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特許7572736切断機のノズルから出る高圧ウォータージェットを感知するための可動式ポイント装置
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  • 特許-切断機のノズルから出る高圧ウォータージェットを感知するための可動式ポイント装置 図1
  • 特許-切断機のノズルから出る高圧ウォータージェットを感知するための可動式ポイント装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】切断機のノズルから出る高圧ウォータージェットを感知するための可動式ポイント装置
(51)【国際特許分類】
   B26F 3/00 20060101AFI20241017BHJP
   B23P 17/00 20060101ALI20241017BHJP
   B26D 3/00 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
B26F3/00 P
B23P17/00 A
B26D3/00 602Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022525710
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2020082740
(87)【国際公開番号】W WO2021099496
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】1913073
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521532581
【氏名又は名称】ハイドロプロセス
【氏名又は名称原語表記】HYDROPROCESS
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ドランス,フィリップ
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-535106(JP,A)
【文献】登録実用新案第3030171(JP,U)
【文献】登録実用新案第3030172(JP,U)
【文献】特開2012-96310(JP,A)
【文献】特開平2-232199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 3/00
B23P 17/00
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの受容タンク(4)、および前記受容タンク(4)の上方で移動可能であるノズル(5)を備えるウォータージェット切断機(1)に組み込まれた装置(10)であって、前記装置(10)は、前記ノズル(5)から出る高圧ウォータージェット(6)を捕捉することができ、少なくとも以下:
-前記ノズル(5)と位置合わせされた前記受容タンク(4)の内側に配置されたレセプタクル(11)であって、該レセプタクル(11)の下部が、前記受容タンク(4)の底部に接続された可撓性パイプアセンブリ(12)に接続され、前記レセプタクル(11)/パイプ(12)アセンブリが、可動式であり前記受容タンク(4)から取外し可能である、レセプタクル(11)、および
-前記レセプタクル(11)/パイプ(12)アセンブリの少なくとも一部を支持し移動させるための駆動手段(16)であって、前記受容タンク(4)の外側に配置され前記ノズル(5)に接続された駆動部材(17)、および前記受容タンク(4)の内側に配置され前記レセプタクル(11)に固定された被駆動部材(18)を備え、前記駆動部材(17)と前記被駆動部材(18)との間に機械的接続がなく、前記駆動部材(17)または前記被駆動部材(18)の少なくとも1つは磁石を含む、駆動手段(16)
を備えることを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
前記駆動部材および被駆動部材(17、18)がそれぞれ磁石(19、20)を備え、前記駆動部材(17)が前記ノズル(5)と同時に移動すると、その磁石(19)の磁気引力が前記被駆動部材(18)の磁石(20)を引き付け、前記被駆動部材および前記レセプタクル(11)/パイプ(12)アセンブリを移動させることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記駆動部材(17)または被駆動部材(18)のいずれかが磁石を備え、他方の被駆動部材(18)または駆動部材(17)が、前記磁石により引き付けられる材料で作製される部品を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記レセプタクル(11)が、漏斗の形状であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記レセプタクル(11)に固定され、前記受容タンク(4)の壁(42)のうちの1つに水平に固定されたガイドプロファイル(15)と協働するキャリッジ(13)を備え、前記レセプタクル(11)/パイプ(12)アセンブリが、前記ガイドプロファイル(15)に沿って移動することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記キャリッジ(13)が、少なくとも1つのローラ(14)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記受容タンク(4)の壁(42)および前記関連するガイドプロファイル(15)がそれぞれ、ノズル軌道(5)と相似形状の断面を有することを特徴とする、請求項5または6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記ガイドプロファイル(15)が直線状であることを特徴とする、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記ガイドプロファイル(15)が円弧状であることを特徴とする、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記パイプアセンブリ(12)が、工具の使用を必要としないクイックコネクトカップリングによって前記受容タンク(4)の底部に接続されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品のためのウォータージェット切断機の一般的な分野に関し、より詳細には、切断された食品の出口でウォータージェットを捕捉することができ、ウォータージェット切断機のノズルの下に配置される、一般に「キャッチャー(catcher)」と称される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を切断する分野において、フレームおよび可動式切断ヘッドからなるウォータージェット切断機がよく知られており、フレーム上には、格子状形態であり切断される食品を支持する可動式または非可動式でありうるローディングトレーが取り付けられ、可動式切断ヘッドは、ノズルによって形成され、長手方向または横断方向の並進運動で移動するキャリッジまたは前記トレイの上の垂直軸を中心に枢動するアームの自由端のいずれかに接続される;前記キャリッジまたはアームは、電気モータなどによって駆動される。切断プロセス中、ウォータージェットは、切断される製品を横断し、一般に「キャッチャー」と称される容器によって捕捉される。このキャッチャーは、ノズルと一直線上に配置され、典型的には後者の軌道に沿って延在し、ノズルの位置にかかわらず、切断される製品の切断領域の出口でウォータージェットを捕捉することができる。前記キャッチャーは、有利には、ノズル側で開口し、フレームと一体であり、切断領域の出口で水を排出するためのポンプに底部で接続された、細長いシュートを備える。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載されているようなウォータージェット切断機もまた知られている。
【0004】
これらは比較的効果的であるが、これらのタイプのキャッチャーおよびウォータージェット切断機は、以下の多くの欠点を有する。
【0005】
第1に、このタイプのキャッチャーの表面に対する加圧され移動するウォータージェットの衝撃は、ノイズを発生させ、その音レベルは、機器の音響処理を必要とする。
【0006】
さらに、切断領域において、ウォータージェットからのこの衝撃は、切断食品からの水滴および粒子の曇りを生じさせ、これは、キャリッジのガイドプロファイル上ならびにカビおよび細菌の生息地となる電気モータ上で、ローディングプレートのスライディング機構に収容される;これは、切断機の全体的な衛生にかなり有害であり、したがって、水滴の曇りの影響を制限するために、前記機械を頻繁に洗浄し、追加の吸引装置を設置することが必要とされる。
【0007】
最後に、細長いシュートの形態のこのタイプのキャッチャーの洗浄は、あまり容易ではないことが認識される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】仏国特許出願公開第2528994号明細書
【文献】独国特許出願公開第102010019707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、簡単な設計を有し、使用および洗浄が容易であり、同時に最適な結果、すなわち切断される物体の過度の湿度のない鮮明な切断を保証する、ウォータージェット切断機によって切断される物体の切断領域から出てくるウォータージェットを捕捉するための装置であって、ノイズを発生するがノイズレベルが過剰ではない、装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、少なくとも1つの受容タンク、および前記受容タンクの上方の移動式ノズルを備えるウォータージェット切断機に組み込まれた装置が提案され、前記装置は、前記ノズルから出る高圧ウォータージェットを捕捉することを可能にし、少なくとも以下を含むことを特徴とする:
-前記ノズルと位置合わせされた受容タンクの内側に配置されたレセプタクルであって、前記レセプタクルが、底部において、前記受容タンクの底部に接続された可撓性パイプに接続され、レセプタクル/パイプアセンブリが、受容タンクに対して移動可能かつ取外し可能である、レセプタクル、および
-レセプタクル/パイプアセンブリを少なくとも部分的に支持し動かすための駆動手段であって、受容タンクの外側に配置されノズルに結合された駆動部材、および受容タンクの内側に配置されレセプタクルに固定された被駆動部材を備え、駆動部材と被駆動部材との間に機械的接続がなく、駆動部材または被駆動部材の少なくとも1つは磁石を含む、駆動手段。
【0011】
駆動部材および被駆動部材は、好ましくはそれぞれ磁石を備え、駆動部材がノズルと同時に移動すると、その磁石の磁気引力が被駆動部材の磁石を引き付け、被駆動部材およびレセプタクル/パイプアセンブリを移動させる。
【0012】
レセプタクルは、有利には漏斗の形状である。
【0013】
有利には、前記装置は、レセプタクルに固定されたキャリッジを備え、キャリッジは、受容タンクの壁のうちの1つに水平に固定されたガイドプロファイルと協働し、レセプタクル/パイプアセンブリが前記ガイドプロファイルに沿って移動する。
【0014】
キャリッジは、好ましくは少なくとも1つのローラを備える。
【0015】
受容タンクの壁および関連するガイドプロファイルはそれぞれ、ノズル軌道と相似形状の断面を有する。
【0016】
一実施形態によれば、ガイドプロファイルは直線状である。
【0017】
別の実施形態によれば、ガイドプロファイルは円弧状である。
【0018】
有利には、パイプアセンブリは、工具の使用を必要としないクイックコネクトカップリング(quick connect coupling)によって前記受容タンクの底部に接続される。
【0019】
他の利点および特徴は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の説明に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】動作中のウォータージェット切断機によって切断された物体の切断領域から出るウォータージェットを捕捉するための本発明による装置の概略断面図
図2】切断機の外側で洗浄できるように抜き出した時の図1のウォータージェットを捕捉するための装置の概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から2は、以下の部分的な概略図を示す:
-特に水平な設置面3を含むフレーム2、および前記設置面3の下方に延在し少なくとも1つの上部開口部41および略垂直な壁42を含む受容タンク4、ならびに、高圧ウォータージェット6が出るノズル5を備えるウォータージェット切断機1であって、ノズル5は、前記設置面3の上方に配置され、有利には前記受容タンク4の上方で直線状または円弧状の軌道で移動可能である、すなわち、受容タンク4は、水平方向に延在し、少なくとも前記ノズル5の射出の軌道を含む表面をカバーする、
-フレーム2の設置面3上、通常はグリッド8上に載置され、ノズル5の下方に配置される、切断される物体7、および
-概して「キャッチャー」と称される、前記物体7の切断領域9から出るウォータージェット6またはウォータージェット6の一部61を捕捉する装置。
【0022】
前記装置10は、切断機1の受容タンク4の内部で前記切断領域9の下方に位置合わせして配置された、有利には漏斗の形状の容器11を備え、前記容器11は、例えば、図示されていないクイックコネクトカップリングによって前記受容タンク4の底部に接続された、有利には可撓性のパイプアセンブリ12に底部で接続されて、切断段階中に切断廃液を排出し、洗浄時に受容タンク4を空にすることを可能にする。さらに、レセプタクル11/パイプ12アセンブリは、受容タンク4に対して可動式かつ取外し可能である。
【0023】
前記装置10はまた、前記容器11に固定されたキャリッジ13を備え、キャリッジ13は、有利には少なくとも1つのローラ14を備え、切断機1の受容トレイ4の壁42に水平に固定されたガイドプロファイル15と協働することができ、レセプタクル11/パイプ12アセンブリは、前記ガイドプロファイル15に沿って少なくとも部分的に移動し、パイプアセンブリ12は、前記受容タンク4の底部への接続にもかかわらず、この移動を可能にするように寸法決めされる。ガイドプロファイル15は、例えば、1つまたは複数のレールを含むことができる。ガイドプロファイル15は、受容トレイ4の壁42に取り付けられなくてもよいが、本発明の範囲から逸脱することなく、前記壁42内に直接形成されてもよい。
【0024】
有利には、切断機1の受容タンク4の壁42および関連するガイドプロファイル15はそれぞれ、ノズル5の軌道と相似形状の断面を有する。したがって、この軌道が直線である場合、壁42およびガイドプロファイル15の断面は、前記軌道に平行な直線であり、前記ガイドプロファイル15は直線状である;この軌道が円弧状である場合、壁42およびガイドプロファイル15の断面は、前記軌道と同心の円弧であり、前記ガイドプロファイル15は円弧状である。
【0025】
レセプタクル11/パイプ12アセンブリを移動させ支持するために、装置10はさらに、受容タンク4の外側に配置されノズル5に接続される、すなわちノズル5と同時に移動し前記ノズル5と相似の軌道を描く駆動部材17、および、収容タンク4の内側に配置されレセプタクル11に、有利にはその関連するキャリッジ13に固定された被駆動部材18を含む、駆動手段16を備える。
【0026】
好ましい実施形態によれば、駆動手段16は、駆動部材17と被駆動部材18との間に機械的接続がないようになっている。この構成は、一方では、前記壁42を貫通する開口部を形成する必要なく、駆動部材17および被駆動部材18を受容タンク4の壁42の両側に配置することを可能にし、それによって、切断廃液が前記受容タンク4の外側に出ることが回避され、他方では、工具なしでレセプタクル11およびそのパイプ12のアセンブリ12の迅速な分解が可能となるため、興味深い。
【0027】
さらにより好ましい実施形態によれば、駆動部材17および駆動部材18はそれぞれ、磁石19、20を備え、駆動部材17がノズル5と同時に移動するとき、その磁石19の磁気引力は、被駆動部材18の磁石20を引き付け、被駆動部材18、およびしたがってキャリッジ13およびレセプタクル11/パイプ12アセンブリをガイドプロファイル15に沿って移動させる。この構成は、レセプタクル11/パイプ12アセンブリの移動を確保するだけでなく、磁気引力によって、前記レセプタクル11/パイプ12アセンブリの支持および前記ガイドプロファイル15に対するその支持を簡単な態様で保証するので、特に興味深い。
【0028】
しかしながら、図示されていない一実施形態によれば、駆動部材17または被駆動部材18の一方は磁石を含み、被駆動部材18または駆動部材17の他方は、前記磁石によって引き付けられる材料で作製された部品を含む。
【0029】
磁気引力により、たいていは駆動部材17と被駆動部材18との間に僅かなオフセットがあり、被駆動部材18は前記駆動部材17の後ろにあることが理解される。しかしながら、このオフセットは、切断された物体7の切断領域9を出るウォータージェット6の一部61もノズル5の並びに対してずれるので、ウォータージェットを効率的に捕捉するために有利である。
【0030】
さらに、ノズル5と同時にレセプタクル11/パイプ12アセンブリを移動させることにより、前記レセプタクル11の寸法を著しく低減できることが理解される。
【0031】
このような構成により、本発明による装置10は、以下の多くの利点を有することが理解される:
-レセプタクル11が低減された寸法を有し、発生するノイズの拡散表面も低減されることによる、レセプタクル11の表面に対して移動する高圧ウォータージェット6の衝撃により発生するノイズレベルの低減、
-切断される物体7をグリッド8上に配置し、漏斗形状のレセプタクル11によるベンチュリ効果によって切断廃液が自然に(抽出ファンなしで)取り除かれる、
-上述したように、この装置はもはや必要ではないので、抽出ファンを洗浄する必要がない、
-追加のモータまたは関連するケーブリングを必要としない、駆動システムの単純さ、
-機械的部材またはケーブリングがこの領域に見えない状態で、その構成により受容タンク4の内部領域の外側のフレーム2の内部の駆動手段16から駆動部材18を隔離することができることによる、装置10の優れた洗浄性、
-レセプタクルアセンブリ11の切断機1の受容タンク4の外側の単純かつ迅速な抜き出し、
-駆動手段16(図2参照)の駆動部材18の磁石19の磁気引力に対抗するための手動動作を及ぼすことによる機械の外側を洗浄するためのパイプアセンブリ12、
-前記レセプタクル11/パイプ12アセンブリをガイドプロファイル15に接触させ、ノズル5と位置合わせされる位置まで移動させ、最終的にパイプアセンブリ12を前記受容タンク4の底部に再接続させることによる、アセンブリの切断機1の受容タンク4内のレセプタクル11/パイプ12アセンブリの容易で、工具を必要とせず、安全な再設置、
-レセプタクル11/パイプ12アセンブリを取り出した後の、切断機1の受容タンク4の容易な洗浄。
【0032】
同様に、本発明による装置10は、有利には、ウォータージェット切断機1に組み込まれ、ノズル5がフレーム2に対して可動式である。
【0033】
最後に、上述した本発明による装置10の実施例は、特定の例示にすぎず、何ら限定するものではないことは言うまでもない。
図1
図2