(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20241017BHJP
F21V 14/02 20060101ALI20241017BHJP
F21V 11/16 20060101ALI20241017BHJP
F21V 19/02 20060101ALI20241017BHJP
F21V 21/30 20060101ALI20241017BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241017BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V14/02 200
F21V11/16
F21V19/02 300
F21V21/30 310
F21V21/30 500
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021164143
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】池永 遼
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091955(JP,A)
【文献】特開2017-216157(JP,A)
【文献】特開2018-125161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 14/02
F21V 11/16
F21V 19/02
F21V 21/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部、第1筒状部材、光源を有する灯体部を備え、前記枠部が板材に形成された埋込孔に取付けられる照明装置であって、
前記第1筒状部材は、内周面及び外周面を有するコーン形状の部材であって、下端が前記枠部に着脱自在に支持されて上端が開口を呈し、
前記灯体部は、前記第1筒状部材の延在方向に直交する軸を中心にして直立位置又は最大傾斜位置となるように前記軸に回転自在に取付けられ、
前記灯体部に装着され、前記直立位置において前記第1筒状部材に向けて突出する軟性部材とを備え、
前記軟性部材の下端は、前記最大傾斜位置において前記枠部の
内周面より内側に位置する、
照明装置。
【請求項2】
枠部、第1筒状部材、光源を有する灯体部を備え、前記枠部が板材に形成された埋込孔に取付けられる照明装置であって、
前記第1筒状部材は、内周面及び外周面を有するコーン形状の部材であって、下端が前記枠部に着脱自在に支持されて上端が開口を呈し、
前記灯体部は、側面に孔を有し、前記第1筒状部材の延在方向に直交する軸を中心にして直立位置又は最大傾斜位置となるように前記軸に回転自在に取付けられ、
前記直立位置において前記第1筒状部材の前記外周面に向けて突出する軟性部材とを備え、
前記軟性部材は、前記孔と対向する位置に突起を有し、前記孔に前記突起を嵌合することにより前記灯体部に装着される、
照明装置。
【請求項3】
前記灯体部は、前記第1筒状部材側に第2筒状部材を有し、
前記孔は、前記第2筒状部材の側面に有り、
前記軟性部材は前記第2筒状部材に装着される、
請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記軟性部材の下端は、前記最大傾斜位置において、前記第1筒状部材の前記外周面に接触する、
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項5】
前記軟性部材の下端は、前記直立位置において、前記第1筒状部材の前記外周面に接触する、
請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
前記軟性部材は黒色の樹脂で形成される、
請求項1ないし5いずれか一項記載の照明装置。
【請求項7】
前記軟性部材は、前記開口に向き合う表面に梨地が施される、
請求項1ないし6いずれか一項記載の照明装置。
【請求項8】
前記軟性部材は、略矩形のシート形状である、
請求項1ないし7いずれか一項記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に埋め込んで用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井に埋め込んで取り付けられ、照射方向を変更できるダウンライトが知られている。
【0003】
この種のダウンライトは、天井に設けられる埋込孔に取付けられる枠と、その内側に嵌込まれる反射板と、その上部に取付けられる灯体とを有しており、反射板に対して灯体を傾けることによって照射方向を変更する。ここで、灯体を傾けたときに、灯体が反射板に接触することを回避するために、反射板の上部(灯具本体側)の開口は斜めになっている。このため、灯体と反射板との間には間隙が生じ、在室者からは当該間隙を通して天井裏が見えてしまう虞がある。この問題を解消するために例えば下掲の特許文献1灯体の側面に沿ってスライドする金属製カバーが取付けられて、間隙を覆う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のダウンライトでは、灯体に金属製カバーと嵌合するレール構造を設ける必要があり、製造コストが掛かる。また、金属製カバーは自重でスライドするので、傾斜した天井に設置したときには金属カバーがスライドせずに天井裏が見えてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、天井裏が視認されることを簡単な構造で回避又は抑制可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明に係る照明装置の第1の態様は、枠部、第1筒状部材、光源を有する灯体部を備え、前記枠部が板材に形成された埋込孔に取付けられる照明装置であって、前記第1筒状部材は、内周面及び外周面を有するコーン形状の部材であって、下端が前記枠部に着脱自在に支持されて内周面及び外周面を有するコーン形状の部材であって上端が開口を呈し、前記灯体部は、前記第1筒状部材の延在方向に直交する軸を中心にして直立位置又は最大傾斜位置となるように前記軸に回転自在に取付けられ、前記灯体部に装着され、前記直立位置において前記第1筒状部材の前記外周面に向けて突出する軟性部材とを備え、前記軟性部材の下端は、前記最大傾斜位置において前記枠部の内側に位置する。
また、本発明に係る照明装置の第2の態様は、枠部、第1筒状部材、光源を有する灯体部を備え、前記枠部が板材に形成された埋込孔に取付けられる照明装置であって、前記第1筒状部材は、内周面及び外周面を有するコーン形状の部材であって、下端が前記枠部に着脱自在に支持されて上端が開口を呈し、前記灯体部は、側面に孔を有し、前記第1筒状部材の延在方向に直交する軸を中心にして直立位置又は最大傾斜位置となるように前記軸に回転自在に取付けられ、前記直立位置において前記第1筒状部材の前記外周面に向けて突出する軟性部材とを備え、前記軟性部材は、前記孔と対向する位置に突起を有し、前記孔に前記突起を嵌合することにより前記灯体部に装着される。
【0009】
本発明に係る照明装置の第3の態様は、その第2の態様であって、前記灯体部は、前記第1筒状部材側に第2筒状部材を有し、前記孔は、前記第2筒状部材の側面に有り、前記軟性部材は前記第2筒状部材に装着される。
【0010】
本発明に係る照明装置の第3の態様は、その第2の態様であって、前記第2筒状部材は側面に孔を呈し、前記軟性部材には前記孔と対向する位置に突起を有し、前記突起が前記孔に嵌合する。
【0012】
本発明に係る照明装置の第4の態様は、その第1ないし第3の態様のいずれかであって、前記最大傾斜位置において、前記軟性部材の下端は、前記第1筒状部材の前記外周面に接触する。
本発明に係る照明装置の第5の態様は、その第4の態様であって、前記直立位置において、前記軟性部材の下端は、前記第1筒状部材の前記外周面に接触する。
【0013】
本発明に係る照明装置の第6の態様は、その第1ないし第5の態様のいずれかであって、前記軟性部材は黒色の樹脂で形成される。
【0014】
本発明に係る照明装置の第7の態様は、その第1ないし第6の態様のいずれかであって、前記軟性部材は、前記開口に向き合う表面に梨地が施される。
【0015】
本発明に係る照明装置の第8の態様は、その第1ないし第7の態様のいずれかであって、前記軟性部材は、略矩形のシート形状である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る照明装置の第1の態様によれば、天井裏が視認されることを簡単な構造で回避又は抑制可能な埋込型照明装置を提供することができる。
【0018】
本発明に係る照明装置の第2の態様によれば、軟性部材を容易に取付けることができる。
【0019】
本発明に係る照明装置の第3の態様によれば、軟性部材の取付けを容易に行うことができる。
【0020】
本発明に係る照明装置の第4の態様によれば、天井裏が視認されることを回避又は抑制することができる。
【0021】
本発明に係る照明装置の第5の態様によれば、天井裏が視認されることを回避又は抑制することができる。
【0022】
本発明に係る照明装置の第6の態様によれば、間隙を目立たなくさせることができる。
【0023】
本発明に係る照明装置の第7の態様によれば、軟性部材での反射光という不要な光を回避又は抑制することができる。
【0024】
本発明に係る照明装置の第8の態様によれば、軟性部材の形成が容易である。また、間隙を覆う程度の大きさに形成すれば良いので、省資源に資する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る照明装置の分解斜視図である。
【
図3】照明装置の軟性部材と第2筒状部材の分解斜視図である。
【
図4】照明装置の最大傾斜位置における断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る照明装置の直立位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここでは、上下方向をZ方向として規定し、Z方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向と規定する。すなわち、XY平面を水平面とする。ただし、照明装置を水平な天井面に設置した場合における照明装置の上下方向は重力方向とは限らない。また、Z軸から水平面内に延びる方向を径方向とする。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る照明装置1の分解斜視図であり、
図2は照明装置1の直立位置における断面図であり、
図3は照明装置1の軟性部材5と第2筒状部材45の分解斜視図であり、
図4は照明装置1の最大傾斜位置における断面図である。
【0028】
図1に示すように照明装置1は、天井板61などの板材に形成された埋込孔に嵌込まれて下方へ光を照射する、いわゆるダウンライトであり、埋込孔に取付けられる枠部2、下端が枠部2に着脱自在に支持されて上端が水平面に対して傾斜する開口31を呈する第1筒状部材3、第1筒状部材3の上端において開口31と近接する状態と離間する状態との間で第1筒状部材3の延在方向(Z軸方向)に直交する軸Rを中心にして回転自在に取付けられる灯体部4と、灯体部4と開口31との間隙Gを覆う軟性部材5とを備えている。
【0029】
枠部2は、埋込孔の外側に向けて延びる鍔部21と、鍔部21の内側から立設して埋込孔を形成する面と対向してZ方向に沿って円筒状に延びる立設部22と、立設部22の側面の予め定められた位置に取付けられて鍔部21を天井板61に向けて固定する方向に力を加える複数の板バネ23を有している。鍔部21と板バネ23とが天井板61を上下方向で挟み込むことによって枠部2を埋込孔に固定することができ、ひいては照明装置1を天井板61に固定することができる。
【0030】
第1筒状部材3は、下端が枠部2に着脱自在に支持されて上端が天井板61に対して傾斜した開口31を呈するコーン形状の部材であり、その内周面には鏡面コーティングが施されている。これにより第1筒状部材3は、後述する灯体部4が発する光を所望の配光に制御する反射板として機能する。第1筒状部材3は、開口31のZ方向上端である開口上端311とZ方向下端である開口下端312とを結ぶ線に直交し第1筒状部材3の中心軸を挟んで対向する位置において、Z方向上側に延びる壁体32を有している。壁体32には灯体部4に接続されるための第1切欠321が設けられている。
【0031】
灯体部4は、第1筒状部材3の上端においてその開口31と近接する状態(直立位置)(
図2参照)と離間する状態(傾斜位置)(
図4参照)との間で軸Rを中心にして回転自在に取付けられる部材であり、第1筒状部材3に対して傾斜及び回動させることで光の照射方向を変更することができる。
【0032】
図2に示すように灯体部4は、光を照射するLED(Light Emitting Diode)等の発光素子が採用される光源41、光源41の発する光の配光を制御する配光制御板42、光源41が発する熱を放熱するヒートシンク43、第1筒状部材3とヒートシンク43とを保持し枠部2に固定される保持部44と、第2筒状部材45とを有している。
【0033】
ヒートシンク43は略円柱体の外形を呈し、直立位置においてZ方向下側で光源41及び配光制御板42が取付けられる平面部431と平面部431のZ方向上側に延在する軸体432と、軸体432から水平面内で放射状に延びる複数の放熱フィン433を有する。
【0034】
保持部44はZ方向に延びる略筒状部材であって、内部に光源41と配光制御板42とを収容し、Z方向上側にヒートシンク43が接続され、Z方向下側には第2筒状部材45が接続される。
【0035】
第2筒状部材45は、
図3に示すように、環状体451と、環状体451の一部からZ方向上側に延びる第1円弧体452と、環状体451の一部からZ方向下側に延びる第2円弧体453とを有している。環状体451は光源41の発する光の配光を制御するためのフードであり、その側面には第1孔454を呈している。第1円弧体452は、保持部44に固定されるための第2切欠455を呈している。第2円弧体453は、開口上端311の近傍で環状体451の略半周に亘って形成され、枠部2に回動自在に取付けられるための第2孔456を呈している。第2円弧体453は、灯体部4が一定角度以上に回転したときに第1筒状部材3の外周面に接触して、それ以上回転しないようにするものである。
【0036】
軟性部材5は、灯体部4と開口31との間隙Gを覆う部材であり、第2筒状部材45に装着されて灯体部4の下方から第1筒状部材3に向けて突出する。具体的には例えば、軟性部材5は、黒色ゴムで形成される略矩形のシート形状で第1孔454に嵌合する突起51と、環状体451よりも下方かつ第1筒状部材3の外周面よりも外側に向けて延びる帯状体52とを有している。軟性部材5は、開口下端312の近傍で環状体451の略半周に亘って取付けられている。軟性部材5を環状体451に取付けるには突起51を第1孔454に押込むだけで良いので容易に取付けることができる。また、軟性部材5は、開口31に向き合う表面52Sに梨地が施されている。これにより、軟性部材5での反射光という不要な光を回避又は抑制することができる。さらにまた、軟性部材5は、間隙Gを覆う程度の大きさに形成すれば良いので、省資源に資する。
【0037】
以上の構成を備えることにより、灯体部4が直立位置(
図2参照)にあるときは、帯状体52が第1筒状部材3の外側に延びて灯体部4と開口31との間隙G(在室者から見える範囲全体)を覆う。そして灯体部4が直立位置から傾斜していくにつれて、帯状体52が第1筒状部材3の外周面に接触して変形していくので(
図4参照)、簡単な構造で天井裏が視認されることを回避又は抑制できる。また、枠部2と第1筒状部材3とが着脱自在なので、既設の照明装置を入替える場合には枠を流用することが可能になり省資源に資する。
【0038】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、帯状体52が傾斜位置において第1筒状部材3の外周面に接触する態様について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば
図5に示すように、照明装置1Aが帯状体52Aを備えていても良い。帯状体52Aは、帯状体52よりもZ方向の長さが長く形成され、直立位置においても第1筒状部材3の外周面に接触する。これにより、照明装置1Aが直立位置にあるときであっても灯体部4と開口31との間隙Gを確実に覆うことができ、在室者が天井裏を視認する虞を確実に回避することができる。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
<変形例>
以上、本発明に係る照明装置の実施形態を説明したが、例示した照明装置を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態に限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では軟性部材5が第2筒状部材45に装着される態様を示したが、保持部44に装着されても良い。これにより、配光制御のためのフードが不要な照明装置において同様の機能を備えることができる。また、第1切欠321又は第2切欠455に代えて孔を形成しても良い。これにより部材同士をガタつきなく固定することができる。
【符号の説明】
【0040】
1,1A 照明装置
3 第1筒状部材
31 開口
4 灯体部
45 第2筒状部材
454 第1孔(孔)
5 軟性部材
51 突起
52,52A 帯状体
53 表面
G 間隙
R 軸