(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】金属加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21B 1/22 20060101AFI20241017BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20241017BHJP
H01C 17/07 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B21B1/22 B
H01C13/00 J
H01C17/07
(21)【出願番号】P 2024084755
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523099437
【氏名又は名称】株式会社ジェーシーエム
(73)【特許権者】
【識別番号】524198146
【氏名又は名称】株式会社会幸メタル
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文信
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-108217(JP,A)
【文献】特開平05-192777(JP,A)
【文献】特開平07-009168(JP,A)
【文献】特開2000-114009(JP,A)
【文献】特表2019-536910(JP,A)
【文献】特開2022-077516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/095
1/22
1/38
B21C 37/00 - 37/02
B23K 20/04
H01C 13/00
17/00 - 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一金属体、前記第一金属体に対向して配置された第二金属体、前記第一金属体と前記第二金属体との間に設けられた第三金属体で底部が構成された溝部、を有する金属体を用いて金属加工品を製造する金属加工品の製造方法であって、
前記溝部に形状保持部材が設けられた状態で、前記金属体を圧延する圧延工程と、
前記圧延工程後、前記形状保持部材を除去する形状保持部材除去工程と、を含む、
ことを特徴とする金属加工品の製造方法。
【請求項2】
前記形状保持部材が金属製であり、
前記圧延工程において、前記形状保持部材の下面が前記溝部の前記底部に、前記形状保持部材の一方の側面が前記第一金属体に、前記形状保持部材の他方の側面が前記第二金属体に、それぞれ当接するように、前記形状保持部材を前記溝部に挿入しながら、圧延される、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属加工品の製造方法。
【請求項3】
前記形状保持部材除去工程後、圧延された金属加工品母材の熱処理を行う熱処理工程と、圧延された金属加工品母材を所望の大きさに切断する切断工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属加工品の製造方法。
【請求項4】
前記第一金属体が第一電極、前記第二金属体が第二電極、前記第三金属体が抵抗金属体、をそれぞれ構成し、前記金属加工品が抵抗器に用いられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属加工品の製造方法。
【請求項5】
前記形状保持部材がステンレス、鉄合金、銅合
金の何れかである、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属加工品の製造方法。
【請求項6】
前記溝部を構成する前記第三金属体の厚みと前記形状保持部材の厚みの合計が、前記第一金属体の厚みと前記第二金属体の厚みと同一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シャント抵抗器やコネクター用異形材などの金属加工品の製造方法が開示されている。シャント抵抗器は、一方の電極と他方の電極の間に凹部を形成して構成されるものが多く、抵抗値の精度を確保するために、凹部の形成精度が重要である。これまでに、凹部が形成されたシャント抵抗器の製造方法は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のシャント抵抗器の製造方法は、ニッケル合金などからなる抵抗用合金に銅合金からなる第1電極用金属板を積層し、抗用合金の接合面に対向する面にアルミニウム合金などからなる第2電極用金属板を重ねて積層して接合する接合工程と、第1電極用金属面の所定範囲及び第2電極用金属面の所定範囲を切削により除去する除去工程と、を有する。
特許文献2に記載のシャント抵抗器の製造方法は、抵抗金属板の少なくとも一方の面に銅板をロウ付けし、表面から酸化膜を除去し、銅板の表面の全域にスズめっき膜を形成することにより集合複層板体を形成し、集合複層板体を所望の幅で短冊状に切断し、短冊状の複層板体のスズめっき膜が形成された面から、短辺方向のほぼ中央を所定幅で長辺方向に切削し、スズめっき膜、銅板、ロウ材、及び抵抗金属板とロウ材との少なくとも拡散層を切削により除去して凹部を形成し、凹部の底面に保護膜を形成した後に、短冊状複層板体を所望の幅でチップ状に切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-57010号公報
【文献】特開2009-194316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載の発明のように、凹部を有する金属加工品を製造する際、所定範囲を切削により除去することで凹部を形成している。しかし、切削による方法を用いた場合、切削深さの調整が難しく、さらに切削するための時間がかかるため、短時間で、所望の性能が確保されたシャント抵抗器などの金属加工品を製造することが困難であった。また、所望の性能が確保されていない金属加工品は廃棄されるため、その分コストが発生という課題があった。
【0006】
本発明は、製造時間を短縮すると共に、所望の性能を確保できる金属加工品を製造するための金属加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、第一金属体、第一金属体に対向して配置された第二金属体、第一金属体と第二金属体との間に設けられた第三金属体で底部が構成された溝部を有する金属体を用いて金属加工品を製造する方法であって、溝部に形状保持部材が設けられた状態で、金属体を圧延する圧延工程と、圧延工程後、形状保持部材を除去する形状保持部材除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、形状保持部材が金属製であり、圧延工程において、形状保持部材の下面が溝部の底部に、形状保持部材の一方の側面が第一金属体に、形状保持部材の他方の側面が第二金属体に、それぞれ当接するように、形状保持部材を溝部に挿入しながら、圧延されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、形状保持部材除去工程後、圧延された金属加工品母材の熱処理を行う熱処理工程と、圧延された金属加工品母材を所望の大きさに切断する切断工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、第一金属体が第一電極、第二金属体が第二電極、第三金属体が抵抗金属体、をそれぞれ構成し、金属加工品が抵抗器に用いられることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、形状保持部材がステンレス、鉄合金、銅合金等、第三金属体に類似した加工硬化を有する素材の何れかであることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、溝部を構成する第三金属体の厚みと形状保持部材の厚みの合計が、第一金属体の厚みと第二金属体の厚みと同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、金属体の溝部に形状保持部材が設けられた状態で、金属体を圧延し、圧延後、形状保持部材を除去することで、溝部を有する金属加工品を製造する。形状保持部材の除去は容易に行うことができるため、短時間で製造が可能となる。また、形状保持部材を取り除いた後、溝部は所望の形状が維持され、かつ溝部表面の凹凸が小さいため、金属加工品の性能を確保できる。したがって、本発明に係る金属加工品の製造方法は、目的の金属加工品を精度よく製造でき、廃棄量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る金属加工品の製造方法の金属体(抵抗器体)作製工程を説明するための図であり、(a)は抵抗器体の斜視図、(b)は抵抗器体の側面図を示している。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る金属加工品の製造方法において、抵抗器体の溝部に形状保持部材を設けた図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図を示している。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る金属加工品の製造方法の圧延工程を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図を示している。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る金属加工品の製造方法の形状保持部材除去工程を説明するための図であり、(a)は除去している段階の斜視図、(b)は形状保持部材を除去した後の斜視図を示している。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る金属加工品の製造方法で作製されたシャント抵抗器(金属加工品)を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図を示している。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る金属加工品の製造方法の切断工程により、コネクタの製造を説明するための図であり、(a)は切断前の状態、(b)は切断後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る金属加工品の製造方法は、第一金属体、第一金属体に対向して配置された第二金属体、第一金属体と第二金属体との間に設けられた第三金属体で底部が構成された溝部、を有する金属体を用いて金属加工品を製造する。この金属加工品の製造方法は、溝部に形状保持部材が設けられた状態で金属体を圧延する圧延工程と、圧延工程後、形状保持部材を除去する形状保持部材除去工程と、を含む。第一金属体、第二金属体、第三金属体は、同一の金属体でも、異なる金属体でもよく、この金属加工品の製造方法は、シャント抵抗器、コネクター用異形材、パワートランジスタ部材、リードフレーム部材、LED、端子などに使用される金属加工品を製造するために使用される。
【0016】
[第一実施形態]
本実施形態では、金属加工品の対象をシャント抵抗器とし、金属加工品の製造方法について、
図1から
図5を参照し説明する。
【0017】
本実施形態に係るシャント抵抗器(金属加工品)の製造方法は、
図1(a)及び(b)に示すように、第一金属体(第一電極)1、第一金属体1に対向して配置された第二金属体(第二電極)2、第一金属体1と第二金属体2との間に設けられ、第三金属体(抵抗金属体)3で底部4が構成された溝部5、を有する金属体(抵抗器体)10を用いる。このシャント抵抗器の製造方法は、溝部5を有する抵抗器体10を作製する金属体(抵抗器体)作製工程と、溝部5に形状保持部材6を設け、この形状保持部材6が設けられた状態で、抵抗器体10を圧延する圧延工程と、圧延工程後、形状保持部材6を除去する形状保持部材除去工程と、形状保持部材除去工程後、圧延された抵抗器体10を熱処理する熱処理工程と、所望の大きさに切断する切断工程と、を含む。第一金属体1、第二金属体2及び第三金属体3には、直方体かつ長尺の金属を使用し、第一金属体1と第二金属体2は、同じサイズの金属である。なお、これらの金属体のサイズは、目的に応じて、適宜変更することができる。
なお、以下、
図1(a)及び(b)の抵抗器体10を基準とし、短手方向を左右方向X、長手方向を前後方向Y、高さ方向を上下方向Zとする。
【0018】
以下、本実施形態に係るシャント抵抗器の製造方法の各工程について、説明する。
【0019】
[金属体作製工程]
金属体作製工程では、複数の金属で抵抗器体10を作製する。抵抗器体10において、板状の抵抗金属体3は、第一電極1と第二電極2との間に挟まれて配置され、第一電極1の側面及び第二電極2の側面に、それぞれ溶接されている。この溶接は、例えば、電子ビーム溶接によって実施する。また、抵抗金属体3の上下方向Zの厚みは、第一電極1の厚み及び第二電極2の厚みよりも小さいものを使用する。そのため、第一電極1と第二電極2との間には、抵抗金属体3の上面を底部4とする断面が矩形状の溝部5が形成される(
図1(b))。
【0020】
第一電極1及び第二電極2には、例えば、純銅を使用し、抵抗金属体3には、例えば、銅合金(銅:86%、マンガン:12%、ニッケル2%)やニッケル合金(ニッケル57%以上、クロム、鉄、マンガン含有)、ニクロムなどを使用する。なお、第一電極1、第二電極2、抵抗金属体3は、上記の金属に限定されず、適宜選択することができる。
【0021】
[圧延工程]
抵抗器体10を作製した後、
図2(a)及び(b)に示すように、溝部5に、金属製の形状保持部材6を設けられ、形状保持部材6の下面が溝部5の底部に、形状保持部材6の一方の側面が第一電極1に、形状保持部材6の他方の側面が第二電極2に、それぞれ当接する。この形状保持部材6は、圧延工程後、溝部5の所望の形状を保持するためのダミー材としての機能を担う。形状保持部材6は、溝部5と同じサイズであり、溝部5を構成する抵抗金属体3の厚みT3と形状保持部材6の厚みT6の合計が、第一電極1の厚みT1と第二電極2の厚みT2が同一である(
図2(b))。そのため、溝部5に形状保持部材6が挿入された状態で、抵抗器体10の上面は、ほぼ平面となる。形状保持部材6には、ステンレス、鉄合金、銅合金等、抵抗金属体3に類似した加工硬化を有する素材を用いることができ、第一電極1、第二電極2、抵抗金属体3の金属に併せて、適宜選択する。本実施形態では、ステンレス製の形状保持部材6を用いる。
なお、抵抗金属体3は圧延することで硬くなるため、上記の抵抗金属体3に類似した加工硬化とは、抵抗金属体3と同様に圧延することで硬くなる性質を意味する。
【0022】
圧延工程は、
図3(a)及び(b)に示すように、上下にローラ20が設けられた圧延装置によって行い、溝部5に形状保持部材6を挿入しながら、室温下で上下方向Zから抵抗器体10を押圧する。この際、上側のローラ20は、第一電極1、第二電極2、形状保持部材6を同時に押圧する。圧延工程後、
図3(c)に示すように、圧延された抵抗器体10(以下、抵抗器母材11とも記す)。
【0023】
[形状保持部材除去工程]
圧延工程後、形状保持部材除去工程を行う。この形状保持部材除去工程では、
図4(a)に示すように、抵抗器母材11の溝部5から形状保持部材6を取り除く。この形状保持部材6は、抵抗器母材11の前後方向Yに沿って、製造者の手や機械を使用して取り除く。形状保持部材6が取り除かれた後、
図4(b)に示すように、抵抗器母材11において、第一電極1と第二電極2との間で、溝部5の所望の形状が維持されている。
【0024】
[熱処理工程]
熱処理工程では、強度など所望の材質に調整するために、抵抗器母材11の熱処理を行う。熱処理を行うことで、第一電極1、第二電極2及び抵抗金属体3を構成する金属組織を均一化させることができる。なお、熱処理工程は、後述する切断工程後に行うこともできる。
【0025】
[切断工程]
切断工程では、切断機により、抵抗器母材11を所望のサイズに切断し、
図5(a)及び(b)に示した、チップ型のシャント抵抗器100を得る。
【0026】
次に、本実施形態に係るシャント抵抗器(金属加工品)の製造方法の作用効果について、説明する。
【0027】
本実施形態に係るシャント抵抗器の製造方法では、溝部5に形状保持部材6を挿入した状態で圧延を行った後、形状保持部材6を取り除くことで、圧延した後の抵抗器母材11でも、溝部5が所望の形状に維持される。そして、形状保持部材6を取り除いた後の溝部5の底部4は、切削して凹部を形成した場合と比較し、凹凸が極めて小さく、抵抗金属体3の抵抗値にもばらつきがなく、所望の抵抗値を確保できる。したがって、シャント抵抗器の製造方法は、所望の性能を確保したシャント抵抗器100を製造することができる。
【0028】
従来の切削工程を実施するシャント抵抗器の製造方法では、所望の抵抗値を示さないものが一定数発生し、それらは廃棄されている。
本実施形態に係るシャント抵抗器の製造方法は、所望の抵抗値を示すものを安定して製造することができるため、シャント抵抗器の廃棄量を少なくすることができ、コストを大幅に削減することができる。
【0029】
本実施形態に係るシャント抵抗器の製造方法では、圧延工程後、形状保持部材6を取り除くことで、容易に溝部5を形成することができる。形状保持部材6を取り除く作業は短時間で実施することができ、切削工程を実施する従来の製造方法よりも、短時間で製造することができる。
【0030】
また、本実施形態に係るシャント抵抗器の製造方法で製造されたシャント抵抗器100は、溝部5の底部4の凹凸が極めて小さく、意匠性が高い。
【0031】
[第二実施形態]
本実施形態では、金属加工品の対象を金属製コネクタとし、金属加工品の製造方法を説明する。本実施形態の金属加工品の製造方法の金属体作製工程、圧延工程、形状保持部材除去工程は第一実施形態に係る金属加工製品の製造方法と同様の工程で実施する。
金属体作製工程で作製する金属体12には、例えば、銅合金などを用いる。本実施形態の金属加工品の製造方法では、金属体12を構成する第一金属体1、第二金属体2及び第三金属体3には、銅又はリン青銅を用いる。
【0032】
形状保持部材除去工程後、
図6(a)に示した切断部Lをそれぞれ切断する切断工程を行う。具体的には、第一金属体1の左側方部分、第二金属体2の右側方部分、第三金属体3の中央部分をそれぞれ前後方向Yに沿って切断する。そうすると、
図6(b)に示すように、第一金属体1と第三金属体3から構成されるコネクタ200と、第二金属体2と第三金属体3から構成されるコネクタ200が作製される。これらのコネクタ200は、断面がL字状に形成される。コネクタ200のサイズや構成する金属は、用途などに応じて、適宜決定する。
【0033】
本実施形態に係る金属加工品の製造方法は、形状保持部材6を除去した後の金属体12の第三金属体3の部分を前後方向Yに沿って切断することで、第一金属体1と第三金属体3に種類が異なる金属を用いた場合、端部の金属の種類が異なるコネクタ(金属加工品)200を製造することができる。一方、第一金属体1、第二金属体2、第三金属体3に同一の種類の金属を用いた場合、端部の金属の種類が同一のコネクタ200を製造することができる。このように、第一実施形態で示したシャント抵抗器100のように凹状の溝部を有する金属加工品だけではなく、溝部5を有し、断面がL字状の金属加工品を製造することもできる。また、第一金属体1、第二金属体2などのサイズや第三金属体3の切断位置を調整することで、様々なサイズのコネクタ200を製造することができ、この金属加工品の製造方法はサイズを容易に調整することが可能である。
【0034】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0035】
本実施形態では、シャント抵抗器及びコネクタを例示し、金属加工品の製造方法について説明したが、本発明の金属加工品の製造方法は、溝部や段差が形成される金属加工製品に適用することができる。溝部は1つだけではなく、複数形成される金属加工品を製造するためにも使用することができる。また、溝部を上側だけでなく、下側(両側)や側面に形成する場合にも本発明の製造方法を利用することができる。本発明に係る金属加工品の製造方法において、熱処理工程は必須ではなく、形状保持部材除去工程後、熱処理工程を行わず、切断工程を行ってもよい。
【0036】
本実施形態では、第三金属体を第一金属体と第二金属体とで挟んだ構造を示したが、第三金属体の上面に第一金属体と第二金属体を溶接した構造でもよい。また、形成する溝部の断面形状は矩形状に限定されず、例えば、三角形状の溝部を形成することもできる。
【0037】
以上、本発明に係る金属加工品の製造方法について説明したが、この製造方法は、少量多品種の製造に利用でき、安価に所望の金属加工品を製造することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 第一金属体(第一電極)
2 第二金属体(第二電極)
3 第三金属体(抵抗金属体)
4 底部
5 溝部
6 形状保持部材
10 金属体(抵抗器体)
11 抵抗器母材
12 金属体
20 ローラ
100 シャント抵抗器(金属加工品)
200 コネクタ(金属加工品)
L 切断部
T1,T2,T3,T6 厚み
X 左右方向
Y 前後方向
Z 上下方向
【要約】
【課題】製造時間を短縮すると共に、所望の性能を確保できる金属加工品を製造するための金属加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】金属加工品の製造方法は、第一金属体1、第一金属体1に対向して配置された第二金属体2、第一金属体1と第二金属体2との間に設けられた第三金属体3で底部4が構成された溝部5を有する金属体10を用い、溝部5に金属製の形状保持部材6が設けられた状態で、金属体10を圧延する圧延工程と、圧延工程後、形状保持部材6を除去する形状保持部材除去工程と、を含む。
【選択図】
図4