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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】共連れ防止システム及び共連れ防止方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/15 20200101AFI20241017BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20241017BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20241017BHJP
   G07C 9/25 20200101ALN20241017BHJP
【FI】
G07C9/15
E05B49/00 R
G06Q10/00
G07C9/25
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021054439
(22)【出願日】2021-03-27
(65)【公開番号】P2022151395
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-01-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年11月10日 自社で運営する施設への設置及び該施設での実施
(73)【特許権者】
【識別番号】518414487
【氏名又は名称】株式会社明楽
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】木下 明
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-297833(JP,A)
【文献】特開2010-128976(JP,A)
【文献】登録実用新案第3228205(JP,U)
【文献】特開2019-159574(JP,A)
【文献】特開2007-262695(JP,A)
【文献】特開2006-251934(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00 - 15/00
E05B 49/00
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口に設けられる風除室と、
前記風除室より屋外側に設けられ、入館が許可された登録者に付与されたIDを確認して認証する第1認証手段と、
前記風除室の屋外側に設けられ、前記第1認証手段によって認証されたときに開扉可能となる外扉と、
前記風除室に設けられ、前記風除室の中の人数が1人であることを確認する第2認証手段と、
前記風除室に設けられ、前記風除室の中の人を写して体温が所定の値であること、マスクを着用していること、及びマスクを除いた顔の範囲で顔認識を行って前記IDに該当する登録者であることを確認する第3認証手段と、
前記風除室の屋内側に設けられ、前記第2認証手段及び前記第3認証手段の双方が認証をしたときに開扉可能となる内扉と、
を備えることを特徴とする共連れ防止システム。
【請求項2】
前記第3認証手段が、マスクを装着した状態で顔認識ができないとき、マスクをずらす又は外す旨の要求を表示するとともに、マスクをずらした又は外した状態で顔認識をする請求項1に記載の共連れ防止システム。
【請求項3】
前記風除室の中に人が居るとき、前記内扉が屋内側からの開扉要求では開かない請求項1又は2に記載の共連れ防止システム。
【請求項4】
前記風除室の中に人が居るとき、前記外扉が屋外側からの開扉要求では開かない請求項1ないし3のいずれか1項に記載の共連れ防止システム。
【請求項5】
前記風除室より屋内側に設けられ、入退出のときに前記IDを確認することで前記登録者が在館か否かの在館管理を行う第4認証手段と、
在館している前記登録者の情報を表示する管理画面と、
を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の共連れ防止システム。
【請求項6】
前記第4認証手段が前記登録者の退出を検出してから所定の時間のみ前記内扉が屋内側から開扉可能となる請求項5に記載の共連れ防止システム。
【請求項7】
退出専用の退出用風除室と、
前記退出用風除室の屋内側に設けられ、屋内側からのみ開扉可能となる退出用内扉と、
前記退出用風除室の屋外側に設けられ、前記退出用風除室の中からのみ開扉可能となる退出用外扉と、を備え、
前記内扉は前記第2認証手段及び前記第3認証手段の認証によってのみ前記風除室の中から開扉可能となる請求項1又は2に記載の共連れ防止システム。
【請求項8】
建物の出入口に設けられる風除室より屋外側に設けられる第1認証手段によって、入館が許可された登録者に付与されたIDを確認して認証する第1認証ステップと、
前記風除室の屋外側に設けられ、前記第1認証手段によって認証されたときに開扉可能となる外扉から前記風除室に入る第1入館ステップと、
前記風除室に設けられる第2認証手段によって、前記風除室の中の人数が1人であることを確認する第2認証ステップと、
前記風除室に設けられる第3認証手段によって、前記風除室の中の人を写して体温が所定の値であること、マスクを着用していること、及びマスクを除いた顔の範囲で顔認識を行って前記IDに該当する登録者であることを確認する第3認証ステップと、
前記風除室の屋内側に設けられ、前記第2認証手段及び前記第3認証手段の双方が認証をしたときに開扉可能となる内扉から管理区域に入る第2入館ステップと、
を含むことを特徴とする共連れ防止方法。
【請求項9】
前記第3認証ステップにおいて、前記第3認証手段がマスクを装着した状態で顔認識ができないとき、マスクをずらす又は外す旨の要求を表示するとともに、マスクをずらした又は外した状態で顔認識をする請求項8に記載の共連れ防止方法。
【請求項10】
前記風除室の中に人が居るとき、前記内扉が屋内側からの開扉要求では開かれない請求項8又は9に記載の共連れ防止方法。
【請求項11】
前記風除室の中に人が居るとき、前記外扉が屋外側からの開扉要求では開かれない請求項8ないし10のいずれか1項に記載の共連れ防止方法。
【請求項12】
前記風除室より屋内側に設けられる第4認証手段によって、入退出のときに前記IDを確認することで前記登録者が在館か否かの在館管理を行う第4認証ステップと、
在館している前記登録者の情報を管理画面に表示させる在館表示ステップと、
を含む請求項8ないし11のいずれか1項に記載の共連れ防止方法。
【請求項13】
前記第4認証手段が前記登録者の退出を検出してから所定の時間のみ前記内扉が屋内側から開扉可能となる請求項12に記載の共連れ防止方法。
【請求項14】
屋外から前記風除室及び屋内に入るときは、前記第1認証ステップ、前記第1入館ステップ、前記第2認証ステップ、前記第3認証ステップ、及び前記第2入館ステップを用い、
屋内から屋外へ退出するときは、
屋内側からのみ開扉可能となる退出用内扉を開いて退出用風除室に出る第1退館ステップと、
前記退出用風除室の中からのみ開扉可能となる退出用外扉を開いて屋外に出る第2退館ステップと、を用いる請求項8又は9に記載の共連れ防止方法。
【請求項15】
建物の出入口に設けられる風除室より屋外側に設けられる呼出手段及び管理者が操作する応答手段によって、訪問者を確認し必要に応じて入館を許可する第5認証ステップと、
前記風除室の屋外側に設けられ、前記第5認証ステップによって許可されたときに開扉可能となる外扉から前記風除室に入る第3入館ステップと、
前記風除室に設けられる第2認証手段によって、前記風除室の中の人数が1人であることを確認する第2認証ステップと、
前記風除室に設けられる第3認証手段によって、前記風除室の中の人を写して体温が所定の値であること、及びマスクを着用していることを確認する第6認証ステップと、
前記風除室の屋内側に設けられ、前記第2認証手段及び前記第3認証手段の双方が認証をしたときに開かれる内扉から管理区域に入る第4入館ステップと、
を含むことを特徴とする共連れ防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、許可された登録者の入館、入室、又は入場(以下、「入館」と記載する。)に乗じて、許可されていない人が建物等に入り込むことを防止する共連れ防止システム及び共連れ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅等において居住者等によって入場を許可された者以外の部外者の入場を拒否するセキュリティ機能の強化されたエントランス管理装置を提供することを目的として、特開2007-262695号公報に、建物のエントランス部分の外側に設置される第1ドアと、第1ドア近くの外側壁面に配設される第1ドアに対して解錠条件を付与するための入館者認証手段と、エントランス部分の内部側に形成される認証エリアと、認証エリアを隔てて設置されている第2ドアと、認証エリア内にあって第1ドアを通過した入館希望者の総人数を計数する人感センサ等と、計数された入館希望者の生体情報を入力して認証を行う指紋検出手段と、個人認証が行われた後に第2ドアを解錠するためのタッチパネルと、第2ドアの通過者を撮像する監視カメラとを備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-262695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、感冒の症状がある人の入館、及び感染防止のためのマスクを着用していない人の入館を防止することはできないという課題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、許可されていない人の入館を防止するとともに、感冒の症状がある人の入館、及びマスクを着用していない人の入館を防止することができる共連れ防止システム及び共連れ防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の共連れ防止システムは、
建物の出入口に設けられる風除室と、
前記風除室より屋外側に設けられ、入館が許可された登録者に付与されたIDを確認して認証する第1認証手段と、
前記風除室の屋外側に設けられ、前記第1認証手段によって認証されたときに開扉可能となる外扉と、
前記風除室に設けられ、前記風除室の中の人数が1人であることを確認する第2認証手段と、
前記風除室に設けられ、前記風除室の中の人を写して体温が所定の値であること、マスクを着用していること、及びマスクを除いた顔の範囲で顔認識を行って前記IDに該当する登録者であることを確認する第3認証手段と、
前記風除室の屋内側に設けられ、前記第2認証手段及び前記第3認証手段の双方が認証をしたときに開扉可能となる内扉と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の共連れ防止システムによれば、第3認証手段で体温とマスクを着用しているかの確認を行なうため、感冒の症状がある人及び感染防止の対策をしていない人の入館を防止することができる。また、第3認証手段は、マスクを除いた顔の範囲で顔認識をするため、原則として入場者がマスクを取外す必要がない。
【0008】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例は、
前記第3認証手段が、マスクを装着した状態で顔認識ができないとき、マスクをずらす又は外す旨の要求を表示するとともに、マスクをずらした又は外した状態で顔認識をする。
【0009】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例によれば、マスクをした状態で顔認識ができなくとも、その後に顔認識をすることができる。
【0010】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例は、
前記風除室の中に人が居るとき、前記内扉が屋内側からの開扉要求では開かない。
【0011】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例によれば、屋内側から退出する人に乗じての、許可されていない人のすれ違い進入を防止することができる。
【0012】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例は、
前記風除室の中に人が居るとき、前記外扉が屋外側からの開扉要求では開かない。
【0013】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例によれば、風除室に当該登録者以外の人が入ることがなく、第2認証手段及び第3認証手段の動作を妨げることがない。
【0014】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例は、
前記風除室より屋内側に設けられ、入退出のときに前記IDを確認することで前記登録者が在館か否かの在館管理を行う第4認証手段と、
在館している前記登録者の情報を表示する管理画面と、
を備える。
【0015】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例によれば、第4認証手段及び管理画面を備えることで、どの登録者が建物内に居るのか、及び入館した登録者がまだ建物内に居るのか否かを確認することができる。
【0016】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例は、
前記第4認証手段が前記登録者の退出を検出してから所定の時間のみ前記内扉が屋内側から開扉可能となる。
【0017】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例によれば、退出時も認証が必要なため、許可されていない人が仮に入館しても退出が困難となる。このため、許可されていない人の入館をより効果的に防止することができる。
【0018】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例は、
退出専用の退出用風除室と、
前記退出用風除室の屋内側に設けられ、屋内側からのみ開扉可能となる退出用内扉と、
前記退出用風除室の屋外側に設けられ、前記退出用風除室の中からのみ開扉可能となる退出用外扉と、を備え、
前記内扉は前記第2認証手段及び前記第3認証手段の認証によってのみ前記風除室の中から開扉可能となる。
【0019】
本発明の共連れ防止システムの好ましい例によれば、退出専用の退出用風除室を備えるため、屋内側から退出する人に乗じての、許可されていない人のすれ違い進入をより効果的に防止することができる。
【0020】
本発明の共連れ防止方法は、
建物の出入口に設けられる風除室より屋外側に設けられる第1認証手段によって、入館が許可された登録者に付与されたIDを確認して認証する第1認証ステップと、
前記風除室の屋外側に設けられ、前記第1認証手段によって認証されたときに開扉可能となる外扉から前記風除室に入る第1入館ステップと、
前記風除室に設けられる第2認証手段によって、前記風除室の中の人数が1人であることを確認する第2認証ステップと、
前記風除室に設けられる第3認証手段によって、前記風除室の中の人を写して体温が所定の値であること、マスクを着用していること、及びマスクを除いた顔の範囲で顔認識を行って前記IDに該当する登録者であることを確認する第3認証ステップと、
前記風除室の屋内側に設けられ、前記第2認証手段及び前記第3認証手段の双方が認証をしたときに開扉可能となる内扉から管理区域に入る第2入館ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の共連れ防止方法の好ましい例は、
前記第3認証ステップにおいて、前記第3認証手段がマスクを装着した状態で顔認識ができないとき、マスクをずらす又は外す旨の要求を表示するとともに、マスクをずらした又は外した状態で顔認識をする。
【0022】
(10)本発明の共連れ防止方法の好ましい例は、
前記風除室の中に人が居るとき、前記内扉が屋内側からの開扉要求では開かれない。
【0023】
本発明の共連れ防止方法の好ましい例は、
前記風除室の中に人が居るとき、前記外扉が屋外側からの開扉要求では開かれない。
【0024】
本発明の共連れ防止方法の好ましい例は、
前記風除室より屋内側に設けられる第4認証手段によって、入退出のときに前記IDを確認することで前記登録者が在館か否かの在館管理を行う第4認証ステップと、
在館している前記登録者の情報を管理画面に表示させる在館表示ステップと、
を含む。
【0025】
本発明の共連れ防止方法の好ましい例は、
前記第4認証手段が前記登録者の退出を検出してから所定の時間のみ前記内扉が屋内側から開扉可能となる。
【0026】
本発明の共連れ防止方法の好ましい例は、
屋外から前記風除室及び屋内に入るときは、前記第1認証ステップ、前記第1入館ステップ、前記第2認証ステップ、前記第3認証ステップ、及び前記第2入館ステップを用い、
屋内から屋外へ退出するときは、
屋内側からのみ開扉可能となる退出用内扉を開いて退出用風除室に出る第1退館ステップと、
前記退出用風除室の中からのみ開扉可能となる退出用外扉を開いて屋外に出る第2退館ステップと、を用いる。
【0027】
これらの本発明の共連れ防止方法によれば、上述の共連れ防止システムと同様の作用効果を奏することができる。
【0028】
本発明の共連れ防止方法は、
建物の出入口に設けられる風除室より屋外側に設けられる呼出手段及び管理者が操作する応答手段によって、訪問者を確認し必要に応じて入館を許可する第5認証ステップと、
前記風除室の屋外側に設けられ、前記第5認証ステップによって許可されたときに開扉可能となる外扉から前記風除室に入る第3入館ステップと、
前記風除室に設けられる第2認証手段によって、前記風除室の中の人数が1人であることを確認する第2認証ステップと、
前記風除室に設けられる第3認証手段によって、前記風除室の中の人を写して体温が所定の値であること、及びマスクを着用していることを確認する第6認証ステップと、
前記風除室の屋内側に設けられ、前記第2認証手段及び前記第3認証手段の双方が認証をしたときに開かれる内扉から管理区域に入る第4入館ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の共連れ防止方法によれば、IDが付与されていない人であっても、入館することができる。
【発明の効果】
【0030】
上述したように、本発明の共連れ防止システム及び共連れ防止方法によれば、許可されていない人の入館を防止するとともに、感冒の症状がある人の入館、及びマスクを着用していない人の入館を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る共連れ防止システムを説明する図である。
図2】第3認証手段を説明する図である。
図3】管理画面を説明する図である。
図4】他の実施形態に係る共連れ防止システムを説明する図である。
図5】本発明の一実施形態に係る共連れ防止方法の入館時の動作を説明するフロー図である。
図6】本発明の一実施形態に係る共連れ防止方法の退館時の動作を説明するフロー図である。
図7】本発明の一実施形態に係る共連れ防止方法のIDを持っていない人の入館時の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の共連れ防止システム1及び共連れ防止方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の共連れ防止方法は、本発明の共連れ防止システム1を用いて実施される。
【0033】
先ずは、共連れ防止システム1を説明する。図1に示すように、本実施形態の共連れ防止システム1は、制御部2と、風除室10と、外扉11と、内扉12と、第1認証手段20と、第2認証手段21と、第3認証手段22と、第4認証手段27と、管理画面31と、操作部30と、呼出手段26と、応答手段(図示せず)とを備える。また、本実施形態の共連れ防止システム1が設置される建物3は、前記風除室10と、管理区域4と、カウンター5とを備える。
【0034】
制御部2は、共連れ防止システム1の各構成要素から送信された信号類を処理し、各構成要素に指令を出す等して各構成要素を制御するものである。この制御部2として、例えばCPU、メモリ、外部記憶装置、入出力インターフェース等を備えた機器が採用される。また、制御部2とその他の構成要素とは、有線又は無線で接続される。なお、以下に説明する各構成要素の動作や判断も、必要に応じて制御部2と協働して行なわれる。
【0035】
風除室10は、建物3の出入口に設けられる部屋である。外扉11は、風除室10の屋外側に設けられるもので、電気的に施錠解錠、又は開閉が行えるものが好ましく、本実施形態では自動扉が採用される。内扉12は、風除室10の屋内側に設けられるもので、外扉11同様に電気的に制御可能なものが好ましい。本実施形態では、内扉12も自動扉を採用している。これらの自動扉には人の接近を感知するセンサ(図示せず)が設けられ、このセンサの感知範囲に人が入ると扉が開かれ、所定時間経過後に閉じられる。
【0036】
第1認証手段20は、風除室10より屋外側に設けられ、入館が許可された人(登録者40)を特定するIDを確認して認証するものである。このIDは、例えば入館を許可された会員に付与される会員ID等である。また、IDを確認する方法としては、例えばIDが記憶された磁気カード、ICチップを内蔵したカード、USBメモリ、携帯端末に表示された2次元コード等の認証用キー28を、第1認証手段20に接触又は非接触で読み込ませる方法が採用できる。この第1認証手段20がIDを認証用キー28から読み込んで、入館が許可された人であると確認して認証すると、外扉11が開扉可能になる。
【0037】
第2認証手段21は、風除室10の中に設けられて、風除室10の中の人数が1人であることを確認して認証するものである。ここで風除室10に複数人がいる場合は、入館が許可されない。第2認証手段21としては、風除室10の天井に設けられた人感センサ、カメラ、又は床に敷いたマット等が採用できる。本実施形態では、天井に設けたカメラによって風除室10の中を画像処理して、風除室10の中に居る人数を確認している。なお、風除室10の中に人が居る場合、屋内側からの開扉要求では内扉12は開かれず、屋外側からの開扉要求でも外扉11は開かれない。
【0038】
第3認証手段22は、風除室10の中に設けられるもので、図2にも示すように、表示部23とカメラ24と赤外線放射温度計25とを備える。この第3認証手段22は、風除室10の中の人の顔を写して、体温が所定の値であること、マスク43を着用していること、及びマスク43を除いた顔の範囲で顔認識を行うものである。これらのうち体温は、赤外線放射温度計25等を用いて、顔の皮膚の温度を計測して表示する。このとき、例えば、体温が37.5℃以上であれば異常として入館を許可しないようにしている。なお、独立した赤外線放射温度計25を備えずに、カメラ24で撮像した画像を処理する等して体温を計測してもよい。
【0039】
また、カメラ24で撮像した画像を処理して、マスク43を着用しているか否かの判断をする。このとき、マスク43着用していなければ入館を許可しない。また、カメラ24で撮像した画像を処理して、マスク43を除いた顔の範囲で顔認識を行って第1認証手段20で認証したIDの登録者40であるか否かを判断する。このとき、第1認証手段20で認証したIDの人物と顔が一致しなければ入館を許可しない。また、マスク43を着用している状態で顔認識ができないとき、表示部23にマスク43をずらす又は外す旨の要求を表示する(要求の内容は図示せず。)。そして、再び顔認識を行い、第1認証手段20で認証したIDの登録者であるか否かを判断する。また、これらの体温の測定結果、マスク43の着用状態、顔認識がされた旨の表示を第3認証手段22の表示部23に行なう。これらの第2認証手段21及び第3認証手段22による認証が行なわれて、内扉12が開扉可能となる。
【0040】
第4認証手段27は、風除室10より屋内側に設けられ、入館及び退館する人のIDを確認することで当該IDの人が在館しているか否かの在館管理を行うものである。具体的には、第1認証手段20、第2認証手段21、及び第3認証手段22の全てで認証された人が管理区域4に入った後、認証用キー28をかざす等して操作することで、その人が在館状態と認識される。また、退館するとき、第4認証手段27で退館の操作をしたときから、例えば1分以内等の所定の時間のみ内扉12が屋内側からの開扉要求で開かれるようにすることもできる。本実施形態では、この第4認証手段27は、管理区域4内のカウンタ5ーの上に設置されている。
【0041】
管理画面31は、図3に示すように、様々な情報を表示するものである。この情報として、在館している人の名前や顔写真等を示す在館者一覧32、呼出手段26から送られてきた画像を表示するインターホンカメラ画像36等がある。また、IDが付与されていない訪問者41や認証用キー28を忘れた登録者が来訪したとき、又は何らかの事情で第1認証手段20が上手く機能しなかったとき等のために、手動又は自動で操作される外扉開扉許可ボタン33、第3認証手段顔認識不要ボタン34、内扉開扉許可ボタン35等を備える。
【0042】
なお、本実施形態の共連れ防止システム1は、第4認証手段27によってIDを持つ登録者40が在館状態と認識されれば、管理画面31の在館者一覧32に、在館している人の顔写真や名前等の情報を表示する。また、退館時には同じように認証用キー28で第4認証手段27を操作することで、操作した人は退館したとみなして管理画面31の在館者一覧32から消去する。
【0043】
操作部30は、本実施形態の共連れ防止システム1を管理者42等が操作するもので、例えば公知のキーボード、マウス、タッチパネル等が採用される。この操作部30によって、応答手段、管理画面31の外扉開扉許可ボタン33、第3認証手段顔認識不要ボタン34、内扉開扉許可ボタン35等を操作することができる。
【0044】
呼出手段26は、風除室10の屋外側に設けられるもので、IDが付与されていない訪問者41や認証用キー28を忘れた登録者等が来訪したときに操作して、管理者42に自身の存在を知らしめるものである。この呼出手段26としては、例えばカメラ付きインターホン等が採用される。
【0045】
応答手段は、上記の呼出手段26が操作されたとき、管理者42が応答するものであり、例えばパーソナルコンピュータ、電話機、スマートフォン等の携帯端末等が採用できる。また、この応答手段で応答する管理者42は、建物3内に居る必要はなく、携帯端末等を用いて遠隔地から応答してもよい。本実施形態では応答手段として、管理画面31のインターホンカメラ画像36で訪問者41の画像を確認して、図示しないマイクとスピーカで会話をしている。
【0046】
次に、図4に示す他の実施形態に係る共連れ防止システム100を説明する。なお、上述の共連れ防止システム1と同様の箇所には同じ符号を付して、その説明を省略する。本実施形態の共連れ防止システム100は、上述の共連れ防止システム1の構成に加えて、退出用風除室110と、退出用外扉111と、退出用内扉112とを備える。
【0047】
退出用内扉112は、退出用風除室110の屋内側に設けられ、屋内側からのみ開扉可能に構成される。退出用外扉111は、退出用風除室110の屋外側に設けられ、退出用風除室110の中からのみ開扉可能に構成される。なお、退出用内扉112及び退出用外扉111の開扉要求には特に認証は必要ない。また、風除室10に設けられている内扉12は、第2認証手段21及び第3認証手段22による認証のみによって開扉可能となり、屋内側からの開扉要求では開かない構成となっている。
【0048】
すなわち、風除室10、外扉11、及び内扉12は建物3の中に入る人専用に用いられ、退出用風除室110、退出用外扉111、及び退出用内扉112は建物3からの退出者専用となっている。
【0049】
次に、図5から図7も参照して、上述した本実施形態の共連れ防止システムの各構成要素を踏まえ、本実施形態の共連れ防止方法を説明する。本実施形態の共連れ防止方法は、第1認証ステップと、第1入館ステップと、第2認証ステップと、第3認証ステップと、第2入館ステップと、第4認証ステップと、在館表示ステップと、第5認証ステップと、第3入館ステップと、第6認証ステップと、第4入館ステップとを含む。
【0050】
先ず、図5を参照して、入館時の動作を説明する。最初に、第1認証ステップとして、認証用キー28を第1認証手段20に読み込ませて確認する(S1000)。ここで、第1認証手段20は、当該認証用キー28のIDが入館を許可された登録者40か否かを判断する(S1010)。登録者40でない場合は、入館を許可せず外扉11の屋外側からの開扉許可は出ない(S1020)。一方、IDが登録者40である場合、第1認証手段20による認証がなされる(S1010)。
【0051】
次に、第1入館ステップとして、第2認証手段21によって風除室10の中が無人であるか否かが判断される(S1030)。風除室10の中に他の人が居る場合、中に居る人が風除室10から退出するまで待機となる。次に、風除室10が無人である場合、外扉11が開扉可能となって登録者40が風除室10に入ることができ(S1040)、その後に外扉11が閉じられる(S1050)。
【0052】
次に、第2認証ステップとして、第2認証手段21によって風除室10の中にいる人数が1人か否かが判断される(S1060)。ここで、複数人が風除室10に居る場合は、入館が許可されず内扉12は開扉可能にならない。このとき、風除室10の中に居る人に退館を促すメッセージ等を出すことができる。メッセージとしては音声メッセージや、第3認証手段22の表示部23を用いた文字メッセージ、又は警報等が採用できる。この場合、外扉11は風除室10の内側からは開扉可能になっており、風除室10の中から屋外に出ることができる。一方、風除室10の中の人が1人である場合、第2認証ステップが完了する。
【0053】
次に、第3認証ステップとして、第3認証手段22によって体温、マスク43着用、風除室10の中に居る人が第1認証手段20で読取ったIDの登録者40であるか否かの顔認識がなされる(S1070,S1080,S1100,S1130)。このとき、マスク43を着用した状態で顔認識ができない場合、マスク43をずらす又は外すよう表示部23にメッセージを表示する(S1110,S1120)。そして、顔全体で顔認識をする。これらの体温、マスク着用、顔認識のいずれかで問題があった場合、入館は許可されず内扉12は開扉可能とならない(S1090)。そして、退館を促す要求が出される。
【0054】
一方、体温、マスク着用、顔認識の全てが問題なく、さらに、上記の第2認証ステップでも問題がなければ、次に、第2入館ステップとして、内扉12が開扉可能となって登録者40の管理区域4への入館が可能となり(S1140)、その後に内扉12は閉じられる(S1150)。
【0055】
次に、第4認証ステップとして、第4認証手段27に登録者40が認証キーを読み込ませて確認をする(S1160)。すると、第4認証手段27で入館確認がされて、入館処理がなされる(S1170)。次に、在館表示ステップとして、管理画面31の在館者一覧32に当該IDの登録者40の情報が表示される(S1180)。
【0056】
次に、図6を参照して、退館時の動作を説明する。先ずは、登録者40は第4認証手段27に認証キーを読み込ませ、退館確認をする(S2000)。すると、退館処理がなされ、管理画面31の在館者一覧32から当該IDの登録者40の情報が消える(S2010,S2020)。次に、退館処理から、例えば1分以内の時間内であるか否かが判断される(S2030)。ここで、1分を超過している場合は、再度第4認証手段27で退館確認をして退館処理をする(S2000~)。
【0057】
一方、退館処理から1分以内であれば、次に、第2認証手段21によって、風除室10の中が無人か否かが判断される(S2040)。このとき、風除室10の中に他の人が居る場合、内扉12は屋内側からの開扉許可が出ず、退館する登録者40が内扉12の前に行って自動扉のセンサに感知される等しても内扉12は開かれない。ここで、風除室10の中に居る人が第2認証手段21、及び第3認証手段22での認証を受けて内扉12を開けて入館すれば、退館する登録者40はそのまま風除室10に入ることできる。また、風除室10の中に居る人が外扉11を開けて屋外に出て外扉11が閉じられれば、内扉12は開扉可能となる。
【0058】
次に、上記の第2認証手段21で風除室10の中が無人と判断されれば内扉12が開扉可能となる(S2050)。そして、退館をする登録者40が風除室10に入ると内扉12が閉じられる(S2060)。次に、外扉11が開かれ(S2070)、退館をする登録者40が屋外に出ると外扉11は閉じられる(S2080)。
【0059】
次に、図7を参照して、IDが付与されていない外部からの訪問者41や登録者40であっても認証用キー28を忘れた人等の、第1認証手段20がIDを読み込むことができない場合の入館時の動作を説明する。
【0060】
先ず、第5認証ステップとして、訪問者41は屋外に設けられたカメラ付きインターホン等の呼出手段26で管理者42を呼び出す。呼び出された管理者42は、呼出手段26のカメラ(図示せず)に写された訪問者41を管理画面31のインターホンカメラ画像36等の応答手段で確認する(S3000)。次に、管理画面31のインターホンカメラ画像36を確認した管理者42は、例えば操作部30によって管理画面31に表示された外扉開扉許可ボタン33をクリック等して操作て入館を許可する(S3010)
【0061】
次に、第3入館ステップとして、開扉可能になった外扉11から、訪問者41は風除室10に入ることができる(S3020)。そして、訪問者41が風除室10に入ると外扉11が閉じられる(S3030)。なお、ここではインターホンカメラ画像36を管理画面31に表示させているが、例えば、電話機や携帯端末等に表示させてもよく、外扉開扉許可ボタン33の操作も電話機や携帯端末等からしてもよい(後述する第3認証手段顔認識不要ボタン34、内扉開扉許可ボタン35の操作においても同様。)。
【0062】
次に、第2認証ステップとして、第2認証手段21によって風除室10の中に居る人が1人か否かが判断される(S3040)。このとき、風除室10の中の人数が複数人であるときは、入館不可となりメッセージ等で風除室10の中に居る人に退館を促す。
【0063】
一方、風除室10の中に居る人が1人の場合、次に、第6認証ステップとして、第3認証手段22で体温とマスク43着用の確認をする(S3050,S3060,S3080)。このとき、管理者42によって、操作部30から管理画面31に表示される第3認証手段顔認識不要ボタン34が操作され、顔認識はされない。すなわち、ここでは体温が正常でマスク着用が確認できでればよい。なお、管理者42が外扉開扉許可ボタン33をクリックした時点で、自動的に第3認証手段22による顔認識をキャンセルする仕様にしてもよい。
【0064】
次に、第4入館ステップとして、上記の第2認証ステップと第6認証ステップで問題がなければ、内扉12が風除室10の内側から開扉可能となる(S3090)。そして、訪問者41が入館後に内扉12が閉じられる(S3100)。
【0065】
また、訪問者41が退館するときは、管理者42が操作部30から管理画面31に表示される内扉開扉許可ボタン35を操作する、又は第4認証手段27を操作することで内扉12を屋内側から開扉可能の状態にすればよい。なお、訪問者が認証用キー28を忘れた登録者40である場合、第4認証手段27での認証は管理者42の手動にて行なう。
【0066】
次に、図4に示す共連れ防止システム100を用いた共連れ防止方法を説明する。ここでは、上述の共連れ防止方法に加えて、第1退館ステップと、第2退館ステップとを含む。また、風除室10、外扉11、及び内扉12を通過するのは入館者のみであり、退館者は退出用内扉112、退出用風除室110、及び退出用外扉111を通過して退館する。
【0067】
入館時の動作は上述の前記第1認証ステップ、前記第1入館ステップ、前記第2認証ステップ、前記第3認証ステップ、及び前記第2入館ステップを参照されたい。また、必要に応じて第4認証ステップも行なう。
【0068】
次に、退館時には、必要に応じて第4認証手段27で退館処理を行なう。次に、退出者は屋内側からは開扉可能となっている退出用内扉112を操作する等して開閉させ、退出用風除室110の中に入る。次に、退出用風除室110の中からのみ開扉可能となる退出用外扉111を操作する等して開閉させ屋外に出ればよい。
【0069】
以上、説明したように、本実施形態の共連れ防止システム及び共連れ防止方法によれば、第2認証手段によって風除室の中の人数を検出し、風除室の中が1人でないと内扉の開扉許可を出さないため、共連れを防止することができる。また、第3認証手段で入館を希望する人の体温を測定し、マスクを着用しているか否かを判断することで、感冒の症状がある人及び感染防止の措置を取っていない人の入館を防止することができる。また、第3認証手段では、顔のマスク以外の部分で顔認識を行なうため、登録者の入館が速やかになる。また、仮にマスクを着用した状態で顔認識ができないときは、マスクをずらす又は外す要求を出して、マスクをずらす又は外した状態である顔全体で顔認識をするため、顔認識を確実にすることができる。
【0070】
また、第4認証手段で入館と退館を確認して在館者の情報を管理画面に表示するため、誰が在館しているのかが明確になり、安全性を高めることができる。また、退館時にも第4認証手段によって退館を確認してから所定の時間内にしか内扉が開かれないため、仮に入館を許可されていない人が入館しても退館することができなくなり、共連れをより効果的に防止することができる。また、退館する人が内扉を開けようとしても、風除室の中に人が居るときは屋内側からは開扉可能にならず内扉が開かないため、すれ違い進入による共連れを防止することができる。
【0071】
また、第5認証ステップ及び第6認証ステップによって、訪問者等のIDが付与されていない人であっても、入館することができる。
【0072】
また、退出用風除室、退出用外扉、及び退出用内扉を備える構成では、入館者と退館者とを別々の通路に通すことができ、退館者に乗じての入館をより効果的に防止することができる。また、火災発生時においても迅速に避難することができる。
【0073】
なお、上述の共連れ防止システム及び共連れ防止方法は、本発明の例示であり発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,100・・共連防止システム、2・・制御部、3・・建物、4・・管理区域、5・・カウンター、
10・・風除室、11・・外扉、12・・内扉、
20・・第1認証手段、21・・第2認証手段、22・・第3認証手段、23・・表示部、24・・カメラ、25・・赤外線放射温度計、26・・呼出手段、27・・第4認証手段、28・・認証用キー、
30・・操作部、31・・管理画面、32・・在館者一覧、33・・外扉開扉許可ボタン、34・・第3認証手段顔認識不要ボタン、35・・内扉開扉許可ボタン、36・・インターホンカメラ画像、
40・・登録者、41・・訪問者、42・・管理者、43・・マスク、
110・・退出用風除室、111・・退出用外扉、112・・退出用内扉、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7