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特許7572726中継装置、中継装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】中継装置、中継装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241017BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241017BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20241017BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
G05B19/418 Z
G06Q10/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021083650
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177415
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴之
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-096232(JP,A)
【文献】特開2019-152949(JP,A)
【文献】特許第6152499(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
G05B 19/418
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械及び端末装置の各々と通信する中継装置であって、
前記機械の状態を示す情報を前記機械から取得する取得部と、
前記機械のアラーム状態毎に、前記中継装置により解消可能なアラーム状態であるか否かを示す情報テーブルを記憶する記憶部と、
前記取得部により取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記情報テーブルに基づいて、当該アラーム状態が前記中継装置により解消可能であるか否かを判定する判定部と、
前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると前記判定部が判定した場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を実行する処理部と、
(i)前記取得部により取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記機械がアラーム状態である旨を前記端末装置に通知し、(ii)前記機械のアラーム状態が解消された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知する通信部と、を備え、
前記判定部は、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると判定した場合、前記処理部による当該アラーム状態を解消するための処理の実行の後に、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かを自発的に確認し、
さらに、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消不可であると前記判定部が判定した場合には、前記端末装置を操作するユーザ又は管理者により当該アラーム状態を解消するための対応が実行された後、前記通信部は、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かの確認を要求する確認要求信号を前記端末装置から受信し、
前記判定部は、前記通信部が前記確認要求信号を受信したことをトリガとして、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かを確認し、
前記通信部は、前記機械のアラーム状態が解消されたことが前記判定部により確認された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知する
中継装置。
【請求項2】
前記中継装置は、OPCUA(OPC Unified Architecture)規格に基づいて、前記機械及び前記端末装置の各々と通信する
請求項に記載の中継装置。
【請求項3】
機械及び端末装置の各々と通信する中継装置の制御方法であって、
(a)前記機械の状態を示す情報を前記機械から取得する取得ステップと、
(b)前記(a)で取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記機械のアラーム状態毎に前記中継装置により解消可能なアラーム状態であるか否かを示す情報テーブルに基づいて、当該アラーム状態が前記中継装置により解消可能であるか否かを判定する判定ステップと、
(c)前記(b)で前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると判定された場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を前記中継装置により実行するステップと、
(d)(i)前記(a)で取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記機械がアラーム状態である旨を前記端末装置に通知し、(ii)前記機械のアラーム状態が解消された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知するステップと、を含み、
前記(b)では、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると判定した場合、前記(c)で当該アラーム状態を解消するための処理を実行した後に、前記(a)で取得された情報に基づいて、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かを自発的に確認し、
さらに、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消不可であると前記判定ステップで判定した場合には、前記端末装置を操作するユーザ又は管理者により当該アラーム状態を解消するための対応が実行された後、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かの確認を要求する確認要求信号を前記端末装置から受信し、
前記判定ステップでは、前記確認要求信号を受信したことをトリガとして、前記取得ステップにより取得された情報に基づいて、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かを確認し、
前記(d)では、前記機械のアラーム状態が解消されたことが前記(b)で確認された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知する
中継装置の制御方法。
【請求項4】
請求項に記載の中継装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、中継装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
OPCUA(OPC Unified Architecture)規格に基づいて、機械及び端末装置の各々と通信する中継装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。OPCUA規格は、例えば産業オートメーション分野等において、安全且つ信頼性の高いデータ交換を行うために策定された国際標準規格である。
【0003】
上述したOPCUA規格におけるイベントのフローでは、(a)イベントの発生→(b)イベントの承認→(c)イベントの解消→(d)イベントの解消の確認、という複数のステップが規定されている。例えば、機械がアラーム状態となるイベントが発生した場合には、ユーザは、端末装置を操作することによりイベントの承認を行った後に、イベントを解消するための対応を行う。ユーザによりイベントが解消された場合には、ユーザが端末装置を操作することにより、中継装置においてイベントの解消の確認が実行される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】日本OPC協議会ホームページ、[令和3年4月21日検索]、インターネット<URL:https://jp.opcfoundation.org/about/opc-technologies/opc-ua/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の中継装置では、ユーザがイベントを解消するための対応を行うため、例えばユーザが端末装置から離れた場所にいるなど、ユーザがイベントの発生に気付かない場合には、イベントを解消するための対応が遅れてしまうという課題が生じる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械のアラーム状態を早期に解消することができる中継装置、中継装置の制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る中継装置は、機械及び端末装置の各々と通信する中継装置であって、前記機械の状態を示す情報を前記機械から取得する取得部と、前記機械のアラーム状態毎に、前記中継装置により解消可能なアラーム状態であるか否かを示す情報テーブルを記憶する記憶部と、前記取得部により取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記情報テーブルに基づいて、当該アラーム状態が前記中継装置により解消可能であるか否かを判定する判定部と、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると前記判定部が判定した場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を実行する処理部と、を備える。
【0008】
本態様によれば、処理部は、機械のアラーム状態が中継装置により解消可能であると判定部が判定した場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を実行する。これにより、機械のアラーム状態の種類に応じて、機械のアラーム状態を解消する主体をユーザではなく中継装置とすることによって、ユーザによる対応を待つことなく、機械のアラーム状態を早期に解消することができる。
【0009】
例えば、前記中継装置は、さらに、(i)前記取得部により取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記機械がアラーム状態である旨を前記端末装置に通知し、(ii)前記機械のアラーム状態が解消された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知する通信部を備えるように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、機械がアラーム状態である旨、及び、機械のアラーム状態が解消された旨を、端末装置に通知することができる。
【0011】
例えば、前記判定部は、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると判定した場合、前記処理部による当該アラーム状態を解消するための処理の実行の後に、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かを自発的に確認し、前記通信部は、前記機械のアラーム状態が解消されたことが前記判定部により確認された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知するように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、判定部は、ユーザによる端末装置の操作を待つことなく、機械のアラーム状態が解消されたか否かを早期に確認することができる。
【0013】
例えば、前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消不可であると前記判定部が判定した場合には、前記通信部は、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かの確認を要求する確認要求信号を前記端末装置から受信し、前記判定部は、前記通信部が前記確認要求信号を受信したことをトリガとして、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記機械のアラーム状態が解消されたか否かを確認し、前記通信部は、前記機械のアラーム状態が解消されたことが前記判定部により確認された場合に、前記機械のアラーム状態が解消された旨を前記端末装置に通知するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、機械のアラーム状態が中継装置により解消不可である場合には、例えばユーザからの問い合わせ(確認要求信号)に対して機械のアラーム状態が解消された旨を端末装置に通知することができる。
【0015】
例えば、前記中継装置は、OPCUA(OPC Unified Architecture)規格に基づいて、前記機械及び前記端末装置の各々と通信するように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、機械のアラーム状態が中継装置により解消可能である場合に、OPCUA規格における「イベントの解消」のステップを中継装置で行うことができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る中継装置の制御方法は、機械及び端末装置の各々と通信する中継装置の制御方法であって、(a)前記機械の状態を示す情報を前記機械から取得するステップと、(b)前記(a)で取得された情報により示される前記機械の状態がアラーム状態である場合に、前記機械のアラーム状態毎に前記中継装置により解消可能なアラーム状態であるか否かを示す情報テーブルに基づいて、当該アラーム状態が前記中継装置により解消可能であるか否かを判定するステップと、(c)前記(b)で前記機械のアラーム状態が前記中継装置により解消可能であると判定された場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を前記中継装置により実行するステップと、を含む。
【0018】
本態様によれば、機械のアラーム状態が中継装置により解消可能であると判定された場合に、中継装置により当該アラーム状態を解消するための処理が実行される。これにより、機械のアラーム状態の種類に応じて、機械のアラーム状態を解消する主体をユーザではなく中継装置とすることによって、ユーザによる対応を待つことなく、機械のアラーム状態を早期に解消することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上述した中継装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係る中継装置等によれば、機械のアラーム状態を早期に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る通信システムの概要を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係る中継装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る情報テーブルの一例を示す図である。
図4】実施の形態に係る中継装置の動作の概要を示すフローチャートである。
図5】機械のアラーム状態が中継装置により解消可能である場合における、実施の形態に係る通信システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
図6】機械のアラーム状態が中継装置により解消不可である場合における、実施の形態に係る通信システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
(実施の形態)
[1.通信システムの概要]
まず、図1を参照しながら、実施の形態に係る通信システム2の概要について説明する。図1は、実施の形態に係る通信システム2の概要を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、通信システム2は、中継装置4と、機械6と、クライアント装置8とを備えている。本実施の形態では、通信システム2は、例えば工場内に構築された通信システムである。
【0025】
なお、本実施の形態では、通信システム2は1つの機械6を備えているが、これに限定されず、複数の機械6を備えていてもよい。また、本実施の形態では、通信システム2は1つのクライアント装置8を備えているが、これに限定されず、複数のクライアント装置8を備えていてもよい。
【0026】
中継装置4と機械6とは、通信線10を介して接続されている。通信線10は、例えばEthernet(登録商標)、IP(Internet Protocol)、又は、RS-232C(シリアル通信)等の通信プロトコルで通信可能な通信線である。通信線10で実現される通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。具体的には、通信線10は、例えば有線LAN(Local Area Network)で構成された有線ネットワーク、又は、IEEE802.11規格に準拠した無線ネットワークで構築されている。
【0027】
中継装置4とクライアント装置8とは、ネットワーク12を介して接続されている。ネットワーク12で実現される通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。具体的には、ネットワーク12は、例えば有線LANで構築された有線ネットワーク、又は、IEEE802.11規格に準拠した無線ネットワークで構築されている。
【0028】
中継装置4は、OPCUA規格に基づいて、機械6及びクライアント装置8の各々と通信するためのOPCUAサーバである。中継装置4は、機械6とクライアント装置8との間で、各種データを中継する。
【0029】
機械6は、例えばワークに対して所定の加工を施すための旋盤、ボール盤、フライス盤、レーザ加工機又は溶接機等の各種工作機械である。なお、機械6は、工作機械に限定されず、例えば産業ロボット又は測定機械等の各種産業機械であってもよい。
【0030】
機械6は、当該機械6の状態を検出するためのセンサ(図示せず)を有している。センサは、例えば、機械6の温度を検出する温度センサ、及び、機械6の部品の損傷を検出するカメラセンサ等を含む。機械6は、センサにより検出された当該機械6の状態を示す情報を、中継装置4に送信する。
【0031】
クライアント装置8は、ユーザ14により操作される端末装置の一例であり、例えばパーソナルコンピュータ等である。クライアント装置8は、ユーザ14の操作に応じて、中継装置4を介して機械6から当該機械6の状態を示す情報を取得し、取得した情報をユーザ14に提示する。なお、クライアント装置8は、中継装置4に対して機械6の状態を示す情報を取得するための取得要求信号を定期的に送信してもよいし、ユーザ14の指示に基づいて当該取得要求信号を送信してもよい。また、クライアント装置8は、ユーザ14に限定されることなく、例えばシステムの管理者等により操作されてもよい。
【0032】
[2.中継装置の機能構成]
図2及び図3を参照しながら、実施の形態に係る中継装置4の機能構成について説明する。図2は、実施の形態に係る中継装置4の機能構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態に係る情報テーブル26の一例を示す図である。
【0033】
図2に示すように、中継装置4は、取得部16と、記憶部18と、判定部20と、処理部22と、通信部24とを備えている。
【0034】
取得部16は、機械6の状態を示す情報を、通信線10(図1参照)を介して機械6から取得する。取得部16は、機械6の状態を示す情報を取得するための取得要求信号、又は、機械6のアラーム状態が解消されたか否かの確認を要求するための確認要求信号を機械6に送信することにより、当該情報を取得する。また、取得部16は、機械6がアラーム状態であることを示すアラーム信号を機械6から取得してもよい。
【0035】
記憶部18は、各種データを記憶するためのメモリである。具体的には、記憶部18は、機械6のアラーム状態毎に、中継装置4により解消可能なアラーム状態であるか否かを示す情報テーブル26を記憶する。ここで、機械6がアラーム状態であるとは、当該機械6の状態が、通常の状態を逸脱した状態であって、当該機械6又はその周囲に危険を及ぼすおそれがある状態だけでなく、当該機械6で生じる様々な状態(事象)のうち、クライアント装置8を利用するユーザ14に伝えるべき状態(事象)も含む概念である。
【0036】
また、記憶部18は、処理部22が機械6のアラーム状態の解消のために行う処理の手順も記憶する。より具体的には、例えば当該手順は、記憶部18に記憶されている中継装置4を制御するための制御プログラムに含まれる。
【0037】
なお、処理部22が機械6のアラーム状態の解消のために行う処理の手順は、工場出荷時に予め設定されていてもよいし、ユーザ14により適宜更新されてもよい。例えば、当該手順は、ユーザ14等により、ネットワーク12を介してクライアント装置8から更新されてもよいし、中継装置4に備わる通信インターフェース(図示せず)にローカル接続して更新されてもよい。
【0038】
情報テーブル26は、例えば図3に示すようなデータテーブルである。図3に示す例では、情報テーブル26の1行目には、機械6のアラーム状態として「温度上昇」、中継装置4によるアラーム状態の解消の可否として「可」が格納されている。また、情報テーブル26の2行目には、機械6のアラーム状態として「部品の損傷」、中継装置4によるアラーム状態の解消の可否として「否」が格納されている。なお、情報テーブル26は、工場出荷時に予め設定されていてもよいし、ユーザ14等により適宜更新されてもよい。
【0039】
判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6がアラーム状態であるか否かを確認する。例えば、機械6の温度センサが所定の温度よりも高い温度を検出した場合には、判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、当該機械6がアラーム状態であることを確認する。また例えば、機械6のカメラセンサが機械6の部品の損傷を検出した場合には、判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、当該機械6がアラーム状態であることを確認する。
【0040】
判定部20は、機械6がアラーム状態である場合(すなわち、取得部16により取得された情報により示される機械6の状態がアラーム状態である場合)に、情報テーブル26に基づいて、当該アラーム状態が中継装置4により解消可能であるか否かを判定する。例えば、機械6のアラーム状態が「温度上昇」である場合には、判定部20は、情報テーブル26を参照することにより、当該アラーム状態が中継装置4により解消可能であると判定する。また例えば、機械6のアラーム状態が「部品の損傷」である場合には、判定部20は、情報テーブル26を参照することにより、当該アラーム状態が中継装置4により解消不可であると判定する。
【0041】
なお、本実施の形態では、中継装置4の判定部20が、機械6がアラーム状態であるか否かを確認するようにしたが、これに限定されない。例えば、機械6自身が、センサの検出結果に基づいてアラーム状態であるか否かを判定してもよい。具体的には、機械6は、例えば温度センサが所定の温度よりも高い温度を検出した場合に、当該機械6がアラーム状態であると判定する。また、機械6は、例えばカメラセンサが当該機械6の部品の損傷を検出した場合に、当該機械6がアラーム状態であると判定する。この場合、機械6は、当該機械6の状態を示す情報として、当該機械6がアラーム状態であることを示すアラーム信号を中継装置4に送信してもよい。これにより、中継装置4の判定部20は、機械6からのアラーム信号に基づいて、機械6がアラーム状態であることを確認することができる。
【0042】
処理部22は、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能であると判定部20が判定した場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を実行する。例えば、機械6のアラーム状態が「温度上昇」であり、且つ、当該アラーム状態が中継装置4により解消可能であると判定部20が判定した場合には、処理部22は、REST API(Representative State Transfer Application Protcol Interface)等を利用することにより、機械6の空冷ファン(図示せず)を駆動させるための駆動信号を、通信線10を介して機械6に送信する。これらのアラーム状態の解消のために処理部22が行う処理の手順は、記憶部18に格納されている。
【0043】
通信部24は、ネットワーク12(図1参照)を介して、クライアント装置8との間で各種データを送受信する。具体的には、通信部24は、機械6がアラーム状態である場合に、機械6がアラーム状態である旨をクライアント装置8に通知する。また、通信部24は、機械6のアラーム状態が解消された場合に、機械6のアラーム状態が解消された旨をクライアント装置8に通知する。
【0044】
[3.通信システムの動作]
図4を参照しながら、実施の形態に係る中継装置4の動作の概要について説明する。図4は、実施の形態に係る中継装置4の動作の概要を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、中継装置4の取得部16が、機械6の状態を示す情報を、通信線10を介して機械6から取得する構成について説明する。
【0045】
図4に示すように、中継装置4の取得部16は、機械6の状態を示す情報を機械6から取得する(S101)。中継装置4の判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6がアラーム状態であるか否かを確認する(S102)。機械6がアラーム状態でない場合には(S102でNO)、上述したステップS101に戻る。
【0046】
一方、機械6がアラーム状態である場合には(S102でYES)、判定部20は、情報テーブル26に基づいて、当該アラーム状態が中継装置4により解消可能であるか否かを判定する(S103)。
【0047】
機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能である場合には(S103でYES)、中継装置4の処理部22は、当該アラーム状態を解消するための処理を実行する(S104)。当該ステップS104の具体例は、図5の説明で詳述する。ステップS104の後、図4のフローチャートを終了する。
【0048】
一方、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消不可である場合には(S103でNO)、ユーザにより当該アラーム状態を解消するための対応が実行される(S105)。当該ステップS105の具体例は、図6の説明で詳述する。ステップS105の後、図4のフローチャートを終了する。
【0049】
次に、図5を参照しながら、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能である場合における、実施の形態に係る通信システム2の動作について説明する。図5は、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能である場合における、実施の形態に係る通信システム2の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0050】
なお、OPCUA規格におけるイベントのフローでは、(a)イベントの発生→(b)イベントの承認→(c)イベントの解消→(d)イベントの解消の確認、という複数のステップが規定されている。図5に示す通信システム2の動作においても、上記ステップ(a)、(b)、(c)及び(d)が実行される。ここで、イベントとは、機械6において発生したイベントを意味し、例えば機械6の温度が所定の温度よりも上昇したこと、又は、機械6の部品が損傷したこと等を意味する。
【0051】
図5に示すように、機械6において、当該機械6の温度が所定の温度よりも上昇する(すなわち、機械6がアラーム状態となる)というイベントが発生する(S201)。なお、ステップS201は、上記の「(a)イベントの発生」に相当する。中継装置4の取得部16は、機械6の状態(機械6の温度)を示す情報を機械6から取得する(S202)。中継装置4の判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6がアラーム状態であることを確認する(S203)。
【0052】
中継装置4の判定部20は、情報テーブル26に基づいて、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能であると判定する。具体的には、情報テーブル26に格納された、機械6のアラーム状態として「温度上昇」、中継装置4によるアラーム状態の解消の可否として「可」である旨の情報に基づいて、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能であると判定する。なお、この判定結果(解消可能であること)は、上記の「(b)イベントの承認」に相当する。中継装置4の処理部22は、機械6のアラーム状態を解消するための処理を実行する(S204)。具体的には、処理部22は、REST API等を利用することにより、機械6の温度を所定の温度以下に低下させるための処理(すなわち、機械6のアラーム状態を解消するための処理)として、機械6の空冷ファンを駆動させるための駆動信号を機械6に送信する。これにより、機械6のコントローラ(図示せず)は、中継装置4からの駆動信号に基づいて、空冷ファンの駆動を開始する。
【0053】
クライアント装置8は、中継装置4に対して、イベントの取得を要求する取得要求信号を送信する(S205)。なお、クライアント装置8は、中継装置4に対して取得要求信号を定期的に送信する。中継装置4の通信部24は、クライアント装置8からの取得要求信号に基づいて、クライアント装置8に対してイベントを通知する(S206)。この時、通信部24により通知されるイベントは、機械6の温度が所定の温度よりも上昇したこと(すなわち、機械6がアラーム状態であること)である。
【0054】
クライアント装置8は、中継装置4から通知されたイベントに基づいて、ユーザ14に対して、機械6の温度が所定の温度よりも上昇したことを通知(提示)する(S207)。具体的には、クライアント装置8の表示部(図示せず)に、機械6の温度が所定の温度よりも上昇した旨の通知が表示される。ユーザ14は、クライアント装置8からの通知を見ることにより、機械6の温度が所定の温度よりも上昇したことを知ることができる。
【0055】
機械6が空冷ファンにより冷却されることによって、機械6の温度が所定の温度以下に低下する(S208)。中継装置4の取得部16は、機械6の状態(機械6の温度)を示す情報を機械6から取得し、中継装置4の判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6の温度が所定の温度以下に低下したこと(すなわち、機械6のアラーム状態が解消されたこと)を自発的に確認する(S209)。すなわち、判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6のアラーム状態が解消されたか否かを自発的に確認する。なお、ステップS209は、上記の「(c)イベントの解消」に相当する。そして、中継装置4の判定部20は、ステータスを「イベントの解消を確認済み」に変更する(S210)。なお、ステップS210は、上記の「(d)イベントの解消の確認」に相当する。
【0056】
クライアント装置8は、中継装置4に対して、イベントの取得を要求する取得要求信号を送信する(S211)。中継装置4の通信部24は、クライアント装置8からの取得要求信号に基づいて、クライアント装置8に対してイベントを通知する(S212)。この時、通信部24により通知されるイベントは、機械6の温度が所定の温度以下に低下したこと(すなわち、機械6のアラーム状態が解消されたこと)である。
【0057】
クライアント装置8は、中継装置4から通知されたイベントに基づいて、ユーザ14に対して、機械6の温度が所定の温度以下に低下したことを通知(提示)する(S213)。具体的には、クライアント装置8の表示部に、機械6の温度が所定の温度以下に低下した旨の通知が表示される。ユーザ14は、クライアント装置8からの通知を見ることにより、機械6の温度が所定の温度以下に低下したことを知ることができる。
【0058】
次に、図6を参照しながら、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消不可である場合における、実施の形態に係る通信システム2の動作について説明する。図6は、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消不可である場合における、実施の形態に係る通信システム2の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0059】
なお、図6に示す通信システム2の動作においても、上述した(a)イベントの発生→(b)イベントの承認→(c)イベントの解消→(d)イベントの解消の確認、という複数のステップが実行される。
【0060】
図6に示すように、機械6において、当該機械6の部品が損傷する(すなわち、機械6がアラーム状態となる)というイベントが発生する(S301)。なお、ステップS301は、上記の「(a)イベントの発生」に相当する。中継装置4の取得部16は、機械6の状態(機械6の部品の損傷)を示す情報を機械6から取得する(S302)。中継装置4の判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6がアラーム状態であることを確認する(S303)。
【0061】
中継装置4の判定部20は、情報テーブル26に基づいて、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消不可であると判定する。具体的には、情報テーブル26に格納された、機械6のアラーム状態として「部品の損傷」、中継装置4によるアラーム状態の解消の可否として「否」である旨の情報に基づいて、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消不可であると判定する。クライアント装置8は、中継装置4に対して、イベントの取得を要求する取得要求信号を送信する(S304)。なお、クライアント装置8は、中継装置4に対して取得要求信号を定期的に送信する。中継装置4の通信部24は、クライアント装置8からの取得要求信号に基づいて、クライアント装置8に対してイベントを通知する(S305)。この時、通信部24により通知されるイベントは、機械6の部品が損傷したこと(すなわち、機械6がアラーム状態であること)である。
【0062】
クライアント装置8は、中継装置4から通知されたイベントに基づいて、ユーザ14に対して、機械6の部品が損傷したことを通知(提示)する(S306)。具体的には、クライアント装置8の表示部に、機械6の部品が損傷した旨の通知が表示される。ユーザ14は、クライアント装置8からの通知を見ることにより、機械6の部品が損傷したことを知ることができる。
【0063】
ユーザ14は、クライアント装置8を用いて、イベントを承認する操作を行う(S307)。これにより、クライアント装置8は、中継装置4に対して、イベントを承認する旨を通知する(S308)。なお、ステップS308は、上記の「(b)イベントの承認」に相当する。中継装置4の判定部20は、クライアント装置8からの通知に基づいて、ステータスを「イベントを承認済み」に変更する(S309)。
【0064】
ユーザ14は、機械6の損傷した部品を新しい部品に交換することにより(S310)、機械6のアラーム状態を解消するための対応を行う。なお、ステップS310は、上記の「(c)イベントの解消」に相当する。ユーザ14は、クライアント装置8を用いて、機械6のアラーム状態が解消されたか否かの確認を要求する操作を行う(S311)。これにより、クライアント装置8は、中継装置4に対して、機械6のアラーム状態が解消されたか否かの確認を要求する確認要求信号を送信する(S312)。
【0065】
中継装置4の取得部16は、クライアント装置8からの確認要求信号に基づいて、機械6の状態(機械6の部品が交換されたこと)を示す情報を機械6から取得する(S313)。これにより、中継装置4の判定部20は、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6の部品が交換されたこと(すなわち、機械6のアラーム状態が解消されたこと)を確認し、ステータスを「イベントの解消を確認済み」に変更する(S314)。すなわち、判定部20は、クライアント装置8からの確認要求信号を受信したことをトリガとして、取得部16により取得された情報に基づいて、機械6のアラーム状態が解消されたか否かを確認する。なお、ステップS314は、上記の「(d)イベントの解消の確認」に相当する。
【0066】
クライアント装置8は、中継装置4に対して、イベントの取得を要求する取得要求信号を送信する(S315)。中継装置4の通信部24は、クライアント装置8からの取得要求信号に基づいて、クライアント装置8に対してイベントを通知する(S316)。この時、通信部24により通知されるイベントは、機械6の部品が交換されたこと(すなわち、機械6のアラーム状態が解消されたこと)である。
【0067】
クライアント装置8は、中継装置4から通知されたイベントに基づいて、ユーザ14に対して、機械6の部品が交換されたことを通知する(S317)。具体的には、クライアント装置8の表示部に、機械6の部品が交換された旨の通知が表示される。
【0068】
[4.効果]
本実施の形態では、中継装置4の処理部22は、機械6のアラーム状態が中継装置4により解消可能であると判定部20が情報テーブル26に基づいて判定した場合に、当該アラーム状態を解消するための処理を実行する。この場合、図5のシーケンス図に示すように、ユーザ14が機械6及びクライアント装置8に対して何らの操作等を行わなくても、中継装置4の処理部22により機械6のアラーム状態を解消するための処理が実行される。
【0069】
これにより、例えばユーザ14がクライアント装置8から離れた場所にいるなど、ユーザ14がイベントの発生に気付かない場合であっても、情報テーブル26により予め定められたアラーム状態の解消の可否として「可」であれば、ユーザ14の対応を待つことなく、機械6のアラーム状態を早期に解消することができる。
【0070】
(他の変形例等)
以上、本発明の中継装置及び中継装置の制御方法について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に対して当業者が思い付く変形を施して得られる形態、及び、上記実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0071】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0072】
また、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る中継装置は、例えば機械及びクライアント装置の各々と通信するOPCUAサーバ等に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
2 通信システム
4 中継装置
6 機械
8 クライアント装置
10 通信線
12 ネットワーク
14 ユーザ
16 取得部
18 記憶部
20 判定部
22 処理部
24 通信部
26 情報テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6