(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】無線で電力を受け取るためのコイルを含む受信機
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20241017BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20241017BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241017BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
A61B1/00 C
A61B1/00 683
A61B18/18
(21)【出願番号】P 2022541258
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086803
(87)【国際公開番号】W WO2021139996
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-10-30
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウォーラー,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ショーン
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-052637(JP,A)
【文献】特表2019-508999(JP,A)
【文献】特開2019-216583(JP,A)
【文献】特開2019-004628(JP,A)
【文献】特開2004-344256(JP,A)
【文献】国際公開第2019/129647(WO,A1)
【文献】特開2013-178269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0277529(US,A1)
【文献】特開2015-205051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/40
H02J 50/12
A61B 1/00
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機から無線で電力を受信するための受信機であって、前記受信機は、結合回路に動作可能に結合された複数のコイルを有する共振受信機回路を備え、
各コイルは、前記結合回路と共に、共振誘導結合を介して電力を受け取るように配置され、
前記結合回路は、電気負荷に供給するために前記複数のコイルから受け取った電力を結合するように構成され、
前記結合回路が複数の電力結合器を含み、各電力結合器が、同じ基本構成を有して出力ポートに結合された2つの入力ポートを含み、前記出力ポートで両方の入力ポートで受信された別個の電力信号の組み合わせを供給するように動作可能であり
前記複数の電力結合器が一緒に接続されて、前記複数のコイルのそれぞれから受信された電力を、前記結合回路の出力に供給される結合電力信号に結合し、
各電力結合器は特性インピーダンスを有し、
各コイルは、そのコイルと一緒に結合して、共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンスを有する電力結合器の組み合わせによって、前記結合回路の前記出力に結合され、
前記複数の電力結合器が第1ステージを含む複数のステージに分類され、第1ステージ電力結合器の数が複数のコイルのコイルの数と一致し、各第1ステージ電力結合器が前記複数のコイルの異なるコイルに関連付けられ、
各第1ステージ電力結合器は、関連するコイルの第1の端部に接続された第1の入力ポートと、関連するコイルの第2の端部に接続された第2の入力ポートとを有する、前記受信機。
【請求項2】
前記複数のコイルのうちの少なくとも2つのコイルが、互いに異なる角度で配向されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記複数のコイルのうちの少なくとも2つのコイルが、互いに異なる距離で臨界結合するように構成されている、請求項1または2に記載の受信機。
【請求項4】
前記結合回路が複数のインピーダンス要素を含み、前記複数のインピーダンス要素が一緒に接続されて、前記複数のコイルのそれぞれから受け取った電力を結合して、前記結合回路の出力に供給される結合電力信号にし、
各コイルは、インピーダンス要素の組み合わせによって前記結合回路の前記出力に結合され、前記インピーダンス要素の組み合わせは、そのコイルと結合して共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンスを有する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項5】
前記複数のステージは、1つまたは複数の先のステージを含み、各々の先のステージに対して、その先のステージの電力結合器の数は、隣接する前のステージの電力結合器の数の半分に一致し、その先のステージの各電力結合器は、前記隣接する前のステージの異なるペアの電力結合器に関連付けられ、前記隣接する前のステージの各電力結合器は、その先のステージの単一の電力結合器にのみ関連付けられ、その先のステージの各電力結合器は、前記隣接する前のステージの関連する電力結合器のペアの一方の前記出力ポートに接続された第1の入力ポートと、前記隣接する前のステージの関連する電力結合器のペアのもう一方の前記出力ポートに接続された第2の入力ポートがある、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項6】
前記結合回路内の前記複数の電力結合器間の接続は、各電力結合器の前記第1の入力ポートと前記第2の入力ポートで供給される前記電力信号との間の差を最小にするように選択される、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項7】
前記隣接する前のステージからの前記電力結合器が、それらの平均電力出力に基づいて共にペアになっている、請求項5に依存する場合の、請求項6に記載の受信機。
【請求項8】
前記電力結合器の少なくとも1つがウィルキンソン電力結合器である、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項9】
前記電力結合器の少なくとも1つがマイクロストリップ電気伝送線路から形成されている、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項10】
前記結合回路に結合されてそこから電力を受け取る電気負荷をさらに備える、
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項11】
前記電気負荷は、前記結合回路から受け取った前記電力を直流(DC)信号に変換するための整流器を備える、請求項10に記載の受信機。
【請求項12】
前記電気負荷が、電磁エネルギーを生成し、生体組織を治療するため前記受信機の周囲の治療部位に送達するための電気外科装置を含む、請求項11に記載の受信機。
【請求項13】
前記電気外科装置が、
前記DC信号からマイクロ波電磁エネルギーを生成するための前記整流器に結合されたマイクロ波
電力増幅器と、
前記マイクロ波電磁エネルギーを前記治療部位の生体組織に送達するための前記マイクロ波電力増幅器に結合された伝送線路とを含む、請求項12に記載の受信機。
【請求項14】
前記伝送線路は、前記治療部位内の標的生物組織のインピーダンスと一致するインピーダンスを有するように構成されている、請求項13に記載の受信機。
【請求項15】
前記電気負荷が、前記受信機の環境に基づいて電気信号を生成するためのセンサを含み、前記センサは、前記DC信号によって電力を供給されるように前記整流器に動作可能に結合され、前記センサは、前記電気信号を供給するように前記結合回路に動作可能に結合され、各コイルは、前記結合回路と共に、共振誘導結合を介して前記電気信号を送信するように配置された共振送信回路を設ける、請求項11から14のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項16】
前記電気負荷が、前記センサと前記結合回路との間に動作可能に結合された信号調整ユニットを含み、前記信号調整ユニットは、送信前に前記電気信号の特性を変化させるように動作可能である、請求項15に記載の受信機。
【請求項17】
患者による摂取のためのカプセルであって、前記カプセルは、
請求項1~請求項16のいずれか1項に記載の受信機を含むハウジングを含む、前記カプセル。
【請求項18】
前記ハウジングの形状が実質的に球状円筒形であり、前記複数のコイルが、前記ハウジングの内面に続く実質的に楕円形に配置されている、請求項17に記載のカプセル。
【請求項19】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
電力を無線で送信するための送信機であって、共振誘導結合を介して無線で電力を送信するように配置されたコイルを有する共振送信機回路を備える前記送信機と、
前記送信機から電力を無線で受信するための、請求項1から16のいずれか1項に記載の受信機、または請求項17または18のカプセルを含む、前記ワイヤレス電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機から電力を無線で受信するための受信機、患者が摂取するためのカプセル、及び送信機と受信機またはカプセルのいずれかを含む無線電力伝送システムに関する。特定の実施形態は、受信機が送信機に対して複数の異なる角度に向けられている場合、及び/または受信機が送信機から複数の異なる距離に配置されている場合に、受信機が送信機から電力を受信するように適合される、共振誘導結合を介したワイヤレス電力伝送を含む。他の実施形態は、受信機を含むカプセルに関するものであり、カプセルは、医療目的で患者によって摂取されることになっている。例えば、カプセルは、凝固または切除などの組織治療のために、患者の内部の治療部位に高周波エネルギーを送達するための電気外科装置を含み得る。
【背景技術】
【0002】
カプセル内視鏡検査は、小さなワイヤレスカメラを使用して患者の消化管の写真を撮る手順である。カプセル内視鏡カメラは、患者が飲み込むビタミンサイズのカプセルの中にある。カプセルが患者の胃腸管を通過するときに、カメラは複数の写真を撮影し、患者が腰の周りのベルトに装着しているレコーダーに送信される。カプセル内視鏡検査は、医師が患者の小腸の内部を確認するのに役立つ。これは、従来の内視鏡検査では簡単に到達できない領域である。従来の内視鏡検査では、ビデオカメラを備えた長くて柔軟なチューブを患者の喉に通すか、直腸に通すことを伴う。カプセルには、搭載されているいずれかの電子機器に電力を供給するバッテリーが含まれている場合がある。
【0003】
誘導電力結合により、電源と電気負荷の間に有線接続がなくても、エネルギーを電源から電気負荷に転送できる。具体的には、電源が一次コイルに配線され、発振電流信号が一次コイルを介して送られ、一次コイルの周りに発振磁場を誘導する。発振磁場は、一次コイルの近くに配置された二次コイルに発振電圧信号を誘導する。このようにして、電気エネルギーは、2つのコイルが導電的に接続されることなく、電磁誘導によって一次コイルから二次コイルに伝達され得る。
【0004】
電気エネルギーが一次コイルから二次コイルに伝達されるとき、インダクタは誘導結合されていると言われる。このような二次コイルと直列に配線された電気負荷は、二次コイルが一次コイルに誘導結合されたときに、一次コイルに配線された電源からエネルギーを引き出し得る。
【0005】
一般的な変圧器などの非共振結合インダクタは、磁場を生成する一次コイルとその磁場に可能な限り従属する二次コイルの原理に基づいて動作し、二次コイルを通過する電力が一次コイルと可能な限り近くなる。磁場が二次コイルによってカバーされるというこの要件は、非常に短い範囲をもたらし、通常は磁気コアを必要とする。長距離では、非共振誘導方式は一次コイルの抵抗損失でエネルギーの大部分を浪費する可能性があるため、非効率的である。
【0006】
共振を使用すると、効率を劇的に向上させることができる。共振結合が使用される場合、二次コイルは、調整されたインダクタ・コンデンサ(LC)回路を形成するように容量性の負荷がかけられる。一次コイルが二次側の共振周波数で駆動される場合、かなりの電力が、妥当な効率でコイルの直径の数倍の範囲にわたってコイル間で伝達される場合がある。つまり、二次コイルの誘導電圧の強さは、一次コイルを流れる電流の発振周波数に応じて変化し、発振周波数がシステムの共振周波数と等しいときに誘導電圧が最も強くなる。共振周波数は、システムのインダクタンスと静電容量に依存する。
【0007】
さらに、既知の誘導電力の伝達システムは、通常、誘導カップルの共振周波数で電力を送信することに留意されたい。システムの共振周波数は、例えば一次コイルと二次コイルの間の位置合わせの変化、及び一次コイルと二次コイルの間の距離の変化に応じて、送電中に変動し得るため、これを維持するのは難しい場合がある。
【0008】
共振送信機回路と共振受信機回路との間の誘導電力の伝達のためのシステムは、「Lee、S.-H.,2011.A Design Methodology for Multi-kW, Large Airgap,.IEEE」に記載されている。具体的には、スマートフォンや電気自動車の充電に適し得る高電力転送、及び電力転送中に送信機と受信機が互いに対して一定の距離と向きにある他のシナリオでのシステムが提供される。
【0009】
誘導コイルの位置合わせと間隔の変動に対する耐性が高い誘導電力の伝達システムが必要である。本発明は、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
最も一般的には、本発明は、共振誘導結合を介して受信機に電力を送信する送信機を含む無線電力伝送システムを提供する。さらに、受信機は複数の二次コイルを含み、それらのそれぞれは、共振誘導結合を介して送信機の一次コイルから電力を受け取るように構成される。複数の二次コイルの異なるものによって受け取られた電力は、一緒に組み合わされて、組み合わされた電力信号を形成することができ、これを使用して、受信機内または受信機に取り付けられた電気負荷に電力を供給することができる。
【0011】
さらに、二次コイルの異なるものは、互いに異なる角度で配向することができ、これは、それらが、送信機と受信機との間の異なる配向角度で送信機との最適な電力の伝達のために構成されることを意味する。このように、受信機が送信機に対する配向角度にあり、二次コイルの1つが一次コイルから電力を受け取ることができない場合、二次コイルの別のものは、送信機から電力を受け取ることができる配向になり得る。さらに、受信機が送信機と、複数の二次コイルが準最適にしか電力を受信できない配向角度にある場合、これらの複数の二次コイルからの受信電力を共に組み合わせることができる。このようにして、送信機と受信機の間の向きの角度に関係なく、送信機から受信機に電力を渡すことができる。この受信電力は、受信機の電気負荷に電力を供給するために使用できる。
【0012】
さらに、送信機と受信機の間の異なる距離での重要な結合(すなわち、最適な電力の伝達)のために、二次コイルの異なるものを構成することができる。このように、二次コイルの1つが一次コイルから電力を受信するには近すぎるまたは遠すぎる距離だけ受信機が送信機から離れている場合、二次コイルの別のものは送信機から電力を受け取ることができる距離だけ送信機から離間することができる。さらに、受信機が送信機と、複数の二次コイルが準最適にしか電力を受信できない距離だけ離間している場合、これらの複数の二次コイルからの受信電力を共に組み合わせることができる。このようにして、送信機と受信機の間の距離の範囲が、より少ない二次コイルで達成できる距離よりも広い範囲で、送信機から受信機に電力を渡すことができる。この受信電力は、受信機の電気負荷に電力を供給するために使用できる。
【0013】
さらに、受信機は、医療目的で患者に挿入する(例えば、摂取する)ために、カプセル(例えば、錠剤の形状のカプセル)内に含まれ得る。カプセルは、様々な医療処置を可能にするかまたは支援するための電子機器を含み得、この電子機器は、共振誘導結合を介して送信機から受信機に渡される電力によって電力を供給され得る。例えば、電子機器は、高周波エネルギー(例えば、無線周波数(RF)電磁(EM)エネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギー)を生成及び送達するための電気外科装置を含み得る。このようにして、カプセルは、患者の体内の治療部位に移動し、治療部位に到達すると、治療部位の生体組織に高周波エネルギーを送達し得る。送達されたエネルギーは、治療部位で生体組織を切除または凝固させるために使用され得る。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、送信機から無線で電力を受信するための受信機であって、受信機は、結合回路に動作可能に結合された複数のコイルを有する共振受信機回路を備え、各コイルは、結合回路と共に、共振誘導結合を介して電力を受け取るように配置され、結合回路は、電気負荷に供給するために複数のコイルから受け取った電力を結合するように構成されている受信機が提供される。このようにして、受信機内の複数のコイルを使用して、共振誘導結合を介して送信機から電力を受信できる。また、複数のコイルの個々のものによって受け取られる電力は、受信機の一部であり得るか、または受信機に電気的に結合される別個の要素またはモジュールであり得る電気負荷に電力を供給するための結合電力信号に一緒に結合され得る。
【0015】
複数のコイルのうちの少なくとも2つのコイルは、互いに異なる角度で配向され得る。実施形態では、コイルのそれぞれは、互いのコイルに対して異なる角度で配向され得る。すなわち、各コイルは、固有の角度で配向され得る。例えば、コイルは、ほぼ楕円形または円形の円周の周りに配置され得る。コイルは、円周方向に均一に間隔を空けて配置され得る。つまり、円周の周りに一定の間隔で配置され得る。追加的または代替的に、コイルは、不均一に円周方向に間隔を置いて配置され得る、すなわち、円周の周りに不規則な間隔で配置され得る。しかし、コイルは、任意の形状、例えば、正方形、三角形、長方形、または不規則な形状に配置され得ることが理解されるべきである。
【0016】
また、複数のコイルのうちの少なくとも2つのコイルは、互いに異なる距離、すなわち送信機の一次コイルからの異なる間隔での臨界結合のために構成される。実施形態では、コイルのそれぞれは、互いに異なる距離で、すなわち送信機の一次コイルから異なる間隔で臨界結合するように構成され得る。「距離Xでの臨界結合のために構成された」という表現は、このコイルと送信機コイルとの間の間隔が特定の距離範囲X(別名「臨界ゾーン」)内にあるときに、電力伝送が最適または最も効率的である(例えば、最適効率は50%から95%の場合がある)ように、コイルが物理的に形成または構造化されることを意味すると理解される。例えば、臨界ゾーン内では、電力伝送の効率は70%であるが、臨界ゾーン外では、電力伝送の効率は70%未満である場合がある。一般に、送信機と受信機のコイル間の間隔が臨界ゾーンから離れるにつれて、達成可能な最大電力の伝達は指数関数的に減少する。したがって、問題のコイルの場合、距離範囲Xは、電力の伝達が最適または最大効率になる距離の範囲を表す。臨界結合が発生する距離範囲(すなわち、臨界ゾーン)に影響を与えるコイルの物理的または構造的変数には、コイルのインダクタンス、コイルの巻数、コイルの形成に使用される材料(例えば、ワイヤー)の透磁率、コイルを形成するために使用される材料(例えば、ワイヤー)の断面積、コイルの長さ、及びコイルを形成するために使用される材料(例えば、ワイヤー)の外装効果が含まれる。一次送信機コイルと二次受信機コイルの間の関係を定義するためによく使用される2つの用語、結合係数及び結合強度があることに留意されたい。結合係数は、一次コイルから送信される電力と二次コイルによって受信される電力の比率に、特定の一次コイルと二次コイルの変圧比を掛けたものに関係する。変圧比は、一次コイルの電流と電圧と二次コイルの電流と電圧の比率である。結合強度は、コイルの物理的特性とコイル間の距離に関連して、一次コイルと二次コイルの間で伝達される電力の効率に関係する。そのため、結合強度は、臨界結合が発生する距離の範囲である臨界ゾーンで最大になる。
【0017】
結合回路は、複数のインピーダンス(例えば、容量性)要素を含み得る。各インピーダンス要素は、マイクロストリップ伝送線路であってもよい。各インピーダンス要素は、プリント回路基板、同軸ケーブル、または一括回路要素(コンデンサなど)上に1/4波長ラインとして製造できる1/4波長トランスにすることができる。いずれの場合も、複数のインピーダンス要素が一緒に接続されて、複数のコイルのそれぞれから受け取った電力を結合して、結合回路の出力に供給される結合された電力信号にする回路を形成する。また、各コイルは、インピーダンス要素の組み合わせによって結合回路の出力に結合され、インピーダンス要素のその組み合わせは、そのコイルと共に結合して、共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンス(例えば、容量性インピーダンス)を有する。実施形態では、コイルの1つを出力に結合するインピーダンス要素の組み合わせは、コイルの異なる1つを出力に接続するインピーダンス要素の組み合わせとは異なる。さらなる実施形態では、各コイルは、インピーダンス要素の固有の組み合わせを介して、組み合わせ回路の出力に結合される。
【0018】
結合回路は、複数の電力結合器を含み得る。各電力結合器は、出力ポートに結合された2つの入力ポートを有し得、各電力結合器は、その出力ポートにおいて、両方の入力ポートで受信された別個の電力信号の組み合わせを供給するように動作可能であり得る。また、複数の電力結合器が一緒に接続されて、複数のコイルのそれぞれから受信された電力を、結合して結合回路の出力に供給される結合電力信号にする。さらに、各電力結合器は、特性インピーダンスを有し得、例えば、各電力結合器は、特定の特性インピーダンスを有する集中定数素子として機能し得る。つまり、各電力結合器は、集中定数素子に基づいて信号加算器を形成する場合がある。例えば、直列インダクタとシャントコンデンサの組み合わせである。さらに、各コイルは、そのコイルと一緒に結合して、共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンスを有する電力結合器の組み合わせによって、結合回路の出力に結合され得る。したがって、結合回路は2つの機能を実行する。第1に、結合回路は複数の容量性回路を形成し、これらの容量性回路のそれぞれはコイルの1つに接続して、共振誘導結合を介して送信機から電力を受け取るための共振回路を形成する。つまり、コイルはLを提供し、容量性回路はCを提供し、これらが組み合わさって共振LC回路を形成する。実施形態では、容量性回路の数は、複数のコイル内のコイルの数と一致し、各容量性回路は、コイルの異なる1つに関連付けられる(例えば、接続される)。第2に、結合回路は、各コイルを介して受信した電力を共に結合して結合電力信号にし、受信機の一部であるか電気的に結合されている電気負荷に電力を供給するために使用できる。
【0019】
結合回路をより詳細に考慮すると、複数の電力結合器は、第1ステージ(例えば、ステージ1)を含む複数のステージに分類され得る。第1ステージ電力結合器の数は、複数のコイルのコイルの数と一致し得る。また、各第1ステージ電力結合器は、複数のコイルの異なるコイルに関連付けられ(例えば、接続され)得る。さらに、各第1ステージ電力結合器は、関連するコイルの第1の端部に接続された第1の入力ポートと、関連するコイルの第2の端部に接続された第2の入力ポートとを有し得る。
【0020】
さらに、複数のステージには、1つまたは複数の先のステージが含まれる場合がある。各々の先のステージについて、
・ その先のステージ(例えば、ステージ2)の電力結合器の数は、隣接する前のステージ(例えば、ステージ1)の電力結合器の数の半分と一致する場合がある。
【0021】
・ その先のステージの各電力結合器は、隣接する前のステージからの異なるペアの電力結合器に関連付けられ(例えば、接続され)得る。
【0022】
・ 隣接する前のステージの各電力結合器は、その先のステージの単一の電力結合器にのみ関連付けられ(例えば、接続され)得る。
【0023】
・ その先のステージの各電力結合器は、(i)隣接する前のステージからの関連する電力結合器のペアの1つの出力ポートに接続された第1の入力ポートと、(ii)隣接する前のステージからの関連する電力結合器のペアの他方の出力ポートに接続された第2の入力ポートを有し得る。
【0024】
さらに、複数のステージに最終ステージが含まれる場合がある。最終ステージには、単一の電力結合器が含まれる場合がある。すなわち、ステージ内の電力結合器の数がコイルの数(すなわち、第1ステージ)から1つ(すなわち、最終ステージ)に減少するように、第1ステージと最終ステージとの間に1つまたは複数のさらなるステージを設けてもよい。すなわち、第1ステージの後に、チェーンまたは一連のさらなるステージを、ステージ内の電力結合器の数の半分に、2つの電力結合器のみを有するさらなるステージが形成されるまで追加し得、その時点で、最終ステージは、チェーンまたはシリーズを終了する。例えば、コイルが8つある場合、第1ステージには8つの電力結合器が含まれる。この場合、ステージ内の電力結合器の数を2つに減らすには、さらに2つのステージが必要である。つまり、4つの電力結合器を備えた第1の先のステージと、それに続く2つの電力結合器を備えた第2の先のステージが必要である。いずれの場合も、最終ステージの単一の電力結合器は、隣接する前のステージの電力結合器のペアに関連付けられ(例えば、接続され)得る(例えば、隣接する前のステージの2つの電力結合器のみ)。具体的には、最終ステージの単一の電力結合器には、(i)隣接する前のステージの電力結合器のペアの1つの出力ポートに接続された第1の入力ポートと、(ii)隣接する前のステージの電力結合器のペアの他方の出力ポートに接続された第2の入力ポートがある。さらに、最終ステージは、単一の電力結合器の出力と結合回路の出力との間に結合された出力インピーダンス要素を含み得る。
【0025】
結合回路は任意の数のステージを有し得るが、ステージの数は複数のコイル内のコイルの数に依存することを理解されたい。例えば、コイルの数(N)が2の平方である場合、結合回路の電力結合器の数は2N-1になり、ステージの数は2の(N-1)の累乗2(N-1)になる。しかし、複数のコイルは、任意の数のコイルを含見得、したがって、結合回路は、任意の数の電力結合器、及び任意の数のステージを含み得ることを理解されたい。
【0026】
さらに、各電力結合器の第1の入力ポートと第2の入力ポートで供給される電力信号間の差を最小にするように、結合回路内の複数の電力結合器間の接続が選択される(例えば、設定、固定、または確立される)。このようにして、結合回路のバランスが改善され、ひいては、結合回路が2つの目標を達成する方法が改善される((i)各コイルと共振回路を形成して共振誘導結合を介して電力を受け取る、及び(ii)各コイルを介して受け取った電力を共に結合して、電気負荷に供給するための結合電力信号にする)。より具体的には、例えば、電力の量は、各受信機コイルと送信機コイルとの間の配向または分離している距離に依存するため、各受信機コイルを介して受信される電力量は予測できない。したがって、結合回路のバランスを保証することは困難である。言い換えると、特定の電力結合器の第1の入力ポートが受け取る電力の量が、その電力結合器の第2の入力ポートが受け取る電力量と同じであることを保証することは困難である。また、第1の入力ポートによって受信される信号の周波数が第2の入力ポートによって受信される信号の周波数と協調することを保証することは困難であり、干渉(建設的または破壊的)が回避または低減される場合、周波数は「協調」する。したがって、バランスを改善する試みにおいて、電力結合器及び電力結合器群は、それらの受信平均電力に基づいて一緒にペアにされて、結合回路のバランスを改善し、それによって受信機への電力の伝達及び電気負荷への電力供給を改善し得る。例えば、先のステージ(ステージ2など)では、隣接する前のステージ(ステージ1など)の電力結合器が、平均電力出力に基づいて共にペアになる。より具体的には、共にペアにすることは、例またはテストシナリオへのそれらの平均電力出力に基づいてもよく、例えば、送信機及び受信機は、固定関係に保持され、送信機は、テスト電力信号を送信するために使用され得る。次に、各受信コイルで受信された平均電力を測定し得る。次に、コイルは、最も類似した平均電力を受け取ったペアにしてもよい。さらに、電力結合器の各ステージは、互いに最も類似している前のステージからの平均電力信号をペアリングすることによって接続し得る。さらに、1つまたは複数のステージは、例えば、電流の流れの全体的な結合された方向を維持するために、建設的及び/または破壊的な干渉を最小化するために、特定の周波数の指向性ダイオードまたはフィルタを含み得る。
【0027】
実施形態は、2つの入力ポート及び単一の出力ポートを有する電力結合器の使用を含み得るが、少なくとも一部の他の実施形態では、異なる電力結合器の構造が使用され得ることが理解されるべきである。例えば、各電力結合器には、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の3つ以上の入力ポートがあり得る。いずれの場合も、各電力結合器は、各入力ポートで受信した信号を結合して、電力結合器の出力ポートから出力される結合信号にするように機能する。この場合、上で説明した実施形態のように、複数の電力結合器は、結合回路の出力に供給される結合電力信号に各複数のコイルから受け取った電力を結合するために一緒に接続される。また、各コイルは、電力結合器(またはインピーダンス要素)の組み合わせによって結合回路の出力に結合され、この電力結合器(またはインピーダンス要素)の組み合わせは、そのコイルと共に結合して共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンス(またはインピーダンス要素)を有する。上記のように、各電力結合器は、特性インピーダンスを有し得、例えば、各電力結合器は、特定の特性インピーダンスを有する集中定数素子として機能し得る。つまり、各電力結合器は、集中定数素子に基づいて信号加算器を形成する場合がある。例えば、直列インダクタとシャントコンデンサの組み合わせである。
【0028】
実施形態では、電力結合器の少なくとも1つは、ウィルキンソン電力結合器であり、例えば、電力結合器のそれぞれは、ウィルキンソン電力結合器であり得る。さらに、実施形態では、電力結合器の少なくとも1つは、マイクロストリップ電気伝送線路から形成され、例えば、電力結合器のそれぞれは、マイクロストリップ電気伝送線路から形成され得る。
【0029】
実施形態では、受信機は、そこから電力を受け取るために結合回路に結合された電気負荷(または電気回路、デバイス、装置または器具)を含む。このようにして、共振誘導結合を介して受信機が受け取る電力を使用して、電気負荷に電力を供給し得る。例えば、電気負荷は、電力を、熱エネルギー、音響エネルギー、電磁エネルギー(例えば、RF及び/またはマイクロ波エネルギー)などの何らかの他の形態に変換するように構成され得る。例えば、電気負荷は、結合回路から受け取った交流電力または発振電力を直流(DC)信号に変換するための整流器を含み得る。また、電気負荷は、高周波電磁エネルギー(例えば、RF及び/またはマイクロ波エネルギー)を生成し、治療部位の生体組織を治療するため受信機の周り(例えば、周囲)の治療部位に送達するための電気外科装置またはデバイスを含み得る。より具体的には、電気外科装置は、整流器によって生成されたDC信号からマイクロ波電磁エネルギーを生成するために、整流器に結合されたマイクロ波電力増幅器、及びマイクロ波電磁エネルギーを治療部位の生体組織に送達するためマイクロ波電力増幅器に結合された伝送線路を含み得る。また、伝送線路は、治療部位の標的生体組織のインピーダンスと一致するインピーダンスを有するように配置され得る。例えば、電気外科装置は、特定の特性インピーダンスを有する特定のタイプの生体組織(別名、標的組織タイプ)を治療するために使用することを意図され得る。この場合、伝送線路は、標的組織タイプの特性インピーダンスと実質的に一致する特性インピーダンスを有するように構造的に配置され得る。例えば、伝送線路の特性インピーダンスが標的組織タイプの特性インピーダンスと一致するように、伝送線路の静電容量または抵抗を設定してもよい。
【0030】
電気負荷は、受信機の環境(例えば、物理的環境)に基づいて(例えば、表す)電気信号を生成するためのセンサを含み得る。センサは、前述の電気負荷の整流器によって生成されたDC信号によって電力が供給される。また、センサは、センサがその電気信号を結合回路の出力に供給するように、結合回路に結合されている。実施形態では、センサは、受信機を取り囲む環境の一部(例えば、画像化モジュールに面する部分)の画像をキャプチャする画像化モジュールであり得る。画像は、可視光、赤外光、または紫外線を介してキャプチャしてもよい。したがって、電気信号は画像を表し、それによって受信機の環境を表す。電気信号は、単純な二元画像(例えば、白黒)、またはより複雑な画像(例えば、グレースケールまたはカラー)を定める場合がある。さらに、受信機は、共振誘導結合を介してセンサデータを送信するための送信機として動作し得る。具体的には、各コイルは、結合回路と共に、共振誘導結合を介して電気信号を送信するように配置された共振送信回路を設ける。つまり、送信機から電力信号を受信するために使用されるのと同じ共振回路が、センサデータを送信機に送信するために使用される。したがって、結合回路は電力信号の結合回路として機能するが、結合回路はセンサ信号の分割回路としても機能し得る。実施形態では、電気負荷は、センサと結合回路との間に動作可能に結合された信号調整ユニットをさらに含む。信号調整ユニットは、そのDC信号によって電力を供給されるように整流器に結合されてもよい。信号調整ユニットは、信号が共振誘導結合を介して送信される前に、電気信号の特性を変化させるように動作する。特性は、電気信号の大きさ、電圧、または周波数である場合がある。例えば、電気信号の大きさ(または電圧)を増幅して、共振誘導結合を介して送信され、送信機で受信されるのに十分な電力が得られるようにする必要がある場合がある。したがって、信号調整ユニットは、信号が結合回路に供給される前に、センサからの電気信号を増幅するための電力増幅器を含み得る。さらに、受信機から送信される電気信号と受信機によって受信される電力信号との間のいずれかの干渉(例えば、建設的または破壊的)を回避または低減するために、電気信号の周波数を変更する必要がある場合がある。これが必要なのは、伝送経路と受信経路が、コイルと結合回路の両方を含んでいるためである。したがって、信号調整ユニットは、分周器(例えば、周波数を下げるため)及び/または周波数乗算器(例えば、周波数を上げるため)を含み得る。このように、信号調整ユニットは、センサの出力を調整して、共振誘導結合を介した伝送に適しており、電力信号との干渉を低減/回避する。実施形態では、信号調整ユニットは、受信機から送信される電気信号の電力レベルが、受信機によって受信される電力信号の電力レベルよりも低くなるように調整する。要約すると、受信機は、共振誘導結合を介して電力を受信するための受信機として動作するように構成されるが、受信機はまた、共振誘導結合を介してデータ(例えば、センサまたは画像データ)を送信するための送信機として動作するように構成され得る。受信機は、送信機と受信機との間の電力伝送の効率に関するデータまたは情報を送信し得ることも想定されている。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、患者による摂取(または体内への挿入)のためのカプセル(またはデバイス)が提供され、カプセルは、第1の態様による受信機を含むハウジングを含む。実施形態では、ハウジングの形状は、実質的に球状円筒形(または錠剤の形状、すなわち医薬品の錠剤のような形状)である。
【0032】
このようにして、受信機は、患者の胃腸管に入るために、患者によって摂取または挿入されるか、例えば、患者に飲み込まれ得る。カプセルは、上記のように、共振誘導結合を介して電力を受け取ることができる。さらに、上記の第1の態様は、電力の伝達が送信機と受信機との間の向きに影響されにくくなり得る共振誘導結合を介して電力を供給するためのメカニズムを提供する。これは、カプセルが患者の体内に入ると、患者の体外の送信機に対してカプセルの向きを固定することが困難になる可能性があるため、摂取可能または挿入可能なカプセルの状況において、特に有利である。さらに、上記の第1の態様は、電力の伝達が送信機と受信機との間の分離の幅の範囲に亘り達成し得る共振誘導結合を介して電力を供給するためのメカニズムを提供する。やはりこれは、カプセルが患者の体内に入ると、カプセルと患者の体外の送信機の間の分離する距離を固定することが困難になる可能性があるため、摂取可能または挿入可能なカプセルの状況において、特に有利である。
【0033】
実施形態では、カプセルハウジングは、生体適合性材料(例えば、パリレンCまたはPTFE)から形成され得る。あるいは、生体適合性材料の層を、ハウジングの外面に適用してもよい。生体適合性層は、10μm以下の厚さを有し得る。
【0034】
実施形態では、コイルは、カプセルハウジングの内側縁の周りまたは近くに配置され得る。例えば、カプセルハウジングが球状円筒形またはピル形状である場合、コイルは、一般にハウジングの内面に続くほぼ楕円形に配置され得る。すなわち、楕円形の外面は、ハウジングの内面と実質的に反対で隣接していてもよい。このようにして、コイルをカプセル内に広げて、電力の伝達を改善し得る。
【0035】
実施形態では、カプセルは、第1の態様の上記の電気外科装置を含む電気負荷(別名、給電回路)を有し得る。したがって、カプセルは、患者の体内の治療部位に受動的または能動的に輸送され得、治療部位に到達すると、カプセルは、高周波EMエネルギー(例えば、RF及び/またはマイクロ波)を生成し、カプセルの周囲の生体組織に送達し得る。このエネルギーは、医療処置の一部として生体組織を凝固及び/または切除するために使用され得る。実施形態では、磁気ステアリング装置を使用して、磁気の引力及び/または磁気の反発を介してカプセルを治療部位に誘導してもよい。例えば、カプセルは、患者の体の外側に配置された磁気ステアリング装置と反応する磁気または鉄の部分を含み得る。
【0036】
さらに、カプセルの電気負荷は、患者の内部構造(例えば、血管構造)を検査及び監視するための画像化装置(例えば、カメラ)をさらに含み得る。例えば、画像化デバイスは、時間間隔(例えば、1秒に2回)で画像をキャプチャするように構成され得る。この場合、カプセルのハウジングは、画像化装置が、画像をキャプチャするためハウジングを通して見ることができるように、実質的に透明であるウィンドウ部分を含み得る。また、電気負荷は、画像化装置が新しい画像をキャプチャするたびに、ウィンドウの周囲の組織を照らすための光源を含み得る。追加的または代替的に、電気負荷は、生体分子、生物学的構造または微生物などの生物学的分析物の存在または濃度を検出するための1つまたは複数のバイオセンサを含み得る。この場合、カプセルのハウジングは、バイオセンサの少なくとも一部がカプセルを取り巻く治療部位の組織に接触することを可能にする開口を有し得る。追加的または代替的に、電気負荷は、治療部位の組織の温度を変化させるための熱モジュール(例えば、加熱素子)を含み得る。例えば、熱モジュールは、治療部位で組織(例えば、癌性組織)を加熱して、熱活性化化学療法薬などの熱活性化薬物を活性化するために使用され得る。
【0037】
本発明の第3の態様では、ワイヤレス電力伝送システムであって、電力を無線で送信するための送信機であって、共振誘導結合を介して無線で電力を送信するように配置されたコイルを有する共振送信機回路を備える送信機、送信機から電力を無線で受信するための、第1の態様による受信機、または第2の態様によるカプセルを含む、ワイヤレス電力伝送電力システムが提供される。
【0038】
実施形態では、送信機は、一次誘導結合器(または送信機アンテナまたはコイル)と電気的に結合された電力信号源を含み得る。電力信号源は、一次誘導結合器に発振電流信号を発し、一次誘導結合器は、電磁誘導を介して、発振電流信号から発振磁場を生成する。発振磁場は、送信機から受信機に電力を無線で転送するためのメカニズムを生じる。このように、送信機は受信機に電気的に結合する必要はない。
【0039】
本明細書で、無線周波数(RF)は、10キロヘルツ~300メガヘルツの範囲にある不変の固定周波数を意味してもよく、マイクロ波周波数は、300メガヘルツ~100ギガヘルツの範囲にある不変の固定周波数を意味してもよい。RFエネルギーについての好ましいスポット周波数は、100キロヘルツ、250キロヘルツ、400キロヘルツ、500キロヘルツ、1メガヘルツ、5メガヘルツのうちのいずれか1つ以上を含む。マイクロ波エネルギーについての好ましいスポット周波数は、915メガヘルツ、2.45ギガヘルツ、5.8ギガヘルツ、14.5ギガヘルツ、24ギガヘルツを含む。
【0040】
「電気外科」という用語は、手術中に使用され、マイクロ波及び/または無線周波数電磁(EM)エネルギーを利用する器具、装置、またはツールに関連して、使用される。
【0041】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。同様の参照符号は同様の機能に関連している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】実施形態に従った、ワイヤレス電力伝送システムの概略図である。
【
図2】実施形態に従った、
図1のワイヤレス電力伝送システムの送信機の回路図である。
【
図3】実施形態に従った、
図1のワイヤレス電力伝送システムの受信機の回路図である。
【
図4】実施形態に従った、
図3の受信機のコイルの相対的な向きを示す概略図である。
【
図5】さらなる実施形態に従った、
図1のワイヤレス電力伝送システムの受信機のコイルの相対的な向きを示す概略図である。
【
図6】実施形態に従った、
図5の受信機の回路図である。
【
図7】実施形態に従った、電力回路の回路図である。
【
図8】実施形態に従った、医療目的で患者が摂取するためのカプセルの概略図である。
【
図9】別の実施形態に従った、医療目的で患者が摂取するためのカプセルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、送信機4及び受信機6を含むワイヤレス電力伝送システム2を示している。動作中、送信機4は、共振誘導結合を介して受信機6に電力を無線で送信する。具体的には、送信機4は、一次誘導結合器(または送信機アンテナ)10と電気的に結合された電力信号源8を含む。電力信号源8は、一次誘導結合器10に発振電流信号を発し、一次誘導結合器10は、電磁誘導を介して、発振電流信号から発振磁場を生成する。発振磁場は、送信機4から受信機6に電力を無線で転送するためのメカニズムを生じる。送信機4は、受信機6に電気的に結合されていない。
【0044】
受信機6は、給電回路14と電気的に結合された二次誘導結合器(または受信機アンテナ)12を備える。動作中、一次誘導結合器10によって生成された発振磁場は、電磁誘導を介して、二次誘導結合器12に発振電圧信号を生成する。次に、発振電圧信号を使用して、給電回路14を駆動する。給電回路14は、二次誘導結合器12から電力を供給され得る任意のタイプの電気負荷、構成要素、装置または器具を含むことができる。例えば、給電回路14は、誘導された発振電圧信号から生成された発振(または交流)電流を、直流つまりDC信号に変換するための整流器を含み得る。例えば、一部の電気負荷は、発振または交流(AC)入力ではなく、DC入力信号を必要とする場合がある。さらに、給電回路14は、以下の例示的な構成要素またはデバイス、つまり加熱要素、通信モジュール(例えば、ブルートゥース(登録商標)モジュールまたはWiFiモジュールなどの無線通信モジュール)、画像化装置(例えば、カメラ)、生体組織を治療(例えば、切除または凝固)するための電磁エネルギー(例えば、RF及び/またはマイクロ波エネルギー)を生成及び送達するための装置のいずれかをさらに含み得る。したがって、システム2は、医学(例えば、電気外科及び/または内部患者モニタリング)、ロボット工学、及びモバイルコンピューティング(例えば、モバイルコンピューティングデバイスのワイヤレス充電)を含むがこれらに限定されない様々な分野での用途を見出してもよい。
【0045】
上記によれば、システム2は、間に有線接続がなくても、電力信号源8から給電回路14に電力を供給することができる。
【0046】
図2は、電力信号源8及び一次誘導結合器10の例示的な実装を提示している。
図2に見られるように、発振器100は、発振制御信号を増幅器102に発する。発振制御信号は、MHz範囲(例えば、9.9MHz)の周波数を有する発振電圧信号であり得る。増幅器102は、この発振制御信号を増幅して、発振駆動信号を形成する。それは、発振制御信号と同じ周波数を有するが、より強力であり、そのため発振駆動信号がMOSFET104を駆動するのに十分な電力を有する。具体的には、MOSFET104は電圧制御電流源であり、したがって、発振駆動信号に基づいて(電流供給105を使用して)発振電流信号を生成する。発振電流信号は、制御信号及び駆動信号と同じ周波数である。次に、この発振電流信号は、一次誘導結合器10に供給される。上記のように、一次誘導結合器10は、発振電流信号を使用して、電磁誘導を介して発振磁場を生成する。
【0047】
一次誘導結合器10は、コンデンサ106及びインダクタ108を有する直列インダクタ-コンデンサ(LC)回路を備える。インダクタ108はワイヤのコイルを含むことが理解されるべきである。したがって、一次誘導結合器10は共振回路である。発振器100の周波数、コンデンサ106の静電容量、及びインダクタ108のインダクタンスの特定の値は、共振が発生するように選択される。共振は、送信機と受信機の物理的形状によって設定されたパラメータに基づいて発生するように設定してもよい。このようにして、インダクタ108のコイルは、発振磁場を生成する。
【0048】
図3は、二次誘導結合器12の例示的な実装を提示している。具体的には、二次誘導結合器12は、結合回路202に動作可能に結合された複数の4つのコイル(別名インダクタ)200a~dを有する共振受信機回路を備える。実施形態では、コイル200a~dは銀でできている。
【0049】
図3は、コイル200a~dと結合回路202との間の電気的接続を示している。しかし、コイル200a~dの物理的配置は、コイル200a~dの少なくとも一部が、他のコイルの少なくとも一部に対して異なる角度で物理的に配向されるようなものであり得ることを理解されたい。例えば、実施形態では、各コイル200a~dは、互いのコイルに対して異なる角度で配向され得る。
図4は、そのような実施形態を示している。これにおいて、コイル200cがコイル200aと比較して90度の差で回転し、コイル200bは、コイル200cと比較して90度の差で回転し、コイル200aと比較して180度の差で回転し、コイル200dは、コイル200bと比較して90度の差で回転し、コイル200cと比較して180度の差で回転し、コイル200aと比較して270度の差で回転する。このように、各コイルは、互いのコイルに対して異なる角度の配向にある。明確にするために、結合回路202は
図4では省略されている。しかし、結合回路202は、
図3に示されるようにコイル200a~dに接続されることが理解されるべきである。さらに、コイル200a~dは、
図4に特定の固有の角度で示されるが、いくつかの他の実施形態では、各コイル200a~dは、示されているものとは異なる固有の角度を有し得ることが理解される。また、
図4では、コイル200a~dは均一に角度方向に配向されている(すなわち、隣接する各コイル間に90度である)が、他のいくつかの実施形態では、コイルa~dは不規則または不均一に角度方向に配向され得る。
【0050】
図5は、複数の8つのコイル300a~hを有する、
図4の代替の実施形態を示している。実施形態では、コイル300a~hは銀でできている。
図5では、コイル300a~hの少なくとも一部は、他のコイルに対して同じ角度で物理的に配向されている。具体的には、コイル300a、300c、300b、300dは、それぞれ固有の角度で配向されている。しかし、コイル300e及び300gは、互いに同じ角度で配向されており、コイル300f及び300hは、互いに同じ角度で配向されている。
図4の場合と同様に、明確にするために、結合回路は
図5では省略されている。しかし、後に詳細に説明する
図6に示すように、結合回路がコイル300a~hに接続されることを理解されたい。
【0051】
一次コイル(例えば、誘導コイル108)から二次コイル(例えば、コイル200a~d、または300a~hのいずれか1つ)へ最適な電力を伝達するために、2つのコイルは、互いに平行になるべきである。一方のコイルが並列構成からもう一方のコイルに対して回転すると、伝達される電力量が減少する。2つのコイルが互いに垂直である場合、コイル間に電力の伝達はない。したがって、一次コイルと二次コイルの間の相対的な向きは、一次コイルから二次コイルに伝達される電力の量に影響を及ぼし、電力の伝達は、2つのコイルが互いに平行であるときに最良であり、2つのコイルが互いに垂直であるときに最悪である。
【0052】
受信機6が送信機4に対して移動可能または回転可能である場合、一次コイルと二次コイルとの間の相対的な角度または向きは変化し得る。一次コイルと二次コイルが互いに平行または平行に近い場合、電力の伝達は良好であるが、一次コイルと二次コイルが互いに垂直または垂直に近い場合、電力の伝達は不十分になる。そのような変動性は、給電回路14が正しく動作するために一定の、またはほぼ一定の電力の供給を必要とする場合に問題となる可能性がある。したがって、複数の異なる相対角度または向きでコイルを有することは、送信機4と受信機6の間の相対角度または向きが多様であるときに、電力の伝達をスムーズにして、より一貫性のあるものにすることができる。例えば、送信機4と受信機6との間に第1の角度が存在する場合、コイル108は、コイル200aに平行であるが、コイル200cに垂直であり得る。したがって、給電回路14は、コイル200aによって得られる誘導電力から(例えば、最適レベルで)電力を受け取り得るが、コイル200cは、給電回路14にいずれの電力を与えない場合がある。受信機6が送信機4に対して移動するにつれて、コイル200aは、コイル108に対してより平行でなく、より垂直になり得、コイル200cは、コイル108に対して、より平行で、より垂直でなくなり得る。これが起こると、コイル200a及び200cの両方が、給電回路14に電力を供給し得るが、どちらの二次コイルも一次コイルと平行ではないため、おそらく準最適のレベルである。さらに、受信機6が送信機4に対して移動し続けると、コイル200aはコイル108に対して垂直になり得、コイル200cはコイル108に対して平行になり得る。これが起こると、給電回路14は、コイル200cによって得られる誘導電力から(例えば、最適レベルで)電力を受け取り得るが、コイル200aは、給電回路14にいずれの電力をも与えない場合がある。
【0053】
したがって、受信機6が送信機4に対して移動するとき、給電回路は、送信機4と受信機6との間の角度配向に関係なく、二次誘導結合器12から電力を受け取り得る。具体的には、異なるコイルは送信機に対して異なる配向角度を有しているので、1つのコイルが垂直状態に向かって移動すると、別のコイルが垂直状態から離れる場合がある。このようにして、特定のコイルは、他のコイルを補い、受信機6によって収集された全体的な電力を平滑化することができる。
【0054】
さらに、各送信機と受信機のコイルの組み合わせは、特定の(つまり最適な)距離での最適な電力伝送のために構成されている。コイル間の間隔がこの最適な距離に近づくと、電力の伝達効率がピークになる。これが起こるとき、コイルは「臨界的に結合されている」と言われる。逆に、コイル間の間隔が最適な距離から離れる(例えば、大きくなる、または小さくなる)と、電力の伝達効率が低下する。2つのコイルが近すぎると、2つのコイル間の相互磁束の形成が反共振の効果によって妨げられ、電力の伝達が準最適になる(例えば、不十分になる)。このシナリオでは、2つのコイルは「過剰結合」であると言われる。一方、コイルが離れすぎると、一次コイルからの磁束の大部分が二次コイルを逃し、電力の伝達効率が再び準最適になる(つまり、不十分になる)。このシナリオでは、2つのコイルは「緩く結合」していると言われる。最適な距離は、送信機と受信機のコイルの結合係数によって異なる。コイルの結合係数は、コイルのインダクタンス、コイルの巻数、コイルを形成するために使用される材料(例えば、ワイヤー)の透磁率、コイルを形成するために使用される材料(例えば、ワイヤー)の断面積、コイルの長さ、及びコイルを形成するために使用される材料(例えば、ワイヤー)の外装効果などの、コイルの様々な属性に依存する。
【0055】
受信機6が送信機4に対して移動可能または回転可能である場合、一次コイルと二次コイルとの間の相対的な距離は変化し得る。一次コイルと二次コイルが最適な距離で分離されている場合、電力の伝達は最適になるが、一次コイルと二次コイルが最適な距離で分離されていない場合、電力の伝達は準最適になる。また、分離している距離が最適距離とさらに異なるようになると、電力の伝達はより準最適になり、最終的には無視できるかゼロになる。さらに、コイルが過結合または緩く結合されている場合、電力の伝達は特に不十分になる場合がある。そのような変動性は、給電回路14が正しく動作するために一定の、またはほぼ一定の電力の供給を必要とする場合に問題となる可能性がある。したがって、複数の異なる最適距離で一次コイルと結合するように構成された複数の受信機コイルを有することは、送信機4と受信機6との間の相対的な分離が変化するので、電力の伝達を滑らかにして、より一貫性のあるものにすることができる。
【0056】
上記を考慮すると、
図4の配置は、異なる配向角度に配置された複数のコイルを含むので有利である。したがって、受信機6は、送信機コイルに対してその配向角度が可変であるので、異なるコイルは、異なる配向角度で電力を供給し、その結果、受信機6は、送信機4と受信機6の間の配向角度に関係なく、送信機4から電力を受け取るように構成することができる。これらの利点は、
図5の配置を使用して達成することもできる。さらに、
図5の配置は、送信機コイルからの異なる距離(例えば、異なる臨界ゾーン)で臨界結合を生じるように構成された複数のコイルを含む。したがって、受信機6は送信機コイルからの距離が可変であるため、異なるコイルが異なる分離距離で電力を供給し、その結果、受信機6は、送信機4から、受信機コイル以来で達成できるものよりも広い範囲の距離にわたって電力を受信するように構成することができる。
【0057】
図3に戻ると、上記のように、コイル200a~dは、結合回路202に動作可能に結合されている。次に、結合回路202について詳細に説明する。
【0058】
結合回路202は、複数の電力結合器204a~d、206a~b、及び208を備える。各電力結合器は、2つの電力供給を1つの電力供給に結合するように機能する。電力結合器は、複数のステージに配置されている。第1ステージ204a~d、第2ステージ206a~b、及び第3ステージ208である。最終ステージは、単一のインピーダンス要素221によって結合回路202の出力222に接続され得るか、または最終段階は、その電力結合器(すなわち、電力結合器208)の出力ポートと結合回路の出力222の間に接続されるインピーダンス要素221を含み得る。各電力結合器は、出力ポートに結合された2つの入力ポートを含む同じ基本構造を持っている。
【0059】
電力結合器208を例として取り上げると、第1の入力ポートは210とラベル付けされ、第2の入力ポートは212とラベル付けされ、出力ポートは214とラベル付けされる。第1のインピーダンス要素216は、第1の入力ポート210と出力ポート214との間に結合されている。第2のインピーダンス要素218は、第2の入力ポート212と出力ポート214との間に結合されている。第3のインピーダンス要素220は、第1の入力ポート210と第2の入力ポート212との間に結合されている。各電力結合器は、第1及び第2の入力ポート210、212で受信された電磁電力を、別の回路、この場合は給電回路14によって使用するために出力ポート214で発せられる結合電力信号に結合するために使用される受動デバイスである。実施形態では、各電力結合器は、ウィルキンソン電力結合器である。電力結合器は、同軸及び平面技術(例えば、ストリップラインやマイクロストリップ)を含む多くの異なる技術で実現し得る。しかし、
図3の実施形態は、マイクロストリップを使用して構築し得る。
【0060】
また、各電力結合器は特性インピーダンスを持つ集中定数素子として機能する。つまり、各電力結合器は、集中定数素子に基づいて信号加算器を形成する場合がある。例えば、直列インダクタとシャントコンデンサの組み合わせである。例えば、特性インピーダンスは、電力結合器を形成するために使用される形状と材料によって決まる。具体的には、選択された形状及び材料は、インピーダンス要素216、218及び220の値を決定し、インピーダンス要素216、218及び220の値は、電力結合器の特性インピーダンスを決定する。異なる電力結合器は、インピーダンス要素216、218、及び220の異なる値を有し得ることが理解されるべきである。したがって、電力結合器が異なれば、特性インピーダンスも異なる場合がある。
【0061】
結合回路202は2つの主要な機能を有する。
第1に、複数の電力結合器(204a~d、206a~b及び208)が一緒に接続されて、複数のコイル200a~dのそれぞれを介して受信された電力を、結合して結合回路202の出力222に供給される結合電力信号にする。次に、この組み合わされた電力信号を使用して、出力222に結合された給電回路14に電力を供給することができる。
【0062】
第2に、各コイルは、そのコイルと一緒に結合して、共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンスを有する電力結合器の特定の組み合わせによって、出力222に結合される。例えば、コイル200aは電力結合器の第1の組み合わせ(204a、206a、及び208)によって出力222に結合され、一方でコイル200bは電力結合器の第2の(つまり異なる)組み合わせ(204b、206a、及び208)によって、出力222に結合される。コイル200aを考察すると、電力結合器204a、206a、及び208は、それらの特性インピーダンスがコイル200aと結合して、一次コイル108と二次コイル200aとの間の共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成するように構成される。さらに、コイル200bを考察すると、電力結合器204a、206a、及び208は、それらの特性インピーダンスがコイル200bと結合して、一次コイル108と二次コイル200bとの間の共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成するように構成される。別の言い方をすれば、結合回路202は、複数の信号経路を備え、各信号経路は、コイル200a~dの異なる1つを出力222に接続する。また、各信号経路は複数の電力結合器(例えばインピーダンス要素)を含み、所与の経路の電力結合器(例えばインピーダンス要素)は、その経路に接続されたコイルのインダクタンスと共振する静電容量を有する、結合された特性インピーダンスへと結合する特性インピーダンスを有する。例えば、コイル200aを考察すると、電力結合器204a、206a、及び208は、コイル200aのインダクタンスと共振するのに十分な静電容量である結合された特性インピーダンスを有する。実施形態では、各コイルは、電力結合器の固有の組み合わせを介して出力222に結合される。実施形態では、インピーダンス要素221はまた、各コイルの共振回路の一部を形成し得る。
【0063】
したがって、結合回路202は、各コイルによって受け取られた電力を、給電回路14に電力を供給するための単一の電力信号に結合する。また、結合回路202は、各コイル200a~dと別個の共振回路を形成し、その結果、各コイル200a~dは、共振誘導結合を介して電力を受け取ることができる。
【0064】
図3は、
図4の4つのコイル200a~dを給電回路14に接続するための回路202を組み合わせて、4つのコイル200a~dのそれぞれが共振誘導結合を介して電力を受け取ることができ、この受信電力が一緒に組み合わされて、給電回路14に電力を供給することができるようにする、例示的な回路を示す。
図6は、
図5の8つのコイル300a~hを給電回路14に接続するための回路302を組み合わせて、8つのコイル300a~hのそれぞれが共振誘導結合を介して電力を受け取ることができ、この受信電力が一緒に組み合わされて、出力322を介して給電回路14に電力を供給することができるようにする、例示的な回路を示す。結合回路302は、結合回路202と同じ基本構造を有する。具体的には、結合回路302は、複数の電力結合器304a~h、306a~d、308a~b、及び310を備える。各電力結合器304a~h、306a~d、308a~b、及び310は、上記の電力結合器204a~d、206a~b、及び208のそれぞれと同じ基本構造を有する。わかりやすくするために、各電力結合器の個々の構成要素は、
図6に示されていない。また、結合回路302の基本的な機能は、上記の結合回路202のそれと同じである。結合回路302と結合回路202との間の唯一の違いは、結合回路302がより多くのコイル(すなわち4つではなく8つ)から電力を共に集めなければならず、結合回路302がより多くの共振回路(すなわち4つではなく8つ)を形成しなければならないことである。したがって、結合回路302は、結合回路202と比較して、追加の電力結合器、すなわち、7つではなく15の電力結合器を有する。また、結合回路302は、結合回路202と比較して、追加の第4ステージ(すなわち、電力結合器310)を有する。インダクタまたはコイルの数(N)が2の二乗である場合、結合回路内の電力結合器の数は2N-1であることが理解されるべきである。また、段数は2の(N-1)または2
(N-1)の累乗になる。
【0065】
第1ステージを考察すると、第1ステージの電力結合器の数はコイルの数と一致する(例えば、第1ステージ204a~dには4つのコイル200a~dに一致する4つの電力結合器があり、第1ステージ304a~hには8つのコイル300a~hに一致する8つの電力結合器がある)。また、各第1ステージ電力結合器は、複数のコイルの中の異なるコイルに関連付けられ、例えば、電力結合器204aは、コイル200aに関連付けられる(例えば、接続される)が、電力結合器204bは、コイル200bに関連付けられる(例えば、接続される)。さらに、各第1ステージ電力結合器は、関連するコイルの第1の端部に接続された第1の入力ポートと、関連するコイルの第2の端部に接続された第2の入力ポート、例えば、電力結合器204aの第1の入力がコイル200aの上端に接続され、電力結合器204aの第2の入力は、コイル200aの下端に接続されている。この構造は、結合回路302にも当てはまる。
【0066】
第1ステージの後、結合回路は、1つまたは複数のさらなるステージを有し得、例えば、結合回路202は、第2ステージ206a~b及び第3ステージ208を有するが、結合回路302は、第2ステージ306a~d、第3ステージ308a~b及び第4ステージ310を有する。さらなるステージ(例えば、第2ステージ306a~d)の例を考察すると、その先のステージの電力結合器の数(すなわち4つ)は、隣接する前のステージの電力結合器の数の半分に一致する(すなわち、第1ステージは8つ、したがって、第2ステージには、この半分、つまり4つある)。また、その先のステージ(つまり、306a~dのそれぞれ)の各電力結合器は、隣接する前のステージ(つまり、第1ステージ)の異なるペアの電力結合器に関連付けられ、隣接する前のステージ(つまり、304a~h)の各電力結合器は、その先のステージ(つまり、第2ステージ)からの単一の電力結合器のみに関連付けられる。例えば、第2ステージ電力結合器306bは、第1ステージ電力結合器304c~dに関連付けられて(例えば、接続されて)おり、第1ステージ電力結合器304c~dは、第2ステージ電力結合器306bにのみ接続されている。さらに、その先のステージ(すなわち、306a~dのそれぞれ)の各電力結合器は、隣接する前のステージからの関連する電力結合器のペアの1つの出力ポートに接続された第1の入力ポート(すなわち、306bは、304cの出力に接続された第1の入力がある)、及び隣接する前のステージからの関連する電力結合器のペアの他方の出力ポートに接続された第2の入力ポート(つまり、306bには304dの出力に接続された第2の入力がある)を有する。この構造は、結合回路202にも当てはまる。
【0067】
結合回路302においてコイルが接続される順序は、電力の伝達及び/または電力の収集を改善するために特に選択され得ることに留意されたい。具体的には、
図6に見られるように、コイル300a及び300bからの出力は両方とも電力結合器306aに接続されている。
図5を見ると、コイル300aと300bが、互いにほぼ反対方向に配向されていることが分かる。同じことが他のすべてのコイル300b~hにも見られる。つまり、300cと300dの向きは逆で、両方とも電力結合器306bに結合されている。300eと300fの向きは逆で、両方とも電力結合器306cに結合されている。また、300gと300hの向きは逆で、両方とも電力結合器306dに結合されている。この配置は、電力の伝達及び収集を改善するために選択される、例えば、コイル300a~hに伝達される総電力及び/または出力322で収集される総電力が挙げられる。具体的には、この配置は、コイル300a~hから出力322までの隣接する経路の電力量のバランスをとる。すなわち、システムのバランスを改善し、それによって総電力の伝達及び収集を改善するために、結合回路302の隣接する経路は、可能な限り類似した量の電力を伝送することが好ましい。例えば、
図6を見ると、電力結合器306aの第1の入力ポートの電力は、電力結合器306aの第2の入力ポートの電力に最も類似していることが好ましい。これは、特定の状況で最も類似した量の平均電力を生成する2つのコイルを共にペアにすることによって実現される。例えば、同様の方向及び/または同様の距離で最適な電力の伝達のために構成された2つのコイルは、所与の状況において同様の量の平均電力を生成する。逆に、非常に異なる方向及び/または距離で最適な電力の伝達のために構成された2つのコイルは、所与の状況において異なる量の平均電力を生成する。したがって、コイル300a~hは、バランス及び電力の伝達を改善するために、結合回路302に配置される。具体的には、次のコイルのペア、つまり300aと300b、300cと300d、300eと300f、及び300gと300hが第2段階で確立される。さらに、同じ戦略が後続の各段階で採用される。例えば、ペア300a:300bは、特定の状況でペア300c:300dと類似した量の平均電力を生成するため、これらのペアは両方とも同じ電力結合器308aに入力されることが確立される。また、ペア300e:300fは、特定の状況でペア300g:300hと類似した量の平均電力を生成するため、これらのペアは両方とも同じ電力結合器308bに入力される。結合回路にさらにステージが存在する場合、この評価は各ステージに対して実行される(1つの電力結合器のみを含む最終ステージを除く)。所与の状況において異なるコイル及び電力分割器の組み合わせによって生成される平均電力は、経験的に決定することができ、その結果を使用して、電力結合器または電力結合器ステージの間の接続を選択できることを理解されたい。
【0068】
したがって、要約すると、複数のコイル(300a~h)と結合回路(302)との間の接続、及び結合回路(302)における複数の電力結合器(304a~h、306a~d、308a~b、310)間の接続は、各電力結合器に入力される2つの電力信号間の差を最小にするように選択される。これは、特定の状況(例えば、テストの状況)で最も類似した平均電力を供給するコイルを共にペアにすることによって実現される。また、これは、特定の状況で最も類似した平均電力を供給する同じステージの電力結合器を共にペアにすることによって実現される。コイル200a~dと、結合回路202の電力結合器204a~d、206a~b、及び208との間の接続は、同じ方法で確立されることに留意されたい。
【0069】
上記に基づいて、4つ及び8つのコイルを有する受信機の例が提示されてきたが、いくつかの他の実施形態では、受信機6は、これらの数より多いまたは少ない、例えば8を超えるまたは4未満のコイルを有することができる。さらに、上記の説明から、コイルの数が変化したときに結合回路を変更する方法が明らかである。結合回路はコイルの数に適合しているので、結合回路は、各コイルを介して受け取った電力を単一の電力信号に結合して、給電回路14に電力を供給するように機能することに留意されたい。また、結合回路は、各コイルと共振回路を形成し、その結果、各コイルは、共振誘導結合を介して電力を受け取ることができる。
【0070】
図7は、以下で詳細に説明される給電回路14の例示的な実施態様を示している。しかし、
図7の実施態様は、給電回路14の単なる1つの可能な例であることが理解されるべきである。いくつかの他の実施形態では、給電回路14は、電気エネルギーを他の形態に変換するための他の電子デバイス、器具、または回路を含むことができる。例えば、給電回路14は、電気エネルギーを、例えば、物理的特性(例えば、温度または圧力)を表すか、またはある種のデータ(例えば、通信データ)を表す電気エネルギーなどの異なるタイプの電気エネルギーに変換し得る。追加的または代替的に、給電回路14は、電気エネルギーを、熱エネルギー(加熱または冷却用)、電磁エネルギー(例えば、ガンマ線、X線、UV光、可視光、IR光、RF信号、マイクロ波信号)、及び/または音響エネルギー(例えば、超音波振動、可聴振動)などの異なるタイプのエネルギーに変換し得る。
【0071】
図7に目を向けると、給電回路14は、電気外科装置402に動作可能に結合された整流器400を備える。整流器400は、入力端子404a及び404bを有し、これらは、そこから電力を受け取るように、二次誘導結合器12に結合されている(図示せず)。例えば、整流器400は、結合回路202の出力222または結合回路302の出力322に結合され得る。
図7に示されるように、整流器400は、全波ブリッジ整流器であり得る。しかし、いくつかの他の実施形態では、整流器400は、例えば、半波整流器、またはセンタータップ整流器などの異なるタイプの整流器であり得ることが理解されるべきである。いずれの場合でも、整流器400は、二次誘導結合器12によって供給される交流信号を、直流つまりDC信号に変換するように機能する。
【0072】
電気外科装置402は、整流器400から整流された電力信号を受信し、それを使用して、非電離RFまたはマイクロ波エネルギーなどの電磁エネルギーを生成及び放射する。具体的には、
図7の実施形態では、受信機6は、
図8に示すように、カプセル500の一部である。カプセル500は、受信機6を収納または収容するハウジング502を備えるカプセルは、患者が挿入または摂取(飲み込むなど)することを目的とした医療機器である。例えば、カプセル500は、内視鏡カプセルであり得る。したがって、カプセル500は、飲み込みやすくしたサイズ及び形状である。例えば、ハウジング502の形状は、実質的に球状円筒形であり、すなわち、錠剤のような形状である。また、ハウジング502の最大の長さは約20mm±5mmであり得、ハウジング502の最大の幅は約10mm±5mmであり得る。さらに、ハウジングは、生体適合性材料(例えば、パリレンCまたはPTFE)から形成され得る。あるいは、生体適合性材料の層を、ハウジング502の外面に適用してもよい。生体適合性層は、10μm以下の厚さを有し得る。
【0073】
例として、コイル300a~hは、ハウジング502内の可能な位置に示されている。しかし、カプセル500は、特定の数のコイルで使用されることに限定されないことを理解されたい。また、いくつかの他の実施形態では、コイルは、異なって、例えば、異なる相対的な向きで配置され得る。
図6を参照して上で説明したように、コイル300a~hは結合回路302に接続され、コイル300a~hは、結合回路302が共振誘導結合を介して電力を受け取り、結合電力信号を給電回路14に出力する。この組み合わされた電力信号は、整流器400によって整流されて、上記のように、電気外科装置402に供給されるDC信号を供給する。
【0074】
図7に戻ると、電気外科装置402は、整流器のDC出力信号からマイクロ波電磁エネルギーを生成するために整流器400に結合されたマイクロ波電力増幅器406を備える。また、電気外科装置402は、マイクロ波電磁エネルギーを受信してカプセル500を取り巻く生体組織に放射するためにマイクロ波電力増幅器406に結合されたマイクロ波伝送線路408(静電容量410及び直列接続抵抗器412によって表される)を備える。すなわち、カプセル500が患者に飲み込まれると、カプセル500は患者の体内に入る。カプセル500は、例えば、組織を凝固または切除するために、治療部位で組織を治療するためにマイクロ波エネルギーが放射される身体の治療ゾーンまたは部位(例えば、胃腸管内)に能動的または受動的に移動し得る。実施形態では、カプセル500は、患者の体の外側に配置された磁気ステアリング装置を介して治療部位に能動的にステアリングされる。したがって、カプセル500は、磁気ステアリング装置と反応する(例えば、引き付けられ、反発される)鉄または磁石要素(図示せず)を含み得、その結果、カプセル500の患者を通る治療部位への移動経路は、患者の体外から磁気ステアリング装置を介して誘導または制御することができる。
【0075】
実施形態では、電気外科装置402は、伝送線路408のインピーダンスが、組織への均一(または一定)のエネルギー供給であることを保証するために、装置によって治療される生体組織のタイプ(別名標的組織タイプ)のインピーダンスと一致するように構成される。例えば、生体組織と同等の電気回路を構築することが知られている。具体的には、この等価電気回路では、抵抗器RiがコンデンサCmと直列に接続され、次に、RiとCmの両方が抵抗器Reと並列に接続されている。Reは細胞外抵抗を表し、Riは細胞内抵抗を表し、Cmは細胞膜の電気容量を表す。Re、Ri、及びCmは、それぞれ、細胞外液に由来する抵抗成分、細胞内液に由来する抵抗成分、及び細胞膜に由来する容量成分である(全体として、組織を作るために結合された細胞、電界が交差する生体物質の誘電特性)。また、Re、Ri、及びCmは、異なる組織タイプ間で異なり、したがって、標的組織タイプは、Re、Ri、及びCmの関連する値を有し、したがって、関連する組織インピーダンスを有する。伝送線路408の形状は、標的組織タイプのインピーダンスと一致するか、または類似するインピーダンス(例えば、静電容量410及び抵抗412の値)を提供するように選択(例えば、設定)することができる。このようにして、電気外科装置は、治療部位の標的組織にエネルギーを均等に(または均一に)送達する。
【0076】
実施形態では、電気外科装置402によって送達されるマイクロ波エネルギーを使用して、例えば、治療部位で組織を凝固させることによって、外傷性出血を治療し得る。追加的または代替的に、マイクロ波エネルギーは、例えば、治療部位で組織を切除することによって、病変または腫瘍を治療するために使用され得る。また、
図7の実施形態は、マイクロ波電力増幅器を介してマイクロ波エネルギーを生成するための電気外科装置を含むが、他のいくつかの実施形態では、異なるタイプの高周波電磁エネルギーを生成し得、例えば、RFエネルギーはRF電力増幅器によって生成される場合があることを理解されたい。
【0077】
実施形態では、カプセルが患者によって飲み込まれ、胃腸管で手術を行うために使用されるのではなく、カプセル500は、代わりに、血管系、例えば、大腿動脈に挿入され得る。この場合、血管内の血流の遮断を回避するために、処置をより迅速にする必要があり得る。また、実行されるいずれかの凝固は、血管によって運ばれる血液を詰まらせないように、血管自体に制限する必要がある。
【0078】
受信機6の上記の実施形態は、内視鏡カプセルであり得るカプセル500などの、患者によって摂取されるかまたは患者に挿入されるカプセルに電力を供給するのに特によく適している。具体的には、カプセル500が患者の体内を移動し、カプセル500が治療部位に到着すると、送信機4の一次コイル108と受信機6の単一の二次コイル(例えば、コイル300a)との間の相対的な角度または向きを制御することが困難になる可能性がある。また、一次コイル108と二次コイル300aとの間の相対的な間隔を制御することが困難である可能性がある。磁気ステアリング装置を使用してカプセルを患者を通して治療部位に誘導し得るとしても、カプセルの正確な向き、及びカプセルと一次コイル108との間の正確な間隔を制御することは困難である可能性があることに留意されたい。したがって、上記の実施形態の利点は、複数の二次コイル(例えば、コイルa~h)が受信機6に設けられ、異なるコイルが、カプセル500と一次コイル108との間の異なる相対角度での最適な電力の伝達を可能にすることである。また、異なるコイルは、カプセル500と一次コイル108との間の異なる距離での最適な電力の伝達を可能にする。このようにして、カプセルへの電力の伝達が、カプセルと一次コイル108との間の相対的な配向及び間隔に影響されにくいカプセルを開発することが可能である。例えば、カプセル500と一次コイル108との間の特定の相対的な向き及び間隔で、コイル300a~hの1つまたは複数が最適な電力の伝達を経ている場合があり、コイル300a~hの1つまたは複数が電力の伝達を経ていない場合があり、コイル300a~hの1つまたは複数が準最適の電力転送を経ている場合がある。しかし、すべてのコイル300a~hは、異なるコイル300a~hを介して受信される電力が何であれ、受信された電力が結合され、カプセルに搭載された給電回路14に供給されるように、結合回路302に結合される。このようにして、実施形態は、摂取可能/挿入可能なカプセル(または内視鏡カプセル)に電力を供給するための改善されたメカニズムを提供する。
【0079】
いくつかの他の実施形態では、カプセルの給電回路は、患者の内部構造(例えば、血管構造)を検査及び監視するための画像化デバイス(例えば、カメラ)を追加的または代替的に含み得る。例えば、画像化デバイスは、時間間隔(例えば、1秒に2回)で画像をキャプチャするように構成され得る。この場合、カプセルのハウジングは、画像化装置がハウジングを通して見ることができるように透明であるウィンドウ部分を含み得る。また、画像化装置が新しい画像をキャプチャするたびに、カプセルまたはウィンドウの周囲の組織を照らすために光源を含み得る。追加的または代替的に、給電回路は、生体分子、生物学的構造、または微生物などの生物学的分析物の存在または濃度を検出するための1つまたは複数のバイオセンサを含み得る。この場合、カプセルのハウジングは、バイオセンサの少なくとも一部が治療部位の組織に接触することを可能にする開口を有し得る。追加的または代替的に、給電回路は、治療部位の組織の温度を変化させるための熱モジュール(例えば、加熱素子)を含み得る。例えば、熱モジュールは、治療部位で組織(例えば、癌性組織)を加熱して、熱活性化化学療法薬などの熱活性化薬物を活性化するために使用され得る。
【0080】
図9は、
図8のカプセル500の変形であるカプセル600を示している。カプセル600は、カプセル500の上記の構造及び機能を含むが、以下の違いを有する。
【0081】
カプセル500が、結合回路302に接続された8つのコイル300a~hを含む場合、カプセル600は、結合回路202に接続された4つのコイル200a~dを含む。そうは言うものの、カプセル600は、任意の数のコイルと、その数のコイルに適合された結合回路とを含むことができる。また、各コイルの相対的な向き、及び各コイルの臨界ゾーンは、送信機4と受信機6との間の向きに関係なく、受信機6によって電力を受け取ることができるように、及び送信機4と受信機6との間の広範囲の分離距離内の受信機6によって電力を受け取ることができるように、実施形態間で変えることができる。
【0082】
カプセル600は、共振誘導結合を介して受信された電力からDC電力信号を生成するための整流器400を含む。また、電気外科装置402は、整流器400から整流された電力信号を受信し、それを使用して、非電離RFまたはマイクロ波エネルギーなどの電磁エネルギーを生成及び放射する。
図9は、患者の消化管の管腔602内のカプセル600を示している(これは、
図9の断面図に示されている)。消化管の上皮は、線604a及び604bで表される。上皮604bは、上記の治療部位またはゾーンを表す腫瘍606を含む。
図9の点線は、電磁装置402から治療部位の腫瘍606への電磁エネルギーの放射を示している。電磁エネルギーは、腫瘍606を死滅させるために、治療部位で組織を切除及び/または凝固させるために使用され得る。
【0083】
カプセル500に関して上で述べたように、カプセル600は、磁気ステアリング装置を介して治療部位に誘導され得る。ただし、カプセル500/600がいつ所定の位置にあるかを確認するのは難しい場合がある。さらに、カプセル500/600が所定の位置にない場合、電磁エネルギーが不健康な組織(例えば、腫瘍)ではなく健康な組織に放射される場合があるというリスクがある。したがって、カプセル600は、カプセルの周囲(例えば、電磁装置402を取り巻く組織)に対応する電気信号を生成する1つまたは複数のセンサを含む。
図9は、カプセル600が2つのセンサ608a及び608bを含むことを示しているが、他のいくつかの実施形態では、2つより多いまたは少ないセンサがあり得ることを理解されたい。また、ハウジング502内のセンサの正確な位置は、実施形態間で異なり得る。例えば、電磁装置402は、カプセル600の一端に配置され得、1つ以上のセンサ608a、608bは、カプセル600の反対側の端に配置され得る。いずれの場合も、各センサ608a、608bは、治療部位から受信された(例えば、反射された)電磁信号(例えば、赤外線信号、紫外線、可視光)に基づいて電気信号を生成する画像化モジュールであり得る。例えば、各センサはFujikura 40K CMOS Image Sensor Moduleの場合がある。さらに、各センサは、整流器400から電力を受け取る(すなわち、それによって電力が供給される)。したがって、各センサは、共振誘導結合を介してカプセル600によって受け取られた電力から電力を供給される。
【0084】
各センサ608a、608bは、カプセルの現在の周囲に対応する(すなわち、表現を提示する)電気信号(例えば、電圧信号)が出力されるセンサ出力ポートを有する。各センサ608a、608bのセンサ出力は、信号調整ユニット610に接続されている。信号調整ユニット610はまた、そこから電力を受け取るように整流器400に接続されている。信号調整ユニット610は、各センサ608a、608bから出力された電気信号を調整して、それが結合回路202及びコイル200a~dを介して受信機6から送信するのに適しているようにする。すなわち、結合回路202及びコイル200a~dは、共振誘導結合を介して、調整された電気信号を送信機4に送信するように構成された共振送信機回路を形成する。具体的には、信号調整ユニット610は、センサ608a、608bからの電気信号を増幅して、それらが共振誘導結合を介して送信され、送信機4で受信されるのに十分強力である。例えば、信号調整ユニット610は、電力増幅器を含み得る。これは、センサから出力される電気信号の電圧を増幅する。さらに、信号調整ユニット610は、センサから出力される電気信号の周波数を変更(例えば、増加または減少)して、受信機6から送信機4に送信されるセンサ信号と、送信機4から受信機6に送信される電力信号との間の干渉を低減または回避する。例えば、信号調整ユニット610は、センサ信号の周波数を低減するための分周器、及び/またはセンサ信号の周波数を増大させるための周波数増倍器を含み得る。センサ信号周波数が増加または減少するかどうかに関係なく、調整されたセンサ信号は、電力信号の周波数と協調する周波数を有し、干渉(建設的または破壊的)が回避される、または減少する場合、周波数は「協調」する。実施形態では、電力信号は約9MHzであり得、調整されたセンサ信号は約1MHzであり得る。
【0085】
したがって、センサ608a及び608bは、電気外科装置402のいずれかの側に配置されるので、センサ608a及び608bからの信号は、電気外科装置402の前の物理的環境(例えば、組織)の正確な表現を提示する。したがって、ユーザは、送信機4でこれらの表現を受信して、カプセル600がいつ治療部位(例えば、腫瘍606)にあるかを確認することができる。例えば、調整されたセンサ信号を使用して、送信機4に接続されたディスプレイデバイス(例えば、モニター)上に画像を生成し得る。次に、人間である操作者は、画像を使用して、カプセル600がいつ定位置にあるかということ、またその場合に、ユーザは、電気外科装置402を作動させて、組織治療のために電磁エネルギーを治療部位に送達することができるということを判断できる。具体的には、電磁エネルギーは、腫瘍606を切除及び/または凝固させるマイクロ波エネルギーであり得る。電気外科装置の作動は、送信機から受信機に送信される電力信号に組み込まれる特定の制御信号を介して行ってもよい。
【0086】
上記の実施形態では、結合回路は、2つの入力ポートと1つの出力ポートのみを有する電力結合器を含む。しかし、少なくとも一部の他の実施形態では、異なる電力結合器構造を使用してもよい。例えば、各電力結合器には、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の3つ以上の入力ポートがあり得る。いずれの場合も、各電力結合器は、各入力ポートで受信した信号を結合して、電力結合器の出力ポートから出力される結合信号にするように機能する。この場合、上で説明した実施形態のように、結合回路の電力結合器は、結合回路の出力に供給される結合電力信号に各受信機コイルから受け取った電力を結合するために一緒に接続される。また、各受信機コイルは、電力結合器(またはインピーダンス要素)の組み合わせによって結合回路の出力に結合され、この電力結合器(またはインピーダンス要素)の組み合わせは、そのコイルと共に結合して共振誘導結合を介して電力を受け取るための共振回路を形成する特性インピーダンスを有する。以前のように、各電力結合器は、特性インピーダンスを有し得、例えば、各電力結合器は、特定の特性インピーダンスを有する集中定数素子として機能し得る。つまり、各電力結合器は、集中定数素子に基づいて信号加算器を形成する場合がある。例えば、直列インダクタとシャントコンデンサの組み合わせである。
【0087】
前述の記載、または以下の請求項、または添付の図面中で開示され、特定の形態で、または開示する機能を実行するための手段、または開示する結果を得るための方法もしくはプロセスという観点から表された特徴は、多様な形態で本発明を実現するために、必要に応じて、別々に、またはこのような特徴を任意に組み合わせて利用してもよい。
【0088】
本発明を、上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示が与えられた場合、多くの同等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上で説明された本発明の例示的な実施形態は、例示的であり限定的でないと判断される。記載される実施形態への様々な変化は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行われ得る。
【0089】
誤解を避けるために、本明細書中で提供する理論的な説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0090】
以下の請求項を含む本明細書の全体を通じて、文脈上異ならない限り、用語「~を有する(have)」、「~を備える(comprise)」、及び「~を含む(include)」、ならびに「~を有する(having)」、「~を備える(comprises)」、「~を備える(comprising)」、及び「~を含む(including)」などの変形は、記載された整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含するが、他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
【0091】
本明細書及び添付の請求項において使用される時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確にそうでないと示さない限り、複数の指示物を包含することに留意されたい。範囲は、「約」(ある特定の値)から、及び/または「約」(別の特定の値)まで、として本明細書において表現され得る。このような範囲が表現される場合に、別の実施形態は、(ある特定の値)から及び/または(他の特定の値)までを包含する。同様に、値が近似として表現される場合に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるだろう。数値に関連する用語「約」とは、任意選択であり、例えば±10%を意味する。
【0092】
用語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」は、本明細書では、いくつかの状況の下で特定の利点を提供し得る本発明の実施形態を指して使用される。しかし、他の実施形態も同一の状況または異なる状況下で好ましい場合があることが認識されよう。したがって、1つまたは複数の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味または暗示するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲または特許請求の範囲から除外することを意図するものではない。