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特許7572812作業機械の障害物報知システムおよび作業機械の障害物報知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】作業機械の障害物報知システムおよび作業機械の障害物報知方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20241017BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241017BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
E02F9/24 Z
G08G1/16 C
E02F9/26 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020140271
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035746
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】中沢 浩一
(72)【発明者】
【氏名】下屋 芳之
(72)【発明者】
【氏名】栗原 毅
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/080538(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/151280(WO,A1)
【文献】特開2019-060108(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008096(WO,A1)
【文献】特開2018-017115(JP,A)
【文献】特開2018-135759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0327261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
E02F 9/26
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の周囲に1または複数の障害物が存在するか否かを判定する障害物判定部と、
前記1または複数の障害物が存在すると判定した場合に、前記1または複数の障害物を示す報知を行う報知部と、
前記報知に対する操作指示を受け付け、前記1または複数の障害物のうち前記操作指示が示す位置に最も近い障害物を特定する指示入力部と、
前記操作指示に基づいて特定された前記障害物の表示形態を、前記障害物の詳細を表示する態様に変更する出力部と
を備える作業機械の障害物報知システム。
【請求項2】
前記表示形態の変更は、前記障害物の表示の拡大である
請求項1に記載の障害物報知システム。
【請求項3】
前記障害物の表示の拡大は、固定の拡大率に基づく前記障害物の拡大画像を出力することである
請求項2に記載の障害物報知システム。
【請求項4】
前記障害物の表示の拡大は、前記操作指示に基づいて決定される拡大率に基づく前記障害物の拡大画像を出力することである
請求項2に記載の障害物報知システム。
【請求項5】
前記報知部はタッチパネルを備え、
前記操作指示は、前記障害物が表示された前記タッチパネルに対するピンチアウト操作であって、
前記指示入力部は、前記1または複数の障害物のうち前記ピンチアウト操作の初期座標の中心座標からの距離が最も近い障害物を、前記操作指示が示す位置に最も近い障害物として特定する
請求項2に記載の障害物報知システム。
【請求項6】
前記報知に係る障害物の属性を特定する属性特定部を備え、
前記出力部は、前記操作指示に基づいて特定された前記報知に係る前記障害物の属性を出力する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の障害物報知システム。
【請求項7】
作業機械の周囲に1または複数の障害物が存在するか否かを判定するステップと、
前記1または複数の障害物が存在すると判定した場合に、前記1または複数の障害物を示す報知を行うステップと、
前記報知に対する操作指示を受け付け、前記1または複数の障害物のうち前記操作指示が示す位置に最も近い障害物を特定するステップと、
前記操作指示に基づいて特定された前記障害物の表示形態を、前記障害物の詳細を表示する態様に変更するステップと
を備える作業機械の障害物報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の障害物報知システムおよび作業機械の障害物報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械の周辺の人を検知する周辺監視システムに係る技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、周辺監視システムは、周囲の障害物を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-035791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周辺監視システムは、障害物を検出すると、障害物が存在することをディスプレイやスピーカなどから報知する。作業機械のオペレータは、周辺監視システムによる報知を受け、障害物が存在することを確認し、また安全が確保されていることを確認する。
【0005】
ところで、周辺監視システムによって障害物が検出されたとしても、報知の内容によっては検出された障害物の詳細をオペレータが認識できない可能性がある。
本開示の目的は、検出された障害物に関する情報を容易に取得することができる作業機械の障害物報知システムおよび作業機械の障害物報知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、作業機械の障害物報知システムは、作業機械の周囲に障害物が存在するか否かを判定する障害物判定部と、前記障害物が存在すると判定した場合に、前記障害物を示す報知を行う報知部と、前記報知に対する操作指示を受け付ける指示入力部と、前記操作指示に基づいて前記障害物の表示形態の変更を行う出力部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、作業機械のオペレータは、検出された障害物に関する情報を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る作業機械の構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る作業機械が備える複数のカメラ121の撮像範囲を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る運転室の内部の構成を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る表示画面の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る制御装置の動作例を示す図である。
図8】第1の実施形態の変形例に係る制御装置の動作例を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態に係る制御装置の動作例を示す図である。
図11】第2の実施形態の第1変形例に係る制御装置の動作例を示す図である。
図12】第2の実施形態の第2変形例に係る制御装置の動作例を示す図である。
図13】第2の実施形態の第3変形例に係る制御装置の動作例を示す図である。
図14】第3の実施形態に係る制御装置の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈第1の実施形態〉
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
【0010】
《作業機械100の構成》
図1は、第1の実施形態に係る作業機械100の構成を示す概略図である。
作業機械100は、施工現場にて稼働し、土砂などの施工対象を施工する。第1の実施形態に係る作業機械100は、例えば油圧ショベルである。作業機械100は、走行体110、旋回体120、作業機130および運転室140を備える。
走行体110は、作業機械100を走行可能に支持する。走行体110は、例えば左右一対の無限軌道である。
旋回体120は、走行体110に旋回中心回りに旋回可能に支持される。
作業機130は、油圧により駆動する。作業機130は、旋回体120の前部に上下方向に駆動可能に支持される。運転室140は、オペレータが搭乗し、作業機械100の操作を行うためのスペースである。運転室140は、旋回体120の左前部に設けられる。
ここで、旋回体120のうち作業機130が取り付けられる部分を前部という。また、旋回体120について、前部を基準に、反対側の部分を後部、左側の部分を左部、右側の部分を右部という。
【0011】
《旋回体120の構成》
旋回体120には、作業機械100の周囲を撮像する複数のカメラ121が設けられる。図2は、第1の実施形態に係る作業機械100が備える複数のカメラ121の撮像範囲を示す図である。
具体的には、旋回体120には、旋回体120の周囲のうち左後方領域Raを撮像する左後方カメラ121A、旋回体120の周囲のうち後方領域Rbを撮像する後方カメラ121B、旋回体120の周囲のうち右後方領域Rcを撮像する右後方カメラ121C、旋回体120の周囲の右前方領域Rdを撮像する右前方カメラ121Dが設けられる。なお、複数のカメラ121の撮像範囲の一部は、互いに重複していてもよい。
複数のカメラ121の撮像範囲は、作業機械100の全周のうち、運転室140から視認可能な左前方領域Reを除く範囲をカバーする。なお、第1の実施形態に係るカメラ121は、旋回体120の左後方、後方、右後方、および右前方を撮像するが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係るカメラ121の数および撮像範囲は、図1および図2に示す例と異なっていてよい。
【0012】
なお、左後方カメラ121Aは、図2の後方範囲Raに示すように、旋回体120の左側方領域、及び左後方領域の範囲を撮像するものであるが、そのどちらか一方の領域を撮像するものであってもよい。同様に、右後方カメラ121Cは、図2の右後方範囲Rcに示すように、旋回体120の右側方領域、及び右後方領域の範囲を撮像するものであるが、そのどちらか一方の領域を撮像するものであってもよい。同様に、右前方カメラ121Dは、図2の右前方範囲Rdに示すように、旋回体120の右前方領域、及び右側方領域の範囲を撮像するものであるが、そのどちらか一方の領域を撮像するものであってもよい。また、他の実施形態においては、複数のカメラ121を用いて、作業機械100の全周囲を撮像範囲とするようにしてもよい。例えば、左前方範囲Reを撮像する左前方カメラを備えて、作業機械100の全周囲を撮像範囲としてもよい。
【0013】
《作業機130の構成》
作業機130は、ブーム131、アーム132、バケット133、ブームシリンダ131C、アームシリンダ132C、およびバケットシリンダ133Cを備える。
【0014】
ブーム131の基端部は、旋回体120にブームピン131Pを介して取り付けられる。
アーム132は、ブーム131とバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にアームピン132Pを介して取り付けられる。
バケット133は、土砂などを掘削するための刃と掘削した土砂を収容するための収容部とを備える。バケット133の基端部は、アーム132の先端部にバケットピン133Pを介して取り付けられる。
【0015】
ブームシリンダ131Cは、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ131Cの基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ131Cの先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ132Cは、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ132Cの基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ132Cの先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ133Cは、バケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ133Cの基端部は、アーム132に取り付けられる。バケットシリンダ133Cの先端部は、バケット133に接続されるリンク部材に取り付けられる。
【0016】
《運転室140の構成》
図3は、第1の実施形態に係る運転室140の内部の構成を示す図である。
運転室140内には、運転席141、操作装置142、および制御装置145が設けられる。
【0017】
操作装置142は、オペレータの手動操作によって走行体110、旋回体120および作業機130を駆動させるための装置である。操作装置142は、左操作レバー142LO、右操作レバー142RO、左フットペダル142LF、右フットペダル142RF、左走行レバー142LT、右走行レバー142RTを備える。
【0018】
左操作レバー142LOは、運転席141の左側に設けられる。右操作レバー142ROは、運転席141の右側に設けられる。
【0019】
左操作レバー142LOは、旋回体120の旋回動作、及び、アーム132の掘削/ダンプ動作を行うための操作機構である。具体的には、作業機械100のオペレータが左操作レバー142LOを前方に倒すと、アーム132がダンプ動作する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー142LOを後方に倒すと、アーム132が掘削動作する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー142LOを右方向に倒すと、旋回体120が右旋回する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー142LOを左方向に倒すと、旋回体120が左旋回する。なお、他の実施形態においては、左操作レバー142LOを前後方向に倒した場合に旋回体120が右旋回または左旋回し、左操作レバー142LOが左右方向に倒した場合にアーム132が掘削動作またはダンプ動作してもよい。
【0020】
右操作レバー142ROは、バケット133の掘削/ダンプ動作、及び、ブーム131の上げ/下げ動作を行うための操作機構である。具体的には、作業機械100のオペレータが右操作レバー142ROを前方に倒すと、ブーム131の下げ動作が実行される。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー142ROを後方に倒すと、ブーム131の上げ動作が実行される。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー142ROを右方向に倒すと、バケット133のダンプ動作が行われる。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー142ROを左方向に倒すと、バケット133の掘削動作が行われる。なお、他の実施形態においては、右操作レバー142ROを前後方向に倒した場合に、バケット133がダンプ動作または掘削動作し、右操作レバー142ROを左右方向に倒した場合にブーム131が上げ動作または下げ動作してもよい。
【0021】
左フットペダル142LFは、運転席141の前方の床面の左側に配置される。右フットペダル142RFは、運転席141の前方の床面の右側に配置される。左走行レバー142LTは、左フットペダル142LFに軸支され、左走行レバー142LTの傾斜と左フットペダル142LFの押し下げが連動するように構成される。右走行レバー142RTは、右フットペダル142RFに軸支され、右走行レバー142RTの傾斜と右フットペダル142RFの押し下げが連動するように構成される。
【0022】
左フットペダル142LFおよび左走行レバー142LTは、走行体110の左側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、作業機械100のオペレータが左フットペダル142LFまたは左走行レバー142LTを前方に倒すと、左側履帯は前進方向に回転する。また、作業機械100のオペレータが左フットペダル142LFまたは左走行レバー142LTを後方に倒すと、左側履帯は後進方向に回転する。
【0023】
右フットペダル142RFおよび右走行レバー142RTは、走行体110の右側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、作業機械100のオペレータが右フットペダル142RFまたは右走行レバー142RTを前方に倒すと、右側履帯は前進方向に回転する。また、作業機械100のオペレータが右フットペダル142RFまたは右走行レバー142RTを後方に倒すと、右側履帯は後進方向に回転する。
【0024】
制御装置145は、作業機械100が有する複数の機能に係る情報を表示するディスプレイ145Dを備える。制御装置145は、表示システムの一例である。また、ディスプレイ145Dは、表示部の一例である。第1の実施形態に係る制御装置145の入力手段は、タッチパネルである。
【0025】
《制御装置145の構成》
図4は、第1の実施形態に係る制御装置145の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置145は、プロセッサ210、メインメモリ230、ストレージ250、インタフェース270を備えるコンピュータである。また、制御装置145は、ディスプレイ145Dおよびスピーカ145Sを備える。また、第1の実施形態に係る制御装置145は、ディスプレイ145Dおよびスピーカ145Sと一体に設けられるが、他の実施形態においては、ディスプレイ145Dおよびスピーカ145Sの少なくとも1つが制御装置145と別個に設けられていてもよい。なお、ディスプレイ145Dと制御装置145とが別個に設けられる場合、ディスプレイ145Dは運転室140の外に設けられてもよい。この場合、ディスプレイ145Dはモバイルディスプレイであってよい。また、作業機械100が遠隔操作によって駆動する場合、ディスプレイ145Dは作業機械100と遠隔に設けられた遠隔操作室に設けられてもよい。同様に、スピーカ145Sと制御装置145とが別個に設けられる場合、スピーカ145Sは運転室140の外に設けられてもよい。また、作業機械100が遠隔操作によって駆動する場合、スピーカ145Sは作業機械100と遠隔に設けられた遠隔操作室に設けられてもよい。
【0026】
なお、制御装置145は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、制御装置145の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで作業機械の障害物報知システムとして機能するものであってもよい。作業機械100は、制御装置145として機能する複数のコンピュータを備えてもよい。制御装置145を構成する一部のコンピュータが作業機械100の内部に搭載され、他のコンピュータが作業機械100の外部に設けられてもよい。
なお、上述の1台の制御装置145も、作業機械の障害物報知システムの一例である。他の実施形態においては、作業機械の障害物報知システムを構成する一部の構成が作業機械100の内部に搭載され、他の構成が作業機械100の外部に設けられてもよい。例えば、ディスプレイ145Dは作業機械100と遠隔に設けられた遠隔操作室に設ける構成とした作業機械の障害物報知システムとしてもよい。また他の実施形態においては、作業機械の障害物報知システムを構成する1または複数のコンピュータがすべて作業機械100の外部に設けられてもよい。
【0027】
カメラ121、ディスプレイ145Dおよびスピーカ145Sは、インタフェース270を介してプロセッサ210に接続される。
ストレージ250の例としては、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ250は、制御装置145のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース270または通信回線を介して制御装置145に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ250は、作業機械100の周囲監視を実現するためのプログラムを記憶する。また、ストレージ250には、ディスプレイ145Dに表示させるためのアイコンを含む複数の画像が予め記憶されている。
【0028】
プログラムは、制御装置145に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ250に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、制御装置145は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ210によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0029】
また、ストレージ250は、障害物を検知するための障害物辞書データD1を記憶する。
障害物辞書データD1は、例えば障害物が写る複数の既知の画像それぞれから抽出された特徴量の辞書データであってよい。特徴量の例としては、HOG(Histograms of Oriented Gradients)やCoHOG(Co-occurrence HOG)などが挙げられる。
【0030】
プロセッサ210は、プログラムを実行することで、取得部211、俯瞰画像生成部212、障害物検出部213、指示入力部214、表示画面生成部215、表示制御部216、アラーム制御部217を備える。
【0031】
取得部211は、複数のカメラ121から撮像画像を取得する。
【0032】
俯瞰画像生成部212は、取得部211が取得した複数の撮像画像を変形し、合成することで、作業機械100を中心として、現場を上方から平面視した俯瞰画像を生成する。以下、俯瞰画像生成部212が変形させた撮像画像を変形画像ともいう。俯瞰画像生成部212は、変形後のそれぞれの撮像画像の一部を切り出して、切り出した撮像画像を合成することで、俯瞰画像を生成してもよい。俯瞰画像生成部212が生成する俯瞰画像の中央には、作業機械100を上方から平面視した画像が予め貼り付けられている。すなわち、俯瞰画像は、作業機械100の周囲が写る周囲画像である。
【0033】
障害物検出部213は、取得部211が取得した各撮像画像から障害物を検出する。すなわち、障害物検出部213は、作業機械100の周囲に障害物が存在するか否かを判定する障害物判定部の一例である。障害物の例としては、人、車両、岩石などが挙げられる。また、障害物検出部213は、障害物が検出された場合に、左後方領域Ra、後方領域Rb、右後方領域Rc、右前方領域Rdのうち障害物が存在する領域を特定する。
【0034】
障害物検出部213は、例えば以下の手順で障害物を検出する。障害物検出部213は、取得部211が取得した各撮像画像から特徴量を抽出する。障害物検出部213は、抽出した特徴量と障害物辞書データとに基づいて、撮像画像から障害物を検出する。障害物の検出方法の例としては、パターンマッチング、機械学習に基づく物体検出処理などが挙げられる。
なお、第1の実施形態においては、障害物検出部213は、画像の特徴量を用いて人の検出を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、障害物検出部213は、LiDAR(Light Detection and Ranging)の計測値などに基づいて障害物を検出してもよい。
【0035】
指示入力部214は、制御装置145のタッチパネルに対するオペレータのタッチ操作の入力を受け付ける。特に指示入力部214は、タッチパネルに対するピンチアウト操作を、ディスプレイ145Dへの障害物の表示に対する拡大指示として受け付ける。ピンチアウト操作とは、タッチパネルに触れた2本の指を互いに離間させる操作をいう。指示入力部214は、タッチパネルにおけるピンチアウト操作に係る2本の指の座標を特定する。
【0036】
表示画面生成部215は、俯瞰画像生成部212が生成した俯瞰画像G11に重畳させて、障害物の検出位置に対応する位置に、障害物の位置を示すマーカG12を配置した表示画面データG1を生成する。表示画面データG1へのマーカG12の配置は、障害物の存在の報知の一例である。表示画面生成部215は、指示入力部214が拡大指示を受け付けたときに、俯瞰画像G11のうち拡大指示が示す障害物の表示を拡大する。障害物の表示の拡大は、障害物の表示形態の変更の一例である。表示画面生成部215は、拡大指示の受け付けから一定時間後に、俯瞰画像G11の表示をもとに戻す。
表示画面の例については後述する。
【0037】
表示制御部216は、表示画面生成部215が生成した表示画面データG1をディスプレイ145Dに出力する。これにより、ディスプレイ145Dは表示画面データG1を表示する。表示制御部216は、報知部の一例である。
アラーム制御部217は、障害物検出部213が障害物を検出したときに、スピーカ145Sにアラームの音声信号を出力する。アラーム制御部217は、報知部の一例である。
【0038】
《表示画面について》
図5は、第1の実施形態に係る表示画面の例を示す図である。
図5に示すように、表示画面データG1には、俯瞰画像G11、マーカG12、および単カメラ画像G14が含まれる。
俯瞰画像G11は、現場を上方から平面視した画像である。俯瞰画像G11は、左後方カメラ121Aに係る変形画像が写る左後方領域Ra、後方カメラ121Bに係る変形画像が写る後方領域Rb、右後方カメラ121Cに係る変形画像が写る右後方領域Rc、右前方カメラ121Dに係る変形画像が写る右前方領域Rd、画像が写らない左前方領域Reを有する。なお、左後方領域Ra、後方領域Rb、右後方領域Rc、右前方領域Rd、左前方領域Reの領域の境界線は、俯瞰画像G11に表示されない。
【0039】
マーカG12は、障害物の位置を示す。マーカG12の形状は、例えば、円、楕円、正多角形、多角形などが挙げられる。
単カメラ画像G14は、1つのカメラ121が撮像した単カメラ画像である。
【0040】
《障害物の報知方法》
図6は、第1の実施形態に係る制御装置145の動作を示すフローチャートである。
制御装置145が周囲監視処理を開始すると、取得部211は、複数のカメラ121、から撮像画像を取得する(ステップS1)。
次に、俯瞰画像生成部212は、ステップS1で取得した複数の撮像画像を変形し、合成することで、作業機械100を中心として、現場を上方から平面視した俯瞰画像G11を生成する(ステップS2)。このとき、俯瞰画像生成部212は、合成前の各変形画像をメインメモリ230に記録しておく。次に、障害物検出部213は、ステップS1で取得した各撮像画像について障害物の検出処理を実行し、障害物が検出されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0041】
撮像画像において障害物が検出された場合(ステップS3:YES)、障害物検出部213は、左後方領域Ra、後方領域Rb、右後方領域Rc、右前方領域Rdのうち障害物が検出された領域を特定する(ステップS4)。すなわち、障害物検出部213は、左後方カメラ121Aの撮像画像において障害物が検出された場合、障害物が検出された領域が左後方領域Raであると判定する。障害物検出部213は、後方カメラ121Bの撮像画像において障害物が検出された場合、障害物が検出された領域が後方領域Rbであると判定する。障害物検出部213は、右後方カメラ121Cの撮像画像において障害物が検出された場合、障害物が検出された領域が右後方領域Rcであると判定する。障害物検出部213は、右前方カメラ121Dの撮像画像において障害物が検出された場合、障害物が検出された領域が右前方領域Rdであると判定する。
【0042】
アラーム制御部217は、スピーカ145Sにアラームの音声信号を出力する(ステップS5)。また、表示画面生成部215は、ステップS2で生成した俯瞰画像G11のうち、検出された障害物に対応する位置に、マーカG12を配置する(ステップS6)。
【0043】
指示入力部214は、タッチパネルに2つの指が接触しているか否かを判定する(ステップS7)。タッチパネルに2つの指が接触してる場合(ステップS7:YES)、指示入力部214は、オペレータからピンチアウト操作による拡大指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS8)。例えば、指示入力部214は、タッチパネルに2つの指が接触し、かつ2つの指の距離が接触開始時の距離より所定閾値以上大きい場合に、ピンチアウト操作がなされていると判定する。
【0044】
ピンチアウト操作がなされていない場合(ステップS8:NO)、指示入力部214は、タッチパネルにおける2つの指の座標を特定し、初期座標としてメインメモリ230に記録する(ステップS9)。ステップS9で記録した初期座標は、今回検出された2つの指によってピンチアウト操作がなされた場合に、ピンチアウト操作の開始時の座標とみなすことができる。
【0045】
ピンチアウト操作がなされた場合(ステップS8:YES)、指示入力部214は、メインメモリ230に記憶された2つの指の初期座標に基づいて、オペレータが指定する障害物を特定する(ステップS10)。具体的には、指示入力部214は、ステップS3で検出された障害物のうち、2つの指の初期座標の中心座標からの距離が最も短いものを、オペレータが指定する障害物と特定する。また、指示入力部214は、2つの指の初期座標と、2つの指の現在の座標とに基づいて、拡大率を決定する(ステップS11)。例えば、指示入力部214は、初期座標に係る2つの指の距離と、現在の2つの指の距離との比率に所定の係数を乗算することで、拡大率を決定する。
【0046】
俯瞰画像生成部212は、ステップS2で生成した俯瞰画像のうち、ステップS10で特定した障害物が存在する領域の部分を、ステップS11で決定した拡大率に従って拡大する(ステップS12)。このとき、俯瞰画像生成部212は、ステップS10で特定した障害物を中心に、画像の拡大を行う。
そして、表示画面生成部215は、ステップS12で拡大した俯瞰画像G11と、ステップS6で配置されたマーカG12と、ステップS1で取得した単カメラ画像G14とを配置した表示画面データG1を生成する(ステップS13)。表示制御部216は、生成した表示画面データG1をディスプレイ145Dに出力する(ステップS14)。つまり、表示制御部216は、拡大指示の入力があった場合、検出された障害物を中心とした拡大画像を出力する。
【0047】
他方、ステップS7で2つの指がタッチパネルに接触していない場合(ステップS7:NO)、またはステップS9で2つの指の初期座標を記録した場合(ステップS9)、表示画面生成部215は、ステップS2で生成した俯瞰画像G11と、ステップS6で配置されたマーカG12と、ステップS1で取得した単カメラ画像G14とを配置した表示画面データG1を生成する(ステップS13)。そして、表示制御部216は、生成した表示画面データG1をディスプレイ145Dに出力する(ステップS14)。つまり、表示制御部216は、拡大指示の入力がない場合、障害物を拡大しない俯瞰画像G1を出力する。
【0048】
ステップS3で撮像画像において障害物が検出されない場合(ステップS3:YES)、アラーム制御部217は、音声信号の出力を停止する(ステップS11)。そして、表示画面生成部215は、ステップS2で生成した俯瞰画像G11と、ステップS1で取得した単カメラ画像G14とを配置した表示画面データG1を生成する(ステップS13)。そして、表示制御部216は、生成した表示画面データG1をディスプレイ145Dに出力する(ステップS14)。
【0049】
上記の処理を繰り返し実行することで、制御装置145は、俯瞰画像G11に重畳して検出された障害物にマーカG12を付し、ピンチアウト操作による拡大指示がなされると障害物を中心に俯瞰画像の一部を拡大表示することができる。
【0050】
なお、図6に示すフローチャートは一例であり、他の実施形態においては必ずしもすべてのステップを実行しなくてもよい。例えば、他の実施形態において、アラームによる報知をしない場合には、ステップS5およびステップS11の処理を実行しなくてもよい。また例えば、他の実施形態において、マーカG12による報知をしない場合には、ステップS6の処理を実行しなくてもよい。また、他の実施形態において、拡大指示をピンチアウト操作ではなくタップ操作、ダブルタップ操作、長押し操作などによって行う場合には、ステップS9の初期座標の特定およびステップS11の拡大率の決定を行わなくてもよい。タップ操作やダブルタップ操作などによって拡大指示がなされる場合、拡大率は固定となる。また、タッチ操作は、指Fに代えてタッチペンなどを用いて行われてもよい。
【0051】
《動作例》
以下、図を用いながら第1の実施形態に係る制御装置145の動作例について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る制御装置145の動作例を示す図である。
制御装置145の障害物検出部213は、ステップS3で作業機械100の周囲において障害物を検出すると、ステップS4で検出された領域を特定する。ここで、例えば右前方カメラ121Dの撮像画像および後方カメラ121Bの撮像画像において障害物が検出された場合、障害物検出部213は、障害物が検出された領域が後方領域Rbおよび右前方領域Rdであると特定する。
【0052】
オペレータは、スピーカ145Sから発せられるアラームを聞き、ディスプレイ145Dを視認することで、後方領域Rbおよび右前方領域Rdに障害物が存在することを認識する。ここで、オペレータは、右前方領域Rdの障害物を認識しづらい場合に、当該障害物の確認のために、拡大指示を行う。すなわち、オペレータは、図7に示すように、拡大したい障害物の近傍に2本の指Fを接触させ、2本の指を離間する操作を行う。
【0053】
このとき、制御装置145の指示入力部214は、まずピンチアウト開始時に、ステップS9で初期座標を記録し、ピンチアウト操作時にステップS10で2本の指Fに最も近い障害物を特定する。ここでは、指示入力部214は、右前方領域Rdの障害物を特定する。指示入力部214は、ステップS11で拡大率を決定し、右前方領域Rdの変形画像を、特定した障害物を中心に、かつステップS11で決定した拡大率で、拡大する。
【0054】
《作用・効果》
第1の実施形態に係る制御装置145は、作業機械の周囲に障害物が存在すると判定した場合に障害物を示す報知を行い、当該報知に対する操作指示を受け付けた場合に、障害物の表示形態の変更を行う。これにより、オペレータは、障害物の確認のために所定の操作指示を行うことで、検出された障害物に関する情報を容易に取得することができる。
【0055】
また、第1の実施形態に係る制御装置145は、ピンチアウト操作により、対象となる障害物を中心に変形画像を拡大する。これにより、オペレータは、直感的な操作により、障害物の拡大画像を取得することができる。また、ピンチアウト操作の初期座標ではなく障害物を中心に拡大をすることで、拡大により障害物が画面外に出てしまうことを防ぐことができる。
【0056】
《変形例》
なお、第1の実施形態に係る制御装置145は、俯瞰画像G11に対する拡大指示により、俯瞰画像G11の一部を拡大するが、これに限られない。図8は、第1の実施形態の変形例に係る制御装置145の動作例を示す図である。
例えば、第1変形例に係る制御装置145は、図8に示すように、単カメラ画像G14にマーカG12を付してもよい。この場合、制御装置145は、拡大指示に基づいて、障害物を中心に単カメラ画像G14を拡大してもよい。
【0057】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る制御装置145は、ピンチアウト操作による拡大指示を受け付け、俯瞰画像G11の一部領域を拡大する。これに対し、第2の実施形態に係る制御装置145は、タップ操作による拡大指示を受け付け、俯瞰画像G11と別個に障害物の拡大画像を表示させる。俯瞰画像G11と別個に障害物の拡大画像を表示させることは、障害物の表示形態の変更の一例である。
【0058】
第2の実施形態に係る制御装置145の構成は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態に係る制御装置145は、第1の実施形態と指示入力部214及び表示画面生成部215の動作が異なる。
【0059】
第2の実施形態に係る指示入力部214は、タッチパネルに対するダブルタップ操作を、ディスプレイ145Dへの障害物の表示に対する拡大指示として受け付ける。ダブルタップ操作とは、タッチパネルに短い時間間隔で2回触れる操作をいう。指示入力部214は、タッチパネルにおけるダブルタップ操作に係る指の座標を特定する。
【0060】
表示画面生成部215は、指示入力部214が拡大指示を受け付けた場合に、撮像画像の当該障害物の表示を拡大し、かつ障害物を中心にクロッピングした拡大画像G15を配置した表示画面データG1を生成する。拡大画像G15は、変形画像ではなく、撮像画像から生成される。拡大画像G15は、俯瞰画像G11のうち画像が写らない左前方領域Reに配置される。画像が写らない部分への障害物の拡大画像の表示は、障害物の表示形態の変更の一例である。
【0061】
《障害物の報知方法》
図9は、第2の実施形態に係る制御装置145の動作を示すフローチャートである。
第2の実施形態に係る制御装置145は、第1の実施形態に係るステップS7-S12に代えて、以下に示すステップS22-S25を実行する。
表示画面生成部215がステップS6でマーカG12を配置すると、指示入力部214は、タッチパネルに対しダブルタップ操作がなされたか否かを判定する(ステップS21)。ダブルタップ操作がなされていない場合(ステップS21:NO)、表示画面生成部215は、ステップS2で生成した俯瞰画像G11と、ステップS6で配置されたマーカG12と、ステップS1で取得した単カメラ画像G14とを配置した表示画面データG1を生成する(ステップS13)。そして、表示制御部216は、生成した表示画面データG1をディスプレイ145Dに出力する(ステップS14)。つまり、表示制御部216は、拡大指示の入力がない場合、拡大画像G15を含まない表示画面データG1を出力する。
【0062】
他方、ダブルタップ操作がなされた場合(ステップS21:YES)、指示入力部214は、ダブルタップ操作に係る座標に基づいて、オペレータが指定する障害物を特定する(ステップS22)。具体的には、指示入力部214は、ステップS3で検出された障害物のうち、最後にタッチされた座標からの距離が最も短いものを、オペレータが指定する障害物と特定する。表示画面生成部215は、ステップS1で取得した撮像画像のうち、ステップS22で特定した障害物が写るものを特定する(ステップS23)。表示画面生成部215は、ステップS22で特定した障害物を中心に、撮像画像を所定の拡大率で拡大し、所定のサイズにクロッピングすることで、拡大画像を生成する(ステップS24)。例えば、所定の拡大率は予め定めておいた固定の拡大率とし、固定の拡大画像を生成するようにしてよい。表示画面生成部215は、生成した拡大画像を、俯瞰画像G11の左前方領域Reに配置する(ステップS25)。このとき、表示画面生成部215は、拡大画像とステップS22で特定した障害物とを線で結び、拡大画像がどの障害物を示すかを明示してもよい。
【0063】
そして、表示画面生成部215は、ステップS12で拡大した俯瞰画像G11と、ステップS6で配置されたマーカG12と、ステップS1で取得した単カメラ画像G14と、拡大画像G15とを配置した表示画面データG1を生成する(ステップS13)。表示制御部216は、生成した表示画面データG1をディスプレイ145Dに出力する(ステップS14)。つまり、表示制御部216は、拡大指示の入力があった場合、検出された障害物を中心とした拡大画像を出力する。表示画面生成部215は、拡大画像G15の表示開始から一定時間が経過したときに、当該拡大画像G15を表示画面データG1から削除してもよい。
【0064】
《動作例》
以下、図を用いながら第2の実施形態に係る制御装置145の動作例について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る制御装置145の動作例を示す図である。
制御装置145の障害物検出部213は、ステップS3で作業機械100の周囲において障害物を検出すると、ステップS4で検出された領域を特定する。ここで、例えば右前方カメラ121Dの撮像画像および後方カメラ121Bの撮像画像において障害物が検出された場合、障害物検出部213は、障害物が検出された領域が後方領域Rbおよび右前方領域Rdであると特定する。
【0065】
オペレータは、スピーカ145Sから発せられるアラームを聞き、ディスプレイ145Dを視認することで、後方領域Rbおよび右前方領域Rdに障害物が存在することを認識する。ここで、オペレータは、右前方領域Rdの障害物を認識しづらい場合に、当該障害物の確認のために、拡大指示を行う。すなわち、オペレータは、図10に示すように、拡大したい障害物の近傍でダブルタップ操作を行う。
【0066】
このとき、指示入力部214は、最後に接触があった座標に最も近い障害物を特定する。ここでは、指示入力部214は、右前方領域Rdの障害物を特定する。表示画面生成部215は、ステップS24で、特定された障害物が写る撮像画像を、特定した障害物を中心に拡大し、クロッピングすることで、拡大画像G15を生成する。表示画面生成部215は、ステップS25で、拡大画像G15を俯瞰画像G11の左前方領域Reに配置する。
【0067】
《作用・効果》
第2の実施形態に係る制御装置145は、対象となる障害物を中心に変形画像ではなく撮像画像を拡大することで拡大画像G15を生成する。俯瞰画像G11のために生成された変形画像は、元の撮像画像を歪ませたものであるため、変形画像に写る障害物にも歪みが生じる可能性がある。そのため、制御装置145は、変形画像でなく撮像画像を拡大した拡大画像G15を提示することで、オペレータに障害物を視認しやすい画像を提供することができる。
【0068】
《変形例》
なお、第2の実施形態に係る制御装置145は、拡大画像G15を俯瞰画像G11の左前方領域Reに配置するが、これに限られない。図11は、第2の実施形態の第1変形例に係る制御装置145の動作例を示す図である。図12は、第2の実施形態の第2変形例に係る制御装置145の動作例を示す図である。
例えば、第1変形例に係る制御装置145は、図11に示すように、拡大画像G15を俯瞰画像G11と単カメラ画像G14の間に配置してもよい。また例えば、第2変形例に係る制御装置145は、図12に示すように、単カメラ画像G14に代えて拡大画像G15を配置してもよい。
【0069】
第2の実施形態に係る制御装置145は、俯瞰画像G11に対する拡大指示により拡大画像G15を生成するが、これに限られない。図13は、第2の実施形態の第3変形例に係る制御装置145の動作例を示す図である。
例えば、第3変形例に係る制御装置145は、図13に示すように、単カメラ画像G14にマーカG12を付してもよい。この場合、制御装置145は、単カメラ画像G14への拡大指示に基づいて拡大画像G15を生成し、単カメラ画像G14上に拡大画像G15を配置してもよい。
【0070】
〈第3の実施形態〉
第1、第2の実施形態に係る制御装置145は、拡大指示に基づいて画像における障害物を拡大する。これに対し、第3の実施形態に係る制御装置145は、タップ操作による種別表示指示を受け付け、障害物の近傍に当該障害物の種別を表示させる。障害物の近傍に当該障害物の種別を表示させることは、障害物の表示形態の変更の一例である。
【0071】
第3の実施形態に係る制御装置145の構成は、第2の実施形態と同様である。第3の実施形態に係る制御装置145は、第2の実施形態と障害物検出部213、指示入力部214、および表示画面生成部215の動作が異なる。
【0072】
第3の実施形態に係る障害物検出部213は、障害物を検出したときに、当該障害物の種別を特定する。例えば、障害物検出部213は、パターンマッチングによって障害物を検出する場合、予め障害物の種別ごとにパターンを用意しておき、マッチしたパターンに関連付けられた種別を、障害物の種別として特定する。例えば、障害物検出部213が機械学習に基づく物体検出処理によって障害物を検出する場合、予めモデルが障害物の種別を示すラベルを出力するように学習させておき、ラベルに基づいて障害物の種別を特定する。
第3の実施形態に係る指示入力部214は、タッチパネルに対するダブルタップ操作を、ディスプレイ145Dへの障害物の表示に対する種別表示指示として受け付ける。
表示画面生成部215は、指示入力部214が種別表示指示を受け付けた場合に、撮像画像の障害物の近傍に当該障害物の種別表示を配置する。
【0073】
《動作例》
以下、図を用いながら第3の実施形態に係る制御装置145の動作例について説明する。
図14は、第3の実施形態に係る制御装置145の動作例を示す図である。
制御装置145の障害物検出部213は、作業機械100の周囲において障害物を検出すると、当該障害物の種別と、当該障害物が検出された領域を特定する。オペレータは、スピーカ145Sから発せられるアラームを聞き、ディスプレイ145Dを視認することで障害物が存在することを認識する。ここで、オペレータは、右前方領域Rdの障害物を認識しづらい場合に、当該障害物の確認のために、種別表示指示を行う。指示入力部214は、最後に接触があった座標に最も近い障害物を特定する。表示画面生成部215は、特定された障害物の種別を表示するラベル画像G16を生成する。表示画面生成部215は、ラベル画像G16を種別表示指示に係る座標に配置する。
【0074】
《作用・効果》
第3の実施形態に係る制御装置145は、対象となる障害物の種別を表すラベル画像G16を生成する。制御装置145は、ラベル画像G16を提示することで、オペレータに障害物の種別を認識させることができる。
【0075】
《変形例》
なお、第3の実施形態に係る制御装置145は、障害物の種別をディスプレイ145Dに表示させるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置145は、ディスプレイ145Dへの表示に代えて、スピーカ145Sから障害物の種別を表す音声を出力させてもよい。
【0076】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0077】
上述した実施形態に係る制御装置145は、ディスプレイ145DへのマーカG12の表示、アラームアイコンG13の表示、およびスピーカ145Sからのアラームによって障害物の報知を行うが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置145は、作業機械100の介入制御により障害物の報知を行ってもよい。
【0078】
また、上述した実施形態に係る作業機械100は、油圧ショベルであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る作業機械100は、例えば、ダンプトラック、ブルドーザ、ホイルローダなどの他の作業機械であってもよい。
【0079】
また、図5などに示す表示画面の例においては、表示画面に左後方領域Ra、後方領域Rb、右後方領域Rc、右前方領域Rd、左前方領域Reの領域の境界線が表示されないものとし説明したが、これに限られず、他の実施形態においては、表示画面に領域の境界線が表示されてもよい。
【0080】
上述した実施形態に係る制御装置145の障害物検出部213は、障害物が存在する領域を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置145は、障害物が存在する領域を特定しなくてもよい。この場合、制御装置145は、拡大指示や種別表示指示によりに基づいて、接触があった座標に最も近い障害物を特定し、当該障害物を中心に拡大してもよいし、当該障害物の近傍に、障害物の種別を表示するようにしてもよい。
【0081】
上述した実施形態に係る制御装置145は、拡大指示や種別表示指示により接触があった座標に最も近い障害物を特定するが、これに限られない。例えば、制御装置145は、拡大指示がなされた領域に存在する当該障害物を中心に当該領域に係る変形画像を拡大してもよい。または、制御装置145は、拡大した画像を、画像が写らない左前方領域Reや、俯瞰画像G11と単カメラ画像G14の間などに表示させてもよい。なお、制御装置145は、拡大指示がなされた領域に存在する障害物の数に応じて、拡大表示の態様を異ならせてもよい。例えば、制御装置145は、拡大指示がなされた領域に存在する障害物の数が1つである場合に、当該障害物を中心に当該領域に係る変形画像を拡大し、拡大指示がなされた領域に存在する障害物の数が2つ以上である場合に、各障害物を拡大した画像を、画像が写らない左前方領域Reや、俯瞰画像G11と単カメラ画像G14の間などに表示させる。また、例えば、制御装置145は、種別表示指示がなされた領域に存在する障害物の近傍に、障害物の種別を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
100…作業機械 110…走行体 120…旋回体 121…カメラ 130…作業機 145…制御装置 145D…ディスプレイ 145S…スピーカ 211…取得部 212…俯瞰画像生成部 213…障害物検出部 214…指示入力部 215…表示画面生成部 216…表示制御部 217…アラーム制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14