(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】船舶用操縦装置
(51)【国際特許分類】
B63H 21/22 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
B63H21/22 Z
(21)【出願番号】P 2020116989
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】田高田 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩太郎
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-11197(JP,U)
【文献】実開昭61-196199(JP,U)
【文献】実公昭46-11931(JP,Y1)
【文献】中国実用新案第208934809(CN,U)
【文献】米国特許第9828080(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/22
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作位置を表示する平面状の表示面に対して略平行に移動可能な操作部と、
前記表示面に対して略平行に掛け回され前記操作部の移動に連動するベルトと、
前記ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、
掛け回された前記ベルトにより形成される環状の開口は、前記表示面に対して略垂直に開口する、
船舶用操縦装置。
【請求項2】
前記ベルトと前記検出部との間に配置された防水部材を更に備える
請求項1に記載の船舶用操縦装置。
【請求項3】
前記ベルトを介して前記操作部を動かすためのモータを更に備え、
前記モータは、
前記ベルトに動力を伝える出力軸と、
前記防水部材から見て前記検出部と同じ側に配置され前記出力軸を回転させるための駆動部と、を備える
請求項2に記載の船舶用操縦装置。
【請求項4】
前記ベルトが架け渡され前記ベルトの移動に連動して回転するプーリを更に備え、
前記プーリは、前記ベルトの鉛直方向下側に設けられ前記プーリの径方向外側に張り出す鍔を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置。
【請求項5】
前記ベルトが架け渡され前記ベルトの移動に連動して回転する2つのプーリと、
前記ベルトの張力を調整可能なテンショナと、を更に備え、
前記テンショナは、前記2つのプーリの間の場所以外に配置されている
請求項1から4のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置。
【請求項6】
前記ベルトは、前記表示面に対して略垂直に開口する
筐体内の空間に設けられるプーリ本体の外周面に面する内面と、前記内面とは反対側の外面と、を有し、
前記ベルトの前記外面側から前記ベルトの張力を調整可能なテンショナを更に備える
請求項1から5のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置。
【請求項7】
前記操作部は、
前記表示面に対して略平行に直線状に延びるレールと、
前記レールに沿って移動可能なキャリッジと、を備え、
前記キャリッジ及び前記ベルトは、互いに連結されている
請求項1から6のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置。
【請求項8】
前記ベルトの張力を調整可能なテンショナと、
前記ベルトを覆うとともに前記テンショナを露出可能な開口を有するカバーと、
前記開口を開閉可能に前記カバーに取り付けられた蓋と、を更に備える
請求項1から7のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置。
【請求項9】
前記テンショナは、ユーザが前記ベルトの張力を調整するための調整部を備え、
前記調整部は、前記蓋が開いた状態で前記開口から露出する
請求項8に記載の船舶用操縦装置。
【請求項10】
操作位置を表示する平面状の表示面の面内方向における1つの軸上を移動可能な操作部と、
前記表示面に対して略垂直に開口する
筐体内の空間に設けられるプーリ本体の外周面に面する内面と前記内面とは反対側の外面とを有し前記表示面に対して略平行に掛け回され前記操作部の移動に連動する無端状のベルトと、
前記ベルトの移動量を検出可能なポテンショメータと、
前記ベルトに動力を伝える出力軸と前記出力軸を回転させるための駆動部とを有し前記ベルトを介して前記操作部を動かすためのモータと、
前記ポテンショメータ及び前記駆動部と前記ベルトとの間に配置された防水部材と、を備える
船舶用操縦装置。
【請求項11】
操作位置を表示する板状の表示部材の面内方向における1つの軸上を移動可能な操作部と、
前記表示部材に対して略平行に掛け回され前記操作部の移動操作に伴って移動する無端状のベルトと、
前記ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、
掛け回された前記ベルトにより形成される環状の開口は、前記表示部材に対して略垂直に開口する、
船舶用操縦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶のブリッジ及びエンジン制御室等に設けられるテレグラフ等の船舶用操縦装置が知られている。
例えば、特許文献1には、船橋で主機を遠隔操縦するために船橋に設けられた船橋操縦レバーが開示されている。船橋操縦レバーは、板状の表示板と、表示板に沿って一直線方向に移動するレバーと、レバーに連結されレバーの直線動作を回転動作に変換するための無端状のベルトと、レバーの操作により動作するポテンショメータと、を備える。表示板は、レバーが貫通されレバーのガイドとなる長孔を有する。ベルトは、表示板の長孔を貫通したレバーの下端部に取り付けられている。ベルトは、表示板の上面(表示面)に対して垂直な方向に掛け回されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示面に対して垂直な方向に小型化することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、表示面に対して垂直な方向に小型化することができる船舶用操縦装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係る船舶用操縦装置は、操作位置を表示する平面状の表示面に対して略平行に移動可能な操作部と、前記表示面に対して略平行に掛け回され前記操作部の移動に連動するベルトと、前記ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、掛け回された前記ベルトにより形成される環状の開口は、前記表示面に対して略垂直に開口する。
【0007】
この構成によれば、ベルトが表示面に対し略平行に掛け回されることで、ベルトが表示面に対して垂直な方向に掛け回される場合と比較して、表示面に対して垂直な方向に小型化することができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の船舶用操縦装置では、前記ベルトと前記検出部との間に配置された防水部材を更に備えてもよい。
【0009】
(3)上記(2)に記載の船舶用操縦装置では、前記ベルトを介して前記操作部を動かすためのモータを更に備え、前記モータは、前記ベルトに動力を伝える出力軸と、前記防水部材から見て前記検出部と同じ側に配置され前記出力軸を回転させるための駆動部と、を備えてもよい。
【0010】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置では、前記ベルトが架け渡され前記ベルトの移動に連動して回転するプーリを更に備え、前記プーリは、前記ベルトの鉛直方向下側に設けられ前記プーリの径方向外側に張り出す鍔を有してもよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置では、前記ベルトが架け渡され前記ベルトの移動に連動して回転する2つのプーリと、前記ベルトの張力を調整可能なテンショナと、を更に備え、前記テンショナは、前記2つのプーリの間の場所以外に配置されていてもよい。
【0012】
(6)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置では、前記ベルトは、前記表示面に対して略垂直に開口する筐体内の空間に設けられるプーリ本体の外周面に面する内面と、前記内面とは反対側の外面と、を有し、前記ベルトの前記外面側から前記ベルトの張力を調整可能なテンショナを更に備えてもよい。
【0013】
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置では、前記操作部は、 前記表示面に対して略平行に直線状に延びるレールと、前記レールに沿って移動可能なキャリッジと、を備え、前記キャリッジ及び前記ベルトは、互いに連結されていてもよい。
【0014】
(8)上記(1)から(7)のいずれか一項に記載の船舶用操縦装置では、前記ベルトの張力を調整可能なテンショナと、前記ベルトを覆うとともに前記テンショナを露出可能な開口を有するカバーと、前記開口を開閉可能に前記カバーに取り付けられた蓋と、を更に備えてもよい。
【0015】
(9)上記(8)に記載の船舶用操縦装置では、前記テンショナは、ユーザが前記ベルトの張力を調整するための調整部を備え、前記調整部は、前記蓋が開いた状態で前記開口から露出してもよい。
【0016】
(10)本発明の態様に係る船舶用操縦装置は、操作位置を表示する平面状の表示面の面内方向における1つの軸上を移動可能な操作部と、前記表示面に対して略垂直に開口する筐体内の空間に設けられるプーリ本体の外周面に面する内面と前記内面とは反対側の外面とを有し前記表示面に対して略平行に掛け回され前記操作部の移動に連動する無端状のベルトと、前記ベルトの移動量を検出可能なポテンショメータと、前記ベルトに動力を伝える出力軸と前記出力軸を回転させるための駆動部とを有し前記ベルトを介して前記操作部を動かすためのモータと、前記ポテンショメータ及び前記駆動部と前記ベルトとの間に配置された防水部材と、を備える。
【0017】
この構成によれば、ベルトが表示面に対し略平行に掛け回されることで、ベルトが表示面に対して垂直な方向に掛け回される場合と比較して、表示面に対して垂直な方向に小型化することができる。
加えて、ポテンショメータ及び駆動部とベルトとの間に防水部材が配置されることで、ポテンショメータ及び駆動部への浸水を抑制することができる。
【0018】
(11)本発明の態様に係る船舶用操縦装置は、操作位置を表示する板状の表示部材の面内方向における1つの軸上を移動可能な操作部と、前記表示部材に対して略平行に掛け回され前記操作部の移動操作に伴って移動する無端状のベルトと、前記ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、掛け回された前記ベルトにより形成される環状の開口は、前記表示部材に対して略垂直に開口する。
【0019】
この構成によれば、ベルトが表示部材に対し略平行に掛け回されることで、ベルトが表示部材に対して垂直な方向に掛け回される場合と比較して、表示部材に対して垂直な方向に小型化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示面に対して垂直な方向に小型化することができる船舶用操縦装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の船舶用操縦装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態の船舶用操縦装置のカバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】第1実施形態の船舶用操縦装置のカバーを取り外した状態の上面図である。
【
図4】第1実施形態の船舶用操縦装置のカバーを取り外した状態の左側面図である。
【
図7】第2実施形態の船舶用操縦装置の上部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、船舶用操縦装置として船舶のエンジン制御室に設けられるエンジンテレグラフを例に挙げて説明する。エンジンテレグラフは、エンジンの起動、停止、回転数の増減などの情報を相互に伝達するためのテレグラフである。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の船舶用操縦装置1の斜視図である。
図2は、第1実施形態の船舶用操縦装置1のカバー3を取り外した状態の斜視図である。
図1に示すように、船舶用操縦装置1は、操作部2と、カバー3と、筐体4と、を備える。
【0024】
カバー3には、操作位置を表示するための板状の表示板5が設けられている。例えば、表示板5には、船舶のエンジンの起動、停止、回転数の増減などの情報が表示されている。表示板5は、操作位置を表示する平面状の表示面5aを有する。表示板5は、「AHEAD」、「STOP」、「SLOW」等の表示を行う複数のテレグラフゾーン6を有する。表示板5は、操作部2の位置指示針12が指示する位置のテレグラフゾーン6ごとに点灯する。
【0025】
操作部2は、ユーザが操作するためのハンドルである。操作部2は、表示面5aに対して略平行に直線的に移動可能に設けられている。言い換えると、操作部2は、表示面5aの面内方向における1つの軸上を移動可能に設けられている。
「表示面5aに対して略平行」とは、表示板5の寸法誤差や取付誤差の許容範囲内において、表示面5aに対して実質的に平行であることを意味する。「実質的に平行」とは、上記の許容範囲内において、表示面5aに対して斜めに交差する場合が含まれる。なお、「表示面5aに対して略平行」には、表示面5aに対して完全に平行な場合が含まれる。
以下、操作部2の移動方向を「前後方向」、鉛直方向及び前後方向のそれぞれに対して直交する方向を「左右方向」とする。以下の説明に用いる図中適所には、本実施形態の船舶用操縦装置1の上方を示す矢印UP、前方を示す矢印FR、左方を示す矢印LHが示される。
【0026】
操作部2は、ユーザが把持するためのグリップ10と、グリップ10から下方に延びる操作軸11と、操作位置を指示するための位置指示針12と、を備える。
図4の側面視で、グリップ10は、前後方向に長手を有する長円形状をなしている。
【0027】
図1に示すように、位置指示針12は、操作軸11の左側面から表示板5に向けて左方に延びている。位置指示針12は、カバー3の上方に配置されている。位置指示針12は、操作部2と一体に前後方向に移動する。位置指示針12は、操作部2の前後方向の移動により、表示板5の各テレグラフゾーン6のいずれかを指示するようになっている。
【0028】
カバー3は、ベルト20等(
図2参照)を上方から覆っている。カバー3は、操作部2が直線移動可能なスリット15を有する。スリット15は、前後方向に延びる長孔である。
カバー3は、前後方向に長手を有する矩形状の天板16と、天板16の外周に連結された側板17と、を備える。スリット15は、天板16の右側部を鉛直方向に開口している。スリット15は、天板16の右側の一辺(長辺)に沿って延びている。
【0029】
筐体4は、モータ23等(
図4参照)を収容している。筐体4は、前後方向に長手を有し上方を開放する直方体箱状をなしている。例えば、カバー3は、不図示のボルト等の締結部材によって筐体4の上部に連結されている。
【0030】
次に、筐体4内の船舶用操縦装置1の構成を説明する。
図2に示すように、船舶用操縦装置1は、無端状のベルト20と、ポテンショメータ21(
図4参照)と、防水部材22と、モータ23(
図4参照)と、プーリ24A,24Bと、テンショナ25と、レール26(
図5参照)と、キャリッジ27(
図5参照)と、連結部材28(
図5参照)と、ラック29と、ピニオン30と、支持部材31(
図5参照)と、接続部材32,33と、制御基板34と、支柱35と、回路基板36と、を備える。
【0031】
ベルト20は、鉛直方向に対して開口する環状を有する。ベルト20は、操作部2に連結されている。ベルト20は、表示面5a(
図1参照)に対して略平行に掛け回されている。
【0032】
ベルト20は、表示面5aに対して略垂直に開口する空間19に面する内面20aと、内面20aとは反対側の外面20bと、を有する。「表示面5aに対して略垂直」とは、ベルト20の寸法誤差や取付誤差の許容範囲内において、表示面5aに対して実質的に垂直であることを意味する。「実質的に垂直」とは、上記の許容範囲内において、表示面5aに対して斜めに交差する場合が含まれる。なお、「表示面5aに対して略垂直」には、表示面5aに対して完全に垂直な場合が含まれる。
【0033】
ポテンショメータ21は、操作部2の操作位置を検出するために操作部2の移動と連動したベルト20の移動量を検出可能な検出部である。
図4に示すように、ポテンショメータ21は、防水部材22の下方に配置されている。ポテンショメータ21は、2つ設けられている。ポテンショメータ21は、2つのプーリ24A,24Bの回転軸のそれぞれに取り付けられている。例えば、ポテンショメータ21は、プーリ24A,24Bの回転角度を検出するロータリーポテンショメータである。ポテンショメータ21の検出信号(プーリ24A,24Bの回転角度)は、制御基板34(
図2参照)に入力される。
【0034】
図5に示すように、防水部材22は、表示面5aに対して略平行な板状を有する。防水部材22は、前後方向に長手を有する矩形状をなしている。防水部材22は、ベルト20及び操作部2の下方に設けられている。防水部材22は、鉛直方向に開口する貫通孔40を有する。貫通孔40は、鉛直方向から見てカバー3のスリット15と重なる位置に配置されている。防水部材22の下面には、貫通孔40を塞ぐ閉塞部材41が取り付けられている。
【0035】
モータ23は、ベルト20を介して操作部2を動かすための駆動装置である。
図4に示すように、モータ23は、ベルト20に動力を伝える出力軸45と、出力軸45を回転させるための駆動部46と、を備える。例えば、モータ23は、インナーロータ型モータである。
出力軸45は、鉛直方向に沿って延びている。
駆動部46は、防水部材22の下方に配置されている。駆動部46は、防水部材22から見てポテンショメータ21と同じ側に配置されている。例えば、駆動部46は、出力軸45が連結されたロータ(回転子)と、ロータを収容するステータ(固定子)と、を備える。
【0036】
プーリ24A,24Bは、2つ設けられている。2つのプーリ24A,24Bは、防水部材22の上方に配置されている。プーリ24A,24Bは、ベルト20が架け渡されベルト20の移動に連動して回転する。プーリ24A,24Bは、円板状のプーリ本体50と、プーリ本体50から径方向外側に張り出す上下一対の鍔51,52と、を備える。
【0037】
プーリ本体50は、プーリ24A,24Bの回転軸と同軸の円板状を有する。ベルト20は、プーリ本体50の外周面に掛け渡されている。
上下一対の鍔51,52は、ベルト20の鉛直方向上側に設けられプーリ本体50の上端から径方向外側に張り出す上鍔51と、ベルト20の鉛直方向下側に設けられプーリ本体50の下端から径方向外側に張り出す下鍔52と、を含む。ここで、「鉛直方向上側」は鉛直の上下方向の上側を意味し、「鉛直方向下側」は鉛直の上下方向の下側を意味する。下鍔52は、請求項に記載の鍔に相当する。
【0038】
2つのプーリ24A,24Bは、前後方向に互いに間隔をあけて配置されている。以下、2つのプーリ24A,24Bの一方を「第1プーリ24A」、他方を「第2プーリ24B」とする。第1プーリ24Aは、防水部材22の前後方向中央寄りに配置されている。第2プーリ24Bは、第1プーリ24Aよりも後方に配置されている。上面視で、第1プーリ24A及び第2プーリ24Bのそれぞれの回転中心RA,RBは、前後方向に沿う直線上に配置されている。第1プーリ24A及び第2プーリ24Bは、互いに同じ形状を有する。例えば、第2プーリ24Bは、第1プーリ24Aと共通のプーリである。
【0039】
ベルト20は、2つのプーリ24A,24Bと、プーリ24A,24Bよりも外径が小さい複数(例えば本実施形態では4つ)の小プーリ55,56,57,58と、によって架け渡されている。4つの小プーリ55,56,57,58は、スリット15に沿って前後方向に延びるベルト20の直線部分の前側部位に架け渡された前プーリ55と、ベルト20の直線部分の後側部位に架け渡された後プーリ56と、モータ23の出力軸45に連結されたモータプーリ57と、テンショナ25のシャフト60に連結されたテンショナプーリ58と、を含む。
【0040】
2つのプーリ24A,24B、前プーリ55、後プーリ56、モータプーリ57及びテンショナプーリ58は、それぞれ鉛直方向に沿って延びる筒状を有する。2つのプーリ24A,24B、前プーリ55、後プーリ56、モータプーリ57及びテンショナプーリ58は、ベルト20の内面20a側に設けられている。
【0041】
上面視で、前プーリ55及び後プーリ56のそれぞれの回転中心R1,R2は、ハンドルストローク長Lの範囲内に配置されている。ハンドルストローク長Lは、前後方向に直線移動する操作部2の最大移動距離を意味する。ハンドルストローク長Lは、スリット15の前後方向の長さに相当する。
【0042】
前プーリ55及び後プーリ56のそれぞれは、左右方向において2つのプーリ24A,24Bとスリット15との間に配置されている。
モータプーリ57及びテンショナプーリ58のそれぞれは、左右方向において第1プーリ24Aの直径に相当する幅内に配置されている。
モータプーリ57は、前後方向において前プーリ55の回転中心R1とテンショナプーリ58との間に配置されている。
テンショナプーリ58は、前後方向において第1プーリ24Aとモータプーリ57との間に配置されている。テンショナプーリ58は、左右方向においてモータプーリ57の回転中心R3と前プーリ55との間に配置されている。
【0043】
テンショナ25は、ベルト20の張力を調整可能な張力調整機構である。テンショナ25は、ベルト20の外面20b側に設けられている。
テンショナ25は、2つのプーリ24A,24Bの間の場所以外に配置されている。言い換えると、テンショナ25は、2つのプーリ24A,24Bよりもベルト20の回転方向の上流側及び下流側の一方に配置されている。
例えば、操作部2を前方に移動した場合、ベルト20は操作部2の前方移動に連動して
図3の矢印V1方向に移動(回転)する。この場合、テンショナ25は、2つのプーリ24A,24Bよりもベルト20の回転方向の上流側に配置される。
一方、操作部2を後方に移動した場合、ベルト20は操作部2の後方移動に連動して
図3の矢印V2方向に移動(回転)する。この場合、テンショナ25は、2つのプーリ24A,24Bよりもベルト20の回転方向の下流側に配置される。
【0044】
図4に示すように、テンショナ25は、テンショナプーリ58と同軸に設けられ鉛直方向に延びるシャフト60と、シャフト60の下端部に連結された調整部61と、を備える。
ベルト20は、テンショナプーリ58の外周面に架け渡されている。
シャフト60は、防水部材22を鉛直方向に貫通している。
【0045】
調整部61は、防水部材22の下方に配置されている。調整部61は、ユーザがベルト20の張力を調整するためのつまみである。例えば、ユーザが調整部61をシャフト60の軸回りの一方に回転させることにより、ベルト20の張力を所定値より大きくすることができる。例えば、ユーザが調整部61をシャフト60の軸回りの他方に回転させることにより、ベルト20の張力を所定値より小さくすることができる。
【0046】
図5に示すように、レール26及びキャリッジ27は、操作部2を直線移動させるためのリニアガイドを構成する。レール26及びキャリッジ27は、操作部2の構成に含まれる。
レール26は、前後方向に沿って直線状に延びている。レール26は、防水部材22の貫通孔40内に露出する閉塞部材41の上面に固定されている。
キャリッジ27は、レール26に沿って移動可能である。キャリッジ27は、レール26を上方から左右方向に跨ぐ形状を有する。
図5の断面視で、キャリッジ27は、下方に開放するU字状(逆U字状)を有する。
【0047】
連結部材28は、操作部2とキャリッジ27とを連結する。連結部材28は、鉛直方向から見て支持部材31と重なる。連結部材28は、キャリッジ27の左側方において支持部材31を避ける凹部70を有する。
【0048】
図6に示すように、連結部材28は、鉛直方向に沿って延びる左側壁71と、左側壁71の右側方に設けられ左側壁71よりも鉛直方向の長さが小さい右側壁72と、右側壁72の下端から左方に延びキャリッジ27の上面に連結される第1連結壁73と、第1連結壁73の左端から下方に延びキャリッジ27の左側面に連結される第2連結壁74と、左右方向に沿って延び第2連結壁74の下端と左側壁71の下端とを連結する底壁75と、を備える。凹部70は、左側壁71の下部、底壁75及び第2連結壁74によって形成されている。
【0049】
ラック29及びピニオン30は、操作部2を直線移動させるためのラック・アンド・ピニオンを構成する。
ラック29は、前後方向に沿って延びている。ラック29は、連結部材28の左側壁71と操作軸11との間に配置されている。
図2に示すように、ラック29の上面には、各テレグラフゾーン6(
図1参照)に対応する位置に開口する複数の位置決め穴77が設けられている。
ピニオン30は、ラック29に噛み合う歯車である。ピニオン30は、操作軸11の下端部に取り付けられている。
【0050】
図6に示すように、支持部材31は、ラック29を下方から支持する。支持部材31は、不図示の締結部材によって防水部材22に固定されている。支持部材31は、
図6の断面視でL字状を有する。支持部材31は、左右方向に沿って延びラック29の下面に連結される第1支持壁81と、第1支持壁81の左端から下方に延びる第2支持壁82と、を備える。第2支持壁82は、連結部材28の左側壁71と第2連結壁74との間に配置されている。第2支持壁82の下端部は、連結部材28の凹部70内に配置されている。
【0051】
接続部材32,33は、操作部2とベルト20とを接続する。接続部材32,33は、2つ設けられている。2つの接続部材32,33は、操作部2と連結部材28とを接続する第1接続部材32と、ベルト20と連結部材28(第1接続部材32)とを接続する第2接続部材33と、を含む。
【0052】
第1接続部材32は、鉛直方向に沿って延びる第1接続壁91と、第1接続壁91の右側方に設けられ第1接続壁91よりも鉛直方向の長さが小さい第2接続壁92と、左右方向に沿って延び第1接続壁91の上端と第2接続壁92の上端とを連結する第3接続壁93と、鉛直方向に沿って延びグリップ10(
図5参照)と第3接続壁93とを連結する第4接続壁94と、を備える。
【0053】
第1接続壁91は、連結部材28の左側壁71とベルト20との間に配置されている。
第2接続壁92は、連結部材28の右側壁72の右側方に配置されている。
第3接続壁93には、操作部2を位置決めするための位置決め機構110が設けられている。位置決め機構110は、球状の球体111と、球体111を下方へ付勢する付勢部材112と、付勢部材112を収容する筒状の筒体113と、を備える。
【0054】
例えば、球体111は、操作部2の前後方向の移動により、ラック29の上面に沿って転がるようになっている。また、球体111は、付勢部材112による下方への付勢により、ラック29の上面のいずれかの位置決め穴77(
図2参照)に入り込むようになっている。球体111が各位置決め穴77のいずれかに入り込むことにより、ユーザは手に伝わる感覚によって操作部2の位置指示針12が表示板5の各テレグラフゾーン6のいずれかの中心にきたことを報知されるようになっている(
図1参照)。
【0055】
第2接続部材33は、鉛直方向に沿って延びる矩形板状を有する。第2接続部材33は、第1接続部材32の第1接続壁91の左側方に配置されている。第2接続部材33は、ベルト20を挟んで第1接続部材32の第1接続壁91と対向する。
【0056】
2つの接続部材32,33は、ボルト等の締結部材によって連結部材28に締結されている。
例えば、ワッシャ100を介してボルト101の軸部を第1接続部材32の第2接続壁92の挿通孔103に右方から挿通し、連結部材28の右側壁72の雌ねじ104に螺合する。これにより、第1接続部材32を連結部材28に固定することができる。
【0057】
例えば、2つの接続部材32,33によりベルト20を挟んだ状態で、ワッシャ105を介してボルト106の軸部を第2接続部材33の挿通孔107及び第1接続部材32の第1接続壁91の挿通孔108のそれぞれに左方から挿通し、連結部材28の左側壁71の雌ねじ109に螺合する。これにより、2つの接続部材32,33を連結部材28に固定するとともに、接続部材32,33等を介してベルト20を操作部2に連結することができる。
【0058】
図2に示すように、制御基板34は、筐体4内の空間を表示板5(
図1参照)側の上方空間120と回路基板36側の下方空間121とに区画する。制御基板34は、表示面5aに対して略平行な板状を有する。制御基板34は、前後方向に長手を有する矩形状をなしている。制御基板34は、防水部材22と回路基板36との間に配置されている。
【0059】
支柱35は、鉛直方向に延びている。支柱35は、防水部材22及び制御基板34を連結している。支柱35は、複数設けられている。複数の支柱35には、防水部材22、制御基板34及び回路基板36のそれぞれを連結する支柱35Aと、回路基板36は連結せず防水部材22及び制御基板34を連結する支柱35Bとが含まれる。
【0060】
制御基板34は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能する。制御基板34は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。なお、制御基板34の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0061】
制御基板34は、各ポテンショメータ21(
図4参照)からの検出信号に基づいて、モータ23を駆動する。例えば、船舶の左舷及び右舷の両方にエンジンテレグラフを設けた場合、制御基板34は、一方のエンジンテレグラフのポテンショメータ21の検出信号に基づいて、他方のエンジンテレグラフのモータ23を駆動する。これにより、他方のエンジンテレグラフのモータ23の駆動に連動したベルト20の移動により、操作部2を前後方向の所定位置に移動させることができる。例えば、船舶の左舷及び右舷の各エンジンテレグラフの操作部2の移動を同期させることができる。
【0062】
回路基板36は、制御基板34の鉛直方向下側に配置されている。回路基板36は、制御基板34よりも小さい矩形状をなしている。回路基板36は、外部の配線をつなぐための端子台を搭載している。回路基板36には、制御回路の一部も搭載されている。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る船舶用操縦装置1は、操作位置を表示する平面状の表示面5aの面内方向における1つの軸上を移動可能な操作部2と、表示面5aに対して略垂直に開口する空間に面する内面20aと内面20aとは反対側の外面20bとを有し表示面5aに対して略平行に掛け回され操作部2の移動に連動する無端状のベルト20と、ベルト20の移動量を検出可能なポテンショメータ21と、ベルト20に動力を伝える出力軸45と出力軸45を回転させるための駆動部46とを有しベルト20を介して操作部2を動かすためのモータ23と、ポテンショメータ21及び駆動部46とベルト20との間に配置された防水部材22と、を備える。
【0064】
この構成によれば、ベルト20が表示面5aに対し略平行に掛け回されることで、ベルト20が表示面5aに対して垂直な方向に掛け回される場合と比較して、表示面5aに対して垂直な方向に小型化することができる。
加えて、ポテンショメータ21及び駆動部46とベルト20との間に防水部材22が配置されることで、ポテンショメータ21及び駆動部46への浸水を抑制することができる。
加えて、プーリ24A,24Bは、ベルト20の鉛直方向下側に設けられプーリ24A,24Bの径方向外側に張り出す下鍔52を有することで、下鍔52によりベルト20の垂れ(ベルト20の自重によるベルト20の下方への垂れ)を抑制することができる。
加えて、テンショナ25は、2つのプーリ24A,24Bの間の場所以外に配置されることで、2つのプーリ24A,24Bのそれぞれとテンショナ25との間隔を確保する必要がない。すなわち、2つのプーリ24A,24Bの一方のみ(第1プーリ24Aのみ)とテンショナ25との間隔を確保すれば足りる。そのため、テンショナ25が2つのプーリ24A,24Bの間に配置された場合と比較して、テンショナ25へのアクセスが容易となる。
加えて、テンショナ25がベルト20の外面20b側に設けられることで、テンショナ25によりベルト20を外面20b側から押すことでベルト20の弛みを低減することができる。
加えて、操作部2は、レール26と、レール26に沿って移動可能なキャリッジ27と、を備え、キャリッジ27及びベルト20は互いに連結されていることで、操作部2をレール26に沿ってスムーズに直線移動するとともに、ベルト20を操作部2の移動にスムーズに連動させることができる。
加えて、連結部材28は、表示面5aに対して垂直な方向から見て支持部材31を避ける凹部70を有することで、連結部材28が凹部70を有しない場合と比較して、表示面5aに対して垂直な方向に小型化することができる。
【0065】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の船舶用操縦装置201の上部の斜視図である。
上述した第1実施形態では、テンショナ25の調整部61が防水部材22の下方に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、
図7に示すように、テンショナ225の調整部261は、防水部材22の上方に配置されていてもよい。
図7において、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
図7に示すように、カバー203は、テンショナ225を露出可能な開口207を有する。船舶用操縦装置201は、カバー203の開口207を開閉可能にカバー203に取り付けられた蓋208を備える。蓋208は、矩形板状を有する。蓋208は、左右方向に延びるヒンジ軸209を介してカバー203に取り付けられている。蓋208は、ヒンジ軸209の周りに移動可能である。蓋208を
図7の矢印K1方向に移動することにより、蓋208が開く。
図7においては、蓋208が開いた状態を実線で示し、蓋208が閉じた状態を二点鎖線で示す。
【0067】
テンショナ225の調整部261は、防水部材22の上方に配置されている。調整部261は、蓋208が開いた状態で開口207から露出する。例えば、開口207の大きさは、調整部261を調整するための工具を入れることが可能な大きさ以上に設定される。
【0068】
この構成によれば、カバー203は、テンショナ225を露出可能な開口207を有し、船舶用操縦装置201は、カバー203の開口207を開閉可能にカバー203に取り付けられた蓋208を備えることで、蓋208が開いた状態では開口207を通じてテンショナ225にアクセスすることができる。したがって、テンショナ225のメンテナンス性が向上する。
加えて、調整部261は、蓋208が開いた状態で開口207から露出することで、開口207を通じて調整部261にアクセスすることができるため、テンショナ225のメンテナンス性が更に向上する。
【0069】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0070】
上述した実施形態では、操作部2の移動方向が前後方向である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、操作部2の移動方向が鉛直方向であってもよい。例えば、操作部2の移動方向は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0071】
上述した実施形態では、ベルトが無端状である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ベルトは、無端状でなくてもよい。例えば、ベルトは、2つの回転体に架け渡される帯状をなしていてもよい。例えば、ベルトの態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0072】
上述した実施形態では、検出部がポテンショメータ21である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、検出部は、エンコーダ、リミットスイッチカム等であってもよい。例えば、検出部の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0073】
上述した実施形態では、ポテンショメータ21が2つ設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ポテンショメータ21は、1つのみ設けられていてもよい。例えば、ポテンショメータ21の設置数は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0074】
上述した実施形態では、防水部材22がベルト20の下方に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、防水部材22は、ベルト20の上方に設けられていてもよい。例えば、防水部材22の配置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0075】
上述した実施形態では、船舶用操縦装置がモータ23を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、船舶用操縦装置は、モータ23を備えていなくてもよい。すなわち、操作部2は、モータ23により自動的に操作されず手動のみで操作可能であってもよい。例えば、操作部2の操作態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0076】
上述した実施形態では、プーリ24A,24Bが鍔51,52を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プーリ24A,24Bは、鍔51,52を有しなくてもよい。例えば、プーリ24A,24Bの態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0077】
上述した実施形態では、テンショナ25が2つのプーリ24A,24Bの間の場所以外に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、テンショナ25は、2つのプーリ24A,24Bの間に配置されていてもよい。例えば、テンショナ25の配置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0078】
上述した実施形態では、テンショナ25がベルト20の外面20b側からベルト20の張力を調整可能である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、テンショナ25は、ベルト20の内面20a側からベルト20の張力を調整可能であってもよい。この場合、テンショナ25によりベルト20を内面20a側から押すことでベルト20の弛みを低減することができる。
【0079】
上述した実施形態では、レール26及びキャリッジ27が操作部2を直線移動させるためのリニアガイドを構成する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、船舶用操縦装置は、リニアガイドの代わりに、ボールスプライン等の他の直線運動機構を備えていてもよい。例えば、直線運動機構の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0080】
上述した実施形態では、ラック29及びピニオン30が操作部2を直線移動させるためのラック・アンド・ピニオンを構成する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、船舶用操縦装置は、ラック・アンド・ピニオンを備えていなくてもよい。例えば、船舶用操縦装置は、ラック・アンド・ピニオン以外の他の直線運動機構を備えていてもよい。
【0081】
上述した実施形態では、操作部2が連結部材28を介してキャリッジ27に連結されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、操作部2は、キャリッジ27に直に連結されていてもよい。例えば、操作部2と直線運動機構との連結態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0082】
上述した実施形態では、ベルト20が接続部材32,33等を介して操作部2に連結されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ベルト20は、操作部2に直に連結されていてもよい。例えば、ベルト20と操作部2との連結態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0083】
上述した実施形態では、船舶用操縦装置が船舶のエンジン制御室に設けられるエンジンテレグラフである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、船舶用操縦装置は、船舶のブリッジに設けられるテレグラフであってもよい。例えば、船舶用操縦装置の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。例えば、船舶用操縦装置は、操作位置を表示する平面状の表示面に対して略平行に移動可能な操作部と、表示面に対して略平行に掛け回され操作部の移動に連動するベルトと、ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備えていればよい。例えば、船舶用操縦装置は、操作位置を表示する板状の表示部材の面内方向における1つの軸上を移動可能な操作部と、表示部材に対して略平行に掛け回され操作部の移動操作に伴って移動する無端状のベルトと、ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備えていてもよい。
【0084】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0085】
1,201…船舶用操縦装置、2…操作部、3,203…カバー、5…表示板、5a…表示面、19…空間、20…ベルト、20a…内面、20b…外面、21…ポテンショメータ(検出部)、22…防水部材、23…モータ、24A…第1プーリ(プーリ)、24B…第2プーリ(プーリ)、25,225…テンショナ、26…レール、27…キャリッジ、28…連結部材、45…出力軸、46…駆動部、52…下鍔(鍔)、61,261…調整部、207…開口、208…蓋