(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F23B 30/04 20060101AFI20241017BHJP
F23L 5/00 20060101ALI20241017BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
F23B30/04
F23L5/00
F23L15/00 A
(21)【出願番号】P 2023069099
(22)【出願日】2023-04-20
【審査請求日】2024-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508312474
【氏名又は名称】山田 義人
(74)【代理人】
【識別番号】110003513
【氏名又は名称】kakeruIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 義人
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第215259842(CN,U)
【文献】実開平06-065721(JP,U)
【文献】特表2002-541372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000236(US,A1)
【文献】特開2018-044753(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1272380(KR,B1)
【文献】米国特許第06164220(US,A)
【文献】米国特許第04878480(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 10/00 - 99/00
F23G 1/00 - 7/14
F23L 5/00 - 5/04
F23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空気を生み出すコンプレッサと、
固体燃料の直接燃焼により高温加圧燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記加圧空気を加熱する一次熱交換器と、
を少なくとも備える燃焼システムであって、
前記燃焼器は、
回転筒部材と、
前記回転筒部材を支持する支持部材と、
前記燃焼器で生じた前記高温加圧燃焼ガスの出口と、
エゼクタと、を備え、
前記燃焼器に、前記コンプレッサで加圧され、且つ、前記一次熱交換器で加熱された空気が、燃焼空気として供給され、
前記出口に、前記エゼクタが設けられ、
前記エゼクタに前記燃焼空気が通過することで、前記高温加圧燃焼ガスが吸引される
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項2】
加圧空気を生み出すコンプレッサと、
固体燃料の直接燃焼により高温加圧燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記加圧空気を加熱する一次熱交換器と、
を少なくとも備える燃焼システムであって、
前記燃焼器は、
回転筒部材と、
前記回転筒部材を支持する支持部材と、
燃焼空気を加熱する二次熱交換器と、を備え、
前記燃焼器に、前記コンプレッサで加圧され、且つ、前記一次熱交換器で加熱された空気が、
前記燃焼空気として供給され、
前記二次熱交換器により加熱された前記燃焼空気により、前記コンプレッサを駆動する
ことを特徴とする燃焼システム。
【請求項3】
前記支持部材は、
前記回転筒部材を、円周方向に回転可能にする回転部材と、
前記燃焼空気が通過する送気路と、を備え、
前記回転部材は、前記送気路から隔離されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記送気路のうち、少なくとも前記回転部材と対する部分に、断熱材を設ける
ことを特徴とする請求項3に記載の燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱量を得るために、様々な燃焼システムが提案されている。このような燃焼システムにおいて、ペレット状やチップ状に形成された固体燃料を燃焼させる技術が提案されている。そして、ペレット状やチップ状に形成された固体燃料の燃焼においては、固体燃料を確実に燃焼させることに困難性があった。
【0003】
このような固体燃料の燃焼を行う燃焼システムとして、例えば、特許文献1に記載されているような、内筒と外筒を備えて一次燃焼と二次燃焼を行う技術が提案されている。
特許文献1の燃焼システムは、外筒と内筒の二重構造を有する筒体に、筒体の開口部に接続されるノズルと、内筒の内部空間に固体燃料を供給する供給路と、内筒の内部空間とノズルの内部空間に空気を供給する通風口とを備え、内筒にまず固体燃料を供給して一次燃焼を行い、ついで一次燃焼により生じたガスと残渣がノズルに回転移動してノズルにおいて二次燃焼を行うようになっている。更には、筒体が回動できることで、燃焼効率を上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された燃焼システムでは、送風機から供給される燃焼空気の温度が低かったため、燃焼空気の供給により、内筒の内部空間の温度が低下してしまい、燃焼効率が悪くなってしまっていた。燃料の燃焼効率が悪くなり、燃料が不完全燃焼を起こした場合にはタール(有機物質を熱分解する際に水素や一酸化炭素、メタンなどのガス成分にならなかった粘り気のある有機系液体)が発生し、そのタールを含んだ燃焼ガスが、燃焼システムを吹き抜けることで、フィルタの目詰まりなどの所謂タールトラブルが生じてしまい、燃焼システムの連続稼動に支障をきたすことになっていた。
【0006】
更には、特許文献1に記載された燃焼システムにおいては、固体燃料を燃焼させたことで灰などが生じるため、この燃焼システムにより生じる燃焼ガスを用いて発電等を行う場合には、燃焼ガスに含まれる灰などが、発電機などに付着して堆積し、発電効率を悪くする可能性があった。
発電機などへの悪影響を防ぐために、ノズルの下流側にバグフィルターを設けることも考えられるが、バグフィルターの機能を低下させないために、バグフィルターの定期的にメンテナンスをする必要があり、燃焼システムの連続稼動に支障をきたすことになっていた。
【0007】
なお、特許文献1に記載された燃焼システムにおいて、燃焼効率を向上させるために、燃焼空気を予め加熱してから、内筒の内部空間に供給することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載された燃焼システムは、筒体を回動させることで、燃焼効率を上げているものであるため、予め加熱した燃焼空気を筒体に供給した場合、例えば軸受やモータなどの、筒体を回転させるための機構も加熱により焼き付いてしまい、連続稼動に支障をきたす可能性があった。
【0008】
本発明は、このような課題を考慮して提案されるもので、固体燃料を直接燃焼させる燃焼システムにおいて、燃焼効率を向上させること、固体燃料を燃焼させたことで生じる灰やタールなどによる悪影響を低減させること、及び、高熱による、筒体を回転させるための機構への悪影響を低減させること、が可能な燃焼システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有している。
[1] 加圧空気を生み出すコンプレッサと、
固体燃料の直接燃焼により高温加圧燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記加圧空気を加熱する一次熱交換器と、
を少なくとも備える燃焼システムであって、
前記燃焼器は、
回転筒部材と、
前記回転筒部材を支持する支持部材と、を備え、
前記燃焼器に、前記コンプレッサで加圧され、且つ、前記一次熱交換器で加熱された空気が、燃焼空気として供給される。
【0010】
[2] 前記燃焼器は、
前記燃焼器で生じた前記高温加圧燃焼ガスの出口と、
前記燃焼空気が通るエゼクタと、を備え、
前記出口に、前記エゼクタが設けられ、
前記エゼクタに前記燃焼空気が通過することで、前記高温加圧燃焼ガスが吸引される。
【0011】
[3] 前記燃焼器は、
前記燃焼空気を加熱する二次熱交換器、を更に備え、
前記二次熱交換器により加熱された前記燃焼空気により、前記コンプレッサを駆動する。
【0012】
[4] 前記支持部材は、
前記回転筒部材を、円周方向に回転可能にする回転部材と、
前記燃焼空気が通過する送気路と、を備え、
前記回転部材は、前記送気路から隔離されている。
【0013】
[5] 前記送気路のうち、少なくとも前記回転部材と対する部分に、断熱材を設ける。
【0014】
上記特徴[1]によれば、燃焼器に供給される空気が、コンプレッサで加圧され、且つ、一次熱交換器で加熱されているため、固体燃料の燃焼効率を向上させることができる。
【0015】
上記特徴[2]によれば、燃焼室の出口にエゼクタが設けられているため、燃焼器で発生する高温加圧燃焼ガスを、効果的に下流側に供給することができる。
【0016】
上記特徴[3]によれば、二次熱交換器により加熱された燃焼空気により、コンプレッサを駆動するため、二次熱交換器より下流側の装置を、灰やタールなどによる悪影響を受け難くさせることができる。
【0017】
上記特徴[4]によれば、回転部材が、燃焼空気が通る流路から隔離されているため、回転部材への熱による悪影響を低減することができる。
【0018】
上記特徴[5]によれば、燃焼空気が通る流路のうち、少なくとも回転部材と対する部分に、断熱材を設けているため、回転部材への熱による悪影響をより低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、個体燃料を直接燃焼させる燃焼システムにおいて、燃焼効率を向上させること、固体燃料を燃焼させたことで生じる灰やタールなどによる悪影響を低減させること、及び、高熱による、筒体を回転させるための機構への悪影響を低減させること、が可能な燃焼システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる燃焼システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態にかかる燃焼器の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態にかかる燃焼器の断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態にかかるパイプフレームの断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態にかかる回転筒部材の筒体における
図3のA-A線における断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態にかかる固体燃料の燃焼方法のフローチャートを示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態にかかる燃焼システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態にかかる燃焼器の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態にかかるエゼクタの構成を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態にかかる燃焼システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態にかかる燃焼器の構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態にかかる燃焼器の断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態にかかる回転筒部材の筒体における
図12のC-C線における断面図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態にかかるパイプフレームにおける
図13のD-D線断面図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態にかかるパイプフレームにおける
図13のE-E線断面図である。
【
図16】本発明の第3の実施形態にかかる固体燃料の燃焼方法のフローチャートを示す図である。
【
図17】本発明の実施形態にかかる燃焼システムの構成の変形例を示すブロック図である。
【
図18】本発明の実施形態にかかる燃焼器の変形例における断面図である。
【
図19】本発明の第1の実施形態にかかる燃焼器の変形例を示す断面図である。
【
図20】本発明の第1の実施形態にかかる回転筒部材の筒体における
図19のB-B線における断面図である。
【
図21】本発明の第1の実施形態にかかるパイプフレームの変形例を示す断面図である。
【
図22】本発明の第2の実施形態にかかる燃焼器の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、本発明の燃焼システムにおいて使用される燃料は、草木、畜ふん、食品残渣や下水汚泥などの有機物(バイオマス燃料)であって、例えばペレット状、チップ状、粒状、繊維状や粉状などの固体状燃焼物である。
【0022】
チップ状、粒状、繊維状や粉状などのバイオマスとは、例えば、刈り取られ破砕された草、木材チップやオガ粉などの草質材や木質材の細分化された固体物や、籾殻などの元々粒状や粉状の流動性のある固体物である。また、以上の細分化された固体を流動性があるように適度にペレット化したものや、きのこの菌床栽培で発生するきのこ廃培地や生ゴミ等の有機廃棄物を原料として粉粒状に乾燥させたものなども含まれる。つまり、所要の大きさよりも小さく形成された状態のものであって、後述する定量供給コンベアなどで自動的に移送することが可能なバイオマスであればよい。
【0023】
1.第1の実施形態
1.1.全体構成
以下、第1の実施形態にかかる燃焼システムの全体構成について、
図1~5を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態にかかる燃焼システムは、燃焼器1、燃料ホッパー2、バグフィルター3、ガスタービン4、タービン発電機5、一次熱交換器6、煙突7とから構成されている。
【0024】
1.1.1.燃焼器1
【0025】
第1の実施形態にかかる燃焼器1は、
図2及び
図3に示すように、回転筒部材1a、支持部材1b、燃料供給部材1c、及び、燃焼室1dとから構成されている。
回転筒部材1aは、
開口部である前端と閉塞部である後端とを有し、同軸において回動可能な外筒102と内筒103との二重構造を有する筒体101と、
筒体101の後端に取り付けられて内筒103と連通する細長の管体104と、
開口部において筒体の外筒102と接続される、耐火層106を内面に備えたノズル105と、
前記閉塞部に形成され、前記内筒103と前記外筒102との隙間を通風路107として経由して前記ノズル105の内部空間に空気を供給する通風口108と、
内筒103の壁面に、通風路107と連通し、軸方向に伸びて設けられる複数本のパイプフレーム109と、
パイプフレーム109の内筒103空間側に複数箇所ずつ形成され、前記通風路107を流れる空気の一部を内筒103の内部空間に吹き出させる小径の吹出口110と、を備え、
前記開口部において外筒102と内筒103との間の開口面積は、前記吹出口110の開口面積以上となっている。
【0026】
また、パイプフレーム109の吹出口110は、
図5に示すように、回転筒部材1aの中心軸方向から傾いた方向を向いている。このような構成とすることで、燃焼空気を効率的に攪拌することができ、固体燃料の燃焼効率を向上させることができる。
そして、第1の実施形態においては、
図5において示されるように、パイプフレーム109の本数は4本であるが、4本に限定されるものではなく、例えば6本、8本、又は、10本とすることもできる。
【0027】
支持部材1bは、
回転筒部材1aをノズル105が上向きとなるように傾斜させて管体104の位置で軸受112を介して、回転筒部材1aを回転自在に軸支する支持体111と、
支持体111に設けられた、回転筒部材1aを円周方向に回転させるモータ113と、
支持体111に設けられた、外気を取り込む燃焼空気入口114を有し、取り込まれた空気を通風口108へ送り込む送気路115と、を備え、
前記軸受112及び前記モータ113が、前記送気路115から隔離されており、
前記送気路115のうち、前記軸受112及び前記モータ113と対する部位に、断熱材120を設けている。
【0028】
回転筒部材1aは、回転した際に、固体燃料が燃焼前に燃焼室1d内に至ることがないように、1~10度程度傾斜させることが好ましいが、傾斜させずに水平とすることもできる。
【0029】
燃料供給部材1cは、
管体104の後端口に、端部口が摺動可能に当接し、内筒103の内部空間に固体燃料を供給する供給路116と、
管体104及び供給路116内に配置されるスクリューコンベヤ117と、
スクリューコンベヤ117を供給路116側で回動させるモータ118と、
供給路116側の空間と大気が連通することを遮断する弁119と、
を備えている。
【0030】
弁119は、供給路116側の空間と大気が連通することを遮断することができれば、その構成は限定されず、例えば、ロータリーバルブ、ナイフゲートバルブ、又は、ダブルダンパなどの構成を採用することができる。
【0031】
なお、燃焼器1における内筒103内に、固体燃料を粉砕するための粉砕部材を多数収容しても良い。粉砕部材は、酸化アルミナを主成分としたもので、外径が4~8mmの粒状に形成されている。
【0032】
また、燃焼器1は、燃焼室1dを備えており、
図3に一部示されているように、燃焼室1dの内部に、回転筒部材1aのノズル105が位置している。
なお、図示しないが、燃焼室1dに、固体燃料の燃焼により発生した灰が、燃焼室1dに設けられた出口部分に至らないようにするために、ノズル105と出口部分との間に、灰を重力沈降させる壁を設けるようにしても良い。また、燃焼室1dを円筒形にして、接線方向から回転筒部材1aのノズル105を接続することで、灰が含まれた高温加圧燃焼ガスを燃焼室1d内で回転するようにし、遠心力で灰を沈降させるようにしても良い。
【0033】
そして、燃焼器1は、図示しないが、点火用バーナーも有している。点火用バーナーは、例えばLPガスを燃焼させるバーナーであって、バーナーノズルの先端を内筒103内に臨む形態に配設することで、固体燃料の着火をできるように設けられている。そして、固体燃料が点火された後は、点火用バーナーへの燃料の供給を止めて、コンプレッサ4bによる送風機能のみを利用してもよい。この送風機能によれば、火吹き竹の原理で燃焼空気を内筒103へ好適に供給でき、固体燃料の燃焼効率を高めることができる。
【0034】
1.1.2.燃料ホッパー2
燃料ホッパー2は、燃焼器1に供給される固体燃料を貯留するものであり、固体燃料を貯留するじょうご型の燃料タンクで構成されている。そして、燃料タンクの下端口は、燃焼器1における燃料供給部材1cの弁119に接続されている。
【0035】
1.1.3.バグフィルター3
バグフィルター3は、燃焼器1において、固体燃料の燃焼により発生した灰や屑などを除去するためのものであり、通常は、サイクロン・フィルタが用いられる。サイクロン・フィルタは、1ミクロン未満の非常に小さな灰の粒子を除去することができないが、このフィルタが除去できない粒子は、十分に小さいので、下流側に位置するガスタービン4などに対する付着、浸食、腐食の問題は最小限度ですむようになっている。
【0036】
1.1.4.ガスタービン4
ガスタービン4は、タービン4a及びコンプレッサ4bを備えるものであり、燃焼器1で生じた高温加圧燃焼ガスによりタービン4aを駆動し、シャフトを通じて、燃焼器1の燃焼空気として導入される空気を加圧するためのコンプレッサ4bを駆動する。具体的には、バグフィルター3を通過した高温加圧燃焼ガスが、ガスタービン4のタービン4aに侵入し、タービン4aの羽根に当たることでタービン4aを駆動すると、シャフトを通じてコンプレッサ4bが駆動され、そのコンプレッサ4bが空気を取り入れ、圧縮空気を排出するようになっている。また、タービン4aに流入した高温加圧燃焼ガスは、タービン発電機5に向けて排出されるようになっている。
【0037】
1.1.5.タービン発電機5
タービン発電機5は、タービン5a及び発電機5bを備えるものであり、タービン4aを通過した高温加圧燃焼ガスによりタービン5aを駆動し、シャフトを通じて、発電機5bを駆動する。発電機5bは、周知の発電機を用いることができる。また、タービン5aに流入した高温加圧燃焼ガスは、一次熱交換器6に向けて排出されるようになっている。
【0038】
1.1.6.一次熱交換器6
一次熱交換器6は、ガスタービン4のコンプレッサ4bから排出される圧縮空気が通る流路6bと、タービン発電機5のタービン5aから排出される高温加圧燃焼ガスが通る流路6aを有しており、互いに熱交換できるようになっている。このような構造となっているため、ガスタービン4のコンプレッサ4bから排出される圧縮空気は、タービン発電機5のタービン5aから排出される高温加圧燃焼ガスにより加熱され、加熱された圧縮空気が、燃焼器1に排出されるようになっている。これにより、燃焼器1では、予め加熱された圧縮空気を、燃焼空気として利用することができるため、燃焼効率を向上させることができる。また、流路6aを通過した高温加圧燃焼ガスは、煙突7に向けて排出される。
【0039】
1.1.7.煙突7
煙突7は、一次熱交換器6から排出される高温加圧燃焼ガスに含まれる灰などを好適に分離するバグフィルター部分を有しており、バグフィルター部分を通過した高温加圧燃焼ガスは、煙突7から大気に排出される。煙突7では、バグフィルター部分を介してから、高温加圧燃焼ガスを大気に排出しているため、大気を汚染する可能性を低減させることができる。
【0040】
1.2.固体燃料の燃焼方法
以下、本発明の第1の実施形態にかかる固体燃料の燃焼方法について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、燃焼方法は、燃料供給工程S1、燃焼工程S2、集塵工程S3、圧縮空気生成工程S4、発電工程S5、一次熱交換工程S6、及び、排気工程S7が含まれたものとなっている。
【0041】
1.2.1.燃料供給工程S1
燃料供給工程S1は、燃料ホッパー2内の固体燃料を、燃焼器1における回転筒部材1aの内筒103に供給する工程である。まず、燃料ホッパー2内の固体燃料が、燃焼器1における弁119を介して、供給路116に供給される。そして、モータ118が駆動されることでスクリューコンベヤ117が回動し、それにより、供給路116に供給された固体燃料は、スクリューコンベヤ117により管体104を通過し、内筒103の内部空間に供給される。次に、モータ113が駆動されることで、回転筒部材1aが回転する。この回転により固体燃料は転動破砕される。また、回転筒部材1aの内筒103内には、粉砕部材が収容されていることから、内筒103の内部空間に供給された固体燃料は、内筒103の回転に合わせて粉砕部材と衝突を繰り返し、細かく粉砕される。ここで、筒体101はノズル105が水平面に対して上向きに傾いているので、筒体101の回転によっても内筒103の内部空間に収容される粉砕部材が飛び出ることはない。
【0042】
1.2.2.燃焼工程S2
燃焼工程S2は、内筒103内の固体燃料を燃焼する工程である。燃料供給工程S1にて、回転筒部材1aの回転及び粉砕部材により粉砕された固体燃料は、図示されない点火用バーナーにて着火されて燃焼を開始する。なお、点火用バーナーにて着火する際には、モータ113の駆動を止めることで、回転筒部材1aの回転を止めても良い。このとき、固体燃料は、回転筒部材1aの回転及び粉砕部材によって細かく粉砕されているので、直接燃焼によるガス化が迅速に行われる。また細かく粉砕されていることで残渣や燃え残りが生じにくく、内筒103に供給された固体燃料の大半は、内筒103での燃焼によってガスが発生しノズル105へ浮遊する。
なお、燃焼システムを立ち上げて、内筒103内で高温加圧燃焼ガスが安定的に供給されるまでは、回転筒部材1aのパイプフレーム109内を通過する燃焼空気が不安定になってしまうため、例えば送風機などを設けて、強制的に燃焼空気を供給できるようにしても良い。
【0043】
1.2.3.集塵工程S3
集塵工程S3は、燃焼工程S2により発生した高温加圧燃焼ガスに含まれる灰や屑などを除去するための工程である。燃焼工程S2により発生した高温加圧燃焼ガスは、流路aを通過し、バグフィルター3に供給される。そして、バグフィルター3により、高温加圧燃焼ガスに含まれる灰や屑などが除去され、高温加圧燃焼ガスは流路bに排出される。
【0044】
1.2.4.圧縮空気生成工程S4
圧縮空気生成工程S4は、集塵工程S3を経た高温加圧燃焼ガスを利用して、圧縮空気を生成する工程である。バグフィルター3を通過した高温加圧燃焼ガスは、ガスタービン4のタービン4aに侵入し、タービン4aの羽根に当たることでタービン4aを駆動する。そして、タービン4aが駆動されると、シャフトを通じてコンプレッサ4bが駆動され、そのコンプレッサ4bが空気を取り入れ、流路fを通じて、圧縮空気を一次熱交換器6に向けて排出するようになっている。また、タービン4aに流入した高温加圧燃焼ガスは、流路cを通じてタービン発電機5に向けて排出されるようになっている。
【0045】
1.2.5.発電工程S5
発電工程S5は、圧縮空気生成工程S4において、タービン4aから流路cを通じて排出された高温加圧燃焼ガスにより発電を行う工程である。流路cを通過した高温加圧燃焼ガスにより、タービン発電機5のタービン5aを駆動し、シャフトを通じて、発電機5bを駆動する。また、タービン5aに流入した高温加圧燃焼ガスは、流路dを通じて一次熱交換器6に向けて排出されるようになっている。
【0046】
1.2.6.一次熱交換工程S6
一次熱交換工程S6は、発電工程S5を経た高温加圧燃焼ガスの熱を、圧縮空気生成工程S4にて生成された圧縮空気に与える工程である。一次熱交換器6において、流路6bを通過する、ガスタービン4のコンプレッサ4bから流路fを通じて排出される圧縮空気が、流路6aを通過する、タービン発電機5のタービン5aから流路dを通じて排出される高温加圧燃焼ガスにより加熱され、加熱された圧縮空気が、流路gを通じて燃焼器1に向けて排出されるようになっている。また、流路6aを通過する高温加圧燃焼ガスは、流路eを通じて排出される。
【0047】
そして、一次熱交換工程S6を経て燃焼器1に向けて排出された加熱圧縮空気は、燃焼工程S2において燃焼空気として利用される。加熱圧縮空気は、
図3に示されるように、加熱空気a0として燃焼器1における支持部材1bの燃焼空気入口114から取り込まれ、送気路115を通過して、通風口108に供給される。通風口108に供給された加熱空気a0は、二次加熱空気a2として、内筒103と外筒102との隙間である通風路107を経由して、ノズル105の内部空間に供給されると共に、
図4、5に示される吸気口127からパイプフレーム109に取り入れられた加熱空気a0は、一次加熱空気a1として、内筒103の内部空間に供給される。なお、送気路115を通過する加熱空気a0の熱が軸受112やモータ113などの回転部材まで伝達しようとするが、送気路115のうち、少なくとも回転部材と対する部分に、断熱材120を設けているため、回転部材は長時間稼動させても焼き付くことがない。
【0048】
パイプフレーム109を経由して内筒103の内部空間に供給された一次加熱空気a1により、粉砕された固体燃料は部分的に燃焼し、その発生した熱で内筒103内の温度がおよそ200~600℃に上昇し、固体燃料に含まれる揮発成分が熱分解してガス化する。固体燃料は、回転筒部材1aの回転及び粉砕部材で粉砕されているから、揮発成分が熱分解し易くなってガス化が迅速に行われる。しかし、供給される空気量が多くないから内筒103の内部空間は低酸素状態に維持され、固体燃料は炎を上げて激しく燃焼することはない。
【0049】
開口部において外筒102と内筒103との間の開口面積は、吹出口110の開口面積以上であり、通風口108から取り込まれる空気量のうち、ノズル105の内部空間に供給される空気量は、内筒103の内部空間に供給される空気量以上である。このため、ノズル105における燃焼温度は、内筒103における燃焼温度よりも高い。すなわち、ノズル105は高温で燃焼する二次燃焼の役割を担う。ノズル105に浮遊してきたガスと残渣は、高温で燃焼され灰化する。残渣や燃え残りが少ないので、完全燃焼されタールが生じることも少ない。確実に灰化されるので、灰は迅速にノズル105から排出される。
【0050】
そのガスと残渣はノズル105へ浮遊し、通風路107を通じて多量に供給された空気と混合して完全燃焼し、燃焼ガスと灰がノズル105から直に排出する。ノズル105の内部空間はおよそ900~1200℃の高温となるが、灰は溶融する前にノズル105から迅速に排出され、クリンカーは生成され難い。
【0051】
1.2.7.排気工程S7
排気工程S7は、一次熱交換工程S6を経た高温加圧燃焼ガスを、煙突7から大気に排出する工程である。煙突7は、一次熱交換器6から、流路eを通じて排出される高温加圧燃焼ガスに含まれる灰を好適に分離するバグフィルター部分を有しており、バグフィルター部分を通過した高温加圧燃焼ガスは、煙突7から大気に排出される。
【0052】
1.3.効果
第1の実施形態の燃焼装置は、以上に詳述したような構成を有するため、固体燃料を燃焼させたことで生じる灰やタールなどによるガスタービン4などへの悪影響を低減させること、予熱された加圧空気を燃焼器1に供給することにより、燃焼効率を向上させること、及び、予熱された加圧空気による、軸受112やモータ113などの回転部材への悪影響を低減させること、が可能な燃焼システムを提供することができる。
【0053】
2.第2の実施形態
2.1.全体構成
以下、第2の実施形態にかかる燃焼システムの全体構成について、
図7~9を参照して説明する。
図7に示すように、本発明の第2の実施形態にかかる燃焼システムは、燃焼器1、燃料ホッパー2、バグフィルター3、ガスタービン4、タービン発電機5、一次熱交換器6、煙突7とから構成されている。
第2の実施形態は、
図8、9に示すように、燃焼器1における燃焼室1dの出口部分に、エゼクタ1eを設けている点、及び、一次熱交換器6を経由した加熱圧縮空気が、燃焼器1における支持部材1bの燃焼空気入口114だけでなく、エゼクタ1eにも供給されている点が、第1の実施形態と異なる。これらの点以外の構成については、第1の実施形態と同じであるため、説明は割愛する。
【0054】
2.1.1.エゼクタ1e
エゼクタ1eは、ポンプ等の機械的駆動に頼らずに、燃焼器1における燃焼室1d内の高温燃焼ガスを取り込むものである。エゼクタ1eは、
図9に示されるように、一次熱交換器6を経由した加熱圧縮空気が通過し、下流側に向かって断面が小さくなるテーバ状のノズル122と、燃焼室1d内の高温燃焼ガスを吸引する吸引口121と、加熱圧縮空気と高温燃焼ガスを混合する混合部を有している。
【0055】
2.2.固体燃料の燃焼方法
以下、本発明の第2の実施形態にかかる固体燃料の燃焼方法について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、固体燃料の燃焼方法は、燃料供給工程S1、燃焼工程S2、集塵工程S3、圧縮空気生成工程S4、発電工程S5、一次熱交換工程S6、及び、排気工程S7が含まれたものとなっている。
第2の実施形態における固体燃料の燃焼方法は、第1の実施形態における固体燃料の燃焼方法のうち、主に一次熱交換工程S6を経た後の燃焼工程S2が異なるのみであるため、それ以外の工程については、説明は割愛する。
【0056】
2.2.1.燃焼工程S2
燃焼工程S2は、内筒103内の固体燃料を燃焼する工程である点では、第1の実施形態と同じである。第2の実施形態では、燃焼室1dの出口部分にエゼクタ1eが付いているため、効率的に、ノズル105において発生した高温燃焼ガスが下流側に運ばれる。具体的には、一次熱交換器6を経由した加熱圧縮空気が、テーバ状のノズル122を通過すると、エゼクタ1e内部の圧力が低下するため、それにより燃焼室1d内の高温燃焼ガスが吸引口121から吸引される。吸引された高温燃焼ガスは、混合部にて、加熱圧縮空気と混合され、下流側に運ばれる。
【0057】
2.3.効果
第2の実施形態の燃焼装置は、以上に詳述したような構成を有するため、第1の実施形態により奏する効果に加え、エゼクタ1eにより、燃焼室1d内の高温加圧燃焼ガスを、より効率的に下流側に供給することができる。
【0058】
3.第3の実施形態
3.1.全体構成
以下、第3の実施形態にかかる燃焼システムの全体構成について、
図10~16を参照して説明する。
図10に示すように、本発明の第3の実施形態にかかる燃焼システムは、燃焼器1、燃料ホッパー2、ガスタービン4、タービン発電機5、一次熱交換器6、煙突7とから構成されている。
第3の実施形態は、
図10及び
図11に示すように、主に、燃焼器1に、二次熱交換器1fを設けている点、バグフィルター3を設けていない点、燃焼室1dから排出される高温燃焼ガスが、一次熱交換器6に供給されている点、及び、タービン発電機5のタービン5aから排出される加熱圧縮空気が、一次熱交換器6を介さずに、加熱空気a0として燃焼器1に供給されている点が、第1の実施形態と異なる。
そして、燃焼器1の構成以外は、第1の実施形態とほぼ同じであるため、説明は割愛する。
【0059】
3.1.1.燃焼器1
【0060】
第3の実施形態にかかる燃焼器1は、
図11に示すように、回転筒部材1a、支持部材1b、燃料供給部材1c、燃焼室1d、及び、二次熱交換器1fから構成されている。以下、主に第1の実施形態と異なる構成について説明する。
回転筒部材1aは、
図12~
図15に示すように、
閉塞部に形成され、内筒103と外筒102との隙間を通風路107として経由して支持部材1bの内部空間に空気を供給する通風口108と、
内筒103の壁面に、通風路107と連通し、軸方向に伸びて設けられる複数本の第2パイプフレーム123と、
第2パイプフレーム123の外筒102側に複数箇所形成され、内筒103の内部空間の熱を受け取った二次加熱空気a3を通風路107に吹き出させる小径の吹出口124と、
を更に備えている。
【0061】
第3の実施形態においては、
図13において示されるように、第2パイプフレーム123の本数は4本であるが、4本に限定されるものではなく、例えば6本、8本、又は、10本とすることもできる。
【0062】
支持部材1bは、
支持体111に設けられた、二次加熱空気a3を、外部に送り出す送気口125を有し、通風口108から取り込まれた加熱空気a0を送気口125へ送り込む送気路126と、
を更に備えている。
【0063】
なお、燃焼器1における、回転筒部材1aの通風路107及び第2パイプフレーム123と支持部材1bの送気路126が、二次熱交換器1fにおける熱を受け取る側の流路を構成している。
【0064】
3.2.固体燃料の燃焼方法
以下、本発明の第3の実施形態にかかる固体燃料の燃焼方法について、
図16を参照して説明する。
図16に示すように、固体燃料の燃焼方法は、燃料供給工程S11、燃焼工程S12、二次熱交換工程S13、圧縮空気生成工程S14、発電工程S15、一次熱交換工程S16、及び、排気工程S17が含まれたものとなっている。
第3の実施形態における固体燃料の燃焼方法のうち、燃料供給工程S11については、第1の実施形態における燃料供給工程S1と同様の工程であるため、説明は割愛する。
【0065】
3.2.1.燃焼工程S12
燃焼工程S12は、内筒103内の固体燃料を燃焼する工程である点では、第1の実施形態と同じである。第3の実施形態では、
図10~12に示すように、燃焼器1により生成された高温加圧燃焼ガスが、流路Fから一次熱交換器6に向けて排出されると共に、二次熱交換器1fにて利用されることが、第1の実施形態と異なる。
【0066】
3.2.2.二次熱交換工程S13
二次熱交換工程S13は、燃焼工程S12において内筒103内で発生した熱を、燃焼器1における回転筒部材1aの第2パイプフレーム123内を通過する加熱空気a0などに与える工程である。
図11、
図12及び
図15に示すように、回転筒部材1aの第2パイプフレーム123内の加熱空気a0は、内筒103内で発生する高温加圧燃焼ガスにより加熱され、加熱された空気が、二次加熱空気a3として、吹出口124から回転筒部材1aの通風路107に排出される。その後、二次加熱空気a3は、支持部材1bの送気路126及び送気口125を通過して、流路Aに排出される。
なお、燃焼システムを立ち上げて、内筒103内で高温加圧燃焼ガスが安定的に供給されるまでは、回転筒部材1aの第2パイプフレーム123内を通過する空気が不安定になってしまうため、送風機などを設けて、強制的に第2パイプフレーム123内に送気するようにしても良い。
【0067】
3.2.3.圧縮空気生成工程S14
圧縮空気生成工程S14は、二次熱交換工程S13を経た二次加熱空気a3を利用して、加圧空気を生成する工程である。二次熱交換工程S13を経た二次加熱空気a3は、ガスタービン4のタービン4aに侵入し、タービン4aの羽根に当たることでタービン4aを駆動すると、シャフトを通じてコンプレッサ4bが駆動され、そのコンプレッサ4bが空気を取り入れ、流路Dを通じて、加圧空気を排出するようになっている。また、タービン4aに流入した二次加熱空気a3は、流路Bを通じて排出されるようになっている。
【0068】
3.2.4.発電工程S15
発電工程S15は、圧縮空気生成工程S14において、タービン4aから流路Bを通じて排出された二次加熱空気a3により発電を行う工程である。流路Bを通過した二次加熱空気a3により、タービン発電機5のタービン5aを駆動し、シャフトを通じて、発電機5bを駆動する。また、タービン5aに流入した二次加熱空気a3は、流路C及び流路Eを通じて燃焼器1に向けて排出されるようになっている。
【0069】
3.2.5.一次熱交換工程S16
一次熱交換工程S16は、燃焼室1dから流路Fを通じて排出される高温加圧燃焼ガスの熱を、圧縮空気生成工程S14にて生成された加圧空気に与える工程である。一次熱交換器6において、ガスタービン4のコンプレッサ4bから流路Dを通じて排出される加圧空気が、流路6bにて、燃焼室1dから流路Fを通じて排出される高温加圧燃焼ガスにより加熱され、加熱された加圧空気が、流路Eを通じて、燃焼器1に排出されるようになっている。また、流路6aを通過した高温加圧燃焼ガスは、流路Gを通じて排出される。
【0070】
そして、一次熱交換工程S16を経て燃焼器1に排出された加熱圧縮空気は、燃焼工程S12において利用されるが、この点は第1実施形態と同じであるため、説明は割愛する。
【0071】
3.2.6.排気工程S17
排気工程S7は、一次熱交換工程S16を経て流路Gから排出された高温加圧燃焼ガスを、煙突7から大気に排出する工程である。煙突7は、一次熱交換器6から、流路Gを通じて排出される高温加圧燃焼ガスに含まれる灰を好適に分離するバグフィルター部分を有しており、バグフィルター部分を通過した高温加圧燃焼ガスは、煙突7から大気に排出される。
【0072】
3.3.効果
第3の実施形態の燃焼装置は、以上に詳述したような構成を有するため、第1の実施形態により奏する効果に加え、二次熱交換器1fにより、高温加圧燃焼ガスに含まれる灰やタールなどが、下流側に位置するガスタービン4やタービン発電機5などに付着することを効果的に抑制することができる。その結果、燃焼システム全体の寿命を長くすることが可能となる。
【0073】
4.その他の実施形態
上記の実施形態においては、燃焼システムにおいて、タービン発電機5を用いて発電する構成を採用したが、発電する構成に限らず、熱水を生成する給湯システム、温風を生成する温調システム、及び、高温による殺菌を行う殺菌システムなどを構築することも可能である。これにより、本発明の燃焼システムを、幅広い用途で使用することができる。
【0074】
また、上記の実施形態においては、コンプレッサ4bを駆動するためのタービン4aと、発電機5bを駆動するためのタービン5aとで、別々のタービンを用いる構成を採用したが、この構成に限らず、
図17に示されるように、コンプレッサ4bと発電機を、一つのタービン4aにて駆動する構成を採用することも可能である。これにより、燃焼システム全体の構造を、簡素化させることができる。
【0075】
更に、上記の実施形態においては、供給路116が、管体104の後端口に当接する構成を採用したが、
図18に示されるように、供給路116を、内筒103の内部空間まで連通させる構成を採用することも可能である。これにより、固体燃料が通過する経路に存在していた、接続箇所が無くなるため、接続箇所に固体燃料が溜まり、固体燃料の供給に支障が出るリスクを回避することが可能となる。
【0076】
そして、上記の実施形態においては、一次熱交換器6は、ガスタービン4のコンプレッサ4bから排出される圧縮空気が通る流路6bと、タービン発電機5のタービン5aから排出される高温加圧燃焼ガスが通る流路6aを有しており、互いに熱交換できるようになっている構成を採用したが、これに限らず、他の熱源により、ガスタービン4のコンプレッサ4bから排出される圧縮空気に熱を加える構成としても良い。他の熱源としては、例えば、他のシステムで生じする蒸気、熱水、又は、熱風などが挙げられる。
【0077】
第1の実施形態においては、内筒103と外筒102との隙間を通風路107として利用する構成を採用したが、
図19及び
図20に示すように、内筒103と外筒102との隙間を、SiC(炭化ケイ素)などの耐火材で構成される内筒103よりも、柔軟性のある断熱材128で埋める構成を採用しても良い。この構成を採用する場合には、
図21に示すように、パイプフレーム109に導入する加熱空気a0は、パイプフレーム109の根本から導入するようにし、ノズル105に向かう二次加熱空気a2は、パイプフレーム109の先端から排出するようにすることが好ましい。内筒103と外筒102との隙間を、柔軟性のある断熱材128で埋めることにより、断熱材128が緩衝材として機能し、回転筒部材1aが回転することによる振動などにより、内筒103が破損する危険性を軽減することができる。
【0078】
第2の実施形態においては、燃焼器1における燃焼室1dの出口部分に、エゼクタ1eを設ける構成を採用したが、
図22に示されるように、燃焼器1における支持部材1bに、出口部分(吸引口121)を設け、その出口部分にエゼクタ1eを設ける構成としても良い。この場合には、高温加圧燃焼ガスa4が、支持部材1bを経由して、吸引口121に至る。これにより、燃焼器1をよりコンパクトに形成することが可能となる。
【0079】
第3の実施形態においては、燃焼器1の下流側且つガスタービン4の上流側に、バグフィルター3を設けていないが、よりクリーンな二次加熱空気a3を供給して、燃焼システムの寿命を向上させることを目的として、バグフィルター3を設けるようにしても良い。
【0080】
また、第3の実施形態においては、燃焼室1dの出口部分にエゼクタを設けていないが、より効率的に高温加圧燃焼ガスを供給することを目的として、エゼクタを設けるようにしても良い。
【0081】
更に、第3の実施形態においては、タービン5aに流入した二次加熱空気a3は、流路C及びEを通じて燃焼器1に向けて排出されるようになっているが、タービン5aに流入した二次加熱空気a3を、一次熱交換器6における流路6aを経由、又は、流路Gを介して、煙突7から排出するようにしても良い。また、タービン5aに流入した二次加熱空気a3を、流路Cを通じて燃焼器1に向けて排出するか、一次熱交換器6を経由して煙突7から排出するかを切り替えられるようにしても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 :燃焼器
1a :回転筒部材
1b :支持部材
1c :燃料供給部材
1d :燃焼室
1e :エゼクタ
1f :二次熱交換器
2 :燃料ホッパー
3 :バグフィルター
4 :ガスタービン
4a :タービン
4b :コンプレッサ
5 :タービン発電機
5a :タービン
5b :発電機
6 :一次熱交換器
6a :流路
6b :流路
7 :煙突
101 :筒体
102 :外筒
103 :内筒
104 :管体
105 :ノズル
106 :耐火層
107 :通風路
108 :通風口
109 :パイプフレーム
110 :吹出口
111 :支持体
112 :軸受
113 :モータ
114 :燃焼空気入口
115 :送気路
116 :供給路
117 :スクリューコンベヤ
118 :モータ
119 :弁
120 :断熱材
121 :吸引口
122 :ノズル
123 :第2パイプフレーム
124 :吹出口
125 :送気口
126 :送気路
127 :吸気口
128 :断熱材
【要約】
【課題】固体燃料を直接燃焼させる燃焼システムにおいて、燃焼効率を向上させることが可能な燃焼システムを提供する。
【解決手段】加圧空気を生み出すコンプレッサ4bと、固体燃料の直接燃焼により高温加圧燃焼ガスを発生させる燃焼器1と、前記加圧空気を加熱する一次熱交換器6と、を少なくとも備える燃焼システムであって、前記燃焼器1は、回転筒部材1aと、前記回転筒部材を支持する支持部材1bと、を備え、前記燃焼システムは、前記燃焼器1に、前記コンプレッサ4bで加圧され、且つ、前記一次熱交換器6で加熱された空気を、燃焼空気として供給する。
【選択図】
図1