(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/247 20210101AFI20241017BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241017BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241017BHJP
H01M 10/6235 20140101ALI20241017BHJP
H01M 10/6595 20140101ALI20241017BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20241017BHJP
【FI】
H01M50/247
H01M50/213
H01M50/204 401F
H01M50/284
H01M10/613
H01M10/6235
H01M10/6595
H01M10/643
(21)【出願番号】P 2020013201
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 裕紀
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133292(JP,A)
【文献】特開2014-049226(JP,A)
【文献】特表2014-517986(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159000(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206250352(CN,U)
【文献】特開2016-18605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背負式電源の背負子に支持され、電動作業機に電力を供給する電池装置であって、
長手方向に沿って延びる形状を有する電池セルと、
燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤と、
前記電池セルおよび前記消火剤を収容するケーシングを備え、
使用者が前記背負式電源を背負っており、かつ、前記電池装置が前記背負式電源の前記背負子に支持されている状態において、前記電池セル
の前記長手方向は、
上下方向及び左右方向を含む平面に平行に配列され、
前記消火剤は、前記電池セルの前記長手方向の一方側の端面及び他方側の端面に対向して配置されている、
電池装置。
【請求項2】
前記電池装置は、さらに、
複数の前記電池セルを備え、
前記消火剤は、平板形状を有しており、前記複数の電池セルの前記長手方向の前記一方側の端面に対向して配置されている1個の第1消火剤を備える、請求項1に記載の電池装置。
【請求項3】
前記第1消火剤には、前記第1消火剤の少なくとも一部を覆う保護部材が直接的に接触している、請求項2に記載の電池装置。
【請求項4】
前記ケーシングが、前記電池セルと前記消火剤を収容する収容室を備えており、
前記収容室が、シール部材によって密閉されている、請求項1から3の何れか一項の電池装置。
【請求項5】
前記ケーシングは、第1ケーシングと、前記第1ケーシングに固定される第2ケーシングと、前記第2ケーシングの内側において前記第1ケーシングに固定されるインナカバーと、を含み、
前記第1ケーシングと前記インナカバーによって前記収容室が画定される、請求項4に記載の電池装置。
【請求項6】
前記電池セルが、5個以上の円筒型電池セルを備える、請求項1から5の何れか一項の電池装置。
【請求項7】
前記ケーシングに収容されており、前記電池セルを保持するセルホルダと、
前記ケーシングに収容されており、前記セルホルダに取り付けられた回路基板をさらに備えており、
前記消火剤が、前記回路基板と前記セルホルダの間に配置された第2消火剤を備える、請求項1から6の何れか一項の電池装置。
【請求項8】
電動作業機に電力を供給する電池装置であって、
長手方向に沿って延びる形状を有する複数の電池セルと、
燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤と、
前記複数の電池セルおよび前記消火剤を収容するケーシングを備え、
前記消火剤は、平板形状を有しており、前記複数の電池セルの前記長手方向の一方側の端面に対向して配置される1個の第1消火剤を備
え、
前記ケーシングが、前記複数の電池セルと前記消火剤を収容する収容室を備えており、
前記収容室は、シール部材によって密閉されており、
前記ケーシングは、第1ケーシングと、前記第1ケーシングに固定される第2ケーシングと、前記第2ケーシングの内側において前記第1ケーシングに固定されるインナカバーと、を含み、
前記第1ケーシングと前記インナカバーによって前記収容室が画定され、
前記複数の電池セルの前記長手方向において、前記1個の第1消火剤の外側には、前記収容室を画定する第1壁部と、前記ケーシングの第2壁部と、が配置されている、
電池装置。
【請求項9】
電動作業機に電力を供給する電池装置であって、
長手方向に沿って延びる形状を有する複数の電池セルと、
燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤と、
前記複数の電池セルおよび前記消火剤を収容するケーシングを備え、
前記消火剤は、平板形状を有しており、前記複数の電池セルの前記長手方向の一方側の端面に対向して配置される1個の第1消火剤を備
え、
前記電池装置は、
前記ケーシングに収容されており、前記複数の電池セルを保持するセルホルダと、
前記ケーシングに収容されており、前記セルホルダに取り付けられた回路基板をさらに備えており、
前記消火剤が、前記回路基板と前記セルホルダの間に配置された第2消火剤を備える、
電池装置。
【請求項10】
前記ケーシングが、前記複数の電池セルと前記消火剤を収容する収容室を備えており、
前記収容室は、シール部材によって密閉されている、請求項
9に記載の電池装置。
【請求項11】
前記ケーシングは、第1ケーシングと、前記第1ケーシングに固定される第2ケーシングと、前記第2ケーシングの内側において前記第1ケーシングに固定されるインナカバーと、を含み、
前記第1ケーシングと前記インナカバーによって前記収容室が画定される、請求項10に記載の電池装置。
【請求項12】
前記第1消火剤には、前記第1消火剤の少なくとも一部を覆う保護部材が直接的に接触している、請求項8
から11の何れか一項に記載の電池装置。
【請求項13】
前記複数の電池セルが、5個以上の円筒型電池セルを備える、請求項8から
12の何れか一項の電池装置。
【請求項14】
前記電池セルがSOC(State of Charge)90%以上で充電される、請求項1から13の何れか一項の電池装置。
【請求項15】
前記電池セルのエネルギ密度が、300Wh/リットル以上である、請求項1から14の何れか一項の電池装置。
【請求項16】
前記電池セルが、リチウムイオン電池セルを備える、請求項1から15の何れか一項の電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動作業機に電力を供給する電池装置が開示されている。前記電池装置は、電池セルと、電池セルの燃焼時に体積が膨張する防火部材と、前記電池セルおよび前記防火部材を収容するケーシングを備える電池装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0325826号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、不適切な扱いがなされて電池セルが発火した場合に、防火部材によって消火されるまである程度の時間を要する。本明細書では、電池装置において電池セルが発火した場合に、速やかに消火することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、電動作業機に電力を供給する電池装置を開示する。前記電池装置は、電池セルと、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤と、前記電池セルおよび前記消火剤を収容するケーシングを備えていてもよい。
【0006】
上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、消火剤による負触媒効果によって、速やかに消火することができる。また、上記の構成によれば、電池装置において電池セルが発火した場合に、速やかに消火することができるので、他の電池セルやケーシングへの類焼を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1の電池装置4を備える背負式電源2の斜視図である。
【
図3】実施例1の電池装置4の後側ケーシング24を取り外した状態の斜視図である。
【
図4】実施例1の電池装置4の後側ケーシング24とインナカバー26を取り外した状態の斜視図である。
【
図5】実施例1の電池装置4の電池セルモジュール34,36と消火剤40,42,44,46,48,50,52,54の位置関係を示す斜視図である。
【
図6】実施例1の電池装置4の部分的な横断面図である。
【
図7】実施例1の電池装置4の前側ケーシング22の斜視図である。
【
図8】実施例1の消火剤40,42,44,46,48,50,52,54の変形例の斜視図である。
【
図9】実施例1の電池装置4の内部の構成を示す断面斜視図である。
【
図10】実施例2の電池パック102の斜視図である。
【
図11】実施例2の電池パック102の分解斜視図である。
【
図12】実施例2の電池パック102の複数の電池セル122の斜視図である。
【
図13】実施例1の電池装置4を電動作業機80に接続した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電池装置を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池装置は、電動作業機に電力を供給してもよい。前記電池装置は、電池セルと、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤と、前記電池セルおよび前記消火剤を収容するケーシングを備えていてもよい。なお、本明細書でいう負触媒効果とは、燃焼の連鎖反応を抑制する効果のことをいう。燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分としては、例えば、水素、硫化水素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、エチレン等の燃焼ガスを吸収する成分であってもよい。あるいは、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分としては、燃焼時に塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等を生成して可燃物の酸化を抑制する成分であってもよい。
【0012】
上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、消火剤による負触媒効果によって、速やかに消火することができる。また、上記の構成によれば、電池装置において電池セルが発火した場合に、速やかに消火することができるので、他の電池セルやケーシングへの類焼を抑制することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池装置は、前記電池セルがSOC(State of Charge)90%以上で充電されてもよい。
【0014】
電池セルのSOCが高い状態では、電池セルが発火したときに激しく燃えるおそれがある。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、激しく燃えてしまうことを抑制することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池セルのエネルギ密度は、300Wh/リットル以上であってもよい。例えば、前記電池セルのエネルギ密度は、400Wh/リットル以上であってもよく、500Wh/リットル以上であってもよく、600Wh/リットル以上であってもよく、700Wh/リットル以上であってもよい。
【0016】
電池セルのエネルギ密度が高いと、電池セルが発火したときに激しく燃えるおそれがある。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、激しく燃えてしまうことを抑制することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池装置は、前記消火剤の少なくとも一部を覆う保護部材を備えていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、電池装置に衝撃が加わった場合でも、消火剤を保護することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池セルは、5個以上の円筒型電池セルを備えていてもよい。例えば、前記電池セルは、10個以上の円筒型電池セルを備えていてもよく、20個以上の円筒型電池セルを備えていてもよく、50個以上の円筒型電池セルを備えていてもよく、100個以上の円筒型電池セルを備えていてもよい。
【0020】
電池セルが多数の円筒型電池セルを備える場合、少数の円筒型電池セルを備える場合に比べて、何れかの円筒型電池セルが発火するリスクが高くなる。上記の構成によれば、何れかの円筒型電池セルが発火した時に、速やかに消火することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記ケーシングは、前記電池セルと前記消火剤を収容する収容室を備えていてもよい。前記収容室は、密閉されていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、電池セルが発火したときに消火剤の成分が収容室の外部に漏れ出ることを抑制することができる。不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、速やかに消火することができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記消火剤は、前記電池セルの電極に対向して配置された第1消火剤を備えていてもよい。
【0024】
電池セルが発火する際には、電極から火炎が延びることが多い。上記の構成によれば、電池セルが発火した時に、第1消火剤が火炎に曝されやすくなり、負触媒効果を速やかに発揮させることができる。不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、速やかに消火することができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1消火剤は、前記電池セルの正極に対向して配置されていてもよい。
【0026】
特定の種類の電池セルでは、電池セルが発火する際には、正極から火炎が延びる。上記の構成によれば、このような種類の電池セルが発火した時に、第1消火剤が火炎に曝されやすくなり、負触媒効果を速やかに発揮させることができる。不適切な扱いがなされて電池セルが発火した時に、速やかに消火することができる。
【0027】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池装置は、前記ケーシングに収容されており、前記電池セルを保持するセルホルダと、前記ケーシングに収容されており、前記セルホルダに取り付けられた回路基板をさらに備えていてもよい。前記消火剤は、前記回路基板と前記セルホルダの間に配置された第2消火剤を備えていてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、セルホルダと回路基板の間の空間を有効に活用することができる。
【0029】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池セルは、リチウムイオン電池セルを備えていてもよい。
【0030】
リチウムイオン電池セルは、他の種類の電池セルに比べて、様々な原因によって発火するリスクが高い。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされてリチウムイオン電池セルが発火した場合でも、速やかに消火することができる。
【0031】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例の背負式電源2は、電池装置4と、電池装置4を支持する背負子6と、背負子6に取り付けられた肩ベルト8と、背負子6に取り付けられた腰ベルト10を備えている。使用者は、肩ベルト8を肩にかけて、腰ベルト10を腰に巻き付けることで、背負式電源2を背負った状態で保持することができる。なお、以下の説明では、使用者が背負式電源2を背負った状態において、使用者から見た上下方向、左右方向、前後方向を、それぞれ背負式電源2の上下方向、左右方向、前後方向という。
【0032】
図2に示すように、電池装置4は、充電プラグ12と、放電ケーブル14と、放電プラグ16と、残量表示ランプ18と、残量表示ボタン20を備えている。放電プラグ16は、放電ケーブル14の先端に設けられている。電池装置4は、充電ケーブル(図示せず)を介して充電プラグ12を外部電源(図示せず)に接続することで、外部電源から充電可能である。また、
図13に示すように、電池装置4は、放電ケーブル14を介して電動作業機80に接続することで、電動作業機80に放電可能である。
図13に示す例では、電動作業機80は、電池パック取付部80aに電池パック(図示せず)を着脱可能なブロワである。
図13に示す例では、電動作業機80の電池パック取付部80aに、電池パックの代わりにアダプタ82が取り付けられており、アダプタ82に放電プラグ16が接続されている。なお、電動作業機80は、アダプタ82を介さずに、放電プラグ16を直接接続可能な構成としてもよい。また、電動作業機80は、例えば、草刈機やチェーンソー等の他の電動作業機であってもよいし、ドライバやドリル等のいわゆる電動工具であってもよい。残量表示ランプ18は、電池装置4の電池残量を表示する。残量表示ボタン20は、残量表示ランプ18による電池残量の表示のオンとオフを切り換える。
【0033】
図2、
図3、
図4に示すように、電池装置4は、前側ケーシング22と、後側ケーシング24と、インナカバー26を備えている。なお、以下では、前側ケーシング22と、後側ケーシング24と、インナカバー26を総称して、単にケーシング28ともいう。後側ケーシング24とインナカバー26は、それぞれ、締結具によって前側ケーシング22に固定されている。前側ケーシング22とインナカバー26で囲われた空間を、以下では収容室30ともいう。前側ケーシング22とインナカバー26の接続箇所には、シール部材32が設けられている。収容室30はシール部材32によって外部から密閉されている。
【0034】
図4、
図5に示すように、収容室30には、電池セルモジュール34,36と、制御回路基板38と、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54が収容されている。電池セルモジュール34,36は、それぞれ、締結具によって前側ケーシング22に固定されている。制御回路基板38は、締結具によって電池セルモジュール34,36に固定されている。
【0035】
図5、
図6に示すように、電池セルモジュール34,36は、それぞれ、複数の電池セル56,58と、複数の電池セル56,58を保持するセルホルダ60,62と、複数の電池セル56,58を制御回路基板38と電気的に接続するリード板64,66を備えている。複数の電池セル56,58のそれぞれは、例えば略円筒形状を有する二次電池セルであり、例えばリチウムイオン電池セルである。複数の電池セル56,58のそれぞれは、例えば、18650型のセル形状を有し、体積エネルギ密度が729Wh/リットルであり、定格容量3.35Ahであり、定格電圧が3.6Vである。なお、複数の電池セル56,58のそれぞれは、体積エネルギ密度が327Wh/リットルであってもよく、定格容量が1.5Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル56,58のそれぞれは、体積エネルギ密度が436Wh/リットルであってもよく、定格容量が2Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル56,58のそれぞれは、体積エネルギ密度が544Wh/リットルであってもよく、定格容量が2.5Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル56,58のそれぞれは、体積エネルギ密度が653Wh/リットルであってもよく、定格容量が3Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル56,58のそれぞれは、21700型のセル形状を有しても良く、体積エネルギ密度が594Wh/リットルであってもよく、定格容量が4Ahであってもよく、定格電圧が3.6Vであってもよい。なお、複数の電池セル56,58のそれぞれは、略円筒形状のものに限られず、いわゆる角型のものであってもよいし、ラミネート型のものであってもよい。電池装置4は、複数の電池セル56,58のそれぞれがSOC(State of Charge)90%以上で充電されるものである。複数の電池セル56,58のそれぞれは、電極として、正極56a,58aと、負極56b,58bを備える。複数の電池セル56,58は、長手方向が左右方向に沿うように、前後方向および上下方向に並んで配置されている。本実施例では、電池セルモジュール34は、上下方向に10個、前後方向に5個が並んだ、計50個の電池セル56を備えており、電池セルモジュール36は、上下方向に10個、前後方向に5個が並んだ、計50個の電池セル58を備えている。複数の電池セル56,58のうちの一部は、正極56a,58aが右側に配置され、負極56b,58bが左側に配置されており、複数の電池セル56,58のうちの残りは、正極56a,58aが左側に配置されており、負極56b、58bが右側に配置されている。リード板64は、電池セルモジュール34の右面および左面に設けられており、複数の電池セル56の正極56aと負極56bのそれぞれを、セルホルダ60に固定された制御回路基板38に電気的に接続する。リード板66は、電池セルモジュール36の右面および左面に設けられており、複数の電池セル58の正極58aと負極58bのそれぞれを、セルホルダ62に固定された制御回路基板38に電気的に接続する。
【0036】
消火剤40,42,44,46,48,50,52,54は、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含んでいる。消火剤40,42,44,46,48,50,52,54は、例えば固体の粉末状の消火剤を板状に圧縮成形したものであってもよいし、気体または液体の消火剤を板状の薄膜容器に封入したものであってもよい。消火剤40,42,44,46,48,50,52,54は、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分として、例えば、水素、硫化水素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、エチレン等の燃焼ガスを吸収する成分を含んでいてもよい。あるいは、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54は、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分として、燃焼時に塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等を生成して可燃物の酸化を抑制する成分を含んでいてもよい。
【0037】
図7に示すように、前側ケーシング22には、消火剤40,42,44,46を保持するためのスロット68,70,72,74が形成されている。消火剤40は、電池セルモジュール34の右側で、スロット68に保持されている。消火剤42は、電池セルモジュール34の左側で、スロット70に保持されている。消火剤44は、電池セルモジュール36の右側で、スロット72に保持されている。消火剤46は、電池セルモジュール36の左側で、スロット74に保持されている。このため、
図5に示すように、消火剤40,42は、複数の電池セル56の正極56aや負極56bに対向して配置されており、消火剤44,46は、複数の電池セル58の正極58aや負極58bに対向して配置されている。なお、前側ケーシング22にスロット68,70,72,74が形成されていない場合は、消火剤40,42,44,46を、電池セルモジュール34,36に粘着テープにより貼着してもよい。
【0038】
消火剤48,50は、電池セルモジュール34のセルホルダ60の後面に貼着されている。消火剤52,54は、電池セルモジュール36のセルホルダ62の後面に貼着されている。制御回路基板38をセルホルダ60,62に取り付けた状態では、消火剤48,50は、制御回路基板38とセルホルダ60の間に配置されており、消火剤52,54は、制御回路基板38とセルホルダ62の間に配置されている。
【0039】
電池装置4の不適切な扱いによって、複数の電池セル56,58が発火して、正極56a,58aから火炎が生じることがある。このような場合に、本実施例の電池装置4では、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54の負触媒効果によって、複数の電池セル56,58の火炎を消火する。本実施例の電池装置4によれば、複数の電池セル56,58が発火した場合であっても、速やかに消火することができる。また、本実施例の電池装置4では、複数の電池セル56,58と消火剤40,42,44,46,48,50,52,54を収容する収容室30が密閉されているので、複数の電池セル56,58が発火した場合に、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54の成分が、収容室30の外部に漏れ出ることを抑制することができる。複数の電池セル56,58の火炎を速やかに消火することができる。
【0040】
なお、
図8に示すように、消火剤40,42,44,46,48,52,54は、ラミネートフィルム76によって表面と裏面を覆われていてもよい。この場合、消火剤40,42,44,46,48,52,54を保護することができるとともに、電池装置4を製造する際の消火剤40,42,44,46,48,52,54のハンドリング性を向上することができる。なお、ラミネートフィルム76がある程度の剛性および強度を有する場合には、ラミネートフィルム76を締結具によってセルホルダ60,62の右面、左面、または後面に固定してもよい。この場合も、消火剤40,42,44,46を、複数の電池セル56,58の正極56a,58aや負極56b,58bに対向して配置することができるとともに、消火剤48,50,52,54を制御回路基板38とセルホルダ60,62の間に配置することができる。
【0041】
上記の実施例において、板状の消火剤40,42,44,46,48,52,54の代わりに、他の形状の消火剤を用いてもよい。例えば、
図9に示すように、セルホルダ60,62が種々の空洞78を有する場合には、固体の粉末を空洞78の形状に合わせて圧縮成形した消火剤(図示せず)を空洞78に充填してもよい。
【0042】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、電池装置4は、電動作業機80に電力を供給する。電池装置4は、電池セル56,58と、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤40,42,44,46,48,50,52,54と、電池セル56,58および消火剤40,42,44,46,48,50,52,54を収容するケーシング28を備えている。
【0043】
上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セル56,58が発火した時に、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54による負触媒効果によって、速やかに消火することができる。また、上記の構成によれば、電池装置4において電池セル56,58が発火した場合に、速やかに消火することができるので、他の電池セル56,58やケーシング28への類焼を抑制することができる。
【0044】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池装置4は、電池セル56,58がSOC(State of Charge)90%以上で充電される。
【0045】
電池セル56,58のSOCが高い状態では、電池セル56,58が発火したときに激しく燃えるおそれがある。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セル56,58が発火した時に、激しく燃えてしまうことを抑制することができる。
【0046】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池セル56,58のエネルギ密度は、300Wh/リットル以上である。
【0047】
電池セル56,58のエネルギ密度が高いと、電池セル56,58が発火したときに激しく燃えるおそれがある。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セル56,58が発火した時に、激しく燃えてしまうことを抑制することができる。
【0048】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池装置4は、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54の少なくとも一部を覆うラミネートフィルム76(保護部材の例)を備えている。
【0049】
上記の構成によれば、電池装置4に衝撃が加わった場合でも、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54を保護することができる。
【0050】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池セル56,58は、5個以上の円筒型電池セルを備える。
【0051】
電池セル56,58が多数の円筒型電池セルを備える場合、少数の円筒型電池セルを備える場合に比べて、何れかの円筒型電池セルが発火するリスクが高くなる。上記の構成によれば、何れかの円筒型電池セルが発火した時に、速やかに消火することができる。
【0052】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ケーシング28は、電池セル56,58と消火剤40,42,44,46,48,50,52,54を収容する収容室30を備えている。収容室30は、密閉されている。
【0053】
上記の構成によれば、電池セル56,58が発火したときに消火剤40,42,44,46,48,50,52,54の成分が収容室30の外部に漏れ出ることを抑制することができる。不適切な扱いがなされて電池セル56,58が発火した時に、速やかに消火することができる。
【0054】
1つまたはそれ以上の実施形態において、消火剤40,42,44,46,48,50,52,54は、電池セル56,58の正極56a,58aや負極56b、58b(電極の例)に対向して配置された消火剤40,42,44,46(第1消火剤の例)を備えている。
【0055】
電池セル56,58が発火する際には、正極56a,58aや負極56b、58bから火炎が延びることが多い。上記の構成によれば、電池セル56,58が発火した時に、消火剤40,42,44,46が火炎に曝されやすくなり、負触媒効果を速やかに発揮させることができる。不適切な扱いがなされて電池セル56,58が発火した時に、速やかに消火することができる。
【0056】
1つまたはそれ以上の実施形態において、消火剤40,42,44,46は、電池セル56,58の正極56a,58aに対向して配置されている。
【0057】
特定の種類の電池セル56,58(例えばリチウムイオン電池セル)では、電池セル56,58が発火する際には、正極56a,58aから火炎が延びる。上記の構成によれば、このような種類の電池セル56,58が発火した時に、消火剤40,42,44,46が火炎に曝されやすくなり、負触媒効果を速やかに発揮させることができる。不適切な扱いがなされて電池セル56,58が発火した時に、速やかに消火することができる。
【0058】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池装置4は、ケーシング28に収容されており、電池セル56,58を保持するセルホルダ60,62と、ケーシング28に収容されており、セルホルダ60,62に取り付けられた制御回路基板38(回路基板の例)をさらに備えている。消火剤40,42,44,46,48,50,52,54は、制御回路基板38とセルホルダ60,62の間に配置された消火剤48,50,52,54(第2消火剤の例)を備えている。
【0059】
上記の構成によれば、セルホルダ60,62と制御回路基板38の間の空間を有効に活用することができる。
【0060】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池セル56,58は、リチウムイオン電池セルである。
【0061】
リチウムイオン電池セルは、他の種類の電池セルに比べて、様々な原因によって発火するリスクが高い。上記の構成によれば、リチウムイオン電池セルが発火した場合でも、速やかに消火することができる。
【0062】
(実施例2)
図10に示す本実施例の電池パック102は、電動作業機80(
図13参照)の電池パック取付部80aに取り付けて使用される。電動作業機80は、
図13に示すようなブロワであってもよいし、草刈機やチェーンソー等の他の電動作業機であってもよいし、ドライバやドリル等のいわゆる電動工具であってもよい。電池パック102は、電動作業機80に対して所定のスライド方向に対してスライドさせることで、電動作業機80に着脱可能である。以下では、電池パック102を電動作業機80に取り付ける際に電池パック102をスライドさせる方向を後方向といい、電池パック102を電動作業機80から取り外す際に電池パック102をスライドさせる方向を後方向という。また、電池パック102を電動作業機80に取り付けた状態で、電池パック102から見て電動作業機80が位置する方向を上方向といい、上方向の逆方向を下方向という。さらに、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向という。
【0063】
図10に示すように、電池パック102は、下側ケーシング104と、上側ケーシング106を備えている。なお、以下では下側ケーシング104と上側ケーシング106を総称して、単にケーシング108ともいう。上側ケーシング106は、締結具によって下側ケーシング104に固定されている。
【0064】
図11に示すように、ケーシング108の内部には、電池セルモジュール110と、制御回路基板112と、消火剤114,116,118,120が収容されている。電池セルモジュール110は、下側ケーシング104の内部に載置されている。制御回路基板112は、締結具によって電池セルモジュール110に固定されている。
【0065】
電池セルモジュール110は、複数の電池セル122(
図12参照)と、複数の電池セル122を保持するセルホルダ124と、複数の電池セル122を制御回路基板112と電気的に接続するリード板126と、隣接するリード板126の間を絶縁する絶縁シート128を備えている。複数の電池セル122のそれぞれは、例えば略円筒形状を有する二次電池セルであり、例えばリチウムイオン電池セルである。複数の電池セル122のそれぞれは、例えば、18650型のセル形状を有し、体積エネルギ密度が653Wh/リットルであり、定格容量3Ahであり、定格電圧が3.6Vである。なお、複数の電池セル122のそれぞれは、体積エネルギ密度が327Wh/リットルであってもよく、定格容量が1.5Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル122のそれぞれは、体積エネルギ密度が436Wh/リットルであってもよく、定格容量が2Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル122のそれぞれは、体積エネルギ密度が544Wh/リットルであってもよく、定格容量が2.5Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル122のそれぞれは、体積エネルギ密度が653Wh/リットルであってもよく、定格容量が3Ahであってもよい。あるいは、複数の電池セル122のそれぞれは、21700型のセル形状を有しても良く、体積エネルギ密度が594Wh/リットルであってもよく、定格容量が4Ahであってもよく、定格電圧が3.6Vであってもよい。なお、複数の電池セル122のそれぞれは、略円筒形状のものに限られず、いわゆる角型のものであってもよいし、ラミネート型のものであってもよい。電池パック102は、複数の電池セル122のそれぞれがSOC(State of Charge)90%以上で充電されるものである。
図12に示すように、複数の電池セル122のそれぞれは、電極として、正極122aと、負極122bを備える。複数の電池セル122は、長手方向が左右方向に沿うように、前後方向および上下方向に並んで配置されている。本実施例では、電池セルモジュール110は、上下方向に2個、前後方向に5個が並んだ、計10個の電池セル122を備えている。複数の電池セル122のうちの一部は、正極122aが右側に配置され、負極122bが左側に配置されており、複数の電池セル122のうちの残りは、正極122aが左側に配置され、負極122bが右側に配置されている。リード板126は、電池セルモジュール110の右面および左面に設けられており、複数の電池セル122の正極122aと負極122bのそれぞれを、セルホルダ124に固定された制御回路基板112に電気的に接続する。絶縁シート128は、リード板126のうちの一部に貼着されており、水等の導電性物質がケーシングの内部に侵入した場合に、隣接するリード板126の間で電気的な短絡が生じることを防止する。
【0066】
消火剤114,116,118,120は、実施例1の消火剤40,42,44,46,48,50,52,54と同様のものである。消火剤114は、下側ケーシング104の内側の右側面と電池セルモジュール110の右面の間に配置されている。消火剤116は、下側ケーシング104の内側の左側面と電池セルモジュール110の左面の間に配置されている。このため、消火剤114,116は、複数の電池セル122の正極122aや負極122bに対向して配置される。また、消火剤118は、下側ケーシング104の内側の底面と電池セルモジュール110の下面の間に配置されている。消火剤120は、制御回路基板112とセルホルダ124の間に配置されている。
【0067】
電池パック102の不適切な扱いによって、複数の電池セル122が発火して、正極122aから火炎が生じることがある。このような場合に、本実施例の電池パック102では、消火剤114,116,118,120の負触媒効果によって、複数の電池セル122の火炎を消火する。本実施例の電池パック102によれば、複数の電池セル122が発火した場合であっても、速やかに消火することができる。
【0068】
なお、本実施例の消火剤114,116,118,120も、実施例1の消火剤40,42,44,46,48,50,52,54と同様に、ラミネートフィルム76によって表面と裏面を覆われていてもよい。
【0069】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック102(電池装置の例)は、電動作業機80に電力を供給する。電池パック102は、電池セル122と、燃焼に対して負触媒効果をもたらす成分を含む消火剤114,116,118,120と、電池セル122および消火剤114,116,118,120を収容するケーシング108を備えている。
【0070】
上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セル122が発火した時に、消火剤114,116,118,120による負触媒効果によって、速やかに消火することができる。また、上記の構成によれば、電池パック102において電池セル122が発火した場合に、速やかに消火することができるので、他の電池セル122やケーシング108への類焼を抑制することができる。
【0071】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック102は、電池セル122がSOC(State of Charge)90%以上で充電される。
【0072】
電池セル122のSOCが高い状態では、電池セル122が発火したときに激しく燃えるおそれがある。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セル122が発火した時に、激しく燃えてしまうことを抑制することができる。
【0073】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池セル122のエネルギ密度は、300Wh/リットル以上である。
【0074】
電池セル122のエネルギ密度が高いと、電池セル122が発火したときに激しく燃えるおそれがある。上記の構成によれば、不適切な扱いがなされて電池セル122が発火した時に、激しく燃えてしまうことを抑制することができる。
【0075】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック102は、消火剤114,116,118,120の少なくとも一部を覆うラミネートフィルム76(保護部材の例)を備えている。
【0076】
上記の構成によれば、電池パック102に衝撃が加わった場合でも、消火剤114,116,118,120を保護することができる。
【0077】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池セル122は、5個以上の円筒型電池セルを備える。
【0078】
電池セル122が多数の円筒型電池セルを備える場合、少数の円筒型電池セルを備える場合に比べて、何れかの円筒型電池セルが発火するリスクが高くなる。上記の構成によれば、何れかの円筒型電池セルが発火した時に、速やかに消火することができる。
【0079】
1つまたはそれ以上の実施形態において、消火剤114,116,118,120は、電池セル122の正極122aや負極122b(電極の例)に対向して配置された消火剤114,116(第1消火剤の例)を備えている。
【0080】
電池セル122が発火する際には、正極122aや負極122bから火炎が延びることが多い。上記の構成によれば、電池セル122が発火した時に、消火剤114,116が火炎に曝されやすくなり、負触媒効果を速やかに発揮させることができる。不適切な扱いがなされて電池セル122が発火した時に、速やかに消火することができる。
【0081】
1つまたはそれ以上の実施形態において、消火剤114,116は、電池セル122の正極122aに対向して配置されている。
【0082】
特定の種類の電池セル122(例えばリチウムイオン電池セル)では、電池セル122が発火する際には、正極122aから火炎が延びる。上記の構成によれば、このような種類の電池セル122が発火した時に、消火剤114,116が火炎に曝されやすくなり、負触媒効果を速やかに発揮させることができる。不適切な扱いがなされて電池セル122が発火した時に、速やかに消火することができる。
【0083】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック102は、ケーシング108に収容されており、電池セル122を保持するセルホルダ124と、ケーシング108に収容されており、セルホルダ124に取り付けられた制御回路基板112(回路基板の例)をさらに備えている。消火剤114,116,118,120は、制御回路基板112とセルホルダ124の間に配置された消火剤120(第2消火剤の例)を備えている。
【0084】
上記の構成によれば、セルホルダ124と制御回路基板112の間の空間を有効に活用することができる。
【0085】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池セル122は、リチウムイオン電池セルである。
【0086】
リチウムイオン電池セルは、他の種類の電池セルに比べて、様々な原因によって発火するリスクが高い。上記の構成によれば、リチウムイオン電池セルが発火した場合でも、速やかに消火することができる。
【符号の説明】
【0087】
2 :背負式電源
4 :電池装置
6 :背負子
8 :肩ベルト
10 :腰ベルト
12 :充電プラグ
14 :放電ケーブル
16 :放電プラグ
18 :残量表示ランプ
20 :残量表示ボタン
22 :前側ケーシング
24 :後側ケーシング
26 :インナカバー
28 :ケーシング
30 :収容室
32 :シール部材
34 :電池セルモジュール
36 :電池セルモジュール
38 :制御回路基板
40 :消火剤
42 :消火剤
44 :消火剤
46 :消火剤
48 :消火剤
50 :消火剤
52 :消火剤
54 :消火剤
56 :電池セル
56a :正極
56b :負極
58 :電池セル
58a :正極
58b :負極
60 :セルホルダ
62 :セルホルダ
64 :リード板
66 :リード板
68 :スロット
70 :スロット
72 :スロット
74 :スロット
76 :ラミネートフィルム
78 :空洞
80 :電動作業機
80a :電池パック取付部
82 :アダプタ
102 :電池パック
104 :下側ケーシング
106 :上側ケーシング
108 :ケーシング
110 :電池セルモジュール
112 :制御回路基板
114 :消火剤
116 :消火剤
118 :消火剤
120 :消火剤
122 :電池セル
122a :正極
122b :負極
124 :セルホルダ
126 :リード板
128 :絶縁シート