(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】基板浮上型レーザ処理装置及び浮上量の測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241017BHJP
B65G 49/05 20060101ALI20241017BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20241017BHJP
H01L 21/268 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/05
H01L21/20
H01L21/268 G
H01L21/268 T
(21)【出願番号】P 2019130992
(22)【出願日】2019-07-16
【審査請求日】2022-04-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521476506
【氏名又は名称】JSWアクティナシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林 大介
(72)【発明者】
【氏名】三上 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐輝
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】大橋 達也
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-035960号公報
【文献】特開2014-014840号公報
【文献】特開2017-089894号公報
【文献】特開2006-170640号公報
【文献】特開2009-220142号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/00-21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含む基板浮上型レーザ処理装置:
基板を浮上させて搬送するステージ;
前記基板の浮上量
であって、前記ステージの上面と、前記ステージにおける前記基板の下面との間の距離である前記浮上量を測定する浮上量測定装置;
及び
前記浮上量測定装置から前記浮上量が入力されるコントローラであって、測定された浮上量と予め設定された目標値との差を決定するように構成された前記コントローラ、
ここで、
決定された前記差に基づいて、鉛直方向に沿って前記浮上量測定装置を移動させることにより、鉛直方向の前記浮上量測定装置と前記基板との距離を自動的に調整
し、
前記浮上量測定装置と前記基板との距離は、前記差が負の場合には、前記浮上量が予め設定された目標値よりも大きくなるように調整され、前記差が正の場合には、前記浮上量が予め設定された目標値よりも小さくなるように調整される。
【請求項2】
前記基板の浮上量は、レーザ光を前記基板及び前記ステージに照射することによって測定される、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項3】
測定した前記基板の浮上量を入力するフィードバック機構を用いて前記浮上量測定装置と前記基板との距離を調整する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項4】
前記浮上量測定装置は、前記レーザ光を前記基板及び前記ステージに照射するとともに、前記レーザ光が前記基板及び前記ステージによって反射した反射光を受光するレーザ変位計を含み、
前記レーザ変位計は、前記レーザ光が前記基板の下面で反射した反射光及び前記レーザ光が前記ステージの上面で反射した反射光から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項2に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項5】
前記浮上量測定装置は、前記基板の上面を撮像するカメラを含み、
前記カメラは、前記基板を前記ステージに接触させた場合に前記基板の上面に焦点が合う位置、及び、前記基板を前記ステージ上に浮上させた場合に前記基板の上面に焦点が合う位置から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項6】
前記浮上量測定装置は、前記基板の上面を撮像するカメラを含み、
前記カメラは、前記基板の上面または下面に焦点が合う位置、及び、前記ステージの上面に焦点が合う位置から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項7】
前記浮上量測定装置は、前記基板の上面までの距離を測定する測長器を含み、
前記測長器は、前記基板を前記ステージに接触させた場合の前記基板の上面までの距離、及び、前記基板を前記ステージ上に浮上させた場合の前記基板の上面までの距離から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項8】
前記浮上量測定装置は、前記ステージの上方の水平面において一方向に延びた平行移動ステージを含み、
前記浮上量測定装置は、前記一方向に沿って前記基板の浮上量を測定する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項9】
前記平行移動ステージは、前記ステージの上方の水平面において前記一方向に直交する他方向に移動可能である、
請求項8に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項10】
前記ステージは、前記基板を浮上させるエアを噴出する複数の浮上ユニットを有し、
前記ステージの上面は、前記複数の前記浮上ユニットの上面を含む、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記目標値と、入力された前記浮上量との差分が所定の範囲を超える場合には、前記入力された前記浮上量を前記距離の調整用データから除外する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記浮上量測定装置と前記ステージとの間隔を記憶した記憶部を含み、
前記コントローラは、前記記憶部が記憶した前記間隔を用いて、測定した前記基板の浮上量を補正する、
請求項1に記載の基板浮上型レーザ処理装置。
【請求項13】
基板を浮上させて搬送するステージ上に配置された前記基板の浮上量を測定する浮上量測定装置を用いて、前記基板の前記浮上量
であって、前記ステージの上面と、前記ステージにおける前記基板の下面との間の距離である前記浮上量を測定するステップと、
前記浮上量測定装置から前記浮上量が入力されるコントローラに、測定された前記浮上量と予め設定された目標値との差を決定させるステップと、
決定された前記差に基づいて、鉛直方向に沿って前記浮上量測定装置を移動させることにより、鉛直方向の前記浮上量測定装置と前記基板との距離を自動的に調整するステップと、
を備え
、
前記自動的に調整するステップにおいて、
前記浮上量測定装置と前記基板との距離は、前記差が負の場合には、前記浮上量が予め設定された目標値よりも大きくなるように調整され、前記差が正の場合には、前記浮上量が予め設定された目標値よりも小さくなるように調整される、
浮上量の測定方法。
【請求項14】
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記基板の浮上量を、レーザ光を前記基板及び前記ステージに照射することによって測定する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項15】
前記自動的に調整するステップにおいて、
測定した前記基板の浮上量を入力するフィードバック機構を用いて前記浮上量測定装置と前記基板との距離を調整する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項16】
前記浮上量測定装置は、前記レーザ光を前記基板及び前記ステージに照射するとともに、前記レーザ光が前記基板及び前記ステージによって反射した反射光を受光するレーザ変位計を含み、
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記レーザ変位計は、前記レーザ光が前記基板の下面で反射した反射光及び前記レーザ光が前記ステージの上面で反射した反射光から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項14に記載の浮上量の測定方法。
【請求項17】
前記浮上量測定装置は、前記基板の上面を撮像するカメラを含み、
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記カメラは、前記基板を前記ステージに接触させた場合に前記基板の上面に焦点が合う位置、及び、前記基板を前記ステージ上に浮上させた場合に前記基板の上面に焦点が合う位置から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項18】
前記浮上量測定装置は、前記基板の上面を撮像するカメラを含み、
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記カメラは、前記基板の上面または下面に焦点が合う位置、及び、前記ステージの上面に焦点が合う位置から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項19】
前記浮上量測定装置は、前記基板の上面までの距離を測定する測長器を含み、
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記測長器は、前記基板を前記ステージに接触させた場合の前記基板の上面までの距離、及び、前記基板を前記ステージ上に浮上させた場合の前記基板の上面までの距離から、前記基板の浮上量を測定する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項20】
前記浮上量測定装置は、前記ステージの上方の水平面において一方向に延びた平行移動ステージを含み、
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記浮上量測定装置は、前記一方向に沿って前記基板の浮上量を測定する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項21】
前記基板の浮上量を測定するステップにおいて、
前記平行移動ステージは、前記ステージの上方の水平面において前記一方向に直交する他方向に移動可能である、
請求項20に記載の浮上量の測定方法。
【請求項22】
前記ステージは、前記基板を浮上させるエアを噴出する複数の浮上ユニットを有し、
前記ステージの上面は、前記複数の前記浮上ユニットの上面を含む、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項23】
前記自動的に調整するステップにおいて、
前記コントローラは、前記目標値と、入力された前記浮上量との差分が所定の範囲を超える場合には、前記入力された前記浮上量を前記距離の調整用データから除外する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【請求項24】
前記浮上量測定装置と前記ステージとの間隔を記憶した記憶部をさらに備え、
前記自動的に調整するステップにおいて、
前記コントローラは、前記記憶部が記憶した前記間隔を用いて、測定した前記基板の浮上量を補正する、
請求項13に記載の浮上量の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板浮上型レーザ処理装置及び浮上量の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス基板等に形成された非晶質膜を含む基板に対し、レーザ光を照射してアニール処理を行うレーザ処理装置が開示されている。特許文献1のレーザ処理装置は、噴出エアにより基板を浮上させる浮上ステージ上でアニール処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板を浮上させる浮上ステージは、レーザ光を所望の位置に照射する上で、的確に基板の浮上を制御することが求められている。そのため、基板の浮上量を高精度に測定することが必要とされているが、十分とはいえず、改善の余地がある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態にかかる基板浮上型レーザ処理装置は、基板を浮上させて搬送するステージ及び前記基板の浮上量を測定する浮上量測定装置を含む。ここで、測定した浮上量に応じて前記浮上量測定装置と前記基板との距離を自動的に調整可能とする。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施の形態によれば、基板とステージとの接触による粉塵等の発生を抑制し、レーザ光の照射位置を高精度で制御することにより、レーザ処理の性能を向上させることができる基板浮上型レーザ処理装置及び浮上量の測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置の構成を模式的に例示した斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置のステージを模式的に例示した平面図である。
【
図3】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置を
図2に示すIII-IIIから見た図である。
【
図4】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が測定する浮上量を例示した図である。
【
図5】比較例に係る基板浮上型レーザ処理装置の浮上量測定装置を例示した図である。
【
図6】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置及びコントローラを例示した構成図である。
【
図7】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置を用いた基板の浮上量の測定方法を例示したフローチャート図である。
【
図8】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、静的な基板の浮上量の測定方法を模式的に例示した斜視図である。
【
図9】実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、動的な基板の浮上量の測定方法を模式的に例示した斜視図である。
【
図10】実施形態2に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が基板の浮上量を測定する動作を模式的に例示した図である。
【
図11】実施形態2に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が基板の浮上量を測定する動作を模式的に例示した図である。
【
図12】実施形態3に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が基板の浮上量を測定する動作を模式的に例示した図である。
【
図13】実施形態3に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が基板の浮上量を測定する動作を模式的に例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置を説明する。本実施形態に係る基板浮上型レーザ処理装置は、例えば、ポリシリコン膜を形成するエキシマレーザアニール(Excimer Laser Anneal)装置である。なお、基板浮上型レーザ処理装置は、基板50を浮上させてレーザ処理を行う装置であれば、エキシマレーザアニール装置に限らない。本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置は、基板の浮上量を測定する浮上量測定装置を備えている。例えば、基板浮上型レーザ処理装置の組み立て後、または、レーザ処理前の条件設定において、浮上量測定装置を用いて、基板の浮上量を測定する。
【0011】
以下で、まず、基板浮上型レーザ処理装置の各構成を説明する。各構成の説明のうち、浮上量測定装置については、比較例の浮上量測定装置と対比させ、比較例の浮上量測定装置の課題を説明しつつ、本実施形態の浮上量測定装置を説明する。これにより、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置をより明確にする。
【0012】
図1は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置の構成を模式的に例示した斜視図である。
図2は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置のステージを模式的に例示した平面図である。
図3は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置を
図2に示すIII-IIIから見た図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、基板浮上型レーザ処理装置1は、ステージ10、レーザ照射部20、浮上量測定装置30、コントローラ40を備える。おおまかに言えば、基板浮上型レーザ処理装置1は、基板50をステージ10に浮上させて搬送し、レーザ照射部20で、基板50をレーザ処理する。
【0014】
なお、以下に示す図では、説明の便宜のため、適宜、XYZ直交座標系を用いている。Z軸方向は鉛直上下方向であり、Y軸方向は、レーザ照射部20が照射するライン状のレーザスポットに沿った方向であり、X軸方向は、基板50の搬送方向である。基板50をX軸方向に搬送しながら、Y軸方向に沿ったライン状のレーザ光を基板50に照射する。また、X軸方向とY軸方向は、矩形状の基板50の端辺に沿った方向である。
【0015】
以下で、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置1の各構成を説明する。
【0016】
<ステージ>
ステージ10は、基板50を浮上させて搬送する。ステージ10は、上方を向いた上面を有している。ステージ10の上面をステージ面10aと呼ぶ。ステージ面10aは、上方から見て、例えば、X軸方向及びY軸方向に端辺が沿った矩形である。ステージ10は、複数の浮上ユニット11を有している。なお、
図1~
図3において、図が煩雑にならないように、いくつかの浮上ユニット11のみに符号を付している。また、いくつかの構成を省略する場合もある。
【0017】
浮上ユニット11は、上方を向いた上面を有している。浮上ユニット11の上面をユニット面11aと呼ぶ。各ユニット面11aは、上方から見て、例えば、X軸方向及びY軸方向に端辺が沿った矩形である。ステージ面10aは、複数のユニット面11aを含んでいる。例えば、複数のユニット面11aは、ステージ面10aにおいて、X軸方向及びY軸方向にマトリックス状に配列している。よって、ステージ面10aは、マトリックス状に配列された複数のユニット面11aにより構成されている。
【0018】
浮上ユニット11は、基板50を浮上させるための噴出エアを上方に噴出する。例えば、浮上ユニット11のユニット面11aには、図示しない複数のエア噴出孔が設けられており、エア噴出孔から噴出される噴出エアにより、基板50を浮上させる。なお、浮上ユニット11は、エア噴出孔のかわりに、上部に設けられた多孔質から噴出エアを噴出させてもよい。
【0019】
浮上ユニット11には、図示しない噴出エア配管が下方に接続されている。噴出エア配管は、例えば、弁及びエア流量計を介してポンプに接続されている。弁及びエア流量計は、信号線等によりコントローラ40に接続されている。コントローラ40による弁及びポンプの制御によって、ステージ面10a上の基板50の浮上量は制御されている。
【0020】
ステージ10は、基板50を搬送するために図示しない把持機構を備えてもよい。ステージ10は、把持機構により、例えば、基板50の端部を把持させて搬送してもよいし、基板50の中央部を把持させて搬送してもよい。
【0021】
<基板>
基板50は、例えば、ガラス基板である。基板50は、シリコン基板等の半導体基板でもよい。基板50は、半導体膜を含んでもよい。半導体膜は、例えば、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)である。レーザ処理は、基板50における半導体膜の多結晶化、単結晶化、改質化、不純物の不活性化、不純物の安定化を目的とする。例えば、レーザ光の照射によって、非晶質の半導体膜の少なくとも一部は、多結晶に変質する。なお、レーザ処理は、これらを目的とする処理に限らない。基板50にレーザ光を照射して熱処理を行ういかなる処理を含んでもよい。また、基板50は、レーザ処理が施されるものであれば、ガラス基板及び半導体基板に限らない。
【0022】
<レーザ照射部>
レーザ照射部20は、レーザ光を照射する。レーザ照射部20は、基板50に対して、例えば、エキシマレーザ光を照射する。なお、レーザ照射部20が照射するレーザ光は、エキシマレーザ光に限らず、目的のレーザ処理に応じたレーザ光を照射してもよい。レーザ照射部20が基板50に対して照射したレーザ光の照射スポット21は、例えば、Y軸方向に延びたライン状である。
【0023】
<浮上量測定装置:浮上量>
図4は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が測定する浮上量を例示した図である。
図4に示すように、浮上量測定装置30は、基板50の浮上量Hを測定する。基板50の浮上量Hは、ステージ面10aから基板50の下面50bまでの距離を呼ぶ。浮上量測定装置30から基板50の上面50aまでの距離を距離L1と呼び、浮上量測定装置30から基板50の下面50bまでの距離を距離L2と呼び、浮上量測定装置30からステージ面10a、すなわち、ユニット面11aまでの距離を距離L3と呼ぶ。そうすると、基板50の浮上量Hは、浮上量H=距離L3-距離L2となる。
【0024】
<浮上量測定装置:レーザ変位計>
浮上量測定装置30は、例えば、レーザ変位計31及び高さ調整ステージ32を含む。レーザ変位計31は、レーザ光を基板50及びステージ10に照射するとともに、レーザ光が基板50及びステージ10によって反射した反射光を受光する。レーザ変位計31は、レーザ光が基板50の上面50aで反射した反射光、基板50の下面50bで反射した反射光、ステージ面10aで反射した反射光における反射率の違いから、距離L1、距離L2及び距離L3を同時に測定する。これにより、レーザ変位計31は、浮上量Hを測定することができる。このように、基板50の浮上量Hは、レーザ光を基板50に照射することによって測定される。
【0025】
高さ調整ステージ32は、レーザ変位計31に取り付けられている。高さ調整ステージ32は、レーザ変位計31のZ軸方向の位置、すなわち、高さを調整することができる。レーザ変位計31には、距離L1、距離L2及び距離L3を測定可能な測定レンジRが設定されている。距離L1、距離L2及び距離L3が測定レンジを超えるような場合には、基板50の浮上量Hを高精度に測定することができない。そこで、高さ調整ステージ32は、レーザ変位計31の高さを調整して、距離L1、距離L2及び距離L3が測定レンジ内に入るようにする。なお、浮上量測定装置30は、後述するように、レーザ変位計31を含むものに限らない。
【0026】
浮上量測定装置30は、平行移動ステージ33を含んでもよい。平行移動ステージ33は、ステージ10の上方の水平面においてY軸方向に延びた棒状の可動ステージである。平行移動ステージ33には、高さ調整ステージ32を介して、レーザ変位計31が取り付けられている。よって、レーザ変位計31及び高さ調整ステージ32は、平行移動ステージ33に沿って、Y軸方向にスライド移動可能である。これにより、浮上量測定装置30は、Y軸方向に沿って基板50の浮上量Hを測定する。
【0027】
浮上量測定装置30は、平行移動ステージ34を含んでもよい。平行移動ステージ34は、Y軸方向においてステージ10を挟むように2つ配置されている。一方の平行移動ステージ34は、ステージ10の+Y軸方向の端辺に沿って、X軸方向に延びるように配置され、他方の平行移動ステージ34は、-Y軸方向の端辺に沿って、X軸方向に延びるように配置されている。各平行移動ステージ34には、上方に延びたフレーム35がX軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。一方の平行移動ステージ34のフレーム35は、平行移動ステージ33の一端を支持し、他方の平行移動ステージ34のフレーム35は、平行移動ステージ33の他端を支持している。よって、平行移動ステージ33は、X軸方向に移動可能である。これにより、浮上量測定装置30は、X軸方向及びY軸方向に沿った基板50の浮上量Hを測定する。
【0028】
<比較例:浮上量測定装置>
次に、比較例に係る基板浮上型レーザ処理装置の浮上量測定装置を説明する。
図5は、比較例に係る基板浮上型レーザ処理装置の浮上量測定装置を例示した図である。
図5に示すように、比較例の浮上量測定装置130も、レーザ変位計131、高さ調整ステージ132、平行移動ステージ33を備えている。比較例に係る基板浮上型レーザ処理装置101のステージ10、レーザ照射部20は、実施形態1の基板浮上型レーザ処理装置1おけるステージ10、レーザ照射部20と同様である。
【0029】
レーザ変位計131も、レーザ変位計31と同様に、レーザ光を基板50及びステージ10に照射するとともに、レーザ光が基板50及びステージ10によって反射した反射光を受光する。レーザ変位計131は、レーザ光が基板50の上面50aで反射した反射光、基板50の下面50bで反射した反射光、ステージ面10aで反射した反射光における反射率の違いから、距離L1、距離L2及び距離L3を同時に測定する。これにより、レーザ変位計131は、浮上量Hを測定することができる。浮上量測定装置130は、レーザ変位計131で基板50の浮上量を測定する場合には、平行移動ステージ33によって測定位置を移動させて測定する。レーザ変位計131には、距離L1、距離L2及び距離L3を測定可能な測定レンジが設定されている。距離L1、距離L2及び距離L3が測定レンジを超えるような場合には、レーザ変位計131は、基板の浮上量を高精度に測定することができない。
【0030】
図5に示すように、ステージ面10aは、複数のユニット面11aで構成されている。複数のユニット面11aの位置は、Z軸方向においてずれを有する場合がある。よって、浮上ユニット11とステージ10との関係がステージ面10a全体でみると平面でない場合には、レーザ変位計131を移動させると測定レンジRを超えてしまうことがある。したがって、基板50の浮上量を高精度で測定することができない。
【0031】
このように、比較例の基板浮上型レーザ処理装置101の課題は、レーザ変位計131で基板50の浮上量を測定する場合に、ステージ面10a全体でみると平面でないために、レーザ変位計131を移動すると測定レンジRを超える場合があることである。その場合には、距離L1、距離L2及び距離L3が測定レンジRに入るように、高さ調整ステージ132を手動で動かし、レーザ変位計131の高さを調整する必要がある。
【0032】
<本実施形態:浮上量測定装置及びコントローラ制御>
次に、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置1における浮上量測定装置を説明する。
図6は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置及びコントローラを例示した構成図である。
図6に示すように、本実施形態の浮上量測定装置30は、コントローラ40に接続されている。浮上量測定装置30は、レーザ変位計31及び高さ調整ステージ32を含む。コントローラ40は、例えば、レーザ変位計コントローラ41、ステージコントローラ42及びサーボアンプ43を含む。
【0033】
レーザ変位計コントローラ41は、レーザ変位計31と、ファイバー等の有線または無線を含む信号線等により接続されている。レーザ変位計コントローラ41は、信号線等により、ステージコントローラ42に接続されている。ステージコントローラ42は、信号線等により、サーボアンプ43に接続されている。サーボアンプ43は、信号線等により、高さ調整ステージ32に接続されている。
【0034】
レーザ変位計コントローラ41は、レーザ変位計31から信号線等を介して距離L1、距離L2及び距離L3、並びに、これらから測定した浮上量Hを含む高さ情報を受信する。レーザ変位計コントローラ41は、受信した高さ情報をステージコントローラ42に送信する。高さ情報は、例えば、アナログ信号でもよい。
【0035】
ステージコントローラ42は、測定した浮上量Hを含む高さ情報を浮上量測定装置30から入力される。ステージコントローラ42は、予め設定された目標値と、入力された浮上量Hとに基づいて、浮上量測定装置30と基板50との距離を調整する。
【0036】
具体的には、ステージコントローラ42は、入力された浮上量Hと、あらかじめ設定された目標値Gとを比較する。そして、入力された浮上量Hと、設定された目標値Gとの差分Δ=H-Gが負の場合には、ステージコントローラ42は、浮上量Hが目標値Gよりも大きくなるように、サーボアンプ43に対してZ軸への高さ指令値を出力する。高さ指令値は、アナログ信号でもよいし、パルス信号でもよい。一方、入力された浮上量Hと、設定された目標値Gとの差分Δ=H-Gが正の場合には、ステージコントローラ42は、浮上量Hが目標値Gよりも小さくなるように、サーボアンプ43に対してZ軸への高さ指令値を出力する。このようにして、浮上量測定装置30と基板50との距離を自動的に調整する。
【0037】
ステージコントローラ42は、入力された距離L1、距離L2及び距離L3、並びに、測定した浮上量Hを記憶した記憶部を含んでもよい。また、ステージコントローラ42は、目標値と、入力された浮上量Hとの差分が所定の範囲を超える場合には、入力された浮上量Hを距離の調整用データから除外する。例えば、浮上ユニット11間の隙間、浮上ユニット11のエア噴出孔等のように、ステージ面10aにおける特異な点は、調整用のデータから除外される。
【0038】
サーボアンプ43は、ステージコントローラ42から、高さ調整ステージ32のZ軸への高さ指令値を受け取る。一方、サーボアンプ43は、高さ調整ステージ32からレーザ変位計31が位置する高さ情報を取得する。例えば、高さ調整ステージ32に設けられたエンコーダから、レーザ変位計31が位置するZ軸の高さ値を取得する。そして、サーボアンプ43は、高さ調整ステージ32から取得する高さ情報が、ステージコントローラ42から受け取った高さ指令値になるまで高さ調整ステージ32を動作させる。
【0039】
複数のユニット面11aの位置は、Z軸方向においてずれを有し、浮上ユニット11とステージ10との関係がステージ面10a全体でみると平面でない場合でも、コントローラ40は、測定レンジRの範囲内に、距離L1、距離L2及び距離L3が入るように、レーザ変位計131の高さを調整する。よって、距離L1、距離L2及び距離L3が測定レンジRを超えることはない。これにより、基板50の浮上量を高精度で測定することができる。
【0040】
このように、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置1は、測定した浮上量Hに応じて、浮上量測定装置30と基板50との距離を、フィードバック制御により、自動的に調整可能とする。基板50の浮上量Hは、例えば、レーザ光を基板50及びステージ10に照射することによって測定される。そして、測定した基板50の浮上量を入力するフィードバック機構を用いて浮上量測定装置30と基板50との距離を調整する。これにより、測定した距離L1、距離L2及び距離L3が測定レンジRを超えないようにすることができる。
【0041】
<基板の浮上量の測定方法>
次に、基板50の浮上量の測定方法を説明する。
図7は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置を用いた基板の浮上量の測定方法を例示したフローチャート図である。
【0042】
図7のステップS11に示すように、まず、浮上量測定装置30を用いて、基板50の所定の位置の浮上量Hを測定する。浮上量測定装置30は、例えば、レーザ変位計31を含んでいる。基板50の浮上量Hを、基板50及びステージ10にレーザ光を照射することによって測定する。基板50の所定の位置は、任意の位置でもよい。例えば、基板50の+Y軸側の端部に位置する浮上ユニット11上の位置でもよい。例えば、レーザ変位計31は、レーザ光が基板50の上面50aで反射した反射光、基板50の下面50bで反射した反射光、ステージ面10aで反射した反射光における反射率の違いから、距離L1、距離L2及び距離L3を同時に測定する。これにより、浮上量測定装置30は、浮上量H=距離L3-距離L2を測定する。なお、浮上量測定装置30は、レーザ変位計31を含むものに限らない。
【0043】
次に、ステップS12に示すように、測定した浮上量Hに応じて、浮上量測定装置30と基板50との距離を自動的に調整する。浮上量測定装置30から浮上量Hを入力されたコントローラ40は、予め設定された目標値と、入力された浮上量Hとに基づいて、浮上量測定装置30と基板50との距離を調整する。このように、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置1は、測定した基板50の浮上量を入力するフィードバック機構を用いて浮上量測定装置30と基板50との距離を調整する。
【0044】
次に、ステップS13に示すように、基板の浮上量Hの測定が終了したか判断する。終了したYesの場合には、処理を終了する。終了しないNoの場合には、ステップS14に示すように、基板50の異なる位置を測定できるように浮上量測定装置30を移動させる。例えば、平行移動ステージ33を用いて、レーザ変位計31を移動させる。これにより、基板50の所定の位置とは異なる位置を測定する。また、ステージ10の把持部により、基板50の異なる位置を測定できるように基板50を移動させてもよい。
【0045】
次に、ステップS11に戻り、浮上量測定装置30を用いて、基板50の浮上量Hを測定する。そして、測定が終了するまで、ステップS11~ステップS14を繰り返す。したがって、各測定位置における基板50の浮上量の測定ごとに、浮上量測定装置30と基板50との距離を調整する。よって、各測定位置において、距離L1、距離L2及び距離L3を測定レンジR内の目標値に近づけるように追随して調整させる。これにより、各測定位置において、高精度に基板50の浮上量を測定することができる。このようにして、基板50の浮上量を測定する。
【0046】
<静的な基板の浮上量の測定方法>
基板50の浮上量Hの測定方法の例として、静的な基板50の浮上量Hの測定方法を説明する。静的とは、基板50を搬送させずに、基板50の浮上量Hを測定する場合である。
図8は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、静的な基板の浮上量の測定方法を模式的に例示した斜視図である。
【0047】
図8に示すように、基板50を搬送させずに、静的に基板50の浮上量Hを測定する場合には、平行移動ステージ33及び平行移動ステージ34を用いて、浮上量測定装置30を移動させながら、基板50の浮上量Hを測定する。そして、ステージ面10a上に配置する基板50の位置を変えながら、ステージ面10a全体における基板50の浮上量Hを測定する。これにより、ステージ10と基板50との浮上量が他の部分と比べて小さい箇所及び接触箇所を事前に見出すことができる。したがって、基板50とステージ10との接触による粉塵等の発生を抑制することができる。
【0048】
<動的な基板の浮上量の測定方法>
次に、基板50の浮上量Hの測定方法の例として、動的な基板50の浮上量Hの測定方法を説明する。動的とは、基板50を搬送させながら、基板50の浮上量Hを測定する場合である。
図9は、実施形態1に係る基板浮上型レーザ処理装置において、動的な基板の浮上量の測定方法を模式的に例示した斜視図である。
【0049】
図9に示すように、基板50を搬送させながら、動的に基板50の浮上量Hを測定する場合には、ステージ10の把持部を用いて、基板50を搬送させながら、基板50の浮上量Hを測定する。動的な基板50の浮上量Hの測定方法は、例えば、レーザ照射部20の下方におけるステージ10上に配置された基板50の浮上量Hを測定する際に重要となる。基板50がレーザ照射部20の下方に搬送された場合に、基板50が突き上がったり、撓んだりすると、レーザ光の焦点がずれ、所望のレーザ光を照射することができない。よって、あらかじめ、レーザ照射部20の下方における動的な基板50の浮上量Hを測定することにより、レーザ光の照射位置を高精度で測定することができる。これにより、レーザ処理の性能を向上させることができる。
【0050】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置1は、浮上量測定装置30と、基板50との距離を自動的に調整可能とする。すなわち、レーザ変位計31の出力をフィードバックして高さ制御することで、レーザ変位計31の測定位置が移動しても、自動でレーザ変位計31の測定レンジR内に距離L2及び距離L3を入るようにする。よって、測定した距離L1、距離L2及び距離L3が浮上量測定装置30の測定レンジRを超えないようにすることができる。例えば、測定レンジR内の目標値に追随させて、浮上量測定装置30と、基板50との距離を自動的に調整する。よって、測定レンジを超えないので、基板50の浮上量を高精度で測定することができる。
【0051】
また、ステージ面10a全体における基板50の浮上量Hを測定するので、ステージ10と基板50との浮上量が他の部分と比べて小さい箇所及び接触箇所を事前に見出すことができる。これにより、基板50とステージ10との接触による粉塵等の発生を抑制することができる。
【0052】
さらに、レーザ照射部20の下方における動的な基板50の浮上量Hを測定することにより、レーザ光の照射位置を高精度で測定することができる。これにより、レーザ処理の性能を向上させることができる。
【0053】
基板50の浮上量Hは、レーザ光を基板50及びステージ10に照射することによって測定される。よって、レーザ光の波長を用いた高精度な測定をすることができる。
【0054】
なお、上記では、フィードバック機構により、浮上量測定装置30と基板50との距離を調整することを説明したが、距離L1~距離L3が測定レンジR内に入るように、ユーザが手動で高さ調整ステージ32を調整してもよい。また、距離L1~距離L3が測定レンジR内に入るように、浮上ユニット11側の高さを調整することを排除しない。
【0055】
さらに、予め、浮上量測定装置30とステージ面10aとの間隔を測定し、記憶部に記憶させてよい。すなわち、コントローラ40は、予め、浮上量測定装置30とステージ面10aとの間隔を記憶した記憶部を含み、レーザ変位計31がXY平面上どこに移動しても、レーザ変位計31の高さが一定になるように、コントローラ40は、記憶部が記憶した浮上量測定装置30とステージ面10aとの間隔を用いて、測定レンジR内の目標値に収まるように、浮上量測定装置30と、基板50との距離を自動的に調整する。よって、測定レンジRを超えないので、基板50の浮上量を高精度で測定することができる。
【0056】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る基板浮上型レーザ処理装置を説明する。本実施形態では、浮上量測定装置は、カメラを含んでいる。
図10及び
図11は、実施形態2に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が基板の浮上量を測定する動作を模式的に例示した図である。
【0057】
図10及び
図11に示すように、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置2の浮上量測定装置60は、カメラ61及び高さ調整ステージ62を含んでいる。カメラ61は、基板50の上面50aを撮像する。高さ調整ステージ62は、カメラ61に取り付けられている。高さ調整ステージ62は、カメラ61の焦点のZ軸方向の位置、すなわち、高さを調整することができる。カメラ61には、焦点を合わせられる測定レンジが設定されている。焦点位置が測定レンジを超えるような場合には、基板50の浮上量Hを高精度に測定することができない。そこで、高さ調整ステージ32は、カメラ61の高さを調整して、焦点が測定レンジ内に入るようにする。
【0058】
カメラ61を用いて基板50の浮上量Hを測定する場合には、カメラ61の焦点位置を、基板50の浮上前及び浮上後に基板50の上面50aに合わせて浮上量Hを測定する。すなわち、
図10に示すように、浮上ユニット11の噴出エアをオフにして、基板50を浮上ユニット11に降ろす(手順A)。そして、高さ調整ステージ62によって、カメラ61の高さを調整させながら、カメラ61の焦点が基板50の上面50aに合うカメラ61の高さを見出す(手順B)。
【0059】
次に、
図11に示すように、浮上ユニット11の噴出エアをONにして基板50を浮上させる(手順C)。そして、再度、高さ調整ステージ62によって、カメラ61の高さを調整させながら、カメラ61の焦点が基板50の上面50aに合うカメラ61の高さを見出す(手順D)。次に、手順Bにより見出した高さと、手順Dにより見出した高さとの差として、浮上量Hを測定する。
【0060】
このように、本実施形態では、カメラ61は、基板50をステージ10に接触させた場合に基板50の上面50aに焦点が合う位置、及び、基板50をステージ10上に浮上させた場合に基板50の上面50aに焦点が合う位置から、基板50の浮上量Hを測定することができる。
【0061】
なお、カメラ61が、基板50を透過して、基板50の下面50b及びステージ面10aを撮像することができる場合には、カメラ61は、基板50の上面50aまたは下面50bに焦点が合う位置、及び、ステージ面10aに焦点が合う位置から、基板50の浮上量Hを測定してもよい。具体的には、基板50の上面50aまたは下面50bに焦点が合う位置におけるカメラ61の高さと、ステージ面10aに焦点が合う位置におけるカメラ61の高さの差として、浮上量Hを測定してもよい。なお、基板50の上面50aに焦点を合わせた場合には、基板50の厚さ分を高さの差から引いて浮上量とする。
【0062】
本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置2によれば、浮上量測定装置60はカメラ61を用いている。そして、カメラ61の焦点位置から基板50の浮上量Hを測定することができるので、簡単に浮上量Hを測定することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0063】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る基板浮上型レーザ処理装置を説明する。本実施形態では、浮上量測定装置は、測長器を含んでいる。
図12及び
図13は、実施形態3に係る基板浮上型レーザ処理装置において、浮上量測定装置が基板の浮上量を測定する動作を模式的に例示した図である。
【0064】
図12及び
図13に示すように、本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置3の浮上量測定装置70は、測長器71を含んでいる。測長器71は、基板50の上面50aまでの距離を測定する。測長器71は、例えば、接触式の測長器、超音波変位センサ、リニア近接センサである。接触式の測長器は、例えば、ピックテスタ、デジタルゲージ等であり、基板50の上面50aに接触させて、基板50の上面50aまでの距離を測定する。超音波変位センサは、超音波を基板50に照射し、超音波が基板50の上面50aで反射した反射波から、基板50の上面50aまでの距離を測定する。リニア近接センサは、基板50の上面50aに金属板を設置して、基板50の上面50aまでの距離を測定する。
【0065】
測長器71を用いて基板50の浮上量Hを測定する場合には、以下のような手順とする。すなわち、
図12に示すように、浮上ユニット11の噴出エアをオフにして、基板50を浮上ユニット11に降ろす(手順A)。そして、基板50の上面50a上に測長器71を設置する(手順B)。
【0066】
次に、
図13に示すように、浮上ユニット11の噴出エアをONにして基板50を浮上させる(手順C)。そして、基板50を浮上させた場合の測長器71の変位量を測定する(手順D)。測長器71の変位量から、浮上量Hを測定することができる。
【0067】
このように、本実施形態においては、測長器71は、基板50をステージ10に接触させた場合の基板50の上面50aまでの距離、及び、基板50をステージ10上に浮上させた場合の基板50の上面50aまでの距離から、基板50の浮上量Hを測定することができる。
【0068】
本実施形態の基板浮上型レーザ処理装置3によれば、浮上量測定装置70は、測長器71を用いている。測長器71を用いることにより、基板50の上面50aまでの距離を高精度で測定することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1、2、3 基板浮上型レーザ処理装置
10 ステージ
10a ステージ面
11 浮上ユニット
11a ユニット面
20 レーザ照射部
21 照射スポット
30 浮上量測定装置
31 レーザ変位計
32 高さ調整ステージ
33、34 平行移動ステージ
40 コントローラ
41 レーザ変位計コントローラ
42 ステージコントローラ
43 サーボアンプ
50 基板
50a 上面
50b 下面
60 浮上量測定装置
61 カメラ
62 高さ調整ステージ
70 浮上量測定装置
71 測長器