(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/06 20100101AFI20241017BHJP
【FI】
B67D7/06 Z
(21)【出願番号】P 2020115874
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 繁
(72)【発明者】
【氏名】仁科 孝之
(72)【発明者】
【氏名】川井田 尚
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】善明 春斗
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239180(JP,A)
【文献】特開2002-193399(JP,A)
【文献】特開2021-095212(JP,A)
【文献】特開2018-070218(JP,A)
【文献】特開2020-111387(JP,A)
【文献】特開2021-095214(JP,A)
【文献】特開2022-016236(JP,A)
【文献】特開2022-030369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給対象に燃料の供給を行う燃料供給装置と、
前記燃料供給装置による燃料供給の許可を行う管理装置と、
携帯可能な移動体通信端末機器と、を備え、
前記移動体通信端末機器は、前記管理装置の操作端末としての第1の機能と、当該第1の機能以外の第2の機能と、を備え、
前記移動体通信端末機器は、前記第1の機能として動作する場合、前記管理装置と協働して前記燃料供給装置による燃料供給の許可を行い、
前記管理装置は、前記移動体通信端末機器が予め定められた所定の範囲内に所在しているか否か判定する判定手段と、当該判定手段によって前記移動体通信端末機器が前記所定の範囲内に所在していると判定された場合に、前記移動体通信端末機器の前記第2の機能の
実行を無効にし、前記第1の機能を有効にする端末機器稼働制御手段と、
を備える燃料供給システム。
【請求項2】
前記端末機器稼働制御手段は、前記判定手段によって前記移動体通信端末機器が前記所定の範囲内に所在していないと判定された場合に、前記移動体通信端末機器の前記第2の機能の
実行を
可能にする、請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記判定手段は、さらに、前記移動体通信端末機器が前記燃料供給装置の設置場所である燃料供給所内または当該燃料供給所内の燃料供給ポイントに位置するか否か判定し、
前記端末機器稼働制御手段は、前記判定手段によって前記移動体通信端末機器が前記燃料供給所内または前記燃料供給ポイントに位置していないと判定された場合に、前記移動体通信端末機器の前記第2の機能の
実行を無効にする、請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記端末機器稼働制御手段は、
前記移動体通信端末機器の前記第1の機能を用いて前記燃料供給装置による燃料供給が開始されたのち、前記燃料供給装置からの終了信号を受信するまでの間、前記移動体通信端末機器の前記第2の機能の
実行を無効にする、請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項5】
前記移動体通信端末機器の前記第2の機能は、前記管理装置に対して、前記燃料供給装置の全ての燃料供給ポイントにおける燃料供給の緊急停止指示を送信する通知機能を含み、
前記端末機器稼働制御手段は、前記通知機能による前記緊急停止指示を送信した場合に、前記移動体通信端末機器の前記第2の機能の
実行が無効とされている場合であっても、外部通信機器に対する緊急通信を可能にする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、顧客自身が燃料供給装置を操作して燃料供給作業を行うセルフサービス方式の燃料供給所に適用して好適な燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セルフサービス方式の燃料供給システムでは、車両等の供給対象に対する燃料供給を、顧客自身が設定器により供給液種、供給液量等を設定し、燃料供給装置に備えられた燃料供給ノズルを操作して行う。
【0003】
セルフサービス方式の燃料供給システムの一例としてのセルフ給油システムでは、顧客自らが、給油作業設定器により車両等の供給対象にこれから供給する油種、油量等の給油作業情報の設定を行い、給油機(燃料供給装置)のノズル掛けから給油ノズル(燃料供給ノズル)を取り外して、給油ノズルの吐出パイプを車両等の給油口に挿入させた状態で操作レバーを開弁操作し、供給対象に対する燃料供給を行う。
【0004】
その際、給油機のノズル掛けから給油ノズルが取り外されると、給油機から、その設定された給油作業情報や、給油ノズルへの送液許可要求を含む作業許可要求が、管理装置(セルフ・サービス・コンソール、SSC)に対して送られる。
【0005】
作業監督者としての給油所係員は、顧客による上述した準備作業が誤りなく適確に行われていることを確認すると、管理装置によって、送液許可要求があった給油機の設定油種の給油ノズルへの送液を許可し、供給対象に対する実際の燃料供給(給油)を顧客自らの操作レバーの操作で開始できるようにする。
【0006】
一例として、特許文献1、2に記載されたセルフ給油システムでは、管理装置には、給油所係員が携帯可能な専用の操作端末(リモートコントローラ、ヘッドマウントディスプレイ装置)が備えられている。操作端末は、管理装置と通信接続され、給油所に設置されている複数の給油機それぞれの作動状態(稼動状態)が表示される表示部と、給油機それぞれのポンプ等の送液機器の作動を許可して実際の給油開始(燃料供給開始)を許可する操作部と、を有する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-335696号公報
【文献】特開2018-52570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、管理装置(SSC)の操作端末は、管理装置(SSC)専用の端末機器として構成されていた。一方で、現在は、スマートフォン、通信機能を備えたタブレット型コンピュータ等といった携帯可能な汎用の移動体通信端末機器が広く普及している。
【0009】
そこで、これら汎用の移動体通信端末機器は、表示部及び操作部が備えられている点で管理装置の操作端末と変わりないことから、管理装置(SSC)の操作端末としてこれら汎用の移動体通信端末機器を利用できるようにすることが、性能面、コスト面から期待されている。
【0010】
しかしながら、これら汎用の移動体通信端末機器は、通話しながらアプリケーションを使用することができたり、また、マルチウィンドウ機能によって分割された各画面で異なるアプリケーションを同時に動かせるマルチタスク機能が備えられていたりする。そのため、移動体通信端末機器を管理装置(SSC)の操作端末として利用しようとした場合、セルフサービス方式の燃料供給所の安全面で好ましくなかった。このように、これら汎用の移動体通信端末機器では、管理装置端末としての機能と通話を含む管理装置端末として以外の他の機能との共存が困難であった。
【0011】
具体的には、汎用の移動体通信端末機器を管理装置の操作端末であるリモートコントローラとして機能させた場合に、リモートコントローラとしての稼動中でも、通話や燃料供給の管理とは無関係な別のアプリケーションが使用できるので、作業監督者としての給油所係員による給油所内の監視確認が不十分になるおそれがある。
【0012】
本開示は上記した課題を解決するものであって、携帯可能な汎用の移動体通信端末機器を管理装置の操作端末に適用しても、係員による給油所内の監視確認に支障を生じさせない、安全性の向上をはかった燃料供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る燃料供給システムは、
供給対象に燃料の供給を行う燃料供給装置と、
前記燃料供給装置による燃料供給作業の実行を管理する管理装置と
を備えた燃料供給システムであって、
前記管理装置の端末としての機能を備えた携帯可能な移動体通信端末機器と、
前記移動体通信端末機器の所在状況に応じて、前記移動体通信端末機器の前記管理装置の端末としての機能または前記管理装置の端末としての機能以外の他の機能の作動を制御する端末機器稼働制御手段と
を備えている燃料供給システムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、携帯可能な移動体通信端末機器を利用して管理装置の可搬式の操作端末を実現することが可能となり、かつ管理装置を備えた燃料供給システムの安全性も向上する。
【0015】
また、本開示の上記した以外の、課題、構成及び効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示に係る燃料供給システムの一実施例としての給油システムの全体構成図である。
【
図2】給油作業管理装置の管理装置端末機能部を備えた、特定の移動体通信端末機器のホーム画面を示した図である。
【
図3】給油作業管理装置の管理装置端末機能部を備えた、特定の移動体通信端末機器が実行するSSC端末処理のフローチャートである。
【
図4】移動体通信端末機器が実行するSSC端末処理のセッション接続開始に呼応して、給油作業管理装置の端末作動制御部が実行するセッション接続処理のフローチャートである。
【
図5】給油作業管理装置の管理装置端末機能部を備えた、特定の移動体通信端末機器のSSC端末画面の一例を示した図である。
【
図6】移動体通信端末機器が給油作業管理装置の操作端末として作動中に実行されるセッション接続管理処理のフローチャートである。
【
図7】SSC端末として作動中の移動体通信端末機器側でSSC端末としての作動状態を終了させる場合の、移動体通信端末機器側で行うセッション終了処理のフローチャートである。
【
図8】SSC端末として作動中の移動体通信端末機器側でSSC端末としての作動状態を終了させる場合の、給油作業管理装置側で行うセッション終了処理のフローチャートである。
【
図9】SSC端末として作動中の移動体通信端末機器の緊急通話発信処理のフローチャートである。
【
図10】SSC端末として作動中の移動体通信端末機器における外部通信受信処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る燃料供給システムの一の実施形態について、図面に基づいて説明する。説明では、本開示に係る燃料供給システムを、顧客自身が給油機の給油ノズルを操作して車両等の供給対象に対する給油作業を行うセルフサービス方式の給油所に適用した場合のセルフ給油システムを例に説明する。なお、本開示に係る燃料供給システムが適用されるセルフサービス方式の燃料供給所は、セルフサービス方式の給油所に限られるものではなく、セルフサービス方式の液化燃料ガス供給所等にも適用可能である。
【0018】
図1は、本開示に係る燃料供給システムの一実施例としての給油システムの全体構成図である。
【0019】
本実施例に係る給油システム1は、セルフサービス給油方式に適用可能な給油機10と、釣銭機(精算機)20と、これら給油機10及び釣銭機20を備えた給油所全般の作業管理を行う給油所管理装置30とを有する。給油システム1は、給油所内のSS-LAN(Service Station - Local Area Network)6を介して、これら給油機10、釣銭機20、給油所管理装置30をシリアル通信接続して構成され、これら各機器間では、各種信号及び各種情報データの交信が可能になっている。
【0020】
給油機10は、給油機筐体11内に、ポンプ等の送液機器、流量計等の流量計測機器、及び各部の作動制御や給油量の演算を行う給油機制御装置、等を収容している。給油機筐体11からは、先端に給油ノズル13を有するホース12が延設され、ホース12に基端側は、給油機筐体11内の流量計の流出側と連通されている。
【0021】
給油ノズル13には、操作レバーの操作に応動して開閉弁し、車両等の供給対象内における燃料油液の液面がノズル先端の吐出パイプに達すると操作レバーの操作位置にかかわらず閉弁する自動閉弁機構が備えられている。給油ノズル13は、給油機筐体11に設けられたノズル掛け14に対して取り出し・収納自在になっており、給油作業が行われていない間はノズル掛け14に収納される。
【0022】
給油機10は、ポンプの作動によって、図示せぬ地下タンク(貯液タンク)から燃料油液を汲み上げ、汲み上げた燃料油液が、流量計を介して、ホース先端の給油ノズル13に向けて送液される。
【0023】
給油作業者である顧客は、給油ノズル13をノズル掛け14から取り出して、その吐出パイプを車両等の供給対象の給油口(燃料補給口)に挿入し、操作レバーを開弁操作して、供給対象に対する燃料補給を行う。
【0024】
その際の燃料油液の給液量(給油量)は、流量計に付設された流量発信器から出力される流量パルス信号を基に給油機制御装置によって演算され、給油機筐体11に設けられた表示器15に表示される。
【0025】
図示の例では、給油機10は、例えばハイオク,レギュラー,軽油といった供給液種の違いに対応させて、ホース12、給油ノズル13、及びノズル掛け14が、給油機筐体11の前面に複数設けられた構成になっている。また、図示せぬ給油機筐体11の後面にも、ハイオク,レギュラー,軽油といった供給液種の違いに対応させて、ホース12、給油ノズル13、及びノズル掛け14が同様に設けられ、表示器15も同様に設けられている。これに伴い、給油機筐体11内のポンプ及び流量計といった機器は、供給液種の違いや給油ノズル13の数(給油系統の数に該当)に応じて、給油機筐体11内に複数収容された構成になっている。
【0026】
これにより、図示の例の給油機10では、給油機筐体11の前面,後面にそれぞれ一つの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eが構成され、各給油作業エリアEでは、給油機制御装置がポンプをはじめとする給油機各部を作動制御することによって、これらハイオク,レギュラー,軽油といった複数の油種の中から選択された所望の油種の燃料油液を、該当油種の給油ノズル13を操作して車両等の供給対象に対して給油できるようになっている。
【0027】
さらに、図示の例では、給油機10はセルフサービス方式の給油所に適用されるため、給油機10には、給油作業エリアE毎に対応させて、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18等といったセルフサービス適応装置が、給油機筐体11に一体的に設けられている。
【0028】
設定器16は、給油作業者である顧客が給油ノズル13をノズル掛け14から取り出して給油作業を開始するに当たって、顧客自身の識別情報や、供給対象に供給する燃料油液の液種(例えば、ハイオク,レギュラー,軽油といった油種)および液量(例えば、満タン或いは所望のプリセット量やプリセット金額)を設定入力するためのセルフサービス適応装置である。設定器16で設定入力された情報は、給油機制御装置に供給される。
【0029】
給油代金払込装置17は、顧客がセルフサービス方式の給油作業を行うに当たって、予め給油代金(給油料金)を現金若しくはプリペイドカード等によって前払いするためのセルフサービス適応装置である。給油代金払込装置17に投入された前払い給油代金の金額情報は、給油機制御装置に供給される。
【0030】
給油機10の給油機制御装置では、設定器16により設定入力された顧客自身の識別情報、液種、液量や、給油代金払込装置17により投入された前払い給油代金の金額情報を基に、これから給油ノズル13を操作して開始される給油作業の給油作業情報が作成される。給油作業情報は、SS-LAN6を介して、給油機10から給油所管理装置30に送信される。
【0031】
伝票発行装置18は、例えば給油ノズル13がノズル掛け14に収納される等して給油作業が終了した際に、給油機10の給油機制御装置によって演算された当該給油作業の実際の給油量,給油金額等の給油結果情報を基にして、当該給油作業の精算伝票を発行するためのセルフサービス適応装置である。給油結果情報は、SS-LAN6を介して、給油機10から給油所管理装置30に送信される。
【0032】
本実施例では、伝票発行装置18から発行された精算伝票は、前払い給油代金、液種、実際の給油量,給油金額、釣銭、等といった給油結果情報の内容確認に使用されることに加えて、実際の給油金額が予め給油代金払込装置17に入金した前払い給油代金に達していない顧客が、釣銭機20から釣銭の返却を受ける際の識別片としても利用される。そのため、伝票発行装置18は、精算伝票の印刷出力にあたって、釣銭機20で釣銭を受ける顧客であることを特定できるように、当該精算伝票の識別情報を生成する。この識別情報は、伝票発行装置18によって給油結果情報とともに精算伝票に印刷出力される。また、識別情報は、給油機制御装置に供給されて、給油機10から給油所管理装置30に送信される給油結果情報の中にも含められる。
【0033】
なお、図示の例では、設定器16,給油代金払込装置17,伝票発行装置18からなるセルフサービス適応装置については、給油機10毎に給油機筐体11に一体的に設けた構成としたが、給油機筐体11とは別個の、複数の給油機10に対応させたセルフサービス適応ユニット機器として、SS-LAN6に接続して設けることも可能である。この場合、顧客は、給油作業情報として、給油作業に用いる給油機10の番号等の識別情報も設定入力する。
【0034】
釣銭機(精算機)20は、セルフサービス方式の給油作業で、給油作業者である顧客が予め支払った給油代金に、実際の給油量に基づく給油金額が達せず、釣銭が生じた場合に、顧客が釣銭を受け取るための装置である。釣銭機20には、給油機10からセルフサービス方式の給油作業が行われる度に送信される給油結果情報が取り込まれ、その中の釣銭の返却が必要な顧客についての精算伝票の識別情報や釣銭額等が精算情報として蓄積されている。釣銭機20は、その伝票識別部で顧客の精算伝票の識別情報を読み取ると、蓄積された精算情報を照会し、返却を受けるべき顧客であることが確認されると、その釣銭の支払を行う。なお、図示の例では、釣銭機(精算機)20は、給油機10とは別筐体で複数の給油機10で共用する構成としたが、給油機10と一体的に設けられていてもよい。
【0035】
給油所管理装置30は、給油所の事務所3内等に設置され、本実施例では、給油所における販売時点管理を行う給油所POS端末機40と、給油作業エリアEを含めた給油所内の様子を監視するための監視装置50と、顧客自身による給油機10を用いたセルフサービス方式の給油作業の実行を管理する給油作業管理装置60と、を有する構成になっている。その中、給油所POS端末機40および給油作業管理装置60は、SS-LAN6に接続され、各給油機10、釣銭機20ともに給油所内ネットワークを構成している。そして、給油作業管理装置60は、管理装置(セルフ・サービス・コンソール、SSC)に該当する。
【0036】
給油所POS端末機40は、各給油機10からSS-LAN6を介して送信される、給油作業を開始するに当たって設定器16で設定された給油作業情報や、実際の給油開始(給油ノズルへの送液開始)の許可要求、及び給油作業の終了時に作成される給油結果情報を受信し、給油所における燃料油液の販売時点管理を行う。
【0037】
監視装置50は、各給油作業エリアE及び釣銭機20にそれぞれ対応させて設けられた監視カメラ51を有し、監視カメラ51と画像データ専用信号線7を介して接続されている。監視装置50は、各監視カメラ51によって撮影された各給油作業エリアEや釣銭機20周辺の動画像もしくは静止画像からなる撮影画像から、監視画像を生成して表示出力する。これにより、給油所係員は、監視画像を見ることによって給油所内の各所の様子を、事務所内に居ながらにして監視できるようになっている。監視装置50は、給油所係員の指示に応じて、複数の監視カメラ51それぞれによる撮影画像を分割表示した監視画像を生成したり、その中の所望の撮影画像を選択して拡大した監視画像を生成したりできるようになっている。
【0038】
給油作業管理装置60は、各給油機10からSS-LAN6を介して送信される、給油作業情報、実際の給油開始の許可要求、及び給油結果情報を、給油所POS端末機40と同様にして受信できるようになっている。また、給油作業管理装置60は、監視装置50ともデータ接続され、監視装置50から所望の監視画像の提供が受けられるようになっている。
【0039】
給油作業管理装置60は、各給油機10の作動状態について、例えば、SS-LAN6を介して各給油機10から送信される給油作業情報、実際の給油開始の許可要求、給油結果情報の受信に基づき、給油機10の給油作業受付状態、作動許可待ち状態、給油作業終了状態(待機状態)を判別する。また、給油作業管理装置60は、SS-LAN6を介して各給油機10に送信する起動/停止指示、作動許可、緊急停止に基づき、給油機10の起動/停止状態、給油中状態(送液作動状態)、給油禁止状態(緊急停止状態)を判別する。そして、給油作業管理装置60は、その記憶部に、これら判別した給油機10それぞれの作動状態を、給油機10毎に逐次記憶する。
【0040】
その際、給油作業管理装置60の表示部には、給油機10それぞれの現在のまたは最新の作動状態が表示され、給油所係員は、給油作業管理装置60の操作部を操作して、作動許可を受信して作動許可待ち状態にある給油機10に対して実際の給油開始の許可を行ったり、対象の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたりできる。この場合、実際の給油開始の許可とは、顧客が操作レバーを開弁操作すれば給油ノズルから燃料吐出できるように、対応する給油機10についてポンプ等の送液機器の作動を許可することを指し、給油禁止とは、給油機10の作動状態が給油作業中状態であるか、給油作業が行われていない待機中状態であるかにかかわらず、所定の復帰操作が行われるまで、対応する給油機10のポンプ等の送液機器の作動を禁止することを指す。これら給油開始の許可や給油の禁止は、給油作業管理装置60からSS-LAN6を介して、対象の給油機10宛に送信される。
【0041】
また、本実施例では、給油作業管理装置60は、その操作部が監視装置50の操作部を兼ね、その表示部が監視画像の表示装置を兼ねるようになっている。そのため、給油作業管理装置60は、監視装置50が生成する監視画像を指示したり、監視装置50が生成した監視画像を表示したり、さらには、監視装置50が生成した監視画像に、対応する給油機10の現在のまたは最新の作動状態(給油作業情報、作動許可要求の有無、給油結果情報)をOSD(On-Screen Display)表示することができる。
【0042】
その上で、本実施例では、給油作業管理装置60は、スマートフォン,通信機能を備えたタブレット型コンピュータ等といった携帯可能な汎用の移動体通信端末機器70を、給油作業管理装置60専用の操作端末(SSC端末)として安全に使用できる構成を備えている。この場合、給油作業管理装置60専用の操作端末としては、給油作業管理装置60の上述した給油作業管理装置60の操作部及び表示部と同様に、作動許可要求を受信して作動許可待ち状態にある給油機10に対して実際の給油開始の許可を行ったり、対象の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたりでき、給油機10それぞれの現在のまたは最新の作動状態を表示したり、監視装置50に監視画像の態様を指示してその監視画像を表示したりできる携帯可能な無線端末機器を指す。
【0043】
給油作業管理装置60は、移動体通信端末機器70と通信可能な無線通信部68を備えている。給油作業管理装置60は、無線通信部68によって、例えば移動体通信ネットワーク、インターネット、無線LANといった通信ネットワークを介したネットワーク通信によって、または移動体通信端末機器70とのD2D(device to device)通信によって、移動体通信端末機器70と無線通信接続可能になっている。以下では、インターネットを介したネットワーク通信によって、移動体通信端末機器70と無線通信接続可能になっている場合について説明する。
【0044】
給油作業管理装置60は、特定の移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として登録管理する登録管理部と、登録管理部に登録されている特定の移動体通信端末機器70について給油作業管理装置60の操作端末として作動制御する端末作動制御部とを含む。
【0045】
登録管理部は、予め登録された移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として機能させる。端末作動制御部は、登録管理部に登録された移動体通信端末機器70に対して、自身の所在状況に応じて、移動体通信端末機器70における給油作業管理装置60の操作端末としての機能、または給油作業管理装置60の操作端末として以外の他の機能の作動を制御する。
【0046】
登録管理部は、給油作業管理装置60の操作端末として使用を許可する移動体通信端末機器70固有の識別情報(例えば、MACアドレス(MediaAccess Control Address))や、この移動体通信端末機器70固有の識別情報に対応させたパスワードが記憶されている認証情報記憶部を有する。認証情報記憶部への機器固有の識別情報やパスワードの登録は、給油作業管理装置60の操作部を用いて行われる。
【0047】
その上で、登録管理部は、移動体通信端末機器70がネットワーク通信を介して無線通信部68により給油作業管理装置60と通信接続されると、その機器固有の識別情報が認証情報記憶部に予め登録されている機器固有の識別情報と合致するか否かを照合し、合致した場合は、移動体通信端末機器70に対してパスワードの入力を案内した後、さらに移動体通信端末機器70から受信した入力パスワードと認証情報記憶部に予め登録されているパスワードとが合致するか否かを照合する。そして、両者が合致する場合は、給油作業管理装置60の操作部による登録操作によって、登録管理部は、給油作業管理装置60の記憶部にアプリケーションとして記憶されている、移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として機能させるための管理装置端末機能のアプリケーションを、移動体通信端末機器70にダウンロードすることにより、移動体通信端末機器70内に管理装置端末機能部が構成される。これに伴い、移動体通信端末機器70の例えばホーム画面71には、管理装置端末機能部を作動させ、移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として作動させるためのSSC作動スイッチ「SSC」72が、
図2に示すように構成される。
【0048】
図2は、給油作業管理装置の管理装置端末機能部を備えた、特定の移動体通信端末機器のホーム画面を示した図である。
【0049】
次に、このようにして管理装置端末機能部が構成された移動体通信端末機器70を、給油作業管理装置60の操作端末として作動制御できるようにするSSC端末処理について、
図3,
図4を参照して説明する。
【0050】
図3は、給油作業管理装置の管理装置端末機能部を備えた、特定の移動体通信端末機器が実行するSSC端末処理のフローチャートである。
図4は、移動体通信端末機器が実行するSSC端末処理のセッション接続開始に呼応して、給油作業管理装置の端末作動制御部が実行するセッション接続処理のフローチャートである。
【0051】
SSC端末処理は、移動体通信端末機器70のSSC作動スイッチが操作されると、移動体通信端末機器70の管理装置端末機能部が、無線通信接続された給油作業管理装置60の端末作動制御部と協働して実行開始される。
【0052】
SSC端末処理は、移動体通信端末機器70のSSC作動スイッチが操作されると、その管理装置端末機能部が、移動体通信端末機器70で通話機能を含む管理装置端末として以外の他の機能(アプリケーション)が作動中であるか否かについて確認する(
図3、S010,S020)。
【0053】
そして、管理装置端末として以外の他の機能が作動中でなければ(S020、NO)、管理装置端末機能部は、ステップS030以降に示す処理を行い、作動中であれば(S020、YES)、給油作業管理装置60の操作端末とのマルチタスクを防止するため、SSC端末としての起動不可を例えばホーム画面71にポップアップ表示して、移動体通信端末機器70のユーザーに報知し(S130)、SSC端末処理を終了する。
【0054】
これに対し、ステップS030では、管理装置端末機能部は、移動体通信端末機器70において管理装置端末として以外の他の機能が作動又は作動操作をできない状態に移動体通信端末機器70を設定し、移動体通信端末機器70による管理装置端末として以外の他の機能の実行を無効にする。
【0055】
続いて、管理装置端末機能部は、移動体通信端末機器70のGPS、基地局通信等を利用した自身の位置情報の取得を開始させ(S040)、給油作業管理装置60宛にセッション接続開始の要求を送信する(S050)。また、セッション接続開始の要求の送信に当たっては、管理装置端末機能部は、例えばホーム画面71に給油所係員のパスワード入力画面をポップアップ表示し、ユーザーに、給油作業管理装置60の登録管理部に事前登録されたパスワードを入力させる。そして、パスワードの入力によって、移動体通信端末機器70から給油作業管理装置60宛にセッション接続開始の要求が送信される。
【0056】
一方、移動体通信端末機器70からのセッション接続開始の要求を受信した給油作業管理装置60の端末作動制御部は、
図4に示す給油作業管理装置側のセッション接続処理において、移動体通信端末機器70から機器固有の識別情報、入力パスワード、現在の位置情報の取得を行い、取得した機器固有の識別情報が登録管理部に事前登録された機器固有の識別情報と合致するか否か、取得した入力パスワードが登録管理部に事前登録されたパスワードと合致するか否か、及び取得した移動体通信端末機器70の現在の位置情報が端末作動制御部の位置情報記憶部に予め登録されている、例えば給油所住所等に基づく給油所内を示す位置範囲情報に含まれるか否か、をそれぞれ照合する(
図4、S210,S220)。
【0057】
そして、端末作動制御部は、これら三者の合致がとれた場合は(S220、YES)、管理装置端末機能部は、ステップS230以降に示す処理を行い、これら三者のうちのいずれかの合致がとれない場合は(S220、NO)、移動体通信端末機器70にセッション接続の不許可の応答を送信して(S250)、給油作業管理装置側のセッション接続処理を終了する。
【0058】
これに対し、ステップS230では、端末作動制御部は、合致のとれた機器固有の識別情報の移動体通信端末機器70が、給油作業管理装置60の操作端末として作動中である旨、端末作動制御部の記憶部に登録するとともに(S230)、移動体通信端末機器70とセッション状態にするため、移動体通信端末機器70にセッション接続の許可の応答を送信して(S240)、給油作業管理装置側のセッション接続処理を終了する。
【0059】
図3において、移動体通信端末機器70は、給油作業管理装置60宛にセッション接続開始の要求を送信した後(S050)、給油作業管理装置60からの応答を受信したか否かを確認し(S060)、セッション接続の許可の応答を受信した場合は(S060、YES)、ステップS070以降に示す処理を行い、セッション接続の不許可の応答を受信した場合は(S060、NO)、SSC端末としての起動不可を例えばホーム画面71にポップアップ表示して、移動体通信端末機器70のユーザーに報知し(S130)、SSC端末処理を終了する。したがって、本実施例では、移動体通信端末機器70の機器固有の識別情報、入力パスワードの合致がとれたしても移動体通信端末機器70が所定の位置範囲外として給油所外に所在している場合は、給油作業管理装置60の操作端末として作動できない構成になっている。もちろん、固有の識別情報が給油作業管理装置60に事前登録されていない移動体通信端末機器70であったり、入力パスワードが給油作業管理装置60に事前登録されていないパスワードであった場合も、給油作業管理装置60の操作端末として作動できない構成になっている。
【0060】
一方、ステップS070では、給油作業管理装置60からセッション接続の許可の応答を受信した移動体通信端末機器70は、給油作業管理装置60の操作端末(SSC端末)として、給油作業管理装置60とのセッションを開始する。これに伴い、移動体通信端末機器70は、管理装置端末機能部が、そのホーム画面71を、例えば
図5に示すようなSSC端末画面75に変える。
【0061】
図5は、給油作業管理装置の管理装置端末機能部を備えた、特定の移動体通信端末機器のSSC端末画面の一例を示した図である。
【0062】
図示の例では、SSC端末画面は、実際の給油開始の許可待ちの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eがあるか否か(残っているか否か)を報知する許可待ち報知部76、給油作業エリアE毎の対応する給油機の作動状態(給油作業情報、作動許可要求の有無、給油結果情報)を色別表示するとともに実際の給油開始を許可する給油作業エリアEの選択操作が行えるポイント選択部77、緊急停止を行う緊急停止操作部78、ポイント選択部77で選択された給油作業エリアEの実際の給油開始の許可を指示する許可指示部79を有する構成になっている。
【0063】
続いて、移動体通信端末機器70では、管理装置端末機能部が移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として機能させ、給油作業管理装置60の操作端末としての給油管理作業の実行管理を行う(S080)。この給油管理作業の実行管理では、移動体通信端末機器70は、給油作業管理装置60と協働して、作動許可要求を受信して作動許可待ち状態にある給油機10に対して実際の給油開始の許可を行ったり、1乃至は全部の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたり、給油機10それぞれの現在のまたは最新の作動状態を表示したり、監視装置50に監視画像の態様を指示してその監視画像を表示したりする。
【0064】
そして、ステップS080で示した給油管理作業の実行管理では、セッション接続されている給油作業管理装置60と移動体通信端末機器70とが協働して、
図6に示すような、移動体通信端末機器70が給油作業管理装置60の操作端末として作動中のセッション接続管理処理が適宜繰り返し行われている。
【0065】
図6は、移動体通信端末機器が給油作業管理装置の操作端末として作動中に実行されるセッション接続管理処理のフローチャートである。
【0066】
図6において、給油作業管理装置60では、端末作動制御部が、その端末操作部として作動中の移動体通信端末機器70から、移動体通信端末機器70の現在の所在位置を取得する(S310)。この場合、移動体通信端末機器70の現在の所在位置は、移動体通信端末機器70のGPS、基地局通信等を利用して行われる。
【0067】
そして、給油作業管理装置60では、端末作動制御部が、移動体通信端末機器70の現在の所在位置が端末作動制御部の位置情報記憶部に予め登録されている給油所内を示す位置範囲情報に含まれるか否かを照合する(S320,S330)。その結果、端末作動制御部は、移動体通信端末機器70の現在の所在位置が位置情報記憶部に登録されている位置範囲情報に含まれる場合は(S330、YES)、今回のセッション接続管理処理をそのまま終了する。
【0068】
これに対し、移動体通信端末機器70の現在の所在位置が位置情報記憶部に登録されている位置範囲情報に含まれない場合は(S330、NO)、給油作業管理装置60から対応の移動体通信端末機器70宛に、移動体通信端末機器70との間でのセッション接続の終了を送信し(S340)、端末作動制御部の記憶部における、当該移動体通信端末機器70についての給油作業管理装置60の操作端末として作動中である旨の登録を抹消して(S350)、今回のセッション接続管理処理を終了する。
【0069】
一方、給油作業管理装置60の操作端末として作動中の移動体通信端末機器70は、
図4に示すように、操作端末(SSC端末)として給油作業管理装置60とのセッションを開始すると(S070)、ステップS080で示した給油管理作業の実行管理を、給油作業管理装置60からのセッション接続終了が受信するまで行っている(S090、NO)。
【0070】
そして、移動体通信端末機器70は、給油作業管理装置60からのセッション接続終了が受信すると(S090、YES)、SSC端末として給油作業管理装置60とのセッションを終了し(S100)、GPS、基地局通信等を利用した自身の位置情報の取得を終了させる(S110)。
【0071】
さらに、移動体通信端末機器70は、SSC端末として機能させる際にステップS030で行った、移動体通信端末機器70による管理装置端末として以外の他の機能の実行を無効にすることを解除する(S120)。移動体通信端末機器70では、このようにしてSSC端末としての作動が終了すると、
図5に示したSSC端末画面は、
図2に示したホーム画面に戻される。したがって、移動体通信端末機器70は、SSC端末として使用されていない状態になり、SSC端末として使用されている状態では利用できなかった、通話を含む管理装置端末として以外の他の機能の実行を行えるようになる。
【0072】
したがって、
図3、
図4、及び
図6に示すように、本実施例の給油システム1では、スマートフォン、通信機能を備えたタブレット型コンピュータ等といった携帯可能な汎用の移動体通信端末機器70を、給油作業管理装置60の操作端末として利用できる。その際例えば、燃料供給所の燃料供給作業ポイント数の違いや燃料供給作業ポイント数の増減に対しても、給油作業管理装置60側の条件変更だけで対応可能であるので、燃料供給所毎の設備の違いや設備変更に応じたシステム設計の融通性も向上する。
【0073】
しかも、例えば給油所住所等に基づく給油所内を示す位置範囲内といった予め定められた所定位置範囲内に移動体通信端末機器70が所在している場合でしか、移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として利用できないので、システムの安全性がはかれる。
【0074】
さらに、移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として使用中は、管理装置端末として以外の他の機能の実行ができないので、通話をしながら、または給油作業管理とは関係の無いアプリケーションを使用しながらといった、ながら作業による給油作業の実行管理が行えないようになっているので、作業の安全性や正確性を損なうことがない。
【0075】
次に、上述した給油システム1にあって、移動体通信端末機器70側で給油作業管理装置60の操作端末としての使用を終了させる場合について、
図7、
図8により説明する。
【0076】
図7は、SSC端末として作動中の移動体通信端末機器側でSSC端末としての作動状態を終了させる場合の、移動体通信端末機器側で行うセッション終了処理のフローチャートである。
図8は、SSC端末として作動中の移動体通信端末機器側でSSC端末としての作動状態を終了させる場合の、給油作業管理装置側で行うセッション終了処理のフローチャートである。
【0077】
SSC端末として作動中の移動体通信端末機器70で、SSC端末としての作動終了操作が行われると、
図7に示すように、管理装置端末機能部によって、移動体通信端末機器70から給油作業管理装置60宛にセッション接続終了の要求が送信される(S410)。
【0078】
給油作業管理装置60は、移動体通信端末機器70からセッション接続終了の許可要求を受信すると、各給油作業ポイントにおける作業状態の確認を行い、既に開始されているものの未だ終わっていない給油作業があるか否かを確認する(S510,S520)。
【0079】
そして、給油作業管理装置60では、顧客が作業途中の給油作業がない場合は(S520、NO)、端末作動制御部はステップS530以降に示す処理を行い、既に開始されているものの未だ終わっていない給油作業がある場合は、移動体通信端末機器70とのセッション接続の切断を行わずに、給油作業管理装置側で行うセッション終了処理を終了する。
【0080】
これに対し、ステップS530では、給油作業管理装置60から対応の移動体通信端末機器70宛に、移動体通信端末機器70との間でのセッション接続の終了を送信し(S530)、端末作動制御部の記憶部における、当該移動体通信端末機器70についての給油作業管理装置60の操作端末として作動中である旨の登録を抹消する(S540)。
【0081】
これにより、移動体通信端末機器70では、
図3のステップS90-ステップS120で説明したように、移動体通信端末機器70が給油所内を示す位置範囲にある場合であっても、給油作業管理装置60の操作端末としての作動が必要ない場合は、移動体通信端末機器70側で能動時に給油作業管理装置60の操作端末として作動を終了させることができる。
【0082】
したがって、移動体通信端末機器70が給油所内を示す位置範囲内でも、給油作業管理装置60の操作端末としての作動が必要ない場合は、操作端末としての作動を終了させれば、通話を含む管理装置端末として以外の他の機能の実行を行えるようになるので、給油作業管理装置60の操作端末としての利便性が向上する。その際も、既に開始されているものの未だ終わっていない給油作業が残っている場合は、給油作業管理装置60の操作端末としての作動状態が継続するので、給油作業管理の安全性も向上する。
【0083】
さらに、本実施例の給油システム1では、移動体通信端末機器70が給油作業管理装置60の操作端末としての作動中で、通話を含む管理装置端末として以外の他の機能の実行を行えない場合であっても、緊急通信は、操作端末としての作動中状態のまま発信できる構成になっている。
【0084】
図9は、SSC端末として作動中の移動体通信端末機器の緊急通話発信処理のフローチャートである。
【0085】
SSC端末として作動中の移動体通信端末機器70で、予め定められた緊急通信発信操作が行われると、移動体通信端末機器70では、管理装置端末機能部が、給油作業ポイントの選択操作が給油所係員によって行われなくとも、全給油作業ポイントに対する緊急停止指示を給油作業管理装置60宛に送信する(S610)。そして、移動体通信端末機器70では、予め登録されている所定の緊急連絡先宛への緊急通信・緊急通話の発信の許可がなされる(S620)。また、緊急連絡先宛への緊急通信・緊急通信の発信の許可によって、移動体通信端末機器70では、緊急通信の相手先への発信が自動で行われ、相手先との通話も可能な状態になる。
【0086】
これにより、全給油作業ポイントに対する緊急停止指示を移動体通信端末機器70から受信した給油作業管理装置60は、全給油作業ポイントにおける給油機10それぞれのポンプ等の送液機器の駆動を停止または駆動禁止して、緊急通信・緊急通話の発信が行われる状況での給油所全体の安全をはかることができる。
【0087】
図10は、SSC端末として作動中の移動体通信端末機器における外部通信受信処理を示したフローチャートである。
【0088】
図示のように、移動体通信端末機器70がSSC端末として作動中に、当該移動体通信端末機器70に対して通話を含む外部通信着信があった場合は、管理装置端末機能部が例えば自動応答保留通話着信やメール着信を行わせ(S710)、外部通信受信処理を終了させるようになっている。
【0089】
これにより、これら外部通信の着信は、移動体通信端末機器70が給油作業管理装置60の操作端末として使用中で、通話を含む管理装置端末として以外の他の機能の実行ができない場合であっても、自動で着信処理を行っているので、移動体通信端末機器70が給油作業管理装置60の操作端末としての作動状態でないときに確認できる。
【0090】
本実施例の給油システムは以上説明したように構成されるが、移動体通信端末機器70を給油作業管理装置60の操作端末として使用するものであるならば、具体的な構成は説明した構成に限られるものではない。
【0091】
例えば、実施例の給油システムでは、操作端末として使用される移動体通信端末機器70が予め定められた位置情報範囲内に所在する否かの確認(移動体通信端末機器70の所在状況確認)を、移動体通信端末機器70と給油作業管理装置60とで協働して行う構成になっているが、移動体通信端末機器70と給油作業管理装置60とのいずれか一方で行う構成とすることもできる。これに伴って、この場合は、移動体通信端末機器70と給油作業管理装置60との間のセッション接続の方法や交信内容も変化することになる。また、給油所システムにおける移動体通信端末機器70と給油作業管理装置60との通信方法(ネットワーク通信、D2D通信)も変化することになる。また、予め定められた位置情報範囲内に移動体通信端末70が所在するか否かの判定については、位置情報の直接的な比較に限られない。例えば移動体通信端末70が給油作業管理装置60から受信する電波強度に応じて判断するようにしてもよい。例えば、電波強度が予め定められて設定値よりも低下している場合には、管理装置端末としての機能を停止させるように、設定値よりも高い場合は、通話を含む管理装置端末として以外の他の機能を停止させるようにしてもよい。
【0092】
また、実施例の給油システムでは、移動体通信端末機器70に管理装置端末機能部を構成するときに、移動体通信端末機器70の所在状況確認を行わない構成としたが、このときも移動体通信端末機器70の所在状況確認を行う構成にしてもよい。例えば、給油所内でしか、移動体通信端末機器70に管理装置端末機能部を構成することができないようにしておけば、移動体通信端末機器70のユーザを面前で確認することができ、防犯性も向上させることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 給油システム、
3 給油所事務所、
6 SS-LAN
7 画像データ専用信号線、
10 給油機、
11 給油機筐体、
12 ホース、
13 給油ノズル、
14 ノズル掛け、
15 表示器、
16 設定器、
17 給油代金払込装置、
18 伝票発行装置、
20 釣銭機、
30 給油所管理装置、
40 給油所POS端末機、
50 監視装置、
51 監視カメラ、
52 モニタ装置、
53 モニタディスプレイ、
60 給油作業管理装置、
68 無線通信部、
70 移動体通信端末機器、
71 ホーム画面、
72 作動スイッチ、
75 SSC端末画面、
76 許可待ち報知部、
77 ポイント選択部、
78 緊急停止操作部、
79 許可指示部、
E 給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)。