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  • 特許-種苗育成装置および種苗育成システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】種苗育成装置および種苗育成システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20241017BHJP
   A01G 9/00 20180101ALI20241017BHJP
【FI】
A01G9/02 101K
A01G9/02 101W
A01G9/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020087622
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021180634
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市倉 学
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146803(JP,A)
【文献】特開2015-181377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 - 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部および底壁部を有する容器と、
前記容器が床台に載置された場合、当該床台に配設された送電コイルに対向するように前記容器に配置され、前記送電コイルから非接触で電力を授受する受電コイルと、
前記容器の周壁部または底壁部の少なくとも一方に配設され、前記受電コイルが授受した電力により発熱する発熱体と、
を備え、
前記受電コイルは、前記底壁部に埋設され、
前記発熱体は、前記周壁部に埋設されている、
種苗育成装置。
【請求項2】
周壁部および底壁部を有する容器と、
前記容器が床台に載置された場合、当該床台に配置された高周波電流が流れるコイルに対向するように前記容器に配置され、前記コイルから発生する磁力線により発熱する発熱体と、
を備え、
前記発熱体は、前記底壁部に埋設されている、
種苗育成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の種苗育成装置と、
前記容器が載置される前記床台と、
前記容器の内部の温度を検出する温度センサと、
を備える、種苗育成システム。
【請求項4】
前記底壁部は、貫通穴を有し、
前記温度センサは、前記容器が前記床台に載置された場合、前記床台から前記貫通穴を通って前記容器の内部へ突出する筒状部の内部に配置される、
請求項3に記載の種苗育成システム
【請求項5】
前記貫通穴は、前記容器が前記床台に対して位置決めされるように、前記筒状部に外嵌する、
請求項4に記載の種苗育成システム
【請求項6】
前記底壁部は、水分を前記容器の内部から外部へ排出する排水部を有する、
請求項5に記載の種苗育成システム
【請求項7】
前記底壁部は、前記容器が前記床台に載置された場合、前記底壁部と前記床台との間に前記排水部としての隙間が形成されるように前記床台に当接する脚部を有する、
請求項6に記載の種苗育成システム
【請求項8】
前記床台は、前記容器が前記床台に載置された場合、前記底壁部と前記床台との間に前記排水部としての隙間が形成されるように前記底壁部に当接する凸部を有する、
請求項6に記載の種苗育成システム
【請求項9】
請求項1に記載の種苗育成装置と、
前記容器が載置され、前記受電コイルに電力を供給する送電コイルが配置される床台と、
を備える、
種苗育成システム。
【請求項10】
請求項2に記載の種苗育成装置と、
前記容器が載置され、前記コイルが配置される床台と、
を備える、
種苗育成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種苗育成装置および種苗育成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、温水を通す水管と、水管により温められる水を貯留する貯水部と、用土が入れられる複数の凹部を有する蓋体と、貯水部内の水を凹部へ給水するための布製の給水材とを備える種苗育成装置が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、容器(植木鉢)と、床側から容器へ延在する配線と、容器の側壁に沿って配置され、配線に接続されるヒータとを備える種苗育成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平1-172350号公報
【文献】特開昭64-16530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に係る種苗育成装置は、複数の凹部間で内部温度のむらや、苗の生育速度の差がある場合、苗の生育にばらつきが生じる。また、苗全体の育成が完了するまで次の苗の生育に取りかかれないため、生産性を向上する際に支障となるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に係る種苗育成装置は、例えば、床を洗浄する際に、床側から容器へ延在する配線が障害となって、床を洗浄することが困難となる。また、洗浄具などが配線に触れる場合があるため、耐久性や信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、生産性を向上し、かつ、容器および床台を容易に洗浄することが可能となる種苗育成装置および種苗育成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明における種苗育成装置は、
送電コイルが配設された床台に載置される容器と、
前記容器が前記床台に載置された状態で前記送電コイルに対向するように前記容器に配置され、前記送電コイルから非接触で電力を授受する受電コイルと、
前記容器の周壁部または底壁部の少なくとも一方に配設され、前記受電コイルが授受した電力により発熱する発熱体と、
を備える。
【0009】
また、本発明における種苗育成システムは、
上記の種苗育成装置と、
上記の容器が載置され、上記の受電コイルに電力を供給する送電コイルが配置される床台と、
を備える。
【0010】
また、本発明における種苗育成装置は、
高周波電流が流れるコイルが配設された床台に載置される容器と、
前記容器が前記床台に載置された状態で前記コイルに対向するように前記容器に配置され、前記コイルから発生する磁力線により発熱する発熱体と、
を備える。
【0011】
また、本発明における種苗育成システムは、
上記の種苗育成装置と、
上記の容器が載置され、前記コイルが配置される床台と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生産性を向上し、かつ、床台を容易に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施の形態に係る種苗育成システムの分解斜視図である。
図2図2は、本実施の形態に係る種苗育成システムの平面図である。
図3図3は、本実施の形態に係る種苗育成システムの正面図である。
図4図4は、本実施の形態に係る種苗育成システムの底面図である。
図5図5は、本実施の形態に係る種苗育成システムの軸方向に沿った断面を示す縦断面図である。
図6図6は、縦横マトリックス状に配置された複数の種苗育成システムの平面図である。
図7図7は、種苗育成システムと苗ポットとの関係を示す図である。
図8図8は、本実施の形態の変形例に係る種苗育成システムの軸方向に沿った断面を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る種苗育成システムの分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係る種苗育成システム1の平面図である。図3は、本実施の形態に係る種苗育成システム1の正面図である。図4は、本実施の形態に係る種苗育成システム1の底面図である。図1には、X軸およびY軸が描かれている。図1において、上下方向をX方向又は軸方向といい、上方向を軸方向一側または「+X方向」といい、下方向を軸方向他側または「-X方向」という。また、左右方向をY方向又は径方向といい、X軸から離れる方向を径方向外側又は「+Y方向」、X軸に近づく方向を径方向内側又は「-Y方向」という。
【0015】
図1に示すように、種苗育成システム1は、種子の発芽や苗類の生育を促成するシステムである。種苗育成システム1は、種苗育成装置10と、床台6と、送電コイル7とを備える。なお、種苗育成装置10は、容器2、受電コイル3、発熱体4および温度センサ5を備える。
【0016】
図2に示すように、容器2は、電気絶縁性を有する。容器2は、開口部22、底壁部24および周壁部26を有する。開口部22は、軸方向一側(+X方向)に開かれている。開口部22は、X軸を中心とする円形状を有する。開口部22の周縁部は、径方向外側(+Y方向)に延在し、周縁部の外縁23は、略矩形状を有している。
【0017】
図1および図2に示すように、底壁部24は、開口部22よりも軸方向他側(-X方向)に配置されている。底壁部24は、X軸を中心とする所定厚の円板形状を有する。底壁部24の径は、開口部22の径よりも小さい。
【0018】
図2に示すように、底壁部24の中心部には軸方向(X方向)へ貫通する貫通穴25が配置されている。本実施の形態では、貫通穴25として水抜き穴が用いられる。貫通穴25の周縁は、円弧が円周の半分よりも大きい優弧である円弧状縁部252と、円弧状縁部252の両端を直線状に繋ぐ弦である直線状縁部254とを有している。
【0019】
図3に示すように、底壁部24は、下方向(-X方向)に突出する脚部27を有している。脚部27は、容器2が床台6(平板部62の表面62a)に載置された場合、底壁部24と床台6との間に隙間28が形成されるように床台6と当接する。隙間28は、貫通穴25(図2を参照)を介して容器2の内部に連通している。隙間28は、水分を容器2の内部から外部(床台6側)へ排水する排水部として機能する。
【0020】
図1に示すように、周壁部26は、開口部22の周縁と底壁部24の径方向外側(+Y方向)周縁とを繋ぐ壁である。つまり、周壁部26は、底壁部24側から開口部22の周縁側(+X方向)へ向かって徐々に拡径している。
【0021】
図5は、本実施の形態に係る種苗育成システム1の軸方向に沿った断面を示す縦断面図である。
図1および図5に示すように、受電コイル3は、底壁部24に埋設される。受電コイル3は、送電コイル7から非接触で電力を授受する。受電コイル3は、X軸回りに環状に巻かれる導電線を有する。
【0022】
発熱体4は、周壁部26に埋設される。発熱体4は、例えば、可撓性を有する薄型の面状発熱体である。発熱体4は、周壁部26の内周面に沿うように曲げられ、周壁部26のほぼ全周にわたり配置されている。発熱体4には受電コイル3から電力が供給される。発熱体4は、電気を流すことで発熱する、電極と抵抗体インクを絶縁フィルムに印刷した面状発熱体や、絶縁体に電熱線を配したものや、絶縁シートに金属箔を貼り合わせてエッチングしたもの等がある。
【0023】
温度センサ5は、容器2の内部温度を検出する。温度センサ5の詳細については後述する。
【0024】
図1図2図4および図5に示すように、床台6は、一体成形される平板部62および筒状部64を有する。平板部62は、X軸に対し直交する方向に広がる所定厚を有する矩形状の板であって、+X方向に面する表面62aと、-X方向に面する裏面62bとを有する。平板部62は、裏面62bを+X方向に凹入することで平板部62の板厚が薄くなった凹入部67を有している。
【0025】
筒状部64は、表面62aの中央部から+X方向に延在する円筒部である。筒状部64の外径は、+X方向に向かって徐々に小さくなる。筒状部64の筒内部65の軸方向一側(+X方向)は、軸方向一側端部642により閉塞される。筒内部65の軸方向他側(-X方向)は、裏面62b側に開放されている。
【0026】
筒状部64は、容器2が平板部62に載置される場合、貫通穴25に嵌合する。換言すれば、貫通穴25は、容器2が平板部62に載置される場合、筒状部64に外嵌する。図2に示すように、筒状部64の軸方向他側端部644は、貫通穴25の円弧状縁部252に対応する円弧状筒壁部646と、貫通穴25の直線状縁部254に対応する直線状筒壁部648とを有する。
【0027】
貫通穴25は、容器2が平板部62に載置される場合、筒状部64に外嵌して、容器2を平板部62に対して位置決めする機能を有する。貫通穴25の直線状縁部254は、貫通穴25が筒状部64に外嵌した場合、直線状縁部254と直線状筒壁部648とが互いに当接することで、容器2を筒状部64に対して回り止めする機能を有する。
【0028】
図5に示すように、筒状部64の軸方向一側端部642は、容器2が平板部62に載置される場合、貫通穴25を通って容器2の内部に進出する。筒内部65の軸方向一側には、温度センサ5が配置されている。温度センサ5はリード線8を介して制御装置(不図示)に接続される。リード線8は、筒内部65を通って、裏面62b側に延在する。制御装置は、温度センサ5の検出結果に基づいて送電コイル7に供給する電力の制御を実行する。
【0029】
送電コイル7は、容器2が平板部62に載置された状態で受電コイル3とX方向で対応するように凹入部67に配置されている。送電コイル7は、受電コイル3に非接触で電力を供給する(ワイヤレス給電)。図1に示すように、送電コイル7は、X軸回りに環状に巻かれる導電線を有する。導電線は、例えばバッテリーなどの電力供給源(不図示)に接続されている。
【0030】
次に、種苗育成システム1を用いて種子の発芽や苗類の生育を行う場合の作業について図1から図6を参照して説明する。ここでは、種子80の発芽、および、苗の生育を行う場合について説明する。図6は、縦横マトリックス状に並べられた種苗育成システム1の平面図である。
【0031】
図5に示すように、容器2には用土70が入れられる。用土70の所定位置(用土表面と温度センサ5との中間位置)には種子80が植えられる。このようにして、育苗すべき数量と同数の容器2が準備される。また、容器2の数量と同数以上の床台6が配列される。容器2は床台6に載置される。種苗育成システム1は、例えば図6に示すように、縦横マトリックス状に並べられる。
【0032】
図2に示すように、容器2の貫通穴25を床台6の筒状部64に外嵌することで、容器2が床台6に対して位置決めされる。また、直線状縁部254と直線状筒壁部648とが当接することで、容器2は回り止めされる。これにより、図5に示すように受電コイル3と送電コイル7とがX方向で対向配置される。
【0033】
温度の制御は、温度センサ5の検出結果に基づいて制御装置(不図示)により実行される。図5に示すように、温度センサ5は、種子80の近傍位置に配置されているため、種子80の周囲の温度を正確に検出することが可能となる。また、発熱体4が周壁部26における種子80に比較的近い位置に配置されるため、種子80の周辺を効率的に加熱することができる。
【0034】
発芽に必要な水分が用土70に供給される。例えば、過剰な水分が供給された場合、水分は、図5に示すように、貫通穴25および隙間28を通って容器2の外部に排出される。これにより、過剰な水分の供給によって種子80や苗を腐らせるおそれがない。
【0035】
以上により、容器2内の種子80や苗は、発芽や生育に適した環境(温度、水分など)下に置かれる。
【0036】
容器2は床台6から簡単に取り外すことができるため、容易に洗浄することが可能となる。また、一つの容器内の種子80が発芽し、苗が十分に生育した場合、他の容器2内の苗の生育を待つことなく、容器2を床台6から外すことができる。これにより、床台6に新たな容器2を載置することができるため、生産性を向上することが可能となる。また、貫通穴25を筒状部64から抜くことで、容器2を床台6から簡単に外すことができるため、作業性を上げることが可能となる。
【0037】
本実施の形態においては、図5に示すように、ワイヤレス給電によって発熱体4に電力が供給されるため、容器2が床台6から外された場合、床台6の表面(平板部62の表面62a)上には電力供給用の電気接点や配線などが配置されていない。そのため、床台6の表面を洗浄する際に、接点や配線に水が触れることがないため、導通不良を気にすることなく、容器2や床台6の表面を容易に洗浄することが可能となる。
【0038】
上記実施の形態に係る種苗育成装置10は、送電コイル7が配設された床台6に載置される容器2と、容器2が床台6に載置された状態で送電コイル7に対向するように容器2に配置され、送電コイル7から非接触で電力を授受する受電コイル3と、容器2の周壁部26または底壁部24の少なくとも一方に配設され、受電コイル3が授受した電力により発熱する発熱体4と、を備える。
【0039】
上記構成により、容器2内の苗の生育に応じて床台6から容器2を個々に、他の容器2内の苗の生育に関係なく、取り外すことができるため、他の容器2内の苗の生育を待つことなく、容器2が外された床台6を用いて新たな苗の生育を行うことができる。これにより、容器2の稼働率を上げることができるため、生産性を上げることが可能となる。また、ワイヤレス給電によって発熱体4に電力が供給される。これにより、容器2が外された床台6を洗浄する際に、電力供給用の配線などが支障にならないため、床台6を容易に洗浄することが可能となる。
【0040】
また、上記実施の形態に係る種苗育成装置10においては、温度センサ5は、容器2が床台6に載置された場合、床台6から貫通穴25を通って容器2の内部へ突出する筒状部64の内部に配置される。これにより、種子80や苗の近傍位置に温度センサ5を配置することができるため、種子80や苗の周囲の温度を正確に検出することができる。また、温度センサ5が個々の容器2に配置されるため、苗ポット90(図7を参照)毎に異なる設定温度での温度調節が可能となる。
【0041】
また、上記実施の形態に係る種苗育成装置10においては、貫通穴25は、容器2が床台6に対して位置決めされるように、筒状部64に外嵌する。容器2の位置決めが簡単に行われるため、種苗育成装置10を床台6にセットする際の作業性を上げることができる。
【0042】
また、上記実施の形態に係る種苗育成装置10においては、底壁部24は、容器2が床台6に載置された場合、底壁部24と床台6との間に排水部としての隙間28が形成されるように床台6に当接する脚部27を有する。これにより、水分が貫通穴25を介して容器2の内部から外部に排出できるため、過剰な水分によって種子80や苗を腐らせるおそれがない。
【0043】
また、上記実施の形態に係る種苗育成システム1においては、容器2と床台6との組み合わせたセットにより、種子80の発芽や苗の生育を行うことを可能としたため、発芽させる予定の種子80や、生育させる予定の苗の数に対して、使用するセットの数を容易に対応させることができる。また、苗を育てる場所の大きさや形に合わせて1又は複数のセットを配置することができるため、種苗育成システム1のレイアウトの自由度を上げることが可能となる。
【0044】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0045】
上記実施の形態に係る種苗育成システム1では、発熱体4は、周壁部26に配置されたが、本発明はこれに限らず、例えば、周壁部26に代えて底壁部24に配置されてもよく、周壁部26および底壁部24に配置されてもよい。
【0046】
図7は、種苗育成システム1と苗ポット90との関係を示す図である。上記実施の形態に係る種苗育成システム1では、容器2に苗ポット90を嵌め込み、用土70と種子80を入れて育成する。育成後は、苗ポット90ごと取り外すようにしてもよい。
また、水はけをよくするため、容器2が床台2に載置される場合、床台6に当接する脚部27を底壁部24に設けたが、底壁部24に当接する凸部を床台6に設けてもよい。
【0047】
<変形例1>
次に、本実施の形態の変形例に係る種苗育成システム1について図8を参照して説明する。図8は、変形例に係る種苗育成システム1の軸方向に沿った断面を示す縦断面図である。なお、変形例の説明においては、上記実施の形態と異なる構成を主に説明し、上記実施の形態と同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
上記実施の形態に係る種苗育成システム1は、床台6に配置された送電コイル7と、容器2に配置された受電コイル3と、送電コイル7から受電コイルに供給された電力により発熱する発熱体4とを備えた。
【0049】
これに対して、変形例では、高周波電流が流れるコイル7Aが配設された床台6に載置される容器2と、容器2が床台6に載置された状態でコイル7Aに対向するように容器2に配置され、コイルから発生する磁力線により発熱する発熱体40とを備える。ここで、発熱体40は、例えば、銅、アルミニウムなどの材料により製造される。
【0050】
上記構成により、容器2内の苗の生育に応じて床台6から容器2を個々に、他の容器2内の苗の生育に関係なく、取り外すことができるため、他の容器2内の苗の生育を待つことなく、容器2が外された床台6を用いて新たな苗の生育を行うことができる。これにより、容器2の稼働率を上げることができるため、生産性を上げることが可能となる。また、コイル7Aから発生する磁力線により発熱体40に電磁誘導電流が生じる。電磁誘導電流によって発熱体40が発熱する。これにより、発熱体40を発熱させるための例えば電力供給用の配線が不要となる。その結果、容器2が外された床台6を洗浄する際に、上記の電力供給用の配線などが支障にならないため、床台6を容易に洗浄することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、生産性を向上し、かつ、床台を容易に洗浄することが要求される種苗育成装置を備えた種苗育成システムに好適に利用される。
【符号の説明】
【0052】
1 種苗育成システム
2 容器
3 受電コイル
4,40 発熱体
5 温度センサ
6 床台
7 送電コイル
7A コイル
8 リード線
10 種苗育成装置
22 開口部
24 底壁部
25 貫通穴
26 周壁部
27 脚部
28 隙間
62 平板部
62a 表面
62b 裏面
64 筒状部
65 筒内部
67 凹入部
70 用土
80 種子
90 苗ポット
100 苗
252 円弧状縁部
254 直線状縁部
642 軸方向一側端部
644 軸方向他側端部
646 円弧状筒壁部
648 直線状筒壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8