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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】金属の高温アンコイリング
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/54 20060101AFI20241017BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20241017BHJP
   B21B 45/02 20060101ALI20241017BHJP
   B21C 47/26 20060101ALI20241017BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20241017BHJP
   C21D 9/52 20060101ALI20241017BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20241017BHJP
   C22F 1/047 20060101ALI20241017BHJP
   C22F 1/05 20060101ALI20241017BHJP
   C22F 1/053 20060101ALI20241017BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
C21D9/54
B21B39/00 H
B21B45/02 320U
B21C47/26 A
B21C47/26 Z
C21D1/00 111
C21D1/00 123A
C21D9/52 102
C22F1/04 A
C22F1/04 M
C22F1/047
C22F1/05
C22F1/053
C22F1/00 623
C22F1/00 630K
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 691A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691Z
C22F1/00 692A
C22F1/00 692B
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2022558568
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020055334
(87)【国際公開番号】W WO2021201912
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】63/005,014
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】スタニストリート,ティモシー フランシス
(72)【発明者】
【氏名】フィン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル,レナート ルフィノ
(72)【発明者】
【氏名】スー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ナズロ,ルイス ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ピロティーラ,テューダー
(72)【発明者】
【氏名】ワグスタッフ,サミュエル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハイド,バーバラ ルシール
(72)【発明者】
【氏名】ゲーンズバウアー,デイビッド アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ダス,サゾル クマール
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505667(JP,A)
【文献】特開2019-193951(JP,A)
【文献】特開2013-136083(JP,A)
【文献】特開平01-122605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/46- 9/48
C21D 9/52- 9/66
B21C 45/00-49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のコイルを熱処理する方法であって、
前記金属の前記コイルを炉内で加熱して、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように前記金属の温度を上昇させることと、
前記金属が前記予熱温度範囲内である加熱状態で、または前記金属が前記予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、前記金属の前記コイルを巻き戻すことであって、前記巻き戻すことは前記コイルの巻き戻し部分を製造する、前記巻き戻すことと、
前記コイルの前記巻き戻し部分を焼入れして、所定の時間内に前記巻き戻し部分の温度を焼入れ済み温度範囲まで低下させることであって、前記焼入れすることは焼入れ部分を製造する、前記低下させることと、
を含み、
前記巻き戻し中の前記コイルに対して絶縁体を配置し、熱損失を防止または低減することと、
前記コイルが成形されるスプール内にマンドレルを挿入することと、
前記マンドレルを回転させることであって、前記コイルの前記巻き戻しは前記マンドレルを回転させることに起因する、前記回転させることと、
をさらに含
前記マンドレルの前記挿入は、前記コイルの前記加熱の前に起こり、
前記マンドレルは、前記コイルの前記加熱に起因する前記スプールの内径のサイズにおける変化に適合するために半径方向に膨張するように構成される、前記方法。
【請求項2】
前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部は、前記コイルが前記炉内に維持されている間に実行されるか、
前記コイルの前記加熱と前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部との間に、前記コイルは前記炉と巻き戻し位置との間で運搬されるか、
いずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱、前記巻き戻し、及び前記焼入れは、前記コイルが材料の連続したバンドで維持される状態で、前記バンドが切断されて再連結されることを必要とせずに実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記焼入れ部分を第二コイルにリコイルすることをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記コイルの前記加熱と前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部との間に、前記コイルの前記加熱を実行した前記炉と巻き戻し位置との間で前記コイルを運搬することをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記炉の下または横から、前記炉から前記コイルを取り外しすることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コイルの前記運搬中の熱損失を低減させるために、前記コイルを絶縁材料で少なくとも部分的に包むことをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部は、前記コイルの前記加熱を実行した前記炉内に前記コイルが維持されている間に実行される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属はアルミニウムを含む、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記予熱温度範囲は、400℃から600℃の間の均質化温度範囲に対応する、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記予熱温度範囲は、300℃から500℃の間の焼なまし温度範囲に対応する、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記閾値量は50℃以下である、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記焼入れに起因する前記焼入れ済み温度範囲は、200℃から500℃の間である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記焼入れに起因する前記焼入れ済み温度範囲は、200℃から350℃の間である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記焼入れは、前記コイルの前記巻き戻し部分を、100℃から250℃の間の焼入れ温度範囲内で与えられる焼入れ媒体にさらすことを含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記焼入れは、前記コイルの前記巻き戻し部分を、10℃から200℃の間の焼入れ温度範囲内で与えられる焼入れ媒体にさらすことを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の時間は20秒未満である、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記焼入れは、10℃/sを上回る熱抽出速度に対応する、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記焼入れは、100℃/sを下回る熱抽出速度に対応する、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
金属のコイルを熱処理するためのシステムであって、
前記金属の前記コイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように前記金属の温度を上昇させるように構成される炉と、
前記金属が前記予熱温度範囲内である加熱状態で、または前記金属が前記予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、前記コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように動作可能な巻き戻しシステムと、
前記コイルの巻き戻し部分を前記巻き戻しシステムから受容し、前記巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成される焼入れシステムと、
を含み、
前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置に対して配置される絶縁体と、
前記コイルが巻き付けられるスプール内に挿入されるマンドレルと
をさらに含み、
前記絶縁体は、前記巻き戻し位置で前記コイルが受容されると、前記コイルからの熱損失を防止する、または低減させ、
前記コイルは、前記マンドレルを回転させることに起因して巻き戻され、
前記マンドレルは、前記炉における前記金属の温度上昇の前に前記スプール内に挿入され、前記金属の前記温度上昇に起因する前記スプールの内径のサイズにおける変化に適合するために半径方向に膨張するように構成される、前記システム。
【請求項21】
前記システムは、前記炉と前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置との間で前記コイルを移動させるように構成される運搬システムをさらに含むか、
前記巻き戻しシステムは、前記コイルが前記炉内に配置されている間に前記コイルを少なくとも部分的に巻き戻し、前記コイルの巻き戻し部分を製造するように構成される巻き戻し機構を含むか、
いずれかである、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記焼入れシステムから焼入れ部分を受容し、前記焼入れ部分をリコイルして第二コイルを成形するように構成される巻き取りシステムをさらに含む、請求項20または21に記載のシステム。
【請求項23】
前記炉と前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置との間で前記コイルを移動させるように構成される運搬システムをさらに含む、請求項20から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記運搬システムは、前記加熱状態で前記コイルを受容し、前記加熱状態で前記コイルを前記巻き戻し位置に運搬するように構成される少なくとも1つのキャリヤを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記キャリヤは、前記コイルの周りに絶縁筐体を受容するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記絶縁筐体は、前記コイルが絶縁体によって少なくとも部分的に封入される閉構成と、前記キャリヤに対して装填する、または取り外しするために前記コイルがアクセス可能である開構成との間で可動な少なくとも1つの解放可能で分離可能な部材を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記絶縁筐体はアパーチャを含み、前記アパーチャは、前記コイルが巻き戻され、前記巻き戻し位置で前記アパーチャを通過することを可能にするサイズに作られる、請求項25または26に記載のシステム。
【請求項28】
前記加熱状態の前記コイルを前記キャリヤから、前記巻き戻し位置で巻き戻し機構に移送し、前記巻き戻し機構と係合させるように構成される移送システムをさらに含む、請求項24から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記巻き戻しシステムは、前記コイルが前記炉内に配置されている間に前記コイルを少なくとも部分的に巻き戻し、前記コイルの巻き戻し部分を製造するように構成される巻き戻し機構を含む、請求項20から22のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記炉は、前記コイルの前記巻き戻し部分を通すサイズに作られる開口部を含む、請求項20から22または29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記開口部は、前記開口部のサイズを調整するために可動である少なくとも1つのドアによって画定される前記サイズを有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
金属のコイルを熱処理するためのシステムであって、
前記金属の前記コイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように前記金属の温度を上昇させるように構成される炉と、
前記金属が前記予熱温度範囲内である加熱状態で、または前記金属が前記予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、前記コイルを前記炉から離すように構成される運搬システムと、
前記コイルが前記運搬システムによって搬送されている巻き戻し位置で、前記加熱状態にある前記コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように動作可能である巻き戻しシステムと、
前記コイルの巻き戻し部分を前記巻き戻しシステムから受容し、前記巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成される焼入れシステムと、
を含み、
前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置に対して配置される絶縁体と、
前記コイルが巻き付けられるスプール内に挿入されるマンドレルと
をさらに含み、
前記絶縁体は、前記巻き戻し位置で前記コイルが受容されると、前記コイルからの熱損失を防止する、または低減させ、
前記コイルは、前記マンドレルを回転させることに起因して巻き戻され、
前記マンドレルは、前記炉における前記金属の温度上昇の前に前記スプール内に挿入され、前記金属の前記温度上昇に起因する前記スプールの内径のサイズにおける変化に適合するために半径方向に膨張するように構成される、前記システム。
【請求項33】
金属のコイルを熱処理するためのシステムであって、
前記金属の前記コイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように前記金属の温度を上昇させるように構成される炉と、
前記コイルが前記炉内に配置されている間に前記コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように、前記コイル上で動作可能な巻き戻し機構を有する巻き戻しシステムと、
前記コイルの巻き戻し部分を前記炉から受容し、前記巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成される焼入れシステムと、
を含み、
前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置に対して配置される絶縁体と、
前記コイルが巻き付けられるスプール内に挿入されるマンドレルと
をさらに含み、
前記絶縁体は、前記巻き戻し位置で前記コイルが受容されると、前記コイルからの熱損失を防止する、または低減させ、
前記コイルは、前記マンドレルを回転させることに起因して巻き戻され、
前記マンドレルは、前記炉における前記金属の温度上昇の前に前記スプール内に挿入され、前記金属の前記温度上昇に起因する前記スプールの内径のサイズにおける変化に適合するために半径方向に膨張するように構成される、前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月3日に出願された「HOT UNCOILING OF METAL」と題された米国仮出願第63/005,014号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容は、参照により、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、金属加工に関し、より具体的には、均質化温度、焼なまし温度、または他の昇温でアンコイルされることができるコイルからの金属を処理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属またはその他の材料のシートをより簡単に運搬するために、材料を回転マンドレルに巻き付けることができる。得られたコイルは、通常、その代わりに1枚以上のフラットシートとして材料を運搬する場合よりも簡単に移動させることができる。適切な位置に運搬した後、コイルが切断された長さで巻き戻され、解かれることができると、さらなる処理または使用のために分離されたシートの材料が入手できる。
【0004】
運搬には便利であるが、コイルの形状因子は、他の特定の処理作業には適さない場合がある。例えば、ある特定の熱処理工程は、材料をかなりの温度まで上昇させてから急速に焼入れすることを含む。それらのような工程は、例えば、コイルの全体的なサイズが保熱する傾向にあり、焼入れ工程の所望の結果を得るのに適した十分に高い熱抽出速度を妨げることが原因で、完全に成形されたコイル全体に対応するワークピースに実行するには実用的ではない場合がある。さらに、様々な材料(金属など)は、コイル形状にある間に高温で取り扱われる場合、分離した別々のフラットシートの個々の層で処理される場合よりも、問題(重なり合う巻きの互いのスクラッチ、ストレッチ、または溶接など)の影響を受けやすい可能性がある。したがって、コイル状材料に熱処理が望ましい場合、この材料は、通常、熱処理のいずれかの加熱操作の前に、長さを別々のストリップに切り離すことによって、最初にコイルから取り除かれ、熱処理は、代わりに取り除かれたストリップに対して個別に実行され、すなわち、それぞれのストリップは、熱処理工程の適切な加熱及び焼入れ操作を受ける。
【発明の概要】
【0005】
実施形態という用語及び同様の用語は広義には、本開示の主題及び以下の特許請求の範囲のすべてを指すものとする。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するものでもなく、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものでもないと理解されるべきである。本明細書で網羅される本開示の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、開示の様々な態様の高レベルな概要であり、以下の発明を実施するための形態のセクションでさらに説明される概念のいくつかを紹介する。この発明の概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。この主題は、本開示の明細書全体、任意またはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本明細書の特定の例は、均質化温度、焼なまし温度、またはその他の昇温でアンコイルされることができるコイルからの金属を処理するためのシステム及び方法に取り組む。例えば、コイル全体は、炉内で一度に加熱され、次いで昇温のままで(例えば、まだ炉内にある間に、または炉から取り出した直後に)巻き戻されることができる。これは、時間、空間、エネルギー、及び/またはコイルから一連の個々のストリップを処理する以外の基準の観点から、より効率的及び/または効果的であり得る。コイルの巻き戻し部分は、まだ昇温である間に、コイルの巻き戻し部分上に空気、水、または他の冷却剤を噴霧することによって、冷却されてもよく、または焼入れされてもよく、及び/または他の形式の焼入れシステムを受けてもよい。コイルが個々の切断された長さに分離されていないため、得られたコイルの焼入れ部分が新たに巻き取られ得ることで、新しいコイルが成形され得る。したがって、例えば、熱処理されたコイルは、代替に、個々に加熱され、焼入れされてから、互いに再付着されて、コイルを形成するための連続ユニットになる長さにコイルを切断することを含む工程中に遭遇する可能性のあるそれぞれの欠点なしに得られることができる。
【0007】
様々な例では、金属のコイルを熱処理する方法が提供される。方法は、金属のコイルを炉内で加熱して、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように金属の温度を上昇させることを含み得る。方法は、金属が予熱温度範囲内である加熱状態で、または金属が予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、金属のコイルを巻き戻すことをさらに含み得る。この巻き戻しは、コイルの巻き戻し部分を製造することができる。方法は、コイルの巻き戻し部分を焼入れして、所定の時間内に巻き戻し部分の温度を焼入れ済み温度範囲まで低下させることをさらに含み得る。焼入れにより、焼入れ部分が製造され得る。
【0008】
様々な例では、金属のコイルを熱処理するシステムが提供される。システムは炉を含み得、この炉は、金属のコイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように金属の温度を上昇させるように構成され得る。システムは、巻き戻しシステムをさらに含み得、この巻き戻しシステムは、金属が予熱温度範囲内である加熱状態で、または金属が予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように動作可能であり得る。システムは、焼入れシステムをさらに含み得、この焼入れシステムは、コイルの巻き戻し部分を巻き戻しシステムから受容し、巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成され得る。
【0009】
様々な例では、金属のコイルを熱処理する別のシステムが提供されることができる。システムは炉を含み得、この炉は、金属のコイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように金属の温度を上昇させるように構成され得る。システムは運搬システムをさらに含み得、この運搬システムは、金属が予熱温度範囲内である加熱状態で、または金属が予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、コイルを炉から離すように構成され得る。システムは巻き戻しシステムをさらに含み得、この巻き戻しシステムは、コイルが運搬システムによって搬送されている巻き戻し位置で、加熱状態中のコイルの少なくとも一部分を巻き戻すように動作可能である。システムは、焼入れシステムをさらに含み得、この焼入れシステムは、コイルの巻き戻し部分を巻き戻しシステムから受容し、巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成され得る。
【0010】
様々な例では、金属のコイルを熱処理する別のシステムが提供されることができる。システムは炉を含み得、この炉は、金属のコイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内であるように金属の温度を上昇させるように構成され得る。システムは巻き戻しシステムをさらに含み得、この巻き戻しシステムは、コイルが炉内に配置されている間にコイルの少なくとも一部分を巻き戻すように、コイル上で動作可能な巻き戻し機構を含み得る。システムは、焼入れシステムをさらに含み得、この焼入れシステムは、コイルの巻き戻し部分を炉から受容し、巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成され得る。
【0011】
他の目的及び利点は、以下の非限定的実施例の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0012】
本明細書は、以下の添付の図を参照しており、異なる図中での同様の参照番号の使用は、同様のまたは類似の構成要素を例示することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】様々な実施形態による、金属のコイルを熱処理する工程を示すフローチャートである。
図2】様々な実施形態による、図1の工程を実行するために使用されることができるシステムの一例の側面図であり、コイルが炉内でアンコイルされていることを示す。
図3】様々な実施形態による、図1の工程を実行するために使用されることができる構成要素の側面図であり、コイルを巻き戻し位置に運搬するためのオプションの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される場合、「発明」、「その発明」、「この発明」及び「本発明」という用語は、本特許出願の主題及び以下の特許請求の範囲のすべてを広く指すことが意図されている。これらの用語を含有する記述は、本明細書に記載の主題を限定しない、または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を限定しないことが理解されるべきである。本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たすために特異性をもって本明細書に説明されているが、この説明は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図していない。特許請求された主題は、他の方法で具現化され得、異なる要素またはステップを含み得、他の既存のまたは将来の技術と併せて使用され得る。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記述されている場合を除き、多様なステップまたは要素の中のまたはそれらの間の特定の順序または配置を意味するとして解釈されるべきではない。本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味は、別段文脈により明確に指示されない限り、単数形及び複数形の言及を含む。
【0015】
材料の加工及び製造では、連続鋳造工程または圧延工程(熱間圧延など)によって、コイル状の製品を得ることができる。材料加工は、金属加工に相当してもよく、または金属加工を含んでもよい。例えば、金属加工は、伝導性材料などの材料のコイル状ストリップを製造することができる。本明細書で開示されるように、伝導性材料は、例えば金属材料など、1つ以上の方向に電流の流れを可能にする材料を含み、それに相当することができる。適切な材料は、コイルされることができる任意の適切な厚さの物品、例えば、金属シートまたは金属シェートを含み得る。コイル状ストリップは、任意の適切な長さまたは幅を有することができる。コイルは、コイルされたストリップを含んでもよく、またはそれに相当してもよい。例えば、金属コイルは、スプール及び/またはマンドレルの周りにコイルされる金属ストリップを含むことができる。
【0016】
本明細書で使用される場合、シートは通常、約4mm未満の厚さを有する製品を指す。例えば、シートは、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、または約0.3mm未満(例えば、約0.2mm)の厚みを有し得る。本明細書で使用される場合、プレートは一般に、約15mm超の範囲内の厚さを有する。例えば、プレートは、約15mmを超える、約20mmを超える、約25mmを超える、約30mmを超える、約35mmを超える、約40mmを超える、約45mmを超える、または約50mmを超える厚さを有するアルミニウム製品を指し得る。本明細書で使用する場合、シェート(シートプレートとも称される)は一般に、約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、厚さが約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mmまたは約15mmであってよい。
【0017】
本開示の特定の態様は、金属などの任意のタイプの材料での使用に適し得るが、本開示の特定の態様は、アルミニウムでの使用に特に適し得る。この説明では、「シリーズ」または「6xxx」などのアルミニウム業界の呼称で識別される合金を参照している。アルミニウム及びその合金の命名及び識別において最も一般的に使用されている番号指定システムの理解に関しては、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」(いずれもアルミニウム協会によって発行されている)を参照されたい。
【0018】
本明細書に開示されているすべての範囲には、それらに含まれるあらゆるサブレンジが包含されると理解されたい。例えば、記述された範囲「1~10」は、最小値「1」及び最大値「10」の間の(及び端点を含む)あらゆる部分範囲、つまり、最小値1以上(例えば、1~6.1)から始まり、最大値10以下(例えば、5.5~10)で終わるすべての部分範囲を含むと考えられるべきである。
【0019】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、しかしながら同時に、そのいかなる限定も構成しない。これに対して、それらの様々な実施形態、修正形態及び均等物は、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者にそれら自体を示唆し得る。
【0020】
図1は、様々な実施形態による、コイル110を熱処理する工程10を示すフローチャートである。コイル110は、金属などの適切な材料112から作製されることができる。いくつかの例では、金属はアルミニウムである。図1の工程10は、コイル110を製造することと(アクト20)、マンドレルを挿入することと(アクト30)、コイル110を加熱することと(アクト40)、コイル110を巻き戻すことと(アクト50)、焼入れすることと(アクト60)、冷却することと(アクト70)というアクトを含むが、他のアクトをさらにまたは代替に及び/または他の変形形態と共に含んでもよい。いくつかの実施形態では、工程10は、コイル110が材料112の連続バンド内に、バンドが工程10のそれぞれのアクトの間にまたはその他の方法で工程10の過程で切断及び再連結を受けることなく、維持され得るように実行されてもよい。
【0021】
アクト20では、工程10は、コイル110を製造することを含むことができる。20でコイルを製造することは、例えば、以前に作製されたコイル110を取得することを含み得る。あるいは、コイル110を製造することは、コイル110を製作することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コイル110は、熱間圧延ライン及び任意選択で冷間圧延ラインによって製造されることができる。コイル110が熱間圧延ラインから製造される、または取得される場合、コイル110は、熱間圧延ラインによって加えられる熱を保熱することができることで、例えば、熱処理工程10のための所望の温度に達するために加えられる熱量が減少することができる。
【0022】
コイル110は、スプール114の周りに成形されることができる。例えば、コイル110は、材料112のシートをスプール114の周りに連続して重なり合う巻きで巻き付けることによって成形されることができる。いくつかの実施形態では、スプール114を回転させると、追加の層をスプール114の周りに巻き付けて、コイル110に成形することができる。スプール114は、チューブ形状であってもよい。いくつかの実施形態では、スプール114は、例えば、工程10中の温度変化に起因する可能性がある寸法変化に応じて、スプール114が半径方向のサイズを変化させることを可能にする部品の組立体を含んでもよい。
【0023】
アクト30では、工程10は、マンドレル116をコイルに挿入することを含むことができる。マンドレル116は、コイル110を回転させるためにスプール114のその後の回転を容易にすることができる方法で、スプール114を係合することができる。いくつかの実施形態では、スプール114及び/またはマンドレル116が膨張可能であることで(例えば、矢印118によって示されるように)、例えば、工程10中にコイル110が加熱されることに起因し得るスプール114の内径のサイズにおける変化に、半径方向の膨張が適合することができる。マンドレル116を挿入するアクト30がコイル110を加熱するアクト40の前に示されているが、いくつかの実施形態では、マンドレル116は、コイル110が加熱された後に挿入されてもよい。換言すれば、挿入のアクト30は、コイル110の加熱のアクト40の後、前、または最中に起こり得る。
【0024】
マンドレル116及び/またはスプール114の膨張を引き起こすために、様々な適切な機構及び構造体を使用することができる。非限定的な例は、クラム状構造体(部品を分離させることができる、ヒンジハーフ及びスプリングセパレータまたは他の付勢機構などを備えた)、歯及びピンの配置、または入れ子式チューブを含む。いくつかの例では、膨張を引き起こす1つ以上の構成要素は、市販の構成要素であってもよい。マンドレル116をスプール114に挿入するアクトは、スプール114を膨張させるものであり得る。
【0025】
アクト40では、コイル110を加熱することができる。例えば、加熱は、コイル110に熱120を加えることで(例えば、矢印122によって示されるように)、コイル110が特定の予熱温度範囲内であるように予熱されることに対応し得る。アクト40で加熱を達成するために、コイル110は、コイル110の材料112が特定の予熱温度範囲内である点に達することを可能にするのに適切な時間の間、炉または他の加熱環境内に維持され得る。いくつかの実施形態では、予熱温度範囲は、例えば、均質化温度範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、予熱温度範囲は、例えば、焼なまし温度範囲であってもよい。
【0026】
いくつかの態様では、均質化温度範囲は、400℃から600℃の範囲内で選択された端点によって規定される。いくつかの実施形態では、端点は、450℃から560℃の範囲内で選択される。いくつかの態様では、均質化温度範囲は、処理される合金の種類に基づいて選択されることができる。例えば、450℃から500℃は7xxx系合金の均質化に適切な範囲であり得、530℃から560℃は6xxx系合金の均質化に適切な範囲であり得る。
【0027】
より一般的には、均質化温度範囲は、均質化に適した範囲に対応し得る。均質化は、鋳放し微細構造の粒子レベルの不均質性を低下させるために金属物品に実行される高温工程を指し得る。均質化は、多くの場合、金属の再結晶温度を上回る温度で実行される。例えば、アルミニウム合金の種類によっては、金属の再結晶温度は約300~400℃である場合があり、均質化は約450~600℃の温度で実行される場合がある。これらの温度範囲(例えば、再結晶温度以上)に加熱されると、金属物品の冶金学的微細構造はより均質になり得ることで、金属物品の成形性及び/または他の冶金学的特性が向上することができる。ただし、これらの高温では、金属物品は、取り扱いを誤ると、特に損傷しやすくなる可能性がある。
【0028】
いくつかの態様では、焼なまし温度範囲は、300℃から500℃の範囲内で選択された端点によって規定される。いくつかの実施形態では、端点は、400℃から500℃の範囲、300℃から400℃の範囲、もしくは350℃から400℃の範囲、または300℃から450℃の範囲などのさらなる範囲内で選択される。いくつかの態様では、焼なまし温度範囲は、処理される合金の種類から独立して選択されることができる。例えば、300℃から450℃は、7xxx系合金、6xxx系合金、またはその他の一連の合金系を処理するかどうかに関係なく、焼なましに適切な範囲であり得る。
【0029】
より一般的には、焼なまし温度範囲は、焼なましに適した範囲に対応し得る。焼なましは、いくつかの効果のいずれかを達成するために金属物品に実行される高温工程を指し得る。本開示を限定することを意図するものではないが、焼なましの目的及び焼なましのパラメータは、(1)材料の加工硬化を解放して成形性を得ること、(2)有意な粒成長を引き起こすことなく材料を再結晶させるまたは回復させること、(3)成形性に適し、また成形中の異方性の低下に適した集合組織を処理するまたは変換すること、及び/または(4)既存の沈殿粒子の粗大化を避けることを含み得る。焼なましにより、集合組織が改善されている、及び/またはスタンピング、圧伸、または曲げなどの成形操作中の異方性が低下している、合金を得ることができる。焼なましを施すことにより、集合組織は、よりランダムになるように、また異方性(例えば、Goss、Goss-ND、またはCube-RD)の強い成形性をもたらし得るそれらの集合組織の成分が減少するように、変更された焼戻し中に制御される/設計されることができる。この改善された集合組織は、様々な方向での特性における変動を低下させるように作用するため、曲げ異方性を潜在的に低下させ得、圧伸または周囲のスタンピング工程が含まれる成形における成形性を改善させることができる。ただし、焼なましに適した高温では、金属物品は、取り扱いを誤ると、特に損傷しやすくなる可能性がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、アクト40での加熱は、それぞれの温度範囲及び滞留時間を有する複数の段階を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクト40での加熱は、焼なましに適した予熱温度範囲内にコイル110を維持する1つの段階を含むことができ、その後または前に、均質化に適した予熱温度範囲内にコイル110を維持する別の段階を含むことができる。
【0031】
アクト40での加熱は、任意の適切な速度で提供されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、加熱は、20℃/時間~100℃/時間の範囲内の加熱速度で行われてもよい。いくつかの実施形態では、ゆっくり加熱することで(例えば、20℃/時間~40℃/時間)、不均質核生成部位として溶解沈殿物を使用して、分散質の核生成が促進されることができる。またこれにより、沈殿物とマトリックスとの間の界面での発端の融解ではなく、マトリックス内の溶質の均一な分布が確実にされ得る。
【0032】
アクト50では、工程10は、コイル110を巻き戻すことを含むことができる。この巻き戻しは、コイル110が昇温範囲(例えば、アクト40での加熱によって与えられる予熱温度範囲、または予熱温度範囲を下回る閾値量内にある異なる範囲に対応し得る)内にある間に起こり得る。例えば、巻き戻しは、コイル110が炉内にある間に、または炉から取り出された後もなお昇温である間に起こり得る。様々な実施形態では、巻き戻しは、金属が均質化温度範囲内である加熱状態にコイルがある間に、及び/または均質化温度範囲または他の関連予熱範囲(焼なまし温度範囲など)を下回る閾値量を過ぎてコイルが冷却される前に、起こり得る。いくつかの実施形態では、適切であり得る閾値量は、50℃以下であってもよい。例えば、コイルは、巻き戻される前に、炉から取り出された温度から50℃未満に冷却される場合がある。いくつかの実施形態では、閾値量は、連続冷却変態(CCT)曲線に沿ったノーズまたはドロップを回避するように、及び/またはコイル内の望ましくない沈殿を回避するように選択され得る。閾値量は、処理されるのが7xxx系合金か、6xxx系合金か、他の一連の合金系かなど、処理される合金の種類に基づいて選択されることができる。
【0033】
50での巻き戻しは、マンドレル116及び/またはスプール114が回転している結果であり得る。この巻き戻しは、コイル110の巻き戻し部分124を製造することができる。コイル110の巻き戻し部分124は、工程10での他のアクトによって処理されてもよい。
【0034】
アクト60では、工程10は、コイル110の巻き戻し部分124を焼入れすることを含むことができる。例えば、これは、巻き戻し部分124に焼入れシステム126を受けさせることによって達成され得る。焼入れシステム126は、焼入れ媒体128を搬送するために適切な構造を有し得る。例えば、ジェットが図1に示されているが、焼入れ媒体のための槽または他の搬送システムが利用されることができる。適切な焼入れ媒体は、空気、水、または油を含み得るが、これらに限定されない。工程10での焼入れのアクト60は、コイル110の焼入れ部分130を製造することができる。
【0035】
60での焼入れは、コイル110の巻き戻し部分124内の温度を、所定の時間内に焼入れ済み温度範囲に達するように低下させることを含み得る。60での焼入れは、瞬間焼入れ(例えば、数分もしくは数秒以内に、または他の短い所定の時間内に温度低下を与える)、または長時間冷却(例えば、数時間以内に、または他のかなり長い所定の時間内に温度低下を与える)を含むことができる。いくつかの実施形態では、焼入れまたはその種類は、例えば、瞬間焼入れが10℃/sを上回る熱抽出速度に関連し得るような、及び/または長時間冷却が10℃/sを下回る熱抽出速度に関連し得るような、熱抽出速度の観点から定義され得る。
【0036】
ただし、60での焼入れは、熱抽出速度に加えて、またはその代わりに、任意の適切なパラメータまたはパラメータの組み合わせによって定義されることができる。いくつかの可能な関連パラメータタイプを示し得る非限定的な例では、コイル110は、アクト40で525℃に加熱されると、アクト60で焼入れする前に、約25℃の量だけ冷却され、約500℃の温度に達することができる。冷却には、水(室温(例えば、20℃~22℃)または25℃~80℃の間の範囲内などの他の温度)が利用され、約1.5秒から15秒の時間間隔にわたり、一連のジェットを通して噴霧されると、コイル110の材料112の温度が350℃まで低下し、焼入れ速度または熱抽出速度が10℃/s~100℃/sの間になることができる。ただし、他の値が利用されてもよい。
【0037】
例えば、いくつかの実施形態では、焼入れ済み温度範囲は、200℃から500℃の範囲内で選択される端点によって規定される範囲に対応し得る。いくつかの実施形態では、焼入れ済み温度範囲は、200℃から350℃の範囲または200℃から250℃の範囲などのより狭い範囲内で選択される端点によって規定される。いくつかの例では、範囲の下限は、200℃または他の温度に対応し得、この温度を下回り、高溶質系合金(例えば、マグネシウム、シリコン、銅、及び/または亜鉛などの溶質系の和が2.0重量パーセントを上回る合金系)がコイルされると、冷間圧延が困難になる可能性がある。いくつかの実施形態では、焼入れ済み温度範囲は、T6、T8、T9または他の特定の焼戻しを達成する工程との連続性のために選択される。いくつかの実施形態では、焼入れ済み温度範囲は、分散質の沈殿を促進するように、またはその後の冷間加工の前に連続鋳造材料を均質化するように選択される。いくつかの実施形態では、焼入れ済み温度範囲は、300℃から350℃、または結果として得られる材料がその後に冷間圧延するのに十分に柔らかく、それ以外はその後の処理に強すぎない他の適切な範囲に対応し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、焼入れ済み温度範囲に達するための焼入れは、コイル110の巻き戻し部分124を、焼入れ温度範囲内で提供される焼入れ媒体に曝露した結果であり得る(例えば、媒体の温度は「焼入れ」温度と称され得、結果として得られた金属の温度は「焼入れ済み」温度と称され得る)。いくつかの実施形態では、焼入れ媒体の焼入れ温度範囲は、10℃から350℃の範囲内で選択される端点によって規定され得る。いくつかの実施形態では、水は、焼入れ媒体として使用されることができ、例えば10℃から100℃の間の温度で、液体形態で与えられることができる。水が液体形態で与えられることにより、水は、室温で、または室温に対して最小限の加熱もしくは冷却で、かつ水を加熱して液体状態から蒸気に変換する場合よりも大幅に少ないエネルギー消費で与えられることができる。いくつかの実施形態では、水または他の焼入れ媒体は、100℃を超える温度で、またはその他の少なくとも部分的に非液体形態で与えられることができる。例えば、様々なシナリオでは、水が焼入れ媒体として使用される場合、水が100℃を超える温度で与えられると、水が蒸気になり、工程10の下流側で有害になる可能性のある方法では、材料112に飛沫同伴するようになる可能性がある、焼入れ部分130上での凝縮が防止される。
【0039】
いくつかの実施形態では、焼入れ媒体の焼入れ温度範囲は、150℃から200℃の範囲内で選択される端点によって規定され得る。例えば、様々なシナリオでは、そのような範囲内の温度で水が与えられることにより、水の温度が凝縮を起こし得る範囲内に不注意に下がらないことを確実にするのに適した安全係数を組み込むことと、同時に、所定の時間内に材料112を焼入れさせるのに適した熱抽出速度をもたらすのに十分に低い温度の媒体を与えることとの間のバランスを取ることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、適切な焼入れ速度または熱抽出速度の範囲は、例えば、10℃/sから100℃/sの範囲内で選択される端点によって規定され得る。熱抽出速度は、組成及び/または利用される他の処理に基づいて選択されることができる。例えば、様々な熱抽出速度を使用して、様々な特性を下流側に搬送することができる。例示的な例として、10℃/sの熱抽出速度は後続の冷間加工が実施される状況に適していてもよく、または100℃/sの熱抽出速度は5xxx系合金でのルーダリング(ludering)の抑制を促進するのに適していてもよい。
【0041】
所定の時間の非限定的な例は、1時間未満、20分未満、2分未満、20秒未満、2秒未満、または他の適切な時間枠であってもよい。所定の時間は、特定の標的熱抽出速度に基づいていてもよく、または依存していてもよい。いくつかの実施形態では、コイル110の巻き戻し速度は、適切な熱抽出速度に影響してもよく、またはそれを与えてもよい、系または尺度として使用されることができる。いくつかの実施形態では、適切な熱抽出速度は、例えば、毎分1メートルから毎分100メートルの範囲内で選択される端点によって規定される巻き戻し速度の範囲によって得られることができる。
【0042】
60での焼入れは、温度の低下及び/または上昇の任意の適切な順序を含み得る。例えば、60での焼入れは、再加熱工程を含んでもよく、または再加熱工程によって補完されてもよい。例示的な一例として、コイル110の巻き戻し部分124は、最初に、再び張力がかけられることを可能にするように、または他の有益な効果を可能にするように、より低い温度(例えば、200℃未満)に焼入れされることができてから、アクト70で新たにコイルされる前に、より高い焼入れ済み温度(例えば、200℃から350℃の間)に再加熱され得る。関連する温度上昇を与えるために、追加の乾燥機、または適切な槽内にもしくはノズルを介して与えられる油もしくは他の加熱媒体を含み得るがこれらに限定されない任意の適切な構造体を利用することができる(例えば、焼入れシステム126の一部のノズルまたは他の構造体が巻き戻し部分124内に熱伝達を与えるように選択される温度で焼入れ媒体を提供する場合、そして焼入れシステム126のノズルまたは構造体の他の例が巻き戻し部分124から熱伝達を与えるように選択される温度で焼入れ媒体を提供する場合など)。
【0043】
アクト70では、工程10は、焼入れ部分130をコイルすることを含むことができる。例えば、焼入れ部分130が新たにコイルされる、またはリコイルされることができると、第二コイル132が成形されることができる。これにより、コイル110に熱処理され焼入れされた材料が与えられ得る。記載のようにコイルを熱処理工程10に供することにより、熱処理されたコイル110が与えられ、コイル110の好ましい沈殿剤類または他の微細構造または特性が得られることができる。
【0044】
図2は、図1の工程10を実行するために使用されることができるシステム140の一例の側面図である。図2のシステム140は、炉142、巻き戻しシステム144、焼入れシステム126、及び巻き取りシステム146と共に示されているが、他の要素をさらにまたは代替に及び/または他の変形形態で含んでもよい。
【0045】
炉142は、コイル110を受容するサイズに作られることができる。炉142は、バーナーまたは他の適切な要素によって加熱されることができる内部容積を画定する1つ以上の壁部150から形成することができる。炉142は、コイル110の金属を予熱すること、またはその金属の温度を上昇させることができてもよい。例えば、炉は、図1のコイル110を加熱するアクト40で説明されるように、均質化温度範囲、焼なまし温度範囲、または他の特定の加熱温度範囲内になるように、金属を予熱してもよく、またはその金属の温度を上昇させてもよい。いくつかの実施形態では、炉142の内部は、コイル110の起こり得る酸化を防止する、または減少させるように、不活性環境であってもよく、またはその他の方法で制御されてもよい。
【0046】
巻き戻しシステム144は、コイル110の少なくとも一部分を巻き戻すのに適切な構成要素を含むことができる。巻き戻しシステム144は、コイル110がまだ昇温である間にコイル110の一部を巻き戻すことができる(例えば、図1のアクト50での議論による)。いくつかの実施形態では、巻き戻しシステム144は、コイル110を回転させるのに適切な巻き戻し機構152を含むことができる。図2では、巻き戻し機構152はマンドレル116を回転させるように動作可能なベルトを備えたモータとして示されているが、コイル110を係合し得る及び/または支持し得るマンドレル116及び/またはスプール114を回転させるのに適切な任意の他の機構が使用されることができる。
【0047】
図2の炉142は、開口部154と共に示されている。開口部154は、コイル110の巻き戻し部分124を通すサイズに作られることができる。炉142は、開口部154のサイズを画定するのに適した構造を含むことができる。いくつかの例では、開口部154のサイズを変えることができる。例えば、炉142は、1つ以上のドア156を含むことができ、これら1つ以上のドアは、アクチュエータ、またはドア156によって画定される開口部154のサイズを調整するのに適した移動を与える他の構成要素によって調整可能であってもよい(例えば、矢印158で示されるように)。
【0048】
焼入れシステム126は、巻き戻し機構152及び/または炉142からコイル110の巻き戻し部分124を受容することができる。図2の焼入れシステム126は焼入れ媒体128を搬送するために一連のジェットとして示されているが、焼入れシステム126は、焼入れのアクト60に対して図1に関して示されているものを含むがこれらに限定されない他の構造体に対応することができる。さらに、ジェットのそれぞれの対が図2に示されているが、焼入れ媒体128を搬送するための任意の数のジェットまたは他の構造体が利用されることができる。いくつかの実施形態では、焼入れシステム126の連続した段階には、様々な(例えば、徐々に下げられる)温度で与えられる焼入れ媒体128が提供され得ることにより、例えば、複数の焼入れ段階を経る進行が可能になるため、及び/または様々な温度の媒体の間を移動することが可能になるため、特定のプロファイルにわたって、または持続時間にわたって穏やかに温度が低下し得る。
【0049】
初期ローラ160は、図2の焼入れシステム126の下流側に示されている。コイル110からの材料112がすでに焼入れシステム126を通過した後にのみ初期ローラ160に接触するようにシステム140を配置することが有利であり得る。例えば、初期ローラ160は、材料112が焼入れシステム126によって冷却される前に、初期ローラ160が接触するようになる場合よりも、材料112が焼入れされた後に、材料112をストレッチするまたはスクラッチする傾向が少ない場合がある。初期ローラ160がコイル110の材料に張力をかけることを可能にすることにより、例えば、システム140を介して材料112を移動させるときに、工程の後続の段階を促進することができる。
【0050】
コイル110は、炉142から焼入れシステム126を通過するのに適切な任意の向きに配置されることができる。材料112は、炉142を出て、焼入れシステム126を通過する間、図2では実線で垂直な向きに示されているが、他の向きも可能である。代替経路の一例は図2に破線で示される。例えば、材料112は、ルーティングされたときにカテナリーまたは他の形状を取ることができる。
【0051】
ロボットアーム164もまた、図2のシステム140内に示される。ロボットアーム164は、コイル110から巻き戻し部分124の端部または初期部分を取り扱うのに有用であり得る。例えば、ロボットアーム164は、コイル110から巻き戻された初期自由端を把持し得、それを、システム140内の他の要素への導入などのために適した下流側位置に向け得る。
【0052】
他の構成要素が工程ラインに含まれる場合がある。例えば、図2には、ブライドル166が示される。ブライドル166は磁気ブライドルに対応することができ、これらの磁気ブライドルは、材料112に物理的に接触することなく、材料112を推進させる及び/または支持することができる。
【0053】
潤滑システム168もまた図2に示される。潤滑システム168は、潤滑システム168によってまたはそれを通って通過する材料112に潤滑剤を塗布するために、ノズル及び/または他の適切な構造体を含むことができる。後続のローラ170は図2に示される。後続のローラ170は、張力をかけることまたは他の適切な目的のために利用され得る。
【0054】
前述のように、システム140は、巻き取りシステム146も含むことができる。巻き取りシステム146は、システム140の他の部品から受容する材料112で、リコイルしてもよく、または新たにコイルしてもよい。例えば、巻き取りシステム146は、受容した材料112の新たなまたは第二のコイル132を成形するように回転することができる、別のスプール114及び/またはマンドレル116を含むことができる。新たな、または第二のコイル132は、システム140によって熱処理された材料112に対応し得る。
【0055】
図3は、工程10を実行するために使用され得るシステム172の構成要素の側面図である。図3は、コイル110を炉142(例えば、図3の炉142Aか142Bかいずれか)から巻き戻し位置174に運搬するためのオプションの例を示す。その巻き戻し位置では、例えば、コイル110は、昇温のままである間に、及び/または炉142によって与えられる予熱温度に対してかなりの冷却(例えば、本明細書に論じられるような、50℃または他の閾値量の冷却)が起こる前に、巻き戻されることができる。
【0056】
異なる構成要素の変形形態に対する様々なオプションが図3に示される。簡単にするために、様々な構成要素の例は、図3の左側に示され、最初に説明され、「A」で終わる接尾辞を付けた参照番号で参照されるが、それらのような構成要素のいくつかの変形形態は、その後、図3の右側に例として示された構成要素に対して接尾辞「B」を付けて説明される。
【0057】
図3のシステム172は、真下または下から取り外しされることができる炉142Aと共に示される。炉142Aは、コイル110を受容するサイズに作られることができる。炉142Aは、炉142Aを底面側178から取り外すことを可能にする、取り外しシステム176Aを含み得、またはそれに関連付けられ得る。取り外しシステム176Aは、コイル110を支持するのに、及び/またはコイル110を移動させるのに適したフック180または他の構造体を含むことができる。例えば、コイル110はスプール114及び/またはマンドレル116によって支持され得、スプール114及び/またはマンドレル116は取り外しシステム176Aのフック180または他の構造体によって炉142A内に支持され得る。取り外しシステム176Aのフック180または他の構造体の移動を可能にするのに適したアクチュエータ(図示せず)を組み込むことができると、炉142Aからのコイル110の取り外しを容易にすることができる。非限定的な例として、取り外しシステム176Aのフック180または他の構造体は、垂直方向(例えば、矢印182によって示されるような)及び/または水平方向(例えば、矢印184によって示されるような図3のページの中または外に対応する方向、及び/または図3の図中の左または右に対応する方向を含むことができる)に可動であり得る。
【0058】
炉142Aは、運搬システム186Aを伴ってもよく、またはそれに関連付けられてもよい。運搬システム186Aは、炉142Aと巻き戻し位置174との間などで、コイル110を移動させることができてもよい。運搬システム186Aは、1つ以上のキャリヤ188Aを含むことができる。キャリヤ188Aは、コイル110を炉142Aから巻き戻し位置174まで移動させることができる、カート、車両、可動プラットフォーム、または任意の他の構造体に対応することができる。そのような運搬により、コイル110は、炉142Aでの加熱によって与えられる予熱温度にまだある間に、または予熱温度を下回る閾値内の昇温にある間に(例えば、図1のアクト50での議論に従って)、巻き戻されることができる。いくつかの実施形態では、キャリヤ188A(またはその一部分)が予熱されることができると、例えば、キャリヤ188Aによる運搬中にコイル110による熱損失を低減し得る方法で、コイル110とキャリヤ188Aの一部分との間の温度差を減少させることができる。
【0059】
動作中、コイル110が炉142Aからの加熱によって適切な温度に達すると、取り外しシステム176Aは、矢印190によって示されるように、コイル110を下げることができる。例えば、コイル110は、運搬システム186Aのキャリヤ188Aに対して下げられることができる。例えば、コイル110のスプール114及び/またはマンドレルがキャリヤ188Aのスタンド192(例えば、フォークまたは他の支持体)によって受容され、支持されるように、コイル110はキャリヤ188Aによって受容されることができる。取り外しシステム176Aの要素は、キャリヤ188Aに対してコイル110を解放するのに適している方向に移動することができる。例えば、取り外しシステム176Aのフック180または他の構造体は、水平方向(例えば、矢印184によって示されるような)に、コイル110のスプール114及び/またはマンドレルの端部を越えて移動することができ、この移動は、キャリヤ188Aから離れて移動することに対応することができるため、キャリヤ188Aは、閉じること、炉142Aから離れて移動すること、及び/または取り外しシステム176Aの要素による干渉なしに他の動作を実行することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、取り外しシステム176Aの要素は、炉142Aに装填することができる要素として機能してもよく、またはそれらの要素によって補完されてもよい。例えば、取り外しシステム176Aは、取り外しについて説明されたものとは逆の順序で移動を実行することができることにより、コイル110をキャリヤ188Aまたは他の供給源から炉142Aに挿入することができる。
【0061】
キャリヤ188Aは、絶縁筐体194Aを含むことができる。絶縁筐体194Aは、コイル110を少なくとも部分的に封入することができてもよい。絶縁筐体194Aは、キャリヤ188Aによる運搬中にコイル110の熱損失を低減させるために絶縁体196を含むことができる。例えば、絶縁体196は、絶縁筐体194Aの側面198及び/または端部200に含まれてもよい。適切な絶縁体196の非限定的な例は、耐火材料を含み得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「耐火材料」という用語は、溶融金属によって侵されることに比較的耐性があり、使用中の材料に企図される高温でそれらの強度を保つことができる任意の材料を含み得る。それらのような材料は、セラミック材料(無機非金属固体及び耐熱ガラス)及び非金属を含み得るが、これらに限定されない。絶縁体196に適した材料の非限定的なリストは、次の、アルミニウム(アルミナ)、シリコン(シリカ、特に溶融シリカ)、マグネシウム(マグネシア)、カルシウム(石灰)、ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ素(酸化ホウ素)の酸化物類;金属炭化物類、ホウ化物類、窒化物類、ケイ化物類、例えば、炭化ケイ素、特に窒化物結合炭化ケイ素(SiC/Si3N4)、炭化ホウ素、窒化ホウ素;アルミノケイ酸類、例えば、ケイ酸カルシウムアルミニウム;複合材料類(例えば、酸化物類及び非酸化物類の複合体類);機械加工可能なガラス類を含むガラス類;繊維類またはその混合物のミネラルウール類;カーボンまたはグラファイトなどを含む。例示的な一例として、一部の状況では、耐火材料は、1200℃までの温度に耐えることができるが(例えば、他の適した耐火材料が利用可能であるにもかかわらず、より高温で処理される傾向にある、鋼には適していないが、アルミニウムまたは銅の処理には適し得る)、他の状況では、アルミニウム及びその合金類の処理に適した耐火材料は、400から800℃のより小さい範囲内の加工温度に耐えるように選択されることができる。
【0063】
キャリヤ188Aは、コイル110の受容及び取り外しを容易にするために、1つ以上の解放可能に分離可能な部材202Aを含むことができる。キャリヤ188Aは、図3では2つの解放可能に分離可能な部材202Aと共に示されており、1、2、または2超を含む他の数を利用することができるが、簡単にするために、以降本明細書での説明は主に単一部材202Aを参照する。分離可能な部材202Aは、コイル110が絶縁体196によって少なくとも部分的に封入される閉構成と、コイル110がキャリヤ188Aに対して装填するまたは取り外しするためにアクセス可能である開構成との間で可動であり得る。
【0064】
前述のように、使用中、コイル110は、矢印190によって示されるように、取り外しシステム176Aによってキャリヤ188Aに向けて下げられることができる。コイル110がキャリヤ188Aによって受容されると(例えば、キャリヤ188A内のスタンド192または他の支持構造体によって支持されているコイル100を通してスプール114及び/またはマンドレル116を用いて)、キャリヤ188Aの分離可能な部材202は、コイル110の周りで閉じることができることにより(矢印204で示されるように)、コイル110は、効果的に絶縁され得、キャリヤ188A内にある間、コイル110からの熱損失が防止され得る、または低減し得る。
【0065】
キャリヤ188Aは、矢印206Aで示されるように、コイル110を炉から離して運搬することができる。いくつかの実施形態では、キャリヤ188Aは、矢印208Aによって示されるように、分離可能な部材202Aの開口部によってコイル110を取り外す準備ができていてもよい。
【0066】
移送システム210は、いくつかの実施形態では(例えば、矢印212Aによって示されるように)、コイル110をキャリヤ188から移送し、巻き戻し位置174で巻き戻し機構152と係合させることができる。移送システム210は、図3ではロボットアームとして示されているが、コイル110をキャリヤ188Aから巻き戻し機構152に移送するのに適した任意の構造体に対応することができる。巻き戻し機構152は、モータまたは他の装置を含むことができる。このモータまたは他の装置がスプール114及び/またはマンドレル116を回転させることができると、それらの周りにコイル110が成形されることで、コイル110が巻き戻される。
【0067】
コイル110の得られた巻き戻し部分124は、焼入れシステム126を通過し、コイル110の焼入れ部分130を製造することができる。焼入れシステム126は本明細書の他の箇所で説明される構成要素に対応することができ(しかし必ずしもそうである必要はない)、そのため、説明は繰り返されない。焼入れシステム126から通過した後の焼入れ部分130は、図2に関して説明される巻き取りシステム146と同様の方法で、新たにコイルされ得ることで、新しいまたは第二のコイル132が成形されてもよい。
【0068】
システム172は、図2に関して描写され説明される他の構成要素を代替にまたはさらに含んでもよく、及びまたは他の構成要素を含んでもよい。図2に示されていない(ただし、必要に応じて図2のシステムと共に使用され得る)他の要素の例示的な一例として、図3の巻き戻しシステム144の巻き戻し位置174は巻き戻しステーション214にある。この巻き戻しステーションは、そのうえ、巻き戻し工程中に保熱のために絶縁体216(例えば、絶縁体196と同様であり得る)を含む。また、図3に示されるのは、付勢ローラ218である。付勢ローラ218は、ばね220または他の付勢機構によって付勢され得る。いくつかの実施形態では、付勢ローラ218は、付勢ローラ218の重量によって単独でまたは少なくとも部分的に付勢され得る。付勢ローラ218は、使用中、付勢ローラ218に近いコイル110の1つの端部または他の部分がコイル110の他のラップから「離れてばねで付勢する」のを防止するのに適切な量の力を与えることができる。付勢ローラ218は、コイル110と圧接した、またはその他の方法で係合したままであるように、枢動可能に装填されてもよく、及び/またはその他の方法で位置を変えることができるため、巻き戻し機構152によって巻き戻されることが原因でコイル110の直径が縮小する場合でも、コイルとの接触が維持される。
【0069】
図3のシステム172に示される構成要素は、図2のシステム140で代替に使用されてもよく、またはその逆であってもよい。例えば、図3に示される付勢ローラ218は、同様に図2に示されていないが、それにもかかわらず付勢ローラ218は、図2に関して説明されるシステム140内の適切な位置に実装され得る。同様に、図3に関して説明される絶縁体216及び/または絶縁体196もまた、図2のシステム140に対して関連のある方法で配置されることができる。
【0070】
他の変形形態は、図3の右側に示される。例えば、いくつかの実施形態では、システム172は、炉142Bの側面から及び/または炉142Bの横から取り外しすることができる、炉142Bを実装することができる。取り外しシステム176Bは、コイル110を炉142Bから、例えば、双方向矢印224によって図式的に示される、図3のページから出る方向にほぼ対応する方向になど、水平方向に押し出してもよく、または引き出してもよい。取り外しシステム176Bは、コイル110を垂直方向にさらにまたは代替に移動させることができてもよく、例えば、キャリヤ188Bの構造体をあらゆる箇所で、かつスタンド192によって支持される位置に、またはその他のキャリヤ188B内に画定される内部に移動させてもよい。
【0071】
図3の右側に示されるキャリヤ188B及び絶縁筐体194Bは、図3の左側に示されるものとは異なる。図3の右側のキャリヤ188B及び絶縁筐体194Bでは、例えば、絶縁筐体194Bは、1つ以上の解放可能に分離可能な部材202Bを含み得、これらの部材は、チューブ部品を線形にアライメントすることに対応し得る技法で閉まり得る(例えば、図3の左側のキャリヤ188Aのクラムシェル状またはヒンジ式アプローチとは対照的に)。
【0072】
使用中、図3の右側の絶縁筐体194Bは、蓋部226または他の要素を含んでもよく、これは、上げられ及び/または下げられ(矢印228によって示されるように)またはその他の方法で移動し、絶縁筐体12Bの他の部分と係合し得る。キャリヤ188Bは、コイル110を炉142Bから遠ざけることができる(矢印206Bのように、そして矢印206Aに類似して)。適切な距離がキャリヤ188Bによって横断された後、絶縁筐体194Bは、コイル110へのアクセスを可能にするように開かれることができる。例えば、絶縁筐体194Bの蓋部226は、矢印208Bのように持ち上げられることができる。
【0073】
例えば矢印212Bなどによって示されるように、コイル110は、いくつかの実施形態では、移送システム210によって巻き戻し位置174に移送され得る。これにより、コイル110は、図3の左側から提供されるコイル110に関して前述されるものと同様の方法で、巻き戻され、焼入れシステム126によって焼入れされ、巻き取りシステム146によって巻き直されることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、異なる種類の取り外しシステム176及び/または運搬システム186(例えば、キャリヤ188及び/または関連構成要素を含む)は、異なるスタイルの炉142に利用されてもよく、適していてもよい。例えば、クラムシェル型の絶縁筐体194Aは、ボトムローディング炉142Aから受容するための上向きの開口部を形成するのに適していてもよく、チューブ部品を線形にアライメントしている絶縁筐体194Bは、サイドローディング炉142Bに隣接する取り外しゾーンの上に下げられるのに適していてもよい。それにもかかわらず、炉142のそれぞれのタイプは、それらのようなオプションまたは例として図3に示される状況に限定されず、図3の要素(またはその変形形態)は、要素の任意の他の所望の組み合わせとともに利用されることができる。
【0075】
さらに、1対1、1対多、または多対多のオプションの任意の適切な組み合わせが可能である。例えば、図3の右側の配置が個々のキャリヤ188に装填することができる単一炉142を示すが、いくつかの実施形態では、単一キャリヤ188は、複数の炉142にサービスを提供することができる(例えば、図3の左側のように、個々のキャリヤ188がキャリヤ188の頭上に示される3つの異なる炉142のうちのいずれか1つにサービスを提供するように配置される)。いくつかの実施形態では、個々の炉142に対して複数のキャリヤ188が使用されることができるため、例えば、1つのキャリヤ188が加熱されたコイル110を運び出してもよく、もう1つのキャリヤが新規のコイル110を炉142内に装填して加熱するように位置決めする。例として図3は、巻き戻し位置174が複数のキャリヤ188及び/または炉142に対応することができることも示す。複数の炉142と組み合わせて巻き戻しステーション214を使用することにより、機器の使用が効率的になることができる(例えば、巻き戻し工程が加熱工程よりも速い場合、異なる炉での加熱間の開始時刻をずらすことができることにより、巻き戻し機構152がより頻繁に使用されることができ、サイクル間の休止時間を減少させることができる)。さらにまたは代替に、異なる炉142は、システム172内の要素の複雑さ及び/またはコストを減少させるなどのために、単一キャリヤ188によってサービスを提供されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、コイル110は、最初にキャリヤ188から取り外されることなく、巻き戻し位置174で巻き戻されてもよい。例えば、キャリヤ188はアパーチャ230(図3では、それぞれ230A及び230Bとして識別される)を含み得、このアパーチャをコイル110の巻き戻し部分124が通過することができると、焼入れシステム126に、及びまたは工程ラインまたはシステム172の他の部分にルーティングすることができる。アパーチャ230は、コイル110が巻き戻され、巻き戻し位置174でアパーチャ230を通過することを可能にするサイズに作られてもよい。いくつかの実施形態では、キャリヤ188が巻き戻し位置174で巻き戻し機構152と係合することができると、コイル110はキャリヤ188を通して巻き戻されることができる。ただし、いくつかの実施形態では、巻き戻し機構152は、キャリヤ188内またはその上に内蔵される少なくともいくつかの部分を含み得、例えば、この部分は、キャリヤ188内からコイル110を巻き戻すことができる位置に関してさらなる可撓性を与え得る。さらに、巻き戻し機構152がキャリヤ188内またはキャリヤ188上に少なくとも部分的に内蔵されるシナリオでは、巻き戻し位置174での移送システム210及び/または別個の巻き戻し機構152は無用になり得る。
【0077】
例示的な態様
いくつかの態様では、デバイス、システム、または方法は、以下の態様の1つもしくは複数に従って、またはそれらの要素のいくつかの組み合わせに従って提供される。いくつかの態様では、これらの態様の1つまたは複数で説明されるデバイスまたはシステムの機能は、その他の態様の1つで説明される方法内で利用することができ、またはその逆も可能である。
【0078】
態様1は、金属のコイルを熱処理するための方法であり、前記方法は、前記金属の前記コイルを加熱して、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内になるように前記金属の温度を上昇させることと、前記金属が前記予熱温度範囲内である加熱状態で、または前記金属が前記予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、前記金属の前記コイルを巻き戻すことであって、前記巻き戻しは前記コイルの巻き戻し部分を製造する、前記巻き戻すことと、前記コイルの前記巻き戻し部分を焼入れして、前記巻き戻し部分の温度を所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで低下させることであって、前記焼入れは焼入れ部分を製造する、前記低下させることとを含む。
【0079】
態様2は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部は前記コイルが前記炉内に維持されている間に実行されるか、前記コイルの前記加熱と前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部との間に、前記コイルは前記炉と巻き戻し位置との間に運搬されるかいずれかである。
【0080】
態様3は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記加熱、前記巻き戻し、及び前記焼入れは、前記コイルが材料の連続したバンドで維持される状態で、前記バンドが切断されて再連結されることを必要とせずに実行される。
【0081】
態様4は、前記焼入れ部分を第二コイルにリコイルすることをさらに含む、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法である。
【0082】
態様5は、前記コイルの前記加熱と前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部との間に、前記コイルの前記加熱を実行した前記炉と巻き戻し位置との間に前記コイルを運搬することをさらに含む、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法である。
【0083】
態様6は、前記炉の下または横から前記コイルを前記炉から取り外しすることをさらに含む、態様(複数可)5(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法である。
【0084】
態様7は、前記コイルの前記運搬中の熱損失を低減させるために、前記コイルを絶縁材料で少なくとも部分的に包むことをさらに含む、態様(複数可)5(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法である。
【0085】
態様8は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記コイルの前記巻き戻しの少なくとも一部は、前記コイルの前記加熱を実行した前記炉内に前記コイルが維持されている間に実行される。
【0086】
態様9は、前記コイルが成形されるスプール内にマンドレルを挿入することと、前記マンドレルを回転させることであって、前記コイルの前記巻き戻しは前記マンドレルの前記回転に起因する、前記回転させることと、をさらに含む、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法である。
【0087】
態様10は、態様(複数可)9(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記マンドレルの前記挿入は、前記コイルの前記加熱の前に起こり、前記マンドレルは、前記コイルの前記加熱に起因する前記スプールの内径のサイズにおける変化に適合するために半径方向に膨張するように構成される。
【0088】
態様11は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記金属はアルミニウムを含む。
【0089】
態様12は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記予熱温度範囲は、400℃から600℃の間の均質化温度範囲に対応する。
【0090】
態様13は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記予熱温度範囲は、300℃から500℃の間の焼なまし温度範囲に対応する。
【0091】
態様14は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記閾値量は50℃以下である。
【0092】
態様15は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記焼入れに起因する前記焼入れ済み温度範囲は、200℃から500℃の間である。
【0093】
態様16は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記焼入れに起因する前記焼入れ済み温度範囲は、200℃から350℃の間である。
【0094】
態様17は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記焼入れは、前記コイルの前記巻き戻し部分を、100℃から250℃の間の焼入れ温度範囲内で与えられる焼入れ媒体にさらすことを含む。
【0095】
態様18は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記焼入れは、前記コイルの前記巻き戻し部分を、10℃から200℃の間の焼入れ温度範囲内で与えられる焼入れ媒体にさらすことを含む。
【0096】
態様19は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記所定の時間は20秒未満である。
【0097】
態様20は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記焼入れは10℃/sを上回る熱抽出速度に対応する。
【0098】
態様21は、態様(複数可)1(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記方法であり、前記焼入れは100℃/sを下回る熱抽出速度に対応する。
【0099】
態様22は、金属のコイルを熱処理するためのシステムであり、前記システムは、前記金属の前記コイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内になるように前記金属の温度を上昇させるように構成される炉と、前記金属が前記予熱温度範囲内になる加熱状態で、または前記金属が前記予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、前記コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように動作可能である巻き戻しシステムと、前記巻き戻しシステムから前記コイルの巻き戻し部分を受容し、所定の時間内に焼入れ済み温度範囲まで前記巻き戻し部分の温度を低下させるように構成される焼入れシステムとを含む。
【0100】
態様23は、態様(複数可)22(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記システムは前記炉と前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置との間で前記コイルを移動させるように構成される運搬システムをさらに含むか、前記巻き戻しシステムは前記コイルが前記炉内に配置されている間に前記コイルを少なくとも部分的に巻き戻して、前記コイルの巻き戻し部分を製造するように構成される巻き戻し機構を含むかいずれかである。
【0101】
態様24は、前記焼入れシステムから焼入れ部分を受容し、前記焼入れ部分をリコイルして第二コイルを成形するように構成される巻き取りシステムをさらに含む、態様(複数可)22(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムである。
【0102】
態様25は、前記炉と前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置との間で前記コイルを移動させるように構成される運搬システムをさらに含む、態様(複数可)22(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムである。
【0103】
態様26は、態様(複数可)25(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記運搬システムは、前記加熱状態で前記コイルを受容し、前記加熱状態で前記コイルを前記巻き戻し位置に運搬するように構成される少なくとも1つのキャリヤを含む。
【0104】
態様27は、態様(複数可)26(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記キャリヤは、前記コイルの周りに絶縁筐体を受容するように構成される。
【0105】
態様28は、態様(複数可)27(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記絶縁筐体は、前記コイルが絶縁体によって少なくとも部分的に封入される閉構成と、前記コイルが前記キャリヤに対して装填するまたは取り外しするためにアクセスできる開構成との間で可動である少なくとも1つの解放可能に分離可能な部材を含む。
【0106】
態様29は、態様(複数可)27(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記絶縁筐体はアパーチャを含み、前記アパーチャは、前記コイルが巻き戻され、前記巻き戻し位置で前記アパーチャを通過することを可能にするサイズに作られる。
【0107】
態様30は、前記加熱状態の前記コイルを前記キャリヤから前記巻き戻し位置で巻き戻し機構に移送して、前記巻き戻し機構と係合させるように構成される移送システムをさらに含む、態様(複数可)26(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムである。
【0108】
態様31は、前記巻き戻しシステムの巻き戻し位置に対して配置され、前記巻き戻し位置で受容されるときに前記コイルからの熱損失を防止する、または低減させる絶縁体をさらに含む、態様(複数可)22(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムである。
【0109】
態様32は、態様(複数可)22(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記巻き戻しシステムは、前記コイルが前記炉内に配置されている間に前記コイルを少なくとも部分的に巻き戻し、前記コイルの巻き戻し部分を製造するように構成される巻き戻し機構を含む。
【0110】
態様33は、態様(複数可)22(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記炉は、前記コイルの前記巻き戻し部分が通過するサイズに作られる開口部を含む。
【0111】
態様34は、態様(複数可)33(または個々のもしくは組み合わせた他の先行もしくは後続の態様のいずれか)の前記システムであり、前記開口部は、前記開口部のサイズを調整するために可動である少なくとも1つのドアによって画定される前記サイズを有する。
【0112】
態様35は、金属のコイルを熱処理するためのシステムであり、前記システムは、前記金属の前記コイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内になるように前記金属の温度を上昇させるように構成される炉と、前記金属が前記予熱温度範囲内である加熱状態で、または前記金属が前記予熱温度範囲を下回る閾値量を過ぎて冷却される前に、前記コイルを前記炉から離すように構成される運搬システムと、前記コイルが前記運搬システムによって搬送された巻き戻し位置で前記加熱状態中の前記コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように動作可能である巻き戻しシステムと、前記巻き戻しシステムから前記コイルの巻き戻し部分を受容し、所定の時間内に前記巻き戻し部分の温度を焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成される焼入れシステムとを含む。
【0113】
態様36は、金属のコイルを熱処理するためのシステムであり、前記システムは、前記金属の前記コイルを受容するサイズに作られ、均質化温度範囲または焼なまし温度範囲に対応する予熱温度範囲内になるように前記金属の温度を上昇させるように構成される炉と、前記コイルが前記炉内に配置されている間に前記コイルの少なくとも一部分を巻き戻すように前記コイル上で動作可能である巻き戻し機構を有する巻き戻しシステムと、前記コイルの巻き戻し部分を前記炉から受容し、所定の時間内に前記巻き戻し部分の温度を焼入れ済み温度範囲まで低下させるように構成される焼入れシステムとを含む。
【0114】
上で引用されているすべての特許、出版物、及び要約は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。例示された実施形態を含む実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のためにのみ提示されており、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。多数の修正、改作、及びそれらの使用は、当業者らには明らかであろう。
図1
図2
図3