IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チルドレンズ ホスピタル メディカル センターの特許一覧

特許7572777HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法
<>
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図1
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図2
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図3
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図4
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図5
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図6
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図7
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図8a
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図8b
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図9
  • 特許-HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】HSCT関連血栓性微小血管症の治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241017BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241017BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K39/395 D
A61K45/00
A61P7/00
A61P9/10
A61P13/12
A61P37/06
A61P43/00 111
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019234471
(22)【出願日】2019-12-25
(62)【分割の表示】P 2016542879の分割
【原出願日】2014-09-16
(65)【公開番号】P2020073531
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2019-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】61/878,119
(32)【優先日】2013-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500469235
【氏名又は名称】チルドレンズ ホスピタル メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ソナタ ジョデル
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン、エル. ラスキン
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】岡山 太一郎
【審判官】冨永 みどり
(56)【参考文献】
【文献】British Journal of Haematology,2013年01月07日,161,p.279-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児患者における造血幹細胞移植(HSCT)関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)の処置における使用のための、補体阻害剤を含む組成物であって、前記使用が、全補体活性を測定することを含み、前記補体阻害剤がエクリズマブであり、前記組成物が、好適な液学的応答を達成するのに十分な期間にわたり投与され、前記好適な血液学的応答が、HSCT-TMAを有する患者において達成され、前記好適な血液学的応答が、乳酸脱水素酵素(LDH)の正常化と、赤血球及び血小板輸血の必要性の解消と、分裂赤血球の消滅とのうちの1つまたはそれ以上を有し、前記投与が、完全奏功を達成するのに十分な期間にわたり実行され、前記完全奏功が、前記患者の血液学的パラメーターの正常化及び腎臓応答を含む、組成物。
【請求項2】
前記投与が、HSCT-TMAを解消するのに十分な期間にわたり実行される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記投与が、約4~約15週間にわたり実行される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記好適な血液学的応答が、分裂赤血球の消滅である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が毎週投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が毎週投与され、前の用量が治療量でない場合、次の週毎の用量が300mg/用量増加されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2013年9月16日に出願された米国特許仮出願第61/878,119
号に対する優先権を主張し、その出願はその全体が本参照によりあらゆる目的のため組み
込まれる。
【背景技術】
【0002】
米国においては、悪性腫瘍、免疫不全、骨髄不全、または遺伝性/代謝性症候群の治療
のために造血幹細胞移植(HSCTまたは骨髄移植)を受ける患者が、毎年17,000
人を超える。これらの患者についての生存率は過去十年にわたり改善したものの、移植の
7年後には患者の50%近くが生存していないように、HSCT後の死亡率は容認できな
いほど高いままである。本患者群において、HSCTの合併症は疾病率の重要な原因であ
る。1つのそのような合併症であるHSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA、
またTA-TMAとも呼ばれる)は、移植後の死の重要な原因でもまたある。本疾患を生
き延びた者においては、HSCTーTMAは、高血圧、慢性腎疾患(CKD)、胃腸また
は中枢神経系損傷、及び肺高血圧を含む兆候を有する、複数の臓器に影響する長期疾病と
関連づけられうる。
【0003】
最大の後ろ向き評価は、HSCTを受けている患者においてHSCT-TMAの発生率
は10~35%であると報告する。HSCT-TMAは、臨床的には、HSCTレシピエ
ントにおいて新たな微小血管症性溶血性貧血の徴候が存在することと定義される。ここで
徴候とは、別の経過によっては説明されない貧血及び血小板減少、高い乳酸脱水素酵素(
LDH)、過剰な輸血要求、並びに血中の分裂赤血球増加である。客観的で、臓器特異的
で、非侵襲性の臨床基準に依拠することは、HSCT後のHSCT-TMAの適時な認定
に非常に重要である。生体組織検査は、なおもあらゆる患者群において血栓性微小血管症
を診断するための「ゴールドスタンダード」であるが、組織診断は、低い血小板及び赤血
球カウント並びに高血圧により、高い出血のリスクを有するHSCTレシピエントまたは
非HSCTレシピエントにおいては、難題でありうる。HSCT後の組織診断の限定的な
実行可能性は、HSCT-TMAのための非侵襲性診断基準の開発をもたらした。この基
準は、数回、ごく最近では出願人のグループにより更新され、HSCT-TMAの臨床診
断に役立つ。
【0004】
重度の造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)は、長期疾病及び高
死亡率と関連づけられる、難解な移植後合併症である。HSCT-TMAは、内皮損傷が
腎臓及び他の臓器に影響する他の血栓性微小血管症と特徴を共有する。軽度のHSCT-
TMAは、高い割合のHSCTレシピエントに存在しうる。また、治療を要さない、また
はカルシニューリン阻害剤投薬の修正しか要さない、概して良性の経過を辿る。しかしな
がら、症例の一部は、高血圧及び腎損傷を伴う重度のHSCT-TMAに進展し、これは
漿膜炎、肺高血圧、及びマルチシステム臓器不全を伴うより広汎性の血管損傷へと発展し
うる。死亡率がしばしば最高であるこれらの患者に対しては、標的療法が緊急に必要とさ
れる。この疾患の発病機序の限定的な理解、及びHSCTを受けている患者の総体的に複
雑な本質ゆえ、30年よりも長い間、HSCT-TMAのための標的療法の探索において
は顕著な障害が存在してきた。HSCT-TMAの発病機序の限定的な理解は、効果的な
治療法の開発及び適用を妨げてきた。
【0005】
本明細書において開示されるように、出願人は開示される1つまたはそれより多い病態
において一定の治療が効果的でありうることを発見したが、出願人はさらに、開示される
薬剤の血清レベルを決定する現在利用可能な方法は、適時な様式では実行できないという
問題を確認した。血清レベルの検出におけるそのような制限は、開示される薬剤の投薬に
おける適時な調節、及び患者の効果的な治療を妨げ、このことは重篤な患者においては特
に重大である。斯くして、出願人の発明より前は、患者における開示される薬剤の血清レ
ベルを決定する新規方法は、本技術分野において未だ満たされぬ需要であった。
【0006】
本開示は、本技術分野における前述の需要の1つまたはそれより多くを扱うことに努め
る。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日
以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2012/0225056号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2011/0212900号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) SPECTOR et al.‘Associations o
f blood lead with estimated glomerular f
iltration rate using MDRD,CKD-EPI and se
rum cystatin C-based equations,’ Nephrol
Dial Transplant,19 January 2011(19.01.2
011),Vol.26,Pgs.2786-2792.entire documen

(非特許文献2) LASKIN et al.‘Small vessels,b
ig trouble in the kidneys and beyond: he
matopoietic stem cell transplantation-as
sociated thrombotic microangiopathy,’Blo
od,19 May 2011(19.05.2011),Vol.118,Pgs.1
452-1462.entire document
(非特許文献3) LATOUR et al.‘Successful use
of eculizumab in a patient with post-tra
nsplant thrombotic microangiopathy,’ Br
J Haematol.07 January 2013(07.01.2013),V
ol.161,Pgs.279-298.entire document
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者におけるHSCT関連血栓性微小血管症(H
SCT-TMAまたはTA-TMA)を治療するための使用のために、補体経路を阻害す
ることが可能な薬剤が、開示される。造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者における
HSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMAまたはTA-TMA)を治療するため
の使用のために、補体経路を阻害することが可能な薬剤を使用する方法もまた、開示され
る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者において、HSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)を治療するために使用する、補体経路を阻害することが可能な薬剤。
(項目2)
項目1記載の使用のための薬剤において、前記薬剤が、前記補体経路を阻害することが可能な抗体である、薬剤。
(項目3)
項目1記載の使用のための薬剤において、前記薬剤が、前記補体経路を阻害することが可能なモノクローナル抗体である、薬剤。
(項目4)
項目1記載の使用のための薬剤において、前記薬剤が、前記補体経路を阻害することが可能なヒト化モノクローナル抗体である、薬剤。
(項目5)
項目1~4記載の使用のための薬剤において、前記薬剤がエクリズマブである、薬剤。
(項目6)
項目1~5のいずれか一項記載の使用のための薬剤において、前記使用が毎日、2日毎、または3日毎に繰り返される、薬剤。
(項目7)
造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者において、HSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)に対する補体阻害剤を用いる治療の効能をモニタリングする方法であって、前記患者の試料における全補体活性(CH50)を測定する工程を有する、方法。
(項目8)
項目7記載の方法において、酵素免疫測定法によって測定される前記CH50測定値が約0~3CAE単位となるまで、または溶血法によって測定される前記CH50測定値が15CH50単位より低くなるまで、前記患者が補体阻害剤を投与される、方法。
(項目9)
項目7記載の方法であって、さらに、初期CH50測定値を得るために、補体阻害剤を用いる治療の前に、前記患者の試料における全補体活性(CH50)を測定する工程を有する、方法。
(項目10)
項目1~6のいずれか一項記載の使用のための薬剤において、前記患者において血液学的応答または完全奏功が達成されるまで、前記使用が実行される、薬剤。
(項目11)
項目1~6のいずれか一項記載の使用のための薬剤において、約4~約15週間にわたり、またはそれより長く、前記使用が実行される、薬剤。
(項目12)
項目1~6または10~11のいずれか一項記載の使用のための薬剤において、前記
患者がエクリズマブを毎週投与される、薬剤。
(項目13)
前記補体阻害剤が静脈内及び/または経口的に投与される、項目1~6もしくは10~12のいずれか一項記載の使用のための薬剤、または項目7~9のいずれか一項記載の方法。
(項目14)
骨髄移植を受けた患者において、HSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)を治療する方法であって、
a)補体を阻害することが可能な薬剤または抗体、好ましくは終末補体を阻害することが可能なモノクローナル抗体を投与する工程
を有する、方法。
(項目15)
項目14記載の方法において、前記抗体が終末補体を阻害することが可能なヒト化モノクローナル抗体である、方法。
(項目16)
項目14記載の方法において、前記抗体がエクリズマブである、方法。
(項目17)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、前記患者において治療量レベルを達成するのに十分であるように実行され、好ましくは、前記治療量レベルが、約99μg/mLより高いまたは少なくとも約99μg/mLの血清レベルを有する、方法。
(項目18)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、前記患者において約99μg/mLより高いまたは少なくとも約99μg/mLの血清レベルが達成されるまで、毎日、または2日毎、または3日毎に繰り返されるものである、方法。
(項目19)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、前記患者において治療量エクリズマブレベルを達成するのに十分であるように実施され、好ましくは、前記治療量レベルが、約99μg/mLより高いまたは少なくとも約99μg/mLの血清エクリズマブレベルを有する、方法。
(項目20)
項目14記載の方法であって、さらに、全補体活性(CH50)測定値を得るためにCH50を測定する工程を有し、前記患者が、酵素免疫測定法によって測定される前記患者から得られるCH50測定値が約0~3CAE単位となるまで前記補体阻害剤を投与され、または標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を使用して測定されるCH50測定値が<15CH50単位である、方法。
(項目21)
項目14記載の方法であって、さらに、
b)初期の全補体活性(CH50)測定値を得るため、補体阻害剤を用いる治療の前に、CH50を測定する工程、
c)前記補体阻害剤を投与する工程、及び
d)治療後のCH50測定値を得るために、前記補体阻害剤の投与後の全CH50活性を測定する工程
を有し、前記補体阻害剤は、酵素免疫測定法によって測定される前記治療後のCH50測定値が約0~3CAE単位となるまで投与され、または標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を使用して測定されるCH50測定値が<15CH50単位である、方法。
(項目22)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、HSCT-TMAを治すのに十分な期間にわたり実行される、方法。
(項目23)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が約4~約15週間にわたり実行され、前記エクリズマブの投与が、酵素免疫測定法によって測定されるCH50レベルを0~3CAE単位、好ましくは0単位まで低下させるのに十分な用量におけるものであり、または標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を使用して測定されるCH50測定値が<15CH50単位である、方法。
(項目24)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、好適な血液学的応答を達成するのに十分な期間にわたり実行され、好適な血液学的応答が血液学的TMAマーカーの解消を有する、方法。
(項目25)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、完全奏功を達成するのに十分な期間にわたり実行され、前記完全奏功が前記患者の血液学的パラメーターの正常化を有する、方法。
(項目26)
項目14記載の方法において、前記患者がエクリズマブを毎週投与される、方法。
(項目27)
項目14記載の方法において、前記患者がエクリズマブを毎週投与され、前記用量が治療量でない場合、次の週毎の用量が300mg/用量増加される、方法。
(項目28)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、好適な血液学的応答を達成するのに十分な期間にわたり実行され、好適な血液学的応答が、乳酸脱水素酵素(LDH)の正常化と、赤血球及び血小板輸血の必要性の解消と、分裂赤血球の消滅とのうちの1つまたはそれ以上を有する、方法。
(項目29)
項目14記載の方法において、前記投与する工程が、完全奏功を達成するのに十分な期間にわたり実行され、前記完全奏功が、
前記患者の血液学的パラメーターの正常化、
シスタチンC推定糸球体濾過量(eGFR)の倍加として測定される腎臓応答、及び
2mg/mgより低いランダムスポット尿蛋白対クレアチニン比によって定義されるネフローゼ範囲より低い値への、タンパク尿症の改善
を有する、方法。
(項目30)
補体阻害剤を投与された患者において、補体阻害剤の相対レベルを決定する方法であって、前記患者の試料中の全補体活性(CH50)を測定する工程を有する、方法。
(項目31)
項目30記載の方法において、前記補体阻害剤がエクリズマブを有する、方法。
(項目32)
HSCT後であるか否かによらずTMAの何らかの症状を有する患者において、エクリズマブ投薬スケジュールを最適化する方法であって、
a.導入用量のエクリズマブによって治療される前記患者において、全補体活性(CH50)を決定する工程を有し、
CH50レベルが十分に抑制されない場合は、2回目の導入用量が投与され、
CH50レベルが十分に抑制される場合は、前記患者は毎週の導入用量を投与され、
前記2回目の導入用量の後にCH50レベルが十分に抑制されない場合は、前記導入用量が約100mg~約400mg、好ましくは約300g増加され、
前記患者は、TMAの血液学的兆候が解消されるまでエクリズマブを投与される、方法。
(項目33)
項目32記載の方法であって、さらに、CH50が十分に抑制されるまで維持用量を提供する工程を有する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、HSCT後1年での、HSCT-TMAを有する及び有さない患者における、非再発死亡率を描写する。非再発死亡率(NRM)の累積発生率を得るためには、Grayの競合リスク法が使用された。TMAを有する患者についての1年NRMは43.6(SE+-8%)、またTMAを有さないHSCT患者においては7.8±3.8%であった(p<0.0001)。
図2図2は、HSCT-TMAにおける補体活性化を描写する。
図3図3は、TMAに冒された腎細動脈におけるC4d堆積を描写する。造血幹細胞移植後にHSCT-TMAの組織学的証拠を有する患者からの、代表的な腎生体組織検査標本。A、糸球体を有する腎皮質のヘマトキシリン及びエオジン染色(H&E倍率x20)。小さな細動脈(矢印)は、脱落した内皮細胞、内幕の増殖、及び細胞外マトリックス堆積による、管内腔の消滅を表わし、これはTMAを示す。対応する組織断片のC4d染色(C4d倍率x20)は、微小血管症性の変化を有する縮退している小さな細動脈において、広汎性の陽性染色を表わす。Cd4染色は、臨床検査の使用について認定された技法を使用して、CCHMCにおける臨床病理学実験室にて実施された(CLIA認可実験室)。細動脈C4d堆積は、HSCT-TMAなしのHSCT患者と比較して、ほぼHSCT-TMAを有する患者においてのみ見られた(HSCT-TMA有り対なしが、6/8(75%)対1/12(8%)、p=0.004)。これは、HSCT後にTMAを有する患者からの細動脈における補体堆積の、最初の証拠であった。これは、HSCT-TMAを伴う血管損傷における古典的補体の関与を支持し、HSCT-TMAを有する患者において観察される重度の高血圧をことによると説明する。
図4図4は、HSCT-TMAを有するまたは有さないHSCT患者における、終末補体活性を描写する。
図5図5は、HSCT-TMA診断時点において、タンパク尿症無しかつ正常sC5b-9、タンパク尿症≧30mg/dLかつ正常sC5b-9、タンパク尿症無しかつ高いsC5b-9、及びタンパク尿症≧30mg/dLかつ高sC5b-9の両方を有する、TMAを有する患者(n=39)についてのKaplan-Meier生存曲線を描写する。
図6図6は、CH50とエクリズマブ血清レベルとの、縦相関を描写する。エクリズマブの日々の血清レベル(破線)のCH50レベル(実線)との、代表的な相関が描写される。異なる病気である非典型溶血性尿毒症症候群、つまりaHUSを有する患者において、末梢補体を遮断するのに必要と以前に報告された、エクリズマブレベル99μg/mLが確立された。このグラフは、HSCT後にHSCT-TMAを有する患者において、エクリズマブレベルが99μg/mLより下に低下すると、CH50レベルが急速に上昇することを明確に示す。このグラフはまた、aHUSに対する現在認可されている投薬レジメンを使用すると、エクリズマブレベルは1週間にわたり>99μg/mLより高くには維持されないことを例証する。従って、補体経路の臨床的に有意な阻害を維持するために必要な用量(mg)及びタイミングを決定するためには、HSCT-TMAを有するHSCT患者における薬物動態用量のモニタリングが必要である。
図7図7は、酵素免疫測定法を用いてエクリズマブ濃度を予測するための、CH50レベルの診断性能を描写する(n=6)。エクリズマブのトラフレベル>99μg/mLと関連付けられる最適なCH50カットオフレベルが、ROC曲線(a)に基づき、特異度+敏感度-1として定義されるYouden指標(b)を最大化するように決定された。解析によれば、最適なCH50カットオフレベルは3.5CAE単位であることが分かった(b)。パネルcに示されるように、全ての値がこのCH50カットオフより上及び下の2つのグループに分類された。Y軸はlogスケールでエクリズマブ濃度を示す。X軸はグループごとのCH50レベルを示す。横線はメジアンを意味する。2つのグループ間のエクリズマブ濃度の差を評価するため、Mann-WhitneyのU検定により事後統計解析が実施された。1つの測定値(治療の最初の週における非常に迅速な消失相の間の患者から導かれた)を除き全てにおいて、0-3CAE単位のCH50レベルが、>99μg/mLのエクリズマブ濃度に対応した。反対に、全ての試料採取時点において、CH50レベル>3CAE単位は、治療量レベル未満の≦99μg/mLに対応した(p=0.0001)。
図8a図8は、他方の利用可能な測定法である標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を用いて、エクリズマブ濃度を予測するための、CH50レベルの診断性能を描写する(n=12)。治療量のエクリズマブトラフレベル≦99μg/mLに対する最適なCH50カットオフレベルが、ROC曲線(a)に基づき、特異度+敏感度-1として定義されるYouden指標(b)を最大化するように決定された。解析によれば、この溶血測定法を使用すると、最適なCH50カットオフレベルは15.5CH50単位であることが分かった(b)。パネルcに示されるように、全ての値が、そのCH50カットオフより上及び下の2つのグループに分類された。Y軸はlogスケールでエクリズマブ濃度を示す。X軸はグループごとのCH50レベルを示す。横線はメジアンを意味する。2つのグループ間のエクリズマブ濃度の差を評価するため、Mann-WhitneyのU検定により事後統計解析が実施された。図8aはエクリズマブを用いる治療の間に得られたデータであり、また図8bは最初及び2回目のエクリズマブ用量の後に得られたデータを描写する。
図8b図8は、他方の利用可能な測定法である標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を用いて、エクリズマブ濃度を予測するための、CH50レベルの診断性能を描写する(n=12)。治療量のエクリズマブトラフレベル≦99μg/mLに対する最適なCH50カットオフレベルが、ROC曲線(a)に基づき、特異度+敏感度-1として定義されるYouden指標(b)を最大化するように決定された。解析によれば、この溶血測定法を使用すると、最適なCH50カットオフレベルは15.5CH50単位であることが分かった(b)。パネルcに示されるように、全ての値が、そのCH50カットオフより上及び下の2つのグループに分類された。Y軸はlogスケールでエクリズマブ濃度を示す。X軸はグループごとのCH50レベルを示す。横線はメジアンを意味する。2つのグループ間のエクリズマブ濃度の差を評価するため、Mann-WhitneyのU検定により事後統計解析が実施された。図8aはエクリズマブを用いる治療の間に得られたデータであり、また図8bは最初及び2回目のエクリズマブ用量の後に得られたデータを描写する。
図9図9は、エクリズマブによる終末補体遮断を描写する。治療の最初の3週間におけるエクリズマブの薬物動態及び薬力学モニタリングからの代表的な解析が、この図において提示される。上の左及び右のy軸は、酵素免疫測定法を使用する、エクリズマブ濃度及び補体活性(CH50)レベルをそれぞれ表わす。下のy軸は、sC5b-9レベルを表わす。x軸は、最初のエクリズマブ用量が第1日に与えられるとして、エクリズマブ治療の開始からの日数としての期間を表わす。投与の用量(mg)及びタイミングは、各図の上の矢印を用いて示される。青い円は、観察されたエクリズマブ濃度を意味する。エクリズマブ濃度が99μg/mL未満である場合のみ、測定された実際の値が円の横に特筆される。青破線は、1-コンパートメント解析に基づく、予測されるエクリズマブの薬物動態特性を意味する。赤円は、溶血測定法により測定されるCH50レベルを意味する。実際の値は、CH50レベルが15CH50単位より高い場合のみ、グラフ上に掲載される。緑円は、血清sC5b-9レベル(正常72-244ng/mL、陰付き領域)を意味する。高いsC5b-9レベルは、活性化された終末補体を示す。図は、血清エクリズマブレベル>99mg/mLでのsC5b-9正常化までの時間は、治療開始時におけるsC5b-9の高さに依存することを表わす。正常値の2倍より高いsC5b-9(>488ng/mL)を有する患者1及び2は、sC5b-9を正常化するのに11日かかった。一方で、sC5b-9<488を有する患者3は4日要した。
図10図10は、エクリズマブ用量最適化の図解を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別に特筆されない限り、用語は、適切な技術分野における当業者による従来型の使用に
従って理解されるべきである。
【0010】
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an
」、及び「the」は、文脈が明確に別に規定しない限り、複数の指示物を含む。従って
、例えば、「a method」への言及は複数のそのような方法を含み、また「a d
ose」への言及は一またはそれより多い用量、及び当業者に既知のその同等物を含み、
以下同様。
【0011】
用語「約」または「およそ」は、当業者により決定される、特定の値について許容可能
な誤差範囲内を意味する。これは、例えば測定システムの限界など、どのようにその値が
測定されまたは決定されるかに、部分的には依存することになる。例えば、「約」は、当
技術分野における慣習により、1つまたは1つより多い標準偏差以内を意味しうる。ある
いは、「約」は、与えられた値の最大20%、または最大10%、または最大5%、また
は最大1%の範囲を意味しうる。あるいは、とくに生物学的システムまたは工程に関して
は、その用語はある値の何倍以内であるか、好ましくは5倍以内、またより好ましくは2
倍以内を意味しうる。本出願及び特許請求の範囲において特定の値が開示される場合、別
に述べられない限り、その特定の値に関して許容可能な誤差範囲内を意味する用語「約」
が想定されるべきである。
【0012】
本明細書で使用される用語「治療」は、本明細書で開示される病気、その病気の症状、
その病気の二次的な病態、またはその病気にかかりやすい素質を治し、緩和し、和らげ、
矯正し、予防し、または改善する目的での、その病気を有する患者への組成物の投与を意
味する。
【0013】
本明細書において使用される用語「治療有効量」または「有効量」は、例えば慢性状態
の治癒、またはそのような状態の治癒速度の増大、または異常状態の減少などの、有意義
な患者利益を示すのに十分な、医薬組成物または方法の各有効成分の合計量を意味する。
これは、治療的及び予防的処置の両者を含む。従って、その化合物は、疾患の非常に早い
段階において、または早期発症前、または顕著な進行後に使用されうる。単独で投与され
る個々の有効成分に本用語が適用される場合は、本用語はその成分のみを指す。本用語が
組合せに適用される場合は、組合せで、連続的に、または同時に投与されるかによらず、
本用語は治療効果をもたらす有効成分の合計量を指す。
【0014】
用語「individual」、「host」、「subject」、及び「pati
ent」は、治療、観察、及び/または実験の対象である動物を指すために、互換的に使
用される。概して、そのようなindividual、host、subject、また
はpatientは、人間である。他の哺乳類も本発明の範囲内であるが。
【0015】
本発明の他の特色、目的、及び長所は、以下に続く詳細な開示において明らかになるで
あろう。しかしながら、詳細の開示は本発明の実施形態を示すものの、詳細な開示は限定
ではなく例証のみのために与えられると理解されるべきである。詳細な開示からは、本発
明の範囲内の様々な変更及び修正が当業者には明らかになるだろう。
【0016】
最近、出願人は、HSCT-TMAを有する子供達における補体系異常を実証した。補
体成分C5に対するヒト化モノクローナル抗体であるエクリズマブは、終末補体経路を遮
断するのに役立ち、血栓性微小血管症を呈する疾患の治療においてますます処方されてい
る。しかし、HSCT-TMAを有する患者における有効性及び投薬要件は、出願人の発
明時点では、それ以前にエクリズマブがこの患者群において使用されたことはなかったた
め、既知ではなかった。出願人は、初めて、HSCT-TMAを有する子供達におけるエ
クリズマブの有効性を開示し、また全溶血性補体活性(CH50)により測定される効果
的な補体遮断を達成するための薬物動態及び薬力学モニタリングの重要性を報告する者で
あった。
【0017】
補体阻害剤エクリズマブは、血栓性微小血管症を呈する疾患の治療においてますます処
方されているが、造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)においては
評価されてこなかった。HSCT-TMAを有する子供達におけるエクリズマブの有効性
及び投薬要件は、出願人の発明より前は既知ではなかった。
【0018】
何年もの間、HSCT-TMAは、HSCT後に起こるが疾患を引き起こす明確に定義
される発病機序が伴わない、異なる別々の病気または実体と考えられてきた。HSCT後
のHSCT-TMAは、血小板減少、乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇、微小血管症性の
変化、並びに、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(T
TP)、及び妊娠高血圧腎症/HELLP症候群などの、非骨髄移植群に影響する他の血
栓性微小血管症を伴う腎損傷のような臨床的及び病理学的特色を共有する。これらのTM
Aに関する臨床的及び病理的類似性にもかかわらず、誘因因子及び発病機序と標的療法と
は異なりうる。例えば、TTPは、von Willebrand因子切断プロテアーゼ
(ADAMTS-13)の活性の深刻な低下の二次的なものである。妊娠高血圧腎症/H
ELLP症候群は、妊娠中に呈し、また補体活性化による血管内皮損傷を引き起こし、ま
た普通は出産後に解消される。非常に稀な疾患であるaHUSにおいては、>70%の患
者が、補体遺伝子欠陥を有して代替補体経路活性化及び腎損傷を引き起こし、また終末補
体遮断から利益を得る。
【0019】
出願人の発明より前は、HSCT後のHSCT-TMAについての具体的な発病機序の
証拠は存在しなかった。理論により拘束されることを意図しないが、出願人は補体系がH
SCT後に活性化され多臓器血管損傷を引き起こすと仮説を立てた。化学療法を受けてい
る、または移植片対宿主病(GVHD)及び/もしくは感染を有するHSCT患者におけ
る高い炎症状態ゆえ、出願人は、補体活性化が起こり、また潜在的な診断及び治療標的と
して役立つと仮説を立てた。HSCT-TMAはHSCT後に単純にTTPを生じるので
はないという以前の観察結果を支援するため、出願人は、HSCT-TMAを有する患者
におけるTTPマーカーを調べた。HSCT-TMAの環境において、とくに急性重症溶
血を呈する症例においては、血清ADAMTS-13活性は中程度に低下しうるが、TP
Pを有する患者に見られるように激しくは低下せず(<5~10%活性)、TPP診断の
可能性を明確に除外する。
【0020】
HSCT-TMAは、患者がドナー幹細胞を生着させている移植後30日頃、しばしば
多臓器障害として起こる。HSCT後にHSCT-TMA過程を開始する内皮損傷の多因
子的な特質が、他とは別個の疾患にさせる。これらの因子の多く、とくにGVHD及び感
染が、複数の補体経路を刺激し、全身性血管内皮損傷を生じうる。HSCT-TMAを発
症する組織感受性においては、レシピエント及びドナーまたは両者の遺伝性型が重要な役
割を果たしうる。HSCT後期間中に起こる免疫調節不全は、補体因子に対する抗体形成
を引き起こしうる。
【0021】
HSCT-TMAに対するリスク因子
HSCT-TMAは同種異系HSCT後により一般的であるが、なおも自家移植の著し
い合併症でもある。後ろ向き研究において同種異系HSCT後のHSCT-TMAの発症
と関連づけられるリスク因子は、移植及び感染性合併症の過程で使用される薬を含む。ブ
スルファン、フルダラビン、シスプラチン、及び放射線を含む条件調節剤は、より後のH
SCT-TMAのリスクを上昇させうる。HSCT-TMAと関連すると一般に報告され
る他の薬は、カルシニューリン阻害剤タクロリムス及びシクロスポリン、並びにより新し
い哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤を含む。小血管損傷の徴候を示す患者はC
MV、アデノウィルス、パルボウィルスB19、HHV-6、及びBKウィルスなどの同
時感染もまた有しうるため、ウィルス感染はしばしばHSCT-TMAに対する「引き金
」であるとみなされる。
【0022】
理論により拘束されることを意図しないが、補体系の調節不全はHSCT-TMAを有
する患者において臓器損傷と関連づけられ、また活性化された終末補体の遮断(初めは、
臨床利用可能な薬エクリズマブのみを用いて試験された)はHSCT-TMAに対する潜
在的な治療の選択肢となりうると、出願人は仮説を立てた。出願人の発明より前は、HS
CT-TMAの発病過程に補体が関与するという証拠は文献には存在しなかった。出願人
は、古典または代替補体系のいずれかがHSCT-TMAに関与して終末補体活性化及び
組織損傷を引き起こし、とくにより悪い転帰に対して高リスクにある患者においてそうで
あると仮説を立てた。また、補体は、細胞傷害性療法からの直接的な組織障害、免疫調節
不全の結果、HSCT患者において活性化され、または感染因子により、遺伝的素因を有
する及び有さない患者において、引き起こされうると仮説を立てた。また、HSCT後の
免疫調節不全の高い可能性、及びドナーとホストとの表現型/遺伝子型の相互作用ゆえ、
HSCT-TMAにおける組織損傷の別の1つの補体媒介性経路としての、抗補体抗体の
形成の可能性が存在した。出願人は、唯一の臨床利用できる終末補体遮断薬エクリズマブ
を用いる補体調節療法が、HSCT-TMAのための標的治療として役立ちうると仮説を
立てた(図2)。同様に、出願人は、他の終末補体遮断薬が同様にこの効果を達成しうる
と理論を立てる。
【0023】
本発明時点で利用可能な臨床診断基準を使用することにおける難題ゆえ、出願人は、H
SCT-TMAにおける補体遮断療法を最適化することができるように、補体関与、及び
疾患リスク階層化のための補体マーカーの使用を、さらに研究した。(図5)。最後に、
容易に利用可能なエクリズマブ血清測定値が存在しないなか、出願人は、患者の血清中の
エクリズマブレベルと相関するであろう、また臨床ケアにおいてリアルタイムな薬剤投薬
調節のために使用されうる利用可能な方法よりもずっと素早い応答時間を提供するであろ
う、代替マーカーを同定した。
【0024】
組成物
一態様においては、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者においてHSCT関連血
栓性微小血管症(HSCT-TMA)を治療するための使用のために、補体経路を阻害す
ることが可能な薬剤が開示される。
【0025】
一定の態様においては、その薬剤は、補体経路を阻害することが可能な薬剤または抗体
を有しうる。一態様においては、その抗体は、補体経路を阻害することが可能なモノクロ
ーナル抗体を有しうる。他の態様においては、その薬剤は、補体経路を阻害することが可
能なヒト化モノクローナル抗体を有しうる。一定の態様においては、その薬剤は、Ale
xion Pharmaceuticalsから入手可能で商品名Solirisのもと
販売されるエクリズマブでありうる。
【0026】
一態様においては、薬剤の使用は、毎日、2日毎、または3日毎に、繰り返されうる。
その薬剤は、少なくとも一用量、または少なくとも二用量、または少なくとも三用量、ま
たは少なくとも四用量、または一定の態様においては、四用量より多くで使用されうる。
一態様においては、その使用は、患者において血液学的応答、または疾患の完全奏功が達
成されるまで実施されうる。一定の態様においては、その使用は、約4から約15週間ま
たはより長い期間かけて実施されうる。一定の態様においては、その薬剤は週毎に投与さ
れる。薬剤は、当技術分野において既知のあらゆる方法で、例えば、静脈内に、皮下に、
筋肉内に、及び/または経口的に投与されうる。
【0027】
方法
HSCTを受けた患者においてHSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)に
対する補体阻害剤を使用する治療の有効性をモニタリングするための方法も、また開示さ
れる。その方法は、患者の血清試料中の全補体活性(CH50)を測定するステップを有
しうる。一定の態様においては、患者は、患者からの血清中のCH50測定値が、酵素免
疫測定法により測定される場合は約0~3CAE単位となるまで、または患者におけるC
H50測定値が、溶血法により測定される場合は15CH50単位より低くなるまで、補
体阻害剤を投与されうる。
【0028】
本方法は、当初のCH50測定値を得るため、補体阻害剤を用いる患者の治療より前に
患者において全補体活性(CH50)を測定するステップを、さらに有しうる。
【0029】
骨髄移植を受けた患者においてHSCT関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)を
治療する方法もまた、開示される。本方法は、終末補体を阻害することが可能な薬剤また
は抗体を投与するステップを有しうる。終末補体は、終末補体を阻害することが可能なモ
ノクローナル抗体、または別の一実施形態においては終末補体を阻害することが可能なヒ
ト化モノクローナル抗体を有しうる。あるいは、さらに別の一実施形態においては、抗体
はエクリズマブでありうる。
【0030】
投与ステップは、患者において治療量レベルを達成するのに十分であるように実施され
うる。一定の態様においては、治療量レベルは、約99μg/mLより高いもしくは少な
くとも約99μg/mL、または少なくとも約100μg/mLもしくは約100μg/
mLより高い、または少なくとも約200μg/mLもしくは約200μg/mLより高
い、または少なくとも約300μg/mLもしくは約300μg/mLより高い血清レベ
ルを有しうる。
【0031】
投与ステップは、約99μg/mLより高いもしくは少なくとも約99μg/mL、ま
たは少なくとも約100μg/mLもしくは約100μg/mLより高い、または少なく
とも約200μg/mLもしくは約200μg/mLより高い、または少なくとも約30
0μg/mLもしくは約300μg/mLより高い血清レベルが患者において達成される
まで、毎日、または2日毎、または3日毎に繰り返されうる。患者重量に基づく患者にお
ける投薬の決定は、当業者により容易に理解されるだろう。
【0032】
投与ステップは、患者において治療量のエクリズマブレベルを達成するのに十分である
ように実施されうる。投与ステップは、少なくとも一用量、または少なくとも二用量、ま
たは少なくとも三用量、または少なくとも四用量、またはいくつかの態様においては四用
量より多くを有しうる。本方法は、CH50測定値を得るため、全補体活性(CH50)
を測定するステップを、さらに有しうる。ここで、患者は、患者からの得られるCH50
測定値が、酵素免疫測定法により測定される場合は約0~3CAE単位となるまで補体阻
害剤が投与され、またはCH50測定値は、標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を用いて
測定される場合は0~15CH50単位である。一態様においては、本方法は、a)当初
のCH50測定値を得るため、補体阻害剤を用いる治療より前に全補体活性(CH50)
を測定するステップ、b)補体阻害剤を投与するステップ、及びc)治療後のCH50測
定値を得るため、補体阻害剤の投与後に全CH50活性を測定するステップをさらに有す
る。ここで、前記補体阻害剤は、前記治療後のCH50測定値が酵素免疫測定法により測
定される場合は約0~3CAE単位となるまで投与され、またはCH50測定値は、標準
ヒツジ赤血球を使用する溶血法を用いて測定される場合は0~15CH50単位である。
【0033】
投与するステップはエクリズマブを投与する工程を有してもよく、また投与するステッ
プはHSCT-TMAを治すのに十分な時間にわたり実施されうる。いくつかの態様にお
いては、投与するステップは、約4~約15週間、または最大20週間、または最大25
週間にわたり、またはエクリズマブが酵素免疫測定法により測定されるCH50レベルを
0~3CAEまで低下させるのに十分な投薬量となるまで、または標準ヒツジ赤血球を使
用する溶血法を使用して測定されるCH50測定値が0~15CH50単位であるように
、実行される。
【0034】
投薬するステップはエクリズマブを投与する工程を有してもよく、また投薬するステッ
プは好ましい血液学的応答を達成するのに十分な時間にわたり実施されてもよい。ここで
、好ましい血液学的応答は、血液学的HSCT-TMAマーカーの解消を有する。そのマ
ーカーは、LDHの正常化、赤血球及び血小板輸血の必要性の解消、並びに分裂赤血球の
消滅、または当業者により容易に理解されるであろう他のあらゆるそのような基準を含む
が、これらに限定されない。
【0035】
投与するステップは、完全奏功を達成するのに十分な時間にわたり実施されうる。ここ
で、完全奏功は、前記患者の血液学的パラメーターの正常化、及び腎臓応答、または当業
者により容易に理解されるであろう他の基準を有する。その腎応答は、シスタチンC推定
糸球体濾過量(eGFR)の倍加、及び2mg/mgより低いランダムスポット尿蛋白対
クレアチニン比により定義されるネフローゼ範囲より低い値へのタンパク尿症の改善を含
むが、これに限定されない。
【0036】
一定の態様においては、患者は、一日に複数回、毎日、毎週、または毎月、エクリズマ
ブを投与されうる。当初のまたはそれに続く用量が治療量でない場合は、日毎、週毎、月
毎に追加の用量が投与されうる。そのような場合、追加の用量は、当初または直近に投与
された用量よりも大きい容量でありうる。一定の態様においては、用量は、約100mg
、または約200mg、または約300mg、または約400mg、または約500mg
増加されうる。
【0037】
一態様においては、補体阻害剤を投与された患者における補体阻害剤の相対レベルを決
定する方法が開示される。本態様においては、その方法は、患者から得られた試料におけ
る全補体活性(CH50)を測定するステップを有しうる。全補体阻害剤は、例えばエク
リズマブを有しうる。
【0038】
一態様においては、HSCT後であるか否かによらず、TMAの何らかの症状を有する
患者において、エクリズマブ投薬スケジュールを最適化する方法が開示される。本態様に
おいては、その方法は、導入用量のエクリズマブにより治療される患者における全補体活
性(CH50)を決定するステップを有しうる。ここで、CH50レベルが十分に抑制さ
れない場合は(本明細書で使用される「十分に抑制され」は、本明細書で開示されるよう
に、酵素免疫測定法により測定される場合は0~3CAE単位、または標準ヒツジ赤血球
を使用する溶血法を使用して測定される場合は0~15CH50単位を意味する)、二度
目の導入用量が投与され、CH50レベルが十分に抑制される場合は、前記患者は毎週の
導入用量を投与され、前記二度目の導入用量の後にCH50レベルが十分に抑制されない
場合は、前記導入用量が約100mgから約400mg、好ましくは約300g増加させ
られ、また前記患者はTMAの血液学的兆候が解消されるまでエクリズマブを投与される
。本方法は、CH50抑制を維持するために維持用量を提供するステップをさらに有しう
る。導入用量は、重量が40kgまたはより大きい患者に対するエクリズマブ約900m
g、重量が約30kgから約40kgである患者に対するエクリズマブ約600mg、重
量が約20kgから約30kgである患者に対するエクリズマブ約600mg、重量が約
10kgから約20kgである患者に対するエクリズマブ約600mg、重量が約5kg
から約10kgである患者に対するエクリズマブ約300mgから選択されうる。
【実施例1】
【0039】
古典補体経路
HSCT関連TMAを有する患者においては、腎細動脈中に補体堆積が見られる
我々の構想であるHSCT後の補体媒介性血管損傷に取り組むため、出願人は、HSC
T-TMAになった患者及びならなかったHSCT後の患者からの腎臓組織標本を調べた
。出願人は、HSCT-TMAの組織学的証拠を有する患者は、腎細動脈中に古典的補体
媒介性血管損傷を意味する顕著なC4d堆積を有すると判断した。
【0040】
簡潔には、HSCT患者20人からの腎臓組織標本が、C4d染色を用いて補体堆積に
ついて調べられた(図3)。標本は、TMAの組織学的証拠を有する場合はTMA群(n
=8)、及びTMAの組織学的証拠を有さないHSCT対照群(n=12)に分けられた
。Cd4染色は、CCHMCにおける臨床病理学実験室にて実施され、2人の臨床病理学
者によりグレード評価された。臨床病理学者は、各患者の初期の病理的診断について知ら
されなかった。C4d染色は、全ての組織学的腎臓区画において評価され、広汎性(>5
0%)、限局性(10~50%)、及び稀(1~10%)または陰性(0%)としてグレ
ード評価された。広汎性の細動脈C4d染色は、対照と比較してTMAを有する患者にお
いて優勢であった(p=0.004)。TMAを有する患者の半数においては稀な尿細管
周囲毛細血管(PTC)C4d染色が存在し、対照においては存在しなかった。糸球体C
4d染色は両群において共通であり、非特異的であった(p=0.35)。TMAを有す
る患者の三分の一においては稀な局限性の尿細管基底膜染色がみられ、対照においては存
在しなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
HSCT後の腎臓におけるC4d堆積を調べた唯一の先の観察結果は、Miiらにより
報告され、HSCT後の腎糸球体におけるCd4陽性染色はおそらく移植片対宿主病(G
VHD)を表わすものと結論づけたが、この研究はいかなる対照群も有さなかった。
【0043】
C4dでの細動脈の染色は、HSCT-TMAにおける出願人の観察を除く他の病気に
おいては、報告されていない。他方で、C4dに対する尿細管周囲毛細血管(PTC)の
染色は、腎臓同種異系移植片のより不良な生存と強く相関し、またドナー特異的な抗HL
A抗体を固定する補体の存在をおそらく反映する。C4dはまた、心臓、膵臓、及び肝臓
同種異系移植片を含む他の固形臓器移植のレシピエントにおいて、組織損傷及びより悪い
臨床成果とも相関してきた。一方で糸球体の染色は、既知の補体媒介性疾患、及びループ
ス腎炎などの免疫複合体堆積を伴う他の状態において、一般に報告される。
【0044】
終末補体経路
HSCT-TMAにおける終末補体遮断薬エクリズマブの使用の構想を支持するであろ
う、HSCT-TMAの発病機序における終末補体の関与の可能性に取り組むため、出願
人は、HSCT-TMAを有するまたは有さないHSCT患者の血清中のsC5bー9を
測定することにより、終末補体活性を調べた。sC5bー9試験は、臨床患者試験に関し
て認可された方法を使用してCCHMC血液学実験室にて実施された(CLIA認可実験
室)。
【0045】
TMAを有するHSCT患者及びTMAを有さないHSCT患者における終末補体活性
を測定するため、血漿中の可溶性終末補体複合体SC5b-9(正常<244ng/mL)
に対する酵素免疫測定法(EIA)が使用された。sC5b-9は、古典、レクチン、ま
たは代替経路のいずれかによる補体系の活性の結果、C5からC9の集合により産生され
る。sC5b-9の一形態である膜侵襲複合体(MAC)は、補体活性と関連付けられる
不可逆的な標的細胞膜損傷を媒介する安定な複合体である。標的膜の非存在下で形成され
る補体は、例えば血漿中で非細胞溶解性複合体を形成するSタンパク質などの、自然発生
性の調節性血清タンパク質に結合する。sC5b-9は、HSCT-TMA診断時のHS
CT-TMAを有する患者37人、及びHSCT後の第30日(+/-3日)(HSCT
-TMAを発症するリスク時期)におけるTMAを有さないHSCT20人において測定
され、HSCT-TMAを有する有意により多い患者が高いsC5b-9を有する(67
%対20%、p=0.008)ことを示した(図4、A)。また、移植後1年までにアク
ティブなHSCT-TMAを伴って死亡したTMA患者に対し、生存したそれらのHSC
T-TMA患者におけるsC5b-9も比較された。アクティブなHSCT-TMAを伴
って死亡した有意により多い患者が高いsC5b-9を有し(94%対47%、p=0.
003)(図4、B)、またレベルは、HSCT-TMAで死亡した患者において最も高
かった(289ng/mL(100~415の範囲)対445ng/mL(174~97
1の範囲))ことを示した。本データは、終末補体活性化が、HSCT-TMAの発症に
貢献し、またHSCT後の粗末な総合的結果と関連付けられることを示す。
【0046】
補体活性化は、HSCT-TMAにおける高リスクな特徴である
我々は、補体系活性化に関するHSCT-TMAのリスク特徴を調べるため、小児及び
若年成人患者100人に対し前向き研究を実施した。患者39人(39%)が、発表され
ているHSCT-TMAに対する基準を満たした。HSCT-TMAを有する患者は、H
SCT-TMAを有さない患者と比較して、HSCT後1年において、有意により高い非
再発死亡率を有した(43.6%対7.8%、p<0.0001)(図1)。高い乳酸脱
水素酵素(LDH)、定期的検尿でのタンパク尿症、及び高血圧は、HSCT-TMAの
最も早期のマーカーであった(図5)。
【0047】
タンパク尿症(>30mg/dL)、及びHSCT-TMA診断時における血中の終末
補体活性化の証拠(高いsC5b-9)は、粗末な生存率(1年時点で16%)と関連付
けられた。一方、タンパク尿症及び正常なsC5b-9血清濃度を有さない全HSCT-
TMA患者は生存した(p<0.01)。これらの前向き観察に基づき、出願人は、移植
を受けた患者の18%が、重度のHSCT-TMA、及び彼らの結果に影響した補体系活
性化を呈したと結論付けた。
【0048】
エクリズマブに対するHSCT-TMA応答
補体活性化はHSCT-TMAを有する患者において全身性血管損傷の要因であるとい
う我々の構想に基づき、出願人は予備の患者群をエクリズマブで治療した。
【0049】
治療された全患者が、HSCT-TMA診断時の高いsC5b-9血清レベルと、多臓
器関与とを含む、高リスクHSCT-TMA特徴を有した。HSCT群におけるエクリズ
マブの使用について入手可能なデータが存在しなかったため、出願人は、HSCT患者は
、現在唯一承認されている適応症である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)またはa
HUSに対して現在用使用されるものとは、異なる薬の投薬をおそらく要するだろうと仮
説を立てた。TTPの診断は、治療開始より前に除外された。
【0050】
出願人は、これらの基準を使用してエクリズマブへの応答を定義した。エクリズマブに
対する血液学的応答は、乳酸脱水素酵素(LDH)の正常化、赤血球及び血小板輸血の必
要性の解消、並びに分裂赤血球の消滅として定義された。完全奏功は、上記の血液学的パ
ラメーターの正常化、並びに、シスタチンC-eGFRの倍加、及びランダムスポット尿
蛋白対クレアチニン比<2mg/mgにより定義されるネフローゼ範囲より低い値へのタ
ンパク尿症の改善として定義された。
【0051】
エクリズマブを開始する前に、治療用血漿交換はそれを受ける全ての患者において停止
された。薬を洗い流さないように、である。出願人は、代替的なマーカーがエクリズマブ
血中レベルを示しうると理論を立てた。診断用の機能的補体系評価は、sC5b-9、C
H50、及び補体因子H自己抗体の測定値を含んだが、これに限定されなかった。エクリ
ズマブ血清レベル試験は、Cambridge Biomedical実験室で臨床的に
利用可能であったが、結果は診療記録中で4~10日後にのみ入手可能であり、即座の臨
床ケアのための適時な薬剤レベル評価には使用できなかった。そのような試験は、しかし
ながら、他のマーカーとの後の相関付けに使用された。
【0052】
HSCT群におけるいかなるデータも存在しないなか、我々は、HSCT-TMAに対
する治療を受けたHSCT患者対しては、少なくとも99μg/mL(aHUSにおける
投薬に基づき)またはそれより高いエクリズマブレベルを目標とすることを提案した。よ
り高いエクリズマブ血清レベルは追加の副作用を引き起こさないというデータが入手でき
た。また、容易に入手可能なエクリズマブ血清測定値が存在しないなか、我々は、患者の
血清中でエクリズマブレベル>99μg/mLと相関するであろう、また臨床ケアにおい
てリアルタイム薬剤投薬調節に有用なずっと素早い応答時間を有した、代替マーカーを同
定することに決めた。最初のエクリズマブ用量は、エクリズマブ薬剤情報を使用して、患
者の体重を基に与えられた。
【0053】
HSCT後のHSCT-TMAにおける異なる投薬要件の概念を検討するため、我々は
、全補体溶血活性(CH50)をモニタリングし、またそれをエクリズマブ血清レベル及
び臨床応答と相関させることを選択した。当初治療された初めの患者6人については、出
願人は、エクリズマブ開始前、及びその後臨床的に利用可能な導入療法の間は毎日、酵素
免疫測定法を使用してCH50を測定した。
【0054】
エクリズマブの薬力学マーカーは補体遮断を促進したため、エクリズマブ療法の間、エ
クリズマブ薬剤レベルと同じ時点において、血清中の全溶血補体活性(CH50)が測定
された。CH50を測定するために使用された主な方法が2つある。CH50を測定する
ための、酵素免疫測定法、及び標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法であり、出願人はエク
リズマブで治療された患者においてこれらの両者を調べた。
【0055】
エクリズマブの薬物動態特性解析は、Cincinnati Children‘s
Hospital Medical Center(CCHMC)のDivision
of Clinical Pharmacologyにおいて実施され、エクリズマブ濃
度が経時的に指数関数的な低下を示したため、1コンパートメントモデルにより記述され
た。消失速度定数(kel)及び0における濃度(C0)が、動態特性の対数線形相にお
ける対数変換された濃度対時間の線形最小二乗回帰により推定された。見かけの分布容積
(Vd)は、最初の治療における用量/C0に基づき推定された。見かけの全身クリアラ
ンス(CL)は、式CL(L/h)=kelVdにより計算された。n回目の用量にお
ける最大エクリズマブ濃度(Cmax,n)は、次の等式により決定された。Cmax,
=Ctrough, n-1+用量/Vd。治療量のエクリズマブトラフレベル>99
μg/mLを予測するCH50の最善のカットオフ値を見つけるために、受信者動作特性
(ROC)曲線解析及びYouden指標が使用された。
【0056】
同時点において測定されたエクリズマブ及びCH50レベルは、互いに強く相関した。
エクリズマブ血清レベルが低下するにつれ、CH50は上昇した(図6)。薬力学評価に
おける我々の次のステップは、酵素免疫測定法、及び標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法
の使用の、2つの標準的方法を使用することにより、>99μg/mLのエクリズマブ濃
度を予測するためのCH50レベルの診断性能を調べることだった。
【0057】
酵素免疫測定法(図7):
酵素免疫測定法により測定されるCH50レベル0~3CAE単位は、>99μg/m
Lのエクリズマブ濃度に対応した(図7)。反対に、≧4CAE単位のCH50カウント
を有する全ての試料採取時点において、患者のエクリズマブ濃度は99μg/mL(p=
0.0001)より低かった。CH50<3CAE単位は、少なくとも99μg/mLま
たはより高い血清エクリズマブと相関した(本方法による正常なCH50レベルは、60
~144CAEである)。
【0058】
使用されたCH50免疫測定法は、Binding Site www.thebin
dingsite.com、CH50 Assay(EIA Method)、製品番号
MK095から入手可能である。Complement Activation EIA
(CAE)試験キットは、全古典補体活性の測定のための新しい方法である。本方法は、
終末補体タンパク質のネオ抗原に特異的な酵素結合型モノクローナル抗体を使用する。マ
イクロタイターウェルが、補体活性剤で被覆され、そこに単一の希釈度の患者または対照
血清が加えられた。マイクロタイタープレートのウェル内で、完全な古典補体経路が活性
化され、C1qからC9までのカスケードが形成される。西洋ワサビペルオキシダーゼ結
合型モノクローナル抗体を、プレートウェルに結合している生じるネオ抗原と反応させる
。色素源の添加の後、450nmにて測定される結果としての吸光度の、レファレンスと
の比較により、定量化が達成され、2つの対照により確認される。
【0059】
溶血法
後に、出願人は、高リスクHSCT-TMAを有する別の患者12人を治療した。これ
らの患者におけるCH50レベルは、標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を使用して決定
された(図8)。図8は、標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法を使用することによる、C
H50の濃度の、>99μg/mLのエクリズマブ濃度との相関付けを示す(n=12)
。CH50レベル0~15CH50単位は、全治療の間(A)、並びに別々に解析された
最初及び2回目の用量の間(B)、>99μg/mLのエクリズマブ濃度に対応した(図
8)。(本方法による正常なCH50レベルは、101~300CH50単位である)。
【0060】
溶血CH50法は、以下のとおりである。
【0061】
原理
機能的補体活性の決定のための伝統的な方法は、全溶血(CH50)分析である。本分
析法は、試験試料の、抗赤血球抗体で被覆されたヒツジ赤血球の標準懸濁液の50%を溶
解する能力を測定する。古典活性化及び終末補体成分の両者が、この反応においては測定
される。
【0062】
方法
CH50補体試験は、感作されたヒツジ赤血球を使用する溶血分析であり、Diame
dix Corporationから入手可能である。これらの細胞は、ヒツジ赤血球に
対する抗体により感作され、抗原抗体複合体が形成される。ヒト血清中で補体に暴露され
ると、赤血球の溶解が起こり、遊離ヘモグロビンが放出される。溶解の度合いは、ヒト血
清中の全補体の濃度と比例する。生じる溶血は415nmにて読まれ、既知濃度のレファ
レンス血清と比較される。
【0063】
試料要件
24時間以内の試料については、ヒト血清は-20℃にて冷凍保存される。溶血済みの
試料は使用されない。試験中は、試料は解凍されて混合され、それから使用までの間2~
8℃にて冷却保存した。
【0064】
試薬
EZ Complement Cells(Diamedix Corporatio
n、カタログ番号789-001)
EZ Complement Reference Serum(EZ Comple
ment Standard、Diamedix Corporation、カタログ番
号789-006)
EZ Complement Low Control、及びEZ Compleme
nt High Control(Diamedix Corporation、カタロ
グ番号789-008&789-009)
【0065】
保存要件
EZ Complement Cellsは、2から8℃にて保存されるべきである。
Control及びReference血清は、0℃から-20℃にて保存される。試薬
は箱に掲載される有効期限日まで安定である。
【0066】
材料&機器
ピッペット
チューブラック
ボルテックス
タイマー
遠心分離機
マイクロプレートリーダー(415nm)
【0067】
レファレンスの準備、及び品質管理
Reference Serum、及びQuality Control材料は、凍結
乾燥されたヒト血清である。それらは、使用前に冷たい蒸留水300μlを用いて元に戻
されて穏やかに混合され、5分間室温にて保持される。バイアル瓶は、使用前さらに10
分、氷上で保持された。元にもどったら、8時間以内に試験される。
【0068】
手順
1. 存在する患者と同じ数のチューブが、またLow及びHigh QC、Blan
k(自発的溶解)、並びにReference(標準)に対しチューブ1本ずつが、準備
される。
【0069】
2. チューブは、試験開始前の少なくとも1時間の間、常温にて保持される。
【0070】
3. 上で示されるように、QC及びReference血清を準備する。
【0071】
4. 細胞を再懸濁するため、チューブを10秒間ボルテックスする。
【0072】
5. 全てのチューブからキャップを外す。
【0073】
6. 患者試料、対照、及びレファレンス血清の5μlを、適切に標識されたチューブ
に添加し、キャップを戻し、混合するために激しく振る。
【0074】
7. Blankチューブも混合されるべきである。
【0075】
8. チューブを室温(18~30℃)にて1時間立てておく。
【0076】
9. 3~4回逆さまにすることにより、チューブを混合する。
【0077】
10. チューブを10分間1800rpmにて遠心分離する。
【0078】
11. 各試料の200μlをデュープリケートで96ウェルプレート上へピペットで
移す。
【0079】
12. 415nmにて読む。
【0080】
確認
Blank(自発的溶解)の吸光度は、0.150より低くなければならない。品質管
理値は、期待される範囲内でなければならない。
【0081】
解析
試験試料中で起こりうる自発的溶解の度合いを補正するため、Blankチューブの吸
光度が、試験試料の吸光度から引かれる。
【0082】
結果は、CH50単位を得るため、以下の式を使用して計算される。
試料の吸光度 X CH50値 = 試料のCH50値
【0083】
レファレンスの吸光度
品質管理
2つのレベルの品質管理がキットと共に提供される。
【0084】
品質管理データの記録文書
実験各回に対し、品質管理、キットのロット番号、及び有効期限日を記録文書化するた
めに、ワークシートが使用される。各対照の範囲は、ワークシート上で見ることができる
。実施された各解析についての品質管理及び患者の結果を報告するには、The Cer
ner Laboratory Reporting Systemが使用される。
【0085】
レファレンス範囲
無しまたは低い 0~100
正常 101~300
高い >301
報告形式 結果は、CH50単位で報告される。実験はゼロから400CH50単位ま
で線形である。
【0086】
測定範囲
線形性試験は、「ゴールドスタンダード」材料と比較された場合、本分析は400CH
50単位まで線形であることを示した。
【0087】
要約すれば、臨床使用目的での十分に抑制されたCH50は、酵素免疫測定法により測
定される場合は4CAEより低く、また標準ヒツジ赤血球を使用する溶血法により測定さ
れる場合は15CH50単位より低くなるであろう。これらのレベルは、「エクリズマブ
投薬最適化における十分に抑制されたCH50」の概要と呼ばれるだろう。
【0088】
出願人は、HSCT-TMAに対して薬剤の薬物動態に基づく用量調節を用いてエクリ
ズマブで治療された、子供6人についての発見を当初発表した。全溶血性補体活性(CH
50)は、エクリズマブレベルと同時に薬力学的エンドポイントとして測定された。子供
6人のうち4人は、治療量エクリズマブレベル及び完全な補体遮断が達成されると、HS
CT-TMAが治った。患者2人は、用量増大後にさえも治療量エクリズマブレベルを達
成しそびれ、後に死亡した。CH50により測定される補体遮断は、治療量エクリズマブ
レベル及び臨床応答と相関した。
【0089】
2012年1月と2013年5月との間にCincinnati Children’
s Hospital Medical Center(CCHMC)にてエクリズマブ
(Alexion、米国コネチカット州)で治療された重度のHSCT-TMAを有する
継続患者6人が、当初は解析の中に含まれた。機関の治験審査委員会は後ろ向きカルテ調
査を承認した。患者人口統計、治療の特徴、及びHSCT合併症が診察記録から抽出され
た。HSCT-TMAは、現行の診断基準を使用して診断された。年齢に対して正常より
高い乳酸脱水素酵素(LDH)、正常の下限より低いハプトグロビン、末梢血塗抹上の分
裂赤血球、貧血、血小板減少、Coombs試験陰性、及び急性腎損傷を含んだ。急性腎
損傷は、各患者のHSCT前ベースラインからの、血清クレアチニンの倍加、または推定
シスタチンC糸球体濾過量(eGFR、正常値80~120mL/分)の50%低下とし
て定義された。タンパク尿症は、ランダムスポット尿蛋白対クレアチニン比(正常値<0
.2mg/mg、ネフローゼ範囲>2mg/mg)を使用して同定された。利用可能であ
る場合は、腎臓生体組織検査の結果がTMAの組織学について調査された。エクリズマブ
での治療については、各患者の法定後見人がインフォームドコンセントに署名した。
【0090】
エクリズマブ治療及びモニタリング
治療用の血漿交換(TPE)は、エクリズマブを開始する前に、それを受けている患者
において停止された。TPEは薬を洗い流してしまうため、薬を除去しないように、であ
る。エクリズマブの最初の用量は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する子供
に対する推奨事項に従い与えられた(表2)。エクリズマブは、中心静脈アクセスを介し
て30~60分かけて注入された。免疫が低下したHSCTレシピエントは髄膜炎菌ワク
チンに応答しないため、エクリズマブが排除されCH50レベルが正常化するまで、全患
者はシプロフロキサシンまたはペニシリンVK予防法を受けたままとした。各用量後には
、各用量の前に引き起こされるトラフレベルを含む血清中のエクリズマブレベルが、少な
くとも週2回調べられた。エクリズマブ薬剤レベルはCambridge Biomed
ical, Inc.(マサチューセッツ州ボストン)にて臨床試験として実施され、ト
ラフ濃度>99μg/mLが治療量とみなされた。レベルは4~10日の応答時間で報告
され、しばしば直後には入手可能ではなかったので、投薬調節は以下のように相違した。
トラフレベルが次の週毎の用量前に報告されかつ治療量であった場合は、図10中のスケ
ジュールに従って用量が与えられた。患者が次の週毎の用量の期限がきていて、かつエク
リズマブトラフ濃度が報告され治療量未満であった場合は、次の用量は300mg/用量
上昇させられた。治療量未満の結果が前の用量から4~5日後に報告された場合、追加の
週半ばの用量が与えられた。用量調節のために結果が入手できなかった場合は、同じエク
リズマブ導入用量が、トラフエクリズマブ濃度が治療量より高いことが記録されるまで毎
週継続された。
【0091】
導入療法は、患者が血液学的応答を達成し、かつ治療量のエクリズマブレベルが記録さ
れるまで継続され、達成かつ記録された時点で、維持用スケジュールが開始された(図1
0)。エクリズマブを中止することを検討するには、患者は、血液学的パラメーターの正
常化、及び腎臓パラメーターの改善を示さなければならなかった。
【0092】
結果
患者6人の全員が、当初は顕著なHSCT-TMA関連合併症を報告した。患者5及び
6は、エクリズマブの開始前に多臓器不全で重篤であった。
【0093】
患者年齢メジアンは5歳(2.4~10.9歳の範囲)であった。患者5人においては
、移植から100日(6~69日の範囲)以内にHSCT-TMAが診断された。患者1
人は、急性HSCT-TMA、及び血液透析を要する腎不全を呈した後、移植後1年で診
断された。HSCT-TMA診断時には、全患者が、18.5mL/分(15~48mL
/分の範囲)の血清シスタチンC-eGFRメジアンを伴う腎機能障害、及び11mg/
mg(4.5~81.6mg/mgの範囲)のランダム尿蛋白/クレアチニン比メジアン
を伴うネフローゼ範囲のタンパク尿症を有した。患者2人は、腎代替療法を要した。全患
者が、エクリズマブ療法の開始時に6から9の抗高血圧薬を要する重度の高血圧を有した
。ADAMTS13活性レベルは、全ての患者において正常(>67%)で、これはTT
Pを除外した。
【0094】
調べられた患者5人のうち4人において、終末補体複合体活性(sC5b-9)が上昇
していた。正常なsC5b-9レベルを有した患者は、血液試料が得られた時に治療用の
血漿交換(TPE)を受けており、TPEを受けていない間に貯蔵された試料では高いs
C5b-9レベルを有することが示された。CFH自己抗体は、いずれの患者においても
検出されなかった。患者2人が低下したC4レベルを、また1人は低下したCFHレベル
を有した。全患者が検出可能なCFHR1タンパク質を有し、これはCFHR3-CFH
R1のホモ欠失を除外した。試験された患者3人のうち1人は、CFHR3-CFHR1
のヘテロ欠失を有した。患者2人に対して実施された腎臓生体組織検査は、患部の細動脈
において広汎性C4d染色を伴う重度のTMAを示した。患者6は、生体組織検査で確認
された腎TMAを有した。
【0095】
エクリズマブに対する臨床応答
患者1~4は、治療量のエクリズマブレベルを達成した後、エクリズマブに対する完全
な臨床応答を示した。HSCT-TMAを治すには、メジアンで7用量(4~13用量の
範囲)のエクリズマブが必要であった。血液学的応答は、エクリズマブ開始からメジアン
で28.5日(15~45日)後に観察された。全応答者が高血圧の劇的な改善を示し、
抗高血圧薬の数が、エクリズマブ療法の開始時の6~9から、エクリズマブ療法完了時の
0~2剤まで減少した。シスタチンC-eGFRの倍加、及び2mg/mg未満のタンパ
ク尿症の改善を含む、全てのHSCT-TMAパラメーターの完全奏功にかかった時間の
メジアンは、エクリズマブ開始後69.5日(29~141日)後であった。HSCT-
TMA後メジアンで38.5週間(29~63週間の範囲)後の時点において、全ての応
答者が現在良好である。患者1及び4は、>100ml/分の正常シスタチンC-eGF
R、並びにタンパク尿症及び高血圧がないことから証明されるように、腎機能を完全に回
復させた。患者2及び3は、両者ともエクリズマブ療法開始時にHSCT-TMAゆえの
重度の遷延性の重度の腎臓損傷を有した。両者は、慢性腎疾患、及びシスタチンC-eG
FR<50ml/分を有したままだが、血液透析は受けておらず、かつロサルタン療法を
受けた状態で正常血圧を示す。
【0096】
患者5及び6は、エクリズマブ療法を受けたにもかかわらず、マルチシステム臓器不全
、及びアクティブなHSCT-TMAを伴って死亡した。両患者は、エクリズマブ療法開
始時点で重度の腎臓損傷を有し重篤であった。また、いずれの患者も、持続的な治療量エ
クリズマブトラフレベル、またはCH50により測定される補体遮断を達成しなかった(
下記参照)。患者6人全員が、起因性の副作用または反応なくエクリズマブ療法に耐え、
また髄膜炎菌感染または他の細菌感染もなかった。
【0097】
エクリズマブ薬物動態
治療の最初の三週間についてのエクリズマブ投薬及びレベルの代表的な実例が、図9
示される。全体的には、患者6人のうち4人が、最初の用量後には治療量未満のエクリズ
マブレベルを有した。とりわけ、患者3に対する最初のエクリズマブ用量は、彼の体重9
kgに対して推奨される(300mg)より高く(600mg)、最初の用量後に治療量
をもたらした。追加の用量数または現在推奨されるより高い用量を使用して、応答者4人
全員(患者1から4)において、最終的にはエクリズマブの治療量トラフレベル>99μ
g/mLが達成された。非応答の2症例(患者5及び6)においては、エクリズマブトラ
フレベルは治療量未満のままであった。患者5は、治療の第24日から開始した毎週90
0mg二回への著しい用量上昇にもかかわらず、5週間の治療の間には治療量トラフレベ
ルを達成しなかった。患者6は、治療量エクリズマブレベルを達成することなく死亡する
前、彼の体重に対して推奨されるとおり、毎週2回の導入用量900mgが投与された。
非応答者両者において、最初の用量から3日後、エクリズマブレベルは治療量未満だった
が、血清エクリズム濃度の結果は未決定であったため、投薬は適時には調節され得なかっ
た。エクリズマブの消失速度定数及び全身クリアランスは、患者間で著しい変動性を示し
た。治療時に最も病状が悪く、かつおそらく応答した患者に比べより高い異化作用を有し
た患者5及び6において、クリアランスが最も迅速であった(データ表示なし)。
【0098】
エクリズマブレベルとCH50との間の関係
エクリズマブ及びCH50レベルが同時点において測定され、互いに強く相関した(図
6~7)。具体的には、第1週における非常に迅速な消失相の間に得られた患者6からの
測定値1つを除き、0~3CAE単位のCH50カウントが>99μg/mLのエクリズ
マブ濃度に対応した。反対に、≧4CAE単位のCH50を有した試料採取時点全てにお
いて、患者のエクリズマブ濃度は<99μg/mLで治療量未満であった(p=0.00
01)。
【0099】
応答者4人全員(患者1から4)においては、治療の2回目の用量後、補体活性の完全
遮断(CH50<3CAE単位)が達成された。非応答の2症例(患者5及び6)におい
ては、補体遮断は不完全であった。
【0100】
今日までに、出願人は、高リスクHSCT-TMAを有する患者18人(年齢2.4~
30歳)に対しにエクリズマブを処方した。患者3人はなおも治療を受けている。他の患
者15人のうち、患者10人(66.7%)はHSCT-TMAを治すことができ、5人
はアクティブなHSCT-TMAを伴ってHSCT合併症で死亡した。この拡張された患
者コーホートは、安定した治療レベルを維持するにはHSCT患者は薬物動態的にモニタ
リングした補体遮断の投薬を要し、また他の疾患に対して推奨されるよりも強いエクリズ
マブ投薬を全患者が要するという、当初の観察結果を支持する。CH50レベルはエクリ
ズマブ投薬を最適化するための非常に正確かつ迅速な臨床検査であり続け、sC5b-9
測定値は臨床応答がいつ予期されるべきかを示す。アクティブなHSCT-TMAで死亡
した患者全員が、用量上昇しても治療量エクリズマブ投薬を達成することができなかった
。治療に対する総合応答率は、この患者の拡張されたコーホートにおいてなおも66.7
%のままである。特に、現在治療を受けている患者の1人は、個別化エクリズマブ投薬で
sC5b-9の正常化を達成したが、アクティブな血液学的及び腎臓のHSCT-TMA
徴候を有したままで、かつ高いC3aレベルを有する。このことは、いくらかの患者は、
エクリズマブに加えまたはエクリズマブの代わりに、将来的な薬剤を用いる、補体カスケ
ードにおけるより高い位置で(つまり、C3のレベルで)の補体遮断を要しうることを示
す。
【0101】
考察
出願人は、重度のHSCT-TMAの治療における、終末補体阻害剤エクリズマブの使
用を報告する。出願人は、患者の66.7%が、治療量のエクリズマブレベルを達成した
後、重度のHSCT-TMAの完全奏功を示したことを観察した。出願人の前向きHSC
T-TMA研究において、そのような高リスクHSCT-TMAを有する患者の生存率は
、補体遮断療法なしで20%であった。非応答可患者は、用量上昇にもかかわらず、治療
量の薬剤レベルまたは補体遮断を達成することなく死亡した。治療量エクリズマブレベル
に達しかつそれを維持するためには、HSCT-TMAを有する全患者は、aHUSを有
する患者に対して現在推奨されている投薬レジメンと比較して、より高いエクリズマブ投
薬、及び/またはより頻繁な投与を要した。より早期の、または適時な用量上昇を用いる
より積極的な治療は、非応答患者に対して治療をより有効にすることを可能にしたかもし
れない。重要なことに、出願人は、臨床応答及びエクリズマブ薬剤レベルが、補体遮断の
容易に測定される薬力学マーカーである全補体活性(CH50)と良く相関することを観
察した。エクリズマブ血清濃度の測定は広くは利用可能でなく、結果が戻るのに>1週間
かかりうる。従って、CH50検査は、補体遮断、及び治療量エクリズマブレベルとの相
関のより迅速な評価を提供し、より適時的な方式で実用的な用量調節を可能にする。
【0102】
エクリズマブ薬物動態は、1コンパートメントモデルに基づき解析された。消失速度定
数は各治療後に一定ではなく、経時的に低下し、対数変換されたエクリズマブ濃度の下降
勾配に伴い安定化した。加工勾配は、複数回の治療後、緩やかになった。患者18人のう
ち13人(72%)が、最初のエクリズマブ用量の3~4日後、エクリズマブ濃度<99
μg/mLを示した。CH50抑制は、不十分で、また<99μg/mLの治療量未満の
エクリズマブ濃度と関連付けられ、このことはこれらの患者における追加の治療の必要性
を認定した。反対に、十分なCH50抑制は、治療量のエクリズマブレベル>99μg/
mL及び臨床応答と強く相関していた。これは、補体遮断の成功、及び十分な薬剤投薬を
認定した。
【0103】
出願人の研究は、HSCT-TMAを有する患者におけるエクリズマブに対する臨床応
答までの時間に関する重要なデータを提供する。HSCT-TMAの診断後にすみやかに
エクリズマブ療法を開始し、かつ安定した治療量エクリズマブレベルを達成した患者にお
いて、最も迅速かつ最も完全な応答が達成された。しかしながら、我々は、治療用の血漿
交換が効かなかった長期のHSCT-TMAを有する患者においても、血液学的応答、及
び高血圧の制御を達成することができた。エクリズマブ療法前の長期性HSCT-TMA
を伴う症例では、腎臓回復は不完全で、回復までの時間はより長かった。これは、エクリ
ズマブの早期使用が重度のHSCT-TMAの症例において利益を最大化しうることを示
唆する。
【0104】
我々の観察結果に基づき、患者が非応答者と見なされる前に、記録された治療量のエク
リズマブトラフレベル、または検出不可能なCH50レベルにより記録される十分な補体
遮断を伴う、少なくとも4から6週間の治療が使用されうる。患者が最初の用量後に迅速
な消失者であると判断される場合(つまり、治療開始から3~4日後)、治療量トラフレ
ベルを可能な限り迅速に達成するためには、追加のエクリズマブ導入用量が検討されるべ
きである。別の一選択肢は、非常に異化作用が強いかもしれない重篤な患者においてはと
くに、最初のエクリズマブ用量を、現在推奨されている最初の導入用量より300mg高
くすることであろう。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)及びaHUSを有する患者
はしばしばエクリズマブでの生涯続く治療にコミットするが、出願人は、全ての応答者に
おいて、血液学的及び腎臓応答を達成した後にエクリズマブ療法を中止することができた
。成功した最短の工程は4週間で、また最長の治療は15週間であった。治療中止後、応
答者においてはHSCT-TMAの再発はなかった。
【0105】
コーホート中の検査した全患者が高いsC5b-9レベルを有し、これは活性化された
終末補体経路の証拠となった。我々は最近、代替及び古典経路の両者の調節不全がHSC
T-TMAにおいて観察されうることを示した。幸運にも、代替または古典経路のいずれ
により活性化される補体も、終末補体遮断薬エクリズマブにより遮断されうる。このこと
は、この薬を、HSCT-TMAの発病機序に関与する補体経路によらず、適切な治療と
する。結論として、エクリズマブは、高い死亡リスクにあるHSCT-TMA患者にとっ
て、有望な治療の選択肢である。早期の治療開始は、不可逆的な臓器損傷を予防しうる。
また毒性が低い。HSCT-TMAを有する患者におけるエクリズマブ投薬は、薬物動態
または薬力学検査によりガイドされるべきであり、最も病状が悪く異化作用の高い患者に
おいては、より積極的な投薬スケジュールが探索される必要がある。CH50は、正確で
容易に利用可能な補体遮断の薬力学マーカーとして役立ち、すみやかな投薬調節を、こと
によれば薬剤レベルのモニタリングの必要なしに可能にしうる。
【0106】
参照文献
1. George JN, LiX, McMinn JR, Terrell DR, Vesely SK, Selby GB. Thrombotic throm
bocytopenicpurpura-hemolytic uremic syndrome following allogeneic HPC transplan
tation: adiagnostic dilemma. Transfusion. 2004;44:294-304.
2. Kersting S,Koomans HA, Hene RJ, Verdonck LF. Acute renal failure after allog
eneicmyeloablative stem cell transplantation: retrospective analysis of inciden
ce, riskfactors and survival. Bone Marrow Transplant. 2007;39:359-65.
3. Parikh CR,McSweeney P, Schrier RW. Acute renal failure independently predict
s mortalityafter myeloablative allogeneic hematopoietic cell transplant. Kidney
Int.2005;67:1999-2005.
4. Jodele S,Davies SM, Lane A, Khoury J, Dandoy C, Goebel J, et al. Refined dia
gnostic andrisk criteria for HSCT-associated thrombotic microangiopathy: a pros
pective studyin children and young adults. Blood. 2014;Jul 24;124(4):645-53.
5. Keir L,Coward RJ. Advances in our understanding of the pathogenesis of glome
rularthrombotic microangiopathy. Pediatr Nephrol. 2011;26:523-33.
6. Waters AM,Licht C. aHUS caused by complement dysregulation: new therapies on
thehorizon. Pediatr Nephrol. 2011;26:41-57.
7. Tsai HM.Untying the knot of thrombotic thrombocytopenic purpura and atypical
hemolyticuremic syndrome. Am J Med. 2013;126:200-9.
8. Jodele S,Licht C, Goebel J, Dixon BP, Zhang K, Sivakumaran TA, et al. Abnorm
alities in thealternative pathway of complement in children with hematopoietic
stem celltransplant-associated thrombotic microangiopathy. Blood. 2013;122:2003
-7.
9. Jodele S,Hirsch R, Laskin B, Davies S, Witte D, Chima R. Pulmonary arterial
hypertension inpediatric patients with hematopoietic stem cell transplant-assoc
iatedthrombotic microangiopathy. Biol Blood Marrow Transplant. 2013;19:202-7.
10. Lerner D,Dandoy C, Hirsch R, Laskin B, Davies SM, Jodele S. Pericardial eff
usion inpediatric SCT recipients with thrombotic microangiopathy. Bone Marrow T
ransplant.2014:Jun;49(6):862-3.
11. Inamoto Y, ItoM, Suzuki R, Nishida T, Iida H, Kohno A, et al. Clinicopathol
ogicalmanifestations and treatment of intestinal transplant-associated microang
iopathy. BoneMarrow Transplant. 2009;44:43-9.
12. GlezermanIG, Jhaveri KD, Watson TH, Edwards AM, Papadopoulos EB, Young JW,
et al. Chronickidney disease, thrombotic microangiopathy, and hypertension foll
owing Tcell-depleted hematopoietic stem cell transplantation. Biol Blood Marrow
Transplant.2010;16:976-84.
13. HoffmeisterPA, Hingorani SR, Storer BE, Baker KS, Sanders JE. Hypertension
in long-termsurvivors of pediatric hematopoietic cell transplantation. Biol Blo
od MarrowTransplant. 2010;16:515-24.
14. Laskin BL,Nehus E, Goebel J, Khoury JC, Davies SM, Jodele S. Cystatin C-est
imatedglomerular filtration rate in pediatric autologous hematopoietic stem cel
ltransplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2012;18:1745-52.
15. Laskin BL,Goebel J, Davies SM, Khoury JC, Bleesing JJ, Mehta PA, et al. Ear
ly clinicalindicators of transplant-associated thrombotic microangiopathy in pe
diatricneuroblastoma patients undergoing auto-SCT. Bone Marrow Transplant. 2011
;46:682-9.
16. SchwartzGJ, Furth SL. Glomerular filtration rate measurement and estimation
inchronic kidney disease. Pediatr Nephrol. 2007;22:1839-48.
17. Jodele S,Fukuda T, Vinks A, Mizuno K, Laskin BL, Goebel J, et al. Eculizuma
b Therapy inChildren with Severe Hematopoietic Stem Cell Transplantation-Associ
ated ThromboticMicroangiopathy. Biol Blood Marrow Transplant. 2013:Apr;20(4):51
8-25.
18. Inker LA,Schmid CH, Tighiouart H, Eckfeldt JH, Feldman HI, Greene T, et al.
Estimatingglomerular filtration rate from serum creatinine and cystatin C. N E
ngl J Med.2012;367:20-9.
19. Nehus EJ,Laskin BL, Kathman TI, Bissler JJ. Performance of cystatin C-based
equationsin a pediatric cohort at high risk of kidney injury. Pediatr Nephrol.
2013;28:453-61.
20. HingoraniS, Gooley T, Pao E, Sandmaier B, McDonald G. Urinary cytokines aft
er HCT: evidencefor renal inflammation in the pathogenesis of proteinuria and k
idney disease.Bone Marrow Transplant. 2014;49:403-9.
21. HingoraniSR, Seidel K, Lindner A, Aneja T, Schoch G, McDonald G. Albuminuri
a inhematopoietic cell transplantation patients: prevalence, clinical associati
ons, and impacton survival. Biol Blood Marrow Transplant. 2008;14:1365-72.
22. Laskin BL,Goebel J, Davies SM, Jodele S. Small vessels, big trouble in the
kidneys and beyond:hematopoietic stem cell transplantation-associated thromboti
cmicroangiopathy. Blood. 2011;118:1452-62.
23. The fourthreport on the diagnosis, evaluation, and treatment of high blood
pressure inchildren and adolescents. Pediatrics. 2004;114:555-76.
24. Goodwin JE,Geller DS. Glucocorticoid-induced hypertension. Pediatr Nephrol.
2012;27:1059-66.
25. Moulder JE,Cohen EP, Fish BL. Captopril and losartan for mitigation of rena
l injury causedby single-dose total-body irradiation. Radiation research. 2011;
175:29-36.
26. HingoraniS. Chronic kidney disease after liver, cardiac, lung, heart-lung,
andhematopoietic stem cell transplant. Pediatr Nephrol. 2008;23:879-88.
27. Haines HL,Laskin BL, Goebel J, Davies SM, Yin HJ, Lawrence J, et al. Blood,
and noturine, BK viral load predicts renal outcome in children with hemorrhagi
c cystitisfollowing hematopoietic stem cell transplantation. Biol Blood Marrow
Transplant.2011;17:1512-9.
28. O'DonnellPH, Swanson K, Josephson MA, Artz AS, Parsad SD, Ramaprasad C, et
al. BK virusinfection is associated with hematuria and renal impairment in reci
pients ofallogeneic hematopoetic stem cell transplants. Biol Blood Marrow Trans
plant.2009;15:1038-48 e1.
29. Laskin BL,Maisel J, Goebel J, Yin HJ, Luo G, Khoury JC, et al. Renal Arteri
olar C4dDeposition: A Novel Characteristic of Hematopoietic Stem Cell Transplan
tation-AssociatedThrombotic Microangiopathy. Transplantation. 2013:Jul 27;96(2)
:217-23.
30. Dandoy CE, HirschR, Chima R, Davies SM, Jodele S. Pulmonary hypertension af
terhematopoietic stem cell transplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2013;
19:1546-56.
31. HoutchensJ, Martin D, Klinger JR. Diagnosis and management of pulmonary art
erialhypertension. Pulmonary medicine. 2011;2011:845864.
32.Perkowska-Ptasinska A, Sulikowska-Rowinska A, Pazik J, Komuda-Leszek E, Durl
ik M.Thrombotic nephropathy and pulmonary hypertension following autologous bon
e marrowtransplantation in a patient with acute lymphoblastic leukemia: case re
port.Transplant Proc. 2006;38:295-6.
33. RabinovitchM. Molecular pathogenesis of pulmonary arterial hypertension. Th
e Journal ofclinical investigation. 2012;122:4306-13.
34. Milan A,Magnino C, Veglio F. Echocardiographic indexes for the non-invasive
evaluationof pulmonary hemodynamics. Journal of the American Society of Echoca
rdiography :official publication of the American Society of Echocardiography. 2
010;23:225-39;quiz 332-4.
35. Galie N,Hoeper MM, Humbert M, Torbicki A, Vachiery JL, Barbera JA, et al. G
uidelines forthe diagnosis and treatment of pulmonary hypertension: the Task Fo
rce for theDiagnosis and Treatment of Pulmonary Hypertension of the European So
ciety ofCardiology (ESC) and the European Respiratory Society (ERS), endorsed b
y theInternational Society of Heart and Lung Transplantation (ISHLT). European
heart journal.2009;30:2493-537.
36. Aldoss O,Gruenstein DH, Bass JL, Steinberger J, Zhang Y, Defor TE, et al. P
ericardialeffusion after pediatric hematopoietic cell transplant. Pediatr Trans
plant.2013;17:294-9.
37. Norkin M,Ratanatharathorn V, Ayash L, Abidi MH, Al-Kadhimi Z, Lum LG, et al
. Largepericardial effusion as a complication in adults undergoing SCT. Bone Ma
rrow Transplant.2011;46:1353-6.
38. Mohammed J,Filler G, Price A, Sharma AP. Cardiac tamponade in diarrhoea-pos
itivehaemolytic uraemic syndrome. Nephrol Dial Transplant. 2009;24:679-81.
39. Sagrista-SauledaJ, Merce AS, Soler-Soler J. Diagnosis and management of per
icardialeffusion. World journal of cardiology. 2011;3:135-43.
40. AljitawiOS, Rodriguez L, Madan R, Ganguly S, Abhyankar S, McGuirk JP. Late-
onsetintestinal perforation in the setting of posttransplantation microangiopat
hy: a casereport. Transplant Proc. 2010;42:3892-3.
41. Hewamana S,Austen B, Murray J, Johnson S, Wilson K. Intestinal perforation
secondary tohaematopoietic stem cell transplant associated thrombotic microangi
opathy. Eur JHaematol. 2009;83:277.
42. NarimatsuH, Kami M, Hara S, Matsumura T, Miyakoshi S, Kusumi E, et al. Inte
stinalthrombotic microangiopathy following reduced-intensity umbilical cord blo
odtransplantation. Bone Marrow Transplant. 2005;36:517-23.
43. Nishida T,Hamaguchi M, Hirabayashi N, Haneda M, Terakura S, Atsuta Y, et al
. Intestinalthrombotic microangiopathy after allogeneic bone marrow transplanta
tion: aclinical imitator of acute enteric graft-versus-host disease. Bone Marro
w Transplant.2004;33:1143-50.
44.Yamada-Fujiwara M, Miyamura K, Fujiwara T, Tohmiya Y, Endo K, Onishi Y, et a
l. Diagnosis ofintestinal graft-versus-host disease and thrombotic microangiopa
thy afterallogeneic stem cell transplantation. The Tohoku journal of experiment
al medicine.2012;227:31-7.
45. Fujino M,Kim Y, Ito M. Intestinal thrombotic microangiopathy induced by FK5
06 in rats.Bone Marrow Transplant. 2007;39:367-72.
46. PiscitelliD, Fiore MG, Rossi R, Casiello M, Sanguedolce F. Unusual case rep
ort ofthrombotic microangiopathy of the small bowel following liver transplanta
tion, apossible immunosuppressant-induced disease with histological and ultrast
ructuralfindings. TheScientificWorldJournal. 2009;9:1031-4.
47. Dierickx D,Monbaliu D, De Rycke A, Wisanto E, Lerut E, Devos T, et al. Thro
mboticmicroangiopathy following intestinal transplantation: a single center exp
erience.Transplant Proc. 2010;42:79-81.
48. MartinezMT, Bucher C, Stussi G, Heim D, Buser A, Tsakiris DA, et al. Transp
lant-associatedmicroangiopathy (TAM) in recipients of allogeneic hematopoietic
stem celltransplants. Bone Marrow Transplant. 2005;36:993-1000.
49. Fuge R,Bird JM, Fraser A, Hart D, Hunt L, Cornish JM, et al. The clinical f
eatures, riskfactors and outcome of thrombotic thrombocytopenic purpura occurri
ng after bonemarrow transplantation. Br J Haematol. 2001;113:58-64.
50. Staykov D,Schwab S. Posterior reversible encephalopathy syndrome. Journal o
f intensivecare medicine. 2012;27:11-24.
51. Roth C, FerbertA. The posterior reversible encephalopathy syndrome: what's
certain, what'snew? Practical neurology. 2011;11:136-44.
52. Ishikawa Y,Nishio S, Sasaki H, Kudo R, Goto H, Ito M, et al. Transplantatio
n-associatedthrombotic microangiopathy after steroid pulse therapy for polysero
sitis relatedto graft-versus-host disease. Clin Exp Nephrol. 2011;15:179-83.
53. Batts ED,Lazarus HM. Diagnosis and treatment of transplantation-associated
thromboticmicroangiopathy: real progress or are we still waiting? Bone Marrow T
ransplant.2007;40:709-19.
54. Kojouri K,George JN. Thrombotic microangiopathy following allogeneic hemato
poietic stemcell transplantation. Curr Opin Oncol. 2007;19:148-54.
55. Nakamae H, YamaneT, Hasegawa T, Nakamae M, Terada Y, Hagihara K, et al. Ris
k factoranalysis for thrombotic microangiopathy after reduced-intensity or myel
oablativeallogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Am J Hematol. 2006
;81:525-31.
56. Hale GA,Bowman LC, Rochester RJ, Benaim E, Heslop HE, Krance RA, et al. Hem
olytic uremicsyndrome after bone marrow transplantation: clinical characteristi
cs and outcomein children. Biol Blood Marrow Transplant. 2005;11:912-20.
57. Worel N,Greinix HT, Leitner G, Mitterbauer M, Rabitsch W, Rosenmayr A, et a
l.ABO-incompatible allogeneic hematopoietic stem cell transplantation following
reduced-intensityconditioning: close association with transplant-associated mi
croangiopathy. TransfusApher Sci. 2007;36:297-304.
58. Willems E,Baron F, Seidel L, Frere P, Fillet G, Beguin Y. Comparison of thr
omboticmicroangiopathy after allogeneic hematopoietic cell transplantation with
high-doseor nonmyeloablative conditioning. Bone Marrow Transplant. 2010;45:689
-93.
59. RosenthalJ, Pawlowska A, Bolotin E, Cervantes C, Maroongroge S, Thomas SH,
et al.Transplant-associated thrombotic microangiopathy in pediatric patients tr
eated withsirolimus and tacrolimus. Pediatr Blood Cancer. 2011;57:142-6.
60. RodriguezR, Nakamura R, Palmer JM, Parker P, Shayani S, Nademanee A, et al.
A phaseII pilot study of tacrolimus/sirolimus GVHD prophylaxis for sibling don
orhematopoietic stem cell transplantation using 3 conditioning regimens. Blood.
2010;115:1098-105.
61. Cutler C,Henry NL, Magee C, Li S, Kim HT, Alyea E, et al. Sirolimus and thr
omboticmicroangiopathy after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation
. Biol BloodMarrow Transplant. 2005;11:551-7.
62. PlatzbeckerU, von Bonin M, Goekkurt E, Radke J, Binder M, Kiani A, et al. G
raft-versus-hostdisease prophylaxis with everolimus and tacrolimus is associate
d with a highincidence of sinusoidal obstruction syndrome and microangiopathy:
results of theEVTAC trial. Biol Blood Marrow Transplant. 2009;15:101-8.
63.Changsirikulchai S, Myerson D, Guthrie KA, McDonald GB, Alpers CE, Hingorani
SR. Renalthrombotic microangiopathy after hematopoietic cell transplant: role
of GVHD inpathogenesis. Clin J Am Soc Nephrol. 2009;4:345-53.
64. Tichelli A,Gratwohl A. Vascular endothelium as 'novel' target of graft-vers
us-hostdisease. Best Pract Res Clin Haematol. 2008;21:139-48.
65. Cooke KR,Jannin A, Ho V. The contribution of endothelial activation and inj
ury toend-organ toxicity following allogeneic hematopoietic stem cell transplan
tation. BiolBlood Marrow Transplant. 2008;14:23-32.
66. BiedermannBC. Vascular endothelium and graft-versus-host disease. Best Prac
t Res ClinHaematol. 2008;21:129-38.
67. Takatsuka H,Takemoto Y, Yamada S, Wada H, Tamura S, Fujimori Y, et al. Comp
lications afterbone marrow transplantation are manifestations of systemic infla
mmatoryresponse syndrome. Bone Marrow Transplant. 2000;26:419-26.
68. Nakamura Y,Yujiri T, Ando T, Hisano S, Tanizawa Y. Nephrotic syndrome assoc
iated withthrombotic microangiopathy following allogeneic stem-cell transplanta
tion formyelodysplastic syndrome. Br J Haematol. 2007;136:857-9; author reply 9
-60.
69. Cho BS, MinCK, Eom KS, Kim YJ, Kim HJ, Lee S, et al. Clinical impact of thr
omboticmicroangiopathy on the outcome of patients with acute graft-versus-host
disease afterallogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Bone Marrow Tr
ansplant.2008;41:813-20.
70. Chang A,Hingorani S, Kowalewska J, Flowers ME, Aneja T, Smith KD, et al. Sp
ectrum of renalpathology in hematopoietic cell transplantation: a series of 20
patients andreview of the literature. Clin J Am Soc Nephrol. 2007;2:1014-23.
71. Lopes daSilva R, Ferreira I, Teixeira G, Cordeiro D, Mafra M, Costa I, et a
l. BK virusencephalitis with thrombotic microangiopathy in an allogeneic hemato
poietic stemcell transplant recipient. Transpl Infect Dis. 2011;13:161-7.
72. Uderzo C,Bonanomi S, Busca A, Renoldi M, Ferrari P, Iacobelli M, et al. Ris
k factors andsevere outcome in thrombotic microangiopathy after allogeneic hema
topoietic stemcell transplantation. Transplantation. 2006;82:638-44.
73. SchwimmerJ, Nadasdy TA, Spitalnik PF, Kaplan KL, Zand MS. De novo thromboti
cmicroangiopathy in renal transplant recipients: a comparison of hemolytic urem
ic syndromewith localized renal thrombotic microangiopathy. Am J Kidney Dis. 20
03;41:471-9.
74. Labrador J,Lopez-Corral L, Lopez-Godino O, Vazquez L, Cabrero-Calvo M, Pere
z-Lopez R, etal. Risk factors for thrombotic microangiopathy in allogeneic hema
topoietic stemcell recipients receiving GVHD prophylaxis with tacrolimus plus M
TX orsirolimus. Bone Marrow Transplant. 2014:May;49(5):684-90.
75. Shayani S,Palmer J, Stiller T, Liu X, Thomas SH, Khuu T, et al. Thrombotic
microangiopathyassociated with sirolimus level after allogeneic hematopoietic c
elltransplantation with tacrolimus/sirolimus-based graft-versus-host disease pr
ophylaxis. BiolBlood Marrow Transplant. 2013;19:298-304.
76. Siami K,Kojouri K, Swisher KK, Selby GB, George JN, Laszik ZG. Thrombotic m
icroangiopathyafter allogeneic hematopoietic stem cell transplantation: an auto
psy study.Transplantation. 2008;85:22-8.
77. Mii A,Shimizu A, Masuda Y, Fujino T, Kaneko T, Utsumi K, et al. Renal throm
boticmicroangiopathy associated with chronic humoral graft versus host disease
afterhematopoietic stem cell transplantation. Pathol Int. 2011;61:34-41.
78. Mii A,Shimizu A, Kaneko T, Fujita E, Fukui M, Fujino T, et al. Renal thromb
oticmicroangiopathy associated with chronic graft-versus-host disease after all
ogeneichematopoietic stem cell transplantation. Pathol Int. 2011;61:518-27.
79. Sadeghi B,Al-Chaqmaqchi H, Al-Hashmi S, Brodin D, Hassan Z, Abedi-Valugerdi
M, et al.Early-phase GVHD gene expression profile in target versus non-target
tissues:kidney, a possible target? Bone Marrow Transplant. 2013;48:284-93.
80. Brukamp K,Doyle AM, Bloom RD, Bunin N, Tomaszewski JE, Cizman B. Nephrotic
syndrome afterhematopoietic cell transplantation: do glomerular lesions represe
nt renalgraft-versus-host disease? Clin J Am Soc Nephrol. 2006;1:685-94.
81. Ho VT,Cutler C, Carter S, Martin P, Adams R, Horowitz M, et al. Blood and m
arrowtransplant clinical trials network toxicity committee consensus summary: t
hromboticmicroangiopathy after hematopoietic stem cell transplantation. Biol Bl
ood MarrowTransplant. 2005;11:571-5.
82. Ruutu T,Barosi G, Benjamin RJ, Clark RE, George JN, Gratwohl A, et al. Diag
nostic criteriafor hematopoietic stem cell transplant-associated microangiopath
y: results of aconsensus process by an International Working Group. Haematologi
ca.2007;92:95-100.
83. Cho BS, YahngSA, Lee SE, Eom KS, Kim YJ, Kim HJ, et al. Validation of recen
tly proposedconsensus criteria for thrombotic microangiopathy after allogeneic
hematopoieticstem-cell transplantation. Transplantation. 2010;90:918-26.
84. van der PlasRM, Schiphorst ME, Huizinga EG, Hene RJ, Verdonck LF, Sixma JJ,
et al.von Willebrand factor proteolysis is deficient in classic, but not in bo
ne marrowtransplantation-associated, thrombotic thrombocytopenic purpura. Blood
.1999;93:3798-802.
85. Peyvandi F,Siboni SM, Lambertenghi Deliliers D, Lavoretano S, De Fazio N, M
oroni B, et al.Prospective study on the behaviour of the metalloprotease ADAMTS
13 and of vonWillebrand factor after bone marrow transplantation. Br J Haematol
.2006;134:187-95.
86. Carreras E,Diaz-Ricart M. The role of the endothelium in the short-term com
plications ofhematopoietic SCT. Bone Marrow Transplant. 2011;46:1495-502.
87. Holmes LV,Strain L, Staniforth SJ, Moore I, Marchbank K, Kavanagh D, et al.
Determiningthe population frequency of the CFHR3/CFHR1 deletion at 1q32. PloS
one.2013;8:e60352.
88. LegendreCM, Licht C, Loirat C. Eculizumab in atypical hemolytic-uremic synd
rome. N Engl JMed. 2013;369:1379-80.
89. Tati R,Kristoffersson AC, Stahl AL, Rebetz J, Wang L, Licht C, et al. Compl
ementactivation associated with ADAMTS13 deficiency in human and murine thrombo
ticmicroangiopathy. J Immunol. 2013;191:2184-93.
90. Reti M,Farkas P, Csuka D, Razso K, Schlammadinger A, Udvardy ML, et al. Com
plementactivation in thrombotic thrombocytopenic purpura. Journal of thrombosis
andhaemostasis : JTH. 2012;10:791-8.
91. CatalandSR, Holers VM, Geyer S, Yang S, Wu HM. Biomarkers of the alternativ
e pathway andterminal complement activity at presentation confirms the clinical
diagnosisof aHUS and differentiates aHUS from TTP. Blood. 2014:Jun 12;123(24):
3733-8.
92. Orth D,Khan AB, Naim A, Grif K, Brockmeyer J, Karch H, et al. Shiga toxin a
ctivatescomplement and binds factor H: evidence for an active role of complemen
t in hemolyticuremic syndrome. J Immunol. 2009;182:6394-400.
93. Thurman JM,Marians R, Emlen W, Wood S, Smith C, Akana H, et al. Alternative
pathwayof complement in children with diarrhea-associated hemolytic uremic syn
drome. Clin J AmSoc Nephrol. 2009;4:1920-4.
94. LapeyraqueAL, Malina M, Fremeaux-Bacchi V, Boppel T, Kirschfink M, Oualha M
, et al.Eculizumab in severe Shiga-toxin-associated HUS. N Engl J Med. 2011;364
:2561-3.
95. Menne J,Nitschke M, Stingele R, Abu-Tair M, Beneke J, Bramstedt J, et al. V
alidation oftreatment strategies for enterohaemorrhagic Escherichia coli O104:H
4 inducedhaemolytic uraemic syndrome: case-control study. BMJ. 2012;345:e4565.
96. KielsteinJT, Beutel G, Fleig S, Steinhoff J, Meyer TN, Hafer C, et al. Best
supportivecare and therapeutic plasma exchange with or without eculizumab in S
higa-toxin-producingE. coli O104:H4 induced haemolytic-uraemic syndrome: an ana
lysis of theGerman STEC-HUS registry. Nephrol Dial Transplant. 2012;27:3807-15.
97. Noris M,Mescia F, Remuzzi G. STEC-HUS, atypical HUS and TTP are all disease
s of complementactivation. Nature reviews Nephrology. 2012;8:622-33.
98. Song D, WuLH, Wang FM, Yang XW, Zhu D, Chen M, et al. The spectrum of renal
thromboticmicroangiopathy in lupus nephritis. Arthritis research & therapy. 20
13;15:R12.
99. Crovetto F,Borsa N, Acaia B, Nishimura C, Frees K, Smith RJ, et al. The gen
etics of thealternative pathway of complement in the pathogenesis of HELLP synd
rome. The journalof maternal-fetal & neonatal medicine : the official journal o
f the EuropeanAssociation of Perinatal Medicine, the Federation of Asia and Oce
ania PerinatalSocieties, the International Society of Perinatal Obstet. 2012;25
:2322-5.
100. Totina A,Iorember F, El-Dahr SS, Yosypiv IV. Atypical hemolytic-uremic syn
drome in achild presenting with malignant hypertension. Clinical pediatrics. 20
13;52:183-6.
101. Nadasdy T.Thrombotic microangiopathy in renal allografts: the diagnostic c
hallenge. Currentopinion in organ transplantation. 2014;19:283-92.
102. Gooley TA,Chien JW, Pergam SA, Hingorani S, Sorror ML, Boeckh M, et al. Re
duced mortalityafter allogeneic hematopoietic-cell transplantation. N Engl J Me
d.2010;363:2091-101.
103. Rajpal JS,Patel N, Vogel RI, Kashtan CE, Smith AR. Improved survival over
the last decadein pediatric patients requiring dialysis after hematopoietic cel
ltransplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2013;19:661-5.
104. Arai Y,Yamashita K, Mizugishi K, Watanabe T, Sakamoto S, Kitano T, et al.
Serumneutrophil extracellular trap levels predict thrombotic microangiopathy af
ter allogeneicstem cell transplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2013;19:
1683-9.
105. Jodele S,Laskin BL, Goebel J, Khoury JC, Pinkard SL, Carey PM, et al. Does
earlyinitiation of therapeutic plasma exchange improve outcome in pediatric st
em celltransplant-associated thrombotic microangiopathy? Transfusion. 2013;53:6
61-7.
106. Licht C,Weyersberg A, Heinen S, Stapenhorst L, Devenge J, Beck B, et al. S
uccessfulplasma therapy for atypical hemolytic uremic syndrome caused by factor
Hdeficiency owing to a novel mutation in the complement cofactor protein domai
n 15. Am JKidney Dis. 2005;45:415-21.
107. Marr H,McDonald EJ, Merriman E, Smith M, Mangos H, Stoddart C, et al. Succ
essfultreatment of transplant-associated microangiopathy with rituximab. N Z Me
d J.2009;122:72-4.
108. CarellaAM, D'Arena G, Greco MM, Nobile M, Cascavilla N. Rituximab for allo
-SCT-associatedthrombotic thrombocytopenic purpura. Bone Marrow Transplant. 200
8;41:1063-5.
109. Au WY, MaES, Lee TL, Ha SY, Fung AT, Lie AK, et al. Successful treatment o
f thromboticmicroangiopathy after haematopoietic stem cell transplantation with
rituximab.Br J Haematol. 2007;137:475-8.
110. Jodele S,Bleesing JJ, Mehta PA, Filipovich AH, Laskin BL, Goebel J, et al.
Successfulearly intervention for hyperacute transplant-associated thrombotic m
icroangiopathyfollowing pediatric hematopoietic stem cell transplantation. Pedi
atr Transplant.2012;16:E39-42.
111. Choi CM,Schmaier AH, Snell MR, Lazarus HM. Thrombotic microangiopathy in h
aematopoieticstem cell transplantation: diagnosis and treatment. Drugs. 2009;69
:183-98.
112. Naina HV, GertzMA, Elliott MA. Thrombotic microangiopathy during periphera
l blood stemcell mobilization. J Clin Apher. 2009;24:259-61.
113. San T,Moini H, Emerk K, Bilsel S. Protective effect of defibrotide on perf
usion induced endothelialdamage. Thrombosis research. 2000;99:335-41.
114. SchroderH. Defibrotide protects endothelial cells, but not L929 tumour cel
ls, from tumournecrosis factor-alpha-mediated cytotoxicity. The Journal of phar
macy andpharmacology. 1995;47:250-2.
115. Sucak GT,Aki ZS, Yagci M, Yegin ZA, Ozkurt ZN, Haznedar R. Treatment of si
nusoidalobstruction syndrome with defibrotide: a single-center experience. Tran
splant Proc.2007;39:1558-63.
116. ChalandonY, Roosnek E, Mermillod B, Newton A, Ozsahin H, Wacker P, et al.
Prevention ofveno-occlusive disease with defibrotide after allogeneic stem cell
transplantation.Biol Blood Marrow Transplant. 2004;10:347-54.
117. Carmona A,Diaz-Ricart M, Palomo M, Molina P, Pino M, Rovira M, et al. Dist
inct deleteriouseffects of cyclosporine and tacrolimus and combined tacrolimus-
sirolimus onendothelial cells: protective effect of defibrotide. Biol Blood Mar
row Transplant.2013;19:1439-45.
118.Corbacioglu S, Cesaro S, Faraci M, Valteau-Couanet D, Gruhn B, Rovelli A, e
t al.Defibrotide for prophylaxis of hepatic veno-occlusive disease in paediatri
c haemopoieticstem-cell transplantation: an open-label, phase 3, randomised con
trolled trial.Lancet. 2012;379:1301-9.
119. Uderzo C,Fumagalli M, De Lorenzo P, Busca A, Vassallo E, Bonanomi S, et al
. Impact ofthrombotic thrombocytopenic purpura on leukemic children undergoing
bone marrowtransplantation. Bone Marrow Transplant. 2000;26:1005-9.
120. Eremina V,Jefferson JA, Kowalewska J, Hochster H, Haas M, Weisstuch J, et
al. VEGFinhibition and renal thrombotic microangiopathy. N Engl J Med. 2008;358
:1129-36.
121. Noris M,Remuzzi G. Atypical hemolytic-uremic syndrome. N Engl J Med. 2009;
361:1676-87.
122. Colvin RB.Antibody-mediated renal allograft rejection: diagnosis and patho
genesis. J AmSoc Nephrol. 2007;18:1046-56.
123. KurniatiNF, van Meurs M, Vom Hagen F, Jongman RM, Moser J, Zwiers PJ, et a
l. Pleiotropiceffects of angiopoietin-2 deficiency do not protect mice against
endotoxin-inducedacute kidney injury. Nephrol Dial Transplant. 2013;28:567-75.
124. Imhof BA,Aurrand-Lions M. Angiogenesis and inflammation face off. Nature m
edicine.2006;12:171-2.
125. Ueda N,Chihara D, Kohno A, Tatekawa S, Ozeki K, Watamoto K, et al. Predict
ive Value ofCirculating Angiopoietin-2 for Endothelial Damage-Related Complicat
ions inAllogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation. Biology of Blood and
MarrowTransplantation. 2014;20:1335-40.
126. RichardsonPG, Soiffer RJ, Antin JH, Uno H, Jin Z, Kurtzberg J, et al. Defi
brotide for thetreatment of severe hepatic veno-occlusive disease and multiorga
n failure afterstem cell transplantation: a multicenter, randomized, dose-findi
ng trial. BiolBlood Marrow Transplant. 2010;16:1005-17.
127. Wuhl E,Trivelli A, Picca S, Litwin M, Peco-Antic A, Zurowska A, et al. Str
ictblood-pressure control and progression of renal failure in children. N Engl
J Med.2009;361:1639-50.
128. Lovric S,Lukasz A, Hafer C, Kielstein JT, Haubitz M, Haller H, et al. Remo
val of elevatedcirculating angiopoietin-2 by plasma exchange--a pilot study in
critically illpatients with thrombotic microangiopathy and anti-glomerular base
ment membranedisease. Thrombosis and haemostasis. 2010;104:1038-43.
【0107】
全て百分率及び比は、別に示されない限り、重量により計算される。
【0108】
全ての百分率及び比は、別に示されない限り、組成物全体に基づき計算される。
【0109】
本明細書の至る所で与えられる各最大の数値限定が、あたかもより低い数値限定が本明
細書において明確に書かれているかのように、各そのようなより低い数値限定を含むこと
が理解されるべきである。本明細書の至る所で与えられる各最小の数値限定が、あたかも
より高い数値限定が本明細書において明確に書かれているかのように、各そのようなより
高い数値限定を含むことになる。本明細書の至る所で与えられる各数値範囲が、あたかも
より狭い数値範囲が本明細書においてすべて明確に書かれているかのように、そのような
より広い数値範囲内に含まれる各そのようなより狭い数値範囲を含むことになる。
【0110】
本明細書において開示される寸法及び値は、列挙される数値ちょうどに厳密に限定され
るものと理解されるべきではない。代わりに、別に指定されない限り、そのような寸法の
それぞれが、列挙される値と、その値を取り囲む機能的に同等の範囲との両者を意味する
ことが意図される。例えば、「20mm」として開示される寸法は、「約20mm」を意
味することが意図される。
【0111】
あらゆる相互参照されるまたは関連する特許または出願を含む、本明細書において引用
される各文献は、明確に除外されまたは別に制限されない限り、参照によりその文献全体
が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、その文献が本明細書において開示さ
れまたは特許請求の範囲において請求される何らかの発明に関して先行技術であること、
あるいはその文献が単独で、または他のいずれかの参照物もしくは複数の参照物との何ら
かの組合せで、何らかのそのような発明を教え、示唆し、または開示することを、認める
ものではない。さらに、本文書における用語の何らかの意味または定義が、参照により組
み込まれる文書中の同用語の何らかの意味または用語と矛盾する限りにおいては、本文書
におけるその用語に当てられる意味または定義が適用されるべきである。
【0112】
本発明の特定の実施形態が例証かつ開示されてきたが、本発明の真髄及び範囲から逸脱
することなく、様々な他の変化及び修正がなされうることが、当業者にとって明らかであ
るだろう。従って、添付の特許請求の範囲においては、本発明の範囲内であるそのような
変化及び修正すべてを網羅することが意図される。
【0113】
複数の特色/実施形態が開示される場合、1つの特色/実施形態は本開示の他のいかな
る特色/実施形態とも組み合わせられうること、またそのようなものも本発明の範囲内で
あることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10