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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ガス排出装置、及びガス排出方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
F24F7/06 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022088849
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023176523
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591209280
【氏名又は名称】株式会社フジコー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健吾
(72)【発明者】
【氏名】中島 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英二
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-130811(JP,A)
【文献】特開平04-110545(JP,A)
【文献】特表2003-525526(JP,A)
【文献】特開2007-222938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生部から上昇するガスを外部に排気するガス排出装置であって、
上記ガス発生部から上昇するガスが通過可能な領域を横切るガス誘導路と、
上記ガス誘導路に対し、ガス誘導路の延在方向に向けて空気を送る送風機と、
を備え、
上記ガス誘導路は、下方に開口し且つ横方向に延在するガス誘導溝からなり、そのガス誘導路は、上記ガスが通過可能な位置で、上記上昇するガスが誘導可能な位置が開口しており、
更に、上記上昇してきたガスを上記開口に誘導する案内手段を備える、
ことを特徴とするガス排出装置。
【請求項2】
上記ガスは蒸気である、
ことを特徴とする請求項1に記載したガス排出装置。
【請求項3】
ガス発生部から下降するガスを外部に排気するガス排出装置であって、
上記ガス発生部から下降するガスが通過可能な領域を横切るガス誘導路と、
上記ガス誘導路に対し、ガス誘導路の延在方向に向けて空気を送る送風機と、
を備え、
上記ガス誘導路は、上記ガスが通過可能な位置で、上記下降するガスが誘導可能な位置が開口しており、
更に、上記開口に上記下降してきたガスを誘導する案内手段を備える、
ことを特徴とするガス排出装置。
【請求項4】
上記ガス誘導路は、上方に開口し且つ横方向に延在するガス誘導溝からなる、
ことを特徴とする請求項に記載したガス排出装置。
【請求項5】
ガス発生部から下降するガスを外部に排気するガス排出方法であって、
上記下降するガスが通過可能な位置に、該下降するガスを誘導可能な開口が形成されたガス誘導路に沿ってガスを移動させて排出するにあたり、
上記ガス誘導路内をガス誘導路の延在方向に向けて流れる送風流によって、ガス誘導路に侵入したガスを移動させ
上記下降してきたガスを上記開口に誘導する案内手段を備える、
ことを特徴とするガス排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを外部に排出するための排気技術に関する。排気対象とするガスは、例えば、設備(ガス発生部)で発生し、当該設備の外に漏れ出たガスである。
【0002】
本発明は、例えば、設備(ガス発生部)から発生し、当該設備から上昇する蒸気などのガスであれば適用可能である。また、本発明は、例えば、調理場の鍋、浴室、炊飯器、湯沸かしポット等の日常生活で蒸気が排出する箇所や、蒸気配管や鉄鋼製品の冷却設備等の工場で蒸気が発生する箇所に対して適用可能である。すなわち、本発明は、工業用設備、家庭用設備、調理設備など、蒸気などのガス発生部から上昇するガスを発生する場所であれば適用することが出来る。
ガス発生部から上昇するガスとしては、水蒸気その他の蒸気、一酸化炭素、水素などが例示できる。
【0003】
また本発明は、例えば、設備(ガス発生部)から発生し、当該設備から下降するガスについても適用可能である。本発明は、例えば、ドラフトチャンバー、薬品工場、薬品やガスの保管庫などに適用可能である。ガス発生部から下降するガスとしては、二酸化炭素、塩化水素、塩素、硫化水素、液化石油ガスなどが例示できる。
本発明は、化学実験設備、工業用設備、家庭用設備などで、上記のようなガスを用いる場面であれば、適用することができる。
【背景技術】
【0004】
室内で発生した廃ガスの排出方法としては、例えば特許文献1に記載の方法がある。この方法では、インペラ(羽根車)をモーターで回転させることで、吸引ファンで室内の廃ガスをダクト内に吸引し、当該廃ガスを、ダクトを通じて外部に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-247793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の方法では、発生した廃ガスを含む室内の空気を、吸引ファンによって、ダクト内に強制的に吸引し、室内に存在する廃ガスを外部に排出する。
このように、吸引ファンを用いる場合、ダクト内への空気の強制的な吸引を行う必要が有ることから、ファンに所要の容量(動力)が要求される。この結果、吸引ファンが大型化して、高価な設備となる。
【0007】
本発明は、上記のような点に着目したもので、安価で且つ簡易な構成によって、目的とするガスを排出可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、蒸気などのガス発生部から上昇するガスは、ガス発生部(ガス発生源)から上方に向けて移動し、その移動方向(上方)に向けて開口した凹部があれば、その凹部部分に、ガスが溜まることに着目し、その溜まったガスを送風で押し出すなどによって移動させれば、目的とするガスを、選択的に且つ簡易に排出できるとの知見を得た。
そして、この知見に基づき、本発明をなした。
【0009】
課題解決のために、本発明の一態様は、ガス発生部から上昇するガスを外部に排気するガス排出装置であって、上記ガス発生部から上昇するガスが通過可能な領域を横切るガス誘導路と、上記ガス誘導路に対し、ガス誘導路の延在方向に向けて空気を送る送風機と、を備え、上記ガス誘導路は、上記ガスが通過可能な位置で、上記上昇するガスが誘導可能な位置が開口している、ことを要旨とする。
【0010】
また、本発明の態様は、ガス発生部から下降するガスを外部に排気するガス排出装置であって、上記ガス発生部から下降するガスが通過可能な領域を横切るガス誘導路と、上記ガス誘導路に対し、ガス誘導路の延在方向に向けて空気を送る送風機と、
を備え、上記ガス誘導路は、上記ガスが通過可能な位置で、上記下降するガスが誘導可能な位置が開口している、ことを要旨とする。
【0011】
また、本発明の態様は、ガス発生部から上昇するガスを外部に排気するガス排出方法であって、上記上昇するガスが通過可能な位置に、該上昇するガスを誘導可能な開口が形成されたガス誘導路に沿ってガスを移動させて排出するにあたり、上記ガス誘導路内をガス誘導路の延在方向に向けて流れる送風流によって、ガス誘導路に侵入したガスを移動させる、ことを要旨とする。
【0012】
また、本発明の態様は、ガス発生部から下降するガスを外部に排気するガス排出方法であって、上記下降するガスが通過可能な位置に、該下降するガスを誘導可能な開口が形成されたガス誘導路に沿ってガスを移動させて排出するにあたり、上記ガス誘導路内をガス誘導路の延在方向に向けて流れる送風流によって、ガス誘導路に侵入したガスを移動させる、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、例えば、蒸気などのガス発生部から上昇するガスを対象とする。そして、発生したガスが上方へ移動するという特性を利用して、その上昇してきたガスを、ガス誘導路を流れる送風流で外部に向けて誘導する。このため、本発明の態様によれば、送風機の容量(動力)を、ガスの強制的な吸引方法に比べて大幅に小さくできるので、送風機を小型・軽量化することが可能となる。
また、本発明の他の態様によれば、ガス発生部から下降するガスを対象する。そして、発生したガスが下方へ移動するという特性を利用して、その下降してきたガスを、ガス誘導路を流れる送風流で外部に向けて誘導する。このため、本発明の態様によれば、送風機の容量(動力)を、ガスの強制的な吸引方法に比べて大幅に小さくできるので、送風機を小型・軽量化することが可能となる。
【0014】
この結果、本発明の態様によれば、安価且つ簡易な構成によって、目的とするガスを排出することができる。
また、送風を発生する送風機を小型化できることにより、排気のための稼働エネルギーも小さくすることが可能となる。
ここで、ガス発生部から発生するガスが、吸引することで人体に悪影響を及ぼすようなガスであっても、本発明の態様によれば、発生したガスは、ガスが上昇又は下降する特性を利用して排気できるため、上記のガスが人の顔を通過することなく(吸引する恐れがなく)、排出させることも可能である。このことは、ガス発生部から下降するガスの場合に特に、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るガス排出装置を説明する概念図である。
図2】ガス誘導路(ガス誘導溝)を説明する断面図である。
図3】複数のガス誘導路(ガス誘導溝)の配置例を示す図である。
図4】複数のガス誘導路(ガス誘導溝)の構成例を示す図である。
図5】送風流が形成されたガス誘導路への蒸気の侵入を示す断面図である。
図6】変形例1を説明する図である。
図7】変形例2を説明する図である。
図8】変形例3の例を説明する、上方からみた部分断面図である。
図9】変形例3の例を説明する、ガス誘導路の延在方向に直交する断面図である。
図10】本実施形態の他の例を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
「第1実施形態」
本実施形態では、ガス発生部から上昇するガスとして、蒸気を例に挙げて説明する。
本開示は、ガス発生部から上方に移動するガスであれば適用可能である。本開示が対象とするガス発生部から上昇するガスとしては、蒸気のほか、一酸化炭素や水素などが例示できる。排気対象のガスには他のガスが混ざっていても良い。排気対象のガスへの混入物も、排気対象のガスと共に上方に移動すれば、排気対象のガスと共に排出可能である。
すなわち、排気対象のガスが、ガス発生部の周囲の雰囲気ガスよりも軽いガスであれば、適用可能である。大気開放されている場所であれば、ガス発生部の周囲の大気よりも軽いガスであれば、適用可能である。
【0017】
蒸気には他のガスが混ざっていても良い。本開示によれば、蒸気への混入物も、蒸気と共に上方に移動すれば、蒸気と共に排出可能である。
【0018】
(構成)
本実施形態のガス排出装置1は、ガス発生部10から発生したガスを誘導して外部に排出するための装置である。ガス排出装置1は、図1に示すように、ガス誘導路2と送風機3とを備える。
ここで、図1では、ガス発生部10として、加熱された湯が収容された鍋12内の湯の上面が例示されている。蒸気11が発生している部分が、ガス発生部10である。鍋12自体をガス発生部10とみなしても良い。
【0019】
<ガス誘導路2>
ガス誘導路2は、ガス発生部10から上昇する蒸気11が通過可能な領域を横切るように配置されている。
【0020】
鍋12の上方に送風などの気流がない状態(無風に近い状態)では、鍋12の上方が、上昇する蒸気11が通過可能な領域となる。ただし、鍋12の上方に何らかの気流がある場合には、気流によって、鍋12から上昇する蒸気11が、真上に移動せずに、横方向にオフセットして斜め上方に移動するおそれもある。蒸気11が斜め上方に移動する場合には、鍋12の真上が、上昇する蒸気11が通過可能な領域とならない場合もある。そのような環境雰囲気に応じて、ガス誘導路2の配置を決定すればよい。
【0021】
ガス誘導路2は、少なくとも上昇してきた蒸気11が通過可能な位置で下方に開口2Aとしている。この下方への開口2Aは、蒸気が誘導可能な位置に形成した開口の一例である。開口の位置や向きは、蒸気が誘導可能であれば、下方に限定されない。
本実施形態のガス誘導路2は、下方に開口2Aを有する凹部が横方向に延在してなるガス誘導溝からなる。ガス誘導溝は、図2に示すように、開口2Aを下方に向けた、U字状やコ字状の形状の断面となっている。
【0022】
また、蒸気11の発生領域が広い場合や、ガス誘導路2の設置高さが高い場合には、平面視において、上昇する蒸気11が横に広がる場合もある。
この場合には、図3のように、複数のガス誘導路2(誘導溝)を、幅方向に並列して設置すればよい。複数の誘導路は、個々の独立した部品から構成されていても良いし、図4のように、1つの部品から構成されていてもよい。個々の独立した部品である場合、ガス排出装置1を設置する環境に応じて、必要な本数のガス誘導路2を、適宜、現場で選択して設置可能となる。
図4のように、複数のガス誘導路2(誘導溝)が1つの部品で構成する場合、隣り合うガス誘導路を区画する壁2Bが、整流板のような機能として働く。
【0023】
また、ガス誘導溝の下方への開口2Aに、パンチングメタルやメッシュなどの板材を設置してもよい。板材は、蒸気が通過する領域において、蒸気11が通過可能な複数の開口が形成されていれば問題ない。
【0024】
ガス誘導路2を構成するガス誘導溝の全てが下方に開口していなくても良い。少なくとも蒸気11が上昇してくる領域に位置している部分が下方に開口2Aし、その他が閉塞していてもよい。また、蒸気11が侵入する開口2Aの領域以外の部分を閉塞しなくてもよい。下方が開口している部分が多い方が、蒸気11の導入領域が稼げて好ましい。
【0025】
また、ガス誘導溝は、水平に延在している必要はなく、延在方向が、水平から上向き若しくは下向きに若干傾斜していてもよい。ただし、ガス発生部10の上方を横切る位置では、直線状に延在していることが好ましい。ガス誘導路2を流れる送風流Fを、安定してガス誘導路2に沿って移動可能とするためである。
【0026】
ガス誘導路2は、蒸気(排気対象のガス)に対し耐食性を有する部材や、表面に耐食性の被膜が形成されていればよく、例えば鋼板や塩ビなどの樹脂で構成すればよい。例えば、鋼板をコ字状に折り曲げ加工してガス誘導路2を形成する。又は管体の下部の一部や全部に開口2Aを設けて、ガス誘導路2とする。
【0027】
<送風機3>
送風機3は、ガス誘導路2内に対し、ガス誘導路2の延在方向に向けて空気を送風し、図5のように、ガス誘導路2に沿った送風流Fを形成する装置である。そして、ガス誘導路2は、送風機3からの送風の流れを規定するものである。
【0028】
本実施形態では、送風機3を、ガス誘導路2の一端部側に設置し、その送風が、例えばガス誘導溝の中心に向けて空気を送風するように配置する。
例えば、図2のように、送風機3の送風用開口や回転する羽根車3Aの全部が、ガス誘導溝の断面内に位置するように設置する。
【0029】
すなわち、送風機3からの送風が確実にガス誘導路2内を流れるようにするためには、誘導溝の深さは、送風機3の羽根車3Aの直径以上であることが好ましい。例えば、誘導溝の深さを40cm以上とする。
ここで、複数のガス誘導路2を設ける場合、図3のように、送風機3は、ガス誘導路2毎に設置すれば良い。
【0030】
送風機3による風量は、ガス誘導路2内に、ガス誘導路2に沿った送風流Fが形成可能な風量であって、図5のように、上昇してきた蒸気11が送風流Fによって、ガス誘導路2の延在方向に沿って移動可能(誘導可能)な風量以上かつ上昇してきた蒸気11が逆流しない風量以下となっていればよい。
【0031】
(動作その他)
ガス発生部10を有する鍋12から発生した蒸気11は、大気よりも軽量であるので、上方に移動する。このため、送風機3を駆動していない状態では、鍋12の上方に設置したガス誘導路2における下方を向く開口2Aから、上昇してきた蒸気11が、ガス誘導路2内に侵入する。つまり、上昇してきた蒸気11が、ガス誘導路2内に導入されて当該ガス誘導路2内に溜まる。なお、ガス誘導路2の延在方向に上下の傾斜が付いている場合には、ガス誘導路2内に溜まる蒸気は、その傾斜に沿って若干流れる。
【0032】
送風機3を駆動すると、ガス誘導路2内に溜まった蒸気11は、送風された空気の流れ(送風流F)によってガス誘導路2に沿って押されるように移動する。つまり、ガス誘導路2内に溜まった蒸気11は、送風流Fとともにガス誘導路2内を移動して外部に排出される。
【0033】
続いて、送風機3の駆動中に、ガス誘導路2の開口2A(ガス誘導溝)に向けて上昇してきた蒸気11も、図5のように、ガス誘導路2内に侵入し、侵入した蒸気11は、ガス誘導路2内を流れる送風流Fに巻き込まれるように混合し、又は送風流Fに誘導されて、送風流Fとともにガス誘導路2内を移動して外部に排出される。
【0034】
ここで、本開示では、室内に存在する蒸気11をガス誘導路2内に強制的に吸引する構成ではなく、ガス誘導路2(ガス誘導溝)内を流れる送風流Fに対し、上方に移動してきた蒸気11が自動的に巻き込まれて混合又は誘導されることで、上昇してきた蒸気11が、送風流Fによってガス誘導路2に沿って移動して排出される。このため、送風機3の容量(動力)は、ガス誘導路2内に沿って空気の流れである送風流Fが形成できるだけの風量でよいので、送風機3は小型・軽量化できる。すなわち、ガス排出装置1は、小型化かつ簡易な構成となる。
【0035】
また、上方に移動して開口2Aから侵入してきた蒸気11を選択的に排出するため、より効率良く蒸気11を外部に排出することができる。
【0036】
ここで、ガス誘導路2を構成するガス誘導溝の幅が広すぎると、ガス誘導路2に沿った安定した送風流Fが形成し難くなる。このため、上述のように(図3,4参照)、送風機の幅相当の幅のガス誘導路2を複数個並列することが好ましい。また、ガス誘導路2を流れる送風流Fをより整流とする整流板をガス誘導路2内に配置してもよい。
【0037】
また、ガス誘導路2を、ガス発生部10の上方において、下方全面に開口2Aを有するガス誘導溝で構成した場合、上昇してきた蒸気11の捕捉をより多くすることができる。
また、図2図5のように、ガス誘導路2内において、送風流Fの下方にガス溜まり2Bが形成されている場合、より確実にガス誘導路2内の送風流Fで蒸気11を誘導しやすくなる。
【0038】
(変形例1)
図6に変形例1の構成を例示する
図6のように、ガス誘導路2の開口2Aに連続して下方に延びる案内ダクト5を接続した例である。この案内ダクト5は、案内手段を構成する。
この場合、上昇する蒸気11が広がる前に、上昇する蒸気11が、案内ダクト5に案内されてガス誘導路2に向けて流れるようになる。
【0039】
案内ダクト5の下端部の開口部5aを拡径してもよい。
また、本例では、図6のように、案内ダクト5の上端部5bを、側面視で、ガス誘導路2を流れる送風流Fの向きに沿った方向に傾斜させている。これは、案内ダクト5内を上昇してきた蒸気11を、送風流Fに沿って流れやすくするためである。もっとも、上端部5bを傾斜させなくてもよい。
【0040】
本例では、案内ダクト5によって蒸気11をガス誘導路2に優先的に案内しているため、ガス誘導路2の下方への開口2Aを、案内ダクト5との接続部分だけとする場合が例示されているが、案内ダクト5との接続部分以外も開口2Aとしても良い。
【0041】
ここで、本例の案内ダクト5は、上昇する蒸気11を、蒸気11自体の上方への移動によって、ガス誘導路2へ誘導するだけであって、強制吸引する目的はない。
なお、図6では、第2の送風機6を設けている。第2の送風機6は、送られてきた、蒸気11を含む送風流Fを、上方に誘導するためである。第2の送風機6は、無くてもよい。第2の送風機6もガスを吸引する意図はない。ガス誘導路2を流れてきた送風流Fを、上方に誘導する目的で第2の送風機6を設置している。
【0042】
(変形例2)
変形例2の構成は、変形例1と同様であるが、図7のように、ガス発生源の上方に、横向きの気流がある場合の例である。図7では、ファン20によって紙面方向の気流が形成されている場合を例示している。このファン20も案内手段を構成する。
すなわち、ファンによってガス発生部10の上方に気流がある結果、ガス発生部10である鍋12からの蒸気11が左右に分かれて流れる。このため、変形例2の構成は、左右方向にそれぞれ上記の案内ダクト5を設けた例である。
すなわち、変形例2は、上昇する蒸気11の流れが、ガス発生源から左右にずれている例である。
【0043】
(変形例3)
上記説明では、ガス誘導路2に設ける、蒸気11が誘導可能な位置の開口として、下方に開口2Aを有する場合を例示したが、これに限定されない。すなわち、開口2Aは、蒸気11が誘導可能な位置、あるいは方向であれば、下方への開口に限定されない。例えば、図8図9に示すように、開口2Aは、横方向を向いて開口していても良い。
【0044】
図8図9に示す例では、開口2Aに蒸気11を誘導する案内手段を有する。その案内手段は、一対の側板部30Aと天板部30Bを有し下方が開口した案内路30と、他の送風機31とを備える。他の送風機31は、案内路30内に上昇してきた蒸気11を、開口2Aに向けて送る送風流F2を発生する。
この場合、ガス誘導路2を蒸気11の上昇位置からオフセットして配置可能となる。
【0045】
「第2実施形態」
本実施形態は、二酸化炭素や塩化水素などのガス発生部から下降するガスを排気対象とする例である。
すなわち、本実施形態では、排気対象のガスが、ガス発生部の周囲の雰囲気ガスよりも重いガスであれば、適用可能である。大気開放されている場所であれば、ガス発生部の周囲の大気よりも重いガスであれば、適用可能である。
(構成)
本実施形態のガス排出装置は、ガス発生部40から発生したガスを誘導して外部に排出するための装置である。本実施形態のガス排出装置は、図10に示すように、ガス誘導路2と送風機3とを備える。
ここで、図10では、ガス発生部40から周囲にガス41が漏れ出て、そのガス41が下降する場合を例示している。
【0046】
<ガス誘導路2>
ガス誘導路2は、ガス発生部40から漏れ出て下降するガス41が通過可能な領域を横切るように配置されている。
【0047】
ガス誘導路2は、少なくとも下降してきたガス41が通過可能な位置で上方に開口2Aとしている。この上方への開口2Aは、ガス41が誘導可能な位置に形成した開口の一例である。開口の位置や向きは、蒸気が誘導可能であれば、下方に限定されない。
本実施形態のガス誘導路2は、上方に開口2Aを有する凹部が横方向に延在してなるガス誘導溝からなる。ガス誘導溝は、開口2Aを上方に向けた、U字状やコ字状の形状の断面となっている。
【0048】
<送風機3>
送風機3は、ガス誘導路2内に対し、ガス誘導路2の延在方向に向けて空気を送風し、ガス誘導路2に沿った送風流Fを形成する装置である。そして、ガス誘導路2は、送風機3からの送風の流れを規定するものである。
その他の構成や変形例は、第1実施形態と同様な構成を採用すれば良い。
【0049】
(動作その他)
ガス発生部40から発生したガス41は、下方に移動する。このため、送風機3を駆動していない状態では、ガス誘導路2における上方を向く開口2Aから、下降してきたガス41が、ガス誘導路2内に侵入する。つまり、下降してきたガス41が、ガス誘導路2内に導入されて当該ガス誘導路2内に溜まる。なお、ガス誘導路2の延在方向に上下の傾斜が付いている場合には、ガス誘導路2内に溜まる蒸気は、その傾斜に沿って若干流れる。
【0050】
送風機3を駆動すると、ガス誘導路2内に溜まったガス41は、送風された空気の流れ(送風流F)によってガス誘導路2に沿って押されるように移動する。つまり、ガス誘導路2内に溜まったガス41は、送風流Fとともにガス誘導路2内を移動して外部に排出される。
【0051】
続いて、送風機3の駆動中に、ガス誘導路2の開口2A(ガス誘導溝)に向けて下降してきたガス41も、ガス誘導路2内に侵入し、侵入したガス41は、ガス誘導路2内を流れる送風流Fに巻き込まれるように混合し、又は送風流Fに誘導されて、送風流Fとともにガス誘導路2内を移動して外部に排出される。
【0052】
ここで、本開示では、室内に存在するガス41をガス誘導路2内に強制的に吸引する構成ではなく、ガス誘導路2(ガス誘導溝)内を流れる送風流Fに対し、上方に移動してきたガス41が自動的に巻き込まれて混合又は誘導されることで、下降してきたガス41が、送風流Fによってガス誘導路2に沿って移動して排出される。このため、送風機3の容量(動力)は、ガス誘導路2内に沿って空気の流れである送風流Fが形成できるだけの風量でよいので、送風機3は小型・軽量化できる。すなわち、ガス排出装置は、小型化かつ簡易な構成となる。
【0053】
また、上方に移動して開口2Aから侵入してきたガス41を選択的に排出するため、より効率良くガス41を外部に排出することができる。
また、本開示では、上述のとおり、室内に存在するガス41を室内の空気と共に強制吸引することなく、上昇してきたガス41だけをガス誘導路2に沿って移動させて排気する構成となっているため、ガス41の排気のために、室内に不必要な気流を形成することもない。
その他の構成や効果は、第1実施形態と同様である。
【0054】
(その他)
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)ガス発生部から上昇するガスを外部に排気するガス排出装置であって、
上記ガス発生部から上昇するガスが通過可能な領域を横切るガス誘導路と、
上記ガス誘導路に対し、ガス誘導路の延在方向に向けて空気を送る送風機と、
を備え、
上記ガス誘導路は、上記ガスが通過可能な位置で、上記上昇するガスが誘導可能な位置が開口している。
(2)上記ガス誘導路は、下方に開口し且つ横方向に延在するガス誘導溝からなる。
(3)上記上昇してきたガスを上記開口に誘導する案内手段を備える。
(4)上記ガスは蒸気である。
(5)ガス発生部から下降するガスを外部に排気するガス排出装置であって、
上記ガス発生部から下降するガスが通過可能な領域を横切るガス誘導路と、
上記ガス誘導路に対し、ガス誘導路の延在方向に向けて空気を送る送風機と、
を備え、
上記ガス誘導路は、上記ガスが通過可能な位置で、上記下降するガスが誘導可能な位置が開口している。
(6)上記ガス誘導路は、上方に開口し且つ横方向に延在するガス誘導溝からなる。
(7)上記開口に上記下降してきたガスを誘導する案内手段を備える。
(8)ガス発生部から上昇するガスを外部に排気するガス排出方法であって、
上記上昇するガスが通過可能な位置に、該上昇するガスを誘導可能な開口が形成されたガス誘導路に沿ってガスを移動させて排出するにあたり、
上記ガス誘導路内をガス誘導路の延在方向に向けて流れる送風流によって、ガス誘導路に侵入したガスを移動させる。
(9)上記上昇してきたガスを上記開口に誘導する案内手段を備える。
(10)上記ガスは蒸気である。
(11)ガス発生部から下降するガスを外部に排気するガス排出方法であって、
上記下降するガスが通過可能な位置に、該下降するガスを誘導可能な開口が形成されたガス誘導路に沿ってガスを移動させて排出するにあたり、
上記ガス誘導路内をガス誘導路の延在方向に向けて流れる送風流によって、ガス誘導路に侵入したガスを移動させる。
(12)上記下降してきたガスを上記開口に誘導する案内手段を備える。
【符号の説明】
【0055】
1 ガス排出装置
2 ガス誘導路(ガス誘導溝)
2A 開口
3 送風機
5 案内ダクト
10 ガス発生部
11 蒸気
12 鍋
F 送風流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10