(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送システムの制御装置、搬送方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20241017BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B65G1/04 503
B65G1/00 511B
(21)【出願番号】P 2020149226
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】上野 敬介
(72)【発明者】
【氏名】樟 和典
(72)【発明者】
【氏名】小野 友資
(72)【発明者】
【氏名】山下 淳平
(72)【発明者】
【氏名】北出 英明
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213059(JP,A)
【文献】特開2005-059997(JP,A)
【文献】特開2004-100233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、
前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部
のうち、最大搭載量が前記第2搭載量の搭載部の許容搭載量を前記第1搭載量又は前記第2搭載量に設定する搬送システム。
【請求項2】
前記搭載部は、
前記第1搭載量までの物品を搭載可能な複数の第1搭載部と
前記第2搭載量までの物品を搭載可能な複数の第2搭載部と、を備え、
前記制御部は、前記利用予測情報に基づいて、前記第1搭載量の前記搭載部の必要数が前記第2搭載量の前記搭載部の必要数よりも多い場合、前記第2搭載部の少なくとも1つ
の許容搭載量を前記第1搭載量に決定する請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記搭載部は、
前記第1搭載量までの物品を搭載可能な複数の第1搭載部と
前記第2搭載量までの物品を搭載可能な複数の第2搭載部と、を備え、
前記制御部は、前記利用予測情報に基づいて、前記第1搭載部の使用可能数と前記第1搭
載部の必要数との差分である第1差分と、前記第2搭載部の使用可能数と前記第2搭
載部の必要数との差分である第2差分とを比較して、前記第1差分が前記第2差分よりも小さい場合、前記第2搭載部の少なくとも1つ
の許容搭載量を前記第1搭載量に決定する請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬入出位置にある前記搭載部にアクセス可能な開口部を開閉する開閉扉を備え、
前記開閉扉は、前記第1搭載部が前記搬入出位置に搬送された状態において、前記第1搭載部を開放する第1開位置、及び前記第2搭載部が前記搬入出位置に搬送された状態において、前記第1開位置よりも前記開口部の開口量を大きくして前記第2搭載部を開放する第2開位置に切り替え可能に構成され、
前記制御部は、前記第2搭載部の
うち許容搭載量が前記第1搭載量に設定された前記第2搭載部の少なくとも1つが前記搬入出位置に搬送された場合、前記開閉扉を前記第1開位置とする請求項2又は請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第2搭載部内の許容搭載量
が前記第1搭載量
となるように前記第2搭載部内を区画可能な区画部材を備える請求項3又は請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記保管ラック
に保管される前記第1搭載部及び前記第2搭載部の各個数
は、前記利用予測情報に基づいて変更可能
である請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送機構とを備えた搬送システムの制御装置であって、
最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報を取得する取得部と、取得された前記利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部
のうち、最大搭載量が前記第2搭載量の搭載部の許容搭載量を前記第1搭載量又は前記第2搭載量に設定する決定部とを備える搬送システムの制御装置。
【請求項8】
異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送方法であって、
最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報を取得し、
取得された前記利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部
のうち、最大搭載量が前記第2搭載量の搭載部の許容搭載量を前記第1搭載量又は前記第2搭載量に設定する搬送方法。
【請求項9】
異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送機構とを備えた搬送システムを制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報を取得する取得部と、
取得された前記利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部
のうち、最大搭載量が前記第2搭載量の搭載部の許容搭載量を前記第1搭載量又は前記第2搭載量に設定する決定部として、機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、搬送システムの制御装置、搬送方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大きさの異なる複数種類のロッカーを備えたロッカーシステムが知られている。この種のロッカーシステムとして、例えば下記特許文献1には、荷物の大きさを測定して、荷物の大きさに最適なロッカーを選択する構成が開示されている。また、例えば下記特許文献2には、荷物の大きさを測定して、荷物を収容可能な大きさのロッカーを選択する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-219742号公報
【文献】特開2016-028981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の構成のように、荷物の大きさに最適なロッカーを選択するロッカーシステムでは、大きさの異なる複数種類のロッカーの各個数が一定であると、ロッカーの利用率を向上させることができないという課題が生じる。例えば、大きさの異なるロッカー毎に利用数が増大するタイミングが異なる場合、利用されない大きさのロッカーが常に存在することによって、大きさの異なるロッカーの全てに対して常時に利用率を向上させることは困難である。
【0005】
上述した特許文献2の構成のように、荷物を収容可能な大きさのロッカーを選択するロッカーシステムでは、大きさの異なる複数の荷物の利用順に応じてロッカーと荷物との対応関係が変化する。そのため、各ロッカーの荷物の収容効率を向上させることができないという課題が生じる。例えば、相対的に小さな荷物の利用数が増大した後に相対的に大きな荷物の利用数が増大する場合、先に小さな荷物が過剰な大きさのロッカーにも収容されることによって、ロッカーの収容スペースに無駄が生じるとともに、大きな荷物を収容可能な空きロッカーの個数が減少する。
【0006】
本発明は、異なる最大搭載容量の複数の搭載部の利用効率を向上させることができる搬送システム、搬送システムの制御装置、搬送方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る搬送システムは、異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送機構と、前記搬送機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部から、許容搭載量を前記第1搭載量に設定する第1搭載設定部と、許容搭載量を前記第2搭載量に設定する第2搭載設定部と、を決定する。
本発明の一態様に係る搬送システムの制御装置は、異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送機構とを備えた搬送システムの制御装置であって、最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報を取得する取得部と、取得された前記利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部から、許容搭載量を前記第1搭載量に設定する第1搭載設定部と、許容搭載量を前記第2搭載量に設定する第2搭載設定部と、を決定する決定部とを備える。
本発明の一態様に係る搬送方法は、異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送方法であって、最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報を取得し、取得された前記利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部から、許容搭載量を前記第1搭載量に設定する第1搭載設定部と、許容搭載量を前記第2搭載量に設定する第2搭載設定部と、を決定する。
本発明の一態様に係るプログラムは、異なる最大搭載量に設定された複数の搭載部が保管された保管ラックと、前記複数の搭載部のうち何れかの前記搭載部を、前記保管ラックと、利用者が前記何れかの搭載部にアクセス可能な搬入出位置と、の間で搬送する搬送機構とを備えた搬送システムを制御するためのプログラムであって、コンピュータを、最大搭載量が第1搭載量の前記搭載部の必要数、及び最大搭載量が前記第1搭載量よりも大きい第2搭載量の前記搭載部の必要数を含む利用予測情報を取得する取得部と、取得された前記利用予測情報に基づいて、前記複数の搭載部から、許容搭載量を前記第1搭載量に設定する第1搭載設定部と、許容搭載量を前記第2搭載量に設定する第2搭載設定部と、を決定する決定部として、機能させる。
【0008】
本態様によれば、利用予測情報に基づいて、許容搭載量が異なる第1搭載設定部及び第2搭載設定部を予め決定する制御部を備えることによって、複数の搭載部の利用効率を向上させることができる。すなわち、第1搭載量の搭載部の必要数と、第2搭載量の搭載部の必要数と、を満たすように第1搭載設定部及び第2搭載設定部を予め決定することによって、搭載部の総数を増大させる必要無しに、利用者の希望の搭載量(大きさや重量)を充足することができる。そのため、小型の搭載部の使用可能数がゼロの場合に、小型の搭載部に相当する搭載量を必要とする利用者が、大型の搭載部の使用を余技なくされるのを抑制できる。例えば、搭載量によって利用料金を設定している場合には、第1搭載量に設定された搭載部を利用することで、利用者が支払う料金を安く抑えることができる。
【0009】
上記態様の搬送システムにおいて、前記搭載部は、前記第1搭載量までの物品を搭載可能な複数の第1搭載部と前記第2搭載量までの物品を搭載可能な複数の第2搭載部と、を備え、前記制御部は、前記利用予測情報に基づいて、前記第1搭載量の前記搭載部の必要数が前記第2搭載量の前記搭載部の必要数よりも多い場合、前記第2搭載部の少なくとも1つを前記第1搭載設定部に決定することが好ましい。
本態様によれば、予め第1搭載部及び第2搭載部の必要数に応じて第2搭載部の少なくとも1つを第1搭載設定部に決定する制御部を備えることによって、利用者が要望する第1搭載量の搭載部が不足することを抑制できる。
【0010】
上記態様の搬送システムにおいて、前記搭載部は、前記第1搭載量までの物品を搭載可能な複数の第1搭載部と前記第2搭載量までの物品を搭載可能な複数の第2搭載部と、を備え、前記制御部は、前記利用予測情報に基づいて、前記第1搭載部の使用可能数と前記第1搭載量の前記搭載部の必要数との差分である第1差分と、前記第2搭載部の使用可能数と前記第2搭載量の前記搭載部の必要数との差分である第2差分とを比較して、前記第1差分が前記第2差分よりも小さい場合、前記第2搭載部の少なくとも1つを前記第1搭載設定部に決定することが好ましい。
本態様によれば、予め第1搭載部及び第2搭載部の使用可能数と必要数との差分に応じて第2搭載部の少なくとも1つを第1搭載設定部に決定する制御部を備えることによって、利用者が要望する第1搭載量の搭載部が不足することを抑制できる。
【0011】
上記態様の搬送システムにおいて、前記搬入出位置にある前記搭載部にアクセス可能な開口部を開閉する開閉扉を備え、前記開閉扉は、前記第1搭載部が前記搬入出位置に搬送された状態において、前記第1搭載部を開放する第1開位置、及び前記第2搭載部が前記搬入出位置に搬送された状態において、前記第1開位置よりも前記開口部の開口量を大きくして前記第2搭載部を開放する第2開位置に切り替え可能に構成され、前記制御部は、前記第2搭載部の少なくとも1つを前記第1搭載設定部に決定し、前記前記第2搭載部の少なくとも1つが前記搬入出位置に搬送された場合、前記開閉扉を前記第1開位置とすることが好ましい。
本態様によれば、第1搭載設定部に決定された第2搭載部に対して開閉扉を第1開位置とする制御部を備えることによって、第1搭載量に対応した適正な開口量を設定することができる。開閉扉の適正な開口量を確保することによって、利用者の要望から過剰に逸脱する許容搭載量の搭載部が提供されることを抑制し、例えば利用者の誤解を招くことや、システム側で想定されていない過剰な搭載量の物品が搭載されること等の不適正な状態が生じることを抑制することができる。
【0012】
上記態様の搬送システムにおいて、前記第2搭載部内の許容搭載量を前記第1搭載量に、前記第2搭載部内を区画可能な区画部材を備えることが好ましい。
本態様によれば、第2搭載部内の許容搭載量を第1搭載量に区画する区画部材を備えることによって、利用者に適正な許容搭載量の搭載部を提供することができる。例えば、第2搭載部内に複数の第1搭載量の部位を区画可能な区画部材の場合、1つの第2搭載部を複数の第1搭載部として利用できる。これにより、搭載部の総数を増大させることなく、搭載部の利用数を増加させることができる。
【0013】
上記態様の搬送システムにおいて、前記保管ラックは、前記第1搭載部及び前記第2搭載部の各個数を変更可能に構成されていることが好ましい。
本態様によれば、予め第1搭載部及び第2搭載部の各個数を変更可能な保管ラックを備えることによって、例えば各搭載部の個数を変更することができない場合に比べて、利用予測情報に基づく利用効率の向上を容易に促進することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異なる最大容量の複数の搭載部の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る搬送システムの一例を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係る搬送システムの構成を斜め前方から見た斜視図。
【
図3】実施形態に係る搬送システムの搬送機構の構成を示す斜視図。
【
図4】実施形態に係る搬送システムの前面に設けられる取出部の構成を示す正面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は大型移動かごにおける開状態を示す図、(c)は小型移動かごにおける開状態を示す図。
【
図5】実施形態に係る搬送システムでの大型移動かごの扉の開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は開状態を示す図。
【
図6】実施形態に係る搬送システムでの小型移動かごの扉の開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は開状態を示す図。
【
図7】実施形態に係る搬送システムの動作例を示すフローチャート。
【
図8】実施形態に係る搬送システムでの転用設定された大型移動かごの扉の開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は開状態を示す図。
【
図9】実施形態の第1変形例に係る搬送システムでの転用設定された大型移動かごの扉の開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は第1の開状態を示す図、(c)は第2の開状態を示す図。
【
図10】実施形態の他の構成に係る搬送システムの概略正面図であって、(a)は上扉及び下扉の閉状態を示す図、(b)は上扉及び下扉の開状態を示す図、(c)は下扉のみの開状態を示す図である。
【
図11】実施形態の他の構成に係る搬送システムの概略正面図であって、(a)は下扉のみの開状態を示す図、(b)は下扉のみの開状態を示す図、(c)は上扉のみの開状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る搬送システム10について、添付図面を参照しながら説明する。
<搬送システム10>
図1は、実施形態の搬送システム10の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、搬送システム10は、荷物保管装置100aと制御装置100bと、を備える。荷物保管装置100aは、荷物を収納できる移動かごを複数備える。荷物保管装置100aに荷物を預け入れる操作が行われた場合に、制御装置100bは、複数の移動かごのうち、いずれかの移動かごを利用者に割り当てる。制御装置100bは、受付情報を発行する。受付情報には、割り当てた移動かごに収納された荷物を取り出すときに利用者が入力する必要がある暗証番号等が含まれる。制御装置100bは、発行した受付情報を荷物保管装置100aへ出力する。荷物保管装置100aは、制御装置100bが発行した受付情報を表示する。荷物保管装置100aは、制御装置100bが割り当てた移動かごに収納される荷物を保管する。
【0017】
<荷物保管装置100a>
荷物保管装置100aの一例は、例えば駅や空港等の公共施設、あるいは展示施設等でスーツケース等の荷物N(収納物)を収納・保管する。荷物保管装置100aは、荷物Nを一時的に保管するロッカーとして機能する。
荷物保管装置100aは、通信部110aと操作部115aと搬送部135aと処理部160aとを備える。
【0018】
通信部110aは、通信モジュールによって実現される。通信部110aは、ケーブルCAを介して、制御装置100bと接続される。通信部110aは、例えば有線LAN等の通信方式で制御装置100b等の装置と通信する。通信部110aは、ネットワークNWを介して、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)等の無線通信方式で制御装置100bと通信してもよい。通信部110aは、処理部160aが出力した指示情報を取得し、取得した指示情報を制御装置100bへ送信する。通信部110aは、制御装置100bが送信した受付情報を受信する。通信部110aは、制御装置100bが送信した制御情報を受信する。通信部110aは、処理部160aが出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を制御装置100bへ送信する。
【0019】
操作部115aは、入力デバイスを備え、利用者の操作を受け付ける。この入力デバイスには、キーボード等の文字情報を入力するデバイス、タッチパネル等のポインティングデバイス、釦等が含まれる。また、操作部115aは、表示デバイスを備え、利用者へのメッセージを表示する。
荷物を預け入れる際に利用者は、操作部115aを操作することによって、保管を開始することを指示する情報を入力する。また、操作部115aは、処理部160aが出力した受付情報を取得し、取得した受付情報を表示する。
【0020】
図2は、実施形態での荷物保管装置100aの構成を斜め前方から見た斜視図である。
図2は、主に荷物保管装置100aのハードウェア構成を示す。
図2に示すように、荷物保管装置100aは、搬入出口4が形成された外殻体11と、複数の移動かご(搭載部)2と、保管ラック3と、取出部4Aと、搬送機構5と、扉装置6と、を備える。複数の移動かご2の各々は、外殻体11内で荷物Nを搭載可能に設けられている。保管ラック3は、複数の移動かご2を所定の保管位置に保管する。搬入出口4は、利用者が荷物Nの預け入れ又は取り出しを行う際の受け渡し口である。搬送機構5は、保管ラック3と搬入出口4との間で移動かご2を移動させる。扉装置6は、移動かご2の大きさに合わせて搬入出口4を開閉する。
【0021】
なお、以下において、鉛直方向を上下方向X1とし、水平方向のうち搬入出口4に向かって横方向を左右方向X2とし、上方から見た平面視で左右方向X2に直交する方向を前後方向X3とする。前後方向X3において、利用者が搬入出口4に正対した状態で、利用者側を前方又は前側とし、荷物保管装置100a側を後方又は後側とする。
【0022】
外殻体11は、例えば上下方向X1及び前後方向X3よりも左右方向X2に長い直方体状に形成されている。具体的に、外殻体11は、底盤13と、底盤13の外周部から上方に延びる側壁(
図1で前壁11Aのみを示す。)と、前後左右の四方の側壁に囲まれた空間を上方から覆う上壁(図示略)と、を備える。側壁は、外殻体11の内外を仕切っている。
【0023】
前壁11Aにおいて搬入出口4の周囲には、操作パネル12が設けられている。操作パネル12は、荷物Nの搬入及び搬出を行う利用者の入力操作を受け付ける。操作パネル12は、例えば、利用者の入力操作に応じた制御情報を出力する入力機器(図示略)や、各種情報を表示する表示器(図示略)、料金精算機(図示略)等を備える。荷物保管装置100aの利用者は、操作パネル12を操作することにより、保管ラック3内に荷物Nを預け入れるとともに、預け入れている荷物Nを必要なときに搬入出口4を通じて取り出すことができる。
【0024】
保管ラック3は、例えば、外殻体11の内部空間に外殻体11の内面に沿って配置されている。保管ラック3は、前後方向X3に間隔をあけて配置された前方保管ラック3A及び後方保管ラック3Bを備える。外殻体11において、前方保管ラック3A及び後方保管ラック3Bの間には、搬送機構5が配置される移動通路Tが形成されている。
【0025】
保管ラック3には、複数の移動かご2の各々を出し入れ可能に保管する複数の保管スペース31が形成されている。例えば、複数の保管スペース31は、上下方向X1に沿って3段に形成されるとともに、左右方向X2に複数列に形成されている。例えば、上下方向X1の上二段は大型移動かご2Aが保管可能に形成され、最下段は小型移動かご2Bが保管可能に形成されている。移動かご2は、各保管ラック3A,3Bの移動通路T側から搬送機構5によって出し入れされる。各保管ラック3A,3Bに保管される移動かご2は、例えば後述する内扉21が前方(搬入出口4側)を向いた姿勢で保管される。なお、保管ラック3に保管される移動かご2の種類や個数等は適宜変更が可能である。
【0026】
前方保管ラック3Aにおける左右方向X2の中央には、取出部4Aが設けられている。取出部4Aは、保管ラック3と搬入出口4との間を連通させる。すなわち、取出部4Aは、搬入出口4を通じて利用者がアクセス可能に構成されるとともに、搬送機構5を介して保管ラック3にアクセス可能に構成されている。取出部4Aは、扉装置6の一部を構成する外扉40を備える。
【0027】
図3は、実施形態での荷物保管装置100aの搬送機構5の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、搬送機構5は、搬送部135aによって制御される。搬送機構5は、移動かご2が取出部4Aに配置された搬入出位置P1と、移動かご2が保管ラック3に保管された保管位置P2と、の間で移動かご2を搬送する。具体的に、搬送機構5は、例えば保管ラック3の所定の保管スペース31と取出部4Aとの間で移動かご2を搬送する搬送リフト51と、搬送リフト51の左右方向X2の移動を案内する横移動ガイド52と、横移動ガイド52を上下方向X1に昇降させる昇降ガイド53と、を備える。
【0028】
横移動ガイド52及び昇降ガイド53は、底盤13上に設けられた支持枠54に支持されている。昇降ガイド53は、支持枠54の内面において、上下方向X1に沿って設けられた左右一対の上下レール55を備える。
横移動ガイド52は、左右方向X2の両端部で上下レール55に摺動可能に支持された左右一対の摺動部56と、左右一対の摺動部56を架け渡すように左右方向X2に沿って配置された二本の左右レール57と、を備える。摺動部56は、例えばモータ等の駆動源によって上下レール55に沿って上下方向X1に移動する。これにより、横移動ガイド52は水平を維持して上下方向X1に昇降される。
搬送リフト51は、例えばモータ等の駆動源を備える。搬送リフト51は、移動かご2を下方から保持した状態で横移動ガイド52と昇降ガイド53に沿って適宜の位置へ移動させる。これにより、搬送リフト51は、搬入出位置P1と保管位置P2との間で移動かご2を搬送する。
【0029】
搬送機構5は、横移動ガイド52と各保管スペース31(保管位置P2)との間、及び横移動ガイド52と取出部4A(搬入出位置P1)との間で移動かご2を受け渡しする受け渡し装置(図示略)を備える。受け渡し装置は、例えばタイミングベルト等の伝達部材を介してモータ等の駆動源の駆動力によって、搬送リフト51を前後方向X3(進退方向F)に沿って移動させる。受け渡し装置は、例えば搬送リフト51が取出部4Aに位置している状態で、搬送リフト51を前後方向X3に進退移動させることで、横移動ガイド52と取出部4Aとの間で移動かご2を前後方向X3に押し出す又は引き戻す。
【0030】
図4は、実施形態の荷物保管装置100aの前面に設けられる取出部4Aの構成を示す正面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は大型移動かご2Aの開状態を示す図、(c)は小型移動かご2Bの開状態を示す図である。
図4に示すように、外殻体11の側壁のうち、前面を構成する前壁11Aにおいて、左右方向X1の中央部には、上述した搬入出口4が形成されている。搬入出口4は、外殻体11の内外を連通させる。なお、本実施形態では、荷物Nの預け入れ及び取り出しを一つの開口部(搬入出口4)を通じて行う構成について説明するが、搬入出口4を複数有する構成でもよい。また、預け入れ用の開口部と取出し用の開口部とをそれぞれ有する構成であってもよい。
【0031】
図5は、実施形態の荷物保管装置100aでの大型移動かご2Aの扉の開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は開状態を示す図である。
図6は、小型移動かご2Bの扉の開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は開状態を示す図である。
図5、
図6に示すように、移動かご2は、前方に開口する開口2aを有する箱型である。移動かご2は、開口2aを開閉する内扉21を備える。内扉21は、上下方向X1に平行なスライド方向Eに移動可能に設けられている。内扉21は、扉装置6の一部を構成する。本実施形態では、上下方向X1の長さ寸法の異なる複数の移動かご2を備えている。具体的に、移動かご2は、大型移動かご(第2搭載部)2Aと、小型移動かご(第1搭載部)2Bと、を含む。大型移動かご2A及び小型移動かご2Bは、物品が収容される内部の最大搭載量(容積)が異なっている。例えば、大型移動かご2Aの最大搭載量は、小型移動かご2Bの最大搭載量の2倍である。なお、前後方向X3から見て、大型移動かご2Aの開口2aの大きさは、搬入出口4の大きさと同等になっている。
【0032】
図4~
図6に示すように、扉装置6は、例えば、移動かご2に設けられた内扉21と、取出部4Aに設けられた外扉40と、外扉40をスライド移動させるモータ等の駆動源(図示略)と、を備える。扉装置6は、荷物Nの搬入出時において内扉21及び外扉40を連動させてスライドさせることによって、移動かご2の大きさ等に合わせて搬入出口4を開閉する。
【0033】
図5、
図6に示すように、内扉21は、所定のスライド方向E(例えば、上下方向X1)にスライド移動することによって、移動かご2に形成された開口2aを開閉する。内扉21は、例えば大型移動かご2Aが有する大型内扉21A(
図4参照)、及び小型移動かご2Bの小型内扉21B(
図5参照)である。大型内扉21Aと小型内扉21Bとの各々の上下方向X1の長さ寸法は、上下方向X1の長さ寸法が異なる各移動かご2A,2Bの開口2aに応じて、互いに異なる長さ寸法に形成されている。
内扉21は、上下方向X1の先端(例えば、上端21b)に、前方に向けて突出する凸部22を備える。凸部22は、例えば大型内扉21Aの上端21bに設けられた第1凸部22A、小型内扉21Bの上端21bに設けられた第2凸部22Bである。すなわち、大型移動かご2Aの下面からの第1凸部22Aの高さ位置と、小型移動かご2Bの下面からの第2凸部22Bの高さ位置と、は異なっている。
【0034】
外扉40は、駆動源の駆動力によって所定のスライド方向E(例えば、上下方向X1)にスライド移動することによって、搬入出口4を開閉する。例えば、外扉40の上下方向X1の長さ寸法は、大型移動かご2Aの大型内扉21Aの上下方向X1の長さ寸法と同等に形成されている。
【0035】
外扉40は、内扉21の凸部22が装着される凹部41を備える。凹部41は、大型内扉21Aの第1凸部22A及び小型内扉21Bの第2凸部22Bの位置に対応して、上下方向X1に間隔をあけて配置されている。具体的に、凹部41は、第1凹部41A、及び第2凹部41Bである。
第1凹部41Aは、外扉40における上下方向X1の先端部(例えば、上端部)に設けられている。第1凹部41Aには、大型移動かご2Aが搬入出位置P1に停止した状態において、大型内扉21Aの第1凸部22Aが装着される。第2凹部41Bは、外扉40における上下方向X1の中央部(例えば、上下方向X1の中央部)に設けられている。第2凹部41Bは、小型移動かご2Bが搬入出位置P1に停止した状態において、小型内扉21Bの第2凸部22Bが装着される。なお、内扉21と外扉40との連結方法は、凹凸に限らず、爪等による係止や吸着等、適宜変更が可能である。
【0036】
外扉40は、駆動源(図示略)の駆動力を凹部41及び凸部22を介して内扉21に伝達することによって、スライド方向Eにおける内扉21の全閉位置Q1と全開位置Q2との間で内扉21を外扉40に連動させる。内扉21の全閉位置Q1は、移動かご2の開口2aを内扉21が閉塞する位置である。内扉21の全開位置Q2は、移動かご2の開口2aの全体を内扉21が開放する位置である。
【0037】
取出部4Aには、センサ(図示略)が設けられている。センサは、例えば光電センサ等である。センサは、搬入出位置P1に停止した移動かご2の内扉21及び外扉40の閉状態で内扉21の凸部22が外扉40の凹部41に装着されたことを検知する。センサ14から出力される検知情報は、例えば移動かご2の大きさの識別及び移動かご2の大きさに応じた外扉40のスライド量の制御等に用いられる。
【0038】
搬送部135aは、搬送機構5を制御することによって保管ラック3と搬入出口4との間で移動かご2を移動させる。
利用者が荷物を預け入れる場合に、処理部160aは、利用者が操作部115aに入力した保管を開始することを指示する情報を取得し、取得した保管を開始することを指示する情報を含む指示情報を作成する。処理部160aは、作成した指示情報を通信部110aから制御装置100bへ送信する。処理部160aは、通信部110aが受信した受付情報を取得し、取得した受信情報を操作部115aへ出力する。
処理部160aは、通信部110aが受信した制御情報を取得する。処理部160aは、取得した制御情報に含まれる利用者に割り当てる移動かご2の搭載部IDを取得する。処理部160aは、取得した搭載部IDに該当する移動かご2を保管ラック3から搬入出口4へ搬送させ、搬入出口4へ搬送させた移動かご2を保管ラック3へ搬送させる命令である搬送命令を搬送部135aへ出力する。処理部160aは、搬送部135aへ搬送命令を出力した後に利用者に料金の支払いを要求する処理を行う。例えば、処理部160aは、荷物のサイズと重さとに基づいて料金を決定する。
処理部160aは、利用者が操作部115aに入力した受付情報を取得し、取得した受付情報を含む指示情報を作成する。処理部160aは、作成した指示情報を通信部110aから制御装置100bへ送信する。
処理部160aは、通信部110aが受信した制御情報を取得する。処理部160aは、取得した制御情報に含まれる搭載部2の搭載部IDを取得する。処理部160aは、取得した搭載部IDに該当する移動かご2を保管ラック3から搬入出口4へ搬送させ、搬入出口4へ搬送させた移動かご2を保管ラック3へ搬送させる命令である搬送命令を搬送部135aへ出力する。
【0039】
前述した搬送部135a、処理部160aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサが記憶部(図示略)に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0040】
<制御装置100b>
制御装置100bは、最大搭載量が異なる複数種類の移動かご2の必要数を含む利用予測情報に基づいて、保管ラック3に保管されている複数の移動かご2の許容搭載量を設定する。例えば、制御装置100bは、保管ラック3に保管されている複数の大型移動かご2A及び小型移動かご2Bから、許容搭載量が大型移動かご2Aの最大搭載量と同等に設定される移動かご(第2搭載量設定部)2と、許容搭載量が小型移動かご2Bの最大搭載量と同等に設定される移動かご(第1搭載量設定部)2と、を決定する。制御装置100bは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。制御装置100bは、通信部110bと、割当部130bと、取得部150bと、処理部160bと、受付部170bと、決定部180bと、記憶部190bと、を備える。
【0041】
通信部110bは、通信モジュールによって実現される。通信部110bは、ケーブルCAを介して、荷物保管装置100aと接続される。通信部110bは、例えば有線LAN等の通信方式で荷物保管装置100a等の装置と通信する。通信部110bは、ネットワークNWを介して、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)等の無線通信方式で荷物保管装置100aと通信してもよい。
通信部110bは、荷物保管装置100aが送信した指示情報を受信する。通信部110bは、処理部160bが出力した受付情報を取得し、取得した受付情報を荷物保管装置100aへ送信する。通信部110bは、処理部160bが出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を荷物保管装置100aへ送信する。通信部110bは、荷物保管装置100aが送信した通知情報を受信する。通信部110bは、処理部160bが出力した保管情報を取得し、取得した保管情報を荷物保管装置100aへ送信する。
【0042】
割当部130bは、通信部110bが受信した指示情報を取得し、取得した指示情報に含まれる保管を開始することを指示する情報に基づいて空いている移動かご2を割り当てる。割当部130bは、割り当てる移動かご2の搭載部IDを処理部160bへ出力する。
【0043】
記憶部190bは、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により実現される。記憶部190bには、一又は複数の保管情報が記憶される。
割当部130b、取得部150b、処理部160b、受付部170b、決定部180bは、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサが記憶部190bに格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0044】
<作用>
以下、実施形態の搬送システム10の動作について説明する。
図7は、実施形態での搬送システム10の動作例を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、決定部180bは、適宜のタイミングにて、記憶部190bに記憶されている利用予測情報から複数の異なる移動かご2の各々の必要数を決定する(ステップS01)。適宜のタイミングは、例えば日付更新時や動作制御の切り替え時、定期的な保守作業時等である。利用予測情報は、例えば保管ラック3に保管される複数種類の移動かご2の各々の将来の所定期間に予測される利用数の情報である。利用予測情報は、変動情報と、大型移動かご2A及び小型移動かご2Bの予想必要数と、の関係が対応付けられたテーブル等に基づき設定されている。変動情報とは、例えば日時(曜日や時間)やイベントスケジュール、設置場所等の各種条件に応じた複数の異なる移動かご2の各々の過去の利用履歴等に基づいて、予め生成された既定の情報又は随時の学習等によって更新される情報等である。例えば、日時に関する変動情報と予想必要数との対応関係について、平日では最大搭載量が相対的に小さい小型移動かご2Bの必要数が、最大搭載量が相対的に大きい大型移動かご2Aの必要数よりも多く、休日では小型移動かご2Bの必要数が大型移動かご2Aの必要数よりも少ない傾向にある。これは、平日では短期旅行者や出張者等の利用が多く、休日では長期旅行者等の利用が多いこと等に起因する。
【0046】
決定部180bは、例えば、保管ラック3に保管される移動かご2の総数に対する複数種類の移動かご2の各個数の組み合わせとして、各種類の移動かご2の必要数を決定する。例えば、決定部180bは、保管ラック3に保管される移動かご2の総数を構成する大型移動かご2Aの必要数と小型移動かご2Bの必要数との組み合わせを、利用予測情報から決定する。
【0047】
次に、取得部150bは、保管ラック3に保管される複数種類の移動かご2の各々の使用可能数を取得する(ステップS02)。例えば、取得部150bは、保管ラック3に保管されている大型移動かご2A及び小型移動かご2Bの各々の使用可能数を取得する。
次に、決定部180bは、複数種類の移動かご2の各々の使用可能数と必要数との差分(使用可能数-必要数)を算出する(ステップS03)。例えば、決定部180bは、小型移動かご2Bの使用可能数と必要数との差分である第1差分(小型)と、大型移動かご2Aの使用可能数と必要数との差分である第2差分(大型)と、を算出する。
【0048】
次に、決定部180bは、複数種類の移動かご2の相互で差分の大小を比較する。例えば、決定部180bは、第1差分(小型)が第2差分(大型)以下であるか否かを判定する(ステップS04)。
この判定結果が「NO」の場合(ステップS04:NO)には、決定部180bは第1差分の方が第2差分よりも大きいと判定して、処理をステップS06に進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合(ステップS04:YES)には、決定部180bは第1差分が第2差分以下であると判定して、処理をステップS05に進める。
【0049】
次に、決定部180bは、複数種類の移動かご2の相互の差分の比較結果に応じて移動かご2の転用を設定する。例えば、決定部180bは、保管ラック3に保管されている大型移動かご2Aのうち使用可能な大型移動かご2A(空の大型移動かご2A)の一部を小型移動かご2Bとして転用するように設定する(ステップS05)。例えば、決定部180bは、小型移動かご2Bとして転用するように設定された大型移動かご2Aの許容搭載量を小型移動かご2Bの最大搭載量と同等に設定する。なお、転用設定されていない大型移動かご2Aの許容搭載量は大型移動かご2Aの最大搭載量と同等に設定されている。また、転用する大型移動かご2Aの個数は、第1差分に応じて適宜変更が可能である。
【0050】
次に、制御装置100bの通信部110bは、利用者の入力操作に応じて荷物保管装置100aの通信部110aから出力される指示情報を受信する。受付部170bは、通信部110bで受信した指示情報に基づき特定の移動かご2の利用要求が有るか否かを判定する(ステップS06)。例えば、受付部170bは、小型移動かご2Bの利用要求が有るか否か判定する。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS06:YES)には、受付部170bは小型移動かご2Bの利用要求があったと判定して、処理をステップS10に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS06:NO)には、受付部170bは、大型移動かご2Aの利用要求があったと判定して(小型移動かご2Bの利用要求がなかったと判定して)、処理をステップS07に進める。なお、本実施形態の搬送システム10では、許容搭載量に応じて利用料金が設定されている。すなわち、許容搭載量が小型移動かご2Bに相当する移動かご2の利用料金が、許容搭載量が大型移動かご2Aに相当する移動かご2の利用料金よりも安く設定されている。
【0051】
次に、割当部130bは、利用要求がある特定の移動かご2の使用可能数がゼロであるか否かを判定する(ステップS07)。例えば、割当部130bは、保管ラック3に保管されている大型移動かご2Aの使用可能数がゼロであるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS07:YES)には、割当部130bは大型移動かご2Aの使用可能数がゼロ(全ての大型移動かご2Aが使用中)であると判定して、処理をステップS09に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS07:NO)には、割当部130bは大型移動かご2Aが使用可能であると判定して、処理をステップS08に進める。
【0052】
次に、割当部130bは、保管ラック3に保管されている転用設定されていない大型移動かご2Aのいずれかを、使用かごとして割り当てる。通信部110bは、処理部160bが出力した使用かご情報を含む指示情報を荷物保管装置100aに出力する。すると、搬送リフト51は、通信部110aで受信した指示情報に基づき、搬送部135aの制御の下、使用かごを保管ラック3(保管位置P2)から搬入出位置P1へと搬送する(ステップS08)。そして、処理部160aは、大型移動かご2Aによる荷物Nの保管動作(後述)を実行して、処理をエンドに進める。
一方、処理部160aは、例えば操作パネル12等を通じて、保管ラック3に保管されている大型移動かご2Aの利用不可を利用者に報知する(ステップS09)。そして、処理をエンドに進める。
【0053】
次に、割当部130bは、利用要求がある特定の移動かご2の使用可能数がゼロであるか否かを判定する(ステップS10)。例えば、割当部130bは、保管ラック3に保管されている小型移動かご2Bの使用可能数がゼロであるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS10:YES)には、割当部130bは小型移動かご2Bの使用可能数がゼロ(全ての小型移動かご2Bが使用中)と判定して、処理をステップS12に進める。
一方、この判定結果が「NO」の場合(ステップS10:NO)には、割当部130bは小型移動かご2Bの使用可能であると判定して、処理をステップS11に進める。
【0054】
次に、制御装置100bの割当部130bは、保管ラック3に保管されている小型移動かご2Bのうち、使用可能な小型移動かご2Bのいずれかを、使用かごとして割り当てる。通信部110bは、処理部160bが出力した使用かご情報を含む指示情報を荷物保管装置100aに出力する。すると、搬送リフト51は、通信部110aで受信した指示情報に基づき、搬送部135aの制御の下、使用かごを保管ラック3から所定の搬入出位置P1へと搬送する(ステップS11)。そして、小型移動かご2Bによる荷物Nの保管動作を実行して、処理をエンドに進める。
【0055】
次に、割当部130bは、転用設定された大型移動かご2Aの使用可能数がゼロであるか否かを判定する(ステップS12)。
この判定結果が「YES」の場合(ステップS12:YES)には、小型移動かご2Bの最大搭載量として使用できる移動かご2がゼロであると判定して、処理をステップS14に進める。
この判定結果が「NO」の場合(ステップS12:NO)には、小型移動かご2Bの最大搭載量として使用できる移動かご2に余りがあると判定して、処理をステップS13に進める。
【0056】
次に、割当部130bは、保管ラック3に保管されている転用設定された大型移動かご2Aのうちいずれかを使用かごとして割り当てる。その後は、上述したステップS11と同様の方法により、使用かごを保管ラック3から所定の搬入出位置P1へと搬送する(ステップS13)。そして、大型移動かご2Aによる荷物Nの保管動作を実行して、処理をエンドに進める。なお、本実施形態では、小型移動かご2Bの使用可能数がゼロの場合に転用設定された大型移動かご2Aを利用する場合について説明するが、小型移動かご2Bが使用可能な状態であっても、転用設定された大型移動かご2Aを利用する構成であってもよい。
制御装置100bは、小型移動かご2Bの利用不可を利用者に報知する(ステップS14)。そして、処理をエンドに進める。
【0057】
<通常の保管動作>
以下に、上述したステップS08又はステップS11での各移動かご2(大型移動かご2A又は小型移動かご2B)による荷物Nの保管動作について説明する。
搬送機構5は、制御装置100bの割当部130bにより割り当てられた使用かごの保管スペース31に正対する位置まで搬送リフト51を搬送する。搬送機構5は、搬送リフト51が保管スペース31に正対する位置まで到達した後、受け渡し装置によって搬送リフト51を進退方向F(例えば、前後方向X等)に押し出す。これにより、搬送リフト51が保管スペース31に保管された移動かご2の下方に進出することで、移動かご2が搬送リフト51によって下方から支持される。その後、搬送リフト51によって移動かご2が下方から支持された状態で、受け渡し装置によって搬送リフト51を横移動ガイド52上に引き込む。これにより、保管位置P2にある移動かご2が横移動ガイド52上まで移動する。続いて、搬送リフト51は、横移動ガイド52と昇降ガイド53とに沿って、左右方向X2と上下方向X1に適宜移動し、移動かご2を外扉40の後方まで移動させる。
【0058】
搬送リフト51が外扉40の後方に到達したら、受け渡し装置によって搬送リフト51を前方に向けて押し出す。これにより、
図5(a)又は
図6(a)に示すように、搬送リフト51が移動かご2とともに、取出部4A(搬入出位置P1)に到達する。搬送リフト51が搬入出位置P1に到達すると、移動かご2の種類に応じて内扉21の凸部22が、外扉40の凹部41に装着される。なお、
図5(a)又は
図6(a)に示す搬入出位置P1の移動かご2の収納内部2cには荷物Nが入っているが、この時点では収納内部2cは空の状態である。
【0059】
内扉21の凸部22が外扉40の凹部41に装着されたことがセンサによって検知されると、
図4(a),(b),(c)、
図5(b)及び
図6(b)に示すように、移動かご2の大きさに応じたスライド量で外扉40が内扉21とともに上方にスライド移動する。外扉40が内扉21の全閉位置Q1から全開位置Q2までスライド移動することで、移動かご2の開口2aが開放される。これにより、移動かご2の収納内部2cと利用者が存在する搬送システム10の前方領域とが、搬入出口4を通じて連通する。
【0060】
次に、
図5(b)又は
図6(b)に示すように、搬入出口4において移動かご2の収納内部2cに荷物Nが収容された後、利用者の入力操作によって収納完了の指示情報に応じた制御情報が操作パネル12から出力される。すると、
図4(a)、
図5(a)及び
図6(a)に示すように、外扉40は内扉21とともに下方にスライド移動する。これにより、内扉21が全開位置Q2から全閉位置Q1まで移動するとともに、外扉40によって搬入出口4が閉塞される。
【0061】
次に、移動かご2を載せた搬送リフト51は、受け渡し装置(図示略)によって搬入出位置P1から後方に引き戻されて横移動ガイド52上に移動する。その後、搬送リフト51は、横移動ガイド52と昇降ガイド53とによって、左右方向X2と上下方向X1に適宜移動し、保管ラック3の所定の保管スペース31に対向する位置まで移動する。
次に、搬送リフト51は、受け渡し装置(図示略)によって所定の保管スペース31内に移動することで、移動かご2を保管位置P2に移動させる。その後、受け渡し装置によって搬送リフト51のみが保管スペース31から退避して、横移動ガイド52に引き戻される。これにより、荷物Nを収納した移動かご2は、所定の保管スペース31に保管される。
【0062】
なお、利用者が保管ラック3に保管されている移動かご2から荷物Nを取り出す際には、基本的には上述した荷物Nを保管するときと同様の動作となる。すなわち、利用者の入力操作によって取出し開始の指示情報に応じた制御情報が操作パネル12から出力されると、搬送リフト51は、取り出す荷物Nが収納されている移動かご2を保管スペース31から搬入出位置P1へ移動させる。その後、内扉21が全開位置Q2となり、移動かご2が開放されることで、移動かご2に搭載された荷物Nを取り出すことができる。荷物Nを取り出した後、利用者の入力操作によって取出し完了の指示情報に応じた制御情報が操作パネル12から出力されると、搬送リフト51は、荷物Nの取り出された後の移動かご2を所定の保管スペース31に戻す。
【0063】
<転用設定された大型移動かご2Aによる保管動作>
以下に、上述したステップS13での転用設定された大型移動かご2Aによる荷物Nの保管動作について説明する。
図8は、実施形態での搬送システム10での転用設定された大型移動かご2Aの大型内扉21Aの開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は開扉時の状態を示す図である。
図5(a),(b)と
図8(a),(b)とに示すように、転用設定されていない大型移動かご2Aと転用設定された大型移動かご2Aとの各保管動作で異なる点は、搬入出位置P1での扉装置6の動作である。なお、以下において、上述したステップS08又はステップS11での各移動かご2(大型移動かご2A又は小型移動かご2B)による荷物Nの保管動作と同一動作については、説明を省略又は簡略にする。
図8(a)に示すように、転用設定された大型移動かご2Aを搭載した搬送リフト51が搬入出位置P1に到達すると、大型内扉21Aの第1凸部22Aが、外扉40の第1凹部41Aに装着される。なお、
図8(a)に示す搬入出位置P1の大型移動かご2Aの収納内部2cには荷物Nが入っているが、この時点では収納内部2cは空の状態である。
【0064】
大型内扉21Aの第1凸部22Aが外扉40の第1凹部41Aに装着されたことがセンサ14によって検知されると、
図4(a),(c)及び
図8(b)に示すように、大型移動かご2Aに設定された許容搭載量の大きさに応じたスライド量で外扉40が内扉21とともに上方にスライド移動する。例えば、転用設定されていない大型移動かご2Aの許容搭載量が大型移動かご2Aの最大搭載量と同等に設定されていることに対して、転用設定された大型移動かご2Aの許容搭載量は小型移動かご2Bの最大搭載量と同等に設定されている。これにより、外扉40及び大型内扉21Aは、小型移動かご2Bの最大搭載量に応じたスライド量でスライド移動する。
【0065】
外扉40は、大型内扉21Aの全閉位置Q1から小型内扉21Bの全開位置Q2に相当する半開位置Q3までスライド移動する。外扉40は、大型移動かご2Aの開口2aの一部(つまり、小型移動かご2Bの開口2aに相当する領域)が開放される。これにより、大型移動かご2Aの収納内部2cの一部と利用者が存在する搬送システム10の前方領域とが、搬入出口4を通じて連通する。
【0066】
実施形態の搬送システム10は、最大搭載量が異なる複数の移動かご2の利用予測情報に基づいて、許容搭載量が異なる移動かご2を予め決定する制御装置100bを備えることによって、複数の移動かご2の利用効率を向上させることができる。利用予測情報に基づいて最大容量が異なる大型移動かご2A及び小型移動かご2Bの必要数を満たすように許容搭載量が異なる移動かご2を予め決定することによって、移動かご2の総数を増大させる必要無しに、利用者の希望の搭載量(大きさや重量)を充足することができる。そのため、例えば小型移動かご2Bの使用可能数がゼロの場合に、小型化移動かご2Bに相当する搭載量を必要とする利用者が、大型移動かご2Aの使用を余技なくされるのを抑制できる。搭載量によって利用料金を設定している場合には、転用設定された大型移動かご2Aを利用することで、利用者が支払う料金を安く抑えることができる。
【0067】
本実施形態では、予め許容搭載量が異なる移動かご2の必要数に応じて大型移動かご2Aの少なくとも1つを小型移動かご2Bとして転用する制御装置100bを備える。これにより、利用者が要望する小型移動かご2Bと同等の許容搭載量の移動かご2が不足することを抑制できる。
本実施形態では、予め許容搭載量が異なる移動かご2の使用可能数と必要数との差分に応じて大型移動かご2Aの少なくとも1つを小型移動かご2Bとして転用する制御装置100bを備える。これにより、利用者が要望する小型移動かご2Bと同等の許容搭載量の移動かご2が不足することを抑制できる。
【0068】
本実施形態では、転用設定された大型移動かご2Aに対して外扉40及び大型内扉21Aを小型移動かご2Bの小型内扉21Bの全開位置Q2に相当する半開位置Q3とする制御装置100bを備える。これにより、転用設定された大型移動かご2Aの許容搭載量に対応した適正な開口量を設定することができる。外扉40及び大型内扉21Aの適正な開口量を確保することによって、利用者の要望から過剰に逸脱する許容搭載量の移動かご2が提供されることを抑制できる。その結果、例えば利用者の誤解を招くことや、システム側で想定されていない過剰な搭載量の物品が搭載されること等の不適正な状態が生じることを抑制できる。
【0069】
本実施形態では、利用予測情報における日時との対応関係について、平日では最大搭載量が相対的に小さい小型移動かご2Bの必要数が、最大搭載量が相対的に大きい大型移動かご2Aの必要数よりも多く、休日では小型移動かご2Bの必要数が大型移動かご2Aの必要数よりも少ない。例えば、日時(曜日)に応じて最大搭載量の異なる移動かご2の各々の必要数を調整することで、利用者が要望する搭載量の移動かご2が不足することを抑制できる。
【0070】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分及び同一動作については、同一符号を付すこと等によって説明を省略又は簡略化する。
【0071】
(第1変形例)
上述した実施形態において、転用設定された移動かご2は最大搭載量を許容搭載量に区画する区画部材を備えてもよい。例えば、実施形態の第1変形例の搬送システム10において、小型移動かご2Bに転用設定された大型移動かご2Aは、区画部材61を備える。
図9は、実施形態の第1変形例による搬送システム10での転用設定された大型移動かご2Aの大型内扉21Aの開閉状態を示す側断面図であって、(a)は閉状態を示す図、(b)は第1の開状態を示す図、(c)は第2の開状態を示す図である。
【0072】
区画部材61は、大型移動かご2Aを、例えば小型移動かご2Bの最大搭載量に相当する許容搭載量にして利用させるものである。区画部材61は、大型移動かご2Aの収納内部2cを上下に仕切る。区画部材61は、例えば板状である。区画部材61は、例えば、大型移動かご2Aの内面の上下方向X1の中央部に設けられた支持部材62に対して着脱可能に装着されている。なお、支持部材62は、例えば区画部材61を挟持して固定する構成でもよく、締結や係止等によって固定する構成等でもよい。
【0073】
区画部材61は、例えば大型移動かご2Aの収納内部2cを小型移動かご2Bの最大搭載量に相当する許容搭載量の2つの領域に区画することによって、2つの領域に独立的に異なる荷物Nを収納可能とする。
区画部材61は、例えば、大型移動かご2Aの収納内部2cの一部、つまり区画部材61によって区画された収納内部2cの上方領域61A及び下方領域61Bのうち少なくとも下方領域61Bを開閉する開閉部材61aを備えてもよい。開閉部材61aは、例えば、利用者の手動によって又はモータ等の駆動源によって自動的に開閉されるとともに、開状態及び閉状態の各々を保持するロック機構(図示略)を備えるシャッター等である。
【0074】
図8(a),(b)と
図9(a),(b),(c)とに示すように、上述した実施形態と第1変形例との転用設定された大型移動かご2Aの各保管動作で異なる点は、搬入出位置P1での扉装置6の動作である。
図9(a)に示すように転用設定された大型移動かご2Aを搭載した搬送リフト51が搬入出位置P1に到達すると、大型内扉21Aの第1凸部22Aが外扉40の第1凹部41Aに装着される。なお、
図9(a)に示す搬入出位置P1の大型移動かご2Aの収納内部2cには荷物Nが入っているが、この時点では収納内部2cは空の状態である。
【0075】
大型内扉21Aの第1凸部22Aが外扉40の第1凹部41Aに装着されたことがセンサ14によって検知されると、
図9(b),(c)に示すように、外扉40が内扉21とともに上方に所定のスライド量で移動する。所定のスライド量は、区画部材61によって区画された収納内部2cの上方領域61A及び下方領域61Bのうち制御装置100bによって荷物Nの収納用に選択されたいずれかの領域に応じたスライド量である。
【0076】
外扉40は、例えば、収納内部2cの下方領域61Bが荷物Nの収納用に選択された場合、
図9(b)に示すように、大型内扉21Aの全閉位置Q1から小型移動かご2Bの小型内扉21Bの全開位置Q2に相当する半開位置Q3まで移動する。これにより、大型移動かご2Aの前側の開口2aの一部(つまり、小型移動かご2Bの開口2aに相当する下方領域61B)が開放される。そして、大型移動かご2Aの収納内部2cの一部である下方領域61Bと、搬送システム10の前方領域と、が搬入出口4を通じて連通する。
【0077】
外扉40は、例えば、収納内部2cの上方領域61Aが荷物Nの収納用に選択された場合、
図9(c)に示すように、大型内扉21Aの全閉位置Q1から全開位置Q2までスライド移動する。外扉40は、大型移動かご2Aの開口2aの全て(つまり、上方領域61A及び下方領域61B)を開放する。この場合、例えば、区画部材61の開閉部材61aによって下方領域61Bを閉状態に設定する。これにより、大型移動かご2Aの収納内部2cの一部である上方領域61Aと、搬送システム10の前方領域と、が搬入出口4を通じて連通する。
【0078】
第1変形例では、転用設定された大型移動かご2Aの内部を許容搭載量に区画する区画部材61を備える。これにより、利用者に適正な許容搭載量の移動かご2を提供することができる。例えば、大型移動かご2Aの内部に複数の許容搭載量の領域(上方領域61Aや下方領域61B等)を区画可能な区画部材61の場合、1つの大型移動かご2Aを複数の小型移動かご2Bとして利用できる。これにより、移動かご2の総数を増大させることなく、移動かご2の利用数を増加させることができる。なお、第1変形例では、大型移動かご2Aを上下二分割する構成について説明したが、三分割以上行ってもよく、扉装置6のスライド方向Eによっては、大型移動かご2Aを左右方向X2に分割してもよい。
【0079】
(第2変形例)
上述した実施形態では、ステップS04に示すように、制御装置100bは、複数の異なる移動かご2の各々の使用可能数と必要数との差分(使用可能数-必要数)の大小を比較するとしたが、これに限定されない。例えば、制御装置100bは、複数の異なる移動かご2の必要数の大小を比較してもよい。
例えば、制御装置100bは、上述したステップS04の代わりに、小型移動かご2Bの必要数は、大型移動かご2Aの必要数はよりも多いか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、制御装置100bは、処理をステップS06に進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、制御装置100bは、処理をステップS05に進める。
【0080】
(第3変形例)
上述した実施形態では、外扉40は、大きさの異なる複数の移動かご2の各々に対応して複数の凹部41を備えるとしたが、これに限定されず、例えば、外扉40は、大きさの異なる複数の移動かご2の各々に共通とされる単一の凹部41を備えてもよい。
例えば、上述した実施形態では、外扉40は、大型移動かご2Aの大型内扉21Aの第1凸部22Aが装着される第1凹部41Aと、小型移動かご2Bの小型内扉21Bの第2凸部22Bが装着される第2凹部41Bと、を備える。これに対して、実施形態の第2変形例では、外扉40は、大型移動かご2Aの大型内扉21Aの第1凸部22Aが装着されるとともに、小型移動かご2Bの小型内扉21Bの第2凸部22Bが装着される単一の凹部41を備える。この場合、大型移動かご2Aの大型内扉21Aは上下方向X1の中央に設けられた第1凸部22Aを備えていればよい。この場合には、大型移動かご2Aの下面からの第1凸部22Aの高さ位置と、小型移動かご2Bの下面からの第2凸部22Bの高さ位置と、が同一になる。
【0081】
(他の変形例)
上述した実施形態では、保管ラック3は、複数種類の移動かご2の各々の保管個数を変更可能に構成されてもよい。例えば、保守作業時等の適宜のタイミングで利用予測情報に基づいて、保管ラック3での複数種類の移動かご2の各々の保管個数が変更されてもよい。すなわち、大型移動かご2Aの必要数が相対的に多い場合は、保管ラック3に保管された未使用の小型移動かご2Bを大型移動かご2Aに入れ替え、小型移動かご2Bの必要数が相対的に多い場合は保管ラック3に保管された未使用の大型移動かご2Aを小型移動かご2Bに入れ替えてもよい。この場合、例えば複数種類の移動かご2の各々の保管個数を変更することができない場合に比べて、利用予測情報に基づく利用効率の向上を容易に促進することができる。
【0082】
上述した実施形態では、外扉40が凹部41を備え、内扉21が外扉40の凹部41に装着される凸部22を備えるとしたが、これに限定されず、内扉21は凹部を備え、外扉40は内扉の凹部に装着される凸部を備えてもよい。また、内扉21と外扉40との連動機構は、適宜変更が可能である。一方で、内扉21と外扉40とを独立して動作させる構成であってもよい。
上述した実施形態では、搭載部が箱型に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば搭載部は、内扉21を備えない構成であってもよく、荷物Nが搭載される搭載面を有する板状(トレー状)等であってもよい。
【0083】
上述した実施形態では、扉装置6の内扉21及び外扉40は、上下方向X1にスライドするとしたが、これに限定されず、例えば左右方向X2等の他の方向にスライドしてもよい。例えば
図10に示す外扉200は、左右方向X2にそれぞれ移動可能な上扉200a及び下扉200bを備えている。上扉200aは、搬入出口4の上部に配置され、搬入出位置P1に搬送された大型移動かご2Aの開口2aの上部と重なり合う。一方、下扉200bは、搬入出口4の下部に配置され、搬入出位置P1に搬送された大型移動かご2Aの開口2aの下部、又は小型移動かご2Bの開口2aと重なり合う。
上述した外扉200では、通常の保管動作の際には、搬入出位置P1に搬送された移動かご2の種類に応じて上扉200a及び下扉200bの少なくとも何れかの開閉動作を行う。すなわち、
図10(b)に示すように、搬入出位置P1に大型移動かご2Aが搬送された場合には、上扉200a及び下扉200bの双方を開状態にする。これにより、大型移動かご2Aの開口2a全体が開放される。
一方、
図10(c)に示すように、搬入出位置P1に小型移動かご2Bが搬送された場合には、下扉200bのみを開状態にする。これにより、小型移動かご2Bの開口2a全体が開放される。この際、搬入出口4の上部は上扉200aによって遮られた状態を維持する。
【0084】
次に、大型移動かご2Aの許容搭載量が小型移動かご2Bの最大搭載量に転用設定された場合の外扉200の動作について説明する。
図11(a)に示すように、外扉200は、下扉200bのみが開状態になる。これにより、搬入出位置P1に搬送された大型移動かご2Aの開口2aのうち下部のみが搬入出口4を通じて開放される。その結果、利用者は、大型移動かご2Aを小型移動かご2Bの最大搭載量として利用することができる。
また、大型移動かご2Aが上述した区画部材61を備えている場合において、大型移動かご2Aの下方領域61Bを利用する場合には、
図11(b)に示すように下扉200bのみが開状態になる。一方、大型移動かご2Aの上方領域61Aを利用する場合には、
図11(c)に示すように上扉200aのみが開状態になる。
【0085】
上述した実施形態では、最大搭載容量に応じて移動かご2の種類を変更する構成について説明したが、これに限られない。最大搭載サイズや最大搭載重量等に応じて移動かご2の種類を変更する構成であってもよい。
上述した実施形態では、第1搭載部と第2搭載部とについて、最大搭載量が異なる2種類の移動かご2とした場合について説明したが、これに限定されず、例えば最大搭載量が異なる3種類以上の移動かごであってもよい。
上述した実施形態では、大型移動かご2Aの許容搭載量を小型移動かご2Bの最大搭載量に設定することで大型移動かご2Aを小型移動かご2Bに転用設定する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、小型移動かご2Bの最大搭載量が許容搭載量よりも十分に大きく設定されている場合には、小型移動かご2Bの許容搭載量を大型移動かご2Aの許容搭載量に設定してもよい。また、小型移動かご2Bの許容搭載量をさらに小さい許容搭載量に設定してもよい。
また、搬入出口4の開口量や、移動かご2の利用領域(区画部材61等)によって、移動かご2の最大搭載量を可変する構成を採用した場合には、保管ラック3に保管される移動かご2は1種類(最大搭載量が同一)であってもよい。
【0086】
なお、上述した荷物保管装置100a、制御装置100bは、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置を含む。
【0087】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0088】
なお、上述の荷物保管装置100a、制御装置100bは内部にコンピュータを有している。そして、上述した荷物保管装置100a、制御装置100bの各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0089】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
2 移動かご(搭載部)
2a 開口
2A 大型移動かご(第2搭載部、第1搭載設定部、第2搭載設定部)
2B 小型移動かご(第1搭載部、第1搭載設定部)
3 保管ラック
4 搬入出口(開口部)
10 搬送システム
15 制御部
21 内扉(開閉扉)
21A 大型内扉(開閉扉)
21B 小型内扉(開閉扉)
40 外扉(開閉扉)
61 区画部材
P1 搬入出位置
Q1 全閉位置
Q2 全開位置(第1開位置、第2開位置)
Q3 半開位置(第1開位置)
100b 制御装置(制御部)
150b 取得部
180b 決定部