか否かを検出するための検出部と、オゾンを散布する際に操作される操作部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記送水装置の動作を開始させてから、前記貯水部内から吸い上げられた水が前記電解部へ到達する所定時間が経過した後に、前記陽極と前記陰極への通電を行い、前記所定時間が経過した後に前記流路内の水の有無を検出し、前記流路内に水が存在しないことに基づいて、前記操作部が操作されても、前記送水装置の動作と前記陽極と前記陰極への通電を行わないようする。
たとえば、前記検出部は、前記陽極と前記陰極への通電を行ったときの電流を検出し得る。この場合、前記制御部は、前記検出部により検出された電流値が閾値よりも小さい場合に、前記流路内に水が存在しないと判定する。
【0009】
上記の構成によれば、陽極と陰極への通電が行われる前に、貯水部から吸い上げられた水を流路内へ送り込むことができる。これにより、流路内に水が存在しない状態で陽極と陰極への通電が行われしまうことが生じにくく、これら電極が損傷しにくい
【0011】
上記の構成によれば、電解部へ正常に送水がなされない場合に、オゾン水散布装置が、そのような異常状態のまま放置されることを回避することができる。
【0013】
さらに、第1の態様に係るオゾン水散布装置によれば、ユーザは、電解部へ正常に送水がなされないことを把握でき、貯水部に水が無い場合には水を補給するなど、適宜、対処を行うことができる。
【0015】
さらに、第2の態様に係るオゾン水散布装置によれば、送水装置が無駄に動作することを抑制でき、また、陽極と陰極が、一層、損傷しにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、陽極と陰極とを有する電解部を用いてオゾン水の生成を行う構成とされた場合に、陽極と陰極が損傷を受けにくいオゾン水散布装置を提供できる。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施の形態に係る、オゾンスプレーの斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る、内部を透視したオゾンスプレーの側面図である。
図3図3は、実施の形態に係る、ポンプの正面図である。
図4図4(a)は、実施の形態に係る、電解部の斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A´線で切断された電解部の断面図である。
図5図5(a)は、実施の形態に係る、封口体に固定されたオゾン電極ユニットの正面図であり、図5(b)は、実施の形態に係る、イオン交換膜で被覆された陽極の断面図である。
図6図6(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、シャワー放出部の正面図および側面断面図である。
図7図7(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、ミスト放出部の正面図および側面断面図である。
図8図8は、実施の形態に係る、オゾンスプレーの構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施の形態に係る、制御部によるオゾンスプレーの制御処理を示すフローチャートである。
図10図10は、実施の形態に係る、オゾンシャワー放出処理を示すフローチャートである。
図11図11は、実施の形態に係る、オゾンミスト放出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のオゾン水散布装置の一実施形態であるオゾンスプレーについて、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、オゾンスプレー1の斜視図である。図2は、内部を透視したオゾンスプレー1の側面図である。
【0021】
図1および図2を参照し、オゾンスプレー1は、筐体10内に、生成部20と、導水部30と、シャワー放出部40と、ミスト放出部50と、操作部60と、電源部70を備える。シャワー放出部40およびミスト放出部50は、本発明の放出部に相当する。
【0022】
筐体10は、胴部10aと首部10bと頭部10cとにより構成される。胴部10aは、その上部が首部10bに向うに従い内側に絞られた、ほぼ有底円筒状を有する。胴部10aには、細長い表示窓11が形成される。また、胴部10aには、モード切替ボタン12とモード表示部13が設けられる。モード切替ボタン12が押される度に、動作モードが、シャワー放出部40からオゾン水がシャワー状に放出するオゾンシャワーモードとミスト放出部50からオゾンを含むミストが放出するオゾンミストモードとの間で切り替わる。モード表示部13は、複数色に点灯可能なLEDを含み、動作モードに応じた色で点灯する。なお、本実施の形態では、モード表示部13は、異常報知を行うための報知部としても機能する。モード表示部13は、本発明の報知部に相当する。
【0023】
首部10bは、ほぼ円筒状を有し、上下方向に延びる。首部10bの前側から操作ボタン61が前方に突出する。頭部10cは、所定の形状を有し、前後方向に延びる。頭部10cの前面には、下側に、シャワー放出部40に対応する円形の放出口14が形成され、上側に、ミスト放出部50に対応する円形の放出口15が形成される。
【0024】
生成部20は、水が貯められる容器21と、容器21から吸い上げた水をシャワー放出部40およびミスト放出部50へ選択的に送る電動式のポンプ22と、ポンプ22から送出された水を通過させるとともに、通過する水を電気分解してオゾンを発生させ、発生したオゾンを水に含ませる電解部23と、を含む。容器21は、胴部10a内の後側に配置され、電解部23は、胴部10a内の容器21の前方に配置される。ポンプ22は、首部10b内の容器21の上方に配置される。容器21は、本発明の貯水部に相当し、ポンプ22は、本発明の送水装置に相当する。
【0025】
容器21は、透光性を有する。容器210には、純水、水道水等の水が溜められる。容器21には、表示窓11に対応する形状の突出部211が形成される。突出部211は、表示窓11から外部に露出する。ユーザは、表示窓11を通じて容器21内の水量を確認できる。また、容器21には、上部の後側に、容器21内に水を投入するための給水口212が設けられる。
【0026】
胴部10aには、給水口212に対応する開口部16が形成される。開口部16に着脱可能にキャップ17が嵌め込まれ、このキャップ17によって給水口212が塞がれる。
【0027】
図3は、ポンプ22の正面図である。
【0028】
図3を参照して、ポンプ22は、ダイヤフラム駆動方式の小型ポンプであり、ヘッド部221と、吸込口222と、吐出口223と、駆動部224とを含む。ヘッド部221の内部には、ダイヤフラム225を有するポンプ室226が設けられる。吸込口222および吐出口223は、ポンプ室226に繋がる。吸込口222の内部には、ポンプ室226内に水が吸い込まれるときのみに開く逆止弁227が設けられる。吐出口223の内部には、ポンプ室226内から水が吐き出されるときのみに開く逆止弁228が設けられる。駆動部224は、プランジャ、ソレノイド等を含み、ダイヤフラム225を駆動して往復運動させる。ダイヤフラム225が往復運動することにより、吸込口222を通じてポンプ室226内に水が吸い込まれ、吐出口223を通じてポンプ室226内から水が吐き出される。
【0029】
吸込口222には、吸水パイプ24が接続される。吸水パイプ24の先端の吸水口241は、容器21内の底部に位置する。吐出口223には、吐出パイプ25の一端が接続される。
【0030】
図4(a)は、電解部23の斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A´線で切断された電解部23の断面図である。図5(a)は、封口体120に固定されたオゾン電極ユニット110の正面図であり、図5(b)は、イオン交換膜113で被覆された陽極111の断面図である。
【0031】
図4(a)ないし図5(b)を参照して、電解部23は、オゾン電極ユニット110と、封口体120と、ケース130とを含む。
【0032】
オゾン電極ユニット110は、丸棒状の陽極111と、陽極111の外周に螺旋状に巻かれた線状の陰極112と、陽極111と陰極112との間に介在するイオン交換膜113とを含む。イオン交換膜113は、陽極111の外周面に装着され、外周面を被覆する。
【0033】
オゾン電極ユニット110は、その基端部が円柱状のブラケット140に接続される。ブラケット140からは、陽極リード端子141および陰極リード端子142が上方に延び出す。ブラケット140の内部において、陽極111が陽極リード端子141に接続され、陰極112が陰極リード端子142に接続される。
【0034】
封口体120は、雄ネジが形成された円柱状のネジ部121と、六角柱状の頭部122とを含む。ネジ部121の根本部には、ゴム等からなるOリング123が装着される。ネジ部121には円柱状の凹部124が設けられ、頭部122には凹部124に繋がる2本の貫通孔125,126が設けられる。ブラケット140が凹部124に挿入されて固定され、陽極リード端子141および陰極リード端子142が、それぞれ、対応する貫通孔125,126を通って頭部122の上方に突出する。こうして、オゾン電極ユニット110、即ち、イオン交換膜113が被覆され且つ陰極112が巻かれた陽極111の基端部が、ブラケット140を介して封口体120に固定される。
【0035】
ケース130は、一端が閉塞し他端が開口する円筒状を有する。オゾン電極ユニット110がケース130内に収容されて、ケース130の開口した端部が封口体120のネジ部121により塞がれる。ネジ部121に対応するケース130の内壁面には雌ネジ部が形成され、この雌ネジ部が雄ネジ部とかみ合う。封口体120とケース130との間がOリング123により水封される。
【0036】
ケース130の内部は、封口体120のネジ部121で塞がれる部分を除いて流路131となる。流路131は、陽極111が延びる方向に長くなっている。流路131の中心に、オゾン電極ユニット110が配置される。ケース130の閉塞した端部には、流路131の中心の位置に凹部132が設けられる。陽極111の先端部が凹部132に嵌合し、凹部132によって保持される。これにより、陽極111、即ちオゾン電極ユニット110は、封口体120と凹部132によって両持ち状態で保持され、流路131に対して真直ぐな状態となる。
【0037】
ケース130は、封口体120のネジ部121で塞がれる部分の内径および外径に比べて、流路131が構成される他の部分の内径および外径が小さくなっている。これにより、流路131の径を小さく抑えることができ、流路131内を流れる水の流量を少なくできる。たとえば、オゾン電極ユニット110の径R1を約4.0mmとしたとき、他の部分の内径、即ち流路131の径R2を5.0mmとすることができる。
【0038】
ケース130の周面部には、オゾン電極ユニット110の先端部の位置に流入口133が形成され、オゾン電極ユニット110の基端部の位置に流出口134が形成される。流入口133および流出口134は、陽極111が延びる第1の方向と直交する第2の方向に開口する。第1の方向に、流路131が長くなり、ケース130が長くなる。また、流入口133および流出口134は、ケース130の周面部から第2の方向に突出する。流入口133および流出口134の口径は、流路131の径より小さくされている。流入口133および流出口134の口径は、流路131の径とほぼ等しくされてもよい。
【0039】
流入口133には、ポンプ22へ向かう吐出パイプ25が接続される。流出口134には、シャワー放出部40およびミスト放出部50へ向かう共用パイプ31が接続される。
【0040】
電解部23は、長尺な方向がオゾンスプレー1の上下方向となるように、即ち縦向きに、筐体10内に配置される。
【0041】
生成部20において、ポンプ22が動作すると、容器21内の水が吸水口241から吸い込まれ、吸水パイプ24、ポンプ22および吐出パイプ25を通って電解部23に送られる。電解部23では、陽極111と陰極112との間に通電が行われる。流入口133から流路131内に流入した水は、流路131の壁面に当ってほぼ直角に向きを変えられ、オゾン電極ユニット110に沿うようにして流路131内を流れる。流路131内を流れる水の一部は、陽極111と陰極112との間でイオン交換膜113に接触し、接触した水が電気分解されることによりオゾンが発生する。生成されたオゾンが水に溶解し、オゾン水が生成される。このとき、流路131内では、流入口133から流入した水が壁面に当ってほぼ直角に向きを変えられる際に流れが乱されて乱流が発生する。これにより、螺旋状の巻かれた陰極112の谷部分に水が行きやすくなって、イオン交換膜113に水が接触しやすくなるので、オゾンの発生効率が高まる。また、発生したオゾンが乱流によって微細化されやすくなりって水に溶解されやすくなる。よって、オゾン濃度の高いオゾン水が生成されやすくなる。
【0042】
流路131内を流れたオゾン水は、封口体120に当ってほぼ直角に向きを変えられ、流出口134から流出する。
【0043】
図2を参照して、導水部30は、共用パイプ31と、シャワー用パイプ32と、ミスト用パイプ33と、シャワー用バルブ34と、ミスト用バルブ35とを含む。
【0044】
共用パイプ31は、電解部23の流出口134に接続される。シャワー用パイプ32とミスト用パイプ33は、共用パイプ31から枝分かれして、それぞれ、シャワー放出部40とミスト放出部50に接続される。シャワー用パイプ32とミスト用パイプ33は、それぞれ、2つのパイプにより構成され、2つのパイプの間に、シャワー用バルブ34とミスト用バルブ35が配置される。シャワー用バルブ34とミスト用バルブ35は、電磁バルブであり、生成部20から流出したオゾン水を、シャワー用パイプ32とミスト用パイプ33の何れに流すかを切り替える切替部36を構成する。切替部36は、筐体10の頭部10c内に配置される。
【0045】
ポンプ22と電解部23が動作していないとき、シャワー用バルブ34とミスト用バルブ35は閉じた状態にあり、ポンプ22と電解部23が動作する際に一方のバルブが開かれる。ポンプ22の送水圧によって生成部20、即ち電解部23から流出し共用パイプ31を流れてきたオゾン水は、シャワー用バルブ34が開かれていれば、シャワー用パイプ32を通ってシャワー放出部40へ送られ、ミスト用バルブ35が開かれていれば、ミスト用パイプ33を通ってミスト放出部50へ送られる。
【0046】
図6(a)および(b)は、それぞれ、シャワー放出部40の正面図および側面断面図である。
【0047】
図2図6(a)および(b)を参照し、シャワー放出部40は、筐体10の頭部10cの前側に配置される。シャワー放出部40の前面には、円形に凹む放出口41が設けられる。放出口41は、頭部10cの前面の放出口14とほぼ同じ大きさを有し、放出口14と連通する。
【0048】
放出口41には、円形の放出板42が取り付けられる。放出板42には、複数の孔42aが分散して形成される。シャワー放出部40の後部には接続口43が設けられ、この接続口43にシャワー用パイプ32が接続される。シャワー放出部40の内部には、接続口43から放出口41に向けて流路44が形成される。図6(b)の一点鎖線矢印のように、シャワー用パイプ32によりシャワー放出部40に送られてきたオゾン水は、放出板42の複数の孔42aからシャワー状に勢いよく放出、即ち噴射される。
【0049】
図7(a)および(b)は、それぞれ、ミスト放出部50の正面図および側面断面図である。
【0050】
図2図7(a)および(b)を参照し、ミスト放出部50は、筐体10の頭部10cの前側であって、シャワー放出部40の上方に配置される。ミスト放出部50は、ハウジング51と、超音波振動子52と、貯水槽53とを含む。
【0051】
ハウジング51には、前面に円形の凹部511が形成され、この凹部511に円盤状の超音波振動子52が装着される。超音波振動子52は、多数の微孔を有し超音波振動する振動面521を備える。
【0052】
貯水槽53は、ハウジング51内の上部に配置される。貯水槽53の容積は、容器21の容積よりも大幅に小さくされている。貯水槽53の天面には、流入パイプ531が形成される。流入パイプ531は、ハウジング51の後面から後方に突出する。ミスト用パイプ33が流入パイプ531に接続される。
【0053】
貯水槽53は、ハウジング51の凹部511に向かって斜め下方に延び出す部分を有し、その部分の先端に流出口532が設けられる。流出口532は、凹部511内において超音波振動子52の振動面521に接続される。振動面521は、オゾン水の放出口となり、頭部10cの前面の放出口15と連通する。
【0054】
貯水槽53には、ミスト用パイプ33によりミスト放出部50に送られてきたオゾン水が貯められる。超音波振動子52が動作すると、振動面521が超音波振動する。これにより、図7(b)のように、貯水槽53の流出口532で振動面521に触れたオゾン水が霧化して多数の微孔から放出される。
【0055】
図2を参照して、操作部60は、筐体10の首部10bの前側に設けられ、オゾンスプレー1によりオゾン水を散布する際に操作される。操作部60は、操作ボタン61を含み、操作ボタン61が押されると、内部の接点開閉式のスイッチがオンする。
【0056】
電源部70は、充電池71と、充電装置72とを含む。充電池71は、たとえば、リチウムイオン電池であり、ポンプ22、電解部23、切替部36等の電装部品を駆動するための電力を出力する。オゾンスプレー1が図示しない充電器に載置されると、充電器から充電装置72に電力が供給され、充電装置72により充電池71の充電が行われる。
【0057】
図8は、オゾンスプレー1の構成を示すブロック図である。
【0058】
オゾンスプレー1は、上述した構成に加え、制御部81、記憶部82、操作検出部83、表示駆動部84、ポンプ駆動部85、電極通電部86、バルブ駆動部87、振動子駆動部88および電流検出部89を備える。
【0059】
操作検出部83は、操作部60の操作ボタン61またはモード切替ボタン12が押されると、押されたボタンに応じた操作信号を制御部81に出力する。
【0060】
表示駆動部84は、制御部81からの制御信号に従ってモード表示部13を点灯させる。ポンプ駆動部85は、制御部81からの制御信号に従ってポンプ22を駆動する。電極通電部86は、制御部81からの制御信号に従って電解部23の陽極111と陰極112の間に電気分解のための電圧を印加する。
【0061】
バルブ駆動部87は、制御部81からの制御信号に従ってシャワー用バルブ34およびミスト用バルブ35、即ち切替部36を駆動する。振動子駆動部88は、制御部81からの制御信号に従って超音波振動子52を駆動する。
【0062】
電流検出部89は、電流センサを含み、陽極111と陰極112の間に通電が行われたときに、これら電極間に流れる電流を検出し、電流値に応じた検出信号を制御部81に出力する。電流検出部89は、本発明の検出部に相当する。
【0063】
記憶部82は、ROM、RAM等を含む。記憶部82には、制御部81に所定の処理を実行させるためのプログラムが記憶される。また、記憶部82には、プログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0064】
制御部81は、操作検出部83、電流検出部89等からの各信号に基づいて、記憶部82に記憶されたプログラムに従い、表示駆動部84、ポンプ駆動部85、電極通電部86、バルブ駆動部87、振動子駆動部88等を制御する。
【0065】
さて、オゾンスプレー1では、モード切替ボタン12により動作モードを切り替えて、オゾンシャワーモードの動作とオゾンミストモードの動作とを選択することができる。
【0066】
オゾンシャワーモードでは、生成部20で生成されたオゾン水がシャワー放出部40へ送られ、シャワー放出部40の放出口41からシャワー状のオゾン水が噴射される。ユーザは、トイレの便器、キッチンのシンク等の対象物に、オゾン水を吹き掛けて対象物を清掃することができる。
【0067】
オゾンミストモードでは、生成部20で生成されたオゾン水がミスト放出部50へ送られ、ミスト放出部50の放出口である振動面521からオゾンを含むミストが放出される。ユーザは、オゾンを含むミストを室内に拡散させることにより、室内を消臭できる。また、ユーザは、オゾンを含むミストを衣類等の対象物に接触させることにより、対象物を消臭できる。
【0068】
図9は、制御部81によるオゾンスプレー1の制御処理を示すフローチャートである。図9の制御処理は、充電池71からの電力供給が可能な間、制御部81により繰り返し実行される。
【0069】
図9を参照して、制御部81は、異常フラグがセットされているか否かを判定する(S101)。異常フラグは、たとえば、制御部81に設けられ、後述するオゾンシャワー放出処理またはオゾンミスト放出処理において、オゾンスプレー1に、ポンプ22が動作しても電解部23に水が送られない送水異常が生じたことに基づいてセットされる。異常フラグは、異常が解消されたことに基づいて、ユーザが解除操作を行うと、リセットされる。
【0070】
異常フラグがセットされていない場合(S101:YES)、制御部81は、操作ボタン61が押されたか否かを監視する(S102)。そして、操作ボタン61が押されると(S102:YES)、制御部81は、動作モードがオゾンシャワーモードおよびオゾンミストモードの何れに設定されているか判定する(S103)。
【0071】
動作モードがオゾンシャワーモードに設定されている場合(S103:YES)、制御部81は、オゾンシャワー放出処理を実行する(S104)。一方、動作モードがオゾンミストモードに設定されている場合(S103:NO)、制御部81は、オゾンミスト放出処理を実行する(S105)。
【0072】
図10は、オゾンシャワー放出処理を示すフローチャートである。
【0073】
図10を参照して、制御部81は、シャワー用バルブ34を開放する(S201)。シャワー用バルブ34の開放から第1時間(たとえば、0.3秒)が経過すると(S202:YES)、制御部81は、ポンプ22を動作させる(S203)。
【0074】
制御部81は、ポンプ22の動作が開始されてから第2時間(たとえば、0.5秒)が経過したか否かを判定する(S204)。通常は、第2時間が経過するまでの間に、容器21内から吸い上げられた水が電解部23へ到達し、流路131内を水が流れ、流路131内に存在する水で陽極111および陰極112が浸される。
【0075】
第2時間が経過すると(S204:YES)、制御部81は、電解部23を動作させる、即ち、陽極111と陰極112への通電を行う(S205)。そして、制御部81は、電流検出部89により陽極111と陰極112との間に流れる電流を検出し(S206)、検出された電流値が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判定する(S207)。流路131内に水が存在する場合には、陽極111と陰極112との間を電流が良好に流れて、検出された電流値が閾値より大きくなる。
【0076】
検出された電流値が閾値よりも大きい場合(S207:YES)、制御部81は、電解部23を動作してから第3時間(たとえば、1.5秒)が経過するのを待つ(S208)。ポンプ22と電解部23の動作により、電解部23で生成されたオゾン水がシャワー放出部40へと送られ、筐体10の放出口14からシャワー状のオゾン水が放出される。
【0077】
第3時間が経過した際(S208:YES)、操作ボタン61が押され続けられていなければ(S209:NO)、制御部81は、ポンプ22の動作と、電解部23の動作、即ち陽極111と陰極112への通電とを停止させる(S210)。これにより、放出口14からのオゾン水の放出が停止する。
【0078】
一方、第3時間が経過した際に操作ボタン61が押され続けられている場合(S209:YES)、制御部81は、ポンプ22の動作を継続したまま、電解部23の動作を停止させる(S217)。その後、S204の処理に戻り、制御部81は、電解部23の停止から第2時間が経過すると(S204:YES)、再び、電解部23を動作させる(S205)。こうして、制御部81は、操作ボタン61が離されるまでS204~S209およびS217の処理を繰り返す。これにより、ポンプ22は動作を継続し、電解部23は第2時間の停止と第3時間の動作とを繰り返す。これにより、操作ボタン61が押されている間、筐体10の放出口14からシャワー状のオゾン水が放出され続ける。操作ボタン61が離されると(S209:NO)、制御部81は、ポンプ22と電解部23の動作を停止させる(S210)。
【0079】
なお、図10のフローチャートには示されていないが、制御部81は、操作ボタン61が押され続けられている場合でも、操作ボタン61の押し始めから制限時間(たとえば、10秒)が経過した場合は、S210に移行し、ポンプ22と電解部23の動作を停止させる。
【0080】
ポンプ22と電解部23の動作が停止されてから第4時間(たとえば、0.3秒)が経過すると(S211:YES)、制御部81は、シャワー用バルブ34を閉鎖する(S212)。こうして、オゾンシャワー放出処理が終了する。
【0081】
さて、S203において、ポンプ22の動作が開始されてから第2時間が経過しても、電解部23に水が送られないことが考えられる。また、ポンプ22の動作が開始されてから一旦は電解部23に水が送られるが、操作ボタン61が押し続けられてポンプ22と電解部23とが動作を行っている間に、電解部23に水が送られなくなることが考えられる。その原因としては、たとえば、容器21内の水が、ポンプ22で吸い上げることができない水位まで減ったこと、故障等によりポンプ22が正常に動作しないこと、吸水パイプ24や吐出パイプ25の抜けが生じたこと、などが挙げられる。
【0082】
この場合、電解部23の流路131内には水が存在しなくなるため、S205で陽極111と陰極112への通電が行われたとき、陽極111と陰極112との間を電流が流れにくくなる。このため、S206で電流検出部89により検出された電流値が閾値よりも小さくなる。
【0083】
S207において、制御部81は、電流値が閾値以下であると判定すると(S207:NO)、電解部23の動作を停止させる(S213)。その後、S207で電流値が閾値以下であると判定される回数が、所定回数(たとえば、3回)に達するまで(S214:NO)、制御部81は、S204~S207およびS213の処理を繰り返し、ポンプ22を動作させたまま、陽極111と陰極112への通電を間欠的に行う。
【0084】
流路131内に水が送られることがなく、S207で電流値が閾値より大きいと判定されないまま、所定回数に達すると(S214:YES)、制御部81は、ポンプ22の動作を停止させる(S215)。そして、制御部81は、異常フラグをセットする(S216)。その後、制御部81は、第4時間が経過すると(S211:YES)、シャワー用バルブ34を閉鎖する(S212)。
【0085】
図11は、オゾンミスト放出処理を示すフローチャートである。
【0086】
図11を参照して、制御部81は、ミスト用バルブ35を開放し(S301)、その後に第1時間(たとえば、0.3秒)が経過すると(S302:YES)、ポンプ22を動作させる(S303)。
【0087】
制御部81は、ポンプ22の動作が開始されてから第2時間(たとえば、0.5秒)が経過すると(S304:YES)、電解部23を動作させる、即ち、陽極111と陰極112への通電を行う(S305)。そして、制御部81は、電流検出部89により陽極111と陰極112との間に流れる電流を検出する(S306)。検出された電流値が閾値よりも大きい場合(S307:YES)、制御部81は、電解部23を動作してから第3時間(たとえば、1秒)が経過するのを待つ(S308)。ポンプ22と電解部23の動作により、電解部23で生成されたオゾン水がミスト放出部50へと送られ、貯水槽53内に溜められる。
【0088】
第3時間が経過すると(S308:YES)、制御部81は、超音波振動子52を動作させる(S309)。これにより、ミスト放出部50の振動面521からオゾンを含むミストが放出され、当該ミストが筐体10の放出口15から放出される。
【0089】
制御部81は、操作ボタン61が押され続けられていなければ(S310:NO)、ポンプ22の動作と、陽極111と陰極112への通電とを停止させる(S311)。これにより、ミスト放出部50へのオゾン水の供給が停止する。
【0090】
一方、第3時間が経過した際に操作ボタン61が押され続けられている場合(S310:YES)、制御部81は、ポンプ22の動作を継続したまま、電解部23の動作を停止させる(S320)。その後、S304の処理に戻り、制御部81は、操作ボタン61が離されるまでS304~S310およびS320の処理を繰り返す。これにより、操作ボタン61が押されている間、ミスト放出部50へオゾン水が供給され続ける。なお、S309では、超音波振動子52の動作が継続される。操作ボタン61が離されると(S310:NO)、制御部81は、ポンプ22と電解部23の動作を停止させる(S311)。
【0091】
なお、図11のフローチャートには示されていないが、制御部81は、操作ボタン61が押され続けられている場合でも、操作ボタン61の押し始めから制限時間(たとえば、10秒)が経過した場合は、S311に移行し、ポンプ22と電解部23の動作を停止させる。
【0092】
ポンプ22と電解部23の動作が停止されてから第4時間(たとえば、0.3秒)が経過すると(S312:YES)、制御部81は、ミスト用バルブ35を閉鎖する(S313)。
【0093】
超音波振動子52の動作が開始されてから第5時間が経過すると(S314:YES)、制御部81は、超音波振動子52の動作を停止させる(S315)。第5時間は、貯水槽53に溜められたオゾン水が全て放出される時間に設定され、操作ボタン61が押される時間が長く、貯水槽53へのオゾン水の供給量が多いほど長くされる。
【0094】
こうして、オゾンミスト放出処理が終了する。
【0095】
さて、オゾンシャワー放出処理と同様、ポンプ22の動作により電解部23に水が送られないことが考えられる。この場合、S306で電流検出部89により検出された電流値が閾値よりも小さくなる。
【0096】
S307において、制御部81は、電流値が閾値以下であると判定すると(S307:NO)、電解部23の動作を停止させる(S316)。その後、S307で電流値が閾値以下であると判定される回数が、所定回数(たとえば、3回)に達するまで、制御部81は、S304~S307およびS316の処理を繰り返し、ポンプ22を動作させたまま、陽極111と陰極112への通電を間欠的に行う。
【0097】
S307で電流値が閾値より大きいと判定されないまま、所定回数に達すると(S317:YES)、制御部81は、ポンプ22の動作を停止させる(S318)。そして、制御部81は、異常フラグをセットする(S319)。その後、制御部81は、第4時間が経過すると(S312:YES)、ミスト用バルブ35を閉鎖する(S313)。さらに、超音波振動子52が動作している場合、制御部81は、第5時間の経過後に(S314:YES)、超音波振動子52の動作を停止させる(S315)。
【0098】
オゾンシャワー放出処理およびオゾンミスト放出処理では、ポンプ22が動作を開始してから第2時間が経過した後に電解部23の陽極111と陰極112への通電が行われるので(図10のS203~S205および図11のS303~S305)、電解部23の流路131内に水が存在しない状態で陽極111と陰極112への通電が行われしまうことが生じにくく、これら電極111,112が損傷しにくい。
【0099】
また、陽極111と陰極112への通電により流れる電流値が閾値以下であり、流路131内に水が存在しないと見做される場合には、ポンプ22と電解部23の動作が中止されるので(図10のS206、S207、S213~S215および図11のS306、S307、S316~S318)、陽極111と陰極112が、一層、損傷しにくい。
【0100】
さらに、ポンプ22が動作する前にシャワー用バルブ34およびミスト用バルブ35が開放され(図10のS201~S203および図11のS301~S303)、ポンプ22の動作が停止した後にシャワー用バルブ34およびミスト用バルブ35が閉鎖されるので(図10のS210~S212および図11のS311~S313)、ポンプ22の送水圧により、共用パイプ31が電解部23の流出口134から抜けたり、吐出パイプ25がポンプ22の吐出口223から抜けたりすることを防止できる。
【0101】
図9に戻り、制御部81は、何れかの放出処理が実行されると(S104、S105)、異常フラグがセットされているか否かを判定する(S106)。異常フラグがセットされていない場合(S106:NO)、制御部81は、制御処理を、一旦終了して最初から開始する。
【0102】
実行された放出処理において送水異常が生じた場合、異常フラグがセットされる。異常フラグがセットされている場合(S106:YES)、制御部81は、モード表示部13に異常報知を行わせる(S107)。たとえば、モード表示部13が、2つの動作モードに対応する何れかの色または異なる色で点滅する。あるいは、モード表示部13が、2つの動作モードに対応する色と異なる色で点灯する。
【0103】
異常フラグがセットされることにより異常報知が行われた場合、以降の制御処理において、S101で異常フラグがセットされていると判定される(S101:YES)。このため、制御部81は、S102以降の処理を行わず、即ち、操作部60の操作を受け付けず、ユーザにより操作ボタン61が押されても、オゾンシャワー放出処理およびオゾンミスト放出処理を実行しない。これにより、ポンプ22および電解部23が動作せず、オゾンスプレー1によりオゾン水が散布されない。
【0104】
送水異常が、たとえば、容器21内の水が少なくなったことによるものである場合、ユーザは、容器21内に水を補給した後、解除操作を行う。制御部81によって、モード表示部13での異常報知が停止されるとともに、異常フラグがリセットされる。これにより、図9の制御処理において、操作部60での操作が受け付けられるようになる。
【0105】
なお、本実施の形態では、ポンプ22が、ダイヤフラム駆動式のポンプであって、吐出口223に逆止弁228を有しており、ポンプ22が動作を停止して、ポンプ22からの水の送出が停止されたときには、逆止弁228が閉じられる。これにより、シャワー放出部40やミスト放出部50に送られずに電解部23の流路131内に存在しているオゾン水等の水がポンプ22側へと流れることが阻止され、流路131内に水が残った状態となる。これにより、次に操作ボタン61が押されたときに、流路131内に水が存在しやすい。よって、このような、逆止弁228がポンプ22側への水の流れを阻止する阻止部として機能する構成によっても、流路131内に水が存在しない状態で陽極111と陰極112との間に通電が行われることが防止されるので、陽極111と陰極112が、一層、損傷しにくくなる。
【0106】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、オゾンシャワー放出処理およびオゾンミスト放出処理において、ポンプ22が動作を開始してから第2時間が経過した後に電解部23の陽極111と陰極112への通電が行われる。これにより、陽極111と陰極112への通電前に、容器21内から吸い上げられた水を電解部23の流路131内へ送り込むことができる。よって、流路131内に水が存在しない状態で陽極111と陰極112への通電が行われしまうことが生じにくく、これら電極111,112が損傷しにくい。
【0107】
また、本実施の形態によれば、ポンプ22の動作が行われた後において、流路131内に水が存在しないと判定された場合に、この判定結果に基づいて、異常処理として、モード表示部13による異常報知が行われる。これにより、ユーザは、電解部23へ正常に送水がなされないことを把握でき、容器21内に水が無い場合には水を補給するなど、適宜、対処を行うことができる。
【0108】
さらに、本実施の形態によれば、異常処理として、操作部60が操作されても、ポンプ22の動作と陽極111と陰極112への通電が行われなくなる。これにより、ポンプ22が無駄に動作することを抑制でき、また、陽極111と陰極112が、一層、損傷しにくくなる。
【0109】
さらに、本実施の形態によれば、陽極111と陰極112への通電を行ったときに流れる電流を電流検出部89で検出することにより、流路131内に水が存在するか否かを判定できる。
【0110】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0111】
たとえば、上記実施の形態では、容器21から吸い上げた水を、電解部23の流路131内を通過させてシャワー放出部40およびミスト放出部50へ送るための送水装置として、ダイヤフラム方式のポンプ22が用いられた。そして、ポンプ22が用いられた場合、吐出口223に設けられた逆止弁228が、電解部23の流路131内からポンプ22側へ水の流れることを阻止する阻止部とし機能した。しかしながら、ポンプ22と同様、逆止弁が阻止部として機能し得るピストン式のポンプが用いられてもよいし、さらには、阻止部となる構成がない他の方式のポンプが用いられてもよい。
【0112】
また、上記実施の形態では、オゾン水を生成するために、棒状の陽極111と、陽極111の外周に螺旋状に巻かれた線状の陰極112と、陽極111と陰極112との間に介在するイオン交換膜113とで構成されたオゾン電極ユニット110が、ケース130の流路131内に配置された電解部23が用いられた。しかしながら、他の構成の電解部として、たとえば、特許第5710691号公報に示されるような、棒状の陽極と、陽極を把持する湾曲状の陰極爪部を有する陰極と、陰極爪部に配置されて陽極と陰極とを離隔する隔膜と、陽極に接続される陽極端子とで構成された膜-電極接合体を、オゾン電極ユニットとして備える電解部が用いられてもよい。
【0113】
さらに、上記実施の形態では、オゾンスプレー1に、オゾン水をシャワー状に放出するシャワー放出部40が備えられた。しかしながら、オゾンスプレー1に、シャワー放出部40に替えて、オゾン水をミスト放出部50よりも粒径の大きな霧状に放出させるような孔径のノズルを有する放出部が備えられてもよい。
【0114】
さらに、上記実施の形態では、ミスト放出部50が、生成部20からのオゾン水が貯められる貯水槽53と、貯水槽53に貯められたオゾン水を超音波振動により霧化する超音波振動子52と、を含むような構成とされた。しかしながら、ミスト放出部50は、上記の構成に限られず、たとえば、オゾン水を霧状に放出するノズルを有する構造のものであってもよい。
【0115】
さらに、上記実施の形態では、オゾン水をシャワー状または霧状に放出する放出部として、オゾンスプレー1に、シャワー放出部40とミスト放出部50の双方が備えられたが、何れか一方のみが備えられてもよい。シャワー放出部40が備えられない場合は、図10のオゾンシャワー放出処理が実行されず、ミスト放出部50が備えられない場合は、図11のオゾンミスト放出処理が実行されない。
【0116】
さらに、上記実施の形態では、モード表示部13により異常報知が行われたが、オゾンスプレー1に、異常報知を行うための専用の表示部が備えられてもよい。また、異常報知は、表示によるものではなく、スピーカからの音声、ブザーからの音によるものであってもよい。
【0117】
さらに、上記実施の形態では、電流検出部89により検出された電流に基づいて、流路131内に水が存在するか否かが判定された。しかしながら、電解部23に、検出部として、流路131内を流れる水の流量を検出する流量センサが設けられ、この流量センサの検出流量に基づいて、流路131内に水が存在するか否かが判定されてもよい。
【0118】
さらに、上記実施の形態では、図10のオゾンシャワー放出処理および図11のオゾンミスト放出処理において、電流検出部89により検出された電流値が閾値以下であると判定される回数が、所定回数に達したか否かが判定された(S214、S317)。しかしながら、所定回数に達したか否かの判定が行われず、検出電流値が閾値以下であると一度判定されれば、ポンプ22の動作が停止される処理(S215、S318)に移行されるようにしてもよい。
【0119】
さらに、上記実施の形態では、生成部20から流出したオゾン水を、シャワー用パイプ32とミスト用パイプ33の何れに流すかを切り替えるための切替部36が、シャワー用バルブ34とミスト用バルブ35の2つの電磁バルブにより構成された。しかしながら、切替部36が三方バルブにより構成されてもよい。この場合、共用パイプ31が三方バルブの入口に接続される。また、シャワー用パイプ32とミスト用パイプ33は、1本のパイプで構成され、それぞれ、三方バルブの一方の出口と他方の出口に接続される。図10のオゾンシャワー放出処理では、三方バルブにおいてシャワー用パイプ32にオゾン水が流れるように切り替えが行われた後、ポンプ22が動作される。図11のオゾンミスト放出処理では、三方バルブにおいてミスト用パイプ33にオゾン水が流れるように切り替えが行われた後、ポンプ22が動作される。
【0120】
さらに、上記実施の形態では、筐体10の胴部10aの内部に容器21、電解部23および電源部70が配置された。しかしながら、胴部10a全体が容器、即ち貯水部とされ、筐体10の首部10bまたは頭部10cに電解部23および電源部70が配置されるようにしてもよい。この場合、電解部23および電源部70は、首部10bまたは頭部10cに配置できるサイズにされる。
【0121】
さらに、上記実施の形態において、容器21内の水位を検出可能な水位検出部が設けられ、ポンプ22で水を吸い上げられない程度に水位が低下したことが水位検出部で検出された場合に、操作ボタン61が操作されてもポンプ22と電解部23とが動作しないようにしてよい。このようにすれば、電解部23の流路131内を水が通過しない状態で陽極111と陰極112との間に通電が行われることを防止でき、一層、陽極111と陰極112を保護できる。
【0122】
さらに、上記実施の形態では、ポンプ22の下流に電解部23が配置され、容器21内から吸い上げられてポンプ22から送出された水が、電解部23に取り込まれた。しかしながら、ポンプ220の上流に電解部23が配置され、容器21内の水がポンプ22に吸い込まれる前に電解部23を通過するようにされてもよい。何れの構成の場合も、ポンプ22により、容器21から吸い上げられた水が電解部23の流路131を通過してシャワー放出部40およびミスト放出部50へ送られる。
【0123】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0124】
13 モード表示部(報知部)
40 シャワー放出部(放出部)
50 ミスト放出部(放出部)
21 容器(貯水部)
22 ポンプ(送水装置)
23 電解部
60 操作部
81 制御部
89 電流検出部(検出部)
111 陽極
112 陰極
131 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11