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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】乳児用ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47D 7/00 20060101AFI20241017BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A47D7/00 A
A47C27/08 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020013131
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021118771
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503061197
【氏名又は名称】大杉 千里
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】大杉 千里
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-075850(JP,A)
【文献】特開2017-006159(JP,A)
【文献】特開2000-279459(JP,A)
【文献】特開2018-126206(JP,A)
【文献】特表2005-532882(JP,A)
【文献】実開昭53-113115(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0455081(KR,Y1)
【文献】特開2012-011191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 7/00
A47C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーの注入によって膨らませて乳児を寝かせることができる一方、エアーの排気によって萎ませることのできるようにしたエアーベッドであって、
乳児を寝かせることのできる大きさのベッド面は、複数のベッド面構成部分とベースから構成され、ベース上面は平坦面となし、複数の各ベッド面構成部分は円弧の両側から下方に側面を異なる長さで延設した形状となし、両側面の下端をベースの平坦な上面に固定することによって、ベッド面が凹状に構成されており、上記ベッド面は凹状をなして乳児の背骨の後湾を保つことができるようになっている一方、
上記複数の各ベッド面構成部分は少なくとも上半部の断面円弧状がベッド幅方向に延設された形状となすことによって乳児がベッド面上を滑るのを防止するとともに、乳児の背中の通気性を確保するようになしたことを特徴とする乳児用エアーベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳児用エアーベッドに関し、特にコンパクトに畳んで容易に持ち運びができるとともに収納でき、乳児の背骨の後湾を安定に保つことができるようにしたエアーベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、成長の早い幼児であっても長期間使用することができ、収納や持ち運びが便利な幼児用エアーベッドが提案されている(特許文献1)。
【0003】
ところで、赤ちゃんは母親の子宮内で丸くなって成長しており、新生児期から腰のすわる頃まで背骨の丸み(後湾)をしっかりと保つと、よちよち歩きを始める頃には腰椎の前湾ができ始めて背骨のS字湾曲が形成され、安定して歩けるようになることが分かってきた。
【0004】
そこで、ベッド面を複数の水袋で構成し、ベッド面を湾曲させて乳児を寝かせられるようにした乳児用ウォーターベッドが提案されている(特許文献2)。かかる乳児用ウォーターべッドでは水が内蔵されているので、排水することによってコンパクトに畳んで収納できるものの、ベッドの場所を移したい場合に排水すると、移した場所でポンプなどを使用して注水する必要があり、煩わしい。
【0005】
他方、合成樹脂製の発泡ビーズを滑り難い材質のカバー内に内蔵し、発泡ビーズをカバー内で流動させることによってベッド面を凹状となし、凹状ベッド面に乳児が寝かされたときに乳児の身体が背骨の後湾を保ったままベッド面に載せられるようになした乳児用ベッドが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3120738号公報
【文献】特開平10-75850号公報
【文献】特開2012-11191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3記載の乳児用ベッドでは発泡ビーズが内蔵されているので、コンパクトに折り畳むことが難しく、例えば片手で乳児を抱き、他方の片手でベッドを持ち運ぶことが煩わしいという問題があった。
【0008】
そこで、特許文献1記載のエアーベッドを用いることが考えられるが、特許文献1記載のエアーベッドではベッド面が平坦であり、背骨の後湾を保ったまま乳児の身体を寝かせることができない。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑み、コンパクトに畳んで容易に持ち運びができるとともに収納でき、乳児の背骨の後湾を安定に保つことができるようにした乳児用エアーベッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る乳児用エアーベッドは、エアーの注入によって膨らませて乳児を寝かせることができる一方、エアーの排気によって萎ませることのできるようにしたエア
ーベッドであって、乳児を寝かせることのできる大きさのベッド面は複数のベッド面構成部分を長手方向に並べて構成されており、該複数の各ベッド面構成部分は少なくとも上半部が断面円弧状をベッド幅方向に延設した形状をなし、上記複数のベッド面構成部分は膨らんだ状態での頂部高さが長手方向両側から長手方向中央に向けて漸減されることによって上記ベッド面は凹状をなしていることを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴の1つはエアーベッドをエアーの注入によって膨らみ、エアーの排気によって萎むようにした点にある。これにより、コンパクトに畳んで容易に持ち運びができるとともに収納できることとなる。また、好みの場所に容易に持ち運ぶことができる結果、母親が食事を調理しているときなどに、母親の目の届く距離に乳児を寝かせることができ、乳児は近くに母親がいることが分かって安心してすやすやと眠る。
【0012】
本発明の第2の特徴は複数の断面円弧状のベッド面構成部分を長手方向に並べてベッド面を構成した点にある。これにより、乳児をベッド面に寝かせても滑るおそれが少なく、安定に寝かせることができ、乳児の背中とベッド面との間の隙間ができるので、夏季に汗をかいて蒸れることが少ない。
【0013】
本発明の第3の特徴は複数のベッド面構成部分を膨らんだ状態での頂部高さが長手方向両側から長手方向中央に向けて漸減させることによって、ベッド面を凹状に形成するようにした点にある。これにより、乳児をベッド面に寝かせると、乳児の身体が背骨の後湾を保ったままベッド面に載せられ、ベッド面によって抱かれたような姿勢になるので、姿勢が安定して安らかに睡眠する。
【0014】
エアーベッドは複数のベッド面構成部分とベースから構成し、複数の各ベッド面構成部分はほぼ同径の円筒状となす一方、ベースは上面を凹状となし、複数のベッド面構成部分の円筒をベッド面長手方向に並べ、円筒の下縁をベースの凹状上面に固定することによって、ベッド面を凹状に構成することができる。
【0015】
また、複数の各ベッド面構成部分は径の異なる円筒状となす一方、ベースは上面を平坦面となし、複数のベッド面構成部分の円筒を長手方向の両側に大径の円筒を、中央に小径の円筒を並べ、円筒の下縁をベースの平坦な上面に固定することによってベッド面を凹状に構成することができる。
【0016】
さらに、複数の各ベッド面構成部分は円弧の両側から下方に側面を延設した形状となし、両側面の下端をベースに固定して構成することができる。この場合、ベッド面構成部分の両側面を相互に等しい長さとし、ベースは上面を凹状となし、両側面の下端をベースの凹状上面に固定することによって、ベッド面を凹状に構成することができる。
【0017】
また、ベース上面を平坦面とし、複数の各ベッド面構成部分は円弧の両側から下方に側面を異なる長さで延設した形状となし、両側面の下端をベースの平坦な上面に固定することによって、ベッド面を凹状に構成することができる。
【0018】
乳児用エアーベッドはエアーの注入・排気によって膨らみ萎むことができればよく、軟質合成樹脂、例えばポリ塩化ビニル樹脂によって製作することができる。この場合、乳児を寝かせたときに乳児が違和感を感じないような柔らかい素材、例えば綿糸、ポリエステル糸及びポリウレタン糸を用いてパイル編みで編成したパイル編み生地、ポリウレタン弾性糸、ポリウレタン・ナイロン混紡糸あるいはナイロン巻きポリウレタン糸(カバリングヤーン)を用いて平編み、リブ編みあるいはパイル編みなどで編成した生地で覆うようにしてもよい。
【0019】
ここで、ベースを用いるのはベッド面構成部分の厚みが薄くなっても乳児が床面の違和感が伝わらないようにするためであり、2cm~10cm程度の厚みがあればよい。したがって、ベッド面構成部分を厚みのある形状に形成した場合にはエアーベッドをベッド面構成部分とベースから構成するのではなく、複数のベッド面構成部分のみからエアーベッドを構成することもできる。さらに、ベッド面の少なくとも両側、好ましくは全周には縁を起立して形成すると、乳児の寝返りなどによって乳児がベッドからの落下するのを防止できる。
【0020】
さらに、上記では断面円弧状のベッド面構成部分を長手方向に並べてベッド面を構成したが、エアーの注入・排気によって膨らみ萎む袋体を用いてベッド面を構成することもできる。
【0021】
すなわち、本発明によれば、エアーの注入によって膨らませて乳児を寝かせることができる一方、エアーの排気によって萎ませることのできるようにしたエアーベッドであって、ベッド面構成部分とベースから構成され、ベッド面構成部分はエアーの注入によって膨らませて乳児を寝かせることができる一方、エアーの排気によって萎ませることのできる袋体から構成し、ベースは上面を凹状となし、ベッド面構成部分の袋体をベースの凹状上面に固定することによって、ベッド面を凹状に構成するようにしたことを特徴とする乳児用エアーベッドを提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、エアーの注入によって膨らませて乳児を寝かせることができる一方、エアーの排気によって萎ませることのできるようにしたエアーベッドであって、ベッド面構成部分とベースから構成され、ベッド面構成部分はエアーの注入によって膨らませて乳児を寝かせることができる一方、エアーの排気によって萎ませることのできる袋体から構成し、ベースは上面を平坦状となし、エアーを所定量注入したベッド面構成部分の袋体をベースの平坦上面に固定し、ベッド面構成部分の袋体を乳児の体重によって凹状とすることによって、ベッド面を凹状に構成するようにしたことを特徴とする乳児用エアーベッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る乳児用エアーベッドの考え方を示す概略斜視図である。
図2図1概略側面図である。上記ベッド面は凹状をなして乳児の背骨の後湾を保つことができるようになっている一方、 上記複数の各ベッド面構成部分は少なくとも上半部の断面円弧状がベッド幅方向に延設された形状となすことによって乳児がベッド面上を滑るのを防止するとともに、乳児の背中の通気性を確保するようになしたことを特徴とする乳児用エアーベッド。
図3図1使用例を示す図である。
図4他の使用例を示す概略側面図である。
図5本発明に係る乳児用エアーベッドの好ましい実施形態を示す概略側面図である。
図6図5の変形例を示す概略斜視図である。
図7他の変形例を示す概略斜視図である。
図8図1の変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を添付図面に示す具体例に基づいて説明する。図1ないし図3は本発明に係る幼児用エアーベッドの好ましい実施形態を示す。図において、乳児用エアーベッド10はベッド部20とベース30とから構成され、ベッド部20及びベース30はともに軟質合成樹脂材料、例えばポリ塩化ビニル樹脂を用いて製造されている。
【0025】
ベッド部20は複数のベッド面構成部分21を長手方向に並べて構成され、複数の各ベッド面構成部分21は隣接するベッド面構成部分21に固着され、複数の各ベッド面構成部分21は上半部が断面円弧状をなし、該上半部の両側を下方に相互に等しい寸法伸ばした形状をベッド幅方向に延設した形状に製造されている。
【0026】
他方、ベース30は図2に示されるように、厚み2cm~10cmの上面が凹状となった長方形状に形成され、複数の各ベッド面構成部分21の両側面21Aの下端はベース30の平坦な上面に固着され、又ベース30にはエアーの注入・排出口31が1又は複数形成され、エアーポンプ(図示せず)などを用いて複数のベッド面構成部分21及びベース30にエアーを充填して膨らませることができる一方、エアーを排気して複数のベッド面構成部分21及びベース30を萎ませることができるようになっている。
【0027】
乳児40を寝かせる場合、図3に示すように、エアーベッド10を例えばフロアなどに置き、注入・排出口31からエアーを注入してベッド面構成部分21及びベース30にエアーを充填して膨らませる。
【0028】
すると、ベース30の上面が凹状となっているので、ベッド面は長手方向の両側から中央に向けて厚みが漸減して凹状となっているので、ベッド面に乳児40を載せると、乳児40の背骨の後湾を保ったまま乳児40の身体がベッド面に載せられ、乳児40は背骨の後湾を保ったまま、凹状のベッド面によって抱かれたような姿勢になる。
【0029】
この姿勢は乳児40が母親の子宮内でとっていた姿勢であるので、乳児40は安らかに睡眠し、又背骨が歪んだり乳児40の頭の形状が歪みや偏平になったりするのを防止できる。
【0030】
以上のように、エアーベッド20をエアーの注入によって膨らみ、エアーの排気によって萎むようにしたので、エアーベッド20をコンパクトに畳んで容易に持ち運びができるとともに収納できる。また、好みの場所に容易に持ち運ぶことができる結果、母親が食事を調理しているときなどに、母親の目の届く距離に乳児を寝かせることができ、乳児は近くに母親がいることが分かって安心してすやすやと眠る。
【0031】
また、複数の断面円弧状のベッド面構成部分21を長手方向に並べてベッド面を構成したので、乳児をベッド面に寝かせても滑るおそれが少なく、安定に寝かせることができ、乳児の背中とベッド面との間の隙間ができるので、夏季に乳児40が汗をかいて蒸れることが少ない。
【0032】
複数のベッド面構成部分21を膨らんだ状態での頂部高さが長手方向両側から長手方向中央に向けて漸減させることによって、ベッド面を凹状に形成するようにしたので、乳児40をベッド面に寝かせると、乳児の身体が背骨の後湾を保ったままベッド面に載せられ、ベッド面によって抱かれたような姿勢になるので、姿勢が安定して安らかに睡眠することとなる。
【0033】
図4は第2の実施形態を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではベッド部20を複数のベッド面構成部分25を長手方向に並べて構成し、複数の各ベッド面構成部分25は隣接するベッド面構成部分25に固着され、複数の各ベッド面構成部分25は断面楕円形状をなし、断面楕円形状をベッド幅方向に延設した形状に製造され、ベッド面構成部分25の断面楕円形状はベッド長手方向の両側で長径に、長手方向の中央で短径に形成されることによってベッド面は凹状に形成されており、このようにベースを用いることなくエアーベッドを構成するようにしてよい。
【0034】
図5変形例を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではエアーベッドはベッド面構成部分26とベース30とから構成され、ベース30は上面が平坦となった長方形状に形成され、複数のベッド面構成部分26は長手方向に並べられ、複数の各ベッド面構成部分26は隣接するベッド面構成部分26に固着され、複数の各ベッド面構成部分26は断面楕円形状をなし断面楕円形状をベッド幅方向
に延設した形状に製造され、ベッド面構成部分26の断面楕円形状はベッド長手方向の両側で長径に、長手方向の中央で短径に形成されることによってベッド面は凹状に形成されている。なお、注入・排出口31はベース30だけではなく、ベッド面構成部分26にも設けるようにしてもよい。
【0035】
図6他の変形例を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではベッド面構成部分は袋体50によって構成され、袋体50には内容積に対して75~85%のエアーが充填されることによって上面が凹状になるようになっている。
【0036】
図7さらに他の変形例を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではエアーベッドはベッド面構成部分とベース30によって構成され、ベース30は上面が平坦となった長方形状に形成され、ベッド面構成部分は袋体50によって構成され、袋体50には内容積に対して75~85%のエアーが充填されることによって上面が凹状になるようになっている。
【0037】
図8図1の変形例を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではベッド面の周囲に縁60を起立して形成し、寝かせた乳児が落下するのを防止できるようにしている。
【符号の説明】
【0038】
10 乳児用エアーベッド
20 ベッド部
21、25、26 ベッド面構成部分
21A 側面
30 ベース
31 注入・排出口
40 乳児
60 縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8